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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241105BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241105BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/00 530
H05K7/20 H
H05K7/20 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020207102
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094206
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】土居 重雄
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188945(JP,A)
【文献】特開平04-322267(JP,A)
【文献】特開2011-107511(JP,A)
【文献】特開2015-106021(JP,A)
【文献】特開2006-163249(JP,A)
【文献】特開2004-258117(JP,A)
【文献】特開2003-228260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0291541(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0228646(US,A1)
【文献】米国特許第10768574(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
シートにトナー像を形成する作像ユニットを有する第1筐体と、
前記作像ユニットによって形成されたトナー像をシートに定着させる定着ユニットを有し、前記第1筐体と隣接して配置される第2筐体と、
シートを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットのシート搬送方向と鉛直方向と直交する方向において一端側に設けられる第1支持部と、前記直交する方向において他端側に設けられ前記第1支持部と共に前記搬送ユニットを支持する第2支持部とを有する支持枠体と、
前記支持枠体を覆う外装カバーの一部であって、前記直交する方向の一端側において、前記支持枠体に対して開閉可能に設けられるカバーと、
内部に基板を有し、前記直交する方向において前記第2支持部の他端側の面に保持される電装ユニットと、
前記直交する方向において前記第2支持部よりも一端側に設けられる吸気口を有し、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットへ送出するための風路を形成するダクトユニットと、
前記直交する方向において前記第2支持部よりも他端側に設けられ、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットに設けられる排気口から排出するようにエアフローを形成するファンと、
前記第2筐体に設けられ、前記定着ユニットを通過したシートを冷却する冷却ユニットと、を備え、
前記搬送ユニットは、前記定着ユニットと、前記冷却ユニットとを含み、
前記電装ユニットは、前記シート搬送方向において前記冷却ユニットよりも下流側に設けられる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
鉛直方向下側に設けられた開口を有する後側板を含む支持枠体をさらに備え、
前記ダクトユニットは、前記開口を通過するように設けられ、
前記吸気口は、前記直交する方向において前記画像形成装置の中心よりも前記一端側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電装ユニットは、前記鉛直方向における下端部に、前記ダクトユニットから空気を吸気する他の吸気口を有し、
前記排気口は、前記鉛直方向において上端部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持枠体を覆う外装カバーの一部であって、前記直交する方向において他端側に設けられ、前記支持枠体に固定される他のカバーをさらに備え、
前記ファンは、前記他のカバーに設けられる他の排気口を介して前記排気口から空気を排出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却ユニットは、シートを搬送する一対の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの内周面に接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を備え、
前記冷却ファンは、前記直交する方向において前記第2支持部よりも前記他端側に設けられ、前記画像形成装置の外部へ排気を行うエアフローを形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記直交する方向において前記第2支持部よりも前記他端側に設けられ、前記定着ユニット近傍の空気を前記画像形成装置の外部へ排気する定着排気ファンをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
シートにトナー像を形成する作像ユニットを有する第1筐体と、
前記作像ユニットによって形成されたトナー像をシートに定着させる定着ユニットを有し、前記第1筐体と隣接して配置される第2筐体と、
前記定着ユニットを含み、シートを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットのシート搬送方向と鉛直方向と直交する方向において一端側に設けられる第1支持部と、前記直交する方向において他端側に設けられ前記第1支持部と共に前記搬送ユニットを支持する第2支持部とを有する支持枠体と、
前記支持枠体を覆う外装カバーの一部であって、前記直交する方向の一端側において、前記支持枠体に対して開閉可能に設けられるカバーと、
内部に基板を有し、前記直交する方向において前記第2支持部の他端側の面に保持される電装ユニットと、
前記直交する方向において前記第2支持部よりも一端側に設けられる吸気口を有し、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットへ送出するための風路を形成するダクトユニットと、
前記直交する方向において前記第2支持部よりも他端側に設けられ、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットに設けられる排気口から排出するようにエアフローを形成するファンと、
前記直交する方向において前記第2支持部よりも前記他端側に設けられ、前記定着ユニット近傍の空気を前記画像形成装置の外部へ排気する定着排気ファンと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
