(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
A47J27/00 103Z
(21)【出願番号】P 2021007308
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】源 忠孝
(72)【発明者】
【氏名】村井 隆男
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-119419(JP,A)
【文献】特開2009-279237(JP,A)
【文献】特開2013-223705(JP,A)
【文献】特開2005-052238(JP,A)
【文献】特開2013-202208(JP,A)
【文献】特開2018-198868(JP,A)
【文献】特開2014-217412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と、
前記収容部を開閉する蓋体と、
前記蓋体に取り付けられるモータと、
前記蓋体に取り付けられ前記モータによって回転する駆動軸と、
前記モータによって回転し、前記収容部に収容される内容物を撹拌する撹拌部と、
前記モータの回転力を前記撹拌部に伝え、且つ、前記撹拌部を前記駆動軸に着脱可能に磁力で保持する保持部と、を備え
、
前記保持部の空回りを抑制する回転抑制部が設けられており、
前記保持部は、前記撹拌部の前記モータ側の面に形成された接続部を含み、
前記回転抑制部は、前記接続部における前記駆動軸との接続側端部に形成されたフランジに形成された開口部と、前記駆動軸における前記接続部との接続側端部に形成されたフランジに形成された係合部であって、前記開口部と係合する係合部とを含み、
前記係合部には、前記係合部が前記開口部に係合された状態で、前記開口部の内周面に当接する位置であって、前記駆動軸が回転する方向に切欠部が形成されていることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記保持部は、
前記撹拌部を、前記磁力の吸着力で保持する、請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記保持部と前記撹拌部との前記磁力による吸着面は、それぞれ平面である、請求項2に記載の調理器。
【請求項4】
前記保持部は、
前記撹拌部を、前記磁力の反発力で保持する、請求項1に記載の調理器。
【請求項5】
前記保持部は、前記モータの回転軸と、前記回転軸の側面に設けられた第1磁石とを含み、
前記撹拌部は、前記回転軸を受けて当該回転軸と嵌合する軸受部を含み、
前記軸受部内には、第2磁石が設けられ、前記第2磁石は、前記第1磁石と対向する側が、当該第1磁石における当該第2磁石と対向する側の極性と同じ極性であり、且つ、前記回転軸が前記軸受部に軸受されている状態で、前記第1磁石に重ならず、且つ、当該第1磁石よりも前記軸受部の入口側に設けられている、請求項
4に記載の調理器。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の調理器であって、
前記収容部に収容された内容物を加熱する加熱部を備えた調理器。
【請求項7】
収容部と、
前記収容部を開閉する蓋体と、
前記蓋体に取り付けられるモータと、
前記蓋体に取り付けられ前記モータによって回転する駆動軸と、
前記モータによって回転し、前記収容部に収容される内容物を撹拌する撹拌部と、
前記モータの回転力を前記撹拌部に伝え、且つ、前記撹拌部を前記駆動軸に着脱可能に磁力で保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、
前記撹拌部を、前記磁力の反発力で保持することを特徴とする調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を撹拌しながら調理する調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、内鍋の内部に収容した食材を例えばヒータにて加熱して調理する加熱調理器が提案されている。この種の加熱調理器は、調理器本体と蓋体とを備え、調理器本体が内鍋を有し、蓋体が内蓋および外蓋を有している。内鍋は、調理器本体に対して蓋体を閉じることにより、内蓋によって蓋をされる。
【0003】
