(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】短絡検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20241105BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241105BHJP
H01M 8/1004 20160101ALI20241105BHJP
【FI】
G01R31/52
H01M8/10 101
H01M8/1004
(21)【出願番号】P 2021147552
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】和田 優介
(72)【発明者】
【氏名】小嶌 眞也
(72)【発明者】
【氏名】川西 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】西口 怜
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-222167(JP,A)
【文献】特開2012-27004(JP,A)
【文献】特開2019-200209(JP,A)
【文献】特開2005-127842(JP,A)
【文献】特開2003-215190(JP,A)
【文献】特開2014-29801(JP,A)
【文献】特開2018-160371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/52
G01R 1/06
G01R 31/26
G01R 31/00
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子からなる電解質膜を含む燃料電池の膜電極接合体の前記電解質膜に短絡部位が存在するか否かを検出する短絡検出装置であって、
基台に固定された下型と、
昇降機によって、前記下型に向かって接近する方向に移動する、又は、前記下型から離間する方向に移動する上型と、
前記下型に設けられ、前記膜電極接合体の第1の面に接触する1又は複数の第1電極と、
前記上型に設けられ、前記膜電極接合体の第2の面に接触する複数の第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源と、
前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流の値を測定する電流測定部と、
前記第1電極と前記第2電極とにより前記膜電極接合体を押圧した状態で、前記電流測定部において測定された前記電流の値に基づいて、前記電解質膜の前記短絡部位が存在するか否かを判定する短絡判定部と、
を備え、
複数の前記第2電極のそれぞれは、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に伸縮可能なプローブであり、
前記プローブは、
本体と、前記第2の面に接触する端子と、
前記電源に接続される抵抗と、前記端子と前記抵抗との間に設けられる導電性の樹脂部材と、を有し、
前記端子、前記抵抗及び前記樹脂部材は、前記本体内に収容され、
前記端子は、前記抵抗に対して、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に相対移動可能に設けられ、
前記樹脂部材は、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧するときに、前記抵抗と前記端子とに接触した状態で設けられ
、
前記抵抗に、前記電源と前記第2電極とを繋ぐ配線が接続される、短絡検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の短絡検出装置であって、
前記樹脂部材は球体である、短絡検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、短絡検出装置が開示されている。この短絡検出装置は、第1電極と第2電極とを有する。第1電極を膜電極接合体のアノード電極側の面に当接させ、第2電極を膜電極接合体のカソード電極側の面に当接させた状態で、短絡検出装置は、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する。短絡検出装置は、第1電極と第2電極との間に流れる電流の大きさに基づいて、膜電極接合体において短絡している部位を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された短絡検出装置の第1電極の膜電極接合体のアノード電極側の面と当接する面は、平面状に形成されている。第2電極の膜電極接合体のカソード電極側の面と当接する面も、平面状に形成されている。そのため、第1電極及び第2電極のそれぞれから膜電極接合体に作用する荷重が、膜電極接合体の部位によって偏りが生じるおそれがある。