鉛直方向下側に設けられた開口を有する後側板を含む支持枠体をさらに備え、
前記ダクトユニットは、前記開口を通過するように設けられ、
前記吸気口は、前記直交する方向において前記画像形成装置の中心よりも前記一端側に設けられる、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電装ユニットは、前記鉛直方向における下端部に、前記ダクトユニットから空気を吸気する他の吸気口を有し、
前記排気口は、前記鉛直方向において上端部に設けられる、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記支持枠体を覆う外装カバーの一部であって、前記直交する方向において他端側に設けられ、前記支持枠体に固定される他のカバーをさらに備え、
前記ファンは、前記他のカバーに設けられる他の排気口を介して前記排気口から空気を排出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2筐体に設けられ、前記定着ユニットを通過したシートを冷却する冷却ユニットをさらに備え、
前記搬送ユニットは、前記冷却ユニットを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記電装ユニットは、前記シート搬送方向において前記冷却ユニットよりも下流側に設けられる、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記冷却ユニットは、シートを搬送する一対の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの内周面に接触するヒートシンクと、前記ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を備え、
前記冷却ファンは、前記直交する方向において前記第2支持部よりも前記他端側に設けられ、前記画像形成装置の外部へ排気を行うエアフローを形成する、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複数備える複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、トナー画像を形成する作像部、トナーを加熱してシートに定着する定着部及び装置全体の電源供給を行う電源部等の装置内部に設けられる様々なユニットが装置の稼働に伴って発熱する場合がある。そこで、送風ファンを設けてエアフローを形成し、各ユニットから吸気した空気を排気口から装置外部へ排気することで各ユニットの排熱を行う構成が一般的に用いられている。
【0003】
特許文献1では、画像形成装置の背面側に吸気ファンを設け、冷却対象である感光体を冷却し、ダクトを通じて画像形成装置の背面側に排気するエアフローを形成し、装置の内部を冷却する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-228260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、オフィスから商業印刷へと普及した電子写真方式の画像形成装置においては、高生産、高画質、高安定、高寿命、高機能化に伴い装置が大型化し、消費電力も増加する傾向にある。そして、消費電力の増加に伴い画像形成装置内に設けられる電源部における発熱量も増加するため、電源部の排熱を行う送風ファンを設ける必要がある。
【0006】
ここで、電源部を冷却するためのエアフローを設ける場合、特許文献1のように画像形成装置の背面側に吸気口と排気口の両方を設けてしまうと、電源部を通過した空気を吸気口から取り込んでしまう虞がある。電源部を通過した空気は、電源部によって発生した熱により温められているため、この空気を吸気口から吸気してしまうと、電源部の冷却効率が低下してしまう場合があった。
【0007】
そこで本発明は、画像形成装置の背面側に設けられ、基板を有する電装ユニットを効率よく冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成装置であって、シートを搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットのシート搬送方向と鉛直方向と直交する方向において一端側に設けられる第1支持部と、前記直交する方向において他端側に設けられ前記第1支持部と共に前記搬送ユニットを支持する第2支持部とを有する支持枠体と、前記支持枠体を覆う外装カバーの一部であって、前記直交する方向の一端側において、前記支持枠体に対して開閉可能に設けられるカバーと、内部に基板を有し、前記直交する方向において前記第2支持部の他端側の面に保持される電装ユニットと、前記直交する方向において前記第2支持部よりも一端側に設けられる吸気口を有し、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットへ送出するための風路を形成するダクトユニットと、前記直交する方向において前記第2支持部よりも他端側に設けられ、前記吸気口から吸気した空気を前記電装ユニットに設けられる排気口から排出するようにエアフローを形成するファンと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明を用いることで、画像形成装置の背面側に設けられ、基板を有する電装ユニットを効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置を含む画像形成システムの概略断面図。
図2】画像形成装置の画像形成部の概略断面図。
図3】画像形成装置の定着搬送部の概略断面図。
図4】画像形成装置のエアフロー配置の背面図。
図5】画像形成装置のファン風量のブロック図。
図6】画像形成装置の定着搬送部におけるDC電源エアフローを示す概略断面図。
図7】画像形成装置の画像形成部と定着搬送部の接続部の一部を示す概略断面図。
図8】画像形成装置の定着搬送部を左側面側から見た定着ユニットのエアフローを示す概略断面図。
図9】画像形成装置の定着搬送部を右側面側から見た定着ユニットのエアフローを示す概略断面図。
図10】画像形成装置の定着搬送部を右側面側から見た定着ユニットのエアフローを示す概略断面図。
図11】画像形成装置の定着搬送部のエアフローを示す概略断面図。
図12】画像形成装置の定着搬送部を左側面側から見た定着ユニットのエアフローを示す概略断面図。
図13】画像形成装置の定着搬送部を左側面側から見た冷却装置のエアフローを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置等は、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
<実施例形態1>
