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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/322 20060101AFI20241105BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20241105BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20241105BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20241105BHJP
【FI】
H01L21/322 N
H01L21/31 B
H01L21/318 B
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B43/27
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021046203
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144977
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】前田 秋生
(72)【発明者】
【氏名】石原 典隆
(72)【発明者】
【氏名】福本 敦之
(72)【発明者】
【氏名】山阪 司祐人
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-015868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0013225(US,A1)
【文献】特開2004-128421(JP,A)
【文献】特開2001-250928(JP,A)
【文献】特開2009-267391(JP,A)
【文献】特開2000-353797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0253458(US,A1)
【文献】特開2002-261289(JP,A)
【文献】特開平11-354448(JP,A)
【文献】特開平10-223533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0106841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/322
H01L 21/31
H01L 21/318
H01L 21/336
H10B 41/27
H10B 43/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、複数の金属原子を含む半導体層を形成し、
前記半導体層上に、複数のシリコン原子および複数の窒素原子を含む第1層を、窒素原子用のソースガスの流量とシリコン原子用のソースガスの流量との比を制御することで形成し、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を、前記第1層内に移動させ、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を前記第1層内に移動させた後、前記第1層を除去する、
ことを含み、
前記第1層内のシリコン原子および窒素原子の個数に対する窒素原子の個数の割合は、4/7よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属原子は、Fe(鉄)原子、Ni(ニッケル)原子、Cu(銅)原子、Co(コバルト)原子、Sn(スズ)原子、Pb(鉛)原子、Pd(パラジウム)原子、Ru(ルテニウム)原子、Rh(ロジウム)原子、Os(オスミウム)原子、Ir(イリジウム)原子、Pt(白金)原子、Au(金)原子、Al(アルミニウム)原子、またはAg(銀)原子である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1層は、複数の窒素原子を含むシリコン層である、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1層内のシリコン原子および窒素原子の個数に対する窒素原子の個数の割合は、40%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1層は、前記窒素原子用のソースガスの流量と前記シリコン原子用のソースガスの流量との比を1:5以下に制御することで形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板上に複数の第1膜と複数の第2膜とを交互に形成し、
前記第1および第2膜内に開口部を形成し、
前記開口部内に電荷蓄積層を形成する、
ことをさらに含み、
