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特許7581131移動体用の冷却器、電力変換装置および移動体用の冷却器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】移動体用の冷却器、電力変換装置および移動体用の冷却器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20241105BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241105BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
F28D15/02 102A
H02M7/48 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021099498
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022190953
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敬介
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】河野 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】寺門 秀一
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049405(WO,A1)
【文献】特開2014-115054(JP,A)
【文献】特開2020-171196(JP,A)
【文献】特開2011-220620(JP,A)
【文献】特開平10-160367(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094843(US,A1)
【文献】特開2017-128183(JP,A)
【文献】特開2005-053330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H02M 7/48
H01L 23/427
B61C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され
前記ヒートパイプ装置は、蛇行した溝を備えた流路板を有し、前記蛇行流路は、前記流路板を前記受熱板の凹部に配置するとともに、別の板を用いて前記溝の開放部を閉鎖することにより密閉され、
前記蛇行流路は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層されていることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項2】
請求項に記載の移動体用の冷却器において、
前記蛇行流路は、平行に延在する複数のストレート部を含み、積層された前記蛇行流路のストレート部同士が90度で異なる方向を向くことを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項3】
請求項または請求項に記載の移動体用の冷却器において、
前記ヒートパイプ装置は、前記蛇行流路を備えた一対の流路板と、前記一対の流路板の間に設置される仕切り板を、少なくとも有することを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の移動体用の冷却器において、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路の一部は、前記半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重ならないことを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項5】
車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路内に作動液を注入するための作動液注入口が、前記受熱板に配置され、
前記作動液注入口は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層された複数の前記蛇行流路に連通していることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項6】
請求項に記載の移動体用の冷却器において、
前記作動液注入口は、前記電力変換装置の筐体内部に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項7】
請求項に記載の移動体用の冷却器において、
前記作動液注入口は、前記受熱板の前記半導体素子の設置面に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項8】
請求項に記載の移動体用の冷却器において、
前記電力変換装置にはキャパシタが設置され、
前記作動液注入口は、前記キャパシタ、前記受熱板、及び前記半導体素子の間に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項9】
