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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20241105BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B65G1/14 C
B65G1/04 521
B65G1/04 555A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020157753
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2021160932
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2020061276
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 龍太
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-081810(JP,A)
【文献】特開2020-026318(JP,A)
【文献】特開2005-206259(JP,A)
【文献】特開2015-042593(JP,A)
【文献】特開昭64-048703(JP,A)
【文献】特開2015-214380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向および列方向に配列された複数の保管部を複数段有する棚部を備え、前記棚部に複数サイズのパレットを保管可能な自動倉庫システムであって、
パレットを保持して前記棚部を列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して前記棚部の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段と、
パレットを上下に昇降可能な昇降機構と、
保管対象のパレットのサイズを取得サイズとして取得する取得部と、
を有し、
前記取得部は、パレットを前記昇降装置に移動させるコンベア装置において前記昇降装置の手前に配置され、前記保管対象のパレットのパレットサイズをサイズ情報として予め記憶しており、前記サイズ情報と前記保管対象のパレットのサイズの実測値とを比較することにより前記サイズ情報と前記サイズの実測値の一方により、他方の誤りを検出する自動倉庫システム。
【請求項2】
行方向および列方向に配列された複数の保管部を複数段有する棚部を備え、前記棚部に複数サイズのパレットを保管可能な自動倉庫システムであって、
パレットを保持して前記棚部を列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して前記棚部の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段と、
保管対象のパレットのサイズを取得サイズとして取得する取得部と、
を有し、
既に置かれたパレットの位置を検出して、当該パレットまでの距離と前記取得サイズとに基づいて隙間を決定する自動倉庫システム。
【請求項3】
行方向および列方向に配列された複数の保管部を複数段有する棚部を備え、前記棚部に複数サイズのパレットを保管可能な自動倉庫システムであって、
パレットを保持して前記棚部を列方向に移動可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段を搭載して前記棚部の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段と、
保管対象のパレットのサイズを取得サイズとして取得する取得部と、
を有し、
前記棚部のパレットと移動中のパレットの位置およびパレットサイズに関するデータを記憶する記憶部を有する自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。本出願人は、特許文献1によって複数の物品を収容可能な収容棚を備えた自動倉庫システムを開示している。この自動倉庫システムは、保管棚の間で列方向に移動可能な搬送台車と行方向に移動可能な台車とを用いて物品を搬入・搬出するように構成されている。この自動倉庫システムでは、物品をパレットに載置して搬送および収容が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-160040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷が積載されたパレット(以下、単に「パレット」という)について、ひとつの倉庫に複数サイズやサイズ不明のパレットを保管することが考えられる。この場合に、無駄なスペースを減らして保管量を増やすことが考えられる。また、複数サイズやサイズ不明のパレットを保管する場合の自動倉庫システムの利便性を向上させることも考えられる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、保管量と利便性を両立させることが可能な自動倉庫システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、行方向および列方向に配列された複数の保管部を複数段有する棚部を備え、棚部に複数サイズのパレットを保管可能な自動倉庫システムであって、パレットを保持して棚部を列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して棚部の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段と、保管対象のパレットのサイズを取得サイズとして取得する取得部と、を有する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保管量と利便性を両立させることが可能な自動倉庫システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る自動倉庫システムの一例を概略的に示す平面図である。
図2図1の自動倉庫システムを示す側面図である。
図3図1の第1搬送手段の一例を概略的に示す側面図である。
図4図1の第2搬送手段の一例を概略的に示す正面図である。
図5図1の取得部の一例を概略的に示す平面図である。
図6図1の自動倉庫システムの入庫動作の一例を示すフローチャートである。
図7図1の棚部におけるパレットの配置例を模式的に示す模式図である。
図8】パレットを詰めて保管する動作の一例を説明する説明図である。
図9】第1変形例の自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
図10】第2変形例の自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
図11】パレットの配置の一例を示す模式図である。
