IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20241105BHJP
【FI】
H01L33/62
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021072385
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2022166937
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田原 正樹
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-169326(JP,A)
【文献】特開2017-212354(JP,A)
【文献】特開2010-073734(JP,A)
【文献】特開2020-181924(JP,A)
【文献】特開2009-177187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0103530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の1の長辺の一端の頂点を含む第1の領域及び他端の頂点を含む第2の領域を切り欠いた平面形状を有しかつ第1の主面から第2の主面までを貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔を有する平板状の樹脂基板と、
前記第1の貫通孔を充填する電極部分と、前記第2の主面側において前記電極部分から前記樹脂基板の前記第1の領域に面した側面を経て前記第1の主面まで延在しかつ前記第1の主面及び前記第2の主面において前記樹脂基板の前記長方形の他の長辺に沿った領域を露出する配線部分と、を有する金属からなる第1の配線電極と、
前記第2の貫通孔を充填する電極部分と、前記第2の主面側において前記電極部分から前記樹脂基板の前記第2の領域に面した側面を経て前記第1の主面まで延在しかつ前記第1の主面及び前記第2の主面において前記樹脂基板の前記長方形の他の長辺に沿った領域を露出する配線部分と、を有する金属からなる第2の配線電極と、
前記樹脂基板の前記第1の主面側において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の前記電極部分に搭載された発光素子と、
前記樹脂基板の前記第1の主面を覆い、前記第1の主面上において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の前記配線部分を覆いかつ前記発光素子を囲む枠体を形成し、かつ前記樹脂基板の前記第2の主面の前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極から露出している領域を覆っている光反射性の樹脂体と、を備え、
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極は、前記第1の主面上における厚みよりも前記第2の主面上における厚みの方が大きいことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の前記第2の主面上における厚みは、前記樹脂基板の厚さ及び前記第1の主面上における厚みの合計厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々は、前記第2の主面において、各々の前記電極部分から、前記樹脂基板の前記長方形の1の長辺に沿った領域まで延在していることを特徴とする請求項1又は2に記記載の発光装置。
【請求項4】
前記樹脂体は、前記樹脂基板、前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極よりも熱膨張係数が高いことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記樹脂基板は、ガラス繊維を含むエポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極は、銅からなり、
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の電極部分の前記樹脂基板から露出した各々の面には、ニッケル及び金が順に積層された金属層を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の前記配線部分は、前記樹脂基板の前記第1の主面上の当該第1の主面と平行な面がレジストを介して前記樹脂体で被覆されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
発光装置の製造方法であって、
第1の主面に格子状の分割ラインによって長方形の形状に画定された複数の素子載置領域を有する樹脂基板を準備する樹脂基板準備工程と、
第1の銅箔を前記樹脂基板の前記第1の主面上に貼り付けかつ、前記第1の銅箔よりも厚みの大きい第2の銅箔を前記樹脂基板の前記第1の主面の反対の第2の主面に貼り付ける銅箔貼り付け工程と、
前記長方形の1の長辺の一端の頂点を含む第1の領域及び他端の頂点を含む第2の領域を切り欠く切欠き部を形成しかつ、前記素子載置領域のうちの2の領域を前記第1の銅箔から前記第2の主面までを貫通させて第1の貫通孔及び第2の貫通孔を形成する基板形状形成工程と、
銅からなる金属層を、前記切欠き部、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を充填するようにかつ前記第1の銅箔の上面及び前記第2の銅箔の下面を覆うように形成する銅めっき工程と、
前記第1の主面及び前記第2の主面において、前記第1の銅箔、前記第2の銅箔及び前記金属層を第1の配線電極及び第2の配線電極の形状にパターン形成する配線電極形成工程と、
光反射性の樹脂体を前記第1の主面上において前記複数の素子載置領域を夫々囲む枠体を形成し、かつ前記第2の主面の前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極から露出している領域を覆うように形成する樹脂体形成工程と、
発光素子を前記第1の主面側において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の上面上に載架する素子接合工程と、を含み、
前記配線電極形成工程において、前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極を前記第2の主面の側において前記長方形の他の長辺に沿った領域を露出するように形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂体形成工程で形成した前記樹脂体によって形成された前記枠体により画定されかつ夫々が前記発光素子を収容するキャビティ内に封止樹脂を充填して、前記素子接合工程で設けた前記発光素子を覆う封止樹脂充填工程と、
前記封止樹脂充填工程の後、前記分割ラインに沿ってダイシングを行い複数の発光装置の各々を個片化するダイシング工程と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子を光源として用いた小型の発光装置として、平板状の搭載基板と、当該搭載基板上に配された発光素子と、当該発光素子を覆うように配された封止樹脂からなる発光装置が知られている。
【0003】
また、上記の発光装置の一方の側面に外部電極が形成され、当該一方の側面を実装面とした側面発光型(以下、サイドビュー型とも称する)の発光装置が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ガラスエポキシ系絶縁基材、金属薄板及び銅箔からなる長方形の上面形状を有する平板状の製造用基板上に発光ダイオード素子を配し、また、当該製造用基板上に透光性樹脂からなる封止樹脂部で発光ダイオード素子を覆うように形成された側面発光型の表面実装型発光ダイオードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-188424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された側面発光型の表面実装型発光ダイオードにおいては、製造用基板と封止樹脂部との熱膨張率係数の差により、発光素子の実装基板への実装時のはんだ接合による高温時と常温時との間で製造用基板の反り量が変化する場合がある。