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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ロール装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/44 20060101AFI20241105BHJP
   E06B 9/62 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
E06B9/44
E06B9/62 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021178544
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067374
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】596168867
【氏名又は名称】ナビオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】前▲崎▼ 習
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-97171(JP,A)
【文献】特開2002-295153(JP,A)
【文献】特開2001-73659(JP,A)
【文献】特開2013-185424(JP,A)
【文献】特開2003-314167(JP,A)
【文献】実開平1-168795(JP,U)
【文献】特開2003-82961(JP,A)
【文献】特開2011-132764(JP,A)
【文献】特開2001-303875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/171
E06B 9/40-9/50
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のブラケット間に取り付けられ、シート材が巻き回されるロールパイプを備えたロール装置であって、
コイルバネの弾性エネルギーによって前記シート材の昇降を補助するブースター装置が、軸方向に複数個が連結されたブースターシステムとして前記ロールパイプに内蔵され
前記ブースター装置は、ブースター軸と、前記ブースター軸に軸支され、前記ロールパイプと共に回転するパイプ受部と、前記ブースター軸に固定された固定部と、前記パイプ受部と前記固定部との間に介装された前記コイルバネとを備え、
前記ブースター装置は、前記固定部に、他の前記ブースター装置の前記ブースター軸が接続されることで、前記ブースターシステムとして連結されることを特徴とするロール装置。
【請求項2】
前記ブースターシステムは、前記コイルバネの線径が異なる前記ブースター装置が連結されていることを特徴とする請求項記載のロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールパイプにシート材(カーテンやスクリーン等の生地や、シャッター等)をセットして、ロールパイプの回転によってシート材の昇降を可能にしたロール装置及びブースター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールパイプにカーテンやスクリーン等の生地をセットしたロール装置は、ロールブラインド装置と称され、例えば、日差しや視線を遮るために住宅等の窓に用いられている。ロールブラインド装置は、一対のブラケット間に保持されて取り付けられたロールパイプと、ロールパイプに巻き回された生地と、ロールパイプを回転させて生地を昇降させる駆動装置とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ロールブラインド装置では、生地の巻き上げ又は昇降を補助することを目的として、コイルバネを備えたブースター装置がロールパイプに内蔵されている。生地が引き出された状態では、ブースター装置のコイルバネの捻じれ量が増大して弾性エネルギーが蓄積される。ブースター装置に蓄積された弾性エネルギーが、生地をロールパイプに巻き回して引き上げるための駆動力、そして同時に生地重量による下降を制止するブレーキとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-54274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生地重量が重い場合、ブースター装置のバネは、大きな回転、制止トルクを確保するため、線径が太いものが必要になる。しかし、バネの線径が太くなるに従い、作動可能回転数は少なくなってしまう。従って、丈が長く生地重量が重い場合、バネの線径(回転、制止トルク)と作動可能回転数とが相反する関係となり、ブースター装置を採用できないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、重量が重いシート材に対応可能なブースター装置を備えたロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロール装置は、一対のブラケット間に取り付けられ、シート材が巻き回されるロールパイプを備えたロール装置であって、コイルバネの弾性エネルギーによって前記シート材の昇降を補助するブースター装置が、軸方向に複数個が連結されたブースターシステムとして前記ロールパイプに内蔵され、前記ブースター装置は、ブースター軸と、前記ブースター軸に軸支され、前記ロールパイプと共に回転するパイプ受部と、前記ブースター軸に固定された固定部と、前記パイプ受部と前記固定部との間に介装された前記コイルバネとを備え、前記ブースター装置は、前記固定部に、他の前記ブースター装置の前記ブースター軸が接続されることで、前記ブースターシステムとして連結されることを特徴とする
本発明のロール装置において、前記ブースターシステムは、前記コイルバネの線径が異なる前記ブースター装置が連結されていても良い
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コイルバネの線径、外径を変えずに、回転、制止トルクの増強が可能であるため、許容回転数を維持した上で回転、制止トルクを調整でき、重量が重いシート材にも対応できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るロール装置の実施の形態の概略構成を示す図である。
図2図1に示すA-A断面図である。
図3図1に示すブースターシステムの構成を示す側面図である。
図4図1に示すB-B断面図である。
図5図1に示すC-C断面図である。
