(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、サーバ装置、プログラム、又は方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241105BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20241105BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20241105BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F21/64
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2020138456
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】海本 裕衣
(72)【発明者】
【氏名】武井 優介
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太郎
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123236(JP,A)
【文献】特開2001-283004(JP,A)
【文献】特開2017-174429(JP,A)
【文献】特開2008-198032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得部と、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶部と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1対象は、同一の賃借額で特定される同種の
不特定物を示す、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であり、
前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記関連付記憶部は、前記第1関係者と、所定の数の前記第1対象を利用する権限に係る情報を用いて、
前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記関連付記憶部は、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いる、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記関連付記憶部は、
前記第1対象を利用する権限に係る情報と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であり、
前記第1対象を交換する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1対象を所有する権限に係る情報は、一のセキュリティトークン内に記憶されている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記一のセキュリティトークンは、前記第1対象についての所有権者を示す情報を、複数記憶可能である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記一のセキュリティトークンは、前記第1対象を利用している一の利用権者を示す情報を記憶可能である、
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1対象を利用する権限に係る情報は、前記第1対象を利用する権限を行使可能な有効期限と関連付けられて、セキュリティトークン内に記憶可能である、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1対象を交換する権限に係る情報が、前記第1対象を利用する権限に係る情報と交換で発行される場合、前記第1対象を利用する権限に係る情報は、無効にされる、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1対象を利用する権限に係る情報は、前記第1対象の所有権者に係る情報に基づき、発行される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1対象を所有する権限に係る情報が、前記第1対象を利用する権限に係る情報と交換で発行される場合、前記第1対象を利用する権限に係る情報は、無効にされる、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記関連付記憶部は、前記第1対象に関連して出資した一の出資権者を示す情報と、前記第1対象についての前記一の出資権者の出資量に係る情報と、を関連付けて一のセキュリティトークンに記憶可能である、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記関連付記億部は、前記一の出資権者に係る配当条件が充足された場合に、
前記一の出資権者を示す情報と、前記第1対象を利用する権限を示す情報と、を関連付けて一のセキュリティトークンに記憶可能である、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記関連付記憶部は、前記出資の対象である前記第1対象を所有する匿名組合を特定する情報を、前記一のセキュリティトークンに記憶可能である、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1対象を交換する権限に係る情報は、前記第1対象を交換する権限を行使可能な有効期限と関連付けられて、セキュリティトークン内に記憶可能である、
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1対象は、車両が賃借される場合の同一の賃借料となる特定の車種を示す、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限を示す情報と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限を示す情報と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象を所有する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象を利用する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象を交換する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
請求項1乃至23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
システムが、
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得ステップと、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶ステップと、
を実行する方法。
【請求項26】
前記システムは、メモリを備える、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
システムを、
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得手段、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項28】
前記システムは、メモリを備える、
請求項27に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願において開示された技術は、情報処理システム、情報処理装置、サーバ装置、プログラム、又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メーカが製造販売した物を所有することに代えて、かかる物を一時的に利用するサービス形態の一時的な消費型に、ユーザの消費傾向が移行しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-227513号公報
【文献】特開2003-76891号公報
【文献】特開2008-198032号公報
【文献】特開2003-242032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、車両の貸し出しに関する技術に係る。特許文献2は、販売に関するリスク解消の技術に係る。特許文献3は、利用権のトークンの技術に係る。特許文献4は、利用権の流通に係る。しかしながら、利用権と所有権等の関係を適切に支援することが望まれる。そこで、本発明の様々な実施形態は、上記の課題を解決するために、情報処理システム、情報処理装置、サーバ装置、プログラム、又は方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明に係る第1実施形態のシステムは、
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得部と、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶部と、
を備えるシステム。ここで、「利用する権限に係る情報」は、後述する利用権限情報を含んでよく、「第1対象を利用する権限に係る情報」は、第1対象を含む又は示す情報と関連付けられた利用権限情報を含んでもよいし、第1対象を含む又は示す情報を含む利用権限情報を含んでもよい。同様に、「所有する権限に係る情報」は、後述する所有権限情報を含んでよく、「第1対象を所有する権限に係る情報」は、第1対象を含む又は示す情報と関連付けられた所有権限情報を含んでもよいし、第1対象を含む又は示す情報を含む所有権限情報を含んでもよい。また、「前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて」とは直接又は間接的に「前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と」を使用すればよく、例えば、後述の通り、交換する権限に係る情報を、介してもよいし、介さなくてもよい。また、第1対象は、物理的な存在として唯一存在する物でもよいし、量産されうる物でもよいし、特定の種類のものでもよい。なお、関連付記憶部は、上述及び以下で述べる各情報について、関連付けて記憶可能であってもよいし、関連付けて記憶してもよい。