この製造用基板の反り量の変化により、はんだのクラック又は搭載した発光ダイオード素子のクラック等の問題が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、製造時における加熱処理等における高温時及び常温時の間で搭載基板の反り量の変化を低減させることで製造歩留まりを向上させることが可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、長方形の1の長辺の一端の頂点を含む第1の領域及び他端の頂点を含む第2の領域を切り欠いた平面形状を有しかつ第1の主面から第2の主面までを貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔を有する平板状の樹脂基板と、前記第1の貫通孔を充填する電極部分と、前記第2の主面側において前記電極部分から前記樹脂基板の前記第1の領域に面した側面を経て前記第1の主面まで延在しかつ前記第1の主面及び前記第2の主面において前記樹脂基板の前記長方形の他の長辺に沿った領域を露出する配線部分と、を有する金属からなる第1の配線電極と、前記第2の貫通孔を充填する電極部分と、前記第2の主面側において前記電極部分から前記樹脂基板の前記第2の領域に面した側面を経て前記第1の主面まで延在しかつ前記第1の主面及び前記第2の主面において前記樹脂基板の前記長方形の他の長辺に沿った領域を露出する配線部分と、を有する金属から第2の配線電極と、前記樹脂基板の前記第1の主面側において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の前記電極部分に搭載された発光素子と、前記樹脂基板の前記第1の主面を覆い、前記第1の主面上において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の前記配線部分を覆いかつ前記発光素子を囲む枠体を形成し、かつ前記樹脂基板の前記第2の主面の前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極から露出している領域を覆っている光反射性の樹脂体と、を備え、前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極は、前記第1の主面上における厚みよりも前記第2の主面上における厚みの方が大きいことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、第1の主面に格子状の分割ラインによって長方形の形状に画定された複数の素子載置領域を有する樹脂基板を準備する樹脂基板準備工程と、第1の銅箔を前記樹脂基板の前記第1の主面上に貼り付けかつ、前記第1の銅箔よりも厚みの大きい第2の銅箔を前記樹脂基板の前記第1の主面の反対の第2の主面に貼り付ける銅箔貼り付け工程と、前記長方形の1の長辺の一端の頂点を含む第1の領域及び他端の頂点を含む第2の領域を切り欠く切欠き部を形成しかつ、前記素子載置領域のうちの2の領域を前記第1の銅箔から前記第2の主面までを貫通させて第1の貫通孔及び第2の貫通孔を形成する基板形状形成工程と、銅からなる金属層を、前記切欠き部、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を充填するようにかつ前記第1の銅箔の上面及び前記第2の銅箔の下面を覆うように形成する銅めっき工程と、前記第1の主面及び前記第2の主面において、前記第1の銅箔、前記第2の銅箔及び前記金属層を第1の配線電極及び第2の配線電極の形状にパターン形成する配線電極形成工程と、光反射性の樹脂体を前記第1の主面上において前記素子載置領域を囲む枠体を形成し、かつ前記第2の主面の前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極から露出している領域を覆うように形成する樹脂体形成工程と、発光素子を前記第1の主面側において前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の上面上に載架する素子接合工程と、を含むことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係る発光装置の斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る発光装置の樹脂基板の斜視図である。
図3】本発明の実施例に係る発光装置の樹脂基板及び配線電極の斜視図である。
図4】本発明の実施例に係る発光装置の樹脂基板及び配線電極の上面図である。
図5】本発明の実施例に係る発光装置の上面図である。
図6】本発明の実施例に係る発光装置の断面図である。
図7】本発明の実施例に係る発光装置の断面図である。
図8】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
図9】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
図10】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図11】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図12】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図13】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける上面図である。
図14】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図15】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図16】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける上面図である。
図17】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける上面図である。
図18】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける上面図である。
図19】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図20】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図21】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図22】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図23】本発明の変形例に係る発光装置の上面図である。
図24】本発明の変形例に係る樹脂基板及び配線電極の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0011】
図1図7を用いて、本発明の実施例について詳細に説明する。尚、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。尚、以下の説明において、「材料1/材料2」との記載は、材料1の上に材料2が積層された積層構造を示す。また、「材料1-材料2」との記載は、材料1及び2による合金を示す。
【0012】
図1は、発光装置100の斜視図を示している。また、図2は、樹脂基板10の斜視図を示している。また、図3は、樹脂基板10、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の斜視図を示している。また、図4は、樹脂基板10、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の上面図を示している。また、図5は、発光装置100の上面図を示している。また、図6は、図5の発光装置100のA-A線における断面図を示している。また、図7は、図5の発光装置100のB-B線における断面図を示している。
【0013】
発光装置100は、樹脂基板10と、樹脂基板10に形成された第1の配線電極20及び第2の配線電極30と、樹脂基板10上にキャビティを有するように形成された樹脂体50と、樹脂基板10上に配された発光素子60と、発光素子60を覆うように樹脂体50のキャビティ内に充填された封止樹脂70と、を有する。なお、図5においては、樹脂体50のキャビティ内の構造を示すために封止樹脂70の図示を省略している。
【0014】
樹脂基板10は、例えば、絶縁性を有する基材からなる第1の主面としての上面10S1及び第2の主面としての下面10S2を有する平板形状の基板である。樹脂基板10は、例えば、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施したガラスエポキシからなる板状の絶縁性基板である。
【0015】
また、樹脂基板10は、図2に示すように、互いに離間しかつ上面10S1から下面10S2までを貫通する第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を有する。
