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特許7580987整形外科手術で使用するための3次元モデルの精度を判定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】整形外科手術で使用するための3次元モデルの精度を判定するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241105BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241105BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20241105BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20241105BHJP
   G06T 7/33 20170101ALI20241105BHJP
【FI】
A61B6/46 523C
A61B6/00 550D
A61B6/50 500Z
A61B34/10
G06T7/33
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153563
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2021053374
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】16/586,884
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ショーンノア・エス・ポロック
(72)【発明者】
【氏名】アール・パトリック・カーティス
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0166256(US,A1)
【文献】特表2017-532165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0269411(US,A1)
【文献】特表2011-519605(JP,A)
【文献】国際公開第2009/125755(WO,A1)
【文献】特表2005-514148(JP,A)
【文献】特表2003-530177(JP,A)
【文献】特開2006-212294(JP,A)
【文献】ZHU et al.,“An automatic 2D-3D image matching method for reproducing spatial knee joint positions using single or dual fluoroscopic images”,Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering,2012年11月,Vol. 15, No. 11,p.1245-1256,DOI: 10.1080/10255842.2011.597387
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G06T 1/00 , 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
ヒト関節の骨の2次元画像を取得することと、
前記2次元画像に基づいて前記骨の候補3次元モデルを取得することと、
候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することと、
エッジ検出アルゴリズムを前記2次元画像に適用して、対応するエッジ画像を生成することと、
前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することと、
前記スコアが閾値を満たしているかどうかを判定し、前記閾値が満たされていない場合、前記候補3次元モデルとは異なる空間的配向を有する後続の3次元モデルを生成することと、
を行うための回路を含む、デバイス。
【請求項2】
前記回路が、
取得された前記2次元画像及び前記候補3次元モデルを3次元空間内に位置付けることと、
取得された前記2次元画像を生成するために使用されたX線源の3次元における位置を判定することと、を更に行うためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回路が、取得された前記2次元画像のうちの1つを生成するために利用されるX線源の判定された位置から、対応する取得された前記2次元画像に光線をトレースすることを更に行うためのものである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記回路が、各光線について、前記光線と交差する前記候補3次元モデルの表面上の多角形を識別することを更に行うためのものである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
各光線について識別された前記多角形が、隣接しており、かつ対向する配向において配置されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記回路が、各光線について識別された前記多角形間で1つ又は2つ以上の共通のエッジを判定することを更に行うためのものである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回路が、前記候補3次元モデルの表面上の多角形間の共通のエッジから、1つ又は2つ以上の3次元シルエットを生成することを更に行うためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
1つ又は2つ以上の3次元シルエットを生成することが、1つ又は2つ以上のポリカーブを生成することを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記回路が、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットに平滑化操作を適用することを更に行うためのものである、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記回路は、線分が所定の長さを満たす長さを有するという判定に応じて、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットから前記線分を除去することを更に行うためのものである、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することが、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを撮像面上に投影することを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを前記撮像面上に投影することが、取得された前記2次元画像のうちの1つを生成するために利用されるX線源の位置から前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを投影することを含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記回路が、取得された前記2次元画像にマスクを適用して前記取得された2次元画像からオブジェクトを除去することを更に行うためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
