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特許7581181回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ
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  • 特許-回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ 図1
  • 特許-回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ 図2
  • 特許-回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ 図3
  • 特許-回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20241105BHJP
   F04D 29/06 20060101ALI20241105BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20241105BHJP
   G01M 13/023 20190101ALI20241105BHJP
【FI】
F04D13/08 J
F04D13/08 R
F04D29/06
F04D29/60 B
G01M13/023
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021211743
(22)【出願日】2021-12-25
(65)【公開番号】P2023095707
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000151058
【氏名又は名称】株式会社電業社機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】池澤 勝志
(72)【発明者】
【氏名】稲木 喜良
(72)【発明者】
【氏名】横山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】関 祥行
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118520(JP,A)
【文献】特開昭64-032145(JP,A)
【文献】特開昭62-124316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
F04D 29/06
F04D 29/60
G01M 13/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのプーリーに巻き掛けられている回転ベルトの緩みを検知する回転ベルト緩み検知装置であって、
2つの前記プーリー間の前記前記回転ベルト上に回転可能に載置された遊動プーリーと、
前記遊動プーリーの回転軸に吊り下げられた錘部材と、
前記錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部とを備え
上端部に前記回転軸が回転可能に取り付けられていると共に下端部に前記錘部材が取り付けられた吊り下げ軸部材を備え、
前記緩み信号発信部が、前記吊り下げ軸部材に接続され前記吊り下げ軸部材の上下動に伴って上下するスイッチ用部材と、
前記スイッチ用部材の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチとを備え、
前記緩み信号発信部が、前記スイッチ用部材との間隔が異なる複数の前記マイクロスイッチを備えていることを特徴とする回転ベルト緩み検知装置。
【請求項2】
羽根車が取り付けられ回転駆動される主軸と、
軸受を介して前記主軸を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、
前記主軸に固定された主軸プーリーと、
前記軸受にグリースを供給するグリース供給機構とを備え、
前記グリース供給機構が、前記軸受へ前記グリースを供給するグリース供給流路と、
前記グリース供給流路に前記グリースを送り込むグリースポンプと、
前記グリースポンプの回転軸に固定されたグリースポンププーリーと、
前記主軸プーリーと前記グリースポンププーリーとに巻き掛けられている回転ベルトと、
前記回転ベルトの緩みを検知する転ベルト緩み検知装置とを備え
前記グリース供給機構が、前記軸受に供給された前記グリースを前記軸受から外部に排出するグリース排出流路と、
前記グリース排出流路に接続され前記信号を受信可能なグリース排出弁とを備え、
前記回転ベルト緩み検知装置が、2つのプーリーに巻き掛けられている回転ベルトの緩みを検知する回転ベルト緩み検知装置であって、2つの前記プーリー間の前記前記回転ベルト上に回転可能に載置された遊動プーリーと、前記遊動プーリーの回転軸に吊り下げられた錘部材と、前記錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部とを備え、
前記グリース排出弁が、前記信号を受信した際に閉まり前記グリースの排出を止めることを特徴とする横軸ポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載の横軸ポンプにおいて、