特許文献1に記載の加熱調理器は、内鍋の内部の食材を撹拌しながら加熱することができる加熱調理器である。撹拌に用いられる撹拌装置は、例えば内蓋の表面側(蓋を閉じたときに内鍋に対向する面)に設けられ、回転体および2本の撹拌アームを有する。この2本の撹拌アームが回転体から下方へ延びた状態となり、撹拌装置自体を回転させることによって、当該2本の撹拌アームが回転して内鍋の内部の食材を撹拌するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の加熱調理器では、撹拌装置は内蓋から突出するように設けられているため、調理器本体に対して内鍋を着脱する際に、撹拌装置が邪魔になる場合がある。このような場合、内鍋の着脱時に、撹拌装置を取り外す必要があった。このため、撹拌装置の着脱を容易にすることが望まれる。
【0006】
本発明の一態様は、撹拌装置の着脱を容易にすることが可能な調理器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る調理器は、収容部と、前記収容部を開閉する蓋体と、前記蓋体に取り付けられるモータと、前記蓋体に取り付けられ前記モータによって回転する駆動軸と、前記モータによって回転し、前記収容部に収容される内容物を撹拌する撹拌部と、前記モータの回転力を前記撹拌部に伝え、且つ、前記撹拌部を前記駆動軸に着脱可能に磁力で保持する保持部と、を備え、前記保持部の空回りを抑制する回転抑制部が設けられており、前記保持部は、前記撹拌部の前記モータ側の面に形成された接続部を含み、前記回転抑制部は、前記接続部における前記駆動軸との接続側端部に形成されたフランジに形成された開口部と、前記駆動軸における前記接続部との接続側端部に形成されたフランジに形成された係合部であって、前記開口部と係合する係合部とを含み、前記係合部には、前記係合部が前記開口部に係合された状態で、前記開口部の内周面に当接する位置であって、前記駆動軸が回転する方向に切欠部が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る調理器は、収容部と、前記収容部を開閉する蓋体と、前記蓋体に取り付けられるモータと、前記蓋体に取り付けられ前記モータによって回転する駆動軸と、前記モータによって回転し、前記収容部に収容される内容物を撹拌する撹拌部と、前記モータの回転力を前記撹拌部に伝え、且つ、前記撹拌部を前記駆動軸に着脱可能に磁力で保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記撹拌部を、前記磁力の反発力で保持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、撹拌装置の着脱を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
【
図3】
図1に示す加熱調理器の蓋体と撹拌装置との取付け関係を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す加熱調理器が備える撹拌装置の斜視図である。
【
図5】実施形態1の変形例1に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図7】
図6に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図8】実施形態2の変形例1に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図9】
図8に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図10】実施形態2の変形例2に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図11】
図10に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態3に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図14】
図13に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図15】実施形態3の変形例1に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図16】
図15に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図17】実施形態4に係る撹拌装置の概略断面図である。
【
図18】
図17に示した撹拌装置を駆動軸から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図19】
図17に示した撹拌装置の駆動軸への装着過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、本実施形態では、本発明の調理器の例として、撹拌アームが一つの撹拌装置を備えた加熱調理器について説明する。
