IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 飯村 一朗の特許一覧

特許7581029マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法
<>
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図1
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図2
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図3
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図4
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図5
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図6
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図7
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図8
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図9
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図10
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図11
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図12
  • 特許-マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20241105BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199718
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087658
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520473007
【氏名又は名称】飯村 一朗
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯村 一朗
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3228055(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228753(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228832(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228164(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0801178(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3227501(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0353296(US,A1)
【文献】登録実用新案第3228348(JP,U)
【文献】特開2005-348998(JP,A)
【文献】登録実用新案第3112416(JP,U)
【文献】実開昭61-071114(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の口元を前方から覆うマウスシールドであって、
紙葉からなり、前記口元を覆うシールド部と、
紙葉からなり、前記シールド部から延び出されたキープ部と、
紙葉からなり、ストラップにより着用者の額に取り付けられて該額から前方に張り出されることとなるバイザー部と、
を備え、
前記キープ部は、前記シールド部を、前記口元から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、前記口元に対して前方に離間された位置に保持される着用状態と
前記バイザー部が、前記キープ部と連結され、
前記キープ部が、前記シールド部よりも上に延び出す延び出し片を有し、
前記キープ部と前記バイザー部との連結は、前記延び出し片を前記バイザー部に貼り付ける貼り付け構造によるものであり、
前記貼り付け構造は、前記延び出し片に設けられたのり代が前記バイザー部に面で貼り付けられた構造である、
マウスシールド。
【請求項2】
請求項1に記載のマウスシールドであって、
前記キープ部が、前記着用状態において着用者の有効視野の範囲外となる位置に位置される、
マウスシールド。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載のマウスシールドであって、
前記シールド部及び前記キープ部のうちの少なくとも1つの表面には意匠構造が設けられている、
マウスシールド。
【請求項4】
請求項に記載のマウスシールドであって、
前記意匠構造は、模様若しくは色彩又はこれらの結合が前記表面に表示されてなる意匠面である、
マウスシールド。
【請求項5】
着用者の口元を前方から覆うマウスシールドであって、
紙葉からなり、前記口元を覆うシールド部と、
紙葉からなり、前記シールド部から延び出されたキープ部と、
紙葉からなり、ストラップにより着用者の額に取り付けられて該額から前方に張り出され、かつ、前記キープ部と連結されることとなるバイザー部と、
を備え、
前記キープ部は、前記シールド部を、前記口元から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、前記口元に対して前方に離間された位置に保持される着用状態とする、
マウスシールドに加工されるマウスシールド用のシールドシートであって、
前記シールド部を平面に展開した形状の本体部と、
前記キープ部を平面に展開した形状の支持部と、
が一体となった状態で一枚の紙葉であるシートに配置され、
前記シートには、前記バイザー部を平面に展開した形状の遮蔽部が配置され、
