(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】放射線撮影システム及びそれに用いられるケーブル
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20241105BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20241105BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 500W
(21)【出願番号】P 2021043774
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】小柳 隆宏
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-062687(JP,A)
【文献】特開2017-060632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020995(US,A1)
【文献】特開2012-009728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 1/16
G01T 1/167- 7/12
A61B 6/00 - 6/58
H01R 13/73 -13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置からの信号または電力の少なくとも何れかを伝達するケーブルと、前記ケーブルの端部に設けられたコネクタ部と、放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置を着脱可能な撮影台とを備える放射線撮影システムであって、
前記放射線撮影装置は、放射線を検出し電気信号に変換する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルを内包する長方形状の筐体とを有し、
前記筐体の側面には、前記コネクタ部と接続される筐体側の接続端子部が配置され、
前記コネクタ部は、
前記撮影台との固定に使用可能な、放射線入射面と平行な表面から前記表面と対向する裏面へと貫通する貫通穴を少なくとも一つ有することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項2】
前記コネクタ部は、扁平状のケースを有し、
前記貫通穴は、前記ケースの角部に位置することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記コネクタ部は、前記ケースの複数の側面のうち一つの側面に前記筐体側の接続端子部に接続されるコネクタ側の接続端子部を有し、
前記貫通穴は、前記複数の側面のうち前記コネクタ側の接続端子部が設けられた側面に近接した、前記ケースの角部に位置することを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記コネクタ部は、扁平状のケースと、前記ケースの複数の側面のうち一つの側面に前記筐体側の接続端子部に接続されるコネクタ側の接続端子部とを有し、
前記貫通穴は、前記ケースを前記表面と直交する方向から見て、前記コネクタ側の接続端子部の幅方向の中心線に対して対称な位置に少なくとも2つあることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記コネクタ部は、前記表面から前記裏面までの厚さ方向の中心に位置するコネクタ側の接続端子部を有し、
前記コネクタ側の接続端子部から前記表面または前記裏面までの厚さが、前記筐体側の接続端子部から、前記放射線入射面と対向する対向面までの厚さと同じであることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記コネクタ部は、前記表面から前記裏面までの厚さが前記筐体の厚さ以下であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記貫通穴は、前記筐体側の接続端子部をコネクタ部に接続する方向に対して直交する方向に沿って長い長穴であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記貫通穴は、前記表面のうち前記裏面に向かって一段掘り込まれた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
外部装置と、放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置を着脱可能な撮影台とを備える放射線撮影システムにおいて用いられ、前記外部装置からの信号または電力の少なくとも何れかを前記放射線撮影装置に伝達するケーブルであって、