エッジ検出アルゴリズムを適用することが、Cannyエッジ検出アルゴリズムを適用することを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記回路が、前記エッジ画像に距離フィルタを適用することを更に行うためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することが、
前記エッジ画像内で、前記2次元シルエットのエッジに対応する画素値を位置特定することと、
位置特定された前記画素値を合計することと、を含む、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月27日出願の米国特許出願第16/586887号、発明の名称「TECHNOLOGIES FOR DETERMINING THE SPATIAL ORIENTATION OF INPUT IMAGES FOR USE IN AN ORTHOPAEDIC SURGICAL PROCEDURE」に関する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、整形外科手術に関し、より具体的には、整形外科手術で使用するための3次元モデルの精度を判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
X線ベースのシステムなどのいくつかの3次元モデリングシステムは、異なる視点からのオブジェクトの2次元画像(例えば、X線画像)のセットに基づいてオブジェクトの3次元モデルを生成する。例えば、3次元空間内での不正確な配向のために、得られるモデルが不正確となる可能性を低くするため、操作者は、撮像及びモデル化されるオブジェクト上、又はオブジェクトの近くに較正マーカー(例えば、既知のサイズ及び/又は位置の物理的オブジェクト)を配置することができる。しかしながら、このような較正オブジェクトは、複雑であり、かつ配置に時間がかかる。更に、このようなシステムでは、3次元モデルの精度を検証するプロセスを行うには、操作者がモデルを視覚的に検査し、モデルを元のオブジェクトと比較して、モデルが適切にアラインメントされ、サイズ決めされているかどうかを判定しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、解剖学的オブジェクト(例えば、ヒト関節の骨)の2次元画像を取得し、解剖学的オブジェクトの候補3次元モデルを取得し、候補3次元モデルの2次元シルエットを生成する回路を有するデバイスを記載する。回路はまた、エッジ検出アルゴリズムを2次元画像に適用して対応するエッジ画像を生成し、2次元シルエットをエッジ画像と比較して候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成するためのものでもある。
【0005】
別の態様では、本開示は、複数の命令が格納された1つ又は2つ以上の機械可読記憶媒体であって、複数の命令は、実行されることに応じて、デバイスに、解剖学的オブジェクトの2次元画像を取得させ、解剖学的オブジェクトの候補3次元モデルを取得させ、候補3次元モデルの2次元シルエットを生成させる、1つ又は2つ以上の機械可読記憶媒体について記載する。複数の命令は、付加的に、デバイスに、エッジ検出アルゴリズムを2次元画像に適用して対応するエッジ画像を生成させ、2次元シルエットをエッジ画像と比較して候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成させる。
【0006】
更に別の態様では、本開示は、デバイスによって、解剖学的オブジェクトの2次元画像を取得することと、デバイスによって、解剖学的オブジェクトの候補3次元モデルを取得することと、デバイスによって、候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することと、を含む方法について記載する。この方法はまた、デバイスによって、エッジ検出アルゴリズムを2次元画像に適用して対応するエッジ画像を生成することと、デバイスによって、2次元シルエットをエッジ画像と比較して、候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に記載される概念は、添付図面において、限定としてではなく、実例として示される。説明を簡略化及び明確化するため、図に示される要素は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。更に、適切と考えられる場合には、対応する要素又は類似の要素を示すために各図間で参照符合が繰り返されている。詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
図1】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するためのシステムの一実施形態の簡略図である。
図2図1のシステムに含まれ得るモデル生成デバイスの一実施形態の簡略ブロック図である。
図3】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図4】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図5】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図6】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図7】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図8】オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための図1及び図2のモデル生成デバイスによって実行することができる方法の一実施形態の簡略ブロック図である。
図9図1のシステムによって生成され得る、膝関節の3次元モデル、入力される2次元画像、及びシルエットの空間的配向を示す図である。
図10】大腿骨の3次元モデルのアラインメント及びこのモデルと図1のシステムによって処理することができる大腿骨の2次元画像とのアラインメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本開示の概念を、開示される特定の形態に限定することは本開示の意図するところではなく、その逆に、その意図するところは、本開示並びに添付の「特許請求の範囲」に包含されるすべての改変物、均等物、及び代替物を網羅することにある点は理解されるべきである。
【0009】
解剖学的参照を表す、前方、後方、内側、外側、上位、下位などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において説明される整形外科用インプラント又はプロテーゼ及び整形外科用器具に関して、並びに患者の生体解剖学的構造を参照して使用することができる。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0010】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施例」などへの言及は、説明されるその実施形態が、特定の要素、構造、又は特徴を含み得るが、すべての実施形態が、その特定の要素、構造、又は特徴を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、そのような句は、必ずしも同一の実施形態を言及するものではない。更に、特定の要素、構造、又は特徴がある実施形態に関連して説明される場合、このような要素、構造、又は特徴を他の実施形態と関連して実施することは、明示されるか否かによらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。付加的に、「少なくとも1つのA、B、及びC」の形のリストに含まれる要素は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味し得る点は理解されよう。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の形のリストに含まれる要素は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味し得る点は理解されよう。
