(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】配車装置、配車方法、端末機及び配車システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/47 20240101AFI20241105BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G06Q50/47
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2021107337
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】賈 舒陽
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 起幸
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115089(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039222(WO,A1)
【文献】特開2002-150491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが希望する配車条件を受け付ける受付部と、
前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得する発信力取得部と、
前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出する算出部と、
前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成する計画部と、を備える、配車装置。
【請求項2】
前記期待水準は、前記情報発信力に対して予め設定されており、データベースに格納されている、請求項1に記載の配車装置。
【請求項3】
前記情報発信力は、前記ユーザーのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用状態に基づいて算出される、請求項1又は2に記載の配車装置。
【請求項4】
前記計画部は、前記ユーザーが複数存在するときは、各ユーザーの前記情報発信力のうち最も高い情報発信力を用いて前記配車計画を生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の配車装置。
【請求項5】
前記算出部は、
前記情報発信力と前記ユーザーの信用度とから、前記ユーザーが前記配車サービスに与える影響度を算出し、
前記影響度から前記期待水準を算出する、請求項1に記載の配車装置。
【請求項6】
前記ユーザーの信用度は、前記ユーザーの属性及び信用情報のうち少なくとも一つを用いて算出される、請求項5に記載の配車装置。
【請求項7】
前記計画部は、前記ユーザーが複数存在するときは、各ユーザーの前記影響度のうち最も高い影響度を用いて前記配車計画を生成する、請求項5又は6に記載の配車装置。
【請求項8】
前記期待水準は、配車される車両の仕様及び状態と、前記ユーザーが前記車両に乗車する乗車地の設備と、前記乗車地まで前記ユーザーが移動する時間とに基づいて設定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の配車装置。
【請求項9】
前記車両の仕様及び状態に応じた前記配車サービスの水準が設定されており、前記乗車地の設備に応じた前記配車サービスの水準が設定されている、請求項8に記載の配車装置。
【請求項10】
前記計画部は、前記配車計画を生成する場合に、
前記ユーザーが前記乗車地まで移動するために必要なコストを算出し、
前記コストが所定値以上であるときは、前記乗車地に対して設定された前記配車サービスの水準を低下させる、請求項9に記載の配車装置。
【請求項11】
前記計画部は、前記配車計画において、前記ユーザーが期待する前記配車サービスの水準を満たすような前記車両と前記乗車地とが設定されている場合に、前記乗車地における前記ユーザーの待ち時間が所定時間以上であるときは、設定された前記車両を、前記配車サービスの水準がより低い車両に変更する、請求項9又は10に記載の配車装置。
【請求項12】
ユーザーの要請に基づいて配車サービスを提供するプロセッサにより実行される配車方法において、
前記プロセッサは、
ユーザーが希望する配車条件を受け付け、
前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得し、
前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出し、
前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成する、配車方法。
【請求項13】
ユーザーが希望する配車条件を含む情報を出力し、配車計画を含む配車情報を取得する制御装置と、
前記配車情報を表示する表示装置と、を備え、
前記配車計画は、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準と、前記配車条件とを満たす、端末機。
【請求項14】
制御装置及び表示装置を備える端末機と、受付部、発信力取得部、算出部及び計画部を備える配車装置とを含む配車システムにおいて、
前記制御装置は、ユーザーが希望する配車条件を含む情報を出力し、
前記受付部は、前記配車条件を受け付け、
前記発信力取得部は、前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得し、
前記算出部は、前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出し、
前記計画部は、前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成し、
