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特許7580980プログラム、検査情報管理方法、検査情報管理システム、端末装置、及び医用画像診断装置
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  • 特許-プログラム、検査情報管理方法、検査情報管理システム、端末装置、及び医用画像診断装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】プログラム、検査情報管理方法、検査情報管理システム、端末装置、及び医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20241105BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20241105BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H30/40
A61B5/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020149357
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043864
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潟山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】古閑 楠人
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 恒範
(72)【発明者】
【氏名】深野 敦史
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106553(JP,A)
【文献】特開2008-262260(JP,A)
【文献】国際公開第2014/157729(WO,A1)
【文献】特開2018-120384(JP,A)
【文献】AIが救う命 「スマートホスピタル」最前線 2 八王子から打倒GAFA AIで挑む攻めの医療,日経コンピュータ,日経BP,2019年11月28日,第1004号,pp.030~035,ISSN 0285-4619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置のコンピュータに、
第1医療施設に設けられた医用画像診断装置の診断によって得られる患者の第1医用情報を取得させ、
取得された前記第1医用情報を記憶部に格納させ、
前記第1医用情報に基づく第2医用情報を作成させ、
前記第2医用情報を提供可能である旨を示す提供可能情報を第2医療施設に提供させ
前記第2医療施設により提供される開示要求リストに応じた前記第2医用情報に含まれる情報を前記第2医療施設に提供させ、
前記開示要求リストは、前記第2医療施設の要求に応じて追加された項目を含む、
プログラム。
【請求項2】
前記端末装置のコンピュータに、
前記第2医用情報を暗号化させ、
前記記憶部に格納された前記第2医用情報を復号させ、前記第2医療施設に提供させる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記端末装置のコンピュータに、
前記第2医療施設に提供させる前記第2医用情報に含まれる項目を制限させる
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
端末装置のコンピュータに、
前記端末装置に設けられた情報表示装置に前記第2医用情報の項目を表示させる処理を実行させ、
前記端末装置のコンピュータに、
前記情報表示装置に表示された前記項目の中から患者が選択した、制限される項目の指示を受け付けさせる
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記端末装置のコンピュータに、
前記第2医療施設が送信した開示要求リストに基づいて、前記第2医療施設に提供する前記第2医用情報を選択させる
請求項1から4のうちいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
端末装置のコンピュータが、
第1医療施設における第1医用情報管理機器により送信される、医用画像診断装置による第1医用情報を取得し、
前記第1医用情報を記憶部に格納し、
前記第1医用情報に基づく第2医用情報を作成し、
前記第2医用情報を提供可能である旨を示す提供可能情報を第2医療施設に提供し
前記第2医療施設により提供される開示要求リストに応じた前記第2医用情報に含まれる情報を前記第2医療施設に提供し、
前記開示要求リストは、前記第2医療施設の要求に応じて追加された項目を含む、
検査情報管理方法。
【請求項7】
第1医療施設に設けられ、医用画像診断装置による患者の第1医用情報を端末装置に送信する第1医用情報管理機器と、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載のプログラムが実行されることにより、前記第1医用情報管理機器により送信された前記第1医用情報を取得して格納し、格納した前記第1医用情報に基づく第2医用情報を第2医療施設に提供する端末装置と、
前記第2医療施設に設けられ、前記端末装置から提供される前記第2医用情報を取得する第2医用情報管理機器と、を備える
検査情報管理システム。
【請求項8】
前記第2医用情報管理機器に提供された前記第2医用情報が、前記第2医用情報管理機器の保管部に保管される
請求項7に記載の検査情報管理システム。
【請求項9】
前記第2医用情報管理機器は、前記第2医療施設に設けられた医用画像診断装置によって得られた第1医用情報と、前記端末装置により送信された前記第2医用情報を統合する統合部、を更に備える
請求項7または8に記載の検査情報管理システム。
【請求項10】
