(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、情報処理装置の制御方法、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241105BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241105BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 305
G06F3/12 328
G06F3/12 332
G06F3/12 344
G06F3/12 353
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2021006286
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 幸安
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087294(JP,A)
【文献】特開2020-160989(JP,A)
【文献】特開2012-094113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置で動作可能であり第1の形式の印刷データを生成可能な印刷制御ソフトウェアのプログラムであって、
前記情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから、印刷設定に関する情報を含む、前記第1の形式とは異なる第2の形式の印刷データを取得する第一取得ステップと、
前記印刷データに含まれる印刷設定に関する情報が所定の条件を満たす場合に、
印刷装置の表示部に、前記印刷装置における使用方法に関する情報を含む所定の画面を表示させる
ための制御を行う表示制御ステップと、
前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから印刷指示を受信した場合に、前記印刷装置の前記表示部にて前記所定の画面を確認することを促す旨の通知を前記他の情報処理装置に送信するように制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
設定可能リストを取得する第二取得ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記所定の条件として、前記印刷設定に関する情報の中に特定の印刷設定が含まれ、且つ、前記設定可能リストにおいて、前記特定の印刷設定に対応する項目に前記所定の画面を表示することを示す情報を含む場合、前記所定の画面として前記使用方法に関する情報を含む画面を表示させることを特徴とする請求項
1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報処理装置
の表示部に前記所定の画面を表示させる
ための第2の表示制御ステップをさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1
または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記所定の画面を確認することを促す旨の通知は、前記OS標準印刷ソフトウェアのプロトコルで送信されることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2の形式の印刷データを、前記第1の形式の印刷データに変換する変換ステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
前記情報処理装置から前記第1の形式の印刷データが、前記印刷装置に送信される請求項
1乃至4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
第1の形式の印刷データを生成可能な印刷制御ソフトウェアを有し、印刷装置と通信可能である情報処理装置であって、
前記情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから、印刷設定に関する情報を含む、前記第1の形式とは異なる第2の形式の印刷データを取得する第一取得手段と、
前記印刷データに含まれる印刷設定に関する情報が所定の条件を満たす場合に、
前記印刷装置の表示部に、前記印刷装置における使用方法に関する情報を含む所定の画面を表示させる
ための制御を行う表示制御手段と、
前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから印刷指示を受信した場合に、前記印刷装置の前記表示部にて前記所定の画面を確認することを促す旨の通知を前記他の情報処理装置に送信するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
設定可能リストを取得する第二取得手段をさらに備え、
前記所定の条件として、前記印刷設定に関する情報の中に特定の印刷設定が含まれ、且つ、前記設定可能リストにおいて、前記特定の印刷設定に対応する項目に前記所定の画面を表示することを示す情報を含む場合、前記所定の画面として前記使用方法に関する情報を含む画面を表示させることを特徴とする請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は
さらに、前記情報処理装置の表示部に前記所定の画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項
6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定の画面を確認することを促す旨の通知は、前記OS標準印刷ソフトウェアのプロトコルで送信されることを特徴とする請求項
6乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の形式の印刷データを、前記第1の形式の印刷データに変換する変換手段をさらに備え、
前記変換手段にて変換した前記第1の形式の印刷データを、前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項
6乃至9のいずれか
1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載されたプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
第1の形式の印刷データを生成可能な印刷制御ソフトウェアを有し、印刷装置と通信可能である情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから、印刷設定に関する情報を含む、前記第1の形式とは異なる第2の形式の印刷データを取得する第一取得ステップと、
前記印刷データに含まれる印刷設定に関する情報が所定の条件を満たす場合に、前記印刷装置の表示部に、前記印刷装置における使用方法に関する情報を含む所定の画面を表示させるための制御を行う表示制御ステップと、
前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから印刷指示を受信した場合に、前記印刷装置の前記表示部にて前記所定の画面を確認することを促す旨の通知を前記他の情報処理装置に送信するように制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタベンダーの提供するプリンタ固有のソフトウェア(固有プリンタドライバ)を必要とせずに、オペレーティングシステム(OS)が標準的な印刷機能(OS標準印刷機能)を提供する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、OS標準印刷機能を使用した印刷においては、個々のプリンタの仕様は考慮できない。そのため、ユーザが設定した印刷設定に応じた案内ダイアログの表示は行っておらず、不便な場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、OS標準印刷機能を使用して印刷を行う場合において、印刷の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、情報処理装置で動作可能であり第1の形式の印刷データを生成可能な印刷制御ソフトウェアのプログラムであって、前記情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから、印刷設定に関する情報を含む、前記第1の形式とは異なる第2の形式の印刷データを取得する第一取得ステップと、前記印刷データに含まれる印刷設定に関する情報が所定の条件を満たす場合に、印刷装置の表示部に、前記印刷装置における使用方法に関する情報を含む所定の画面を表示させるための制御を行う表示制御ステップと、前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置で動作するOS標準印刷ソフトウェアから印刷指示を受信した場合に、前記印刷装置の前記表示部にて前記所定の画面を確認することを促す旨の通知を前記他の情報処理装置に送信するように制御する制御ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、OS標準印刷機能を使用して印刷を行う場合において、印刷の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】プリンタでサポートする給紙方法情報を示す図である。
