(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
H02M 1/00 20070101AFI20241105BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20241105BHJP
H03K 17/0812 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H02M1/00 F
H02M1/08 A
H03K17/0812
(21)【出願番号】P 2021155252
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テー チェンコン
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-073657(JP,A)
【文献】特開2009-055078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0234184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレインが電源電圧の入力端子に接続されソースが出力端子に接続され、ゲートに供給される制御信号によってオン、オフ制御されて、入力された電源電圧に基づく出力を
前記出力端子に接続された負荷に供給するか又は
前記負荷への前記出力の供給を停止する第1トランジスタと、
ドレインが前記第1トランジスタのゲートに接続され
ソースが基準電位点に接続された第2トランジスタであって、前記第2トランジスタのゲート電圧のレベルに応じてオン、オフする第2トランジスタと、
前記電源電圧の入力端
子と前記第2トランジスタのゲートとの間に接続されるキャパシタと、
前記第2トランジスタのゲートと基準電位点との間に接続され、
前記キャパシタにより前記第2トランジスタのゲートに伝達された電圧に基づいて前記第2トランジスタをオンにする前記第2トランジスタのゲート電圧を
一定期間保持する電圧保持回路
であって、ソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されゲートとドレインが共通接続されたダイオード接続の第3トランジスタと、ソースが前記第3トランジスタのゲート及びドレインに接続されゲートとドレインが共通接続されて基準電位点に接続されたダイオード接続の第4トランジスタとによって構成される電圧保持回路と、を具備する電源回路。
【請求項2】
前記電圧保持回路は、
前記第3及び第4トランジスタに代えて、2個以上の縦続接続されたダイオード
であって、各段のダイオードは、アノードが前段のダイオードのカソードに接続され、カソードが後段のダイオードのアノードに接続され、初段のダイオードのアノードは前記第2トランジスタのゲートに接続され、最終段のダイオードのカソードは基準電位点に接続される複数のダイオードにより構成される請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
電流経路の一端が前記第
2トランジスタのゲートに接続され、他端が基準電位点に接続され、
ゲートに保護制御信号が与えられ、前記保護制御信号の電圧のレベルに応じてオン、オフする第
5トランジスタを更に具備する請求項1に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源回路においては、突入電流を防止するために、プルダウン抵抗が採用される場合がある。
【0003】
入力電圧に生じる突入電圧の急峻な変化に対応するためには、プルダウン抵抗の抵抗値を小さくする必要がある。しかしながら、そうすると、消費電力が増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、消費電力の増大を抑制しつつ、突入電流の発生を防止することができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源回路は、ドレインが電源電圧の入力端子に接続されソースが出力端子に接続され、ゲートに供給される制御信号によってオン、オフ制御されて、入力された電源電圧に基づく出力を前記出力端子に接続された負荷に供給するか又は前記負荷への前記出力の供給を停止する第1トランジスタと、ドレインが前記第1トランジスタのゲートに接続されソースが基準電位点に接続された第2トランジスタであって、前記第2トランジスタのゲート電圧のレベルに応じてオン、オフする第2トランジスタと、前記電源電圧の入力端子と前記第2トランジスタのゲートとの間に接続されるキャパシタと、前記第2トランジスタのゲートと基準電位点との間に接続され、前記キャパシタにより前記第2トランジスタのゲートに伝達された電圧に基づいて前記第2トランジスタをオンにする前記第2トランジスタのゲート電圧を一定期間保持する電圧保持回路であって、ソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されゲートとドレインが共通接続されたダイオード接続の第3トランジスタと、ソースが前記第3トランジスタのゲート及びドレインに接続されゲートとドレインが共通接続されて基準電位点に接続されたダイオード接続の第4トランジスタとによって構成される電圧保持回路と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電源回路を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電源回路を示すブロック図である。