これにより、膜電極接合体の部位によって印加される電圧の大きさに偏りが生じるおそれがあり、短絡検出装置は、膜電極接合体において短絡している部位を正確に検出できないことがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、固体高分子からなる電解質膜を含む燃料電池の膜電極接合体の前記電解質膜に短絡部位が存在するか否かを検出する短絡検出装置であって、前記膜電極接合体の第1の面に接触する1又は複数の第1電極と、前記膜電極接合体の第2の面に接触する複数の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源と、前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流の値を測定する電流測定部と、前記第1電極と前記第2電極とにより前記膜電極接合体を押圧した状態で、前記電流測定部において測定された前記電流の値に基づいて、前記電解質膜の前記短絡部位が存在するか否かを判定する短絡判定部と、を備え、複数の前記第2電極のそれぞれは、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に伸縮可能なプローブであり、前記プローブは、前記第2の面に接触する端子と、電源に接続される抵抗と、前記端子と前記抵抗との間に設けられる導電性の樹脂部材と、を有し、前記端子は、前記抵抗に対して、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に相対移動可能に設けられ、前記樹脂部材は、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧するときに、前記抵抗と前記端子とに接触した状態で設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、短絡検出装置は、膜電極接合体において短絡している部位を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】短絡検出装置の下型及び上型の斜視図である。
【
図5】比較例の短絡検出装置の下型及び上型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
図1は、短絡検出装置10の模式図である。
図2は、短絡検出装置10の下型12及び上型14の斜視図である。短絡検出装置10は、燃料電池の膜電極接合体16において後述する電解質膜18が短絡している部位を検出する装置である。膜電極接合体16は、シート状に形成される。
【0010】
図3は、膜電極接合体16の模式図である。膜電極接合体16は、電解質膜18、電極触媒層20、及びガス拡散層22を有する。電解質膜18は、固体高分子膜であり、誘電性を有する。電極触媒層20は、白金を担持したカーボンブラック等により形成される。電極触媒層20は、電解質膜18の両面にそれぞれ張り合わされる。ガス拡散層22は、カーボンペーパにより形成される。ガス拡散層22は、電解質膜18の両面のそれぞれに、電極触媒層20の外側から張り付けられる。電極触媒層20及びガス拡散層22は、導電性を有する。
【0011】
図1に示すように、短絡検出装置10は、下型12、上型14、電流測定部24、及び制御部26を有する。下型12は、不図示の基台等に固定される。上型14は、下型12の上方に設けられる。上型14は、不図示の昇降機のロッド13に取り付けられる。昇降機が駆動することにより、上型14は下型12に向かって接近する方向に移動し、又、上型14は下型12から離間する方向に移動する。
【0012】
下型12の上面121には、複数の第1電極28が設けられる。複数の第1電極28は、マトリックス状に配列される。下型12の上面121と複数の第1電極28との間には絶縁体30が設けられる。絶縁体30は、互いに隣り合う2つの第1電極28の間にも設けられる。下型12の上面121の第1電極28の上に、膜電極接合体16が載せられる。第1電極28の膜電極接合体16と接触する面281(以下、第1接触面281と称する)は平面状に形成されている。
【0013】
上型14の下面141には、複数の第2電極32が設けられる。複数の第2電極32は、マトリックス状に配置される。第2電極32の個数は、第1電極28の個数と同数である。それぞれの第2電極32は、それぞれの第1電極28と対になって設けられる。上型14の下面141と複数の第2電極32との間には絶縁体34が設けられる。
【0014】
上型14が下型12に向かって移動すると、第1電極28と第2電極32とにより膜電極接合体16が挟まれる。この状態で、第1電極28は膜電極接合体16の第1の面161に接触し、第2電極32は膜電極接合体16の第2の面162に接触する。なお、膜電極接合体16の第1の面161側はアノードであり、膜電極接合体16の第2の面162側はカソードである。
【0015】
それぞれの第1電極28は、直流の電源36の負極に第1配線38を介して接続される。それぞれの第2電極32は、電源36の正極に第2配線40を介して接続される。電源36とそれぞれの第1電極28との間には電流測定部24が設けられる。それぞれの電流測定部24は、第1電極28と第2電極32とのそれぞれの組に対応付けられて設けられる。第1電極28と、第1電極28に対応する第2電極32との間に電流が流れると、第1電極28と第2電極32との組に対応する電流測定部24により電流が測定される。
【0016】
制御部26は、演算部37及び記憶部39を有する。演算部37は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部37は、短絡判定部41を有する。記憶部39に記憶されているプログラムが演算部37によって実行されることによって、短絡判定部41が実現される。短絡判定部41の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。短絡判定部41の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0017】