【0011】
(加熱調理器101の構造)
図1は、本実施形態の加熱調理器101を示す斜視図である。
【0012】
加熱調理器101は、
図1に示すように、調理器本体部(筐体:加熱部)11と蓋体12とを備えている。調理器本体部11と蓋体12とは後部の回転支持部13によって連結されている。したがって、蓋体12は回転支持部13を中心として回転し、調理器本体部11に対して開閉自在となっている。
【0013】
調理器本体部11は内鍋(収容部)14を有し、内鍋14は、調理器本体部11の内部の凹部に出し入れ自在に収納されている。
【0014】
蓋体12は、外蓋15と内蓋16とを有する。外蓋15は、蓋体12の筐体部となっており、主として樹脂にて形成されている。内蓋16は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属材料により円板状に形成され、蓋体12を閉じたときに、内鍋14の蓋となり、内鍋14の上面を塞ぐようになっている。内蓋16は、外蓋15の内面に設けられ、例えば外周部分を外蓋15に嵌合させることにより、外蓋15に対して着脱自在となっている。内蓋16の表面(内鍋14を内蓋16で蓋をしたときに当該内鍋14に対向する面)16aには、内鍋14に収容された食材を撹拌するための1本の撹拌アーム22を有する撹拌装置(撹拌部)21が設けられている。撹拌装置21の保持についての詳細について以下に説明する。
【0015】
(撹拌装置21)
図2は、加熱調理器101の蓋体12を閉じた状態の概略断面図である。
図3は、撹拌装置21を蓋体12から取り外した状態を示す斜視図である。
図4は、撹拌装置21の表面21aから見た斜視図である。ここで、撹拌装置21において撹拌アーム22が回動する側の面を表面21a、反対側の面を裏面21bとする。
【0016】
撹拌装置21は、裏面21bに駆動モータ31の駆動軸(保持部)32が接続される接続部(保持部)24が設けられている。接続部24は、撹拌装置21の裏面21bの一端部に設けられており、先端部24aに磁石25が装着されている。一方、駆動軸32は、接続部24が接続される側の先端部32aに磁石33が装着されている。また、撹拌装置21側の磁石25における、磁石33に対向する吸着面25aと、駆動軸32側の磁石33における、磁石25と対向する吸着面33aは、互いに逆極性である。従って、撹拌装置21の接続部24は、磁力の吸着力によって駆動軸32に保持される。つまり、撹拌装置21は、磁力の吸着力によって駆動軸32に接続されているといえる。このように、撹拌装置21は、駆動軸32に磁力によって吸着保持されているだけなので、撹拌装置21を駆動軸32から容易に取り外したり、容易に取り付けたりすることができる。つまり、撹拌装置21の駆動軸32への着脱を容易にすることができる。また、磁石25の吸着面25aおよび磁石33の吸着面33aはいずれも平面である。
【0017】
撹拌装置21の接続部24が駆動軸32に対して磁力によって吸着保持されていることで、駆動モータ31の駆動力が駆動軸32を伝わり、当該駆動軸32に係合状態で接続している接続部24に伝わり、当該接続部24を中心に撹拌装置21自体が回転する。
【0018】
また、撹拌装置21が備える撹拌アーム22は、一端部が接続部24の形成位置から離れた側面21cで支持軸23によって軸支され、回動自在となっている。なお、撹拌アーム22は、自重により回動するようになっている。つまり、撹拌アーム22は、撹拌装置21の表面21aが上を向いている間は回動せず、撹拌装置21の裏面21bが上を向いている間は下側に回動する。このように、撹拌アーム22が自重により回動する構成となっているため、撹拌装置21内には、撹拌アーム22を駆動するためのモータやモータの駆動力を伝達するためのギヤ等は設けられていない。
【0019】
従って、撹拌装置21の軽量化、且つ小型化を実現することができるため、撹拌装置21を備えた加熱調理器101の小型化を図ることができる。
【0020】
また、撹拌装置21は、上述したように、接続部24の先端部24aに装着された磁石25が、蓋体12側の駆動軸32の先端部32aに装着された磁石33に吸着されているだけなので、駆動軸32から容易に取り外したり、取り付けたりすることができる。さらに、磁石25の吸着面25aと磁石33の吸着面33aとが平面であるので、吸着面25aと吸着面33aとが曲面の場合よりも撹拌装置21を駆動軸32に対してしっかり固定できる。従って、上記構成の加熱調理器101によれば、撹拌装置21を駆動軸32に対してしっかり固定しつつ、撹拌装置21を駆動軸32に対して容易に着脱可能にできるという顕著な効果を奏する。
【0021】