【0006】
本願発明に係る第2実施形態のシステムは、
前記第1対象は、同一の賃借額で特定される同種のものを示す、
第1実施形態のシステム。ここで、同一の賃借額とは、第1対象が賃借される場合において、第1対象が賃借される業種において同一の賃借額とされるような種類であってよい。後述のとおり、例えば、レンタカーであれば同一のレンタル料金となるような種類であってよいが、かかる例に限られない。
【0007】
本願発明に係る第3実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であり、
前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
第1又は第2のいずれか一の実施形態のシステム。ここで、同様に、「交換する権限に係る情報」は、後述する交換権限情報を含んでよく、「第1対象を交換する権限に係る情報」は、第1対象を含む又は示す情報と関連付けられた交換権限情報を含んでもよいし、第1対象を含む又は示す情報を含む交換権限情報を含んでもよい。また、
前記関連付記憶部は、
第2関係者と、第2対象を利用する権限に係る情報と、を用いて、前記第2関係者と、前記第2対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であってよい。ここで、第2関係者は、第1関係者と同じであってもよいし異なってもよい。また、第2対象は、第1対象と同じであってもよいし、異なってもよい。
また、前記関連付記憶部は、
第3関係者と、第3対象を交換する権限に係る情報と、を用いて、
前記第3関係者と、前記第3対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であってよい。ここで、第3関係者は、第1及び/又は第2関係者と同じであってもよいし異なってもよい。また、第3対象は、第1及び/又は第2対象と同じであってもよいし、異なってもよい。また、第2関係者と、第2対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶する処理と、第3関係者と、第3対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶する処理を行う場合、その順序はどちらでもよい。
【0008】
本願発明に係る第4実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、前記第1関係者と、所定の数の前記第1対象を利用する権限に係る情報を用いて、
前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第3のいずれか一の実施形態のシステム。
【0009】
本願発明に係る第5実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いる、
第1乃至第4のいずれか一の実施形態のシステム。
【0010】
本願発明に係る第6実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1対象を利用する権限に係る情報と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能であり、
前記第1対象を交換する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を交換する、前記第1関係者の意思表示を示す情報を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を交換する権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第5のいずれか一の実施形態のシステム。
【0011】
本願発明に係る第7実施形態のシステムは、
前記第1対象を所有する権限に係る情報は、一のセキュリティトークン内に記憶されている、
第1乃至第6のいずれか一の実施形態のシステム。
【0012】
本願発明に係る第8実施形態のシステムは、
前記一のセキュリティトークンは、前記第1対象についての所有権者を示す情報を、複数記憶可能である、
第1乃至第7のいずれか一の実施形態のシステム。
【0013】
本願発明に係る第9実施形態のシステムは、
前記一のセキュリティトークンは、前記第1対象を利用している一の利用権者を示す情報を記憶可能である、
第1乃至第8のいずれか一の実施形態のシステム。
【0014】
本願発明に係る第10実施形態のシステムは、
前記第1対象を利用する権限に係る情報は、前記第1対象を利用する権限を行使可能な有効期限と関連付けられて、セキュリティトークン内に記憶可能である、
第1乃至第9のいずれか一の実施形態のシステム。
【0015】
本願発明に係る第11実施形態のシステムは、
前記第1対象を交換する権限に係る情報が、前記第1対象を利用する権限に係る情報と交換で発行される場合、前記第1対象を利用する権限に係る情報は、無効にされる、
第1乃至第10のいずれか一の実施形態のシステム。
【0016】
本願発明に係る第12実施形態のシステムは、
前記第1対象を利用する権限に係る情報は、前記第1対象の所有権者に係る情報に基づき、発行される、
第1乃至第11のいずれか一の実施形態のシステム。
【0017】
本願発明に係る第13実施形態のシステムは、
前記第1対象を所有する権限に係る情報が、前記第1対象を利用する権限に係る情報と交換で発行される場合、前記第1対象を利用する権限に係る情報は、無効にされる、
第1乃至第12のいずれか一の実施形態のシステム。
【0018】
本願発明に係る第14実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、前記第1対象に関連して出資した一の出資権者を示す情報と、前記第1対象についての前記一の出資権者の出資量に係る情報と、を関連付けて一のセキュリティトークンに記憶可能である、
第1乃至第13のいずれか一の実施形態のシステム。
【0019】
本願発明に係る第15実施形態のシステムは、
前記関連付記億部は、前記一の出資権者に係る配当条件が充足された場合に、
前記一の出資権者を示す情報と、前記第1対象を利用する権限を示す情報と、を関連付けて 一のセキュリティトークンに記憶可能である、
第1乃至第14のいずれか一の実施形態のシステム。
【0020】
本願発明に係る第16実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、前記出資の対象である前記第1対象を所有する匿名組合を特定する情報を、前記一のセキュリティトークンに記憶可能である、
第1乃至第15のいずれか一の実施形態のシステム。
【0021】
本願発明に係る第17実施形態のシステムは、
前記第1対象を交換する権限に係る情報は、前記第1対象を交換する権限を行使可能な有効期限と関連付けられて、セキュリティトークン内に記憶可能である、
第1乃至第16のいずれか一の実施形態のシステム。
【0022】
本願発明に係る第18実施形態のシステムは、
前記第1対象は、車両が賃借される場合の同一の賃借料となる特定の車種を示す、
第1乃至第17のいずれか一の実施形態のシステム。
【0023】
本願発明に係る第19実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限を示す情報と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第18のいずれか一の実施形態のシステム。ここで、「出資することで得た権限に係る情報」は、後述する出資権限情報を含んでよく、「第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報」は、第1対象を含む又は示す情報と関連付けられた出資権限情報を含んでもよいし、第1対象を含む又は示す情報を含む出資権限情報を含んでもよい。
【0024】
本願発明に係る第20実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、を用いて、前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限を示す情報と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第19のいずれか一の実施形態のシステム。
【0025】
本願発明に係る第21実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて記憶された前記第1対象を所有する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第20のいずれか一の実施形態のシステム。
【0026】
本願発明に係る第22実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象を利用する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第21のいずれか一の実施形態のシステム。
【0027】
本願発明に係る第23実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象を交換する権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第22のいずれか一の実施形態のシステム。
【0028】
本願発明に係る第24実施形態のシステムは、
前記関連付記憶部は、
前記第1関係者と関連付けられて前記記憶された前記第1対象に関連して出資することで得た権限に係る情報と、価値物と、を用いて、前記第1関係者と、前記価値物と、を関連付けて記憶可能である、
第1乃至第23のいずれか一の実施形態のシステム。
【0029】
本願発明に係る第25実施形態の方法は、
システムが、
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得ステップと、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶ステップと、
