(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】撮像装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/66 20230101AFI20241105BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20241105BHJP
H04N 23/40 20230101ALI20241105BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20241105BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H04N23/66
H04N5/77 200
H04N23/40
H04R1/10 101Z
H04Q9/00 301E
(21)【出願番号】P 2020129814
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2019149800
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 行則
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-096166(JP,A)
【文献】特開2005-173328(JP,A)
【文献】特開2018-191023(JP,A)
【文献】特開2017-118306(JP,A)
【文献】特開2001-169380(JP,A)
【文献】特開2017-117108(JP,A)
【文献】特開2017-216628(JP,A)
【文献】特開2010-021935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/66
H04N 5/77
H04N 23/40
H04R 1/10
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部スピーカと無線接続する通信手段と、
撮像手段と、
制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かを判断し、
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を開始してから完了するまでの間に、前記撮像手段によって撮像したことを示す音声データを無線接続を確立している前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信
し、
前記制御手段は、前記外部スピーカと無線接続を確立したことに応じて、音を出力しない状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御し、
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像すると判断した場合、音を出力できる状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像しないと判断した場合、前記通信手段によって無線接続を確立している前記外部スピーカを音を出力しない状態に維持する
ことを特徴とする請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像すると判断した場合、前記撮像手段によって撮像する前に、無線接続を確立している前記外部スピーカを音を出力できる状態になるように前記通信手段を介して制御する
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像した場合、無線接続を確立している前記外部スピーカを音を出力しない状態になるように前記通信手段を介して制御する
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、音を出力しない状態になるように前記外部スピーカを制御した場合、無音を示す音声データを無線接続を確立している前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信する
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
外部スピーカと無線接続する通信手段と、
撮像手段と、
制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かを判断し、
前記制御手段は、前記外部スピーカが音声データを受信してから音を出力するまでの時間が短いか長いかを判断し、
前記制御手段は、前記外部スピーカが音を出力する時間が長いと判断した場合、前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を開始してから前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を完了する前に、前記撮像手段によって撮像したことを示す音声データを前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信し、
前記制御手段は、前記外部スピーカが音を出力する時間が短いと判断した場合、前記撮像手段によって撮像すると判断してから前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を完了したことに応じて、前記撮像手段によって撮像したことを示す音声データを前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は前記撮像手段によって撮像する場合、静止画を撮像する
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
さらにユーザ操作を受け付ける操作手段を有し、
前記制御手段は、前記操作手段を介してユーザから撮像指示を受け付けた場合、前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を開始する
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記操作手段はレリーズスイッチであり、
前記制御手段は、前記レリーズスイッチを全押しされたことに応じて撮像指示を受け付けたと判断する
ことを特徴とする請求項
8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かについて判断している間において、被写体に合焦するよう前記撮像手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記通信手段はBluetooth(登録商標)に準拠して無線接続する
ことを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
さらにスピーカを有し、
前記制御手段は、前記スピーカから音を出力しないよう制御する場合、前記通信手段によって無線接続を確立している前記外部スピーカから音を出力するよう制御する
ことを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
さらにスピーカを有し、
前記制御手段は、前記通信手段によって前記外部スピーカと無線接続を確立した場合、前記スピーカから音を出力しないよう制御し、前記外部スピーカから音を出力するよう制御する
ことを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
外部スピーカを無線接続する通信手段と、
撮像手段と、
制御手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段によって撮像するか否かを判断するステップと、
前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を開始してから前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を完了する前に、前記撮像手段によって撮像したことを示す音声データを無線接続を確立している前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信するステップと、
前記制御手段によって、前記外部スピーカと無線接続を確立したことに応じて、音を出力しない状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御するステップと、
前記制御手段によって、前記撮像手段によって撮像すると判断した場合、音を出力できる状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1から
13のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるための、コンピュータが読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば無線ヘッドホンやワイヤレススピーカ等の無線通信機能を有するスピーカがある。ユーザは例えばスマートフォンやテレビ等の電子機器と無線通信機能を有するスピーカとを接続して、スピーカから楽曲やテレビの音声を聞くことができる。特許文献1ではデジタルオーディオプレーヤ(DAP)とヘッドホンとが無線通信することが開示されている。
【0003】
また例えばデジタルカメラとヘッドホンとを無線接続し、デジタルカメラに記録されている動画の音声データをヘッドホンから再生する場合、一般的にその音声データはユーザが動画の再生を指示したタイミングからある程度の遅延を経て再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばデジタルカメラとヘッドホンとを無線接続し、デジタルカメラによって撮像する場合、ユーザはヘッドホンから電子シャッター音を聞くことができる。このとき、電子シャッター音もユーザが撮像を指示したタイミングからある程度の遅延を経て再生される。しかし電子シャッター音はデジタルカメラによる撮像を実行したタイミングを示す音であるため、このようにデジタルカメラが撮像するタイミングと電子シャッター音を再生するタイミングにずれが生じた場合、ユーザは撮像したタイミングを誤認するおそれがある。
【0006】
そこで本発明は撮像装置が撮像するタイミングと撮像装置と無線接続しているスピーカが音声データを出力するタイミングとの時間差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の撮像装置は、外部スピーカと無線接続する通信手段と、撮像手段と、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かを判断し、前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像するか否かについての判断を開始してから完了するまでの間に、前記撮像手段によって撮像したことを示す音声データを無線接続を確立している前記外部スピーカへ前記通信手段を介して送信し、前記制御手段は、前記外部スピーカと無線接続を確立したことに応じて、音を出力しない状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御し、前記制御手段は、前記撮像手段によって撮像すると判断した場合、音を出力できる状態になるように前記通信手段を介して前記外部スピーカを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば撮像装置が撮像するタイミングと撮像装置と無線接続しているスピーカが音声データを出力するタイミングとの時間差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態におけるデジタルカメラと無線ヘッドホンからなるシステム構成図の一例を示す図である。
【
図2】(A)第一の実施形態におけるデジタルカメラの構成の一例を示すブロック図である。(B)第一の実施形態におけるデジタルカメラの正面の外観図の一例である。(C)第一の実施形態におけるデジタルカメラの背面の外観図の一例である。
【
図3】(A)第一の実施形態におけるデジタルカメラのシャッターモード、電子音の出力およびサイレントモードを設定するための画面表示の一例である。(B)第一の実施形態におけるデジタルカメラのシャッターモードを設定するための画面表示の一例である。(C)第一の実施形態における電子音の出力に関して設定するための画面表示の一例である。(D)第一の実施形態におけるデジタルカメラのサイレントモードを設定するための画面表示の一例である。
【
図4】(A)第一の実施形態における、無線ヘッドホンを接続されていないデジタルカメラの設定画面の一例である。(B)無線ヘッドホンを接続されているデジタルカメラの設定画面の一例である。
【
図5】第一の実施形態におけるデジタルカメラが無線ヘッドホンと無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第一の実施形態におけるデジタルカメラが撮像処理において電子シャッター音を無線ヘッドホンに出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第一の実施形態におけるデジタルカメラと無線ヘッドホンとの間での無線通信処理一例を示すシーケンス図である。
【
図8】第一の実施形態における無線ヘッドホンが音声を出力する処理の一例を示す図である。
【
図9】第二の実施形態におけるデジタルカメラが無線ヘッドホンと無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第二の実施形態におけるデジタルカメラが撮像処理において音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホンに電子シャッター音を出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第二の実施形態におけるデジタルカメラと音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホンとの間での無線通信処理一例を示すシーケンス図である。
【
図12】第三の実施形態におけるデジタルカメラと無線ヘッドホンとスマートフォンからなるシステム構成図の一例を示す図である。
【
図13】(A)第三の実施形態におけるスマートフォンの構成の一例を示すブロック図である。(B)第三の実施形態におけるスマートフォンの正面の外観図の一例である。
【
図14】第三の実施形態におけるスマートフォンがデジタルカメラおよび無線ヘッドホンと無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第三の実施形態におけるデジタルカメラの撮像した際にスマートフォンが電子シャッター音を無線ヘッドホンに出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第三の実施形態におけるスマートフォンとデジタルカメラおよび無線ヘッドホンとの間での無線通信処理一例を示すシーケンス図である。