【0011】
開示される各実施形態は、場合に応じて、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせとして実施することができる。開示される実施形態はまた、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行可能な一時的又は非一時的な機械可読(例えば、コンピュータ可読)記憶媒体に保持されるか又は格納された命令として実施することもできる。機械可読記憶媒体は、機械(例えば、揮発性又は不揮発性メモリ、媒体ディスク、又は他の媒体デバイス)によって読み取り可能な形で情報を格納又は送信するための任意の記憶デバイス、機構、又は他の物理的構造として具体化されてもよい。
【0012】
図面において、一部の構造的又は方法の要素を特定の配置及び/又は順序で示す場合がある。しかしながら、このような特定の配置及び/又は順序は、必要ではない場合もある点は認識されるはずである。むしろ、実施形態によっては、こうした要素は、説明図に示されるものとは異なる形態及び/又は順序で配置されてもよい。付加的に、特定の図に構造的又は方法の要素が含まれている場合、このような要素がすべての実施形態において必要であることを示唆するものではなく、実施形態によっては含まれなくてもよく、又は他の要素と組み合わせることが可能である。
【0013】
次に図1を参照すると、オブジェクトの2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するためのシステム100は、画像生成デバイス112と通信するモデル生成デバイス110と、ネットワーク116を介したクライアント計算デバイス114と、を含んでいる。他のシステムとは異なり、システム100は、本明細書でより詳細に記載されるように、多大な人間の支援及び複雑な較正マーカーに頼ることなく、3次元モデルの精度を判定する。例示的な実施形態では、動作中のモデル生成デバイス110は、解剖学的オブジェクト140(例えば、ヒトの関節の1つ又は2つ以上の骨などの人体の一部分)の2次元画像(例えば、X線画像)のセットを複数の異なる視点(例えば、直交する視点)から得ることができる。更に、例示的な実施形態におけるモデル生成デバイス110は、取得された2次元画像から解剖学的オブジェクト140の3次元モデルを生成する。これを行う際、モデル生成デバイス110は、画像内の参照オブジェクト(例えば、直径25ミリメートルの鋼球)の既知の寸法に基づき、更に、解剖学的オブジェクト140の可能な配向(例えば、回転及び並進)を定義する候補値に基づいて、モデルのスケールを判定する。更に、本明細書でより詳細に記載されるように、モデル生成デバイス110は、モデル生成デバイス110が3次元モデルの2次元シルエットを、取得された2次元画像のエッジ検出バージョンと比較するスコアリングプロセスに基づいて、生成されたモデルの精度を判定する。更に、モデル生成デバイス110は、候補値を反復的に調整して(例えば、勾配上昇プロセス、粒子群プロセス、遺伝子アルゴリズム、機械学習などに従って)、精度スコア閾値(例えば、目標精度以上の精度スコア、所定の数の生成された精度スコアのセットのうちの最高の精度スコア、局大値を示す精度スコアなど)が得られるまで更なるモデルのバージョンを生成することができる。
【0014】
例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、配向判定論理ユニット120を含み、この配向判定論理ユニットは、上で説明されるモデル生成及び精度スコアリング動作を実行する(例えば、モデル生成デバイス110の汎用プロセッサからのそれらの動作をオフロードする)ように構成されたソフトウェア又は任意のデバイス若しくは回路(例えば、コプロセッサ、再構成可能回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)として具体化することができる。更に、例示的な実施形態では、配向判定論理ユニット120は、精度判定論理ユニット122を含み、この精度判定論理ユニットは、精度スコアリングプロセスを構成する動作(例えば、モデルの3次元シルエットを生成すること、3次元シルエットをイメージング表面上に投影して2次元シルエットを生成すること、得られた解剖学的オブジェクト140の2次元画像にエッジ検出動作を適用してエッジ画像(例えば、2次元画像のエッジ検出バージョン)を生成すること、及び、2次元シルエットのエッジをエッジ画像エッジと比較してモデルの精度を示すスコアを判定することなど)を実行するように構成されたソフトウェア又は任意のデバイス若しくは回路(例えば、コプロセッサ、再構成可能回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)として具体化することができる。
【0015】
例示的な実施形態における画像生成デバイス112は、複数の異なる視点(例えば、角度)からオブジェクト(例えば、解剖学的オブジェクト140)の2次元画像のセットを生成することができる任意のデバイス(例えば、コンピュータ、コンピュータデバイスなど)として具体化することができる。例示的な実施形態では、画像生成デバイス112は、1つ又は2つ以上の放射線源(例えば、X線源)を含み、これらの各々は、オブジェクトに放射線(例えば、X線放射)を照射することができる任意のデバイスとして具体化することができる。画像生成デバイス112は、1つ又は2つ以上の検出デバイス132を含み、これらの各々は、放射線と解剖学的オブジェクト140との相互作用から対応する解剖学的オブジェクト140の画像を生成することができる任意のデバイスとして具体化され得る。上で説明されるように、例示的な実施形態における画像生成デバイス112は、解剖学的オブジェクト140に対して異なる配向で配置された複数の固定放射線源130及び検出デバイス132を用いることにより、かつ/又は、1つ又は2つ以上の可動放射線源130及び検出デバイス132を使用して異なる視点から解剖学的オブジェクト140の画像を反復的に生成することにより、複数の異なる視点(例えば、角度)から解剖学的オブジェクト140の2次元画像を生成する。
【0016】
付加的に、システム100は、クライアント計算デバイス114を含み、このクライアント計算デバイスは、画像生成デバイス112及び/又はモデル生成デバイス110と通信して、デバイス110、112(複数可)のうちの1つ又は2つ以上に要求を送信し(例えば、解剖学的オブジェクトの2次元画像を生成するため、これらの画像からモデルを生成するため、モデルの精度スコアを判定するため、など)、デバイスからデータ(例えば、生成された2次元画像、生成されたモデル、1つ又は2つ以上の精度スコアなど)を受信することができる任意のデバイス(例えば、コンピュータ、コンピュータデバイスなど)として具体化することができる。
【0017】
