(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20241105BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241105BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241105BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/57
(21)【出願番号】P 2021003256
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2020173935
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-041418(JP,A)
【文献】特開2020-166179(JP,A)
【文献】特開2019-174790(JP,A)
【文献】特開平08-292461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0139225(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02-7/08
G03B 30/00
H04N 23/57
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束が入射する光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構と、
前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、
を備え、
前記支持機構は、一端で前記固定体と接続するとともに他端で前記可動体と接続するアームを有し、
前記アームは、前記一端において第1軸線を揺動軸として前記固定体に対して揺動可能に支持されるとともに、前記他端において前記第1軸線と交差する第2軸線を揺動軸として前記可動体を揺動可能に支持
し、
前記アームは、前記一端及び前記他端に前記揺動軸を形成する揺動軸形成部を有し、
前記固定体の前記一端を支持する第1支持領域及び前記可動体の前記他端を支持する第2支持領域には、前記固定体及び前記可動体に対して着脱可能な、前記揺動軸形成部を受ける軸受けが設けられることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部と前記軸受けとは、前記揺動軸の方向に突出する凸部と前記凸部を受ける凹部とが嵌合する構成になっており、
前記軸受けは、前記第1支持領域または前記第2支持領域に装着されることで前記凸部と前記凹部とが当接する方向に前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方を押圧する弾性部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項
2に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部と前記軸受けとは、前記揺動軸の方向に沿って反対方向に突出する2つの前記凸部と2つの前記凸部を挟み込んで受ける2つの
前記凹部とを有する構成になっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項
2または
3に記載の光学ユニットにおいて、
前記弾性部は、板バネであり、前記第1支持領域または前記第2支持領域に装着されることに伴う力点の位置は前記揺動軸と揃う位置であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項
2から
4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部と前記凹部とは、凸球面と凹球面とで当接することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記駆動機構はコイルと磁石とを有し、
前記アーム及び前記軸受けは、非磁性体で形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項
1から
6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記光軸方向から見て4つの角部を有する矩形状の領域を有し、
前記可動体は、前記光軸方向から見て前記固定体の4つの角部と揃う位置に角部を有する矩形状の領域を有し、
前記第1支持領域は、前記固定体の角部に設けられ、
前記第2支持領域は、前記第1支持領域が設けられる角部とは異なる位置の、前記可動体の角部に設けられることを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記光軸方向から見て直線状の一辺を有し。
前記アームは、前記一端と前記他端との間に直線部を有し、
前記アームの前記直線部は、前記可動体の前記一辺に沿っていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記アーム及び前記揺動軸は、前記光軸方向における被写体側に、前記可動体における前記光学モジュールを保持するホルダからはみ出さない配置で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項10】
請求項
1から
9のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部は、金属で構成される部分を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項11】
請求項
10に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部は、前記アームに金属製の球面状の凹部が形成されるとともに、前記
球面状の凹部に金属製の球体が溶接されて構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項12】
請求項
