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特許7581020光電変換装置、光電変換システム、移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、移動体
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241105BHJP
   H04N 25/61 20230101ALI20241105BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241105BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/61
H04N25/70
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020191392
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080378
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】河野 祥士
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179701(JP,A)
【文献】特開2015-220716(JP,A)
【文献】特開2019-192802(JP,A)
【文献】特開2015-216186(JP,A)
【文献】特開2015-065269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/61
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が並んだ画素領域を有する光電変換装置であって、
前記複数の画素のうち第一の画素と、
前記第一の画素よりも画素領域の端部に近い位置に配された第二の画素と、を有し、
前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、第一の光電変換部と、前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部と、前記第一の光電変換部及び前記第二の光電変換部で生じた電荷に基づく信号を処理する回路の配されたトランジスタ領域とを有し、
前記第二の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離よりも大きいことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、前記第一の光電変換部から電荷を転送する転送ゲートを有し、
前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の光電変換部と前記転送ゲートとの平面距離であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、前記第二の光電変換部から電荷を転送する転送ゲートを有し、
前記第二の画素における、前記第二の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の画素における、前記第二の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離と異なることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
複数の画素が並んだ画素領域を有する光電変換装置であって、
前記複数の画素は、集光された光が斜め入射する、第一の光電変換部と前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部とを備える画素を有し、
前記第二の光電変換部の中心と前記第一の光電変換部の中心とが一致するとした場合に前記第一の光電変換部が受光する光量よりも大きい光量を前記第一の光電変換部が受光するように、前記第一の光電変換部の中心が前記第二の光電変換部の中心に対して偏心していることを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の画素が並んだ画素領域を有し、
画素の配される位置が前記画素領域の端部に近くなるにつれ前記偏心の偏心率が上がることを特徴とする請求項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第二の光電変換部の入射光に対する感度は前記第一の光電変換部の入射光に対する感度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第二の光電変換部の受光面の面積は、前記第一の光電変換部の受光面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
第一の光電変換部で生じた信号に、第一の光電変換部と第二の光電変換部との感度比に応じた値を乗じた信号と、第二の光電変換部で生じた信号との和を画像信号とすることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記画素のそれぞれは集光機能を有するマイクロレンズを有し、
前記第一の光電変換部と前記第二の光電変換部とは、同一の前記マイクロレンズに集光された光が入射するように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の画素の各々は、前記第一の光電変換部の電荷を転送する転送ゲートを有し、