次に図2を参照すると、例示的なモデル生成デバイス110は、計算エンジン(本明細書では「計算エンジン回路」とも称される)210、入出力(I/O)サブシステム216、通信回路218、及び1つ又は2つ以上のデータ格納デバイス222を含む計算デバイス(例えば、コンピュータ)として具体化することができる。当然のことながら、他の実施形態では、モデル生成デバイス110は、コンピュータ(例えば、ディスプレイ、周辺機器など)に一般にみられるものなどの他の、又は付加的な構成要素を含んでもよい。付加的に、いくつかの実施形態では、例示的な構成要素のうちの1つ又は2つ以上を別の構成要素に組み込むか、又はその一部を形成するようにしてもよい。計算エンジン210は、以下で説明される様々な計算機能を実行することができる任意の種類のデバイス又はデバイスの集合として具体化することができる。いくつかの実施形態では、計算エンジン210は、集積回路、埋め込みシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システム・オン・チップ(SOC)、又は他の集積システム若しくはデバイスなどの単一のデバイスとして具体化することができる。例示的な実施形態では、計算エンジン210は、図1を参照して上で説明される、プロセッサ212、メモリ214、配向判定論理ユニット120、及び精度判定論理ユニット122を含むか、又はこれらとして具体化される。プロセッサ212は、本明細書に記載される機能を実行することができる任意の種類のプロセッサとして具体化することができる。例えば、プロセッサ212は、マルチコアプロセッサ(複数可)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、又は他のプロセッサ若しくは処理/制御回路として具体化することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、本明細書に記載される機能の実行を促すため、FPGA、特定用途向け集積回路(ASIC)、再構成可能なハードウェア若しくはハードウェア回路、又は他の専用ハードウェアとして具体化するか、それらを含むか、又はそれらに結合することができる。
【0018】
同様に、メモリ214は、本明細書に説明される機能を実行することが可能な任意の種類の揮発性(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)若しくは不揮発性メモリ又はデータストレージとして実施することができる。揮発性メモリは、媒体に格納されたデータの状態を維持するために電力を必要とする記憶媒体であってよい。いくつかの実施形態では、メインメモリ214のすべて又は一部を、プロセッサ212に統合することができる。動作中、メインメモリ214は、1つ又は2つ以上のアプリケーション、アプリケーション(複数可)によって操作されるデータ(例えば、2次元画像、3次元モデル、配向の候補値、シルエット、エッジ画像、精度スコアなど)、ライブラリ、及びドライバなどの動作中に使用される様々なソフトウェア及びデータを格納することができる。
【0019】
計算エンジン210は、I/Oサブシステム216を介してモデル生成デバイス110の他の構成要素に通信可能に結合されており、このI/Oサブシステムは、計算エンジン210による(例えば、プロセッサ212及び/又はメインメモリ214による)入出力動作を促すための回路及び/又は構成要素として、及びモデル生成デバイス110の他の構成要素として具体化することができる。例えば、I/Oサブシステム216は、入力/出力動作を促すためのメモリコントローラハブ、入出力制御ハブ、統合センサハブ、ファームウェアデバイス、通信リンク(例えば、ポイントツーポイントリンク、バスリンク、ワイヤ、ケーブル、ライトガイド、プリント回路基板のトレースなど)、及び/又は入出力動作を促すための他の構成要素及びサブシステムとして具体化するか、又は含むことができる。いくつかの実施形態では、I/Oサブシステム216は、システム・オン・チップ(SoC)の一部を形成してもよく、プロセッサ212、メインメモリ214、及びモデル生成デバイス110の他の構成要素のうちの1つ又は2つ以上とともに計算エンジン210に組み込まれてもよい。
【0020】
通信回路218は、モデル生成デバイス110と別の計算デバイス(例えば、画像生成デバイス112、クライアント計算デバイス114など)との間のネットワークを介した通信を可能にすることができる任意の通信回路、デバイス、又はその集合として具体化することができる。通信回路218は、そのような通信を行うために、任意の1つ又は2つ以上の通信技術(例えば、有線又は無線通信)、及び関連するプロトコル(例えば、イーサネット、WiFi(登録商標)、WiMAX、Bluetooth(登録商標)、セルラーなど)を使用するように構成することができる。
【0021】
例示的な通信回路218は、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)220を含む。NIC220は、1つ又は2つ以上のアドインボード、ドーターカード、ネットワークインターフェースカード、コントローラチップ、チップセット、又は別の計算デバイス(例えば、画像生成デバイス112、クライアント計算デバイス114など)と接続するためにモデル生成デバイス110によって使用され得る他のデバイスとして具体化することができる。いくつかの実施形態では、NIC220は、1つ又は2つ以上のプロセッサを含むシステム・オン・チップ(SoC)の一部として具体化されてもよく、又は1つ又は2つ以上のプロセッサも含むマルチチップパッケージに含まれてもよい。いくつかの実施形態では、NIC220は、いずれもNIC220に対してローカルであるローカルプロセッサ(図示せず)及び/又はローカルメモリ(図示せず)を含んでもよい。このような実施形態では、NIC220のローカルプロセッサは、本明細書に記載される計算エンジン210の機能のうちの1つ又は2つ以上を実行することが可能であってもよい。付加的に又は代替的に、このような実施形態では、NIC220のローカルメモリは、基板レベル、ソケットレベル、チップレベル、及び/又は他のレベルで、モデル生成デバイス110の1つ又は2つ以上の構成要素に統合することができる。
【0022】
1つ又は2つ以上の例示的なデータ格納デバイス222は、例えば、メモリデバイス及び回路、メモリカード、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、若しくは他のデータ格納デバイスなど、データの短期又は長期の格納のために構成された任意の種類のデバイスとして具体化することができる。各データ格納デバイス222は、データ格納デバイス222用のデータ及びファームウェアコードを格納するシステムパーティションを含むことができる。各データ格納デバイス222はまた、オペレーティングシステムのためのデータファイル及び実行ファイルを格納する1つ又は2つ以上のオペレーティングシステムパーティションを含んでもよい。
【0023】
画像生成デバイス112及びクライアント計算デバイス114は、モデル生成デバイス110を参照して図2で説明したものと同様の構成要素を有してもよい。モデル生成デバイス110のこれらの構成要素の説明は、一部の実施形態では配向判定論理ユニット120及び精度判定論理ユニット122がモデル生成デバイス110以外のデバイスに含まれない点を除き、画像生成デバイス112及びクライアントコンピュータデバイス114の構成要素の説明に同様に当てはまる。更に、モデル生成デバイス110、画像生成デバイス112、及びクライアントコンピュータデバイス114のいずれも、モデル生成デバイス110を参照して上記で説明されておらず、また、説明を簡潔にするため本明細書で説明されていない、計算デバイスに一般的にみられる他の構成要素、副構成要素、及びデバイスを含んでもよい点を理解されたい。更に、計算デバイスの1つ又は2つ以上の構成要素は、任意の距離にわたって分散されてもよく、必ずしも同じ物理ユニット内に収容されていない点を理解されたい。
【0024】