【0016】
また、樹脂基板10は、図2に示すように、長方形10Rの上面形状から一方の長辺である第1の長辺10Eの一端の頂点を含む第1の領域NT1が切り欠かれた切欠き部13を有する。また、また、樹脂基板10は、図2に示すように、長方形10Rの上面形状から第1の長辺10Eの他端の頂点を含む第2の領域NT2が切り欠かれた切欠き部14を有する。
【0017】
言い換えれば、発光装置100は、長方形10Rの1の長辺である第1の長辺10Eの一端の頂点を含む第1の領域NT1及び他端の頂点を含む第2の領域NT2を切り欠いた切欠き部13及び14が形成された平面形状を有しかつ上面10S1から下面10S2までを貫通する第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を有する平板状の樹脂基板10を有する。
【0018】
樹脂基板10は、第1の長辺10Eの両端部に切欠き部13、14を有するが、第1の長辺10Eと対向する第2の長辺の端部には切欠き部は形成されておらず、第2の長辺の端部は、隣接する短辺と共に直角に形成されている。
【0019】
また、樹脂基板10は、長方形10Rの短辺の各々において、当該短辺の側面及び切欠き部13並びに14の各々と接するように上面10S1から下面10S2までを貫通する半円又は半長円状の第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を有する。なお、図4において、二点鎖線で画定された領域は、樹脂基板10に貫通孔が形成された領域及び切り欠かれた領域を示している。すなわち、二点鎖線で画定された領域がそれぞれ第1の貫通孔11、第2の貫通孔12、切欠き部13及び切欠き部14の各々の端部、すなわち、樹脂基板10の端部を示している。
【0020】
樹脂基板10は、互いに離間して形成された一対の配線電極である第1の配線電極20及び第2の配線電極30を有する。また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、樹脂基板10の第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を充填する電極部分としての第1の電極部21及び第2の電極部31を有する。また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、樹脂基板10の下面10S2側において、第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の部分から切欠き部13及び14の各々の側面を経て上面10S1まで延在する配線部分としての第1の配線部22及び第2の配線部32を有する。
【0021】
言い換えれば、発光装置100は、第1の貫通孔11を充填する第1の電極部21と、下面10S2側において第1の電極部21から樹脂基板10の切欠き部13に面した側面を経て上面10S1まで延在する配線部分である第1の配線部22と、を有する金属からなる第1の配線電極20を有する。また、発光装置100は、第2の貫通孔12を充填する第2の電極部31と、下面10S2側において第2の電極部31から樹脂基板10の切欠き部14に面した側面を経て上面10S1まで延在する第2の配線部32と、を有する金属から第2の配線電極30を有する。また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30は、銅からなる。
【0022】
なお、図4において、第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12の各々を囲むように実線で画定された領域は、それぞれ樹脂基板10の上面10S1の側に形成された第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面視における端部を示している。また、図4において、一点鎖線にて示された第1の配線部22及び第2の配線部32は、それぞれ樹脂基板10の下面10S2の側に形成された第1の配線部22及び第2の配線部32の各々の上面視における端部を示している。また、図4において、破線にて示された第1の配線部22及び第2の配線部32は、それぞれ樹脂基板10の上面10S1の側に形成された第1の配線部22及び第2の配線部32の各々の上面視における端部を示している。
【0023】
第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、例えば、銅からなる金属電極である。第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、例えば、後述の製造方法によって、樹脂基板10の上面10S1及び下面10S2に形成された銅箔と、当該銅箔の露出面にめっきによって形成された銅からなる。
【0024】
第1の電極部21は、図3図4及び図6に示すように、樹脂基板10の第1の貫通孔11を充填するように形成されている。また、第2の電極部31は、樹脂基板10の第2の貫通孔12を充填するように形成されている。また、第1の電極部21及び第2の電極部31は、樹脂基板10の上面10S1よりも上方に突出するように形成されている。また、第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面は、樹脂基板10の上面10S1から略同一の高さとなるように形成されている。
【0025】
第1の電極部21および第2の電極部31上に素子接合層を介して発光素子が搭載され、第1の電極部21および第2の電極部31と発光素子の電極とは電気的に接続される。
【0026】
第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、図4図6及び図7に示すように、樹脂基板10の下面10S2において、第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12内の各々に形成された第1の電極部21及び第2の電極部31の各々を覆うように形成されている。
【0027】
また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、樹脂基板10の下面10S2において、第1の電極部21及び第2の電極部31から、各々が第1の長辺10Eに沿った側面まで延在するように形成されている。
【0028】
また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、樹脂基板10の切欠き部13及び14の各々を充填しかつ当該切欠き部13及び14を経て上面10S1まで延在するように形成されている。また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々の上面は、樹脂基板10の上面10S1からの高さが第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面と略同一の高さとなるように形成されている。
【0029】
第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、図2及び図3に示すように、樹脂基板10の長方形10Rの短辺において、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の各々の側面に沿った領域に形成されている。また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、樹脂基板10の長方形10Rの短辺において、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の各々が形成されている領域から第1の長辺10Eに沿った領域まで形成されている。また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、樹脂基板10の下面10S2において、第1の長辺10Eと対向する第2の長辺に沿った領域を露出するように形成されている。言い換えれば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30は、上面10S1及び下面10S2において樹脂基板10の長方形10Rの第2の長辺に沿った領域を露出する。
【0030】
第1の配線部22及び第2の配線部32は、発光装置100の実装面に露出して端子電極面を構成している。また、第1の配線部22及び第2の配線部32は、発光装置100の実装面に隣接する側面にも露出し、垂直な角部を形成している。この垂直な角部は、後述する方法にて金属バリなく構成されるため、発光装置100の実装精度を高めることができる。
【0031】