10に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部は、前記アームを前記第1軸線方向に貫通する金属製の棒状部材及び前記アームを前記第2軸線方向に貫通する金属製の棒状部材で構成されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項13】
請求項
10に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動軸形成部は、前記アームと共に金属で一体的に形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して複数の方向に揺動可能に支持する支持機構と、を備える様々な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して複数の方向に揺動可能に支持するジンバル機構と、を備えた光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/221038A1
【文献】特表2016-541011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学ユニットは、ジンバル機構により可動体を固定体に対して複数方向に揺動可能に支持することが可能である。ただし、ジンバル機構を採用すると部品点数が多くなるので、部品点数の少ない、簡単な構成の支持機構を採用することが好ましい。また、ジンバル機構を採用すると、ジンバル機構の構成部材であるジンバルフレームを光軸方向において可動体とオーバーラップする位置に設ける必要があるので、光軸方向における厚さが大きくなり、装置が大型化する傾向にある。なお、特許文献2に記載されるように、光学ユニット以外の分野においては複数の揺動軸を有する簡単な構成の機構があるが、光学ユニットは小さく可動体を固定体に対して揺動させるという特徴を有するので、単純に他分野の機構の構成を採用することは困難である。そこで、本発明は、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する支持機構の構成を簡単にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光束が入射する光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記可動体を前記固定体に対して前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構と、前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、を備え、前記支持機構は、一端で前記固定体と接続するとともに他端で前記可動体と接続するアームを有し、前記アームは、前記一端において第1軸線を揺動軸として前記固定体に対して揺動可能に支持されるとともに、前記他端において前記第1軸線と交差する第2軸線を揺動軸として前記可動体を揺動可能に支持することを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、支持機構は一端で固定体と接続するとともに他端で可動体と接続するアームを有し、アームは一端において第1軸線を揺動軸として固定体に対して揺動可能に支持されるとともに他端において第2軸線を揺動軸として可動体を揺動可能に支持する。すなわち、固定体と可動体との各々に対して揺動可能に接続されるアームという簡単な構成で、可動体を固定体に対して揺動可能に支持することができる。したがって、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する支持機構の構成を簡単にすることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記アームは、前記一端及び前記他端に前記揺動軸を形成する揺動軸形成部を有し、前記固定体の前記一端を支持する第1支持領域及び前記可動体の前記他端を支持する第2支持領域には、前記固定体及び前記可動体に対して着脱可能な、前記揺動軸形成部を受ける軸受けが設けられる構成とすることができる。このような構成とすることで、アームの一端と他端に設けられる揺動軸形成部と、固定体及び可動体に対して着脱可能な軸受けとで、簡単に揺動軸を形成することができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部と前記軸受けとは、前記揺動軸の方向に突出する凸部と前記凸部を受ける凹部とが嵌合する構成になっており、前記軸受けは、前記第1支持領域または前記第2支持領域に装着されることで前記凸部と前記凹部とが当接する方向に前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方を押圧する弾性部を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、凸部と凹部とで点接触する摺動性の良い揺動軸を形成することができるとともに、第1支持領域または第2支持領域に装着されることで予圧を付与する(凸部と凹部とを押し付ける)ことが可能な予圧付与機構を簡単に形成することができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部と前記軸受けとを、前記揺動軸の方向に沿って反対方向に突出する2つの前記凸部と2つの前記凸部を挟み込んで受ける2つの凹部とを有する構成とすることができる。このような構成とすることで、凸部と凹部とが外れる虞を低減することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記弾性部は、板バネであり、前記第1支持領域または前記第2支持領域に装着されることに伴う力点の位置は前記揺動軸と揃う位置である構成とすることができる。このような構成とすることで、予圧を付与する方向が揺動軸方向とずれることを抑制することができ、適切に予圧を付与することができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記凸部と前記凹部とは、凸球面と凹球面とで当接する構成とすることができる。