IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ニッパツパーキングシステムズの特許一覧

<>
  • 特許-駐車装置 図1
  • 特許-駐車装置 図2
  • 特許-駐車装置 図3
  • 特許-駐車装置 図4
  • 特許-駐車装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/00 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
E04H6/00 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021092171
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184371
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】栗山 茂幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-001772(JP,A)
【文献】特開昭51-047780(JP,A)
【文献】特開平10-153003(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073629(WO,A1)
【文献】特開平11-113274(JP,A)
【文献】特開平08-157014(JP,A)
【文献】特開2007-126835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
H01H 47/00 -47/36
H02P 4/00;25/08-25/098;29/00-31/00
H02P 3/00 - 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を作動するモータと、
前記モータへの動力の供給を制御する第1の電磁接触器と、
前記第1の電磁接触器に接続される動力供給ラインと、
動力電源から前記動力供給ラインへの動力の供給を制御する第2の電磁接触器と、
前記第1の電磁接触器と前記第2の電磁接触器との間において前記動力供給ラインに接続され、前記動力供給ラインの前記動力の供給を遮断する動力供給遮断スイッチと、
前記動力供給遮断スイッチに接続される制御信号ラインと、
前記制御信号ラインと接続し、前記動力供給遮断スイッチへ制御信号を送信する制御回路基板と、
前記動力供給遮断スイッチと前記制御回路基板との間において前記制御信号ラインに接続され、前記制御信号ラインの前記制御信号を遮断する遮断回路基板と、を含む、駐車装置。
【請求項2】
前記第1の電磁接触器および前記第2の電磁接触器の少なくとも一方にはサーマルリレーが設けられている、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記第2の電磁接触器の代わりに、電磁開閉器を含む、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記動力供給遮断スイッチが前記制御信号を受信しないとき、前記動力供給遮断スイッチが前記動力供給ラインの前記動力の供給を遮断する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記遮断回路基板は、非常停止ボタンの第1の接点を含み、
前記非常停止ボタンが押されると前記第1の接点が開き、前記制御信号ラインの前記制御信号が遮断される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項6】
前記第1の接点の数は、少なくとも2個以上である、請求項5に記載の駐車装置。
【請求項7】
前記遮断回路基板は、さらに、操作電源スイッチの第2の接点を含み、
前記操作電源スイッチの電源が切られると前記第2の接点が開き、前記制御信号ラインの前記制御信号が遮断される、請求項5または請求項6に記載の駐車装置。
【請求項8】
前記第1の接点と前記第2の接点は、直列に接続される、請求項7に記載の駐車装置。
【請求項9】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記制御信号ラインの前記制御信号の送信を停止する、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項10】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記第1の電磁接触器を制御する制御信号の送信を停止する、請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項11】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記第2の電磁接触器を制御する制御信号の送信を停止する、請求項5乃至請求項10のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項12】
対象物を作動するモータと、
前記モータへの動力の供給を制御する第1の電磁接触器と、
前記第1の電磁接触器に接続される動力供給ラインと、
動力電源から前記動力供給ラインへの動力の供給を制御するインバータと、
前記第1の電磁接触器と前記インバータとの間において前記動力供給ラインに接続され、前記動力供給ラインの前記動力の供給を遮断する動力供給遮断スイッチと、
