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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】光学機器、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20241105BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20241105BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20241105BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20241105BHJP
【FI】
G02B7/08 A
G02B7/04 E
G02B7/28 N
H04N23/66
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020182182
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072631
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和音
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-209414(JP,A)
【文献】特開2019-219587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G02B 7/28-7/40
H04N 5/222
H04N 5/253-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G03B 3/00-3/12
G03B 13/00-13/36
G03B 17/04-17/17
G03B 21/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に対して着脱可能な光学機器であって、
レンズ群を含む光学系と、
絞りユニットと、
前記レンズ群の駆動によって該光学系の収差量を変化させる収差量操作部と、
前記レンズ群及び前記絞りユニットを駆動する駆動部を制御する制御部と、
前記収差量の変化に応じた複数の光学情報又は前記収差量の変化に応じた複数の補正データであって前記光学情報を補正するための補正データを記憶する記憶部とを有し、
前記制御部は、前記複数の光学情報に基づき、前記絞りユニットの駆動による光量調節の制御もしくは前記レンズ群の駆動による焦点調節の制御を行い
前記制御部は、前記収差量と前記撮像装置が前記光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかを判定するための情報とに基づいて、前記複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は前記複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信することを特徴とする光学機器。
【請求項2】
前記収差量は、ピント位置の変化を伴わずに調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
前記レンズ群は、第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学機器。
【請求項4】
前記収差量は、前記第1のレンズ群及び前記第2のレンズ群の位置によって調節されることを特徴とする請求項に記載の光学機器。
【請求項5】
前記撮像装置が前記収差量の変化に応じて光学情報を補正可能である場合、前記制御部は前記撮像装置に前記光学情報を送信することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の光学機器。
【請求項6】
撮像装置に対して着脱可能な光学機器であって、レンズ群を含む光学系と、絞りユニットと、前記レンズ群の駆動によって該光学系の収差量を変化させる収差量操作部と、前記レンズ群及び前記絞りユニットを駆動する駆動部を制御する制御部と、前記収差量の変化に応じた複数の光学情報又は前記収差量の変化に応じた複数の補正データであって前記光学情報を補正するための補正データを記憶する記憶部とを有し、前記制御部は、前記複数の光学情報に基づき、前記絞りユニットの駆動による光量調節の制御もしくは前記レンズ群の駆動による焦点調節の制御を行い、前記制御部は、前記収差量と前記撮像装置が前記光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかを判定するための情報とに基づいて、前記複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は前記複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信する光学機器の制御方法であって、
前記収差量操作部が操作されることで前記収差量が変化するステップと、
