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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241105BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021029633
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130949
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 有也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博紀
(72)【発明者】
【氏名】児島 隆一
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-237452(JP,A)
【文献】特開2014-191018(JP,A)
【文献】特開2005-241934(JP,A)
【文献】特開2012-118094(JP,A)
【文献】特開2007-033519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0183808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
前記画像形成装置の外部の空気を冷却対象に案内するダクトと、
前記画像形成装置の外部の空気を前記ダクトの内部に取り込むための気流を生成するファンと、
を備え、
前記ダクトは、
第1流路と、
前記第1流路から屈曲し、且つ、第1方向に延びる第2流路であって、前記ダクトの出口が設けられる第2流路と、
前記第2流路に設けられた複数の分流板と、を有し、
前記複数の分流板のそれぞれは前記第1方向に延び、
前記複数の分流板は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って並列して配置され、
前記複数の分流板には、前記第1流路に近いほうから順に並んだ第1の分流板と第2の分流板とが含まれ、
前記第2の分流板は、前記第1流路に沿った視点でみたときに前記第1の分流板に重なる部分と、前記視点で見たときに前記第1の分流板の端から突出している部分と、を含
前記複数の分流板は、互いに隣接する分流板との間で第3流路を形成し、
前記第3流路の前記第1方向の長さをL(mm)、前記第3流路の前記第2方向の長さをD(mm)とする場合、前記Lは、
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
の条件を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトの前記出口は、前記ダクト内の空気が前記出口に向かう方向において、前記複数の分流板の下流側の端部から17mm以内の位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1方向において、前記複数の分流板のそれぞれにおける前記出口に近い側の端部は等しい位置に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ダクトには、複数の前記第3流路が設けられており、複数の前記第3流路のそれぞれの前記第2方向の長さは等しくないことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ダクトには、複数の前記第3流路が設けられており、複数の前記第3流路のそれぞれの前記第1方向の長さは等しくないことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体と、
前記冷却対象であって、前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
感光体と、
前記感光体に形成されたトナー像をシートに転写する転写装置と、
前記転写装置によってシートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着装置と、
前記定着装置を通過したシートを搬送する搬送装置と、
を備え、
前記ダクトは、前記搬送装置によって搬送されるシートの搬送パス上のシートに向けて空気を案内することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送パスには、前記定着装置によってトナー像が定着されたシートを反転させて該シートを前記転写装置における転写部に搬送する反転搬送パスを含み、
前記ダクトは、前記反転搬送パス上のシートに向けて空気を案内することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、粉塵や不要物質の除去などを目的として、画像形成装置の外部の空気をファンとダクトを用いて所定の場所に空気を送り込む構成が広く用いられている。
【0003】
例えば特許文献1では、画像形成装置の外部の空気をファンとダクトを用いて帯電装置に空気を送り込む構成が記載されている。これにより帯電装置の放電ワイヤにコロナ放電によって生成される放電生成物が付着することを抑制し、帯電不良が発生することを抑制する。また特許文献1では、ダクトの出口付近に複数の分流板を設けることで、ダクトの出口から排出される空気の流速ムラを低減する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-191018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成のようにダクトの内部に複数の分流板を設ける場合、互いに隣接する分流板によって形成された空気流路に流入した空気は渦を発生させる。ここで図18に示す様に、この空気流路で発生する渦の大きさよりも分流板の長さが短い場合、渦の逆流成分が分流板の外部に出てしまい、当該空気流路の出口付近で空気が逆流する。また分流板はダクトの出口付近に設けられることが一般的であるため、分流板で形成された空気流路の出口付近で空気が逆流する場合、ダクトの出口付近で空気が逆流する可能性がある。