このように、撹拌装置21は、駆動軸32に対して磁力で吸着保持されているため、駆動軸32から容易に取り外したり、取り付けたりすることができる。撹拌装置21を駆動軸32からさらに容易に取り外すための構成について以下に説明する。
【0022】
(変形例1)
図5は、変形例1にかかる撹拌装置121の概略断面図である。ここで、撹拌装置121において撹拌アーム22が回動する側の面を表面121a、反対側の面を裏面121bとする。
【0023】
撹拌装置121は、基本的な構成は、
図1等に示す撹拌装置21と同じである。しかしながら、撹拌装置121の裏面121bに、接続部24と反対側の端部が外側に向かって内蓋16の表面16aから徐々に遠ざかるように傾斜している傾斜面121cが形成されている点で、撹拌装置121と異なる。具体的には、撹拌装置121の裏面121bにおける、接続部24から離れた、撹拌アーム22を軸支している支持軸23に対向する面が下向きに傾斜して傾斜面121cを形成している。
【0024】
このように、撹拌装置121の裏面121bに傾斜面121cが形成されることで、裏面121bと内蓋16の表面16aとの間に形成される隙間を大きくすることができる。この隙間にユーザの指を掛けて、撹拌装置121に対して
図5に示す矢印方向に回動するように力を加えれば、磁石25と磁石33との吸着面を支点して撹拌装置121が矢印方向に回動して、駆動軸32から撹拌装置121を容易に取り外すことができる。
【0025】
なお、本実施形態では、磁石25の吸着面25aと磁石33の吸着面33aとが磁力によって平面吸着しているので、ある程度の固定強度を維持することができる。しかしながら、撹拌装置21、又は、撹拌装置121を回転させた場合に、磁力よりも回転力が大きくなったとき、駆動軸32が空回りし、磁石25の吸着面25aと磁石33の吸着面33aとの吸着が意図しないで解除される恐れがある。以下の実施形態2,3では、磁石25の吸着面25aと磁石33の吸着面33aとの吸着が容易に解除されない構成について説明する。
【0026】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。なお、本実施形態の加熱調理器は、前記実施形態1と殆ど同じ構成であるため、異なる構成、すなわち、撹拌装置とその接続構成について説明する。
【0027】
図6は、本実施形態に係る撹拌装置221の概略断面図である。
図7は、
図6に示した撹拌装置221を駆動軸232から取り外した状態を示す斜視図である。ここで、撹拌装置221において撹拌アーム22が回動する側の面を表面221a、反対側の面を裏面221bとする。
【0028】
撹拌装置221は、裏面221bに形成された接続部224の先端部224aの内周面224bを曲面でなく複数の平面を繋ぎ合わせた多面(
図7では、8面)形状にする。一方、駆動軸232の先端部232aの外周面232bを曲面ではなく複数の平面を繋ぎ合わせた多面形状にする。この外周面232bは、接続部224の先端部224aの内周面224bに合わせて8面形状としている。内周面224bは、外周面232bよりも若干小さめに形成されている。これにより、接続部224の先端部224aに駆動軸232の先端部232aを挿入した場合に、接続部224の先端部224aの内周面224bと、駆動軸232の先端部232aの外周面232bとを密着させることができる。これにより、駆動軸232が回転する際に、磁力よりも回転力が強くなっても、駆動軸232が空回りすることなく、回転力を接続部224に伝えることができるので、撹拌装置221を適切に回転させることができる。つまり、接続部224の先端部224aの内周面224bと、駆動軸232の先端部232aの外周面232bとによって、駆動軸232が空回りすることを抑制する回転抑制部を構成している。
【0029】
上記構成の撹拌装置221以外の駆動軸232の空回りを抑制するための構成について以下の変形例1,2において説明する。
【0030】
(変形例1)
図8は、本変形例1に係る撹拌装置321の概略断面図である。
図9は、
図8に示した撹拌装置321を駆動軸332から取り外した状態を示す斜視図である。ここで、撹拌装置321において撹拌アーム22が回動する側の面を表面321a、反対側の面を裏面321bとする。
【0031】
撹拌装置321は、裏面321bに形成された接続部324の先端部324aの内周面224bに溝が複数個形成されている。一方、駆動軸332の先端部332aの外周面332bに内周面224bに嵌合する突起が複数個形成されている。これにより、接続部324の先端部324aに駆動軸332の先端部332aを挿入した場合に、内周面324bの溝に外周面332bの突起が嵌合することで、内周面324bと外周面332bとを密着させることができる。従って、駆動軸332が回転する際に、回転力が磁力よりも強くなっても、駆動軸332が空回りすることなく、回転力を接続部324に伝えることができるので、撹拌装置321を適切に回転させることができる。
