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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】動力伝達装置及び電力装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/46 20060101AFI20241105BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20241105BHJP
   F16F 7/06 20060101ALI20241105BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M10/46 101
F16F7/00 E
F16F7/06
H02J7/00 301B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021520834
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 JP2020020038
(87)【国際公開番号】W WO2020235618
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019095586
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】松永 淳
(72)【発明者】
【氏名】関 俊也
(72)【発明者】
【氏名】安田 順司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
(72)【発明者】
【氏名】松元 隆志
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-331219(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064563(WO,A1)
【文献】特開2013-063054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/46
F16F 7/00
F16F 7/06
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ相対移動可能であって、かつ、互いに動力伝達可能に機械的に接続される第1の部材(204、206)、第2の部材(210、212)及び第3の部材(202)を有する動力伝達装置(200)であって、
前記第1の部材と前記第2の部材との動力伝達経路である第1の動力伝達経路上に配置される第1の弾性部材(208)と、
前記第1の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第2の動力伝達経路上に配置される第2の弾性部材(216)と、
前記第2の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第3の動力伝達経路上に配置される緩衝部材(214)と、
を有し、
前記第1の部材は、前記動力伝達装置の外部からの力が入力される入力部(204)を有し、
前記第2の部材は、前記動力伝達装置の外部に対して力を出力する出力部(212)を有する、動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ回動可能に設けられる、動力伝達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の部材の回動軸と前記第2の部材の回動軸とは、同一の軸線上に配置される、動力伝達装置。
【請求項4】
請求項3に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の弾性部材は、前記第1の部材の回動方向及び前記第2の部材の回動方向に弾性を有し、前記軸線周りに円周状に形成される第1の円周部(208a)を有する、動力伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の弾性部材は、前記軸線方向において、前記第1の部材及び前記第2の部材と重なり合うように配置される、動力伝達装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の円周部の径方向外側に配置される円筒部材(242)を有する、動力伝達装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記第2の弾性部材は、前記第1の部材の回動方向及び前記第3の部材の回動方向に弾性を有し、前記軸線周りに円周状に形成される第2の円周部(216a)を有する、動力伝達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の動力伝達装置であって、
前記第2の弾性部材は、前記軸線方向において、前記第1の弾性部材と重なり合うように配置される、動力伝達装置。
【請求項9】
請求項3~8のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の部材は、前記軸線方向に延在し、中空状に形成される第1の筒部(206)を有する、動力伝達装置。
【請求項10】
請求項9に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の弾性部材は、少なくとも一部が前記第1の筒部の内側に収容されるように配置される、動力伝達装置。
【請求項11】
請求項4又は5に記載の動力伝達装置であって、
前記第3の部材は、前記軸線方向に延在し、中空状に形成される第2の筒部(234)を有し、
前記第2の筒部は、前記第1の円周部の径方向内側に挿入されて配置される、動力伝達装置。
【請求項12】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記第2の部材は、軸線方向に延在する軸部(210)を有し、
前記出力部は、前記軸部の一方側に接続され、
前記緩衝部材は、前記軸部の他方側に接続される、動力伝達装置。
【請求項13】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記入力部は、前記軸部の一方側に配置される、動力伝達装置。
【請求項14】
請求項1、12、13のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって
線方向視において、前記第1の部材の回動中心と前記入力部とが、前記入力部に力が入力される方向においてオフセットして配置される、動力伝達装置。
【請求項15】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記入力部は、前記入力部に力が入力される方向に沿って延びる延伸部(218a)と、該延伸部から前記第1の部材の回動中心に向かって湾曲する湾曲部(218b)と、を有する、動力伝達装置。
【請求項16】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の部材の一方向への回動を規制する規制部(256a)を有し、
前記第2の弾性部材は、前記第1の部材を前記一方向に付勢するように配置され、
前記入力部は、前記延伸部と前記規制部とが当接するように配置される、動力伝達装置。
【請求項17】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記規制部は、前記第1の部材が回動可能に挿通する穴部(256)に設けられ、
前記第1の部材は、前記穴部の少なくとも一部を覆う覆蓋部(215)を有する、動力伝達装置。
【請求項18】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記第2の部材が前記一方向に回動する場合に、前記緩衝部材から前記第2の部材に減衰力が作用せず、
前記第2の部材が他方向に回動する場合に、前記緩衝部材から前記第2の部材には減衰力が作用する、動力伝達装置。
【請求項19】
請求項1、12~18のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記動力伝達装置は、電力装置(10)に配置され、
前記入力部は、前記電力装置に対して着脱可能な蓄電装置(16)から力が入力されるように配置され、
前記出力部は、前記蓄電装置の端子(272)と接続される前記電力装置の端子(274)に対して力を出力するように配置される、動力伝達装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、トーションばね又はねじりばねである、動力伝達装置。
【請求項21】
請求項4~6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記第2の部材は、前記軸線方向に延在する軸部を有し、
前記軸部は、前記第1の円周部に挿入されて配置される、動力伝達装置。
【請求項22】
請求項9又は10に記載の動力伝達装置であって、
前記第3の部材は、前記軸線方向に延在し、中空状に形成された第3の筒部(232)を有し、
前記第1の筒部は、前記第3の筒部内に挿入され、前記第3の筒部に前記軸線周りに回動可能に支持されている、動力伝達装置。