また、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々は、樹脂基板10の上面10S1に形成された部分において、樹脂基板10の長方形10Rの側面に沿った側面及び第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の各々の側面に沿った側面を除いた各々の面において、レジストREで覆われている。言い換えれば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の第1及び第2の配線部22及び32は、上面10S1において、樹脂基板10の側面に沿った側面を除く各々の面がレジストREで被覆されている。
【0032】
従って、第1の配線部22と第2の配線部32における、樹脂基板10の上面10S1上の上面10S1と平行な面は、レジストREを介して樹脂体50で被覆されている。
【0033】
なお、本実施例においては、レジストREは、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の樹脂基板10の上面10S1形成された部分の上面及び側面を覆いかつ樹脂基板10の上面10S1へ至る領域に形成されている。
【0034】
なお、レジストREは、樹脂基板10の上面10S1において、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の端部から約100μm以上の領域まで形成されている。すなわち、図4に示すように、樹脂基板10上のレジストREは、破線で示された第1の配線部22及び第2の配線部の各々の上面視における端部から樹脂基板10の上面10S1へ至る領域に形成されている。
【0035】
また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、樹脂基板10の長方形10Rの側面に沿った側面、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の各々の側面に沿った側面及びレジストREに覆われている各々の面を除いた各々の面において、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の面から順に図示しないニッケル(Ni)/金(Au)からなる金属膜が形成されている。つまり、ニッケル(Ni)/金(Au)からなる金属膜は、第1の配線部22、第2の配線部32における、後述するダイシングによる切断面、レジストREに覆われた領域、および、第3の貫通孔15と第4の貫通孔の内壁面に沿う側面領域には形成されていない。なお、ダイシングによる切断面には、任意に金(Au)からなる金属膜を形成することができる。言い換えれば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の第1及び第2の電極部21及び31の樹脂基板10から露出した各々の面には、ニッケル及び金が順に積層された金属層を有する。つまり、第1の電極部21及び第2の電極部31における、樹脂基板10の上面10S1よりも上方に突出した部分の上面および側面には、ニッケル(Ni)/金(Au)からなる金属膜が形成されている。
【0036】
第1の配線部22および第2の配線部32における樹脂基板10の上面10S1上の部分には、ニッケル(Ni)/金(Au)からなる金属膜は形成されておらず、銅箔および銅めっき膜から構成されている。つまり、レジストREは、銅めっき膜上に形成されている。
【0037】
金属膜として形成されているNi/Auの金属膜、特に最表面のAuは、レジストRE及び後述の樹脂体50等の樹脂材料との密着性が低い。そのため、銅箔および銅めっきから構成された面にレジストREを形成すること、および、レジストREと樹脂体50とが接することにより、樹脂体50と第1の配線部22及び第2の配線部32との剥離を抑制することが可能となる。また、第1の配線部22、第2の配線部32における、第3の貫通孔15と第4の貫通孔の内壁面に沿う側面領域は、銅箔および銅めっきで構成され、樹脂体50と直接に接しているため、樹脂体と第1の配線部22及び第2の配線部32との剥離を抑制することが可能となる。
【0038】
樹脂体50は、図1及び図5図7に示すように、樹脂基板10の上面10S1において、上面に凹状キャビティを有するように形成されている。また、樹脂体50は、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を充填しかつ、樹脂基板10の下面10S2において第1の配線部22及び第2の配線部32が形成されている領域を除く全ての領域を覆うように形成されている。樹脂体50は、例えば、酸化チタン(TiO)等の光散乱性を有する粒子と当該粒子が分散されたシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂材料からなる白色樹脂である。
【0039】
樹脂体50は、基板10の上面10S1において、レジストREを覆うように形成されている。また、樹脂体50は、凹状のキャビティの底面において、第1の電極部21及び第2の電極部31の上面を露出するように形成されている。また、樹脂体50は、基板10の下面10S2において、第1の配線部22及び第2の配線部32の下面と基板10の長方形10Rの側面に沿った側面を露出するように形成されている。樹脂体50は、基板10の下面10S2において、樹脂体50の底面と、第1の配線部22および第2の配線部32の下面とが同一平面上となる厚みで、第1の配線部22と第2の配線部32の間を埋めるように形成されている。
【0040】
すなわち、樹脂体50は、樹脂基板10の上面10S1において、後述の発光素子60を囲む枠体を形成している。言い換えれば、発光装置100は、樹脂基板10の上面10S1を覆い、上面10S1上において第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の第1及び第2の配線部22及び32を覆いかつ発光素子60を囲む枠体を形成し、かつ樹脂基板10の下面10S2の第1の配線電極20及び第2の配線電極30から露出している領域を覆っている光反射性の樹脂体50を有する。
【0041】
樹脂体50は、樹脂基板10を挟むように形成され、特に、樹脂基板10の第1の長辺10Eに対向する第2の長辺を連続して挟むように形成されている。そして、樹脂体50は、樹脂基板10の第2の長辺と隣接する短辺と形成される角部を挟むように形成されている。
【0042】
樹脂体50は、切欠き部13、14に隣接された第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を充填して形成される。従って、樹脂体50は、第1の配線部22および第2の配線部32のそれぞれ第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16に露出した内側面に接するように形成されている。
【0043】
樹脂体50の側面は、後述する発光装置100の個片化工程により形成された切断面であり、図1に示すように、樹脂基板10の側面、レジストREの側面、第1の配線部22、第2の配線部32と同一面に形成されて、発光装置100の側面を構成している。
【0044】
本実施例においては、樹脂基板10の第1の長辺10Eに沿った側面に露出した第1の配線部22及び第2の配線部32が、発光装置100が実装基板に実装される際の端子電極面として機能する。すなわち、発光装置100は、樹脂基板10の第1の長辺10Eに沿った側面が実装面として機能するサイドビュー型の発光装置である。
【0045】
また、樹脂体50は、キャビティ内において、樹脂基板10の長方形10Rの短辺の側に形成された内側面の各々が傾斜を有するように形成されている。当該傾斜を有する内側面は、後述の発光素子60及び封止樹脂70から放射される光を発光装置100の上面方向(キャビティ開口方向)に向けて導光及び集光させる。
【0046】
発光素子60は、図6に示すように、第1の電極部21及び第2の電極部31の各々に素子接合層61を介して載架されている。発光素子60は、例えば、サファイア等の透光性の成長基板上の一方の主面に窒化ガリウム系の半導体層が形成された青色の光を放射する半導体発光素子である。半導体層は、例えば、成長基板の側からn型の窒化ガリウム層(n-GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)系の量子井戸型の発光層、p型の窒化ガリウム層(p-GaN)の順に形成されている。また、発光素子60の半導体層が形成されている面には、n-GaN層及びp-GaN層の各々に電気的に接続された電極が設けられており、n-GaN層に設けられた電極が発光素子60のカソード電極として機能し、p-GaNに設けられた電極がアノード電極として機能する。発光素子60は、半導体層を下面として第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面上に亘って載置される。すなわち、発光素子60の電極が形成されている面と第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面が素子接合層61を介して接合されている。言い換えれば、発光装置100は、樹脂基板10の上面10S1側において第1の配線電極20及び第2の配線電極30の第1及び第2の電極部21及び31に搭載された発光素子60を有する。