図12】複数パレット幅のパレットを保管する保管列の一例を示す平面図である。
図13図12の保管列を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の背景を説明する。1種類のパレットのみを単体で取り扱うほうが、簡単な構造で運用でき、且つ、高収納率となるだろう。すなわち、列の全長をどの程度の長さにすれば、保管できるパレット数が算出できるので、このことをベースに倉庫のユーザとの間で容易に仕様を決めることができる。また、この場合、倉庫納品後の運用としても、パレットサイズを改めて確認することは重要でなくなる。なぜならば、パレットサイズが決められていて、対象パレットを搬送台車のセンターで支持し、搬送台車と既に置かれたパレットとの距離をセンサで検知すれば、既に置かれたパレットと対象パレットとの間隔は容易に算出できる。これにより、搬送台車が既に置かれたパレットに対してどれだけ近寄ればよいか判断できるからである。
【0011】
一方、商品の種類によって適切なパレットサイズが異なることがある。その商品を生産する工場内あるいは近接地に、その商品に特化した倉庫を設けることが想定されるが、その場合は、その商品を保管するのに最適なパレットサイズが用いられ、その倉庫は一つのサイズのパレットを運用するために最適化される方が合理的である。一方で、消費地に出荷するための出荷用の倉庫のような位置づけの拠点では、消費地の需要に合った商品群を必要なだけ組み合わせてまとめて出荷することが望ましい。そうすると、これらの複数種類の商品をミックスして保管しておくことが望ましく、その場合、異なるパレットサイズを取り扱える倉庫が望ましい。複数サイズのパレットを取り扱うとしても、それぞれ専門の棚を複数持つよりは、同一の棚部(倉庫)で複数サイズのパレットを取り扱うほうユーザにとって望ましいと考える。
【0012】
しかし、上述の1種のパレットを扱うようにされた倉庫で、異なるパレットサイズを取り扱うとすると、その最大サイズに合わせるように倉庫を設計することとなる。具体的には、使用されるパレットのうち最大サイズのものを予定し、それを一定ピッチで配列する倉庫を設計しておけばよい。
【0013】
図11は、保管列123におけるパレットの配置の一例を示す模式図である。図11(a)は、最大サイズに合わせた一定のピッチPdで並べた例を示し、図11(b)は、パレットを詰めて並べた例を示す。図11(a)に示すように、最大サイズのパレット12-Lに合わせたピッチPdで配列する場合、最大サイズが連続した場合でも、パレット間の隙間は維持できる。しかし、小さいサイズのパレット12-Sと最大サイズパレット12-Lとが混在した場合は、これらのパレットの隙間が大きくなってしまい、図11(b)に示すように最大に詰めて並べれた場合に比べて、符号Cdで示す分無駄なスペースが生じ、スペース効率が低下する。つまり、最大サイズに合わせて設計された倉庫は、異なるパレットサイズを取り扱うには柔軟性が十分でないといえる。
【0014】
これらから、本発明者は、パレットのサイズミックスの変動に柔軟に対応可能とするために、保管対象のパレットのサイズを取得して、搬送台車114の停止位置をコントロールする自動倉庫システムに着目した。このシステムによれば、複数サイズやサイズ不明のパレットを容易に扱うことが可能になる。
【0015】
本開示の自動倉庫システムは、行方向および列方向に配列された複数の保管部を複数段有する棚部を備えており、棚部に複数サイズのパレットを保管可能な自動倉庫システムである。本自動倉庫システムは、パレットを保持して棚部を列方向に移動可能な第1搬送手段と、第1搬送手段を搭載して棚部の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段と、保管対象のパレットのサイズを取得サイズとして取得する取得部とを有する。複数の保管部は、列方向に複数連設されて保管列を構成できる。各保管列は間に区切りを設けずに複数サイズのパレットをフレキシブルに扱える。
【0016】
本自動倉庫システムは、第1搬送手段および第2搬送手段により当該パレットを目的の保管部に搬送できる。また、本自動倉庫システムは、取得部により保管対象のパレットのサイズを取得することにより、複数サイズやサイズ不明のパレットのパレットサイズを把握できる。保管対象のパレットは、当該パレットのサイズが取得されてから、第1搬送手段に保持されてもよい。このことにより、取得部の取得結果に基づいて当該パレットを保管する保管部を決定できる。
【0017】
一例として、保管列には、互いにサイズが異なる複数のパレットが保管されてもよい。また、別の一例として、保管列には、サイズによって複数のグループに区分された一のグループのパレットが保管されてもよい。これらの構成により、本自動倉庫システムは、パレットのサイズミックスの変動に柔軟に対応できる。また、パレットの収納効率を最適化可能な設計(長さ)をすることができる。
以下、実施形態を参照して詳述する。
【0018】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0019】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0020】
[実施形態]
図1図2を参照して実施形態に係る自動倉庫システム100の全体構成を説明する。図1は、実施形態に係る自動倉庫システム100の一例を概略的に示す平面図である。図2は、自動倉庫システム100を示す側面図である。図2では、後述するエリア22-Bの記載を省いている。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。なお、X軸方向を「行方向」といい、Y軸方向を「列方向」といい、Z軸方向を「上下方向」ということがある。後述する第1搬送手段の進行方向を「前方」、「前」といい、その逆を「後方」、「後」ということがある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0021】
また、本開示において、特に説明しない場合の「パレット」は、主に荷が積載された状態のパレットをいうが、空荷のパレットも含む。特に説明しない場合の「位置」は、列方向の位置をいい、「サイズ」は列方向の大きさ(列方向全長)をいう。また、特に説明しない場合の「パレットのサイズ」または「パレットサイズ」は、荷を除いた状態のパレット単体の大きさ(列方向全長)をいう。また、パレットの行方向全長を「パレット幅」という。
【0022】
図1に示すように、自動倉庫システム100は、棚部22と、第1搬送手段14と、第2搬送手段16と、昇降機構20と、取得部38と、コンベア装置44と、制御部50とを備える。棚部22は、行方向および列方向に沿って配置されたパレット12を保管可能な複数の保管部24を有する保管棚である。パレット12は、自動倉庫システム100において、入庫、保管、配替え、出庫される最小単位であってもよい。
【0023】