このような構成とすることで、凸部と凹部との摺動性を特に向上することができる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記駆動機構はコイルと磁石とを有し、前記アーム及び前記軸受けは、非磁性体で形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、駆動機構の磁石の磁力によりアーム及び軸受けに想定外の力がかかることを抑制することができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記光軸方向から見て4つの角部を有する矩形状の領域を有し、前記可動体は、前記光軸方向から見て前記固定体の4つの角部と揃う位置に角部を有する矩形状の領域を有し、前記第1支持領域は、前記固定体の角部に設けられ、前記第2支持領域は、前記第1支持領域が設けられる角部とは異なる位置の、前記可動体の角部に設けられる構成とすることができる。このような構成とすることで、アームを効率的に配置でき、光学ユニットが大型化することを抑制することができる。
【0014】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記光軸方向から見て直線状の一辺を有し。前記アームは、前記一端と前記他端との間に直線部を有し、前記アームの前記直線部は、前記可動体の前記一辺に沿っている構成とすることができる。このような構成とすることで、アームを効率的に配置でき、光学ユニットが大型化することを抑制することができる。
【0015】
本発明の光学ユニットにおいては、前記アーム及び前記揺動軸は、前記光軸方向における被写体側に、前記可動体における前記光学モジュールを保持するホルダからはみ出さない配置で構成されていることとすることができる。このような構成とすることで、アームを効率的に配置でき、光学ユニットが大型化することを抑制することができる。
【0016】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部は、金属で構成される部分を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、例えば、光学ユニットが落下した際の衝撃などで、支持機構が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構と固定体が外れることまたは支持機構と可動体が外れることを抑制することができる。
【0017】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部は、前記アームに金属製の球面状の凹部が形成されるとともに、前記凹部に金属製の球体が溶接されて構成されていることとすることができる。このような構成とすることで、例えば、可動体が軽い場合などにおいて、簡単な構成かつ低コストで、光学ユニットが落下した際の衝撃などで、支持機構が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構と固定体が外れることまたは支持機構と可動体が外れることを抑制することができる。
【0018】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部は、前記アームを前記第1軸線方向に貫通する金属製の棒状部材及び前記アームを前記第2軸線方向に貫通する金属製の棒状部材で構成されることとすることができる。このような構成とすることで、例えば、可動体が重い場合などにおいても、低コストで、光学ユニットが落下した際の衝撃などで、支持機構が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構と固定体が外れることまたは支持機構と可動体が外れることを抑制することができる。
【0019】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動軸形成部は、前記アームと共に金属で一体的に形成されていることとすることができる。このような構成とすることで、例えば、可動体が重い場合などにおいても、簡単な構成で、光学ユニットが落下した際の衝撃などで、支持機構が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構と固定体が外れることまたは支持機構と可動体が外れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持する支持機構の構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの平面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図3とは異なる角度から見た本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る光学ユニットの上面カバーを取り外して内部構成を表す平面図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る光学ユニットの支持機構を表す斜視図であり、アームから軸受けを離脱させた状態を表す図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る光学ユニットの支持機構を表す斜視図であり、アームに軸受けを装着させた状態を表す図である。
【
図8】本発明の実施例1に係る光学ユニットの支持機構の周辺部分を表す概略断面図であり、軸受けを装着部に装着させる直前の状態を表す図である。
【
図9】本発明の実施例1に係る光学ユニットの支持機構の周辺部分を表す概略断面図であり、軸受けを装着部に装着させた状態を表す図である。
【
図10】本発明の実施例2に係る光学ユニットの上面カバーを取り外して内部構成を表す平面図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る光学ユニットの支持機構を表す斜視図である。
【
図12】本発明の実施例4に係る光学ユニットの支持機構を表す斜視図である。
【
図13】本発明の実施例5に係る光学ユニットの支持機構のアームを表す斜視図である。
【
図14】本発明の実施例6に係る光学ユニットの支持機構のアームを表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施例1](