車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路内に作動液を注入するための作動液注入口が、前記受熱板に配置され、
前記作動液注入口には、配管を装着しないときは閉状態を維持し、配管を装着することで開状態となるカプラが配置されていることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項10】
請求項9に記載の移動体用の冷却器において、
前記作動液注入口は、前記電力変換装置の筐体内部に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体用の冷却器において、
前記作動液注入口は、前記受熱板の前記半導体素子の設置面に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項12】
請求項11に記載の移動体用の冷却器において、
前記電力変換装置にはキャパシタが設置され、
前記作動液注入口は、前記キャパシタ、前記受熱板、及び前記半導体素子の間に配置されることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の移動体用の冷却器において、
前記作動液注入口は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層された複数の前記蛇行流路に連通していることを特徴とする、移動体用の冷却器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の移動体用の冷却器を用いた電力変換装置において、
前記冷却器の放熱部が、前記電力変換装置の筐体底面、筐体側面、筐体内部のいずれかに配置されることを特徴とする、電力変換装置。
【請求項15】
車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器の製造方法であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路を、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置し、
流路板に、蛇行した溝を形成し、
前記流路板を前記受熱板の凹部に配置するとともに、別の板を用いて前記溝の開放部を閉鎖することにより、密閉された蛇行流路を形成し、
前記蛇行流路は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層されることを特徴とする、移動体用の冷却器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体用の冷却器、電力変換装置および移動体用の冷却器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に鉄道車両の床下には、駆動用電動機に供給する電力を制御する電力変換装置が搭載される。電力変換装置には、電流のスイッチングを行って直流/交流の変換を行う半導体素子が設置される。
【0003】
かかる半導体素子においては、通電時およびスイッチング時に熱が発生する。この熱により半導体素子が高温になると、変換効率の低下や素子劣化が懸念されるため、半導体素子を所定の温度範囲になるように冷却する必要がある。電力変換装置は、主に搭載スペースの限られた車両床下等に搭載されるため、小型な装置構成で複数の半導体素子を効率良く冷却することが望まれる。
【0004】
特に、交流架線区間を走行する高速車両に搭載される電力変換装置においては、架線からの交流をコンバータ回路で任意電圧の直流に変換し、その後、インバータ回路で任意周波数の三相交流に変換するため、設置される半導体素子の数が比較的多くなる。また、3レベル回路にて電力変換を行う場合には、設置される半導体素子の数がさらに増える。半導体素子の数が増えると、冷却風の流れ方向に沿って半導体素子を複数台並べる場合があり、冷却風の温度上昇に伴う風下側の半導体素子の温度上昇を極力抑制することが望ましい。また、3レベル回路では、力行運転時、回生運転時に各半導体素子の発熱に偏りが生じるため、発熱量の偏りによる半導体素子同士の温度差を極力抑制することが望ましい。
【0005】
鉄道車両の床下に搭載される電力変換装置に設置される冷却器の一例として、特許文献1には、複数のパワー半導体素子を取り付けた冷却器を電力変換装置の側面に配置し、車両の走行により生じる風を冷却器に供給することで、半導体素子からの熱を外気に放熱する構成が開示されている。かかる従来技術によれば、平板の内部に蛇行流路を設けて作動液を封入した自励振動ヒートパイプを、冷却器の放熱部に設置することで、冷却効率が向上する効果が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-88744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような構造の冷却装置が鉄道車両の床下に設置される場合、線路周囲のバラストなどの飛来物が冷却器に衝突することが想定される。冷却器の伝熱手段として内部に作動液を封入した自励振動ヒートパイプ等を冷却器に設置している場合、自励振動ヒートパイプ等に飛来物が衝突して破損すると、内部の作動液が外部に漏れ出し、冷却性能が著しく悪化することが懸念される。特に、高速車両のように走行速度の大きい車両においては、さらに破損が生じやすくなる恐れがある。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、冷却器に飛来物が衝突した際の性能悪化を抑制し、半導体素子の温度を均一化して冷却性能を向上する、移動体用の冷却器、電力変換装置および移動体用の冷却器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、代表的な本発明にかかる移動体用の冷却器の一つは、車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され
