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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241105BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241105BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 370
G03G21/00 500
H05B3/00 335
H05B3/00 310D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020147944
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042536
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 寛人
(72)【発明者】
【氏名】北川 応樹
(72)【発明者】
【氏名】覚張 光一
(72)【発明者】
【氏名】田中 正信
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-282040(JP,A)
【文献】特開2018-205698(JP,A)
【文献】特開2002-075591(JP,A)
【文献】特開2002-296962(JP,A)
【文献】特開平11-191479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
21/00
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
第一回転体と、前記第一回転体に当接して記録材を挟持搬送するニップ部を形成する第二回転体と、前記第一回転体を加熱する加熱手段とを有し、前記画像形成手段により記録材に形成されたトナー像を記録材に定着する定着手段と、
前記定着手段に設けられ、前記ニップ部における記録材の搬送方向に交差する幅方向に関し、搬送可能な最小サイズの記録材が通過する通過領域外で且つ前記第一回転体を加熱する加熱領域内における前記加熱手段の温度を検知する温度検知手段と、
前記ニップ部を記録材が通過中に前記温度検知手段に検知される温度が基準温度よりも高くなった場合に、前記加熱手段による加熱を停止する制御手段と、
前記定着手段に設けられ、前記定着手段に固有の前記温度検知手段の単位時間当たりの温度上昇率を記憶した記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶されている温度上昇率が第一上昇率であって、且つ、前記温度検知手段により検知された温度に基づく単位時間当たりの温度上昇率が第1の検知温度上昇率である場合前記基準温度を第一温度に設定し、
前記記憶手段に記憶されている温度上昇率が前記第一上昇率より小さい第二上昇率であって、且つ、前記温度検知手段により検知された温度に基づく単位時間当たりの温度上昇率が前記第1の検知温度上昇率である場合前記基準温度を前記第一温度よりも低い第二温度に設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶されている温度上昇率が前記第二上昇率であって、且つ、前記温度検知手段により検知された温度に基づく単位時間当たりの温度上昇率が前記第1の検知温度上昇率よりも小さい第2の検知温度上昇率である場合、前記基準温度を前記第一温度に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、記録材の搬送方向上流端が前記ニップ部を通過後に前記基準温度を変更前の温度に戻す、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一回転体は、無端状のフィルム部材であり、
前記加熱手段は、前記フィルム部材の内周面に当接して前記フィルム部材を加熱する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着手段は、装置本体に交換自在に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの、電子写真技術を利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、未定着のトナー像が形成された記録材に対し熱と圧力を加えることにより、記録材にトナー像を定着させる定着装置を備えている。定着装置として、例えば回転する無端状の定着フィルムと、定着フィルムの内周面に当接するヒータと、定着フィルムに外部から当接し定着ニップ部を形成する加圧ローラとを備えたフィルム加熱方式のものが従来から提案されている(特許文献1)。この定着装置では、ヒータが電力供給に応じて発熱し、このヒータの熱が定着フィルムに伝達されて、定着フィルムが加熱される。ヒータとしては、例えば低熱容量のセラミックヒータなどが用いられる。そして、未定着のトナー像が形成された記録材を定着ニップ部に挟持搬送させると、その際に熱と圧力が加えられ、トナー像が記録材に定着される。