棚部22は、行方向および列方向に配列された複数の保管部24を複数段有する保管棚である。各保管部24はパレット12を保管できる。第1搬送手段14は、パレット12を保持して棚部22を列方向に沿って移動可能な自走台車である。第2搬送手段16は、パレット12を保持した第1搬送手段14を搭載して棚部22の側部を行方向に沿って移動可能な自走台車である。昇降機構20は、パレット12を上下に昇降可能なリフターである。第1搬送手段14、第2搬送手段16および昇降機構20を総称するときは搬送機構という。
【0024】
取得部38は、保管対象のパレット12のサイズを取得サイズSaとして取得する。この例では、取得部38は、計測部40と、データ提供部52とを含む。計測部40は、保管対象のパレット12のサイズを計測し、当該計測結果を取得サイズSaとして制御部50に提供する。データ提供部52は、保管対象のパレット12に関連づけて記憶された記憶データDmを取得サイズSaとして制御部50に提供する。
【0025】
取得部38は、計測部40およびデータ提供部52のいずれか一方だけを備えてもよいが、本実施形態では両方を備えている。計測部40とデータ提供部52の両方の判定結果を比較することにより、一方の判定結果を他方の判定結果で誤りを検出できるので、全体の判定結果の信頼性が高くなる。また、計測部40の計測誤差の許容範囲や、記憶データDmの誤りの許容範囲を広くできるので、これらの構成の簡素化、低コスト化、小型化の観点で有利である。
【0026】
先に、データ提供部52を説明し、計測部40については後述する。データ提供部52は、記憶部52mを有する。記憶部52mは、棚部22のパレット12と移動中のパレット12の位置およびパレットサイズに関するデータを記憶する。この場合、特定の保管部にどのサイズのパレットがどれくらい収納されているか、移動中のパレットがどのサイズかを視認できるので管理が容易になる。また、例えばエラー時のエラーを生じさせたパレットの種別を記憶できるので、この種別を把握しておくことで容易に対応できるようになる。
【0027】
記憶部52mは、後述する記憶データDmを記憶する。この例のデータ提供部52は、読み取り部46を用いて記憶データDmを特定する。読み取り部46は、保管対象のパレット12または当該パレット12の積荷の表示情報Csを読み取り、データ提供部52に提供する。記憶データDmは、表示情報Csに対応するデータテーブルとして記憶部52mに記憶されている。データ提供部52は、表示情報Csをキーとしてテーブル処理により特定された記憶データDmを取得サイズSaとして提供する。
【0028】
記憶データDmは、パレット12の発送元で作成され、記憶媒体、通信媒体等の伝達手段を介して記憶部52mに入力されてもよい。記憶データDmは、自動倉庫システム100内で作成されてもよく、この作成にはパレット12の発送元で作成されたデータを利用してもよい。
【0029】
表示情報Csは、バーコード、二次元バーコード、文字、記号、図形、模様等の可視的な表示であってもよいし、磁気的記録や電子タグ等の不可視的な表示であってもよい。表示情報Csは、商品コード、ロットコード等のパレットの識別情報を含んでいる。なお、表示情報Csを用いることは必須ではなく、個々のパレット12と記憶データDmとの対応関係を特定する別の手段を備えてもよい。
【0030】
コンベア装置44は、フォークリフトなどの外部搬送手段54により搬入されたパレット12を昇降機構20に移動させる。本実施形態では、計測部40および読み取り部46は、コンベア装置44の昇降機構20の手前に配置されており、計測部40は、昇降機構20の手前で保管対象のパレット12のサイズを計測し、読み取り部46は、昇降機構20の手前で保管対象のパレット12の表示情報Csを読み取る。
【0031】
制御部50は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成される。制御部50は、オペレータからの操作結果に基づき、パレット12を移送するために、第1搬送手段14、第2搬送手段16および昇降機構20の動作を制御する。また、制御部50は、パレット12のサイズを取得するために、コンベア装置44、取得部38(計測部40、読み取り部46、データ提供部52等)の動作を制御する。
【0032】
図1図2を参照して、棚部22を説明する。棚部22の構成は、複数のパレット12を保管可能であれば、特に限定されない。棚部22は、X軸方向およびY軸方向に沿って配置された複数の保管部24を含む。各保管部24は、パレット12を保管可能に構成されている。本実施形態の棚部22は、第2レール28を挟んでY軸方向に離れて設けられる2つのエリア22-A、22-Bを有する。2つのエリア22-A、22-Bは、各保管部24にパレット12を保管できる。
【0033】
本実施形態では、保管部24はY軸方向に複数連設されている。具体的には、保管部24は、Y軸方向に延びる後述する第1レール26上に連続的に設けられており、第1レール26のパレット12が保管される箇所を保管部24としている。したがって、第1レール26の長さが同じでも、保管するパレット12の大きさや、隣接するパレット12との隙間の大きさなどにより保管部24の数は変化する。Y軸方向に複数連設された複数の保管部24を保管列23という。各保管列23の第2搬送手段16の走行路(第2レール28)に面する側には、第1搬送手段14が進入、退出してパレット12を出し入れする間口23aが設けられる。間口23aはパレット12の出入口として機能する。
【0034】
本実施形態では、上下に層状に配置されたN段(Nは、1以上の整数で、例えば3)の棚部22が設けられている。図1は、フロアFrに最も近い第1段の棚部22を示している。第2段以上において、第N段の棚部22は第N-1段の棚部22の上に配置される。各段の棚部22は、互いに同様の構成を備えてもよい。特に、各段の棚部22には、それぞれ1台以上の第1搬送手段14および第2搬送手段16のセットが設けられている。各段の棚部22を「棚段」ということがある。
【0035】
棚部22には、第1搬送手段14の走行路としての第1レール26が設けられる。第1レール26は、棚部22においてY軸方向に延設される。第1搬送手段14は、各保管部24の下部を走行可能な搬送手段である。棚部22の側部には、第2搬送手段16の走行路としての第2レール28が設けられる。第2レール28は、棚部22および昇降機構20に隣接してX軸方向に延設される。
【0036】
図3を参照して、第1搬送手段14を説明する。図3は、第1搬送手段14の一例を概略的に示す側面図である。第1搬送手段14は、車体14bと、モータ(不図示)と、複数の車輪14fと、載置台部14cと、リフト機構14dとを備える。第1搬送手段14は、モータによって複数の車輪14fを駆動し、パレット12を搭載した状態で第1レール26をY軸方向に走行する。第1搬送手段14は、リフト機構14dによって載置台部14cおよび載置台部14c上のパレット12を昇降させる。図3において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、降下状態の載置台部14cを実線で示す。
