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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20241105BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20241105BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60N3/00 Z
B60R7/06 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021195934
(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公開番号】P2023082285
(43)【公開日】2023-06-14
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】姜 文赫
(72)【発明者】
【氏名】知野見 勇平
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-040902(JP,A)
【文献】特開2001-287584(JP,A)
【文献】特開2002-187474(JP,A)
【文献】特開平08-132949(JP,A)
【文献】特表2004-513002(JP,A)
【文献】特許第4406306(JP,B2)
【文献】米国特許第05342009(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60N 3/00
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に固定されるケース、及び前記ケースに回動可能に支持されてケース開口を開閉するリッド、並びに前記リッドに支持されてリッドに載せられる物品を倒れないようにするホルダを備えた収納装置において、
前記ホルダは、一端が前記ケースに回動自在に支持され、他端が前記リッドに設けられた溝部を通って前記ホルダに回動自在に支持されているリンクにより、前記リッドを開から閉状態及び閉から開状態に切り換える作動に連動して前記リッド上に倒れる非使用位置と、前記リッド上に起立する使用位置とに切り換えられることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記ホルダが前記リッドの開状態でリッド自由端側に軸支され、前記リッドの閉状態でリッド上に倒れることを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記ホルダが前記リッド上に起立した使用位置で、前記物品の周面に当接する保持部を前記リッドの自由端側より外へ突出配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記ホルダが前記保持部より下側へ延びて前記リッドに軸支される対の脚部を有していると共に、前記脚部同士の間を開口して前記物品の下側部分を露出可能となっていることを特徴とする請求項3に記載の収納装置。
【請求項5】
前記リッドを開状態及び閉状態で反転して開方向と閉方向へ付勢可能なデッドロック用の反転ばね部材と、前記リッドと前記リンクの間に設けられたがた付吸収用のばね部材とを有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の収納装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の乗り物に装備されて、容器や携帯電話等の物品を保持するに好適な収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は特許文献1に開示の収納装置(飲料容器ホルダ)である。この収納装置は、被取付部に固定されるケース(ホルダ本体)5、及びケースに回動可能に支持されてケース開口を開閉するリッド(アーム部材)14、並びにリッド14に支持されてリッドに載せられる物品を倒れないようにするホルダ(容器前面保持部)15を備えている。要部は、ケース5が物品である容器を載置せしめる底部3と容器の側面を支える背面部4とを有し、リッド14がケース5に傾動自在に枢支されている。また、リッド14の上部に設けられて容器の他側面を保持するホルダ15と、リッド14の下部分に設けた補助底部17と、リッド14を開いた状態に傾動して、補助底部17が水平となる位置でリッド14の傾動を阻止する不図示の傾動阻止部16と、リッド14を閉じた状態のときにリッドと補助底部17との間に物品が挿入可能に形成された開口とよりなる。この構造では、リッドの開状態で、容器類が底部13及び補助底部17上に載せられ、容器周囲がホルダ15と背面部4とで拘束保持される。リッドの閉状態で、ホルダ15が使用位置を保って背面部4の切欠部から外へ逃がされる。