前記複数の画素は各画素を二分する断面において画素の端部から前記転送ゲートまでの距離が互いに同一の画素を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の画素のそれぞれは半導体層と配線層とを有し、
前記複数の画素の前記配線層のうち前記転送ゲートに接続される部分が互いに同一の構造を有することを特徴とする請求項10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記複数の画素のそれぞれはカラーフィルターを有し、
二行二列に配される四画素からなる配列を繰り返して配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
遮光部と、前記遮光部によって遮光された遮光画素とを有し、
前記遮光画素が前記第一の画素にあたることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記遮光部が、前記画素領域における前記複数の画素の四画素からなる配列のうち少なくとも一つを覆っていることを特徴とする請求項13に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記第二の光電変換部は、第三の光電変換部と、前記第三の光電変換部を囲む第四の光電変換部とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記画素領域は半導体基板に形成され、
前記半導体基板を含む複数の半導体基板を積層して構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力された信号に対して処理を行う処理装置と、
を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項18】
請求項17に記載の光電変換システムと、該光電変換システムの前記光電変換装置に被写体の光学像を結像させるレンズと、を有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項19】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【請求項20】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
複数の画素が並んだ画素領域と、前記複数の画素のうち第一の画素と、前記第一の画素よりも画素領域の端部に近い位置に配された第二の画素と、を有し、
前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、第一の光電変換部と、前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部と、前記第一の光電変換部及び前記第二の光電変換部で生じた電荷に基づく信号を処理する回路の配されたトランジスタ領域とを有し、
前記第二の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離よりも大きいことを特徴とする半導体基板。
【請求項21】
前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、前記第一の光電変換部から電荷を転送する転送ゲートを有し、
前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の光電変換部と前記転送ゲートとの平面距離であることを特徴とする請求項20に記載の半導体基板。
【請求項22】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
複数の画素を有し、
前記複数の画素は、集光された光が斜め入射する、第一の光電変換部と前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部とを備える画素を有し、
前記第二の光電変換部の中心と前記第一の光電変換部の中心とが一致するとした場合に前記第一の光電変換部が受光する光量よりも大きい光量を前記第一の光電変換部が受光するように、前記第一の光電変換部の中心が前記第二の光電変換部の中心に対して偏心していることを特徴とする半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、この光電変換装置を備えた光電変換システム、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には1つの光電変換部の周囲を囲む形でこれより受光面積の大きい光電変換部が配置され、これら大小2つの光電変換部の信号を組み合わせることによって光電変換装置のダイナミックレンジを拡大する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0269245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学中心が略同一となる2つの光電変換部によって構成される画素を複数個備える画素領域では、画素領域外縁部の画素で入射光が画素中央(受光面積小の光電変換部)に集光されないため、シェーディング(光量低下)が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの側面は、複数の画素が並んだ画素領域を有する光電変換装置であって、前記複数の画素のうち第一の画素と、前記第一の画素よりも画素領域の端部に近い位置に配された第二の画素と、を有し、前記第一の画素と前記第二の画素のそれぞれは、第一の光電変換部と、前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部と、前記第一の光電変換部及び前記第二の光電変換部で生じた電荷に基づく信号を処理する回路の配されたトランジスタ領域とを有し、前記第二の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離は、前記第一の画素における、前記第一の光電変換部と前記トランジスタ領域との平面距離よりも大きいことを特徴とする。