前記半導体層は、前記開口部内に前記電荷蓄積層を介して形成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1層は、前記開口部内および前記開口部外のうち、前記開口部外のみに形成される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1層は、少なくとも前記開口部内に形成される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部は、前記半導体層の熱処理により前記第1層内に移動する、請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記熱処理は、400℃以上の温度で行われる、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1層は、薬液またはガスを用いて除去される、請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1層上に、複数のボロン原子、複数のリン原子、または複数のヒ素原子を含むシリコン層である第2層を形成し、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を、前記第1および第2層内に移動させ、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を前記第1および第2層内に移動させた後、前記第1および第2層を除去する、
ことをさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
基板上に、複数の金属原子を含む半導体層を形成し、
前記半導体層上に、複数の窒素原子を含む第1層を形成し、
前記第1層上に、複数のボロン原子、複数のリン原子、または複数のヒ素原子を含むシリコン層である第2層を形成し、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を、前記第1および第2層内に移動させ、
前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を前記第1および第2層内に移動させた後、前記第1および第2層を除去する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1層は、複数のシリコン原子および複数の窒素原子を含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体層から、ゲッター層と呼ばれる層内に金属原子を除去する場合、好適なゲッター層を形成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3425392号公報
【文献】特開2001-223219号公報
【文献】特開2004-128421号公報
【文献】特開2009-033123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体層内の金属原子を除去するための好適な層を形成することが可能な半導体装置の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、基板上に、複数の金属原子を含む半導体層を形成し、前記半導体層上に、複数のシリコン原子および複数の窒素原子を含む第1層を形成することを含む。前記方法はさらに、前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を、前記第1層内に移動させ、前記半導体層内の前記金属原子の少なくとも一部を前記第1層内に移動させた後、前記第1層を除去することを含む。さらに、前記第1層内のシリコン原子および窒素原子の個数に対する窒素原子の個数の割合は、4/7よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/6)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/6)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/6)である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/6)である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/6)である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(6/6)である。
図9】第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
図10】第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
図11】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図12】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図14】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図14において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。図1の半導体装置は、例えば3次元半導体メモリである。
【0009】
図1の半導体装置は、コア絶縁膜1と、チャネル半導体層2と、トンネル絶縁膜3と、電荷蓄積層4と、ブロック絶縁膜5と、電極層6とを備えている。ブロック絶縁膜5は、絶縁膜5aと、絶縁膜5bとを含んでいる。電極層6は、バリアメタル層6aと、電極材層6bとを含んでいる。