【0003】
図12は特許文献2に開示の収納装置(カップホルダ)である。この収納装置は、被取付部に固定されるケース(ボックス本体)110、及びケースに摺動かつ回動可能に支持されてケース開口を開閉するリッド(蓋体)150、並びにリッド150に上下動可能に支持されてリッドに載せられる物品を倒れないようにするホルダ(カップ把持片)132を備えている。要部は、特に、ケース110に固定されて長孔173を形成しているレール部170と、レール部の一端に回動可能に取り付けられたベース部120と、一端がベース部120に回動可能に係止され、他端がレール部の長孔173にスライド可能に係止された支持片190と、ベース部120に上昇可能に取付けられたカップ把持アーム130と、ベース部120に固定されてケース110の開口部111を開閉するてリッド150と、レール部170をケース110に固定されたガイド溝112に沿って摺動させることでベース部120をケースから引出す引出し手段180と、ベース部120を開方向に回動させる回動手段122cと、カップ把持アーム130をベース部120から上昇させる上昇手段134と、リッド150の閉状態でロックするロック手段160とを備えている。そして、この構造では、ロック手段160を解除してリッド150が開放可能となると、引出し手段180がベース部120をケース110から引出し、回動手段122cがベース部を開方向に回動させ、上昇手段134がカップ把持アーム130をベース部120から上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4406306号公報
【文献】特許第4986133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の各収納装置は、例えば、自動車等の室内のうち、被取付部としてインストルメントパネルに取り付けられることが多い。その場合、特許文献1の構造では、被取付部が収納装置を設置する箇所の上側に室内側へ突出した突起部があると、リッドの使用状態において、保持する物品が該突起部に当たる虞もあるため設置部及びその上側付近の形状に制約される。対策は、特許文献2のごとく容器保持部が被取付部から離れた箇所にくるようにすることである。ところが、文献2の構造では、複雑高価となるだけではなく、ケースの奥行寸法が大きくなり、被取付部背面側の奥行寸法に制約される。
【0006】
本発明は上記したような課題を解消したものである。その目的は、コクパクトを維持しながら、被取付部の取付面から手前側により離れた位置で物品を保持し易くして使い勝手を良好にしたり、被取付部の形状に制約されないようにする。他の目的は以下の説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、形態の例で特定すると、被取付部18に固定されるケース2、及び前記ケースに回動可能に支持されてケース開口を開閉するリッド3、並びに前記リッドに支持されてリッドに載せられる物品を倒れないようにするホルダ5を備えた収納装置1において、前記ホルダ5は、一端が前記ケース2に回動自在に支持され、他端が前記リッド3に設けられた溝部39を通って前記ホルダに回動自在に支持されているリンク6により、前記リッド3を開から閉状態及び閉から開状態に切り換える作動に連動して前記リッド上に倒れる非使用位置と、前記リッド上に起立する使用位置とに切り換えられることを特徴としている。
【0008】
以上の発明において、ケースは手前側が開口された凹所を区画している。リッドはケースに回動可能に支持されてケース開口を開閉する。ホルダは、リッドに載せられる物品の周面の一部を保持して物品を倒れないようにする。ここで、発明のリッドは、開状態で物品を受け止める点で従来と同じであるが、形態のごとくケースの開口を開閉する板部及び両側部並びに背面部を有していると共に、使用状態で背面部と対向する手前側の前立壁を欠如していることが好ましい。これは、ホルダが下端部を支点として回動してリッド上に倒れる非使用位置とリッド上に起立する使用位置に切り換えられる構成として、ホルダの全寸を確保しながら、ホルダを図7に例示のごとく起立位置でリッド手前側(図7の左側)に極力来るようにして被取付部から離れるようにし易いためである。