本実施形態には、メインスイッチを構成する第1トランジスタのゲート電圧をプルダウンする第2トランジスタ、突入電圧を伝達するキャパシタ、キャパシタにより伝達した突入電圧に基づく電圧を保持する電圧保持回路を設けることにより、電力消費を抑制しつつ突入電流の発生を防止するものである。
【0010】
図2は電源回路の関連技術を示す回路図である。なお、
図1及び
図2において同一の構成要素には同一符号を付し、同一構成については重複する説明を省略するものとする。
【0011】
図2に示す電源回路は、メインスイッチを構成するNMOSトランジスタT1とプルダウン抵抗R1とを含む。電圧源So1は、負極性端子が基準電位点に接続され正極性端子に電源電圧Vinを発生する。電圧源So1からの電源電圧Vinが、電源回路の入力端子INを介してトランジスタT1のドレインに供給される。
【0012】
トランジスタT1のソースは電源回路の出力端子OUTに接続される。出力端子OUTには、図示しない負荷が接続される。トランジスタT1のゲートには、電源回路から負荷に出力Voutを供給するか供給を停止するかを制御するための制御信号Vgateが印加される。ハイレベル(以下、Hレベルという)の制御信号Vgateによって、トランジスタT1はオンとなり、電源電圧Vinに基づく出力Voutが負荷に供給される。また、ローレベル(以下、Lレベルという)の制御信号Vgateによって、トランジスタT1はオフとなり、電源電圧Vinに基づく出力Voutの負荷への供給が停止される。
【0013】
いま、制御信号VgateがLレベルの状態において、電源電圧Vinに突入電圧が生じるものとする。そうすると、トランジスタT1のゲート・ドレイン間の寄生容量Cgdにより、トランジスタT1のゲート電圧が高くなり、トランジスタT1がオンとなって、負荷に大電流(ラッシュカレント)が流れてしまう虞がある。そこで、
図2の関連技術においては、トランジスタT1のゲートと基準電位点との間にプルダウン抵抗R1が接続される。
【0014】
図2の例においても、電源電圧Vinの突入電圧の変化が比較的ゆるやか(低スルーレート)である場合には、特には問題はない。しかしながら、電源電圧Vinの突入電圧の変化が比較的高速(高スルーレート)である場合には、トランジスタT1のゲート電圧の上昇を小さくするためには、プルダウン抵抗R1の抵抗値を十分に小さくする必要がある。そうすると、定常的に、トランジスタT1のゲートからプルダウン抵抗R1を介して比較的大きな電流が基準電位点に流れることになり、消費電力が増大する。
【0015】
(構成)
そこで、本実施形態においては、プルダウン抵抗R1に代えて、NMOSトランジスタT2によるスイッチ回路を採用する。
【0016】
図1において、トランジスタT1のゲートと基準電位点との間には、トランジスタT2の電流経路が接続される。トランジスタT2は、ドレインがトランジスタT1のゲートに接続され、ソースが基準電位点に接続され、ゲートがノードAに接続される。
【0017】
ノードAは、キャパシタC1及び入力端子INを介して電圧源So1の正極性入力端に接続される。即ち、キャパシタC1は、一方端に電源回路に入力される電源電圧Vinが印加され、他方端はノードAに接続される。ハイパスフィルタであるキャパシタC1により、電源電圧Vinの急峻な変化がノードAに伝達されることになる。
【0018】
また、ノードAと基準電位点との間には、PMOSトランジスタT3,T4の各電流経路が直列に接続される。即ち、トランジスタT3は、ソースがノードAに接続され、ゲートとドレインが共通接続されてトランジスタT4のソースに接続される。また、トランジスタT4は、ゲートとドレインが共通接続されて基準電位点に接続される。トランジスタT3,T4は、いずれもダイオードとして機能する。
【0019】
トランジスタT3,トランジスタT4の順方向電圧の和電圧は、トランジスタT2をオンにする電圧よりも高い電圧に設定される。トランジスタT3,T4により構成される2つのダイオードは、ノードAの電圧を一定期間保持する電圧保持回路として機能する。例えば、トランジスタT3,T4の構成にもよるが、例えば、トランジスタT3,T4により、ノードAの電圧、即ち、トランジスタT3,T4の順方向電圧の和電圧を1m秒程度保持できる。
【0020】