【0037】
第1搬送手段14は、保管部24に進入できる。第1搬送手段14は、第2搬送手段16および昇降機構20に乗降できる。第1搬送手段14は、パレット12を保管部24および第2搬送手段16に降ろすことができる。第1搬送手段14は、パレット12を保管部24および第2搬送手段16から持上げて保持できる。
【0038】
第1搬送手段14は、第1搬送手段14のY軸方向の一端側と他端側それぞれに設けられた2つの第1センサ14sを備える。第1センサ14sは、レーザ14eをスキャンしてその反射光を検知して進行方向の物体(他のパレット12、壁W、障害物など)までの距離を検知できる。第1搬送手段14は、第1センサ14sの検知結果に基づいて、先に保管されたパレット12を検知しながら棚部22を移動し、そのパレット12の所定距離手前で停止し、そこに保持していたパレット12を降ろす。つまり、第1搬送手段14は、複数のパレット12を保管列23に所定の間隔で並べて置くことができる。また、第1センサ14sは、第1搬送手段14に対するその保持パレット12の相対位置を検知できる。
【0039】
図4を参照して、第2搬送手段16を説明する。図4は、第2搬送手段16の一例を概略的に示す正面図であり、第1搬送手段14を搭載した状態を示している。第2搬送手段16は、搭載部16cと、ガイド部16jと、モータ(不図示)と、複数の車輪16fとを備える。第2搬送手段16は、モータによって複数の車輪16fを駆動し、第2レール28をX軸方向に走行する。第2搬送手段16は、搭載部16cに第1搬送手段14を搭載できる。第2搬送手段16は、パレット12を搭載した状態または空荷の第1搬送手段14を移送できる。搭載部16cにはX軸方向に離れて配置される2つのガイド部16jが設けられる。2つのガイド部16jは、第1搬送手段14が搭乗する際に第1搬送手段14をガイドする。2つのガイド部16jにはパレット12を置くことができる。
【0040】
第2搬送手段16は、第1搬送手段14の位置と第1搬送手段14に保持されたパレット12のはみ出しを検知可能な第2センサ16sを備える。例えば、第2センサ16sは、X軸方向に離れて配置される投光器16hと受光器16kのセットからなる透過型の光センサである。第2センサ16sは、投光器16hの投光が遮光されたか否かを受光器16kで検知する。第2搬送手段16には、第1搬送手段14およびパレット12と干渉しない位置であって、Y軸方向に離れた位置に2セットの第2センサ16sが設けられる。
【0041】
図1図2を参照して、昇降機構20およびコンベア装置44を説明する。昇降機構20は、パレット12を各段の棚部22の間で昇降させる。昇降機構20は、一方の間口がコンベア装置44に面しており、他方の間口が第2搬送手段の搬送路(第2レール28)に面している。入庫の際、昇降機構20は、コンベア装置44から引き渡されたパレット12を目的の段に搬送する。出庫の際、昇降機構20は、対象のパレット12を第1段に搬送し、コンベア装置44に引き渡す。昇降機構20は、第1搬送手段14に保持された状態のパレット12を昇降させてもよいが、本実施形態では、第1搬送手段14に保持されていない単独状態のパレット12を昇降させる。
【0042】
本実施形態のコンベア装置44は、ベルトコンベアである。入庫の際、コンベア装置44は、外部搬送手段54から引き渡されたパレット12を取得部38および昇降機構20に移送する。出庫の際、コンベア装置44は、昇降機構20から引き渡されたパレット12を外部搬送手段54がピックアップ可能な位置に移送する。つまり、コンベア装置44は、入庫時と出庫時とで逆の方向にパレット12を移送する。
【0043】
外部搬送手段54から引き渡されたパレット12がコンベア装置44の移送方向に対して平面方向に傾いていることがある。このため、本実施形態では、コンベア装置44の途中に傾きを補正可能なガイド(不図示)を設けている。パレット12は、コンベア装置44で移送中にガイドに接触することにより徐々に傾きが補正される。
【0044】
図5を参照して、計測部40を説明する。図5は、計測部40の一例を概略的に示す平面図である。この図では、符号12-Sは、小サイズのパレット12(例えば、全長=基準サイズ-100mm)を示し、符号12-Mは、中サイズのパレット12(例えば、全長=基準サイズ+100mm)を示し、符号12-Lは、大サイズのパレット12(例えば、全長=基準サイズ+400mm)を示している。パレット12-L、12-Mおよび12-Sを、X軸方向にシフトさせながら重ねて示している。
【0045】
計測部40の構成に限定はなく、パレット12の画像に基づいてサイズを計測する方法、超音波センサを用いる方法、レーザセンサを用いる方法などを採用できる。一例として、本実施形態の計測部40は、X軸方向に離れて配置される3つの光センサ41、42、43を用いて計測する。光センサ41は、Y軸方向で光センサ42の昇降機構20側に配置され、光センサ43は、Y軸方向で光センサ42の昇降機構20とは反対側に配置される。光センサ41、42、43は、投光器41j、42j、43jと、受光器41k、42k、43kのセットからなる透過型の光センサである。光センサ41、42、43は、投光器41j、42j、43jの投光41e、42e、43eが遮光されたか否かを受光器41k、42k、43kで検知する。
【0046】
一例として、計測部40は、光センサ41がパレット12の前端12jを検知したタイミング(以下、「前端検知タイミング」という)での光センサ42、43の検知結果によって、パレット12のサイズを計測する。なお、前端検知タイミングで一時的にコンベア装置44を停止してもよい。
【0047】
前端検知タイミングにおいて、光センサ42、43が共にON状態(非遮断状態)の場合、計測部40は、パレット12のサイズを「小」と判定する。前端検知タイミングにおいて、光センサ42がOFF状態(遮断状態)で、光センサ43がON状態(非遮断状態)の場合、計測部40は、パレット12のサイズを「中」と判定する。前端検知タイミングにおいて、光センサ42、43が共にOFF状態(遮断状態)の場合、計測部40は、パレット12のサイズを「大」と判定する。
【0048】
計測部40は、コンベア装置44を止めて、停止中のパレット12を計測するようにしてもよい。この場合、計測部40をシンプルに構成可能で計測精度も確保しやすい。計測部40は、コンベア装置44を動かしたまま、移動中のパレット12を計測するようにしてもよい。この場合、停止時間のロスを減らせるので時間当たりの計測可能台数を増やせる。
【0049】
図5に示すように、本実施形態の読み取り部46は、計測部40の近傍に配置されている。読み取り部46は、レーザスキャナによりパレット12をスキャンして、表示情報Csを読み取る。読み取り部46は、計測部40の動作とは無関係に非同期のタイミングで表示情報Csを読み取ってもよいし、計測部40の動作と同期したタイミングで表示情報Csを読み取ってもよい。読み取り部46は、パレット12が停止したタイミングで表示情報Csを読み取ってもよいし、パレット12の移動中に表示情報Csを読み取ってもよい。