【請求項23】
それぞれ相対移動可能であって、かつ、互いに動力伝達可能に機械的に接続される第1の部材、第2の部材及び第3の部材を有する動力伝達装置を備える電力装置であって、
前記第1の部材と前記第2の部材との動力伝達経路である第1の動力伝達経路上に配置される第1の弾性部材と、
前記第1の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第2の動力伝達経路上に配置される第2の弾性部材と、
前記第2の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第3の動力伝達経路上に配置される緩衝部材と、
を備え、
前記第1の部材は、前記電力装置に対して着脱可能な蓄電装置からの力が入力される入力部を有し、
前記第2の部材は、前記蓄電装置の端子と接続される前記電力装置の端子に対して力を出力する出力部を有する、電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力を伝達する動力伝達装置、及び、動力伝達装置が配置された電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6286084号公報には、モバイルバッテリのコネクタと、ハウジング内のコネクタホルダのコネクタとが接続されるものが開示されている。
【0003】
特開2019-068552号公報には、充電式バッテリのプラグ差込口に、収容室内の充電プラグが差し込まれるものが開示されている。
【発明の概要】
【0004】
上記の特許第6286084号公報及び特開2019-068552号公報に開示された技術では、想定しない高速なバッテリの運動が生じると、コネクタや充電プラグに過大な外力が加わるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、過大な外力の伝達を抑制することができる動力伝達装置及び電力装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の第1の態様は、それぞれ相対移動可能であって、かつ、互いに動力伝達可能に機械的に接続される第1の部材、第2の部材及び第3の部材を有する動力伝達装置であって、前記第1の部材と前記第2の部材との動力伝達経路である第1の動力伝達経路上に配置される第1の弾性部材と、前記第1の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第2の動力伝達経路上に配置される第2の弾性部材と、前記第2の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第3の動力伝達経路上に配置される緩衝部材と、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様は、それぞれ相対移動可能であって、かつ、互いに動力伝達可能に機械的に接続される第1の部材、第2の部材及び第3の部材を有する動力伝達装置が配置された電力装置であって、前記第1の部材と前記第2の部材との動力伝達経路である第1の動力伝達経路上に配置される第1の弾性部材と、前記第1の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第2の動力伝達経路上に配置される第2の弾性部材と、前記第2の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第3の動力伝達経路上に配置される緩衝部材と、を有し、前記第1の部材は、前記動力伝達装置の外部からの力が入力される入力部を有し、前記第2の部材は、前記動力伝達装置の外部に対して力を出力する出力部を有し、
【0008】
前記入力部は、前記電力装置に対して着脱可能な蓄電装置から力が入力されるように配置され、前記出力部は、前記蓄電装置の端子と接続される電力装置の端子に対して力を出力するように配置される。
【0009】
本発明により、過大な外力の伝達を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。
図2】一実施形態による充電給電装置の筐体に対応する直方体のモデルを示す図である。
図3】一実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。
図4】一実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。
図5図5A図5Fは、一実施形態による充電給電装置を示す六面図である。
図6】一実施形態による充電給電装置を示す断面図である。
図7】一実施形態による充電給電装置を示す断面斜視図である。
図8】一実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。
図9】一実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。
図10】筐体の下面側に備えられている部材を示す図である。
図11図11A図11Cは、水の流れを概念的に示す図である。
図12図12及び図12Bは、一実施形態による充電給電装置を示す図である。
図13図13A図13Fは、一実施形態による充電給電装置を示す六面図である。
図14】一実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。
図15】筐体を傾けた状態を示す図である。
図16】一実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。
図17】一実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。
図18】一実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。
図19】収容室に対するバッテリの挿抜の例を示す図である。
図20】収容室に対するバッテリの挿入の例を示す図である。
図21】収容室に対するバッテリの挿入の例を示す図である。
図22】一実施形態による動力伝達装置を示す斜視図である。
図23】一実施形態による動力伝達装置を示す上面図である。
図24】一実施形態による動力伝達装置を示す側面図である。
図25】一実施形態による動力伝達装置を示す側面図である。
図26】一実施形態による動力伝達装置を示す断面図である。
図27】変形例の動力伝達装置を示す断面斜視図である。
図28図28A及び図28Bは動力伝達装置の模式図である。
図29図29A及び図29Bは動力伝達装置の模式図である。
図30図30A図30Dは動力伝達装置の力学的等価モデルである。
図31】コネクタユニットの断面図である。
図32図32A図32Eはコネクタユニットの力学的等価モデルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による動力伝達装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0012】
[一実施形態]
一実施形態による充電給電装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、充電給電装置10には、筐体(ケーシング)12が備えられている。筐体12の形状は、略多面体状、より具体的には、略直方体状である。図1に示すように、筐体12の各々の頂点及び各々の辺は、面取りされたような形状、即ち、湾曲形状をなしている。充電給電装置10は本発明の電力装置に相当する。
【0014】
図2は、本実施形態による充電給電装置の筐体に対応する直方体のモデルを示す図である。図2に示すように、筐体12に対応する直方体23には、下面(底面)18Aと、上面18Bと、左側面(側面)18Cと、右側面(側面)18Dと、前面(前側面、側面)18Eと、後面(後側面、側面)18Fとが備えられている。面一般について説明する際には、符号18を用い、個々の面について説明する際には、符号18A~18Fを用いる。
【0015】
左側面18C、右側面18D、前面18E、及び、後面18Fは、下面18Aから折曲されて連なっている。また、左側面18C、右側面18D、前面18E、及び、後面18Fは、上面18Bから折曲されて連なっている。下面18Aと上面18Bとは、互いに沿っている、即ち、互いに平行になっている。即ち、下面18Aの法線方向と、上面18Bの法線方向とは、互いに沿っている。左側面18Cと右側面18Dとは、互いに沿っている。換言すれば、左側面18Cの法線方向と、右側面18Dの法線方向とは、互いに沿っている。前面18Eと後面18Fとは、互いに沿っている。換言すれば、前面18Eの法線方向と、後面18Fの法線方向とは、互いに沿っている。
【0016】
左側面18Cから右側面18Dに向かう方向、又は、右側面18Dから左側面18Cに向かう方向を、幅方向、即ち、X方向とする。前面18Eから後面18Fに向かう方向、又は、後面18Fから前面18Eに向かう方向を、奥行き方向、即ち、Y方向とする。下面18Aから上面18Bに向かう方向、又は、上面18Bから下面18Aに向かう方向を、高さ方向、即ち、Z方向とする。
【0017】