(画像形成システム)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置101を含む画像形成システム100の概略断面図である。図1に示す画像形成装置101は、給送されたシートSにトナー画像を転写する画像形成部102と、転写されたトナー画像をシートSに定着する定着搬送部103により構成される。画像形成部102と定着搬送部103は、各々独立した筐体で構成される。この構成により、大型な装置であっても、筐体毎に分離した状態での梱包や輸送を行うことが可能となり、設置に至るまでの物流時の作業性を改善することができる。
【0013】
画像形成部102の上部には、原稿画像を読み取る原稿読取装置104、及び積載した複数枚の原稿を原稿読取装置104に1枚ずつ給送する原稿給送装置105が選択式に接続される。
【0014】
画像形成部102のシート搬送方向(矢印X方向)上流側には、複数のシート収納部を有する大容量給送装置106、もしくは不図示の手差し給送装置、もしくは長尺シートを収容可能な不図示の長尺給送装置のいずれかの給送装置を選択的に接続することができる。大容量給送装置106の更に上流側には、不図示の大容量給送装置、手差し給送装置、長尺給送装置のいずれかの給送装置を選択的に重連接続することができる。
【0015】
定着搬送部103のシート搬送方向(矢印X方向)下流側には、シートSの片面、もしくは両面に形成された定着後のトナー画像を読み取り、画像濃度や画像位置のずれを検出し、画像形成部102に伝送される画像信号に対してフィードバック補正を行うためのセンシング装置107が選択的に接続される。
【0016】
定着搬送部103、もしくはセンシング装置107の更に下流側には、インサータ、パンチャ、くるみ製本機、大容量スタッカ、折り機、フィニッシャ、トリマ等、不図示の様々なシート処理装置を1つ、もしくは複数組み合わせて、選択的に接続することができる。
【0017】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置101は、シート搬送方向の上下流に多様なオプション装置が選択的に接続されることで、多様なマテリアルに対して、多様な後処理加工を施した成果物をインライン出力することが可能となり、高生産、高画質、高安定、高機能に優れた画像形成システム100を提供することができる。
【0018】
(画像形成装置:画像形成部102)
図2は、本実施例の画像形成装置101における画像形成部102の概略断面図である。図2に示す画像形成部102は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色別に異なるトナー画像を形成する複数の作像ステーション200を備える。これらの複数の作像ステーションは、作像ユニットの一例である。図2(a)は、画像形成部102全体の概略断面図である。図2(b)は、作像ステーション200Y,M,Cの概略断面図である。図2(c)は、作像ステーション200Kの概略断面図である。
【0019】
図2(a)に示すように、各作像ステーション200における感光ドラム201は、一次帯電器202により表面を一様に帯電された後、伝送される画像情報の信号に基づき駆動されるレーザスキャナ203により静電潜像が形成される。形成された潜像は、現像器204によりトナー画像として現像される。現像により消費されたトナーは、トナーボトル205からトナー補給経路206を介して各現像器204に適宜補給される。各作像ステーション200Y,M,Cは、用いるトナーの色が異なるのみであり、構成は全て共通となっている。以下では、共通の構成に関してY,M,C,Kの符号を省略して説明をする。尚、作像ステーション200Kは、一部の構成が作像ステーション200Y,M,Cと異なる機能を有する構成となっているため、異なる箇所については後述する。
【0020】
感光ドラム201上のトナー画像は、一次転写ローラ207により所定の加圧力、及び静電的負荷バイアスが付与されて、中間転写ベルト208上に順次転写される。転写後の感光ドラム201上に残った僅かな残トナーは、感光ドラムクリーナ209により除去され、次の画像形成に備える。除去された残トナーは、トナー回収経路210を介して回収トナー容器211に収容される。
【0021】
一方、画像形成部102内部のシート収納部212、もしくは前述した画像形成装置101の外部に接続されるいずれかの給紙装置により1枚ずつ給送されたシートSは、レジストローラ213のニップ部に先端を倣わせてループを形成することで斜行修正が行われる。その後、レジストローラ213は、中間転写ベルト208上のトナー画像と同期をとって、シートSを二次転写部へ搬送する。
【0022】
中間転写ベルト208上のトナー画像は、二次転写内ローラ214、及び二次転写外ローラ215から成る二次転写ニップで、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを付与することでシートSに転写される。転写後、中間転写ベルト208上に残った僅かな残トナーは、中間転写ベルトクリーナ216によって除去され、次の画像形成に備える。除去された残トナーは、トナー回収経路210を介して回収トナー容器211に収容される。トナー画像が転写されたシートSは、定着前搬送ベルト217a,bにより下流の定着搬送部103に搬送される。
【0023】
(画像形成装置:白黒画像形成)
本実施例の画像形成装置101は、前述したY、M、C、K全ての作像ステーション200を使用したフルカラー画像形成の他に、Kの作像ステーション200Kのみを使用した白黒画像形成を行うことができる。
【0024】
白黒画像形成時には、一次転写ローラ207、一次転写補助ローラ218、中間転写ベルト208を、不図示の離間機構により、図2(a)の破線で示す位置に変位させる。この離間機構により、中間転写ベルト208から離間されたY、M、Cの作像ステーション200Y、200M、200Cは、回転駆動を停止することができる。即ち、Y、M、Cの作像ステーション200Y、200M、200Cにおいて、不用な回転駆動に伴う不用な部品摩耗を防止でき、高寿命化を図ることができる。
【0025】
一方、感光ドラム201Kは、感光ドラム201Y、201M、201Cよりも高寿命に適した大径で構成される。また、図2(c)に示すように、一次帯電器202Kは、一次帯電器202Y、202M、202Cのローラ帯電器による接触方式よりも高寿命に適したコロナ帯電器による非接触方式で構成される。更には、トナーボトル205Kは、トナーボトル205Y、205M、205Cよりも高寿命に適した大容量で構成される。
【0026】
以上の構成により、白黒画像形成を多用するユーザにおいても、使用頻度の低いY、M、Cの作像ステーション200Y、200M、200Cに対して、使用頻度の高いKの作像ステーション200Kのメンテナンス間隔が短くなることを防止できる。
【0027】
また、コロナ帯電器202Kを用いた大径ドラム構成は、ローラ帯電器202Y、202M、202Cを用いた小径ドラム構成よりも、帯電幅が広く高速化に適した構成であるため、白黒画像形成時の生産性を向上することもできる。
【0028】
