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7581015データ送信システム、作業機械、および作業機械のデータ送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】データ送信システム、作業機械、および作業機械のデータ送信方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020182483
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072829
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】所 健二
(72)【発明者】
【氏名】清野 慎介
(72)【発明者】
【氏名】二宮 北斗
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 太樹
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/172424(WO,A1)
【文献】特開2011-055216(JP,A)
【文献】特開2014-177816(JP,A)
【文献】特開2016-032232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
9/24
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するカスタマイズ定義受信部と、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信する送信部と、
を備え、
前記有効期間は、ユーザが所望に指定可能な開始日時および終了日時によって規定される情報であり、
前記カスタマイズ定義情報には当該カスタマイズ定義情報の優先度が指定されており、優先度が高いものから優先的に、当該カスタマイズ定義情報に従って処理する、
作業機械のデータ送信システム。
【請求項2】
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを加工する加工処理部を備える
請求項1に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項3】
前記加工処理部は、前記有効期間内に発生した所定のイベントをきっかけにして、前記処理の内容に従って前記データを加工する、
請求項2に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項4】
前記処理の内容は、前記作業機械から収集されるデータのうち、外部に送信するデータ、および外部に送信するデータの加工内容を含み、
前記加工処理部は、前記外部に送信するデータに対して前記加工内容の処理を行い、
前記送信部は、前記処理されたデータを前記外部装置に送信する、
請求項2または請求項3に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項5】
前記カスタマイズ定義情報は、設定シーケンス番号を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項6】
前記カスタマイズ定義情報に含まれる送信定義にはデータ発信のタイミングが記録されており、
前記送信部は、前記送信定義に指定された送信のタイミングにしたがって加工済みデータを送信する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項7】
前記カスタマイズ定義情報には、当該カスタマイズ定義情報に含まれる加工定義および送信定義で共通に引用可能なイベントの条件が定義されている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の作業機械のデータ送信システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の作業機械のデータ送信システム
を備える作業機械。
【請求項9】
作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するステップと、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信するステップと、
を有し、
前記有効期間は、ユーザが所望に指定可能な開始日時および終了日時によって規定される情報であり、
前記カスタマイズ定義情報には当該カスタマイズ定義情報の優先度が指定されており、優先度が高いものから優先的に、当該カスタマイズ定義情報に従って処理する、
作業機械のデータ送信方法。
【請求項10】
作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するカスタマイズ定義受信部と、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信する送信部と、を備え、
前記有効期間は、ユーザが所望に指定可能な開始日時および終了日時によって規定される情報であり、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを加工する加工処理部を備え、
前記加工処理部は、前記有効期間内に発生した所定のイベントをきっかけにして、前記処理の内容に従って前記データを加工する、
作業機械のデータ送信システム。
【請求項11】