キャパシタC1、トランジスタT2及びトランジスタT3,T4は、突入電圧によるラッシュカレントの発生を防止する保護回路として機能する。
【0021】
なお、一般的には、電源電圧Vinに生じる突入電圧は、数μ秒オーダーである。例えば、
図1の電源回路を構成する回路基板(図示せず)(以下、電源基板という)を、図示しない他の回路基板に装着して、トランジスタT1を他の回路基板のバスに接続するものとする。活線挿抜に対応した場合には、電源基板を他の回路基板に装着するときに、トランジスタT1のソースに電源電圧Vinの突入電圧が発生してしまうことがある。このような活線挿抜時における電源電圧Vinに生じる突入電圧の期間は、長くても1m秒以内である。本実施形態の電圧保持回路による電圧の保持期間は、突入電圧が生じている期間よりも十分に長い期間に設定する。
【0022】
(作用)
次に、このように構成された実施形態の動作について説明する。
【0023】
電圧源So1の電源電圧Vinは、トランジスタT1のドレインに供給される。制御信号Vgateのレベルを変化させてトランジスタT1をオン、オフ制御することで、電源電圧Vinに応じた出力Voutの負荷への供給を制御する。
【0024】
(通常時)
いま、電源電圧Vinに突入電圧が生じていない通常時であるものとする。トランジスタT1のゲート(ノードA)は、トランジスタT3,T4の電流経路を介して基準電位点に接続されている。通常時においては電源電圧Vinに急峻な変化が生じていないことから、ノードAの電圧は基準電位である。従って、トランジスタT2はオフであり、トランジスタT1は、制御信号Vgateのレベルに応じてオン、オフする。
【0025】
即ち、制御信号VgateがLレベルの場合には、トランジスタT1はオフであり、電源電圧Vinに基づく出力Voutの負荷への供給が停止された状態となる。制御信号VgateをHレベルにすると、トランジスタT1はオンとなり、電源電圧Vinに基づく出力Voutが負荷に供給される。
【0026】
(突入電圧発生時)
いま、制御信号Vgateは、Lレベルであるものとする。ここで、電源電圧Vinに突入電圧が生じるものとする。電源電圧Vinが生じた突入電圧は、キャパシタC1により瞬時にノードAに伝達される。ノードAは、トランジスタT3,T4の各電流経路を経由して基準電位点に接続されており、ノードAは、トランジスタT3,T4の順方向電圧の和電圧となる。トランジスタT3,T4の電圧保持機能によって、ノードAの電圧は、所定長さの期間(以下、保持期間という)だけ保持される。この場合のノードAの電圧は、トランジスタT2の閾値電圧よりも高く、保持期間において、トランジスタT2はオンとなり、トランジスタT2の電流経路によってトランジスタT1のゲートから基準電位点に大電流を流すことが可能となる。
【0027】
トランジスタT1の寄生容量Cgdにより、電源電圧Vinに生じた突入電圧の影響により、トランジスタT1のゲート電圧は高くなろうとする。しかし、トランジスタT2がオンとなることで、トランジスタT1のゲートから大電流が基準電位点に流れることになり、高スルーレートの突入電圧が発生した場合でもトランジスタT1のゲート電圧の上昇が抑制される。電源電圧Vinに突入電圧が生じている期間は保持期間以内に終了することから、電源電圧Vinに生じた突入電圧の影響によってトランジスタT1がオンとなることはない。
【0028】
こうして、制御信号VgateがLレベルの期間においては、電源電圧Vinに突入電圧が生じたとしても、負荷に大電流が流れることが防止される。
【0029】
また、通常時においては、トランジスタT2はオフであり、トランジスタT2のゲートから基準電位点に電流が流れることはなく、消費電力が増大することはない。
【0030】
このように、本実施形態においては、高スルーレートの突入電圧が発生したとしても、負荷に大電流が流れてしまうことを確実に防止することができる。また、通常時において消費電力が増大することもない。
【0031】
例えば、本実施形態は、活線挿抜の保護回路として利用することができる。なお、本実施形態は電源回路における突入電圧によるラッシュカレントを防止する例を説明したが、電子フューズ、リニアレギュレータ、DCDCコンバータ、ゲートドライバ等に生じる突入電圧に対するラッシュカレントの発生防止にも適用可能である。
【0032】
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態を示す回路図である。
図3において
図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、トランジスタT3,T4により構成した電圧保持回路を1個以上のダイオードによって構成するものである。
【0033】
本実施形態は、トランジスタT3,T4に代えて、1個のダイオードD1又は2個以上のダイオードD1,D2,…Dn(以下、1個以上のダイオードをダイオードDという)を採用した点が
