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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】縦長表示部を備えた防災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/14 20060101AFI20241105BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G08B25/14 B
G08B17/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020128798
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025742
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 朋紘
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-045383(JP,A)
【文献】特開2014-128330(JP,A)
【文献】特開2019-179483(JP,A)
【文献】特開2019-051073(JP,A)
【文献】特開2019-179473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00-31/00
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象区域内に設置されている複数の防災関連機器からの信号に基づいて検知したイベントの発生および機器の状態を点灯又は非点灯で報知する状態表示部と、検知したイベントに関連した情報を表示する情報表示部と、外部から指令を入力するための操作部と、を前面に有する筐体を備えた防災受信機であって、
前記筐体の前面には、縦長の2次元表示画面を有し前記状態表示部と前記情報表示部と前記操作部として機能するタッチパネル方式のディスプレイが設けられ、状態表示部と操作部を含みハードウェアにより構成された第1表示・操作部が、前記ディスプレイの隣接した位置に配設され
前記第1表示・操作部は、前記ディスプレイの左側又は右側の隣接した位置に配設され、
前記ディスプレイの表示画面には、前記第1表示・操作部に隣接した領域にソフトウェアにより構成されイベントの発生および機器の状態と操作手段を表示可能な第2表示・操作部が配設されていることを特徴とする防災受信機。
【請求項2】
記ディスプレイの表示画面の前記第2表示・操作部以外の領域には、情報を表示するための第1画面部と第2画面部が上下に並んで配設され、
前記第1画面部は表示内容が制限されたメイン画面の表示領域として使用され、前記第2画面部は前記第1画面部における操作に応じて複数のサブ画面の中から選択された1のサブ画面の表示領域として使用されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防災受信機。
【請求項3】
前記第2表示・操作部は、前記第1画面部と第2画面部の側方に両画面部に跨るように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の防災受信機。
【請求項4】
前記第1画面部には、前記複数のサブ画面の中から所定のサブ画面を前記第2画面部に表示させる指令を入力するための操作ボタンが表示されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の防災受信機。
【請求項5】
前記複数の防災関連機器には火災感知器とガス漏れ検知器と防排煙機器とが含まれ、
前記第1画面部には、前記火災感知器とガス漏れ検知器と防排煙機器の作動情報が、前記防災関連機器の種類ごとにまとめて表示され、
前記第1画面部に表示されている前記防災関連機器の詳細情報の表示を指令する操作ボタンが操作されることに応じて、前記第2画面部に前記防災関連機器の詳細情報を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の防災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災感知器や発信機等からの信号を受信して火災の発生の表示や警報を行う防災監視システム(火災報知システムを含む)に用いられる受信機に関し、特にLCD表示器(液晶ディスプレイ)のような薄型表示パネルを縦長に配置した表示部を備えた防災受信機に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災受信機には、発生した火災等のイベントの詳しい内容を表示する情報表示部が前面パネルに設けられているものがある。例えばR型火災受信機には、比較的大型の液晶ディスプレイなどからなる情報表示部が前面に設けられ、文字などによって詳細な情報を表示することができるように構成されている。また、情報表示部がタッチパネル方式の入力装置(操作部)として構成されているものもある。