前記回転ベルト緩み検知装置が、上端部に前記回転軸が回転可能に取り付けられていると共に下端部に前記錘部材が取り付けられた吊り下げ軸部材を備え、
前記緩み信号発信部が、前記吊り下げ軸部材に接続され前記吊り下げ軸部材の上下動に伴って上下するスイッチ用部材と、
前記スイッチ用部材の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチとを備えていることを特徴とする横軸ポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の横軸ポンプにおいて、
前記緩み信号発信部が、前記スイッチ用部材との間隔が異なる複数の前記マイクロスイッチを備えていることを特徴とする横軸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ベルトの緩みを検知する回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
横軸ポンプでは、ケーシング内に配され羽根車が取り付けられた主軸を軸受(水中軸受)で回転可能に支持している。この横軸ポンプの軸受にはグリースがグリースポンプにより供給されている。このグリースポンプは、主軸を駆動する原動機側からの回転軸に固定されたプーリーとグリースポンプの回転軸に固定されたグリースポンプ側プーリーとに巻き掛けられると共に架け渡された回転ベルトを介して駆動される。
【0003】
しかしながら、グリースポンプを駆動する回転ベルトに緩みが生じると、プーリーが空転したり回転ベルトが外れたりする場合があり、グリースポンプによりグリースの供給が停止又は低下してしまうおそれがあった。このため、横軸ポンプの管理者は、運転前に回転ベルトの緩みや異常がないかの確認を行っている。
【0004】
回転ベルトの異常を検知するための従来技術として、たとえば特許文献1には、回転ベルトの表面が一定期間摺接することによって切断される糸状の検知素子と、検知素子が切断されると作動する報知手段とを備えた回転ベルトの緩み検知装置が記載されている。この装置では、回転ベルトの緩みが増大し、緩んだ回転ベルトの表面が検知素子に摺接し、一定期間摺接した後に検知素子が切断されると報知手段が作動することで、回転ベルトの緩みを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-39042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
特許文献1に記載の技術では、糸状の検知素子が切断されることで回転ベルトの緩みの増大を検出しているが、切断された検知素子は交換しなければ装置を再使用することができないという問題があった。また、緩んだ回転ベルトは大きく振動してしまうため、よりプーリーから外れやすくなってしまう問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、検知素子の交換などが不要で回転ベルトの緩みを検知可能であると共に緩んできた回転ベルトの振動も抑制可能な回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る回転ベルト緩み検知装置は、2つのプーリーに巻き掛けられている回転ベルトの緩みを検知する回転ベルト緩み検知装置であって、2つの前記プーリー間の前記回転ベルト上に回転可能に載置された遊動プーリーと、前記遊動プーリーの回転軸に吊り下げられた錘部材と、前記錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この回転ベルト緩み検知装置では、回転ベルト上に回転可能に載置された遊動プーリーと、遊動プーリーの回転軸に吊り下げられた錘部材と、錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部とを備えているので、回転ベルトの緩みに応じて錘部材の高さも下がるため、錘部材が一定以上下がった際に緩み信号発信部が信号を発信することで回転ベルトの緩みを検出することができる。
すなわち、錘部材の重さによって一定のテンションが回転ベルトに常に掛かっており、この状態で回転ベルトが緩むと、錘部材に接触している部分の回転ベルトがさらに下方に押し下げられると共に錘部材も下がる。この錘部材の高さ位置が一定以上下がると緩み信号発信部が警告の信号を発信し、回転ベルトの緩みを検出することができる。また、錘部材が回転ベルトに一定のテンションを加えていることで、回転ベルトが緩んできても大きく振動することを抑制可能である。さらに、錘部材の重さを調整することで、回転ベルトに加えるテンションも容易に調整することができ、用途や回転ベルトに応じた設定が可能である。
したがって、回転ベルトの緩みを自動的に検出でき、早期に回転ベルトの交換や調整が可能になると共に緩んできた回転ベルトの振動も抑制し、緩みによる回転ベルトの空転、外れや切断等を防止することができる。
【0010】