前記表示装置は、前記制御装置にて取得された、前記配車計画を含む配車情報を表示する、配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車サービスを提供する配車装置及び配車方法と、端末機と、配車システムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作端末からユーザーの配車リクエストを取得し、配車リクエストを行った際のユーザーの位置と配車車両の車両位置とを取得し、ユーザーの位置に基づいて、ユーザーが配車車両と待ち合わせる地点を設定し、設定した待ち合わせ地点に到着した後、ユーザーが配車車両を待つ待機時間と、配車リクエストを行ってからユーザーが目的地に到着するまでのトータル時間とを算出し、待機時間とトータル時間とに基づいて配車車両を抽出することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、待ち合わせ地点を設定して配車車両を選択するときに、待ち合わせ地点の設備、配車車両の乗り心地といった配車サービスの品質は考慮されていなかった。そのため、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない場合が生じるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制する配車装置、配車方法、端末機、及び配車システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザーの要請に基づいて配車サービスを提供する場合に、ユーザーが希望する配車条件を受け付け、前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得し、前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出し、前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る配車システムの実施形態の一つを示すブロック図である。
【
図2】
図1の制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の配車装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】配車車両による配車サービスの水準の変化の一例を示す表である。
【
図5】乗車地による配車サービスの水準の変化の一例を示す表である。
【
図6】ユーザーの情報発信力に応じて設定された、期待される配車サービスの水準の一例を示す表である。
【
図7】ユーザーの信用度と、情報発信力と、ユーザーが配車サービスに与える影響度との関係の一例を示す表である。
【
図8】ユーザーが配車サービスに与える影響度に応じて設定された、期待される配車サービスの水準の一例を示す表である。
【
図9】乗車地と配車車両の候補から、期待された配車サービスの水準を満たす組み合わせを抽出する一例を示す説明図である。
【
図10】
図1の端末機に表示される配車情報の一例を示す平面図である。
【
図11】
図1の配車システムにおける情報処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る配車装置、配車方法、端末機及び配車システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[配車システムの構成]
図1は、本発明に係る配車システム1を示すブロック図である。配車システム1は、ユーザーに配車サービスを提供するためのシステムである。ここで、配車サービスとは、乗車地から降車地までユーザーを運ぶ車両を、ユーザーに割り当てて差し向けることをいい、たとえば、有人及び無人タクシーの配車、空港、駅、ホテル、式場、催事場、保育園、学校、老人ホームなどの送迎サービスに用いる車両の配車、及びレンタカーやライドシェアのサービスに用いる車両の配車が挙げられる。また、ユーザーは、配車サービスに対する対価を適切に支払うことができる限り特に限定されず、成年であっても、未成年であってもよい。
図1に示すように、配車システム1は、端末機11と、配車車両12と、配車サーバー13と、ネットワークNWとを備える。端末機11と、配車車両12とは、配車サーバー13と、ネットワークNWを介して互いに情報を授受することができる。
【0011】
ネットワークNWとは、インターネットやLAN(local area network)などの電気通信回線網のことをいい、端末機11、配車車両12及、及び配車サーバー13の間で情報を授受することができれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、通信方式は有線であっても無線であってもよく、4G/LTE、5Gといったモバイル通信を利用するものであってもよい。以下、配車システム1を構成する各装置について説明する。
【0012】
端末機11は、配車システム1の提供する配車サービスを利用するユーザーによって操作される装置であり、たとえば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の装置である。また、端末機11は、スマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブル端末であってもよい。端末機11は、検出装置111と、表示装置112と、入力装置113と、通信装置114と、制御装置115とを備える。端末機11に含まれる装置は、有線又は無線LANなどによって接続され、互いに情報を授受することができる。
【0013】
検出装置111は、ユーザーの状態及びユーザーの周囲の状態を検出するための装置であり、たとえば、ユーザーの位置情報を検出するためのGPS(Global Positioning System)ユニット、ジャイロセンサ、オドメトリなどを含む測位システムである。ユーザーの位置情報には、緯度及び経度の情報、ユーザーの周囲の道路情報などが含まれる。測位システム以外にも、検出装置111としては、温度センサー、湿度センサー、振動センサー、加速度センサー、マイクロフォンなどが挙げられる。
【0014】
表示装置112は、情報を表示し、ユーザーに情報を提供するための装置であり、液晶ディスプレイ、プロジェクターなどが挙げられる。表示装置112の形状、位置及び大きさは、ユーザーが適切に情報を取得できる範囲内で、適宜に設定することができる。入力装置113は、ユーザーが端末機11に操作を入力するための装置であり、たとえば、ユーザーの指触又はスタイラスペンによる入力を受け付けるタッチパネルである。これに加えて、入力装置113は、ジョイスティック、ユーザーの音声による入力が可能なマイクロフォンなどを含む。また、入力装置113であるタッチパネルは、表示装置112である液晶ディスプレイ上に設けられていてもよい。
【0015】
通信装置114は、有線LAN規格、無線LAN規格などの各種通信規格に対応する通信インターフェースである。通信装置114は、端末機11とネットワークNWとの間で情報を授受するための装置であり、インターネットなどのネットワークを介して他の機器との通信が可能な装置であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。なお、
図1に示す通信装置114は一つであるが、通信装置114の数は特に限定されず、複数個の通信装置114を用いてもよい。複数個の通信装置114を用いる場合は、端末機11に含まれる各機器と通信装置114との接続関係は特に限定されない。
【0016】
制御装置115は、端末機11に含まれる装置を制御して協働させることで、配車サービスを利用するユーザーに必要な情報を表示して、さらに、ユーザーの状態及び要求を配車サーバー13に出力させるための装置である。