【0047】
また、発光素子60は、半導体層から放射する光が成長基板を透光して上方に放射するフリップチップの態様で第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面に接合されている。すなわち、発光素子60は、下面の側に発光層を含む半導体層が形成され、上面の側から光が放射される光取り出し面として機能する。なお、本実施例においては、発光素子60がフリップチップの態様の発光素子である場合について説明するが、発光素子60の態様はこれに限定されない。具体的には、導電性の支持基板を有し、当該支持基板の上面上に発光層を含む半導体層と電極パッドが形成された発光素子を搭載してもよい。その場合、第1の電極部21又は第2の電極部31の一方に発光素子を載置し、当該発光素子の電極パッドと第1の電極部21又は第2の電極部31の他方とを導電性のワイヤで接続する。
【0048】
素子接合層61は、例えば、同一の材料の導電性の接着剤である。素子接合層61は、例えば、金(Au)-錫(Sn)の合金粒子が混合されたペーストを原材料とする。第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の上面上にペーストを塗布し、当該ペースト上に発光素子60の各々電極が接するように載置し加熱する。これにより、ペーストに含まれるAu-Sn粒子が溶融し、第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の表面のAu層と共晶反応を起こし、発光素子60の各々の電極と第1の電極部21及び第2の電極部31の各々とが共晶接合される。なお、素子接合層61の材料は、Au-Snペーストに限らず、はんだペーストや銀ペースト等の材料を用いてもよい。
【0049】
封止樹脂70は、樹脂体50のキャビティ内に充填され、発光素子60を覆うように形成された樹脂層である。封止樹脂70は、波長変換材料、光散乱材等を含むものであってもよい。本実施例において、封止樹脂70は、例えば、透光性のシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂材料に発光素子60の各々からの放出光に対して波長変換を行う蛍光体粒子を分散させた波長変換体である。蛍光体粒子は、例えば、セリウム(Ce)をドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:YAl12)を主材料とする蛍光体である。本実施例においては、封止樹脂70は、発光素子60が放射する青色の光の一部の波長変換を行い、白色の光を放射する波長変換体である。
【0050】
本実施例において、発光装置100は、平板状の樹脂基板10に複数の発光装置100がマトリクス状に形成され、ダイシングで分割することにより製造される。すなわち、発光装置100における樹脂基板10の上面10S1に垂直な方向の側面の各々は、ダイシングによる切断面である。樹脂基板10の長方形10Rの各々の辺に沿った領域に形成されている第1の配線電極20、第2の配線電極30及びレジストREの各々は、当該領域に対応する発光装置100の側面に露出している。また、発光装置100の側面に露出している第1の配線電極20及び第2の配線電極30の切断面は、ダイシングの後Auの金属層がめっきによって形成される。
【0051】
樹脂基板10は、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施したガラスエポキシからなる板状の基板であり、熱膨張係数が約10~20ppm/Kである。また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々は、銅を主材料とする金属であり、熱膨張係数が約16.8ppm/Kである。樹脂基板10は、ガラス繊維を含むことにより、樹脂基板10と第1の配線電極20及び第2の配線電極30との熱膨張係数を近くすることができる。一方、樹脂体50は、シリコーン樹脂を主材料とした樹脂であり、熱膨張係数が約200~300ppm/Kである。言い換えれば、樹脂体50は、樹脂基板10、第1の配線電極20及び第2の配線電極30よりも熱膨張係数が高い。
【0052】
樹脂基板10、第1の配線電極20及び第2の配線電極30と、樹脂体50との熱膨張係数の差により、これらが加熱処理時と常温時との間で反りの挙動が変動する場合がある。例えば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30上に発光素子60を共晶接合する際の加熱処理後に冷却された際に、樹脂体50が樹脂基板10及び各々の配線電極よりも大きく収縮する。これにより、樹脂基板10、第1の配線電極20、第2の配線電極30と及び樹脂体50が上方に凹状の反り挙動を示す。また、当該反りは、基板10の長辺方向に沿った方向において顕著に表れる。また、当該凹状の反りによって、第1の配線電極20及び第2の配線電極30上に載架された発光素子60にクラックが発生する等、製造上の不具合が発生する可能性がある。
【0053】
本実施例においては、図4に示すように、基板10の下面10S2において、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々を、基板10の長方形10Rの第1の長辺10Eと対向する第2の長辺に沿った領域を露出するように形成している。
【0054】
本実施例においては、基板10の下面10S2において、基板10の長方形10Rの第2の長辺に沿った領域に両端に亘って樹脂体50が形成されるように第1の配線部22及び第2の配線部32の各々を配している。すなわち、基板10の下面10S2において、発光装置100の実装面と対向する第2の長辺の方向に沿った方向の両端に亘って樹脂体50形成することができる。
【0055】
仮に、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々が基板10の長方形10Rの第1の長辺10Eと対向する第2の長辺に沿った領域まで形成されている場合、基板10の下面10S2の側に配された樹脂体50は、発光装置100の長辺の方向に沿った方向に途切れて形成される。この場合、基板10の上面10S1に配された樹脂体50の加熱処理後の収縮時の応力が基板10の下面の樹脂体50の途切れた領域に集中し、反りが発生する可能性がある。
【0056】
本実施例においては、樹脂体50を基板10の下面10S2において長辺の方向に沿った方向に両端に亘って形成することにより、基板10の上面10S1に配された樹脂体50の加熱処理後の収縮時の応力の集中を抑制することが可能となる。
【0057】
また、本実施例においては、第1の配線部22及び第2の配線部32の基板10の下面の側の厚さを、基板10の上面10S1の側の厚さよりも大きくするように形成する。さらに好適には、第1の配線部22及び第2の配線部32の基板10の下面の側の厚さを、基板10の上面10S1の側の厚さと樹脂基板10の厚さとの合計よりも大きくするように形成する。言い換えれば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30は、上面10S1上における厚みよりも下面10S2上における厚みの方が大きい。また、第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の下面10S2上における厚みは、樹脂基板10の厚さ及び上面10S1上における厚みの合計厚さよりも大きい。
【0058】
第1の配線部22及び第2の配線部32の各々を上記のような厚みで形成することにより、基板10の上面10S1の側に配される樹脂体50と、基板10の下面10S2の側に配される樹脂体50とを近しい体積量とすることができる。
【0059】
発光装置100は、基板10の上面10S1及び下面10S2に配される樹脂体50の体積量を近しくすることにより、上面10S1の側及び下面10S2の側にかかる樹脂体50の加熱後の収縮時の応力のバランスを均一化することが可能となる。
【0060】
以上の構成を有することにより、発光装置100は、製造時における加熱処理等における高温時及び常温時の間で搭載基板の反り量の変化を低減させることが可能となる。
【0061】