このようにダクトの出口付近で空気が逆流する場合、逆流する空気に交じって粉塵や不要物質が逆流し、粉塵や不要物質の除去能力が低下するおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、複数の分流板が設けられたダクトを備える画像形成装置において、ダクトの出口付近で空気が逆流することを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な構成は、画像形成装置であって、前記画像形成装置の外部の空気を冷却対象に案内するダクトと、前記画像形成装置の外部の空気を前記ダクトの内部に取り込むための気流を生成するファンと、を備え、前記ダクトは、第1流路と、前記第1流路から屈曲し、且つ、第1方向に延びる第2流路であって、前記ダクトの出口が設けられる第2流路と、前記第2流路に設けられた複数の分流板と、を有し、前記複数の分流板のそれぞれは前記第1方向に延び、前記複数の分流板は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って並列して配置され、前記複数の分流板には、前記第1流路に近いほうから順に並んだ第1の分流板と第2の分流板とが含まれ、前記第2の分流板は、前記第1流路に沿った視点でみたときに前記第1の分流板に重なる部分と、前記視点で見たときに前記第1の分流板の端から突出している部分と、を含前記複数の分流板は、互いに隣接する分流板との間で第3流路を形成し、前記第3流路の前記第1方向の長さをL(mm)、前記第3流路の前記第2方向の長さをD(mm)とする場合、前記Lは、
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
の条件を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の分流板が設けられたダクトを備える画像形成装置において、ダクトの出口付近で空気が逆流することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】第一ファンと第一ダクトの断面概略図である。
図3】帯電装置の概略斜視図である。
図4】帯電装置の概略断面図である。
図5】第二ダクトの斜視概略図である。
図6】第二ダクトの断面概略図である。
図7】領域Eの拡大図である。
図8】第二ダクトの出口付近で空気の逆流が発生しない範囲を示すグラフである。
図9】第二ダクトの出口付近での空気の流速分布を示すグラフである。
図10】第二ダクトの出口面積に対して空気が逆流した部分の面積が10%以下となる臨界点のプロット条件における空気の逆流範囲を示す模式図である。
図11】第二ダクトの概略断面図である。
図12】第二ダクトの出口付近での空気の流速分布を示すグラフである。
図13】第二ダクトの概略断面図である。
図14】第二ダクトの出口付近での空気の流速分布を示すグラフである。
図15】第二ダクトの概略断面図である。
図16】第二ダクトの出口付近での空気の流速分布を示すグラフである。
図17】第二ダクトの出口付近での空気の圧力損失を示すグラフである。
図18】従来のダクトの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0012】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、トナー像を形成してシートに転写する画像形成部10を備える。画像形成部10は、感光体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電部材としての帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)、レーザスキャナユニット3、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)を備える。また一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、中間転写ベルト6、二次転写ローラ9、二次転写対向ローラ8を含む転写装置を備える。
【0013】
また画像形成部10の上部には、原稿の画像を読み取るリーダ20が設けられている。リーダ20は、原稿台ガラス21とスキャナユニット22を有する。スキャナユニット22は、原稿台ガラス21に載置された原稿の画像を光学的に読み取る。
【0014】
次に、画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。まず不図示の制御部に画像形成ジョブ信号が入力されると、給送ローラ12、搬送ローラ13、14、15によってシートカセット11に積載収納されたシートSがレジストローラ16に搬送される。レジストローラ16は、所定のタイミングでシートSを二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ8から形成される二次転写部に搬送する。
【0015】
一方、画像形成部10においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム1Y表面が帯電させられる。その後、リーダ20で読み取られた原稿の画像データに応じてレーザスキャナユニット3が感光ドラム1Yの表面にレーザ光を照射し、感光ドラム1Yの表面に静電潜像を形成する。次に、現像装置4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させて、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yにバイアスが印加されることで、中間転写ベルト6に一次転写される。
【0016】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kの表面にも、レーザスキャナユニット3から画像信号に応じてレーザ光が照射され、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト6上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト6の表面にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0017】