なお、このような作像ステーション200間で異なる条件を有する画像形成部102においては、形状や摩耗量の差から感光ドラム201上のトナー帯電量に差が生じる場合がある。トナー帯電量に差が生じると、二次転写工程において、シートSへのトナー画像の転写が均一に行われずに画像不良を生じる場合がある。そこで、Kの感光ドラム201Kには、Y、M、Cの感光ドラム201Y、201M、201Cとトナー帯電量を揃えるためのコロナ帯電器からなる転写前帯電器219が配設される。
【0029】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、フルカラー画像形成のみならず白黒画像形成においても、高生産、高画質、高安定、高寿命に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0030】
(画像形成装置:定着搬送部103)
図3は、本実施例の画像形成装置101における定着搬送部103の概略断面図である。図3に示す定着ユニット301は、画像形成部102より搬送されるシートS上のトナー画像を加熱加圧することによりシートS上に定着する。
【0031】
本実施形態では、定着ユニット301の鉛直方向上側に、不図示のヒータによって加熱される加熱ローラ301aを有し、鉛直方向下側に、加熱ローラ301aに対してシートを加圧する加圧ローラ301bを有している。トナー像が形成されたシートSは、加熱ローラ301aと加圧ローラ301bによって形成される定着ニップにて加熱及び加圧されることでトナー画像が定着される。そして、加熱ローラ301aと加圧ローラ301bは、シートを加熱加圧しながらシート搬送方向下流側へシートを挟持搬送する。ここでは、ローラ対からなる定着ユニット301を例に説明したが、搬送ベルトによって定着ニップを形成する定着ユニット301であってもよい。
【0032】
定着ユニット301により加熱されたシートSは、冷却ユニット302の搬送ベルト302aの内周面に接触するヒートシンク303の吸熱により冷却されながら一対の搬送ベルト302a,bによって挟持搬送され、排紙搬送パス304を経由して、前述したセンシング装置107、もしくは不図示の後処理装置に排出される。
【0033】
シートSの表裏を反転して排出する場合は、排紙反転部305でスイッチバック搬送を行い、シートSの先後端を入れ替えて表裏を反転した状態で排紙搬送パス304を経由して排出する。
【0034】
シートSの両面に画像形成を行う場合は、1面目の画像が形成されたシートSを、両面反転部306でスイッチバック搬送を行い、シートSの先後端を入れ替えて表裏を反転した状態で両面搬送パス307に搬送する。その後、画像形成部102内部のシート収納部212、もしくは前述した外部に接続されるいずれかの給紙装置により給送される後続シートSとのタイミングを合わせてレジストローラ213に再合流させ、2面目に対して1面目と同様なプロセスで画像形成を行い、排紙搬送パス304を経由して排出する。
【0035】
(画像形成装置:エアフロー配置)
図4は、本実施例の画像形成装置101におけるエアフロー配置を示す図であり、画像形成装置101を背面側から見た図である。ここで、画像形成装置101の正面側とは、シート収納部212にシートを補充する際等にシート収納部212を画像形成装置101に対して引き出す側面であり、画像形成装置101を操作するユーザが立つ位置である。そして、画像形成装置101の背面側とは、前後方向(シート収納部212の挿抜方向)において正面側と反対側の側面である。
【0036】
図4に示すように、画像形成装置101は、作像エアフロー401、定着前搬送エアフロー402、電源エアフロー403を形成するダクトユニットをそれぞれ備える。定着搬送部103は、定着エアフロー404、冷却ユニットエアフロー405、電源エアフロー406、電装エアフロー407を形成するダクトユニットをそれぞれ備える。
【0037】
画像形成部102の作像エアフロー401は、一次帯電器吸気ファン408、現像器吸気ファン409Y、409M、409C、作像排気ファン410を備える。
【0038】
一次帯電器吸気ファン408は、作像ステーション200Kの一次帯電器202Kに対して、換気のための外気を供給する。一次帯電器吸気ファン408の上流側には、外気に浮遊する粉塵を捕集し、清浄化した空気をKの一次帯電器202Kに供給するための一次帯電器吸気フィルタ411が配設される。
【0039】
現像器吸気ファン409Y、409M、409Cは、現像器204Y、204M、204Cに対して、冷却のための外気を供給する。
【0040】
作像排気ファン410は、Kの一次帯電器202K、及び転写前帯電器219が、コロナ放電により放出したオゾンをKの作像ステーション200Kから排出させる。また、作像排気ファン410は、回転駆動時の摩擦により各現像器204が放出した熱を各作像ステーション200から排出させる。また、作像排気ファン410は、トナー回収経路210から内部に滞留した熱を排出させる。更には、作像排気ファン410は、トナー画像形成の各工程において放出された微量の浮遊トナーを、各作像ステーション200から排出させる。作像排気ファン410の上流側には、各作像ステーション200から排出されたオゾン、及びトナーを含む粉塵を捕集し、清浄化した空気を装置101の外部に排気するための作像排気フィルタ412が配設される。
【0041】
以上説明した作像エアフロー401の構成によれば、作像工程で放出されるオゾン、熱及び粉塵を、各作像ステーション200内に滞留させることなく効率よく排出し、作像排気フィルタ412にて捕集することができる。
【0042】
即ち、オゾンや粉塵が感光ドラム201や一次帯電器202に付着することにより生じる帯電ムラ等の帯電画像不良、トナーが過昇温して流動性が悪化することにより生じる現像画像不良、及びトナー搬送経路詰まり等の動作不良及びオゾンや粉塵が転写前帯電器219に付着することにより生じる転写画像不良等を防止できる。
【0043】
よって、高画質、高安定、高寿命に優れた画像形成装置101を提供することができる。また、画像形成装置101の外部へのオゾン、粉塵の排出量を削減した環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0044】
定着前搬送ベルト217a,bの内周部には、定着前搬送ベルト217a,bに設けられた不図示の吸引口を介して、シートSを定着前搬送ベルト217a,bの外周面に吸着するための定着前搬送吸着ファン413が設けられている。定着前搬送吸着ファン413は、各定着搬送ベルト217a,bに対して前後2個ずつ、合計4つ備えられている。このように、定着前搬送吸着ファン413によって、画像形成部102の定着前搬送エアフロー402が構成されている。
【0045】
定着前搬送吸着ファン413は、不図示の制御回路により、搬送されるシートSの材質や形状に応じて最適な風量に調整される。この構成によれば、シートS上の未定着トナー画像を乱すことなく、多様なマテリアルに対して安定した搬送を行うことができる。よって、高画質、高安定及び高機能に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0046】