第1医療施設における第1医用情報管理機器により送信される、医用画像診断装置による患者の第1医用情報を取得する取得部と、
前記第1医用情報を記憶部に格納し、前記記憶部に格納された前記第1医用情報に基づいて、第2医用情報を作成させて前記記憶部に格納する格納処理部と、
前記第2医用情報を提供可能である旨を示す提供可能情報を第2医療施設に提供するとともに、前記第2医療施設により提供される開示要求リストに応じた前記第2医用情報に含まれる情報第2医療施設に提供する提供部と、を備え
前記開示要求リストは、前記第2医療施設の要求に応じて追加された項目を含む、
端末装置。
【請求項11】
請求項10に記載の端末装置により前記第2医用情報を送信される第2医療施設に設けられ、患者を診断して医用情報を得るとともに、
第1医療施設における第1医用情報管理機器により送信される、前記第1医療施設に設けられた医用画像診断装置の診断によって得らえる前記患者の第1医用情報に基づく第2医用情報を取得する
医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、プログラム、検査情報管理方法、検査情報管理システム、端末装置、及び医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設において、X線CT装置をはじめとする検査機器での検査情報は、例えば、病院情報システム(Hospital Information Systems、以下「HIS」)等の情報システムに送信され、検査対象となる患者の患者情報とともに蓄積されている。蓄積された検査情報は、医療施設に設けられた院内端末もしくは医療施設と、この医療施設と連携される連携施設機との間で参照され、診断は治療だけでなく、検査の最適化に用いられることもある。また、医療施設は、必要に応じて、DVDなどのメディアに検査情報を出力し、メディアが検査情報等を格納することが可能である。
【0003】
従来の情報システムでは、患者情報及び検査情報は、医療施設ごとに管理されることが一般的である。このため、複数の医療施設間で患者情報及び検査情報が共有されるケースは少なかった。患者情報及び検査情報を共有して利用活用するとなると、例えば広域的な取り組みが必要となり、複数の医療施設間でのシステム構築、セキュリティ、個人情報の取り扱いの管理など、複雑な条件が要求される。
【0004】
現状の医療施設が出力するメディアに含まれる検査情報は、1回の検査についての単一検査の情報が多く、さらには、可用性を重視するためにセキュリティレベルが低いことが多かい。この検査情報は、汎用的な装置で参照可能な形でメディアに格納されていることが多く、メディアを紛失した際に個人情報が漏洩する可能性がある。さらに、このメディアは読み取り専用形式であることが多く、更新情報を共有する際には、改めて他のメディアに出力する必要がある。したがって、患者単位での累積的な検査情報の蓄積が難しく、例えば、X線CT装置による検査情報を用いた線量管理等の実施や検査プロトコルの最適化に活かしきれていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6570725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、施設間における患者単位での医用情報の共有を可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のプログラムは、端末装置のコンピュータに、第1医療施設における第1医用情報管理機器により送信される、医用画像診断装置の診断によって得られる患者の第1医用情報を取得させ、前記第1医用情報を記憶部に格納させ、前記第1医用情報に基づく第2医用情報を、第2医療施設における第2医用情報管理機器に提供させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の検査情報管理システム1の構成の一例を示す図。
図2】第1院内システム100-1の構成の一例を示す図。
図3】医用情報の内容の一例を示す図。
図4】検査情報の内容の一例を示す図。
図5】第2院内システム100-2の構成の一例を示す図。
図6】検査情報管理システム1の処理の一例を示すシーケンス図。
図7】検査情報管理システム1の処理の一例を示すシーケンス図。
図8】第2院内システム100-2における処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態のプログラム、検査情報管理方法、検査情報管理システム、端末装置、及び医用画像診断装置について説明する。
【0010】
図1は、実施形態の検査情報管理システム1の構成の一例を示す図である。検査情報管理システム1は、例えば、第1院内システム100-1と、第2院内システム100-2と、端末装置400と、を備える。第1院内システム100-1は第1医療施設H1、第2院内システム100-2は第2医療施設H2にそれぞれ設置されている。第1院内システム100-1及び第2院内システム100-2と端末装置400とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。以下の説明において、第1院内システム100-1及び、第2院内システム100-2を総称して院内システム100、第1医療施設H1及び第2医療施設H2を総称して医療施設Hということがある。端末装置400と通信可能である医療施設100は、2つに限られず、3つ以上でもよい。
【0011】
第1院内システム100-1は、例えば大規模の病院で採用される院内システムであり、モダリティの他に患者の情報管理を行う情報システムが設けられている。第2院内システム100-2は、例えば小規模の病院で採用される院内システムであり、患者の情報管理を行う情報システムは設けられておらず、モダリティとしての医用画像診断装置において、患者等の情報管理が行われる。
【0012】