【0050】
このように構成された、自動倉庫システム100の動作の一例を説明する。以下に示す動作はあくまでも一例であり、いろいろな変形が可能である。
【0051】
(入庫動作)
図1図2図6を参照して自動倉庫システム100の入庫動作S110を説明する。図6は、入庫動作S110を示すフローチャートである。これらの動作は、制御部50によって制御される。
【0052】
(1)入庫動作S110では、まず、フォークリフトなどの外部搬送手段54によって、入庫するパレット12をコンベア装置44に載せる(ステップS111)。
(2)次に、コンベア装置44は、パレット12を取得部38(計測部40、読み取り部46)に移送する(ステップS112)。
(3)次に、取得部38は、コンベア装置44上のパレット12のパレットサイズを取得し、取得結果を制御部50に送る(ステップS113)。コンベア装置44は、パレット12を昇降機構20に移送する。
【0053】
(4)制御部50は、当該取得結果に基づいて当該パレット12を保管する保管部を決定する(ステップS114)。当該決定結果には、保管先の保管部の情報、当該保管部が属する保管列の情報、当該保管列が属するエリアの情報および当該エリアが属する棚段の情報が含まれてもよい。制御部50は、このステップで計測部40とデータ提供部52の判定結果が一致する場合は、処理を次のステップに進め、一致しない場合は、処理を一時的に停止し、異常があることを作業員に報知する。作業員による所定の対応処置がなされたら、制御部50は、処理を次のステップに進める。
【0054】
(5)次に、昇降機構20に当該パレット12を載せ、決定された保管先の棚段に移送する(ステップS115)。例えば、コンベア装置44は、昇降機構20の前でパレット12の移送を停止する。昇降機構20の置台が降下したら、コンベア装置44は、パレット12を押し出して昇降機構20の置台に載せる。
【0055】
(6)保管先の棚段において、第2搬送手段16は、空荷の第1搬送手段14を搭載して昇降機構20の前に移動する(ステップS116)。
(7)次に、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から昇降機構20に移動し、当該パレット12を保持する(ステップS117)。このように、本実施形態では、当該パレット12のパレットサイズが取得されてから、当該パレット12が第1搬送手段14に保持される。
(8)次に、当該パレット12を保持した第1搬送手段14は、昇降機構20から第2搬送手段16に移動する(ステップS118)。
【0056】
(9)次に、第2搬送手段16は、第1搬送手段14を搭載して保管先の保管部24が属する保管列23の前に移動する(ステップS119)。
(10)次に、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から保管先の保管部24に移動して、そこにパレット12を降ろす(ステップS120)。第1搬送手段14は、パレット12を降ろした保管部24の位置(以下、「保管位置」という)を制御部50に送信してもよい。制御部50は、第1搬送手段14から送信された保管位置に基づいて、当該保管列23の保管余力(例えば、サイズ)を算出してもよい。制御部50は、算出された保管余力を参照して、後から搬入されるパレット12を保管する保管部24を決定できる。
【0057】
パレット12を降ろした第1搬送手段14は、そのまま待機してもよいし、別の待機場所に移動してもよい。
【0058】
(出庫動作)
図1図2を参照して自動倉庫システム100の出庫動作を説明する。出庫動作では、まず、第1搬送手段14は、載置台部14cを降ろした状態で、搬送元の保管部24において出庫されるパレット12の下に進入し、載置台部14cを上昇させてパレット12を保持し、第2搬送手段16に搭乗する。第1搬送手段14が搭乗したら、第2搬送手段16は昇降機構20の前に移動する。次に、第1搬送手段14は、第2搬送手段16から退出して昇降機構20に進入してパレット12を降ろし、昇降機構20から退出する。次に、昇降機構20は、当該パレット12を降下させてコンベア装置44に載せる。コンベア装置44は、パレット12を外部搬送手段54の前に移送する。外部搬送手段54の前に移送されたパレット12は、外部搬送手段54によって、外部に出庫される。出庫されたパレット12は、トラック(不図示)などに積み入れされて出荷されてもよい。
【0059】
次に、図7を参照して、棚部22におけるパレット12の配置例を説明する。図7は、棚部22におけるパレット12の配置例を模式的に示す模式図である。上述したように、棚部22は、列方向に配列された複数の保管部24からなる保管列23を複数有している。各保管列23には、パレット12のサイズに関する保管ルール(以下、保管列23の「属性」という)が予め設定されている。一例として、保管列23は、以下の属性を有してもよい。
【0060】
図7に示すように、一の保管列23に、同じサイズのパレット12が保管されてもよい。この場合、同種のパレットを大量に保管する際に、効率的に運用できる。図7の例では、保管列23-A、23-Bは、小サイズのパレット12-Sが保管される属性(以下「S属性」という)を有する。また、保管列23-Cは、中サイズのパレット12-Mが保管される属性(以下「M属性」という)を有する。また、保管列23-D、23-Eは、大サイズのパレット12-Lが保管される属性(以下「L属性」という)を有する。
【0061】
また、図7に示すように、一の保管列23に、互いにサイズが異なる複数のパレットが保管されてもよい。この場合、サイズの異なる多品種のパレットを保管する際に、柔軟な運用が可能になる。図7の例では、保管列23-Fは、互いにサイズが異なる複数のパレット12-M、12-S、12-Lが混在して保管される属性(以下「C属性」という)を有する。
【0062】
また、図7に示すように、一の保管列23に、互いにパレット幅が異なる複数のパレットが保管されてもよい。この場合、パレット幅の異なる多品種のパレットを保管する際に、柔軟な運用が可能になる。図7の例では、保管列23-Gは、互いにパレット幅が異なる複数のパレット12-M(1)、12-S(2)、12-L(1)、12-L(2)が混在して保管される属性(以下「P属性」という)を有する。
【0063】
パレット12に付加された符号のアルファベットは、パレットのサイズL、M、Sを示し、括弧付きの数字はパレットのパレット幅を示している。パレット幅を示す符号において、(1)は第1パレット幅(この例では1200mm)を示し、(2)は第2パレット幅(この例では1100mm)を示す。つまり、パレット12-M(1)は、第1パレット幅の中サイズのパレットを示し、パレット12-S(2)は、第2パレット幅の小サイズのパレットを示す。パレット12-L(1)は、第1パレット幅の大サイズのパレットを示し、パレット12-L(2)は、第2パレット幅の大サイズのパレットを示す。なお、第1パレット幅のパレットを総称するときは第1パレット12(1)といい、第2パレット幅のパレットを総称するときは第2パレット12(2)という。