【0006】
本発明のその他の側面は、複数の画素を有する光電変換装置であって、前記複数の画素は、集光された光が斜め入射する、第一の光電変換部と前記第一の光電変換部を取り囲む第二の光電変換部とを備える画素を有し、前記第二の光電変換部の中心と前記第一の光電変換部の中心とが一致するとした場合に前記第一の光電変換部が受光する光量よりも大きい光量を前記第一の光電変換部が受光するように、前記第一の光電変換部の中心が前記第二の光電変換部の中心に対して偏心していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シェーディングを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
図2】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素回路の構成例である。
図3】第一の実施形態に係る光電変換装置の平面構造を模式的に示す図面である。
図4】第一の実施形態に係る画素領域内でのマイクロレンズの集光を模式的に表す図面である。
図5】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素領域全体の平面構造を模式的に示す図面である。
図6】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素領域全体の平面構造を模式的に示す図面である。
図7】第一の実施形態に係る光電変換装置の画素領域全体の平面構造を模式的に示す図面である。
図8】第一の実施形態に係る光電変換装置のカラーフィルターを含んだ平面構造を模式的に示す図面である。
図9】第一の実施形態に係る光電変換装置の転送ゲートを含んだ平面構造を模式的に示した図面である。
図10】第一の実施形態に係る光電変換装置の転送ゲートを含んだ平面構造を模式的に示した図面である。
図11】第一の実施形態に係る光電変換装置の平面構造を模式的に示す図面である。
図12】第一の実施形態に係る光電変換装置の平面構造を模式的に示す図面である。
図13】第二の実施形態にかかる撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
図14】第三の実施形態にかかる撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る光電変換装置およびその駆動方法について、図1から図8を用いて説明する。
【0010】
図1は第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。図2は第一の実施形態に係る光電変換装置の画素回路の構成例である。図3は第一の実施形態に係る光電変換装置の平面構造を模式的に示す図面である。図4は第一の実施形態に係る画素領域内でのマイクロレンズの集光を模式的に示す図面である。図5は第一の実施形態に係る光電変換装置の画素領域全体の平面構造を模式的に示す図面である。図6は第一の実施形態に係る光電変換装置の画素領域全体の平面構造を模式的に示す図面である。図7は第一の実施形態に係る光電変換装置のカラーフィルターを含んだ平面構造を模式的に示す図面である。図8図9は第一の実施形態に係る光電変換装置の転送トランジスタを含んだ平面構造を模式的に示す図面である。図10図11は第一の実施形態に係る光電変換装置の平面構造を模式的に示す図面である。
【0011】
(光電変換装置の全体構成)
第一の実施形態に係る光電変換装置は、図1に示すように画素領域301と、タイミングジェネレーター302と、列信号処理回路303と、信号処理回路304とを有している。
【0012】
画素領域301には複数の画素100が複数行及び複数列にわたって並んだ画素マトリクスが形成されている。
【0013】
画素領域301の画素マトリクスの各行には、行方向(図1において横方向)に延在して、制御信号線305が配されている。制御信号線305は、行方向に並ぶ画素100にそれぞれ接続され、これら画素100に共通の信号線をなしている。また、画素領域301の画素マトリクスの各列には、列方向(図1において縦方向)に延在して、垂直出力線209が配されている。垂直出力線209は、列方向に並ぶ画素100にそれぞれ接続され、これら画素100に共通の信号線をなしている。図1においては1本の垂直出力線が描かれているが、出力される信号に応じ複数本の垂直出力線が接続されていてもよい。
【0014】
画素領域301を構成する画素100の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素100で画素領域301を構成してもよく、1行又は1列に並べた複数の画素100で画素領域301を構成してもよい。
【0015】
各行の制御信号線305はタイミングジェネレーター302に接続されている。画素100から読み出された画素信号は、垂直出力線209を介して列信号処理回路303に入力される。列信号処理回路303は画素100から読み出された画素信号を保持するメモリ等を含み得る。列信号処理回路303から出力される画素信号は信号処理回路304を介して列毎に順次出力される。