【0003】
従来、感知器を備えた防災監視システムにおける情報表示に関する発明としては、例えば液晶ディスプレイにメッセージで情報を表示することができる液晶表示部を防災監視システムの防災受信機に設けている発明がある(特許文献1)。
特許文献1に記載されている防災受信機の液晶表示部の表示画面においては、通常は「主音響停止スイッチ」、「地区音響停止スイッチ」、「保守モードキー」など各種の操作スイッチが表示され、火災警報時には、地区表示よりもさらに詳細な内容の文字表示が行なわれる。また、液晶表示部の画面はタッチパネル形式のものとなっており、画面の所定位置をポイントすることで、この位置に対応した情報を入力可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-45383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている防災受信機においては、液晶表示画面の操作部以外に、ハードウェアの操作スイッチや表示灯を液晶表示部の近傍に設けている。これは、液晶表示部における表示や操作はスイッチの介在が不可欠であるため、火災等の非常時に万が一液晶表示部の不具合が発生すると必要な操作ができなくなり、火災の延焼を招く恐れがあるため、最低必要な表示とスイッチはハードウェアで行うためである。
【0006】
しかし、従来の火災受信機は、液晶表示部の画面上における表示・操作部と、ハードウェアの表示・操作部のレイアウトに一体感がなく、操作の際にオペレーターに混乱を生じさせることがあるという課題があった。また、従来の火災受信機の液晶表示部は横長配置であるため、表示情報量を増やすにはディスプレイとして大型のものを使用しなくてはならず、大型のディスプレイを使用すると筐体(特に横幅)が大型化してしまうという課題があった。
従前より、受信機には、一般的に500~600mm幅の筐体が使用されていた。小中規模の建物には壁掛け式が設置されることが多く、大規模の建物には防災センター内に自立型の受信機が他の設備監視盤と並んで設置されることが多いので、受信機筐体の横幅を広げることは上記観点から望ましくないと考えられるためである。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、表示部の画面上における表示・操作部と、ハードウェアの表示・操作部とに一体感を持たせて、表示の見やすさと操作のしやすさを共に向上させ、操作の際にオペレーターに混乱を生じさせることのない防災受信機を提供することにある。
本発明の他の目的は、筐体を大型のサイズに変更することなく、表示部に表示可能な情報量を増加させることができる防災受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明は、
監視対象区域内に設置されている複数の防災関連機器からの信号に基づいて検知したイベントの発生および機器の状態を点灯又は非点灯で報知する状態表示部と、検知したイベントに関連した情報を表示する情報表示部と、外部から指令を入力するための操作部と、を前面に有する筐体を備えた防災受信機であって、
前記筐体の前面には、縦長の2次元表示画面を有し前記状態表示部と前記情報表示部と前記操作部として機能するタッチパネル方式のディスプレイが設けられ、状態表示部と操作部を含みハードウェアにより構成された第1表示・操作部が、前記ディスプレイの隣接した位置に配設され
前記第1表示・操作部は、前記ディスプレイの左側又は右側の隣接した位置に配設され、
前記ディスプレイの表示画面には、前記第1表示・操作部に隣接した領域にソフトウェアにより構成されイベントの発生および機器の状態と操作手段を表示可能な第2表示・操作部が配設されているように構成したものである。
【0009】
上記のような構成を有する受信機によれば、筐体サイズを変えることなくディスプレイを大型化し、一度に表示できる情報量を増やすことが可能となり、火災発生時などに従来であれば画面を切り替えながら確認する必要があった情報を一度に確認することが出来、状況の判断がより容易かつ正確に行えるようになる。また、ディスプレイを大型化することにより、従来であれば画面が小さく物理的なスイッチを設ける必要があった操作部や表示部を、ディスプレイの画面内に取り込むことが出来、ハード部品が不要となり大幅なコストダウンが可能となる。