を実行する方法。
【0030】
本願発明に係る第26実施形態の方法は、
前記システムは、メモリを備える、
第25の実施形態の方法。
【0031】
本願発明に係る第27実施形態のプログラムは、
システムを、
第1関係者と関連付けられて記憶された第1対象を利用する権限に係る情報を取得する取得手段、
前記第1関係者と、前記第1対象を利用する権限に係る情報と、に基づいて、前記第1関係者と、前記第1対象を所有する権限に係る情報と、を関連付けて記憶可能な、関連付記憶手段、
として機能させるためのプログラム。
【0032】
本願発明に係る第28実施形態のプログラムは、
前記システムは、メモリを備える、
第27の実施形態のプログラム。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一実施形態により、利用と所有の関係を適切に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る一のシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る一のシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るシステムの機能を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るシステムのデータ構造を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るシステムのデータ構造を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るシステムのデータ構造を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るシステムのデータ構造を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【
図15】
図15は、一実施形態に係るシステムのフローを示す図である。
【0035】
1.情報処理装置10の各構成
本願発明に係るシステムは、情報処理装置を用いたものである。一例のシステムは、一又は複数の情報処理装置を用いてよい。複数の情報処理装置は、同一の団体が所有又は利用する情報処理装置であってもよいし、異なる複数の団体が所有又は利用する異なる場所に設置された情報処理装置であってもよい。また、情報処理装置は、中央集権的なものでもよいし、分散処理を可能とするものでもよい。複数の情報処理装置の場合、端末装置、サーバ、クラウド、などの種々のコンピューティングシステムが混在しているものであってもよい。また、情報処理装置は、汎用的な情報処理装置であってもよいし、専用的な情報処理装置であってもよい。情報処理装置は、例えば、ワークステーション、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タワー型、ラップトップ型、などの種々の情報処理装置であってよい。端末装置は、携帯可能な端末装置であってよく、例えば、スマートフォン、PDA、携帯電話、ウェアラブルコンピュータ、などの種々の情報処理装置であってよい。なお、本願書類において、システムという用語は、単一の情報処理装置であってもよいし、又は、複数の情報処理装置から構成されるものであってよい。
【0036】
ここでは、一例としての情報処理装置が備える基本的機能を含む装置を説明するが、本願発明に係るシステムに利用される情報処理装置は、以下で説明する情報処理装置にとどまらず、その一部の機能が強化されたり、一部の機能が省略されるなど、種々の態様の情報処理装置が利用されてよい。また、システムが複数の情報処理装置から構成される場合において、各情報処理装置は同じ機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0037】
情報処理装置10は、
図1のように、演算装置と記憶装置を備えてよい。かかる演算装置と記憶装置は、バスによって接続されてよい。また、情報処理装置は、外部と通信を可能とする通信装置を備えてよい。通信装置は、ネットワークと接続可能であってよい。また、情報処理装置10は、入力装置、表示装置を備えてよい。
【0038】
バスは、装置間で情報を伝達する機能を有する。バスは、演算装置、記憶装置、入力装置、表示装置、及び通信装置の間の情報を伝達する機能を有してよい。
【0039】
記憶装置は、情報を記録する機能を有する装置である。記憶装置は、外部メモリと内部メモリのいずれでもよく、主記憶装置と補助記憶装置のいずれでもよい。また、磁気ディスク(ハードディスク)、光ディスク、磁気テープ、半導体メモリなどでもよい。また、情報処理装置は、ネットワークを介した記憶装置、又は、ネットワークを介したクラウド上の記憶装置を有してもよい。
【0040】
演算装置は、演算機能を有する。演算装置の例としては、例えばプロセッサが挙げられる。これは、CPUであってもよいし、MPUであってもよい。また、グラフィックスプロセッシングユニット、デジタルシグナルプロセッサなどを有してもよい。演算装置は、プログラムの命令を実行できる機能を有する装置であってよい。
【0041】
なお、演算装置に物理的に近い位置で情報を記憶する、レジスタ、L1キャッシュ、L2キャッシュなどは、
図1のブロック図においては、演算装置内に含まれる場合もあるが、計算機アーキテクチャのデザインにおいて、情報を記録する装置としては、記憶装置がこれらを含んでもよい。要するに、演算装置、記憶装置及びバスが協調して、情報処理を実行できるよう構成されていればよい。
【0042】
記憶装置は、本願発明に関連する命令を実行するプログラムを備えることができる。また、本願発明に関連する命令を実行する際に必要なデータを、適宜記録することもできる。また、記憶装置は、データベースを含んでもよい。
【0043】
また、上記は、演算装置が、記憶装置に備えられたプログラムに基づいて実行される場合を記載したが、上記のバス、演算装置と記憶装置が組み合わされた形式の一つとして、本件システムに係る情報処理を、ハードウェア回路自体を変更することができるプログラマブルロジックデバイス又は実行する情報処理が決まっている専用回路で実現されてもよい。
【0044】
入力装置は、情報を入力するものであるが、他の機能を有してもよい。入力装置としては、キーボード、マウス、タッチパネル、又はペン型の指示装置などの入力装置が挙げられる。
【0045】
表示装置は、情報を表示する機能を有する。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられるが、要するに、情報を表示できる装置であればよい。また、表示装置は、タッチパネルのように入力装置を一部に備えてもよい。
【0046】
ネットワークは、通信装置と共に、情報を伝達する機能を有する。すなわち、情報処理装置の有する情報を、ネットワークを介して他の情報処理装置(図示しない)に伝達する、及び/又は、他の情報処理装置の有する情報を、ネットワークを介して取得できるようにする機能を有する。通信装置は、どのような接続形式でもよく、USB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、PCI、SCSIなどでもよい。ネットワークは、有線と無線のいずれでもよく、光ファイバ、同軸ケーブルなどを用いてもよい。
【0047】
2.一実施形態のシステムの概要
次に、上述の情報処理装置を用いた一例のシステムを、
図2を用いて説明する。一例のシステムは、管理システム010を含んでよい。管理システム010は、対象について管理可能なように管理者端末011と接続可能であってよい。本図において、管理システム010は、直接、管理者端末011と接続されているが、ネットワーク000などを介して、接続されてもよい。また、管理システムも、システムの一例であり、上述のとおり一又は複数の情報処理装置から構成されてよく、その一部又は全部がサーバ装置であったり、その一部又は全部がクラウドであったりしてよい。管理システムは、本願書類の以下で定義される関係者A乃至Cが扱う関係者端末01、02、03、と接続可能であってよい。ここで、関係者端末として3つの例を示しているが、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。なお、管理システムは、以下で定義される管理対象毎を区別可能なIDを用いて、区別して、管理してよい。例えば、管理対象AについてのID01と、管理対象BについてのID02があった場合において、管理対象Aについての関係者A乃至Cと、管理対象Bについての関係者B乃至Dなどがあってよい。ここで、管理対象Aと管理対象Bについて、関係者BとCが重複しているが、かかる重複があってもよいし、なくてもよい。
【0048】
3.一実施形態に係るシステムの機能
次に、一実施形態に係るシステムにおける機能について、
図3を参照して説明する。
図3は、一実施形態に係るシステムに係る機能の具体例を示すブロック図である。一実施形態に係るシステムは、以下で説明する全ての機能を有してもよいし、その一部の機能を有してもよい。
【0049】
また、以下では、分かりやすさの観点で、機能を分けて説明したが、その実装上、各機能がその単位毎に個別に実装されている必要性はなく、複数の機能が一の実装単位によって実装されてもよいし、一の機能が複数の実装単位で実装されてもよいし、複数の機能がその単位とは異なる単位で複数の実装単位で実装されてもよい。例えば、一実施形態に係るシステムを構成する複数の情報処理装置が、以下の複数の機能を有する場合において、一の情報処理装置が一又は複数の機能を排他的に有してもよいし、一の情報処理装置が一又は複数の機能の各一部を有してもよい。
【0050】
3.1.権限管理部31
権限管理部は、後述の権限発行部が発行する種々の情報を記憶して、管理する機能を有する。
【0051】
権限管理部は、所有する権限に係る情報(本願書類において、「所有権限情報」ということもある)を記憶して、管理してよい。また、一実施形態に係るシステム内で、対象を所有する権限を有している者を、「所有権者」ということがある。
【0052】
同様に、権限管理部は、利用する権限に係る情報(本願書類において、「利用権限情報」ということもある)を記憶して、管理してよい。また、一実施形態に係るシステム内で、対象を利用する権限を有している者を、「利用権者」ということがある。