作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するカスタマイズ定義受信部と、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信する送信部と、を備え、
前記有効期間は、ユーザが所望に指定可能な開始日時および終了日時によって規定される情報であり、
前記カスタマイズ定義情報に含まれる送信定義にはデータ発信のタイミングが記録されており、
前記送信部は、前記送信定義に指定された送信のタイミングにしたがって加工済みデータを送信する、
作業機械のデータ送信システム。
【請求項12】
作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するカスタマイズ定義受信部と、
受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信する送信部と、を備え、
前記有効期間は、ユーザが所望に指定可能な開始日時および終了日時によって規定される情報であり、
前記カスタマイズ定義情報には、当該カスタマイズ定義情報に含まれる加工定義および送信定義で共通に引用可能なイベントの条件が定義されている、
作業機械のデータ送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信システム、作業機械、および作業機械のデータ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定義情報をもとに、収集するデータである作業機械情報を指定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-177816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、作業機械は、ユーザへの便宜のために、作業機械本体から出力される種々の加工前データである生データを、ユーザにとって解釈、分析が容易な形態に加工した上で送信するように構成されている。この際、作業機械からの生データの加工形式や送信タイミングなどの送信態様は、想定されるユーザのニーズに基づいて、作業機械の製造段階で組み込まれる。
【0005】
ユーザごとに作業機械の利用形態および必要とするデータはまちまちであるため、製造段階で組み込まれた送信態様が、必ずしもユーザが望むものとマッチするとは限らない。つまり、出荷後において、ユーザ側で作業機械からの出力データの送信態様を自由にカスタマイズしたいというニーズがある。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業機械からの各種データの送信態様を所望にカスタマイズすることができる作業機械のデータ送信装置、作業機械、および作業機械のデータ送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、作業機械のデータ送信システムは、作業機械から収集されるデータに対する処理の内容、及び処理の有効期間を示すカスタマイズ定義情報を受信するカスタマイズ定義受信部と、受信した前記カスタマイズ定義情報の前記有効期間に、前記処理の内容に従って前記データを外部装置に送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る作業機械のデータ送信システム、作業機械、および作業機械のデータ送信方法によれば、作業機械からの各種データの送信態様を所望にカスタマイズすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るデータ提供システムの全体構成を示す図である。
図2】統一フォーマットの形式を示す図である。
図3】作業機械の外観を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る作業機械の構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係るデータ送信システムの処理フローを示す図である。
図6】第1の実施形態に係る共通定義のデータ構造を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る加工定義のデータ構造を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る送信定義のデータ構造を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る条件定義のデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るデータ送信装置およびこれを備えるデータ提供システムについて、図1図9を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係るデータ提供システムの全体構成を示す図である。
データ提供システム1は、複数の作業機械10に係るデータをユーザによる利用のために提供する。データ提供システム1は、複数の作業機械10と、データサーバ30と、定義データベース50と、ユーザ装置70とを備える。各作業機械10は、当該作業機械10に係るデータを収集し、データサーバ30に送信する。データサーバ30は、複数の作業機械10から収集したデータを記憶し、当該データをユーザ装置70に提供する。定義データベース50は、データサーバ30によるデータの提供の際に必要な情報を記憶する。ユーザ装置70は、作業機械10に収集させるデータの条件を設定し、またデータサーバ30から作業機械10に係るデータを取得する。
【0012】