【0003】
ところで、記録材を定着ニップ部に向けて搬送する際に、複数枚の記録材が湿気や静電気などにより張り付いて重なった状態で搬送されることがある(重送と呼ぶ)。記録材が定着ニップ部へ重送された場合、記録材の搬送方向に交差する幅方向において記録材の端部近傍では、定着フィルムと加圧ローラとの間に隙間が空いて、ヒータの熱が加圧ローラに奪われ難くなる。そうなると、ヒータが局所的に高温になり、場合によってヒータ自体が破損する、あるいは定着フィルムの一部が溶けるなどする虞があった。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の装置では、記録材の重送に起因するヒータの局所的な温度変化を検知するために、ヒータの定着フィルムとの非摺動面側にサーミスタが設けられている。このサーミスタの検知結果に従うヒータの温度変化が基準値と比較されることで、記録材の重送が検知される。そして、記録材の重送が検知された場合には、ヒータが局所的に高温にならないように、ヒータへの電力供給の調整によりヒータの温度上昇が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-296962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サーミスタの検知結果に従うヒータの温度変化に基づいてヒータの温度調整を行う場合、ヒータの温度変化が定着装置ごとに異なることがある。例えば、定着フィルムや加圧ローラ、ヒータ、サーミスタなどの組み付け精度やそれら部品の個体ごとの精度のばらつきなどによって、サーミスタの検知結果に従うヒータの温度変化は異なり得る。そうであるから、従来では実際に記録材が重送されているにも関わらず、記録材の重送が検知されずにヒータの温度上昇が抑制されないことがあり、その結果、ヒータが局所的に高温になることがあった。反対に、実際には記録材が重送されていないにも関わらず、記録材の重送が検知されてヒータの温度上昇が抑制され、その結果、定着フィルムが十分に加熱されないことがあった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、記録材の重送に起因して生じるヒータの温度変化をサーミスタにより検知し、これに基づいてヒータの温度上昇の抑制を正しく行うことができる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、装置本体と、記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、第一回転体と、前記第一回転体に当接して記録材を挟持搬送するニップ部を形成する第二回転体と、前記第一回転体を加熱する加熱手段とを有し、前記画像形成手段により記録材に形成されたトナー像を記録材に定着する定着手段と、前記定着手段に設けられ、前記ニップ部における記録材の搬送方向に交差する幅方向に関し、搬送可能な最小サイズの記録材が通過する通過領域外で且つ前記第一回転体を加熱する加熱領域内における前記加熱手段の温度を検知する温度検知手段と、前記ニップ部を記録材が通過中に前記温度検知手段に検知される温度が基準温度よりも高くなった場合に、前記加熱手段による加熱を停止する制御手段と、前記定着手段に設けられ、前記定着手段に固有の前記温度検知手段の単位時間当たりの温度上昇率を記憶した記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている温度上昇率が第一上昇率であって、且つ、前記温度検知手段により検知された温度に基づく単位時間当たりの温度上昇率が第1の検知温度上昇率である場合前記基準温度を第一温度に設定し、前記記憶手段に記憶されている温度上昇率が前記第一上昇率より小さい第二上昇率であって、且つ、前記温度検知手段により検知された温度に基づく単位時間当たりの温度上昇率が前記第1の検知温度上昇率である場合前記基準温度を前記第一温度よりも低い第二温度に設定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録材の重送に起因して生じる加熱手段の温度変化を温度検知手段により検知し、この検知結果に基づいて加熱手段の温度上昇の抑制を正しく行うことが容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の画像形成装置を示す概略図。
図2】定着装置を示す概略図。
図3】(a)ヒータの摺動面側を示す模式図、(b)ヒータの非摺動面側を示す模式図、(c)ヒータの横断面を示す拡大断面図。
図4】制御部のヒータ温度制御系を示す制御ブロック図。
図5】本実施形態のヒータオフ温度変更処理を示すフローチャート。
図6】ヒータオフ温度変更処理を説明するためのタイミングチャート。
図7】ヒータ温度の時間推移を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[画像形成装置]