樹脂基板10は、例えば、約100μmの厚さで形成されている。また、樹脂基板10は、各々の切欠き部13並びに14及び各々の貫通孔形成前の長方形10Rの上面形状において、長辺の寸法が約1.7mm、短辺の寸法が約0.4mmで形成されている。
【0062】
第1の配線電極20及び第2の配線電極30は、上述の通り、樹脂基板10の上面10S1及び下面10S2に形成された銅箔と、当該銅箔の露出面にめっきによって形成された銅からなる。
【0063】
具体的には、樹脂基板10は、下面10S2に第1の配線部22及び第2の配線部32の各々の形成領域に亘って約150μmの厚さを有する銅箔が貼り付けられている。樹脂基板10の下面10S2に貼り付けられた銅箔は、第1の配線部22及び第2の配線部32の各々の形成領域の各々の貫通孔及び切欠きを覆うように貼り付けられている。
【0064】
また、樹脂基板10は、上面10S1に第1の電極部21並びに第2の電極部31の形成領域、及び第1の配線部22並びに第2の配線部32の形成領域に約20μmの厚さを有する銅箔が貼り付けられている。樹脂基板10の上面10S1に貼り付けられた銅箔は、第1の電極部21及び第2の電極部31の各々の形成領域の各々の貫通孔及び切欠きを除いた領域に貼り付けられている。
【0065】
また、樹脂基板10の下面10S2に貼り付けられた銅箔及び上面10S1に貼り付けられた銅箔の露出面に積層されかつ、各々の貫通孔11並びに12及び切欠き部13並びに14を充填するように銅めっきが施される。さらに、樹脂基板10の下面および銅めっき上にNi/Auの金属層が施される。銅めっき/Niめっき/Auめっきは、樹脂基板10の下面10S2に貼り付けられた銅箔の下面及び上面10S1に貼り付けられた銅箔の上面上に約30μmの厚さで積層される。
【0066】
すなわち、樹脂基板10の上面10S1の側に形成された各々の電極部21並びに31及び各々の配線部22並びに32は、上面10S1から約50μmの厚さで形成されている。また、樹脂基板10の下面10S2の側に形成された各々の配線部22及び32は、下面10S2から約180μmの厚さで形成されている。
【0067】
つまり、第1の配線電極20および第2の配線電極30の下面10S2上における厚みは、180μmであり、第1の配線電極20および第2の配線電極30の上面10S1上における厚みである50μmに対して大きな厚みで形成されている。また、第1の配線電極20および第2の配線電極30の下面10S2上における厚みは、180μmであり、樹脂基板10の厚みである100μmより大きく、樹脂基板10と上面10S1上における第1の配線電極20および第2の配線電極30の厚みの合計厚さである150μmより大きな厚みで形成されている。
【0068】
樹脂体50は、基板10の上面10S1に形成された各々の電極部21及び31の各々の上面から約300μmの厚さで形成されている。また、樹脂体50は、上面に形成されたキャビティの開口の寸法が、長辺の寸法が約1.5mm、短辺の寸法が約0.3mmで形成されている。すなわち、樹脂体50の樹脂基板10の長辺の方向に沿った方向のキャビティ内壁は、約50μmの厚さで形成されている。樹脂体50の樹脂基板10の長辺の方向に沿った方向のキャビティ内壁の厚さを小さくすることにより、樹脂基板10の長辺方向にかかる反り、特に、基板10の長手方向の反り量の変化を小さくすることが可能となる。
【0069】
次に、図8図22を用いて、発光装置100の製造手順の一例について説明する。
【0070】
図8及び図9は、本発明の実施例に係る発光装置100の製造フローを示す図である。図10図12図14図15及び図19図22は、図8又は図9に示す製造手順の各ステップにおける発光装置100の断面図を示す。なお、図10図12図14図15及び図19図22においては、図5の発光装置100のA-A線に沿った断面図を示している。また、図13図16図18は、図8又は図9に示す製造手順の各ステップにおける発光装置100の上面図を示す。
【0071】
まず、平板上の樹脂基板10を用意する樹脂基板準備工程を行う(ステップS11、樹脂基板準備工程)。
【0072】
次に、図10に示すように、樹脂基板10の上面10S1の側に第1の銅箔F1、下面10S2の側に第2の銅箔F2を貼り付ける銅箔貼り付け工程を行う(ステップS12、銅箔貼り付け工程)。樹脂基板10、第1の銅箔F1及び第2の銅箔F2は、下方から第2の銅箔F2、樹脂基板10、第1の銅箔F1の順で重ね合わされた後、約180℃で加熱しつつ上下方向からプレスすることにより圧着される。第1の銅箔F1は約18μmの厚さを有する銅箔であり、第2の銅箔F2は約150μmの厚さを有する銅箔である。
【0073】
また、上述の通り、樹脂基板10には複数の発光装置100がマトリクス状に製造される。発光装置100は、樹脂基板10のカットラインCLで画定された長方形10Rの領域の各々にマトリクス状に製造される。なお、樹脂基板10に形成される複数の発光装置100は、発光装置100の長辺の方向に沿った方向において連続的に形成され、短辺の方向に沿った方向においては、廃棄領域を介して連続的に形成される。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、上面10S1に格子状の分割ラインによって長方形10Rの形状に画定された複数の素子載置領域を有する樹脂基板10を準備する樹脂基板準備工程と、第1の銅箔F1を樹脂基板10の上面10S1上に貼り付けかつ、第1の銅箔F1よりも厚みの大きい第2の銅箔F2を樹脂基板10の上面10S1の反対の下面10S2に貼り付ける銅箔貼り付け工程と、を含む。
【0074】
次に、第1の銅箔F1の上方から樹脂基板10の第1並びに第2の貫通孔11並びに12、及び切欠き部13並びに14が形成される領域の第1の銅箔F1を開口するようにパターン形成する(ステップS13、第1パターン形成工程)。第1の銅箔F1の開口部分には、樹脂基板10の上面10S1が露出する。本ステップにおいては、例えば、第1の銅箔F1の上面にマスクを施し、上方からエッチングを行って第1の銅箔F1を開口する。
【0075】
次に、図12に示すように、第1の銅箔F1の開口部分の樹脂基板10を第2の銅箔F2の上面まで貫通するように除去して第1並びに第2の貫通孔11並びに12、及び切欠き部13並びに14を形成する(ステップS14、第1貫通孔形成工程)。本ステップにおいては、第1の銅箔F1の開口部分に上方からレーザを照射し、当該開口部分の樹脂基板10を第2の銅箔F2の上面まで貫通するように除去する。
【0076】
また、図13に示すように、本ステップにおいては、樹脂基板10のカットラインCLで画定された長方形10Rの領域内に第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を形成する。また、本ステップにおいては、樹脂基板10の長辺方向に互いに隣接する基板10の各々の第1の長辺10Eの各々の端部を含む領域に一括的に切欠き部13及び14を形成する。すなわち、切欠き部13又は14として形成される樹脂基板10の開口部は、カットラインCLを挟んで一方が切欠き部13となり、他方が切欠き部14となる。また、本ステップにおいては、切欠き部13又は14として形成される樹脂基板10の開口部を、短辺方向に隣接する廃棄領域まで延在するように形成する。
【0077】
なお、樹脂基板10に照射するレーザは、例えば、イットリウムアルミニウムガーネット(Yttrium Aluminum Garnet:YAG)等のレーザ光である。レーザを樹脂基板10の露出部分に照射し、樹脂基板10であるガラスエポキシを蒸発させて第1並びに第2の貫通孔11並びに12、及び切欠き部13並びに14を形成する。なお、第1の銅箔F1及びF2は、当該レーザで除去されない。なお、ガラスエポキシを蒸発させるレーザ種はYAGに限定されない。具体的には、用いるレーザ種は、ガラスエポキシのエポキシ樹脂及びガラス繊維の結合を分解可能で、第1の銅箔F1及びF2の金属結合を破壊しない照射エネルギを有するレーザであればよい。
【0078】
上記のステップS13及びステップS14は、樹脂基板10の形状を形成する基板形状形成工程として処理される。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、長方形10Rの第1の長辺10Eの一端の頂点を含む第1の領域NT1及び他端の頂点を含む第2の領域NT2を切り欠く切欠き部13及び14を形成しかつ、素子載置領域のうちの2の領域を第1の銅箔F1から下面10S2までを貫通させて第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を形成する基板形状形成工程を含む。
【0079】
