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特許7581007処理装置、作成方法、プログラム、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】処理装置、作成方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241105BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241105BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020172061
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063687
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕輔
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-195116(JP,A)
【文献】特開2020-077212(JP,A)
【文献】特開2020-149309(JP,A)
【文献】特開2014-170469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品に関する複数の作業が実施される作業エリアに対応し、複数の区画から構成される第1エリアと、
前記複数の物品に対応し、それぞれにサイズ及び前記作業の所要時間が設定された複数のオブジェクトと、
を参照し、複数の前記サイズ及び複数の前記所要時間を用いて、前記第1エリアにおける前記複数のオブジェクトのそれぞれの配置と、複数の前記配置の順序と、を含む作業計画を作成する処理装置であって、
前記複数のオブジェクトのいずれかの配置後における前記第1エリアの状態に基づく評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記複数の配置及び前記順序を決定し、
前記作業計画の作成において、
前記複数のオブジェクトの1つを選択し、
選択された前記オブジェクトを配置可能な1つ以上の前記区画を抽出し、
選択された前記オブジェクトを、前記1つ以上の区画にそれぞれ配置したときの1つ以上の前記評価値を計算し、
前記1つ以上の評価値に基づいて、選択された前記オブジェクトの配置を決定し、
前記複数の区画は、互いに直交する第1軸方向及び第2軸方向に沿って配列され、
前記評価値の算出において、
選択された前記オブジェクトを配置した後のそれぞれの前記区画について、前記第1軸方向に平行な第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向と、前記第2軸方向に平行な第3方向と、前記第3方向と反対の第4方向と、のそれぞれにおける配置可能距離を計算し、
複数の前記配置可能距離に基づいて前記評価値を算出する、処理装置。
【請求項2】
前記作業計画の作成において、
時間ごとの前記第1エリアの状態を参照して前記複数のオブジェクトのいずれかを配置可能か判定し、
前記第1エリアに配置されて前記所要時間が経過した1つ以上の前記オブジェクトは、前記第1エリアから除去して前記複数の配置及び前記順序を決定する、
請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記作業計画は、前記順序及び時間の関係を示すスケジュールをさらに含む請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記スケジュールと、前記第1エリアにおける前記複数の配置と、を表示装置に表示させる、請求項3記載の処理装置。
【請求項5】
前記複数の区画のそれぞれは、占有区画又は非占有区画のいずれかに設定され、
前記処理装置は、前記第1エリアに含まれる1つ以上の前記非占有区画に対して、前記複数のオブジェクトのそれぞれの配置と、複数の前記配置の順序と、を含む前記作業計画を作成する、請求項1~のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の物品に関する複数の作業が実施される作業エリアに対応し、複数の区画から構成される第1エリアと、
前記複数の物品に対応し、それぞれにサイズ及び前記作業の所要時間が設定された複数のオブジェクトと、
を参照させ、
複数の前記サイズ及び複数の前記所要時間を用いて、前記第1エリアにおける前記複数のオブジェクトのそれぞれの配置と、複数の前記配置の順序と、を含む作業計画を作成させる作成方法であって、
前記コンピュータに、前記複数のオブジェクトのいずれかの配置後における前記第1エリアの状態に基づく評価値を計算させ、前記評価値に基づいて、前記複数の配置及び前記順序を決定させ
前記作業計画の作成において、前記コンピュータに、
前記複数のオブジェクトの1つを選択させ、
選択された前記オブジェクトを配置可能な1つ以上の前記区画を抽出させ、
選択された前記オブジェクトを、前記1つ以上の区画にそれぞれ配置したときの1つ以上の前記評価値を計算させ、
前記1つ以上の評価値に基づいて、選択された前記オブジェクトの配置を決定させ、
前記複数の区画は、互いに直交する第1軸方向及び第2軸方向に沿って配列され、
前記評価値の算出において、前記コンピュータに、