筐体12に対応する直方体23には、12個の辺20A~20Lが備えられている。辺20Aは、上面18Bと後面18Fとが交わる部位(部分、箇所)に位置している。辺20Bは、上面18Bと前面18Eとが交わる部位に位置している。辺20Cは、下面18Aと前面18Eとが交わる部位に位置している。辺20Dは、下面18Aと後面18Fとが交わる部位に位置している。辺20A~20Dは、互いに沿っている。
【0018】
辺20Eは、上面18Bと左側面18Cとが交わる部位に位置している。辺20Fは、下面18Aと左側面18Cとが交わる部位に位置している。辺20Gは、下面18Aと右側面18Dとが交わる部位に位置している。辺20Hは、右側面18Dと上面18Bとが交わる部位に位置している。辺20E~20Hは、互いに沿っている。
【0019】
辺20Iは、前面18Eと左側面18Cとが交わる部位に位置している。辺20Jは、左側面18Cと後面18Fとが交わる部位に位置している。辺20Kは、後面18Fと右側面18Dとが交わる部位に位置している。辺20Lは、前面18Eと右側面18Dとが交わる部位に位置している。辺20I~20Lは、互いに沿っている。
【0020】
図3は、本実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。図3に示すように、筐体12には、収容室14(収容部)が備えられている。収容室14内には、バッテリ(収容物)16が収容され得る。バッテリ16は、収容室14に対して挿抜し得る。バッテリ16は本発明の蓄電装置に相当する。
【0021】
図1及び図3に示すように、筐体12の上部には、収容室14に連なる開口14aを覆う覆蓋部(覆蓋部材、カバー)32が備えられている。覆蓋部32には、開ボタン33が備えられている。開ボタン33がユーザによって押されると、覆蓋部32を開くようになっている。図1には、覆蓋部32が閉じられた状態が示されている。図3には、覆蓋部32が開かれた状態が示されている。図1に示すように、覆蓋部32には、バッテリ16の残量を示すためのインジケータ30が備えられている。覆蓋部32は、上面18Bに備えられた回動軸31(図8参照)を中心として回動可能である。かかる回動軸31は、後述する凹部24側に備えられている。覆蓋部32が回動軸31を中心として回動することにより、収容室14を開閉し得る。図3に示すように、覆蓋部32が開かれている際、ユーザは、バッテリ16を収容室14に対して挿抜し得る。図1に示すように、覆蓋部32が閉じられている際、覆蓋部32の一端は、後面18Fの上端に近接する。換言すれば、覆蓋部32が閉じられている際、覆蓋部32の一端は、辺20Aに対応する部位の近傍に位置する。覆蓋部32には、湾曲部32aが備えられている。覆蓋部32が閉じられている際、湾曲部32aは辺20Aに対応する部位に位置する。
【0022】
図2に示すように、辺20Aは、後面18Fのうちの一方の側、即ち、上側に位置している。換言すれば、辺20Aは、上面18Bのうちの一方の側、即ち、後ろ側に位置している。図2及び図3に示すように、辺20Aに対応する部位には、収容室14に連なる開口14a、又は、収容室14に連なる開口14aの周縁部14bが位置している。
【0023】
図2に示すように、辺20Bは、前面18Eのうちの一方の側、即ち、上側に位置している。換言すれば、辺20Bは、上面18Bのうちの他方の側、即ち、前側に位置している。辺20Bは、上述したように、辺20Aに沿っている。図1に示すように、辺20Bに対応する部位には、取手部(第1取手部、把持部、バー、支持部、グリップ)22Bが備えられている。取手部22Bは、幅方向、即ち、X方向に延在している。
【0024】
図2に示すように、辺20Cは、前面18Eのうちの他方の側、即ち、下側に位置している。換言すれば、辺20Cは、下面18Aのうちの一方の側、即ち、前側に位置している。辺20Cは、上述したように、辺20Aに沿っている。図1に示すように、辺20Cに対応する部位には、取手部(第2取手部、把持部、バー、支持部、グリップ)22Cが備えられている。取手部22Cは、幅方向、即ち、X方向に延在している。
【0025】
辺20Dは、後面18Fのうちの他方の側、即ち、下側に位置している。換言すれば、辺20Dは、下面18Aのうちの他方の側、即ち、後ろ側に位置している。辺20Dは、上述したように、辺20Aに沿っている。図4は、本実施形態による充電給電装置を示す斜視図である。図4に示すように、辺20Dに対応する部位には、取手部(第3取手部、支持部、手掛かり部、凹部)22Dが備えられている。取手部22Dは、幅方向、即ち、X方向に延在するとともに、前面18E側に向かって陥没している。即ち、取手部22Dは、上面18B側に向かう凹部空間54(図4参照)を筐体12に形成することによって構成されている。凹部空間54は、後述する部分56f(図7参照)によって画定されている。図7に示すように、当該部分56fの上部は、後面18F側に向かって折れ曲がっている。当該部分56fのうちの後面18F側に折れ曲がっている部分は、取手部22Dの下端の部位に対して上面18B側に位置している。なお、取手部一般について説明する際には、符号22を用い、個々の取手部について説明する際には符号22B~22Dを用いる。
【0026】
図1に示すように、辺20Bに対応する部位の近傍には、上面18B及び前面18Eの一部を切り欠くような形状の凹部24が形成されている。凹部24の底部は部材25によって画定されており、凹部24の一方の側部は後述する外縁部材44Cの一部によって構成されており、凹部24の他方の側部は後述する外縁部材44Dの一部によって構成されている。凹部24の底部を構成する部材25の面は、上面18Bに対して斜めになっている。凹部24がこのように構成されているため、辺20Bに対応する部位に取手部22Bを備え得る。凹部24の底部を構成する部材25には、USB電力出力端子(出力端子、コネクタ)26とAC電力出力端子(出力端子、コネクタ)28とが備えられている。USB電力出力端子26とAC電力出力端子28とは、充電給電装置10から外部機器に対して電力を供給するためのものである。USB電力出力端子26は、直流電力を出力し得る。USB電力出力端子26は、例えば、USBケーブルを接続し得るUSB端子、即ち、USBケーブルを接続し得る差し込み口である。USB電力出力端子26には、直流電力を受ける負荷が接続され得る。AC電力出力端子28は、交流電力を出力し得る。AC電力出力端子28は、例えば、商用電源プラグを接続し得る差し込み口である。AC電力出力端子28には、交流電力を受ける負荷が接続され得る。ここでは、2つのUSB電力出力端子26と、2つのAC電力出力端子28とが備えられている場合を例に説明するが、USB電力出力端子26の数及びAC電力出力端子28の数は、これに限定されるものではない。図1には、USB電力出力端子26とAC電力出力端子28とにキャップ27、29がそれぞれ被せられている状態が示されている。キャップ27、29は、USB電力出力端子26とAC電力出力端子28とをそれぞれ保護するためのものである。
【0027】
図5A図5Fは、本実施形態による充電給電装置を示す六面図である。図5Aは、下面図であり、図5Bは、上面図であり、図5Cは、左側面図であり、図5Dは、右側面図であり、図5Eは、前面図であり、図5Fは、後面図である。なお、図5C図5D図5E及び図5Fにおいては、後述する接地用突起38が図示されているが、図5Aにおいては、後述する接地用突起38の図示が省略されている。
【0028】
図5Fに示すように、凹部空間54には、AC電力入力端子(入力端子、コネクタ)34AとDC電力入力端子(入力端子、コネクタ)34Bとが備えられている。AC電力入力端子34AとDC電力入力端子34Bとは、充電給電装置10に対して電力を供給するためのものである。AC電力入力端子34Aは、商用の交流電源から供給される電力を充電給電装置10に入力するための不図示の電源ケーブルが接続され得る差し込み口である。DC電力入力端子34Bは、直流電力を充電給電装置10に入力するための不図示の電源ケーブルが接続され得る差し込み口である。
【0029】
図5Aに示すように、筐体12の下面18Aには、接地用突起38(図3参照)を取り付け得るためのネジ穴40Aが備えられている。図6は、本実施形態による充電給電装置を示す断面図である。図6に示すように、接地用突起38は、ネジ42を用いて筐体12の下面18Aに取り付けられ得る。接地用突起38が下面18Aに取り付けられている状態で筐体12を起立姿勢にすると、接地用突起38が床(床面、載置面、配置面)に向かって突出している状態となる。図5Cに示すように、後述する外縁部材44Cの四隅には、接地用突起38を取り付け得るためのネジ穴40Cが備えられている。また、図5Dに示すように、後述する外縁部材44Dの四隅には、接地用突起38を取り付け得るためのネジ穴40Dが備えられている。筐体12の下面18Aから接地用突起38を取り外し、外縁部材44Cの四隅又は外縁部材44Dの四隅に接地用突起38を取り付けることも可能である。
【0030】
図5A及び図6に示すように、下面18Aには、通気路(通気口、吸気口、吸気路、隙間)36Aが備えられている。通気路36Aは、部分通気路36Acと部分通気路36Adとによって構成されている。図5C及び図6に示すように、左側面18Cには、通気路(通気口、吸気口、吸気路、隙間)36Cが備えられている。図5D及び図6に示すように、右側面18Dには、通気路(通気口、吸気口、吸気路、隙間)36Dが備えられている。