前記動力供給遮断スイッチに接続される制御信号ラインと、
前記制御信号ラインと接続し、前記動力供給遮断スイッチへ制御信号を送信する制御回路基板と、
前記動力供給遮断スイッチと前記制御回路基板との間において前記制御信号ラインに接続され、前記制御信号ラインの前記制御信号を遮断する遮断回路基板と、を含む、駐車装置。
【請求項13】
前記第1の電磁接触器にはサーマルリレーが設けられている、請求項12に記載の駐車装置。
【請求項14】
前記動力供給遮断スイッチが前記制御信号を受信しないとき、前記動力供給遮断スイッチが前記動力供給ラインの前記動力の供給を遮断する、請求項12または請求項13に記載の駐車装置。
【請求項15】
前記遮断回路基板は、非常停止ボタンの第1の接点を含み、
前記非常停止ボタンが押されると前記第1の接点が開き、前記制御信号ラインの前記制御信号が遮断される、請求項12乃至請求項14のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項16】
前記第1の接点の数は、少なくとも2個以上である、請求項15に記載の駐車装置。
【請求項17】
前記遮断回路基板は、さらに、操作電源スイッチの第2の接点を含み、
前記操作電源スイッチの電源が切られると前記第2の接点が開き、前記制御信号ラインの前記制御信号が遮断される、請求項15または請求項16に記載の駐車装置。
【請求項18】
前記第1の接点と前記第2の接点は、直列に接続される、請求項17に記載の駐車装置。
【請求項19】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記制御信号ラインの前記制御信号の送信を停止する、請求項15乃至請求項18のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項20】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記第1の電磁接触器を制御する制御信号の送信を停止する、請求項15乃至請求項19のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項21】
前記制御回路基板は、前記非常停止ボタンが押されると、前記インバータを制御する制御信号の送信を停止する、請求項15乃至請求項20のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項22】
前記動力供給遮断スイッチは、電磁開閉器である、請求項1乃至請求項21のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項23】
前記対象物は、車両を載置するパレットである、請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項24】
前記対象物は、入出庫口に設けられるゲートである、請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、自動車などの車両を駐車するための駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車装置として、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、多段式駐車装置が知られている。多段式駐車装置では、パレットを上下方向または横方向に移動させ、入出庫口まで移動したパレットに載置されている車両を出し入れすることができる。
【0003】
このような多段式駐車装置は、パレットの移動を操作するための操作盤を有する。多段式駐車装置の利用者は、操作盤を操作してパレットの呼び出しまたは入出庫扉の開閉を行い、車両を入出庫させることができる。なお、操作盤には、安全面の観点から、利用者が駐車装置を停止することができるように、非常停止ボタンを備えることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-159008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作盤の非常停止ボタンが押されると、駐車装置の制御盤は、非常停止ボタンが押されたかどうかを判定し、非常停止ボタンが押されたことを決定した場合に駐車装置を停止する。そのため、非常停止ボタンが押されてから直ちに駐車装置が停止されるわけではなく、制御盤において非常停止ボタンが押されたかどうかの判定に要する時間がある。すなわち、非常停止ボタンが押されてから駐車装置が停止するまでにはタイムラグが発生する。非常停止ボタンは非常事態で押されるところ、非常停止ボタンが押された場合には、速やかに駐車装置を停止させることが望ましく、安全性の観点からも重要である。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、速やかに駐車装置を停止させ、安全性の向上が図られた駐車装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、対象物を動作するモータと、モータへの動力の供給を制御する第1の電磁接触器と、第1の電磁接触器に接続される動力供給ラインと、動力電源から動力供給ラインへの動力の供給を制御する第2の電磁接触器と、第1の電磁接触器と第2の電磁接触器との間において動力供給ラインに接続され、動力供給ラインの動力の供給を遮断する動力供給遮断スイッチと、動力供給遮断スイッチに接続される制御信号ラインと、制御信号ラインと接続し、動力供給遮断スイッチへ制御信号を送信する制御回路基板と、動力供給遮断スイッチと制御回路基板との間において制御信号ラインに接続され、制御信号ラインの前記制御信号を遮断する遮断回路基板と、を含む、駐車装置。