【
図3】プリンタでサポートする用紙サイズ情報を示す図である。
【
図4】OS標準印刷機能のディスク印刷設定時の印刷設定画面を示す図である。
【
図5】印刷変換ユーティリティが表示する案内画面を示す図である。
【
図6】印刷変換ユーティリティでの案内画面の表示処理フローを示す図である。
【
図7】標準印刷プロトコルであるIPPの印刷データを示す図である。
【
図8】プリンタでサポートする表示部情報を示す図である。
【
図9】印刷変換ユーティリティで設定する通知先設定画面を示す図である。
【
図10】印刷変換ユーティリティの案内画面の表示処理フローを示す図である。
【
図11】印刷変換ユーティリティの案内画面の表示処理フローを示す図である。
【
図12】印刷実行時にベンダードライバが表示する案内画面を示す図である。
【
図13】印刷実行時に印刷変換ユーティリティが表示する案内画面を示す図である。
【
図14】印刷変換ユーティリティが表示する再印刷設定画面を示す図である。
【
図15】印刷変換ユーティリティの再印刷設定画面の表示処理フローを示す図である。
【
図16】印刷変換ユーティリティの再印刷設定画面の表示処理フローを示す図である。
【
図17】印刷変換ユーティリティで設定する表示項目の設定画面を示す図である。
【
図18】印刷変換ユーティリティが表示する再印刷設定画面を示す図である。
【
図19】印刷変換ユーティリティの再印刷設定画面の表示処理フローを示す図である。
【
図20】印刷変換ユーティリティの再印刷設定画面の表示処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
<実施形態1>
OS標準印刷機能に対応していない(サポートしていない)プリンタでは、OS標準印刷機能を用いることができない。つまり、OS標準印刷機能に対応していないプリンタは、OS標準印刷機能にて規定されている所定の形式(以下、「標準形式」とも称する)の印刷データを解釈することができない。このため、本実施形態では、OS標準印刷機能を備えていないプリンタを、OS標準印刷機能に対応したプリンタに見せかけて、OS標準印刷機能を用いた印刷指示を可能とするための印刷変換ユーティリティと呼ばれる印刷制御ソフトウェアが用いられる。印刷変換ユーティリティは、OSがインストールされているパーソナルコンピュータ(PC)にインストールされて用いられる。尚、印刷変換ユーティリティは、OSがインストールされているPCとは別個のコンピュータに備えられていてもよい。
【0011】
印刷変換ユーティリティは、OSからの能力情報の問い合わせに対し、OS標準印刷機能に対応していないプリンタの能力を代理で応答する。また、印刷変換ユーティリティは、標準形式の印刷データ(コマンド)(第2の形式の印刷データ)をプリンタがサポートする形式(例えば、プリンタベンダー固有の形式)の印刷データ(コマンド)(第1の形式の印刷データ)に変換して送信する。印刷変換ユーティリティをPCに組み込むと、印刷変換ユーティリティがプリンタ固有のプロトコルによるプリンタとのやり取り(通信)をOS標準印刷機能に則ったやり取りに変換するようになる。このため、OS標準印刷機能に対応していないプリンタであってもOS標準印刷機能を使ってPCから印刷指示できるようになる。なお、PCに、後述の
図2のベンダードライバ107ではなく、プリンタ固有のドライバがインストールされている場合、OS標準印刷機能に対応していないプリンタであっても、固有プリンタドライバが生成する印刷データであれば解釈可能である。よって、固有プリンタドライバが提供する印刷実行ユーザインターフェイスを介してユーザが印刷指示する場合、OS標準印刷機能を使わないで印刷することもできる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図1(a)および
図1(b)を用いて本実施形態の印刷システムの全体構成について説明する。
図1(a)はPC100およびプリンタ110のハードウェア構成を示す図である。本実施形態では、ホストコンピュータであるPC100とプリンタ110とが、LAN(Local Area Network)等の通信バス30(ネットワーク)を介して通信可能な印刷システムの例を示す。ここではネットワークとしてLANを想定しているが、WAN(Wide Area Network)であっても構わない。また、ネットワークの接続形態として有線無線を問わず、これらが混在していても構わない。また、PC100とプリンタ110の接続形態としてUSB(Universal Serial Bus)であっても構わない。なお、
図1(a)では、プリンタは1つのみ図示したが、通信バス30を介して任意の数のプリンタが接続可能である。また、
図1(a)では例としてプリンタ110を図示しているが、他のプリンタ(プリンタ130およびプリンタ140)も同様の構成である。
【0013】
PC100は情報処理装置の一例である。PC100には、OSがインストールされている。OSは、後述するOS標準印刷ソフトウェアであるOS印刷システム102を備えている。
【0014】
PC100は、インタフェース(I/F)部17と、CPU11、ROM12、RAM13、ディスプレイ14、入力部15、および外部記憶装置16を有する。本実施形態のPC100は、デスクトップ型PCに限らず、ノート型PC、タブレット型PC、またはスマートフォン等の携帯型端末でもよい。
【0015】
PC100は、プリンタ110へ、プリンタ110を制御するための指示、印刷データ、および設定コマンド等を送信する。CPU11は、PC100の各部を制御する中央演算装置であり、OSなどの制御プログラムを実行する。ROM12は記憶されたOSによりそのシステム動作を制御する。RAM13は、CPU11による作業領域が展開されるランダムアクセスメモリである。外部記憶装置16は、アプリケーションなどの各種制御プログラムを格納している。
【0016】
入力部15は、PC100を操作するためのキーボード及びマウス等の入力デバイスである。ディスプレイ14は、入力部15から入力された情報を確認するための表示、或いは、OSまたはアプリケーションのユーザインタフェース画面の表示、メッセージ等通知画面の表示などを行う表示デバイスである。I/F部17は、プリンタ110とのデータの送受信を行う通信モジュールである。
【0017】
印刷装置であるプリンタ110は、例えばインクジェットプリンタである。プリンタ110は、I/F部27と、CPU21、ROM22、RAM23、表示部24、入力部25、およびプリントエンジン26を有する。CPU21は以下の各部を制御する中央演算処理装置である。ROM22は読み出し専用メモリであり、プリントエンジン26を制御するプログラムを格納している。RAM23は随時書き込み読み出しメモリであり、プリントエンジン26の動作に必要なプログラム、PC100から受信した設定値などを一時記憶する。入力部25は、プリンタ110を操作するためのボタン等である。表示部24は、入力部25から入力された情報を確認するための表示、或いは、プリンタ110のステータスメッセージの表示などを行う表示デバイスである。
【0018】
プリントエンジン26は、PC100から送られたプリントデータに基づいて記録媒体にプリントする。I/F部27は、PC100からプリントデータを受信する通信モジュールであり、プリンタ110からPC100にプリンタ110の現在のステータス情報を送信する機能などを有する。ここでいうステータス情報とは、I/F部27を介して接続されているPC100からの要求に応じて、プリンタ110が返却することのできる、プリンタ110の状態を表すステータスデータである。ステータスデータとは、「印刷中」または「待機状態」などのプリンタ110の動作の状態、および「用紙切れ」、「カバーが開いている」、または「インク残量無し」などのプリンタ110のエラーの状態を知らせるための情報である。
【0019】
図1(b)は、本実施形態の印刷システムの全体構成を示す図である。まず、PC100のソフトウェア構成について説明する。PC100は、アプリケーション101、OS印刷システム102、ネットワーク(NW)通信制御部104、および印刷変換ユーティリティ106を備える。OS印刷システム102は、OS標準印刷制御部103を備え、印刷変換ユーティリティ106は、仮想プリンタ105、ベンダードライバ107、記憶部108、表示部109、および印刷制御部150を備える。印刷変換ユーティリティ106はOS標準印刷に対応していないプリンタをOS標準印刷機能から使うためのものであり、必要に応じてPC100にインストールする。アプリケーション101は、PC100の基本ソフトウェアであるOS上で動作可能な描画ソフトウェアである。アプリケーション101は、例えば、文書作成用のワープロソフト、画像編集ソフト、またはウェブブラウザなどが挙げられる。アプリケーション101によって生成可能な描画データは、例えば、PDF(Portable Document Format)形式のデータである。
【0020】