【0032】
(変形例2)
図10は、本変形例2に係る撹拌装置421の概略断面図である。
図11は、
図10に示した撹拌装置421を駆動軸432から取り外した状態を示す斜視図である。
図12は、駆動軸432の要部を拡大した拡大図である。ここで、撹拌装置421において撹拌アーム22が回動する側の面を表面421a、反対側の面を裏面421bとする。
【0033】
撹拌装置421の裏面421bに形成された接続部424は、駆動軸432との接続側端部にフランジ424aが形成されている。フランジ424aには、4つの開口部424bが形成されている。一方、駆動軸432は、接続部424との接続側端部にフランジ432aが形成されている。フランジ432aには、接続部424の開口部424bに係合する係合部432bが形成されている。
【0034】
この係合部432bは、接続部424の開口部424bの内径とほぼ同じかあるいは少し小さい外周を有し、当該開口部424bの深さよりも長い略円柱状の部材からなる。また、係合部432bは、
図12に示すように、フランジ432a側の一部が切り欠かれた切欠部432cが形成されている。この切欠部432cは、係合部432bが開口部424bに係合された状態で、当該開口部424bの内周面に当接する位置であって、駆動軸432が回転する方向に形成されている。これにより、駆動軸432が回転する際に、回転力が磁力よりも強くなっても、係合部432bが駆動軸432の空回りを抑制し、さらに、係合部432bに形成された切欠部432cが接続部424のフランジ424aに形成された開口部424bに引っ掛かる。従って、駆動軸432から接続部424が外れることなく、撹拌装置421が駆動軸432による保持が維持されるので、駆動軸432から回転力を接続部424に伝えることができるので、撹拌装置421を適切に回転させることができる。また、上記構成の撹拌装置421であれば、磁石の磁力が経年劣化等により弱まった場合であっても、駆動軸432から接続部424が外れることはない。
【0035】
なお、本実施形態では、主に、駆動軸の空回りを抑制する機構について説明したが、以下の実施形態3では、駆動軸の空回りを抑制する機構と、撹拌装置の位置決めを行う機構とを有する撹拌装置について説明する。
【0036】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。なお、本実施形態の加熱調理器は、前記実施形態1と殆ど同じ構成であるため、異なる構成、すなわち、撹拌装置とその接続構成について説明する。
【0037】
図13は、本実施形態に係る撹拌装置521の概略断面図である。
図14は、
図13に示した撹拌装置521を駆動軸532から取り外した状態を示す斜視図である。ここで、撹拌装置521において撹拌アーム22が回動する側の面を表面521a、反対側の面を裏面521bとする。
【0038】
撹拌装置521の裏面521bに形成された接続部524は、駆動軸532との接続側端部にフランジ524aが形成されている。フランジ524aの表面524bには、3つの磁石525が、フランジ524aの中心を中心軸とした同一円上に等間隔で設けられている。一方、駆動軸532は、接続部524との接続側端部にフランジ532aが形成されている。フランジ532aには、接続部524のフランジ524aの表面に設けられた磁石525を嵌合する凹部532bが形成されている。凹部532bは、磁石525の数に合わせて3箇所形成されている。これにより、接続部524のフランジ524a表面の磁石525を駆動軸532のフランジ533aの凹部532bそれぞれに嵌合させることで、撹拌装置521の駆動軸532における位置が決まる。
【0039】
また、凹部532bの底面には磁石533が設けられている。磁石525が凹部532bに嵌合されたときに、磁石525と磁石533の対向であるそれぞれの吸着面525a,533aは異なる極性となっている。それゆえ、磁石525が凹部532bに嵌合されたときには、磁石525と磁石533とは磁力によって吸着される。
【0040】
従って、撹拌装置521を駆動軸532に接続する際に、接続部524のフランジ524a表面に設けられた磁石525を駆動軸532のフランジ532a表面に形成された凹部533bに嵌合させるだけで、位置決めと駆動軸532の空回りの抑制とを可能にする。このように、撹拌装置521は適切な位置で駆動軸532に接続され、駆動軸532の空回りを抑制することができるので、撹拌装置521を適切に回転させることができる。