【0008】
第1の電磁接触器および前記第2の電磁接触器の少なくとも一方にはサーマルリレーが設けられていてもよい。
【0009】
第2の電磁接触器の代わりに、電磁開閉器を含んでいてもよい。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る駐車装置は、対象物を動作するモータと、モータへの動力の供給を制御する第1の電磁接触器と、第1の電磁接触器に接続される動力供給ラインと、動力電源から動力供給ラインへ動力の供給を制御するインバータと、第1の電磁接触器とインバータとの間において動力供給ラインに接続され、動力供給ラインの動力の供給を遮断する動力供給遮断スイッチと、動力供給遮断スイッチに接続される制御信号ラインと、制御信号ラインと接続し、動力供給遮断スイッチへ制御信号を送信する制御回路基板と、動力供給遮断スイッチと制御回路基板との間において制御信号ラインに接続され、制御信号ラインの制御信号を遮断する遮断回路基板と、を含む。
【0011】
第1の電磁接触器にはサーマルリレーが設けられていてもよい。
【0012】
動力供給遮断スイッチが制御信号を受信しないとき、動力供給遮断スイッチが動力供給ラインの動力の供給を遮断してもよい。
【0013】
遮断回路基板は、非常停止ボタンの第1の接点を含み、非常停止ボタンが押されると第1の接点が開き、制御信号ラインの制御信号が遮断されてもよい。
【0014】
第1の接点の数は、少なくとも2個以上であってもよい。
【0015】
遮断回路基板は、さらに、操作電源スイッチの第2の接点を含み、操作電源スイッチの電源が切られると第2の接点が開き、制御信号ラインの制御信号が遮断されてもよい。
【0016】
第1の接点と第2の接点は、直列に接続されてもよい。
【0017】
制御回路基板は、非常停止ボタンが押されると、制御信号ラインの制御信号の送信を停止してもよい。
【0018】
制御回路基板は、非常停止ボタンが押されると、第1の電磁接触器を制御する制御信号の送信を停止してもよい。
【0019】
制御回路基板は、非常停止ボタンが押されると、第2の電磁接触器を制御する制御信号の送信を停止してもよい。
【0020】
制御回路基板は、非常停止ボタンが押されると、インバータを制御する制御信号の送信を停止してもよい。
【0021】
動力供給遮断スイッチは、電磁開閉器であってもよい。
【0022】
対象物は、車両を載置するパレットであってもよい。
【0023】
対象物は、入出庫口に設けられるゲートであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態によれば、非常停止ボタンが押された場合、または電源が切られている場合に、判定に要する時間を経ることなく、速やかに駐車装置を停止させることができる。そのため、駐車装置の安全性の向上を図ることができる。また、異常状態が発生した場合にも動力の供給が遮断されるため、駐車場の安全性のさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置の操作盤の構成を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る駐車装置の遮断回路基板の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0027】
実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付す。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。なお、本明細書等における「第1」、「第2」、または「第3」などの序数は、説明を簡潔にするためだけに用いられており、限定的に解釈されるべきではない。
【0028】
<第1実施形態>
図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る駐車装置100について説明する。
【0029】
[1.駐車装置100の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示す模式図である。具体的には、図1は、駐車装置100を側面(入出庫口109がある面を正面とする場合)から見た模式図である。
【0030】
駐車装置100は、支柱102によって構造体が構成され、構造体の中に車両101を載置するパレット104が配置されている。パレット104は、搬送装置106により支柱102に沿って昇降することができる。パレット104は、構造体の中で複数の車両101を上下方向に積み重ねたとき、車両同士が干渉しない間隔をもって所定の位置に設けられている。これにより、支柱102によって形成される構造体は、上下方向に複数段に積み重なった駐車領域P1、P2、P3、およびP4を形成している。但し、駐車領域の数は4個に限られず、n個(nは自然数)であってもよい。すなわち、構造体には、n個の駐車領域P1~Pnが形成されていてもよい。
【0031】