図1の実施形態と異なる。ダイオードDとして、1個のダイオードD1を採用する場合には、ダイオードD1は、アノードがノードAに接続され、カソードが基準電位点に接続される。ダイオードDとして、2個以上のダイオードを採用する場合には、ダイオードDの各ダイオードは、アノードが前段のダイオードのカソードに接続され、カソードが後段のダイオードのアノードに接続される。初段のダイオードD1のアノードはノードAに接続され、最終段のダイオードDnのカソードは基準電位点に接続される。
【0034】
電圧保持回路としてのダイオードDの順方向電圧の総和は、トランジスタT2をオンにする電圧よりも高い電圧に設定される。また、ダイオードDによるノードAの電圧の保持期間は、突入電圧が生じている期間よりも十分に長い期間に設定する。
【0035】
キャパシタC1、トランジスタT2及びダイオードDは、突入電圧によるラッシュカレントの発生を防止する保護回路として機能する。
【0036】
このように構成された実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用となる。
【0037】
即ち、電源電圧Vinに生じた突入電圧は、キャパシタC1により瞬時にノードAに伝達される。ダイオードDによって、ノードAの電圧は、トランジスタT2をオンにする電圧に維持される。ノードAの電圧は突入電圧が生じている期間よりも長い保持期間だけダイオードDにより保持され、この期間においてトランジスタT2がオンとなる。これにより、制御信号VgateのLレベル期間において、電源電圧Vinに高スルーレートの突入電圧が生じても、トランジスタT1がオンとなることが防止される。こうして、突入電圧の発生により、負荷に大電流が流れることが防止される。また、通常時においては、トランジスタT2はオフであり、トランジスタT2のゲートから基準電位点に電流が流れることはなく、消費電力が増大することはない。
【0038】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図4は本発明の第3の実施形態を示す回路図である。
図4において
図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、トランジスタT3,T4により構成した電圧保持回路をツェナーダイオードによって構成するものである。
【0040】
本実施形態は、トランジスタT3,T4に代えて、ツェナーダイオードZDを採用した点が
図1の実施形態と異なる。ツェナーダイオードZDは、アノードがノードAに接続され、カソードが基準電位点に接続される。
【0041】
電圧保持回路としてのツェナーダイオードZDのツェナー電圧は、トランジスタT2をオンにする電圧よりも高い電圧に設定される。また、ツェナーダイオードZDによるノードAの電圧の保持期間は、突入電圧が生じている期間よりも十分に長い期間に設定する。
【0042】
キャパシタC1、トランジスタT2及びツェナーダイオードZDは、突入電圧によるラッシュカレントの発生を防止する保護回路として機能する。
【0043】
このように構成された実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用となる。
【0044】
即ち、電源電圧Vinに生じた突入電圧は、キャパシタC1により瞬時にノードAに伝達される。ツェナーダイオードZDによって、ノードAの電圧は、トランジスタT2をオンにする電圧に維持される。ノードAの電圧は突入電圧が生じている期間よりも長い保持期間だけツェナーダイオードZDにより保持され、この期間においてトランジスタT2がオンとなる。これにより、制御信号VgateのLレベル期間において、電源電圧Vinに高スルーレートの突入電圧が生じても、トランジスタT1がオンとなることが防止される。こうして、突入電圧の発生により、負荷に大電流が流れることが防止される。また、通常時においては、トランジスタT2はオフであり、トランジスタT2のゲートから基準電位点に電流が流れることはなく、消費電力が増大することはない。
【0045】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図5は本発明の第4の実施形態を示す回路図である。
図5において
図3と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施形態は、上記各実施形態における保護回路の動作を停止させる機能を付加した点が上記各実施形態と異なる。なお、
図5は第2の実施形態に適用した例を示しているが、本実施形態は第1、第3の実施形態にも同様に適用可能である。
【0047】
本実施形態は、チャージポンプ回路CP、PMOSトランジスタT5、NMOSトランジスタT6,T7を付加した点が上記各実施形態と異なる。本実施形態においては、制御信号Vgateは、チャージポンプ回路CP及びトランジスタT5,T6により発生する。トランジスタT1をオンにするためには、制御信号Vgateは、電源電圧Vinよりも高い電圧である必要がある。チャージポンプ回路CPには、電源電圧Vinが供給される。チャージポンプ回路CPは、電源電圧Vinを用いて、電源電圧Vinよりも高い電圧を発生して出力する。