選択された前記オブジェクトを配置した後のそれぞれの前記区画について、前記第1軸方向に平行な第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向と、前記第2軸方向に平行な第3方向と、前記第3方向と反対の第4方向と、のそれぞれにおける配置可能距離を計算させ、
複数の前記配置可能距離に基づいて前記評価値を算出させる、作成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の物品に関する複数の作業が実施される作業エリアに対応し、複数の区画から構成される第1エリアと、
前記複数の物品に対応し、それぞれにサイズ及び前記作業の所要時間が設定された複数のオブジェクトと、
を参照させ、
複数の前記サイズ及び複数の前記所要時間を用いて、前記第1エリアにおける前記複数のオブジェクトのそれぞれの配置と、複数の前記配置の順序と、を含む作業計画を作成させるプログラムであって、
前記コンピュータに、前記複数のオブジェクトのいずれかの配置後における前記第1エリアの状態に基づく評価値を計算させ、前記評価値に基づいて、前記複数の配置及び前記順序を決定させ
前記作業計画の作成において、前記コンピュータに、
前記複数のオブジェクトの1つを選択させ、
選択された前記オブジェクトを配置可能な1つ以上の前記区画を抽出させ、
選択された前記オブジェクトを、前記1つ以上の区画にそれぞれ配置したときの1つ以上の前記評価値を計算させ、
前記1つ以上の評価値に基づいて、選択された前記オブジェクトの配置を決定させ、
前記複数の区画は、互いに直交する第1軸方向及び第2軸方向に沿って配列され、
前記評価値の算出において、前記コンピュータに、
選択された前記オブジェクトを配置した後のそれぞれの前記区画について、前記第1軸方向に平行な第1方向と、前記第1方向と反対の第2方向と、前記第2軸方向に平行な第3方向と、前記第3方向と反対の第4方向と、のそれぞれにおける配置可能距離を計算させ、
複数の前記配置可能距離に基づいて前記評価値を算出させる、プログラム。
【請求項8】
請求項記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、処理装置、作成方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品に関する複数の作業について、作業エリアにおける各物品の配置、配置の順序などを含む作業計画を作成する装置がある。複数の作業が実施される作業期間は、より短いことが好ましい。装置について、作業期間のより短い作業計画を作成可能であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-138883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、作業期間のより短い作業計画を作成可能な、処理装置、作成方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る処理装置は、第1エリア及び複数のオブジェクトを参照する。前記第1エリアは、複数の物品に関する複数の作業が実施される作業エリアに対応し、複数の区画から構成される。前記複数のオブジェクトは、前記複数の物品に対応し、それぞれにサイズ及び前記作業の所要時間が設定されている。前記処理装置は、さらに、複数の前記サイズ及び複数の前記所要時間を用いて、前記第1エリアにおける前記複数のオブジェクトのそれぞれの配置と、複数の前記配置の順序と、を含む作業計画を作成する。前記処理装置は、前記複数のオブジェクトのいずれかの配置後における前記第1エリアの状態に基づく評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記複数の配置及び前記順序を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る処理システムの構成を表す模式図である。
図2】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図3】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図4】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図5】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図6】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図7】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図8】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図9】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図10】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図11】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図12】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図13】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図14】実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図15】実施形態に係る作成方法を表すフローチャートである。