本実施形態の定着装置を用いるのに適した画像形成装置について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置(以下、プリンタ100と記す)は、例えばプリンタ100の装置本体100A外に設けられたホストコンピュータや原稿読取装置等の出力装置(不図示)から送られる画像情報に応じた画像を記録材Pに形成する。感光ドラム101は、その表面が有機感光体を主成分とする光導電層であって、装置本体100Aに設けられた駆動機構(不図示)により、矢印Aの方向(ここでは時計回り)に所定のプロセススピードで回転される。
【0012】
感光ドラム101は、外周面が帯電ローラ102によって所定電位に均一に帯電されたのち、出力装置からの画像情報に応じて露光装置104から出力されるレーザー光103により、外周面に前記画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置105によって現像剤(詳しくはトナーT)を用いてトナー像に現像される。
【0013】
記録材Pは、複数枚が積載されている給紙カセット107から給紙ローラ112によって取り出され、搬送経路Bを通り、レジストローラ対113によって所定のタイミングで、転写ローラ108と感光ドラム101の転写ニップ部N1へ向けて搬送される。ただし、このときに、複数枚の記録材Pが湿気や静電気などにより張り付いて重なった状態で搬送される場合もある(所謂、重送)。
【0014】
こうして搬送される記録材Pが転写ニップ部N1を通過する際に、所定のプロセススピードで回転される転写ローラ108に転写電圧が印加されることにより、感光ドラム101上のトナー像が記録材P上に転写される。こうした転写工程時に記録材Pに転写されることなく感光ドラム101上に残った転写残トナーは、クリーニングブレード109により感光ドラム101上から取り除かれてクリーニング装置110に回収される。なお、記録材Pとしては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
【0015】
転写ニップ部N1を通過した記録材Pは定着装置111に搬送され、定着装置111(詳しくは定着ニップ部N2)で熱と圧力が加えられることにより、トナー像が記録材P上に定着される。そして、定着装置111を通過した記録材Pは搬送経路Cを通り、画像形成面(印字面)を上にして装置本体100A外に設けられた排出トレイ114へ排出される。あるいは、定着装置111を通過した記録材Pは搬送経路Dを通り、画像形成面を下にして装置本体100Aの上面に設けられた載置部115へ排出される。
【0016】
なお、本実施形態の場合、上記した感光ドラム101、帯電ローラ102、露光装置104、現像装置105、転写ローラ108は、記録材Pにトナー像を形成する画像形成手段としての画像形成ユニット300を形成している。そして、本実施形態では、装置本体100Aに設けられた制御部120により、上記の画像形成ユニット300や定着装置111等の各部の動作が制御される。
【0017】
[定着装置]
次に、定着手段としての定着装置111について、図2を用いて説明する。本実施形態の定着装置111はフィルム加熱方式の加熱装置であり、装置本体100Aに交換自在に設けられている。図2に示すように、定着装置111は、加熱手段としてのヒータ305と、第一回転体としての無端状の定着フィルム303と、第二回転体としての円柱状もしくは略円柱状の回転自在な加圧ローラ302を有している。また、定着装置111は、ヒータ305の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ301a、301bと、ヒータ305の支持及び定着フィルム303の所定方向への移動のガイドを兼ねるヒータホルダ304とを有している。さらに、本実施形態の場合、定着装置111には例えば工場出荷前などに、予め定着装置111に係る各種情報などを記憶させておくことが可能なICメモリ205が取り付けられている。
【0018】
ヒータ305について、図3(a)乃至図3(c)を用いて説明する。図3(a)に示すように、ヒータ305は、記録材Pの搬送方向に交差する幅方向を長手方向とする低熱容量の横長の面状加熱体を有するセラミックヒータなどである。ヒータ305は、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)等の良熱伝導性セラミックスを主成分とするヒータ基板305aの一面上に、発熱体305cが設けられている。
【0019】