前記遮蔽部の外縁のうちの少なくとも一部が、前記本体部及び前記支持部の外縁のうちの少なくとも一部と隙間なく重なる辺であり、かつ、該辺が切り目となっている、
マウスシールド用のシールドシート。
【請求項6】
着用者の口元を前方から覆うマウスシールドであって、
紙葉からなり、前記口元を覆うシールド部と、
紙葉からなり、前記シールド部から延び出されたキープ部と、
を備え、
前記キープ部は、前記シールド部を、前記口元から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、前記口元に対して前方に離間された位置に保持される着用状態とする、
マウスシールドの生産方法であって、
一枚の紙葉であるシートに切り目を入れて、前記シールド部を平面に展開した形状の本体部と、前記キープ部を平面に展開した形状の支持部と、が配置されたシールドシートを作るカット工程と、
前記シールドシートから前記本体部及び前記支持部を含む構成パーツを取り出す取り出し工程と、
前記構成パーツを変形させて、前記本体部が前記シールド部の体を成し、前記支持部が前記キープ部の体を成すようにして前記マウスシールドを生産する生産工程と、
を含む、
マウスシールドの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスシールド及びマウスシールド用のシールドシート並びにマウスシールドの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、着用者の口と鼻を含む呼吸器を露出させながら、口元から飛び散るしぶきをカットするマウスシールドが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、全体が湾曲可能なシート状部材により形成されたマウスシールドが提案されている。シート状部材は、着用した使用者の少なくとも口の正面に配置されて、口の横方向への長さを有するシールド部と、使用者の顎をカバーする位置で該横方向に長いバンド部と、該シールド部と該バンド部とを左右方向中央で接続する連結部とを備えている。ここで、シールド部は、左右両方にバンド部の両端をそれぞれ固定するバンド固定部を有している。そして、連結部は、シールド部およびバンド部よりも短い横幅で、シールド部の下辺中央と、バンド部の上辺中央と、を連結する構成であり、かつ、該連結部から使用者側に立ちあがる顎当接部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-180425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、マウスシールドを構成するシールド部には透明な樹脂素材が用いられている。このため、マウスシールドの使用に際し、そのシールド部にしぶきが付着した場合、このしぶきが透明なシールド部状において目立ち、不衛生な印象を周囲に与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、マウスシールドに付着したしぶきを目立たないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、次の手段をとる。まず、第1の発明は、着用者の口元を前方から覆うマウスシールドであって、紙葉からなり、前記口元を覆うシールド部と、紙葉からなり、前記シールド部から延び出されたキープ部と、を備え、前記キープ部は、前記シールド部を、前記口元から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、前記口元に対して前方に離間された位置に保持される着用状態とするものである。
【0008】
第1の発明によれば、マウスシールドは、口元を覆うシールド部と、シールド部から延び出されたキープ部と、を備えている。ここで、キープ部は、着用者の口元から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、口元に対して前方に離間された位置にシールド部を保持するものである。そして、これらの部分は紙葉からなりたっている。紙葉は不透明なものであり、かつ、しぶきを吸い取るものであるため、マウスシールドに付着したしぶきを目立たないようにすることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明によるマウスシールドであって、前記キープ部が、前記着用状態において着用者の有効視野の範囲外となる位置に位置されるものである。
【0010】
第2の発明によれば、マウスシールドを着用した状態では、キープ部が、着用者の有効視野の範囲外となる位置に位置されている。これにより、着用者の視野がキープ部に遮られにくくなる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明によるマウスシールドであって、紙葉からなり、ストラップにより着用者の額に取り付けられて該額から前方に張り出されることとなるバイザー部を備え、前記バイザー部が前記キープ部と連結されているものである。
【0012】
ここで、ストラップとは、バンドや紐といった、物を安定させたり又は保持したりする長尺部材をいう。また、額とは、前頭筋の前方に位置されて頭髪の毛包が分布されない部位をいう。
【0013】
第3の発明によれば、マウスシールドは、シールド部から延び出されてシールド部に対する口元との相対的な位置関係を保持するキープ部と、バイザー部と、が連結されている。ここで、バイザー部は紙葉からなりたっている。紙葉は不透明なものであるため、額から前方に張り出されたバイザー部は日よけとしての効果を発揮する。また、着用者の頭に固定することができるストラップを用いることで、バイザー部が着用者の額に取り付けられることとなる。従って、キープ部及びシールド部を着用者の耳等に取り付けることなく、マウスシールドを着用することができる。これにより、例えば、着用者が耳介に固定具を取り付けることに対して違和感を覚える人である場合、該違和感を覚えることをさけることができる。また、例えば、着用者がメガネをかけている場合等、着用者の耳介に他の物品が取り付けられている場合には、この他の物品とマウスシールドとが互いに干渉するおそれを低減することができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明によるマウスシールドであって、前記キープ部が、前記シールド部よりも上に延び出す延び出し片を有し、前記キープ部と前記バイザー部との連結は、前記延び出し片を前記バイザー部に挿し込む挿し込み構造によるものであり、前記挿し込み構造は、前記延び出し片を前記バイザー部に挿し込む深さを変更可能なものである。