図1から
図9)
以下、本発明の実施例1に係る光学ユニット10について
図1から
図9を用いて説明する。なお、
図2において符号Lが付された一点鎖線は光軸を示し、
図1及び
図5において符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。そして、R方向は光軸周り方向である。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0023】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から
図5を用いて、本実施例に係る光学ユニット10の構成についての概略を説明する。光学ユニット10は、レンズ12aなどの光学モジュール12及び撮像素子50を備える可動体14と、Y軸方向を回転軸(揺動軸)とする方向(ピッチング方向)及びX軸方向を回転軸(揺動軸)とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で保持する固定体16と、を備えている。また、可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転(揺動)可能に支持する支持機構20とを備えている。
【0024】
また、本実施例の光学ユニット10は、
図3及び
図4で表されるように、可動ユニット100と、可動ユニット100を収容するケース200と、を備えている。ここで、
図3及び
図4で表されるように、光学モジュール12、撮像素子50、撮像素子50に接続されるフレキシブル配線基板51、などにより、可動ユニット100を構成している。可動ユニット100は可動体14の一部を構成する。そして、可動体14を揺動可能に収容する収容部である固定枠28、フレキシブル配線基板51を固定する固定部70を有するホルダ22、などにより、可動ユニット100を収容するケース200を構成している。なお、ホルダ22は、ケース200の一部を構成するが、光学モジュール12とともに固定枠28に対して揺動するので、可動体14の一部を構成するとみなすことができる。
【0025】
<光学モジュールについて>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学モジュール12は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0026】
なお、本実施例において、光学モジュール12は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、さらにローリング方向の振れ(Z軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正が可能な構成としてもよい。なお、撮像素子50も光学モジュール12の一部を構成するとみなすことができる。
【0027】
<可動体について>
図1から
図4において、可動体14は、光学モジュール12と、ホルダ22と、磁石24A及び24Bとを備えている。ホルダ22は、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ22は、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ただし、光学モジュール12とホルダ22とが一体的に構成されていてもよい。ホルダ22において固定体16と対向する2面を利用して、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A及び24Bがこれらの外面に取り付けられている。
【0028】
<固定体について>
図1から
図4において、固定体16は、上面カバー13、固定枠28を有し、固定枠28の取り付け部27A及び27Bにコイル32A及び32Bを備えている。本実施例において、コイル32A及びコイル32Bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0029】
<駆動機構について>
本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対は、駆動機構18を構成している。駆動機構18により、可動体14のピッチング及びヨーイングの補正が行われる。
【0030】
また、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の磁気センサー(ホール素子)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット10の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A及び32Bに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0031】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、ピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向を回転軸として、回転させる駆動機構18を備えている。ここで、駆動機構18は、可動体14に対してX軸方向のうちのフレキシブル配線基板51が配置されている側(+X方向側)以外の位置に配置されていることが好ましい。駆動機構18をフレキシブル配線基板51が形成されていない側に配置できるので、駆動機構18とフレキシブル配線基板51との接触を抑制するために光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できるためである。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0032】
なお、振れを補正する動作のための駆動源としては、駆動機構18のようなコイル32A及び32Bと、磁石24A及び24Bと、の各対により構成されるボイスコイルモーターに限定されない。他の駆動源としてステッピングモーターやピエゾ素子等を利用したものを使用することも可能である。
【0033】
<支持機構について>
次に、
図1から
図5に加え、
図6から