前記ケーブルの端部に配置され、前記撮影台との固定に使用可能な、前記放射線撮影装置の放射線入射面と平行な表面から前記表面と対向する裏面へと貫通する貫通穴を少なくとも一つ有するコネクタ部を有することを特徴とするケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システム及びそれに用いられるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野における放射線撮影の一般的な方式として、絶縁基板上に薄膜半導体材料によって形成されたフラットパネルディテクタ(FPD)を用いた放射線撮影装置が普及している。放射線撮影装置を用いることにより医療画像診断において静止画撮影及び透視撮影のような動画撮影を行うことができる。
【0003】
また、迅速かつ広範囲な部位の撮影を可能にするために、薄型で軽量な可搬型の放射線撮影装置が製品化されている。可搬型の放射線撮影装置には、制御装置からの信号や電源装置からの電力を伝達するためのケーブルを備えるものがある。
【0004】
特許文献1には、ケーブルを接続することが可能な接続部が設けられた電子カセッテが開示されている。
特許文献2には、カセッテとケーブルとの接続を容易にするために、カセッテ用コネクタに磁石が設置されており、磁石の吸引力によりカセッテの接続部とケーブルとが接続される構成が開示されている。
【0005】
また、放射線撮影装置を撮影台に装填して使用する場合がある。特許文献3には、撮影台の外部に配置される外部装置との間で容易にケーブル接続ができるように、撮影台側に予め複合コネクタが固定されたX線撮影システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-144424号公報
【文献】特開2010-259680号公報
【文献】特開2015-062687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
撮影台にコネクタを固定する場合には、コネクタの形状に合わせた固定構造が必要になる。固定構造が複雑であるとコネクタを撮影台に容易に固定できなかったり、配置するスペースが余分に必要になってしまったりするために、固定構造は簡素化されていることが望ましい。
本発明は、撮影台に対してコネクタ部を固定するための固定構造を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外部装置からの信号または電力の少なくとも何れかを伝達するケーブルと、前記ケーブルの端部に設けられたコネクタ部と、放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置を着脱可能な撮影台とを備える放射線撮影システムであって、前記放射線撮影装置は、放射線を検出し電気信号に変換する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルを内包する長方形状の筐体とを有し、前記筐体の側面には、前記コネクタ部と接続される筐体側の接続端子部が配置され、前記コネクタ部は、前記撮影台との固定に使用可能な、放射線入射面と平行な表面から前記表面と対向する裏面へと貫通する貫通穴を少なくとも一つ有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影台に対してコネクタ部を固定するための固定構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の放射線撮影装置及び撮影台の構成の一例を示す図である。
【
図3】比較例のコネクタ部の固定構造の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態のコネクタ部の固定構造の一例を示す図である。
【
図5】第2実施形態のコネクタ部の固定構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付の図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
放射線撮影システムは、放射線撮影装置100と、放射線撮影装置100に着脱可能なコネクタ部201と、放射線撮影装置100を着脱可能に保持する撮影台300とを備える。
【0012】
放射線撮影装置100は、放射線発生装置(X線発生装置)500で発生され被検体600を透過した放射線を検出し電気信号に変換することで放射線画像データを生成する。コネクタ部201は、制御装置401と放射線撮影装置100との間で信号を伝送することを可能にしたり、電源装置402からの電力を放射線撮影装置100に供給したりする。コネクタ部201は、ケーブル202の端部に固定される。放射線撮影装置100は、コネクタ部201によりケーブル202を介して制御装置401や電源装置402等の外部装置と電気的及び物理的に接続される。放射線撮影装置100及びコネクタ部201は、それぞれ後述する接続端子部を有する。