図2は、第1院内システム100-1の構成の一例を示す図である。第1院内システム100-1は、例えば、モダリティ110と、放射線科情報システム(Radiology Information System、以下「RIS」)120と、病院情報システム(Hospital information system、以下「HIS」)130と、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication Systems、以下「PACS」)140と、表示装置150と、送受信装置160と、近距離通信装置170と、を備える。
【0013】
モダリティ110は、医用画像診断装置112と、各種検査機器114と、を含む。医用画像診断装置112は、医用画像を撮像して診断するための装置であり、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などが含まれる。各種検査機器114は、モダリティ110のうち医用画像診断装置112を除いた機器である。
【0014】
RIS120は、例えば、医用画像診断装置112を用いた検査と、治療の予約から検査結果までを管理する。RIS120は、超音波、内視鏡、眼底などの非放射線による検査と治療も一元的に管理可能である。RIS120は、医用画像診断装置112などにより得られるX線画像の情報やX線画像を撮影する際の各種情報などの医用情報(第1医用情報)を取得してHIS130に提供する。
【0015】
図3及び図4は、医用情報の内容の一例を示す図である。医用情報は、例えば、患者情報、画像情報、検査情報、線量情報、検査日時、検査の詳細などの情報を含む。医用情報は、例えば、テーブル形式で表され、図3に示すカテゴリベース(カテゴリ単位)で表されてもよいし図4に示す検査ベース(検査単位)で表されてもよい。
【0016】
カテゴリベースで表される医用情報において、患者情報は、例えば、氏名、生年月日、診療履歴やアレルギーに関する情報を含む。画像情報は、例えば、医用画像診断装置112を含むモダリティ110で撮影・作成された画像や撮影時の心電図、呼吸波形情報、HIS130の臨床アプリケーションによって出力された結果・レポート画像を含む。検査情報は、検査日時および撮影プロトコル(撮影条件、再構成条件)情報、造影剤注入情報(造影情報)やデバイスの制御情報を含む。線量情報は、病院内医療用画像規格線量レポート(Radiation Dose Structured Report;RDSR)などの線量レポート情報や部位別でのX線被ばく分布等、放射線を使用する装置において生じた患者・検査単位の被ばく線量の情報を含む。検査情報は、その他の情報を含んでいてもよい。例えば、X線画像を表示装置に表示する際の表示条件を含んでいてもよい。
【0017】
検査ベースで表される医用情報において、検査日時は、検査が実施された日時の情報を含み、詳細は、検査日時に実施された検査の内容を示す。図5に示す例では、例えば、20xx年5月10日に胸部レントゲンの検査が実行されたことを示している。詳細情報には、ここでは示さないが、撮影プロトコルや造影剤注入情報などの情報が含まれる。
【0018】
HIS130は、例えば、第1医療施設H1内における各種情報システムを含む。各種情報システムは、例えば、自動受付システム、医事会計システム、電子カルテシステム、薬局管理システム、入退院管理システム、診療予約システムを含む。HIS130は、RIS120により提供される第1医用情報などの各種情報を記憶部に格納する。HIS130は、RIS120により提供された第1医用情報を、端末装置400に向けて送受信装置160に送信させる。HIS130は、RIS120により提供された第1医用情報を近距離通信装置170に出力する。第1院内システム100-1におけるHIS130は、医用情報管理機器の一例である。
【0019】
PACS140は、モダリティ110から出力された画像情報などを記憶部に格納して保存するとともに、表示装置150に表示させるシステムである。PACS140は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバと称する画像サーバを備えている。PACS140は、DICOM送信機能を持つモダリティ110により送信された画像情報を取得し、記憶部に格納する。PACS140は、例えば操作者の要求に応じて、画像サーバに保存された画像を表示装置150に表示される。
【0020】
表示装置150は、例えば、ディスプレイであり、例えば、PACS140等の情報システムの制御に応じて、X線画像などの各種画像やテキスト情報などの情報を表示する。送受信装置160は、HIS130の指令に従い、第1医用情報を、ネットワークNWを介して、端末装置400に送信する。第1医用情報は、医療施設H内の受付や各モダリティ110の検査室内での各種通信手段等によってネットワークNWを通じて送信されてもよい。院内システム100と端末装置400の間の通信は、例えば、無線LAN、セルラー網、Wifi網を利用したネットワークNWを介した通信としてよい。
【0021】
近距離通信装置170は、端末装置400からの要求に応じて、HIS130により出力された第1医用情報を端末装置400に向けて送信する。近距離通信は、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、赤外線通信などの近距離無線通信でもよいし、二次元コードを介した通信でもよい。
【0022】
院内システム100と端末装置400との情報の送受信は、ネットワークNWを介した通信と、近距離通信を介した通信の双方で実行することができる。院内システム100と端末装置400との情報の送受信は、ネットワークNWを介した通信と、近距離通信を介した通信の一方で実行することができるものでもよい。
【0023】
近距離通信装置170は、二次元コードを介した通信を実行する際に、二次元コード、例えばQRコード(登録商標)をタッチパネル420に表示させたり、院内システム100の表示装置150や別途設けられた二次元コード表示装置に表示された二次元コードを読み込んだりする機能でもよい。二次元コードを介した第1院内システム100-1の端末装置400の情報のやり取りについては、後述する。