なお、図示しないが、駐車領域P1、P2、P3、およびP4は上下方向のみならず、横方向(図1の紙面奥行方向)に複数並んで形成されるものであってもよい。これにより、パレット104は、上下方向だけでなく、横方向にも移動させることができる。
【0032】
駐車装置100は、操作盤105によって操作される。操作盤105は、駐車装置100の外側に設けられている。例えば、駐車装置100の入出庫口109の近くの支柱102に操作盤105が配置されている。利用者は、駐車装置100の外側から操作盤105を操作して、目的のパレット104を入出庫口109まで移動させたり、ゲート108を開閉したりする。
【0033】
駐車装置100の入出庫口109に設けられるゲート108は、操作盤105により開閉を行うことができる。ゲート108は、車両101を入出庫するために開けた場合以外は閉じた状態となっている。したがって、パレット104が移動するときもゲート108は閉じた状態となっている。ゲート108が閉じていることにより、パレット104の移動中には駐車装置100内に人が入れないようになっている。図1では、制御盤110が、駐車装置100の側面に配置されているが、制御盤110は、車両101の入庫方向に設けられていてもよい。操作盤105から出力される信号は、制御盤110に送信され、制御盤110は、パレット104の移動を行う搬送装置106、またはゲート108の開閉を行う駆動装置(モータを含む。)などに制御信号を出力する。
【0034】
上下方向に複数段に積み重なった駐車領域を形成し、立体的に車両101を収納して駐車させる駐車装置100では、パレット104が昇降することで、目的とするパレット104を入出庫口109へ移動させて車両101の出し入れを行う。目的とするパレット104の入出庫口109まで移動させる動作にはいくつかの方式がある。例えば、上段のパレット104に駐車された車両101を出庫するために下段のパレット104を地下ピットに沈みこませる方式、下段または上段のパレット104を車体方向(図1の紙面奥行方向)にスライドさせて上段のパレット104を下段のパレット104が存在しない領域に降下させる方式、またはこれらを組み合わせた方式などが採用されている。本実施形態に係る駐車装置100には、いずれの方式も適用することができる。
【0035】
[2.操作盤105の構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の操作盤105の構成を示す模式図である。
【0036】
図2に示すように、操作盤105は、操作電源スイッチ120、操作部122、情報表示部124、情報入力部126、および非常停止ボタン128を含む。
【0037】
操作電源スイッチ120は、駐車装置100の操作盤105を起動するためのスイッチである。例えば、操作電源スイッチ120は、操作鍵を挿入し、「切」から「入」に回すことで、操作盤105の電源の投入、操作部122の操作の受け付け、および情報入力部126を用いた情報の入力の少なくともいずれかを可能にする。操作部122は、操作手順ごとに点灯ランプおよび操作ボタンを有する。情報表示部124は、各種情報を表示する。情報表示部124は、例えば、液晶またはOLEDを用いた表示装置を含む。情報入力部126は、利用者からの情報の入力を受け付ける。情報入力部126は、例えば、複数のボタンを含む。利用者は、情報入力部126の複数のボタンを操作し、所定の情報を入力することができる。非常停止ボタン128は、非常時に操作されるボタンである。非常停止ボタン128が操作されると、利用者の安全を確保するため、駐車装置100の特定の動作(例えば、パレット104またはゲート108の作動)が停止する。
【0038】
操作盤105の操作によって出力される信号は、制御盤110に送信される。具体的には、操作電源スイッチ120の操作、情報入力部126による入力操作、および非常停止ボタンの操作による出力信号が、制御盤110に送信される。
【0039】
[3.駐車装置100の制御]
図3は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示すブロック図である。具体的には、図3は、駐車装置100の制御を説明するブロック図である。
【0040】
図3に示すように、駐車装置100は、第1の電磁開閉器130-1、第2の電磁開閉器130-2、動力供給遮断スイッチ132、電磁接触器134、モータ136、制御回路基板140、遮断回路基板142、動力供給ライン150、制御信号ライン152、および動力電源154を含む。制御回路基板140と、第1の電磁開閉器130-1、第2の電磁開閉器130-2、および電磁接触器134の各々とは、制御信号ライン152を介して接続されている。動力供給ライン150には、動力電源154が接続されており、動力供給ライン150を介して駐車装置100に動力が供給される。なお、以下では、第1の電磁開閉器130-1と第2の電磁開閉器130-2とを特に区別しない場合、便宜上、電磁開閉器130として説明する。
【0041】
駐車装置100の基本的な動作は、制御盤110からの制御信号に基づいて行われる。そのため、制御盤110には、制御信号を生成し、および出力することができる制御回路基板140が含まれる。
【0042】