図1を再び参照すると、モデル生成デバイス110、画像生成デバイス112、及びクライアントコンピュータデバイス114は、例示的に、グローバルネットワーク(例えば、インターネット)、1つ又は2つ以上の広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、デジタル加入者ライン(DSL)ネットワーク、ケーブルネットワーク(例えば、同軸ネットワーク、ファイバーネットワークなど)、セルラーネットワーク(例えば、移動通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communications、GSM)、3G、ロングタームエボリューション(LTE)、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WiMAX)など)、無線アクセスネットワーク(RAN)、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の種類のデータ通信ネットワークとして具体化することができるネットワーク116を介して通信している。更に、図1では別々のデバイスとして示されているが、実施形態によっては、モデル生成デバイス110、画像生成デバイス112、及びクライアントコンピュータデバイス114のうちの1つ又は2つ以上を、単一のユニットとして組み合わせることもできる点を理解されたい。
【0025】
次に図3を参照すると、モデル生成デバイス110は、動作中、オブジェクト(例えば、解剖学的オブジェクト140)の2次元画像から生成された3次元モデルの精度を判定するための方法300を実行することができる。方法300は、ブロック302で開始し、モデル生成デバイス110が精度判定を行うかどうかを判定する。モデル生成デバイス110は、モデル生成デバイス110が配向判定論理ユニット120及び精度判定論理ユニット122を備えているという判定に応じて、構成設定(例えば、メモリ214における)が、精度判定を行うことを示しているという判定に応じて、精度判定を行うという別のデバイス(例えば、クライアント計算デバイス114)からの要求に応じて、及び/又は他の要因に基づいて精度判定を行うことを判定することができる。精度判定を行うという判定に応じて、方法300はブロック304に進み、ここで、モデル生成デバイス110は解剖学的オブジェクトの2次元画像を(例えば、画像生成デバイス112から)取得する。これを行う際、例示的な実施形態では、ブロック306に示されるように、モデル生成デバイス110は人体の一部の2次元画像を取得する。ブロック308に示されるように、モデル生成デバイス110は、人体の1つ又は2つ以上の骨の2次元画像を得ることができる。例えば、ブロック310に示されるように、モデル生成デバイス110は、股関節又は膝関節の2次元画像を得ることができる。例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、2次元画像を取得する際、ブロック312に示されるように、X線画像(例えば、X線放射(例えば、放射線源130からの)を患者の身体を通じて検出器(例えば、検出デバイス132)に通過させることによって生成された画像)を取得する。他の実施形態では、2次元画像は、他の種類の電磁放射線(例えば、可視光、赤外光など)から形成されてもよい。ブロック314に示されるように、例示的な実施形態におけるモデル生成デバイス110は、複数の異なる視点(例えば、角度)から解剖学的オブジェクト140の2次元画像を取得する。これを行う際、例示的な実施形態では、ブロック316に示されるように、モデル生成デバイス110は、直交画像(例えば、互いに対して垂直な視点からの画像)を取得する。他の実施形態では、各視点は、互いに対して他の角度であってもよい。
【0026】
続いて、ブロック318において、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像について、スケールファクタ(2次元画像で表されるオブジェクトのサイズが実際の大きさと異なる量を示すデータ)を判定する。これを行う際、モデル生成デバイス110は、ブロック320に示されるように、2次元画像内に表される距離(例えば、オブジェクトの直径、長さなど)と実際の距離(例えば、オブジェクトの実際の直径、長さなど)との比を判定する。一例として、モデル生成デバイス110は、ブロック322に示されるように、所定の(例えば、既知の)サイズを有する参照オブジェクトの2次元画像内での表現からスケールファクタを判定することができる。例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック324に示されるように、取得された2次元画像にみられる参照オブジェクトのサイズと、その参照オブジェクトの所定のサイズとの比を判定することができる。ブロック326に示されるように、モデル生成デバイス110は、所定の直径を有する球体からスケールファクタを判定することができる。例示的な実施形態では、ブロック328に示されるように、モデル生成デバイス110は、25ミリメートルの所定の直径を有する金属球からスケールファクタを判定することができる(例えば、2次元画像内で表される球体の直径と既知の直径25ミリメートルとの比を判定することによって)。すなわち、金属球は、患者とともに物理的に存在し(例えば、患者に隣接して、患者に取り付けられる、など)、画像生成デバイス112によって撮像されてもよい。続いて、方法300は図4のブロック330に進み、ここで、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像内に表される解剖学的オブジェクト140の並進及び回転を示す候補値を判定する。
【0027】
次に図4を参照すると、候補値を判定する際、モデル生成デバイス110は、ブロック332に示されるように、3次元における(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った)解剖学的オブジェクトの並進について候補値を判定する。ブロック332に示されるのと同様に、モデル生成デバイス110は、ブロック334に示されるように、3次元(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿って)における解剖学的オブジェクト140の回転について候補値を判定する。候補値は、実施形態に応じて、様々な方法で判定することができる。例えば、ブロック336に示されるように、モデル生成デバイス110は、現在の候補値を、以前の候補値及びこれらの値を用いて(例えば、方法300の以前の反復から)生成されたモデルの対応する精度スコアの関数として(例えば、基づいて)判定することができる。ブロック338に示されるように、モデル生成デバイス110は、勾配上昇プロセス(例えば、現時点の関数の勾配又は近似的勾配の正の値に比例するステップを行うことによって関数の最大値を見つけるための1次反復最適化プロセス)、又は勾配下降プロセス(例えば、関数の最小値を見つけるための)に基づいて候補値を判定することができる。いくつかの実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック340に示されるように、遺伝子アルゴリズム(例えば、ある問題に対する最適解を見つけるために自然選択のプロセスを刺激する突然変異、交差、及び選択などの生物学に基づく演算子を用いたメタヒューリスティクス)に基づいて候補値を判定することができる。
【0028】