【0015】
第4の発明によれば、シールド部から延び出されたキープ部と、バイザー部と、の連結は、キープ部が有する延び出し片をバイザー部に挿し込んだ挿し込み構造によるものである。ここで、延び出し片をバイザー部に挿し込む深さについては変更可能である。これにより、着用者はシールド部と、バイザー部と、の間の離間距離を適宜変更し、もって上記着用状態においてシールド部を覆う範囲を変更することができる。
【0016】
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明によるマウスシールドであって、前記キープ部が、前記シールド部よりも上に延び出す延び出し片を有し、前記キープ部と前記バイザー部との連結は、前記延び出し片を前記バイザー部に貼り付ける貼り付け構造によるものであり、前記貼り付け構造は、前記延び出し片に設けられたのり代が前記バイザー部に面で貼り付けられた構造である。
【0017】
第5の発明によれば、シールド部から延び出されたキープ部と、バイザー部と、の連結は、キープ部が有する延び出し片をバイザー部に貼り付けた貼り付け構造によるものである。ここで、延び出し片に設けられたのり代がバイザー部に面で貼り付けられる。これにより、着用者はシールド部と、バイザー部と、を容易に固定することができる。
【0018】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明のうちのいずれか一つによるマウスシールドであって、前記シールド部及び前記キープ部のうちの少なくとも1つの表面には意匠構造が設けられているものである。
【0019】
ここで、意匠構造とは、文字、図形、及び、色彩等、外部に露見するように設けられることで対象の意匠性を向上させる任意の構造をいう。この意匠構造には、対象の表面に文字等を表示したり印刷したりした構造と、対象とは別の立体(例えばパネル等)を取り付けた構造と、のいずれもが含まれる。
【0020】
第6の発明によれば、マウスシールドのシールド部及びキープ部に意匠構造を設けることができるため、意匠設計の自由度を広げられる。また、意匠構造が文字や標章、ピクトグラム等の情報伝達媒体および/または宣伝広告媒体としての機能を有するものである場合、その機能をマウスシールドの着用状態において発揮させることができる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明によるマウスシールドであって、前記意匠構造は、模様若しくは色彩又はこれらの結合が前記表面に表示されてなる意匠面であるものである。
【0022】
第7の発明によれば、シールド部又はキープ部にこれらとは別の立体を取り付ける作業によらず、意匠構造を設けることができる。
【0023】
第8の発明は、第1の発明から第7の発明のうちのいずれか一つによるマウスシールドに加工されるマウスシールド用のシールドシートであって、前記シールド部を平面に展開した形状の本体部と、前記キープ部を平面に展開した形状の支持部と、が一体となった状態で一枚の紙葉であるシートに配置されているものである。
【0024】
第8の発明によれば、一枚の紙葉であるシールドシートに、本体部と、支持部と、が一体となった状態で配置されている。そのため、一枚の紙葉であるシールドシートから取り出した本体部と、支持部と、からシールド部と、キープ部と、を作り出すことができる。これにより、シールドシートを複数枚重ねた状態とすることで、マウスシールドの材料を、コンパクトにまとめ、もってこの材料における運搬性の向上、保管スペースの削減、運搬時または保管時における損傷のおそれの低減を図ることができる。
【0025】
第9の発明は、第8の発明によるマウスシールド用のシールドシートであって、前記マウスシールドは、紙葉からなり、ストラップにより着用者の額に取り付けられて該額から前方に張り出され、かつ、前記キープ部と連結されることとなるバイザー部を備えるものであり、前記シートには、前記バイザー部を平面に展開した形状の遮蔽部が配置され、前記遮蔽部の外縁のうちの少なくとも一部が、前記本体部及び前記支持部の外縁のうちの少なくとも一部と隙間なく重なる辺であり、かつ、該辺が切り目となっているものである。
【0026】
第9の発明によれば、一枚の紙葉であるシールドシートに、本体部と、支持部と、遮蔽部と、が配置されている。そのため、一枚の紙葉であるシールドシートから取り出した本体部と、支持部と、遮蔽部と、からシールド部と、キープ部と、バイザー部と、を作り出すことができる。これにより、シールドシートを複数枚重ねた状態とすることで、マウスシールドの材料を、コンパクトにまとめ、もってこの材料における運搬性の向上、保管スペースの削減、運搬時または保管時における損傷のおそれの低減を図ることができる。
【0027】
第10の発明は、第1の発明から第7の発明のいずれか一つによるマウスシールドの生産方法であって、一枚の紙葉であるシートに切り目を入れて、前記シールド部を平面に展開した形状の本体部と、前記キープ部を平面に展開した形状の支持部と、が配置されたシールドシートを作るカット工程と、前記シールドシートから前記本体部及び前記支持部を含む構成パーツを取り出す取り出し工程と、前記構成パーツを変形させて、前記本体部が前記シールド部の体を成し、前記支持部が前記キープ部の体を成すようにして前記マウスシールドを生産する生産工程と、を含むものである。
【0028】
第10の発明によれば、カット工程により、一枚の紙葉であるシートに切り目を入れて、シールド部を平面に展開した形状の本体部と、キープ部を平面に展開した形状の支持部と、が配置されたシールドシートを作ることができる。そして、取り出し工程により、カット工程で作られたシールドシートから本体部及び支持部を含む構成パーツを取り出すことができる。さらに、生産工程により、構成パーツをシールド部及びキープ部の体を成すように変形してマウスシールドを生産することができる。これにより、一枚の紙葉を用いてマウスシールドを生産することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記の各発明の構成をもつことにより、マウスシールドに付着したしぶきを目立たないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態に係るマウスシールド20の使用状態を示す右側面図である。