制御回路基板140は、例えば、演算処理部または制御信号出力部を含む。演算処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置、ならびにROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリを含む。演算処理部は、ROMに記憶されたプログラムをRAMによって展開してCPUによって実行する。例えば、演算処理部は、操作盤105から送信された信号を受信して、パレット104の移動やゲート108の開閉などを制御する制御信号を生成する。具体的には、パレット104の移動であれば、演算処理部は、電磁開閉器130または電磁接触器134を制御する制御信号を生成する。制御信号出力部は、生成された制御信号を出力する。例えば、電磁開閉器130または電磁接触器134を制御する制御信号であれば、制御信号出力部は、制御信号ライン152を介して、電磁開閉器130または電磁接触器134に制御信号を送信する。
【0043】
第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2の各々は、動力供給ライン150と接続され、制御回路基板140からの制御信号に基づいて、動力供給ライン150の動力の供給を制御する。具体的には、第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2の各々が制御信号を受信しているとき、第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2の各々は、動力電源154から動力供給ライン150へ動力を供給する。一方、第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2の各々が制御信号を受信しなくなると、第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2の各々は、動力電源154から動力供給ライン150への動力の供給を停止する。
【0044】
第1の電磁開閉器130-1および第2の電磁開閉器130-2は、それぞれ、モータ136に動力が供給されたときに、モータ136の回転方向が互いに逆となるように動力供給ライン150に接続されている。例えば、第1の電磁開閉器130-1は、正転するモータ136への動力の供給を制御し、第2の電磁開閉器130-2は、逆転するモータ136への動力の供給を制御する。
【0045】
モータ136は、スライド機構、ローラ、ローラチェーン、軸受け等の部品、または油圧関係の複数の駆動部品とともに搬送装置106に備えられ、モータ136の回転により、パレット104を上下方向または横方向に移動させることができる。そのため、モータ136は、パレット104ごとに設けられている。なお、複数のモータ136によって、1つのパレット104を移動させるようにすることもできる。例えば、パレット104を上下方向に移動させるモータ136と横方向に移動させるモータ136とを別個に設けることもできる。
【0046】
モータ136は、三相モータと減速機が一体化されたギヤードモータを用いてもよい。三相モータには電磁ブレーキが内蔵されている。電磁ブレーキは、モータ136の回転軸に取り付けられたブレーキディスク、ブレーキパッド、ブレーキ用電磁石、および押圧バネを含む。ブレーキパッドは、常時、押圧バネによってブレーキディスクに押しつけられている。また、ブレーキ用電磁石は、ブレーキパッドの近傍に設けられている。ブレーキ用電磁石は、ブレーキ解除リレーを介して動力が供給される。ブレーキ解除リレーは、制御信号を受信している間はブレーキ用電磁石に動力を供給し、制御信号を受信しなくなると、ブレーキ用電磁石への動力の供給を停止する。ブレーキ用電磁石に動力が供給されると、ブレーキ用電磁石は、ブレーキパッドを引き付け、ブレーキディスクからブレーキパッドを引き離す。回転軸が開放されるため、ブレーキが解除され、パレット104が作動する。
【0047】
電磁接触器134は、動力供給ライン150およびモータ136と接続し、制御回路基板140からの制御信号に基づいて、モータ136への動力の供給を制御する。具体的には、電磁接触器134が制御信号を受信しているとき、電磁接触器134は、モータ136へ動力を供給する。一方、電磁接触器134が制御信号を受信しなくなると、電磁接触器134は、モータ136への動力の供給を停止する。
【0048】
なお、制御回路基板140は、始めに電磁接触器134に制御信号を送信した後、電磁開閉器130に制御信号を送信してもよい。
【0049】
操作盤105の非常停止ボタン128が押された場合、操作盤105からの信号を制御盤110が受信する。制御盤110の制御回路基板140は、電磁開閉器130または電磁接触器134への制御信号の送信を停止する。これにより、動力供給ライン150への電力の供給が停止され、またはモータ136への動力の供給が停止されて、駐車装置100が停止する。
【0050】
しかしながら、操作盤105から制御盤110までの距離、または制御回路基板140の情報処理部の演算速度などによって、非常停止ボタン128が押されてから駐車装置100が停止するまでにはタイムラグが発生する。このタイムラグは僅かな時間である場合もあるが、駐車装置100の安全性を考慮する上では無視することができない。そこで、本実施形態に係る駐車装置100では、このようなタイムラグを最小限にするため、さらに、動力供給遮断スイッチ132および遮断回路基板142を備える。
【0051】