OS印刷システム102は、印刷制御を行うOSの要素であり、アプリケーション101からの印刷要求をジョブとして順次処理する。OS印刷システム102が備えるOS標準印刷制御部103は、印刷データ生成に必要な標準的な機能(OS標準印刷機能)を備えるソフトウェアである。OS標準印刷制御部103は、アプリケーション101が生成した描画データをスプール処理し、所定のフォーマット(標準形式)の印刷データを生成する。さらに、OS標準印刷制御部103は、生成した標準形式の印刷データを、プリンタ110へ送信するために、NW通信制御部104へ標準形式の印刷データを出力する処理を行う。なお、本実施形態のOS標準印刷制御部103は、NW通信制御部104を介し、標準印刷プロトコルであるIPP(Internet Printing Protocol)を用いて、プリンタ110と通信する。また、OS標準印刷制御部103は、NW通信制御部104を介し、プリンタ110がOS標準印刷機能をサポートしているかを判定するため、プリンタ110の能力情報を取得する。
【0021】
以下、印刷指示の際の流れを説明する。まず、OS標準機能をサポートしているプリンタ110に対する印刷指示の流れを説明する。アプリケーション101は、描画データの生成後、ユーザ指示に基づき、OS印刷システム102に対して印刷要求を行う。印刷要求は印刷ジョブとしてOS印刷システム102のプリントキューに投入される。なお、印刷要求が行われる場合、印刷設定については、OS標準印刷機能が提供する設定画面によりユーザからの設定指示を受け付けることができる。
【0022】
印刷要求が行われた場合、印刷設定に関する情報と、描画アプリケーション101により生成された描画データと、を含む印刷ジョブ(印刷データ)が描画アプリケーション101からOS印刷システム102に渡される。印刷設定に関する情報には、用紙サイズ、給紙方法、またはどのプリントキューを用いて印刷を行うか、などの情報が含まれる。
【0023】
OS印刷システム102のOS標準印刷制御部103は、印刷ジョブを受けると、OS標準印刷機能に則った所定のフォーマットの印刷データを生成する。
【0024】
OS標準印刷機能に対応するプリンタ110はOS標準印刷機能に則ったフォーマットの印刷データを解釈することが可能である。また、OS印刷システム102はNW通信制御部104を介して生成した印刷データをOS標準印刷に対応したプリンタ110に送信する。
【0025】
一方、OS標準印刷に対応していないプリンタ130は、OS標準印刷機能に則ったフォーマットの印刷データを解釈できない。このため、印刷するには印刷変換ユーティリティ106を使う必要がある。OS標準印刷機能に未対応のプリンタ130の印刷ジョブ(出力先プリンタとして仮想プリンタ105が指定された印刷ジョブ)であれば、OS印刷システム102は生成した印刷データを印刷変換ユーティリティ106が起動した仮想プリンタ105に送信する。そして、印刷変換ユーティリティ106は、ベンダードライバ107により、仮想プリンタ105が受信したOS標準印刷機能に則ったフォーマットの印刷データをベンダー固有のフォーマットの印刷データに変換する。変換した印刷データは、NW通信制御部を介してOS標準印刷機能に対応していないプリンタ130に送信する。本実施形態では、PC100において仮想プリンタ105が起動していることを想定している。
【0026】
尚、印刷変換ユーティリティ106を介して印刷指示するためには、アプリケーション101からの印刷要求を受けるためのOS印刷システム102用のプリントキューと、印刷変換ユーティリティ106用のプリントキューとの両方の登録が予め必要である。尚、印刷変換ユーティリティ106用のプリントキューは、仮想プリンタ105へ送信された印刷データが投入されるためのキューである。なお、設定登録時にはまず、印刷変換ユーティリティ106用のプリントキューの登録が行なわれることにより、印刷変換ユーティリティ106は仮想プリンタ105を起動する。その後、印刷変換ユーティリティ106は、仮想プリンタ105を指定してOS印刷システム102用にプリントキューを自動的に登録させる。
【0027】
プリンタ110、プリンタ130、およびプリンタ140は、NW通信制御部111、印刷制御部112、および印刷部113を備える。印刷制御部112は、NW通信制御部111を介してPC100から印刷データを受信し、印刷データに基づき印刷部113を制御して印刷を実行する。プリンタ110は、OS印刷システムに対応しているプリンタであり、プリンタ130は、OS印刷システムに対応していないプリンタである。プリンタ110およびプリンタ130は、過去に印刷変換ユーティリティ106を使用して印刷が実行したことがあるプリンタである。一方、プリンタ140は、OS印刷システムに対応しておらず、過去に印刷変換ユーティリティ106を使用して印刷を実行しておらず、印刷変換ユーティリティ106用のプリントキューが登録されていないプリンタである。
【0028】
印刷変換ユーティリティ106に含まれる記憶部108は、プリンタ(例えばプリンタ130)がサポートしている設定可能リストを保持する。設定可能リストは、
図2および
図3にて後述する。これらは、あらかじめ印刷変換ユーティリティ106の記憶部108に保持していてもよいし、プリンタと通信して設定可能リストを取得してもよい。
【0029】
印刷変換ユーティリティ106に含まれる表示部109は、「用紙切れ」、「カバーが開いている」、または「インク残量無し」などの仮想プリンタ105のステータス情報、または「印刷中」、「待機中」など印刷ジョブのステータス情報を表示制御する。
【0030】
図2は、プリンタ130でサポートする給紙方法に関する情報(給紙を行う保持部に関する情報)を含む設定可能リストを示す図である。
図2では、例として、プリンタ130でサポートする給紙方法である、トレイ1、トレイ2、およびディスクトレイの3つの保持部の情報について記載している。なお、ディスクトレイは厳密には「給紙(紙を供給)」する保持部ではなく、紙とは異なるCD等の記録媒体である「ディスク」を「保持」する保持部であるが、ここでは形式的に「給紙」と表現している。また、ディスクについても、紙とは異なる記録媒体ではあるが、形式的に「用紙」の一種類として表現する場合もある。
図2のTray1はトレイ1、Tray2はトレイ2、またDiscTrayはディスクトレイに、それぞれ対応する。設定可能リストには、プリンタ130で対応している給紙方法(保持部)の名称201、最大用紙幅202、最大用紙高さ203、最小用紙幅204、最小用紙高さ205、および給紙方法案内ダイアログ206が含まれる。最大用紙幅202、最大用紙高さ203、最小用紙幅204、および最小用紙高さ205は、1/100mmの単位で表される。給紙方法案内ダイアログ206は、当該設定項目(
図2では「Tray1」、「Tray2」または「DiscTray」のいずれか)が、固有の通知画面である案内ダイアログを有するかどうかを示す情報である。印刷実行時に案内ダイアログを表示する給紙方法であれば、対応する給紙方法案内ダイアログの名称を記載し、案内ダイアログを表示しない給紙方法であれば「None」を記載する。また、案内ダイアログを表示しない給紙方法であれば、給紙方法案内ダイアログ206を記載しなくてもよい。
【0031】
図3は、プリンタ130でサポートする用紙サイズに関する情報を含む設定可能リストを示す図である。
図3では、例として、プリンタ130でサポートする用紙サイズであるA4、A5、ディスク、はがき、および封筒の5サイズについて記載している。設定可能リストには、プリンタ130で対応している用紙サイズの名称301、用紙幅302、用紙高さ303、用紙サイズ案内ダイアログ304、フチなし印刷情報305、および両面印刷情報306が含まれる。用紙幅302、および用紙高さ303は、1/100mmの単位で表される。用紙サイズ案内ダイアログ304は、当該設定項目(
図3では「A4」、「A5」、「Disc」、「Postcard」または「Envelope」のいずれか)が、固有の通知画面である案内ダイアログを有するかどうかを示す情報である。印刷実行時に案内ダイアログを表示する用紙サイズであれば、対応する案内ダイアログの名称を記載し、案内ダイアログを表示しない用紙サイズであれば「None」を記載する。また、案内ダイアログを表示しない用紙サイズであれば、用紙サイズ案内ダイアログ304を記載しなくてもよい。フチなし印刷情報305は、フチなし印刷可能な用紙サイズであれば、「Support」を記載する。フチなし印刷可能な用紙サイズ以外の場合は、フチなし印刷情報305を記載しない、または、「Support」以外を記載する。両面印刷情報306は、両面印刷可能な用紙サイズであれば、「Support」を記載する。両面印刷可能な用紙サイズ以外の場合は、両面印刷情報306を記載しない、または、「Support」以外を記載する。
図3では、例として、プリンタ130ではA4サイズのみフチなし印刷および両面印刷をサポートしている。
【0032】
図4は、OS標準印刷機能の環境下におけるディスク印刷設定時の印刷設定画面を示す図である。
図4(a)は、OS標準印刷機能により提供される印刷設定画面400を示す模式図である。
図4(b)に関しては、後述の実施形態4にて説明する。
【0033】
印刷設定画面400は、印刷を実行させるプリンタを選択するためのプリンタ選択アイテム401、用紙サイズ選択アイテム402、両面印刷選択アイテム403、部数選択アイテム404、および用紙の種類選択アイテム405、を含む。また、印刷設定画面400は、給紙方法選択アイテム406、印刷プレビュー領域407を含むキャンセルボタン408、および印刷ボタン409を含む。