【0041】
(変形例1)
図15は、本変形例1に係る撹拌装置621の概略断面図である。
図16は、
図15に示した撹拌装置621を駆動軸632から取り外した状態を示す斜視図である。ここで、撹拌装置621において撹拌アーム22が回動する側の面を表面621a、反対側の面を裏面621bとする。
【0042】
撹拌装置621の裏面621bには、撹拌アーム22の支持位置と反対側端部に接続部624が設けられ、接続部624と反対側の端部に下側に傾斜している傾斜面621cが形成されている。裏面621bには、さらに、傾斜面621cと反対側端部であって、接続部624よりも外側に係合部625が設けられている。接続部624は、先端部624aに磁石25が装着されている。係合部625は、裏面621bの端部から上向きに突出するように形成されている。
【0043】
一方、駆動軸632は、接続部624との接続側端部にフランジ632aが形成されている。フランジ632aには、撹拌装置621の裏面621bに形成された係合部625と係合するための開口部632bが設けられている。また、フランジ632aの中心には、撹拌装置621の接続部624に装着された磁石25に吸着する磁石33が装着されている。磁石25における、磁石33に対向する吸着面25aと、磁石33における、磁石25と対向する吸着面33aは、互いに逆極性である。
【0044】
従って、撹拌装置621を駆動軸632に接続する際に、係合部625を駆動軸632のフランジ632aの開口部632bに挿入し、磁石25の吸着面25aを駆動軸632側の磁石33の吸着面33aに吸着させる。磁石25と磁石33が吸着した状態で、係合部625がフランジ632aの開口部632bに係合する。これにより、撹拌装置621の駆動軸632における位置が決まる。
【0045】
従って、撹拌装置621は適切な位置で駆動軸632に接続され、駆動軸632の空回りを抑制することができるので、撹拌装置621を適切に回転させることができる。しかも、撹拌装置621の裏面621bには、傾斜面621cが形成されている。これにより、傾斜面621cを指で持って、係合部625と開口部632bの係合部分を回転軸として、撹拌装置621を下方に回動させることで、最初に、磁石25と磁石33との吸着が解除され、次に、係合部分の係合が解除される。従って、撹拌装置621を駆動軸632から容易に取り外すことが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態1~3では、何れも撹拌装置の接続部に装着された磁石と、駆動軸に装着された磁石33を吸着させる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撹拌装置の接続部または駆動軸の一方に磁石を設け、他方に磁力によって吸着される鉄、ニッケル等の磁性体を設けてもよい。
【0047】
また、撹拌装置を駆動軸に装着する方法として、磁力による吸着力を利用することに限定されず、磁力による反発力を利用してもよい。以下の実施形態4において、磁力の反発力によって撹拌装置を駆動軸に装着する例について説明する。
【0048】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。なお、本実施形態の加熱調理器は、前記実施形態1と殆ど同じ構成であるため、異なる構成、すなわち、撹拌装置とその接続構成について説明する。
【0049】
図17は、本実施形態に係る撹拌装置721の概略断面図である。
図18は、
図17に示した撹拌装置721を駆動軸732から取り外した状態を示す斜視図である。ここで、撹拌装置721において撹拌アーム22が回動する側の面を表面721a、反対側の面を裏面721bとする。
【0050】
撹拌装置721は、裏面721bの一端部(撹拌アーム22の回転支持位置と反対側端部)に接続部(軸受部)724が設けられている。接続部724は、略円柱状の部材からなり、駆動軸732が挿入される貫通穴(軸受部内)724aが形成されている。貫通穴724aの内部は、駆動軸732の挿入部(回転軸)732aの外周形状に合わせた形状となっている。本実施形態では、駆動軸732の挿入部732aは、略直方体の柱状であり、貫通穴724aへの挿入方向に直交する方向の断面形状は略四角形状である。従って、接続部724の貫通穴724aの、駆動軸732の挿入部732aの挿入方向に直交する方向の断面形状は略四角形状である。よって、駆動軸732の挿入部732aが接続部724の貫通穴724aに挿入された状態では、挿入部732aの外周面と貫通穴724aの内周面が係合状態となる。これにより、挿入部732aは、貫通穴724a内で空回りすることなく、駆動軸732の回転力を接続部724に伝達することができる。従って、駆動軸732の回転力が撹拌装置721に無駄なく伝わり、当該撹拌装置721を回転させることができる。