【0016】
(画素の構成)
本実施形態に係る画素100の構成と接続関係について説明する。図2は第一の実施形態の画素回路の等価回路図である。それぞれの画素100は、図3に示すように光電変換部101と不図示のトランジスタ領域を有し、光電変換部101はフォトダイオード(以下「PD」とも表記する)102とPD103を含む。
【0017】
画素回路10はPD102とPD103を有する。さらに転送トランジスタ201-1と201-2と、を含む。さらにオーバーフロー用トランジスタ205とFD容量202、ゲインコントロールトランジスタ204、容量素子203、リセットトランジスタ206、ソースフォロワトランジスタ207、セレクトトランジスタ208を含んで構成される。これらのトランジスタの一部はトランジスタ領域に配される。
【0018】
各素子の機能と接続について説明する。
【0019】
PD102およびPD103は、それぞれ、光電変換部の一例である。PD102とPD103とのそれぞれに光が入射すると光電変換により電荷が発生し、PD102、PD103のそれぞれは、発生した電荷を信号電荷として蓄積する。PD102、PD103のアノードは接地電位に接続されている。PD102は転送トランジスタ201-1に接続され、PD103は転送トランジスタ201-2とオーバーフロー用トランジスタ205に接続されている。
【0020】
転送トランジスタ201-1とソースフォロワトランジスタ207の入力ノード(ゲート)が電気的に接続され、転送トランジスタ201-2とソースフォロワトランジスタ207の入力ノードが電気的に接続されている。
【0021】
転送トランジスタ201-1と201-2のゲートにはそれぞれ制御信号TX1、TX2が入力される。各制御信号がHighレベルのとき、ソースフォロワトランジスタ207の入力ノードに各フォトダイオードから信号電荷が転送される。
【0022】
オーバーフロー用トランジスタ205は電源VDDとPD103に接続される。オーバーフロー用トランジスタ205のゲートには制御信号OFが入力される。オーバーフロー用トランジスタ205ではゲート電位に応じたポテンシャルバリアが形成される。制御信号OFがHighレベルのとき、電源VDDにPD103から信号電荷が転送される。制御信号OFが中間電位LM1(Low<LM1<High)以上のとき、電源VDDとPD103の間のポテンシャルバリアが他の領域のバリアより低いレベルになることによって、電源VDDに余剰な電荷を排出することができる。電源VDDとPD103の間のポテンシャルバリアは典型的には転送トランジスタ201-2のポテンシャルバリアよりも低くなる。
【0023】
転送トランジスタ201-1と201-2、ゲインコントロールトランジスタ204、および、ソースフォロワトランジスタ207のゲートは、互いに接続され、1つのノードを構成している。この1つのノードを、フローティングディフュージョン(以降FD)ノードまたはFD部と呼ぶことがある。
【0024】
図2において、FD部の持つ容量が、FD容量202として表されている。FD容量202は、FD部を構成する配線の寄生容量成分やFD部に接続されたトランジスタのゲートの寄生容量成分を含みうる。また、FD容量202は、FD部を構成する半導体領域のPN接合容量成分、および、FD部に接続されたトランジスタのソースまたはドレインのPN接合容量成分を含みうる。これらの容量成分に加えて、FD容量202は、PIP容量、MIM容量、MOS容量などの容量素子によって構成されてもよい。これらの容量素子が配される場合には、当該容量素子の一端が、転送トランジスタ201-1、201-2、ゲインコントロールトランジスタ204、および、ソースフォロワトランジスタ207のゲートに接続される。
【0025】
ゲインコントロールトランジスタ204は容量素子203の一方の端子とリセットトランジスタ206に接続される。ゲインコントロールトランジスタ204のゲートには制御信号GCが入力される。容量素子203に電荷が蓄積された状態で制御信号GCをLowレベルにし、ゲインコントロールトランジスタ204をオフにすることで、容量素子203はFD容量202から分離される。また、制御信号GCがHighレベル/Lowレベルに切り替わり、ゲインコントロールトランジスタ204のオン/オフが切り替わることで、容量素子203をFD容量の一部として扱うか否かを切り替えられ、電荷電圧変換のゲインを異ならせることができる。さらに、制御信号GCが中間電位LM1(Low<LM1<High)以上のとき、容量素子203とPD103の間のポテンシャルバリアが他の領域のバリアより低いレベルになることで、容量素子203に余剰な電荷を排出することができる。典型的にはFD容量202よりもポテンシャルバリアが低くなる。
【0026】
リセットトランジスタ206およびソースフォロワトランジスタ207には電源VDDが接続される。リセットトランジスタ206のゲートには制御信号RESが入力される。制御信号RESがHighレベルのとき、リセットトランジスタ206がオンする。リセットトランジスタ206がオンすることで、PD102、PD103、FD部、および、容量素子203の一部または全部をリセットすることができる。
【0027】
ソースフォロワトランジスタ207はセレクトトランジスタ208を介して垂直出力線209に接続される。セレクトトランジスタ208のゲートには制御信号SELが入力される。制御信号SELがHighレベルのとき、セレクトトランジスタ208がオンになり、ソースフォロワトランジスタ207と電流源でソースフォロワ回路が形成される。