【0024】
図5は、第2院内システム100-2の構成の一例を示す図である。第2院内システム100-2は、例えば、モダリティ210と、表示装置220と、送受信装置230と、近距離通信装置240と、保管部250と、を備える。モダリティ210は、例えば、医用画像診断装置212と、各種検査機器214を含む。
【0025】
医用画像診断装置212は、例えば、リスト作成部216と、統合部218と、を備える。医用画像診断装置212は、第1院内システム100-1における医用画像診断装置112と同様の機能を備えるとともに、リスト作成部216と、統合部218による機能を備える。
【0026】
リスト作成部216は、医用画像診断装置212を用いて診断を行う医師の操作に基づいて、開示要求リストを作成する。開示要求リストは、医用情報に含まれる項目のうち、診断に必要となる検査の項目を指定するリストである。リスト作成部216は、作成した開示要求リストを、送受信装置230または近距離通信装置24を用いて、端末装置400に送信する。
【0027】
統合部218は、医用画像診断装置212の診断結果に基づく第1医用情報と、端末装置400により送信される第2医用情報とを統合する。統合部218は、医用画像診断装置212を用いた検査を終了したとき、または診察終了時に必要な情報を第2医用情報に統合する。統合する情報に関しては、第2院内システム100-2において自動的に決定してもよいし、医師や技師が手動で決定してもよい。
【0028】
例えば、診断の根拠となった画像等が第2医用情報に含まれるため、保管が必要であると判断すれば、医師は、その画像の格納を決定して統合してもよいし、検査条件に関しても同様に、保管が必要であると判断すれば、医師は、その検査条件の格納を決定して統合してもよい。統合部218は、線量情報に関しては自動的に統合してもよいし、技師等が線量情報を抽出し統合してもよい。医用画像診断装置212は、統合した医用情報に基づく画像を表示装置220に表示させる。
【0029】
このとき、医用画像診断装置212は、自らの診断によって得られた医用情報と、第2医用情報とを、識別可能となるように表示装置220に表示させてもよい。リスト作成部216及び統合部218は、第2院内システム100-2における医用画像診断装置212以外の領域に設けられていてもよい。第1院内システム100-1のように、HIS130などの情報システムを備える院内システム100では、リスト作成部216及び統合部218は、これらの情報システムに設けられていてもよい。
【0030】
第2院内システム100-2においては、第1院内システム100-1のようなRIS、HIS、PACSを備えていないため、医用画像診断装置212は、例えば、自ら第1医用情報を作成する。医用画像診断装置212は、第1院内システム100-1のHIS130のように、第1医用情報などの各種情報を記憶部に格納する。医用画像診断装置212は、作成した第1医用情報を、端末装置400に向けて送受信装置160に送信させる。医用画像診断装置212は、作成した第1医用情報を近距離通信装置240に出力する。第2院内システム100-2における医用画像診断装置212は、医用情報管理機器の一例である。医用情報管理機器は、医用画像診断装置以外の装置でもよいし、医用画像診断装置自体であってもよい。
【0031】
第2院内システム100-2における各種検査機器214、表示装置220、送受信装置230、及び近距離通信装置240は、第1院内システム100-1の各種検査機器114、表示装置150、送受信装置160、及び近距離通信装置170とそれぞれ同様の機能を備える。
【0032】
保管部250は、端末装置400により送信される第2医用情報を保管する。保管部250は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子により実現される。保管部250は、医用画像診断装置212に設けられていてもよいし、第2院内システム100-2におけるその他の領域に設けられていてもよい。
【0033】
保管部250は、ハードディスク、光ディスク等により実現されてもよい。第2医用情報は、保管部250以外のROM、microSDカード等の外部メディア、ストレージ等に格納されてもよいし、第2院内システム100-2が通信可能な外部ネットワークを使用したデータ共有やクラウド経由により、例えば外部メモリに記憶されてもよい。保管部250は、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものであり、例えば、iCloud(登録商標)、Google Drive、Microsoft One Drive(登録商標)等のクラウドストレージサービス等であってもよい。
【0034】
保管部は、第1院内システム100-1など、情報システムを備える院内システム100に設けられていてもよい。第1院内システム100-1では、保管部は、例えば、RIS120、HIS130、PACS140にいずれかに設けられていてもよいし、第1院内システム100-1におけるその他の領域に設けられていてもよい。保管部は、第1院内システム100-1が通信可能な他の機器等に設けられていてもよい。
【0035】
端末装置400により第2医用情報を提供された医用画像診断装置212は、例えば、第2医用情報を保管部250に格納して保管する。医用画像診断装置212を用いて診断を行う医師は、例えば、保管部250に保管された第2医用情報に基づいて検査の必要性を判断する。医師は、判断の結果、必要に応じて検査オーダーを発行する。
【0036】