【
図17】第四の実施形態におけるデジタルカメラの撮像した際にスマートフォンが電子シャッター音を無線ヘッドホンに出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】第四の実施形態におけるスマートフォンとデジタルカメラおよび無線ヘッドホンとの間での無線通信処理一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。ここで、デジタルカメラ100に無線接続する外部スピーカを無線ヘッドホンと記載する。また、デジタルカメラ100に有線接続する外部スピーカを有線ヘッドホンと記載する。
【0011】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200からなるシステム構成図の一例である。
【0012】
デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200とBluetooth(登録商標)の規格に従って無線接続することができる。このBluetoothの規格に従った無線接続において、同期通信では音声データや楽曲データなどをデジタルカメラ100は無線ヘッドホン200へ送信することができる。またBluetoothの規格に従った無線接続において、非同期通信ではボリュームコントロールや出力指示等の制御データをデジタルカメラ100は無線ヘッドホン200へ送信することができる。これによりユーザは無線ヘッドホン200をデジタルカメラ100に無線接続することで、デジタルカメラ100から電子音や楽曲等を無線ヘッドホン200を介して聞くことができる。
【0013】
<デジタルカメラ100の構成>
図2(A)は本実施形態の通信装置の一例であるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは通信装置の一例としてデジタルカメラについて述べるが、通信装置はこれに限られない。例えば通信装置はスマートフォンや、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ、タブレット端末等である。このように本実施形態の通信装置は上述したデバイスのように、ヘッドホン等の外部のスピーカと接続できる装置である。
【0014】
制御部101は、入力された信号や、後述のプログラムに従ってデジタルカメラ100の各部を制御する。制御部101は後述する不揮発性メモリ103および記録媒体110に記録されている音声データを音声信号に変換し、スピーカ108、通信部111および接続部112を介して音声信号を出力することができる。なお、制御部101が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0015】
撮像部102は、例えば、光学レンズユニットと絞り・ズーム・フォーカスなど制御する光学系と、光学レンズユニットを経て導入された光(映像)を電気的な映像信号に変換するための撮像素子などで構成される。撮像素子は、一般的に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)が用いられる。撮像部102は、制御部101に制御されることにより、撮像部102に含まれるレンズで結像された被写体光を、撮像素子により電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行いデジタルデータを画像データや動画データとして出力する。また、撮像部102は制御部101の制御により撮像素子の露光時間を自由に制御できるシャッターを有する。このシャッターは例えばフォーカルプレーンシャッターやレンズシャッター等である。本実施形態では、当該画像データを撮像し出力するための一連の処理を「撮影」という。本実施形態のデジタルカメラ100では、画像データおよび動画データは、DCF(Design rule for Camera File system)の規格に従って、後述する記録媒体110に記録される。
【0016】
不揮発性メモリ103は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリであり、制御部101で実行される後述のプログラム等が格納される。また、不揮発性メモリ103には、音声データが記録されている。この音声データは例えば、被写体に合焦した場合に出力する合焦音、撮像した場合に出力する電子シャッター音、およびデジタルカメラ100を操作した場合に出力する操作音等の電子音のデータである。本実施形態において電子シャッター音は撮像部102のシャッターが開閉する音に似せた擬音である。ただし、この電子シャッター音は、ユーザが撮像したことを認識することができればよい。そのため、電子シャッター音はシャッターの実際の開閉音とは音色や長さ等が大きく異なっていてもよい。本実施形態では音声データはPCM形式、MP3形式等で記録される。
【0017】
作業用メモリ104は、撮像部102で撮像された画像データおよび動画データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部106の画像表示用メモリ、制御部101の作業領域等として使用される。
【0018】
操作部105は、デジタルカメラ100に対する指示をユーザから受け付けるためのユーザインタフェース(UI)である。操作部105は、例えばユーザがデジタルカメラ100の電源のオン/オフを指示するための電源スイッチや、撮影を指示するためのレリーズスイッチ、画像データの再生を指示するための再生ボタン等を含むことができる。また、表示部106に形成されるタッチパネルも操作部105に含めることができる。なお、レリーズスイッチは、SW1およびSW2を有する。レリーズスイッチが、いわゆる半押し状態となることにより、SW1がオンとなる。これにより、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮像の準備動作を行うための準備指示を受け付ける。また、レリーズスイッチが、いわゆる全押し状態となることにより、SW2がオンとなる。このようなユーザ操作により、撮像動作を行うための撮像指示を受け付ける。
【0019】
さらに操作部105はモード切替スイッチを有し、制御部101の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモードがある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード、サイレントモード等がある。モード切替スイッチを操作することにより、ユーザは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチで撮影モードの一覧画面に一旦切り換えた後に、表示された複数のモードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。
【0020】
また、操作部105は後述するスピーカ108、通信部111、および接続部112から出力される音の音量等を調整するためのボタンを含む。このボタンを介してユーザ操作を受け付けることで、制御部101は音声信号の振幅等を調整する処理や、音声信号を出力するか否かを判断する処理を実行する。また通信部111を介した無線通信機能のオン/オフを指示するためのボタンも操作部105に含まれる。
【0021】
表示部106は、撮影の際のビューファインダー画像の表示、撮影した画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。表示部106は必ずしもデジタルカメラ100に内蔵されていなくてもよく、デジタルカメラ100に外部接続される構成であってもよい。デジタルカメラ100は内部または外部の表示部106と接続することができ、表示部106の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0022】
マイク107は、音や音声等の音波をデジタルカメラ100に入力するために用いられる。マイク107は音や音声を電気信号に変換してデジタルカメラ100に入力する。制御部101は入力された電気信号から音声データを生成する。例えば制御部101はこの音声データと撮像部102によって撮影した動画データとを同期させて記録することができる。また例えば、制御部101はこの音声データを撮像部102によって撮影した画像データに関連付けて記録することができる。なお、マイク107はデジタルカメラ100に着脱可能なよう構成してもよいし、デジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。すなわち、デジタルカメラ100は少なくともマイク107から電気信号を受け取るための手段を有していればよい。なおマイク107が電気信号に変換できる音波の周波数は、人間の可聴周波数に限らず、いわゆる超音波や超低周波等の可聴周波数ではない周波数も含まれてもよい。
【0023】
スピーカ108は、電子音を出力することができる電気音響変換器である。電子音は例えば、楽曲、警告音、合焦音、電子シャッター音、および操作音等である。本実施形態において、制御部101は不揮発性メモリ103に記録されている音声データを音声信号に変換し、その音声信号をスピーカ108によって出力することができる。このスピーカ108から電子音を出力する機能は出力機能の一例である。例えばユーザはスピーカ108から出力された音を聞くことで、被写体に合焦したことやデジタルカメラ100に発生しているエラー等に気付くことができる。
【0024】
電源部109は制御部101に制御されることでデジタルカメラ100の各要素に電力を供給することができる。電源部109は例えば、リチウムイオン電池やアルカリマンガン乾電池等の電源である。
【0025】
記録媒体110は例えば撮像部102から出力された画像データを記録することができる。記録媒体110は例えばSDカードやCFカードである。記録媒体110は、デジタルカメラ100に着脱可能なよう構成してもよいし、デジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。すなわち、デジタルカメラ100は少なくとも記録媒体110にアクセスする手段を有していればよい。
【0026】
通信部111は、外部機器と無線接続するためのインターフェースである。本実施形態のデジタルカメラ100は、通信部111を介して、外部機器とデータのやりとりを行うことができる。例えば、撮像部102で生成した画像データや不揮発性メモリ103に記録している音声データを、通信部111を介して外部機器に送信することができる。外部機器は、例えばスマートフォンやPC等の情報機器、イヤホンやヘッドホン等の外部スピーカ、およびストロボである。なお、本実施形態では、通信部111は外部機器とBluetooth(登録商標)の規格に従って通信するためのインターフェースを含む。以降、Bluetoothの規格に準拠した無線通信のことをBluetooth通信という。制御部101は、通信部111を制御することで外部機器との無線通信を実現する。なお、通信方式はBluetoothに限定されるものではなく、例えばIEEE802.11の規格に従ったいわゆる無線LANおよび赤外線通信等の無線通信方式を含む。
【0027】
ここでBluetoothについて説明する。Bluetooth通信する2つの通信装置は、それぞれセントラルとペリフェラルの役割に分かれる。Bluetoothにおける通信装置の接続形態はマスタースレーブ方式のスター型ネットワークである。セントラルとして動作する通信装置(以下、セントラル装置という)がマスターとなり、ペリフェラルとして動作する通信装置(以下、ペリフェラル装置という)がスレーブとなる。セントラル装置は、ペリフェラル装置のネットワークへの参加の管理やペリフェラル装置との無線接続における各種パラメータの設定等をする。セントラル装置は複数のペリフェラル装置と同時接続できる。本実施形態では、デジタルカメラ100がセントラル装置となり、イヤホンやヘッドホン等の外部スピーカおよびストロボがペリフェラル装置となる。
【0028】
Bluetooth通信では、デジタルカメラ100はペリフェラル装置とペアリングする必要がある。ペアリングとは、セントラル装置およびペリフェラル装置がお互いの識別情報を互いに登録(所定の領域に記録)する処理である。本実施形態のデジタルカメラ100はペアリングしたペリフェラル装置の識別情報を不揮発性メモリ103に記録する。本実施形態では、デジタルカメラ100は例えばヘッドホンとお互いの識別情報を互いに登録した後、そのヘッドホンと無線接続を確立することでペアリングを完了したと判断する。また、デジタルカメラ100がペアリング済みのペリフェラル装置と無線接続する場合、ユーザはペリフェラル装置をデジタルカメラ100から検索できる状態になるように操作してから、デジタルカメラ100にペリフェラル装置を検索させるよう操作する。そしてデジタルカメラ100がペリフェラル装置を検出した場合、デジタルカメラ100はペリフェラル装置との無線接続を確立することができる。
【0029】
接続部112は、外部機器と有線接続するためのインターフェースである。本実施形態のデジタルカメラ100は、接続部112を介して、外部機器とデータのやりとりを行うことができる。例えば、制御部101は撮像部102で生成した画像データや不揮発性メモリ103に記録している音声データを、接続部112を介して外部機器に送信することができる。また例えば、制御部101は接続部112を介してマイク等の外部機器から音声信号や音声データを受信することができる。接続部112は例えばフォンコネクタ(いわゆるマイク端子やヘッドホン端子等)およびUSB端子等で構成されている。デジタルカメラ100は接続部112を介してイヤホンやヘッドホン等の外部スピーカ、外部マイク、およびスマートフォンやPC等の情報機器と有線接続することができる。また、接続部112は外部機器が接続されたか否かを検出する検出部(不図示)を有する。制御部101はこの検出部を介して、外部機器が接続および切断されたこと、外部機器と接続中であること、および外部機器と接続していないこと等を検出できる。
【0030】
なお、デジタルカメラ100がマイクやヘッドホン等の外部機器と接続する場合、制御部101は外部機器と接続を確立した後に、そのデバイスの種類を検出することができる。通信部111を介したBluetooth通信では、制御部101はService Discovery Protocol(SDP)を利用することで、外部機器が例えばヘッドホンやマイクとして動作できるか否かを検出することができる。また例えば、通信部111を介した無線LAN通信では、制御部101は外部機器のデバイスの種類を外部機器から受信することで、外部機器のデバイスの種類を検出することができる。
【0031】