【0010】
図1の半導体装置では、基板上に複数の電極層および複数の絶縁層が交互に積層されており、これらの電極層および絶縁層内に複数のメモリホールが設けられている。図1は、これらの電極層のうちの1つの電極層6と、これらのメモリホールのうちの1つのメモリホールMHとを示している。これらの電極層は例えば、ワード線または選択線として機能する。
【0011】
図1は、基板の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。図1では、電極層6がX方向およびY方向に拡がっており、メモリホールMHが、Z方向に延びている。
【0012】
コア絶縁膜1、チャネル半導体層2、トンネル絶縁膜3、電荷蓄積層4、および絶縁膜5aは、メモリホールMH内に形成されており、上記電極層と共に、3次元半導体メモリのメモリセルトランジスタ(メモリセル)および選択トランジスタを構成している。
【0013】
絶縁膜5aは、メモリホールMH内の電極層および絶縁層の表面に形成され、電荷蓄積層4は、絶縁膜5aの表面に形成されている。電荷蓄積層4は、メモリセルトランジスタ内に信号電荷を蓄積するために設けられている。トンネル絶縁膜3は、電荷蓄積層4の表面に形成され、チャネル半導体層2は、トンネル絶縁膜3の表面に形成されている。チャネル半導体層2は、メモリセルトランジスタおよび選択トランジスタのチャネルとして機能する。コア絶縁膜1は、チャネル半導体層2内に形成されている。
【0014】
絶縁膜5aは例えば、SiO膜(シリコン酸化膜)である。電荷蓄積層4は例えば、SiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜3は例えば、SiON膜(シリコン酸窒化膜)である。チャネル半導体層2は例えば、ポリシリコン層である。コア絶縁膜1は例えば、SiO膜である。
【0015】
絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bは、互いに隣接する絶縁層間に形成されており、上側の絶縁層の下面と、下側の絶縁層の上面と、絶縁膜5aの側面とに順に形成されている。絶縁膜5bは例えば、Al膜(アルミニウム酸化膜)などの金属絶縁膜である。バリアメタル層6aは例えば、TiN膜(チタン窒化膜)である。電極材層6bは例えば、W(タングステン)層である。
【0016】
図2は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。図2は、図1のメモリホールMHのXZ断面を示している。
【0017】
本実施形態の半導体装置は、図2に示すように、コア絶縁膜1と、チャネル半導体層2と、トンネル絶縁膜3と、電荷蓄積層4と、ブロック絶縁膜5と、複数の電極層6と、基板11と、積層膜12と、複数の絶縁層13とを備えている。図2では、ブロック絶縁膜5が、絶縁膜5aと、複数の絶縁膜5bとを含んでおり、各電極層6が、バリアメタル層6aと、電極材層6bとを含んでいる。本実施形態の半導体装置はさらに、メモリホールMHと、エアギャップAGとを備えている。
【0018】
基板11は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。図2は、図1と同様に、基板11の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板11の表面に垂直なZ方向とを示している。
【0019】
積層膜12は、基板11上に交互に積層された複数の電極層6および複数の絶縁層13を含んでいる。積層膜12は、基板11上に直接形成されていてもよいし、基板11上に他の層を介して形成されていてもよい。絶縁層13は例えば、SiO膜である。各電極層6内のバリアメタル層6aおよび電極材層6bは、Z方向に互いに隣接する絶縁層13間に、絶縁膜5bを介して順に形成されている。
【0020】
絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1は、メモリホールMH内で積層膜12の側面に順に形成されている。本実施形態の絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、およびチャネル半導体層2はさらに、メモリホールMH外で積層膜12の上面に順に形成されている。また、本実施形態のコア絶縁膜1は、空気で満たされたエアギャップAGを含んでいる。
【0021】
図3図8は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0022】
まず、基板11上に積層膜12’を形成する(図3)。積層膜12’は、基板11上に複数の絶縁層13と複数の犠牲層15とを交互に形成することで形成される。犠牲層15は例えば、SiN膜である。犠牲層15は、後述する工程で電極層6と置換するために形成される。図3に示す工程では、犠牲層15の代わりに電極層6を形成することで、犠牲層15を電極層6に置換する工程を省略してもよい。絶縁層13は第1膜の例であり、犠牲層15および電極層6は第2膜の例である。
【0023】