【0053】
同様に、権限管理部は、交換する権限に係る情報(本願書類において、「交換権限情報」ということもある)を記憶して、管理してよい。また、一実施形態に係るシステム内で、対象の所有権の取得を要求可能な権限を有している者を、「交換権者」ということがある。
【0054】
同様に、権限管理部は、出資により配当を得る権限に係る情報(本願書類において、「出資権限情報」ということもある)を記憶して、管理してよい。また、一実施形態に係るシステム内で、対象について出資して配当を得る権限を有している者を、「出資権者」ということがある。なお、本願書類における出資権者は、配当を得る権利を有する点において、出資権者と称されるものであり、出資を行う権利を有する者の意味ではない。
【0055】
なお、本願書類において、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、出資権限情報、の上位概念として、「権限情報」ということがある。また、所有権者、利用権者、交換権者、出資権者などの、対象との関係を有する者を、上位概念として、「関係者」、ということがある。更に、権限情報の対象であるものを、「管理対象」ということがある。管理対象は、種々のものであってよい。管理対象は、有体物であってもよいし、無体物であってもよい。また、管理対象は、動産であってもよいし、不動産であってもよい。また、動産は特定された特定物としての動産であってもよいし、不特定物であってもよい。
【0056】
所有権限情報は、所有権限情報に係るID、所有する権限を示す情報、一又は複数の所有権者を示す情報、及び/又は、所有の対象である管理対象を示す情報、と関連付けられて、権限管理部において、記憶され、管理されてよい。例えば、所有権限情報は、所有権限情報に係るID、所有する権限を示す情報、一又は複数の所有権者を示す情報、及び/又は、所有の対象である管理対象を示す情報、を含んでよい。また、所有権限情報は、管理対象に係る情報を含むなど、管理対象に係る情報と関連付けられてよい。管理対象に係る情報は、例えば、管理対象が車両であれば、管理対象の車両のメーカ、管理対象の車両の製造時期、管理対象の車両の付属のオプション、管理対象についての事故や修理に係る情報、及び/又は、管理対象の次の車検の時期、などであってよい。所有権限情報が、管理対象に係る情報と関連付けられていることにより、容易に、管理対象についての情報にアクセスできる利点がある。
【0057】
同様に、利用権限情報は、利用権限情報に係るID、利用する権限を示す情報、一の利用権者を示す情報、利用する権限が有効な有効期限、利用権限情報を発行する者を示す情報、及び/又は、利用の対象である管理対象を示す情報、と関連付けられて、権限管理部において、記憶され、管理されてよい。例えば、利用権限情報は、利用権限情報に係るID、利用する権限を示す情報、一の利用権者を示す情報、利用権限情報を発行する者を示す情報、及び/又は、利用の対象である管理対象を示す情報、を含んでよい。なお、ここで利用権限を発行する者を示す情報は、実質的に、利用権限を付与するものであってよく、権限の発行を許可する者であってもよい。
【0058】
同様に、交換権限情報は、交換権限情報に係るID、交換する権限を示す情報、一の交換権者を示す情報、交換する権限が有効な有効期限、交換権限情報を発行する者を示す情報、及び/又は、交換の対象である管理対象を示す情報、と関連付けられて、権限管理部において、記憶され、管理されてよい。例えば、交換権限情報は、交換権限情報に係るID、交換する権限を示す情報、一の交換権者を示す情報、交換する権限が有効な有効期限、及び/又は、交換の対象である管理対象を示す情報、を含んでよい。
【0059】
同様に、出資権限情報は、出資権限情報に係るID、出資して配当を得る権限を示す情報、一の出資権者を示す情報、出資量に係る情報、及び/又は、出資の対象を示す情報、と関連付けられて、権限管理部において、記憶され、管理されてよい。例えば、出資権限情報は、出資権限情報に係るID、出資して配当を得る権限を示す情報、一の出資権者を示す情報、出資量に係る情報、及び/又は、出資の対象を示す情報、を含んでよい。ここで、出資の対象を示す情報は、特定の者や特定の団体であってもよいし、特定の者又は団体が有する管理対象であってもよい。特定の者や団体とあるとおり、出資の対象は特定できれば一又は複数であってよい。例えば、特定の法人、社団、組合(匿名組合など)、などの管理対象を保有する主体であってもよいし、管理対象自体であってもよいし、その両方であってもよい。例えば、出資権者が、匿名組合を構成し、かかる匿名組合が保有する特定の一又は複数の管理対象が、出資の対象であってもよい。この場合、かかる出資の対象を示す情報は、かかる匿名組合を特定する情報を含むのみでもよいし、かかる匿名組合を特定する情報及びかかる匿名組合が有する特定の資産を特定する情報を含んでもよい。また、出資量に係る情報は、出資額であってもよいし、出資率であってもよい。
【0060】
権限管理部は、権限情報を、各々、種々のデータ形式によって、記憶し、管理してよい。また、権限管理部は、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、出資権限情報、の一部又は全部は、同一のデータ構造であってもよいし、異なるデータ構造であってもよい。
【0061】
例えば、権限管理部は、所定のデータ構造を用いて、各権限情報を、記憶し、管理してよい。例えば、データ構造は、トークン形式であって良い。トークンは、セキュリティトークンでなくてもよいし、トークンがセキュリティトークンであってもよい。トークンが、セキュリティで保護されている場合、改ざん防止機能を有する。特に、改ざん防止機能を有するトークンが権限に係る情報を記憶する場合、かかる権限に係る情報の保持について、信頼性が向上し、権限という価値の高い情報を安全に記憶できる利点がある。トークンとしては、例えば、ブロックチェーンの、セキュリティトークンが使用されてよい。すなわち、この場合、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、出資権限情報は、各々、セキュリティトークンであってもよいし、セキュリティトークンを含んでもよい。なお、このように、セキュリティトークンを用いた各権限情報を、各々、所有権トークン、利用権トークン、交換権トークン、出資権トークン、ということもある。この場合、改ざんを防止しつつ、透明化を図ることができ、関係者の信頼を向上できる利点がある。なお、本願書類において、ブロックチェーンは、イーサリウムであってもよい。
【0062】
権限管理部は、所有権限情報を、例えば、
図4のように記憶してよい。所有権限情報は、セキュリティトークンを区別可能な権限ID、権限種類を示す所有権、関係者として特定の車両を所有する一又は複数の所有権者、管理対象として特定の車両を示す情報、かかる特定の車両についての車両に係る情報、を含んでよい。このように、物理的な現実の一の管理対象に対して、一のセキュリティトークンとしての所有権限情報が、関連付けられてよく、かかる物理的な一の管理対象についての情報を安全に記憶できる利点がある。なお、一又は複数の所有権者は、例えば、ブロックチェーンのセキュリティトークンを使用する場合は、MultiSigを用いて複数の所有権者の管理を実現してよい。他方、一又は複数の所有権者は、例えば、ブロックチェーンにおいて、セキュリティトークンではないトークンを利用する場合、ERC721を利用してよい。また、所有権限情報は、かかる特定の車両が賃借中である場合に限り、すなわち、賃借の開始から賃借終了まで、賃借人として前記特定の車両を賃借した利用権者と、賃借開始時の賃借終了予定時間と、を含んでよい。この場合、一の特定の車両についてのセキュリティトークンにアクセスすることで、現在の車両の賃貸している者を特定できる利点がある。また、車両に係る情報は、上述のとおり、特定の車両についての情報を含むことで、車両に関する情報をアクセスできる利点がある。なお、権限IDは、権限種類毎に設定されてもよいし、権限種類の区別なくセキュリティトークンとしてのIDで設定されてもよい。
【0063】
また、権限管理部は、利用権限情報を、
図5のように記憶してよい。利用権限情報は、セキュリティトークンを区別可能な権限ID、権限種類を示す利用権、関係者として利用権を有する利用権者、管理対象として車両の種類を示す情報、利用権を利用可能な期限である有効期限、利用権を発行した特定の所有権者、その他、を含んでよい。このように、特定の種類の管理対象に対して、一のセキュリティトークンとしての利用権限情報が、関連付けられてよく、かかる一の特定の種類の管理対象についての情報を安全に記憶できる利点がある。利用権限情報が、管理対象として車両の種類を示す情報を有する場合、利用権として、特定の車両ではなく、特定の種類の車両を利用できる権限を意味することから、利用の範囲を広げることができる利点がある。また、有効期限が設定されていることで、車両の管理が無期限ではなく、効率的な車両の管理が可能となる利点がある。また、発行者の情報を有することで、どの所有権者に対する利用権であるかが明確となり、車両の利用の対価についての精算を判断可能となる利点がある。なお、権限IDは、権限種類毎に設定されてもよいし、権限種類の区別なくセキュリティトークンとしてのIDで設定されてもよい。
【0064】
また、権限管理部は、交換権限情報を、
図6のように記憶してよい。交換権限情報は、セキュリティトークンを区別可能な権限ID、権限種類を示す交換権、関係者として交換権を有する交換権者、交換する権限が有効な有効期限、管理対象として車両の種類を示す情報、交換権を発行した特定の所有権者、その他、を含んでよい。このように、特定の種類の管理対象に対して、一のセキュリティトークンとしての交換権限情報が、関連付けられてよく、かかる一の特定の種類の管理対象についての情報を安全に記憶できる利点がある。交換権限情報が、管理対象として車両の種類を示す情報を有する場合、交換権として、特定の車両ではなく、特定の種類の車両についての所有権との交換が可能な権限を意味することから、交換時の範囲を広げることができる利点がある。また、有効期限が設定されていることで、車両の管理が無期限ではなく、効率的な車両の管理が可能となる利点がある。また、発行者の情報を有することで、どの所有権者に対する交換権であるかが明確となる利点がある。なお、権限IDは、権限種類毎に設定されてもよいし、権限種類の区別なくセキュリティトークンとしてのIDで設定されてもよい。