第2の発明に係る回転ベルト緩み検知装置は、第1の発明において、上端部に前記回転軸が回転可能に取り付けられていると共に下端部に前記錘部材が取り付けられた吊り下げ軸部材を備え、前記緩み信号発信部が、前記吊り下げ軸部材に接続され前記吊り下げ軸部材の上下動に伴って上下するスイッチ用部材と、前記スイッチ用部材の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチとを備えていることを特徴とする。
すなわち、この回転ベルト緩み検知装置では、スイッチ用部材の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチを備えているので、錘部材が一定以上下がった際にスイッチ用部材を介してマイクロスイッチが押されることで、簡易な機構により自動的に警告の信号を発信することができる。
【0011】
第3の発明に係る回転ベルト緩み検知装置は、第2の発明において、前記緩み信号発信部が、前記スイッチ用部材との間隔が異なる複数の前記マイクロスイッチを備えていることを特徴とする。
すなわち、この回転ベルト緩み検知装置では、緩み信号発信部が、スイッチ用部材との間隔が異なる複数のマイクロスイッチを備えているので、錘部材の高さに応じてスイッチ用部材に接触するマイクロスイッチを分けることができ、回転ベルトの緩み状態を初期状態や限界状態などに分けて段階的に複数のマイクロスイッチで検出することが可能になる。
【0012】
第4の発明に係る横軸ポンプは、羽根車が取り付けられ回転駆動される主軸と、軸受を介して前記主軸を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、前記主軸に固定された主軸プーリーと、前記軸受にグリースを供給するグリース供給機構とを備え、前記グリース供給機構が、前記軸受へ前記グリースを供給するグリース供給流路と、前記グリース供給流路に前記グリースを送り込むグリースポンプと、前記グリースポンプの回転軸に固定されたグリースポンププーリーと、前記主軸プーリーと前記グリースポンププーリーとに巻き掛けられている回転ベルトと、前記回転ベルトの緩みを検知する第1から第3の発明のいずれかの回転ベルト緩み検知装置とを備えていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、この横軸ポンプでは、回転ベルトの緩みを検知する第1から第3の発明のいずれかの回転ベルト緩み検知装置を備えているので、グリースポンプを駆動する回転ベルトの緩みを検知でき、回転ベルトが緩んで空転したり外れたりして軸受へのグリースの供給が停止してしまうことを防止可能である。
【0014】
第5の発明に係る横軸ポンプは、第4の発明において、前記グリース供給機構が、前記軸受に供給された前記グリースを前記軸受から外部に排出するグリース排出流路と、前記グリース排出流路に接続され前記信号を受信可能なグリース排出弁とを備え、前記グリース排出弁が、前記信号を受信した際に閉まり前記グリースの排出を止めることを特徴とする。
すなわち、この横軸ポンプでは、グリース排出弁が、信号を受信した際に閉まりグリースの排出を止めるので、回転ベルトが緩んでグリースポンプからのグリースの供給が停止又は低下しても、軸受内にグリースが潤滑油として留まることで、軸受の破損を防ぐことができる。特に、緩んだ回転ベルトの交換や調整が直ぐにできない状況でも、横軸ポンプを直ぐに停止せずにポンプの運転を短時間であれば保持することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の回転ベルト緩み検知装置によれば、回転ベルト上に回転可能に載置された遊動プーリーと、遊動プーリーの回転軸に吊り下げられた錘部材と、錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部とを備えているので、回転ベルトの緩みを自動的に検出でき、早期に回転ベルトの交換や調整が可能になると共に緩んできた回転ベルトの振動も抑制し、緩みによる回転ベルトの空転、外れや切断等を防止することができる。
また、本発明の横軸ポンプによれば、回転ベルトの緩みを検知する上記本発明の回転ベルト緩み検知装置を備えているので、グリースポンプを駆動する回転ベルトの緩みを検知でき、回転ベルトが緩んで空転したり外れたりして軸受へのグリースの供給が停止してしまうことを防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプの第1実施形態において、回転ベルト緩み検知装置を示す正面図である。
図2】第1実施形態において、横軸ポンプを示す要部の側面図である。
図3】第1実施形態において、横軸ポンプの軸受に対するグリースの流路を示す図である。
図4】本発明に係る回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプの第2実施形態において、回転ベルト緩み検知装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプの第1実施形態を、図1から図3に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態における回転ベルト緩み検知装置1は、図1に示すように、2つのプーリー(主軸プーリー11,グリースポンププーリー12)に巻き掛けられている回転ベルト2の緩みを検知する回転ベルト緩み検知装置であって、2つのプーリー(主軸プーリー11,グリースポンププーリー12)間の回転ベルト2上に回転可能に載置された遊動プーリー3と、遊動プーリー3の回転軸3aに吊り下げられた錘部材4と、錘部材4の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部5とを備えている。