次に、リソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、積層膜12’内にメモリホールMHを形成する(図4)。メモリホールMHは、開口部の例である。
【0024】
次に、基板11の全面に、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、およびチャネル半導体層2を順に形成する(図5)。その結果、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、およびチャネル半導体層2が、メモリホールMH内の積層膜12’の側面や、メモリホールMH外の積層膜12’の上面に順に形成される。本実施形態のチャネル半導体層2は、複数の金属原子21を含むように形成される。図5は、チャネル半導体層2に含まれる金属原子21を模式的に示している。金属原子21は例えば、Fe(鉄)原子、Ni(ニッケル)原子、またはCu(原子)である。チャネル半導体層2は、半導体層の例である。
【0025】
次に、基板11の全面にコア絶縁膜1を形成することで、メモリホールMH内のチャネル半導体層2の側面や、メモリホールMH外のチャネル半導体層2の上面にコア絶縁膜1を形成し、その後にメモリホールMH外のコア絶縁膜1を除去する(図5)。その結果、コア絶縁膜1がメモリホールMH内に埋め込まれる。コア絶縁膜1は、本実施形態ではエアギャップAGを含むように形成されるが、エアギャップAGを含まないように形成されてもよい。
【0026】
次に、基板11の全面にゲッター層14を形成する(図5)。その結果、ゲッター層14が、積層膜12およびメモリホールMHの上方で、チャネル半導体層2およびコア絶縁膜1上に形成される。本実施形態のゲッター層14は、メモリホールMH内およびメモリホールMH外のうち、メモリホールMH外のみに形成される。ゲッター層14は第1層の例である。
【0027】
ゲッター層14は例えば、複数のSi原子および複数のN(窒素)原子を含んでいる。この場合、ゲッター層14は、組成式「Si」で表されるシリコン窒化膜に比べて、Siリッチな態様でSi原子およびN原子を含んでいることが望ましい。本実施形態のゲッター層14内のSi原子およびN原子の個数に対するN原子の個数の割合は、例えば40%以下となっている。ゲッター層14内のSi原子の個数をK1で表し、ゲッター層14内のN原子の個数をK2で表す場合には、この条件は、K2/(K1+K2)≦0.4との不等式で表される。本実施形態のゲッター層14は例えば、N原子を含むアモルファスSi層(NドープaSi層)であり、この不等式を満たすようにSi原子およびN原子を含んでいる。また、本実施形態のゲッター層14が、組成式「Si」で表されるシリコン窒化膜に比べて、Siリッチな態様でSi原子およびN原子を含んでいる場合には、K2/(K1+K2)<4/7が成立する。
【0028】
ゲッター層14は例えば、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により形成される。この場合、LPCVD装置内のチャンバでは、N原子用のソースガスの流量とSi原子用のソースガスの流量との比を1:5以下(例えば1:5~1:20)に制御することで、ゲッター層14を形成することが望ましい。これにより、上記不等式を満たすゲッター層14を形成することが可能となる。N原子用のソースガスは、例えばNH(アンモニア)ガスである。Si原子用のソースガスは、例えばSiH(モノシラン)ガスである。本実施形態のゲッター層14は、チャネル半導体層2内の金属原子21をゲッタリングによりゲッター層14へと除去するために使用される。
【0029】
次に、チャネル半導体層2などを加熱する熱処理を行う(図6)。これにより、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部を、ゲッター層14内に移動させることができる。その結果、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部がゲッター層14へと除去され、チャネル半導体層2内の金属原子21の濃度が低下する。この熱処理を、ゲッタリングアニールとも呼ぶ。
【0030】
上記熱処理は例えば、400℃以上の温度で行われる。これにより、チャネル半導体層2内の金属原子21の濃度を十分に低下させることができる。
【0031】
上記熱処理は、チャネル半導体層2が形成されたチャンバと同じチャンバ内で行ってもよい。例えば、チャネル半導体層2がLPCVD装置により形成される場合には、チャネル半導体層2の形成も上記熱処理も、LPCVD装置のチャンバ内で行ってもよい。これにより、基板11をチャンバ外に搬出せずに、チャネル半導体層2の形成から上記熱処理までの工程をチャンバ内で連続的に行うことが可能となり、半導体装置の製造工程数を低減することが可能となる。一般に、LPCVD装置は加熱手段を備えているため、上記熱処理をこの加熱手段で行うことができる。
【0032】
なお、金属原子21は、Fe原子やNi原子やCu原子以外でもよい。このような金属原子21、22の例は、Co(コバルト)原子、Sn(スズ)原子、Pb(鉛)原子、Pd(パラジウム)原子、Ru(ルテニウム)原子、Rh(ロジウム)原子、Os(オスミウム)原子、Ir(イリジウム)原子、Pt(白金)原子、Au(金)原子、Al(アルミニウム)原子、Ag(銀)原子などである。