その後、中間転写ベルト6が周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ9にバイアスが印加されることで中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。
【0018】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着装置17において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ18によって排出トレイ19に排出される。
【0019】
またシートSの両面に画像を形成する場合、定着装置17を通過したシートSは、反転搬送路25(反転搬送パス)に送られる。そしてシートSは、反転搬送路25においてスイッチバック方式で表裏が反転させられる。その後、シートSは、両面搬送路26を通過してレジストローラ16に再び送られ、シートSの裏面に対して上記同様に画像形成が行われる。なお、本実施形態の画像形成装置Aは、定着装置17によってシートにトナー像が定着されたシートを搬送する反転搬送路25、両面搬送路26、及び排出ローラ18を含む搬送装置を有する。反転搬送路25、両面搬送路26には、シートSを挟持、搬送する不図示の搬送ローラ対が設けられており、これら搬送ローラ対も搬送装置に含まれる。
【0020】
<両面搬送路の結露対策>
次に、両面搬送路26の結露対策について説明する。
【0021】
定着装置17で加熱されたシートSからは水分が放出される。この水分が両面搬送路26で凝縮する場合、この凝縮した結露がシートSに付着し、トナー像の転写不良が発生することや、シートSの搬送抵抗が不均一となることに起因するシートSの搬送不良が発生しやすくなる。そこで図1に示す様に、画像形成装置Aの前面側で、且つ、両面搬送路26の鉛直方向の下方の位置には、シートSを冷却するための空気を画像形成装置Aの外部から取り込んで両面搬送路26に送るための第一ファン31と第一ダクト32が設けられている。
【0022】
図2は、第一ファン31と第一ダクト32の断面概略図である。図2に示す様に、第一ダクト32は、両面搬送路26に向かって空気を案内するために、画像形成装置Aの前方から後方に延びた第一流路32aと、第一流路32aから鉛直方向の上方に向かって垂直に屈曲した第二流路32bを有する。また第一ファン31は、第一ダクト32の内部に設けられている。第一ファン31は、画像形成装置Aの外部の空気を第一ダクト32に取り込むための気流を生成する。
【0023】
第一ファン31によって生成された気流により第一ダクト32の内部に取り込まれた空気は、第一ダクト32によって図2に示す矢印方向に案内されて、両面搬送路26に送り込まれる。そして両面搬送路26において空気が本実施形態の冷却対象の一例であるシートSに吹き付けられる。これにより定着装置17で加熱されたシートSが冷却され、シートSから放湿される水分量が低減されるため、両面搬送路26での結露が抑制されて、シートSの搬送不良やトナー像の転写不良が抑制される。なお、第一ダクト32の冷却対象は反転搬送パス上のシートSに限らず、定着装置17を通過したシートSであればよい。例えば、変形例は、定着装置17と排出トレイ19の間の搬送パス上のシートSを冷却するようにダクトを設けると良い。
【0024】
<帯電装置のオゾン対策>
次に、帯電装置2のオゾン対策について説明する。なお、以下では一つの帯電装置2のオゾン対策について説明するものの、全ての帯電装置2Y~2Kについて同様の構成となっている。
【0025】
図3は、本実施形態の冷却対象の別の例である帯電装置2の概略斜視図である。図4は、帯電装置2の概略断面図である。図3図4に示す様に、帯電装置2は、絶縁体で構成された前ブロック2a及び後ブロック2bと、感光ドラム1上の帯電域を規制するシールド板2cと、帯電ワイヤ2dから構成されている。また帯電装置2は、画像形成装置Aの枠体(不図示)に取り付けられた帯電レール35に対して着脱可能に構成されている。
【0026】
帯電ワイヤ2dは、前ブロック2aと後ブロック2bの間に位置で不図示の支持部材により張設されており、後ブロック2bの不図示の接点部から電圧を受ける。不図示の支持部材は、帯電ワイヤ2dによる感光ドラム1の帯電を妨げないように、画像形成装置Aの前後方向における感光ドラム1の画像形成領域の外側に配置されている。
【0027】
また帯電レール35の上面には、第二ダクト50が設けられている。第二ダクト50には、画像形成装置Aの外部の空気を第二ダクト50に取り込むための気流を生成する第二ファン51が取り付けられている。
【0028】
図4の矢印で示す様に、第二ファン51によって生成された気流により第二ダクト50の内部に取り込まれた空気は、第二ダクト50に案内されて帯電装置2のシールド板2cの内部を通ってシールド板2cの外部に排出される。この時、帯電ワイヤ2dの周囲でコロナ放電によって発生するオゾン生成物が空気とともにシールド板2cの外部に排出される。シールド板2cの外部に排出されたオゾン生成物を含む空気は、不図示の吸引手段によって吸引され、不図示のオゾンフィルタを通過してオゾン生成物が除去された後、画像形成装置Aの外部に排気される。このようにオゾン生成物を除去することにより、帯電ワイヤ2dにオゾン生成物が付着して帯電不良が発生することが抑制される。
【0029】
なお、前ブロック2a、後ブロック2b、シールド板2cによって囲われた空間は、第二ダクト50の内部を通過した空気を感光ドラム1へ案内する機能を有する。上述の通り帯電ワイヤ2dを支持する支持部材(不図示)は、感光ドラム1の画像形成領域の外側に配置される必要があるため、画像形成装置Aの前後方向における上記空間の長さは感光ドラム1の最大画像形成領域より10%大きくなっており、本実施形態では350mmとなっている。
【0030】
<第二ダクト>
次に、第二ダクト50の構成について説明する。
【0031】
図5は、第二ダクト50の斜視概略図である。図6は、第二ダクト50の断面概略図である。図5図6に示す様に、第二ダクト50の入口50a(吸気口)は、22mm×23mmの略正方形状の開口部であり、画像形成装置Aの前面側の不図示の外装カバー(外装)に設けられている。第二ダクト50の入口50aには、画像形成装置Aの外部の空気を第二ダクト50に取り込むための気流を生成する第二ファン51が取り付けられている。また第二ダクト50の出口50bは、22mm×350mmの長方形状の開口部であり帯電装置2に接続されている。