図9を用いて、本実施例の光学ユニット10の腰部である支持機構20について説明する。本実施例の支持機構20は、
図5から
図7で表されるように、1本のアーム210と、2つの軸受け220と、の3部材で構成されている。
【0034】
アーム210は、一端210aにアーム210の延設方向とは交差する方向において両方の外側に向けて突出する凸部211を有するとともに、他端210bにもアーム210の延設方向とは交差する方向において両方の外側に向けて突出する凸部211を有する。すなわち、アーム210は、一端210aと他端210bとが同様の構成をしている。また、軸受け220として、各々全く構成が同じ軸受け220Aと軸受け220Bとを有する。
図6で表されるように、軸受け220A及び軸受け220Bは共に、凸部211に勘合する凹部221を有する平板部223、凸部211に勘合する凹部221を有する平板部224、平板部223と平板部224とを繋ぐ繋ぎ部225、平板部224に設けられる板バネ部222、を有する。
図7で表されるように、軸受け220は、平板部223の凹部221と平板部224の凹部221とで凸部211を挟み込むことで、アーム210に取り付けられる。なお、繋ぎ部225はなるべく細く構成することが好ましい。繋ぎ部225を太く構成すると、板バネ部222の弾性部としての役割を阻害する虞があるためである。
【0035】
軸受け220が取り付けられたアーム210は、
図5で表されるように、軸受け220が軸受け取り付け部110に取り付けられることで、光学ユニット10に取り付けられる。詳細には、アーム210に取り付けられた軸受け220Aが固定枠28に設けられた軸受け取り付け部110Aに対して-Z方向に挿入されることで軸受け取り付け部110Aに取り付けられ、アーム210に取り付けられた軸受け220Bがホルダ22に設けられた軸受け取り付け部110Bに対して-Z方向に挿入されることで軸受け取り付け部110Bに取り付けられる。
図8及び
図9を参照するとわかるように、軸受け220が軸受け取り付け部110に取り付けられることに伴い、板バネ部222により凹部221と凸部211とは押し付けあう。このような構成となっていることで、軸受け220は軸受け取り付け部110から抜けにくくなっており、アーム210は軸受け220から抜けにくくなっている。なお、本実施例の光学ユニット10においては、軸受け220A及び軸受け220Bは同様の構成であるとともに、軸受け取り付け部110A及び軸受け取り付け部110Bも同様の構成である。このため、
図8及び
図9は、軸受け取り付け部110Aの周辺図に対応するとともに軸受け取り付け部110Bの周辺図にも対応する。
【0036】
ここで、軸受け220Aの凹部221に勘合する凸部211の突出方向は第1軸線L1の方向に対応し、軸受け220Bの凹部221に勘合する凸部211の突出方向は第2軸線L2の方向に対応する。軸受け220Aは固定体16の固定枠28に取り付けられるので、アーム210は固定体16に対して第1軸線L1を揺動軸として揺動可能である。また、軸受け220Bは可動体14のホルダ22に取り付けられるので、可動体14はアーム210に対して第2軸線L2を揺動軸として揺動可能である。本実施例の光学ユニット10はこのような構成となっていることで、X軸方向及びY軸方向に平行な平面方向において、可動体14は固定体16に対して自由に揺動可能である。そして、駆動機構18は、可動体14を固定体16に対してZ軸方向に移動する力を加えることが可能に構成されているので、磁石24Aとコイル32Aとにより可動体14を固定体16に対してピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)を補正でき、磁石24Bとコイル32Bとにより可動体14を固定体16に対してヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)を補正できる。
【0037】
ここで一旦まとめると、本実施例の光学ユニット10は、光束が入射する光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、可動体14を固定体16に対して光学モジュール12の光軸方向(Z軸方向)と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構20と、支持機構20で支持された可動体14を固定体16に対して移動させる駆動機構18と、を備えている。そして、支持機構20は、一端210aで固定体16と接続するとともに他端210bで可動体14と接続するアーム210を有する。ここで、アーム210は、一端210aにおいて第1軸線L1を揺動軸として固定体16に対して揺動可能に支持されるとともに、他端210bにおいて第1軸線L1と交差する第2軸線L2を揺動軸として可動体14を揺動可能に支持している。
【0038】
すなわち、本実施例の光学ユニット10は、固定体16と可動体14との各々に対して揺動可能に接続されるアーム210という簡単な構成で、可動体14を固定体16に対して揺動可能に支持している。したがって、本実施例の光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14を固定体16に対して揺動可能に支持する支持機構20の構成を部品点数が少なく簡単な構成のものとしている。また、特許文献1のようなカメラをオーバーラップするジンバル機構を使用しないので、光軸方向の厚さを薄く構成することができている。
【0039】
また、本実施例の光学ユニット10においては、アーム210は、一端210a及び他端210bに揺動軸を形成する揺動軸形成部としての凸部211を有している。そして、固定体16の一端210aを支持する第1支持領域としての軸受け取り付け部110A及び可動体14の他端210bを支持する第2支持領域としての軸受け取り付け部110Bには、固定体16及び可動体14に対して着脱可能な、凸部211を受ける軸受け220が設けられている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成となっていることで、アーム210の一端210aと他端210bに設けられる揺動軸形成部(凸部211)と、固定体16及び可動体14に対して着脱可能な軸受け220とで、簡単に揺動軸を形成している。