図2に示すように、制御装置115は、これらの機能を実現するためのプロセッサ116を備える。プロセッサ116には、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)118と、ROM118に格納されたプログラムを実行することで、制御装置115として機能するための動作回路であるCPU(Central Processing Unit)117と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)119とが備えられている。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0017】
制御装置115で用いるプログラムは、たとえば、配車システム1の提供する配車サービスを利用するためのアプリケーションであり、制御装置115による情報の表示と、ユーザーの状態及び要求の出力とを実現するための機能ブロックである端末制御部2を含む。端末制御部2は、配車サービスを利用するユーザーの配車の要求を受け付け、ユーザーに必要な情報を提供する機能を有する。
図2に示すように、端末制御部2は、検出部21と、表示部22と、指示取得部23と、要求出力部24と、情報取得部25とを備える。
図2には、各部を便宜的に抽出して示す。以下、ユーザーが当該アプリケーションを利用して配車サービスを利用する場合に、制御装置115の各機能ブロックが果たす機能について説明する。
【0018】
検出部21は、ユーザーの状態及びユーザーの周囲の状態を取得する機能を有する。制御装置115は、検出部21の機能により検出装置111の検出結果を取得し、ユーザーの状態及びユーザーの周囲の状態を把握することができる。たとえば、配車サービスを利用する際に、ユーザーの近くに位置し、ユーザーが徒歩で移動することができる乗車地を検索するために、
図1に示す配車サーバー13の配車装置132が、ユーザーの現在位置の情報を要求することがある。この場合には、制御装置115は、GPSユニットなどの測位システムから、端末機11の現在位置の情報を、端末機11を所持するユーザーの現在位置の情報として取得する。また別の例として、配車装置132は、ユーザーが許容できる待ち時間を変更するために、温度と湿度の情報を要求することもある。ユーザーの周囲が適温で、湿度が低い場合は、ユーザーは配車車両12を比較的長い時間待つことができるが、ユーザーの周囲の温度が高温(たとえば25℃以上)又は低温(たとえば5℃以下)である場合は、ユーザーはあまり長い時間、配車車両12を待つことができないと推測されるからである。制御装置115は、配車装置132の要求に応じて、温度センサーと湿度センサーから温度と湿度の情報を取得する。
【0019】
表示部22は、表示装置112に情報を表示させる機能を有する。表示装置112に表示させる情報としては、降車地を検索するための地図情報、降車地の位置情報、想定される利用料金、希望する車種情報、配車の要請を確定又はキャンセルさせるためのアイコンなど、ユーザーが配車を要請するために必要なアプリケーションの情報が挙げられる。また、表示装置112に表示させる情報には、通信装置114から取得した配車計画の情報が含まれる。配車計画の情報については後述する。
【0020】
指示取得部23は、入力装置113から入力されたユーザーの指示を取得する機能を有する。制御装置115は、指示取得部23の機能により、配車サービスを利用したいユーザーにより入力されたアプリケーションへの操作を取得し、取得した操作を実行するために各装置を制御する。たとえば、ユーザーが、マイクロフォンを介して、アプリケーションを起動する指示を音声で入力した場合には、制御装置115は、音声にて入力された指示を取得し、アプリケーションを起動させる。また別の例として、ユーザーが、タッチパネルに指触し、配車の要請を確定させるアイコンにタッチした場合は、制御装置115は、入力装置113からユーザーの配車要請を取得し、要求出力部24に出力する。
【0021】
要求出力部24は、ユーザーが希望する配車条件を含む情報を、
図1の通信装置114から配車装置132に出力する機能を有する。配車条件とは、乗車地から降車地までユーザーを運ぶ際の制約条件のことをいい、ユーザーの降車地の指定、ユーザーを含めた乗車人数、配車車両の希望車種、他のユーザーが相乗りすることへの許可の有無などの情報が含まれる。また、制御装置115は、検出装置111から取得したユーザーの現在位置の情報を通信装置114に出力する。これらに加えて、制御装置115は、ユーザーの嗜好、年齢、性別、職種、身体的特徴、配車要請の前後のユーザーの予定などの情報を取得し、通信装置114に出力してもよい。たとえば、端末機11が、ユーザーが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)である場合には、配車サービスのアプリケーションが、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)やその他のクラウドサービスなどと連携することにより、これらの属性情報を取得することができる。
【0022】
情報取得部25は、配車装置132から、配車計画を含む配車情報を取得する機能を有する。配車計画とは、乗車地から降車地までユーザーを運ぶための計画のことをいい、乗車地と降車地の位置情報、乗車地で配車車両を待つ待ち時間、乗車地までの移動時間、配車車両の車種、乗車地から降車地までの走行経路、降車地への到着予定時刻、相乗りする他のユーザーの有無、相乗りするユーザーの乗車地及び乗車予定時刻、相乗りするユーザーの降車地及び降車予定時刻、配車サービスの料金などの情報が含まれる。また、配車計画に加えて、配車情報には、ユーザーの現在位置から乗車地までの移動経路、乗車地及び降車地周辺の地図情報、乗車地及び降車地付近の天気、乗車地及び降車地周辺の施設案内、降車地周辺の施設の広告、イベントに伴う、乗車地及び降車地周辺の交通規制の有無などの情報が含まれていてもよい。
【0023】
図1に戻り、配車車両12は、配車システム1の提供する配車サービスに用いる車両であり、ユーザーが指定する降車地までの移動手段を提供する。配車車両12は、ユーザーが乗車することができる自動車であれば特に限定されず、たとえば、軽自動車、小型自動車(コンパクトカー)、普通自動車などの乗用車、有人又は無人のタクシー、バス、トラックなどを挙げることができる。また、車種も特に限定されず、セダン、ステーションワゴン、クーペ、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、ミニバン、ワンボックスカー、リムジン、トールワゴン、オープンカーなどが挙げられる。また、配車車両12は、自動運転車であってもよい。
【0024】