なお、定着前搬送吸着ファン413は、隣接する定着ユニット301で放出される熱、VOC、粉塵及びUFPを吸引する可能性がある。そこで、定着前搬送エアフロー402は、後述する定着下部排気フィルタ422でVOC、粉塵及びUFPの捕集を行い、清浄化した空気を装置101の外部に排気する。この構成により、装置101の外部へのVOC、粉塵及びUFPの排出量を削減した環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0047】
画像形成部102の電源エアフロー403は、DC電源基板8、9、10が放出した熱を画像形成装置101の外部に排出する電源排気ファン11を備える。電源排気ファン11による排気に伴い、電源吸気口5から冷却のための外気が供給され、電源基板424を効率よく冷却することができる。この構成により、DC電源基板8、9、10が過昇温して出力が低下することに伴う画像形成装置101の動作不良や故障を防止することができる。よって、高生産、高安定、高寿命に優れた画像形成装置101を提供することができる。電源エアフロー403を構成するDC電源ユニット1の詳細な構成については、後述する。
【0048】
定着搬送部103の定着エアフロー404は、定着排熱ファン417a~c、定着加圧吸気ファン418、定着加圧排気ファン419、湿気排気ファン420を備える。
【0049】
定着排熱ファン417は、主に、定着ユニット301の加熱側となる上部から放出される熱を装置101の外部に排出する。定着ユニット301を構成する部品、もしくはトナーに含まれる離型剤(ワックス)が加熱されると、熱と共にVOC、粉塵及びUFP等が放出される可能性がある。よって、定着排熱ファン417によって発生する気流の下流側には、VOC、粉塵、UFPを捕集するための定着上部排気フィルタ421が配設される。
【0050】
定着加圧吸気ファン418は、定着ユニット301の加圧側となる下部に対して、冷却のための外気を供給する。定着加圧排気ファン419は、定着ユニット301の加圧側となる下部から放出される熱を画像形成装置101の外部に排出する。湿気排気ファン420は、定着ユニット301で加熱されたシートSから放出される水蒸気を装置101の外部に排出する。
【0051】
定着加圧排気ファン419、及び湿気排気ファン420、及び前述した定着前搬送吸着ファン413によって発生する気流の下流側には、熱や水蒸気と共に放出されるVOC、粉塵、UFPを捕集するための定着下部排気フィルタ422が配設される。本実施形態において、定着加圧排気ファン419、湿気排気ファン420は定着排気ファンの一例であり、定着ユニット近傍の空気を画像形成装置101の定着搬送部103の外部へと排気するファンである。
【0052】
以上説明した定着エアフロー404の構成によれば、加熱工程で放出される熱、湿気、VOC、粉塵及びUFPを、画像形成装置101の内部に滞留させることなく効率よく排出することができる。即ち、熱が画像形成装置101に滞留してトナーや各ユニットの部品等が過昇温することによる画像不良、及び動作不良を防止できる。
【0053】
また、定着ユニット301の加圧側が過昇温することで、定着工程でトナーに与える熱量が過剰になることによる定着画像不良、及び定着分離不良等のシートの搬送不良を防止できる。また、水蒸気が付着することによる搬送ガイドの結露や、結露した水滴が搬送中のシートSに付着することによる搬送不良、及び画像不良を防止できる。更には、加熱により気化した離型剤(ワックス)が再び固化して部品等に付着することによる動作不良、シート搬送不良を防止できる。よって、高画質、高安定及び高寿命に優れた画像形成装置101を提供することができる。また、画像形成装置101の外部へのVOC、粉塵及びUFPの排出量を削減した環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0054】
定着搬送部103の冷却ユニットエアフロー405は、冷却ユニット302の内部に配設されるヒートシンク303が放出した熱を装置101の外部に排出するための冷却ユニット排気ファン423を備える。冷却ユニット302のヒートシンク303は、搬送ベルト302aを介して定着後のシートSから熱を吸収し、吸収した熱を放出する熱交換器である。この構成によれば、定着ユニット301で加熱されたシートSを効率よく冷却することができ、下流の搬送パスにおけるシートSからの放熱量を低減することができる。
【0055】
即ち、両面画像形成時のシートSからの放熱で画像形成部102のトナーが過昇温することによる画像不良、及び動作不良を防止できる。また、後処理装置で成果物を大量積載した際のシートS間のトナー画像の貼りつきを防止できる。よって、高画質及び高安定に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0056】
定着搬送部103のDC電源エアフロー406は、DC電源ユニット500内の電源基板424が放出した熱を外部に排出する電源排気ファン425、426を備える。電源排気ファン425、426による排気に伴い、電源吸気口427から冷却のための空気が供給され、電源基板424を効率よく冷却することができる。この構成により、電源基板424が過昇温して出力が低下することに伴う動作不良や故障を防止することができる。よって、高生産及び高安定に優れた画像形成装置101を提供することができる。電源エアフロー406を形成する詳細な構成については、後述する。
【0057】
定着搬送部103の電装エアフロー407は、AC系電源ユニット428及び搬送制御基板429が放出した熱を外部に排出する電装排気ファン430を備える。電装排気ファン430による排気に伴い、定着搬送部103の背面側の外装カバーに設けられた電装吸気口431から冷却のための空気が供給され、AC系電源ユニット428及び搬送制御基板429を効率よく冷却することができる。
【0058】
ここで、AC系電源ユニット428及び搬送制御基板429は、DC電源ユニット500よりも発熱量が少ないため、エアフローを形成するファンの数も少ない。この構成において、電装排気ファン430を搬送制御基板429よりも鉛直方向において上方に設けているため、搬送制御基板429の周囲に熱が留まることなく、AC系電源ユニット428や搬送制御基板429から発せられた熱を空気と共に排出することができる。
【0059】
尚、本実施形態における電装吸気口431の位置及び設計個数は、特に限定するものではないが、吸気位置と排気位置を定着搬送部103の背面側において鉛直方向下部から上部へと対角に配置することで、最小限のファンでAC系電源ユニット428及び搬送制御基板429に限らず様々要素から発生する熱を効率よく排気できる。
【0060】
この構成により、AC系電源ユニット428及び搬送制御基板429が過昇温して出力が低下することに伴う動作不良や故障を防止することができる。よって、高生産及び高安定に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0061】
(画像形成装置:エアフロー収支)
図5は、本実施例の画像形成装置101おける吸気、及び排気ファンの風量を示したブロック図であり、(a)は画像形成部102の各ファンの風量を示し、(b)は定着搬送部103の各ファンの風量を示している。図5に示す数値は、一例として、厚紙に画像形成を行う際の各ファンの風量を示している。