【0040】
また、本実施例の光学ユニット10においては、凸部211と軸受け220とは、揺動軸の方向に突出する凸部211と該凸部211を受ける凹部221とが嵌合する構成になっている。そして、軸受け220は、軸受け取り付け部110Aまたは軸受け取り付け部110Bに装着されることで凸部211と凹部221とが当接する方向に凸部211及び凹部221の少なくとも一方を押圧する弾性部である板バネ部222を有する構成となっている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成となっていることで、凸部211と凹部221とで点接触する摺動性の良い揺動軸を形成しているとともに、軸受け取り付け部110Aまたは軸受け取り付け部110Bに装着されることで予圧を付与する(凸部211と凹部221とを押し付ける)ことが可能な予圧付与機構を簡単に形成している。
【0041】
なお、本実施例の本実施例の光学ユニット10の支持機構20においては、揺動軸形成部としての凸部211がアーム210に形成され、凸部211を受ける凹部221が軸受け220に形成されている。しかしながら、このような構成に限定されず、凸部211が軸受け220に形成され、凸部211を受ける凹部221がアーム210に形成されていてもよい。
【0042】
さらに詳細には、本実施例の光学ユニット10においては、揺動軸形成部としての凸部211と軸受け220とを、揺動軸の方向に沿って反対方向に突出する2つの凸部211と2つの凸部211を挟み込んで受ける2つの凹部221とを有する構成となっている。このような構成となっていることで、凸部211と凹部221とが外れる虞を低減している。
【0043】
ここで、本実施例の光学ユニット10においては、弾性部として板バネを使用しているが、
図9で表されるように、軸受け取り付け部110Aまたは軸受け取り付け部110Bに装着されることに伴う力点P1の位置は、揺動軸(第1軸線L1または第2軸線L2)と揃う位置となるように構成されている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、予圧を付与する方向が揺動軸方向とずれることを抑制することができ、適切に予圧を付与することができる。なお、「揺動軸と揃う位置」とは、「揺動軸の延長線上におおむね相当する位置」と言い換えることができる。
【0044】
また、本実施例の光学ユニット10においては、凸部211と凹部221とは、凸球面と凹球面とで当接する構成となっている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、凸部211と凹部221との摺動性を特に向上している。
【0045】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10は駆動機構18としてコイル32A及び32Bと磁石24A及び24Bとを有しているが、アーム210及び軸受け220は非磁性体で形成されている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、駆動機構18の磁石24A及び24Bの磁力によりアーム210及び軸受け220に想定外の力がかかることを抑制している。
【0046】
また、本実施例の光学ユニット10においては、
図5などで表されるように、固定体16の固定枠28は、光軸方向から見て4つの角部111を有する矩形状の領域を有し、可動体14は、光軸方向から見て固定体16の4つの角部111と揃う位置に角部112を有する矩形状の領域を有している。そして、第1支持領域110Aは、固定体16の角部111に設けられ、第2支持領域110Bは、第1支持領域110Aが設けられる角部111とは異なる位置の、可動体14の角部112に設けられている。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット10は、アーム210を効率的に配置し、光学ユニット10が大型化することを抑制している。なお、本明細書において「矩形」とは、本実施例の固定枠28や可動体14のように、角部が曲面を含んで構成されている形状や面取りがなされているような形状であっても、平面視で凡そ四角形となっており四か所の角部の位置が凡そ把握できる構成であればそれも含む意味である。
【0047】
また、本実施例の光学ユニット10においては、
図5で表されるように、可動体14は、光軸方向から見て直線状の一辺22aを有し。アーム210は、一端210aと他端210bとの間に直線部210cを有し、アーム210の直線部210cは、可動体14の一辺22aに沿っている。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、アーム210を効率的に配置し、光学ユニット10が大型化することを抑制している。
【0048】
また、本実施例の光学ユニット10においては、アーム210及び揺動軸は、光軸方向における被写体側(+Z方向側)に、可動体14における光学モジュール12を保持するホルダ22からはみ出さない配置で構成されている。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、アーム210を効率的に配置し、光学ユニット10が大型化することを抑制している。詳細には、本実施例の光学ユニット10においては、光軸方向における被写体側に突出する順に、レンズ12a(レンズ12aの保持部である円筒部分を含む)、ハウジング12b、ホルダ22、アーム210、となっている。
【0049】
[実施例2](
図10)
次に、実施例2の光学ユニット10について
図10を用いて説明する。ここで、
図10は本発明の実施例2に係る光学ユニット10の平面図であり、実施例1の光学ユニット10における
図5に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット10は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット10と同様の技術的特徴を有する。
【0050】
図5などで表されるように、実施例1の光学ユニット10は、支持機構20が可動体14よりも-Y方向側に構成されていた。一方、