作業機械10とデータサーバ30との間、およびデータサーバ30とユーザ装置70との間において、作業機械10に係るデータの通信を行う場合、統一フォーマットに係る単位データを用いた通信がなされる。統一フォーマットは、1種類のデータの値を格納する単位データフォーマットである。作業機械10は、各コンポーネントから収集したCANの単位データに含まれる複数の値を、それぞれ統一フォーマットの単位データに格納してデータサーバ30に送信する。データサーバ30およびユーザ装置70は、車外の外部装置の一例である。単位データは、データフレーム、パケット、PDU(Protocol Data Unit)とも呼ばれる。
以下、統一フォーマットの形式の単位データを、統一データオブジェクトとよぶ。
【0013】
図2は、統一フォーマットの形式を示す図である。
統一フォーマットは、データの種類を示す識別子と、当該データの値と、コンポーネントが当該データを取得した時刻を示すタイムスタンプとを格納する。1つの統一データオブジェクトには、識別子、値およびタイムスタンプがそれぞれ1つだけ格納される。
【0014】
《作業機械10の構成》
図3は、作業機械10である油圧ショベルの外観を示す斜視図である。
作業機械である作業機械10は、油圧により作動する作業機1100と、作業機1100を支持する旋回体1200と、旋回体1200を支持する走行体1300とを備える。
ここで、旋回体1200のうち作業機1100が取り付けられる部分を前部という。また、旋回体1200について、前部を基準に、反対側の部分を後部、左側の部分を左部、右側の部分を右部という。
【0015】
《作業機1100》
作業機1100は、ブーム1110と、アーム1120と、バケット1130と、ブームシリンダ1140と、アームシリンダ1150と、バケットシリンダ1160とを備える。
【0016】
ブーム1110は、アーム1120およびバケット1130を支える支柱である。ブーム1110の基端部は、旋回体1200の前部にピンを介して取り付けられる。
アーム1120は、ブーム1110とバケット1130とを連結する。アーム1120の基端部は、ブーム1110の先端部にピンを介して取り付けられる。
バケット1130は、土砂などを掘削するための刃を有する容器である。バケット1130の基端部は、アーム1120の先端部にピンを介して取り付けられる。
【0017】
ブームシリンダ1140は、ブーム1110を作動させるための油圧シリンダである。
ブームシリンダ1140の基端部は、旋回体1200に取り付けられる。ブームシリンダ1140の先端部は、ブーム1110に取り付けられる。
アームシリンダ1150は、アーム1120を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ1150の基端部は、ブーム1110に取り付けられる。アームシリンダ1150の先端部は、アーム1120に取り付けられる。
バケットシリンダ1160は、バケット1130を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ1160の基端部は、アーム1120に取り付けられる。バケットシリンダ1160の先端部は、バケット1130に接続されるリンク部材に取り付けられる。
【0018】
《旋回体1200》
旋回体1200には、オペレータが搭乗する運転室1210が備えられる。運転室1210は、旋回体1200の前方かつ作業機1100の左側に備えられる。
【0019】
運転室1210の内部には、作業機1100を操作するための操作装置1211が設けられる。操作装置1211の操作量に応じて、ブームシリンダ1140、アームシリンダ1150、およびバケットシリンダ1160に作動油が供給され、作業機1100が駆動する。
【0020】
《コンポーネント》
作業機械10は、位置方位演算器1230、傾斜検出器1240を備える。位置方位演算器1230、傾斜検出器1240は、コンポーネントの一例である。また、作業機械10は、作業機械10に係るデータを収集し、データサーバ30に送信するデータ送信装置11を備える。データ送信装置11は、運転室1210内に設けられている。なお、データ送信装置11は、例えば旋回体1200上の運転室1210の外に設けられてもよい。後述する制御コンポーネント12および拡張コンポーネント14は、同様に運転室1210内に設けられてもよいし、運転室1210の外に設けられてもよい。
【0021】
位置方位演算器1230は、旋回体1200の位置および旋回体1200が向く方位を演算する。位置方位演算器1230は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する人工衛星から測位信号を受信する第1受信器1231および第2受信器1232を備える。第1受信器1231および第2受信器1232は、それぞれ旋回体1200の異なる位置に設置される。位置方位演算器1230は、第1受信器1231が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体1200の代表点O(車体座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器1230は、第1受信器1231が受信した測位信号と、第2受信器1232が受信した測位信号とを用いて、検出された第1受信器1231の設置位置に対する第2受信器1232の設置位置の関係として、旋回体1200の方位を演算する。
【0022】