【0013】
制御装置401は、放射線撮影装置100に対して、例えば、電力制御やセンサの駆動制御を指示する制御信号を送信する。制御装置401は、放射線撮影装置100から放射線画像データを受信する通信回路と、受信した放射線画像データを画像処理する画像処理回路と、画像処理された画像データを表示部に表示させる表示制御部とを有する。制御装置401は、例えば画像表示端末を用いることができる。
【0014】
電源装置402は、放射線撮影装置100に電力を供給する。
ケーブル202は、外部装置からの信号及び電力を放射線撮影装置100に伝達する。具体的に、ケーブル202は、上述した制御信号や画像情報を伝送する信号線と、電力供給に用いられる電源線とにより構成される。ケーブル202は、放射線撮影装置100と、制御装置401及び電源装置402とをそれぞれ接続する。なお、ケーブル202は、制御装置401及び電源装置402にそれぞれ接続する場合に限られず、制御装置401または電源装置402の何れか一方に接続され、信号または電力の何れかを伝達するように構成されていてもよい。
【0015】
以下、放射線撮影装置100、撮影台300、コネクタ部201の具体的な構成について説明する。
<放射線撮影装置100の構成>
図2は、放射線撮影装置100及び撮影台300の構成の一例を示す図である。
放射線撮影装置100は、可搬型であり、従来のフィルム用カセッテにおけるJIS規格(JIS Z4905)に準拠する厚さの範囲内である。放射線撮影装置100は、放射線検出パネル101と、筐体102とを備える。
放射線検出パネル101は、筐体102内に配置され、筐体102を透過した放射線を検出し電気信号に変換する。放射線検出パネル101は、長方形状の検出面を有する。
【0016】
筐体102は、放射線撮影装置100の外装であって、放射線検出パネル101を内包する。筐体102は、全体が扁平状の直方体であって、放射線入射面103a側から見て矩形状、具体的には長方形状である。筐体102は、放射線入射面103aと、放射線入射面103aに対向する対向面103bと、4つの側面104a~104dとにより構成される。放射線入射面103aは、放射線を透過しやすいCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)等の材料が用いられる。一方、対向面103bおよび側面104a~104dは、軽量で剛性の高いアルミニウム合金やマグネシウム合金等の材料が用いられる。
【0017】
放射線撮影装置100は、コネクタ部201との間で電気的及び機械的に接続される接続端子部(筐体側の接続端子部)105と、無線通信回路とを有し、外部装置との間で有線及び無線により通信可能である。接続端子部105は、筐体102の4つの側面104a~104dのうち一つの側面104aに設けられる。本実施形態の放射線撮影装置100は、外部装置としての制御装置401からの制御信号に応じて駆動され、放射線撮影装置100で得られた画像情報が制御装置401に伝送されて各種画像処理や表示処理が実施される。
【0018】
<撮影台300の構成>
撮影台300は、放射線撮影装置100を着脱可能に保持する。撮影台300は、内部に放射線撮影装置100を所定の位置に保持するための略板状のトレイ301を有する。トレイ301は、ガイド部としてのガイドレール302a、302bと、ストッパ部303と、コネクタ部201とが固定される。ガイドレール302a、302bは、放射線撮影装置100の筐体102のうち接続端子部105が配置された側面104aに隣り合う側面104b、104cを長手方向に沿ってガイドする。ストッパ部303は、ガイドレール302a、302bの長手方向の両端部のうち一方側の端部に配置され、放射線撮影装置100のガイドレール302a、302bに沿ったスライドを規制する。また、コネクタ部201は、ガイドレール302a、302bの長手方向の両端部のうち一方側の端部に近接した位置に、トレイ301に対して後述する固定構造を用いて固定される。
【0019】
検者は、放射線撮影装置100をガイドレール302a、302bの長手方向の他方側の端部からガイドレール302a、302bに挿入してスライドさせることで、側面104b、104cがガイドレール302a、302bによってガイドされる。検者は、放射線撮影装置100をストッパ部303に当接するまでガイドレール302a、302bに沿ってスライドさせることで、放射線撮影装置100の接続端子部105がコネクタ部201に接続される。一方、検者は、放射線撮影装置100をガイドレール302a、302bの長手方向の他方側の端部に向かってスライドさせて、ガイドレール302から抜き出すことで、接続端子部105をコネクタ部201から離脱させることができる。