【0032】
第二ダクト50は、帯電装置2の鉛直方向の上方に配置されている。このため、第二ダクト50は、帯電装置2に向かって空気を案内するために、画像形成装置Aの前方から後方に延びた第一流路50c(第1流路)と、第一流路50cから鉛直方向の下方に向かって垂直に屈曲した第二流路50d(第2流路)を有する。第二ファン51によって生成された気流により第二ダクト50の入口50aから第一流路50cに取り込まれた空気は第二ダクト50の内部を通って出口50bから排出されて帯電装置2に送られる。
【0033】
なお、本実施形態において、画像形成装置Aの前側は、ユーザが画像形成に関する設定を行うための不図示の操作パネルを操作するために通常立つ側であり、画像形成装置Aの後側はその反対側である。また画像形成装置Aの左側は前側から見て左側であり、右側は前側から見て右側である。また画像形成装置Aの前後方向と感光ドラム1の回転軸線方向は同じ方向である。また画像形成装置Aの左右方向と感光ドラム1の回転方向は同じ方向である。また鉛直方向は、感光ドラム1の回転方向と回転軸線方向とに直交する方向であり、感光ドラム1の表面に対して直交する方向でもある。つまり本実施形態では、第二ダクト50の第一流路50cは感光ドラム1の回転軸線方向に延びており、第二流路50dは感光ドラム1の回転方向と回転軸線方向とに直交する方向(第1方向)に延びている。
【0034】
ここで第二ダクト50の入口50aや出口50bのように、第二ダクト50の断面形状が変化する部分においては空気の渦が生じやすくなる。このため、第二ダクト50の入口50aから均一な流速で空気が取り込まれても出口50bから出る空気の流速が不均一となることや空気が逆流しやすくなる。また第二ダクト50の第一流路50cと第二流路50dのように空気流路が屈曲する場合にも、気流が乱れやすく、出口50bから出る空気の流速が不均一となることや空気が逆流しやすくなる。
【0035】
そこで第二ダクト50の出口b付近で空気が逆流することを抑制するために、第二ダクト50の第二流路50dには複数の分流板60が設けられている。複数の分流板60は、第二ダクト50の内壁50eと内壁50fの間の位置において画像形成装置Aの前後方向、即ち感光ドラム1の回転軸線方向(第2方向)に沿って並列して設けられている。分流板60は、鉛直方向に延びる板状の部材であり、第二ダクト50の入口50aから取り込まれた空気を出口50bに向かって分配しながら流すものである。本実施形態においては、第二ダクト50には分流板60は53個設けられているため、第二ダクト50の入口50aから取り込まれた空気は53個の分流板60によって出口50bに向かって54個の流路に分配される。
【0036】
図7は、図6に示す領域Eの拡大図である。図7に示す様に、複数の分流板60は、画像形成装置Aの前後方向、即ち第一流路50cが延びる方向に並列し、隣接する分流板60との間で等間隔に配置されている。また複数の分流板60の各々の下端部60bの位置は、鉛直方向において等しい位置に配置されている。このように複数の分流板60の下端部60bの位置を揃えることで、複数の分流板60で分流された空気が拡散しにくくなり空気が乱れにくくなる。なお、複数の分流板60の各々の下端部60bの鉛直方向の位置は公差の範囲でずれていても上記効果を得ることができる。
【0037】
また複数の分流板60は、画像形成装置Aの前後方向において隣接する分流板60の上端部60aの位置が距離D2ずつ鉛直方向にずれるように配置されている。また隣接する二つの分流板60のうち、第二ダクト50の内壁50eに近い側の分流板60の上端部60aの方が、第二ダクト50の内壁50fに近い側の分流板60の上端部60aよりも出口50bから近い位置に配置されている。つまり複数の分流板60は、内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60から内壁50fに最も近い位置に配置された分流板60に向かって上端部60aの位置が距離D2ずつ段階的に高くなるように配置されている。
【0038】
複数の分流板60のうち、第二ダクト50の内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60は、第二ダクト50の内壁50eとの間で空気流路を形成する。そして第二ダクト50の入口50aから取り入れられた空気を、当該空気流路を流れる空気と当該空気流路よりも第二ダクト50の内壁50f側を流れる空気とに分流(分配)する。また第二ダクト50の内壁50eの上端部50e1と内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60の上端部60aとの間の鉛直方向の距離と、第二ダクト50の天面の内壁50gと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60の上端部60aとの間の鉛直方向の距離との比は1:53となっている。従って、第二ダクト50の内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60は、内壁50eとの間で形成する空気流路を流れる空気の量と当該空気流路よりも第二ダクト50の内壁50f側を流れる空気の量の割合が1:53となるように空気を分流する。
【0039】
また複数の分流板60のうち、第二ダクト50の内壁50eから二番目に近い位置に配置された分流板60は、内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60との間で空気流路(第3流路)を形成する。そして第二ダクト50の入口50aから取り入れられた空気を、当該空気流路を流れる空気と、当該空気流路よりも第二ダクト50の内壁50e側を流れる空気と、当該空気流路よりも第二ダクト50の内壁50f側を流れる空気とに分流する。また第二ダクト50の内壁50eの上端部50e1と内壁50eから二番目に近い位置に配置された分流板60の上端部60aとの間の鉛直方向の距離と、第二ダクト50の天面の内壁50gと内壁50eから二番目に近い位置に配置された分流板60の上端部60aとの間の鉛直方向の距離との比は1:52となっている。従って、第二ダクト50の内壁50eから二番目に近い位置に配置された分流板60は、内壁50eから最も近い分流板60との間で形成する空気流路を流れる空気の量と当該空気流路よりも第二ダクト50の内壁50f側を流れる空気の量の割合が1:52となるように空気を分流する。