医師は、診断に必要な情報が第2医用情報に含まれている状況であれば、検査を実施せず、第2医用情報をそのまま診断に活用する。診断に必要な情報が、フォローアップ等が必要な情報であれば、医師は、第2医用情報を使用して条件の最適化を実施する。またX線CT装置等の放射線被ばくを伴う検査を行う場合においては、医師は、第2医用情報に含まれる線量情報を参照し、医療被曝の最適化を図る目的で第2医用情報を使用してもよい。医師は、第2医用情報と組み合わせて他施設との撮影プロトコルの比較実施・最適化を行ってもよい。医師は、患者安全の観点で、患者情報を用いた本人確認による患者取り違え防止、および造影剤アレルギー等の事前共有による造影検査中止もしくは軽減策等、アナキラフィシーショック対策に第2医用情報を用いてもよい。
【0037】
第2医用情報の提供を受けた第2院内システム100-2は、第2医用情報に含まれるプロトコルや画像を過去検査の情報として、既存のプロトコルや画像と統合し、線量管理や造影剤管理に活かすことができる。第2院内システム100-2は、撮影条件を調整するための参照情報として、第2医用情報に含まれる過去のプロトコルや画像を利用することができる。
【0038】
実施形態では、RIS120やHIS130などの情報システムを備える第1院内システム100-1が、第1医用情報を端末装置400に送信し、端末装置400は、RIS120やHIS130などの情報システムを備えてない第2院内システム100-2に第2医用情報を提供する。これに対して、情報システムを備えない院内システムが第1医用情報を端末装置400に送信してもよいし、端末装置400は、情報システムを備える院内システムに第2医用情報を提供してもよい。情報システムを備える院内システムが端末装置400により第2医用情報の提供を受ける場合には、院内システムの保管部に保管される第2医用情報は、RIS120、HIS130、電子カルテ等で参照できるようにしてもよい。
【0039】
端末装置400は、例えば、送受信インターフェース410と、タッチパネル420と、処理回路430と、メモリ440と、近距離通信インターフェース450と、を備える。端末装置400は、例えば、患者が所有する端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウオッチなどの携帯端末装置、ラップトップパーソナルコンピュータなどの可搬型端末装置である。実施形態の端末装置は、スマートフォンである。端末装置400には、例えば、院内システム100との間で医用情報を送受信するためのプログラム(アプリケーションプログラム)が起動していることを前提とする。端末装置400は、院内システム100により送信される医用情報(第1医用情報)をメモリ440に格納して管理する。
【0040】
送受信インターフェース410は、院内システム100により送信される第1医用情報を含む各種情報を受信する。送受信インターフェース410は、受信した各種情報を処理回路430に出力する。送受信インターフェース410は、処理回路430により出力された第2医用情報を含む各種情報を、ネットワークNWを介して、医療施設Hの院内システム100に送信する。
【0041】
タッチパネル420は、患者が情報を入力する入力インターフェースと、情報を表示する出力インターフェースとして機能する。
【0042】
処理回路430は、例えば、取得機能431と、格納処理機能432と、暗号化機能433と、復号機能434と、制限機能436と、表示制御機能435と、提供機能437と、を備える。処理回路430は、例えば、ハードウェアプロセッサがメモリ(記憶装置、記憶回路)440に格納されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0043】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device;SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device;CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array;FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。メモリ440にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0044】
取得機能431は、院内システム100により送信された第1医用情報を取得する。取得機能431は、取得した第1医用情報を、格納処理機能432に出力する。格納処理機能432は、取得機能431により出力された第1医用情報を、メモリ440に格納された医用情報と統合して、第2医用情報を作成する。格納処理機能432は、作成した第2医用情報を新たな医用情報(第2医用情報)としてメモリ440に格納する。取得機能431は、取得部の一例であり、格納処理機能432は、格納処理部の一例であり、メモリ440は、記憶部一例である。
【0045】
暗号化機能433は、第2医用情報をメモリ440に格納する際に、第2医用情報を暗号化する。復号機能434は、メモリ440に格納された第2医用情報を読み出す際に、暗号化された第2医用情報を復号する。暗号化機能433は、メモリ440に記憶された医用情報を第2医用情報として院内システム100に提供する際に、第2医用情報を再度暗号化する。
【0046】
暗号化機能433による暗号化及び復号機能434による復号は、必要に応じて行われればよい。例えば、暗号化機能433は、患者や医療施設Hが指定した場合に第2医用情報を暗号化するようにしてもよい。復号機能434は、例えば、第2医用情報の全てを復号してもよいし、第2院内システム100-2により送信された開示要求リストに含まれる項目を復号し、開示要求リストに含まれない項目は復号しないようにしてもよい。
【0047】
暗号化機能433は、第2医用情報を暗号化する際に、例えば、患者が決定した暗号キーを用いてもよいし、患者の生体情報を用いてもよい。患者の生体情報を用いた情報は、例えば、指紋、掌紋、声紋、虹彩、静脈、顔等の3次元データを含む。
【0048】