本実施形態では、例えば熱伝導率が「100W/(m・K)」の厚み「1mm」、幅「9mm」、長さ「280mm」のヒータ基板305aの一面に、厚み「20μm」、幅「2mm」、長さ「230mm」の発熱体305cが2本設けられている。図3(a)及び図3(c)に示すように、2本の発熱体305cは、例えばTaSiO2、AgPd、Ta2N、RuO2又はニクロム等の電気抵抗材料で、隙間「0.5mm」を空けて並列するように、スクリーン印刷により塗工・焼成されている。そして、発熱体305cが形成されたヒータ基板305aの一面側(摺動面側)は、定着フィルム303との摺動等からの保護のために、ガラス又はフッ素樹脂等を主成分とする保護層305bにより発熱体305cを含めてコートされている。これら2本の発熱体305cは、図3(a)に示すように、一端側で導電電極306に電気的に接続され、他端側でそれぞれが導電電極306を介してトライアック200に電気的に接続されている。
【0020】
本実施形態では、ヒータ305の定着フィルム303との非摺動面側に、図3(b)に示すように、サーミスタ301a、301bが配置されている。サーミスタ301aはヒータ305の長手方向中央部に配置され、サーミスタ301bはヒータ305の長手方向中央部から「115mm」離れた位置に配置されている。詳しくは、サーミスタ301aはヒータ305の長手方向において、定着ニップ部N2を通過する全てのサイズの記録材Pが通る最小サイズの通過領域内に配置され、通過領域内のヒータ305の温度を検知する。他方、サーミスタ301bは、搬送可能な最小サイズの記録材Pが通過する通過領域の外側(通過領域外)で、且つ定着フィルム303を加熱する発熱体305Cの加熱領域の内側(加熱領域内)に配置され、その位置におけるヒータ305の温度を検知する。
【0021】
図2に戻って、定着フィルム303は、その内周長がヒータホルダ304の略外周長より若干長く採られており、以って、定着フィルム303はヒータホルダ304に無張力にて外嵌できるようにしている。定着フィルム303は低熱容量化を図ることで、ヒータ305の加熱による温度上昇の立ち上がり(クイックスタート)を向上させている。例えば、定着フィルム303としては、膜厚が「400μm以下」好ましくは「30~80μm」程度の耐熱素材たるPTFE、PFA又はFEP等を主成分とする単層構造のものがある。あるいは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES又はPPS等やSUS、ニッケル等の金属材を主成分とする厚みが「約30μm」のベース層と、ベース層の外周面に厚みが「300μm」のシリコーンゴムの弾性層と、さらに弾性層上に厚みが「約20μm」のPTFE、PFA又はFEP等を主成分とする離形層が形成された複層構造のものがある。本実施形態では定着フィルム303として、直径「25mm」、総厚み「350μm」の複層構造のフィルム部材を用いた。
【0022】
加圧ローラ302は、芯金302aにシリコーンゴム・フッ素ゴム等の弾性層302bを設けて硬度を下げた弾性ローラである。また、表面性及びトナーTに対する離型性を向上させるため、弾性層302bの外周面にPTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層を設けていてもよい。加圧ローラ302は、定着装置111の外部に設けられた不図示の加圧機構により、定着フィルム303を介してヒータ305に向けて加圧されるようになっている。これにより、定着フィルム303と加圧ローラ302との間には、熱と圧力を加えながら記録材Pを挟持搬送してトナー像を記録材Pに定着する定着ニップ部N2が形成される。即ち、記録材Pが定着ニップ部N2を通過する際に、定着フィルム303と加圧ローラ302とに挟持搬送され、その際に記録材P上に形成されていた未定着のトナー像が熱により溶融され記録材P上に定着される。
【0023】
また、本実施形態の場合、加圧ローラ302は、定着装置111の外部に設けられた不図示の駆動機構から駆動力を受けることにより、矢印Y方向(ここでは反時計回り)に回転駆動される。定着フィルム303は、定着ニップ部N2で生じる摩擦力によって加圧ローラ302から回転駆動力が伝達されることで、加圧ローラ302の周速度と略同じ周速度をもって矢印X方向(時計回り)に回転する(所謂、加圧ローラ駆動方式)。その際には、定着フィルム303の内周面がヒータ305に摺動される。
【0024】
ヒータホルダ304は、ヒータ305を定着フィルム303に向かって押圧した状態で保持する。ヒータホルダ304は断面形状が半円弧形状となるように形成され、定着フィルム303の回転軌道を内側から規制する。ヒータホルダ304は、例えば「ゼナイト7755(デュポン)」などの高耐熱性の樹脂等により形成されている。
【0025】
次に、ヒータ305(詳しくは発熱体305C)への電力供給制御について、図2乃至図3(b)を参照しながら図4を用いて説明する。図4は、制御部120のヒータ温度制御系を示す制御ブロック図である。なお、制御部120は、図示した以外にも例えば画像形成ユニット300などの各構成要素を駆動する各種モータや電圧を印加する各種電源などが接続されている。しかし、ここでは発明の本旨でないので、それらの図示及び説明を省略する。
【0026】