また、第1表示・操作部に隣接した領域にソフトウェアにより構成されイベントの発生および機器の状態と操作手段を表示可能な第2表示・操作部が配設されているため、ハードウェア表示・操作部とソフトウェア表示・操作部とが一体感のある表示・操作部として機能し、スイッチボタンの操作性を向上させることができる。
さらに、ディスプレイ自体又は画面制御のソフトウェアに不具合が発生しても、ハードスイッチはその影響を受けないので、特に重要なスイッチをハードウェアスイッチに分担させることで、最低必要な操作は可能となるので、受信機の信頼性が向上し安心感のある防災監視システムを構築することができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記ディスプレイの表示画面の前記第2表示・操作部以外の領域には、情報を表示するための第1画面部と第2画面部が上下に並んで配設され、
前記第1画面部は表示内容が制限されたメイン画面の表示領域として使用され、前記第2画面部は前記第1画面部における操作に応じて複数のサブ画面の中から選択された1のサブ画面の表示領域として使用されるように構成する。
【0011】
上記のような構成によれば、第1画面と第2画面が上下に並んで配設されているため表示の見易さを向上させることができるとともに、第1画面部にメイン画面を表示し、第2画面部に複数のサブ画面の中から選択された1のサブ画面を表示するため、オペレーターによる状況の判断や操作手順の理解等がより容易かつ正確に行えるようになる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記第2表示・操作部は、前記第1画面部と第2画面部の側方に両画面部に跨るように設けられているようにする。
かかる構成によれば、ソフトウェア表示・操作部の領域を大きくすることができるとともに、ソフトウェア表示・操作部全体がハードウェア表示・操作部と隣接しているため、表示・操作部との一体感を阻害することなく、より多くのスイッチをディスプレイの画面内に取り込むことが出来、さらなるコストダウンが可能となる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記第1画面部には、前記複数のサブ画面の中から所定のサブ画面を前記第2画面部に表示させる指令を入力するための操作ボタンが表示されているように構成する。
サブ画面を第2画面部に表示させるための操作ボタンは、ハードウェア表示・操作部に表示させることも可能であるが、第1画面部(メイン画面)に表示することによって、オペレーターに第1画面部と第2画面部との関連性を理解させ易くすることができる。
【0014】
また、望ましくは、前記複数の防災関連機器には火災感知器とガス漏れ検知器と防排煙機器とが含まれ、
前記第1画面部には、前記火災感知器とガス漏れ検知器と防排煙機器の作動情報が、前記防災関連機器の種類ごとにまとめて表示され、
前記第1画面部に表示されている前記防災関連機器の詳細情報の表示を指令する操作ボタンが操作されることに応じて、前記第2画面部に前記防災関連機器の詳細情報を表示させるように構成する。
【0015】
上記のような構成を有する受信機によれば、第1画面部(メイン画面)に、防災監視システムにとって最も重要な「火災」、「ガス漏れ」、「防排煙」の警報情報が種類ごとにまとめて表示されるため、多くの情報を混乱することなく把握することができる。また、第2画面部(サブ画面)に、それらの詳細情報を表示するようにしたので、多くの情報を混乱することなく把握することができ、状況の判断が容易に行えるとともに、各防災関連機器の詳細な情報を第2画面部の表示で確認することができるため、状況の判断が正確に行えるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明者は、上記のような制限の中、受信機筐体の縦方向に比較的制約がないことに着目し、従来から一般的に使用される受信機筐体に用いる場合であっても、安価な表示部(LCDタッチパネル)を用いて、より多くの情報表示(文字や図など)を、人がより見易いサイズで実現することに成功した。
本発明の防災受信機によれば、表示部の画面上における表示・操作部と、ハードウェアの表示・操作部とに一体感を持たせて、表示の見やすさと操作のしやすさを共に向上させ、操作の際にオペレーターに混乱を生じさせないようにすることができる。また、筐体を大型のサイズに変更することなく、表示部に表示可能な情報量を増加させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る防災受信機としての火災受信機の一実施形態を示す正面図である。
図2】実施形態の火災受信機に設けられている情報表示と操作部のレイアウト構成を示す図である。