【0031】
図7は、本実施形態による充電給電装置を示す断面斜視図である。図7においては、後述するスリット59(図10参照)及び後述する開口57d(図10参照)の図示が省略されている。図8は、本実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。図8には、前面18E側の断面が示されている。図9は、本実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。図9には、後面18F側の断面が示されている。図7に示すように、前面18Eには、通気路(通気口、排気口、排気路、隙間)36Eが備えられている。通気路36Eは、部分通気路36Eaと部分通気路36Ebとによって構成されている。図7に示すように、後面18F側には、通気路(通気口、吸気口、吸気路、隙間)36Fが備えられている。通気路36Fは、部分通気路36Faと部分通気路36Fbとによって構成されている。通気路一般について説明する際には、符号36を用い、個々の通気路について説明する際には、符号36A、36C、36D、36E、36Fを用いる。本実施形態によれば、下面18A、左側面18C、右側面18D、前面18E及び後面18Fに通気路36A、36C、36D、36E、36Fが備えられている。このため、後述する送風機52を用いて送風することにより、例えば通気路36A、36C、36D、36Fを介して筐体12内に空気を流入し得るとともに、例えば通気路36Eを介して筐体12内から空気を排出し得る。従って、本実施形態によれば、筐体12内を良好に冷却することができる。
【0032】
図10は、筐体の下面側に備えられている部材を示す図である。部材56は、筐体12の下面18A側に備えられる。部材56には、下面18Aに対応する板状の部分56aが備えられている。当該部分56aの一方の側、即ち、後面18F側には、当該部分56aから屈曲されて連なる部分56fが備えられている。当該部分56aの他方の側、即ち、前面18E側には、当該部分56aから屈曲されて連なる部分56eが備えられている。部分56fは、後面18F側に位置し、部分56eは前面18E側に位置する。部分56fには、AC電力入力端子34Aが取り付けられる開口57cと、DC電力入力端子34Bが取り付けられる開口57dとが備えられている。部分56fには、複数のスリット59が形成されている。スリット59を通じて、筐体12の内外に空気の流動が可能となる。ここでは、5本のスリット59が形成されている場合が例として示されているが、スリット59の数は5本に限定されるものではない。
【0033】
図5C図5D及び図6に示すように、筐体12には、外縁部材(フレーム)44C、44Dと、内側部材(サイドカバー、パネル)46C、46Dとが備えられている。
【0034】
外縁部材44Cは、例えば環状(枠状)の部材によって構成されている。内側部材46Cは、例えば板状の部材によって構成されている。外縁部材44Cのうちの左側面18Cに位置する部分は、左側面18Cのうちの外縁側を構成する。内側部材46Cは、外縁部材44Cの内側に備えられている。通気路36Cは、外縁部材44Cの内端と内側部材46Cの外端との間に形成されている。内側部材46Cの外縁は、外縁部材44Cの内縁より大きい。内側部材46Cは、はめ込み式の固定機構(固定構造)47を用いて筐体12に固定されている。固定機構47は、例えば内側部材46Cの四隅に対応するように備えられている。固定機構47による固定を解除することによって、内側部材46Cを筐体12から取り外すことが可能である。内側部材46Cのうちの外縁部材44Cと重なり合っている部分は、外縁部材44Cのうちの内側部材46Cと重なり合っている部分に対して、筐体12の外側に位置している。このため、外縁部材44Cが筐体12に固定されている状態で、内側部材46Cを取り外すことが可能である。
【0035】
図6に示すように、外縁部材44Cには、内側部材46Cと外縁部材44Cとが重なり合っている部位において内側部材46Cに向かって突出する突出部(突起部、かえし)48Cが備えられている。突出部48Cは、外縁部材44Cの内縁に備えられている。図11A図11Cは、水の流れを概念的に示す図である。図11Aは、左側面図である。図11Bは、左側面18Cの断面図である。突出部48Cは、図11Aに示すように、内側部材46Cの外周に沿うように環状に形成されている。環状に形成された突出部48Cのうちの角部は、図11Aに示すように湾曲している。即ち、突出部48Cは、直線状部位48CLA、48CLB、48CLE、48CLFと、湾曲部位48CCA、48CCB、48CCC、48CCDとによって構成されている。直線状部位48CLAは、下面18Aに沿う部位である。直線状部位48CLBは、上面18Bに沿う部位である。直線状部位48CLEは、前面18Eに沿う部位である。直線状部位48CLFは、後面18Fに沿う部位である。湾曲部位48CCAは、辺20Aに対応する部位の近傍に位置する。湾曲部位48CCBは、辺20Bに対応する部位の近傍に位置する。湾曲部位48CCCは、辺20Cに対応する部位の近傍に位置する。湾曲部位48CCDは、辺20Dに対応する部位の近傍に位置する。内側部材46Cに向かって突出する突出部48Cが外縁部材44Cの内縁に備えられているため、通気路36Cを介して筐体12内に入り込む水は、以下のように流れ得る。例えば、通気路36Cのうちの直線状部位48CLBに対応する部位に入り込む水は、突出部48Cに衝突した後に、内側部材46Cの内面に達し、内側部材46Cの内面を伝って鉛直方向に流れ得る(図11B参照)。また、通気路36Cのうちの湾曲部位48CCAに対応する部位に入り込む水は、湾曲部位48CCAの形状に沿うように外縁部材44Cの表面を伝って流れ、更に、直線状部位48CLFの形状に沿うように外縁部材44Cの表面を伝って流れ得る。また、通気路36Cのうちの湾曲部位48CCBに対応する部位に入り込む水は、湾曲部位48CCBの形状に沿うように外縁部材44Cの表面を伝って流れ、更に、直線状部位48CLEの形状に沿うように外縁部材44Cの表面を伝って流れ得る。このように、突出部48Cは、樋のような役割を果たす。
【0036】
右側面18Dから左側面18Cに向かう方向における内側部材46Cと外縁部材44Cとの位置関係は、以下のようになっている。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部分は、内側部材46Cのうちの最も当該方向側に位置する部分に対して、当該方向側に位置している。換言すれば、左側面18Cの法線方向において、内側部材46Cの最突出部は、外縁部材44Cの最突出部に対して後退している。このため、左側面18C側が床に接するように筐体12を配した際、外縁部材44Cは床に接する一方、内側部材46Cは床に接しない。図11Cは、左側面18Cが下側になるように筐体12が配された際の状態が示されている。筐体12内に水が入り込んだ場合、図11Cに示すように、当該水は通気路36Cを介して筐体12の外部に排出され得る。
【0037】
外縁部材44Dと外縁部材44Cとは、筐体12の左右中心に対して鏡面対称となっている。また、内側部材46Dと内側部材46Cとは、筐体12の左右中心に対して鏡面対称となっている。外縁部材44Dが筐体12に固定されている状態で、内側部材46Dを取り外すことが可能である。通気路36Dを介して筐体12内に水が入り込んだ際の水の流れは、通気路36Cを介して筐体12内に水が入り込んだ際の水の流れと同様である。
【0038】
図7及び図8に示すように、前面18E側には、板状の部材46Eが備えられている。部材46Eのうちの上面18B側に位置する部分46Ebは、部材25のうちの前面18E側の部分25Eと重なり合っている。部材46Eのうちの部材25と重なり合っている部分46Ebは、部材25のうちの部材46Eと重なり合っている部分25Eに対して、筐体12の内側に位置している。部分通気路36Ebは、部材46Eのうちの上面18B側に位置する部分46Ebと、部材25のうちの前面18E側に位置する部分25Eとの間に形成されている。上述したように、部分通気路36Eaと部分通気路36Ebとによって通気路36Eが構成されている。
【0039】
後面18Fから前面18Eに向かう方向における部材46Eと外縁部材44C、44Dとの位置関係は、以下のようになっている。即ち、外縁部材44C、44Dのうちの最も当該方向側に位置する部分は、部材46Eのうちの最も当該方向側に位置する部分に対して、当該方向側に位置している。換言すれば、前面18Eの法線方向において、部材46Eの最突出部は、外縁部材44C、44Dの最突出部に対して後退している。このため、前面18E側が床に接するように筐体12を配した際、外縁部材44C、44Dは床に接する一方、部材46Eは床に接さず、通気路36Eが床によって塞がれてしまうことはない。このため、本実施形態によれば、前面18E側が床に接するように筐体12を配した場合であっても、後述する送風機52によって排気される空気が、通気路36Eを介して筐体12の外部に排出され得る。
【0040】