表示制御機能435は、格納処理機能432が作成した第2医用情報の項目をタッチパネル420に表示させる。表示制御機能435は、第2医用情報の項目をタッチパネル420に表示させることにより、タッチパネル42に対する入力操作によって、医療施設Hに提供することによる公開を制限する情報を患者に選択させる。タッチパネル420は、情報表示装置の一例であり、表示制御機能435は、表示制御部の一例である。
【0049】
制限機能436は、例えば、タッチパネル420に表示された第2医用情報の項目の中から患者が選択することで、提供が制限される項目の指示を受け付ける。制限機能436は、受け付けた患者の指示に応じて、第2医用情報のうち、公開する情報を制限する。制限機能436は、第2医用情報のうち、患者が公開を制限した項目を除いた項目を含む第2医用情報を生成する。暗号化機能433は、制限機能436によって制限された第2医用情報を暗号化する。図3及び図4において、情報の公開が制限されておらず、開示可能な項目には開示の欄にチェックマークが付されている。
【0050】
制限機能436は、患者自身が選択した情報の公開を制限することで、医療施設H側からは、制限された情報を参照したり利用したりすることができなくなる。制限機能436は公開を制限する情報を決めておいてもよいし、医療施設Hに医用情報を提供するときに決定してもよい。制限機能436は、医療施設H側から要求される必要な情報を基に開示範囲を決定してもよい。
【0051】
表示制御機能435は、制限機能436により制限が付された第2医用情報を、タッチパネル420に表示させる。表示制御機能435は、例えば、医療施設Hの受付や医用画像診断装置112の検査室等において、第2医用情報を、例えば図3及び図4に示すように、テーブル形式でタッチパネル420に表示させることで、第2医用情報を開示することができる。表示制御機能435は、格納処理機能432が統合する前の第1医用情報と第2医用情報をタッチパネル420に表示させてもよい。このとき、表示制御機能435は、第1医用情報と第2医用情報を患者が識別可能となるように表示させてもよい。
【0052】
提供機能437は、制限機能436により制限が付されていない第2医用情報を、ネットワークNWを介して院内システム100に向けて送受信インターフェース410に送信させる。提供機能437は、院内システム100により開示要求リストが送信されている場合には、開示要求リストに含まれる項目を含み、制限機能436により制限されていない項目を含む第2医用情報を、ネットワークNWを介して院内システム100に向けて送受信インターフェース410に送信させる。提供機能437は、第2医用情報を送受信インターフェース410に送信させることにより、第2医用情報を院内システム100に提供する。提供機能437は、提供部の一例である。
【0053】
医療施設Hは、端末装置400により第2医用情報を提供されるにあたり、端末装置400から取得可能な第2医用情報を全部取り込んでもよいし、検査で必要となる最小限の情報を取り込んでもよい。医療施設Hは、端末装置400により第2医用情報を提供される時には、事前に端末装置400上でメモリ440に格納された第2医用情報の復号を実施してもらい、そのまま情報の提供を受けてもよいし、要求する情報を指定して端末装置400に復号を実施してもらい、情報の提供を受けてもよい。提供された情報に不足がある場合には、端末装置400の患者に対して別途通知を行い、情報の提供を促すようにしてもよい。例えば、医療施設Hにおいて、X線CT装置による診断を実施する場合には、該当する検査情報や線量情報が有用な情報となるため、その情報があるかどうかを端末装置400に確認し、情報の要求を行ってもよい。医療施設Hは、問診から想定される診察内容を想定し、あらかじめ情報の要求を行ってもよい。
【0054】
メモリ440は、格納処理機能432が作成した医用情報を記憶する。メモリ440は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子により実現される。端末装置が載置型端末装置である場合、メモリ440は、例えば、ハードディスク、光ディスク等により実現されてもよい。医用情報は、端末装置400内のメモリ440以外のROM、microSDカード等の外部メディア、ストレージ等に格納されてもよいし、端末装置400が通信可能な外部ネットワークを使用したデータ共有やクラウド経由により、例えば外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものであり、例えば、iCloud、Google Drive、Microsoft One Drive等のクラウドストレージサービス等である。
【0055】
近距離通信インターフェース450は、院内システム100に設けられた近距離通信装置170との間で近距離通信を実行可能な装置である。近距離通信インターフェース450は、NFC、Bluetooth、DSRC、赤外線通信などの近距離無線通信を介して、第2医用情報を第2医療施設H2に送信する。
【0056】
近距離通信インターフェース450は、二次元コードを介した通信を実行して第1医用情報を取得する際には、院内システム100の近距離通信装置170が表示する二次元コードを読み込む。近距離通信インターフェース450は、第2医用情報を提供する際には、第2医用情報を含む二次元コードをタッチパネル420に表示させる。
【0057】
ここで、二次元コードを介した第1院内システム100-1の端末装置400の情報のやり取りについて説明する。例えば、第1院内システム100-1が端末装置400に医用情報を送信するにあたり、HIS130は、第1医用情報を含む二次元コードを作成し、表示装置150等に表示させる。端末装置400は、後述する近距離通信インターフェース450を用いては、表示装置150等に表示された二次元コードを読み込んで第1医用情報を読み取り、取得機能431に出力する。
【0058】