【0009】
以上の本発明は請求項2から5の如く具体化されることがより好ましい。すなわち、
(ア)、前記ホルダ5が前記リッド3の開状態でリッド自由端側に軸支され、前記リッドの閉状態でリッド上に倒れる構成である(請求項2)。
【0010】
(イ)、前記ホルダ5が前記リッド3上に起立した使用位置で、前記物品17の周面に当接する保持部50を前記リッド3の自由端側より外へ突出配置する構成である(請求項3)
【0011】
(ウ)、請求項3において、前記ホルダ5が前記保持部50より下側へ延びて前記リッドに軸支される対の脚部51を有していると共に、前記脚部同士の間を開口52して前記物品の下側部分を露出可能となっている構成である(請求項4)
(エ)、前記リッド3を開状態及び閉状態で反転して開方向と閉方向へ付勢可能なデッドロック用の反転ばね部材10と、前記リッドと前記リンクの間に設けられたがた付吸収用のばね部材11とを有している構成である(請求項5)
【発明の効果】
【0012】
請求項1の本発明では、ケース、及びケース開口を開閉するリッド、並びにリッドに載せられる物品を倒れないようにするホルダを備えた収納装置として、ホルダがリッドを開から閉状態及び閉から開状態に切り換える作動に連動してリッド上に倒れる非使用位置と、リッド上に起立する使用位置とに切り換えられるため、特許文献1や2に比べ次のような利点を有している。
第1に、リッドの閉状態において、ホルダがリッド上に倒れてコンパクトになっているためケースとリッドの間のクリアランスを小さくし易く、特許文献2に比べケースの奥行寸法を小さくでき、また、特許文献1に比べケース背面壁にホルダを逃がす切欠き部を設けなくてもよくリッドの開状態での外観見栄えを維持できる。
第2に、リッドの開状態において、ホルダはリッド内面に起立する使用位置に切り換えられるため、特許文献2のごとくホルダを上下に移動する構造に比べ簡易性を維持でき、また、特許文献1のごとくホルダがリッドに対し水平に回動される構造に比べ形態例のごとく保持部及び脚部で構成し、脚部側を開口して物品の下部を開口を通ってリッド上に載置したり目視可能にしたり斬新性を付与し易くなる。
【0013】
第3に、ホルダがリンクによりリッドの開閉に連動して使用位置と非使用位置に確実に切り換えられる。この場合、リンクの一端がケースに回動自在に支持され、他端がリッドに設けられた溝部を通ってホルダに回動自在に支持されるため、例えば、リンクを形態のごとくリッドの外側面に配置して物品に当たる虞をなくしたり見栄えを維持可能となる。
【0014】
請求項2の発明では、ホルダがリッドの開状態でリッド自由端側に軸支され、リッドの閉状態でリッド上に倒れるため、ホルダの全寸を長く確保しても、リッド閉状態つまりホルダの非使用位置で邪魔になり難い。
【0015】
請求項3の発明では、ホルダがリッド上に起立した使用位置で、物品の周面に当接する保持部をリッドの自由端側より外へ突出配置するため、例えば被取付部としてインストルメントパネル等に手前側へ大きく突出する突起部があっても、該突起部に規制されることなく物品を保持できるようになる。この場合、請求項4の発明では、ホルダが保持部より下側へ延びてリッドに軸支される対の脚部を有し、脚部同士の間を開口して物品の下側部分を露出可能となっているため、図4に例示されるごとく物品の一部を開口の存在でリッドから手前側に逃がした状態で保持し、その結果、物品を被取付部からより離れた箇所で保持して前記したような突起部による規制から解放可能となる。
【0016】
請求項5の発明では、リッドがデッドロック用の反転ばね部材により開状態で開方向へ付勢され、閉状態で閉方向へ付勢されるため、ロック手段が不要となりリッドの不用意ながた付の虞もなくなる。同時に、リンクがばね部材により常に付勢されているためリンクのがた付の虞もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した収納装置をリッド開状態で示す概略的な斜視図である。
図2】(a)は上記収納装置をリッドの開状態で示す正面図、(b)は同収納装置の右側面図である。
図3】(a)は上記収納装置をリッドの閉状態で示す正面図、(b)は同収納装置の右側面図である。
図4】(a)は図2のA-A線断面図、(b)は図3のB-B線断面図である。