【0019】
また、回転ベルト緩み検知装置1は、上端部に回転軸3aが回転可能に取り付けられていると共に下端部に錘部材4が取り付けられた吊り下げ軸部材6を備えている。
上記緩み信号発信部5は、吊り下げ軸部材6に接続され吊り下げ軸部材6の上下動に伴って上下するスイッチ用部材7と、スイッチ用部材7の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチ8とを備えている。
上記スイッチ用部材7は、自由端となる一端が吊り下げ軸部材6に接続されておりカンチレバー的に機能する。
【0020】
上記遊動プーリー3は、自重と錘部材4の重さとによって回転ベルト2の中間部を下方に押し下げていると共に、回転する回転ベルト2上を水平方向定位置で転がるように設けられている。
上記錘部材4は、異なる重さのものに交換可能に吊り下げ軸部材6の下端に取り付けられている。
【0021】
また、本実施形態の横軸ポンプ10は、図1から図3に示すように、羽根車13が取り付けられ回転駆動される主軸14と、軸受15(水中軸受)を介して主軸14を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口(図示略)を端部に有したケーシング16と、主軸14に固定された主軸プーリー11と、軸受15にグリースを供給するグリース供給機構17とを備えている。
【0022】
上記グリース供給機構17は、軸受15へグリースを供給するグリース供給流路17aと、グリース供給流路17aにグリースを送り込むグリースポンプ17bと、グリースポンプ17bの回転軸17cに固定されたグリースポンププーリー12と、主軸プーリー11とグリースポンププーリー12とに巻き掛けられている回転ベルト2と、回転ベルト2の緩みを検知する上記回転ベルト緩み検知装置1とを備えている。
【0023】
また、グリース供給機構17は、軸受15に供給されたグリースを軸受15から外部(ケーシング16外)に排出するグリース排出流路17dと、グリース排出流路17dに接続され前記信号を受信可能なグリース排出弁17eとを備えている。
上記グリース排出弁17eは、前記信号を受信した際に閉まりグリースの排出を止めるように設定されている。
また、グリース排出弁17eは、マイクロスイッチ8と有線又は無線で接続され前記信号を受信可能となっている。
【0024】
上記グリース供給流路17aは、グリースポンプ17bに一端が接続され、グリースポンプ17bからケーシング16の外側に配されて延在しており、途中に接続されたグリース供給弁17f及びグリース導入出部17gを介してケーシング16内の軸受15に接続されている。
上記グリース導入出部17gは、図3に示すように、ケーシング16の内外に貫通しグリース供給流路17aとグリース排出流路17dとに接続される2本の流通孔である。
また、グリース排出流路17dは、一端が軸受15に接続され、グリース導入出部17gを介してケーシング16外に配され、他端がグリース排出弁17eを介してグリース排出箱17hに接続されている。
【0025】
すなわち、グリースポンプ17bからグリース排出流路17dに圧入、供給されたグリースは、グリース供給弁17f及びグリース導入出部17gを介してケーシング16内の軸受15に供給される。さらに、軸受15に供給されたグリースは、軸シールによって軸受15外の流水領域へ流出することなく、その後グリース排出流路17dを通ってグリース導入出部17gを介してケーシング16外に送り出され、グリース排出弁17eを介してグリース排出箱17hに排出、回収される。
【0026】
上記マイクロスイッチ8は、ケーシング16の軸受支え部16aに固定された台座8a上に設置されている。
上記スイッチ用部材7は、一端が吊り下げ軸部材6の途中に回動可能に取り付けられていると共に他端が台座8a上に回動可能に取り付けられ、吊り下げ軸部材6に対して交差する方向に延在している棒部材である。
マイクロスイッチ8は、スイッチ用部材7の途中の直下に配置され、マイクロスイッチ8とスイッチ用部材7との間隔は、検出する回転ベルト2の緩みに応じて設定される。
【0027】
このように本実施形態の回転ベルト緩み検知装置1では、回転ベルト2上に回転可能に載置された遊動プーリー3と、遊動プーリー3の回転軸3aに吊り下げられた錘部材4と、錘部材4の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部5とを備えているので、回転ベルト2の緩みに応じて錘部材4の高さも下がるため、錘部材4が一定以上下がった際に緩み信号発信部5が信号を発信することで回転ベルト2の緩みを検出することができる。
【0028】