前記ヒートパイプ装置は、蛇行した溝を備えた流路板を有し、前記蛇行流路は、前記流路板を前記受熱板の凹部に配置するとともに、別の板を用いて前記溝の開放部を閉鎖することにより密閉され、
前記蛇行流路は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層されていることにより達成される。
また、代表的な本発明にかかる移動体用の冷却器の一つは、車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路内に作動液を注入するための作動液注入口が、前記受熱板に配置され、
前記作動液注入口は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層された複数の前記蛇行流路に連通していることにより達成される。
また、代表的な本発明にかかる移動体用の冷却器の一つは、車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路は、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置され、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路内に作動液を注入するための作動液注入口が、前記受熱板に配置され、
前記作動液注入口には、配管を装着しないときは閉状態を維持し、配管を装着することで開状態となるカプラが配置されていることにより達成される。
【0010】
さらに、代表的な本発明にかかる移動体用の冷却器の製造方法の一つは、車両の床下に設置される電力変換装置に搭載された移動体用の冷却器の製造方法であって、
前記冷却器は、複数の半導体素子を設置面に取り付ける受熱板と、前記受熱板の内部に設置され、作動液を封入した蛇行流路からなる自励振動ヒートパイプを有するヒートパイプ装置と、前記受熱板に連結された放熱部とを備え、
前記ヒートパイプ装置の蛇行流路を、前記複数の半導体素子を前記設置面の法線方向に投影した投影像に重なるように配置し、
流路板に、蛇行した溝を形成し、
前記流路板を前記受熱板の凹部に配置するとともに、別の板を用いて前記溝の開放部を閉鎖することにより、密閉された蛇行流路を形成し、
前記蛇行流路は、前記設置面の法線方向に沿って2層以上に積層されることにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷却器に飛来物が衝突した際の性能悪化を抑制し、半導体素子の温度を均一化して冷却性能を向上する、移動体用の冷却器、電力変換装置および移動体用の冷却器の製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、走行方向から見た断面図である。
図2図2は、実施形態1における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、枕木方向から見た断面図である。
図3図3は、実施形態1における、冷却器の構成部材を分解して示す斜視図である。
図4図4は、実施形態1における、図3の第一の流路板のA矢視平面図である。
図5図5は、実施形態1における、図3の第二の流路板のB矢視平面図である。
図6図6は、実施形態1における、半導体素子と第一の流路板の流路との位置関係を示す、平面投影図である。
図7図7は、実施形態1における、半導体素子と第二の流路板の流路との位置関係を示す、平面投影図である。
図8A図8Aは、実施形態1における配管とカプラの関係を示す図であり、作動液注入前の状態を示す。
図8B図8Bは、実施形態1における配管とカプラの関係を示す図であり、作動液注入時の状態を示す。
図8C図8Cは、実施形態1における配管とカプラの関係を示す図であり、作動液注入後に配管を取り外した状態を示す。
図9図9は、実施形態2における、冷却器の構成部材を分解して示す斜視図である。
図10図10は、実施形態3における、冷却器の構成部材を分解して示す斜視図である。
図11図11は、実施形態3における、図10の流路板のC矢視図である。
図12図12は、実施形態3における、図10の流路板のD矢視図である。
図13図13は、実施形態4における、作動液注入口の構造を示す断面図である。
図14図14は、実施形態5における、冷却器の構成部材を分解した斜視図である。
図15図15は、実施形態5における、多穴扁平管と端部キャップ内の流路を示す、E部の断面図である。
図16図16は、実施形態6における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、走行方向から見た断面図である。
図17図17は、実施形態7における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、走行方向から見た断面図である。