また例えば接続部112がUSB端子の場合、制御部101は有線接続を確立した外部機器からデバイスディスクリプタを受信する。このデバイスディスクリプタを参照することで、制御部101は外部機器がヘッドホンか否かを検出できる。ただし、デジタルカメラ100と無線接続可能な外部機器をヘッドホン等の外部スピーカに限定している場合、制御部101は外部機器と無線接続を確立したことによってヘッドホンを検出したか否かを判断できる。また、外部スピーカ用の端子(フォンコネクタ)は、接続相手がスピーカであることが前提の端子である。そして外部マイク用の端子(フォンコネクタ)は、接続相手がマイクであることが前提の端子である。このような接続される機器が定められている端子に外部機器を有線接続された場合、制御部101は外部機器と有線接続を確立したことによってヘッドホンやマイク等を検出したか否かを判断できる。
【0032】
次に、デジタルカメラ100の外観について説明する。
図2(B)はデジタルカメラ100の正面の外観図、
図2(C)はデジタルカメラ100の背面の外観図の一例を示す図である。レリーズスイッチ105aや再生ボタン105b、方向キー105c、タッチパネル105dは、前述の操作部105に含まれる操作部材である。また、表示部106には、撮像部102による撮像の結果得られた画像が表示される。
【0033】
また、デジタルカメラ100は電源オン状態およびスリープ状態の電力状態を有する。本実施形態ではスリープ状態は例えばデジタルカメラ100の撮像部102や表示部106等に電力を供給されていない状態である。このスリープ状態は少なくとも電源オン状態よりも省電力な状態である。デジタルカメラ100はユーザによって操作部105の電源スイッチがオフにされることでスリープ状態に遷移する。電源スイッチがオフにされることでスリープ状態に遷移した場合、デジタルカメラ100は電源スイッチをオンにされることでスリープ状態から電源オン状態へ復帰する。また、電源オン状態においてユーザに操作されないまま一定時間が経過すると、デジタルカメラ100は節電のため自動的にスリープ状態に遷移する。本実施形態ではこの動作を実行する機能をオートパワーオフ機能と呼ぶ。また本実施形態では、このオートパワーオフ機能によって遷移したスリープ状態をオートパワーオフ状態と呼ぶ。オートパワーオフ状態の場合、デジタルカメラ100はユーザにレリーズスイッチや再生ボタン等の操作部105の部材を操作されたことに応じてスリープ状態から電源オン状態へ復帰する。なお本実施形態では、電源スイッチがオフにされることでスリープ状態に遷移した場合、デジタルカメラ100はユーザにレリーズスイッチや再生ボタン等の操作部105の部材を操作されても電源オン状態に遷移しない。
【0034】
以上、デジタルカメラ100の構成の一例について説明した。
【0035】
<シャッターモードの説明>
ここで、デジタルカメラ100のシャッターモードを説明する。デジタルカメラ100は電子シャッターモードおよびメカニカルシャッターモードの2つのシャッターモードを持つ。
【0036】
メカニカルシャッターモードでは、制御部101は撮像部102に含まれるシャッターを開閉するよう制御することで撮像素子を露光し撮像する。メカニカルシャッターモードによる撮像では、撮像した画像データにいわゆるローリングシャッター歪みが発生しづらいことやノイズが少ないこと等の利点がある。
【0037】
電子シャッターモードでは、制御部101はシャッターを開閉させずに撮像する。電子シャッターモードにおける撮像では、シャッターは開いている状態である。制御部101は計時部(不図示)を参照することで撮像部102に含まれる撮像素子の露光時間を制御する。電子シャッターモードによる撮像では、メカニカルシャッターモードよりも速いシャッター速度にできることや撮像する際に振動が発生しにくいこと等の利点がある。
【0038】
電子シャッターモードによる撮像では、シャッターが開閉されないため、いわゆるシャッター音は発生しない。そこで電子シャッターモードによる撮像ではユーザに撮像したことを報知するために、制御部101は不揮発性メモリ103に記録されている電子シャッター音をスピーカ108や通信部111、接続部112を介して出力する。また、デジタルカメラ100はスピーカ108から電子シャッター音を出力する場合、撮像部102によって撮像するタイミングと、電子シャッター音がスピーカ108から出力されるタイミングとがほぼ一致するよう制御する。これにより、ユーザは撮像したタイミングを知ることができる。
【0039】
また、デジタルカメラ100はレリーズスイッチが全押しされた(SW2がオンになった)後、撮像条件が満たされたと判断した場合に、撮像部102によって撮像する。撮像条件が満たされる場合は例えば、いわゆる手振れが少ない場合、被写体にピントが合っている場合、およびいわゆる白とびや黒つぶれの少ない露出である場合等である。電子シャッターモードでは、デジタルカメラ100は撮像条件を満たすと判断した後に、撮像部102によって撮像する際にスピーカ108から電子シャッター音を出力する。
【0040】
<サイレントモードの説明>
ここでサイレントモードという本実施形態のデジタルカメラ100の動作状態について説明する。サイレントモードでは、デジタルカメラ100は音の発生を抑制するように動作する。このサイレントモードは、スポーツの試合会場や美術館等の静かにすることを求められる場において撮影する場合に好適な動作状態である。サイレントモードでは、デジタルカメラ100はスピーカ108から電子音を出力しない。ユーザは操作部105を介してデジタルカメラ100を操作することでサイレントモードのオンおよびオフができる。
【0041】
さらに本実施形態において、サイレントモードではデジタルカメラ100は電子シャッターモードで動作する。これは電子シャッターモードではシャッターは開閉されないため、デジタルカメラ100は音の発生しにくい撮影が可能であるからである。一方、メカニカルシャッターモードでは、撮影した際にシャッターの開閉音が発生するため、音が発生しないようにデジタルカメラ100が撮影することは難しい。ここで、サイレントモードにおける撮像では、制御部101はスピーカ108から電子シャッター音を出力しないよう制御する。他にも、サイレントモードでは、デジタルカメラ100はフラッシュプリ発光やAF補助光等の発光処理を実行しない。これはスポーツの試合会場や美術館等の静かにすることを求められる場において、例えば競技中のスポーツ選手や美術館の絵画等に対して、フラッシュ撮影(ストロボ撮影)を禁止されることがあるからである。
【0042】
ただし、サイレントモードにおいても、デジタルカメラ100は通信部111および接続部112を介してヘッドホン等へ電子音を出力することができる。これは、デジタルカメラ100がヘッドホン等へ電子音を出力しても、その電子音はデジタルカメラ100を利用するユーザだけに伝わると考えられるため、ヘッドホンから出力された電子音が騒音となる可能性は低いからである。
【0043】
なお、本実施形態のデジタルカメラ100は、操作部105をユーザによって操作されたことによりスピーカ108から出力される音の音量が0(出力しない)に設定変更されたと判断した場合、サイレントモードに遷移してもよい。これにより、ユーザはスピーカ108から出力される音量を変更することでデジタルカメラ100をサイレントモードで動作させることができる。
【0044】
<シャッターモード、電子音の出力およびサイレントモードの設定>
シャッターモード、電子音の出力およびサイレントモードを設定する方法の一例を説明する。
図3(A)~(D)はシャッターモード、電子音の出力およびサイレントモードを設定するためのデジタルカメラ100のメニュー画面の一例である。
図4(A)、(B)はデジタルカメラ100がサイレントモードに遷移した場合におけるデジタルカメラ100のメニュー画面の一例である。ユーザから操作部105を介してメニュー画面へ遷移するための操作を受け付けたことに応じて制御部101は例えば表示部106にメニュー画面を表示する。ユーザは操作部105を操作することによってそれぞれの設定を変更できる。本実施形態では制御部101は
図3(A)に示すようにメニュー画面を表示する。項目200はシャッターモードを設定するための項目である。項目210はデジタルカメラ100がヘッドホンへ電子音を出力するか否かを設定するための項目である。項目220はデジタルカメラ100がサイレントモードで動作するか否かを設定するための項目である。本実施形態において、ある項目が選択された場合、制御部101は表示部106に他の項目を表示しないよう制御する。これによりユーザは選択された項目のオプションを選択しやすくなる。
【0045】
図3(A)において、ユーザが操作部105を介して項目200を選択した場合、
図3(B)に示すように制御部101はメカニカルシャッターモード、および電子シャッターモードのどちらか一方を選択するためのメニューを表示する。ユーザがオプション201を選択した場合、デジタルカメラ100はメカニカルシャッターモードによって撮影する設定に変更される。この場合、制御部101は電子音の設定に関わらず電子シャッター音をスピーカ108に出力しないよう制御する。これは、例えばユーザが撮影する際、撮像部102のシャッターの開閉音および電子シャッター音の両方が聞こえた場合、どちらの音のタイミングで撮影されたかがユーザにとって分からなくなる可能性があるからである。ユーザがオプション202を選択した場合、デジタルカメラ100は電子シャッターモードによって撮像する設定に変更される。この場合、サイレントモードでなければ制御部101は電子音をスピーカ108に出力するよう制御する。
【0046】
図3(A)において、ユーザが操作部105を介して項目210を選択した場合、
図3(C)に示すように制御部101は電子音を出力するか否かを選択するためのメニューを表示する。ユーザがオプション211(「オン」)を選択した場合、制御部101はサイレントモードでなければスピーカ108から電子音を出力するよう制御する。ユーザがオプション212(「シャッターのみ」)を選択した場合、制御部101はサイレントモードでなければ撮像の際にスピーカ108から電子シャッター音を出力するよう制御する。一方、制御部101はその他の電子音を出力しないよう制御する。ユーザがオプション213(「オフ」)を選択した場合、制御部101はスピーカ108および外部スピーカから電子音を出力しないよう制御する。このようにユーザは項目210のオプションを選択することで、デジタルカメラ100の電子音の出力機能を有効(オン)または無効(オフ)にすることができる。
【0047】
図3(A)において、ユーザが操作部105を介して項目220を選択した場合、
図3(D)に示すように制御部101はサイレントモードで動作するか否か(オンかオフか)を選択するためのメニューを表示する。ユーザがオプション221(「オン」)を選択した場合、デジタルカメラ100はサイレントモードで動作する。ユーザがオプション222(「オフ」)を選択した場合、デジタルカメラ100はサイレントモードを解除する。ユーザがオプション221(「オン」)を選択した場合、制御部101は電子シャッターモードで動作し、スピーカ108から電子音を出力しないよう制御する。例えば、サイレントモードがオンの場合、
図4(A)に示すように、制御部101は項目200および項目210を網掛けして表示し、シャッターモードおよび電子音に関する設定を変更できないように表示する。
【0048】
ここで、ヘッドホン等の外部スピーカが接続されている場合、デジタルカメラ100がサイレントモードで動作していても、制御部101は電子音をその外部スピーカに出力できる。本実施形態では、例えばサイレントモードであるデジタルカメラ100にヘッドホンが接続された場合、制御部101は自動的にヘッドホンへ電子音を出力するよう設定を変更する。この場合、例えば
図4(B)に示すように、
図4(A)に示す画面と異なり、制御部101は項目210を網掛けしないように表示する。ここでユーザ操作によって項目210の設定を変更された場合、制御部101はその設定に応じてヘッドホンへ電子音を出力するか否かを制御する。ただし、サイレントモードでは項目210の設定によらず、制御部101はスピーカ108から電子音を出力しない。したがって、同じ項目の設定であってもヘッドホンの接続の有無によって、制御部101の処理が自動的に切り替わる。
【0049】
このように、サイレントモードで動作するようユーザ操作を受け付けた場合、制御部101は自動的にデジタルカメラ100を電子シャッターモードで動作するよう制御し、電子音を出力しないよう制御する。しかしデジタルカメラ100にヘッドホンが接続されている場合は、制御部101は電子音をヘッドホンへ出力することができる。これにより、ユーザはデジタルカメラ100をサイレントモードで動作させながらも、電子音を聞くことが可能になる。特にデジタルカメラでは、周囲に音を出力しないサイレントモードでもヘッドホンから電子シャッター音を出力できるため、ユーザはデジタルカメラ100が撮影したタイミングを知ることができる。
【0050】
なお、本実施形態ではユーザ操作を受け付けないことを示すために、
図4(A)および
図4(B)では制御部101は当該項目を網掛けして表示したが、網掛け表示以外の表示方法を利用してもよい。例えば、制御部101はユーザ操作を受け付けない項目を表示しない。また例えば、制御部101はユーザ操作を受け付けない項目をユーザ操作によって選択された場合、「サイレントモードでは変更できません。」等の警告を表示する。また例えば、制御部101はユーザ操作を受け付けない項目をユーザ操作によって選択された場合でも、応答をユーザに返さないことで、選択された項目を変更できないことを報知する。
【0051】
これからデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との間の無線通信について説明する。ここでは一例としてユーザが無線ヘッドホン200から電子音を聞くユースケースについて説明する。このユースケースは例えば、ユーザが静かに撮影する必要がある状況にあり、デジタルカメラ100をサイレントモードで動作させているユースケースである。このユースケースでは、デジタルカメラ100はユーザに操作部105を操作されたことに応じて電子音を無線ヘッドホン200へ出力する。例えばレリーズスイッチを半押しされた場合、デジタルカメラ100はAF処理により被写体に合焦したことに応じて合焦音を無線ヘッドホン200へ出力する。そしてレリーズスイッチが全押しされた場合、デジタルカメラ100は撮像することに応じて電子シャッター音を無線ヘッドホン200へ出力する。また他にも例えばユーザに操作部105を操作されたことに応じて撮像パラメータを変更する場合、デジタルカメラ100はユーザ操作を受け付けたことを示す電子音を無線ヘッドホンへ出力する。このように本実施形態のデジタルカメラ100はユーザ操作に応じて音声データを無線ヘッドホン200へ出力できる。
【0052】