すなわち、錘部材4の重さによって一定のテンションが回転ベルト2に常に掛かっており、この状態で回転ベルト2が緩むと、錘部材4に接触している部分の回転ベルト2がさらに下方に押し下げられると共に錘部材4も下がる。この錘部材4の高さ位置が一定以上下がると緩み信号発信部5が警告の信号を発信し、回転ベルト2の緩みを検出することができる。また、錘部材4が回転ベルト2に一定のテンションを加えていることで、回転ベルト2が緩んできても大きく振動することを抑制可能である。
【0029】
さらに、錘部材4の重さを調整することで、回転ベルト2に加えるテンションも容易に調整することができ、用途や回転ベルト2に応じた設定が可能である。
したがって、本実施形態の回転ベルト緩み検知装置1では、回転ベルト2の緩みを自動的に検出でき、早期に回転ベルト2の交換や調整が可能になると共に緩んできた回転ベルト2の振動も抑制し、緩みによる回転ベルト2の空転、外れや切断等を防止することができる。
【0030】
また、スイッチ用部材7の下方に間隔を空けて設置されたマイクロスイッチ8を備えているので、錘部材4が一定以上下がった際にスイッチ用部材7を介してマイクロスイッチ8が押されることで、簡易な機構により自動的に警告の信号を発信することができる。
回転ベルトの緩みを検知する第1から第3の発明のいずれかの回転ベルト緩み検知装置を備えているので、グリースポンプを駆動する回転ベルトの緩みを検知でき、回転ベルトが緩んで空転したり外れたりして軸受へのグリースの供給が停止してしまうことを防止可能である。
【0031】
また、本実施形態の横軸ポンプ10は、回転ベルト2の緩みを検知する上記回転ベルト緩み検知装置1を備えているので、グリースポンプ17bを駆動する回転ベルト2の緩みを検知でき、回転ベルト2が緩んで空転したり外れたりして軸受15へのグリースの供給が停止してしまうことを防止可能である。
【0032】
さらに、グリース排出弁17eが、緩み信号発信部5からの信号を受信した際に閉まりグリースの排出を止めるので、回転ベルト2が緩んでグリースポンプ17bからのグリースの供給が停止又は低下しても、軸受15内にグリースが潤滑油として留まることで、軸受15の破損を防ぐことができる。特に、緩んだ回転ベルト2の交換や調整が直ぐにできない状況でも、横軸ポンプ10を直ぐに停止せずにポンプの運転を短時間であれば保持することが可能になる。
【0033】
次に、本発明に係る回転ベルト緩み検知装置及びこれを備えた横軸ポンプの第2実施形態について、図4を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、緩み信号発信部5が1つのマイクロスイッチ8により回転ベルト2の緩みを検知しているのに対し、第2実施形態の回転ベルト緩み検知装置21及びこれを備えた横軸ポンプでは、図4に示すように、緩み信号発信部25が、スイッチ用部材7との間隔が異なる複数のマイクロスイッチ28A,28Bを備えている点である。
【0035】
すなわち、第2実施形態では、スイッチ用部材7との間隔が相対的に近いマイクロスイッチ28Aと、スイッチ用部材7との間隔が相対的遠いマイクロスイッチ28Bとが台座8a上に設置されている。
したがって、回転ベルト2が緩むと最初にマイクロスイッチ28Aにスイッチ用部材7が接触してマイクロスイッチ28Aから信号が発信され、さらに大きく回転ベルト2が緩むと次にマイクロスイッチ28Bにスイッチ用部材7が接触してマイクロスイッチ28Bから信号が発信される。
【0036】
このように回転ベルト2の緩みに応じて2段階で信号が発信される。
例えば、マイクロスイッチ28Aを回転ベルト2の初期の緩みが発生した際の警告信号用に設置し、マイクロスイッチ28Bを回転ベルト2の緩みの増大又は切断の検知信号用に設置する。
なお、本実施形態では、2つのマイクロスイッチ28A,28Bを設置したが、3つ以上のマイクロスイッチを設置しても構わない。
【0037】
このように第2実施形態の回転ベルト緩み検知装置21及びこれを備えた横軸ポンプでは、緩み信号発信部25が、スイッチ用部材7との間隔が異なる複数のマイクロスイッチ28A,28Bを備えているので、錘部材4の高さに応じてスイッチ用部材7に接触するマイクロスイッチを分けることができ、回転ベルト2の緩み状態を初期状態や限界状態などに分けて段階的に複数のマイクロスイッチ28A,28Bで検出することが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態のように、マイクロスイッチを使用した簡易な構成の緩み信号発信部を採用することが好ましいが、他の方式の緩み信号発信部を採用しても構わない。例えば、錘部材の高さ位置をレーザ光によって検出し、錘部材の高さが一定以上下がった際に信号を発信する緩み信号発信部などを採用しても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1,21…回転ベルト緩み検知装置、2…回転ベルト、3…遊動プーリー、4…錘部材、5,25…緩み信号発信部、6…吊り下げ軸部材、7…スイッチ用部材、8,28A,28B…マイクロスイッチ、10…横軸ポンプ、11…主軸プーリー、12…グリースポンププーリー、13…羽根車、14…主軸、15…軸受、16…ケーシング、17…グリース供給機構、17a…グリース供給流路、17b…グリースポンプ、17d…グリース排出流路、17e…グリース排出弁
図1
図2
図3
図4