図7及び図9に示すように、後面18F側には、板状の部材46Fが備えられている。部分通気路36Faは、上述した部分56fと部材46Fとの間に形成されている。部分通気路36Faは、上述した凹部空間54に備えられている。部分通気路36Faが筐体12の表面ではなく凹部空間54内に備えられているため、異物は部分通気路36Faを介して筐体12内に侵入しにくい。部分通気路36Fbは、部材46Fのうちの上面18B側に位置する部分と、部材46Fに対して上面18B側に備えられた部材49との間に形成されている。部材49は、覆蓋部32と部材46Fとの間に位置している。上述したように、部分通気路36Faと部分通気路36Fbとにより通気路36Fが構成されている。
【0041】
図6に示すように、部分通気路36Acは、部分56aと外縁部材44Cとの間に形成されている。また、部分通気路36Adは、部分56aと外縁部材44Dとの間に形成されている。上述したように、部分通気路36Acと部分通気路36Adとによって通気路36Aが構成されている。上面18Bが床に対向するように筐体12が配されることはないため、通気路36Aが形成された下面18Aが上向きになるように筐体12が配されることはない。このため、通気路36Aを介して異物が筐体12内に侵入する可能性は低く、従って、当該異物が後述する電力変換装置17に到達する可能性は低い。上述したように、部分通気路36Acと部分通気路36Adとにより通気路36Aが構成されている。
【0042】
図7及び図10に示すように、部材46Eのうちの下面18A側に位置する部分46Eaは、部材56のうちの前面18E側の部分56exと重なり合っている。部材46Eのうちの部材56と重なり合っている部分46Eaは、部材56のうちの部材46Eと重なり合っている部分56exに対して、筐体12の内側に位置している。部分通気路36Eaは、部材46Eのうちの下面18A側に位置する部分46Eaと、部材56のうちの前面18E側に位置する部分56exとの間に形成されている。
【0043】
通気路36Eの断面積(開口サイズ)と、通気路36Aの断面積とは、互いに異なっている。より具体的には、通気路36Aの断面積は、通気路36Eの断面積より小さい。通気路36Cの断面積と、通気路36Dの断面積とは、同等である。通気路36Cの断面積と、通気路36Eの断面積とは、互いに異なっている。より具体的には、通気路36Cの断面積は、通気路36Eの断面積より小さい。通気路36Dの断面積と、通気路36Eの断面積とは、互いに異なっている。通気路36Dの断面積は、通気路36Eの断面積より小さい。通気路36Eの断面積と、通気路36Fの断面積とは、互いに異なっている。より具体的には、通気路36Fの断面積は、通気路36Eの断面積より小さい。このように、本実施形態では、後述する送風機52を用いて吸気を行うための通気路36A、36C、36D、36Fの断面積が比較的小さく設定されている。このため、本実施形態によれば、通気路36A、36C、36D、36Fを介して筐体12内に異物が侵入するのを抑制することができる。一方、本実施形態では、後述する送風機52を用いて排気を行うための通気路36Eの断面積が比較的大きく設定されている。このため、本実施形態によれば、万が一、筐体12内に異物が侵入した場合であっても、当該異物を効果的に排出することができる。
【0044】
図12A及び図12Bは、本実施形態による充電給電装置を示す図である。図12Aは、上面18B側から見た水平断面図である。図12Bに、右側面18D側から見た鉛直断面図である。図12A及び図12Bにおいて、ハッチングが付された矢印は、空気の流れを概念的に示している。
【0045】
図12A及び図12Bに示すように、複数の発熱体50A、50Bが備えられている。発熱体一般について説明する際には符号50を用い、個々の発熱体について説明する際には符号50A、50Bを用いる。また、筐体12内には、発熱体50A、50Bを冷却するための送風機(ファン)52が更に備えられている。送風機52は、図12A及び図12Bにおける右側から左側に向かって空気を送る。発熱体50A、50Bは、通気路36A、36C、36D、36Fに対して下流側に位置している。発熱体50A、50Bは、送風機52に対して上流側に位置している。発熱体50Aは、例えばバッテリ16である。発熱体50Bは、例えば電力変換装置(インバータ・コンバータ・ユニット)17である。発熱体50Bは、発熱体50Aよりも高温になる。発熱体50Aは、発熱体50Bに対して上流側に配されている。発熱体50Aが収容されている収容室14と、発熱体50Bが収容されている部位(収容室)との間には、隔壁51Aが存在している。発熱体50Bが収容されている部位と、送風機52が収容されている部位との間には、隔壁51Bが存在している。図12Aに示すように、発熱体50Aのうちの前面18E側の部位と左側面18Cとの間には、障壁部材(シール材)53C1が備えられている。発熱体50Aのうちの前面18E側の部位と右側面18Dとの間には、障壁部材53D1が備えられている。発熱体50Bと左側面18Cとの間には、障壁部材53C2が備えられている。発熱体50Bと右側面18Dとの間には、障壁部材53D2が備えられている。図12Bに示すように、隔壁51Aの下端部と発熱体50Bとの間には、障壁部材53A1が備えられている。発熱体50Bのうちの前面18E側の部位と部分56eとの間には、障壁部材53A2が備えられている。障壁部材53C1、53D1、53C2、53D2、53A1、53A2は、空気の流れを遮断するためのものである。障壁部材53C1、53D1、53C2、53D2、53A1、53A2は、例えば発泡シール材によって構成され得るが、これに限定されるものではない。発熱体50A、50B、送風機52、隔壁51A、51B、及び、障壁部材53A1、53A2、53C1、53C2、53D1、53D2がこのように配されているため、空気は、矢印で示されたように、筐体12内を流れる。
【0046】
図13A図13Fは、本実施形態による充電給電装置を示す六面図である。図13Aは、下面図であり、図13Bは、上面図であり、図13Cは、左側面図であり、図13Dは、右側面図であり、図13Eは、前面図であり、図13Fは、後面図である。図13には、接地用突起38(図5C図5F参照)が取り外されている状態が示されている。
【0047】
下面18Aが床に接するように筐体12を配した場合、上面18Bから下面18Aに向かう方向における外縁部材44C、44Dと床との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部位(部分)58Ac(図14参照)と、外縁部材44Dのうちの最も当該方向側に位置する部位58Adとが、床に接する。当該部位58Ac、58Adは、図13Aに示すように線状である。下面18A全体が床に接するわけではなく、線状の部位58Ac、58Adが床に接するため、当該部位58Ac、58Adの長手方向に筐体12をスライドさせる場合の摩擦力は比較的小さい。従って、図13Aに示す矢印60Aの方向に筐体12をスライドさせる場合には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせることが可能である。このように、下面18Aが床に接するように筐体12を配した場合、前面18Eから後面18Fに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、下面18Aが床に接するように筐体12を配した場合、後面18Fから前面18Eに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。
【0048】
左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、右側面18Dから左側面18Cに向かう方向における外縁部材44Cと床との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部位58C(図11C参照)が、床に接する。図14は、本実施形態による充電給電装置の一部を示す断面図である。図14には、接地用突起38が下面18A側に取り付けられている状態が示されている。部位58Cは、図13Cに示すように、略長方形の枠状、即ち、略長方形の環状である。左側面18C全体が床に接するわけではなく、環状の部位58Cが床に接するため、筐体12をスライドさせる場合の摩擦力は比較的小さい。従って、図13Cに示す矢印60Cの方向に筐体12をスライドさせる場合には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。このように、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、前面18Eから後面18Fに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、後面18Fから前面18Eに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、下面18Aから上面18Bに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、上面18Bから下面18Aに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。
【0049】