傾斜検出器1240は、旋回体1200の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体1200の傾き(例えば、Xm軸に対する回転を表すロール、Ym軸に対する回転を表すピッチ、およびZm軸に対する回転を表すヨー)を検出する。傾斜検出器1240は、例えば運転室1210の下面に設置される。傾斜検出器1240は、例えば、慣性計測装置であるIMU(Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0023】
図4は、第1の実施形態に係る作業機械10の構成を示すブロック図である。
データ送信装置11は、物理的に分かれた第1基板100と第2基板200とを備える。第1基板100は、リアルタイムOS(Operating System)を稼働させるコンピュータを構成する。第2基板200は、汎用OSを稼働させるコンピュータを構成する。
【0024】
第1基板100は、第1プロセッサ110、第1メインメモリ130、第1ストレージ150、第1インタフェース170を備える。第1プロセッサ110は、第1ストレージ150からプログラムを読み出して第1メインメモリ130に展開し、当該プログラムに従って所定の処理を実行する。第1インタフェース170は、第1ネットワークN1を介して作業機械10を制御するための複数の制御コンポーネント12と接続される。
【0025】
制御コンポーネント12の例としては、エンジン関連の各種データをセンサにより取得しエンジン関連を制御するエンジン制御コンポーネント、作業機1100の動作を制御する油圧機器関連の各種データをセンサにより取得し当該油圧機器を制御する油圧制御コンポーネント、作業機械10の各種センサからデータを取得し図示しないモニタの表示制御を行うモニタ制御コンポーネント、外部のサーバ等と通信を行うための通信機器を制御し、作業機械の各種センサからデータを取得する通信コンポーネント等が挙げられる。
【0026】
第1ネットワークN1は、例えばCANである。また第1インタフェース170は、作業機械10の状態量を検出するセンサ13と接続される。制御コンポーネント12およびセンサ13は、作業機械10に搭載されるコンポーネントの一例である。第1ネットワークN1に接続される制御コンポーネント12により、作業機械10の基本的な動作制御が行われる。
【0027】
第2基板200は、第2プロセッサ210、第2メインメモリ230、第2ストレージ250、第2インタフェース270を備える。第2プロセッサ210は、第2ストレージ250からプログラムを読み出して第2メインメモリ230に展開し、当該プログラムに従って所定の処理を実行する。第2インタフェース270は、第2ネットワークN2を介して作業機械10の機能を拡張するための複数の拡張コンポーネント14と接続される。
【0028】
拡張コンポーネント14の例としては、カメラで撮像した画像に対して所定の画像処理を行って表示制御をする画像表示コンポーネント、施工現場の設計面と作業機械10との位置関係などをオペレータにガイダンスするためのガイダンスモニタを表示制御するマシンガイダンスコンポーネント、作業機1100により掘削した土量を計測するためのペイロードコンポーネント等が挙げられる。第2ネットワークN2は、例えばCANまたはEthernet(登録商標)である。拡張コンポーネント14は、作業機械10に搭載されるコンポーネントの一例である。第2ネットワークN2に接続される拡張コンポーネント14により、作業機械10およびオペレータに拡張的な情報の提供が行われる。
【0029】
なお、作業機械10に搭載され得るコンポーネントは、上記の制御コンポーネント12、センサ13、拡張コンポーネント14に限られない。例えば、コンポーネントは、作業機械10の表示機能を司る表示コントローラや、作業機械10の通信機能を司る通信コントローラ等であってもよい。
第1インタフェース170と第2インタフェース270は、互いに通信可能に接続される。
【0030】
第1ストレージ150または第2ストレージ250に記憶されるプログラムは、第1基板100または第2基板200に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、第1ストレージ150または第2ストレージ250に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0031】
なお、他の実施形態においては、第1基板100または第2基板200は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、第1基板100または第2基板200によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0032】
第1ストレージ150および第2ストレージ250の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。
【0033】
第1ストレージ150および第2ストレージ250は、バス線に直接接続された内部メディアであってもよいし、第1インタフェース170または通信回線を介してデータ送信装置11に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってデータ送信装置11に送信され、第1プロセッサ110または第2プロセッサ210が当該プログラムを実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において第1ストレージ150および第2ストレージ250は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0034】
第1プロセッサ110は、第1ストレージ150が記憶するプログラムの実行により、収集部111およびデータ出力部112として機能する。
【0035】