【0034】
図4(a)では、ユーザがディスクに印刷する場合の印刷設定を示している。
図4(a)における給紙方法選択アイテム406では、案内ダイアログを表示する給紙方法として「ディスクトレイ」が選択されている。また、用紙サイズ選択アイテム402において、案内ダイアログを表示する用紙サイズとして「ディスク」が選択されている。なお、給紙方法の選択とは、印刷対象の記録媒体が保持されている保持部を選択することを示す。
【0035】
図5は、印刷変換ユーティリティ106で表示するディスク印刷案内ダイアログ500を示す図である。尚、このディスク印刷案内ダイアログ500は、従来の固有プリンタドライバを用いた印刷制御において表示されているダイアログと同等のダイアログである。ディスク印刷案内ダイアログ500は、操作方法メッセージ501、操作案内
図502、およびOKボタン503を含む。従来の固有プリンタドライバを用いる環境下では、ディスク印刷のように給紙位置やセット方法が複雑な給紙方法を設定して印刷を実行すると、PC画面に
図5のようなディスク印刷案内ダイアログ500を固有プリンタドライバが表示するように制御している。これにより、ユーザは、操作方法メッセージ501および操作案内
図502を確認してプリンタにディスクをセットでき、OKボタン503を押下すると、プリンタドライバが印刷を開始するように制御している。また、はがきまたは封筒のように給紙方向に上下向きのあるサイズを設定して印刷を実行すると、プリンタの仕様によりドライバは用紙のセット方法を示す案内ダイアログを表示する。
【0036】
一方、OS標準印刷機能では、個々のプリンタの仕様は考慮できないため、印刷実行時にPC画面に案内ダイアログの表示は行わずプリンタに印刷データを送信する。プリンタは印刷データを受信すると、印刷データの印刷設定値に従い、印刷を開始する。OS標準印刷機能を使用し、OS標準印刷機能に対応していないプリンタから印刷を行う場合も、前述した印刷変換ユーティリティのような機能部を用いることでプリンタに印刷データを送信することはできる。しかし、印刷実行時にPC画面に案内ダイアログを表示するような制御は行われていない。
【0037】
よって、OS標準印刷機能を使用する環境下では、ユーザにとって、固有プリンタドライバ使用時には表示されていたディスク印刷案内ダイアログが表示されなくなり、操作性が低下することとなる。
【0038】
そこで、本実施形態では、OS標準印刷機能を使用し、OS標準印刷機能に対応していないプリンタで印刷を行う場合に、印刷変換ユーティリティ106が、PC画面上に対応する案内ダイアログを表示させる処理を行う。以下、本実施形態の制御について詳細に説明する。
【0039】
図6は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、印刷変換ユーティリティ106の表示部109にディスク印刷案内ダイアログ500を表示させる処理フローを示す。以降、印刷変換ユーティリティ106を各処理の主体として説明するが、実際には、対応するプログラムをCPU11がROM12または外部記憶装置16に記憶されている印刷変換ユーティリティ106のプログラムを実行することで対応する機能が実現される。また、実施形態2以降のフローチャートについても同様である。
【0040】
なお、
図6の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷データを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。なお、印刷設定画面400のプリンタ選択アイテム401において、ユーザが使用するプリンタを選択することにより、OS印刷システム102は、選択されたプリンタに印刷データを送信する。例えば、プリンタ選択アイテム401において「プリンタ110」が選択されていた場合は、直接プリンタ110に印刷データを送信し、「プリンタ130」が選択されていた場合は、プリンタ130に紐づく仮想プリンタ105に印刷データを送信する。即ち、本実施形態は、プリンタ選択アイテム401にてプリンタ130を選んだ場合に、仮想プリンタ105のNW通信制御部を介し、印刷データを印刷変換ユーティリティが取得できるため、
図6の処理フローが開始される。
【0041】
本実施形態では、印刷変換ユーティリティ106の処理フローについて、
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
【0042】
S600では、印刷変換ユーティリティ106は、OS印刷システム102から印刷ジョブを取得(印刷データ700を取得)して、S601に進む。印刷変換ユーティリティ106がOS印刷システム102から取得する印刷データを
図7に示す。
【0043】
図7は、標準印刷プロトコルであるIPPの印刷データの一部(特に印刷設定に関する情報)を示す図である。印刷データ700は、送信元PCのアドレス情報701、印刷実行プリンタ情報702、用紙サイズ情報703、給紙方法情報706、用紙の種類情報707、および両面印刷設定情報708を含む。用紙サイズ情報703は、横方向サイズ情報704および縦方向サイズ情報705により構成される。
図7では、例として、印刷設定画面400においてユーザにより選択された印刷設定で印刷を実行する場合の印刷データを示している。
【0044】
S601では、印刷変換ユーティリティ106は、S600で取得した印刷データ700から給紙方法情報706(保持部の情報)を取得する。さらに、印刷変換ユーティリティ106は、印刷設定画面で設定された給紙方法に対応する給紙方法案内ダイアログ206に関する情報を記憶部108から取得して、S602に進む。例えば、ユーザにより選択された給紙方法が「ディスクトレイ」の場合、印刷データ700に含まれる給紙方法情報706は「disc tray」となる。印刷変換ユーティリティ106は、記憶部108に保存されている設定可能リストの中から
図2の給紙方法を呼び出し、給紙方法情報706に対応する給紙方法(保持部)の名称201として「DiscTray」の項目を参照する。そして、印刷変換ユーティリティ106は、参照する給紙方法の名称201に対応する給紙方法案内ダイアログ206に関する情報として「PaperSettingDialog1」を記憶部108から取得する。なお、給紙方法案内ダイアログ206に関する情報は、プリンタから取得して記憶部108に保存してもよい。
【0045】
S602では、印刷変換ユーティリティ106は、所定の条件を満たすかを判定する。即ち、印刷変換ユーティリティ106は、S601で取得した表示ダイアログの情報を判定する。表示ダイアログが「None」の場合は、ユーザが印刷設定で選択した設定値に対応するダイアログがないと判定し、S604の印刷実行に進む。表示ダイアログが「None」以外の場合には、ユーザが印刷設定で選択した設定値に対応するダイアログがあると判定し、S603に進む。S603では、印刷変換ユーティリティ106は、S601で取得した給紙方法案内ダイアログ206に対応するディスク印刷案内ダイアログ500を、印刷変換ユーティリティ106の表示部109がディスプレイ14に表示する。ディスク印刷案内ダイアログは、前述したように、操作方法メッセージ501、操作案内
図502、およびOKボタン503を含む。ユーザが、操作方法メッセージ501、操作案内
図502を確認してプリンタにディスクをセットし、OKボタン503を押下すると、S604の印刷実行に進む。S604では、印刷変換ユーティリティ106は、S600で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、NW通信制御部を介してプリンタに印刷データを送信して処理を終了する。
【0046】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、OS標準印刷機能を搭載したPCを使用して印刷を行う場合において、印刷の利便性を向上することができる。具体的には、OS印刷システム102から送信された印刷データを参照することにより、ユーザが選択した給紙方法に対応するダイアログ情報を取得する。そして、取得したダイアログ情報に基づき、印刷変換ユーティリティ106の表示部109は、用紙のセット方法等の使用方法に関する案内ダイアログをディスプレイ14に表示させることが可能となるため、利便性が向上する。
【0047】
なお、上述の説明では、ユーザにより「ディスクトレイ」が選択された場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、S601において、印刷データ700から横方向サイズ情報704、縦方向サイズ情報705を取得し、用紙サイズ案内ダイアログ304に関する情報を判定することで、用紙サイズの選択が「はがき」の場合にも本実施形態を適用することができる。用紙サイズに「はがき」を選択して印刷を実行した場合、印刷データ700に含まれる横方向サイズ情報704は「10000」、縦方向サイズ情報705は「14800」となる。そして、横方向サイズ情報704および縦方向サイズ情報705から、記憶部108に保存されている
図3のリストの「Postcard」の項目を参照する。参照の結果、用紙サイズ案内ダイアログ304の情報として「PaperSettingDialog2」を記憶部108から取得し、対応するダイアログを表示する。