配車車両12は、測位システムと、車載制御装置と、車載通信装置とを備え、これらは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、互いに情報を授受することができる。測位システムは、GPS(Global Positioning System)ユニット、ジャイロセンサ、オドメトリなどを含む。車載通信装置は、4G/LTEモバイル通信機能を備えた車載機器、wifi通信機能を備えた車載デバイスなどである。また、車載制御装置は、配車車両12を構成する装置を協働させ制御するための装置であり、制御装置115と同様に、CPUと、ROMと、RAMとを備えるプロセッサを有する。車載制御装置は、配車装置132の要求により、測位システムから配車車両12の現在位置の情報を取得し、車載通信装置からネットワークNWへ出力する。
【0025】
配車サーバー13は、配車サービスにおいて、乗車地から降車地までユーザーを運ぶ車両を、ユーザーに割り当てて差し向けるための装置である。配車サーバー13は、たとえば、配車サービスを提供する者によって運営されるサーバーであるが、配車サービスを提供する者以外の者が運営するサーバーであってもよい。この場合、配車サービスを提供する者は、サーバーを運営する者からサーバーの一部の領域をレンタルする。配車サーバー13は、通信装置131と、配車装置132と、データベースDBとを備える。配車サーバー13に含まれる装置は、有線又は無線LANなどによって接続され、互いに情報を授受することができる。
【0026】
通信装置131は、有線LAN規格、無線LAN規格などの各種通信規格に対応する通信インターフェースである。通信装置131は、配車サーバー13とネットワークNWとの間で情報を授受するための装置であり、インターネットなどのネットワークを介して他の機器との通信が可能な装置であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。なお、
図1に示す通信装置131は一つであるが、通信装置131の数は特に限定されず、複数個の通信装置131を用いてもよい。
【0027】
配車装置132は、ユーザーが希望する配車条件に基づいて、ユーザーに配車車両を割り当てて差し向けるためのための装置である。
図3に示すように、配車装置132は、これらの機能を実現するためのプロセッサ133を備える。プロセッサ133には、プログラムが格納されたROM135と、ROM135に格納されたプログラムを実行することで、配車装置132として機能するための動作回路であるCPU134と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM136とが備えられている。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0028】
配車装置132で用いるプログラムは、たとえば、配車条件に応じて配車車両をユーザーに割り当てるためのプログラムであり、配車条件に応じた配車車両の割り当てを実現するための機能ブロックである配車制御部3を含む。配車制御部3は、ユーザーの配車条件と、ユーザーが期待する配車サービスの水準とを満たす配車計画を生成する機能を有する。
図3に示すように、配車制御部3は、受付部31と、発信力取得部32と、算出部33と、計画部34と、情報出力部35とを備える。
図3には、各部を便宜的に抽出して示す。以下、ユーザーがアプリケーションを介して配車を要請した場合に、配車装置132の各機能ブロックが果たす機能について説明する。
【0029】
受付部31は、ユーザーが希望する配車条件を受け付ける機能を有する。具体的には、配車装置132は、要求出力部24(
図2)の機能により通信装置114(
図1)から出力された配車条件を、
図1のネットワークNWと通信装置131とを介して取得する。配車条件には、上述のとおり、ユーザーの降車地の指定、ユーザーを含めた乗車人数、配車車両の希望車種、他のユーザーが相乗りすることへの許可の有無などの情報が含まれる。
【0030】
発信力取得部32は、ユーザーの情報発信力を取得する機能を有する。ユーザーの情報発信力とは、配車サービスを利用するユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に、配車サービスに与える影響を示す指標のことをいう。配車サービスに関する情報とは、配車サービスを利用したときに提供されたサービスの品質の情報、配車サービスに利用するアプリケーションの情報、配車された配車車両の情報、相乗りしたユーザーの情報などである。たとえば、配車を要請した時に通知されていた待ち時間よりも長い時間、乗車地で待たされ不満だった、配車サービスに利用するアプリケーションのインターフェースが使いにくい、配車された配車車両が新型のミニバンであり、車内も清潔であった、相乗りしたユーザーが久しく会っていない友人であり、車内で会話が弾んだなどの、配車サービスに対する満足度を示す情報である。
【0031】
配車サービスに関する情報を発信するとは、上述した配車サービスに対する満足度を示す情報を対外的に発信することをいう。例として、配車サービスを利用した感想をSNSに投稿すること、配車サービスを利用したときの状況を録画した動画を、動画共有サイトにアップロードすること、友人に配車サービスを利用したときの出来事を話すことなどが挙げられる。
【0032】
配車サービスに与える影響とは、ユーザーが配車サービスに関する情報を対外的に発信したときに、配車サービスに対する評価の変化のことをいう。たとえば、配車を要請した時に通知されていた待ち時間よりも長い時間、乗車地で待たされ不満だったことをSNSに投稿した場合には、SNSに投稿された内容を見た人は、SNSに投稿した人が利用した配車サービスは品質が悪いものだと認識して、配車サービスに対する評価が下がることになる。また、配車された配車車両が旧型の軽自動車で、車内が清掃されていなく汚かったことを友人に話した場合には、話を聞いた友人は、ユーザーが利用した配車サービスは品質が悪いものだと認識して、配車サービスに対する評価が下がることになる。これに対して、配車サービスを利用したときに大型セダンが配車され、車内が清潔であったことを録画し、動画として動画共有サイトにアップロードした場合には、アップロードされた動画を見た人は、動画をアップロードした人が利用した配車サービスは品質が良いものだと認識して、配車サービスに対する評価が上がることになる。
【0033】
情報発信力は、たとえば、ユーザーのSNSの利用状態に基づいて算出される。SNSの種類は特に限定されず、たとえば、Twitter(登録商標)、Facebook(登録商標)、LINE(登録商標)、Instagram(登録商標)、TikTok(登録商標)、WhatsApp(登録商標)、LinkedIn(登録商標)、Mastodon、Clubhouse(登録商標)が挙げられる。またこれらに加えて、アメーバブログなどのオンラインブログ、YouTube(登録商標)、Flickr(登録商標)、ニコニコ動画(登録商標)などの動画共有サイトなどもSNSに類するものとして、情報発信力の算出に用いることができる。