制御手段としての制御部120は、画像形成動作などプリンタ100(図1参照)の各種制御を行うものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)203と、メモリ204とを有する。メモリ204はROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などにより構成され、プリンタ100を制御する各種プログラムや各種データ等が記憶されている。CPU203は、メモリ204に記憶されている例えば画像形成ジョブ(不図示)などの各種プログラムを実行可能であり、記録材Sに画像形成を行うようプリンタ100を動作させ得る。本実施形態の場合、その際に、ヒータ305への電力供給制御を行い、ヒータ305の温度を調整できるようにしている。なお、メモリ203は各種プログラムの実行に伴う演算処理結果などを一時的に記憶し得る。
【0027】
図4に示すように、制御部120には入出力インタフェースを介して、トライアック200、A/D変換回路202、ICメモリ205などが接続されている。発熱体305Cはトライアック200を介して商用電源201から電力供給を受けるようになっており、商用電源201から発熱体305Cへの電力供給がCPU203により制御される。
【0028】
サーミスタ301a、301bにより検知される温度が、A/D変換回路202によりデジタル情報に変換されて、発熱体305Cの温度情報としてCPU203に入力される。CPU203は、入力された発熱体305Cの温度情報とメモリ204に記憶済みの目標温度とを比較し、トライアック200を介し商用電源201から発熱体305Cへの電力供給をPID制御して、発熱体305Cの温度が目標温度になるように温調する。
【0029】
CPU203は、発熱体305Cの温度情報を所定周期毎に監視し、所定周期毎に発熱体305Cへの供給電力を補正し得る。本実施形態にあっては、所定周期期間において、商用電源201から出力される交流電源の半波毎に商用電源201から発熱体305Cへの電力供給に供されるか否かを選択する波数制御を採用している。なお、所定周期に亘る商用電源201から発熱体305Cへの供給電力量の調節は、波数制御の他に、商用電源201から出力される交流電源の半波毎に、位相範囲を決定する位相制御もある。
【0030】
サーミスタ301bは記録材Pの重送を検知するために設けられ、サーミスタ301bにより検知される温度(アナログ情報)が、A/D変換回路202によりデジタル情報に変換されて、CPU203に入力される。CPU203は、この入力された発熱体305Cの温度情報に基づき重送検知制御を行う。
【0031】
即ち、本実施形態は、サーミスタ301bの検出結果に従って、定着ニップ部N2に記録材Pが通過中の所定時間内におけるヒータ305の温度変化を検知することで、重送検知を行うものである。具体的には、図2で示す定着ニップ部N2の排紙側近傍に配置したセンサ307により記録材Pの先端を検知した時点のサーミスタ301bの検知温度T1と、記録材Pが定着ニップ部N2を通過中のサーミスタ301bの検知温度T2との差分(=T2-T1)が、所定温度以上に達した場合に、記録材Pの重送と判定して重送検知を行う構成である。この重送検知はCPU203で行われる。
【0032】
上記のサーミスタ301a、301bにより検知される温度(アナログ情報)は、A/D変換回路202によりデジタル情報に変換されてから、CPU203に入力される。本実施形態の場合、CPU203は入力されたデジタル情報をアナログ情報に戻し、そのアナログ情報によってサーミスタ301bの単位時間当たりの温度上昇率[℃/0.1s](区別するため、検知温度傾きΔTと呼ぶ)を求めることができる。アナログ情報とデジタル情報は比例関係でないため、アナログ情報によって検知温度傾きΔTを計算することで、デジタル情報によって検知温度傾きΔTを計算する場合よりも誤差が小さくなる。
【0033】
そして、本実施形態の場合、制御部120には入出力インタフェースを介して、定着装置111に設けられているICメモリ205が接続されるようになっている。ICメモリ205には、予めサーミスタ301bの「記憶温度傾きΔT0」が記憶済みである。「記憶温度傾きΔT0」は、定着装置111において定着フィルム303や加圧ローラ302、ヒータ305、サーミスタ301bなどが組み付けられた状態で予め測定された、サーミスタ301bの単位時間当たりの温度上昇率[℃/0.1s]である。それ故、ICメモリ205に記憶済みの「記憶温度傾きΔT0」は、取り付けられた定着装置111毎に異なり得る。
【0034】
[ヒータオフ温度変更処理]
次に、本実施形態のヒータオフ温度変更処理について、図1図2及び図4を参照しながら図5を用いて説明する。このヒータオフ温度変更処理は、制御部120により画像形成ジョブの開始に伴い実行開始されて、画像形成ジョブの終了に伴い実行終了される。
【0035】