図16】実施形態に係る作成方法を表すフローチャートである。
図17】実施形態に係る作成方法を表すフローチャートである。
図18】実施形態に係る処理装置のハードウェア構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る処理システムの構成を表す模式図である。
図1に表したように、処理システム10は、処理装置1、入力装置2、表示装置3、及び記憶装置4を含む。
【0009】
処理システム10は、複数の作業に関する作業計画を作成するために用いられる。複数の作業は、特定の作業エリアで実施される。1つの作業では、1つの物品が作業エリアの少なくとも一部に配置され、その1つの物品に関する作業が実施される。例えば、作業は、物品に対しての、接合、切断、組立、分解、研削、洗浄などである。物品は、機器、機器の一部を構成するユニット、ユニットの一部を構成する部品などである。
【0010】
処理装置1は、予め用意されたデータを適宜参照し、複数の作業をより短い作業期間で完了させるための作業計画を作成する。処理装置1は、例えば、中央演算処理装置(CPU)を含む汎用のコンピュータである。
【0011】
入力装置2は、ユーザが処理装置1へデータを入力するために使用される。例えば、入力装置2は、マウス、キーボード、タッチパッド、及びマイクから選択される少なくとも1つを含む。
【0012】
表示装置3は、処理装置1から出力されたデータを、ユーザが視認できるように表示する。例えば、表示装置3は、モニタ及びプロジェクタから選択される少なくとも1つを含む。入力装置2及び表示装置3の両方の機能を備えるタッチパネルなどの装置が、入力装置2及び表示装置3として用いられても良い。
【0013】
記憶装置4は、作業計画の作成に必要なデータや、処理装置1による処理によって生成されたデータなどを記憶する。例えば、記憶装置4は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、及びネットワーク接続ハードディスク(NAS)から選択される少なくとも1つを含む。
【0014】
図2図14は、実施形態に係る処理装置による処理を説明するための模式図である。
図2図14を参照して、処理装置1による処理について説明する。ここでは、それぞれの物品の2次元的な配置と、それらの配置の順序と、を決定する例について説明する。
【0015】
まず、ユーザにより、第1エリア及び複数のオブジェクトが作成され、記憶装置4に保存される。また、ユーザは、全体の作業の開始時間、全体の作業の期限などを、記憶装置4に保存する。第1エリアは、作業エリアに対応するデータである。複数のオブジェクトは、作業対象である複数の物品にそれぞれ対応するデータである。
【0016】
図2(a)は、実際の作業エリアを示す模式図である。作業エリアA1は、壁A2及び柱A3に囲まれている。図2(b)に表したように、ユーザは、作業エリアA1に対応する第1エリアBを作成する。図2(b)及び図2(c)に表したように、第1エリアBは、作業を実施可能な複数の区画Cから構成される。区画Cは、四角形で表される。
【0017】
複数の区画Cは、互いに交差する第1軸方向AX1及び第2軸方向AX2に沿って配列される。例えば、第1軸方向AX1は、第2軸方向AX2に対して垂直である。第1軸方向AX1及び第2軸方向AX2は、作業エリアの水平方向に対応する。
【0018】
オブジェクトの作成では、ユーザは、オブジェクトのサイズと、そのオブジェクトに対応する物品への作業の所要時間と、を設定する。サイズは、区画Cを単位として設定される。例えば、図3(a)~図3(c)に表した配管である物品E1~E3が、作業エリアにおいて、溶接及び組立によって作製される。図3(d)~図3(f)に表したように、ユーザは、物品E1~E3に対応するオブジェクトF1~F3を作成する。オブジェクトF1のサイズは、縦2×横3の区画で表されている。オブジェクトF2のサイズは、縦2×横2の区画で表されている。オブジェクトF3のサイズは、縦3×横3の区画で表されている。
【0019】
オブジェクトのサイズには、作業に必要なスペースが含まれても良い。例えば、作業において大型の機器等を物品に隣接させる場合は、その機器のサイズをオブジェクトのサイズに含める。広い作業スペースが必要な場合は、その作業スペースのサイズをオブジェクトのサイズに含める。物品に対して特定の方向から作業する必要がある場合は、その方向におけるオブジェクトのサイズを実際の物品のサイズよりも大きくする。
【0020】
作業エリアに対して設定される区画の数は、任意である。区画の数は、処理装置1の性能に応じて設定される。区画の数が多いほど、より好ましい作業計画が作成される可能性が高まる。例えば、作業期間がより短い作業計画が作成されうる。区画の数が少ないほど、計算量を低減できる。例えば、作業の数が多い場合であっても、作業計画をより早く作成できる。
【0021】