【0064】
なお、パレット幅を示す符号のうち、第1パレット幅を示す「(1)」は省略して示す場合がある。この例では、保管列23-A~23-Fに保管されるパレットのハレット幅は第1パレット幅である。これらの保管列も、互いにパレット幅が異なる複数のパレットを保管可能に構成されてもよい。パレット幅は2種類に限定されず、3種類以上であってもよい。
【0065】
図12図13を参照して、パレット幅の異なる多品種のパレットを保管可能な保管列23-Gを説明する。図12は、複数パレット幅のパレット12を保管可能な保管列23-Gの平面図である。図13は、正面視の保管列23-Gを示す。保管列23-Gは、パレット12を置くために行方向に離れて配置される1組の載置部33、34と、1組の載置部33、34に載置されたパレット12の行方向の移動を規制する1組の側部規制部31、32と、を有する。
【0066】
1組の載置部33、34は、第1載置部33と、第2載置部34とを有し、1組の側部規制部31、32は、第1側部規制部31と、第2側部規制部32とを有する。第1側部規制部31は、第1載置部33の第2載置部34とは反対側に配置され、第2側部規制部32は、第2載置部34の第1載置部33とは反対側に配置される。
【0067】
本実施形態の第1、第2載置部33、34は、保管部24においてY軸方向に延びる第1レール26の上面である。本実施形態の第1、第2側部規制部31、32は、Y軸方向に延びるレール状を有し、第1、第2載置部33、34に載置されたパレット12の両側部を挟むように配置される。第1、第2側部規制部31、32は、平面視において、第1、第2載置部33、34の行方向両側に配置される。
【0068】
第1、第2側部規制部31、32は、パレット12の行方向位置をガイドするガイド部31e、32eを有する。ガイド部31e、32eは、パレット12が接近したときパレット12の側部に接触して位置規制を行う。ガイド部31e、32eは、第1、第2載置部33、34よりも上方に位置する。
【0069】
第1、第2側部規制部31、32の間の隙間の大きさは、第1パレット12(1)が第1、第2側部規制部31、32と干渉することなく通過できるように構成される。このため、第1、第2側部規制部31、32の行方向間隔D1は、第1パレット12(1)のパレット幅W1よりも大きい。行方向間隔D1は、パレット幅W1に十分な大きさのマージンを加えた大きさとされる。この例では、行方向間隔D1は、ガイド部31e、32eの行方向間隔である。
【0070】
第1、第2載置部33、34の間の隙間が大きすぎると、その隙間に第2パレット12(2)が落下する。このため、第1、第2載置部33、34の行方向間隔D2は、第2パレット12(2)のパレット幅W2よりも小さい。この例では、行方向間隔D2は、第1、第2載置部33、34の行方向に向かい合う対向端部33e、34eの間の間隔である。
【0071】
行方向間隔D1が大き過ぎると、図13の(c)、(d)に示すように、第2パレット12(2)が行方向の一方側に偏倚したとき、パレットの他方側の端部が第1、第2載置部33、34の間の隙間に落ちる可能性がある。このため、第1、第2載置部33、34は、第1、第2側部規制部31、32の間に位置する第2パレット12(2)の位置に関わらず、当該第2パレット12(2)を支持可能に配置される。具体的には、第1側部規制部31と第2載置部34との間の平面視の行方向の距離E1と、第2側部規制部32と第1載置部33との間の平面視の行方向の距離E2とは第2パレット12(2)のパレット幅W2よりも小さく設定されている。なお、2点間の平面視の距離は、平面上に投影したその2点間の距離である。
【0072】
図13の例では、距離E1は、対向端部34eから遠い方のガイド部31eまで平面上の最短の距離であり、距離E2は、対向端部33eから遠い方のガイド部32eまでの平面上の最短距離である。図13の例では、第1パレット12(1)のパレット幅W1が保管列23-Gに保管可能な最大幅であり、第2パレット12(2)のパレット幅W2が保管列23-Gに保管可能な最小幅である。つまり、保管列23-Gは、パレット幅がW1からW2までの範囲で、互いに行方向幅が異なる複数種類のパレット12を混在させて保管できる。
【0073】
取得部38は、パレットサイズに加えてパレット幅を取得可能に構成されてもよい。計測部40は、パレットサイズに加えてパレット幅を計測可能に構成されてもよい。データ提供部52は、パレットサイズに加えてパレット幅を提供可能に構成されてもよい。制御部50は、一のパレット12について取得部38で取得されたパレット幅に応じて決定した保管列23に当該一のパレット12を保管するように搬送機構を制御してもよい。
【0074】
次に、各保管列23の属性の変更について説明する。商品ミックスは、季節ごと、月ごと、週ごとあるいは日ごとに変動する場合がある。保管列23の属性が初期設定されたままで変更できないと、商品ミックスの変動に対応できない可能性がある。このため、本実施形態では、保管列23の属性を変更できるように構成されている。例えば、パレット12-Lの商品が増えそうな場合は、L属性の保管列23の比率を増やすことができる。保管列23の属性変更は、オペレータの操作に基づいてなされてもよいし、商品の入出庫計画に応じて、制御部50またはその上位制御システムにて各属性の比率を算出し、その算出結果に基づいて自動的になされてもよい。
【0075】
各保管列23の属性は制御部50に記憶されてもよい。この場合、保管列23の属性変更は、制御部50に記憶された属性を書き換えることにより実現できる。なお、保管列23の属性が変更された場合、その属性に適合するように、保管列23に保管されたパレット12について配替えがなされてもよい。なお、配替えは、棚部22において、ある保管列23から別の保管列23にパレット12を移送する動作である。
【0076】
上述の説明では、三種のパレットサイズを扱う例を示したが、さらに多種類のパレットを扱うニーズがある。例えば、最小と最大のパレットサイズが決まっていれば、本実施形態は、上述の小サイズ、中サイズ、大サイズに限らず、これらの中間サイズ(例えば、全長=基準サイズ+200mm、基準サイズ-50mmなど)も扱うことができる。本実施形態では、各保管列23には、パレットサイズによって複数のグループに区分された一のグループのパレットが保管される。パレット12の収納効率を最適化可能な設計(長さ)をすることができる。
【0077】