【0065】
また、権限管理部は、出資権限情報を、
図7のように記憶してよい。出資権限情報は、セキュリティトークンを区別可能な権限ID、権限種類を示す出資権、関係者として出資権を有する出資権者、管理対象を示す情報として一又は複数の車両ID、出資権についての配当条件、出資権を発行した特定の所有権者、その他、を含んでよい。このように、一又は複数の特定の管理対象に対して、一のセキュリティトークンとしての出資権限情報が、関連付けられてよく、かかる一又は複数の特定の管理対象についての情報を安全に記憶できる利点がある。管理対象として、特定の一又は複数の車両の例が示されているが、特定の種類の車両であってもよい。また、管理対象に代えて、出資は特定のSPCの有する資産を特定する情報であってもよい。この場合、出資の対象は、賃借される車両ではなく、SPCが有する特定の資産であり、車両以外の他の資産についても本システムを利用できる利点がある。なお、権限IDは、権限種類毎に設定されてもよいし、権限種類の区別なくセキュリティトークンとしてのIDで設定されてもよい。
【0066】
以上、各権限情報について、一例を示したが、これらにとどまらない。特に、各権限情報は、各々、複数あってよい。すなわち、管理対象が複数あれば、物理的な各管理対象に対応して、所有権限情報に係るセキュリティトークンも同数の複数、存在してよい。また、利用権限情報に係るセキュリティトークンは、発行された利用権分、存在してよい。同様に、交換権限情報に係るセキュリティトークンは、発行された交換権分、存在してよい。出資権限に係るセキュリティトークンは、出資の範囲毎に、存在してよい。
【0067】
また、上述では、セキュリティトークンを利用して、権限情報を記憶する例を示したが、かかる技術手段に限らず、上述のセキュリティトークンと合わせて、又は、セキュリティトークンに代えて、一般的なデータベースによって、権限情報を記憶してもよい。この場合、権限情報毎のトークンのように権限情報毎のデータ構造が用いられてもよいし、一般的なリレーショナルデータベースや分散処理データベースなどで管理されてもよい。かかるデータベースを用いる場合、互いに参照できる情報を有してもよく、互いに検索可能であってもよい。例えば、ある管理対象に対して、かかる管理対象に関連する所有権者、利用権者、出資権者、交換権者を検索可能であってもよいし、その逆も可能であって良い。
【0068】
また、一実施形態に係るシステムに係る権限管理部は、各権限情報の実態は、一実施形態に係るシステム外の情報処理装置が記憶し、各権限情報と関連付けられ各権限情報にアクセス可能なIDのみを記憶して管理することにより、間接的に各権限情報を記憶、管理してもよい。
【0069】
また、ここでは、権限情報と関連する情報を説明したが、権限管理部は、上述に加えて、他の情報を、記憶及び管理してもよい。
【0070】
また、権限管理部は、他の情報処理装置から、かかる所有関連情報を記憶したセキュリティトークンのIDを関連付けることにより、他の情報処理装置から、特定のセキュリティトークンを管理できてよい。
【0071】
権限管理部が記憶する場所は、情報処理装置内で記憶する技術手段であってよい。かかる記憶する技術手段としては、例えば、情報処理装置内の、レジスタ、L1、L2、L3などのキャッシュ、ハードディスク、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ、など種々の記憶手段であってよい。
【0072】
3.2.権限発行部32
権限発行部は、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、及び/又は、出資権限情報、の各権限情報を生成する機能を有する。なお、各種権限情報を発行する処理は、各種権限情報を生成する処理を含んでよい。
【0073】
権限発行部は、所定の条件を充足した場合に、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、及び/又は、出資権限情報、の各権限情報を生成してよい。
【0074】
例えば、権限発行部は、所有権者が、管理対象の所有を開始した情報を取得した場合に、所有権限情報を生成してよい。すなわち、所定の条件は、所有を開始した情報を取得したこと、であってよい。管理対象の所有を開始した情報は、例えば、所有権者が管理対象を購入したこと、管理対象についての法的な所有手続きを開始したこと、法的な所有手続きが完了したこと、などの情報であってよい。
【0075】
また、権限発行部は、利用権者が、利用権を取得した場合に、利用権限情報を生成してよい。すなわち、所定の条件は、管理対象の利用権を取得した情報を取得したこと、であってよい。管理対象の利用権を取得した情報は、例えば、出資権者が、配当条件が充足されたことによって利用権を得ること、又は、管理対象の所有権者が利用権を発行すること、、などの情報であってよい。
【0076】
また、権限発行部は、交換権者が、管理対象についての交換権を取得した情報を取得した場合に、交換権限情報を生成してよい。すなわち、所定の条件は、管理対象の交換権を取得した情報を取得したこと、であってよい。管理対象の交換権を取得した情報は、例えば、利用権との交換で交換権を取得したこと、交換権を購入したこと、などの情報であってよい。なお、権限発行部が、交換権限情報を、利用権限情報と交換で発行する場合、交換される利用権についての利用権限情報を無効とする処理をしてもよい。かかる処理によって、利用権が過剰に生成されている状態を防ぐことができる利点がある。かかる利用権限情報を無効とする処理は、利用権限情報自体を削除する処理をしてもよいし、利用権限情報内に無効であることを示す情報を含む処理をしてもよいし、かかる利用権限情報は保持させつつアクセスできない処理をしてもよい。
【0077】
例えば、権限発行部は、出資権者が、管理対象について出資した情報を取得した場合に、出資権限情報を生成してよい。すなわち、所定の条件は、出資した情報を取得したこと、であってよい。管理対象の出資した情報は、例えば、出資権者が管理対象に対して出資したこと、などの情報であってよい。
【0078】
なお、所有権限情報、利用権限情報、交換権限情報、及び/又は、出資権限情報、の各権限情報の生成は、各権限情報として利用されるデータ構造を新たに生成する処理を含んでよいし、各権限情報として利用された既に存在するデータ構造内の情報を上書きや書き換える処理を含んでよい。
【0079】
3.3.交換部33
交換部は、少なくとも一方が権限情報であるものについて、交換する機能を有する。交換部は、交換のルールと、かかる交換のルールを判定する機能を有してよい。交換部は、かかる交換のルールが充足された場合に限り、交換してよい。
【0080】
交換部は、権限情報同士を交換してもよいし、一方が権限情報で、他方が権限情報ではないものを交換してもよい。前者は、例えば、利用権限情報と所有権限情報との交換、利用権限情報と交換権限情報との交換、交換権限情報と所有権限情報との交換、出資権限情報と所有権限情報との交換、出資権限情報と利用権限情報との交換、などであってよい。後者は、所有権限情報と価値物との交換、利用権限情報と価値物との交換、交換権限情報と価値物との交換、出資権限情報と価値物との交換、などであってよい。価値物は、例えば、現金でもよいし、電子マネーでもよいし、仮想通貨でもよいし、StabelCoinでもよい。権限情報がブロックチェーン上のセキュリティトークンが使用され、価値物としてStableCoinが使用される場合、特定の仲介組織を介さずにDVP決済が可能になる利点がある。
【0081】
また、交換部は、交換された権限情報を無効にする処理をしてもよい。例えば、交換部が、所有権限情報を、利用権限情報と交換で発行する場合、交換される利用権についての利用権限情報を無効とする処理をしてもよい。かかる処理によって、利用権が過剰に生成されている状態を防ぐことができる利点がある。同様に、交換部が、交換権限情報を、利用権限情報と交換で発行する場合、交換される利用権についての利用権限情報を無効とする処理をしてもよい。かかる利用権限情報を無効とする処理は、利用権限情報自体を削除する処理をしてもよいし、利用権限情報内に無効であることを示す情報を含む処理をしてもよいし、かかる利用権限情報は保持させつつアクセスできない処理をしてもよい。
【0082】
なお、本願書類における「交換」とは、関係者が有する各権限を所定のルールが充足した場合に交換することを意図し、情報処理上は、種々の手段で実現されてよい。例えば、利用権限情報と所有権限情報との交換であれば、元の利用権限情報内の利用権者が、元の所有権限情報内の管理対象の所有権を取得したことを示すよう、前記所有権限情報内の所有権者を前記利用権者で書き換え、元の所有権限情報内の所有権者が、元の利用権限情報内の管理対象の利用権を取得したことを示すよう、前記利用権限情報内の利用権者を前記所有権者で書き換える、などの処理をしてよい。ここでは書き換えとして説明したが、利用権限情報及び所有権限情報を夫々新規に生成してもよい。また、他の権限情報同士の交換についても、同様の処理がされてよい。価値物との交換においても、同様に、各価値物の保有者について、上述の各権限情報内の関係者と入れ替えることで処理されてよい。
【0083】
交換のルールは、一実施形態に係るシステム内において、統一的に決定されてもよいし、管理対象毎に予め決定されてもよいし、後述のマーケット部において、動的に決定されてもよい。
【0084】
交換のルールは、例えば、権限情報の数や権限情報についての権限を有する関係者の意思表示を用いるものであってよい。例えば、利用権限情報と所有権限情報とを交換する場合においては、所定の数の利用権トークンと、かかる所定の数の利用権トークンと所有権トークンとを交換するとの利用権者の有する意思表示を示した情報と、を交換する条件として使用し、かかる条件の交換のルールが充足した場合に、利用権限情報と所有権限情報とを交換してよい。
【0085】
同様に、利用権限情報と交換権限情報とを交換する場合においても、所定の数の利用権トークンと、かかる所定の数の利用権トークンと交換権トークンとを交換するとの利用権者の有する意思表示を示した情報と、を交換する条件として使用し、かかる条件の交換のルールが充足した場合に、利用権限情報と交換権限情報とを交換してよい。
【0086】