前記収差量の変化に応じて、前記複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は前記複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項に記載の制御方法を光学機器のコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AFセンサを用いて生成されるAF評価値から算出されるフォーカスレンズの合焦位置に応じてフォーカスレンズを駆動して被写体への焦点調節を行うオートフォーカス(以下、AF)が知られている。AFでは、光学系の諸収差により焦点検出結果に誤差が発生することがある。特許文献1には、異なる複数の空間周波数ごとの光学系の結像位置に関する情報を記憶することで、焦点検出結果の誤差を抑制し、高精度な焦点調節を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-074022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、光学系の諸収差の変化による影響まで含めて焦点検出結果を補正することが困難である。
【0005】
本発明は、光学系の諸収差による焦点検出結果の誤差を高精度に補正可能な制御装置、光学機器、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学機器は、撮像装置に対して着脱可能な光学機器であって、レンズ群を含む光学系と、絞りユニットと、レンズ群の駆動によって該光学系の収差量を変化させる収差量操作部と、レンズ群及び絞りユニットを駆動する駆動部を制御する制御部と、収差量の変化に応じた複数の光学情報又は収差量の変化に応じた複数の補正データであって光学情報を補正するための補正データを記憶する記憶部とを有し、制御部は、複数の光学情報に基づき、絞りユニットの駆動による光量調節の制御もしくはレンズ群の駆動による焦点調節の制御を行い、制御部は、収差量と撮像装置が光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかを判定するための情報とに基づいて、複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の側面としての光学機器の制御方法は、撮像装置に対して着脱可能な光学機器であって、レンズ群を含む光学系と、絞りユニットと、レンズ群の駆動によって該光学系の収差量を変化させる収差量操作部と、レンズ群及び絞りユニットを駆動する駆動部を制御する制御部と、収差量の変化に応じた複数の光学情報又は前記収差量の変化に応じた複数の補正データであって光学情報を補正するための補正データを記憶する記憶部とを有し、制御部は、複数の光学情報に基づき、絞りユニットの駆動による光量調節の制御もしくはレンズ群の駆動による焦点調節の制御を行い、制御部は、収差量と撮像装置が光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかを判定するための情報とに基づいて、複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信する光学機器の制御方法であって、収差量操作部が操作されることで収差量が変化するステップと、収差量の変化に応じて、複数の光学情報のうち1つの光学情報、又は複数の補正データのうち1つの補正データを撮像装置に送信するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学系の諸収差による焦点検出結果の誤差を高精度に補正可能な制御装置、光学機器、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る光学機器の一例である交換レンズを有するカメラシステムのブロック図である。
図2】フォーカスレンズの軌跡に応じて撮像光学系の収差量が変更する例を示す図である。
図3】実施例1の撮像光学系の収差量に応じた光学情報を送信する方法を示すフローチャートである。
図4】実施例1の撮像光学系の収差量に応じた補正データを送信する方法を示すフローチャートである。
図5】実施例2の光学情報を送信する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る光学機器の一例である交換レンズ100を有するカメラシステムのブロック図である。カメラシステムは、交換レンズ100及びカメラ本体(撮像装置)200を有する。
【0012】
交換レンズ100は、カメラ本体200に不図示のマウントを介して機械的及び電気的に接続されている。交換レンズ100は、マウントに設けられた電源端子を介してカメラ本体200から電力の供給を受け、カメラ本体200から受けた電力を用いて、後述する各種アクチュエータやレンズマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコン)111の制御を行う。
【0013】
カメラ本体200は、撮像素子201、信号処理部202、記録処理部203、表示部204、操作部205、及びカメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコン)206を有する。
【0014】
撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。また、撮像素子201は、本実施例では位相差AFセンサとして使用される。撮像素子201からのアナログ信号は、不図示のA/D変換回路によってデジタル信号に変換される。
【0015】
信号処理部202は、A/D変換回路からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成し、映像信号を記録処理部203や表示部204に出力する。また、信号処理部202は、映像信号から被写体像のコントラスト状態、つまり撮像光学系の焦点状態を示すフォーカス情報や、露出状態を表す輝度情報も生成する。
【0016】
記録処理部203は、映像信号を静止画像や動画像データとして外部メモリ等に記憶する。
【0017】
表示部204は、映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