【0051】
さらに、接続部724の貫通穴724aの内周面には、磁石(第2磁石)25が埋め込まれている。一方、駆動軸732の挿入部732aの外周面には、磁石(第1磁石)33が埋め込まれている。磁石25は、貫通穴724aに挿入部732aが完全に挿入された状態で、磁石33よりも、貫通穴724aの入口側に位置するように配置されている。
【0052】
ここで、磁石25における貫通穴724aの内周面に近い面(または、露出している面)の極性を、磁石33における挿入部732aの外周面に近い面(または、露出している面)の極性と同じとする。すなわち、磁石25は、磁石33と対向する側が、磁石33における磁石25と対向する側の極性と、同じ極性となっている。このため、磁石25と磁石33との間には磁力による反発力が生じる。この反発力を利用して駆動軸732の挿入部732aが接続部724の貫通穴724aから抜けないようにする。具体的には、
図17に示すように、駆動軸732は、挿入部732aが貫通穴724aに完全に挿入された状態で、磁石25と磁石33とにおける磁力の反発力により撹拌装置721を保持する。
【0053】
以下に、駆動軸732による撹拌装置721を保持するまでの詳細について、
図19を参照しながら以下に説明する。
図19は、
図17に示した撹拌装置721の駆動軸732への装着過程を示す図である。
【0054】
まず、
図19の符号1191に示すように、駆動軸732の挿入部732aに対して、撹拌装置721の接続部724の貫通穴724aの位置合わせを行う。そして、撹拌装置721を駆動軸732に向かって移動させて、貫通穴724aに挿入部732aを挿入させる。この挿入動作によって、
図19の符号1192に示すように、貫通穴724aの磁石25と挿入部732aの磁石33とが対面する位置に到達すると、磁石25と磁石33との磁力による反発力が生じる。この反発力と撹拌装置721を上方に移動させる力とが合わさって貫通穴724aが挿入部732a側に引き込まれ、
図19の符号1193に示すように、貫通穴724aに挿入部732aが完全に挿入されて撹拌装置721が駆動軸732に装着された状態となる。このとき、駆動軸732における挿入部732aの後端側に形成された係止面732bが、接続部724の上端面724bに当接することで、貫通穴724aに挿入部732aが入り込み過ぎないようにしている。
【0055】
図19の符号1193に示す状態では、接続部724の貫通穴724aから駆動軸732の挿入部732aが抜け難い。このように、駆動軸732の挿入部732aは、接続部724の貫通穴724aから抜け難いものの、接続部724の貫通穴724a内でしっかり固定されないので、撹拌する際に撹拌装置721が上下に揺動し、撹拌効果を高めるという効果を奏する。
【0056】
このように、上記構成の撹拌装置721と駆動軸732によれば、撹拌装置721を駆動軸732に容易に装着でき、また、駆動軸732から抜けにくくすることができる。また、駆動軸732に装着した撹拌装置721は、ネジ止めなどしていないため、力を込めて駆動軸732と反対側に引っ張れば取り外すことができる。
【0057】
前記実施形態1~4から、駆動モータからの回転力を伝える駆動軸と、駆動軸から受ける回転力を撹拌装置に伝える接続部とによって、撹拌装置を保持する保持部を構成しているといえる。この保持部は、駆動モータの回転力を撹拌装置に伝え、且つ、撹拌装置を蓋体に着脱可能に磁力(吸着力または反発力)で保持する。
【0058】
なお、実施形態1~4では、磁石25(255)および磁石33(233)を永久磁石として説明したが、電磁石であってもよい。この場合、永久磁石では、磁力が弱まる、あるいは磁力が消えるような環境(加熱調理器のような高温になる環境等)においても、電磁石に供給する電流量を調整することで磁力の低下を抑制することが可能となる。
【0059】
また、実施形態1~4では、撹拌装置の保持機構について加熱調理器に適用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、加熱調理を行わない撹拌のみを行う調理器に適用してもよい。
【0060】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る調理器は、収容部(内鍋14)と、前記収容部(内鍋14)を開閉する蓋体(12)と、前記蓋体(12)に取り付けられるモータ(駆動モータ31)と、前記モータ(駆動モータ31)によって回転し、前記収容部(内鍋14)に収容される内容物(食材)を撹拌する撹拌部(撹拌装置21)と、前記モータ(駆動モータ31)の回転力を前記撹拌部(撹拌装置21)に伝え、且つ、前記撹拌部(撹拌装置21)を前記蓋体(12)に着脱可能に磁力で保持する保持部(駆動軸32)と、を備えている。