動力供給遮断スイッチ132は、電磁開閉器130と電磁接触器134との間において、動力供給ライン150に接続されている。すなわち、電磁開閉器130と電磁接触器134とは、動力供給遮断スイッチ132を介して、接続されている。また、動力供給遮断スイッチ132は、制御信号ライン152を介して、制御回路基板140と接続されている。そのため、制御回路基板140は、制御信号ライン152を介して、動力供給遮断スイッチ132へ制御信号を送信することができる。なお、動力供給遮断スイッチ132と制御回路基板140との間において、遮断回路基板142が制御信号ライン152に接続されている。詳細は後述するが、遮断回路基板142は、動力供給遮断スイッチ132に接続される制御信号ライン152の制御信号を遮断することができる。動力供給遮断スイッチ132として、例えば、電磁開閉器を用いることができる。
【0052】
なお、電磁開閉器は、電磁接触器に、過電流などの負荷によって温度が上昇したときに電磁接触器を遮断するサーマルリレーが設けられた構成である。そのため、上記では、動力電源154から動力供給ライン150への動力の供給が電磁開閉器130によって制御されると説明したが、電磁開閉器130の代わりに電磁接触器を用いることもできる。同様に、動力供給ライン150からモータ136への動力の供給は、電磁接触器134の代わりに電磁開閉器を用いることもできる。
【0053】
[4.遮断回路基板142の構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の遮断回路基板142の構成を示すブロック図である。
【0054】
図4に示すように、遮断回路基板142は、動力供給遮断スイッチ132および制御回路基板140に接続されている。すなわち、動力供給遮断スイッチ132と制御回路基板140とは、遮断回路基板142を介して接続されている。動力供給遮断スイッチ132は、制御回路基板140からの制御信号に基づいて、動力供給ライン150の動力の供給を制御する。具体的には、動力供給遮断スイッチ132が制御信号を受信しているとき、動力供給遮断スイッチ132は、動力供給ライン150の動力の供給を維持する。一方、動力供給遮断スイッチ132が制御信号を受信しなくなると、動力供給遮断スイッチ132は、動力供給ライン150の動力の供給を遮断する。したがって、電磁開閉器130および電磁接触器134の各々が制御信号を受信している場合であっても、動力供給遮断スイッチ132によって動力供給ライン150の動力の供給が遮断され、駐車装置100を停止させることができる。なお、以下では、便宜上、制御回路基板140からの制御信号が電流の供給であるとして説明する。
【0055】
図4に示すように、遮断回路基板142は、非常停止ボタン128の第1の接点128aおよび第2の接点128b、ならびに操作電源スイッチ120の接点120aを含む。第1の接点128a、第2の接点128b、および接点120aは、直列に接続されている。いずれの接点も、利用者によって駐車装置100が使用されているとき(操作電源スイッチ120が切以外のとき)には閉じられている。したがって、制御回路基板140から供給された電流は、遮断回路基板142を介して、動力供給遮断スイッチ132に供給されている。
【0056】
非常停止ボタン128が押されると、第1の接点128aおよび第2の接点128bが開き、制御回路基板140から動力供給遮断スイッチ132への電流が遮断される。換言すると、遮断回路基板142は、動力供給遮断スイッチ132への制御信号を遮断する(制御信号の送信を停止する)。これにより、動力供給遮断スイッチ132が作動し、動力供給ライン150の動力の供給が遮断される。遮断回路基板142に含まれる非常停止ボタン128の接点の数は1個であってもよいが、少なくとも2個以上であることが好ましい。1個の接点の場合では、接点に何らかの異常が発生した場合に電流を遮断することができない可能性がある。接点が2個以上であれば、1個の接点に異常が発生した場合であっても、他の接点が開き、動力供給遮断スイッチ132を確実に作動させ、動力供給ライン150の動力の供給を遮断し、駐車装置100を停止させることができる。
【0057】
また、操作電源スイッチ120の操作によって操作盤105の電源が切られると(操作電源スイッチ120が切のとき)、接点120aが開き、制御回路基板140から動力供給遮断スイッチ132への電流が遮断される。換言すると、遮断回路基板142は、動力供給遮断スイッチ132への制御信号を遮断する(制御信号の送信を停止する)。これにより、動力供給遮断スイッチ132が作動し、動力供給ライン150の動力の供給が遮断される。したがって、操作盤105の電源が切られている場合において、万が一にも駐車装置100が動作しないように、動力供給遮断スイッチ132を用いて動力供給ライン150の動力の供給を遮断し、駐車装置100を停止さておくことができる。
【0058】
また、制御回路基板140において、非常停止ボタンが押された場合、または所定の異常を検知した場合、制御回路基板140から動力供給遮断スイッチ132への電流の供給を遮断してもよい(制御信号の送信を停止してもよい。)。この場合も、動力供給遮断スイッチ132が作動し、動力供給ライン150の動力の供給が遮断される。したがって、所定の異常を検知した場合において、万が一にも駐車装置100が動作しないように、動力供給遮断スイッチ132を用いて動力供給ライン150の動力の供給を遮断し、駐車装置100を停止さておくことができる。
【0059】