【0048】
また、
図2の給紙方法情報に「DiscTray」の案内ダイアログとして記載されている「PaperSettingDialog1」は
図3の用紙サイズ情報にて、「Disc」の案内ダイアログとしても記載されている。このため用紙の種類選択アイテム405で「プリンタブルディスク」を選択した場合、または用紙サイズ選択アイテム402で「ディスク」を選択した場合、のどちらか一方の場合に、「PaperSettingDialog1」の案内ダイアログは表示される。しかしながら、用紙の種類を「プリンタブルディスク」にした場合は、用紙サイズは「ディスク」以外はサポート範囲外の設定となる。このようにサポート範囲外の設定で印刷を実行した場合は、後述の実施形態で説明するような、印刷可能な設定に変更する処理、または設定不可能な組み合わせの設定がされている旨の案内ダイアログを表示させる処理が行われることになる。
【0049】
また、印刷変換ユーティリティ106は、OS標準印刷機能を使用し、プリンタ110のようなOS標準印刷機能に対応しているプリンタで印刷を行う場合にも用いることができる。具体的には印刷時の設定の機能拡張に用いられ、例えば、OS標準印刷機能では表示することができないような固有のダイアログ表示をさせる場合等に用いられてもよい。尚、プリンタ110がOS標準印刷機能だけでなく、プリンタ固有のプロトコルにも対応していて、OS標準印刷機能よりも詳細な印刷設定に基づく印刷を行わせたい場合には、プリンタ固有のプロトコルに対応した印刷データが送られることになる。
【0050】
<実施形態2>
次に、実施形態2を説明する。実施形態1では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが選択した給紙方法に対応する案内ダイアログがある場合、対応する案内ダイアログを印刷変換ユーティリティ106の表示部109によりディスプレイ14に表示する処理を実行した。実施形態2では、印刷変換ユーティリティ106は、プリンタが表示部を備えているかどうか判定することにより、案内ダイアログの表示方法を変更する処理を行う。具体的には、印刷を行うプリンタが表示部を有する場合に、プリンタの表示部24とPC100のディスプレイ14とのうちの少なくとも一方のユーザが選択した表示部に案内ダイアログを表示させる処理を行う。
【0051】
以下の説明では実施形態1と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106の処理フローとプリンタ本体の表示部とについて説明する。
【0052】
図8は、プリンタの表示部関連情報800を示す図である。表示部関連情報とは、各プリンタが表示部を備えているかどうかを示す情報のことである。プリンタの表示部関連情報800は、あらかじめ印刷変換ユーティリティ106の記憶部108に保持していてもよいし、プリンタと通信して表示部関連情報を取得し、保持してもよい。
図8では、プリンタの表示部関連情報800には、印刷変換ユーティリティ106に対応しているプリンタの一覧を記載する。ここでは例として、プリンタ110、プリンタ130、およびプリンタ140の表示部関連情報について記載している。表示部関連情報800には、プリンタの名称801、表示部情報802が含まれる。表示部情報802は、案内ダイアログを表示可能な表示部を備えているプリンタであれば、「Support」を記載し、案内ダイアログを表示可能な表示部を備えていないプリンタであれば、「None」を記載する。
【0053】
図9は、案内ダイアログの表示先の設定を示す図である。案内ダイアログ表示先設定画面900は、印刷変換ユーティリティ106の環境設定の設定画面として表示される。案内ダイアログ表示先設定画面900には、案内ダイアログの表示先として、アプリケーション表示部設定901およびプリンタ表示部設定902が含まれる。アプリケーション表示部設定901が選択される場合は、印刷変換ユーティリティ106の表示部109によりPCのディスプレイ14に案内ダイアログが表示される。また、プリンタ表示部設定902が選択される場合は、プリンタの表示部24に案内ダイアログが表示されることを示す。印刷実行前にユーザが案内ダイアログ表示先設定画面900の設定を行い、クローズボタン903を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は案内ダイアログ表示先設定画面900を閉じ、案内ダイアログの表示先を変更することができる。ここでは、例としてプリンタ表示部設定902のみチェックが入っている。どちらの項目にもチェックを入れた場合には印刷変換ユーティリティ106の表示部109によるディスプレイ14、およびプリンタの表示部のどちらにも案内ダイアログを表示し、またどちらの項目もチェックを外した場合には案内ダイアログの表示は行わない。
【0054】
図10は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、プリンタに保持している表示部の情報に応じて、印刷変換ユーティリティ106の表示部109への給紙方法案内ダイアログ206の表示方法を変更する処理フローを示す。なお、
図10の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。
図10におけるS1000~S1001およびS1003~S1004は、実施形態1の
図6に記載のS600~S601およびS603~S604と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、
図10において、印刷変換ユーティリティ106が、S1000で印刷データ700を取得し、S1001で印刷データ700から印刷実行プリンタ情報702を取得してS1002に進む。また、S1002で印刷設定に対応する案内ダイアログがあると判定すると、S1006に進む。一方、S1002で印刷設定に対応する案内ダイアログがないと判定すると、S1004に進む。S1006では、印刷変換ユーティリティ106は、表示部関連情報800から、S1001で取得した印刷実行プリンタ情報702と一致するプリンタの名称801を取得し、取得したプリンタの名称801に対応する表示部情報802を判定する。S1006で判定したプリンタの表示部情報802が案内ダイアログを表示可能な表示部を備えているプリンタであることを示す「Support」である場合S1007に進み、それ以外の場合はS1009に進む。
【0056】
S1007では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザにて事前に設定したプリンタ表示部設定902の設定に従い、プリンタに案内ダイアログを表示する設定であるか否かを判定する。プリンタに案内ダイアログを表示する設定である場合には、S1008に進み、それ以外の場合はS1009に進む。
【0057】
S1008では、印刷変換ユーティリティ106は、NW通信制御部を介してプリンタの表示部に案内ダイアログを表示するようにプリンタに指示を送信し、S1009に進む。
【0058】
S1009では、印刷変換ユーティリティ106は、アプリケーション表示部設定901の設定に従い、印刷変換ユーティリティ106の表示部109が案内ダイアログを表示する設定であるか否かを判定する。印刷変換ユーティリティ106の表示部109が案内ダイアログを表示する設定である場合には、S1003で印刷変換ユーティリティ106の表示部109が案内ダイアログを表示し、それ以外の場合はS1004で印刷を実行する。S1004では、印刷変換ユーティリティ106は、S1000で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、NW通信制御部を介してプリンタに印刷データを送信して処理を終了する。
【0059】
これにより、ユーザはパネルなどの表示部を持つプリンタを使用して印刷を実行する場合には、プリンタ本体で用紙のセット方法を確認しながら用紙をセットすることが可能となるため、操作性が向上する。
【0060】
また、本実施形態では、印刷変換ユーティリティ106の表示部109によるディスプレイ14への表示と、プリンタの表示部への表示と、の両方に案内ダイアログを表示させることで、ユーザにとって用紙のセット方法をさらに確認しやすくすることができる。一方、印刷変換ユーティリティ106の表示部109とプリンタの表示部との両方で案内ダイアログを表示させないようにすることにより、用紙のセット方法を理解しているユーザにとって印刷を止めずに実行することができる。
【0061】
以上、本実施形態においては、印刷変換ユーティリティ106は、プリンタの表示部の有無と表示方法の設定とに応じて、プリンタおよび印刷変換ユーティリティの表示部109に案内ダイアログを表示させることが可能となるため操作性が向上する。
【0062】
<実施形態3>
次に、実施形態3を説明する。実施形態1および2では、印刷変換ユーティリティ106は、印刷を実行するPC100内に存在していることを想定した。実施形態3では、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC100以外のPCから、印刷変換ユーティリティ106を介して、プリンタで印刷を行う。
【0063】