【0020】
このように、放射線撮影装置100を挿抜することによってコネクタ部201との着脱とを同時に行うことができ、検者がコネクタ部201との着脱する操作を別途に行う必要がないために作業効率を向上させることができる。
なお、
図1に示す撮影台300は、放射線撮影装置100の放射線入射面103aが鉛直方向に沿う立位撮影台であるが、放射線入射面103aが水平方向に沿うテーブルタイプの撮影台であってもよい。
【0021】
<コネクタ部201の構成>
コネクタ部201は、放射線撮影装置100(相手側の装置)と制御装置401との間で通信するための通信路として機能したり、電源装置402から電力を放射線撮影装置100に供給するための供給路として機能したりする。コネクタ部201は、ケーブル202の端部に固定される。コネクタ部201は、放射線撮影装置100の接続端子部105に対して着脱可能である。コネクタ部201は、撮影台300に放射線撮影装置100を装填した際に放射線撮影装置100が接続されるように、トレイ301に固定構造を用いて固定される。
【0022】
<コネクタ部201の固定構造>
ここで、本実施形態のコネクタ部201の固定構造について、
図3に示す比較例と対比して説明する。
図3は、比較例のコネクタ部10の固定構造の一例を示す図である。
比較例の固定構造は、固定具11を用いてコネクタ部10をトレイ301に固定する構成である。固定具11は、トレイ301に固定される第1の固定部12aと、コネクタ部10に固定される第2の固定部12bとを有する。第1の固定部12aは、締結部材13を第1の固定部12aの貫通穴を通してトレイ301に締結することで、トレイ301に固定される。一方、第2の固定部12bは、締結部材14を第2の固定部12bの貫通穴を通してコネクタ部10に固定することで、コネクタ部10に固定される。このように、コネクタ部10は固定具11を介して間接的にトレイ301に固定される。比較例では、固定具11を必要とするために固定構造を簡素化することができない。また、固定具11の第1の固定部12aをトレイ301と重ね合わせて固定するために、トレイ301に第1の固定部12aを配置するスペースが必要となるためにコンパクト化を図ることができない。
【0023】
図4は、本実施形態のコネクタ部201の固定構造の一例を示す図である。
図4(a)はコネクタ部201の平面図であり、
図4(b)はコネクタ部201の側面図であり、
図4(c)はコネクタ部201の背面図である。
コネクタ部201は、ケース21と、接続端子部(コネクタ側の接続端子部)26と、規制ピン27a、27bと、保持部28a、28bとを有する。
【0024】
ケース21は、コネクタ部201の外装であって、コネクタ部201の各部品を内包する。ケース21は、全体が扁平状であり、平面視あるいは背面視において矩形状、具体的には直角台形状(略台形状)である。ケース21は、表面(第一の面)22aと、表面22aに対向する裏面(第二の面)22bと、複数(ここでは4つ)の側面23a~23dとがある。コネクタ部201がトレイ301に固定され、コネクタ部201の接続端子部26と放射線撮影装置100の接続端子部105とが接続された状態では、ケース21の表面22aは放射線撮影装置100の放射線入射面103aと平行である。
また、ケース21は、表面22aを有する第1のケース24aと、裏面22bを有する第2のケース24bとから構成され、第1のケース24aと第2のケース24bとが締結部材25により一体化される。4つの側面23a~23dのうち一つの側面23bにはケーブル202が接続固定される。側面23bは、側面23aとの間で鋭角に隣り合い、側面23dとの間で鈍角に隣り合う面である。
【0025】
接続端子部26は、放射線撮影装置100と制御装置401との間で信号の伝送を可能にしたり放射線撮影装置100に電力を供給したりするために、放射線撮影装置100の接続端子部105と接続される。接続端子部26は、ケース21の4つの側面23a~23dのうち一つの側面23aに設けられ、筐体102の表面22aから裏面22bまでの厚みT1の中心に位置する。接続端子部26は、放射線撮影装置100の接続端子部105に対向するように位置する。
【0026】
規制ピン27a、27bは、接続端子部26が放射線撮影装置100の接続端子部105に接続された状態で放射線撮影装置100が側面23aと平行な方向に移動しようとしたときに放射線撮影装置100の移動を規制する。規制ピン27a、27bが放射線撮影装置100の移動を規制することで、接続端子部26に過剰な負荷が掛からないようにすることができる。規制ピン27a、27bは、側面23aのうち接続端子部26を挟んだ両側に離れて位置する。規制ピン27a、27bは、接続端子部26が放射線撮影装置100の接続端子部105に接続された状態で放射線撮影装置100の後述する被規制部107a、107bと嵌合する。