【0034】
情報発信力の算出の一例として、ユーザーが、これらのSNSで発信しない、又は発信したとしても特定少数への発信に留まる場合には、当該ユーザーを情報発信力「なし」に分類する。また、ユーザーが、これらのSNSで発信する場合には、当該ユーザーを情報発信力「低」に分類する。そして、ユーザーが、これらのSNSで所定の数以上の人に対して発信を行う場合には、当該ユーザーを情報発信力「高」に分類する。所定の数以上の人とは、たとえば、Twitter及びInstagramのフォロワー数であれば5000~10000人以上であり、YouTube及びTikTokの動画再生数であれば5~10万回以上であり、Facebook及びLINEの友達の数であれば5000~10000人以上である。
【0035】
またこれに代えて、ユーザーが一月あたりにテレビに出演している時間、ユーザーが一月あたりに新聞又は雑誌に寄稿した回数、ユーザーが執筆した書籍の発行部数などに基づいて情報発信力を算出する。これにより、学者、スポーツ選手、俳優、作家などの、SNSなどのサービスは利用していないが、高い情報発信力を持つ人の情報発信力を適切に算出することができる。
【0036】
配車装置132は、上述したような、ユーザーの情報発信力の算出に用いる情報を、発信力取得部32の機能により端末機11から取得する。たとえば、配車装置132は、
図1の通信装置131と、ネットワークNWと、通信装置114とを介して、制御装置115からユーザーのSNSの利用状態の情報を取得する。端末機11で用いる、配車サービスのアプリケーションが他のSNSのアプリケーションと連動している場合には、ユーザーの利用するSNSのフォロワー数、ユーザーがサイトに投稿した動画の再生数などの情報を取得できる。又はこれに代えて、又はこれに加えて、ユーザーのSNSの利用状態を予め取得しておき、データベースDBに格納しておき、必要に応じて取得する。
【0037】
図3に戻り、算出部33は、情報発信力から期待水準を算出する機能を有する。期待水準とは、ユーザーが期待する配車サービスの水準のことをいい、配車サービスの水準とは、配車サービスにおいて提供されるサービスの品質の程度のことをいう。期待水準は、たとえば、配車される配車車両12の仕様及び状態と、ユーザーが配車車両に乗車する乗車地の設備と、乗車地まで前記ユーザーが移動する時間とのうち、少なくとも一つに基づいて設定される。
【0038】
配車車両12の仕様とは、配車車両12の車格のことであり、たとえば、車両が軽自動車、コンパクトカー、及び大型セダンのいずれであるかに応じて、予め配車サービスの水準が設定されている。また、配車車両12の状態とは、たとえば、配車車両12のメンテナンスの状態のことをいい、配車が適切に走行できるようにバッテリーなどの部品が点検されているか、配車の車内が清掃され清潔に保たれているか、配車に十分な量の燃料が搭載されているかなどの基準に応じて、配車サービスの水準が設定されている。ここで、配車の仕様は変化しないが、車両の状態は、時間経過とともに、又は配車サービスに利用された回数とともに変化する。つまり、時間が経過するほど、又は配車サービスに利用されるほど、車両の状態は低い水準になる。
【0039】
車両の仕様及び状態に応じた配車サービスの水準は、たとえば
図4に示すように設定される。
図4は、車両の仕様及び状態による配車サービスの水準の変化を示す表であり、左欄は車両の状態として、最も良い状態である「清掃直後」と、それに次ぐ「清掃後1~3回配車」と、配車サービスの基準となる状態である「清掃後4回以上配車」とが記載されている。上欄には、車格(車種)として、配車サービスの基準となる車格である「軽自動車」と、それよりも大きい「コンパクトカー」と、最も大きい車格である「大型セダン」とが記載されている。
図4の表に示すように、たとえば、清掃直後の軽自動車であれば、配車サービスの水準は「2」と設定されており、清掃後4回以上配車したコンパクトカーであれば、配車サービスの水準は「1」と設定されている。これらの対応関係は、
図2のデータベースDBに格納されており、必要に応じて取得することができる。
【0040】
乗車地の設備とは、乗車地が屋外である場合は、乗車地ということが分かる目印となるボード、ユーザーが座ることができるベンチ、降雨時に濡れないための屋根などのことをいう。乗車地が屋内である場合は、乗車地として設定された部屋の設備のことであり、たとえば、乗車地である部屋に備えられた空調設備、椅子、自動販売機、ウォーターサーバーなどが挙げられる。また、乗車地の設備に加えて、乗車地までの移動時間も配車サービスの水準に影響する。乗車地までの移動時間は、短いほど好ましく、所定時間(たとえば10分)を超える場合は、乗車地には含めないものとする。
【0041】
乗車地の施設に応じた前記配車サービスの水準は、たとえば
図5に示すように設定されている。
図5は、乗車地の設備による配車サービスの水準の変化を示す表であり、左欄は乗車地までの移動時間として、0~2分の「小」と、2~5分の「中」と、配車サービスの基準となる待ち時間である「5~10分」とが記載されている。上欄には、乗車地の設備として、配車サービスの基準となる車格である「目印のみ」と、「屋根とベンチ」と、最も良い設備である「空調設備のある待合室」とが記載されている。
図5の表に示すように、たとえば、1分で到着する目印のみの乗車地であれば、配車サービスの水準は「2」と設定されており、4分で到着する、空調設備のある待合室が乗車地であれば、配車サービスの水準は「3」と設定されている。これらの対応関係は、
図2のデータベースDBに格納されており、必要に応じて取得することができる。
【0042】
期待水準は、情報発信力を取得するたびに算出するか、情報発信力に対して予め設定されている。情報発信力に対して予め設定されている場合は、
図1のデータベースDBに格納されており、必要に応じて取得することができる。期待水準は、たとえば
図6に示すように設定することができる。
図6の例では、情報発信力が「なし」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が、配車サービスの基準である0~2に設定され、情報発信力が「低」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が3~4に設定され、情報発信力が「高」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が5以上に設定される。
【0043】