以下の説明では実施形態1および2と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1および2と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC以外から印刷変換ユーティリティ106を介した処理フローについて説明する。
【0064】
まずは、
図1を用いて本実施形態の印刷システムの構成について説明する。PC120は、アプリケーション121、OS印刷システム122、およびネットワーク(NW)通信制御部124を備える。OS印刷システム122は、OS標準印刷制御部123を備える。OS印刷システム122は、OS印刷システム102と同一であり、またNW通信制御部124はNW通信制御部104と同一であるため、説明は省略する。また、PC120は印刷変換ユーティリティを有していてもよく有していなくてもよい。つまり、印刷変換ユーティリティを有するPCにおいても、自身ではなく、ネットワークにつながる他のPCの印刷変換ユーティリティを使用して印刷を行ってもよい。
【0065】
次に、PC120からの印刷指示の際の流れを説明する。PC100と異なる点として、OS標準印刷機能に非対応のプリンタ130の印刷ジョブであれば、OS印刷システム122は生成した印刷データを、NW通信制御部を介してPC100の印刷変換ユーティリティ106が起動した仮想プリンタ105に送信する。
【0066】
図11は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、印刷指示を送信するPCに応じて、印刷変換ユーティリティ106の表示部109への給紙方法案内ダイアログ206の表示方法を変更する処理フローを示す。なお、
図11の処理フローは、PC120に表示されている印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。
図11におけるS1100~S1101およびS1103~S1104は、実施形態1の
図6記載のS600~S601およびS603~S604と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、
図11において印刷変換ユーティリティ106は、S1101で印刷ジョブ700から印刷指示を送信するPCのアドレス情報701を取得してS1102に進む。アドレス情報701は、ネットワーク上における機器のIPアドレス(IPv4/IPv6)やMacアドレス等の情報である。そしてS1102において印刷変換ユーティリティ106は、ダイアログ表示が必要な設定値が選択されたと判定すると、S1110に進む。S1110では、印刷変換ユーティリティ106は、S1101で取得したアドレス情報701を参照して、他の情報処理装置からの印刷であるかを判定する。即ち、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC100と印刷指示を送信するPCが異なるPCであるかを判定する。S1110における判定が、異なるPCである場合には、S1111に進み、それ以外の場合はS1103に進む。S1111では、標準印刷プロトコルに従って、印刷指示を送信するPCに通知を行い、S1104に進む。なお、S1111において、印刷変換ユーティリティ106はOS標準機能のプロトコルを使用することでPC120のOS印刷システム122にエラーとして通知を送信する。この通知は、プリンタでエラーを確認することを促す通知であり、OS印刷システム122は、NW通信制御部を介して通知を受けると、ダイアログではなく、PC画面にプリンタを確認することを示すメッセージを表示する。これにより、PC120から印刷を実行したユーザは、プリンタ本体に表示部を有する場合に、プリンタで表示を確認しながら用紙をセットすることが可能となる。
【0068】
S1104では、印刷変換ユーティリティ106は、S1100で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、NW通信制御部を介してプリンタに印刷データを送信して処理を終了する。
【0069】
以上説明してきたように、印刷変換ユーティリティ106を起動していないPCが印刷指示を送信した場合は、当該PCに案内ダイアログに代わってOS標準機能のプロトコルを使用したエラー確認を促す旨の通知が送信されるため、操作性の向上につながる。また、上述した通り、案内ダイアログ自体は表示させないため、印刷を止めることなくスムーズに実行することができる。
【0070】
<実施形態4>
次に、実施形態4を説明する。実施形態4では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが印刷不可能な組み合わせの印刷設定で印刷を実行した場合に、再度印刷設定を受け付ける再印刷設定画面(以下、再設定画面という)の表示処理を行う。
【0071】
以下の説明では、実施形態1~3と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1~3と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106での再設定画面の処理について説明する。
【0072】
従来の固有プリンタドライバでは、ユーザが設定不可能な組み合わせの印刷設定で印刷を実行すると、
図12に示すような印刷設定不一致案内ダイアログ1200をPC画面に表示するように制御している。ユーザは、印刷設定不一致案内ダイアログ1200の案内メッセージ1201を確認し、OKボタン1202を押下すると、プリンタドライバが印刷設定不一致案内ダイアログ1200を閉じ、印刷を実行する前の印刷設定画面に戻ることができる。また、従来のプリンタドライバでは、印刷設定画面で使用できない設定値をグレーアウトしてユーザが選択できないように制御している。一方、OS印刷システムの場合、印刷実行時の案内ダイアログの表示、または使用できない設定値のグレーアウト、を行うことができないようなOS印刷システムもある。そのようなOS印刷システムを用いて印刷指示を行う場合、ユーザは、使用できない設定値の組み合わせを選択して印刷を実行した場合、所望の印刷結果を得られない可能性がある。本実施形態では、使用できない設定値の組み合わせを選択して印刷を実行した場合、印刷変換ユーティリティに印刷設定画面を表示させ、設定可能な組み合わせの印刷設定に設定し直すことを可能にする。
【0073】
次に、ユーザが使用できない設定値の組み合わせを選択して印刷を行う場合の印刷変換ユーティリティ106の表示部109について、
図4(b)および
図13、
図14を用いて説明する。
図4(b)は、
図4(a)と同様にOS標準印刷機能により提供される印刷設定画面400を示す模式図である。
図4(b)の印刷設定画面400では例として、用紙サイズ選択アイテム402において「ディスクサイズ」が選択され、両面印刷選択アイテム403において「両面印刷」が選択されている。
図13は、使用できない設定値の組み合わせが選択された場合に表示される、設定値の再設定を案内する案内ダイアログ1300を示す模式図である。案内領域1301には、設定できない組み合わせが選択されたことと、印刷を実行するためには設定値を変更する必要があることとを示す案内が表示される。案内ダイアログ1300においてユーザがキャンセルボタン1302を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は本ダイアログを閉じて印刷ジョブを終了する。案内ダイアログ1300においてユーザがOKボタン1303を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は本ダイアログを閉じて
図14に示す再設定画面を表示する。
【0074】
図14は、印刷変換ユーティリティ106における再設定が必要な箇所のみを示す再設定画面1400の模式図である。印刷変換ユーティリティ106が提供する再設定画面1400は、用紙サイズ選択アイテム1401、および両面印刷選択アイテム1402を含む。またキャンセルボタン1403、および印刷ボタン1404を含む。用紙サイズ選択アイテム1401は、プリンタで使用可能な用紙サイズを選択することができ、印刷設定画面400の用紙サイズ選択アイテム402で選択した用紙サイズからの変更を受け付ける。両面印刷選択アイテム1402は、両面印刷の設定を行うことができ、印刷設定画面400の両面印刷選択アイテム403で選択した両面印刷設定からの変更を受け付ける。
【0075】
図15は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、印刷変換ユーティリティ106の表示部109へ再設定画面1400を通知する処理フローを示す。なお、
図15の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。
【0076】
本実施形態では、印刷変換ユーティリティ106の処理フローについて、
図15のフローチャートを用いて説明する。S1500では、印刷変換ユーティリティ106は、OS印刷システム102から印刷データ700を取得し、S1501に進む。
【0077】
S1501では、印刷変換ユーティリティ106は、S1500で取得した印刷データ700から用紙サイズとして横方向サイズ情報704、縦方向サイズ情報705および両面印刷設定情報708を取得する。さらに、取得した用紙サイズに対応する両面印刷情報306に関する情報を記憶部108から取得して、S1502に進む。例えば、ユーザにより選択された用紙サイズが「ディスク」の場合、記憶部108に保存されている