ここで、無線ヘッドホン200の音声データの出力処理について説明する。無線ヘッドホン200は音声データを受信してから出力するまでに所定の時間を必要とする。これは、音声データの誤り検出や音の出力が途切れることの防止等のために、無線ヘッドホン200が音声データを出力する前にある程度の時間バッファに音声データを記録することになることが主な理由である。このため、通常の電子シャッターモードのように、撮像条件が満たされたことに応じてデジタルカメラ100が電子シャッター音の音声データを無線ヘッドホン200に送信した場合、次のようなおそれがある。それは無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するタイミングが、デジタルカメラ100が撮像するタイミングよりも大きく遅くなるおそれである。すなわち、デジタルカメラ100が撮像したタイミングとユーザが電子シャッター音を聞いたタイミングが大きくずれたことにより、デジタルカメラ100が撮像したタイミングをユーザが誤認するおそれがある。そこで本実施形態では、レリーズスイッチが全押しされた後、撮像条件を満たすか否かの判断が完了する前にデジタルカメラ100は音声データを送信する。これにより、ユーザが電子シャッター音を聞くタイミングとデジタルカメラ100が撮像するタイミングとの時間差を低減することができる。
【0053】
<無線ヘッドホン200との無線接続処理>
まず
図5を用いてデジタルカメラ100が無線ヘッドホン200と無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例について説明する。このデジタルカメラ100の処理は、不揮発性メモリ103に記録されたソフトウェアを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。例えばこの処理は、デジタルカメラ100が無線ヘッドホンと無線接続を確立することを指示する操作を操作部105を介してユーザから受け付けたことをトリガに開始される。
【0054】
ステップS501において、制御部101は通信部111を介して無線ヘッドホンを検索する。例えばペアリング済みの無線ヘッドホンと無線接続する場合、制御部101はBluetoothによる呼び出し処理を実行する。制御部101はこの呼び出し処理において、ペアリング済みの無線ヘッドホンの識別情報等を含む呼び出しパケットを送信する。また例えばペアリング済みではない無線ヘッドホンとも無線接続する可能性がある場合、制御部101はBluetoothによる照会処理を実行する。この照会処理において、制御部101はIQパケットをブロードキャストする。
【0055】
ステップS502において、制御部101は無線ヘッドホンを検出したか否かを判断する。例えば制御部101はステップS501において送信した呼び出しパケットやIQパケットに対する応答パケットを通信部111を介して受信したか否かを判断する。制御部101が無線ヘッドホンを検出したと判断した場合処理はステップS505に進む。制御部101が無線ヘッドホンを検出していないと判断した場合、処理はステップS503に進む。
【0056】
ステップS503において、制御部101は無線ヘッドホンの検索を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する。例えば制御部101は呼び出しパケットやIQパケットを送信してから1分以上経過したか否かを判断する。無線ヘッドホンの検索を開始してから所定時間が経過したと制御部101が判断した場合、処理はステップS504へ進む。無線ヘッドホンの検索を開始してから所定時間が経過していないと制御部101が判断した場合、処理はステップS502に戻る。
【0057】
ステップS504において、制御部101は無線ヘッドホンを検出しなかったことをユーザに報知する。例えば制御部101は表示部106に「無線ヘッドホンが見つかりませんでした」等の無線ヘッドホンを検出しなかった旨を報知するメッセージを表示する。次にステップS502において制御部101が無線ヘッドホンを検出した場合(処理がステップS505に進んだ場合)について説明する。
【0058】
ステップS505において、制御部101は通信部111を介して無線ヘッドホンと無線接続を確立する。本シーケンスでは制御部101は無線ヘッドホン200と無線接続を確立する場合について説明する。例えば呼び出しパケットに対して無線ヘッドホン200から応答パケットを受信した場合、制御部101はページホッピングシーケンスからチャネルホッピングシーケンスに遷移し、無線ヘッドホン200と無線接続を確立する。また例えばIQパケットに対して無線ヘッドホン200から応答パケットを受信した場合、制御部101はペアリング処理を実行し無線ヘッドホン200と無線接続を確立する。なお、このペアリング処理は上記のセントラル装置とペリフェラル装置がペアリングする処理と同様である。本ステップの後、制御部101は無線ヘッドホン200の対応するプロファイル情報を元に使用するプロファイルを決定する。
【0059】
ステップS506において、制御部101は無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できるか否かを判断する。例えばBluetooth通信では、制御部101は無線ヘッドホン200がA2DPおよびAVRCPという2つのプロトコルに対応しているか否かを判断する。ここでA2DPはAdvanced Audio Distribution Profileの略称、およびAVRCPはAudio/Video Remote Control Profileの略称である。なお、制御部101は上述のSDPを利用することで無線ヘッドホン200が対応しているプロファイルの情報を無線ヘッドホン200から取得できる。無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できると制御部101が判断した場合、処理はステップS507へ進む。無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できないと制御部101が判断した場合、処理はステップS508へ進む。
【0060】
ここで無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できるか否かを判断する理由について説明する。上述のように、無線ヘッドホン200は音声データを受信してから出力するまでにはある程度の時間を必要とする。一方、無線ヘッドホン200は制御データを受信した場合、その制御データによって指示された制御をすぐに実行する。その理由は、制御データによる指示には例えば音声データの出力の開始指示、その停止指示および出力音量の調整指示等の、即時性を求められる指示が含まれるからである。本実施形態ではデジタルカメラ100は制御データを利用して、デジタルカメラ100が撮像するタイミングと無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するタイミングとの時間差を低減する。
【0061】
ステップS507において、制御部101は通信部111を介して無線ヘッドホン200との通信処理を開始する。例えばBluetoothに従った無線通信では、制御部101はA2DPおよびAVRCPの2つのプロトコルに従って通信する。そして制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、処理はステップS508に進む。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合は、例えば操作部105を介して無線ヘッドホン200との無線接続を切断するようユーザ操作された場合や制御部101が無線ヘッドホン200から所定時間パケットを受信しない場合等がある。
【0062】
ステップS508において、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続を切断し、本シーケンスの処理を終了する。次にステップS506において、制御部101が無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できないと判断した場合について説明する。
【0063】
ステップS509において、制御部101は無線接続している無線ヘッドホン200を利用できないことを報知し、処理を終了する。例えば制御部101は「この無線ヘッドホンとは通信できません」等、無線ヘッドホン200を利用できないことを報知するメッセージを表示部106に表示する。またこの場合、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続を切断する。
【0064】
以上、本実施形態におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200の無線接続処理について説明した。次に、
図5のステップS507におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との通信の一例について説明する。本実施形態ではこの通信の一例として、無線ヘッドホン200と無線接続を確立しているデジタルカメラ100が撮像する際に、電子シャッター音を無線ヘッドホン200に送信する処理を例に挙げて説明する。
【0065】
<無線ヘッドホン200を利用した撮像処理>
図6を用いてデジタルカメラ100が撮像処理において電子シャッター音を無線ヘッドホン200に送信する処理の一例について説明する。このデジタルカメラ100の処理は、不揮発性メモリ103に記録されたソフトウェアを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。例えばこの処理は、
図5のステップS507の処理が実行されたことをトリガに開始される。
【0066】
ステップS601において、制御部101は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。例えばBluetooth通信では、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを送信する。また例えばBluetooth通信では、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200の出力音量が0になるようにVOLUMEコマンドを送信する。これにより、無線ヘッドホン200は音声データを受信しても、その音声データを出力しない状態になる。この処理の理由については後述する。
【0067】
ステップS602において、制御部101は無線ヘッドホン200と無線接続を維持するための処理を実行する。例えばBluetooth通信では、制御部101はA2DPに従って、通信部111を介して無音を示す音声データを送信する。本ステップの処理は、制御部101が所定時間音声データを送信しない状態等の無線ヘッドホン200とデータの送受信をしない状態において、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との無線接続を切断されることを防ぐための処理である。
【0068】
この処理を制御部101が実行する理由は、無線ヘッドホンの一般的な機能として、無線接続している対向機器と所定時間通信が実行されない場合、無線ヘッドホンが自動的に対向機器との無線接続を切断する機能があるからである。例えば、ユーザは撮影している間、写真の構図を決めることやシャッターチャンスを待ち構えること等でデジタルカメラ100を操作しない期間がある。その期間ではデジタルカメラ100は無線ヘッドホン200へ音声データを出力する必要がない。ここでデジタルカメラ100が無線ヘッドホン200へデータを送信しないまま所定時間経過した場合、無線ヘッドホン200は所定時間通信が実行されなかったとしてデジタルカメラ100との無線接続を切断してしまう。そのため、本実施形態のデジタルカメラ100は撮像処理の間、無線ヘッドホン200との無線接続を維持するための処理を実行する。なお、この所定時間は一般的に数分間程度の時間である。本実施形態では例えばこの所定時間を3分間であるとする。
【0069】
ステップS603において、制御部101はユーザから撮像を指示されたか否かを判断する。例えば、制御部101はSW2がオンになったか否かを判断する。ユーザから撮像を指示されたと制御部101が判断した場合、処理はステップS604に進む。ユーザから撮像を指示されていないと制御部101が判断した場合、処理はステップS611に進む。
【0070】
ステップS604において、制御部101は撮像条件が満たされたか否かを判断する処理を開始する。
【0071】
ステップS605において、制御部101は電子シャッター音を無線ヘッドホン200へ送信する。例えばBluetooth通信では、制御部101はA2DPに従って、通信部111を介して電子シャッター音の音声データを送信する。上述のように無線ヘッドホン200は音声データを受信してから出力するまでにある程度の時間を必要とするため、本ステップにおいてこの電子シャッター音はまだ出力されない。また仮に無線ヘッドホン200が音声データを受信してから十分な時間が経過した場合でも、ステップS601において無線ヘッドホン200は音を出力しない状態にあるため、電子シャッター音は無線ヘッドホン200から出力されない。なお本ステップと並行して制御部101は撮像条件が満たされたか否かを判断する処理を実行している。
【0072】
ステップS606にて、制御部101は撮像条件が満たされているか否かの判断が完了したか否かを判断する。撮像条件が満たされる場合は例えば上述したように、被写体にピントが合っている場合や、いわゆる白とびや黒つぶれの少ない露出である場合等である。本ステップにおいても、制御部101は撮像条件が満たされたか否かを判断する処理を実行している。撮像条件が満たされたか否かの判断が完了したと制御部101が判断した場合、処理はステップS608へ進む。撮像条件が満たされたか否かの判断が完了していないと制御部101が判断した場合、処理はステップS607へ進む。
【0073】
ステップS607において、制御部101は電子シャッター音を送信してから所定時間経過したか否かを判断する。電子シャッター音を送信してから所定時間経過していないと制御部101が判断した場合、処理はステップS606に戻り、制御部101は撮像条件が満たされたか否かを判断する処理を継続する。電子シャッター音を送信してから所定時間経過したと制御部101が判断した場合、処理はステップS605に戻り、制御部101は電子シャッター音を再度送信する。これは制御部101が電子シャッター音を送信してから所定時間以上経過した場合、無線ヘッドホン200がその電子シャッター音の出力処理を完了している可能性が高いからである。
【0074】