同様に、交換権限情報と所有権限情報とを交換する場合においては、所定の数の交換権トークンと、かかる所定の数の交換権トークンと所有権トークンとを交換するとの交換権者の有する意思表示を示した情報と、を交換する条件として使用し、かかる条件の交換のルールが充足した場合に、交換権限情報と所有権限情報とを交換してよい。
【0087】
そのほか、出資権限情報と所有権限情報とを交換する場合、出資権限情報と利用権限情報とを交換する場合、についても、同様であってよい。
【0088】
3.4.マーケット提供部34
マーケット提供部は、交換部が使用する交換のルールを管理する機能を有する。
【0089】
マーケット提供部は、権限情報の交換を希望する者が、交換のルールとして決定したルールを支援する機能を有してよい。例えば、利用権トークンを有する者が、ある管理対象について、所定の数の利用権トークンと所有権トークンとを交換する交換のルールを設定可能であってよい。より具体的には、ある車両の種類についての所定の数の利用権トークンと、かかる車両の種類の車両についての所有権トークンと、を交換する交換のルールを設定可能であってよい。
【0090】
また、かかる交換のルールは、交換することの意思表示があること、を用いてよい。例えば、利用権トークンと、所有権トークンと、を交換する場合において、利用権トークンと関連付けられた利用権者の有するかかる利用権トークンと所有権トークンとを交換する意思表示を示す情報を用いてよい。また、かかる利用権者の有する意思表示に加えて、所有権者の有するかかる所有権トークンと利用権トークンとを交換する意思表示を示す情報を用いてよい。なお、マーケット提供部は、後述の通り、販売条件登録型と、マッチング型があるが、販売条件登録型においては、かかる登録処理が交換する意思表示に対応してよく、登録者においては交換する意思表示を示す情報を要求せず交換してもよいし、意思表示を示す情報を明示的に要求した上で、交換してもよい。意思表示を示す情報は、セキュリティトークンに対する署名を含んでもよい。
【0091】
4.実施形態
一実施形態に係るシステムは、車両に対して適用される例である。車両を製造するメーカは、車両を製造し、販売することによる利益を、一般に希望する。他方、社会状況は、物を購入してから所有することで利用する利用者より、カーシェアーなどの車両の利用による消費型に移行しつつある。そのような中、メーカも、カーシェアーなどにより対応しているが、資産を抱えすぎるとバランスシートが悪化するため、オフバランスしたいニーズがある。他方、車両のユーザは、消費型で車両を利用しつつも、利用に応じて所有欲が発生する場合があるため、かかる消費型から所有欲の実現による所有をサポートするシステムが必要である。そこで、以下における一実施形態に係るシステムにおいては、かかる課題を踏まえて、消費型での利用を、主に利用権トークンをシステムとして支援しつつ、かかる利用に応じて生じた所有欲を支援する所有権トークンをもシステムとして支援し、これらの利用権トークンから所有権トークンへの橋渡しをシステムとして支援するものである。また、以下における一実施形態に係るシステムにおいては、かかる所有をよりサポートする観点で、出資権者をシステムとして支援する構成も含むものである。さらに、かかる出資権者に対して配当として利用権トークンを用いることで、所有をサポートする出資権者における利用を促進させて、利用自体を促進しつつ、出資権者自身が利用により所有欲を刺激する機会を増やす利点がある。
【0092】
図8は、一実施形態に係るシステムに係る構成を示したものである。一実施形態に係るシステムは、管理システムから構成されてよい。かかる管理システムは、所有権者A端末001A、所有権者B端末001B、出資権者A端末002A、出資権者B端末002B、交換権者A端末003A、交換権者B端末003B、利用権者A端末004A、利用権者B端末004B、と各々ネットワーク000を介して、接続可能であってよい。各端末は、管理システムにアクセスし、以下で述べる各トークンにアクセスが可能であってよい。本実施形態に係るシステムは、ブロックチェーンのセキュリティトークンを用いて、所有権トークン、利用権トークン、出資権トークン、交換権トークン、を用いる例を説明するが、他のデータ構造や、他のデータベースを用いてもよい。これらのトークンは、上述の権限管理部、権限発行部、交換部、及び/又は、マーケット提供部、などの機能により、処理されてよい。上述の権限管理部、権限発行部、交換部、及び/又は、マーケット提供部、などの機能は、管理システム内のみで実行されてもよいし、各端末のみで各々実行されてもよいし、管理システム及び各端末の両方において、実行されてもよい。各端末において実行されるとは、例えば、所有権者A端末内にインストールされ実行可能なソフトウェア内に含まれる権限管理部が、例えば所有権トークン等のトークンについて権限管理部の機能を実行でき、かかるソフトウェア内に含まれる権限発行部が、例えば利用権トークン等のトークンについて権限発行部の機能を実行できると共に、利用権者B端末内にインストールされ実行可能なソフトウェア内に含まれる権限管理部が、例えば所有権トークン等のトークンについて権限管理部の機能を実行でき、かかるソフトウェア内に含まれる権限発行部が、例えば利用権トークン等のトークンについて権限発行部の機能を実行できる、というように、各端末内にインストールされたソフトウェアが権限管理部、権限発行部、交換部、及び/又は、マーケット提供部、などの機能を、各々実行できるものであってよい。また、これらの各端末にインストールされたソフトウェアは、各端末を使用する関係者による認証を用いてよく、また、かかる各端末を使用する関係者による認証を経てアクセスや利用可能なトークンが特定されてよい。例えば、所有権トークン、利用権トークン、交換権トークン、出資権トークンを用いる交換の実行には、各々、所有権者、利用権者、交換権者、出資権者の認証が必要であってよい。また、車両の利用のために利用権トークンを使用する処理や出資権者に対して配当を実施する場合においても、同様に、各々利用権者や出資権者の認証が必要であってよい。これらの認証が適正に処理された場合に限り、処理が行われてよい。また、かかる認証は、各トークン内の署名によって実行されたものとしてもよい。また、これらの機能は、例えば、ブロックチェーンのセキュリティトークンを扱う、後述のアセットマネージャーやシェアリングマネージャー等のスマートコントラクト自体又はかかるスマートコントラクトと接続可能なソフトウェアによって、実行されてよい。
【0093】
図9は、車両についての所有権の発行及びナンバーの登録に関する手続きを図示したものである。メーカが車両を製造後、販売する場合に、ナンバーの登録が必要であることから、その過程を含めて、所有権者の設定について説明する。
【0094】
まず、車種登録01では、一実施形態に係るシステム内に、メーカが新規に製造販売する車種を登録するステップである。車種は、IDであってよい。車種は、細かいバリエーションを含んでもよいし、含まなくてもよい。かかるIDは、管理部内のデータベースに登録されてよい。
【0095】
次に、申込02及び決済03では、一実施形態に係るシステムと関連付けられ、車両の販売情報が表示されている販売サイトにおいて、SPC(Special Purpose Company(特別目的会社)やリース会社等に対し、車両が販売されてよい。以下、主にSPCを用いて説明するが、車両を保有する団体はどのような主体であってもよい。一実施形態に係るシステムは、かかる販売サイトから得られた注文情報を、取得してよい。そして、かかる注文に応じて、SPC等が、車両を購入し、入金すると、一実施形態に係るシステムは、所有権トークンを発行してよい。
【0096】
次に車の登録04では、車両を利用するための法的な手続きがされてよい。例えば、SPC等の購入者が、運輸局においてナンバーに登録を行ってよい。ここで、具体的な特定の車両について得られたナンバーに係る情報は、上述の所有権トークン内に記憶されてよい。このとき、かかる所有権トークンは、日本語文字列を含むナンバーそれ自体を記憶してもよいし、かかるナンバーを、所定のハッシュ関数によってハッシュ化したハッシュ後の情報を、記憶してもよい。後者の場合、所有権トークンからナンバーそれ自体を得ることができないことから、プライバシーを尊重できると同時に、例えば、所有権者や利用権者等の車両に係る者は、車両を利用する際などにおいて、ナンバーをカメラで撮像してナンバーを取得し、かかるナンバーから上述の所定のハッシュ関数を用いてハッシュ化し、ハッシュ後の情報と、上述の所有権トークンとを照合させることによって、車両の一致性を確認できる利点がある。
【0097】
なお、一実施形態に係るシステムは、登録失敗時対応05の処理が可能であって良い。これは、発行されたナンバーが、過去に発行された所有権トークン内に記憶されたものと同一である場合に対する処理である。この場合、どちらかに間違いがあることから、発行されたナンバー及び/又は過去に発行された所有権トークンについての情報の確認が必要である。この場合において、過去に発行された所有権トークン内のナンバーに係る情報は、上述のとおり、ナンバーそれ自体でもよいし、ナンバーが所定のハッシュ関数によってハッシュ化されたものでもよく、記憶された情報に応じて、照合され、同一のナンバーについての過去の発行状況が確認できればよい。
【0098】
図10は、車両についての証券の組成及び販売に関する手続きを図示したものである。これは、車両の購入を行ったSPC等が、証券の組成及び販売により出資権者を募る場合である。
【0099】
まず、証券マスタの登録01を行ってよい。ここでは、対象となる特定の車両についての所有権トークンに基づいて、出資権トークンが生成されてよい。一実施形態に係るシステムは、所有権トークンについて、特定の車両についての所有権トークンが存在すること、所有権トークン内に所有権者を示す情報が記憶されていること、その他、他の証券と紐づけされていることなどを、確認してよい。
【0100】
次に、配当条件登録02を行ってよい。出資に関する配当条件が、出資権トークンと関連付けられてよい。また、出資権トークンは、配当条件を、記憶してよい。配当条件は、例えば、現金での配当、及び/又は、出資権トークンと関連付けられている車両の利用権の配当、などであってよい。また、現金での配当は、StableCoinでの支払を特定してもよい。また、出資権トークンは、出資の対象となる車両を示す情報を、記憶してよい。かかる出資の対象となる車両は、特定の一の車両であってもよいし、特定の複数の車両であってもよいし、特定の車種であってもよい。特定の一の車両や、特定の複数の車両である場合、かかる車両を特定する情報を、出資権トークンは保有してよい。また、特定の車種で特定される場合、出資権トークンは、かかる特定の車種を特定する情報を、記憶してよい。