図5】上記収納装置の構成部材を示す概略的な分解斜視図である。
図6】ケース単品を示し、(a)はケースの正面図、(b)はケースの左側面図、(c)はケースの右側面図である。
図7】リッド単品を示し、(a)はリッドを開状態にしたときの上面図、(b)はリッドの正面図、(c)はリッドの右側面図である。
図8】フェイス単品を示し、(a)はフェイスの上面図、(b)はフェイスの正面図、(c)は(a)のC-C線断面図である。
図9】ホルダ単品を示し、(a)はホルダの正面図、(b)はホルダの下面図、(c)はホルダの右側面図である。
図10】フラップ単品を示し、(a)はフラップの上面図、(b)はフラップの下面図、(c)は(a)のD-D線断面図、(d)は(b)E-E線断面図である。
図11】(a)と(b)は特許文献1の図3図4を示している。
図12】(a)と(b)は特許文献2の図2図5を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好適な形態例を図面を参照しながら詳述する。この説明では、装置構造を述べた後、主な作動を利点と共に言及する。
【0019】
(装置構造)収納装置1は、図1図5に示されるごとく主な構成部材として、車室内の前席前方にあるインストルメントパネル18に固定されるケース2、及びケース2にビス9を介して回動可能に支持されてケースの開口を開閉するリッド3,並びにリッド3に装着されてリッドの底面側、両側面、前側を覆うフェイス4と、リッド3に回動可能に支持されてリッド3に載せられる物品17を倒れないようにするホルダ5と、ホルダ5とケース2とを接続してリッド3の開閉状態の切り換えにホルダ5の位置切り換えを連動させるリンク6A,6B(6)と、リッド3に載せられた物品17をホルダ5との間でより安定支持するフラップ7と、リッド3を開状態及び閉状態で反転して開方向と閉方向へ付勢可能な反転ばね部材10と、ケース2とリンク6の間に設けられたがた付吸収用のばね部材11とを備えている。
【0020】
なお、ケース2、リッド3、フェイス4、ホルダ5、リンク6、フラップ7は共に樹脂成形品からなるが、樹脂以外でも差し支えない。また、収納装置1は、被取付部であるインストルメントパネル18に設けられた凹所19に装着されるが、アームレストの一部や各種コンソールに一体的に装着する態様でもよい。
【0021】
ここで、ケース2は、図4図6示されるごとく手前側を開口した略矩形容器状からなり、内部20が上壁21と、下壁22と、両側壁23と、後壁24とで区画されている。上壁21と下壁22には取付部25a,25bが突設され、左側壁23には取付部25c,25dが突設されている。各取付部25a~25dは、収容装置1が凹所19に嵌合された状態で凹所内の対応部にネジ等により固定する箇所である。後壁24には、内下側にあって左右中間の窓24aと、窓24aの両側の窓24bとが設けられている。後壁24の内面には、窓24aの上側に突出した凸部24dと、上壁21と各側壁23の角部に突出した凸部24cと、凸部24dの上側に突出した小さな凸部24eとが設けられている。凸部24dにはフエルト等の緩衝材13が貼着され、各凸部24cには緩衝材14,15が貼着されている。各緩衝材13~15は部材同士が擦れて傷の発生を防ぐ保護用部材である。
【0022】
また、下壁22の内面には窓24aの手前に突設された支持部26が設けられている。支持部26の片側面には反転ばね部材10の一端10aを係止する軸部27が設けられている。両側壁23には、リッド3の回動を案内する円弧状のガイド溝23aと、リッド3の回転中心となる支持穴28と、支持穴28の上側に突出されてリンク6の一端を枢支する軸部29とが対向して設けられている。支持穴28には筒状カラー8が装着されると共に、ピン9がカラー8の内径を通って側壁23の外側から内側に挿通される。
【0023】
リッド3は、図4図7示されるごとくケース2の開口を開閉する板部30及び両側部31並びに背面部32を有し、背面部32と対向する手前側の前面壁を欠如している。板部30は、背面部32側から前後略中間まで厚い板部分30a、その手前側が一段低くなった薄い板部分30bとなっていて、物品が薄い板部分30bで受け止める設定である。厚い板部分30a及び背面部32には、左右中間部を切り欠いた矩形の開口33が設けられている。開口33の左右には片部34が対向して設けられている。各片部34は、対向内面に同軸線上に設けられた軸部34aを有している。両軸部34aには後述するフラップ7が回動可能に支持される。背面部32には、四カ所に穴部32aが設けられている。両側の穴部32aは後述する被係合部36bを露出し、左側から二番目の穴部32aには反転ばね部材10の他端10bを係止する軸部32bを露出している。