収集部111は、制御コンポーネント12またはセンサ13から出力される各種データを収集する。
【0036】
データ出力部112は、収集部111が収集した各種データを第2基板200に出力する。
【0037】
第2プロセッサ210は、第2ストレージ250が記憶するプログラムの実行により、カスタマイズ定義受信部211、収集部212、加工処理部213、送信部214および処理制限判定部215として機能する。また、第2ストレージ250には、カスタマイズ定義情報であるカスタマイズ定義ファイル251の記憶領域が確保される。
【0038】
カスタマイズ定義受信部211は、ユーザ装置70からカスタマイズ定義ファイル251を受信して、第2ストレージ250に記録する。このカスタマイズ定義ファイル251は、ユーザ自身が編集可能なファイルであって、ユーザが所望するデータを、所望する方法で加工し、所望するタイミングで送信先に送信することが定義されたファイルである。図4に示すように、カスタマイズ定義ファイル251は、共通定義、加工定義、送信定義、条件定義の4つの定義で構成される。これらの具体的な内容については後述する。
【0039】
収集部212は、拡張コンポーネント14から出力される各種データを収集する。また、収集部212は、第1プロセッサ110のデータ出力部112を経由して、収集部111が収集した各種データも取得する。
【0040】
加工処理部213は、カスタマイズ定義ファイル251に含まれる加工定義に従って、収集部111、212より収集された各種データを加工する。
【0041】
送信部214は、カスタマイズ定義ファイル251に含まれる送信定義に従って加工されたデータである加工済みデータをデータサーバ30に送信する。ユーザは、この加工済みデータファイルを、専用のアプリケーションなどで閲覧して、作業機械10に関する情報を解釈、分析する。
なお、送信部214は、加工済みデータファイルのみならず、加工されていない生データを送信する場合があってもよい。
【0042】
処理制限判定部215は、複数のカスタマイズ定義ファイル251が存在する場合に、現在の作業機械10の状況に鑑みて、その全てを実行可能か否か、を判定する。
【0043】
データ送信装置11は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、データ送信装置11の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで作業機械のデータ送信システムとして機能するものであってもよい。作業機械10は、データ送信装置11として機能する複数のコンピュータを備えてもよい。データ送信装置11を構成する一部のコンピュータが作業機械10の内部に搭載され、他のコンピュータが作業機械10の外部に設けられてもよい。
【0044】
なお、上述の1台のデータ送信装置11も、データ送信システムの一例である。他の実施形態においては、データ送信システムを構成する一部の構成が作業機械10の内部に搭載され、他の構成が作業機械10の外部に設けられてもよい。
【0045】
他の実施形態においては、第1基板100と第2基板200とが、ハードウェアとして分かれておらず、単一の基板とされている態様であってもよい。
【0046】
(データ送信装置の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係るデータ送信装置の処理フローを示す図である。
図5に示す処理フローは、例えば、作業機械10の初期起動時に実行される。
図5に示すように、データ送信装置11は、まず、カスタマイズ定義ファイル251を参照する(ステップS1)。このカスタマイズ定義ファイル251は、事前にユーザによって編集されたものが、ユーザ装置70から送信され、第2ストレージ250に格納されている。カスタマイズ定義ファイル251は、ユーザが取得したいデータ一つにつき一つずつ用意される。なお、ステップS1の処理において、データ送信装置11は、各カスタマイズ定義ファイル251にそれぞれ指定される有効期間を参照し、当該有効期間の条件を満たしているもののみを抽出する。有効期間は、例えば、後述の「開始/終了日時」を指定することができる。有効期間の条件を満たしていないカスタマイズ定義ファイル251については実行されない。
【0047】
次に、処理制限判定部215は、処理負荷が高いか否かを判定する(ステップS2)。例えば、第2プロセッサ210の負荷が一時的に高くなった場合や、第2ストレージ250にあまりにも多くのカスタマイズ定義ファイル251が格納された結果その全てを実行するとプロセッサとしての処理に支障をきたす場合が想定される。処理制限判定部215は、このような状況を検知した場合(ステップS2;YES)、各カスタマイズ定義ファイル251に予め指定された優先度に従って、実行すべきカスタマイズ定義ファイル251に制限をかける(ステップS3)。
【0048】
続いて、加工処理部213は、カスタマイズ定義ファイル251に含まれる加工定義の内容に従い、逐次、加工処理を行う(ステップS4)。ここで、図5に示す処理フローとは別に、第1プロセッサ110の収集部111、第2プロセッサ210の収集部212は、それぞれ、第1ネットワークN1、第2ネットワークN2に接続されるコンポーネント、センサ等から、所定のサンプリング周期で時々刻々と種々のデータを収集している。加工処理部213は、このようにして収集された種々のデータを参照し、カスタマイズ定義ファイル251に指定された種類のデータに対し、同じくカスタマイズ定義ファイル251に指定された周期ごとに時々刻々と加工処理を行う。
【0049】