【0033】
次に、ゲッター層14を除去する(図7)。ゲッター層14は、薬液(例えば熱リン酸水溶液)を用いてウェットエッチングにより除去してもよいし、ガス(例えば塩素)を用いてドライエッチングにより除去してもよい。本実施形態では、ゲッター層14が除去されることで、ゲッター層14内に移動した金属原子21も除去されることになる。
【0034】
図7に示す工程(除去工程)は、チャネル半導体層2が形成されたチャンバと同じチャンバ内で行ってもよい。例えば、チャネル半導体層2がLPCVD装置により形成される場合には、チャネル半導体層2の形成、上記熱処理、および上記除去処理を、LPCVD装置のチャンバ内で行ってもよい。これにより、基板11をチャンバ外に搬出せずに、チャネル半導体層2の形成から上記除去処理までの工程をチャンバ内で連続的に行うことが可能となり、半導体装置の製造工程数を低減することが可能となる。例えば、チャンバ内に供給されるガスを、CVD用のガスからエッチング用のガスへと変更することで、上記除去処理をLPCVD装置により行うことができる。
【0035】
次に、リソグラフィおよびRIEにより積層膜12’内にスリット(図示せず)を形成し、スリットからのウェットエッチングにより犠牲層15を除去する(図8)。その結果、積層膜12’内の絶縁層13間に、複数の空洞Cが形成される。
【0036】
その後、これらの空洞C内に絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bを順に形成する。その結果、これらの空洞C内に複数の電極層6が形成され、基板11上に積層膜12が形成される(図2を参照)。このようにして、犠牲層15が電極層6に置換され、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0037】
以下、引き続き図3図8を参照して、本実施形態の半導体装置の製造方法のさらなる詳細を説明する。
【0038】
仮に、ゲッター層14が、複数のSi原子と複数のB(ボロン)原子、複数のP(リン)原子、または複数のAs(ヒ素)原子とを含む場合を想定する。このようなゲッター層14の例は、P原子を含むアモルファスSi層(PドープaSi層)である。この場合、ゲッター層14とその下位の層との間のエッチング選択比が小さくなり、ゲッター層14を上記除去工程で除去できないおそれがある。
【0039】
一方、本実施形態のゲッター層14は例えば、複数のSi原子と複数のN原子とを含んでいる。このようなゲッター層14の例は、N原子を含むアモルファスSi層(NドープaSi層)である。これにより、ゲッター層14とその下位の層との間のエッチング選択比を大きくすることが可能となり、ゲッター層14を上記除去工程で除去することが可能となる。
【0040】
また、実験によれば、NドープaSi層によりゲッタリングを行うと、PドープaSi層によりゲッタリングを行う場合に比べて、より多くの金属原子21をチャネル半導体層2からゲッター層14へと除去することができる。よって、本実施形態によれば、ゲッター層14としてNドープaSi層を用いることで、ゲッター層14のゲッタリング性能を向上させることが可能となる。理由は例えば、N原子はP原子よりも小さいため、N原子はP原子よりもSi格子内に入りやすいことや、N濃度はP濃度よりも高くしやすいことなどが考えられる。
【0041】
また、本実施形態のゲッター層14内のSi原子およびN原子の個数に対するN原子の個数の割合は、例えば40%以下となっており、本実施形態の上記熱処理は、例えば400℃以上の温度で行われる。これにより、好適なゲッター層14の実現しつつ、チャネル半導体層2内の金属原子21の濃度を十分に低下させることが可能となる。
【0042】
図9図10は、第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0043】
まず、図3図5に示す工程を実施する。ただし、図5に示す工程では、ゲッター層14上にゲッター層16が形成される(図9)。その結果、図9に示す構造が実現される。ゲッター層16は例えば、複数のSi原子および複数のP原子を含んでいる。このようなゲッター層16の例は、P原子を含むアモルファスSi層(PドープaSi層)である。ゲッター層16は、第2層の例である。
【0044】
次に、チャネル半導体層2などを加熱する熱処理を行う(図10)。これにより、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部を、ゲッター層14およびゲッター層16内に移動させることができる。その結果、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部がゲッター層14、16へと除去され、チャネル半導体層2内の金属原子21の濃度が低下する。図10における熱処理は、図6における熱処理と同様に行うことが可能である。
【0045】
次に、図7および図8に示す工程を実施する。ただし、図7に示す工程では、ゲッター層14に加えて、ゲッター層16が除去される。本変形例では、ゲッター層14、16が除去されることで、ゲッター層14、16内に移動した金属原子21も除去されることになる。ゲッター層16は、ゲッター層14上に形成されるため、図7に示す工程で容易に除去することができる。このようにして、本変形例の半導体装置が製造される。本変形例の半導体装置の構造は、第1実施形態の半導体装置の構造と同じである。