例えば、パレットサイズが小サイズ(基準サイズ-100mm)以下は第1グループとし、小サイズ(基準サイズ-100mm)を超え中サイズ(基準サイズ+100mm)以下は第2グループとし、中サイズ(基準サイズ+100mm)を超え大サイズ(基準サイズ+400mm)以下は第3グループとしてもよい。第1グループのパレットはS属性の保管列に保管し、第2グループのパレットはM属性の保管列に保管し、第3グループのパレットはL属性の保管列に保管してもよい。このグループは、棚部22の棚段ごとに設定されてもよい。棚部22の棚段ごとの収納効率を最適化可能な設計(長さ)をすることができる。
【0078】
図8を参照して、保管列23にパレット12を詰めて保管する動作の一例を説明する。この動作は、図11(b)に示すパレット12を詰めて配置する状態を実現するものである。図8は、パレット12を詰めて保管する動作の一例を説明する説明図である。この動作では、予め保管対象のパレットのサイズが取得されて、その取得結果に基づいて第1搬送手段14の移動が制御される。
【0079】
まず、第1搬送手段14は、保管対象のパレット12-S(A)を第1搬送手段14の中心近傍に保持して図中で左から右へ移動し、既に置かれたパレット12-S(B)に接近し、そのパレットの手前に停止する(図8(a))。中心近傍とは、中心に対して誤差や動作のバラツキを許容する範囲をいう。このとき、第1搬送手段14は、そのパレットとの接触を避けるように、そのパレットのとの距離を第1センサ14sで検知して所定の距離手前で止まるので、隣接パレット間には大きな隙間が残る。
【0080】
次に、第1搬送手段14は、パレット12-S(A)を一時的に保管列23に降ろし、図中左側に移動する(図8(b))。次に、第1搬送手段14は、移動後の位置でパレット12-S(A)を保持し、図中右側に移動する(図8(c))。この動作で、第1搬送手段14は、既に置かれたパレット12-S(B)を検出して、そのパレットまでの距離とパレット12-S(A)のパレットサイズとに基づいて隙間を決定してもよい。例えば、第1搬送手段14は、計測部40で計測された保管対象のパレット12-S(A)のサイズに応じて、既に置かれたパレット12-S(B)の位置に対して、第1搬送手段14が移動すべき距離を計算する。この動作で、この計算結果と、計測されたパレットサイズと、第1センサ14sの検知距離とに基づいて、隣接パレット間に所定の隙間Sdが形成されるように第1搬送手段14の停止位置が制御される。次に、第1搬送手段14は、その位置でパレット12-S(A)を保管列23に降ろす(図8(d))。
【0081】
パレット12-S(A)を保管列23に降ろすことによりこの動作は終了し、第1搬送手段14は、待機場所に移動する。このようにパレット間隔を詰めて保管することにより、図11(a)の場合に比べて符号Cdで示す分、無駄なスペースが減り、スペース効率が向上する。
【0082】
次に、ランダムに入庫されたサイズが異なる複数のパレット12を棚部22の各保管列23に保管する方法を説明する。この例では、予め、下記の寸法をパラメータとして制御部50に入力して記憶させておく。下記の寸法は、特に断りの無い限り、列方向寸法である。
(1)棚部22の格納寸法。特に、各保管列23の寸法Yc
(2)隣接するパレット間の距離Sd
(3)その他の寸法。特に、各保管列23の奥部のパレット12を置かないデッドスペースの寸法Yd
【0083】
次に、制御部50は、現状の各保管列23の保管状態から、それぞれの保管可能スペースの寸法(以下「保管可能寸法Ys」という)を計算する。この計算には、現状保管されているn個のパレットの各寸法Yp(1)~Yp(n)が用いられる。制御部50は、各保管列23について、寸法Yp(1)~Yp(n)を記憶している。
一例として、制御部50は式(1)により各保管列23の寸法Ysを計算できる。
Ys=Yc-Σ[Yp(1)~Yp(n)]-n・Sd-Yd・・・(1)
各保管列23の保管可能寸法Ysは、制御部50に記憶される。
【0084】
制御部50は、新たなパレット12が入庫される際、新たなパレット12のパレットサイズYjよりも大きい保管可能寸法Ysを有する保管列23を検索する。
【0085】
制御部50は、検索によりヒットした保管列23のうち、例えば、パレット12の品種別や出庫口に近い保管列などの保管先決定条件を加え、新たなパレット12を保管する保管先を決定できる。この保管先決定条件は、所望の条件に変更できる。
【0086】
制御部50は、パレット12を出庫した際、出庫したパレット12のパレットサイズYeを加えて各保管列23の保管可能寸法Ysを再計算し、記憶を更新する。
【0087】
このように、保管する保管列を決定することにより、棚部22にランダムに入庫されたサイズが異なる複数のパレット12を高密度で保管でき、スペース効率を向上できる。
【0088】
以上のように構成された本実施形態の自動倉庫システム100の特徴を説明する。
本実施形態の自動倉庫システム100は、パレット12を保持して棚部22を列方向に移動可能な第1搬送手段14と、第1搬送手段14を搭載して棚部22の側部を行方向に移動可能な第2搬送手段16と、保管対象のパレット12のサイズを取得サイズとして取得する取得部38と、を有する。この場合、互いに異なるサイズのパレットや、サイズ不明のパレットでも、円滑に保管できる。また、取得サイズに基づいて、そのサイズに合った保管部に保管できるので、無駄なスペースを減らして、スペース効率を高められる。
【0089】
本実施形態では、取得部38は、保管対象のパレット12のサイズを計測し、当該計測結果を取得サイズとして提供する計測部40を含む。この場合、実測値を取得サイズとして提供することができる。
【0090】
本実施形態では、取得部38は、保管対象のパレット12に関連づけて記憶された記憶データを取得サイズとして提供するデータ提供部52を含む。この場合、記憶データを取得サイズとして提供することができる。
【0091】
本実施形態では、保管対象のパレット12は、当該パレット12の取得サイズが取得されてから、第1搬送手段14に保持される。この場合、取得結果に基づいて保管部24を決定し、その保管部24の属する保管列23または棚段の第1搬送手段14を用いて当該パレット12を搬送できる。
【0092】
本実施形態では、取得部38の取得結果に基づいて保管対象のパレット12を保管する保管部24が決定される。この場合、取得結果に基づいて保管部24を決定できるので、そのサイズに合った保管部に保管できる。
【0093】
本実施形態は、列方向に配列された複数の保管部24からなる保管列23を有し、保管列23には、互いにサイズが異なる複数のパレット12が保管される。この場合、サイズの異なる多品種のパレットを保管する際に、柔軟な運用が可能になる。
【0094】
本実施形態は、列方向に配列された複数の保管部24からなる保管列23を複数有し、保管列23には、サイズによって複数のグループに区分された一のグループのパレット12が保管される。この場合、より多様なパレットサイズに対応できる。このように、サイズ違いのパレットをグルーピングして保管することにより、自動倉庫システム内の保管可能なパレット数を増加させることができる。
【0095】