図2】一実施形態に係るマウスシールド20を表した右側面図である。
図3図2のマウスシールド20を表した正面図である。
図4図2のマウスシールド20を表した背面図である。
図5図2のマウスシールド20を表した平面図である。
図6図2のマウスシールド20を表した底面図である。
図7図2のバイザー前後方向23から見たマウスシールド20の図である。
図8】一実施形態に係るシールドシート91を表した正面図である。
図9図8のシールドシート91からマウスシールド20を生産する方法を示す説明図である。
図10】他の実施形態1に係るマウスシールド200を図7に示す方向から見た図である。
図11】他の実施形態2に係るマウスシールド201の斜視図である。
図12】他の実施形態3に係るシールドシート911を表した正面図である。
図13図12のシールドシート911からマウスシールド202を生産する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<マウスシールド>
本発明の一実施形態に係るマウスシールド20は、図1に示すように、着用者10に着用されて、その口元11を前方(図1で見て左側)から覆うものである。ここで、マウスシールド20は、このマウスシールド20において口元11を覆うシールド部30を、口元11から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、口元11に対して前方に離間された非接触位置21に位置させている。これにより、マウスシールド20は、着用者10の自由な呼吸を妨げないものとなっている。
【0032】
<マウスシールドの構成>
マウスシールド20は、図2に示すように、着用者10の口元11を覆うシールド部30と、シールド部30から延び出されたキープ部40と、ストラップ(本実施形態ではゴム紐59)により着用者10の額12に取り付けられて額12から前方に張り出されることなるバイザー部50と、で構成されている。また、マウスシールド20は、紙葉に切り目を入れたシールドシート91(図8参照)を用いて形成されるものである。ここで、紙葉とは、一定の厚みをもった紙のシートを意味しており、本実施形態では厚紙からなるシート90をいう。
【0033】
<シールド部の構成>
シールド部30は、不透明な紙葉(本実施形態では厚紙からなるシート90)からなり、着用者10の口元11を覆うものである。本実施形態では、図2図3及び図5に示すように、シールド部30は着用者10の鼻元13から両の頬14及び下顎15までの範囲を覆う大きさである。ここで、シールド部30の大きさは想定される着用者10が大人であるか、小人であるかに応じて適宜設定される。
【0034】
<シールド部の詳細>
シールド部30は、図3に示すように、その幅方向の両側に端部31をそれぞれ備えている。なお、マウスシールド20を着用した着用状態では、端部31は、互いに対向した状態となる。なお、シールド部30における前方中央の面には文字32(本実施形態では「CD」の文字)が印刷表示されている。ここで、文字32の印刷表示とは意匠面としての文字の印刷表示を意味している。そして、文字32は、本発明における意匠構造に相当する。なお、意匠面は模様であっても良い。
【0035】
<キープ部の構成>
キープ部40は、不透明な紙葉(本実施形態では厚紙からなるシート90)からなり、シールド部30から延び出されたものである。そして、キープ部40は、シールド部30を、着用者10の口元11から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、口元11に対して前方に離間された非接触位置21に保持するものである。そのため、図2に示すように、キープ部40は、シールド部30と、着用者10の額12に取り付けられたバイザー部50と、の間を架け渡すことができる大きさである。ここで、シールド部30と、バイザー部50と、の間の寸法は想定される着用者10が大人であるか、小人であるかに応じて適宜設定される。
【0036】
<キープ部の詳細>
キープ部40は、図2図3及び図5に示すように、着用者10の有効視野22(図5参照)の範囲外となる位置、具体的には、耳介16の前方であって鼻元13の側方の位置に位置されている。そして、キープ部40は、シールド部30の端部31(図3参照)から延び出され、シールド部30より、マウスシールド20を着用した着用状態において、上方に延び出された延び出し片41を有している。以下に延び出し片41について説明する。
【0037】
ここで、本発明における有効視野22(図5参照)とは、ヒトが正面を注視しているときに必要な視覚情報を他から弁別できる視野の範囲をいう。一般的には、有効視野22の範囲は、例えば、正面に対して左右30°の範囲内といわれている。そのため、有効視野22の範囲外とは、意識してその方向を見ようとしなければ視認できない範囲、例えば、正面に対して左右30°の範囲から外れる範囲をいう。
【0038】
<延び出し片の構成>
延び出し片41は、図7に示すように、キープ部40をバイザー部50と連結可能にするものである。ここで、延び出し片41と、バイザー部50と、の連結は貼り付け構造である。貼り付け構造は、具体的には、延び出し片41に設けられている面をなすのり代42がバイザー部50の表面に貼り付けられたものである。
【0039】
<延び出し片の詳細>
延び出し片41には、延び出し方向と交差する方向に折り曲げ可能な折曲部43が設けられている。折曲部43は、延び出し片41に設けられているのり代42をバイザー部50の面方向に沿うように折り曲げることができる部分である。これにより、のり代42と、バイザー部50の表面と、が重ねられて接合することとなる。なお、延び出し片41の表面には「S」の文字が印刷されたシール44(図1参照)が貼付されている。シール44は、本発明における意匠構造に相当する。
【0040】
<バイザーの構成>