図18図18は、実施形態7における、冷却器、作動液注入口、ダクトの位置関係を示す、枕木方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、図面には座標軸を記載しており、走行方向51はレールが設置される方向、枕木方向52はレールとレールをつなぐ枕木が設置される方向、高さ方向53は鉛直上向きの方向である。
【0014】
[実施形態1]
図1および図2は、実施形態1における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置の断面図である。電力変換装置1は、鉄道車両2の床下等に設置され、鉄道車両2を駆動する電動機(図示せず)に供給する電力の周波数を変えることにより、電動機の回転速度の制御を行う。電力変換装置1の内部には、電力変換回路を構成する複数の半導体素子3と、キャパシタ6などの電気部品が設置される。
【0015】
半導体素子3は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、ダイオード等である。これらの半導体素子3が、通電時およびON/OFF切替時に熱を発生する発熱源となる。なお、交流架線区間を走行する高速車両等に搭載される電力変換装置1においては、コンバータ回路を構成するコンバータ用の半導体素子群5で架線からの交流を任意電圧の直流に変換し、その後、インバータ回路を構成するインバータ用の半導体素子群4で任意周波数の三相交流に変換する。コンバータ用の半導体素子群5とインバータ用の半導体素子群4を総称して、半導体素子3という。
【0016】
冷却器7は電力変換装置1の筐体底面に配置される。冷却器7の受熱板8の片側一面(ここでは上面)には、半導体素子3が設置される。受熱板8のもう片側一面(ここでは下面)に接合されるベース板12(図3)には複数のフィン9が走行方向に沿って配置される。フィン9には、鉄道車両2が走行した際に発生する走行風10が、図1の紙面垂直方向に供給され、半導体素子3から発生する熱を放熱する。鉄道車両2は、前後いずれの方向にも移動するので、それに伴う方向に走行風10が生じることになる。
【0017】
冷却器7について説明する。図3は、本実施形態における、冷却器7の構成部材を分解した状態で示す斜視図である。図3は、図1のインバータ用の半導体素子群4の半導体素子41,42,43が枕木方向52の向きに3台並ぶ領域を切り出したものである。冷却器7は、フィン9、ベース板12、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15、受熱板8が積層されて構成される。これらの構成部品は、例えば、アルミニウム合金、銅、等の金属から成る。ベース板12と受熱板8を平面視してなる矩形形状は略等しく、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15を平面視してなる矩形形状は、それより小さい。ベース板12は、電力変換装置1の筐体底面を構成していてもよい。フィン9が放熱部を構成する。
【0018】
図4,5を参照して、流路板13、15には、それぞれ一筆書きで蛇行したスリット状の溝が形成される。後述する組み立て工程において、仕切り板17と、ベース板12の溝19及び受熱板8との間に流路板13、15をそれぞれ配置して、これらを相互に密着接合させて溝の開放部を閉鎖することで、溝内部に密閉された一筆書きの流路(蛇行流路ともいう)14、16が形成される。流路14,16の内部には、後述するようにして作動液が所定量封入される。流路14,16を内蔵した流路板13、15が、ヒートパイプ装置を構成する。
【0019】
流路14、16の断面寸法は、作動液が表面張力により流路断面を閉塞する範囲とすることが望ましく、具体的には縦横0.5mmから1.8mm程度が望ましい。このような構成により、自励振動ヒートパイプを形成することができる。自励振動ヒートパイプは、流路の一部を加熱すると、作動液の沸騰、凝縮に起因する流路間の圧力差により作動液が振動して熱を輸送する機能を有する。
【0020】
作動液としては、例えば、水、アルコール類、ブタン等の炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロエーテル類、ハイドロフルオロオレフィン類、パーフルオロケトン類等を用いる。
【0021】
仕切り板17には貫通穴18が設けられ、貫通穴18を介して、第一の流路板13の流路14と、第二の流路板15の流路16とが連通する。ベース板12には溝(矩形状凹部)19が設けられ、溝19に、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15が積層された状態で埋め込まれて、受熱板8とともにロウ付け等により周囲を接合することで内部が密閉された状態とする。ベース板12は、受熱板8と接合されることにより、受熱板の一部を構成する。
【0022】
受熱板8の片側一面(設置面という)には、複数の第一の半導体素子41、第二の半導体素子42、第三の半導体素子43が、グリース等の部材(図示せず)を介して、ねじ等(図示せず)によって固定される。これらの半導体素子41~43を総称して、半導体素子群4という。半導体素子群4は3レベルのインバータ回路を構成しており、各々の発熱量は一様ではなく、鉄道車両2の走行条件により発熱量の偏りが生じる。また、半導体素子群4と同一面には、作動液注入口11が設置される。作動液注入口11は、図2に示すように、電力変換装置1の筐体内部の、キャパシタ6と受熱板8の間の空間に配置され、流路14、16および貫通穴18と連通している。