【0024】
また、両側部31は、後上側に設けられてケースのガイド溝23aに嵌合する突起35と、突起35の下側に設けられて支持穴28にカラー8を介して挿入されるピン9に嵌合される穴部37と、穴部37の後側に設けられてフェイス4の爪状係合部46aが係合する被係合部36bと、手前側の上側に設けられて同軸線上に貫通された軸孔38と、軸孔38を中心とした円弧溝39と、円弧溝39の下側に設けられてフェイス4の係合部46bと係合する被係合部36aとを有している。右側の側部31には、図7(c)のごとく前後略中間部に突出されてがた付吸収用のばね部材11を配置する矩形の受け部31bと、その下側に位置してばね部材11の一端11aを係止する係止穴31cとが設けられている。受け部31bには、ばね部材11を動き易くするフェルト等の緩衝材16(図5を参照)が必要に応じて貼着される。なお、符号30cは板部30の下面前側に突設された一対の規制片30cである。この規制片30cは、フェイス4をリッド3に組み付ける際にフェイス側のリブ44cに当たってフェイス4をリッド3に位置決めする。
【0025】
すなわち、フェイス4は、リッド3の下面側を覆う板部40と、板部40の手前側を突出形成した操作部41と、板部40の後側に突出された後壁部42と、板部40の両側に突出されて前から後側に延びている側部43と、板部40の内面に突出されてリッドの開口33に嵌合するリブ44aと、板部40の内面に突出された複数の補強用リブ44bと、板部40の内面の手前側左右中間に突出されてリッドの規制片30cに嵌合するリブ44cと、後壁部42の両側から側面側に突出された突出部47とを有している。また、両側の突出部47には爪状の係合部46aが対向して設けられている。両側部43には、前上側に軸状係合部45が設けられ、係合部45の下側に片状係合部46bが設けられている。
【0026】
以上のフェイス4は、リッド3に対しリブ44aが開口33に、リブ44cが規制片30cに嵌合し位置決めされ、同時に、リッド側の被係合部36bに後左右の係合部46aが係合し、リッド側の被係合部36aに前左右の係合部46bが係合し、リッド側の軸状係合部45がフェイスの対応部に係合した状態で組み付けられる。その際は、リンク6A,6Bの他端に設けられた軸部6aがリッド側の円弧溝39に遊挿され、更にホルダ5の脚部51に設けられた嵌合孔54に嵌合される。また、ばね部材11は巻線部の一端11aが係止穴31cに係止され、他端11bが付勢力に抗してリンク6Aの係止孔6cに係止される。
【0027】
ここで、ホルダ5は、半筒状をなし、上側が円弧状保持部50に形成されると共に、下側が保持部50の下両側に突出した左右の脚部51となっている。保持部50は、物品17の周囲部分を受け止め倒れないよう拘束したり保持する形状である。脚部51は、リッドの側壁31の手前側に回動可能に支持される。詳細すると、各脚部51の外面には、リッド側の軸孔38に枢支される溝54付きの軸部53と、後述するリンク側の軸部6bに嵌合される孔部57を区画している筒部56とが設けられている。すなわち、軸部53は、複数の溝4を有していると共に、溝同士の間の軸部分の先端に爪部54を形成している。この構成は、軸部53を軸孔38に嵌合した状態で爪部55の存在により不用意に嵌合解除されないようにする。筒部56の下側には筒部外周に連接された円弧状の受け部58が設けられている(図5の拡大図を参照)。この構成は、軸部6bの先端が筒部の孔部57から外へ突出したときに受け部58で軸部先端を支持されるようにする。
【0028】
換言すると、ホルダ5は、図2図4に示されるごとくリッド3に対し軸部53がリッド側壁の軸孔38に回動可能に枢支された状態で、リッド上に倒れる非使用位置とリッド上に略垂直に起立される使用位置とに切り換え可能に組み付けられる。また、ホルダ5はリッド3の自由端側に軸孔38と軸部53の嵌合により回動可能に軸支され、また、ホルダ5はリンク6A,6Bを介してリッド3の開閉作動に連動して非使用位置と使用位置とに切り換えられる。そして、ホルダ5は、リッド3上に起立した使用位置で、物品17の周面に当接する保持部50がリッド3の自由端側より外へ突出配置する。また、ホルダ5は、保持部50より下側へ延びてリッドに軸支される対の脚部51が間を開口52しているため物品17の下側部分が目視可能に露出される。