また、期待水準は、情報発信力とユーザーの信用度とから算出された影響度からを算出してもよい。影響度とは、ユーザーが配車サービスに与える影響の指標のことをいい、情報発信力という外的なユーザーの属性に、ユーザーの信用度という内的なユーザーの属性を加味して算出された指標である。ユーザーの信用度と、期待する配車サービスの水準との間には正の相関関係があり、情報発信力のみで期待水準を算出すると、情報発信力はないが、期待する配車サービスの水準が高いユーザーに対して、期待を下回るサービスを提供するおそれがある。このような事態の発生を抑制するために、情報発信力に代えて影響度を用いる。
【0044】
ユーザーの信用度は、前記ユーザーの属性及び信用情報のうち少なくとも一つを用いて算出される。ユーザーの属性としては、たとえば、年収、職業、年齢、職位などが挙げられる。年収や年齢については、配車サービスを利用するユーザー全員に対する相対値で評価してもよいし、絶対値のバンドごとに区切って評価してもよい。たとえば、ユーザー全員の平均年収に対するユーザーの年収の割合、ユーザーの年齢が20代であるなどで評価する。職業及び職位については、マーケティングに関係する職業のユーザーや、管理職で人事権を持つユーザーの信用度が高くなる。例として、年収が100~300万円のユーザーについては、ユーザーの信用度が「低」と算出され、年齢が40代のユーザーについては、ユーザーの信用度が「中」と算出され、上場企業の取締役であるユーザーについては、ユーザーの信用度が「高」と算出される。これらの情報は、プライバシーに関するため、ユーザーに情報の使用許可を取ったアンケートなどから得た情報を用いる。
【0045】
ユーザーの信用情報とは、ユーザーが、予定された行動を完遂する割合を示す指標であり、たとえば、データベースDBに蓄積されたユーザーの行動履歴などから推定される。予定された行動とは、他のユーザーが当該ユーザーに実行を期待する行動であり、このような行動を当該ユーザーが完遂しない場合には、他のユーザーに悪い影響を及ぼすことになる。たとえば、クレジットカードの支払期日までに請求された金額を適切に支払い、これまで一度も支払いが遅れたことがないユーザーについては、これまでの支払い履歴が信用情報となり、ユーザーの信用度は「高」と算出される。また別の例として、配車システム1の提供する配車サービスの利用料金の支払いが遅れがちなユーザーについては、これまでの利用料金の支払い履歴が信用情報となり、ユーザーの信用度は「中」と算出される。さらに別の例として、配車を要請したにもかかわらず、指定された乗車地に現れないことが多いユーザー、予め設定された降車地に到着する前に、勝手に配車車両12から降りてしまうことが多いユーザーなど、他のユーザーと頻繁に問題を起こすユーザーについては、これまでの配車サービスの利用状態、及び他のユーザーの評価などが信用情報となり、ユーザーの信用度は「低」と算出される。
【0046】
影響度は、たとえば
図7に示すよう、ユーザーの信用度と、情報発信力とに応じて設定することができる。
図7は、左欄にユーザーの信用度が記載され、上欄には情報発信力が記載されている。
図7の表に示すように、たとえば、ユーザー信用度が「高」で、情報発信力が「なし」のユーザーの影響度は「中」と設定されており、ユーザー信用度が「低」で、情報発信力が「高」のユーザーの影響度は「中」と設定されている。このように、情報発信力という外的なユーザーの属性に、ユーザーの信用度という内的なユーザーの属性を加味することができる。これらの対応関係は、
図2のデータベースDBに格納されており、必要に応じて取得することができる。
【0047】
影響度に対して、期待水準が予め設定されている場合は、
図1のデータベースDBに格納されており、必要に応じて取得することができる。この場合、期待水準は、たとえば
図8に示すように設定することができる。
図8の例では、影響度が「小」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が、配車サービスの基準である0~2に設定され、影響度が「中」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が3~4に設定され、影響度が「大」と分類されたユーザーは、期待される配車サービスの水準が5以上に設定される。
【0048】
図3に戻り、計画部34は、配車条件と、期待水準とを満たす配車計画を生成する機能を有する。制御装置115は、計画部34の機能により、配車条件を満たす乗車地と、降車地と、配車車両12とを抽出し、その中で期待水準を満たす組み合わせを抽出する。具体的には、配車サービス全体のサービスの水準は、たとえば
図4の配車サービスの水準の値と、
図5の配車サービスの水準の値との和として求めることができるので、当該和が、
図6又は8に示す期待水準の値に適合するような組み合わせを選択することになる。また、計画部34は、ユーザーが複数存在するときは、各ユーザーの情報発信力のうち最も高い情報発信力、又は各ユーザーの前記影響度のうち最も高い影響度を用いて配車計画を生成する。以下、
図9を用いて配車計画の生成を説明する。
【0049】
図9は、移動時間を示す横軸と、乗車地における待ち時間を示す縦軸とからなるグラフであり、原点がユーザーの現在位置に対応する。グラフにおいてハッチングを付した三角形の部分が、ユーザーの許容できる待ち時間及び移動時間の範囲を示し、当該範囲のことをユーザーの待ち時間特性ともいう。
図9に示す待ち時間特性では、ユーザーが許容する移動時間の最大値が、ユーザーが許容する待ち時間の最大値よりも大きいが、待ち時間特性は、ユーザーの属性により変化する。たとえば、子供や高齢者、徒歩による移動が不自由なユーザーでは、ユーザーが許容する移動時間の最大値が小さくなり、ユーザーが許容する待ち時間の最大値が大きくなる。これに対して、徒歩による移動に支障がない、若年及び中年のユーザーでは、ユーザーが許容する移動時間の最大値が大きくなり、ユーザーが許容する待ち時間の最大値が小さくなる。計画部34の機能により作成された配車計画では、乗車地と配車車両との組み合わせが、待ち時間特性として示させる範囲内に含まれている。
【0050】
配車装置132は、まず、ユーザーの配車要請により、ユーザーの現在位置の周辺に存在する乗車地の候補をデータベースDBから抽出する。
図9に示す場合では、屋根とベンチを備える乗車地Aと、目印のみが設置されている乗車地Bとが抽出されたものとする。次に、配車装置132は、乗車地ごとに、配車可能な配車車両12の情報を取得する。この際、配車装置132は、計画部34の機能により、ネットワークNWを介して、配車車両12の走行位置の情報を取得する。そして、乗車地から所定距離(たとえば5km以内)の範囲内を走行する配車車両12を抽出し、乗車地ごとの配車可能な配車車両12とする。このときに、配車車両12ごとのメンテナンスの状態を、配車車両12の車載制御装置又はデータベースDBから取得してもよい。
図9の場合では、乗車地A及びBに対して、車両V1~V3が配車可能な配車車両12として抽出されたものとする。車両V1は大型セダンであり、車両V2は旧型のコンパクトカーであり、車両V3は軽自動車である。