図3のリストの「Disc」の項目を記憶部108から取得する。なお、用紙サイズに関する情報は、プリンタから取得して記憶部108に保存してもよい。
【0078】
S1502では、印刷変換ユーティリティ106は、S1501で取得した両面印刷情報を判定する。両面印刷情報が「Support」の場合は、ユーザが選択した用紙サイズで両面印刷が使用できると判定し、S1505の印刷実行に進む。S1505では、印刷変換ユーティリティ106は、S1200で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、NW通信制御部を介してプリンタに印刷データを送信して処理を終了する。両面印刷情報が「Support」以外で両面印刷設定情報708が両面設定を示す「two-sided」に設定されている場合には、ユーザが印刷設定で選択した設定値の組み合わせが使用できないと判定し、S1503に進む。S1503では、印刷変換ユーティリティ106は、S1502で判定した情報をもとに再設定画面1400を生成する。ユーザが選択した用紙サイズでは両面印刷ができないため、用紙サイズと両面印刷をユーザに再度選択させる再設定画面1400を生成し、S1504に進む。S1504では、印刷変換ユーティリティ106は、S1503で生成した再設定画面1400を印刷変換ユーティリティ106の表示部109に表示し、ユーザからの入力を受け付ける。なお、S1504では、
図13に示す案内ダイアログ1300を表示した後に再設定画面1400を表示してもよい。もしくは、
図13の案内ダイアログに記載の案内文と共に再設定画面1400を表示してもよい。再設定画面1400では、使用できない組み合わせの印刷設定が選択された場合、再度
図13に示すような案内ダイアログを表示することができる。また、印刷変換ユーティリティ106が提供する再設定画面の場合、使用できない設定値をグレーアウトすることで、ユーザに選択させないようにすることができる。再設定画面1400においてユーザがキャンセルボタン1403を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は、再設定画面1400を閉じて処理を終了する。再設定画面1400においてユーザが印刷ボタン1404を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は印刷ジョブの用紙サイズおよび両面印刷の設定値を用紙サイズ選択アイテム1401及び両面印刷選択アイテム1402の設定値に変更する。即ち、印刷データ700の用紙サイズおよび両面印刷の設定値を更新する。さらに、再設定画面1400を閉じてS1501に戻る。
【0079】
以上説明してきたように、本実施形態においては、印刷変換ユーティリティは、表示部109に再設定画面を表示して印刷設定を受け付けることで、ユーザは変更が必要な印刷設定を確認することが可能となるため、利便性が向上する。また、この場合ユーザは再度、印刷設定画面400において印刷設定をやり直す必要がなくなり、さらに利便性が向上する。
【0080】
なお、上述の説明では、ユーザにより「ディスク」サイズと「両面印刷」とが選択された場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、
図3のリストの「Postcard」の用紙幅302は、
図2のリストの「Tray1」の最小用紙幅204より小さいため、「Tray1」では「Postcard」を使用することができない。このように特定の給紙方法で使用できる用紙サイズに制限がある場合にも、本実施形態を適用することができる。
【0081】
なお、本実施形態は、OS標準印刷機能に対応しているプリンタ、およびOS標準印刷機能に対応していないプリンタのどちらにも適用することができる。印刷実行時の案内ダイアログの表示、または使用できない設定値のグレーアウトを行うことができないOS印刷システムを使用する場合において、印刷変換ユーティリティ106を用いることで、上記の問題を解消することができる。
【0082】
<実施形態5>
次に、実施形態5を説明する。実施形態4では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが選択した用紙サイズで両面印刷をサポートしていない場合、表示部109に再設定画面を表示する処理を実行した。第5の実施形態では、印刷変換ユーティリティ106は、プリンタ本体の設定値を取得することにより再設定画面の表示方法を変更する処理を行う。本実施形態は、実施形態4と同様に、印刷設定画面にて用紙サイズ「ディスク」、および「両面印刷」が選択されることを前提に説明をしていく。
【0083】
以下の説明では実施形態1~4と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1~4と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106の処理フローおよびプリンタ本体の設定値について説明する。
【0084】
図16は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、プリンタ本体の用紙設定に応じて、印刷変換ユーティリティ106の表示部109が表示する再設定画面1400の表示方法を変更する処理フローを示す。なお、
図16の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。なお、
図16におけるS1601~S1602およびS1604~S1605は、実施形態4の
図15記載のS1501~S1502およびS1504~S1505と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、
図16において印刷変換ユーティリティ106は、S1600で印刷データ700を取得するとS1607に進む。S1607では、印刷変換ユーティリティ106は、本体設定値を取得してS1601に進む。ここでは例として、プリンタ本体にセットされている用紙サイズを本体設定値として取得する。本体設定値はプリンタ本体と通信して取得してもよいし、印刷実行前にユーザが印刷変換ユーティリティ106に設定していたものを取得してもよい。S1603では、印刷変換ユーティリティ106は、S1602で判定した情報と、S1607で取得した本体設定値をもとに再設定画面を生成する。例えば、プリンタ本体に「A4」サイズがセットされている場合、S1607では、印刷変換ユーティリティ106は、本体設定値として「A4」サイズを取得する。S1603では、印刷変換ユーティリティ106は、S1607で取得した本体設定値をもとに用紙サイズ選択アイテム1401に「A4」を表示し、両面印刷選択アイテム1402のみを設定することができる再設定画面を生成する。再設定画面で印刷可能な設定をした場合、印刷変換ユーティリティ106は、S1600で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、プリンタ送信し、処理を終了する。これにより、ユーザはプリンタ本体にセットした用紙に基づいて印刷設定をすることが可能となるため、利便性が向上する。
【0086】
以上説明してきたように、本実施形態においては、ユーザがプリンタ本体にセットした用紙に基づき、印刷変換ユーティリティは、表示部109に再設定画面を表示することが可能となるため、利便性が向上する。
【0087】
なお、上述の説明では、ユーザによりプリンタ本体に「A4」サイズがセットされ、印刷設定画面で「ディスク」サイズと「両面印刷」とが選択された場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、プリンタ本体に「ディスク」サイズがセットされている場合には、
図3の両面印刷情報306から「ディスク」サイズは両面印刷を使用することができない。よって、S1603では、用紙サイズ選択アイテム1401に「ディスク」を表示し、両面印刷選択アイテム1402は設定することができない再設定画面を生成する。このように使用できる機能制限がある用紙サイズの場合にも、本実施形態を適用することができる。
【0088】
<実施形態6>
次に、実施形態6を説明する。実施形態4および5では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが選択した用紙サイズでの両面印刷をサポートしていない場合、用紙サイズと両面印刷の再設定をすることを可能にするための再設定画面を生成する処理を実行した。実施形態で6は、印刷変換ユーティリティ106は、用紙サイズおよび両面印刷以外の設定値、および印刷プレビューを含めて再設定画面を表示する処理を行う。
【0089】
以下の説明では実施形態1~5と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1~5と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106の設定項目表示設定と処理フローについて説明する。
【0090】