記憶部39は、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用され、処理又は演算に必要なデータ等を一時的に記憶する。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用され、プログラム、テーブル、マップ等を記憶する。記憶部39の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0018】
短絡判定部41は、それぞれの電流測定部24が測定した電流に基づき、電解質膜18が短絡している部位が存在するか否かを判定する。また、電解質膜18が短絡している部位が存在する場合には、短絡判定部41は、それぞれの電流測定部24が測定した電流に基づき、電解質膜18が短絡している部位の位置を特定する。
【0019】
第1電極28と第2電極32とにより膜電極接合体16が挟まれた状態で、第1電極28と第2電極32との間に電圧を印加すると、第1電極28と第2電極32との間に電流が流れ始める。前述のように、電解質膜18は誘電性を有し、電極触媒層20及びガス拡散層22は導電性を有する。そのため、第1電極28と第2電極32との間に電圧を印加した直後には、第1電極28と第2電極32との間を流れる電流は大きい。その後、時間の経過とともに、第1電極28と第2電極32との間を流れる電流は小さくなる。
【0020】
しかし、電解質膜18が短絡している部位が存在する場合には、電解質膜18が短絡している部位において膜電極接合体16に接触する第1電極28と第2電極32との間を流れる電流は、時間が経過しても小さくならない。これにより、短絡判定部41は、それぞれの電流測定部24が測定した電流に基づき、電解質膜18が短絡している部位の位置を特定することが可能となる。
【0021】
図4は、第2電極32の模式断面図である。それぞれの第2電極32は、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する方向に伸縮可能なプローブ42である。プローブ42は、本体44、チップ抵抗48、端子50、及び樹脂部材52を有する。
【0022】
本体44内に、チップ抵抗48、端子50、及び樹脂部材52が収容される。チップ抵抗48には、
図1に示す第2配線40が接続される。端子50は、チップ抵抗48に対して、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する方向に移動可能に設けられている。端子50の先端の面321(以下、第2接触面321と称する)は、球面状に形成される。第1電極28と第2電極32とにより膜電極接合体16が挟まれた状態で、第2接触面321は、膜電極接合体16の第2の面162に当接する。樹脂部材52は、弾性変形可能な樹脂により形成されている。樹脂部材52は、導電性を有する。樹脂部材52は、球体である。樹脂部材52は、端子50とチップ抵抗48との間に配置される。第2電極32が膜電極接合体16の第2の面162を押圧する場合に、樹脂部材52は、端子50の基端501とチップ抵抗48とに接触した状態で弾性変形する。
【0023】
本実施形態では、下型12に複数の第1電極28が設けられる。これに代えて、本実施形態で下型12に複数の第1電極28が設けられている領域に、1枚の板状の第1電極28が設けられてもよい。
【0024】
[作用効果]
図5は、比較例の短絡検出装置10の下型12及び上型14の斜視図である。比較例の短絡検出装置10では、第2電極60の構成が、本実施形態の短絡検出装置10の第2電極32の構成と異なる。
図5において、
図2と同じ符号を付した部材の構成は、本実施形態の各符号に対応する部材の構成と同じである。比較例の短絡検出装置10の第2電極60は1枚の板状に形成される。第2電極60の膜電極接合体16と接触する面601(以下、第2接触面601と称する)は平面状に形成される。
【0025】
膜電極接合体16の最も外側に位置するガス拡散層22は、カーボンペーパにより形成される。カーボンペーパは炭素繊維により形成された不織布であり、カーボンペーパの厚さはカーボンペーパの部位によって不均一である。そのため、カーボンペーパを材料とする膜電極接合体16の厚さは、膜電極接合体16の部位によって不均一である。
【0026】
比較例の短絡検出装置10では、第1電極28の第1接触面281及び第2電極60の第2接触面601がともに平面状に形成される。そのため、第1接触面281及び第2接触面601のそれぞれと、膜電極接合体16とは面接触する。比較例の短絡検出装置10では、第1接触面281及び第2接触面601のそれぞれと、膜電極接合体16との間に作用する圧力は、膜電極接合体16の部位によって不均一となる。これにより、第1接触面281及び第2接触面601のそれぞれと、膜電極接合体16とが接触する位置において、膜電極接合体16の第1の面161と第2の面162との間に印加される電圧は、膜電極接合体16の部位によって不均一となる。この場合、短絡検出装置10は、電解質膜18が短絡している部位を高精度に検出できない。
【0027】
本実施形態の短絡検出装置10では、上型14が複数の第2電極32を有する。複数の第2電極32のそれぞれは、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する方向に伸縮可能なプローブ42である。プローブ42は、端子50、チップ抵抗48、及び樹脂部材52を有する。端子50は、チップ抵抗48に対して、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する方向に相対移動可能に設けられる。樹脂部材52は、第2電極32が膜電極接合体16を押圧するときに、チップ抵抗48と端子50とに接触した状態で設けられる。
【0028】