【0051】
図9に示すように、抽出された乗車地と配車車両12との組み合わせの中で、ユーザーの待ち時間特性を満たしつつ最も待ち時間が短くなるのは、乗車地Bで車両V3に乗車する場合である。この組み合わせにおける配車サービスの水準は、軽自動車が清掃直後であり、乗車地Bまで8分で到達するとすると、
図4及び5に示す配車サービスの水準の値から、2+0=2となる。もしユーザーの期待水準が5以上であったとすると、乗車地Bと車両V3との組み合わせは、期待水準を満たさないことになる。そこで、配車装置132は、当該ユーザーの期待水準を満たす組み合わせを抽出する。乗車地Aまで2分で移動できるとすれば、車両V1の状態にかかわらず配車サービスの水準は5以上になるため、配車装置132は、待ち時間が最短ではない、乗車地Aにて車両V1に乗車する配車計画を生成する。
【0052】
図3に戻り、計画部34は、配車計画を生成する場合に、ユーザーが乗車地まで移動するために必要なコストを算出し、コストが所定値以上であるときは、乗車地に対して設定された前記配車サービスの水準を低下させてもよい。乗車地まで移動するために必要なコストとは、たとえばユーザーが徒歩で移動する時間であるが、これに加えて、ユーザーが道路を横断する回数、歩道のない道路を移動する距離などを加えてコストを算出してもよい。これにより、期待水準を満たすために、徒歩による移動が不自由なユーザーが長い距離を移動するような事態の発生を抑制することができる。
【0053】
また、計画部34は、配車計画において、ユーザーが期待する配車サービスの水準を満たすような車両と乗車地とが設定されている場合に、乗車地におけるユーザーの待ち時間が所定時間以上であるときは、設定された車両を、配車サービスの水準がより低い車両に変更してもよい。これにより、期待水準を満たすために、ユーザーが長い時間乗車地で、サービス水準の高い配車車両12を待つような事態の発生を抑制することができる。
【0054】
情報出力部35は、生成された配車計画を含む配車情報を、制御装置115に出力する機能を有する。配車装置132は、
図1の通信装置131と、ネットワークNWと、通信装置114とを介して、制御装置115に配車情報を出力する。端末機11の表示装置112に表示される配車情報の一例を
図10に示す。
図10は、端末機11の平面図であり、長方形の表示装置112と、丸型の入力装置113とを備える。表示装置112の中央部分には、ユーザーの現在地を示す人型のアイコンAが表示されている。アイコンAの左側には、乗車地Xまで移動するための移動経路Bが表示され、アイコンAの右側には、乗車地Yまで移動するための移動経路Cが表示されている。乗車地X及びYには、それぞれ、乗車地までの移動時間と、乗車地で配車車両12を待つ待ち時間とが表示されている。また、各乗車地の設備と、配車車両12の車種と清掃状態の情報が表示されている。ユーザーは乗車地X又はYのいずれかを選択し、配車の要請を確定する場合には、アイコンDにタッチする。これに対して、乗車地X及びYへの配車を望まない場合は、アイコンEにタッチして、配車の要請をキャンセルする。
【0055】
[配車システムにおける処理]
図11を参照して、配車装置132が情報を処理する際の手順を説明する。
図11は、本実施形態の配車システム1における情報の処理を示すフローチャートの一例である。フローチャートの左側のルーチンは、端末機11にて実行されるステップを示し、中央のルーチンは、配車サーバー13にて実行されるステップを示し、右側のルーチンは、配車車両12にて実行されるステップを示す。以下に説明する処理は、端末機11の制御装置115、配車サーバー13のプロセッサ133、及び配車車両の車載制御装置において、ユーザーが配車を要求したときに実行される。
【0056】
まず、ステップS1にて、制御装置115は、要求出力部24の機能により、入力装置113から入力されたユーザーの配車要請を取得する。続くステップS2にて、検出部21の機能により、検出装置111からユーザーの現在位置の情報を取得し、要求出力部24の機能により、位置情報と共に配車の要請を通信装置114からネットワークNWに出力する。
【0057】
ステップS3にて、配車装置132は、受付部31の機能により、ネットワークNWと通信装置131とを介して、ユーザーの現在位置の情報をと配車の要請とを取得する。続くステップS4にて、計画部34の機能により、ユーザーの現在位置と、ユーザーの待ち時間特性とを考慮して、データベースDBから乗車地の候補を取得する。続くステップS5にて、配車装置132は、配車車両12に車両の情報を要求する。ステップS6にて、配車車両12の車載制御装置は、配車装置132に車両の情報を出力する。当該車両の情報には、車両の走行位置の情報に加えて、車両のメンテナンスの状態、車両の清掃状態などの情報が含まれていてもよい。ステップS7にて、配車装置132は、配車車両12の情報を取得する。
【0058】
続くステップS8にて、配車装置132は、計画部34の機能により、乗車地と配車車両の組み合わせの候補を算出する。続くステップS9にて、配車装置132は、ユーザーの待ち時間特性を満たす乗車地と配車車両の組み合わせを抽出する。続くステップS10にて、配車装置132は、発信力取得部32の機能により、データベースDBからユーザーの情報発信力を取得する。続くステップS11にて、配車装置132は、算出部33の機能により、ユーザーの配車サービスに対する影響度を算出する。続くステップS12にて、配車装置132は、計画部34の機能により、期待水準を満たす乗車地と配車車両の組み合わせを抽出する。
【0059】
ステップS13にて、配車装置132は、情報出力部35の機能により、配車計画を含む配車情報を制御装置115に出力する。ステップS14にて、制御装置115は、通信装置131と、ネットワークNWと、通信装置114とを介して、配車情報を取得する。そして、表示部22の機能により、端末機11の表示装置112に配車情報を表示する。その後、ルーチンの実行を停止し、配車システム1の処理を終了する。
【0060】
[本発明の実施態様]
以上のとおり、本実施形態の配車装置によれば、ユーザーが希望する配車条件を受け付ける受付部31と、前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得する発信力取得部32と、前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出する算出部33と、前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成する計画部34と、を備える、配車装置が提供される。これにより、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記期待水準は、前記情報発信力に対して予め設定されており、データベースDBに格納されている。これにより、期待水準を都度算出する必要がなくなる。