【0027】
保持部28a、28bは、接続端子部26が放射線撮影装置100の接続端子部105と接続された状態に放射線撮影装置100を保持する。保持部28a、28bは、側面23aのうち接続端子部26及び規制ピン27a、27bを挟んだ両側に離れて位置する。保持部28a、28bは、例えば、磁石により構成され、放射線撮影装置100の磁性体に対して吸着する。放射線撮影装置100の磁性体は、例えば、筐体102を構成する金属であってもよく、筐体102の側面104aに設けられた金属であってもよい。
【0028】
ここで、本実施形態のコネクタ部201のケース21は直接、トレイ301に固定できるように構成される。具体的には、ケース21は、表面22aから裏面22bへと貫通する貫通穴29a、29bを有する。貫通穴29a、29bはケース21のうち隣り合う角部に位置する。また、貫通穴29a、29bはケース21の4つの側面23a~23dのうち接続端子部26が配置された側面23aに近接した角部に位置する。具体的に、貫通穴29aは側面23aと側面23cとが交差する角部に近接して位置し、貫通穴29bは側面23aと側面23bとが交差する角部に近接して位置する。
【0029】
図2の拡大斜視図に示すように、締結部材30を貫通穴29a、29bを通して、トレイ301の図示しない孔に締結することで、コネクタ部201がトレイ301に固定される。このように、コネクタ部201が貫通穴29a、29bを有することでコネクタ部201を直接、トレイ301に固定することができるために比較例のように固定具を介在させる必要がないことから、コネクタ部201の固定構造を簡素化することができる。また、コネクタ部201が貫通穴29a、29bを有することで比較例のように固定具を配置するスペースが必要ないことから、省スペース化を図ることができる。
【0030】
また、ケース21の表面22aは、側面23aと側面23bが交差する角部と、側面23aと側面23cとが交差する角部とが裏面22b側に向かって一段掘り込まれた形状であり、各角部に貫通穴29a、29bが形成される。すなわち、貫通穴29a、29bの表面22a側の周囲は一段、低くなるように形成される。このように、貫通穴29a、29bの表面22a側の周囲を一段低くなるようにすることで、締結部材30を貫通穴29a、29bに挿通させたときに、締結部材30がケース21の厚み方向に突出するのを抑制でき、トレイ301の薄型化を図ることができる。なお、
図4(a)、
図4(b)に示すように、貫通穴29a、29bの表面22a側の周囲は、側面23a、23b、23c側に向かって開口しているが、この場合に限られず、側面23a、23b、23c側に向かって開口しない、いわゆる座繰り面であってもよい。
【0031】
なお、コネクタ部201は撮影台300側の所定の位置に固定できればよく、トレイ301に固定する場合に限られない。また、近年では、フィルム用のカセッテにおける外形寸法に準拠した放射線撮影装置が普及したことによって、僅かな改造で各放射線撮影装置に対応することが可能な汎用性のある撮影台が各メーカから提供されている。本実施形態のコネクタ部201の固定構造によれば、簡素化及び省スペース化が図られていることから、最小限の改良だけで各メーカから提供されている撮影台にコネクタ部201を固定することができる。
【0032】
また、
図4(a)及び
図4(c)に示すように表面22aまたは裏面22bと直交する方向から見て、ケース21の貫通穴29a、29bは、接続端子部26の幅方向の中心線Cに対して対称な位置に配置される。ここで、コネクタ部201を180度反転させた状態、すなわちケース21の表面22aと裏面22bとを入れ替えるように反転させた状態で放射線撮影装置100の接続端子部105に電気的及び機械的に接続できる仕様である場合を想定する。この場合、貫通穴29a、29bが接続端子部26に対して対称な位置であるために、コネクタ部201を180度反転させても締結部材30を貫通穴29a、29bを通して、反転させる前に締結するときに用いたトレイ301の同じ孔に締結することができる。したがって、ケーブル202を引き出す方向を変更するためにコネクタ部201を反転させる場合であっても容易に対応することができる。なお、貫通穴29a、29bの裏面22b側の周囲も一段、低くなるように形成したり、裏面22b側にも座繰り面を形成したりしてもよい。このようにすることで、コネクタ部201を180度反転させて締結部材30を貫通穴29a、29bに挿通させた場合でも、締結部材30がケース21の厚み方向に突出するのを抑制することができる。
【0033】
なお、
図4(d)は、放射線撮影装置100の接続端子部105周辺の構成の一例を示す図である。放射線撮影装置100は、筐体102の側面104aに接続端子部105と、接続端子部105を挟んだ両側に離れて被規制部107a、107bとを有する。放射線撮影装置100の筐体102は、放射線入射面103aから対向面103bまでの厚みがT2である。ここでは、