例えば図3(d)~図3(f)に表したように、オブジェクトの外形は、四角形である。全ての物品を四角形で表すことで、作業計画の作成に必要な計算量を低減できる。又は、オブジェクトの外形は、5角以上の多角形であっても良い。例えば、四角形作業エリアに対して多くの区画が設定され、実際の物品の形状、作業に必要なスペースなどがより詳細に反映されたオブジェクトが設定されても良い。これにより、より好ましい作業計画が作成される可能性が高まる。
【0022】
処理装置1は、用意された第1エリア及び複数のオブジェクトに従って、第1エリアにおけるそれぞれのオブジェクトの配置と、それらの配置の順序と、を含む作業計画を作成する。「配置」は、オブジェクトが置かれる位置と、オブジェクトの向きと、を含む。処理装置1は、作業計画の作成において、オブジェクトの配置前及びいずれかのオブジェクトの配置後における第1エリアの評価値を計算する。評価値は、オブジェクトの配置前及びいずれかのオブジェクトの配置後における第1エリアの状態に基づく。処理装置1は、評価値に基づいて、それぞれの配置及び順序を決定する。
【0023】
図4図6を参照して、評価値に基づく配置及び順序の決定について説明する。
まず、処理装置1は、オブジェクトを配置する前の評価値を算出する。評価値は、それぞれの区画について計算される配置可能距離に基づいて決定される。
【0024】
具体的には、処理装置1は、それぞれの区画ついて、第1方向D1~第4方向D4でのそれぞれの配置可能距離を計算する。配置可能距離は、1つの区画にオブジェクトを配置するときに、その方向に配置できるオブジェクトのサイズの上限を表す。第1方向D1及び第2方向D2は、第1軸方向AX1に平行であり、互いに反対である。第3方向D3及び第4方向D4は、第2軸方向AX2に平行であり、互いに反対である。以降では、簡便な説明のために、第1方向D1を「右」という。第2方向D2を「左」という。第3方向D3を「上」という。第4方向D4を「下」という。
【0025】
一例として、図4(a)に表したように、それぞれの区画について、上下左右それぞれの配置可能距離が計算される。この例では、配置可能距離は、区画Cの数で表されている。例えば、区画C11について、右方向には、区画C11~C15の5つの区画のサイズを有するオブジェクトを配置できる。左方向及び上方向には、区画C11の1つの区画のサイズを有するオブジェクトを配置できる。下方向には、区画C11~C41の4つの区画のサイズを有するオブジェクトを配置できる。このため、区画C11については、右方向、左方向、上方向、及び下方向の配置可能距離が、それぞれ「5」、「1」、「1」、及び「4」と計算されている。
【0026】
処理装置1は、第1エリアに配置する1つのオブジェクトを選択する。オブジェクトは、ランダムに選択されても良いし、予め設定された優先度又はルールに従って選択されても良い。処理装置1は、配置可能距離を参照し、選択したオブジェクトを配置可能な区画を抽出する。
【0027】
例えば、図3(d)に表した、縦2×横3のサイズを有するオブジェクトF1が選択される。処理装置1は、それぞれの区画Cの配置可能距離を参照する。処理装置1は、オブジェクトF1のサイズと同じ配置可能距離を有する区画Cを抽出する。この結果、図4(b)に表したように、処理装置1は、オブジェクトF1を配置可能な区画として、区画α、β、γ、及びδを抽出する。
【0028】
区画αについては、区画αから左方及び下方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。区画βについては、区画βから左方及び上方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。また、区画βから右方及び上方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。区画γについては、区画γから左方及び上方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。また、区画γから右方及び上方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。区画δについては、区画δから左方及び下方に向けて、オブジェクトF1を配置できる。
【0029】
さらに、処理装置1は、抽出した区画CにオブジェクトF1を配置するときに、配置されるエリアでの非占有区画の面積が、オブジェクトF1の面積と同じか判定する。非占有区画は、いずれのオブジェクトも配置されていない区画である。面積は、区画の数で表すことができる。オブジェクトF1が配置されるエリアに、柱A3などの障害物が含まれている又は別のオブジェクトが配置されているとき、そのエリアにおける非占有区画の面積は、オブジェクトF1の面積よりも小さくなる。エリアにおける非占有区画の面積がオブジェクトF1の面積よりも小さい配置は、実行不可能と判定し、除外する。図4(b)の例では、区画α、β、γ、及びδへのいずれの配置においても、オブジェクトF1が配置されるエリアでの非占有区画の面積は、オブジェクトF1の面積と同じである。このため、いずれの配置も、実行可能と判定される。
【0030】
図5(a)~図5(f)に表したように、処理装置1は、抽出した区画α、β、γ、及びδのそれぞれにおいて、配置可能な向きにオブジェクトF1を配置する。処理装置1は、オブジェクトF1の配置後におけるそれぞれの区画Cについて、配置可能距離を再度計算する。オブジェクトF1が配置された区画Cについては、全ての方向における配置可能距離がゼロとなる。図5(a)~図5(f)には、区画α、β、γ、及びδにオブジェクトF1をそれぞれ配置したときの、各区画の配置可能距離が表されている。