これにより、本実施形態の短絡検出装置10では、膜電極接合体16の第2の面162の形状に応じて、端子50が伸縮する。そのため、膜電極接合体16と第1接触面281及び第2接触面321のそれぞれとが接触する位置において、膜電極接合体16と第1接触面281及び第2接触面321のそれぞれとの間に作用する圧力は、膜電極接合体16の全域で略均一となる。この場合、それぞれの第1電極28と、それぞれの第1電極28に対応する第2電極32とにより挟まれた部分において、膜電極接合体16の第1の面161と第2の面162との間に印加される電圧は、膜電極接合体16の全域で略均一となる。よって、短絡検出装置10は、電解質膜18が短絡している部位を高精度に検出できる。
【0029】
また、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する状態で、樹脂部材52はチップ抵抗48と端子50とに接触する。これにより、樹脂部材52は端子50を膜電極接合体16に向かって付勢する。そのため、それぞれの第2電極32の端子50の第2接触面321が、膜電極接合体16の第2の面162に確実に接触する。この場合、それぞれの第1電極28と、それぞれの第1電極28に対応する第2電極32とにより挟まれた部分において、膜電極接合体16の第1の面161と第2の面162との間に印加される電圧は、膜電極接合体16の全域で略均一となる。よって、短絡検出装置10は、電解質膜18が短絡している部位を高精度に検出できる。
【0030】
本実施形態の短絡検出装置10では、第2電極32の端子50の第2接触面321は、球面状に形成される。これにより、膜電極接合体16と第2接触面321とは点接触する。そのため、第1接触面281及び第2接触面321のそれぞれと、膜電極接合体16とが接触する位置において、第1接触面281及び第2接触面321のそれぞれと、膜電極接合体16との間に作用する圧力は、膜電極接合体16の全域で略均一となる。この場合、それぞれの第1電極28と、それぞれの第1電極28に対応する第2電極32とにより挟まれた部分において、膜電極接合体16の第1の面161と第2の面162との間に印加される電圧は、膜電極接合体16の全域で略均一となる。よって、短絡検出装置10は、電解質膜18が短絡している部位を高精度に検出できる。
【0031】
本実施形態の短絡検出装置10では、第2電極32は樹脂部材52を有する。第2電極32の樹脂部材52に代えて、不図示のコイルバネが用いられてもよい。しかし、第2電極32が膜電極接合体16を押圧する方向において、コイルバネの長さに比べて、樹脂部材52の長さは短い。そのため、コイルバネが用いられる場合に比べて、樹脂部材52が用いられる場合には、第2電極32を小型化できる。
【0032】
本実施形態の短絡検出装置10では、樹脂部材52は球体である。樹脂部材52が第2電極32の本体44内部に挿入される場合、樹脂部材52の向きを調整する必要がない。そのため、第2電極32の組み立てを容易にできる。
【0033】
本実施形態の短絡検出装置10では、第2電極32はチップ抵抗48を有する。第2電極32に抵抗が内蔵されているため、それぞれの第1電極28と、それぞれの第1電極28に対応する第2電極32との間に印加する電圧が安定する。よって、短絡検出装置10は、電解質膜18が短絡している部位を高精度に検出できる。また、チップ抵抗48により電圧を減衰できる。
【0034】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0035】
固体高分子からなる電解質膜(18)を含む燃料電池の膜電極接合体(16)の前記電解質膜に短絡部位が存在するか否かを検出する短絡検出装置(10)であって、前記膜電極接合体の第1の面(161)に接触する1又は複数の第1電極(28)と、前記膜電極接合体の第2の面(162)に接触する複数の第2電極(32)と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源(36)と、前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流の値を測定する電流測定部(24)と、前記第1電極と前記第2電極とにより前記膜電極接合体を押圧した状態で、前記電流測定部において測定された前記電流の値に基づいて、前記電解質膜の前記短絡部位が存在するか否かを判定する短絡判定部(41)と、を備え、複数の前記第2電極のそれぞれは、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に伸縮可能なプローブ(42)であり、前記プローブは、前記第2の面に接触する端子(50)と、電源に接続される抵抗(48)と、前記端子と前記抵抗との間に設けられる導電性の樹脂部材(52)と、を有し、前記端子は、前記抵抗に対して、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧する方向に相対移動可能に設けられ、前記樹脂部材は、前記第2電極が前記膜電極接合体を押圧するときに、前記抵抗と前記端子とに接触した状態で設けられる。これにより、短絡検出装置は、電解質膜が短絡している部位を高精度に検出できる。
【0036】
上記の短絡検出装置であって、前記樹脂部材は球体であってもよい。これにより、第2電極の組み立てを容易にできる。
【符号の説明】
【0037】
10…短絡検出装置 16…膜電極接合体
18…電解質膜 24…電流測定部
28…第1電極 32…第2電極
36…電源 41…短絡判定部
42…プローブ 48…チップ抵抗(抵抗)
50…端子 52…樹脂部材
161…第1の面 162…第2の面