【0023】
流路板13、15について説明する。図4は、図3の第一の流路板13のA矢視平面図、図5は、図3の第二の流路板15のB矢視平面図である。第一の流路板13の第一の流路14は走行方向51の向きに延在するストレート部と、該ストレート部の端部でターンするターン部とを含み、該ストレート部とターン部とが交互に繰り返される。一方、第二の流路板15の第二の流路16は、第一の流路板13の流路14と方向を90度変更し、枕木方向52の向きに延在するストレート部と、該ストレート部の端部でターンするターン部とを含み、該ストレート部とターン部とが交互に繰り返される。各ストレート部は、平行であると好ましい。
【0024】
半導体素子群4と、流路14、16の位置関係を説明する。図6は、半導体素子群4と、第一の流路板13の流路14との位置関係を示す平面投影図である。また、図7は、半導体素子群4と、第二の流路板15の流路16との位置関係を示す平面投影図である。流路14、16は、半導体素子群4の半導体素子41,42,43を設置面の法線方向に投影した投影像(図6参照)に重なるように配置される。また、流路14、16の一部は、インバータ用の半導体素子群4の半導体素子41,42,43を設置面の法線方向に投影した投影像(図6参照)に重ならないように配置される。図6,7の例では、流路14,16は、半導体素子群4の投影像から走行方向51の両側にはみ出している。ただし流路14,16は、図6,7に限らず、枕木方向52の少なくとも片側に半導体素子群4の投影像からはみ出していてもよい。なお、流路14、16のうち少なくとも一方を設ければ足りる。
【0025】
冷却器7の製造プロセスについて説明する。図3を参照して、フィン9、ベース板12、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15、受熱板8を積層させてロウ付け等により各々を接合し、その後、作動液注入口から所定量の作動液を注入したうえで、封止して密閉する。さらに、半導体素子群4を、グリース等の部材(図示せず)を介して、ねじ等(図示せず)によって固定し、キャパシタ6などの電気部品と接続する。
【0026】
図8A~8Cは、作動液注入時と注入後の配管構成を示す図である。作動液注入口11には、配管20を装着しないときは閉状態を維持し、配管20の装着により開状態となるカプラ21が取り付けられる。カプラ21には、配管20を介して、真空ポンプ22、作動液タンク23が接続されるとともに、各々に繋がる配管を開閉する第一のバルブ24、第二のバルブ25が配置される。
【0027】
図8Aに示すように、カプラ21に配管20を接続して作動液注入口を“開”とし、第一のバルブ24を“開”、第二のバルブ25を“閉”にした状態で、真空ポンプ22を動作させて流路の中を真空引き(負圧状態に)する。その後、図8Bに示すように、第一のバルブ24を“閉”、第二のバルブ25を“開”に切り替えて、負圧を利用して作動液タンク23から所定量の作動液を流路14、16に注入する。注入が完了したら、図8Cに示すように、第二のバルブ25を“閉”にして、配管20をカプラ21から取り外すことで、カプラ21が“閉”に切り替わるため、作動液を注入した状態で流路14、16が密閉される。
【0028】
実施形態1の効果について説明する。自励振動ヒートパイプを構成する流路板13、15と、それらの流路14、16が、受熱板8およびベース板12の内部に配置されることで、線路周囲のバラスト等の飛来物が流路14、16の構成部材に直接衝突することが抑制されるため、破損による冷却性能の悪化を抑制することができる。
【0029】
また、枕木方向52の向きに延在して形成された流路16は、発熱量の異なる複数の半導体素子41、42、43の投影像にそれぞれ重なる。これにより、流路16内の作動流体を介して、発熱量の大きな半導体素子から、発熱量の小さい半導体素子への伝熱が促進され、半導体素子間の温度を均一に近づける効果が得られる。また、走行風10は風上側で熱を受け取ることで風下に向かうにつれて温度が上昇する。流路14を走行方向51の向きに延在して形成することで、走行方向51の向きの伝熱が促進され、走行風10の温度上昇に伴う風下側の半導体素子の温度上昇を抑制することができる。このように、流路14と流路16の方向が90度で異なるように積層することで、走行方向51、枕木方向52の両方向の伝熱を促進することができる。
【0030】
また、自励振動ヒートパイプは、加熱部と冷却部の温度差が大きいほど、流路内での圧力差が大きくなり、作動液の振動が促進され、伝熱が促進される。受熱板8の温度分布は、半導体素子群4の投影像に重なる部分よりも投影像に重ならない部分の方が、温度が低くなるように形成される。そこで、流路14、16の一部が、比較的温度の低い半導体素子の投影像からはみ出す構成とすることで、ヒートパイプを介して伝熱が促進され、冷却性能が向上する。
【0031】
また、第一の流路板13と第二の流路板15を仕切り板17で分けて流路14、16を積層する構成とすることで、流路板の流路をプレス加工やエッチング等にて形成することができ、加工プロセスを簡易化することができる。