図10で表されるように、本実施例の光学ユニット10においては、支持機構20が可動体14よりも+X方向側に構成されている。このため、本実施例の光学ユニット10は、実施例1の光学ユニット10よりもY軸方向における長さが短い構成となっている。このように、支持機構20の配置は特に限定されない。
【0051】
[実施例3](
図11)
次に、実施例3の光学ユニット10について
図11を用いて説明する。ここで、
図11は本発明の実施例3に係る光学ユニット10における支持機構20の一部を表す斜視図である。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット10は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット10と同様の技術的特徴を有する。
【0052】
図6及び
図7などで表されるように、実施例1の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220(軸受け220A及び220B)は、平板部223と平板部224とが繋ぎ部225で繋がれるとともに、板バネ部222が平板部224に対して平板部223とは反対側に設けられていた。一方、
図11で表されるように、本実施例の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220Cにおいては、平板部223と平板部224と板バネ部226とが1枚の平板を折り曲げて形成されている。このように、軸受け220の形状、さらには、アーム210を含めた支持機構20の形状に特に限定はない。
【0053】
なお、本実施例の光学ユニット10においては、実施例1の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220における軸受け220A及び軸受け220Bの両方の位置において軸受け220Cと同様の構成の軸受け220が設けられている。しかしながら、軸受け220A及び軸受け220Bのうちのいずれか一方の位置のみ軸受け220Cと同様の構成の軸受け220が設けられ、他方の位置には例えば軸受け220Aと同様の構成の軸受け220など軸受け220Cとは異なる構成の軸受け220が設けられていてもよい。
【0054】
[実施例4](
図12)
次に、実施例4の光学ユニット10について
図12を用いて説明する。ここで、
図12は本発明の実施例4に係る光学ユニット10における支持機構20の一部を表す斜視図であり、実施例3の光学ユニット10における
図11に対応する図である。なお、上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット10は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット10と同様の技術的特徴を有する。
【0055】
図6及び
図7などで表される実施例1の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220(軸受け220A及び220B)、並びに、
図11で表される実施例3の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220Cは、軸受け220が1つの部材で構成されていた。一方、
図12で表されるように、本実施例の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220Dにおいては、凹部221を有する第1部材227aと、第1部材227aを外側からアーム210に向けて押し付ける第2部材227bと、の2つの部材を有している。このように、軸受け220の構成部材の数に特に限定はない。例えば、実施例1の構成の軸受け220において、繋ぎ部225を有さず、凹部221を有する平板部223と、凹部221を有するとともに板バネ部222が設けられた平板部224と、を2つの構成部品としてもよい。
【0056】
なお、本実施例の光学ユニット10においては、実施例1の光学ユニット10の支持機構20の軸受け220における軸受け220A及び軸受け220Bの両方の位置において軸受け220Dと同様の構成の軸受け220が設けられている。しかしながら、軸受け220A及び軸受け220Bのうちのいずれか一方の位置のみ軸受け220Dと同様の構成の軸受け220が設けられ、他方の位置には例えば軸受け220Aと同様の構成の軸受け220など軸受け220Dとは異なる構成の軸受け220が設けられていてもよい。
【0057】
ここで、実施例1から実施例4の光学ユニット10においては、アーム210の全体が樹脂で一体的に形成されている。アーム210の全体を樹脂で一体的に形成することで、低コストでアーム210を形成することができる。ただし、本発明は、このような構成に限定されない。
【0058】
[実施例5](
図13)
次に、実施例5の光学ユニット10について
図13を用いて説明する。ここで、
図13は本発明の実施例5に係る光学ユニット10における支持機構20のアーム210の一部を表す斜視図である。なお、上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット10は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット10と同様の技術的特徴を有する。
【0059】
本実施例の光学ユニット10における揺動軸形成部は、金属で構成される部分を有する。
図13で表されるように、本実施例の揺動軸形成部は、凸部211を両端に形成する金属製の略円柱状の棒状部材212を樹脂製のアーム210に設けられた孔部213に圧入することで構成されている。このように、揺動軸形成部が金属で構成される部分を有する構成とすることで、例えば、光学ユニットが落下した際の衝撃などで、支持機構20(揺動軸形成部)が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構20と固定体16が外れることまたは支持機構20と可動体14が外れることを抑制することができる。
【0060】