【0048】
チャージポンプ回路CPの出力端子と基準電位点との間にはトランジスタT5,T6の電流経路が直列接続される。即ち、トランジスタT5は、ソースがチャージポンプ回路CPの出力に接続され、ドレインがトランジスタT1のゲートに接続され、ゲートには出力制御信号が与えられる。トランジスタT6は、ドレインがトランジスタT1のゲートに接続され、ソースが基準電位点に接続され、ゲートには出力制御信号が与えられる。
【0049】
出力制御信号がHレベルの場合には、トランジスタT5がオフ、トランジスタT6がオンであり、制御信号VgateはLレベルとなり、トランジスタT1はオフとなる。即ち、Hレベルの出力制御信号がトランジスタT5、T6のゲートに供給される場合には、出力Voutの負荷への供給は停止される。即ち、Hレベルの出力制御信号によりメインスイッチOFFの状態となる。
【0050】
出力制御信号がLレベルの場合には、トランジスタT5がオン、トランジスタT6がオフであって、制御信号Vgateはチャージポンプ回路CPの出力によりHレベルとなり、トランジスタT1はオンとなる。即ち、Lレベルの出力制御信号がトランジスタT5、T6のゲートに供給される場合には、出力Voutが負荷に供給される。即ち、Lレベルの出力制御信号によりメインスイッチONの状態となる。
【0051】
ノードAは、トランジスタT7の電流経路を経由して基準電位点に接続される。トランジスタT7は、ドレインがノードAに接続され、ソースが基準電位点に接続され、ゲートには保護制御信号が与えられる。
【0052】
保護制御信号がLレベルの場合には、トランジスタT7はオフであり、ノードAに対してトランジスタT7は作用しない。即ち、この場合には、電源電圧Vinに突入電圧が生じることで、保持期間だけノードAの電圧はトランジスタT2をオンにする電圧に維持される。この結果、上述したように、突入電圧の発生に拘わらず、トランジスタT1がオンすることが阻止され、負荷に大電流が流れることが防止される。
【0053】
しかしながら、換言すると、保護回路によりノードAの電圧がトランジスタT2をオンにする電圧に維持される期間においては、例えメインスイッチONとするLレベルの出力制御信号がトランジスタT5,T6のゲートに供給されたとしても、制御信号VgateはLレベルのままとなり、負荷にVoutを供給することはできない。例えば、保持期間の長さが長過ぎる場合等においては、メインスイッチONにしたとしても、出力Voutが出力されない。トランジスタT7は、このような保護回路の誤動作を防止する。
【0054】
本実施形態においては、保護制御信号は、電源電圧Vinに突入電圧が発生する期間にはLレベルであり、他の期間はHレベルとなる。例えば、突入電圧の発生から所定期間だけ、保護制御信号をLレベルとなるように設定されていてもよい。或いは、メインスイッチONにするLレベルの出力制御信号の期間には、保護制御信号をHレベルに設定してもよい。
【0055】
保護制御信号がHレベルの場合には、トランジスタT7はオンであり、ノードAの電位を基準電位まで低下させる。これにより、トランジスタT2はオフとなり、トランジスタT1のゲート電圧を低下させない。即ち、この場合には、トランジスタT1は、出力制御信号のレベルに応じた制御信号Vgateに従ってオンオフし、負荷への出力Voutの供給が制御される。
【0056】
このように構成された実施形態においては、保護制御信号がLレベルの場合には、突入電圧発生時の作用は上記各実施形態と同様である。即ち、この場合には、保護回路によって、制御信号Vgateの電圧上昇が阻止され、トランジスタT1はオフを維持し、負荷に大電流が流れることが防止される。
【0057】
一方、例えば、メインスイッチONとするLレベルの出力制御信号がトランジスタT5,T6のゲートに印加される期間には、保護制御信号はHレベルとなる。この場合には、トランジスタT7はオンとなり、ノードAの電位は基準電位となり、トランジスタT2はオフとなる。これにより、Lレベルの出力制御信号に応じて制御信号VgateはHレベルとなり、トランジスタT1はオンとなる。こうして、メインスイッチONによって、負荷に出力Voutを供給することが可能となる。
【0058】
このように本実施形態においては、保護回路の動作を停止させることが可能であり、保護回路の誤動作を防止して出力Voutの負荷への供給を可能にすることができる。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0060】
T1~T7…トランジスタ、C1…キャパシタ、So1…電圧源、D…ダイオード、A…ノード、ZD…ツェナーダイオード、CP…チャージポンプ回路、Vin…電源電圧、Vout…出力、Vgate…制御信号。