バイザー部50は、図2に示すように、不透明な紙葉(本実施形態では厚紙からなるシート90)からなり、着用者10の額12に係合可能なカーブをなすカーブ縁51(図5参照)と、カーブ縁51から上方に延び出されてバイザー部50の額12に対する倒れ止めとなる足52とを有している。そして、バイザー部50は、着用者10の額12に取り付けられて額12から前方に張り出されることとなる。これにより、バイザー部50は、日射しが強いとき等に、着用者10に対する日よけとしての効果を発揮する。ここで、着用者10の額12にバイザー部50を取り付けるものとしては、ストラップ、具体的にはゴム紐59が挙げられる。ここで、バイザー部50の前後方向を示すバイザー前後方向23から見たマウスシールド20については、図7に示される。バイザー部50は、図7に示すように、キープ部40が有する延び出し片41と連結するための貼り付け構造として、延び出し片41を挿し込む大きさの挿し込み孔54と、延び出し片41ののり代42が面で接合することとなる接合層55と、が備えられている。
【0041】
<バイザーの詳細>
バイザー部50には、図5に示すように、幅方向で互いに対向する一対の留め孔53が、着用者10の額12側に備えられている。そして、バイザー部50には、幅方向で互いに対向する一対の挿し込み孔54が、着用者10の耳介16の前方であって額12の高さの位置に備えられている。さらに、バイザー部50には、図5及び図7に示すように、そのオモテ面(図7で見て上側となる面)に設けられた一対の接合層55が、一対の挿し込み孔54の間となる位置に備えられている。ここで、本実施形態における留め孔53はゴム紐59を結び留めることが可能なサイズの円孔である。そして、本実施形態における挿し込み孔54は、延び出し片41を挿し込むことが可能なスリットである。なお、本実施形態における接合層55としては、例えば、両面テープや接着剤が挙げられる。また、バイザー部50の足52には、「P」の字が手書きされた意匠構造たる厚紙のパネル56(図1参照)が、のり付けされている。
【0042】
<マウスシールドの詳細>
マウスシールド20は、図7に示すように、キープ部40が有する各延び出し片41を、バイザー部50における挿し込み孔54にそれぞれ挿し込み、各延び出し片41ののり代42をバイザー部50における各接合層55に面で貼り付けたものである。ここで、図2図4及び図5に示すように、バイザー部50における留め孔53の一方にはゴム紐59の一端が取り付けられ、該一端から延び出されたゴム紐59が着用者10の後頭部17を回り込み、ゴム紐59の他端がバイザー部50における留め孔53の他方に取り付けられている。
【0043】
<シールドシート>
本発明のシールドシート91は、マウスシールド20に加工される半製品である。このシールドシート91は、マウスシールド20を自作するシールド自作キット(図示せず)に含ませて流通させることができるものである。
【0044】
<シールドシートの構成>
シールドシート91は、マウスシールド20用のシールドシートであり、図8に示すように、本体部60と、本体部60と一体となった状態である支持部70と、本体部60及び支持部70の外縁のうちの一部と隙間なく重なる辺であり、かつ、該辺を切り目92とした遮蔽部80と、が含まれた厚紙であるシート90(図9参照)から構成されている。
【0045】
<シールドシートの詳細>
シールドシート91は、長方形の厚紙である。そして、シールドシート91には、本体部60及び支持部70の外縁と、遮蔽部80の外縁と、を分離できるように切り目92が入れられている。以下に本体部60と、支持部70と、遮蔽部80と、を説明する。
【0046】
<本体部の構成>
本体部60は、シールド部30(図3参照)を平面に展開した形状のものである。そのため、本体部60は、シールドシート91が想定されるマウスシールド20に成形された状態では、着用者10の口元11を覆った着用状態とすることができる面状のシールド部30(図3参照)に相当する。ここで、本体部60は、想定されるマウスシールド20の着用者10の鼻元13から両の頬14及び下顎15までの範囲を覆う大きさ(図3参照)である。なお、本体部60の大きさは、想定される着用者10が大人であるか、小人であるかに応じて適宜設定される。
【0047】
<本体部の詳細>
本体部60は、その幅方向の両側にサイド部61をそれぞれ備えている。なお、本体部60の中央には、意匠面たる文字32が印刷されている。
【0048】
<支持部の構成>
支持部70は、キープ部40(図2参照)を平面に展開した形状のものである。そのため、支持部70は、シールドシート91が想定されるマウスシールド20に成形された状態では、シールド部30(図2参照)を、着用者10の口元11から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、口元11に対して前方に離間された非接触位置21(図2参照)に保持することとなるキープ部40(図2参照)に相当する。なお、支持部70の大きさは想定される着用者10が大人であるか、小人であるかに応じて適宜設定される。
【0049】
<支持部の詳細>
支持部70は、シールド部30(図3参照)に相当する本体部60のサイド部61から幅方向と交差する方向に向かって延び出された延び出し部71を有している。以下に延び出し部71について説明する。
【0050】
<延び出し部の構成>
延び出し部71は、本体部60を遮蔽部80と連結可能にするものである。
【0051】
<延び出し部の詳細>
延び出し部71には、延び出し方向と交差する方向に折り曲げ可能な意匠面たる折曲線73が印刷されている。折曲線73は、延び出し部71に設けられている面をなすのり代72を折り曲げることができる部分の線である。
【0052】
<遮蔽部の構成>
遮蔽部80は、バイザー部50を平面に展開した形状のものである。そのため、遮蔽部80は、着用者10の額に係合可能なカーブをなすカーブ縁部81と、カーブ縁部81から幅方向と交差する方向に延び出される足部82、すなわち、足52(図2参照)に相当する構造を有している。そして、遮蔽部80は、シールドシート91が想定されるマウスシールド20に成形された状態では、着用者10の額12に取り付けられて額12から前方に張り出されることとなるバイザー部50(図2参照)に相当する。ここで、遮蔽部80には、幅方向で互いに対向する一対の留め部83と、幅方向で互いに対向する一対の挿し込み部84と、が設けられている。
【0053】
<遮蔽部の詳細>
遮蔽部80に備えられる留め部83は、ゴム紐59(図5参照)を留めることができる大きさの孔である留め孔53(図5参照)に相当するものである。また、遮蔽部80に備えられる挿し込み部84は、延び出し部71を挿し込むことができる大きさの孔である挿し込み孔54(図7参照)に相当するものである。