左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合、環状の部位58Cが床に接するため、左側面18Cに備えられた通気路36Cを介しての吸気が抑制される。このため、このような場合には、通気路36Cを介して異物が筐体12内に侵入することが抑制される。
【0050】
右側面18Dが床に接するように筐体12を配した場合、左側面18Cから右側面18Dに向かう方向における外縁部材44Dと床との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Dのうちの最も当該方向側に位置する部位58Dが、床に接する。右側面18Dと左側面18Cとは、筐体12の左右中心に対して鏡面対称となっている。従って、右側面18Dが床に接するように筐体12を配した場合にも、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合と同様に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、右側面18Dが床に接するように筐体12を配した場合にも、左側面18Cが床に接するように筐体12を配した場合と同様に、通気路36Dを介して異物が筐体12内に侵入することが抑制される。
【0051】
前面18Eが床に接するように筐体12を配した場合、後面18Fから前面18Eに向かう方向における外縁部材44C、44Dと床との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部位58Ecと、外縁部材44Dのうちの最も当該方向側に位置する部位58Edとが、床に接する。当該部位58Ec、58Edは、図13Eに示すように線状である。前面18E全体が床に接するわけではなく、線状の部位58Ec、58Edが床に接するため、当該部位58Ec、58Edの長手方向に筐体12をスライドさせる場合の摩擦力は比較的小さい。従って、図13Eに示す矢印60Eの方向に筐体12をスライドさせる場合には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせることが可能である。このように、前面18Eが床に接するように筐体12を配した場合、下面18Aから上面18Bに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、前面18Eが床に接するように筐体12を配した場合、上面18Bから下面18Aに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。
【0052】
後面18Fが床に接するように筐体12を配した場合、前面18Eから後面18Fに向かう方向における外縁部材44C、44Dと床との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部位58Fcと、外縁部材44Dのうちの最も当該方向側に位置する部位58Fdとが、床に接する。当該部位58Fc、58Fdは、図13Fに示すように線状である。後面18F全体が床に接するわけではなく、線状の部位58Fc、58Fdが床に接するため、当該部位58Fc、58Fdの長手方向に筐体12をスライドさせる場合の摩擦力は比較的小さい。従って、図13Fに示す矢印60Fの方向に筐体12をスライドさせる場合には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせることが可能である。このように、後面18Fが床に接するように筐体12を配した場合、下面18Aから上面18Bに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。また、後面18Fが床に接するように筐体12を配した場合、上面18Bから下面18Aに向かう方向に、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。
【0053】
図15は、筐体を傾けた状態を示す図である。図15には、下面18Aと右側面18Dとが交わる部位に位置する辺20Gに対応する部位のみが床62と接するように筐体12が傾けられた状態が示されている。筐体12をこのように傾けた場合、筐体12から床62に向かう方向における外縁部材44Dと床62との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Dのうちの最も当該方向側に位置する部位58Xが床62に接する。当該部位58Xは、線状である。床62に接する部位58Xが線状であるため、当該部位58Xの長手方向に交差する方向に筐体12をスライドさせる場合には摩擦力が比較的小さい。従って、図15に示す矢印60Xの方向に筐体12をスライドさせる場合には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。なお、筐体12を反対側に傾けた場合には、筐体12から床62に向かう方向における外縁部材44Cと床62との位置関係は以下のようになる。即ち、外縁部材44Cのうちの最も当該方向側に位置する部位58X’が床62に接する。当該部位58X’は、線状である。床62に接する部位58X’が線状であるため、当該部位58X’の長手方向に交差する方向に筐体12をスライドさせる場合には摩擦力が比較的小さい。従って、筐体12を反対側に傾けた場合においても、図15に示す矢印60Xの方向に筐体12をスライドさせる際には、比較的小さい力で筐体12をスライドさせ得る。
【0054】
図16は、本実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。図16には、右側面18Dが下側になるように筐体12が床62に配されている場合の例が示されている。図16に示されている床62は、例えば自動車の荷台等であるが、これに限定されるものではない。図16には、筐体12が配されている床62の高さが、ユーザ64が立っている不図示の床の高さに対して高い場合の例が示されている。図16には、取手部22Bがユーザ64の右手66Rによって掴まれ、取手部22Cがユーザ64の左手66Lによって掴まれている場合の例が示されている。ユーザ64は、取手部22B、22Cを掴んだ状態で、充電給電装置10を自動車の荷台等から引き出すことができる。
【0055】
図17は、本実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。図17には、ユーザ64が充電給電装置10を一人で持ち運ぶ際の例が示されている。図17には、取手部22Bがユーザ64の右手66Rによって掴まれ、取手部22Dがユーザ64の左手66Lによって掴まれている場合の例が示されている。ユーザ64は、取手部22B、22Dを掴んだ状態で、充電給電装置10を持ち運ぶことができる。
【0056】
図18は、本実施形態による充電給電装置を搬送する場合の例を示す図である。図18には、2人のユーザ64A、64Bが協力して充電給電装置10を持ち運ぶ際の例が示されている。図18には、階段を上る際に、ユーザ64Aが前方に位置し、ユーザ64Bが後方に位置している場合の例が示されている。図18には、取手部22Bがユーザ64Aの右手64ARによって掴まれ、取手部22Dがユーザ64Bの右手64BRによって掴まれている場合の例が示されている。ユーザ64A、64Bは、このようにして、充電給電装置10を持ち運ぶこともできる。
【0057】
図19は、収容室に対するバッテリの挿抜の例を示す図である。図19には、下面18Aが床62に対向するように筐体12が配されている場合の例が示されている。図19には、収容室14の深さ方向、即ち、鉛直方向に沿うようにバッテリ16を収容室14内に対して挿抜する場合の例が示されている。ユーザは、このようにしてバッテリ16を収容室14に対して挿抜し得る。
【0058】
図20は、収容室に対するバッテリの挿入の例を示す図である。図20には、下面18Aが床62に対向するように筐体12が配されている場合の例が示されている。上述したように、辺20Aに対応する部位には、収容室14に連なる開口14a、又は、収容室14に連なる開口14aの周縁部14bが位置している。辺20Aに対応する部位には、取手部22B~22Dは設けられていない。辺20Aに対応する部位に、収容室14に連なる開口14a、又は、収容室14に連なる開口14aの周縁部14bが位置しているため、収容室14内の側面のうちの後面18F側の部分は、バッテリ16を挿入する際にガイド部(案内部)として機能し得る。このように、収容室14の深さ方向に対して斜めの方向から、バッテリ16を収容室14内に挿入することができる。即ち、収容室14の深さ方向以外の方向からバッテリ16を収容室14内に挿入することができる。
【0059】
図21は、収容室に対するバッテリの挿入の例を示す図である。図21には、前面18Eが床62に対向するように筐体12が配されている場合の例が示されている。上述したように、辺20Aに対応する部位には、収容室14に連なる開口14a、又は、収容室14に連なる開口14aの周縁部14bが位置している。辺20Aに対応する部位には、取手部22は設けられていない。辺20Aに対応する部位に、収容室14に連なる開口14a、又は、収容室14に連なる開口14aの周縁部14bが位置しているため、収容室14内の側面のうちの後面18F側の部分は、バッテリ16を挿入する際にガイド部として機能し得る。このように、収容室14の深さ方向に対して斜めの方向から、バッテリ16を収容室14内に挿入することができる。即ち、収容室14の深さ方向以外の方向からバッテリ16を収容室14内に挿入することができる。