【0031】
処理装置1は、配置可能距離に基づいて評価値を計算する。例えば、評価値は、全ての区画の各方向における配置可能距離の和である。評価値は、全ての配置可能距離の平均又は積などにより算出されても良い。図5(a)~図5(f)には、区画α、β、γ、及びδにオブジェクトF1をそれぞれ配置したときの評価値が表されている。
【0032】
処理装置1は、複数の評価値を比較し、最も評価値が優れた配置を抽出する。この例では、区画βから右方及び上方へのオブジェクトF1の配置が、最も高い評価値を得ている。処理装置1は、区画βから右方及び上方へ向けた配置を、オブジェクトF1の配置に決定する。
【0033】
図4(b)及び図5(a)~図5(f)の例のように、配置可能距離がオブジェクトのサイズと一致する区画に、オブジェクトが配置される。これにより、オブジェクトを、第1エリアBの角に寄せることができる。オブジェクトを配置した後、第1エリアBに別のオブジェクトを配置し易くなる。例えば、オブジェクトを配置できる全ての区画及び向きを抽出して各評価値を算出する場合に比べて、必要な計算量を低減できる。
【0034】
処理装置1は、オブジェクトF1に対する作業の所要時間を参照する。処理装置1は、スケジュールに、作業の所要時間を入力する。図6に表した例では、作業の開始日が、4月1日に設定されている。オブジェクトF1に対する作業の所要時間は、5日に設定されている。処理装置1は、スケジュールの4月1日から5日までに、オブジェクトF1に対応する物品E1の作業を入力する。
【0035】
複数の作業に対して、期限が設定されても良い。図6に表した例では、物品E1~E3に対する複数の作業の期限Gが、4月9日に設定されている。
【0036】
以降は、全てのオブジェクトの配置が決定するまで、上述した処理が繰り返される。例えば、オブジェクトF1の後に、オブジェクトF2が選択される。処理装置1は、オブジェクトF1を配置後の第1エリアBにおいて、オブジェクトF2を配置可能な区画を抽出する。図7(a)に表したように、区画α及びγが、オブジェクトF2を配置可能な区画として抽出される。
【0037】
処理装置1は、図7(b)及び図7(c)に表したように、区画α及びγにオブジェクトF2をそれぞれ配置した後の配置可能距離及び評価値を計算する。計算の結果、区画αへのオブジェクトF2の配置が、最も高い評価値を得ている。処理装置1は、オブジェクトF2が配置される区画を、区画αに決定する。
【0038】
処理装置1は、オブジェクトF2に対する作業の所要時間を参照する。オブジェクトF2は、オブジェクトF1と同時に第1エリアBに配置可能である。すなわち、オブジェクトF2に対する作業は、オブジェクトF1に対する作業と同時に実施可能である。このため、処理装置1は、オブジェクトF2に対応する物品E2への作業の開始日を、物品E1への作業の開始日と同じ4月1日に設定し、スケジュールに入力する。以降は、残ったオブジェクトF3について、同様の処理が繰り返される。
【0039】
なお、ここでは、作業を実施するための資源は、十分にあると仮定している。資源は、作業を実施するための、人員、設備、道具などである。資源の制約が設定されても良い。例えば、それぞれのオブジェクトに、必要な資源が設定されても良い。作業計画を作成する際に、利用可能な資源が設定される。処理装置1は、利用可能な資源が存在する最も早い時間を、各オブジェクトに対する作業の開始時間に設定する。
【0040】
各オブジェクトの配置は、時間ごとの第1エリアBの状態を参照しながら決定される。作業の所要時間が経過した後、処理装置1は、そのオブジェクトを第1エリアから除去する。これにより、より大きなオブジェクトが、第1エリアに配置可能となる。オブジェクトを選択した後に、そのオブジェクトを配置可能な区画が存在しない場合、処理装置1は、参照している時間を進める。時間を進めることで、いずれかのオブジェクトが除去され、新たなオブジェクトが配置可能となる。
【0041】
例えば図7(b)に表したように、区画αにオブジェクトF2を配置した場合、オブジェクトF3を配置可能な区画は存在しない。図7(b)に示すオブジェクトF1及びF2の配置は、作業の開始時間における状態を表している。処理装置1は、予め設定された間隔で、参照している時間を、開始時間から進める。例えば、1日ごとに、参照している時間を進める。処理装置1は、参照している時間を進めるたびに、第1エリアの状態を参照する。処理装置1は、時間ごとの各区画の配置可能距離を計算し、オブジェクトを配置可能か判定する。
【0042】
図8に表したスケジュールに基づくと、4月6日には、オブジェクトF1は存在しない。図9(a)は、オブジェクトF1が除去された後の第1エリアの状態を表す。処理装置1は、図9(a)に表したように、各区画の配置可能距離を計算する。処理装置1は、配置可能距離の計算結果に基づき、オブジェクトF3を配置可能な区画を抽出する。
【0043】
図9(a)に表した例では、配置可能距離の観点からは、区画β及びδが、オブジェクトF3を配置可能である。しかし、区画β及びδのいずれに配置した際にも、オブジェクトF2又は柱A3の存在により、オブジェクトF3が配置されるエリアにおける非占有区画の面積は、オブジェクトF3の面積よりも小さい。このため、処理装置1は、オブジェクトF3を配置できる区画は存在しないと判定する。