ここで、制御部101が電子シャッター音を送信してから所定時間以上経過した場合、ステップS601の処理が特に効果を奏する。この場合、ステップS605およびステップS606の処理の時点ではデジタルカメラ100は撮像条件が満たされたか否かの判断が完了しておらず、撮像もしていない。この状態において無線ヘッドホン200が電子音を出力できる状態にある場合、無線ヘッドホン200は電子シャッター音を出力してしまうため、ユーザは撮像処理が完了したと勘違いするおそれがある。そのため、この状態において、無線ヘッドホン200はまだ電子シャッター音を出力しないことが望ましい。しかし無線ヘッドホン200が電子音を出力できる状態にある場合、デジタルカメラ100の撮像条件が満たされたか否かにかかわらず、無線ヘッドホン200は音声データを受信してから所定の時間後には電子シャッター音を出力してしまう。デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200は互いに独立した装置であるため、デジタルカメラ100が電子シャッター音を送信した後に自身の処理の状態に応じて無線ヘッドホン200の電子シャッター音を出力するタイミングを制御することは難しい。そこでステップS601の処理において、デジタルカメラ100があらかじめ無線ヘッドホン200から音を出力しないように通信部111を介して制御する。これにより、撮像条件が満たされる前にデジタルカメラ100が電子シャッター音を送信していても、無線ヘッドホン200が不適当なタイミングで電子シャッター音を出力する可能性を低減できる。
【0075】
ステップS608において、制御部101は撮像条件が満たされたか否かを判断する。撮像条件が満たされたと制御部101が判断した場合、処理はステップS609へ進む。撮像条件が満たされていないと制御部101が判断した場合、処理はステップS612へ進む。
【0076】
ステップS609において、制御部101は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。例えばBluetooth通信では、ステップS601においてMUTEコマンドを送信した場合、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを取り消すコマンドを送信する。また例えばBluetooth通信では、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200の出力音量が0より大きい任意の音量になるようにVOLUMEコマンドを送信する。本ステップの処理により無線ヘッドホン200は電子音を出力できる状態になる。
【0077】
ステップS610において、制御部101は撮像部102によって撮像する。
【0078】
ステップS611において、制御部101は所定時間待機する。本ステップの処理は、無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するまで制御部101が待機することを目的としている。そのため、ステップS610の処理が完了した時点で、無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力していることが確実であると判断できる場合、制御部101は本ステップの処理を実行しなくともよい。
【0079】
ステップS612において、制御部101は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。本ステップの処理は、
図6のステップS601の処理と同様である。
【0080】
ステップS613において、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続を切断するか否かを判断する。例えば制御部101はユーザが操作部105によって無線ヘッドホン200との無線接続を切断する操作をしたか否かを判断する。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、本シーケンスの処理を終了する。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断しない場合、処理はステップS602に戻る。
【0081】
以上、デジタルカメラ100の無線ヘッドホン200を利用した撮像処理の一例について説明した。これにより、デジタルカメラ100は撮像したタイミングと無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するタイミングとの時間差を低減することができる。
【0082】
なお、ステップS602において、無線ヘッドホン200との無線接続が切断されないことが確実であると判断できる場合、制御部101はステップS602の処理を実行しなくともよい。例えば10秒前に電子音を無線ヘッドホン200へ出力していた場合、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続が切断されないことが確実であると判断できる。なぜなら上述のように、本実施形態における無線ヘッドホン200が自動的に対向機器との無線接続を切断する時間は3分間であり、10秒間は3分間よりも十分短いからである。
【0083】
なお、撮像条件が満たされているか否かを制御部101が判断している間(ステップS604からステップS608にかけての処理)において、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続を維持するための処理を実行する必要はない。なぜなら一般的に、撮像条件が満たされているか否かを制御部101が判断する時間はどんなに長くとも1分もかからない。そのため、上記理由と同じように、ステップS604からステップS608の間の処理において、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続が切断されないことが確実であると判断できる。なお、撮像条件が満たされているか否かを判断している間(ステップS604からステップS608にかけての処理)において、制御部101は並行して撮像部102を制御してもよい。例えばステップS603においてユーザに撮影指示された時点で被写体に合焦していないと制御部101が判断できる場合、撮像条件が満たされているか否かを判断する処理と並行して制御部101は被写体へのAF処理を実行する。このAF処理により制御部101は撮像条件が満たされていない状態である被写体に合焦していない状態を解消できる可能性がある。そしてAF処理により被写体に合焦することで撮像条件が満たされていない状態が解消された場合、制御部101はステップS610において撮像処理を実行できる。このように、撮像条件が満たされているか否かを判断している間も、撮像条件が満たされていない状態を解消する処理を実行することで、制御部101はユーザの撮像指示を実行できないおそれを低減する。なお、このAF処理を実行している間、制御部101は撮像条件が満たされているか否かを判断している状態であると判断する。
【0084】
<無線ヘッドホン200との一連の無線通信>
図7を用いてデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との間での無線通信処理のシーケンスの一例を説明する。
図7に示すシーケンスは、
図5および
図6のフローチャートを用いて説明したデジタルカメラ100の処理の一例に対応する。なお、
図7のシーケンスは
図6のステップS608において撮像条件が満たされた場合に対応する。
【0085】
ステップS701において、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200に接続要求する。例えばBluetooth通信ではデジタルカメラ100は呼び出しパケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図5のステップS501の処理に相当する。
【0086】
ステップS702において、無線ヘッドホン200はデジタルカメラ100からの接続要求に対して応答する。例えばBluetooth通信では無線ヘッドホン200はデジタルカメラ100から受信した呼び出しパケットに対する応答パケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図5のステップS502の処理に相当する。
【0087】
ステップS703において、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200は無線接続を確立する。例えばBluetooth通信では、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200はこの無線接続を確立する。なおBluetooth通信では、本ステップ以降、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200は所定のプロトコルに従って通信する。所定のプロトコルは例えばA2DPおよびAVRCPの2つのプロトコルである。本ステップの処理は例えば
図5のステップS505およびステップS506の処理に相当する。
【0088】
ステップS704において、デジタルカメラ100は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。例えばBluetooth通信では、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを送信する。本ステップの処理は例えば
図6のステップS601の処理に相当する。
【0089】
ステップS705において、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200との無線接続を維持するための処理を実行する。例えばデジタルカメラ100は無音を示す音声データを送信する。デジタルカメラ100はユーザから撮像指示があるまで本ステップの処理を繰り返す。本ステップの処理は例えば
図6のステップS602の処理に相当する。
【0090】
ステップS706において、ユーザはデジタルカメラ100に撮像を指示する。例えばユーザは操作部105のレリーズスイッチを全押しする。本ステップの処理は例えば
図6のステップS603の処理に相当する。
【0091】
ステップS707において、デジタルカメラ100は電子シャッター音の音声データを無線ヘッドホン200へ送信する。本ステップの処理は例えば
図6のステップS605の処理に相当する。
【0092】
ステップS708においてデジタルカメラ100は撮像条件が満たされているか否かの判断を完了する。本ステップの処理は例えば
図6のステップS608の処理に相当する。
【0093】
ステップS709においてデジタルカメラ100は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。例えばBluetooth通信では、ステップS704においてMUTEコマンドを送信した場合、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを取り消すコマンドを送信する。無線ヘッドホン200はデジタルカメラ100から制御されることにより、本ステップ以降、音声データを出力することが可能になる。本ステップの処理は例えば
図6のステップS609の処理に相当する。
【0094】
ステップS710において、デジタルカメラ100は撮像する。本ステップの処理は例えば
図6のステップS611の処理に相当する。
【0095】
ステップS711において、無線ヘッドホン200は電子シャッター音を出力する。なお、ステップS707の処理から本ステップS711の処理までの時間は、無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力する時間以下であるとする。ここでステップS710の処理およびステップS711の処理は並行して実行される。
【0096】
ステップS712において、デジタルカメラ100は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。本ステップの処理はステップS704の処理と同様である。また本ステップの処理は例えば
図6のステップS612の処理に相当する。
【0097】
ステップS713において、デジタルカメラは無線ヘッドホン200との無線接続を切断し、本シーケンスの処理を終了する。本ステップの処理は例えば
図5のステップS508の処理に相当する。
【0098】
以上、本実施形態における、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との通信の一連の処理の一例を説明した。
【0099】
ここで
図8を用いて無線ヘッドホン200が音声を出力する処理の一例を説明する。
図8は無線ヘッドホン200がデジタルカメラ100から受信したパケットと無線ヘッドホン200の動作のタイミングの関係の一例を示す図である。ここでは無線ヘッドホン200がデジタルカメラ100と無線接続を確立してから電子シャッター音を出力するまでの一連の処理について説明する。
【0100】
時刻T801において、無線ヘッドホン200はデジタルカメラ100から音を出力しないよう指示する制御データを受信する。例えばBluetooth通信では、無線ヘッドホン200はMUTEコマンドを受信する。時刻T801の処理は例えば
図7のステップS704の処理に相当する。
【0101】
時刻T802において、無線ヘッドホン200は時刻T801において受信した制御データの指示を実行する。本時刻から無線ヘッドホン200は、音声データを出力しない状態になる。ここで無線ヘッドホン200が制御データを受信してから実行するまでの時間(時刻T801から時刻T802までの時間)を時間Xとする。
【0102】
時刻T803において、無線ヘッドホン200は無音を示す音声データ(音声データA)を受信する。無線ヘッドホン200はこの音声データAをバッファに記録する。時刻T803の処理は例えば
図7のステップS705の処理に相当する。
【0103】
時刻T804において、無線ヘッドホン200は音声データAの出力処理を開始する。ただし、時刻T802おいて無線ヘッドホン200が音声データを出力しない状態になっているため、実際に音声データAは出力されない。また、音声データAは無音を示す音声データであるため、仮にユーザ操作等の理由によって無線ヘッドホン200が音声データを出力できる状態になっていても、無線ヘッドホン200から音は出力されない。ここで無線ヘッドホン200が音声データを受信してから実行するまでの時間(時刻T803から時刻T804までの時間)を時間Yとする。
【0104】
時刻T805において、無線ヘッドホン200は電子シャッター音の音声データ(音声データB)を受信する。時刻T805の処理は例えば
図7のステップS707の処理に相当する。
【0105】
時刻T806において、無線ヘッドホン200は音を出力するよう指示する制御データを受信する。例えばBluetooth通信では、時刻T801においてMUTEコマンドを受信した場合、無線ヘッドホン200はMUTEコマンドを取り消す制御データを送信する。時刻T806の処理は例えば
図7のステップS710の処理に相当する。
【0106】
時刻T807において、無線ヘッドホン200は時刻T806において受信した制御データの指示を実行する。本時刻から無線ヘッドホン200は、音声データを出力できる状態になる。なお、本実施形態の無線ヘッドホン200は音声データを出力しない状態において時間Yが経過した音声データをバッファから削除する。
【0107】
時刻T808において、無線ヘッドホン200は電子シャッター音の音声データを出力する。時刻T806の処理は例えば