【0028】
PD102のアノード、および、PD103のアノードは、それぞれ接地電位に接続される。またFD容量202および容量素子203のもう一方の端子はそれぞれ接地電位に接続されるものとして記載している。
【0029】
PD103は、信号電荷である電子にとってポテンシャルが低い領域を含み、当該領域の周囲には信号電荷に対するポテンシャルバリアが形成される。すなわち、PD103のカソードには、局所的に電位が高い領域が存在する。そのため、発生した信号電荷はPD103のカソードに蓄積される。信号電荷である電子が蓄積されることに伴い、PD103のカソード電位が下がる。その結果、PD103の周囲に形成されるポテンシャルバリアの高さは低くなる。
【0030】
光電変換により発生した電荷のうち、フォトダイオードに蓄積可能な量を超えて過剰な電荷が発生する場合がある。PD103に大量の光が入射し過剰な電荷が発生したときには、ポテンシャルバリアの最も低いところから過剰な電荷が外にあふれ出す。
【0031】
PD103とFD部の間には転送トランジスタ201-2が存在し、FD部と容量素子203との間にはゲインコントロールトランジスタ204が存在する。転送トランジスタ201-2のゲート電位によって、転送トランジスタ201-2のゲートの直下の領域、すなわち、転送トランジスタ201-2のチャネル領域のポテンシャルバリアの高さを制御することができる。同様に、ゲインコントロールトランジスタ204のゲート電位GCによって、ゲインコントロールトランジスタ204のゲートの直下の領域、すなわち、ゲインコントロールトランジスタ204のチャネル領域のポテンシャルバリアの高さを制御することができる。
【0032】
フォトダイオードPD103とFD部の間のポテンシャルバリアがフォトダイオード周辺を囲むポテンシャルバリアの中で最も低くなるように転送トランジスタ201-2の制御信号TX2が制御される。このとき、PD103で発生した過剰な電荷は転送トランジスタ201-2を介して排出される。ゲインコントロールトランジスタ204がオフであれば、排出された過剰な電荷はFD部に保持される。ゲインコントロールトランジスタ204に入力される制御信号GCによって、ゲインコントロールトランジスタ204のオン、オフが制御される。ゲインコントロールトランジスタ204がオンであれば、排出された余剰な電荷はFD部及び容量素子203に保持される。
【0033】
図3~5を用いて本発明の画素の構造と画素への光の入射について説明する。
【0034】
図3は画素を構成する光電変換部101の概略構成を示す模式図である。PD102の受光部の面積はPD103の受光部の面積よりも小さく、PD102は周囲をPD103に囲まれている。光電変換部101の光入射側には画素毎に集光機能を有するマイクロレンズ(図4参照)が設けてある。
【0035】
本実施形態の図においてはPD102の受光部とPD103の受光部との面積の総和はいずれの画素でも等しくなっているが、面積の総和が他とは異なる画素を含む光電変換装置でも構わない。
【0036】
図4は、図3に示した光電変換部を有する画素のそれぞれの、画素領域301の中央部と画素領域301の外縁部とのマイクロレンズの集光状態を模式的に示した図である。
【0037】
画素領域301の中央部ではマイクロレンズを通した光線束は光電変換部101の中央部に集光される。PD102に入射する光量とPD103に入射する光量との比はPD102とPD103との面積比と一致する。つまりPD102とPD103との面積比がPD102とPD103との入射光に対する感度比である。PD102とPD103との面積比を1:nとしたとき、ダイナミックレンジを拡大した画像信号は、PD102で発生する電荷に基づく信号に感度比nを乗じ、PD103で発生する電荷に基づく信号を加えることで得られる。
【0038】
しかし、画素領域301の外縁部ではマイクロレンズを通した光線束が画素領域中央から見て外側の位置(遠心方向の位置)にずれて集光される。そのため、PD102に入射する光量とPD103に入射する光量との比がPD102とPD103との面積比である1:nではなくなる。
【0039】
この場合、ダイナミックレンジを拡大した画像信号を得るためには前述の光線束の集光位置のずれを考慮に入れた「シェーディング補正係数」を用いる補正が必要になる。具体的には、PD102で発生する電荷に基づく信号に感度比nを乗じた信号にさらにシェーディング補正係数を乗じ、PD103で発生する電荷に基づく信号を加える。上記シェーディング補正係数は、被写体像を形成するレンズ(光学系)からの光線束の傾き状態に応じて異なる値をとる。したがって、複数種のレンズ毎に上記シェーディング補正係数(またはシェーディング補正係数群)の値が変更されることがある。
【0040】
図5は、第一の実施形態の画素領域301内の構成を示す説明図である。画素領域301の外縁部におけるマイクロレンズを通った光線束の集光位置ずれを考慮して、各画素において光電変換部101内のPD102の面内位置を画素領域301の遠心方向にずらして配置しPD102の位置と集光位置とを近づけるか一致させている。これにより、PD102とPD103との双方にマイクロレンズを通った光が入射し、ダイナミックレンジを拡大した信号を得る際にシェーディング補正係数を用いた補正をすることなく計算することが可能となる。
【0041】