付加的に又は代替的に、モデル生成デバイス110は、例えば、ブロック342に示されるように、粒子群プロセス(例えば、候補解の集団(「粒子」と称される)を用い、各粒子の位置及び速度に影響を及ぼす数学的操作に従って粒子を探索空間内で動かすことによって、所定の品質の尺度(例えば、精度スコア)に関する候補解を反復的に改善することによって問題を最適化するプロセス)に基づいて候補値を判定することができる。いくつかの実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック344に示されるように、機械学習プロセス(例えば、入力変数と出力との間の数学的関係を示すパターンを識別するために訓練データを用いるプロセス)を用いて現在の候補値を判定することができる。他の実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック346に示されるように、利用可能なパラメータ空間内のすべての値のスキャン(例えば、各軸を中心としたすべての可能な回転度を反復的に試行するなど)に基づいて候補値を判定することができる。続いて、方法300は図5のブロック348に進み、ここで、モデル生成デバイス110は取得された2次元画像(例えば、ブロック304からの)、スケールファクタ(例えば、ブロック318からの)、及び候補値(例えば、ブロック330からの)の関数として解剖学的オブジェクト140の候補3次元モデルを取得する。
【0029】
次に図5を参照すると、モデルを取得する際、ブロック350に示されるように、モデル生成デバイス110は三角測量を適用して(例えば、解剖学的オブジェクト140と2次元画像が生成された各視点との間に)、解剖学的オブジェクトの表面に沿った点の3次元空間内での位置を判定する(例えば、各点はx、y、及びz座標を有する)。ブロック352に示されるように、モデル生成デバイス110は、解剖学的オブジェクトの参照モデルのデータセット(例えば、メモリ214又はデータ格納デバイス222内の)を用いて、取得された2次元画像では表現されていない解剖学的オブジェクトの部分(例えば、骨の一部は、取得された2次元画像には示されない)を示すデータを与えることができる。例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック354に示されるように、スケールファクタに基づいてモデルにスケーリングを適用する(例えば、モデルのサイズを設定する)。これを行う際、例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック356に示されるように、3つの空間的次元にわたってスケールファクタを適用する(例えば、同じスケールファクタを使用して、x軸、y軸、及びz軸に沿ったモデルのサイズを設定する)。モデル生成デバイス110はまた、ブロック358に示されるように、候補値(例えば、ブロック332で判定された、並進の候補値)に基づいてモデルに並進を適用する(例えば、モデルの位置を変化させる)こともできる。これを行う際、例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック360に示されるように、3次元の(例えば、x次元、y次元、及びz次元における)並進を適用する。同様に、ブロック362に示されるように、モデル生成デバイス110は、候補値に基づいて回転を適用することができる。これを行う際、ブロック364に示されるように、モデル生成デバイス110は、3次元にわたって回転を適用することができる(例えば、オブジェクトをx軸、y軸、及びz軸を中心として候補値に定義された量だけ回転する)。
【0030】
続いて、ブロック366に示されるように、モデル生成デバイス110は、生成された3次元モデル(例えば、ブロック348で生成されたモデル)の精度を示すスコアを判定する。これを行う際、例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、ブロック368に示されるように、3次元モデルの2次元シルエットを、取得された2次元画像のエッジ検出バージョン(例えば、エッジが画素値で示され(例えば、ゼロ以外の画素値)、エッジを表していない領域が異なる画素値(例えば、ゼロの画素値)で表されている2次元画像のバージョン)と比較する。これを行う際、ブロック370に示されるように、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像を生成するために用いられたX線源(例えば、放射線源130)の判定された位置に基づいて(例えば、その位置から投影された)3次元モデル(例えば、ブロック348で生成されたモデル)の3次元シルエットの投影像から生成される2次元のシルエットを比較する。ブロック372に示すように、モデル生成デバイス110は、2次元シルエット(例えば、ブロック370からの)と、取得された2次元画像の対応するエッジ検出バージョンとの間で共有されるエッジに沿った画素の値を合計し、得られた総和としてスコアを定義することができる。
【0031】
次に図6を参照すると、候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成する際、モデル生成デバイス110は、ブロック374.に示されるように、取得された2次元画像及び候補3次元モデルを3次元空間内に位置付けることができる。これを行う際、ブロック376に示されるように、例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像及び候補3次元モデルを、候補値(例えば、ブロック330からの候補値)及び判定されたスケールファクタ(例えば、ブロック318からの)に基づいて、互いに対して配置する。付加的に、ブロック378において、モデル生成デバイス110は、例示的な実施形態において、取得された2次元画像を生成するために用いられたX線源(例えば、放射線源130)の3次元における位置を判定する。ブロック380において、モデル生成デバイス110は、各X線源の判定された位置からの光線を、対応する2次元画像に対してトレースする(例えば、レイトレーシングを実行する)。これを行う際、モデル生成デバイス110は、ブロック382に示されるように、各光線について、交差する候補3次元モデルの表面上の多角形(例えば、三角形)を識別する。付加的に、かつブロック384に示されるように、モデル生成デバイス110は、各光線について、互いに隣接し、かつ互いに対向する配向(例えば、反対方向を指す)に配置された交差する多角形を(例えば、ブロック382で識別された交差する多角形のセットから)識別する。更に、ブロック386に示されるように、モデル生成デバイス110は、例示的な実施形態において、各光線について、交差する、隣接した、対向する多角形(例えば、ブロック384で識別された多角形)間の1つ又は2つ以上の共通のエッジを判定する。続いて、方法300は図7のブロック388に進み、ここで、モデル生成デバイス110は1つ又は2つ以上の共通のエッジ(例えば、ブロック386で判定されたエッジ)から、3次元シルエット(例えば、候補3次元モデルの外側表面を画定する曲線)を生成する。
【0032】