図7のステップS712の処理に相当する。なお、時刻T808に近い時刻において、デジタルカメラ100は撮像処理を実行している。
【0108】
以上、無線ヘッドホン200が音声を出力する処理の一例について説明した。
図8に示すように時間Xは時間Yよりも短いため、デジタルカメラ100は制御データを利用することで無線ヘッドホン200によってタイミングよく電子シャッター音を出力することができる。
【0109】
なお本実施形態では、Bluetooth通信においてA2DPおよびAVRCPの2つのプロファイルを利用する例について説明した。Bluetooth通信では、その2つのプロファイル以外にも、HSP(HeadSet Profile)またはHFP(Hands―Free Profile)を利用してもよい。この場合、制御データはHSPまたはHFPに規定されているATコマンドを用いる。
【0110】
なお、本実施形態ではユーザがデジタルカメラ100に撮像を指示する前に、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200を音を出力しないように制御した。ほかの方法として、ユーザがデジタルカメラ100に撮像を指示した後に、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200を音を出力しないように制御してもよい。この場合、ユーザはレリーズスイッチを全押しする前では、被写体に合焦したことを示す音や操作音等を聞くことができる。
【0111】
また、本実施形態のデジタルカメラ100の動作は、動画撮影よりも静止画撮影にとって好ましいものである。動画撮影では、任意の期間の動画を撮影できるため、ユーザはある程度の余裕をもって撮影を開始できる。一方、静止画撮影ではいわゆるシャッターチャンスが一瞬であるケースもあり、ユーザは撮像するタイミングをより大事にすると考えられる。本実施形態に示す手法を静止画撮影に用いることで、デジタルカメラ100は静止画を撮像するタイミングを無線ヘッドホンを利用していてもより正確に報知することができる。なお、動画撮影では、撮影を開始したことを一刻も早くユーザに報知するために、デジタルカメラ100は動画の撮影を開始したことに応じて動画撮影を開始したことを示す電子音の音声データを無線ヘッドホンへ送信する。
【0112】
[第二の実施形態]
第二の実施形態ではデジタルカメラ100は無線ヘッドホンの遅延に応じて電子シャッター音の音声データを送信するタイミングを変更する。一般的に、無線ヘッドホンにはその性能等に応じて、音声データを受信してから出力するまでの時間が短いものや長いものがある。音声データを受信してから出力するまでの時間が短い無線ヘッドホンであれば、撮像条件が満たされた後に電子シャッター音を受信しても、デジタルカメラ100が撮像するタイミングと大きくずれて電子シャッター音を再生する可能性は低い。一方、音声データを受信してから出力するまでの時間が長いヘッドホンであれば、撮像条件が満たされる前に電子シャッター音を受信しなければ、デジタルカメラ100が撮像するタイミングと大きくずれて電子シャッター音を再生する可能性が高い。そこで本実施形態ではデジタルカメラ100は、無線ヘッドホンが音声データを受信してから出力するまでの時間に応じて、電子シャッター音を送信するタイミングを変更する。なお、本実施形態で用いるデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200の構成は第一の実施形態と同様である。
【0113】
無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間の測定方法の一例について説明する。デジタルカメラ100は通信部111を介して測定用の音声データを無線ヘッドホン200に送信する。このデジタルカメラ100が音声データを送信したタイミングを時刻T1とする。そしてデジタルカメラ100はマイク107を介して、無線ヘッドホン200から出力された測定用の音声データを収音する。このデジタルカメラ100が測定用の音声データを収音したタイミングを時刻T2とする。そしてデジタルカメラ100は時刻T2と時刻T1の差分やマイク107で収音した音の処理時間等を用いて計算することで、無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間を測定できる。ほかにも、デジタルカメラ100は例えばインターネットに存在するスペックシート等の無線ヘッドホン200の性能の情報から計算してもよい。
【0114】
<無線ヘッドホン200との無線接続処理>
図9を用いてデジタルカメラ100が無線ヘッドホン200と無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例について説明する。このデジタルカメラ100の処理は、不揮発性メモリ103に記録されたソフトウェアを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。例えばこの処理は、デジタルカメラ100が無線ヘッドホンと無線接続を確立することを指示する操作を操作部105を介してユーザから受け付けたことをトリガに開始される。
【0115】
ステップS901からステップS905の処理はそれぞれ
図5のステップS501からステップS505の処理とそれぞれ同様であるため説明を省略する。
【0116】
ステップS906において、制御部101は無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できるか否かを判断する。例えばBluetooth通信では、制御部101は無線ヘッドホン200がA2DPおよびAVRCPという2つのプロトコルに対応しているか否かを判断する。無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できると制御部101が判断した場合、処理はステップS907へ進む。無線ヘッドホン200が音声データおよび制御データを受信できないと制御部101が判断した場合、処理はステップS911へ進む。
【0117】
ステップS907において、制御部101は無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間が長いか否かを判断する。なお、本実施形態では、無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間が不明である場合、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間が長いものとして判断する。無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間が長いと制御部101が判断した場合、処理はステップS908に進む。無線ヘッドホン200が音声データを受信してから出力するまでの時間が短いと判断した場合、処理はステップS909に進む。
【0118】
ステップS908において、制御部101は音声データを受信してから出力するまでの時間が長い無線ヘッドホンと通信する場合における通信処理を開始する。本通信処理は第一の実施形態において
図6を用いて説明したシーケンスと同様である。そして制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、処理はステップS910に進む。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合は、例えば操作部105を介して無線ヘッドホン200との無線接続を切断するようユーザ操作された場合や制御部101が無線ヘッドホン200から所定時間パケットを受信しない場合等がある。
【0119】
ステップS909において、制御部101は音声データを受信してから出力するまでの時間が短い無線ヘッドホンと通信する場合における通信処理を開始する。本通信処理について、
図10を用いて後述する。そして制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、処理はステップS910に進む。
【0120】
ステップS910およびステップS911の処理はそれぞれ
図5のステップS508およびステップS509の処理と同様であるため説明を省略する。
【0121】
以上、本実施形態におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200の無線接続処理について説明した。次に、
図9のステップS909におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との通信の一例について説明する。なお、
図9のステップS908におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との通信の一例については、
図6を用いて説明した処理と同様であるため説明を省略する。
【0122】
<音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200を利用した撮像処理>
図10を用いてデジタルカメラ100が撮像処理において音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200に電子シャッター音を出力する処理の一例について説明する。このデジタルカメラ100の処理は、不揮発性メモリ103に記録されたソフトウェアを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。例えばこの処理は、
図9のステップS907の処理が実行されたことをトリガに開始される。
【0123】
ステップS1000において、制御部101は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。例えばBluetooth通信では、ステップS601においてMUTEコマンドを送信した場合、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを取り消すコマンドを送信する。また例えばBluetooth通信では、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200の出力音量が0より大きい任意の音量になるようにVOLUMEコマンドを送信する。
【0124】
ステップS1001において、制御部101は無線ヘッドホン200と無線接続を維持するための処理を実行する。例えばBluetooth通信では、制御部101はA2DPに従って、通信部111を介して無音を示す音声データを送信する。また、被写体に合焦した場合や、ユーザが操作部105を操作した場合等では、制御部101は無音を示す音声データではなく、操作音をしめす音声データを送信する。ほかにも本ステップの処理は、無線ヘッドホン200との無線接続を切断されることを防ぐための処理であればよい。なお、無線ヘッドホン200との無線接続が切断されないことが確実であると判断できる場合、制御部101は本ステップの処理を実行しなくともよい。
【0125】
ステップS1002において、制御部101はユーザから撮像を指示されたか否かを判断する。例えば、制御部101はSW2がオンになったか否かを判断する。ユーザから撮像を指示されたと制御部101が判断した場合、処理はステップS1003に進む。ユーザから撮像を指示されていないと制御部101が判断した場合、処理はステップS1006に進む。
【0126】
ステップS1003において、制御部101は撮像条件が満たされているか否かを判断する。撮像条件が満たされる場合は例えば第一の実施形態に記載したように、被写体にピントが合っている場合や、いわゆる白とびや黒つぶれの少ない露出である場合等である。撮像条件が満たされたと制御部101が判断した場合、処理はステップS1004へ進む。撮像条件が満たされたか否かの判断が完了していないと制御部101が判断した場合、処理はステップS1006へ進む。
【0127】
ステップS1004において、制御部101は電子シャッター音を無線ヘッドホン200へ送信する。例えばBluetooth通信では、制御部101はA2DPに従って、通信部111を介して電子シャッター音の音声データを送信する。
【0128】
ステップS1005において、制御部101は撮像部102によって撮像する。
【0129】
ステップS1006において、制御部101は無線ヘッドホン200との無線接続を切断するか否かを判断する。例えば制御部101はユーザが操作部105によって無線ヘッドホン200との無線接続を切断する操作をしたか否かを判断する。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、本シーケンスの処理を終了する。制御部101が無線ヘッドホン200との無線接続を切断しない場合、処理はステップS1001に戻る。
【0130】
以上、デジタルカメラ100の音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200を利用した撮像処理の一例について説明した。デジタルカメラ100に音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200と無線接続する場合、ユーザは電子シャッター音以外の電子音も無線ヘッドホン200から聞くことができる。
【0131】
なお、ステップS1000において、無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御することができない場合、制御部101は例えば表示部106を用いてその旨を報知してもよい。これにより、ユーザは無線ヘッドホン200から電子シャッター音を聞くことができない状態であることを知ることができる。
【0132】
<音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200との一連の無線通信>
図11を用いてデジタルカメラ100と音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200との間での無線通信処理のシーケンスの一例を説明する。
図11に示すシーケンスは、
図9および
図10のフローチャートを用いて説明したデジタルカメラ100の処理の一例に対応する。なお、
図11のシーケンスは
図10のステップS1003において撮像条件が満たされた場合に対応する。
【0133】
ステップS1101からステップS1103の処理は
図7のステップS701からステップS703の処理と同様であるため説明を省略する。
【0134】
ステップS1104において、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。例えばBluetooth通信では、ステップS704においてMUTEコマンドを送信した場合、制御部101はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを取り消すコマンドを送信する。無線ヘッドホン200はデジタルカメラ100から制御されることにより、本ステップ以降、音声データを出力することが可能になる。本ステップの処理は例えば