次に、図14に示すように、第1並びに第2の貫通孔11並びに12、及び切欠き部13並びに14を充填しかつ、第1の銅箔F1の上面及び第2の銅箔F2の下面の各々を覆うように銅めっき層を形成する銅めっき工程を行う(ステップS15、第1めっき工程)。本ステップにおいては、第1の銅箔F1及び銅めっき層からなる部分を金属部M1とし、第2の銅箔F2及び銅めっき層からなる部分を金属部M2とする。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、銅からなる金属層を、切欠き部13及び14、第1の貫通孔11及び第2の貫通孔12を充填するようにかつ第1の銅箔F1の上面及び第2の銅箔F2の下面を覆うように形成する銅めっき工程を含む。
【0080】
本ステップにおいては、第1の銅箔F1の上面及び第2の銅箔F2の下面に形成される銅めっき層を約12μmの厚さで形成する。また、本ステップにて用いられる銅めっきは、樹脂基板10の開口部を充填しかつ、金属部M1の上面が平坦となるようにめっきが施されるフィルドめっきである。
【0081】
次に、図15に示すように、金属部M1及びM2を第1の配線電極20及び第2の配線電極30の形状にパターン形成する配線電極形成工程を行う(ステップS16、第2パターン形成工程)。樹脂基板10の上面10S1の側においては、例えば、第1の銅箔F1の上面に第1並びに第2の電極部21並びに31、及び第1の配線部22並びに第2の配線部32の樹脂基板10の上面10S1の部分の形状がパターニングされたマスクを施す。また、樹脂基板10の下面10S2の側においては、例えば、第2の銅箔F2の下面に第1の配線部22並びに第2の配線部32の樹脂基板10の下面10S2の部分の形状がパターニングされたマスクを施す。その後、上方及び下方からエッチングを施し、樹脂基板10の上面10S1及び下面10S2に第1の配線電極20及び第2の配線電極30をパターニングする。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、上面10S1及び下面10S2において、第1の銅箔F1並びに銅めっき層からなる金属部M1、第2の銅箔F2並びに銅めっき層からなる金属部M2を第1の配線電極20及び第2の配線電極30の形状にパターン形成する配線電極形成工程を含む。
【0082】
また、図16に示すように、本ステップにおいては、樹脂基板10の長辺方向に互いに隣接する基板10の各々の第1及び第2の配線部22及び32を一括的に形成する。すなわち、樹脂基板10に形成される第1及び第2の配線部22及び32は、カットラインCLを挟んで一方が第1の配線部22となり、他方が第2の配線部32となる。また、本ステップにおいては第1及び第2の配線部22及び32の各々を、樹脂基板10の第1の長辺10Eに相当するカットラインCLの側に隣接する廃棄領域まで延在するように形成する。また、上述の通り、第1の配線部22及び第2の配線部32を樹脂基板10の第1の長辺10Eに対向する第2の長辺に対応するカットラインCLに沿った領域において、樹脂基板10の下面10S2を露出させるように形成する。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、配線電極形成工程において、第1の配線電極20及び第2の配線電極30を下面10S2の側において長方形10Rの第1の長辺に対向する第2の長辺に沿った領域を露出するように形成する。
【0083】
次に、図17に示すように、樹脂基板10の上面10S1の側に形成されている第1及び第2の配線部22及び32の各々を覆うようにレジストREを形成する(ステップS17、レジスト形成工程)。本ステップにおいては、レジストREを樹脂基板10の上面10S1において、第1及び第2の配線部22及び32の端部から約100μm以上の領域まで形成する。
【0084】
次に、レジストREで覆われた面を除いた第1の配線電極20及び第2の配線電極30の表面を覆うようにNi/Auの金属層をめっきによって形成する(ステップS18、第2めっき工程)。本実施例においては、電界めっきを用いてNi/Auの金属層を形成する。従って、樹脂基板10の露出面及びレジストREの表面にはNi/Auの金属層は形成されない。
【0085】
次に、図18に示すように、樹脂基板10のカットラインCLで画定された長方形10Rの領域の短辺の各々にレジスト膜、第1並びに第2の配線部22並びに32及び樹脂基板10の各々を貫通する第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を形成する(ステップS19、第2貫通孔形成工程)。本ステップにおいては、円又は長円形状からなる貫通孔を樹脂基板10のカットラインCLで画定された長方形10Rの領域の短辺の各々に形成する。また、本実施例においては、当該貫通孔をドリル等で形成する。なお、樹脂基板10に形成される貫通孔は、カットラインCLを挟んで一方が第3の貫通孔15となり、他方が第4の貫通孔16となる。
【0086】
このように、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を形成する工程(ステップS19)を、Ni/Auの金属層をめっきにより形成する工程の後に行うことで、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の内壁に沿う形状に、第1の配線部22および第2の配線部32の側面を形成することができる。また、この第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16の内壁に沿うように形成された第1の配線部22および第2の配線部32の側面を、銅箔、銅めっきおよびレジストREから構成された側面として形成することができ、樹脂体50との密着性の高い側面として形成することができる。
【0087】
次に、図19に示すように、樹脂基板10の上面10S1及び下面10S2に樹脂体50を形成する樹脂体形成工程を行う(ステップS20、樹脂枠体形成工程)。本ステップにおいては、樹脂基板10を射出成型装置の金型にセットし、トランスファモールド方式で樹脂体50の原料となる樹脂を流し込んで樹脂体50を成型する。この際、樹脂基板10の下面10S2の側には、平面状の金型の下型がセットされ、当該下型と第1及び第2の配線部22及び32の下面とが接するようにセットされる。また、樹脂基板10の上面10S1の側には、樹脂体50のキャビティ内面の形状と同様の形状の凸部を有する金型の上型がセットされ、当該上型の下面と第1及び第2の電極部21及び31の上面とが接するようにセットされる。
【0088】
この状態の金型内に樹脂体50の原料樹脂を流し込み、当該金型内に原料樹脂を充填させ、これを加熱して原料樹脂を硬化させて樹脂体50を形成する。原料樹脂は、樹脂基板10の上面10S1又は下面10S2の一方の面の側から流し込まれ、第3の貫通孔15及び第4の貫通孔16を介して他方の面の側に流れ込み、金型内に充填される。また、金型の下型と第1及び第2の配線部22及び32の下面とが接しかつ金型の上型の下面と第1及び第2の電極部21及び31の上面とが接するように充填されるため、第1並びに第2の電極部21並びに31の上面、及び第1並びに第2の配線部22並びに32の下面は樹脂体50から露出する。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、光反射性の樹脂体50を上面10S1上において素子載置領域を囲む枠体を形成し、かつ下面10S2の第1の配線電極20及び第2の配線電極30から露出している領域を覆うように形成する樹脂体形成工程を含む。
【0089】
また、樹脂体50のキャビティの底面は、第1並びに第2の電極部21並びに31の上面以下の高さで形成されることが好ましい。樹脂体50のキャビティの底面を第1並びに第2の電極部21並びに31の上面以下の高さで形成することにより、素子接合工程時に発光素子60の載置位置ずれ等を防止することができる。
【0090】
次に、図20に示すように、第1及び第2の電極部21及び31の各々の上面上に発光素子60を載架し接合する素子接合工程を行う(ステップS21、素子接合工程)。本ステップにおいては、まず、第1及び第2の電極部21及び31の各々の上面上にディスペンサを用いて素子接合層61の原料であるAu-Snの合金粒子が混合されたペーストを塗布する。その後、各々のペースト上に発光素子60のカソード及びアノードの電極面が接するように載置する。この状態の樹脂基板10を約280℃で加熱してAu-Sn粒子を溶融させて第1及び第2の電極部21及び31の各々の上面上に形成された金属層のAu層と共晶反応させ、発光素子60の各々の電極と各々の電極部21及び31とを共晶接合させる。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、発光素子60を上面10S1の側において第1の配線電極20及び第2の配線電極30の各々の第1及び第2の電極部21及び31の各々の上面上に載架する素子接合工程を含む。