一方、端末装置400が院内システム100に第2医用情報を提供するにあたり、提供機能437は、例えば、メモリ440に記憶された第2医用情報を含む二次元コードを作成する。近距離通信インターフェース450は、提供機能437が作成した二次元コードをタッチパネル420に表示させる。例えば、第2院内システム100-2は、二次元コードを読み込むリーダを備えており、タッチパネル420に表示された二次元コードを読み込んで第2医用情報を読み取り、HIS130に出力する。
【0059】
端末装置400の格納処理機能432は、院内システム100に設けられた統合部218と同様の統合機能を備えている。例えば、端末装置400が第2医用情報の全情報を開示していない場合は、端末装置400の格納処理機能432で統合を行う。第2医用情報におけるそれぞれの情報は、例えば、ユニークIDもしくはタグにて管理され、重複した情報は格納しないようにする。第2医用情報の更新は情報の格納時に行ってもよいし、事前に実施してもよい。第1医用情報と第2医用情報が異なる場合はそれぞれの情報を統合することにより、最新の状態に保つことができる。
【0060】
次に、検査情報管理システム1の処理について説明する。図6及び図7は、検査情報管理システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。ここでは、第1院内システム100-1における医用画像診断装置112による検査に基づいて作成した第1医用情報を端末装置400に送信し、端末装置400が作成した第2医用情報を第2院内システム100-2に送信する例について説明する。ここでの端末装置400は、第1医療施設H1において、医用画像診断装置112による検査を受けた患者が所有する携帯端末装置である。
【0061】
まず、第1院内システム100-1が作成した第1医用情報を端末装置400がメモリに格納するまでの処理について説明する。第1院内システム100-1は、医用画像診断装置112における検査が終了したか否かを判定する(ステップS101)。検査が終了していないと判定した場合、第1院内システム100-1は、ステップS101の処理を繰り返す。検査が終了したと判定した場合、RIS120は、第1医用情報を作成する(ステップS103)。
【0062】
続いて、HIS130は、端末接続を要求するための接続情報を、端末装置400に向けて、送受信装置160に送信させる(ステップS105)。接続情報を送信された端末装置400は、接続を承認するか否かを判定する(ステップS107)。接続を承認する場合には、端末装置400は、承認情報を第1院内システム100-1に送信する(ステップS109)。接続を承認しない場合には、端末装置400は、否認情報を第1院内システム100-1に送信する(ステップS111)。
【0063】
続いて、第1院内システム100-1は、承認情報を受信したか否かを判定する(ステップS113)。承認情報を受診しておらず否認情報を受信したと判定した場合、検査情報管理システム1は、そのまま図6に示す処理を終了する。承認情報を受信したと判定した場合、第1院内システム100-1は、第1医用情報を転送のために暗号化し(ステップS115)、端末装置400に転送する(ステップS117)。
【0064】
続いて、端末装置400は、第1院内システム100-1により送信された第1医用情報を受信し、第1医用情報を復号する(ステップS119)。続いて、格納処理機能432は、受信した第1医用情報とメモリ440に格納された医用情報を比較し、統合対象となる情報が第1医用情報に含まれているか否かを判定する(ステップS121)。
【0065】
統合対象となる情報が第1医用情報に含まれてないと判定した場合、格納処理機能432は、処理をステップS129に進める。統合対象となる情報が第1医用情報に含まれていると判定した場合、格納処理機能432は、第1医用情報に含まれる情報に、記憶部に格納された医用情報と重複する重複情報が含まれているか否かを判定する(ステップS123)。重複情報が含まれていないと判定した場合、格納処理機能432は、処理をステップS127に進める。
【0066】
重複情報が含まれていると判定した場合、格納処理機能432は、重複除外処理を実行し(ステップS125)、重複する項目を除外して、メモリ440に格納された医用情報と第1医用情報を統合して第2医用情報を作成する(ステップS127)。続いて、暗号化機能433は、作成した第2医用情報を暗号化し(ステップS129)、格納処理機能432は、暗号化された第2医用情報をメモリ440に格納する。こうして、検査情報管理システム1は、図6に示す処理を終了する。
【0067】
続いて、端末装置400が記憶する第2医用情報を第2院内システム100-2が取得して格納するまでの処理について説明する。まず端末装置400は、メモリ440に格納済の第2医用情報があるか否かを判定する(ステップS201)。メモリ440に格納済の第2医用情報が無いと判定した場合、検査情報管理システム1は、図7に示す処理を終了する。
【0068】
メモリ440に格納済の第2医用情報があると判定した場合、端末装置400は、第2医用情報を提供可能である旨を示す提供可能情報を第2院内システム100-2に送信する(ステップS203)。続いて、リスト作成部216は、開示要求リストを作成する(ステップS205)。
【0069】
ここで、リスト作成部126において開示要求リストを作成して端末装置400に送信するまでの手順について説明する。図8は、第2院内システム100-2における処理の一例を示すフローチャートである。開示要求リストを作成するにあたり、リスト作成部216は、医師が発行した検査オーダーを取得する(ステップS301)。検査オーダーは、医用画像診断装置212による診断で利用される検査のオーダーである。
【0070】
続いて、第2院内システム100-2は、患者情報の要求を開示要求リストに追加する(ステップS303)。続いて、第2院内システム100-2は、診断に利用する検査の項目として、放射線被ばくを伴う検査があるか否かを判定する(ステップS305)。放射線被ばくを伴う検査がないと判定した場合、第2院内システム100-2は、処理をステップS313に進める。