【0044】
処理装置1は、参照している時間をさらに進める。図8に表したスケジュールに基づくと、4月8日には、オブジェクトF1及びF2が存在しない。図9(b)は、オブジェクトF1及びF2が除去された後の第1エリアの状態を表す。処理装置1は、図9(b)に表した配置可能距離の計算結果に基づき、オブジェクトF3を配置可能な区画を抽出する。この結果、区画β、δ、及びεが、オブジェクトF3を配置可能な区画として抽出される。
【0045】
オブジェクトを配置可能な区画を抽出した後に、処理装置1は、抽出された区画にそれぞれオブジェクトを配置したときに占有される区画を確認しても良い。例えば図10(a)に表したように、区画βから左方及び下方に向けてオブジェクトF3を配置した場合、区画C21、C22、C23、C31、C32、C33、C41、C42、及びC43が占有される。図10(b)及び図10(c)に表したように、区画δから左方及び上方に向けてオブジェクトF3を配置した場合、及び区画εから右方及び上方に向けてオブジェクトF3を配置した場合、区画C11、C12、C13、C21、C22、C23、C31、C32、及びC33が占有される。
【0046】
図10(b)及び図10(c)に表したように、区画δにオブジェクトF3を配置した場合に占有される区画は、区画εにオブジェクトF3を配置した場合に占有される区画と、同じである。処理装置1は、複数の配置のそれぞれにおいて占有される区画が同じである場合、それらの配置を等価と判定する。処理装置1は、複数の配置の1つを選択し、選択した配置のみを採用する。選択は、規則に則っても良いし、無作為であっても良い。例えば、各区画には識別番号が付され、識別番号の最も小さい区画が選択される。互いに等価な複数の配置から1つの配置を選択することで、作成される作業計画の数を減らすことができる。これにより、ユーザによる作業計画の確認の手間を減らすことができる。
【0047】
例えば、処理装置1は、区画δへのオブジェクトF3の配置が区画εへのオブジェクトF3の配置と等価と判定する。処理装置1は、区画δ及びεから区画δを選択する。その後、処理装置1は、区画β及びδにオブジェクトF3をそれぞれ配置した後の配置可能距離及び評価値を計算する。計算の結果、区画β及びδのいずれに配置した場合でも、評価値は同じである。
【0048】
処理装置1は、区画β及びδのそれぞれを、オブジェクトF3が配置される区画に決定する。この場合、オブジェクトF3を区画βに配置した場合の作業計画と、オブジェクトF3を区画δに配置した場合の作業計画と、が作成される。それぞれの作業計画について、処理装置1は、図11に表したように、オブジェクトF3に対する作業の所要時間を、スケジュールに入力する。処理装置1は、4月11日を全ての作業の完了時間として判定する。以上の処理により、1つ以上の作業計画が作成される。作業計画は、オブジェクトF1、F2、及びF3の配置の順序、各オブジェクトの配置、及び作業のスケジュールを含む。
【0049】
又は、処理装置1は、評価値が互いに同じである複数の配置から、1つの配置を選択しても良い。ここでは、一例として、オブジェクトF3の後に、オブジェクトF4が配置される場合について説明する。オブジェクトF4のサイズは、縦2×横2の区画で表される。処理装置1は、オブジェクトF3が区画βに配置されたケースと、オブジェクトF3が区画δに配置されたケースと、のそれぞれにおいて、各区画の配置可能距離を計算する。処理装置1は、それぞれのケースについて、配置可能距離に基づき、オブジェクトF4を配置可能な区画を抽出する。いずれのケースにおいてもオブジェクトF4を配置可能な区画を抽出できないとき、処理装置1は、配置可能な区画を抽出できるまで参照している時間を進める。いずれか1つのケースにおいてオブジェクトF4を配置可能な区画を抽出できたとき、処理装置1は、そのケースでのオブジェクトF3の配置を採用する。2つ以上のケースにおいてオブジェクトF4を配置可能な区画を抽出できたとき、処理装置1は、それぞれのケースにおいてオブジェクトF4を配置した後の評価値を比較する。
【0050】
例えば、図12(a)は、オブジェクトF3を区画βに配置した後に、オブジェクトF4を配置した表す。図12(b)は、オブジェクトF3を区画δに配置した後に、オブジェクトF4を配置した表す。それぞれの場合について、処理装置1は、オブジェクトF4を配置した後の各区画の配置可能距離を計算し、評価値を計算する。2つの評価値を比較すると、オブジェクトF3を区画δに配置した場合、オブジェクトF4の配置後において、より高い評価値が得られることが分かる。処理装置1は、評価値の比較に基づき、オブジェクトF3の配置を区画δに決定する。
【0051】
処理装置1は、オブジェクトF3の配置を決定した後に、オブジェクトF4の配置を決定する。このとき、オブジェクトF4の配置については、オブジェクトF3の配置を選択する際に、既に計算されている。処理装置1は、計算の履歴を参照し、オブジェクトF3を区画δに配置した後のオブジェクトF4の配置を決定する。
【0052】