【0062】
図5(a)の破線は、画像形成装置101の画像形成部102の内部に作用する吸気ファンの風量合計Q1、及び排気ファンの風量合計Q2の合計範囲を示す。ここで、電源エアフロー403は、画像形成部102及び定着搬送部103の内部と連通しない独立した風路で構成されており、外気に対して直接吸排気を行う構成としている。従って、電源エアフロー403は、画像形成部102の内部のエアフローに作用しないため、合計値から除外している。ここで、吸気ファンとは、画像形成装置101の外部の空気を装置内部へ取り入れるためのファンであり、画像形成部102に設けられるファンのうち、一次帯電器吸気ファン408と、3つの現像器吸気ファン409C,M,Yが該当する。また、排気ファンとは、画像形成装置101の内部の空気を装置外部へ排出するためのファンであり、画像形成部102に設けられるファンのうち、作像排気ファン410と4つの定着前搬送吸着ファン413が該当する。
【0063】
本実施形態では、以下のように画像形成装置101における画像形成部102の吸気ファンの風量合計Q1よりも排気ファンの風量合計Q2の方が大きくなるように構成される。
Q1:0.60m/min<Q2:2.13m/min
【0064】
この構成によれば、外気よりも画像形成部102の内部を相対的に負圧に保つことができる。よって、画像形成部102の内部のオゾンや粉塵が、外装カバーの合わせ目等の微小な隙間から画像形成装置101の外部に漏出することを防ぐことができる。即ち、画像形成部102のエアフロー排気口に設けた作像排気フィルタ412において、画像形成装置101内でオゾン及び粉塵の捕集が確実に行われ、環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0065】
図5(b)の破線は、画像形成装置101の定着搬送部103の内部に作用する吸気ファンの風量合計Q3、及び排気ファンの風量合計Q4の合計範囲を示す。ここで、吸気ファンとは、画像形成装置101の外部の空気を装置内部へ取り入れるためのファンであり、定着搬送部103に設けられるファンのうち、定着加圧吸気ファン418が該当する。また、排気ファンとは、画像形成装置101の内部の空気を装置外部へ排出するためのファンであり、定着搬送部103に設けられるファンのうち、3つの定着排熱ファン417、定着加圧排気ファン419、湿気排気ファン420、冷却ユニット排気ファン423、電源排気ファン425、426及び電装排気ファン430が該当する。
【0066】
本実施形態では、吸気ファンの風量合計Q3よりも排気ファンの風量合計Q4の方が大きくなるように構成される。
Q3:1.74m/min<Q4:9.77m/min
【0067】
この構成によれば、外気よりも定着搬送部103の内部を相対的に負圧に保つことができる。よって、定着搬送部103の内部のVOC、粉塵及びUFPが、外装カバーの合わせ目等の微小な隙間から、画像形成装置101の外部に漏出することを防ぐことができる。即ち、定着搬送部103のエアフロー排気口に設けた定着上部排気フィルタ421、及び定着下部排気フィルタ422において、画像形成装置101内のVOC、粉塵及びUFPの捕集が確実に行われ、環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0068】
更に、本実施形態では、画像形成部102における排気ファンの風量合計Q2と吸気ファンの風量合計Q1との差分風量よりも、定着搬送部103における排気ファンの風量合計Q4と吸気ファンの風量合計Q3との差分風量の方が大きくなるように構成される。
(Q2-Q1):1.53m/min<(Q4-Q3):8.03m/min
【0069】
この構成によれば、画像形成部102の内部よりも定着搬送部103の内部を相対的により負圧に保つことができる。よって、定着搬送部103の内部で放出された熱、VOC、粉塵、UFP及び水蒸気が、画像形成部102と定着搬送部103との連通部から画像形成部102の内部に流入することを防ぐことができる。即ち、定着ユニット301の近傍で発生しやすい熱、VOC、粉塵、UFP及び水蒸気が、定着搬送部103に隣接配置された画像形成部102の筐体内部に流入することを防ぐことができる。
【0070】
よって、画像形成部102へ定着ユニット301の熱が流入してトナーの流動性を悪化させることによる画像不良や動作不良や、VOC、粉塵またはUFPが流入して部品に付着することによる画像不良、搬送不良及び動作不良、及び、水蒸気が流入して部品に結露することによる画像不良や搬送不良等を防止することができる。
【0071】
以上のことから、定着搬送部103の内部で放出された熱は、画像形成部102の内部に滞留することなく定着搬送部103のエアフロー排気口から効率よく排出され、VOC、粉塵及びUFPは、排気口に設けた定着上部排気フィルタ421、及び定着下部排気フィルタ422において確実に捕集されるため、高画質、高安定及び高寿命に優れ、且つ環境配慮に優れた画像形成装置101を提供することができる。
【0072】
(定着搬送部:電源エアフロー406)
次に、本実施形態の電源エアフロー406を形成する各構成について、図6を用いて説明をする。電源エアフロー406は、上述したように電源基板424が放出した熱を外部へ放出するためのエアフローであり、電源基板424を内部に有するDC電源ユニット500を通過するエアフローである。
【0073】
図6は、DC電源ユニット500近傍における定着搬送部103の概略断面図である。定着搬送部103は、定着ユニット301や冷却ユニット302や排紙搬送パス304等を支持する支持枠体316と、支持枠体316を覆い定着搬送部103の外観面を構成する外装カバー315とを有している。ここで、画像形成装置101(定着搬送部103)において、矢印X方向はシート搬送方向、矢印Z方向は鉛直方向、矢印Y方向は前後方向を示している。本実施形態において、前後方向は、シート搬送方向と鉛直方向とに直交する方向の一例である。
【0074】
外装カバー315は、画像形成装置101の定着搬送部103の前後方向(矢印Y方向)において前側(正面側)に位置するフロントカバー315aと、前後方向において背面側に位置するリアカバー315bとを有している。フロントカバー315aは、他の外装カバーや支持枠体316に対して開閉可能となっており、フロントカバー315aを開状態とすることで、定着ユニット301や冷却ユニット302等の内部の搬送ユニットにアクセス可能となっている。ユーザやサービスマンは、シートの搬送異常が発生した場合やメンテナンス時等に、フロントカバー315aを開放して定着搬送部103の正面側から各ユニットへアクセスできる構成となっている。尚、メンテナンスの際は、フロントカバー315aを開放することで、支持枠体316に対して定着ユニット301や冷却ユニット302をユニットごとに着脱することが可能となる。
【0075】