ここで、本実施例の光学ユニット10においては、揺動軸形成部は、アーム210の一端210a側(第1軸線を揺動軸とする側)及び他端210b側(第2軸線を揺動軸とする側)の両方に設けられている。そして、両方の揺動軸形成部は同様の構成となっている。すなわち、揺動軸形成部のうちの1つはアーム210を第1軸線方向に貫通する金属製の棒状部材212で構成されており、揺動軸形成部のうちの別の1つはアーム210を第2軸線方向に貫通する金属製の棒状部材212で構成されている。このような構成とすることで、一般的には折れやすい棒状部材212を高剛性にすることができる。また、金属部品は樹脂部品よりも高コスト化しやすいが、棒状部材212を金属製としてアーム210を樹脂製とすることで金属の使用量を低減することができ、低コスト化することができる。
【0061】
可動体14が1グラムを超えるなど重い場合、光学ユニット10が落下した際の衝撃は大きくなる。しかしながら、本実施例の光学ユニット10においては、一般的には折れやすい棒状部材212を高剛性にしている。このため、本実施例の光学ユニット10は、可動体14が重い場合などにおいても、低コストで、光学ユニット10が落下した際の衝撃などで、支持機構20が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構20と固定体16が外れることまたは支持機構20と可動体14が外れることを抑制することができる。
【0062】
また、このように、アーム210に棒状部材212を差し込むことで揺動軸形成部を形成することで、適正な予圧(凸部211を軸受け220の凹部221に押し付ける圧力)にするための調整が簡単になる。棒状部材212を調整することで予圧の調整ができるためである。
【0063】
[実施例6](
図14)
次に、実施例6の光学ユニット10について
図14を用いて説明する。ここで、
図14は本発明の実施例6に係る光学ユニット10における支持機構20のアーム210の一部を表す斜視図であり、実施例5の光学ユニット10における
図13に対応する図である。なお、上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット10は、下記に説明する部分の構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。このため、下記で説明する部分以外においては、実施例1の光学ユニット10と同様の技術的特徴を有する。
【0064】
本実施例の光学ユニット10における揺動軸形成部も、実施例5の光学ユニット10における揺動軸形成部と同様、金属で構成される部分を有する。
図14で表されるように、本実施例の揺動軸形成部は、凸部211を形成する金属製の球体214を樹脂製のアーム210に設けられた金属製のお椀状部材である凹部215に溶接することで構成されている。なお、
図14は、金属製の球体214が金属製の凹部215に溶接される前の状態を表している。
【0065】
ここで、本実施例の光学ユニット10においては、揺動軸形成部は、アーム210の一端210a側(第1軸線を揺動軸とする側)及び他端210b側(第2軸線を揺動軸とする側)の両方に設けられている。そして、一端210a側ではアーム210の第1軸線方向における両外側から凹部215に金属製の球体214が溶接されて構成され、他端210b側ではアーム210の第2軸線方向における両外側から凹部215に金属製の球体214が溶接されて構成されている。揺動軸の方向以外に関しては、両方の揺動軸形成部は同様の構成となっている。すなわち、両方の揺動軸形成部はともに、アーム210に金属製の球面状の凹部215が形成されるとともに、凹部215に金属製の球体214が溶接されて構成されている。このような構成とすることで、一般的には破損しやすい凸部211を高剛性にすることができる。そして、このような構成とすることで、例えば、可動体14が1グラム以下など軽い場合などにおいて、簡単な構成かつ低コストで、光学ユニット10が落下した際の衝撃などで、支持機構20が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構20と固定体16が外れることまたは支持機構20と可動体14が外れることを抑制することができる。
【0066】
[その他の実施例]
上記の実施例5の光学ユニット10及び実施例6の光学ユニット10はともに、揺動軸形成部として金属製の部材(棒状部材212、球体214及び凹部215)と樹脂製の部材(アーム210)とを使用していた。ただし、揺動軸形成部が金属製の部材だけで構成されていてもよい。例えば、揺動軸形成部は、アーム210と共に金属で一体的に形成されていてもよい。このような構成とすることで、使用する金属量が増えることで高コスト化する虞はあるものの、支持機構20の全体を特に頑丈に構成することができる。このため、例えば、可動体が重い場合などにおいても、簡単な構成で、光学ユニット10が落下した際の衝撃などで、支持機構20が破損することや、揺動軸形成部が変形して支持機構20と固定体16が外れることまたは支持機構20と可動体14が外れることを抑制することができる。
【0067】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10…光学ユニット、12…光学モジュール、12a…レンズ、12b…ハウジング、13…上面カバー、14…可動体、16…固定体、18…駆動機構、19a…第1支持部、19b…第2支持部、20…支持機構、22…ホルダ、22a…一辺、24A…磁石、24B…磁石、25…ジンバルフレーム部、27A…取り付け部、27B…取り付け部、28…固定枠、28a…コイル取付け部、32A…コイル、32B…コイル、50…撮像素子、51…フレキシブル配線基板、100…可動ユニット、110…軸受け取り付け部、110A…軸受け取り付け部(第1支持領域)、110B…軸受け取り付け部(第2支持領域)、111…角部、112…角部、200…ケース、210…アーム、210a…一端、210b…他端、210c…直線部、211…凸部(揺動軸形成部)、212…棒状部材、213…孔部、214…球体、215…凹部、220…軸受け、220A…軸受け、220B…軸受け、220C…軸受け、220D…軸受け、221…凹部、222…板バネ部(弾性部)、223…平板部、224…平板部、225…繋ぎ部、226…板バネ部(弾性部)、227a…第1部材、227b…第2部材、L…光軸