【0040】
複数の分流板60のうち、第二ダクト50の内壁50eから三番目に近い位置に配置された分流板60や、それ以降の分流板60も、内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60や二番目に近い位置に配置された分流板60と同様の構成である。このような構成により、複数の分流板60によって形成された空気流路からほぼ同量の空気が流れる。
【0041】
また分流板60が三つ以上設けられているため、互いに隣接する分流板60によって形成される空気流路(第3流路)は複数設けられることになる。上述の通り、複数の分流板60は画像形成装置Aの前後方向において等間隔に配列されているため、画像形成装置Aの前後方向において互いに隣接する分流板60によって形成される複数の空気流路の各々の長さは長さDとして等しく構成されている。また本実施形態では、第二ダクト50の内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60と第二ダクト50の内壁50eとの間で形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さD1も長さDと同じ長さとなっている。また第二ダクト50の内壁50fに最も近い位置に配置された分流板60と第二ダクト50の内壁50fとの間で形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さも長さDと同じ長さとなっている。このような構成により、複数の分流板60によって形成された空気流路を流れる空気の平均流速はほぼ同じとなる。
【0042】
<分流板間で形成された空気流路の出口付近の逆流対策>
上述した通り、互いに隣接する分流板60によって形成された空気流路に流入した空気は渦を発生させる。ここで渦の大きさよりも分流板60の鉛直方向の長さが短い場合、渦の逆流成分が分流板60の外部に出てしまう。この場合、当該空気流路の出口付近で空気が逆流し、圧力損失が生じることや、分流板60の整流機能が低下するおそれがある。また分流板60は第二ダクト50の出口50b付近に設けられているため、分流板60で形成された空気流路の出口付近で空気が逆流する場合、第二ダクト50の出口50n付近で空気が逆流する可能性がある。第二ダクト50の出口50b付近で空気が逆流する場合、逆流する空気に交じってオゾン生成物が逆流し、オゾン生成物の除去能力が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、互いに隣接する分流板60によって形成された空気流路の長さを規定することで、当該空気流路の出口付近で空気が逆流することを抑制し、第二ダクト50の出口50n付近で空気が逆流することを抑制する。以下、これについて詳しく説明する。
【0043】
図8は、第二ダクト50の内壁50eと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60との間で形成された空気流路の各方向の長さを変化させて出口50bで空気の逆流が発生しない範囲をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。このシミュレーションでは、第二ダクト50の内壁50eと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60との間で形成された空気流路の鉛直方向の長さL1を3.0mm~28mmの範囲で、L1/D1を0.1~6の範囲で変化させて測定を行った。また第二ダクト50の入口50aから画像形成装置Aの前方から後方に流れる流速が均一な空気を送り込み、出口50bから鉛直方向に20mm離れた出口50bの投影面で空気の流速を測定した。また第二ダクト50の入口50aの鉛直方向の長さを40mmとし、画像形成装置Aの前後方向における出口50bの長さを300mmとし、入口50a付近での空気の流速を5m/s~20m/sの範囲で、第二ダクト50の内寸D4(図5)を10mm~30mmの範囲で変化させて測定を行った。第二ダクト50の内寸D4は、第二ダクト50における画像形成装置Aの左右方向の内寸であり、内寸D4が変化することで入口50aや出口50bの面積も変化する。
【0044】
図8に示すグラフ上のプロットは、空気流路の長さL1、D1に関し、出口50b付近で逆流が起きない範囲の下限、又は、出口50bの面積に対して逆流した部分の面積が10%以下の範囲の下限の条件を示すものである。図8に示す様に、シミュレーションの結果、空気流路の長さL1、D1を以下の条件を満たすように規定することで、出口50b付近での空気が逆流することを抑制できることが判明した。
【0045】
3.0≦D1≦5.5の場合、L1≧D1×3.04-6.72
5.5≦D1≦6.5の場合、L1≧D1×4.0-12.0
6.5≦D1≦9.0の場合、L1≧D1×8.40-40.60
9.0≦D1≦13.0の場合、L1≧D1×10.50-59.50
13.0≦D1≦28.0の場合、L1≧D1×4.70+15.90
【0046】
上記シミュレーションは、第二ダクト50の内壁50eと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60で形成された空気流路についてのシミュレーションである。しかしながら、上述の通り、第二ダクト50の内壁50eと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60で形成された空気流路と、互いに隣接する二つの分流板60によって形成された空気流路の画像形成装置Aの前後方向の幅は等しい。また互いに隣接する二つの分流板60によって形成された空気流路の鉛直方向の長さは、第二ダクト50の内壁50eと内壁50eに最も近い位置に配置された分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さよりも長い。従って、このシミュレーション結果は、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路についても適用することができる。つまり互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さをL、画像形成装置Aの前後方向の長さをDとする。この場合、以下の条件を満たすように長さL、Dを規定することで、第二ダクト50の出口50b付近で空気が逆流することを抑制することができる。