【0054】
<マウスシールドの生産方法>
マウスシールド20の生産方法については、図9に示すように、以下に後述されるカット工程と、取り出し工程と、生産工程と、を含む。
【0055】
<マウスシールドの生産方法>
なお、マウスシールド20の生産方法については、あらかじめ、本体部60の中央に意匠構造たる文字32(本実施形態では「CD」の文字)を印刷したり、延び出し部71の延び出し方向と交差する方向に折り曲げ可能な折曲線73を印刷したりする印刷処理を行っても良い。
【0056】
<カット工程>
まず、図9に示すように、長方形に調製された厚紙であるシート90を、刃が埋め込まれたゴムシートを備えたプレス機(図示せず)にセットし、セットされたシート90を打ち抜いてミシン目をなす切り目92を入れるカット工程を行う。この際、シート90には、本体部60及び支持部70の外縁及び遮蔽部80の外縁、すなわち、シールド部30(図2参照)及びキープ部40(図2参照)の外縁及びバイザー部50(図2参照)の外縁に相当する構造が形成される。ここで、支持部70の外縁の形成は、シールドシート91における延び出し部71の形成をも意味する。また、遮蔽部80の外縁の形成は、シールドシート91における足部82の形成をも意味する。なお、切り目92としては、ミシン目の他、表面に形成された溝であっても良い。
【0057】
ここで、上記カット工程では、遮蔽部80にある留め部83及び挿し込み部84の内縁、すなわち、留め孔53及び挿し込み孔54の内縁に相当する構造も形成される。
【0058】
<取り出し工程>
続いて、切り目92の入ったシールドシート91から、本体部60及び支持部70と、遮蔽部80と、を含むマウスシールド20の構成パーツ93を取り出すべく、これらの外縁の切り目92を分離する取り出し工程を行う。
【0059】
ここで、上記取り出し工程には、切り目92の入った遮蔽部80から、挿し込み部84の内縁及び留め部83の内縁に係る切り目92を分離して孔95を形成する開孔処理が含まれる。
【0060】
<生産工程>
さらに、構成パーツ93である本体部60をキープ部40(図2参照)となる部分が互いに対向するようにたわめるとともに支持部70を後述する折曲線73で折り曲げ、本体部60及び支持部70を、シールド部30(図2参照)及びキープ部40(図2参照)の体をなすように変形するマウスシールド変形処理を行う。次に、構成パーツ93である遮蔽部80の幅方向で互いに対向する一対の接合部85を設ける連結前処理を行う。そして、マウスシールド変形処理を経た支持部70の延び出し部71を挿し込み部84に挿し込み、連結前処理を経た接合部85に延び出し部71において面をなすのり代72を面で貼り付ける連結処理を行う。また、ゴム紐59を留め部83に結び留めるストラップ固定処理を行う。
【0061】
なお、マウスシールド変形処理と、連結前処理と、連結処理と、ストラップ固定処理とを合わせた工程は、本発明における「生産工程」に相当する。この工程を経ることで、シールドシート91はマウスシールド20に加工されることとなる。すなわち、この工程により、シールドシート91からマウスシールド20が生産されることを意味している。なお、この工程においては、支持部70に「S」の文字が印刷されたシール44を取り付けたり、遮蔽部80に「P」の字が手書きされた厚紙のパネル56を取り付けたりする取り付け処理を含めることができる。
【0062】
<作用・効果>
上述したマウスシールド20によれば、マウスシールド20は、口元11を覆うシールド部30と、シールド部30から延び出されたキープ部40と、を備えている。ここで、キープ部40は、着用者10の口元11から飛び散るしぶきをカットできる位置で、かつ、口元11に対して前方に離間された非接触位置21にシールド部30を保持するものである。そして、これらの部分は紙葉からなりたっている。紙葉は不透明なものであり、かつ、しぶきを吸い取るものであるため、マウスシールド20に付着したしぶきを目立たないようにすることができる。
【0063】
また、上述したマウスシールド20によれば、マウスシールド20を着用した着用状態では、キープ部40が、着用者10の有効視野の範囲22外となる位置に位置されている。これにより、着用者10の視野がキープ部40に遮られにくくなる。
【0064】
また、上述したマウスシールド20によれば、マウスシールド20は、シールド部30から延び出されてシールド部30に対する口元11との相対的な位置関係を保持するキープ部40と、バイザー部50と、が連結されている。そして、着用者10の頭に固定することができるストラップを用いることで、バイザー部50が着用者10の額12に取り付けられることとなる。従って、キープ部40及びシールド部30を着用者10の耳介16に取り付けることなく、マウスシールド20を着用することができる。これにより、例えば、着用者10が耳介16に固定具を取り付けることに対して違和感を覚える人である場合、該違和感を覚えることをさけることができる。また、例えば、着用者10がメガネをかけている場合等、着用者10の耳介16に他の物品が取り付けられている場合には、この他の物品とマウスシールド20とが互いに干渉するおそれを低減することができる。
【0065】
また、上述したマウスシールド20によれば、シールド部30から延び出されたキープ部40と、バイザー部50と、の連結は、キープ部40が有する延び出し片41をバイザー部50に貼り付けた貼り付け構造によるものである。ここで、延び出し片41に設けられたのり代42がバイザー部50に面で貼り付けられる。これにより、着用者10はシールド部30と、バイザー部50と、を容易に固定することができる。
【0066】
また、上述したマウスシールド20によれば、マウスシールド20のシールド部30及びキープ部40に意匠構造を設けることができるため、意匠設計の自由度を広げられる。また、意匠構造が文字や標章、ピクトグラム等の情報伝達媒体および/または宣伝広告媒体としての機能を有するものである場合、その機能をマウスシールド20の着用状態において発揮させることができる。
【0067】
また、上述したマウスシールド20によれば、シールド部30又はキープ部40にこれらとは別の立体を取り付ける作業によらず、意匠構造を設けることができる。
【0068】