【0032】
一方、冷却器7の構成部材間の接触熱抵抗を抑制するためには、各構成部材をロウ付け等で接合することが望ましい。本実施形態では仕切り板17と、ベース板12及び受熱板8との間に流路板13、15をそれぞれ配置して、これらを相互に密着接合させた状態でロウ付けする。例えばアルミ合金をロウ付けする例としては、約600℃に加熱した炉内に冷却器7の各部品およびロウ材を投入し、ロウ材としてのアルミ母材の融点まで加熱した後、炉外に取り出す。この際、仮に流路14、16の中に作動液を注入、封止した状態で炉内に投入した場合、流路内の圧力の上昇により流路が破損することが懸念される。
【0033】
そのため、ロウ付けによる接合を行う場合は、ロウ付け後に作動液を注入、封止することが必須となる。本実施形態では、受熱板8の半導体素子群4が取り付けられる設置面に作動液注入口11を設置したが、この場所に限らず、冷却器7の外面に作動液注入口11を設けることで、ロウ付け後に容易に作動液を注入、封止することができる。また、仕切り板17に設けた貫通穴18を介して、作動液注入口11を複数の流路14、16に連通させることで、複数の流路に作動液を一度に注入することができるため、製造プロセスを簡易化することができる。さらに、作動液注入口11に、配管20の着脱により開閉が切り替わるカプラ21を取り付けることで、作動液注入、封止作業を簡易化することができる。
【0034】
また、作動液注入口11を電力変換装置1の筐体内部に配置することで、バラスト等の飛来物が直接衝突することが抑制されるため、作動液の漏洩による冷却性能の悪化を防止することができる。
【0035】
特に、高速車両向けの電力変換装置では、装置容量に対する高さ方向53の向きの寸法制約が厳しく、大容量の扁平型のキャパシタ6が搭載されることから、作動液注入口11の設置スペースが限定されやすい。これに対し、受熱板8、キャパシタ6、半導体素子群4の隙間の空間に作動液注入口11を配置することで、電力変換装置1の内部の限られた空間を有効に利用でき、電力変換装置1を小型化することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、第一の流路板1枚、第二の流路板1枚、仕切り板1枚での構成を示したが、これらの積層数をさらに増やすことで、流路方向の伝熱性能をさらに向上させることができる。
【0037】
[実施形態2]
図9は、実施形態2における、冷却器7の構成部材を分解した斜視図である。本実施形態では、受熱板8に溝(矩形状凹部)19が設けられ、溝19に、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15が積層された状態で埋め込まれて、受熱板8とともにロウ付け等により周囲を接合することで内部が密閉された状態とする。このような構成においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、受熱板8に接合されるベース板12が平板状となるため、ベース板12とフィン9とを押し出し成形で一度に形成することができ、それにより製造プロセスを簡素化することができる。
【0038】
[実施形態3]
図10は、実施形態3における、冷却器7の構成部材を分解した斜視図である。また、図11は本実施形態の流路板のC矢視図、図12はD矢視図である。本実施形態では、実施形態1および2における、第一の流路板13、仕切り板17、第二の流路板15を、一体構造とした第三の流路板26を設けて、ベース板12、受熱板8の内部に配置した。第三の流路板26の片側面には、走行方向51の向きに延在するよう一筆書きで蛇行に形成された上層流路27が、もう片側面には、枕木方向52の向きに延在するよう一筆書きで蛇行に形成された下層流路28が形成される。上層流路27は上部のみが開放した溝状であり、下層流路28は下部のみが開放した溝状であり、その開放部はそれぞれ受熱板8とベース板12により閉鎖されて、蛇行流路が形成される。また、上層流路27、下層流路28において、ループ部39により一筆書き蛇行流路の両端が接続される。さらに、上層流路27、下層流路28を連通させる貫通穴18が、作動液注入口11に連通するように設置される。このような構成を持つ実施形態3においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、上層流路27及び下層流路28は、底壁を有する溝状であるため、ループ部39を設けても流路に囲われた部分が分離することはない。またループ部39を設けることで、流路内を作動液が循環する流れが形成され、伝熱性能が向上する。さらに、部品点数を削減でき、ロウ付け等による部材間の接合を簡易化することができる。
【0039】
[実施形態4]
図13は、実施形態4における、作動液注入口11の構造を示す断面図である。本実施形態では、作動液を流路内に注入した後に、作動液注入口11を圧潰により封止して圧潰部29を形成し、さらにその圧潰部29を溶接し、その外側を注入口キャップ30で覆い、樹脂31等で埋め込んだ構成である。このような構成とすることで、作動液注入口の気密信頼性をさらに向上することができる。密封性の高い注入口キャップ30を使用した場合、必ずしも樹脂の封入は必要でない。
【0040】
[実施形態5]