【0047】
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
【0048】
ここで本実施形態では、互いに隣接する二つの分流板60によって形成された空気流路とは、互いに隣接する二つの分流板60に挟まれた領域を意味する。つまり第二ダクト50の内壁50eから最も近い分流板60と二番目に近い分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さは図7に示すL1+D2の長さを意味する。また第二ダクト50の内壁50eから二番目に近い分流板60と三番目に近い分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さは図7に示すL1+D2+D2の長さを意味する。
【0049】
図9は、第二ダクト50において、入口50aから流速20m/sの空気を入れた時の出口50bから鉛直方向に2mm離れた位置における画像形成装置Aの前後方向の空気の流速分布をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。縦軸は、測定位置での空気の流速を表しており、逆流が正の値となっている。横軸は、測定位置を表しており、画像形成装置Aの前後方向の測定位置を内壁50eの位置を基準(0)とし、数値が大きくなるにつれて測定位置が画像形成装置Aの後方にずれる。また本実施形態の第二ダクト50は、L1が16mm、D1が4.5mm、D2が0.415mm、分流板60の下端部60bから出口50bまでの間の鉛直方向の距離は17mmとなっている。
【0050】
図9に示す様に、測定位置において空気の流速はほぼ-1~-2.5m/sの範囲内にあり、逆流が抑制されていることが確認された。これは互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さL、画像形成装置Aの前後方向の長さDが上記条件を満たすように設定されているためである。このように本実施形態の構成によれば、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の各方向の長さを規定することで第二ダクト50の出口50b付記における空気の逆流を抑制することができる。従って、逆流する空気に交じってオゾン生成物が逆流し、オゾン生成物の除去能力が低下することを抑制することができる。
【0051】
なお、上述の通り、画像形成装置Aの前後方向において、帯電装置2における前ブロック2a、後ブロック2b、シールド板2cによって囲われた空間の長さは、感光ドラム1の最大画像形成領域よりも10%大きくなっている。これに合わせて第二ダクト50の出口50bにおける画像形成装置Aの前後方向の長さ、即ち出口50bの長手方向の長さも感光ドラム1の最大画像形成領域より10%大きくなっている。このため、出口50bの面積の10%程度の最大画像形成領域外では空気の逆流が許容される。
【0052】
図10は、第二ダクト50の出口50bの面積に対して空気が逆流した部分の面積が10%以下となる臨界点のプロット条件における空気の逆流範囲を示す模式図である。この逆流範囲は、図8に結果を示したシミュレーションによって求めている。図10に示す様に、第二ダクト50の出口50bの空気が逆流する部分は、いずれのプロット条件においても出口50bの長手方向の端部付近に限られており、感光ドラム1の画像形成領域外である。従って、図8に示すグラフより、以下の条件を満たすように長さL、Dを規定することで感光ドラム1の画像形成領域内における空気の逆流を抑制することができる。
【0053】
3.0≦L≦5.5の場合、L≧D×0.1
5.5≦L≦6.5の場合、L≧D×0.1
6.5≦L≦9.0の場合、L≧D×0.46-2.34
9.0≦L≦13.0の場合、L≧D×0.53-2.93
13.0≦L≦28.0の場合、L≧D×7.21-89.79
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11(a)、図11(b)は、それぞれ本実施形態に係る第二ダクト50の概略断面図である。図11に示す様に、本実施形態に係る画像形成装置Aは、第1実施形態の構成に対し、第二ダクト50に入口50a付近における空気の流れる方向と分流板60の鉛直方向の長さが異なる構成であり、その他の構成は第1実施形態の構成と同様である。
【0056】
具体的には、図11(a)の矢印で示す様に、第二ダクト50の入口50a付近の気流の方向が斜め下向きに45度の場合、複数の分流板60の上端部60aを結ぶプロファイルV1は次の形状となる。即ち、図11(a)に示すW1の範囲では下方に向かい、W2の範囲では上方に向かう形状となっている。これは図11(a)に示す気流は鉛直方向の下方に向かう成分が大きく、複数の分流板60で形成される空気流路のうち内壁50eに近いW1の範囲の流路に空気が入りやすいため、分流板60の上端部60aの位置を低くして空気を入りにくくするためである。また複数の分流板60でそれぞれ形成される流路のうち、内壁50fに近いW2の範囲の流路には空気が入りにくいため、分流板60の上端部60aの位置を高くして空気を入りやすくするためである。
【0057】
一方、図11(b)の矢印で示す様に、第二ダクト50の入口50a付近の気流の方向が斜め上向きに45度の場合、複数の分流板60の上端部60aを結ぶプロファイルV2は次の形状となる。即ち、図11(b)に示すW3の範囲では上に向かう傾きが大きくなっており、W4の範囲ではW3の範囲と比較して上に向かう傾きが小さくなる形状となっている。これは図11(b)に示す気流は鉛直方向の上方に向かう成分が大きく、複数の分流板60で形成される空気流路のうち内壁50eに近いW3の範囲の流路に空気が入りにくいため、分流板60の上端部60aの位置を高くして空気を入りやすくするためである。また複数の分流板60でそれぞれ形成される流路のうち、内壁50fに近いW4の範囲の流路では気流の前後方向の成分が大きくなって空気が入りやすいため、分流板60の上端部60aの位置を高くする傾きを小さくして空気流路に入る空気の量を調整している。