【0071】
放射線被ばくを伴う検査があると判定した場合、リスト作成部216は、線量情報の要求を開示要求リストに追加する(ステップS307)。続いて、リスト作成部216は、診断に利用する検査として、X線CT装置による検査であるか否かを判定する(ステップS309)。診断に利用する検査がX線CT装置による検査でないと判定した場合、リスト作成部216は、処理をステップS313に進める。
【0072】
診断に利用検査がX線CT装置による検査であると判定した場合、リスト作成部216は、撮影プロトコルの要求を開示要求リストに追加する(ステップS311)。続いて、リスト作成部216は、診断に利用する検査が造影剤を使用する検査であるか否かを判定する(ステップS313)。診断に利用する検査が造影剤を使用する検査でないと判定した場合、第2院内システム100-2は、図8に示す処理を終了する。
【0073】
診断に利用する検査が造影剤を使用する検査であると判定した場合、リスト作成部216は、造影情報の要求を開示要求リストに追加する(ステップS315)。こうして、第2院内システム100-2は、図8に示す処理を終了する。
【0074】
図7に示す処理に戻り、第2院内システム100-2は、作成した開示要求リストを端末装置400に送信する(ステップS207)。端末装置400は、開示要求リストに含まれる項目について、開示の制限がされておらず、開示が承認されているか(開示が可能となっているか)否かを判定する(ステップS209)。
【0075】
開示要求リストに含まれる項目の開示が承認されていないと判定した場合、検査情報管理システム1は、図7に示す処理を終了する。開示要求リストに含まれる項目の開示が承認されていると判定した場合、復号機能434は、メモリ440に格納された第2医用情報を読み出して復号する(ステップS211)。
【0076】
続いて、暗号化機能433は、復号した第2医用情報を、転送のための暗号化し(ステップS213)、第2院内システム100-2に転送する(ステップS215)。第2院内システム100-2は、端末装置400により送信された第2医用情報を受信し、第2医用情報を復号する(ステップS217)。続いて、第2院内システム100-2は、復号した第2医用情報を記憶部に格納する(ステップS219)。こうして、検査情報管理システム1は、図7に示す処理を終了する。
【0077】
実施形態の検査情報管理システム1は、医療施設の診断によって得られた医用情報を患者の端末装置400に格納し、他の医療施設に提供する。このため、複数の医療施設における診断の結果を患者が医療施設に提供することができる。したがって、施設間における患者単位での医用情報の共有を可能にすることができ、重複した検査などを行わないで済ませることができる。
【0078】
実施形態の検査情報管理システム1は、端末装置400により、患者自身で医用情報を格納して管理する。このため、医用システムにおいて、広域的なデータ管理の必要をなくすことができ、フレキシブルな対応をとることができる。さらに、端末装置400で医用情報を管理することにより、患者単位での包括的な検査管理の実施が可能となり、施設間だけではなく、他施設との情報共有をきめ細かに行うことができる。したがって、検査内容を見直しやすくすることができる。さらに、重複した検査を排除することができるので、検査実施数の適正化やリソースの有効活用を図ることができる。
【0079】
上記の実施形態では、院内システム100による端末装置400に対する第1医用情報の送信は、検査の終了をトリガーとして実行されるが、医用画像診断装置112内での検査終了通知をトリガーとして実行されてもよい。第1医用情報は、モダリティワークリスト管理(Modality Worklist Management;MPPS)の通知、検査会計、退院の際に一括で送信されてもよい。院内システム100により端末装置400に送信される第1情報は、通信の際に公開鍵方式等を用いてもよいし、ネットワークNWを経由させる際には、患者の認証(ユーザ認証)を実行してもよい。
【0080】
上記の実施形態では、院内システム100は、HIS130により第1医用情報を端末装置400に送信するが、他の機器等により第1医用情報を端末装置400に送信してもよい。例えば、RIS120、PACS140が第1情報を送信してもよいし、医用画像診断装置112などのモダリティ110が第1情報を送信してもよい。
【0081】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、端末装置のコンピュータに、第1医療施設における第1医用情報管理機器により送信される、医用画像診断装置の診断によって得られる患者の第1医用情報を取得させ、前記医用情報を記憶部に格納させ、第2医療施設における第2医用情報管理機器に前記第1医用情報を提供させることにより、施設間における患者単位での医用情報の共有を可能にする。
【0082】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1…検査情報管理システム
100-1…第1院内システム
100-2…第2院内システム
100-3…第3院内システム
110,210,310…モダリティ
112,312…医用画像診断装置
120…RIS
130…HIS
316…統合部
140…PACS
150,320…表示装置
160,330…送受信装置
170,340…近距離通信装置
350…保管部
400…端末装置
410…送受信インターフェース
420…タッチパネル
430…処理回路
431…取得機能
432…格納処理機能
433…暗号化機能
434…復号機能
435…表示制御機能
436…制限機能
437…提供機能
440…メモリ
450…近距離通信インターフェース
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8