【0062】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記情報発信力は、前記ユーザーのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用状態に基づいて算出される。これにより、情報発信力をより的確に算出できる。
【0063】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記計画部34は、前記ユーザーが複数存在するときは、各ユーザーの前記情報発信力のうち最も高い情報発信力を用いて前記配車計画を生成する。これにより、これにより、乗車するユーザー全員の期待水準を満たすことができる。
【0064】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記算出部33は、前記情報発信力と前記ユーザーの信用度とから、前記ユーザーが前記配車サービスに与える影響度を算出し、前記影響度から前記期待水準を算出する。これにより、情報発信力という外的なユーザーの属性に、ユーザーの信用度という内的なユーザーの属性を加味することができる。
【0065】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記ユーザーの信用度は、前記ユーザーの属性及び信用情報のうち少なくとも一つを用いて算出される。これにより、情報発信力という外的なユーザーの属性に、ユーザーの信用度という内的なユーザーの属性をより加味することができる。
【0066】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記計画部34は、前記ユーザーが複数存在するときは、各ユーザーの前記影響度のうち最も高い影響度を用いて前記配車計画を生成する。これにより、乗車するユーザー全員の期待水準を満たすことができる。
【0067】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記期待水準は、配車される車両の仕様及び状態と、前記ユーザーが前記車両に乗車する乗車地の設備と、前記乗車地まで前記ユーザーが移動する時間とに基づいて設定される。これにより、配車サービスの水準をより的確に制御できる。
【0068】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記車両の仕様及び状態に応じた前記配車サービスの水準が設定されており、前記乗車地の設備に応じた前記配車サービスの水準が設定されている。これにより、配車サービスの水準を都度算出する必要がなくなる。
【0069】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記計画部34は、前記配車計画を生成する場合に、前記ユーザーが前記乗車地まで移動するために必要なコストを算出し、前記コストが所定値以上であるときは、前記乗車地に対して設定された前記配車サービスの水準を低下させる。これにより、期待水準を満たすために、徒歩による移動が不自由なユーザーが長い距離を移動するような事態の発生を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態の配車装置によれば、前記計画部は、前記配車計画において、前記ユーザーが期待する前記配車サービスの水準を満たすような前記車両と前記乗車地とが設定されている場合に、前記乗車地における前記ユーザーの待ち時間が所定時間以上であるときは、設定された前記車両を、前記配車サービスの水準がより低い車両に変更する。これにより、期待水準を満たすために、ユーザーが長い時間乗車地で、サービス水準の高い配車車両12を待つような事態の発生を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態の配車方法によれば、ユーザーの要請に基づいて配車サービスを提供するプロセッサ133により実行される配車方法において、前記プロセッサ133は、ユーザーが希望する配車条件を受け付け、前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得し、前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出し、前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成する、配車方法が提供される。これにより、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態の端末機によれば、ユーザーが希望する配車条件を含む情報を出力し、配車計画を含む配車情報を取得する制御装置115と、前記配車情報を表示する表示装置112と、を備え、前記配車計画は、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準と、前記配車条件とを満たす、端末機11が提供される。これにより、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の配車システムによれば、制御装置115及び表示装置112を備える端末機11と、受付部31、発信力取得部32、算出部33及び計画部34を備える配車装置132とを含む配車システム1において、前記制御装置115は、ユーザーが希望する配車条件を含む情報を出力し、前記受付部31は、前記配車条件を受け付け、前記発信力取得部32は、前記ユーザーが、配車サービスに関する情報を発信した場合に前記配車サービスに与える影響を示す情報発信力を取得し、前記算出部33は、前記情報発信力から、前記ユーザーが期待する配車サービスの水準を示す期待水準を算出し、前記計画部34は、前記配車条件と、前記期待水準とを満たす配車計画を生成し、前記表示装置112は、前記制御装置115にて取得された、前記配車計画を含む配車情報を表示する、配車システム1が提供される。これにより、ユーザーが配車サービスに期待する品質が満たされない事態の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…配車システム
11…端末機
111…検出装置
112…表示装置
113…入力装置
114…通信装置
115…制御装置
116…プロセッサ
117…CPU
118…ROM
119…RAM
2…端末制御部
21…検出部
22…表示部
23…指示取得部
24…要求出力部
25…情報取得部
12…配車車両
13…配車サーバー
131…通信装置
132…配車装置
133…プロセッサ
134…CPU
135…ROM
136…RAM
3…配車制御部
31…受付部
32…発信力取得部
33…算出部
34…計画部
35…情報出力部
A、D、E…アイコン
B、C…移動経路