【0058】
なお、図11(a)、図11(b)に示すいずれの構成においても、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さをL、画像形成装置Aの前後方向の長さをDとする場合、以下の条件を満たしている。
【0059】
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
【0060】
図12は、第二ダクト50において、入口50aから流速5m/sの空気を入れた時の出口50bから鉛直方向に2mm離れた位置における画像形成装置Aの前後方向の空気の流速分布をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。図12に示すグラフの縦軸は、測定位置での空気の流速を表しており、逆流が正の値となっている。横軸は、測定位置を表しており、画像形成装置Aの前後方向の測定位置を内壁50eの位置を基準(0)とし、数値が大きくなるにつれて測定位置が画像形成装置Aの後方にずれる。
【0061】
また図12(a)に示すグラフは、図11(a)に示す第二ダクト50のシミュレーション結果を示す。図12(b)に示すグラフは、図11(b)に示す第二ダクト50のシミュレーション結果を示す。図12(c)に示すグラフは、第1実施形態に係る第二ダクト50において入口付近の気流の方向を図11(a)に示す方向としたときのシミュレーション結果を示す。図12(d)に示すグラフは、第1実施形態に係る第二ダクト50において入口付近の気流の方向を図11(b)に示す方向としたときのシミュレーション結果を示す。
【0062】
図12に示す様に、いずれの構成においても、逆流の発生は抑制されている。これは互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さL、画像形成装置Aの前後方向の長さDを上述した条件を満たすように規定しているためである。また本実施形態の構成では、第1実施形態の構成と比較して出口50b付近の流速分布が均一化されている。
【0063】
このように本実施形態の構成によれば、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の各方向の長さを規定することで第二ダクト50の出口50b付記における空気の逆流を抑制することができる。また第二ダクト50の出口50b付近の空気の流速分布を均一化させることができる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。第1実施形態、第2実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図13は、本実施形態に係る第二ダクト50の概略断面図である。図13に示す様に、本実施形態の構成は、第二ダクト50の分流板60によって形成された空気流路の長さが第1実施形態の構成と異なる。本実施形態に画像形成装置Aのその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0066】
具体的には、複数の分流板60のうち、第二流路50dの中央部より内壁50e側の分流板60においては、互いに隣接する分流板60によって形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さは長さD5となっている。長さD5と長さD1は等しい。一方、第二流路50dの中央部よりも内壁50f側の分流板60においては、互いに隣接する分流板60によって形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さは長さD5の1.7倍の長さD6となっている。
【0067】
また複数の分流板60のうち、第二流路50dの中央部より内壁50e側の分流板60においては、互いに隣接する分流板60の上端部60aの位置が距離D7ずつ鉛直方向にずれるように分流板60の長さが設定されている。距離D7と距離D2は等しい。また複数の分流板60のうち、第二流路50dの中央部より内壁50f側の分流板60においては、互いに隣接する分流板60の上端部60aの位置が、距離D7の1.7倍の距離D8ずつ鉛直方向にずれるように分流板60の長さが設定されている。つまり複数の分流板60は、D5/D7=D6/D8を満たす形状となっている。
【0068】
このような構成により、第二流路50dの中央部より内壁50f側において互いに隣接する分流板60間で形成される空気流路を流れる空気の量は、中央部より内壁50e側の分流板60において互いに隣接する分流板60間で形成される空気流路を流れる空気の量の1.7倍となり、空気の平均流速は全ての空気流路で同じとなる。
【0069】
なお、本実施形態においても、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さをL、画像形成装置Aの前後方向の長さをDする場合、以下の条件を満たしている。
【0070】
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
【0071】
図14は、第二ダクト50において、入口50aから流速20m/sの空気を入れた時の出口50bから鉛直方向に2mm離れた位置における画像形成装置Aの前後方向の空気の流速分布をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。図14に示すグラフの縦軸は、測定位置での空気の流速を表しており、逆流が正の値となっている。横軸は、測定位置を表しており、画像形成装置Aの前後方向の測定位置を内壁50eの位置を基準(0)とし、数値が大きくなるにつれて測定位置が画像形成装置Aの後方にずれる。
【0072】
図14に示す様に、測定位置において空気の流速はほぼ-1~-2.5m/sの範囲内にあり、逆流が抑制されていることが確認された。これは互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さL、画像形成装置Aの前後方向の長さDが上述した条件を満たすように規定されているためである。このように本実施形態の構成によれば、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の各方向の長さを規定することで第二ダクト50の出口50b付記における空気の逆流を抑制することができる。