図17は、再設定画面の表示項目の設定を示す図である。印刷変換ユーティリティ106が表示する再印刷表示項目設定画面1700には、再印刷設定の表示項目として、印刷プレビュー表示設定1701、詳細項目表示設定1702が含まれる。印刷実行前にユーザが再印刷表示項目設定画面1700の設定を行い、クローズボタン1703を押下すると、印刷変換ユーティリティ106は再印刷表示項目設定画面1700を閉じ、再設定画面の設定項目を変更することができる。ここでは、例として印刷プレビュー表示設定1701、および詳細項目表示設定1702にチェックが入っている。この場合の再設定画面を
図18に示す。
【0091】
図18は、印刷変換ユーティリティ106により提供される印刷プレビューと設定可能なすべての設定項目を含む再設定画面1800を示す模式図である。再設定画面1800は、印刷を実行させるプリンタを選択するためのプリンタ選択アイテム1801、用紙サイズ選択アイテム1802、両面印刷選択アイテム1803、部数選択アイテム1804、および用紙の種類選択アイテム1805を含む。また、給紙方法選択アイテム1806、印刷プレビュー領域1807を含む。また、キャンセルボタン1808、および印刷ボタン1809を含む。なお、印刷変換ユーティリティ106は、登録したプリンタの情報を保持しており、
図18のプリンタ選択アイテム1801には、印刷変換ユーティリティ106が、過去に仮想プリンタとして登録したプリンタのリストを表示することが可能である。
【0092】
例えば、印刷変換ユーティリティ106が過去にプリンタ110およびプリンタ130を仮想プリンタ105として登録しており、プリンタ140は過去に登録していない場合を考える。この場合プリンタ選択アイテム1801に表示されるのは、プリンタ110およびプリンタ130のみとなる。また、ここで別のプリンタが選択された場合(例えば初期設定ではプリンタ110を選択していたが再設定画面1800でプリンタ130に変更した場合)は、変更後のプリンタの各印刷設定の情報を印刷変換ユーティリティが表示する。プリンタの機種に応じた各印刷設定の情報は、あらかじめ印刷変換ユーティリティの記憶部に保持していてもよいし、プリンタと通信して取得し、保持してもよい。
【0093】
図19は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、再印刷表示項目設定画面1700の設定に応じて、印刷変換ユーティリティ106の表示部109への再設定画面1400の表示方法を変更する処理フローを示す。なお、
図19の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。なお、
図19におけるS1900~S1901およびS1903~S1905は、実施形態4の
図15記載のS1500~S1501およびS1503~S1505と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
本実施形態では、
図19においてS1902でユーザが印刷設定で選択した設定値の組み合わせが使用できないと判定した場合、S1908に進む。S1908では、印刷変換ユーティリティ106は、再設定画面で表示させたい項目が選択されているかを判定する。具体的には、再印刷表示項目設定画面1700にて、印刷プレビュー表示設定1701、および詳細項目表示設定1702の少なくとも一方の設定が選択されているか判定する。再印刷表示項目設定画面1700の印刷プレビュー表示設定1701、または詳細項目表示設定1702のどちらかの設定が選択されている場合、S1909に進み、それ以外の場合はS1903に進む。
【0095】
S1909では、印刷変換ユーティリティ106は、再印刷表示項目設定画面1700の選択をもとに、再設定画面1800を生成してS1904に進み、印刷変換ユーティリティ106の表示部109に表示する。その後、S1902において、印刷変換ユーティリティ106は、再設定した内容で印刷可能と判定した場合はS1905に進む。S1905において、印刷変換ユーティリティ106は、S1900で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、プリンタに印刷データを送信し、処理を終了する。
【0096】
これにより、ユーザは変更が必要な印刷設定に限らず詳細な印刷設定が可能となるため、利便性が向上する。また、再設定画面1800では、プリンタの機能に応じてOS標準印刷機能が提供する印刷設定画面400で設定できない印刷設定を表示してもよい。例えば、プリンタで特殊なインクを使用できる場合、特殊インクに関する設定を再設定画面1800に表示してユーザからの入力を受け付けてもよい。これにより、ユーザはOS標準印刷機能では設定できない印刷設定を印刷変換ユーティリティ106の表示部109で設定することが可能となる。また、S1902の判定結果によらず、印刷実行時には常にプリンタで設定可能なすべての設定項目を含む再設定画面を印刷変換ユーティリティ106の表示部109に表示してもよい。さらに、ユーザに常に再設定画面を表示するか、使用できない設定値の組み合わせの場合のみ再設定画面を表示するかを印刷変換ユーティリティ106で設定できるようにしてもよい。
【0097】
以上、説明してきたように、本実施形態においては、ユーザが選択した再設定画面の表示項目に基づいた再設定画面を表示することで、ユーザにとって必要な印刷設定を行うこと、または印刷プレビューを確認することが可能になり、利便性が向上する。
【0098】
<実施形態7>
次に、実施形態7を説明する。実施形態4~6では、印刷変換ユーティリティ106は、印刷を実行する同一のPC内に存在していることを想定した。実施形態7では、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC100以外のPCから、印刷変換ユーティリティ106を介して、プリンタで印刷を行う。
【0099】
以下の説明では実施形態1~6と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、以下では、実施形態1から6と異なる点として、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC以外から印刷変換ユーティリティ106を介した処理フローについて説明する。
【0100】
図20は、印刷変換ユーティリティ106が実行する処理のフローチャートを示す。より詳細には、印刷変換ユーティリティ106の印刷制御部150が、印刷指示を送信するPCに応じて、印刷変換ユーティリティ106の表示部109への再設定画面1400の表示方法を変更する処理フローを示す。なお、
図20の処理フローは、印刷設定画面400において、ユーザにより印刷ボタン409が選択され、印刷ジョブを印刷変換ユーティリティ106が取得することで開始される。
図20におけるS2000およびS2003~S2005は、実施形態4の
図15記載のS1500およびS1503~S1505と同様であるので、説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、
図20において印刷変換ユーティリティ106は、S2001で印刷ジョブ700から印刷指示を送信するPCのアドレス情報701を取得する。そしてS2002において、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが印刷設定で選択した設定値の組み合わせが使用できないと判定すると、S2010に進む。S2010では、印刷変換ユーティリティ106は、S2001で取得したアドレス情報701を参照して、印刷変換ユーティリティ106が起動しているPC100と印刷指示を送信するPCが異なるPCであるかを判定する。S2010における判定が、異なるPCである場合には、S2011に進み、それ以外の場合はS2003に進む。S2011では、印刷変換ユーティリティ106は、ユーザが選択した設定値を印刷変換ユーティリティ106が変更してS2005に進む。例えば、ユーザにより「ディスク」サイズと「両面印刷」とが設定されていた場合、両面印刷の設定を変更してS2005に進む。S2005において、印刷変換ユーティリティ106は、S2000で取得した印刷データ700を、プリンタ130固有のプロトコルに対応した印刷データに変換し、変換した印刷データを、プリンタに印刷データを送信して処理を終了する。
【0102】
これにより、ユーザは印刷変換ユーティリティ106が起動していないPC120から印刷変換ユーティリティ106を介して印刷を実行する場合には、印刷を止めることなく印刷を開始することが可能となるため、利便性が向上する。
【0103】
<その他の実施形態>
実施形態1~7における印刷システムは、PCとプリンタとが特定の双方向インタフェースで接続された構成をとっているが、この例に限られない。つまり、PCとプリンタの機能が一体となった装置一体型の印刷システムであってもよい。
【0104】
また、上述した実施形態は適宜組み合わせてもよい。例えば、実施形態1と4とを組み合わせることで、印刷設定が印刷実行可能な組み合わせの場合は、使用方法に関する案内ダイアログを表示させ、印刷不可能な組み合わせの場合は、再設定画面を表示させるようにすることができる。
【0105】
また、本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 PC
102 OS印刷システム
106 印刷変換ユーティリティ
108 記憶部
109 表示部
110 プリンタ