【0029】
リンク6A,6Bは、ホルダ5とケース2とを接続して、リッド3の開閉状態の切り換えにホルダ5の位置切り換えを連動させる部材である。両者は、内外面に摺動し易くする複数のリブが設けられると共に、一端がケース側の軸部29に嵌合する嵌合孔6aを形成し、他端がリッド側の円弧状の溝部39に遊挿する軸部6bを突設している点で同じ。リンク6Aには、図5に示されるごとくリンク6Bにないばね部材の他端11bを係止する係止孔6cが前後略中間に設けられている。
【0030】
フラップ7は、図4図10に示されるごとくリッドの片部34同士の間に配置される比較的小さな矩形板状をなし、板部7aの後両側に設けられて各片部の軸部34aに嵌合する穴部7bと、板部7aの上面において保持対象の物品等を彫刻したり印刷シートを貼着する窪み部7c、及び後端面の両側に突出されて開口33の対応部に当たるリブ7dと、板部7aの下面において一側から他側に向けて突出された突起部7jと、突起部7jに設けられてばね部材12の一端12aを係止する凹部7e、及び前側に設けられてばね部材12の他端12bを付勢力に抗して係止する凹部7fとを有している。このフラップ7は、リッドに対し通常はリッド側の対の軸部34aに対応する穴部7bが嵌合し、その後、ばね部材12が巻線部の一端12aが凹部7eに係止し、かつ、他端12bが付勢力を発現しながら凹部7fに係止した状態に組み付けられて略水平に付勢保持されている。そして、フラップ7は、物品17に押されて下向きに傾斜した状態で物品17を保持部50との間で拘束保持する。
【0031】
以上の構造では、例えば、リッド3に対しホルダ5、リンク6A,6B、ばね部材11、フラップ7、ばね部材12を組み付けた状態で、ケース2に組み込まれる。この場合、リッド3は、ケース2に対し両側の突起35を対応するガイド溝23aに嵌合し、リンク6A,6Bの嵌合穴6aをケースの軸部29に嵌合し、更に両側の穴部37を対応するケースの支持穴28に重ねた状態でケース外側よりカラー8及びビス9を支持穴28、穴部37に嵌合させることにより、リッドの使用状態と非使用状態に回動可能に組み付けられる。
【0032】
そして、リッド3は、ビス9を支点として回動可能となり、ガイド溝23aの軌跡に沿って回動される。ガイド溝23aはリッド3を略90度だけ回動させる。また、この構造では、反転ばね部材が一端10aをケースの軸部27に係止し、他端10bをリッドの軸部32bに係止した状態に組み付けられる。作成された収納装置1は、図4から推察されるごとく被取付部であるインストルメントパネル18に設けられる凹所19に組み込まれ、取付部25a~25dが凹所19内に設けられる不図示の固定部にネジ等を使用して固定される。
【0033】
(作動)次に、以上の収納装置1を使用する場合の作動及び利点を明らかにする。
(1)、物品17を収納装置1に保持する場合は、リッド3を図3図4(b)の閉状態から、操作部41を掴んで開方向へ反転ばね部材10の付勢力に抗して回動操作する。すると、リッド3は、開方向への回動途中で、図2図4(a)に示されるごとく反転ばね部材10が付勢方向を反転して付勢力で開状態に切り換えられる。開状態では、突起35がガイド溝23aの上側端面に当接している。この例では、リッド3の回動範囲が突起35とガイド溝23aの円弧により規制されるが、リッド3が被取付部であるインストルメントパネル18に対し斜め下向きになるよう設定されている。このため、物品17は、図4(a)のごとくリッドの板部30で物品底面が受け止められ、かつ、ホルダ5の円弧状の保持部50で物品の周囲部分が受け止められて所定傾斜角で保持される。つまり、物品17は、上側が下側よりインストルメントパネル18からより離れる姿勢となる。この構成は、乗員が物品17を取り出すときに、物品17が垂直に保持されるよりも操作し易くなる。
【0034】
(2)、物品を保持する際は、フラップ7が物品で押されてばね部材12の付勢力に抗して下向きに回動され、物品17の周囲を保持部50との間に拘束する。すなわち、フラップ7は、ばね部材12の付勢力で常に略水平姿勢であり、物品17などでばね部材12の付勢力に抗して押されることで斜め下向き姿勢になると共に、押し力が解放されると、再び元の略水平姿勢となる。また、リッド3を開から閉状態に切り換える場合は、反転ばね部材10の付勢力に抗して操作部41を手で閉じ方向へ押す。すると、リッド3は、閉方向への回動途中で、反転ばね部材10が付勢方向を反転して付勢力で閉状態に切り換えられる。リッド3は、開状態及び閉状態で共に反転ばね部材12の付勢力を受けているため、不用意ながた付きがなく、引用文献2のようなロック手段も不要となる。