また、棚部を、大サイズ用に設計した保管部と小サイズ用に設計した保管部とに所定の比率で区分けする場合、商品ミックスが変動すると、大サイズと小サイズのパレットの比率が変動し、保管部の比率との不整合が生じる可能性がある。これに対して、本実施形態では、保管列23の属性を変更できるように構成されているので、商品ミックスの変動に柔軟に対応可能で、パレットの比率と保管部の比率の不整合を生じにくい。
【0096】
本実施形態では、第1パレット12(1)と、第1パレット12(1)の行方向幅よりも小さい行方向幅を有する第2パレット12(2)とを保管可能な複数の保管部が列方向に配列された保管列23-Gを有する。第2パレット12(2)の行方向幅は、第1パレット12(1)の行方向幅よりも小さい。保管列23-Gは、第2パレット12(2)および第1パレット12(1)を置くために行方向に離れて配置される1組の載置部33、34と、1組の載置部33、34に載置されたパレットの行方向の両側に配置される1組の側部規制部31、32と、を有する。1組の側部規制部31、32の行方向間隔D1は、第1パレット12(1)のパレット幅W1よりも大きい。1組の載置部33、34は、1組の側部規制部31、32の間に位置する第2パレット12(2)の位置に関わらず、当該第2パレット12(2)を支持可能に配置される。この場合、行方向幅が異なる複数幅のパレットを一の保管列23-Gに保管できる。
【0097】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0098】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0099】
[第1変形例]
実施形態の説明では、コンベア装置44を備える例を示したが、これに限定されない。図9は第1変形例に係る自動倉庫システム100を概略的に示す側面図であり、図2に対応する。本変形例は、昇降機構20が第1搬送手段14を昇降し、コンベア装置44を備えない点で実施形態と相違する。本変形例では、外部搬送手段54は、入庫するパレット12を第1搬送手段14に置く。本変形例では、取得部38は計測部40を備え、データ提供部を備えない例を示す。第1搬送手段14は、パレット12を保持した状態で計測部40に進入する。計測部40は、第1搬送手段14に保持されたパレット12のパレットサイズを計測し、計測結果を制御部50に送る。制御部50は、当該計測結果に基づいて当該パレット12を保管する保管部を決定する。
【0100】
第1搬送手段14は、パレット12を保持した状態で昇降機構20に進入する。昇降機構20は、第1搬送手段14とパレット12とを保管先の棚段に移送する。第1搬送手段14は、昇降機構20から第2搬送手段16に移動する。第2搬送手段16は、第1搬送手段14とパレット12とを保管先の保管列23に移送する。第1搬送手段14は、パレット12を保管先の保管部24に移送し、その保管部24にパレット12を降ろす。
本変形例は、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0101】
[第2変形例]
実施形態の説明では、昇降機構20を備える例を示したが、これに限定されない。図10は第2変形例に係る自動倉庫システム100を概略的に示す側面図であり、図2に対応する。本変形例は、昇降機構20を備えず、多段の中間荷置部21を有する中間棚25を備える点で実施形態と相違する。
【0102】
中間荷置部21は、入庫の際、外部搬送手段54からパレット12の引き渡しを受るための一時収容部である。本変形例の中間荷置部21は、棚部22と同じ段数(3段)を有する。中間荷置部21には、内部側に面する間口から第1搬送手段14が進入してパレット12を出し入れする。中間荷置部21には、外部側に面する間口から外部搬送手段54がフォークを差し込んでパレット12を出し入れする。
【0103】
本変形例では、取得部38は計測部40を備え、データ提供部を備えない例を示す。本変形例において、計測部40は、各段の中間荷置部21に設けられる。
【0104】
本変形例では、外部搬送手段54は、入庫するパレット12を中間荷置部21に搬入する。計測部40は、中間荷置部21に搬入されたパレット12のパレットサイズを計測し、計測結果を制御部50に送る。制御部50は、当該計測結果に基づいて当該パレット12を保管する保管部を決定する。第2搬送手段16は、空荷の第1搬送手段14を中間荷置部21の前に移送する。第1搬送手段14は、中間荷置部21に進入してパレット12を保持して第2搬送手段16に搭乗する。第2搬送手段16は、第1搬送手段14とパレット12とを保管先の保管列23に移送する。第1搬送手段14は、パレット12を保管先の保管部24に移送し、その保管部24にパレット12を降ろす。
本変形例は、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0105】
[その他の変形例]
実施形態の説明では、第2搬送手段16が昇降機構を有しない例を示したが、これに限定されない。例えば、第2搬送手段16は、第1搬送手段14を昇降する昇降機構を有してもよい。この場合、計測部40または読み取り部46は、第2搬送手段16に設けられてもよい。第2搬送手段16はスタッカークレーンであってもよい。
【0106】
実施形態の説明では、計測部40と読み取り部46とが昇降機構20の上流側に設けられる例を示したが、これに限定されない。計測部40または読み取り部46は、昇降機構20に設けられてもよいし、昇降機構20から棚部22までの間に設けられてもよいし、第2搬送手段16に設けられてもよい。また、取得部38は、昇降機構20の上流側のどこでパレットサイズを取得してもよく、例えば、入庫直後にパレットサイズを取得してもよい。
【0107】
実施形態の説明では、取得部38でパレットサイズを取得したパレット12がすべて入庫される例を示したが、これに限定されない。例えば、パレットサイズが所定範囲外であるパレット12は、棚部22には入庫せずにリジェクトされてもよい。
【0108】
実施形態の説明では、第2搬送手段16の走行路に第2レール28が設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、第2搬送手段16は、レールのない走行路を走行するものであってもよい。
【0109】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0110】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0111】
12 パレット、 14 第1搬送手段、 16 第2搬送手段、 20 昇降機構、 21 中間荷置部、 22 棚部、 23 保管列、 24 保管部、 25 中間棚、 31、32 側部規制部、 33、34 載置部、 38 取得部、 40 計測部、 44 コンベア装置、 50 制御部、 52 データ提供部、 54 外部搬送手段、 100 自動倉庫システム。
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