支持枠体316は、キャスタ等の設置部が取り付けられる底板316aと、画像形成装置101の定着搬送部103の前後方向(矢印Y方向)において前側(正面側)に位置する支持部316bと、前後方向において後側(背面側)に位置する後側板316cを有している。これらの、底板316a、支持部316b、後側板316cは、それぞれが金属板材を用いて構成され、互いにビスや溶接等によって連結している。外装カバー315は、底面を除く支持枠体316を覆っている。本実施形態では、前後方向における画像形成装置101の定着搬送部103の中心よりも前側(正面側)を定着搬送部103の一端側とし、定着搬送部の中心よりも後側(背面側)を定着搬送部103の他端側としている。従って、支持枠体316の後側板316cは、必ずしも底板316aの端に連結されていなくてもよい。
【0076】
DC電源ユニット500は、鉛直方向において下端部に吸気口501を設け、鉛直方向において上端部に排気口502が設けられた箱型の形状を有しており、その内部に電源基板424等の複数の電気基板を保持している。
【0077】
鉛直方向においてDC電源ユニット500の下部には、吸気ダクト323が接続されている。この吸気ダクト323は、前後方向(矢印Y方向)に延びる導入ダクト327に連結している。導入ダクト327は、前後方向において定着搬送部103の中央部よりも前側に吸気口を有するダクトであり、底板316aに固定されている。
【0078】
また、鉛直方向においてDC電源ユニット500の上部には、DC電源ユニット500内の空気を排気するエアフローを形成する2つの電源排気ファン425,426と、電源排気ファン425,426によって形成されるエアフローを定着搬送部103の外部へと導く排気ダクト324、が設けられている。電源排気ファン425,426は、排気ダクト324内に配置され、導入ダクト327の開口を介して吸気した空気を、吸気ダクト323、DC電源ユニット500、排気ダクト324を通過させる電源エアフロー406を形成する。そして、電源排気ファン425,426は、DC電源ユニット500内の空気をリアカバー315bに形成される不図示の開口を介して、画像形成装置101の定着搬送部103の外部へと排気する。
【0079】
これにより、DC電源ユニット500内に設けられる電源基板424等の複数の基板が放出した熱を画像形成装置101の定着搬送部103の外部へと排出し、基板の昇温を抑制することができる。
【0080】
導入ダクト327の吸気口は、前後方向において枠体316の後側板316cよりも前側であって、支持部316aよりも後ろ側に位置している。これにより、導入ダクト327は、フロントカバー315aもしくは左側面の前方側に設けられた図示しない吸気口や、外装を構成する部品の隙間等、定着搬送部103の前面に近い位置から外気を取り込む構成となっている。ここで、図6に示す矢印AF3は、電源エアフロー406の例であり、電源排気ファン425,426によって生じるエアフローを示している。エアフローAF3に示すように、導入ダクト327は、吸気口から吸気した空気をDC電源ユニット500の内部へ送出するためのフウロを形成するダクトユニットの一例である。
【0081】
以上の構成により、比較的発熱量が大きい電気基板を備えたDC電源ユニット500に対して、吸気位置と排気位置を定着搬送部103の前後方向において最大限遠ざけ、DC電源ユニット500から排気された空気が、DC電源ユニット500の吸気口から直接吸気されることを抑制している。これにより、DC電源ユニット500の自らの排熱の影響が極力少ない常温でフレッシュな外気を取り込むことができ、高効率な冷却効果が得られる。
【0082】
また、DC電源ユニット500の鉛直方向下面に吸気口501を設け、上面に排気口502を設けることで、電源排気ファン425,426を一時的に停止させたとしても、自然対流で起きる空気の流れによりエアフローが形成される。これにより、DC電源ユニット500内部に熱気が留まりにくい構成となっている。
【0083】
(定着搬送部:定着エアフロー404)
次に、図7及び図8図9図10を用いて、定着ユニット301と画像形成部102の左側面側に設けられた一次転写高圧基板220周辺の冷却及び排熱に関するエアフローについて説明する。図7は、定着ユニット301の近傍を示す概略断面図である。図8は、定着ユニット301の上部エアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を左側から視た図である。図9は、定着ユニット301の上部エアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を右側から視た図である。
【0084】
本実施形態では、定着搬送部103の後側板316cの定着ユニット301近傍に排熱口348が設けてある。その後側板316cとリアカバー315bの図示しない排熱口とを連結した排熱ダクト335を備え、その排熱ダクト335内に3つの排熱ファン417a~cが配置されている。
【0085】
また、定着ユニット301の鉛直方向上方には、前後方向において定着搬送部103の後側板316cと支持部316bとの間設けられ、正面から見るとL字形をした天板334が設けられており、排熱ファン417a~cによる空気の流れをL字形の内側と外側(上下方向及び左右方向)の2層に分断している。
【0086】
その目的は、図7及び図8に示すようにフロントカバー315aを含めた前面の外装の図示しない吸気口や、それらの外装部材の隙間から外気を取り入れ、定着器301の上面と天板334、分離ダクト333でおおよそ囲まれるスペースを通り、背面から機外に排気する定着器301の直上のエアフロー(図8の矢印AF1)と、図7に示すように主に画像形成部102と定着搬送部103との接続部の隙間や、それぞれの機内の空気を、定着ユニット301及び天板334と画像形成部102の左側面で囲まれるスペースと通り、鉛直方向において天板334の上面まで持ち上げ、そこから天板334と定着上部ダクト335に囲われる空間を通り背面から機外に排気するエアフロー(図9の矢印AF2)を設定するためである。
【0087】
ここで、エアフローAF1は、定着ユニット301から発生する熱の排熱が主な役割であるのに対して、エアフローAF2は主に以下の3つの役割がある。1つ目の役割は、図7に示す定着ユニット301内の加圧ローラ339の冷却風の一部(破線矢印)の排出である(以下、エアフローAF2-1と記載)。2つ目の役割は、画像形成部102の左側に設けられた一次転写高圧基板220から発せられる熱の排熱である(以下、エアフローAF2-2と記載)。具体的には、図7に示すようにエアフローAF2-2は、主に画像形成部102の機内の空気を流入口222から一次転写高圧基板220を保護する左カバー221内を通し、左カバー221の上部設けた流出口223からエアフローAF2-1と合流させるエアフローである。これにより一次転写高圧基板220の周囲に熱がこもらないようにする。3つ目の役割は、図7図9に示したエアフローによって、画像形成時を含め定着ユニット301等から発生している熱を遮断するいわゆるエアーカーテンを形成することで、定着搬送部103内の発熱から画像形成部102内の現像器204、トナー容器205、転写ベルトクリーナ216等といったトナーを保有するものや、露光装置203等の熱の影響が性能に影響を受けやするものを保護するものである。