図10のステップS1000の処理に相当する。
【0135】
ステップS1105において、デジタルカメラ100は無線ヘッドホン200との無線接続を維持するための処理を実行する。例えばデジタルカメラ100は無音を示す音声データを送信する。また例えば被写体に合焦した場合や、ユーザが操作部105を操作した場合等では、制御部101は無音を示す音声データではなく、操作音をしめす音声データを送信する。デジタルカメラ100はユーザから撮像指示があるまで本ステップの処理を繰り返す。
【0136】
ステップS1106において、ユーザはデジタルカメラ100に撮像を指示する。例えばユーザは操作部105のレリーズスイッチを全押しする。本ステップの処理は例えば
図10のステップS1002の処理に相当する。
【0137】
ステップS1107において、デジタルカメラ100は撮像条件が満たされているか否かを判断する。本ステップの処理は例えば
図10のステップS1003の処理に相当する。
【0138】
ステップS1108において、デジタルカメラ100は電子シャッター音の音声データを無線ヘッドホン200へ送信する。本ステップの処理は例えば
図10のステップS1004の処理に相当する。
【0139】
ステップS1109において、デジタルカメラ100は撮像する。本ステップの処理は例えば
図10のステップS1005の処理に相当する。
【0140】
ステップS1110において、無線ヘッドホン200は電子シャッター音を出力する。ここでステップS1109の処理およびステップS1110の処理は並行して実行される。
【0141】
ステップS1111の処理は
図7のステップS714の処理と同様であるため説明を省略する。
【0142】
以上、本実施形態における、デジタルカメラ100と音を出力するまでの時間が短い無線ヘッドホン200との通信の一連の処理の一例を説明した。
【0143】
[第三の実施形態]
第三の実施形態ではデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200が直接無線通信を行うのではなく、スマートフォン300がデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200のそれぞれと個別に無線通信を行う構成をとる。
【0144】
図12は、第三の実施形態におけるデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200とスマートフォン300からなるシステム構成図の一例である。
【0145】
スマートフォン300は無線ヘッドホン200とBluetoothの規格に従って無線接続することができる。このBluetoothの規格に従った無線接続において、同期通信では音声データや楽曲データなどを無線ヘッドホン200へ送信することができる。またBluetoothの規格に従った無線接続において、非同期通信ではボリュームコントロールや出力指示等の制御データを無線ヘッドホン200へ送信することができる。これによりユーザは無線ヘッドホン200をスマートフォン300に無線接続することで、スマートフォン300から電子音や楽曲等を無線ヘッドホン200を介して聞くことができる。
【0146】
<スマートフォン300の構成>
図13(A)は本実施形態の通信装置の一例であるスマートフォン300の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは通信装置の一例としてスマートフォンについて述べるが、通信装置はこれに限られない。例えば通信装置はパーソナルコンピュータ、スマートウォッチ、タブレット端末等である。このように本実施形態の通信装置は上述したデバイスのように、ヘッドホン等の外部のスピーカと接続できる装置である。
【0147】
制御部301は、後述のプログラムに従ってスマートフォン300の各部を制御する。
【0148】
不揮発性メモリ303は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリであり、制御部301で実行される後述のプログラム等が格納される。また、不揮発性メモリ303には、音声データが記録されている。この音声データはデジタルカメラ100から撮像が行われたことを通知するための情報を受信した場合に出力する電子シャッター音等の電子音のデータである。
【0149】
作業用メモリ304は、制御部301の作業領域等として使用される。
【0150】
操作部305は、スマートフォン300に対する指示をユーザから受け付けるためのユーザインタフェース(UI)である。操作部305は、例えばスマートフォン300の電源のオン/オフを指示するための電源スイッチ等を含むことができる。また、表示部306に形成されるタッチパネルも操作部305に含めることができる。
【0151】
表示部306は、対話的な操作のための文字表示などを行う。
【0152】
スピーカ308は、電子音を出力することができる電気音響変換器である。電子音は例えば、楽曲、警告音、合焦音、電子シャッター音、および操作音等である。本実施形態において、制御部301は不揮発性メモリ303に記録されている音声データを音声信号に変換し、その音声信号をスピーカ308によって出力することができる。
【0153】
電源部309は制御部301に制御されることでスマートフォン300の各要素に電力を供給することができる。電源部309は例えば、リチウムイオン電池やアルカリマンガン乾電池等の電源である。
【0154】
第一の通信部311は、外部機器と無線接続するためのインターフェースである。本実施形態のスマートフォン300は、第一の通信部311を介して、外部機器とデータのやりとりを行うことができる。例えば、不揮発性メモリ303に記録している音声データを、第一の通信部311を介して外部機器に送信することができる。外部機器は、例えばイヤホンやヘッドホン等の外部スピーカである。なお、本実施形態では、第一の通信部311は外部機器とBluetoothの規格に従って通信するためのインターフェースを含む。制御部301は、第一の通信部311を制御することで外部機器との無線通信を実現する。なお、通信方式はBluetoothに限定されるものではなく、例えばIEEE802.11の規格に従ったいわゆる無線LANおよび赤外線通信等の無線通信方式を含む。
【0155】
第二の通信部313は、第一の通信部311と同等の機能を有する無線通信用インターフェースである。
【0156】
本実施形態では、スマートフォン300は、第一の通信部311と第二の通信部313との2つの無線通信用インターフェースを備えることにより、同時に2台の機器と無線通信を実行することができる。ここで、本実施形態では、スマートフォン300は、デジタルカメラ100とは第一の通信部311を介して通信し、無線ヘッドホン200とは第二の通信部313を介して通信する。
【0157】
接続部312は、外部機器と有線接続するためのインターフェースである。本実施形態のスマートフォン300は、接続部312を介して、外部機器とデータのやりとりを行うことができる。スマートフォン300は接続部312を介してイヤホンやヘッドホン等の外部スピーカ、外部マイク、およびスマートフォンやPC等の情報機器と有線接続することができる。
【0158】
次に、スマートフォン300の外観について説明する。
図13(B)はスマートフォン300の正面の外観図の一例を示す図である。操作ボタン105a、タッチパネル305bは、前述の操作部105に含まれる操作部材である。
【0159】
以上、スマートフォン300の構成の一例について説明した。
【0160】
これからデジタルカメラ100とスマートフォン300との間の無線通信、および、無線ヘッドホン200とスマートフォン300との間の無線通信について説明する。ここではユースケースの一例としてユーザがデジタルカメラ100で撮像を行い、デジタルカメラ100は撮像したことをスマートフォン300に通知する。その通知を受けたスマートフォン300は無線ヘッドホン200に対して、電子シャッター音等の電子音データを送信する。ユーザは無線ヘッドホン200から電子シャッター音等を聞くことができる。
【0161】
第三の実施形態ではデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200が直接無線通信するのではなく、スマートフォン300が、デジタルカメラ100と無線ヘッドホン200との無線通信を仲介する。
【0162】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との無線接続処理>
図14を用いてスマートフォン300がデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200と無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理の一例について説明する。
【0163】
ステップS1401において、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100を検索する。検索処理の詳細はステップS501と同等なので省略する。
【0164】
ステップS1402において、制御部301はデジタルカメラ100を検出したか否かを判断する。制御部301がデジタルカメラ100を検出したと判断した場合、処理はステップS1405に進む。制御部301がデジタルカメラ100を検出していないと判断した場合、処理はステップS1403に進む。
【0165】
ステップS1403において、制御部301はデジタルカメラ100の検索を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する。デジタルカメラ100の検索を開始してから所定時間が経過したと制御部301が判断した場合、処理はステップS1404へ進む。デジタルカメラ100の検索を開始してから所定時間が経過していないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1402に戻る。
【0166】
ステップS1404において、制御部301はデジタルカメラ100を検出しなかったことをユーザに報知する。次にステップS1402において制御部301がデジタルカメラ100を検出した場合について説明する。
【0167】
ステップS1405において、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100と無線接続を確立する。
【0168】
ステップS1406において、制御部301はデジタルカメラ100が撮像処理に関する通知データを送信できるか否かを判断する。例えば、撮像処理に関する通知データは、ユーザによって撮像開始の指示がされたこと、撮像を実行すること、または撮像の実行しないこと等を通知するデータである。デジタルカメラ100が撮像処理に関する通知データを送信できると制御部301が判断した場合、処理はステップS1408へ進む。デジタルカメラ100が撮像処理に関する通知データを送信できないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1407へ進む。
【0169】
ステップS1407において、制御部301は無線接続しているデジタルカメラ100を利用できないことを報知し、処理を終了する。例えば、制御部301は、表示部306に、デジタルカメラ100を利用できない旨のメッセージを表示する。この場合、制御部301はデジタルカメラ100との無線接続を切断する。
【0170】
ステップS1408~ステップS1414はスマートフォン300と無線ヘッドホン200との間の無線接続に関する処理である。これらの処理は、それぞれ第一の実施形態の
図5のステップS501~ステップS506およびステップS509の処理と同等の処理のため説明の詳細を省略する。スマートフォン300がデジタルカメラ100と同等の処理を無線ヘッドホン200に対して行うことになる。また、スマートフォン300は無線ヘッドホン200との無線通信には第二の通信部313を用いる。
【0171】
ステップS1415において、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100と通信処理を開始し、第二の通信部313を介して無線ヘッドホン200と通信処理を開始する。処理の詳細に関しては
図15を用いて後述する。そして制御部301がデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、処理はステップS1416に進む。
【0172】
ステップS1416において、制御部301はデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との無線接続を切断し、本シーケンスの処理を終了する。
【0173】
以上、本実施形態におけるスマートフォン300とデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200の無線接続処理について説明した。
【0174】
次に、
図14のステップS1415におけるスマートフォン300とデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との通信の一例について説明する。本実施形態ではこの通信の一例として、スマートフォン300が、デジタルカメラ100が撮像する際に、撮像処理に関する通知データをデジタルカメラ100から受信して、電子シャッター音を無線ヘッドホン200に送信する処理を例に挙げて説明する。
【0175】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200を利用した音声データ送信処理>
図15を用いてデジタルカメラ100の撮像処理において、スマートフォン300が電子シャッター音を無線ヘッドホン200に送信する処理の一例について説明する。
【0176】
ステップS1501において、制御部301は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。例えばBluetooth通信では、制御部301はAVRCPに従って、通信部111を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを送信する。これにより、無線ヘッドホン200は音声データを受信しても、その音声データを出力しない状態になる。
【0177】
ステップS1502において、制御部301は無線ヘッドホン200と無線接続を維持するための処理を実行する。例えばBluetooth通信では、制御部301はA2DPに従って、第二の通信部313を介して無音を示す音声データを送信する。本ステップの処理は、スマートフォン300と無線ヘッドホン200との無線接続を切断されることを防ぐための処理である。
【0178】
ステップS1503において、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100から撮像開始の指示がされた旨の通知パケットを受信したか否かを判断する。撮像開始の指示がされた旨の通知パケットを受信したと制御部301が判断した場合、処理はステップS1504に進む。撮像開始の指示がされた旨の通知パケットを受信していないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1510に進む。