【0101】
次に、販売条件登録03を行ってよい。ここでは、出資に関する情報を、配当条件等含めて、出資を募ってよい。
【0102】
最後に、申込・決済04を行ってよい。ここでは、出資権者から、申込があった場合、かかる出資権者に対して、出資権トークンを発行する。なお、申込や申込の取消に対応して、アセットマネージャーが、出資権者の資金をアセットマネージャーにデポジットしたり、デポジットから出資権者に返却してよい。また、出資権トークンの発行に応じて、アセットマネージャーは、デポジットから、SPCや証券会社に対して、送金してよい。
【0103】
次に、
図11は、車両についてのプリペイドカードによる利用権の登録や販売に関する手続きを図示したものである。車両の所有権を有する、SPC等は、車両購入の資金について、上述の出資、及び/又は、プリペイドカードによる利用権発行、を行ってよい。
【0104】
まず、利用権の登録01である。SPC等は、出資権トークンの発行に代えて、利用権トークンを発行する。一実施形態に係るシステムは、一又は複数の利用権トークンを、生成する。かかる一又は複数の利用権トークンは、所有権トークンと、直接又は間接的に関連付けられていてよい。所有権トークンは、一意的な車両のナンバーに係る情報を用いて、特定の車両と関連付けられているが、一又は複数の利用権トークンは、かかる特定の車両の上位概念である、特定の車種と関連付けられていてよい。これは、利用権トークンが、所有権トークンと同様に特定の車両と関連付けられてしまうと、かかる特定の車両の利用権となってしまい、例えば、利用権を購入した利用者が引越しをした場合等、特定の車両の利用が難しい状況が考えられるためである。また、利用者によっても、同じナンバーを有する特定の車両でなくとも、同一種類の車両であれば、利用に不便はないと考えられるためである。
【0105】
特定の車種の範囲は、種々の観点で定められてよいが、例えば、カーシェアーやレンタカーなどの車両の賃貸において、同一の賃貸費用になりうる範囲であってよい。例えば、製造番号や製造時期の違いによるマイナーチェンジは、通常、車両の賃貸においては、同一の金額設定となることから、同一の車種であってよい。他方、簡易な着脱式ではない特定のオプションが固定的に備えられており、車両の賃借において異なる賃貸費用が設定されているものであれば、異なる車種であってよい。このように設定された車種の場合、車両が賃貸される現場に合わせた情報を、利用権トークン内に記憶し、利用条件が明確化できる利点がある。
【0106】
なお、利用権の登録01においては、出資権トークンの場合と同様に、裏付けとなる所有権トークンについて、一実施形態に係るシステムは、特定の車両についての所有権トークンが存在すること、所有権トークン内に所有権者を示す情報が記憶されていること、その他、他の証券と紐づけされていることなどを、確認してよい。
【0107】
次に、販売条件登録02である。ここでは、利用権の販売条件として、例えば、上述の特定の車種、有効期限、一の利用権購入のための費用、複数の利用権購入のための費用、などが設定されてよい。かかる利用権は、一度使用すると再度使用のできない使い切りのタイプであってよい。他の態様として、利用権は、定期のように所定期間内に条件なく利用可能なタイプであってもよい。
【0108】
次に、申込・決済03である。ここでは、出資権者が、販売サイトを介して、利用権購入の申込・キャンセル、が可能であって良い。出資権者から、申込があった場合、かかる出資権者に対して、利用権トークンを発行する。なお、申込や申込の取消に対応して、アセットマネージャーが、出資権者の資金をアセットマネージャーにデポジットしたり、デポジットから出資権者に返却してよい。また、利用権トークンの発行に応じて、アセットマネージャーは、デポジットから、SPCに対して、送金してよい。
【0109】
図12は、車両の利用に関する手続きを図示したものである。上述のとおり、出資権者は、配当として利用権トークンが付与されることがあり、また、利用権者は出資権者から利用権を購入することがあり、利用権を利用できるようになる。
【0110】
まず、利用の前に、料金テーブルの登録01において、車両について、上述の車種毎に、利用料金テーブルが登録されてよい。一実施形態に係るシステムは、利用料金テーブルを備え、利用される車両に対応して、具体的な利用料金を特定できてよい。かかる利用料金は、車種毎に設定されているものでよい。車種の範囲は、上述のとおりである。
【0111】
予約02において、ユーザは、車両賃貸システムにおいて、特定の日付で、特定の車種の予約をしてよい。車両の予約は、カーシェアーサイトやレンタカーなどの車両賃貸システムから可能であってよく、一実施形態に係るシステムは、かかる車両賃貸システムに対して、利用料金と、予約可能なスケジュールと関連付けられた予約可能な車両の種類及び台数と、を提供してよい。この予約時において、ユーザが、利用権を有しているかどうか、を確認してもよい。
【0112】
より具体的には、一実施形態に係るシステムは、車両賃貸システムを介して、車両の予約を使用とするユーザを特定する情報と、利用者が予約しようとする車両の種類と、利用者が予約する利用予定日付(利用期間を含む)と、を取得し、利用権トークンと、照合してよい。すなわち、ユーザを特定する情報と合致する利用権者と関連付けられた利用権トークンが存在すること、かかる利用権トークンが、ユーザが予約しようとする車種についての利用権トークンであること、及び、ユーザが予約する利用予定日付及び利用予定期間の最後がかかる利用権トークンの有効期限内であること、を判定してこれらの条件に適合する場合のみ、予約を実行してよい。
【0113】
他方、ユーザが利用権を有しない又は利用権を利用しない場合においても、車両を予約可能としてもよい。この場合、利用権の有無の確認なく、予約を実行してよい。
【0114】
なお、車両賃貸システムは、一実施形態に係るシステムの一部であってもよいし、一実施形態に係るシステムと単に接続可能な外部のシステムであってもよい。車両賃貸システムは、インターネット上でアクセス可能なホームページから予約や利用開始などの情報を入力できてもよい。
【0115】
利用03においては、ユーザは、予約通りの日時に、予約した車種の車両の利用を開始する。利用開始時に、ユーザは、上述の車両賃貸システムに対して利用開始の情報を入力してもよいし、かかる車両賃貸システムと接続可能な、実際に車両を提供可能な場所におけるIoT機器において利用開始の情報を入力してよい。
【0116】
ユーザが利用権を利用する場合においては、一実施形態に係るシステムは、車両賃貸システムを介して、ユーザを特定する情報、利用する特定の車両を示す情報、利用する日付(利用期間を含む)、を取得し、上述のように、利用権トークンと照合する。すなわち、ユーザを特定する情報と合致する利用権者と関連付けられた利用権トークンが存在すること、かかる利用権トークンが、ユーザが予約しようとする車種についての利用権トークンであること、及び、ユーザが予約する利用予定日付及び利用予定期間の最後がかかる利用権トークンの有効期限内であること、を判定してこれらの条件に適合する場合のみ、利用が開始可能であってよい。
【0117】
また、現在の利用者を、所有権トークンに登録してもよい。例えば、一実施形態に係るシステムは、利用されている特定の車両と関連付けられている所有権トークンに、車両を利用するユーザを特定する情報を、記憶してよい。また、同様に、かかる所有権トークンに、車両を利用するユーザの利用期間を記憶してよい。これにより、所有権トークンにアクセスすることにより、現在の車両の利用者や利用する期間の情報を取得できる。
【0118】
ユーザによる利用が終了すると、一実施形態に係るシステムは、かかる利用権は利用されたものとして、無効にしてよい。例えば、利用権トークンに対して、無効を示す情報が記憶されてもよいし、かかる利用権トークンを削除させてもよいし、かかる利用権トークンに対するアクセスができない状況にしてもよい。
【0119】
次に、利用後の精算04においては、車両が利用されたことによる利用権の金額の精算処理を行う。一実施形態に係るシステムは、利用権が利用された場合と、利用権が利用されていない場合に分けて処理が行われてよい。また、利用権が利用された場合において、車両を所有する所有権者が発行した利用権が利用された場合と、車両を所有する所有権者が発行していない利用権が利用された場合と、において、処理が異なってよい。
【0120】
まず、車両を所有する所有者が発行した利用権トークンが利用された場合は、かかる利用による売上情報を蓄積しなくてもよい。これは、利用権トークンが発行された時点において、利用権の購入の売り上げが得られているためである。例えば、一実施形態に係るシステムは、利用権トークンが使用された場合において、利用権トークン内に記憶された発行者を示す情報と、かかる利用権トークンが使用される際に使用された特定の車両についての所有権トークン内の記憶された所有権者と、が一致している場合、利用権の利用による売り上げの額を、かかる所有権者と関連付けて記憶しなくてよい。
【0121】
他方、利用権トークンが利用された場合において、利用権トークン内に記憶された発行者を示す情報と、かかる利用権トークンが使用される際に使用された特定の車両についての所有権トークン内の記憶された所有権者と、が一致していない場合、かかる所有権者は、利用権トークンの発行者に対して、利用権の価値分の金額を請求可能であってよい。例えば、車両の所有権者と関連付けて、利用権の発行者に対する請求費用として、利用権の価値分の金額を決定し、記憶してよい。かかる利用権の価値分の金額は、発行者に係る利用料金テーブルを用いて、算出されてよい。例えば、利用権の価値分の金額は、利用権トークンを発行した発行者に係る利用料金テーブルにおける、かかる利用権トークン内の車両の種類と、利用された時間帯と、を用いて、利用権の価値分の金額を決定してよい。これは、利用権トークンを購入した利用権者が、利用権を発行した発行者に係る利用料金テーブルを基礎として購入していることから、かかる利用権者の購入をベースとした金額である。そして、利用権の価値分の金額が、所有者が同一車両をかかる日時に賃貸した場合における金額よりも高い場合、車両を賃貸した車両の所有権者は、利用権者に対して、その差額を支払うことができてよい。例えば、車両を賃貸した車両の所有権者は、利用権者に対して、かかる差額をStableCoin等で支払うものとされてよい。他方、利用権の価値分の金額が、所有者が同一車両をかかる日時に賃貸した場合における金額よりも低い場合、車両を賃貸した車両の所有権者は、利用権者に対して、その差額は請求できないようしてよい。これは、利用権者にとってみれば、たまたま所有権者が異なることにより、費用が異なることを意味するためである。