【0060】
図22は動力伝達装置を示す斜視図である。図23は動力伝達装置を示す上面図である。図24は動力伝達装置を示す側面図である。図25は動力伝達装置を示す側面図である。図22図25には、動力伝達装置200とともに、コネクタユニット262が示されている。動力伝達装置200及びコネクタユニット262は、筐体12の収容室14(図3)の底面14cに設置されている。
【0061】
コネクタユニット262は、収容室14に収容されたバッテリ16の底面に設けられたバッテリ側接続端子272(図31)と接続するケーシング側接続端子274を備えるコネクタ266を有している。コネクタユニット262は、底面14cを構成するプレート201からZ方向負側に延びる2本のポール268a、268bに沿って上下方向(Z方向)に移動可能に設けられている。
【0062】
動力伝達装置200は、収容室14にバッテリ16が収容される際に、バッテリ16から動力伝達装置200に作用する力をコネクタユニット262に伝達して、コネクタユニット262をバッテリ16側(Z方向正側)に移動させる装置である。これにより、コネクタ266がプレート201のZ方向負側からZ方向正側に移動し、ケーシング側接続端子274がバッテリ16のバッテリ側接続端子272と接続される。
【0063】
図26は動力伝達装置を示す断面斜視図である。図26には、コネクタユニット262の一部が省略して示されている。図26には、後述する入力レバー204が、図22に示されている位置よりも図22の奥側(X方向負側)に向かって回動している状態の動力伝達装置200が示されている。
【0064】
動力伝達装置200は、ハウジング202、入力レバー204、入力筒206、メインスプリング208、パワーシャフト210、出力レバー212、ダンパ214及びリターンスプリング216を有している。動力伝達装置200は、入力レバー204を回動させる力を、出力レバー212を回動させる力として伝達する。また、動力伝達装置200は、入力レバー204を高速に回動させようとする短時間に過大な力が入力された際に、入力されたエネルギの一部をメインスプリング208に蓄えるとともに、ダンパ214によって入力された力を減衰させて、出力レバー212に出力する。
【0065】
入力レバー204は、その腕部218の先端にローラ220が回動可能に支持されている。収容室14にバッテリ16が収容された際に、バッテリ16の底部がローラ220に当接する。バッテリ16からの力はローラ220の入力中心220aを中心として入力レバー204に入力され、入力レバー204には、入力レバー204を回動させる力が作用する。腕部218の根本部分は入力筒206に固定されている。入力レバー204及び入力筒206は、Y方向と平行な回動軸を中心に一体となって回動する。入力筒206は、その内部が回動軸方向に貫通する貫通穴を有する筒状に形成された部材である。入力筒206は、ハウジング202に形成された入力部材支持部232に回動可能に支持されている。入力レバー204及び入力筒206は本発明の第1の部材に相当し、入力レバー204は本発明の入力部に相当し、入力筒206は本発明の第1の筒部に相当する。
【0066】
出力レバー212は、その腕部222の先端にローラ224が回動可能に支持されている。ローラ224はコネクタユニット262に接続され、出力レバー212が回動することにより、コネクタユニット262をZ方向正側に移動させる。腕部222の根元部分はパワーシャフト210のピン230に固定されている。出力レバー212及びパワーシャフト210は、Y方向と平行な回動軸を中心に一体となって回動する。パワーシャフト210は、円板状に形成された円板部226と、円板部226からY方向正側に延びて形成されたシャフト部228と、円板部226からY方向負側に延びて形成されたピン230とを有している。パワーシャフト210は、ハウジング202に形成された出力部材支持部234に回動可能に支持されている。出力レバー212及びパワーシャフト210は、本発明の第2の部材に相当し、出力レバー212は本発明の出力部に相当し、パワーシャフト210は本発明の軸部に相当する。
【0067】
入力部材支持部232は、Y方向負側が開口し、Y方向正側が閉塞された有底筒状に形成されている。出力部材支持部234は、入力部材支持部232の底面からY方向負側に延びる円筒状に形成されている。出力部材支持部234は、ハウジング202を貫通して形成されており、Y方向負側及び正側が共に開口している。入力部材支持部232と出力部材支持部234とは、同軸上に形成されている。すなわち、入力部材支持部232に支持される入力筒206と、出力部材支持部234に支持されるパワーシャフト210とは、同軸上に形成されている。ハウジング202は本発明の第3の部材に相当し、入力部材支持部232は本発明の第3の筒部に相当し、出力部材支持部234は本発明の第2の筒部に相当する。
【0068】
入力部材支持部232の内周と出力部材支持部234の外周との間に、入力筒206が挿入されている。入力部材支持部232はアウタブッシュ236を介して入力筒206を回動可能に支持している。入力筒206のY方向負側は、ハウジング202の外部に突出しており、この外部に突出している部分に入力レバー204が固定されている。即ち、入力レバー204は、ハウジング202に対してY方向負側に配置されていることとなる。
【0069】
出力部材支持部234の内周にパワーシャフト210のシャフト部228が挿入され、出力部材支持部234は2つのインナブッシュ238a、238bを介してパワーシャフト210を回動可能に支持している。シャフト部228のY方向正側の先端部分は、ハウジング202のY方向正側の開口部から外部に突出している。パワーシャフト210の円板部226は、出力部材支持部234よりもY方向負側に位置し、入力筒206の内周に収容されている。ピン230は、ハウジング202のY方向負側の開口部から外部に突出しており、このピン230に出力レバー212が固定されている。即ち、出力レバー212は、ハウジング202に対してY方向負側に配置されていることとなる。入力筒206のY方向負側の開口部には、スラストブッシュ240が設けられている。スラストブッシュ240の内径は、パワーシャフト210の円板部226の外径よりも小さく形成されている。スラストブッシュ240により、パワーシャフト210のY方向負側への移動が規制される。
【0070】
入力筒206の内周と出力部材支持部234の外周との間に、メインスプリング208が収容されている。メインスプリング208は、線材が螺旋状に巻かれた円周部208aを有するトーションばね又はねじりばねであって、入力筒206及びパワーシャフト210と同軸上に配置されている。メインスプリング208の内周に、出力部材支持部234が挿入されていることにより、メインスプリング208の倒れが抑制される。メインスプリング208のY方向正側の端部は入力筒206に固定され、メインスプリング208のY方向負側の端部はパワーシャフト210の円板部226に固定されている。メインスプリング208は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動方向に弾性を有する。入力レバー204を回動させようとする力は、入力筒206、メインスプリング208、パワーシャフト210の順に伝達し、出力レバー212を回動させる。即ち、メインスプリング208は、入力レバー204及び入力筒206とパワーシャフト210及び出力レバー212との動力伝達経路上に配置されていることとなる。また、入力筒206の内周側に、入力レバー204及び入力筒206と、パワーシャフト210及び出力レバー212とを接続するメインスプリング208が配置されるため、入力筒206とパワーシャフト210とを同軸上に配置することが可能となるとともに、入力レバー204と出力レバー212を同じ側(Y方向負側)に配置することが可能となる。メインスプリング208は本発明の第1の弾性部材に相当し、円周部208aは本発明の第1の円周部に相当する。
【0071】
ハウジング202の入力部材支持部232の外周側には、リターンスプリング収容部244が形成されている。リターンスプリング収容部244は、入力部材支持部232及び出力部材支持部234と同軸上に形成された円形溝状に形成されている。リターンスプリング収容部244には、リターンスプリング216が収容されている。リターンスプリング216は、線材が螺旋状に巻かれた円周部216aを有するトーションばね又はねじりばねであって、入力筒206及びパワーシャフト210と同軸上に配置されている。リターンスプリング216のY方向正側の端部はリターンスプリング収容部244の底部に固定され、リターンスプリング216のY方向負側の端部は入力レバー204の腕部218に固定されている。リターンスプリング216は、入力筒206の回動方向に弾性を有する。入力レバー204を回動させようとする力は、リターンスプリング216を介してハウジング202に伝達される。ハウジング202は、プレート201に固定されており、入力レバー204には、リターンスプリング216から入力レバー204の回動を妨げる方向の弾性力が作用する。即ち、リターンスプリング216は、入力レバー204とハウジング202との動力伝達経路上に配置されていることとなる。リターンスプリング216は本発明の第2の弾性部材に相当し、円周部216aは本発明の第2の円周部に相当する。