なお、ステップS3を経ていない場合は、加工処理部213は、全てのカスタマイズ定義ファイル251を参照し、各々に定義された加工処理を行う。また、ステップS3を経ていた場合は、加工処理部213は、優先度に基づく一部のカスタマイズ定義ファイル251のみを参照し、各々に定義された加工処理を行う。
【0050】
送信部214は、カスタマイズ定義ファイル251に含まれる送信定義の内容に従い、逐次、送信を行う(ステップS5)。
【0051】
データ送信装置11は、例えば作業機械10の停止操作を受け付けたときや有効期間が満了となったときなど、所定の終了条件を満たしたとき(ステップS6;YES)、処理を終了する。
一方、終了条件が満たされていない間(ステップS6;NO)、ステップS2~ステップS5の処理を繰り返し実行する。
【0052】
(カスタマイズ定義ファイルの説明)
図6図9は、第1の実施形態に係るカスタマイズ定義ファイルの説明図である。
以下、図6図9を参照しながら、カスタマイズ定義ファイルの内容について詳しく説明する。
【0053】
(共通定義)
図6は、共通定義のデータ構造の例を示している。
図6に示すように、共通定義には、設定シーケンス番号、開始/終了日時、優先度が指定される。
【0054】
設定シーケンス番号は、一台の作業機械10において、複数記録されたカスタマイズ定義ファイル251それぞれにユニークに割り振られる番号である。ユーザは、この設定シーケンス番号を指定することで、カスタマイズ定義ファイル251一つ一つを所望に編集することができる。ある一台の作業機械10に対し新たなカスタマイズ定義ファイル251を追加したい場合、ユーザは、新たな設定シーケンス番号を付したカスタマイズ定義ファイル251を、対象とする作業機械10に送信する。
【0055】
開始/終了日時は、このカスタマイズ定義ファイル251の有効期間を示す情報である。図5のステップS1で説明したように、データ送信装置11は、現在の日時がこの有効期間内にあるカスタマイズ定義ファイル251を抽出し、これらを有効なものとみなして実行対象とする。ユーザは、この開始/終了日時を指定することで、必要な情報を必要な期間にのみ取得できるようにカスタマイズできる。
【0056】
このように、カスタマイズ定義ファイル251には当該カスタマイズ定義ファイル251が有効となる期間が指定されており、加工処理部213および送信部214は、カスタマイズ定義ファイル251が有効である期間に限り、当該カスタマイズ定義ファイルに従って加工および送信を行う。
【0057】
従って、当該カスタマイズ定義ファイル251が有効である期間内は、当該カスタマイズ定義ファイルに従ったデータが、データサーバ30に送信される。また、作業機械10からデータサーバ30へ標準で送信するデータ、および他のカスタマイズ定義ファイル251も有効期間内である場合は、当該カスタマイズ定義ファイルに従ったデータに加え、標準で送信するデータおよび他のカスタマイズ定義ファイルに従ったデータが、データサーバ30に送信されることとなる。一方、当該カスタマイズ定義ファイル251が有効期間外であって、作業機械10からデータサーバ30へ標準で送信するデータ、および他のカスタマイズ定義ファイル251が有効期間内である場合には、標準で送信するデータおよび他のカスタマイズ定義ファイルに従ったデータのみが、データサーバ30に送信されることとなる。
【0058】
なお、データ送信装置11は、例えば、終了日時が経過などの有効期間が過ぎたカスタマイズ定義ファイル251を消去するようにしてもよい。有効期間が過ぎたカスタマイズ定義ファイル251を消去することで第2ストレージ250の記憶容量を削減することができる。
なお、作業機械10からデータサーバ30へ標準で送信するデータを、カスタマイズ定義ファイル251で定義するようにしてもよい。
【0059】
優先度は、そのカスタマイズ定義ファイル251の優先度を示す情報であり、例えば、1~100までの数値で表される。数値が高いほど優先度が大きい。上述したように、作業機械10において処理負荷が過多となることが想定される場合、処理制限判定部215は、この優先度にしたがってカスタマイズ定義ファイル251を選別し、処理負荷が限界を超えないように調整する。
【0060】
このように、カスタマイズ定義ファイル251には当該カスタマイズ定義ファイル251の優先度が指定されている。そして、処理負荷が過多になると判定された際には、加工処理部213および送信部214は、カスタマイズ定義ファイルの優先度が高いものから優先的に、当該カスタマイズ定義ファイルに従って加工および送信を行う。なお、なお、処理負荷に関わらず、カスタマイズ定義ファイルの優先度が高いものから優先的に、当該カスタマイズ定義ファイルに従って加工および送信を行うようにしてもよい。また、優先度の数値に閾値を設定し、閾値より大きい優先度カスタマイズ定義ファイルに従って加工および送信を行うようにしてもよい。
【0061】
(加工定義)
図7は、加工定義のデータ構造の例を示している。
図7に示すように、加工定義には、加工形式、イベントリスト、データリスト、集計期間、成形期間などが指定される。
【0062】
加工形式は、収集部111、212によって収集された生データについてどのような形式で加工を施すのかを指定する情報である。例えば、加工形式にはトレンド、ヒストリ、マップ、スナップ等のデータ形式が指定される。
【0063】
イベントリストは、別途、後述する条件定義に定義された条件キーを引用して作成されるリストである。イベントとは、例えば、“キーオン/オフ時”、“エラー発生時”、“エンジン水温が所定値を上回ったとき”などとして定義される。ユーザは、後述のイベント定義にて、任意の条件をイベントとして定義することができる。加工処理部213は、このイベントリストに定義されたイベントをきっかけとした各種データの加工、生成が可能となる。