また、上述したマウスシールド20によれば、一枚の紙葉であるシールドシート91に、本体部60と、支持部70と、が一体となった状態で配置されている。そのため、一枚の紙葉であるシールドシート91から取り出した本体部60と、支持部70と、からシールド部30と、キープ部40と、を作り出すことができる。これにより、シールドシート91を複数枚重ねた状態とすることで、マウスシールド20の材料を、コンパクトにまとめ、もってこの材料における運搬性の向上、保管スペースの削減、運搬時または保管時における損傷のおそれの低減を図ることができる。
【0069】
また、上述したマウスシールド20によれば、一枚の紙葉であるシールドシート91に、本体部60と、支持部70と、遮蔽部80と、が配置されている。そのため、一枚の紙葉であるシールドシート91から取り出した本体部60と、支持部70と、遮蔽部80と、からシールド部30と、キープ部40と、バイザー部50と、を作り出すことができる。これにより、シールドシート91を複数枚重ねた状態とすることで、マウスシールド20の材料を、コンパクトにまとめ、もってこの材料における運搬性の向上、保管スペースの削減、運搬時または保管時における損傷のおそれの低減を図ることができる。
【0070】
また、上述したマウスシールド20によれば、カット工程により、一枚の紙葉であるシート90に切り目92を入れて、シールド部30を平面に展開した形状の本体部60と、キープ部40を平面に展開した形状の支持部70と、が配置されたシールドシート91を作ることができる。そして、取り出し工程により、カット工程で作られたシールドシート91から本体部60及び支持部70を含む構成パーツ93を取り出すことができる。さらに、生産工程により、構成パーツ93をシールド部30及びキープ部40の体を成すように変形してマウスシールド20を生産することができる。これにより、一枚の紙葉を用いてマウスシールド20を生産することができる。
【0071】
以上より、マウスシールド20に付着したしぶきを目立たないようにすることができる。
【0072】
<他の実施形態>
以上、本発明を実施するための形態について、上述した実施形態によって説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の目的を逸脱することなく種々の代用、手直し、変更が可能であることは明らかである。すなわち、本発明の目的を実施するための形態は、本明細書に添付した請求の範囲の精神および目的を逸脱しない全ての代用、手直し、変更を含みうるものである。例えば、本発明を実施するための形態として、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0073】
<他の実施形態1>
上述した実施形態の他の態様として、バイザー部から、挿し込み孔を省略したマウスシールドが挙げられる。係る場合、バイザー部においてオモテ面とは反対側に位置されるウラ面に、延び出し片が張り付けられることとなる。
【0074】
上述したマウスシールドによれば、バイザー部に挿し込み孔を設ける必要がなくなる。
【0075】
<他の実施形態2>
上述した実施形態の他の態様として、延び出し片には、折曲部の候補となる線が複数設定されたマウスシールドが挙げられる。
【0076】
上述したマウスシールドによれば、着用者は、折曲部の候補となる複数の線から適宜選択して折り曲げて、延び出し片におけるのり代の範囲を変更することができる。これにより、着用者はシールド部と、バイザー部と、の間の離間距離を適宜変更し、もって上記着用状態においてシールド部を覆う範囲を変更することができる。
【0077】
<他の実施形態3>
上述した実施形態の他の態様として、図10に示すように、キープ部40とバイザー部57との連結を、挿し込み構造のみとするマウスシールド200が挙げられる。ここで、挿し込み構造とは、挿し込み孔54を備えたバイザー部57が、その挿し込み孔54と同一形状となる第2挿し込み孔544を挿し込み孔54と並列するようにさらに備え、キープ部40の延び出し片41を挿し込み孔54及び第2挿し込み孔544に挿し込む構造である。係る場合、延び出し片41が、挿し込み孔54及び第2挿し込み孔544の縁にそれぞれ当接することとなる。
【0078】
上述したマウスシールド200によれば、シールド部30から延び出されたキープ部40と、バイザー部57と、の連結は、キープ部40が有する延び出し片41をバイザー部57に挿し込んだ挿し込み構造によるものである。ここで、延び出し片41をバイザー部57に挿し込む深さについては変更可能である。これにより、着用者10はシールド部30と、バイザー部57と、の間の離間距離を適宜変更し、もって上記着用状態においてシールド部30を覆う範囲を変更することができる。
【0079】
<他の実施形態4>
上述した実施形態の他の態様として、図11に示すように、キープ部40をバイザー部50との連結を、貼り付け構造の代わりにメガネ18に連結する係止構造とするマウスシールド201が挙げられる。ここで、係止構造は、キープ部40における延び出し片41を折り曲げて着用者10のメガネ18のつる19に引っ掛けることで係止させる構造である。
【0080】
上述したマウスシールド201によれば、着用者10はバイザー部50を用いずにマウスシールド201を着用することができる。
【0081】
<他の実施形態5>
上述した実施形態の他の態様として、図12及び図13に示すように、以下に後述される印刷工程と、取り出し工程と、生産工程と、を含むマウスシールド202の生産方法が挙げられる。
【0082】
まず、マウスシールド202の生産において、図12に示すように、長方形に調製された薄紙であるシート900には、本体部600、支持部700及び遮蔽部800、すなわち、シールド部、キープ部及びバイザー部に相当する構造を形成するため、以下の折り図944を印刷する印刷工程を行う。ここで、遮蔽部800の形成は、シールドシート911における後述する連結部801の形成をも意味する。
【0083】
本体部600、支持部700及び遮蔽部800は、上述した本体部60、支持部70及び遮蔽部80に相当する。そのため、これらと相違する点を中心に説明する。
【0084】
遮蔽部800には、その幅方向で互いに対向する一対の連結部801と、幅方向で互いに対向する一対の留め部833と、が設けられている。
【0085】