図5に示すように、制御部120は、出力装置やユーザ入力可能な操作部(不図示)などから送られる画像形成ジョブの開始命令(プリント命令)を取得する(S1)。プリント命令を取得した場合、制御部120はICメモリ205から上記した「記憶温度傾きΔT0」を取得する(ステップS2)。制御部120は、給紙カセット107から取り出されトナー像が転写された記録材P(S3、S4)の先端(搬送方向下流端)が、定着ニップ部N2に侵入したタイミングで、サーミスタ301bの「検知温度T0」を取得する(S5、S6)。制御部120は、定着装置111の搬送方向上流側に設けられている入口センサ(不図示)の信号により、記録材Pが定着ニップ部N2に侵入したことを検知し得る。入口センサが設けられていない場合、制御部120は例えばレジストローラ対113から定着ニップ部N2までの記録材Pの搬送距離と、上記のプロセススピードとから、記録材Pが定着ニップ部N2に侵入するタイミングを予測し得る。
【0036】
また、制御部120は、記録材Pが定着ニップ部N2を通過中に、サーミスタ301bの「検知温度T0」を取得してから(S6参照)、n秒後にサーミスタ301bの「検知温度Tn」を取得する(S7)。さらに、制御部120は、「n+1」秒後にサーミスタ301bの「検知温度Tn+1」を取得する(S8)。即ち、本実施形態の場合、制御部120は記録材Pが定着ニップ部N2に侵入してから定着ニップ部N2を通過するまでの間、n秒(例えば0.1秒)毎にサーミスタ301bの温度を取得する。そして、制御部120は取得した「検知温度Tn」と「検知温度Tn+1」とに従って、「検知温度傾きΔTn+1(=検知温度Tn+1―検知温度Tn)」を求める(S9)。
【0037】
制御部120は、取得したサーミスタ301bの「検知温度Tn+1」(S8参照)つまりはヒータ温度が、「所定温度Ta」(例えば、260℃)より小さいか否かを判定する(S10)。サーミスタ301bの「検知温度Tn+1」(ヒータ温度)が「所定温度Ta」より小さい場合(S10のYes)、制御部120はステップS15の処理へジャンプする。サーミスタ301bの「検知温度Tn+1」(ヒータ温度)が「所定温度Ta」以上である場合(S10のNo)、制御部120は記録材Pの重送に起因するヒータ305の局所的な温度変化であるとして、記録材Pの重送を検知しステップS11の処理へ進む。
【0038】
制御部120は記録材Pの重送を検知すると、ヒータ305への電力供給を停止してヒータ305の温度上昇を抑制する必要がある。そのために、ヒータ305への電力供給を停止させる基準温度として、メモリ204に予め記憶されているヒータオフ温度(Toff1(℃))が設定されている。しかし、サーミスタ301bの単位時間当たりの温度上昇率によっては、ヒータオフ温度(Toff1(℃))に基づいてヒータ305をオフしても、温度上昇を抑制できずに、ヒータ305がより高温になることがあった。そこで、本実施形態では、ICメモリ205に記憶済みの「記憶温度傾きΔT0」に従って、基準温度に設定するヒータオフ温度を変えられるようにした。こうすることにより、サーミスタ301bの単位時間当たりの温度上昇率が異なる場合でも、適正にヒータ305への電力供給を停止してヒータ305の温度上昇を抑制することができる。
【0039】
図5の説明に戻り、制御部120は記録材Pの重送を検知した場合、ICメモリ205から「記憶温度傾きΔT0」を取得し、以下に挙げた条件のいずれかを満たすか否かを判定する。第一の条件として、制御部120は「記憶温度傾きΔT0≦T1(℃/0.1s)」且つ「検知温度傾きΔTn+1(S9参照)>α(℃/0.1s)」を満たすか判定する(S11)。第二の条件として、制御部120は「T1<記憶温度傾きΔT0≦T2(℃/0.1s)」且つ「検知温度傾きΔTn+1>β(℃/0.1s)」を満たすか判定する(S12)。第三の条件として、制御部120は「記憶温度傾きΔT0>T2(℃/0.1s)」且つ「検知温度傾きΔTn+1>γ(℃/0.1s)」を満たすか判定する(S13)。一例を挙げると、例えば「α=4」、「β=6」、「γ=8」、「T1=4」、「T2=6」である(後述の表1参照)。
【0040】
上記した3つの条件のいずれも満たさなければ(S11、S12、S13が共にNo)、制御部120はステップS15の処理へ進む。この場合、基準温度に設定されているヒータオフ温度(Toff1)に従って、ヒータ305への電力供給が停止される。
【0041】
他方、上記した3つの条件のいずれかを満たす場合(S11、S12、S13のいずれかがYes)、制御部120は、基準温度に設定するヒータオフ温度を変える(S14)。ここでは、基準温度が、メモリ204に記憶されているヒータオフ温度(Toff1)から、ヒータオフ温度(Toff1)よりも低いヒータオフ温度(Toff2(℃))に設定される。一例を挙げると、例えば「Toff1=285(℃)」、「Toff2=260(℃)」である(後述の表1参照)。その後、ステップS15の処理へ進む。
【0042】