以上、説明したように、駐車装置100では、動力供給ライン150に接続された動力供給遮断スイッチ132が、非常停止ボタン128の接点の開閉に基づき、動力供給ライン150の動力の供給を直接遮断することができる。そのため、動力供給遮断スイッチ132による動力の供給の遮断は、制御回路基板140を介する動力の供給の停止(制御回路基板140からの制御信号に基づく電磁開閉器130または電磁接触器134による動力の供給の停止)よりも、速やかに行われる。したがって、非常停止ボタン128が押された場合などにおいて、速やかに駐車装置100を停止させることができる。
【0060】
なお、図4では、遮断回路基板142と制御回路基板140とが分離されている構成を示したが、遮断回路基板142は、制御回路基板140と一体化された構成であってもよい。また、遮断回路基板142が複数に分離され、互いに直列に接続されていてもよい。
【0061】
また、図4では、遮断回路基板142に、操作盤105の非常停止ボタン128および操作電源スイッチ120の接点が設けられている構成を示したが、操作電源スイッチ120の接点が設けられていない構成であってもよい。また、遮断回路基板142には、操作盤105以外の構成の接点が設けられていてもよい。例えば、遮断回路基板142には、ゲート108などに設置された非常停止ボタンの接点が設けられていてもよい。この場合、ゲート108を作動するモータに供給される動力の供給を直接遮断することができる。
【0062】
本実施形態に係る駐車装置100では、動力供給遮断スイッチ132が動力供給ライン150に設けられていることにより、電磁開閉器130または電磁接触器134への制御信号を介することなく、動力供給ライン150の動力の供給を直接遮断することができる。そのため、速やかに駐車装置100を停止させることができる。また、電磁開閉器130または電磁接触器134による動力の供給の停止とともに、動力供給遮断スイッチ132による動力の供給の遮断が設けられていることにより、駐車装置100の安全性の向上が図られている。
【0063】
<第2実施形態>
図5を参照して、駐車装置100の一変形例である駐車装置100Aについて説明する。なお、駐車装置100Aの構成が駐車装置100の構成と同様であるとき、その説明を省略する場合がある。
【0064】
図5は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100Aの構成を示すブロック図である。
【0065】
図5に示すように、駐車装置100Aは、電磁開閉器130の代わりに、インバータ130Aを含む。インバータ130Aは、任意の周波数を生成することができ、低周波数から出力し始めるので、モータ136の発生トルクは一般的に小さい。そのため、パレット104を上昇させるための定格トルクが発生するまでは、ブレーキパッドをブレーキディスクに押しつけておき、インバータ130Aから出力される周波数が負荷トルク以上の回転トルクに達したときにブレーキパッドを開放することができる。このように、インバータ130Aは、動力供給ライン150と接続し、モータ136の回転速度を制御することができる。すなわち、インバータ130Aは、動力供給ライン150に動力を供給するとともに、モータ136を有するパレット104の移動を制御することができる。
【0066】
本実施形態においても、インバータ130Aと電磁接触器134とは、動力供給遮断スイッチ132を介して接続されている。また、制御回路基板140から動力供給遮断スイッチ132への制御信号ライン152の制御信号は、遮断回路基板142によって遮断される。そのため、例えば、非常停止ボタン128が押された場合には、制御回路基板140から動力供給遮断スイッチ132への電流が遮断され、動力供給遮断スイッチ132が作動する。すなわち、動力供給遮断スイッチ132によって、動力供給ライン150の動力の供給が遮断され、駐車装置100Aが停止する。
【0067】
本実施形態に係る駐車装置100Aでは、動力供給遮断スイッチ132が動力供給ライン150に設けられていることにより、インバータ130Aまたは電磁接触器134への制御信号を介することなく、動力供給ライン150の動力の供給を直接遮断することができる。そのため、速やかに駐車装置100を停止させることができる。また、インバータ130Aまたは電磁接触器134による動力の供給の停止とともに、動力供給遮断スイッチ132による動力の供給の遮断が設けられていることにより、駐車装置100の安全性の向上が図られている。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の駐車装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0069】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0070】
100、100A:駐車装置、 101:車両、 102:支柱、 104:パレット、 105:操作盤、 106:搬送装置、 108:ゲート、 109:入出庫口、 110:制御盤、 120:操作電源スイッチ、 120a:接点、 122:操作部、 124:情報表示部、 126:情報入力部、 128:非常停止ボタン、 128a:第1の接点、 128b:第2の接点、 130:電磁開閉器、 130-1:第1の電磁開閉器、 130-2:第2の電磁開閉器、 130A:インバータ、 132:動力供給遮断スイッチ、 134:電磁接触器、 136:モータ、 140:制御回路基板、 142:遮断回路基板、 150:動力供給ライン、 152:制御信号ライン、 154:動力電源
図1
図2
図3
図4
図5