遮蔽部800に設けられる連結部801は、バイザー部に相当する部分とキープ部に相当する部分とが立体的に繋がるように連結部801の外縁をつまみ合わせてバイザー部に相当する部分の面にさらに重ねた三層構造802を平面に展開した形状のものである。そのため、連結部801は、シールドシート911が想定されるマウスシールド201に成形された状態では、バイザー部に相当する部分とキープ部に相当する部分とを連結する。また、留め部833は、三層構造802に設けられている。ここで、留め部833は、ゴム紐599を留めることができる大きさの孔955(図13参照)である留め孔に相当するものである。
【0086】
本体部600、支持部700及び遮蔽部800の外縁を形成する線、及び、留め部833の内縁を形成する線として、切り取り線944Aが挙げられる。切り取り線944Aは実線として印刷される。
【0087】
本体部600、支持部700及び遮蔽部800をマウスシールド201として立体化する線、及び、三層構造802を形成する線の一つとして、山折り線944Bが挙げられる。山折り線944Bは破線として印刷される。
【0088】
三層構造802を形成する線の一つとして、谷折り線944Cが挙げられる。谷折り線944Cは一点鎖線として印刷される。
【0089】
その他、本体部600における中央の面には文字322(本実施形態では「CD」の文字)が印刷表示されている。ここで、文字322の印刷表示とは意匠面としての文字の印刷表示を意味している。そして、文字322は本発明における意匠構造に相当する。なお、意匠面は模様であっても良い。
【0090】
続いて、図13に示すように、切り取り線944Aの入ったシールドシート911から、本体部600及び支持部700と、遮蔽部800と、を含むマウスシールド201の構成パーツ933を取り出すべく、印刷された切り取り線944Aを切断する取り出し工程を行う。
【0091】
ここで、上記切り出し工程には、切り取り線944Aの入った遮蔽部800から、留め部833の内縁に係る切り取り線944Aを切り出して孔955を形成する開孔処理が含まれる。
【0092】
さらに、印刷された山折り線944Bを山折りし、印刷された谷折り線944Cを谷折りして、構成パーツ933である本体部600、支持部700及び遮蔽部800を、シールド部、キープ部及びバイザー部の体をなすように変形するマウスシールド変形処理を行う。ここで、バイザー部の体をなすことは、連結部801を三層構造802に変形することをも意味する。なお、三層構造802において重なり合う重ね面803には接合部、例えば、両面テープを貼付して設けても良い。また、三層構造802において重ね合わされた留め部833にゴム紐599を結び留めるストラップ固定処理を行う。
【0093】
なお、マウスシールド変形処理と、ストラップ固定処理とを合わせた工程は、本発明における「生産工程」に相当する。この工程を経ることで、シールドシート911はマウスシールド201に加工されることとなる。すなわち、この工程により、シールドシート911からマウスシールド202が生産されることを意味している。
【0094】
上述したマウスシールド202によれば、支持部700と、遮蔽部800と、を分離することなくマウスシールド202を生産することができる。また、シート900は薄紙からなるところ、このシート900が重ねられた構造(本実施形態では三層構造802)に留め部833が設けられるため、留め部833が破損してゴム紐599が外れるおそれが低減される。
【0095】
<第1の変形例>
本発明に係るマウスシールドにおいて、バイザー部を着用者の額に取り付けるストラップは、留め孔又は留め部に結び留められるゴム紐に限定されることはない。例えば、ゴム紐を留め孔に通した後、ゴム紐の先端に該孔より大きなこぶを設けて抜け止めした抜け止め構造を採用することができる。また、ゴム紐に代えて、伸縮性のない紐やバイザー部から延び出されたバンド等、着用者の額に取り付けることができるストラップの中から任意に選択したものを使用しても良い。また、バイザー部は、着用者の額から張り出している必要はなく、ヘッドバンドを用いても良い。係る場合、マウスシールドは、着用者の頭部と、ヘッドバンドと、の間に延び出し片を挟み込むことでシールド部を非接触位置に保持することができる。
【0096】
<第2の変形例>
図1のマウスシールド20の第2の変形例として、シールド部、キープ部、バイザー部の少なくとも1つに意匠構造が設けられ、その意匠構造が、キャラクター人形やレリーフが施された板等、任意の立体であっても良い。係る場合、マウスシールドは、着用者の好みに合う形態となる。また、上記意匠構造を設ける位置については、着用者の好みに合うように適宜変更することができる。
【0097】
<第3の変形例>
図8のシールドシート91の第3の変形例として、遮蔽部の表面において、マウスシールドの生産方法を説明する説明文を印刷しても良い。係る場合、着用者は、シールドシートをマウスシールドに容易に組み立てることができる。また、シールドシートがマウスシールドに成形された状態(図6参照)において、説明文が目立たないように、印刷した面をバイザー部(図6参照)の底面側とすることができる。
【符号の説明】
【0098】
10 着用者
11 口元
12 額
13 鼻元
14 頬
15 下顎
16 耳介
17 後頭部
18 メガネ
19 つる
20,200,201,202 マウスシールド
21 非接触位置
22 有効視野
23 バイザー前後方向
30 シールド部
31 端部
32,322 文字(意匠構造)
40 キープ部
41 延び出し片
42 のり代
43 折曲部
44 シール(意匠構造)
50,57 バイザー部
51 カーブ縁
52 足
53 留め孔
54 挿し込み孔
544 第2挿し込み孔
55 接合層
56 パネル(意匠構造)
59,599 ゴム紐
60,600 本体部
61 サイド部
70,700 支持部
71 延び出し部
72 のり代
73 折曲線
80,800 遮蔽部
801 連結部
802 三層構造
803 重ね面
81 カーブ縁部
82 足部
83,833 留め部
84 挿し込み部
85 接合部
90,900 シート
91,911 シールドシート
92 切り目
93,933 構成パーツ
944 折り図
944A 切り取り線
944B 山折り線
944C 谷折り線
95,955 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13