【0018】
カメラマイコン206は、操作部205に含まれる撮像指示スイッチ及び各種設定スイッチ等の入力に応じてカメラ本体200の制御を行う。また、カメラマイコン206は、不図示の通信部を備え、通信部を介して、輝度情報に応じた絞りユニット103による光量調節やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ105による焦点調節に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。更に、カメラマイコン206は、カメラ本体200のIDやバージョン等を含むカメラ本体200に関する情報をレンズマイコン111に送信する。
【0019】
交換レンズ100は、撮像光学系、撮像光学系に含まれるレンズ群を駆動する各種アクチュエータ(駆動部)を制御する各種制御部、レンズ群の操作を行う各種操作リング、及びレンマイコン(制御部)111を有する。なお、本実施形態では、レンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられているが、交換レンズ100とは別の制御装置として構成されていてもよい。
【0020】
撮像光学系は、フィールドレンズ101、ズームレンズ102、絞りユニット103、像振れ補正レンズ104、フォーカスレンズ(第1のレンズ群)105、及びフローティングレンズ(第2のレンズ群)112を備える。なお、図1では、各レンズは、1枚のレンズで示されているが、複数のレンズからなるレンズ群として構成されていてもよい。
【0021】
ズームレンズ102は、撮像光学系の光軸Oに沿って移動可能であり、不図示のズーム機構に連結されたズーム操作リングがユーザに操作されることで光軸に沿って移動する。ズームレンズ102が移動することで、撮影光学系の焦点距離が変更される変倍が行われる。ズームレンズ位置検出部106は、可変抵抗等の位置検出センサを用いてズームレンズ102の位置を検出し、検出したズームレンズ102の位置データをレンズマイコン111に出力する。レンズマイコン111は、取得した位置データをズームトラッキング動作等の制御に使用する。
【0022】
絞りユニット103は、絞り羽根やホール素子等のセンサを備える。絞り羽根の状態は、センサにより検出され、レンズマイコン111に出力される。絞り制御部107は、レンズマイコン111からの指令により駆動信号を出力してステッピングモータやボイスコイルモータ等のアクチュエータを駆動する。これにより、絞りユニット103による光量調節が行われる。
【0023】
像振れ補正レンズ104は、撮像光学系の光軸Oに直交する方向へ移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。像揺れ補正レンズ制御部108は、振動ジャイロ等の不図示の振れセンサにより検出された振れに応じたレンズマイコン111からの指令により駆動信号を出力して防振アクチュエータを駆動する。これにより、像揺れ補正レンズ104のシフト動作を制御する防振処理が行われる。
【0024】
フォーカスレンズ105及びフローティングレンズ112は、撮像光学系の光軸Oに沿って移動可能である。フォトインタラプタ等の位置検出センサを用いて検出されたフォーカスレンズ105又はフローティングレンズ112の位置データは、レンズマイコン111に出力される。フォーカスレンズ制御部109及びフローティングレンズ制御部113は、レンズマイコン111からの指令により駆動信号を出力してステッピングモータ等のアクチュエータを駆動する。これにより、フォーカスレンズ105及びフローティングレンズ112が移動し、焦点調節が行われる。また、フォーカスレンズ105は、ズームレンズ102による変倍に伴う像面変動を補正する。
【0025】
交換レンズ100は、いずれかのレンズをそれぞれのレンズの制御部を介して光軸Oに沿って移動させることにより、焦点距離又はピント位置の変化を伴わずに収差調節を行う。レンズマイコン111は、収差の調節量を記憶し、レンズマイコン111内に設けられた通信部(不図示)を介して収差の調節量をカメラマイコン206に送信する。
【0026】
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御する。また、レンズマイコン111は、通信部を介してカメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。更に、レンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。
【0027】
レンズマイコン111は、制御コマンドのうち光量調節やフォーカシングに関するコマンドに応答して、絞り制御部107、フォーカスレンズ制御部109、及びフローティングレンズ制御部113に指令を出す。絞り制御部107、フォーカスレンズ制御部109、及びフローティングレンズ制御部113はそれぞれ、指令に応じて、絞りユニット103、フォーカスレンズ105、及びフローティングレンズ112を駆動する。これにより、絞りユニット103による光量調節や、フォーカスレンズ105及びフローティングレンズ112による焦点調節を制御するAF処理が行われる。
【0028】
また、レンズマイコン111は、フォーカスレンズ操作リング110に対する操作量に応じて、フォーカスレンズ制御部109を介してフォーカスレンズ105を駆動することで、焦点調節を制御する。
【0029】