【0073】
なお本実施形態では、互いに隣接する分流板60によって形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さを長さD5、D6の二通りとする構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られず、互いに隣接する分流板60によって形成される空気流路の画像形成装置Aの前後方向の長さDに関し、各々の空気流路の長さを全て異なる値とする構成としてもよい。
【0074】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
図15(a)は、本実施形態に係る第二ダクト50の概略断面図である。図15(b)は、本実施形態に係る第二ダクト50の内部に設けられる分流板60の上端部60aの拡大図である。図15に示す様に、本実施形態の構成は、第1実施形態の構成に対し、分流板60の形状が異なる。具体的には、複数の分流板60の上端部60aには、第二ダクト50の第一流路50cにおける空気の進行方向の下流側、即ち画像形成装置Aの後方に突出する円弧状の突起60a1が設けられている。突起60a1の突出量はKである。
【0076】
また本実施形態に係る第二ダクト50は、入口50aが30mm×40mmの長方形状の開口部であり、出口50bが30mm×300mmの長方形状の開口部である。また分流板60の総数は39個である。本実施形態においても、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さをL、画像形成装置Aの前後方向の長さをDする場合、以下の条件を満たしている。第4実施形態に係る画像形成装置Aのその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0077】
3.0≦D≦5.5の場合、L≧D×3.04-6.72
5.5≦D≦6.5の場合、L≧D×4.0-12.0
6.5≦D≦9.0の場合、L≧D×8.40-40.60
9.0≦D≦13.0の場合、L≧D×10.50-59.50
13.0≦D≦28.0の場合、L≧D×4.70+15.90
【0078】
図16は、本実施形態に係る第二ダクト50において、入口50aから市販ファンの圧力と風量の特性(PQ特性)を模擬した空気を入れた時の出口50bから鉛直方向に19mm離れた位置における画像形成装置Aの前後方向の空気の流速分布をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。図16では、分流板60の突起60a1の突出量KがK=2の構成とK=3の構成と分流板60に突起60a1を設けない比較例の構成のシミュレーション結果を記載している。また図16に示すグラフの縦軸は、測定位置での空気の流速を表しており、逆流が正の値となっている。横軸は、測定位置を表しており、画像形成装置Aの前後方向の測定位置を内壁50eの位置を基準(0)とし、数値が大きくなるにつれて測定位置が画像形成装置Aの後方にずれる。
【0079】
図16に示す様に、測定位置において空気の流速はほぼ-1~-2.5m/sの範囲内にあり、逆流が抑制されていることが確認された。これは互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の鉛直方向の長さL、画像形成装置Aの前後方向の長さDを上述した条件を満たすように規定しているためである。
【0080】
図17は、本実施形態に係る第二ダクト50において、入口50aから市販ファンの圧力と風量の特性(PQ特性)を模擬した空気を入れた時の出口50bから鉛直方向に19mm離れた位置における空気の圧力損失をコンピューターシミュレーションで求めた結果を示すグラフである。図17では、分流板60の突起60a1の突出量KがK=2の構成とK=3の構成と分流板60に突起60a1を設けない比較例の構成のシミュレーション結果を記載している。
【0081】
図17に示す様に、本実施形態の構成では、比較例の構成と比較して空気の圧力損失が低減されている。また分流板60に突起60a1の突出量Kが長い構成の方が、短い構成よりも空気の圧力損失が低減されている。これは以下の理由によると考えられる。即ち、分流板60の上端部60aに突起60a1がない場合、分流板60の上端部60aの下流側の領域(本実施形態の突起60a1がある領域と概ね一致)で流れの剥離が生じ、流れが乱れたり、渦が発生することで損失が発生する。一方、本実施形態のように突起60a1がある場合、突起60a1があるために分流板60間への空気の導入の際に流れの剥離が起きにくく、流れの乱れや渦の発生が抑えられるためと考えられる。
【0082】
このように本実施形態の構成によれば、互いに隣接する二つの分流板60で形成された空気流路の各方向の長さを規定することで第二ダクト50の出口50b付記における空気の逆流を抑制することができる。また第二ダクト50の出口50b付近の空気の圧力損失が低減させることができる。
【0083】
なお、第1~第4実施形態では、第二ダクト50の出口50b付近の空気の逆流を抑制するための構成について説明したものの、画像形成装置Aに設けられた他のダクトに対しても同様の構成を適用することができる。例えば第一ダクト32の内部において、第二ダクト50と同様の複数の分流板60を設ける構成としてもよい。これにより第一ダクト32の出口付近で空気が逆流することが抑制され、両面搬送路26におけるシートSの冷却能力が低下することを抑制することができる。この場合、第1方向は両面搬送路26上のシートSの厚み方向であり、第2方向は両面搬送路26上のシートSの搬送方向である。
【符号の説明】
【0084】
1…感光ドラム(感光体)
2…帯電装置(帯電部材)
50…第二ダクト
50a…入口(吸気口)
50b…出口
50c…第一流路(第1流路)
50d…第二流路(第2流路)
51…第二ファン
60…分流板
A…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18