次に図7を参照すると、3次元シルエットを生成する際、モデル生成デバイス110は、例示的な実施形態において、ブロック390に示されるように、ポリカーブ(例えば、複数の曲線が互いにつなげられたもの)として3次元シルエットを生成する。ブロック392に示されるように、モデル生成デバイス110は、3次元シルエットのうちの1つ又は2つ以上に平滑化操作を適用することができ、また、ブロック394に示されるように、モデル生成デバイス110は、シルエットのうちの1つ又は2つ以上から、既定の長さを満たす長さを有するすべての線分を除去することができる(例えば、既定の長さよりも短いすべての線分を除去する)。付加的に、かつブロック396に示されるように、モデル生成デバイス110は、X線源の位置から(例えば、ブロック378で判定されたX線源の位置から)3次元シルエット(例えば、ブロック388からの)を1つ又は2つ以上の結像面(例えば、ブロック374において、取得された2次元画像が3次元空間内に配置される場所に位置する平面)上に投影することにより、2次元のシルエットを生成する。モデル生成デバイス110はまた、ブロック398に示されるように、取得された2次元画像に1つ又は2つ以上のマスクを適用することで、1つ又は2つ以上のオブジェクト(例えば、ブロック322からの参照オブジェクト)を取得された2次元画像から除去することができる。更に、例示的な実施形態では、ブロック400に示されるように、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像にエッジ検出動作を適用して、対応するエッジ画像(例えば、取得された2次元画像のエッジ検出バージョン)を生成する。これを行う際、ブロック402に示されるように、モデル生成デバイス110は、取得された2次元画像にCannyエッジ検出アルゴリズムを適用する(例えば、ガウスフィルタを適用して画像を平滑化してノイズを除去し、画像内の強度勾配を位置特定し、非最大抑制を適用してエッジ検出に対するスプリアス応答を排除し、二重閾値を適用して潜在的なエッジを判定し、ヒステリシスを用いてエッジを追跡する)。ブロック404に示されるように、モデル生成デバイス110は、エッジ画像に距離フィルタを付加的に適用することができる。ブロック406において、例示的な実施形態では、モデル生成デバイス110は、2次元シルエットに存在する各エッジ(例えば、ブロック396からの)を通じてサイクルする。これを行う際、モデル生成デバイス110は、ブロック408に示すように、シルエットから現時点のエッジに対応するエッジ画像内の画素を位置特定し、これらの対応する画素の値を判定する。更に、ブロック410に示されるように、モデル生成デバイス110は、対応するエッジ画像内の対応する画素値に対するシルエットからのエッジの比較に基づいてスコアを生成する。これを行う際、かつブロック412に示されるように、モデル生成デバイス110は、画素値を合計し(例えば、実行合計を判定し)、その総和としてのスコアを指定することができる。
【0033】
膝関節(例えば、解剖学的オブジェクト140)の候補3次元モデル902(例えば、ブロック348で生成された候補モデル)、入力される2次元画像910、912(例えば、ブロック304で取得された2次元画像)、及びシルエット920(例えば、ブロック368における候補モデルの精度を示すスコアの判定に用いられるシルエット)の空間的配向900の例示的な例を図9に示す。大腿骨1002の候補3次元モデルのX線画像1010(例えば、ブロック304から取得された2次元画像)に対する典型的なアラインメント1000(例えば、空間的配向)の例示的な例を、図10に示す。モデル生成デバイス110が候補3次元モデルの精度を示すスコアを判定した後、方法300は図8のブロック414に進み、ここで、モデル生成デバイス110は精度スコアの閾値が満たされたかどうかに基づいて(例えば、ブロック366で判定されたスコアにより)その後の一連の動作を判定する。
【0034】
次に図8を参照すると、精度スコアの閾値が満たされているかどうかを判定する際、モデル生成デバイス110は、ブロック366で判定されたスコアが所定のスコア以上であるかどうか、ブロック366で判定されたスコアが方法300の一連の反復で生成されたスコアのセットの中で最も高いスコアであるかどうか、及び/又は他の因子に基づいて判定することができる。これとは関係なく、精度スコアの閾値が満たされていないという判定に応じて、方法300は図4のブロック330に戻り、ここで、モデル生成デバイス110は、候補値の後続のセット(例えば、異なるセット)を判定し、後続の候補値のセットに基づいて異なる空間的配向を有する後続の3次元モデルを生成する。そうでない場合(例えば、精度スコアの閾値が満たされている場合)、方法300はブロック416に進み、ここで、モデル生成デバイス110は、候補3次元モデルが解剖学的オブジェクト140の正確な表現であることを示す出力データ(例えば、表示される、メモリに書き込まれる、及び/又は、クライアント計算デバイス114などの別の計算デバイスに送信されるための)を生成する。これを行う際、かつブロック418に示されるように、モデル生成デバイス110は、候補3次元モデルを生成するために用いられた候補値を含む出力データを生成することができる。出力データはまた、候補3次元モデルを生成する際に使用されるスケールファクタを含んでもよい。
【0035】
方法300の例示的な例として、モデル生成デバイス110は、画像生成デバイスから患者の膝関節の2次元X線画像のセットを取得することができる。画像内には、金属球が存在する。モデル生成デバイス110は、25ミリメートルの既知の(例えば、モデル生成デバイス110にとって)直径を有する金属球の存在を検出するように構成されている。この例では、金属球は、モデル生成デバイス110によって得られた2次元X線画像内で100画素の幅である。したがって、モデル生成デバイス110は、4画素毎に1ミリメートル(例えば、4対1のスケールファクタ)を表すものと判定する。金属球が対称であることを考慮すると、モデル生成デバイス110は、x、y、及びz次元にわたってスケールファクタを固定することができる(例えば、任意の方向の4個の画素は、その方向で1ミリメートルを表す)。
【0036】
次に、例示的な例では、モデル生成デバイス110は、X線画像における膝関節の骨の並進及び回転の候補値を判定する。これを行う際、モデル生成デバイス110は、x軸、y軸、及びz軸に沿って20ミリメートルの可能な並進を選択する。付加的に、モデル生成デバイス110は、x軸、y軸、及びz軸の各々に沿って時計回りに20°の可能な並進を選択する。次いで、モデル生成デバイス110は、任意の既知の2D/3D変換法(例えば、TruMatch(登録商標)2D3D)を使用して、X線画像から膝関節の骨の候補3次元モデルを取得し、ヒト膝関節の骨の参照モデルを用いて欠損した骨の細部を埋める。このプロセスでは、モデル生成デバイス110は、x軸、y軸、及びz軸の各々に沿って20ミリメートルの並進(例えば、患者が基準膝関節モデルが基づいている位置から各次元に20ミリメートル移動したと仮定)、並びにx軸、y軸、及びz軸に沿った20°の回転(例えば、X線画像を生成するX線検出器が時計回りに20°回転されるか、又は患者が、基準膝関節モデルが基づいている配向に対して、各軸に沿って、膝関節の1つ又は2つ以上の骨を時計回りに20°回転させた(例えば、膝関節の屈曲により)と仮定)を適用し、1ミリメートル毎に4画素のスケールファクタを用いてモデルをスケール化する。次いで、モデル生成デバイス110は、図3~7を参照して説明したように、モデルの2次元シルエットをX線画像のエッジ検出バージョンと比較して精度スコアを生成することによって、得られたモデルの精度を判定する(例えば、モデルをワークスペースにインポートし、X線源の位置を再構成し、X線源の位置からレイトレーシングして3次元シルエットを生成し、3次元シルエットの投影から2次元シルエットを生成し、画像生成デバイス112からの2次元X線画像にエッジ検出を適用してX線画像のエッジ検出バージョンを生成し、2次元シルエットをX線画像のエッジ検出バージョンと比較する)。2次元シルエットとX線画像の対応するエッジ検出バージョンとの間のあらゆる相違(例えば、重なり合わない線)は精度スコアを低下させるのに対して、類似点(例えば、重なり合う線)は精度スコアを増加させる。例示の目的のため、精度スコアを7とすることができる。
【0037】
次いで、モデル生成デバイス110は、今回は異なる並進及び回転の値を使用して候補モデルを取得するプロセスを繰り返す。例えば、x=30、y=30、z=30の並進値、及びx=30、y=30、z=30の回転値が使用される。得られる精度スコアは、8である。続いて、モデル生成デバイスが、x=40、y=40、z=40の変換値でプロセスを繰り返すと精度スコアは6に低下する。精度スコアの低下に基づいて、モデル生成デバイス110は、x=28、y=28、z=28の並進値、及びx=24、y=20、z=26の回転値で最高スコア9に達したとモデル生成デバイス110が判定するまで、並進及び回転について20~30の範囲内の様々な値を試験する。続いて、モデル生成デバイス110は、x=28、y=28、z=28の並進値、及びx=24、y=20、z=26の回転値を用いて生成されたモデルが、膝関節の骨(複数可)の最も正確なモデルであることをユーザ又は他のデバイスに示す。