【0064】
データリストは、例えば、エンジン水温、エンジン回転数など、取得したいデータの項目のリストである。データリストでは、平均値、最大値、最小値なども指定できる。
集計期間は、収集された生データについて上述の加工が適用される周期を指定する情報である。この集計期間ごとに、当該期間で収集されたサンプリングデータを対象に、上記加工が施された集計データが一つ追加される。
成形期間は、データファイルを成形する周期を指定する情報である。この成形期間内に集計された集計データをもって一つのデータファイルが成形される。
【0065】
(送信定義)
図8は、送信定義のデータ構造の例を示している。
図8に示すように、送信定義には、データ発信タイミング、送信先リストなどが指定される。
【0066】
データ発信タイミングは、このカスタマイズ定義ファイル251の実行により生成された加工済みデータを送信先に送信するタイミングが指定する情報である。データ発信タイミングは、例えば、“キーオフ検出時から30分後”など、後述するイベント定義に定義された条件キーを引用して指定することができる。
【0067】
このように、データ発信タイミングをカスタマイズ定義ファイル251別に指定することができるので、例えば、発信タイミングを作業機械10ごとにずらすようにカスタマイズし、データサーバ30の負荷が集中しないように調整することができる。
【0068】
送信先リストは、加工済みデータの送信先を示す情報であり、本実施形態では、データサーバ30のアドレスが指定される。なお、送信先リストには、複数の宛先及び経路を指定することもできる。送信先リストは、データサーバを複数用意したり、同じデータサーバ宛でも異なる経路を経由して送信するように指定したりすることで、特定のデータサーバや特定の経路での通信トラフィックが過多とならないように調整することができる。経路は、例えば、携帯通信、衛星通信など、通信方式を設定することによって異なる経路を設定することができる。
【0069】
(条件定義)
図9は、条件定義のデータ構造の例を示している。
図9に示すように、条件定義には、条件キー、条件関数などが指定される。
条件キーは、後述の条件関数に紐づくイベントを示すキー情報である。上述の加工定義及び送信定義のそれぞれでこの条件キーを記述することで、それぞれで所望のイベントを指定することができる。
条件関数は、イベントの内容を示す情報である。具体的には、“キーオン/オフ時”、“エラー発生時”、“エンジン水温が所定値を上回ったとき”などに相当する条件式が記述される。
【0070】
このように、カスタマイズ定義ファイル251は、条件定義を他の定義から独立して別途指定できる形式とされている。各種イベント条件を、加工定義、送信定義の各々で個々に定義することとするとユーザ側での編集作業が煩雑になる。しかしながら、条件定義にて、カスタマイズ定義ファイル251内で共通に扱える条件キーを定義することで、加工定義、送信定義に対する編集の利便性を向上させることができる。
【0071】
(作用、効果)
以上の通り、第1の実施形態に係るデータ送信装置11は、作業機械10から取得されるデータに対する種々の処理の内容を示すカスタマイズ定義情報を外部から受信するカスタマイズ定義受信部211と、受信したカスタマイズ定義情報の加工定義に従って作業機械10から取得されるデータを加工する加工処理部213と、受信したカスタマイズ定義情報の送信定義に従って加工されたデータである加工済みデータを外部装置であるデータサーバ30に送信する送信部214と、を備える。
【0072】
このような構成によれば、ユーザは、カスタマイズ定義ファイルを所望に編集することで、作業機械10による送信態様を所望にカスタマイズすることができる。
【0073】
なお、上述したデータ収集装置の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに送信し、この送信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0074】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル、又は差分プログラム等であってもよい。
【0075】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0076】
また、上述した実施形態に係る作業機械10は、油圧ショベルであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業機械10は、例えば、ダンプトラック、ブルドーザ、ホイルローダなどの他の作業機械であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 データ提供システム、10 作業機械、11 データ送信装置、100 第1基板、200 第2基板、110 第1プロセッサ、130 第1メインメモリ、150 第1ストレージ、170 第1インタフェース、210 第2プロセッサ、230 第2メインメモリ、250 第2ストレージ、270 第2インタフェース、12 制御コンポーネント、13 センサ、14 拡張コンポーネント、N1 第1ネットワーク、N2 第2ネットワーク、111 収集部、112 データ出力部、211 カスタマイズ定義受信部、212 収集部、213 加工処理部、214 送信部、215 処理制限判定部、251 カスタマイズ定義ファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9