図3】実施形態の火災受信機のディスプレイの表示画面におけるメイン画面部とサブ画面部との関係を示す図である。
図4】実施形態の火災受信機に設けられている情報表示画面部と表示・操作部の具体的な構成例を示す図である。
図5】実施形態の火災受信機の変形例において、表示モードを切り替えた際に表示される情報表示画面部と表示・操作部のレイアウト構成を示す図である。
図6】他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明を適用したR型火災受信機の前面パネルの一実施例が示されている。図1の火災受信機10は、建物の防災センターや中央管理室に設置され、建物内に分散設置された複数の感知器や発信機からの火災信号を受信し、地区音響装置を鳴動させて火災の発生を音響で知らせるとともに、当該火災受信機10の前面パネルに設けられているランプ等の表示により火災の発生を報知する機能を有する。受信機の操作部は、人の操作性の観点から、壁に設置するいわゆる壁掛け式の受信機や自立型の受信機いずれにおいても床下から800mmから1500mmの間に設けることが推奨されている。表示部もこの間に設けると、一見して視認可能である。
【0019】
火災受信機10の前面パネルには、図1に示すように、交流電源の投入や火災発報、発信機信号の入力など火災受信機の動作状態を各種ランプの点灯で表示したり受信機の音響やベル(地区音響)を停止させる指令を入力したりする表示・操作部11と、各監視地区の火災報知機以外のシステムの信号(例えば消火設備のポンプの作動や故障等の信号)が入力したことを点灯で報知する用途などに使用する諸表示灯12、火災の発生等を音声や音響により知らせるスピーカ13、受信機の全イベント履歴や自動試験結果等を印字して出力するプリンタ14、前面パネルを開閉するためのシリンダー錠15などを備える。
【0020】
図2には火災受信機10の前面パネルに設けられている上記表示・操作部11の基本的な構成を示すレイアウト図が示されている。
図2に示すように、本実施形態における表示・操作部11は、タッチパネル式のLCDパネル(液晶表示パネル)などからなるディスプレイ11Aと、該ディスプレイ11Aの右横に隣接してLED(発光ダイオード)などのランプとプッシュ式スイッチボタンが配設されたハードウェア表示・操作部11Bとから構成されている。ディスプレイ11Aは、LCDパネルの他、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルなど薄型表示パネルであれば良く、画面が縦長となるように配置されている。
【0021】
さらに、本実施形態の表示・操作部11においては、ディスプレイ11Aの画面を、上記ハードウェア表示・操作部11Bに隣接した縦に細長い第1領域A1と、この第1領域の左側の領域を上下2分割した第2領域A2および第3領域A3とに分けている。そして、上記第1領域A1は、表示ランプやスイッチボタンを模した画像を表示することで隣接する上記ハードウェア表示・操作部11Bと同様な機能を備えたソフトウェア表示・操作部として使用し、第2領域A2は基本情報を表示するメイン画面部として、また第3領域A3は上記第2領域A2のメイン画面部における操作に応じた情報を表示するサブ画面部として使用する。
【0022】
本実施形態においては、ハードウェア表示・操作部11Bとソフトウェア表示・操作部(A1)を合わせたものを、総合表示・操作部と称する。
メイン画面部(A2)は表示形態が変化しない固定画面が表示され、サブ画面部(A3)には予め複数種類の画面が用意されており、メイン画面部(A2)における操作内容に応じて、例えば図3に示すように、複数のサブ画面#1,#2,……#nの中からいずれか1つのサブ画面が選択されて表示される。
なお、上記のような画面表示は、CPUのような演算処理装置と画像処理LSIのような表示制御装置および受信機内の記憶装置に記憶されたプログラム等の協働によって実現される。
【0023】
図4には、上記表示・操作部11の具体的な構成例が示されている。
図4に示すように、ハードウェア表示・操作部11Bには、上部に、交流電源の投入の有無を報知するための「交流電源灯」、「スイッチ注意灯」、「システム変更灯」、保守点検中であるか否か報知するための「保守灯」、故障の有無を報知するための「故障灯」、「LCD異常灯」として機能するLEDランプL1~L6が配設されている。なお、LEDランプL1~L6は、白色LEDでも良いが、表示内容に応じて、緑色LED、赤色LED、黄色LEDの中からいずれかを選択して使い分けるようにしても良い。
【0024】