このように本実施形のPD102は、画素に対して偏心していない状態での受光光量に比べて大きな受光光量を得るために、光線束の集光位置に近づくように或いは光線束の集光位置に位置するように、画素領域301の遠心方向に、画素に対して偏心させてある。PD102の偏心率は、画素の配される位置が画素領域の端部に近付くにつれて高くなる。ここで受光光量とはすなわち光に対する感度であり、大きな受光光量を得ることで高感度になることができる。
【0042】
図5では画素領域301内での各画素の位置に応じて画素毎にPD102の相対位置が全て異なっている。このような配置では、ある方向に沿って配置された2つの画素それぞれのPD103の中心と画素領域301中心との間の平面距離の差よりも、これらの画素それぞれのPD102の中心と画素領域301中心との間の平面距離の差のほうが大きくなる。ここでPD102、PD103、あるいは画素領域の中心とは例えば重心を指す。
【0043】
PD102の配置はこれに限られず、例えば図6に示すように画素領域301を複数の副領域に分け、副領域毎にPD102の各画素における相対位置を異ならせてもよい。このように画素マトリクスの構造を単純化することで製造工程の簡略化を図ることが可能である。
【0044】
図6に示す構造をとる場合、ひとつの副領域内にある複数の画素のPD102の相対位置は互いに同じであり、各副領域にはPD102の位置が集光位置からずれている画素が含まれる。しかし、画素領域内の全画素にわたってPD102の相対位置が同じ場合と比較すれば、PD102の集光位置からのずれは低減されている。また、図6では画素領域を9つの副領域に分割したが、副領域の分割数は求められる画質や工程に応じて任意に設定可能である。
【0045】
PD102の配置の他の例として、図7に示すように画素領域中心部については各PD103の中心とPD102の中心とを一致させてもよい。このとき、マイクロレンズによって集光される光線束の集光位置ずれが大きくなる画素領域外縁部に配置された画素のみPD103の中心からPD102の中心をずらしてPD102の位置と集光位置とを近づけるか一致させてもよい。
【0046】
この例では、画素領域中心部に位置する複数の光電変換部101のうち、一部の画素ではPD102の位置が光線束の集光位置からずれ、シェーディングが発生する。
【0047】
しかし、画素領域中心部の画素で発生するシェーディングは、画素領域外縁部で発生するシェーディングと比べ軽微である。したがって前述の通り、画素領域中心部の画素から得られる信号に関してはシェーディング補正係数による補正を行わなくとも画質に重大な問題は生じない。
【0048】
このような構成により、より簡便な操作で十分な画質の画像を得ることが可能である。補正を行う必要がないため、消費電力を低減することが可能である。また、補正に要する回路が不要であるため画素構成の自由度が向上する。
【0049】
画素領域中央部に位置する画素から得られる信号に関しては既存のシェーディング補正係数を用いた補正をすることも可能である。
【0050】
例えば、シェーディングが比較的軽微な画素領域中央部については補正係数による補正を行う。一方、軽微なシェーディングに応じた補正係数による補正では十分な補正ができない画素領域外縁部については、シェーディングが発生しないよう集光位置に合わせてPD102の位置をずらす。このような構成では、より高画質の画像を得ることができる。
【0051】
ここで画素領域外縁部とは、例えば図7に示すように一点鎖線と破線とで囲まれた、画素領域の端部10%の部分を指し、画素領域中心部とは画素領域の画素領域外縁部以外の部分(図7において一点鎖線の内側の領域)を指す。
【0052】
図7の例では画素領域中心部を画素領域全体の相似形の領域とし、画素領域の面積の90%にあたる面積を有し、領域の中心を同じくする部分として規定する。図7のように画素領域が矩形であれば、画素領域の長手方向の長さの90%の長さと画素領域の短手方向の長さの90%の長さの辺を有し、画素領域と中心を同じくする矩形の領域として画素領域中心部を規定してもよい。
【0053】
本実施例では画素領域外縁部の範囲を画素領域の端部10%としたが、画素領域中心部及び画素領域外縁部は求められる画質に応じて任意に設定可能である。画素領域外縁部をさらに複数に分割し、シェーディング補正を行う領域と、行わない領域とを入れ子状に設定してもよい。
【0054】
また、本実施形態において、各画素のPD102の中心を、PD103の中心に対して縦方向のみ、あるいは横方向のみなど一定の方向にのみずらして配置し、縦横両方向に交差する斜め方向にずらさない構成を採ってもよい。
【0055】
いずれの場合も、画素に対し偏心させたPD102の中心はPD103の中心から画素領域301の遠心方向にずれて配置される。
【0056】
画素領域内の画素から全部が一直線上には無い3つの画素を画素群として選択したときを考える。上記遠心方向にずれた配置のため、画素群の各画素のPD103の中心同士を結んでできる三角形の面積は、該画素群のPD102の中心同士を結んだ三角形の面積よりも小さくなるような画素群を複数有する。
【0057】
図8は、第一の実施形態の画素のカラーフィルター配置及び遮光部の配置を示している。
【0058】
本実施形態では、各画素はそれぞれ1色のカラーフィルターを光電変換部の光入射側に有している。ベイヤー配列に配置された二行二列のカラーフィルターと画素とをひとつの繰り返し単位として複数配置することにより、カラーフィルターは画素領域に配列される。
【0059】