図14は、実施形態5における、冷却器7の構成部材を分解した斜視図である。本実施形態では、流路板の代わりに複数の多穴扁平管32が向きを各々90度変更して積層される。また、図15は、実施形態5における、多穴扁平管と端部キャップ内の流路を示す、E部断面図である。多穴扁平管32は、矩形板の内部に複数の流路33が長手方向に平行にストレートに形成されており、多穴扁平管32の両端には端部キャップ34が接合される。
【0041】
一方の端部キャップ34には、並び方向においてN番目の流路33の端部と、N+1番目の流路33の端部とを連通する連通溝35が形成され、他方の端部キャップ34には、N+1番目の流路33の端部と、N+2番目の流路33の端部とを連通する連通溝35が形成され、これによりすべての流路33を直列に連結する一筆書きの蛇行流路が形成される。また、端部キャップ34には、1番目もしくは最後の流路33の端部に接続する貫通穴18が形成され、この貫通穴18は作動液注入口11に連通する。このような構成においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0042】
[実施形態6]
図16は、実施形態6における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、走行方向から見た断面図である。本実施形態では、冷却器7のフィン9が、電力変換装置1の筐体側面に配置される。また、受熱板8の内部の流路14、16は、鉛直方向の面に沿って配置されることとなる。流路14、16は自励振動ヒートパイプであることから、設置方向による伝熱性能への影響が小さいため、このような構成においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0043】
[実施形態7]
図17は、実施形態7における、移動体としての鉄道車両に搭載された電力変換装置および冷却器の、走行方向から見た断面図である。本実施形態では、冷却器7およびフィン9は電力変換装置1の筐体内部に配置される。フィン9はダクト36の中に配置され、ダクト36には、車室内の空調用の送風機37により冷却風38が供給され、フィン9との間で熱交換を行うことにより昇温した冷却風38はダクト外に排出され、これにより外気に対して放熱を行う。また、図18は、実施形態7における、冷却器7、作動液注入口11、ダクト36の位置関係を示す、枕木方向から見た断面図である。本実施形態では、作動液注入口11は、フィン9と同じ面のダクト36の外側に配置される。
【0044】
本実施形態では、電力変換装置1の筐体内部に冷却器7が設置されることから、作動液注入口11にバラスト等の飛来物が直接衝突することが回避されるため、作動液注入口11は冷却器7のいずれの外面にも配置可能となる。本実施形態のように作動液注入口11をフィン9と同じ面に配置することで、冷却器7を製造する際に、半導体素子群4を取り付ける前の段階で、半導体素子群4が取り付けられる面を下側にして定盤等の上に載置することができるため、製造時の取り扱いが容易となり、製作性が向上する。また、作動液注入口11を電力変換装置1内のダクト36の外に配置することで、送風機37から供給される冷却風38にさらされることが無くなる。冷却風には、外部環境に含有される塩分、鉄分や、車体の洗浄時に使用される洗浄剤が含まれることが想定され、作動的注入口11がこれらにより腐食し、気密性が損なわれて作動液が漏洩し、冷却性能が悪化することを抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。例えば、本発明は鉄道車両のみならず、自動車、航空機、船舶などの移動体用の冷却装置に適用可能である。
【0046】
前記ヒートパイプ装置は、前記受熱板と前記ベース板との間に挟持された流路板を含み、前記流路板は、前記受熱板側に形成された溝状の第一の流路と、前記ベース板側に形成された溝状の第二の流路とを有し、前記第一の流路と前記第二の流路のストレート部は互いに異なる方向に延在している、と好ましい。
【0047】
前記ヒートパイプ装置の流路内に作動液を注入するための作動液注入口は、作動液の注入後に圧潰されて樹脂により封止される、と好ましい。
【0048】
前記流路は多穴扁平管により形成される、と好ましい。
【0049】
前記放熱部の少なくとも一部は、車室内を空調するための冷却風が通過するダクト内に配置されている、と好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1:電力変換装置
2:鉄道車両
3:半導体素子
4:インバータ用の半導体素子群
41:第一の半導体素子
42:第二の半導体素子
43:第三の半導体素子
5:コンバータ用の半導体素子群
6:キャパシタ
7:冷却器
8:受熱板
9:フィン
10:走行風
11:作動液注入口
12:ベース板
13:第一の流路板
14:第一の流路板の流路
15:第二の流路板
16:第二の流路板の流路
17:仕切り板
18:貫通穴
19:溝
20:配管
21:カプラ
22:真空ポンプ
23:作動液タンク
24:第一のバルブ
25:第二のバルブ
26:第三の流路板
27:上層流路
28:下層流路
29:圧潰部
30:注入口キャップ
31:樹脂
32:多穴扁平管
33:多穴扁平管の流路
34:端部キャップ
35:連通溝
36:ダクト
37:送風機
38:冷却風
51:走行方向
52:枕木方向
53:高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18