【0046】
以上のように、本実施形態では、チャネル半導体層2内の金属原子21を、N原子を含むゲッター層14(例えばNドープaSi層)を用いて除去する。よって、本実施形態によれば、チャネル半導体層2内の金属原子21を好適なゲッター層14を用いて除去することが可能となる。例えば、ゲッター層14を容易に除去することや、ゲッター層14のゲッタリング性能を向上させることが可能となる。
【0047】
(第2実施形態)
図11図14は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0048】
まず、図3図5に示す工程を実施する。ただし、図5に示す工程では、コア絶縁膜1を形成しない(図11)。その結果、図11に示す構造が実現される。本実施形態のゲッター層14は、メモリホールMH内のチャネル半導体層2の側面や、メモリホールMH外のチャネル半導体層2の上面に形成される。
【0049】
次に、チャネル半導体層2などを加熱する熱処理を行う(図12)。これにより、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部を、ゲッター層14内に移動させることができる。その結果、チャネル半導体層2内の金属原子21の少なくとも一部がゲッター層14へと除去され、チャネル半導体層2内の金属原子21の濃度が低下する。チャネル半導体層2内の金属原子21は、メモリホールMH内のゲッター層14へと除去されてもよいし、メモリホールMH外のゲッター層14へと除去されてもよい。図12における熱処理は、図6における熱処理と同様に行うことが可能である。
【0050】
次に、ゲッター層14を除去する(図13)。本実施形態では、ゲッター層14が除去されることで、ゲッター層14内に移動した金属原子21も除去されることになる。図13における除去処理は、図7における除去処理と同様に行うことが可能である。
【0051】
次に、基板11の全面にコア絶縁膜1を形成することで、メモリホールMH内のチャネル半導体層2の側面や、メモリホールMH外のチャネル半導体層2の上面にコア絶縁膜1を形成し、その後にメモリホールMH外のコア絶縁膜1を除去する(図14)。その結果、コア絶縁膜1がメモリホールMH内に埋め込まれる。コア絶縁膜1は、本実施形態ではエアギャップAGを含むように形成されるが、エアギャップAGを含まないように形成されてもよい。
【0052】
次に、リソグラフィおよびRIEにより積層膜12’内にスリット(図示せず)を形成し、スリットからのウェットエッチングにより犠牲層15を除去する(図14)。その結果、積層膜12’内の絶縁層13間に、複数の空洞Cが形成される。
【0053】
その後、これらの空洞C内に絶縁膜5b、バリアメタル層6a、および電極材層6bを順に形成する。その結果、これらの空洞C内に複数の電極層6が形成され、基板11上に積層膜12が形成される(図2を参照)。このようにして、犠牲層15が電極層6に置換され、本実施形態の半導体装置が製造される。本実施形態の半導体装置の構造は、第1実施形態の半導体装置の構造と同じである。
【0054】
以下、引き続き図11図14を参照して、本実施形態の半導体装置の製造方法のさらなる詳細を説明する。
【0055】
本実施形態のゲッター層14は、メモリホールMH外だけでなく、メモリホールMH内にも形成される。そのため、一見すると、本実施形態のゲッター層14は、第1実施形態のゲッター層14よりも除去しにくいとも考えられる。しかしながら、本実施形態によれば、N原子を含むゲッター層14(例えばNドープaSi層)を採用することで、容易に除去することが可能となる。
【0056】
以上のように、本実施形態では、チャネル半導体層2内の金属原子21を、N原子を含むゲッター層14(例えばNドープaSi層)を用いて除去する。よって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、チャネル半導体層2内の金属原子21を好適なゲッター層14を用いて除去することが可能となる。例えば、ゲッター層14を容易に除去することや、ゲッター層14のゲッタリング性能を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、第1および第2実施形態の半導体装置は、前述した3次元半導体メモリとは異なるタイプの3次元半導体メモリでもよいし、3次元半導体メモリ以外の半導体メモリでもよい。さらに、第1および第2実施形態の半導体装置は、半導体メモリ以外の半導体装置でもよい。
【0058】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0059】
1:コア絶縁膜、2:チャネル半導体層、3:トンネル絶縁膜、
4:電荷蓄積層、5:ブロック絶縁膜、5a:絶縁膜、5b:絶縁膜、
6:電極層、6a:バリアメタル層、6b:電極材層、
11:基板、12:積層膜、12’:積層膜、13:絶縁層、
14:ゲッター層、15:犠牲層、16:ゲッター層、
21:金属原子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14