【0091】
次に、図21に示すように、封止樹脂70を樹脂体50の各々のキャビティ内に充填する(ステップS22、封止樹脂充填工程)。本ステップにおいては、ディスペンサを用いて当該キャビティ内に発光素子60を覆うように充填し、これを封止する。これにより、樹脂基板10に複数の発光装置100がマトリクス状に形成される。
【0092】
次に、図22に示すように、カットラインCLに沿ってダイシングを行い複数の発光装置100の各々を個片化する(ステップS23、ダイシング工程)。本ステップにおいては、まず、発光装置100の長辺の方向に対してダイシングを行う。次に、短辺の方向においては、第1及び第2の配線部22及び32が形成されている樹脂基板10の第1の長辺10Eの側から当該第1の長辺に対向する第2の長辺の側へ向けてダイシングを行う。これにより、発光装置100の側面に露出する第1及び第2の配線部22及び32の露出面のダイシング時の金属バリを抑制することが可能となる。
【0093】
金属バリは、ダイシング時の発熱によって金属部が熱膨張することによって発生しやすくなる。また、ダイシング方向において、当該金属部、空気等の空間の順となるような、金属部がダイシング方向に垂直な方向の端部に配されると、金属部がダイシング方向に熱膨張し、金属バリが発生しやすくなる。
【0094】
本実施例においては、上記のように、発光装置100の長辺方向にダイシングを行った後に、発光装置100の第1及び第2の配線部22及び32が配されている第1の長辺10Eの側から短辺方向にダイシングを行う。すなわち、第1及び第2の配線部22及び32の熱膨張する空間のない方向にダイシングを行うことによって、金属バリの発生を抑制することが可能となる。
【0095】
次に、個片化した発光装置100の第1及び第2の配線部22及び32の露出面にAuめっきを施す(ステップS24、第3めっき工程)。なお、ステップS24によるAuによるめっきは、任意に施すことができる。
【0096】
上記の処理を行うことにより、発光装置100を製造する。
【0097】
本実施例によれば、第1の配線電極20及び第2の配線電極30において、樹脂基板10の下面10S2に形成された部分の厚さを樹脂基板10と上面10S1の形成された部分との厚さの合計よりも大きくする。また、樹脂基板10の下面10S2の側において、樹脂体50を発光装置100の長辺に沿った方向に発光装置100の両端に亘って形成する。また、樹脂基板10の上面10S1において、樹脂基板10の長辺の方向に沿った方向の樹脂体50のキャビティの内壁の厚さを小さくする。
【0098】
これらにより、発光装置100は、基板10の上面10S1の側に配される樹脂体50と、基板10の下面10S2の側に配される樹脂体50とを近しい体積量とすることができる。また、発光装置100は、樹脂体50を基板10の下面10S2において長辺の方向に沿った方向に両端に亘って形成することにより、基板10の上面10S1に配された樹脂体50の加熱処理後の収縮時の応力の集中を抑制することができる。従って、発光装置100は、製造時における加熱処理等における高温時及び常温時の間で搭載基板の反り量の変化を低減させることで製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0099】
本実施例においては、発光装置100の光取り出し面上に1のキャビティを有し、当該キャビティ内に1の発光素子60を搭載する場合について説明した。しかし、発光装置100が有するキャビティ及び搭載される発光素子60の数量はこれに限定されない。
【0100】
図23は、本実施例の変形例に係る発光装置100Aの上面図である。また、図24は、本実施例の変形例に係る発光装置100Aの樹脂基板10A及びこれに形成される配線電極の各々の上面図である。なお、図23においては、樹脂体50Aのキャビティ内の構造を示すために封止樹脂70の図示を省略している。
【0101】
発光装置100Aは、実施例の発光装置100と基本的に同様の構成である。本実施例においては、発光装置100Aは、樹脂体50Aの上面上に2のキャビティが形成され、各々のキャビティ内に発光素子60がそれぞれ搭載される点について実施例と異なる。
【0102】
発光装置100Aの樹脂基板10Aは、図24に示すように、長方形10Rの上面形状から一方の長辺である第1の長辺10AEの中央の領域が切り欠かれた切欠き部17を有する。
【0103】
また、樹脂基板10Aは、樹脂基板10Aの上面の中央の領域に切欠き部17と接するように上面から下面までを貫通する円又は長円状の第5の貫通孔18を有する。
【0104】
また、樹脂基板10Aは、切欠き部17と切欠き部13との間の領域及び切欠き部17と切欠き部14との間の領域の各々に互いに離間しかつ上面から下面までを貫通する一対の貫通孔である第1の貫通孔11A並びに第2の貫通孔12A及び第1の貫通孔11B並びに12Bを有する。
【0105】
また、樹脂基板10Aには、各々の貫通孔11A、11B、12A及び12Bを充填しかつ樹脂基板10Aの上面の領域まで形成された第1の電極部21A並びに21B及び第2の電極部31A並びに31Bが形成されている。また、樹脂基板10Aの下面において、第1の電極部21Aの部分から切欠き部13の側面を経て上面まで延在する第1の配線部22Aからなる第1の配線電極20Aを有する。また、樹脂基板10Aの下面において、第2の電極部31Bの部分から切欠き部14の側面を経て上面まで延在する第2の配線部32Aからなる第2の配線電極30Aを有する。また、また、樹脂基板10Aの下面において、第2の電極部31Aの部分及び第1の電極部21Bの部分の各々からら切欠き部17の側面を経て上面まで延在する第3の配線部33からなる第3の配線電極80を有する。すなわち、第2の電極部31A及び第1の電極部21Bは、第3の配線部33を介して電気的に接続されている。また、本変形例の樹脂基板10Aは、実施例の樹脂基板10及び各々の配線電極が長辺に沿った方向に連結された形状となっている。
【0106】
発光素子60は、第1の電極部21A並びに第2の電極部31A、及び第1の電極部21B並びに第2の電極部31Bの各々に載架されている。すなわち、第1の電極部21A並びに第2の電極部31A、及び第1の電極部21B並びに第2の電極部31Bの各々に載架されている発光素子60の各々は、互いに一方の電極が電気的に接続されている。
【0107】
この時、発光素子60の各々は、カソード電極同士又はアノード電極同士が互いに電気的に接続されるように配置されてもよいし、一方の発光素子60のアノード電極と他方の発光素子60のカソード電極が互いに電気的に接続されてもよい。具体的には、発光素子60の各々のカソード電極同士又はアノード電極同士が互いに電気的に接続される場合、第3の配線電極80を接地電位として第1の配線電極20A及び第2の配線電極30Aの各々に電圧を印加することにより、発光素子60を並列接続にて駆動させることが可能となる。また、一方の発光素子60のアノード電極と他方の発光素子60のカソード電極が互いに電気的に接続する場合、第3の配線電極80を中間電位として第1の配線電極20A及び第2の配線電極30Aの間に電圧を印加することにより、発光素子60を直列接続にて駆動させることが可能となる。
【0108】
なお、本変形例においては、発光装置100Aが2のキャビティを有し、2の発光素子60を搭載する場合について説明したが、3以上のキャビティ及び発光素子60を搭載するようにしてもよい。また、キャビティ内に複数の発光素子60を搭載するようにしてもよい。
【0109】
また、本変形例の発光装置100Aにおいても、実施例と同様に、第1、第2及び第3の配線電極20A、30A及び80において、樹脂基板10Aの下面に形成された部分の厚さを樹脂基板10と上面の形成された部分との厚さの合計よりも大きくする。また、樹脂基板10Aの下面の側において、樹脂体50Aを発光装置100Aの長辺に沿った方向に発光装置100Aの両端に亘って形成する。
【0110】
従って、本変形例の発光装置100Aにおいても、製造時における加熱処理等における高温時及び常温時の間で搭載基板の反り量の変化を低減させることで製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
100 発光装置
10 樹脂基板
11 第1の貫通孔
12 第2の貫通孔
13、14、17 切欠き部
15 第3の貫通孔
16 第4の貫通孔
17 第5の貫通孔
20 第1の配線電極
21 第1の電極部
22 第1の配線部
30 第2の配線電極
31 第2の電極部
32 第2の配線部
50 樹脂体
60 発光素子
61 素子接合層
70 封止樹脂
80 第3の配線電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24