上述したように、評価値が互いに同じである複数の配置が得られた場合に、後のオブジェクトの配置を考慮して、複数の配置から1つの配置を選択することで、作業期間のより短い作業計画が、得られ易くなる。また、作成される作業計画の数を減らすことができ、ユーザによる作業計画の確認の手間を減らすことができる。
【0053】
処理装置1は、オブジェクトを選択する順序を変更しながら、上述した処理を繰り返す。例えば、処理装置1は、採りうる全ての順序について上述した処理を行い、複数の作業計画を作成する。この結果、それぞれの順序について、各オブジェクトの配置と作業のスケジュールが得られる。
【0054】
図13(a)~図13(c)及び図14(a)~図14(c)は、処理装置1により作成された複数の作業計画を表す。例えば、処理装置1は、複数の作業計画を出力する。作業計画は、配置の順序、各オブジェクトの配置、各オブジェクトが配置される時間、及びスケジュールを含む。スケジュールは、配置の順序と時間の関係を示す。作業期間は、例えばスケジュールによって示される。表示装置3は、処理装置1から出力されたデータを表示する。例えば、表示装置3は、図13(a)~図13(c)及び図14(a)~図14(c)に表した結果を表示する。
【0055】
処理装置1は、得られた複数の作業計画を、期限Gと比較しても良い。処理装置1は、得られた複数の作業計画から、期限Gまでに全ての作業を完了できる1つ以上の作業計画を抽出する。処理装置1は、抽出された作業計画を出力する。これにより、ユーザは、期限Gに合わせることができる1つ以上の作業計画を比較しながら、利用する作業計画を選択できる。
【0056】
処理装置1は、得られた複数の作業計画から、作業期間が最も短い作業計画を抽出しても良い。作業期間が最も短い作業計画は、換言すると、完了時間が最も早い作業計画である。処理装置1は、抽出された作業計画を出力する。これにより、ユーザは、最も作業期間を短縮できる作業計画を容易に把握できる。
【0057】
また、処理装置1は、図13(a)~図13(c)及び図14(a)~図14(c)に表したように、各オブジェクトを配置したときの第1エリアの状態を表示装置3に表示させても良い。これにより、ユーザは、作業計画の途中における第1エリアの状態を、容易に把握できる。
【0058】
図15図17は、実施形態に係る作成方法を表すフローチャートである。
図15に表したように、まず、ユーザは、第1エリア及び複数のオブジェクトを作成する(ステップS10)。それぞれのオブジェクトには、サイズ及び作業の所要時間が設定される。処理装置1は、第1エリア及び複数のオブジェクトに基づいて、1つ以上の作業計画を作成する(ステップS20)。処理装置1は、例えば、1つの作業計画を選択する(ステップS30)。
【0059】
作業計画の作成では、図16のフローチャートに表した処理が行われる。まず、処理装置1は、配置ついての複数の順序から、1つの順序を選択する(ステップS21)。処理装置1は、さらに、選択した順序に従って、1つのオブジェクトを選択する(ステップS22)。処理装置1は、選択したオブジェクトの配置前において、全ての区画の4方向での配置可能距離を計算する(ステップS23)。処理装置1は、配置可能距離の計算結果に基づいて、オブジェクトを配置可能な区画を抽出する(ステップS24)。処理装置1は、抽出された1つ以上の区画から、オブジェクトを配置する1つの区画を決定する(ステップS25)。処理装置1は、選択されたオブジェクトについての作業の所要時間を参照し、スケジュールに入力する(ステップS26)。
【0060】
ステップS23~S26の処理は、ステップS22で全てのオブジェクトが選択されるまで繰り返される。ステップS22~S26の処理は、ステップS21で全ての順序が選択されるまで繰り返される。これにより、複数の作業計画が作成される。
【0061】
ステップS25においてオブジェクトを配置する区画を決定する際には、図17のフローチャートに表した処理が行われる。処理装置1は、抽出された1つ以上の区画から、1つの区画を選択する(ステップS25a)。処理装置1は、選択した区画にオブジェクトを配置したときの、各区画の配置可能距離を計算する(ステップS25b)。処理装置1は、配置可能距離の計算結果に基づいて、評価値を計算する(ステップS25c)。処理装置1は、抽出された全ての区画が選択されるまで、ステップS25a~S25cを繰り返す。処理装置1は、1つ以上の評価値に基づいて、抽出された1つ以上の区画から、オブジェクトを配置する1つの区画を決定する(ステップS25d)。
【0062】
実施形態の効果を説明する。
例えば、大型物品の製造現場では、作業エリア内に複数の物品を配置して溶接・組立などの作業が実施される。作業エリアの面積は有限のため、作業エリアを有効に活用して物品を配置できることが望ましい。これにより、作業全体の期間を短縮できる。しかし、物品を配置する際には、物品ごとに異なる大きさや形状、物品の向き、作業エリアの面積などの制約が存在する。これらの制約を考慮して物品の適切な配置及び順序を検討することは、人にとって容易では無い。例えば、作業全体の期間が長くなったり、期限を守るために外部の業者へ作業を委託して追加の費用が発生したりする。
【0063】