【0061】
上記の構成によれば、撹拌部を調理器から容易に取り外したり、撹拌部を調理器に容易に取付けたりすることができる。つまり、撹拌部の着脱を容易にできるという効果を奏する。
【0062】
本発明の態様2に係る調理器は、上記態様1において、前記保持部(駆動軸32)は、前記撹拌部(撹拌装置21)を、前記磁力の吸着力で保持してもよい。
【0063】
上記の構成によれば、保持部が、撹拌部を、磁力の吸着力で保持しているので、撹拌部の着脱を容易にできる。
【0064】
本発明の態様3に係る調理器は、上記態様2において、前記保持部(駆動軸32)と前記撹拌部(撹拌装置21)との前記磁力による吸着面(33a,25a)は、それぞれ平面であってもよい。
【0065】
上記の構成によれば、磁力の吸着面が平面であるので、吸着面が曲面の場合よりも撹拌部を保持部に対してしっかり固定できる。
【0066】
本発明の態様4に係る調理器は、上記態様3において、前記吸着面(33a,25a)における、前記保持部(駆動軸232)の空回りを抑制する回転抑制部(外周面232b,内周面224b)が設けられていてもよい。
【0067】
上記の構成によれば、保持部が回転する際に、磁力よりも回転力が強くなっても、保持部が空回りすることなく、回転力を撹拌部に伝えることができるので、撹拌部を適切に回転させることができる。
【0068】
本発明の態様5に係る調理器は、上記態様1において、前記保持部(駆動軸732)は、前記撹拌部(撹拌装置721)を、前記磁力の反発力で保持してもよい。
【0069】
上記の構成によれば、保持部が、撹拌部を、磁力の反発力で保持しても、磁力の吸着力で保持する場合と同様に、撹拌部を保持することができる。具体的には以下のような構成となる。
【0070】
本発明の態様6に係る調理器は、上記態様5において、前記保持部(駆動軸732)は、前記モータ(駆動モータ31)の回転軸(挿入部732a)と、前記回転軸(挿入部732a)の側面に設けられた第1磁石(磁石33)とを含み、前記撹拌部(撹拌装置721)は、前記回転軸(挿入部732a)を受けて当該回転軸(挿入部732a)と嵌合する軸受部(接続部724)を含み、前記軸受部内(接続部724の貫通穴724a)には、第2磁石(磁石25)がもうけられ、前記第2磁石(磁石25)は、前記第1磁石(磁石33)と対向する側が、当該第1磁石(磁石33)における当該第2磁石(磁石25)と対向する側の極性と同じ極性であり、且つ、前記回転軸(挿入部732a)が前記軸受部(接続部724)に軸受されている状態で、前記第1磁石(磁石33)に重ならず、且つ、当該第1磁石(磁石33)よりも前記軸受部(接続部724)の入口側に設けられていてもよい。
【0071】
上記構成によれば、保持部の回転軸は、軸受部内から抜け難いものの、軸受内でしっかり固定されないので、撹拌する際に撹拌装置が上下に揺動し、撹拌効果を高めるという効果を奏する。
【0072】
本発明の態様7に係る加熱調理器は、上記態様1~6の何れか1項に記載の調理器であって、前記収容部に収容された内容物を加熱する加熱部を備えてもよい。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0074】
11 調理器本体部
12 蓋体
13 回転支持部
14 内鍋(収容部)
15 外蓋
16 内蓋
16a、21a、121a、221a、321a、421a、521a、524b、621a、721a 表面
21、121、221、321、421、521、621、721 撹拌装置(撹拌部)
21b、121b、221b、321b、421b、521b、621b、721b 裏面
21c 側面
22 撹拌アーム
23 支持軸
24、224、324、424、524、624、724 接続部(保持部)
24a、32a、224a、232a、324a、332a、624a 先端部
25、33、525、533 磁石
25a、33a、525a,533a 吸着面
31 駆動モータ(モータ)
32、232、332、432、532、632、732 駆動軸(保持部)
101 加熱調理器
121c、621c 傾斜面
224b、324b 内周面
232b、332b 外周面
424a、432a、524a、532a、533a、632a フランジ
424b、632b 開口部
432b、625 係合部
432c 切欠部
532b、533b 凹部
724a 貫通穴
724b 上端面
732a 挿入部(回転軸)
732b 係止面