【0122】
他方、ユーザが利用権を利用しない場合においては、現金、クレジットカード、電子マネー等の種々の支払手段を用いることで、車両の利用が可能であって良い。この場合、かかる支払手段による金額を、車両を所有する所有権者に対する売上情報として、追加してよく、この場合やユーザから直接的又は間接的に、他の車両の所有権者を介さずに、利用の費用を徴収してよい。
【0123】
図13は、配当に関する手続きを図示したものである。出資権者に対する配当は、上述のとおり、現金、及び/又は、利用権、がありうる。ここで、現金は、StableCoinを用いてもよいし、StableCoinを用いなくてもよい。
【0124】
まず、StableCoinを利用する場合01における、カーシェアーやレンタカーなどの車両の賃貸によって売り上げがある場合について、かかる売り上げを、SharingManagerは、売上情報を収集する。この売上情報は、後述のとおり、利用権トークンの発行者に応じて、車両の各利用について、売上情報に追加される場合と追加されない場合があってよい。売上に追加された情報が用いられて、売上の所定のパーセントを配当条件に応じて、アセットマネージャーにデポジットしてよい。そして、所定の配当時において、かかる車両に対して出資した出資権者に対して、デポジットされた情報に基づいて、所定の配当を行ってよい。ここで、配当の対象は、出資の対象である車両と関連付けられてよい。例えば、複数の特定の車両や特定の種類の車両が出資の対象である場合、かかる対応する、複数の特定の車両や特定の種類の車両についての売り上げを対象として、配当条件が適用されて、配当される対象のデポジットが決定されてよい。アセットマネージャーは、かかる配当条件に基づき、出資権トークンを用いて、出資権者に対し、StableCoinや利用権トークンを発行してよい。すなわち、アセットマネージャーは、配当の対象となる複数の特定の車両や特定の種類の車両と関連付けられている出資権トークンに記憶された出資権者に対して、かかる出資権者トークンに記憶された配当条件に基づいて、StableCoinや利用権トークンを発行してよい。ここでStableCoinの場合は、かかる出資権者に対してStableCoinを発行すればよく、利用権トークンの場合には、利用権トークン内の利用権者として出資権者を示す情報を記憶させ、また、かかる利用権トークン内に、出資権トークンに係る車両の種類、利用権トークンの有効期限、などを記憶させてよい。
【0125】
StableCoinを使わない場合02においては、StableCoinの発行に代えて、振込などにより配当してよい。利用権トークンを発行する場合は、上述と同様であってよい。
【0126】
図14は、売買マーケットに関する手続きを図示したものである。売買マーケットは、種々の手法で実行されてよいが、ここでは、販売条件登録型01と、板情報型02と、の2とおりについて、説明する。
【0127】
まず、販売条件登録型01は、SPCなど車両の所有権者が決定して登録した販売条件によって、利用権、交換権、及び/又は、所有権、が販売可能であってよい。例えば、利用権トークン、交換権トークン、所有権トークンを、現金や、StableCoin、クレジットカード、及び/又は、電子マネーなどの所定の額を示す価値物で購入できてよい。なお、権限情報やトークンと、価値物との交換、すなわち、権限情報やトークンを価値物に対して販売する場合、価値物を例えばAから得られたとの情報を取得した場合に、かかる権限情報やトークンの保有者をAに設定することで、販売がされてよい。また、交換権トークン、所有権トークンが、所定の利用権トークンとの交換により販売可能であってよい。後者については、例えば、特定の車両の車種についての一の交換権トークンは、所定の量のかかる車種についての利用権トークンと、交換可能であってよい。この場合、一の車両の車種についての、所定の量の利用権トークンを有するユーザは、前記利用権トークンに係る車両の車種についての交換権トークンと、の交換を希望する意思表示を示すよう、販売サイトにおいて購入を申し込むことにより、前記利用権者を示す情報を、前記交換権トークン内に記憶させることで、前記ユーザを、交換権トークンの保有者に設定してよい。同様に、特定の車両についての一の所有権トークンは、所定の量のかかる特定の車両を含む車種についての利用権トークンと、交換可能であってよい。この場合、所有権トークンに係る車両と同一の車種についての所定の量の利用権トークンを有するユーザは、前記利用権トークンに係る車両の車種についての特定の車両についての所有権トークンと、の交換を希望する意思表示を示すよう、販売サイトにおいて購入を申し込むことにより、前記利用権者を示す情報を、前記利用権トークン内に記憶させることで、前記ユーザを、利用権トークンの保有者に設定してよい。交換可能なものの条件としては、トークンの量以外にも、有効期限や、車種などを用いてもよい。
【0128】
このように、利用権トークンを有する利用権者は、一定の車種の車両を利用することにより、かかる車両について所有欲を有する場合がある。そして、利用権トークンを多数有する場合、かかる利用権トークンと所有権トークンとを交換し、所有権者になることで、かかる車両についての所有欲を満足できる利点がある。特に、車両の出資権者は、元々は出資目的であるとしても、出資対象について愛着を感じることも多く、また、配当として利用権トークンが与えられ、利用権トークンを用いて実際に車両を用いることにより、より一層、自身が出資した車両についての理解が進み、愛着が増すことによって、ひいては所有欲が生じることもあることから、出資権者が、かかる利用権トークンを用いて、所有権トークンを有することで、所有欲を満足できる利点がある。
【0129】
また、所有権トークンは、車両の所有となることから、管理などの問題が生じるが、交換権トークンであれば、いつでも車両の所有権トークンと交換可能でありつつ、かかる管理などの問題を生じないという利点がある。
【0130】
また、板情報型02の場合は、各、利用権者、所有権者、交換権者、がその有するトークンの売買条件を、夫々決定し、売買条件が合致したものについて、交換が可能であってよい。このため、一実施形態に係るシステムは、利用権者、所有権者、交換権者が参加可能なトークンのマーケットを提供可能であり、かかるマーケットにおいては、売買条件のマッチングにより、売買相手を検索や決定が可能であってよい。かかる売買条件は、利用権トークン、所有権トークン、交換権トークン、の各交換可能なトークンの間の関係や、これらのトークンとStableCoinや現金などの上述の所定の額を示す価値物との間の関係を特定できるものであってよい。一実施形態に係るシステムは、マッチング対象となる情報を取得する機能と、それらの情報をマッチングする機能と、を備えてよい。マッチング対象となる情報としては、管理対象であってよく、例えば車両であれば、車両の車種であってよい。また、有効期限や利用権限の数などで特定されてよい。
【0131】
図15は、上述の各ステップを簡潔に示したフローである。但し、以下の各フローの全てが以下の順で行われる必要はなく、また、各全てのステップが実施される必要もない。特に、所有権トークン、利用権トークン、出資権トークン、交換権トークン、は各々適宜のタイミングで発行されてよく、また、これら全てのトークンが発行される必要もない。これらのトークンは、トークン間の交換の前提にすぎずに、発行されたトークン間において、条件が適合された場合に交換されるものであってよい。
【0132】
権限発行部は、所有権者を特定する情報、管理対象の車両を特定する情報、などを用いて、所定の条件が充足された場合に、所有権トークンを生成する(ステップ1)。
【0133】
権限発行部は、かかる管理対象に関連して出資を行った一又は複数の出資権者の各々に対し、出資権者を特定する情報、管理対象の車両の種類を特定する情報、出資に係る情報、などを用いて、所定の条件が充足された場合に、出資権トークンを生成する(ステップ2)。
【0134】
権限発行部は、出資権者に対して配当条件が充足した場合又は利用権トークンの購入する情報を取得した場合に、利用権者を特定する情報、管理対象の車両の種類を特定する情報、有効期限、などを用いて、利用権トークンを生成する(ステップ3)。
【0135】
権限発行部は、交換権者に対し、交換権者を特定する情報、管理対象の車両の種類を特定する情報、有効期限、などを用いて、所定の条件が充足された場合に、交換権トークンを生成する(ステップ4)。
【0136】
次に、交換部は、所有権トークン、出資権トークン、利用権トークン、交換権トークン、価値物等の間で、所定のルールを充足するものについて、交換を行う(ステップ5)。
【0137】
本願書類の実施例において述べた発明例は、本願書類で説明されたものに限らず、その技術的思想の範囲内で、種々の例に適用できることはいうまでもない。
【0138】
また、本願書類で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能なものであってよい。また、本願書類で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能であってよい。またこれらのコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶されてよい。また、これらのプログラムは、非一過性又は一時的な記憶媒体に記憶されてよい。
【符号の説明】
【0139】
10 情報処理装置
11 演算装置
12 記憶装置
13 入力装置
14 表示装置
15 バス
16 通信装置
000、17 ネットワーク
01乃至03 関係者端末
001 所有権者端末
002 出資権者端末
003 交換権者端末
004 利用権者端末
010 管理システム
011 管理者端末