更に、レンズマイコン111は、収差調節リング(収差量操作部)114に対する操作量に応じて、フォーカスレンズ制御部109又はフローティングレンズ制御部113を介してフォーカスレンズ105又はフローティングレンズ112を駆動する。これにより、収差調節が行われる。図2は、フォーカスレンズ105の軌跡に応じて撮像光学系の収差量が変化する例を示す図である。このように収差量は、フォーカスレンズ105及びフローティングレンズ112の軌跡を制御することにより、焦点距離又はピント位置の変化を伴わずに調節可能である。なお、収差調節を制御する際に、駆動するレンズはフォーカスレンズ105又はフローティングレンズ112に限らず、収差調節用のレンズであってもよい。
【0030】
レンズマイコン111は、撮像光学系に含まれるレンズ群を駆動する際に(例えば、光量調節やAF処理において)使用される光学情報又は光学情報を補正するための補正データを記憶する記憶部(不図示)を備える。レンズマイコン111は、通信部を介して光学情報又は補正データをカメラマイコン206に送信する。カメラマイコン206は、光学情報又は補正データに基づく制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。また、レンズマイコン111は、カメラマイコン206からの制御コマンドに基づいて、絞りユニット103、フォーカスレンズ105、又はフローティングレンズ112等のレンズ群を駆動する。
【実施例1】
【0031】
本実施例では、レンズマイコン111が撮像光学系の収差量の変化に応じた光学情報をカメラマイコン206に送信する方法を説明する。
【0032】
以下、図3を参照して、レンズマイコン111が撮像光学系の収差量の変化に応じた複数の光学情報から選択した光学情報をカメラマイコン206に送信する方法について説明する。図3は、本実施例の撮像光学系の収差量の変化に応じた光学情報を送信する方法を示すフローチャートである。
【0033】
本フローは、レンズマイコン111が通信部を介してカメラマイコン206から光学情報取得要求を受信することで開始される。
【0034】
ステップS301では、レンズマイコン111は、撮像光学系の現在の収差量を記憶部に記憶する。
【0035】
ステップS302では、レンズマイコン111は、ステップS301で記憶部が記憶した収差量が閾値より大きいかどうかを判定する。収差量の判定は、レンズの位置によって行われる。判定に用いられるレンズは、図1に示されるどのレンズを用いてもよい。本実施例では、収差量の判定は、フォーカスレンズ105及びフローティングレンズ112の位置によって行われる。また、収差量の判定は、収差調節リング114の状態によって行われてもよい。収差量が閾値より大きい場合、ステップS303に進み、そうでない場合、ステップS304に進む。なお、収差量が閾値と等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0036】
ステップS303では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206に送信する光学情報として第1の光学情報を選択する。本実施例では、光学情報は、カメラ本体200が行うAFのピント位置を補正する情報(ピント補正テーブル)である。また、光学情報は、カメラ本体200が行う撮像光学系の光量を補正する情報であってもよい。また、光学情報として、焦点距離や諸収差に関する情報を使用してもよい。
【0037】
ステップS304では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206に送信する光学情報として第2の光学情報を選択する。
【0038】
ステップS305では、レンズマイコン111は、通信部を介して、ステップS303又はステップS304で選択された光学情報をカメラマイコン206に送信する。
【0039】
なお、本フローは、レンズマイコン111がカメラマイコン206から光学情報取得要求を受信することで開始されるが、レンズマイコン111による光学情報取得要求の受信に関係なく開始されてもよい。
【0040】
また、ステップS302で用いられる閾値は一つであるが、複数であってもよい。閾値を複数設定することで、2つ以上の光学情報から1つの光学情報を選択可能である。
【0041】
図3を用いて説明したように、レンズマイコン111は、撮像光学系の収差量の変化に応じた複数の光学情報から選択した1つの光学情報をカメラマイコン206に送信してもよいが、本発明はこれに限定されない。レンズマイコン111は、撮像光学系に含まれるレンズ群を駆動する際に使用される光学情報(第1光学情報)を変換した補正データをカメラマイコンに206に送信してもよい。
【0042】
以下、図4を参照して、レンズマイコン111が第1光学情報から変換され、撮像光学系の収差量の変化に応じた複数の補正データのうち1つの補正データをカメラマイコン206に送信する方法について説明する。図4は、本実施例の撮像光学系の収差量に応じた補正データを送信する方法を示すフローチャートである。なお、本実施例では、補正データは、第1光学情報に対するオフセット値である。
【0043】
本フローは、レンズマイコン111が通信部を介してカメラマイコン206から光学情報取得要求を受信することで開始される。
【0044】
ステップS401では、レンズマイコン111は、撮像光学系の現在の収差量を記憶部に記憶する。
【0045】
ステップS402では、レンズマイコン111は、ステップS401で記憶部が記憶した収差量が閾値より大きいかどうかを判定する。収差量が閾値より大きい場合、ステップS403に進み、そうでない場合、ステップS404に進む。なお、収差量が閾値と等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0046】
ステップS403では、レンズマイコン111は、第1光学情報を第1の処理で変換し、第1の補正データを取得する。