実施形態によれば、処理装置1は、第1エリアにおけるそれぞれのオブジェクトの配置と、複数の配置の順序と、を含む作業計画を作成する。第1エリアの大きさ、オブジェクトのサイズ及び形状をユーザが調整することで、処理装置1は、上述した制約を考慮した作業計画を作成できる。また、作業計画を作成する際、処理装置1は、オブジェクト配置後の第1エリアの状態に基づく評価値を計算し、その評価値に基づいて各配置及び順序を決定する。実施形態によれば、予め設定されたルールに従って各配置及び順序を決定する場合に比べて、より作業エリアを有効に活用可能な作業計画を作成できる可能性が高まる。この結果、作業期間をより短縮可能な作業計画を作成できる可能性が高まる。
【0064】
処理装置1は、例えば図13(a)~図13(c)及び図14(a)~図14(c)に表したように、複数の作業計画を出力する。処理装置1は、期限又は作業期間に基づいて、作成された作業計画の一部を出力しても良い。これにより、ユーザは、望ましい作業計画を容易に把握できる。
【0065】
上述した例では、第1エリア及びオブジェクトは、2次元的に表現されている。第1エリア及びオブジェクトは、3次元的に表現されても良い。例えば、第1軸方向及び第2軸方向に加えて、第1軸方向及び第2軸方向に垂直な第3軸方向に複数の区画が配列される。オブジェクトについて、3次元のサイズが設定される。配置可能距離は、第1方向D1~第4方向D4と、鉛直上方に対応する第5方向と、のそれぞれについて計算される。
【0066】
また、上述した例では、区画は、四角形である。区画の形状は、互いに接して複数の区画を配列可能であれば、任意である。例えば、区画は、三角形又は六角形などであっても良い。それぞれの区画について計算される配置可能距離の数は、区画の辺の数に対応する。
【0067】
作業エリアに加えて、障害物を含む障害物エリアが、第1エリアに含まれていても良い。障害物は、壁、柱、設備などである。障害物が存在する区画は、作業に利用できない。作業エリア及び障害物エリアのそれぞれには、1つ以上の区画が割り当てられる。ユーザは、それぞれの区画について、占有区画又は非占有区画のいずれを設定する。占有区画は、障害物が存在し、作業に利用できず、オブジェクトを配置できない区画である。非占有区画は、作業に利用可能であり、オブジェクトを配置可能な区画である。処理装置1は、オブジェクトの配置を決定する際に、それぞれの区画が、占有区画又は非占有区画のいずれであるか判定する。処理装置1は、複数の占有区画について、オブジェクトの配置、配置可能距離の計算、評価値の計算などを行う。
【0068】
この場合、ユーザは、第1エリアのそれぞれの区画について、占有区画と非占有区画の設定を切り替えることができても良い。設定の切り替えにより、移動可能な障害物が置かれた区画を占有区画に設定した場合と、その区画を非占有区画に設定した場合と、のそれぞれについて、作業計画を確認できる。例えば、期間を費やしてでも障害物を移動させた方が良いのか、障害物を移動させずに作業を進めた方が良いのか、容易に比較できる。作業期間のより短い作業計画が、得られ易くなる。
【0069】
図18は、実施形態に係る処理装置のハードウェア構成を表すブロック図である。
例えば、処理装置1は、コンピュータであり、ROM(Read Only Memory)1a、RAM(Random Access Memory)1b、CPU(Central Processing Unit)1c、およびHDD(Hard Disk Drive)1dを有する。
【0070】
ROM1aは、コンピュータの動作を制御するプログラムを記憶している。ROM1aには、コンピュータに上述した各処理を実現させるために必要なプログラムが記憶されている。
【0071】
RAM1bは、ROM1aに記憶されたプログラムが展開される記憶区画として機能する。CPU1cは、処理回路を含む。CPU1cは、ROM1aに記憶された制御プログラムを読み込み、当該制御プログラムに従ってコンピュータの動作を制御する。また、CPU1cは、コンピュータの動作によって得られた様々なデータをRAM1bに展開する。HDD1dは、読み取りに必要なデータや、読み取りの過程で得られたデータを記憶する。HDD1dは、例えば、図1に表した記憶装置4として機能する。
【0072】
処理装置1のそれぞれの処理及び機能は、より多くのコンピュータの協働により実現されても良い。
【0073】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、または、他の記録媒体に記録されても良い。
【0074】
例えば、記録媒体に記録されたデータは、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0075】
以上で説明した実施形態にかかる処理装置1によれば、作業期間のより短い作業計画を作成可能である。同様に、上述した、処理装置1を含む処理システム10、コンピュータに作業計画を作成させる作成方法、又はコンピュータに各処理を実行させるプログラムによれば、作業期間のより短い作業計画を作成可能である。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1:処理装置、 2:入力装置、 3:表示装置、 4:記憶装置、 10:処理システム、 A1:作業エリア、 AX1:第1軸方向、 AX2:第2軸方向、 B:第1エリア、 C:区画、 D1:第1方向、 D2:第2方向、 D3:第3方向、 D4:第4方向、 E1~E3:物品、 F1~F3:オブジェクト、 G:期限
図1
図2
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