【0179】
ステップS1504において、制御部301は電子シャッター音を無線ヘッドホン200へ送信する。例えばBluetooth通信では、制御部301はA2DPに従って、第二の通信部313を介して電子シャッター音の音声データを送信する。上述のように無線ヘッドホン200は音声データを受信してから出力するまでにある程度の時間を必要とするため、本ステップにおいてこの電子シャッター音はまだ出力されない。
【0180】
ステップS1505にて、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100から撮像を実行する旨の通知パケットを受信したか否かの判断をする。デジタルカメラ100から撮像を実行する旨の通知パケットを受信したと制御部301が判断した場合、処理はステップS1507へ進む。デジタルカメラ100から撮像を実行する旨の通知パケットを受信していないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1506へ進む。
【0181】
ステップS1506において、制御部301は第一の通信部311を介してデジタルカメラ100から撮像を実行しない旨の通知パケットを受信したか否かの判断をする。デジタルカメラ100から撮像を実行しない旨の通知パケットを受信したと制御部301が判断した場合、処理はステップS1510へ進む。デジタルカメラ100から撮像を実行しない旨の通知パケットを受信していないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1511へ進む。
【0182】
ステップS1511において、制御部301は電子シャッター音を送信してから所定時間経過したか否かを判断する。電子シャッター音を送信してから所定時間経過していないと制御部301が判断した場合、処理はステップS1505に戻り、制御部301はデジタルカメラ100から撮像を実行する旨の通知パケットを受信したか否かを判断する処理を継続する。電子シャッター音を送信してから所定時間経過したと制御部301が判断した場合、処理はステップS1510へ進む。この場合、制御部301はデジタルカメラ100の撮像処理において、撮像は完了しなかったと判断する。
【0183】
ステップS1507において、制御部301は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。例えばBluetooth通信では、ステップS1501においてMUTEコマンドを送信した場合、制御部301はAVRCPに従って、第二の通信部313を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを取り消すコマンドを送信する。本ステップの処理により無線ヘッドホン200は電子音を出力できる状態になる。
【0184】
ステップS1508において、制御部301は所定時間待機する。本ステップの処理は、無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するまで制御部301が待機することを目的としている。
【0185】
ステップS1509において、制御部301は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。ここで、ステップS1509の処理が実行されたときには、無線ヘッドホン200は電子シャッター音を出力し終えているものとする。
【0186】
ステップS1510において、制御部301は無線ヘッドホン200との無線接続を切断するか否かを判断する。例えば制御部301はユーザが操作部305によって無線ヘッドホン200との無線接続を切断する操作をしたか否かを判断する。制御部301が無線ヘッドホン200との無線接続を切断する場合、本シーケンスの処理を終了する。制御部301が無線ヘッドホン200との無線接続を切断しない場合、処理はステップS1502に戻る。
【0187】
以上、スマートフォン300を介してデジタルカメラ100と無線ヘッドホン200を利用した撮像処理の一例について説明した。これにより、スマートフォン300は、デジタルカメラ100が撮像したタイミングと無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するタイミングとの時間差を低減することができる。
【0188】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との一連の無線通信>
図16を用いてデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200とスマートフォン300の間での無線通信処理のシーケンスの一例を説明する。
図16に示すシーケンスは、
図14および
図15のフローチャートを用いて説明したスマートフォン300の処理の一例に対応する。
【0189】
ステップS1601において、スマートフォン300はデジタルカメラ100に接続要求する。例えばBluetooth通信ではスマートフォン300は呼び出しパケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1401の処理に相当する。
【0190】
ステップS1602において、デジタルカメラ100はスマートフォン300からの接続要求に対して応答する。例えばBluetooth通信ではデジタルカメラ100はスマートフォン300から受信した呼び出しパケットに対する応答パケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1402の処理に相当する。
【0191】
ステップS1603において、スマートフォン300とデジタルカメラ100は無線接続を確立する。例えばBluetooth通信では、スマートフォン300とデジタルカメラ100はこの無線接続を確立する。なおBluetooth通信では、本ステップ以降、スマートフォン300とデジタルカメラ100は所定のプロトコルに従って通信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1405およびステップS1406の処理に相当する。
【0192】
ステップS1604において、スマートフォン300はデジタルカメラ100との無線接続を維持するための処理を実行する。
【0193】
ステップS1605において、スマートフォン300は無線ヘッドホン200に接続要求する。例えばBluetooth通信ではスマートフォン300は呼び出しパケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1408の処理に相当する。
【0194】
ステップS1606において、無線ヘッドホン200はスマートフォン300からの接続要求に対して応答する。例えばBluetooth通信では無線ヘッドホン200はスマートフォン300から受信した呼び出しパケットに対する応答パケットを送信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1409の処理に相当する。
【0195】
ステップS1607において、スマートフォン300と無線ヘッドホン200は無線接続を確立する。例えばBluetooth通信では、スマートフォン300と無線ヘッドホン200はこの無線接続を確立する。なおBluetooth通信では、本ステップ以降、スマートフォン300と無線ヘッドホン200は所定のプロトコルに従って通信する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1412およびステップS1413の処理に相当する。
【0196】
ステップS1608において、スマートフォン300は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。例えばBluetooth通信では、制御部301はAVRCPに従って、第二の通信部313を介して無線ヘッドホン200へMUTEコマンドを送信する。本ステップの処理は例えば
図15のステップS1501の処理に相当する。
【0197】
ステップS1609において、スマートフォン300は無線ヘッドホン200との無線接続を維持するための処理を実行する。
【0198】
ステップS1610において、ユーザはデジタルカメラ100に撮像開始を指示する。例えばユーザは操作部105のレリーズスイッチを全押しする。
【0199】
ステップS1611において、デジタルカメラ100はユーザから撮像開始の指示がされた旨の通知パケットをスマートフォン300へ送信する。本ステップの処理は例えば
図15のステップS1503の処理に相当する。
【0200】
ステップS1612において、スマートフォン300は電子シャッター音の音声データを無線ヘッドホン200へ送信する。本ステップの処理は例えば
図15のステップS1504の処理に相当する。
【0201】
ステップS1613において、デジタルカメラ100は撮像条件が満たされているか否かの判断を完了する。
【0202】
ステップS1614において、デジタルカメラ100は撮像を行う旨の通知パケットをスマートフォン300へ送信する。本ステップの処理は例えば
図15のステップS1505の処理に相当する。
【0203】
ステップS1615において、デジタルカメラ100は撮像する。
【0204】
ステップS1616においてスマートフォン300は無線ヘッドホン200を音が出力できるように制御する。無線ヘッドホン200はスマートフォン300から制御されることにより、本ステップ以降、音声データを出力することが可能になる。本ステップの処理は例えば
図15のステップS1507の処理に相当する。
【0205】
ステップS1617において、無線ヘッドホン200は電子シャッター音を出力する。
【0206】
ステップS1618において、スマートフォン300は音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御する。本ステップの処理はステップS1608の処理と同様である。また本ステップの処理は例えば
図15のステップS1509の処理に相当する。
【0207】
ステップS1619において、スマートフォン300は無線ヘッドホン200との無線接続を切断する。
【0208】
ステップS1620において、スマートフォン300はデジタルカメラ100との無線接続を切断し、本シーケンスの処理を終了する。本ステップの処理は例えば
図14のステップS1416の処理に相当する。
【0209】
以上、本実施形態における、スマートフォン300とデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との通信の一連の処理の一例を説明した。
【0210】
[第四の実施形態]
第四の実施形態では第三の実施形態に対してユーザの撮像指示の方法が異なる。第四の実施形態では、ユーザはスマートフォン300の操作部305を用いてデジタルカメラ100に撮像を指示する。
【0211】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との無線接続処理>
スマートフォン300がデジタルカメラ100および無線ヘッドホン200と無線接続を確立してから切断するまでの一連の処理は
図14と同等のため説明を省略する。
【0212】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200を利用した音声データ送信処理>
デジタルカメラ100の撮像処理において、スマートフォン300が電子シャッター音を無線ヘッドホン200に送信する処理の一例について、
図17を用いて
図15と異なる処理の箇所を中心に説明する。
【0213】
図17のステップS1701およびステップS1702の処理は、それぞれ
図15のステップS1501およびステップS1502の処理と同等の処理のため説明を省略する。
【0214】
ステップS1703において、制御部301は操作部305からデジタルカメラ100への撮像指示が入力されたか否かを判定する。操作部305からデジタルカメラ100への撮像指示が入力されたと制御部301が判定すると、ステップS1712へ進む。操作部305からデジタルカメラ100への撮像指示が入力されていないと制御部301が判定すると、ステップS1509へ進む。
【0215】
図17のステップS1704~ステップS1711は、それぞれ
図15のステップS1504~ステップS1511の処理と同等の処理のため説明を省略する。
【0216】
ステップS1712において、制御部301は撮像の指示があった旨の通知パケットを第一の通信部311を介してデジタルカメラ100へ送信する。
【0217】
<デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200との一連の無線通信>
デジタルカメラ100および無線ヘッドホン200とスマートフォン300の間での無線通信処理のシーケンスの一例について
図18を用いて
図16と異なる処理の箇所を中心に説明する。
【0218】
図18のステップS1801~ステップS1809は
図16のステップS1601~ステップS160の処理と同等の処理のため説明を省略する。
【0219】
ステップS1810において、ユーザはスマートフォン300にデジタルカメラ100による撮像開始を指示する。例えばユーザは、表示部306に表示された、デジタルカメラ100に撮像開始を指示するアイテムを、操作部305のタッチパネルを押下することによって選択する。
【0220】
ステップS1811において、スマートフォン300は操作部305から撮像の指示をユーザから入力されたことを元に、撮像の指示があった旨の通知パケットを第一の通信部311を介してデジタルカメラ100へ送信する。
【0221】
図18のステップS1812~ステップS1820の処理は、
図16のステップS1612~ステップS1620の処理と同等の処理のため説明を省略する。
【0222】
これにより、スマートフォン300は、デジタルカメラ100が撮像したタイミングと無線ヘッドホン200が電子シャッター音を出力するタイミングとの時間差を低減することができる。
【0223】
なお、本実施形態では通常状態では音を出力しないように無線ヘッドホン200を制御しておき、デジタルカメラ100の撮像が実行できると判断されたときのみ、電子シャッター音を出力できるように制御している。他方、逆に、通常状態では音を出力するように無線ヘッドホン200を制御しておき、デジタルカメラ100の撮像が実行できないと判断されたときのみ、電子シャッター音を出力できないように制御してもよい。
【0224】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0225】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。