ステップS15の処理として、制御部120は記録材Pの後端(搬送方向上流端)が定着ニップ部N2を通過したか否かを判定する(S15)。記録材Pの後端が定着ニップ部N2を通過していない場合(S15のNo)、制御部120はステップS7の処理へ戻り、ステップS7~S14の処理を繰り返す。記録材Pの後端が定着ニップ部N2を通過した場合(S15のYes)、制御部120は基準温度をメモリ204に予め記憶されているヒータオフ温度(Toff1(℃))に設定する。つまり、基準温度がヒータオフ温度(Toff2(℃))に変えられている場合には(S14参照)、記録材Pの後端が定着ニップ部N2を通過後に、基準温度を変更前のヒータオフ温度(Toff1)に戻す設定を行う。これは、記録材Pの重送を検知した場合、その次に定着ニップ部N2に向けて搬送される記録材Pは重送でない可能性があるからである。
【0043】
そして、制御部120は実行中の画像形成ジョブを終了するか否かを判定する(S17)。画像形成ジョブを終了しない場合(S17のNo)、制御部120はステップS5の処理に戻る。他方、画像形成ジョブを終了する場合(S17のYes)、制御部120は本実施形態のヒータオフ温度変更処理を終了する。
【0044】
表1に、上記したヒータオフ温度変更処理により設定される基準温度の一例を示す。表1では、「Toff1=285」、「Toff2=260℃」とした。
【表1】
【0045】
表1に示すように、ICメモリ205に記憶されている「記憶温度傾きΔT0」(温度上昇率)が第一上昇率(例えば、5(℃/0.1sec))である場合、基準温度は第一温度(285℃)に設定される。そして、「記憶温度傾きΔT0」が第一上昇率より小さい第二上昇率(例えば、3(℃/0.1sec))である場合、基準温度は第一温度よりも低い第二温度(260℃)に設定される。また、定着ニップ部N2を記録材Pが通過中にサーミスタ301bに検知される検知温度の単位時間当たりの温度上昇率(検知温度傾きΔTn+1)が、ICメモリ205に記憶されている「記憶温度傾きΔT0」よりも大きい場合、基準温度は低くされる。
【0046】
なお、本実施形態では、「α<β<γ」、「T1<T2」、「Toff1 >Toff2」の関係を満たしていれば、これらは表1に挙げた数値に限定されない。例えば、記録材Pの坪量が「105(g/m)」である場合と、「300(g/m)」である場合とで、「検知温度傾きΔTn+1」と比較する上記の閾値(α、β、γ)を変えてもよい。即ち、記録材Pの重送が生じた場合に、記録材Pの坪量が大きいほど、定着フィルム301と加圧ローラ302との間に隙間が生じやすくなることから、「検知温度傾きΔTn+1」(S9参照)が大きくなる。そうであるから、記録材Pの坪量が大きいほど、より大きい閾値(α、β、γ)との比較により、基準温度を低く設定する制御を行うようにしてよい。さらに、記録材Pの坪量、記録材Pの幅方向長さに応じて、「所定温度Ta」(S10参照)の値を変更するなどしてもよい。
【0047】
また、記録材Pの先端が定着ニップ部N2を通過する際の「検知温度Tn+1」に応じて、「検知温度傾きΔTn+1」に比較される閾値(α、β、γ)を変えてもよい。即ち、記録材Pの先端が定着ニップ部N2を通過する際のヒータ温度が高ければ、できる限り早くヒータ305への電力供給を停止させる方がよいので、より小さい閾値(α、β、γ)との比較により、基準温度を低く設定する制御を行うようにしてよい。
【0048】
次に、図6に示すタイミングチャートを用いて、本実施形態のヒータオフ温度変更処理について説明する。図6では、ICメモリ205に記憶されている「記憶温度傾きΔT0≦T1の場合を例に説明する。図6では上から順に、定着ニップ部N2における記録材Pの有無つまりは通過中であるかないか、サーミスタ301bの「検知温度Tn+1」、サーミスタ301bの「検知温度傾きΔTn+1」、基準温度を示した。なお、メモリ204に予め記憶されているヒータオフ温度(Toff1)は「285℃」であり、これが基準温度に初期設定されている。
【0049】
「検知温度傾きΔTn+1」が「4(℃/0.1s)」より大きく、且つ、サーミスタ301bの「検知温度Tn+1」が「260℃」より高いと、基準温度が「285℃」から「260℃」に変更される。即ち、記録材Pの重送である場合には、記録材Pが定着ニップ部N2を通過中は、ヒータ温度が局所的に上がり続ける。ヒータ温度が許容できない高温に到達するのを防止するために、記録材Pが定着ニップ部N2を通過するまでは、ヒータ305による定着フィルム303への加熱を強制的に停止する基準とする基準温度を下げる。そして、記録材Pが定着ニップ部N2を通過すると、基準温度は「260℃」から「285℃」に戻される。このように、本実施形態では、基準温度の設定を変更すると、記録材Pが定着ニップ部N2を通過するまで、変更後の基準温度が用いられる。
【0050】
なお、本実施形態では、基準温度を段階的(285℃から260℃)に変更する例を示したがこれに限らない。例えば、サーミスタ301bの「検知温度傾きΔTn+1」の大きさに応じて連続的に変更させるなどしてもよい。具体例を挙げると、「検知温度傾きΔTn+1」が「1℃/0.1s]大きくなるごとに、基準温度を所定の変化量(例えば1℃)ずつ下げるようにしてよい。そうする場合は、予め決められた上記の変化量をICメモリ205に記憶しておく。
【0051】