また、ハードウェア表示・操作部11Bには、ベル(地区音響)を一時停止させるための押ボタンB1、受信機の音響を停止させるための押ボタンB2、火災試験からの復旧を指令する復旧ボタンB3、復旧スイッチのオン、オフ状態を報知するための「復旧スイッチ灯」として機能するLEDランプL7、電話回線が使用中か否かを報知するためのLEDランプL8が配設されている。さらに、ハードウェア表示・操作部11Bには、電話機コード先端のコネクタを接続するため電話ジャックが配設されており、この電話ジャックの前方はカバー(蓋)16によって塞がれている。
【0025】
一方、ディスプレイ11Aの画面のソフトウェア表示・操作部A1の上半分の領域には、火災発生を報知する火災代表灯M1、ガス漏れ検知を報知するガス漏れ代表灯M2、システム状態である発信機入力を報知する発信機入力灯M3、非常放送中を報知する非常放送中灯M4、電話入力を報知する電話入力灯M5、電池異常を報知する電池異常灯M6、火災発報した回線(地区)等の諸警報入力を報知する諸表示灯M7~M12が配設されている。
【0026】
また、ソフトウェア表示・操作部A1の下半分には、火災検知信号入力時に火災の発生を確認した際に火災断定を入力するための火災断定ボタンB11、全館のベルを鳴動させる指令を入力するための全館ベル鳴動ボタンB12、保守を開始することを入力するための保守ボタンB13、保守実施時に異常放送や警報を停止させる指令を入力するための異常放送警報停止ボタンB14、排煙機等の連動動作を一括で停止させる指令を入力するための連動動作一括停止ボタンB15、個別連動停止中を報知する個別停止灯M13、プリンタによる印字出力を停止させる指令を入力するための印字停止ボタンB16、プリンタの印字用紙を排出させる指令を入力するための紙送りボタンB17が配設されている。
【0027】
ディスプレイ11Aの画面の第2領域であるメイン画面部A2には、各監視地区の火災感知器からの検知信号に基づいて火災検知エリア等の情報を表示する火災情報表示領域A21、連動動作で作動した防火扉や排煙装置の位置等の情報を表示する防排煙情報表示領域A22、各監視地区のガス感知器からの検知信号に基づいてガス漏れ検知エリア等の情報を表示するガス漏れ検知情報表示領域A23が配設されている。各情報表示領域A21~A23の情報は、それぞれスクロールボタンで上下にスクロール表示させることができるようになっている。
【0028】
また、ディスプレイ11Aの画面のメイン画面部A2の右側領域の上部には、サブ画面部A3に表示させる情報を指定するための指定ボタンB21、B22、B23が配設されている。
メイン画面部A2の右側領域の下部には、復旧作業の分かり易く表示させる指令を入力するためのかんたん復旧ボタンB24、ディスプレイ11Aの画面の表示を停止させる指令を入力するための画面消去ボタンB25が配設されている。
【0029】
ここで、メイン画面部A2の指定ボタンB21、B22、B23には、例えば火災発生時の対応手順を示すガイダンスを表示させる指令を入力するためのボタンや、煙感知で検出した煙濃度の変化を表わすトレンドグラフを表示させる指令を入力するためのボタン、火災、防排煙装置の動作、ガス漏れ等のイベント検出時に当該イベント検出に関する詳細な情報を表示させる指令を入力するためのボタンなどがある。
サブ画面部A3にガイダンス(簡易取扱い説明書)を表示させることによって、オペレーターは、メイン画面部A2の火災情報とサブ画面部A3のガイダンスを見ながら操作することが可能となる。また、サブ画面部A3にトレンドグラフを表示させることによって、オペレーターは、メイン画面部A2の火災情報とサブ画面部A3の感知器から受信した詳細情報を同時に確認することが可能となる。
【0030】
上記のように、本実施例の防災受信機においては、縦長配置のディスプレイを筐体の前面パネルに設けているため、横長配置のディスプレイを設ける場合に比べて筐体サイズを変えることなくディスプレイを大型化し、一度に表示できる情報量を増やすことが可能となり、火災発生時などに従来であれば画面を切り替えながら確認する必要があった情報を一度に確認することが出来、状況の判断がより容易かつ正確に行えるようになる。
また、ディスプレイを大型化することにより、従来であれば画面が小さく物理的な部品として設ける必要があった操作部や表示部のスイッチやランプを、ディスプレイの画面内に取り込むことができるため、ハード部品の数を減らすことができ大幅なコストダウンが可能となる。
【0031】
さらに、ハードウェア表示・操作部11Bをディスプレイ11Aの右側に隣接して設けているため、ハードウェア表示・操作部とソフトウェア表示・操作部とが一体感のある表示・操作部として機能し、スイッチボタンの操作性を向上させることができる。