【0088】
本実施形態においては、3つの排熱ファン417a~cを横一列に並べ、天板334により大きく分けてエアフローAF1とAF2の2つの流れを形成したが、特にファンの個数及び配置は特に限定するものではなく、同様の空気の流れを形成することができる構成であれば同様の効果が得られる。
【0089】
次に、図10図12を用いて、定着ユニット301内の加圧ローラ339を冷却するためのエアフローについて説明する。図10は、定着ユニット301の加圧ローラエアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を右側から視た図である。図11は、定着ユニット301の近傍を示す概略断面図である。図8は、定着ユニット301の加圧ローラエアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を左側から視た図である。図12は、定着ユニット301の加圧ローラエアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を右側から視た図である。
【0090】
定着搬送部9103の後側板316cの背面側に配置されたUターンダクト322には、ローラ冷却ファン314を備えている。そのローラ冷却ファン314を回転させることで、加圧ローラ339を冷却するための空気が定着ユニット301の下部に配置されている冷却吸気ダクト340を通り、定着器301の底面に単数もしくは複数設けられた冷却風吸気口344から定着ユニット301内に送られる。その空気を冷却風として加圧ローラ339に吹き付けることにより、加圧ローラ339を必要に応じて冷却する。
【0091】
また、そのローラ冷却ファン314までの吸気経路は、定着搬送部103の枠体内に設けられ、後側板316cを返してUターンダクト322に接続された冷却吸気ダクト347から吸気する。そうすることでフロントカバー315aを含めた前面の外装の図示しない吸気口や、それらの外装部材の隙間から自身の排熱の影響が極めて少ない外気を取り入れる。図10に、定着加圧吸気ファン418のエアフローAF5を示す。
【0092】
続いて排気経路については、加圧ローラ339に吹き付けられることで温度が上昇した空気を図11に示すように主に3つの経路に分散させる。1つ目の経路は、加熱ローラ338と加圧ローラ339で形成される定着ニップ部より搬送方向に対して上流側に漏れた空気である。これに関しては、先に説明した定着上部エアフローAF2-1として機外に排出される。
【0093】
2つ目に排気経路は、図13に示すように定着ユニット301の底面に単数もしくは複数設けられた冷却風排気口345から定着ユニット301の下部に設けられた冷却排気内ダクト341を通り、定着搬送部103の後側板316cの背面側に配置された冷却排気外ダクト343から定着搬送部103の背面に形成される排気口を介して機外に排気されるエアフローAF6-1である。また、本実施形態においては、極力このエアフローAF6-1による排熱を達成するために、冷却排気外ダクト343内には定着加圧排気ファン419を備えており、この経路での排気量を高い割合で確保している。
【0094】
3つ目の経路は、エアフローAF6-1から漏れた空気の一部で、加熱ローラ338と加圧ローラ339で形成される定着ニップ部より搬送方向に対して下流側且つ上方に漏れたエアフローAF6-2である。エアフローAF6-2は、図12に示すように後側板316cに設けられた湿気排気口346からその湿気排気ダクト345を通り定着搬送部103の背面から機外に排気される。また、このエアフローAF6-2は、定着ニップを通過したシートSから発生する水蒸気が混じり湿度が高いことが特徴である。そのため、このあたりに空気の流れが滞るようだと、特に電源を入れて直ぐの画像形成の時等に搬送系のガイド部材等に水滴を付着させ、最悪の場合にはその水滴が画像形成を終了したシートSの画像表面を濡らし、濃度ムラのような画像不良の発生原因となる。それ故、定常的で、且つ、確実に排気が必要であるため、本実施形態では湿気排気ダクト345には湿気排気ファン420を備えている。
【0095】
本実施形態では、定着加圧吸気ファン418は、定着ユニット301のメンテナンスやジャム処理等で前に構成を採用していることと、定着ユニット301より下側に配置されている両面搬送パス307のジャム処理のために正面側ンおスペースを確保するために定着搬送部103の背面側に配置していた。しかしながら、それらの制約がない場合等に定着加圧吸気ファン418を前面側に配置しても加圧ローラ339の冷却という点では同様の効果が得られるため、特に制限するものではない。
【0096】
(定着搬送部:冷却エアフロー405)
次に、図13を用いて冷却ユニット302の冷却エアフロー405について説明をする。図13は、冷却ユニット302の上部エアフローを説明する概略断面図であり、定着搬送部103を右側から視た図である。本実施形態では、冷却エアフロー405を、図13に矢印AF7として示す。
【0097】
冷却ユニット排気ファン423は、定着搬送部103の後側板316cの背面側に配置された冷却装置排気ダクト347内に設けられ、図13に示すように冷却ユニット302の搬送ベルトの内周面に設けられたヒートシンク303に対して、定着搬送部103の前面より外気を取り込み、定着搬送部103の背面に排出する。ここで冷却ユニット排気ファン423は、冷却ユニット302に固定されていても同様の効果がられるため、特に制限するものはない。
【0098】
このように、画像形成部102と比べて発熱量が大きいユニットが多い定着搬送部103に関係して、以上述べてきたようなエアフローの基本構成とすることで、外気を定着搬送部103の前面、もしくは、その近傍から取り込み、全て背面より排出することで、自身の排熱の影響を極力回避できる。また、同様の形態もしくは同じ画像形成装置を背中合わせで配置されたり、本システムの背面に発熱源となる装置等を配置されたりするような設置環境にも左右されず、好適な状態を維持することができる。また、エアフローにおける排気口をプリンタ前面配置してしまうことで、ユーザやサービスマンに不快な思いをさせることを防ぐことができる。
【0099】
以上のように、本実施形態では、画像形成装置101のうち、背面側に排気口が複数設けられる定着搬送部103において、発熱量が多いユニットに関するエアフローの吸気を定着搬送部103の正面側から行い、その排気を定着搬送部103の背面側から行うことで、各ユニットの冷却効率を高めることができる。
【0100】
また、本実施形態の電装ユニット500のエアフローAF3は、他のエアフローにおける排気口から排気された空気を直接吸気することが抑制されているため、電装ユニット500内の基板を効率よく冷却することができる。この構成により、電源基板424が過昇温して出力が低下することに伴う動作不良や故障を防止することができる。よって、高生産及び高安定に優れた画像形成装置101を提供することができる。
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