本実施形態の効果について、図2を参照しながら図7を用いて説明する。図7のA1、A2は、LGLサイズ(216mm×356mm)、坪量「105g/m」の記録材Pが4枚重送されて定着ニップ部N2を通過する重送時における、サーミスタ301bにより検知したヒータ305の温度推移である。A1は従来例で、A2は本実施形態である。図7のA3は、LGLサイズ(216mm×356mm)、坪量「105g/m」の記録材Pが1枚だけ定着ニップ部N2を通過する通常時における、サーミスタ301bにより検知したヒータ305の温度推移である。
【0052】
また、図7に示すエラー温度(例えば、297℃)は、ヒータ305自体が破損したり、あるいは定着フィルム303の一部を溶かしたりする温度である。そのため、ヒータ305の温度がエラー温度に達しないように管理する必要があり、本実施形態では、エラー温度に達する前に、ヒータ305をオフする。しかしながら、従来例の場合、A1に示したように、基準温度が「285℃」設定であるので、サーミスタ301bの「検知温度Tn+1」が「285℃」を検知するまで、ヒータ305はオフされない。そして、「検知温度Tn+1」が「285℃」を検知し、ヒータ305が直ちにオフされたとしても、ヒータ305の温度がエラー温度まで上昇し、ヒータ305自体が破損したり、定着フィルム303の一部を溶かしたりする。これは、ヒータ305やサーミスタ301bなどに蓄熱された熱の影響を受けるため、また記録材Pの重送時は通常時よりも定着フィルム301と加圧ローラ302との間に大きな隙間が生じ、熱が加圧ローラ302側へ逃げないためである。
【0053】
他方、A2に示すように、本実施形態の場合には、例えばサーミスタ301bの「検知温度傾きΔTn+1」が「4℃/0.1sであるとすると、基準温度が「260℃」に設定される。そのため、「検知温度Tn+1」が「260℃」を検知し、ヒータ305がオフされれば、ヒータ305やサーミスタ301bなどに蓄熱された熱の影響を受けても、ヒータ305の温度はエラー温度まで上昇しない。なお、A3に示した通常時では、サーミスタ301bの「検知温度傾きΔTn+1」が「4℃/0.1s」より小さいので、ヒータ305を「285℃」でオフしても、ヒータ305の温度がエラー温度まで上昇することはない。
【0054】
以上のように、本実施形態では、定着装置111に装着された状態で予め測定された、サーミスタ301bの単位時間当たりの温度上昇率(記憶温度傾きΔT0)が、定着装置111に設けられたICメモリ205に記憶されている。そして、記録材Pの重送時におけるヒータ305の温度上昇を抑制するためにヒータ305をオフする基準温度を、ICメモリ205に記憶されている「記憶温度傾きΔT0」に従って変更するようにした。即ち、ICメモリ205に記憶済みの「記憶温度傾きΔT0」に従って基準温度を変えることで、適正にヒータ305への電力供給を停止してヒータ305の温度上昇を抑制することができる。これにより、記録材Pの重送が生じたとしても、ヒータ305自体が破損したり、定着フィルム303の一部が溶けたりするほどまでに、ヒータ305は高温にならない。
【0055】
以上、本実施形態について説明したが、上述の実施形態に示した数値は一例であって、それらの数値に限定されるものでない。本発明を適用できる範囲において、上記した数値は適宜選択できる。また、本発明を適用できる範囲において、定着装置の構成を適宜変更してもよい。
【0056】
例えば、加圧ローラ302側にヒータ305を設けて定着フィルム303を加熱するローラ定着方式、セラミックヒータの代わりにコイルの電磁誘導によって定着フィルム303を加熱するIH定着方式の定着装置などに適用してもよい。また、定着フィルム303は、ヒータ305によってその内面を支持され、加圧ローラ302によって駆動される構成に限られない。例えば、複数のローラに架け渡された定着フィルム303が、これらの複数のローラのいずれかによって駆動されるユニット駆動方式であってもよい。さらに、定着ニップ部N2を形成するために、上述した加圧ローラ302のようなローラ部材を用いる代わりに、複数のローラに無端ベルトを架け渡した加圧ベルトを用いてもよい。
【0057】
なお、上述した実施形態では、感光ドラムに形成したトナー像を記録材に直接転写する直接転写方式について説明したが、感光ドラムに形成したトナー像を中間転写ベルトに転写する中間転写方式にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100…画像形成装置(プリンタ)、100A…装置本体、111…定着手段(定着装置)、120…制御手段(制御部)、205…記憶手段(ICメモリ)、300…画像形成手段(画像形成ユニット)、301b…温度検知手段(サーミスタ)、302…第二回転体(加圧ローラ)、303…第一回転体(定着フィルム)、305…加熱手段(ヒータ)、N2…ニップ部(定着ニップ部)、P…記録材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7