また、ディスプレイ11A自体又は画面制御のソフトウェアに不具合が発生しても、ハードウェア表示・操作部11Bのスイッチはその影響を受けないので、特に重要なスイッチをハードウェアスイッチに分担させることで、最低必要な操作は可能となるので、受信機の信頼性が向上し安心感のある防災監視システムを構築することができる。
【0032】
図5には、上記実施形態の変形例が示されている。
この変形例は、ソフトウェア表示・操作部A1に表示モードの切替えボタンを設けるなどして、このモード切替えボタンがタッチ操作されると、メイン画面部とサブ画面部に分割した図2の表示から、図5に示すように、ソフトウェア表示・操作部A1を除く画面領域全体に、図2のメイン画面部A2に表示していた情報表示領域A21~A23を、拡張して表示させることができるように構成したものである。これにより、筐体を大型化せずに、従来の横長配置のディスプレイを備えた受信機の約2倍の情報を表示させることができる。
【0033】
上記実施形態は、壁掛け式受信機や自立型受信機等にも適用することができる。
特に壁掛け式受信機の場合、図6に示すように、受信機表示画面の操作部最上部の高さが、床からH1:800mm以上、H2:1500mm以内の高さに位置するように受信機は設置される。また、自立型受信機の場合も同様に、設置した際に受信機表示画面の操作部最上部の高さが床から800mm以上、1500mm以内の高さに位置するように予め設計されている。
【0034】
さらに、上記実施形態においては、ディスプレイ11Aとして、縦長部(長辺)が19インチ以上のサイズのLCDを好適に使用可能である。一般的に、19インチのLCDには、縦横比の異なる製品が複数あり、代表的な例では、縦横比16:9(外形482mm×271mm)、或いは、縦横比5:4(外形396mm×323mm)がある。
この場合、床面からH1:800mmの高さ以上H2:1500mmの高さの範囲内にLCDディスプレイとプリンタ等のその他操作部が配置されることになる。そして、ハードウェア表示・操作部は、LCDの右側又は左側に隣接するスペース(11A)で、壁掛型の小さい筐体の場合、受信機筐体の横幅が500mmであっても、約177mmの幅を確保でき、図1図4のように、操作しやすいサイズの操作部11Aを設けたり、これらの表示・操作部を視認しやすい配置に設けたりすることができる。
【0035】
また、LCDの下側の隣接スペースも床面からH1:800mmの高さから更に約218mm高い位置までのスペースを確保することができ、このスペースに図1図4の操作部(ハードスイッチB1、B2、B3や14)等に相当する操作部を設けても良い。
以上、19インチ画面を例に挙げたが、数値的にはまだ余裕があり、表示画面を縦型にすることで標準的な縦横比のLCDを用いても、前記壁掛けおよび自立型の場合で、最大30インチ以上程度(16:9外形641mm×400mm)まで大きくしても、ハードウェア表示操作部11Bを確保し、操作しやすい表示操作部を提供することが可能になる。
【0036】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、ディスプレイ11Aの右側にハードウェア表示・操作部11Bを配置しているが、ディスプレイ11Aの左側にハードウェア表示・操作部11Bを配置するようにしても良い。
また、図4のハードウェア表示・操作部11Bに設けられている表示ランプやスイッチボタンと、ディスプレイ11Aのソフトウェア表示・操作部A1に設けられている表示ランプやスイッチボタンとを入れ替えるようにしても良い。さらに、ソフトウェア表示・操作部A1またはメイン画面部A2、またはそれらの両方に跨がる様に、各種操作を再確認するウインドウを表示しても良い。
【0037】
また、重要な操作ボタンに関しては、ハードウェア表示・操作部11Bとソフトウェア表示・操作部A1に重複して設けるようにしても良い。
さらに、以上の説明では、本発明を、火災感知システムを構成する火災受信機に適用した場合を例にとって説明したが、本発明は火災受信機に限定されず、監視システムを構成可能な防災受信機に適用することが可能である。また、火災受信機の設置場所である監視拠点以外の場所でも火災の状況を把握できるようにするための表示装置として副受信機があるが、本発明は副受信機に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 火災受信機(監視装置)
11 表示・操作部
11A ディスプレイ
11B ハードウェア表示・操作部
12 諸表示灯
13 スピーカ
14 プリンタ
A1 ソフトウェア表示・操作部
A2 メイン画面部(第1画面部)
A3 サブ画面部(第2画面部)
L1~L8 LEDランプ
B1~B25 スイッチボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6