本実施形態ではさらに、遮光部601によって画素領域を光が入射する画素と光が入射しない遮光画素とに分けている。このとき、遮光部601に覆われた遮光画素においてもカラーフィルターを配置し、光が入射する画素と連続性を持たせた構成としている。このような構成を取ることで、各画素100のPD102の中心がPD103の中心からずらしてある画素領域内で生じる暗時のシェーディングを、遮光部601に覆われた遮光画素から得られる情報で補正することができる。ここで暗時のシェーディングとは遮光された画素で発生する暗電流を指す。より具体的には遮光画素で取得した信号を遮光画素以外の画素から得られる光電変換信号から減算することによって、暗電流に起因するノイズを除去または小さくできる。
【0060】
本実施形態では隣接する画素が互いに異なる色に対応したカラーフィルターを有する場合を示した。しかし、例えば互いに隣接する二行二列の四画素毎に同色のカラーフィルターを配置する、いわゆるクワッドベイヤー配列など、複数の画素毎に1色のカラーフィルターを配してもかまわない。
【0061】
図9は第一の実施形態に係る光電変換装置のトランジスタを含んだ平面構造を模式的に示している。画素領域中央部分、画素領域右下側の部分、両部分の中間点のそれぞれでの画素の光電変換部101の平面図を並べている。図9では画素が備えるトランジスタの代表的な例として、転送トランジスタが備える転送ゲート702、702を示している。トランジスタ領域に含まれるトランジスタは、転送トランジスタとは別のトランジスタであってもよい。例えば、図2に示した、トランジスタ204~208のいずれか、あるいは複数のトランジスタを組み合わせた領域とすることもできる。
【0062】
各画素は半導体基板に形成され、半導体基板は光電変換部101を含む半導体層と配線を含む配線層を有する。図9の例では、PD102の電荷を転送する転送トランジスタが備える転送ゲート702と、PD103の電荷を転送する転送トランジスタが備える転送ゲート703との各画素における相対位置を画素領域全体で変更しない。つまり転送ゲート703のPD103に対する相対位置は各画素を二分する線704における断面においても各画素間で互いに同一である。より具体的には不図示の画素分離部によって規定される画素の端部から転送ゲートまでの距離が各画素間で互いに同一となる。なお、この画素分離部は絶縁分離で形成されてもよい。この絶縁分離とはLOCOS(LOCal Oxidiation of Silicon)法、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)等によって形成される。また、画素分離部とは、光電変換部が信号電荷として蓄積する電荷とは反対の極性の電荷を主たるキャリアとする、反対導電型の半導体領域で形成されてもよい。さらに言えば、画素分離部は絶縁分離と、反対導電型の半導体領域による分離とを組み合わせて形成されても良い。
【0063】
隣り合う画素同士の転送ゲート703の間隔は、同一行に配された複数の画素において一定である。同様に、隣り合う画素同士の転送ゲート702の間隔は、同一行に配された複数の画素において一定である。また、1画素の中における、転送ゲート703と転送ゲート702の間隔もまた、同一行に配された複数の画素において一定である。なお、図9では同一行の画素の構成について説明したが、さらに複数行の画素においても図9に示した画素の構成を適用しても良い。また、画素領域の全体に渡って図9に示した画素の構成を適用しても良い。図9において光電変換部の端部とは光電変換部101の外周部であり、光電変換部101外周部と線704との交点から転送ゲートまでの線704に沿った距離を比較する。この場合、図2の画素回路に含まれるMOSや配線の少なくとも転送ゲートと接続される部分について全ての画素で同一に作成することができるため、画素部のMOS設計及び配線設計が容易である。
【0064】
図10は、第一の実施形態に係る光電変換装置のトランジスタを含んだ平面構造を模式的に示している。画素領域中央部分、画素領域右下側の部分、両部分の中間点のそれぞれでの画素の光電変換部101の平面図を並べている。図10の例では、転送ゲート702の位置はPD102の配置される位置に応じて変化する。したがって転送ゲート702の位置は画素領域内における画素の位置に応じて異なる。
【0065】
また、例えば画素領域を複数の副領域に分けて副領域毎に転送ゲート702のPD102に対する相対位置を異ならせることができる。
【0066】
図10に示す平面構造の場合、図2の画素回路に含まれるMOSや配線は転送ゲートの位置に応じて変更することになる。しかし、画素内のPD102の相対位置に制限がなくなり、PD102を、マイクロレンズからの光線束の集光位置と同じ位置や同集光位置に近い位置といった所望の位置に配置することができる。
【0067】
図11図12は双方とも、第一の実施形態の画素構成の変形例を示す模式図である。
【0068】
図11において、画素100の光電変換部101がPD102とPD103からなる構成は図3と同様であるが、PD102の形状は四角形である。PD102の外周部がPD103の外周部と相似形となっているため、面積比の算出及び面積比に応じた信号処理が容易である。
【0069】
また、図12が示す変形例は、PD102が円形であり、PD103が円環状である。そのため図11の例同様、信号処理が容易である。
【0070】
図11図12に示す通り、本実施形態の画素の平面構造は図3に示す形に限られない。
【0071】
図3図11および図12に示す、PD102(第一の光電変換部)とこれを取り囲むPD103(第二の光電変換部)とはどちらも一つの光電変換部より成るものであるが、それぞれ互いに独立した2以上の光電変換部で構成することも可能である。