【0038】
図面及び上記の説明において特定の例示的な実施形態を詳細に説明したが、かかる例示及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明したものにすぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが所望されることが理解される。
【0039】
本開示は、本明細書において説明される方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく複数の利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、説明される特徴のすべてを含むわけではないが、依然として、こうした特徴の利点のうちの少なくとも一部から利益を享受するものであることに留意されよう。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つ又は2つ以上を組み込む、添付の「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) デバイスであって、
ヒト関節の骨の2次元画像を取得することと、
前記骨の候補3次元モデルを取得することと、
前記候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することと、
エッジ検出アルゴリズムを前記2次元画像に適用して、対応するエッジ画像を生成することと、
前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することと、
を行うための回路を含む、デバイス。
(2) 前記回路が、
取得された前記2次元画像及び前記候補3次元モデルを3次元空間内に位置付けることと、
前記取得された2次元画像を生成するために使用されたX線源の3次元における位置を判定することと、を更に行うためのものである、実施態様1に記載のデバイス。
(3) 前記回路が、前記取得された2次元画像のうちの1つを生成するために利用されるX線源の判定された位置から、対応する前記取得された2次元画像に光線をトレースすることを更に行うためのものである、実施態様2に記載のデバイス。
(4) 前記回路が、各光線について、前記光線と交差する前記候補3次元モデルの表面上の多角形を識別することを更に行うためのものである、実施態様3に記載のデバイス。
(5) 各光線について識別された前記多角形が、隣接しており、かつ対向する配向において配置されている、実施態様4に記載のデバイス。
【0041】
(6) 前記回路が、各光線について識別された前記多角形間で1つ又は2つ以上の共通のエッジを判定することを更に行うためのものである、実施態様5に記載のデバイス。
(7) 前記回路が、前記候補3次元モデルの表面上の多角形間の共通のエッジから、1つ又は2つ以上の3次元シルエットを生成することを更に行うためのものである、実施態様1に記載のデバイス。
(8) 1つ又は2つ以上の3次元シルエットを生成することが、1つ又は2つ以上のポリカーブを生成することを含む、実施態様7に記載のデバイス。
(9) 前記回路が、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットに平滑化操作を適用することを更に行うためのものである、実施態様7に記載のデバイス。
(10) 前記回路は、線分が所定の長さを満たす長さを有するという判定に応じて、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットから前記線分を除去することを更に行うためのものである、実施態様7に記載のデバイス。
【0042】
(11) 前記候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することが、前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを撮像面上に投影することを含む、実施態様7に記載のデバイス。
(12) 前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを前記撮像面上に投影することが、前記取得された2次元画像のうちの1つを生成するために利用されるX線源の位置から前記1つ又は2つ以上の3次元シルエットを投影することを含む、実施態様11に記載のデバイス。
(13) 前記回路が、前記取得された2次元画像にマスクを適用して前記取得された2次元画像からオブジェクトを除去することを更に行うためのものである、実施態様1に記載のデバイス。
(14) エッジ検出アルゴリズムを適用することが、Cannyエッジ検出アルゴリズムを適用することを含む、実施態様1に記載のデバイス。
(15) 前記回路が、前記エッジ画像に距離フィルタを適用することを更に行うためのものである、実施態様1に記載のデバイス。
【0043】
(16) 前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することが、
前記エッジ画像内で、前記2次元シルエットのエッジに対応する画素値を位置特定することと、
位置特定された前記画素値を合計することと、を含む、実施態様1に記載のデバイス。
(17) 格納された複数の命令を含む1つ又は2つ以上の機械可読記憶媒体であって、前記複数の命令が、実行されることに応じて、デバイスに、
解剖学的オブジェクトの2次元画像を取得することと、
前記解剖学的オブジェクトの候補3次元モデルを取得することと、
前記候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することと、
エッジ検出アルゴリズムを前記2次元画像に適用して対応するエッジ画像を生成することと、
前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することと、を行わせる、1つ又は2つ以上の機械可読記憶媒体。
(18) 前記複数の命令が、前記デバイスに、
取得された前記2次元画像及び前記候補3次元モデルを3次元空間内に位置付けることと、
前記取得された2次元画像を生成するために利用されるX線源の3次元における位置を判定することと、を更に行わせる、実施態様17に記載の1つ又は2つ以上の機械可読記憶媒体。
(19) 方法であって、
デバイスによって、解剖学的オブジェクトの2次元画像を取得することと、
前記デバイスによって、前記解剖学的オブジェクトの候補3次元モデルを取得することと、
前記デバイスによって、前記候補3次元モデルの2次元シルエットを生成することと、
前記デバイスによって、エッジ検出アルゴリズムを前記2次元画像に適用して、対応するエッジ画像を生成することと、
前記デバイスによって、前記2次元シルエットを前記エッジ画像と比較して、前記候補3次元モデルの精度を示すスコアを生成することと、を含む、方法。
(20) 前記解剖学的オブジェクトが、ヒト関節の骨であり、前記方法が、
前記デバイスによって、前記骨の取得された前記2次元画像及び前記骨の前記候補3次元モデルを3次元空間に位置付けることと、
前記デバイスによって、前記骨の前記取得された2次元画像を生成するために利用されるX線源の3次元における位置を判定することと、を更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10