【0047】
ステップS404では、レンズマイコン111は、第1光学情報を第2の処理で変換し、第2の補正データを取得する。
【0048】
第1の処理及び第2の処理では、異なるオフセット値で第1光学情報の変換が行われてもよいし、異なる計算式で第1光学情報の変換が行われてもよい。
【0049】
ステップS405では、レンズマイコン111は、通信部を介して、ステップS403又はステップS405で取得された補正データをカメラマイコン206に送信する。
【0050】
なお、本フローは、レンズマイコン111がカメラマイコン206から光学情報取得要求を受信することで開始されるが、レンズマイコン111による光学情報取得要求の受信に関係なく開始されてもよい。
【0051】
本実施例の構成によれば、レンズマイコン111は、収差量に応じた適切な光学情報又は補正データをカメラ本体200に送信可能である。そのため、カメラマイコン206が交換レンズ100の焦点距離又はピント位置を変化させずに収差量を変化させる場合でも、光学系の諸収差による焦点検出結果の誤差を高精度に補正可能である。
【実施例2】
【0052】
本実施例では、レンズマイコン111が、カメラ本体200が撮像光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかどうかを判別し、適切な光学情報を送信する方法について説明する。
【0053】
図5は、本実施例のレンズマイコン111が、カメラ本体200が撮像光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかどうかを判別し、適切な光学情報を送信する方法を示すフローチャートである。
【0054】
本フローは、カメラマイコン206が起動し、レンズマイコン111と通信を始めることで開始される。
【0055】
ステップS501では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206からカメラ本体200のIDやバージョンを含むカメラ本体200に関する情報を取得する。なお、カメラ本体200に関する情報は、本実施例ではカメラ本体200のIDやバージョンを含んでいるが、これらの情報と共に、又はこれらの情報とは別にカメラ本体200のAF方式や画素数等の情報を含んでいてもよい。
【0056】
ステップS502では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206から光学情報取得要求を受信したかどうかを判定する。光学情報取得要求を受信した場合、ステップS503に進み、そうでない場合、本ステップの処理を繰り返す。
【0057】
ステップS503では、レンズマイコン111は、撮像光学系の現在の収差量を記憶部に記憶する。
【0058】
ステップS504では、レンズマイコン111は、ステップS503で記憶部が記憶した収差量が閾値より大きいかどうかを判定する。収差量が閾値より大きい場合、ステップS505に進み、そうでない場合、ステップS506に進む。なお、収差量が閾値と等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0059】
ステップS505では、レンズマイコン111は、カメラ本体200が撮像光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応しているかどうかを判定する。すなわち、カメラマイコン206が撮像光学系の収差量の変化に応じて光学情報を適切に変換することが可能であるかどうかを判定する。対応しているかどうかの判定は、ステップS501で取得したカメラ本体200に関する情報に基づいて行われる。また、カメラ本体200に関する情報に加え、又はカメラ本体200に関する情報とは別に、カメラ本体200のAF方式や画素数等の情報に基づいて行われてもよい。対応している場合(撮像装置が第1状態である場合)、ステップS506に進み、そうでない場合、ステップS507に進む。
【0060】
ステップS506では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206に送信する光学情報として第1の光学情報(実施例1の第1光学情報に相当する)を選択する。
【0061】
ステップS507では、レンズマイコン111は、カメラマイコン206に送信する光学情報として第2の光学情報を選択する。
【0062】
ステップS508では、レンズマイコン111は、通信部を介して、ステップS506又はステップS507で選択された光学情報をカメラマイコン206に送信する。
【0063】
なお、本実施例では、選択された光学情報をカメラマイコン206に送信するが、実施例1で説明したように、第1光学情報を変換した補正データをカメラマイコン206に送信してもよい。
【0064】
本実施例では、カメラ本体200が撮像光学系の収差量の変化が大きい場合の光量調節や焦点調節の制御に対応している場合、レンズマイコン111は収差量の変化ごとの複数の光学情報又は複数の補正データを持つ必要がなくなる。そのため、記憶容量の消費を抑制可能である。これにより、交換レンズ100はカメラ本体200ごとに適切な処理を選択することができるため、適切な光量調節や焦点調節の制御が可能となる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
105 フォーカスレンズ
109 フォーカスレンズ制御部(駆動部)
111 レンズマイコン(制御部、記憶部)
112 フローティングレンズ
113 フローティングレンズ制御部(駆動部)
114 収差調節リング(収差量操作部)
図1
図2
図3
図4
図5