図4(b)及び
図4(d)に示すように、コネクタ部201の厚みT1は放射線撮影装置100の厚みT2以下である。また、
図4(d)に示すように、接続端子部105は、筐体102の厚みT2の中心に位置しておらず、厚みT2の中心から対向面103b側にオフセットして位置している。このとき、コネクタ部201の接続端子部26の中心から裏面22bまでの厚みL1が、放射線撮影装置100の接続端子部105から対向面103bまでの厚みL1と同じである。したがって、ガイドレール302a、302bに沿って放射線撮影装置100をスライドさせることで、放射線撮影装置100の接続端子部105をトレイ301に固定されたコネクタ部201の接続端子部26に接続することができる。
更に、コネクタ部201の接続端子部26の中心から表面22aまでの厚みL2も、放射線撮影装置100の接続端子部105から対向面103bまでの厚みL1と同じである。したがって、コネクタ部201を180度反転させてトレイ301に固定した場合でも、放射線撮影装置100の接続端子部105をトレイ301に固定されたコネクタ部201の接続端子部26に接続することができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、コネクタ部201は、撮影台300との固定に使用可能な、放射線入射面103aと平行な表面22aから表面22aと対向する裏面22bへと貫通する貫通穴29a、29bを有する。このように、コネクタ部201が貫通穴29a、29bを有することで、コネクタ部201を直接、トレイ301に固定することができるために、コネクタ部201の固定構造を簡素化することができる。また、貫通穴29a、29bは、ケース21の角部に位置することから、コネクタ部201をトレイ301に強固に固定することができる。また、貫通穴29a、29bは、ケース21の4つの側面23a~23dのうち接続端子部26が設けられた側面23aに近接した角部に位置することから、コネクタ部201をトレイ301に更に強固に固定することができる。
なお、本実施形態では、コネクタ部201が2つの貫通穴29a、29bを有する場合について説明したが、この場合に限られず、貫通穴を一つ有していてもよく、3つ以上有していてもよい。また、ケース21の3つの角部または4つの角部にそれぞれ貫通穴を有していてもよい。
【0035】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態のコネクタ部231の構成の一例を示す図である。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して適宜、説明を省略する。
ケース31は、表面22aから裏面に貫通する貫通穴39を有する。締結部材30を貫通穴39を通して、トレイ301の図示しない孔に締結することで、コネクタ部231がトレイ301に固定される。
【0036】
本実施形態の貫通穴39は、放射線撮影装置100の接続端子部105をコネクタ部231の接続端子部26に接続する方向に対して直交する方向に沿って長い長穴、換言すると接続端子部26の幅方向に沿った方向に長い長穴である。したがって、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、締結部材30をトレイ301の孔に締結する位置を変更することなく、トレイ301に対してコネクタ部231の位置を接続端子部26の幅方向に沿った方向に調整することができる。このように、コネクタ部231の位置を調整することで、接続端子部105の位置が異なる放射線撮影装置100であってもコネクタ部231の接続端子部26の位置を放射線撮影装置100の接続端子部105の位置に合わせることができる。
また、貫通穴39の表面22a側の周囲は長穴に沿って一段、低くなるように座繰り面40が形成されていることから、締結部材30がケース31の厚み方向に突出するのを抑制することができる。なお、貫通穴39の表面22a側に限られず、裏面22b側の周囲も長穴に沿って一段、低くなるように座繰り面を形成してもよい。このようにすることで、コネクタ部231を180度反転させて締結部材30を貫通穴39に挿通させた場合でも、締結部材30がケース31の厚み方向に突出するのを抑制することができる。
【0037】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、上述した実施形態及び変形例を適時組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
100:放射線撮影装置 102:筐体 105:筐体側の接続端子部 201:コネクタ部 202:ケーブル 300:撮影台 21:ケース 29a、29b:貫通穴