【0035】
(3)、以上の収納装置1では、ホルダ5がリンク6A,6Bによりリッド3の開閉に連動して使用位置と非使用位置に確実かつスムースに切り換えられる。また、リッド5は、ケースの軸部29に対しリンクの一端に設けた穴部6aを嵌合した状態で回動自在に支持され、リンクの他端に設けた軸部6bをケースの溝部39からホルダの孔部57に嵌合した状態で回動自在に支持される。なお、軸部6bの先端は穴部57から突出されて受け部58で安定支持される。また、この構造では、各リンク6A,6Bがリッド3の外側面に配置され、溝部39を通ってホルダ5に回動自在に支持されるため、物品に当たる虞をなくしたり見栄えを維持可能となる。
【0036】
(4)、加えて、この収納装置1では、ホルダ5がリッド3の開状態でリッド自由端側に軸支され、リッド3の閉状態でリッド上に倒れるため、ホルダ5の全寸を長く確保しても、ホルダ5がリッド3の閉状態つまりホルダ5の非使用位置で邪魔になり難い。また、収納装置1では、ホルダ5がリッド3上に起立した使用位置で、図4(a)のごとく物品17の周面に当接する保持部50をリッド3の自由端側より外へ突出配置する。このため、この構造では、例えば被取付部としてインストルメントパネル18に手前側へ大きく突出する突起部があっても、該突起部に規制されることなく物品を保持できる。
【0037】
(5)、しかも、この構造では、ホルダ5が図2(b)のごとく保持部50より下側へ延びてリッド3に軸支される対の脚部51を有し、脚部51同士の間を開口52して物品17の下側部分をリッドの板部30上に移動したり露出可能となっている。このため、図4(a)に例示されるごとく物品17の一部を開口52の存在でリッド3から手前側に逃がした状態で保持でき、物品17を被取付部としてインストルメントパネル18からより離れた箇所で保持可能となる。その結果、インストルメントパネル18が前記したような突起部を有している形状であっても、物品の保持が規制されることがなくなる。
【0038】
(6)、更に、この構造では、リッド3がデッドロック用の反転ばね部材10により開状態で開方向へ付勢され、閉状態で閉方向へ付勢されるため、特許文献2に比べてロック手段が不要となりリッド3の不用意ながた付の虞もなくなる。一方、リンク6Aは、ばね部材11により常に付勢されているためリンク6Aのがた付の虞もなくなる。これらも収納装置1の使い勝手及び品質を向上させる。
【0039】
なお、以上の形態は本発明の基本例であり、細部構成については種々変形したり展開可能なものである。その一例を挙げれば、例えば、リンク6(6A,6B)は、形態例のごとく2本用いる構成に限られず、単一のリンクにすることも可能である。また、フラップ7は、省略してペッドボトルや携帯電話等の物品17をホルダの保持部50及びリッド3の間で保持することも可能である。この点は、特に、形態では図4(a)から分かるようにリッド4が使用状態で被取付部であるインストルメントパネル18に対し所定傾斜角で下斜めに傾くようにしたため、物品17はリッド3の内面に受け止められた状態で保持部50の円弧面で保持されるためフラップ7を省略しても物品を安定保持できる。また、リッドは、反転ばね部材により開状態と閉状態でそれぞれ開方向、閉方向へ付勢される構成でなくとも、特許文献2と同様に反転ばね部材に代えてロック手段を介して閉状態を保つようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・・・・・収納装置
2・・・・・・・・ケース(20は凹所)
3・・・・・・・・リッド(30は板部、31は側部、32は背面部)
4・・・・・・・・フェイス(41は操作部)
5・・・・・・・・ホルダ(50は保持部、51は脚部、52は開口)
6A(6)・・・・リンク(6aは嵌合穴、6bは軸部)
6B(6)・・・・リンク(6aは嵌合穴、6bは軸部)
7・・・・・・・・フラップ
10・・・・・・・反転ばね部材
11・・・・・・・がた付吸収用のばね部材
12・・・・・・・フラップ用のばね部材
17・・・・・・・容器や携帯電話等の物品
18・・・・・・・インストルメントパネル(被取付部)
39・・・・・・・溝部
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