図6図1に示すねじりコイルばねに発生するバネこぶ説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0011】
本実施の形態のロールブラインド装置1は、シート材としてカーテンやスクリーン等の生地がセットされるロールパイプ3を備えたロール装置である。ロールブラインド装置1は、図1を参照すると、ブラケット2a、2bの間に保持されて取り付けられ、生地が巻き回されるロールパイプ3(図1では、断面図)と、ロールパイプ3を回転させて生地を昇降させる駆動装置4と、ロールパイプ3に内蔵されたブースターシステム5と、を備えている。
【0012】
ブラケット2aには、駆動装置4が取り付けられている。駆動装置4は、モーターである。そして、ロールパイプ3の一方端は、駆動装置4の回転軸41に固定された円盤状の保持部材42を介して取り付けられている。
【0013】
図2を参照すると、ロールパイプ3の内周には、軸方向に延伸する複数の突起部31が形成されている。ロールパイプ3の突起部31が保持部材42の外周に形成された係合溝部43に係合することで、ロールパイプ3は、駆動装置4の回転軸41に回転方向において固定される。
【0014】
ブースターシステム5は、連結された複数のブースター装置50で構成されている。ブースター装置50は、図3(a)を参照すると、ブースター軸51と、ブースター軸51の一端部側に環装された円筒状のパイプ受部52と、ブースター軸51の他端部側に固定された固定部53と、ブースター軸51が緩挿された状態で一端がパイプ受部52に他端が固定部53にそれぞれ固定されたねじりコイルバネ54とを備えている。
【0015】
パイプ受部52は、図4を参照すると、ベアリング521を介してブースター軸51に取り付けられている。そして、パイプ受部52の外周には、ロールパイプ3の突起部31が係合する係合溝部522が形成されている。
【0016】
固定部53には、内周が被接続孔となる筒状の連結部55が軸方向に延設されている。連結部55の被接続孔は、挿入されたブースター軸51を固定可能な構造を有し、図3(b)に示すように、他のブースター装置50のパイプ受部52から突出したブースター軸51の一端を挿入して固定することで、複数のブースター装置50が軸方向に連結される。
【0017】
図1に示す例では、2台のブースター装置50が連結されたブースターシステム5としてロールパイプ3に内蔵されている。なお、ブースター装置50の連結数は、必要な回転トルクに応じて適宜設定することができる。また、本実施の形態では、同じ外径、線径のブースター装置50を連結した例を示したが、線径の細いブースター装置50を用意して連結しても良い。この場合には、回転トルクの微調整を行うことが可能になる。
【0018】
複数のブースター装置50が連結されたブースターシステム5は、一端に突出したブースター軸51が配置され、他端に連結部55が配置される。
【0019】
ブースターシステム5の一端から突出したブースター軸51は、ブラケット2bに取り付けれた軸固定部6に固定される。これにより、ブラケット2b側において、ロールパイプ3は、パイプ受部52を介してブースター軸51に軸支される。
【0020】
ブースターシステム5の他端に配置された連結部55には、円筒状の軸受部56が環装され、C型止輪7によって抜け止めされている。軸受部56は、図5を参照すると、ベアリング561を介してブースター軸51に取り付けられている。そして、軸受部56の外周には、ロールパイプ3の突起部31が係合する係合溝部562が形成されている。
【0021】
駆動装置4によってロールパイプ3が回転すると、ブースター装置50のパイプ受部52はロールパイプ3と共に回転するが、固定部53はブースター軸51に固定されている。これにより、ねじりコイルバネ54の捻じれ量が増大して弾性エネルギーが蓄積され、この弾性エネルギーが、生地をロールパイプ3に巻き回して引き上げるための駆動力となる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態は、一対のブラケット間に取り付けられ、シート材として生地が巻き回されるロールパイプを備えたロールブラインド装置1(ロール装置)であって、ねじりコイルバネ54(コイルバネ)の弾性エネルギーによって生地の昇降を補助するブースター装置50が、軸方向に複数個が連結されたブースターシステム5としてロールパイプ3に内蔵されている。
この構成により、ねじりコイルバネ54の線径、外径を変えずに、回転、制止トルクの増強が可能であるため、許容回転数を維持した上で回転、制止トルクを調整でき、重量が重いシート材にも対応できる。従って、従来のように多種類の線径、自由長のブースター装置50を製作する必要がなく標準化ができる。そして、難しいブースター装置50の選定が連結数で計算できる。
【0023】
また、ブースター装置50では、図6に示すように、ねじりコイルバネ54の回転数と同期して発生する複数の「バネこぶ」が発生する。この「バネこぶ」の発生音及び消滅音は、ねじりコイルバネ54の線径が太くなるにつれて大きくなり、異音としてクレームの対象となる場合がある。しかし、本実施の形態のブースターシステム5では、設計時点で細い線径のねじりコイルバネ54を連結することで、異音の発生を抑制でき、静音ブースターの製作が可能になる。
【0024】
さらに、本実施の形態において、ブースター装置50は、ブースター軸51と、ブースター軸51に軸支され、ロールパイプ3と共に回転するパイプ受部52と、ブースター軸51に固定された固定部53と、パイプ受部52と固定部53との間に介装されたねじりコイルバネ54とを備え、ブースター装置50は、固定部53の連結部55に、他のブースター装置50のブースター軸51が接続されることで、ブースターシステム5として連結される。
この構成により、ブースター装置50を簡単に接続することができ、回転トルクの調整を容易に行うことができる。
【0025】
さらに、本実施の形態において、ブースターシステム5は、ねじりコイルバネ54の線径が異なるブースター装置50が連結されていても良い。
この構成により、回転トルクの微調整を行うことが可能になる。
【0026】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0027】
1 ロールブラインド装置
2a、2b ブラケット
3 ロールパイプ
4 駆動装置
5 ブースターシステム
6 軸固定部
7 C型止輪
31 突起部
41 回転軸
42 保持部材
43 係合溝部
50 ブースター装置
51 ブースター軸
52 パイプ受部
53 固定部
54 ねじりコイルバネ
55 連結部
56 軸受部
521 ベアリング
522 係合溝部
561 ベアリング
562 係合溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6