【0072】
例えば、PD102(第一の光電変換部)を取り囲むPD103(第二の光電変換部)を、PD102を取り囲む第三の光電変換部(PD)とこの第三の光電変換部を囲む第四の光電変換部(PD)とから構成することも可能である。
【0073】
また、これら「取り囲む光電変換部」は一周連続した1つの光電変換部に限らず、周方向に複数の光電変換部(例えば円弧状の光電変換部)を並べてほぼ環状とした光電変換部の形態も採りうる。
【0074】
なお、PD102とPD103との面積比は画素領域全体にわたって一定である場合に限られない。例えばPD102への入射光量が減少する画素領域外縁部では画素領域中心部と比べPD102の面積を大きくし、更に本実施形態を適用することで、シェーディングの軽減を図ってもかまわない。
【0075】
光電変換装置において、第一実施形態の構成を取ることにより、一部又は全画素のPDからの光電変換信号に対してシェーディング補正係数を用いた補正をすることなく、ダイナミックレンジを拡大した信号を作成することができる。
【0076】
以上説明した実施形態の光電変換装置は、PD102とPD103とを共通の一の半導体基板に配置し、回路をこの半導体基板を含む複数の半導体基板に配置して、それらの基板を貼り合わせた積層構造として構成してもよい。
【0077】
(第2の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0078】
上記第1実施形態で述べた光電変換装置は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。図13には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0079】
図13に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を有する。さらにレンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0080】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0081】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0082】
更に光電変換システムは、各種演算を行いデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0083】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。光電変換システムは、この画像データを用いて、画像を生成する。
【0084】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0085】
(第3の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0086】
図14(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置(撮像装置)である。光電変換システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、光電変換システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、光電変換システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0087】
光電変換システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御部ECU330が接続されている。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御部ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0088】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム300で撮像する。図14(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置320が、光電変換システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0089】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0090】
(変形実施形態)
本発明は、上記各実施形態に限らず、上記各実施形態の変形例である種々の変形実施形態を採ることが可能である。
【0091】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0092】
また、上記第2実施形態、第3実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものであって、本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは図12及び図13に示した構成に限定されるものではない。
【0093】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0094】
101 画素
102 第一の光電変換部
103 第二の光電変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14