【0072】
図27は動力伝達装置を示す断面図である。図27は、図26に示される動力伝達装置200の変形例を示す。
【0073】
図26に示される動力伝達装置200では、パワーシャフト210は、2つのインナブッシュ238a、238bを介してを出力部材支持部234に回動可能に支持されている。図27に示される動力伝達装置200の変形例では、出力部材支持部234のY方向長さが、図26に示される出力部材支持部234のY方向長さに比べて短く形成され、パワーシャフト210は、1つのインナブッシュ238bを介して、出力部材支持部234に支持されている。
【0074】
動力伝達装置200の変形例では、メインスプリング208のY方向正側の端部において、内周に出力部材支持部234が配置されているものの、メインスプリング208のY方向における大部分において、内周に出力部材支持部234は配置されていない。そのため、変形例では、入力部材支持部232の内周に円筒状のカラー242が挿入され、カラー242の内周にメインスプリング208が収容されている。カラー242により、メインスプリング208の倒れが抑制される。カラー242は本発明の円筒部材に相当する。
【0075】
図26及び図27に示されるように、ハウジング202、入力筒206、パワーシャフト210、メインスプリング208及びリターンスプリング216は、同軸上に入れ子状に配置されている。換言すると、入力筒206は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)において、パワーシャフト210と重なり合うように配置されている。また、メインスプリング208は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)において、入力筒206及びパワーシャフト210と重なり合うように配置される。リターンスプリング216は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)において、入力筒206及びハウジング202と重なり合うように配置される。また、リターンスプリング216は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)において、メインスプリング208と重なり合うように配置されている。また、メインスプリング208及びリターンスプリング216は、入力筒206及びパワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)において、入力筒206及びパワーシャフト210と重なり合うように配置されている。この構成により、動力伝達装置200の各部材は、回動軸方向(Y方向)にコンパクトに配置されている。
【0076】
ハウジング202のY方向正側の側面には、ダンパ214が設けられている。ダンパ214は、ダンパカバー246によって覆われている。ダンパ214は、図示しないステータとロータを有している。ステータはハウジング202に固定されている。パワーシャフト210のシャフト部228はダンパ214のロータを貫通し、ロータのY方向正側において、樹脂ワッシャ248、金属ワッシャ250及びC形止輪252によって、ロータに固定されている。これにより、パワーシャフト210とダンパ214のロータとは一体に回動する。ダンパ214のステータは、ハウジング202に固定されており、ハウジング202はプレート201に固定されている。プレート201側に固定されているダンパ214のステータに対して、出力レバー212側に固定されているダンパ214のロータが相対回転することにより、出力レバー212のダンパ214から回動を妨げる方向の減衰力が作用する。即ち、ダンパ214は、出力レバー212とハウジング202との動力伝達経路上に配置されていることとなる。なお、本実施形態で用いられるダンパ214は、ワンウェイタイプのものであり、出力レバー212が図22に示されている位置から手前側(方向正側)に回動する際には、出力レバー212には減衰力が作用するが、出力レバー212が図22に示されている位置に戻る方向に回動する際には、出力レバー212には減衰力は作用しない。また、ダンパ214はパワーシャフト210のY方向正側に設けられ、出力レバー212はパワーシャフト210のY方向負側に設けられている。これにより、ダンパ214と出力レバー212を、パワーシャフト210の回動軸方向(Y方向)に分散して配置させることが可能となり、動力伝達装置200の径方向(Y方向と直交する方向)の大きさを小さくすることができる。ダンパ214は、本発明の緩衝部材に相当する。
【0077】
上述のように、ハウジング202に対して、一方側(Y方向負側)に入力レバー204及び出力レバー212が配置される。即ち、回動軸方向(Y方向)において、力が入力される入力レバー204と、力を出力する出力レバー212とが近接して配置されることとなる。この構成により、入力レバー204の腕部218に鉛直方向(Z方向負側)、即ち、回動軸方向と直交する方向に外力の入力があった際、回動軸方向における剪断力(偶力)の発生を低減できる。また、ハウジング202に対して、入力レバー204及び出力レバー212が配置される側の反対側にダンパ214が配置される。即ち、動力伝達装置200の外部に対して力が入出力する部材を、ハウジング202の一方側に集中して配置することができ、部材が密集していないハウジング202の他方側にダンパ214を配置できる。
【0078】
図22図23に示されるように、動力伝達装置200は、プレート201に形成された動力伝達装置設置穴254に取り付けられている。動力伝達装置設置穴254には、動力伝達装置設置穴254の内側に向かって延びる支持部254aが形成されている。この支持部254aに、動力伝達装置200のハウジング202から延びる鍔部202aが上方(方向正側)から載せられて、図示しないネジ等により、動力伝達装置200がプレート201に固定される。
【0079】
プレート201には、動力伝達装置設置穴254と連続して形成されたレバー出入穴256が形成されている。入力レバー204が図22に示される位置から奥側に回動すると、入力レバー204はレバー出入穴256を通過し、プレート201のZ方向負側に移動する。レバー出入穴256は本発明の穴部に相当する。
【0080】
図24に示されるように、入力レバー204の腕部218は、入力筒206の回動軸Oを通り、入力レバー204にバッテリ16から力が入力される方向に延びる直線Lに対してオフセットした位置から、該直線Lと略平行に延びて設けられる。より具体的には、Y方向正側から見たときに、入力レバー204の腕部218は、入力筒206の回動軸Oを通り、入力レバー204にバッテリ16から力が入力される方向に延びる直線Lに対して左側(X方向負側)にオフセットした位置から延びて設けられている。腕部218は、直線Lと略平行に延びる延伸部218aと、延伸部218aから回動軸Oに向かって湾曲する湾曲部218bとを有している。入力レバー204は、腕部218のX方向正側の側面が、レバー出入穴256の縁の規制部256aに当接した状態で、腕部218はZ方向に平行に延びる。これにより、バッテリ16から入力レバー204にZ方向負側に入力される力は、入力レバー204を介して、入力筒206の回動軸Oから径方向に離間した位置においてZ方向負側に付勢する力として作用し、入力筒206が入力レバー204とともに回動する。また、入力レバー204の腕部218のX方向正側の側面が、レバー出入穴256の規制部256aに当接する際に、腕部218と規制部256aとが面で接触するため、腕部218やレバー出入穴256に局所的な力が作用することを抑制することができる。腕部218には、腕部218と規制部256aとが当接する部分に、樹脂パット219が取り付けられている。これにより、腕部218とレバー出入穴256とが当接するときの騒音を抑制することができる。なお、規制部256aに、樹脂パット219が取り付けられるようにしてもよい。
【0081】
入力レバー204の腕部218のX方向負側には、侵入防止パーツ215が取り付けられている。図23に示されるように、プレート201をZ方向正側から見たときに、レバー出入穴256の一部を侵入防止パーツ215が覆うため、レバー出入穴256に、又は、レバー出入穴256と入力レバー204の腕部218との間に異物等が侵入することを抑制することができる。侵入防止パーツ215は、本発明の覆蓋部に相当する。
【0082】
図28A及び図28Bは動力伝達装置の模式図である。図28A及び図28Bには、動力伝達装置200の構成要素のうち、ハウジング202、パワーシャフト210、出力レバー212、ダンパ214及びダンパカバー246が示されており、他の構成要素は省略されている。図28Aは、本実施形態の動力伝達装置200に対する比較例であって、力レバー212及びダンパ214がハウジング202に対して同じ側に配置された状態の模式図である。図28Bは、本実施形態と同じく、出力レバー212とダンパ214とがハウジング202を挟んで反対側に配置された状態の模式図である。
【0083】
比較例では、図28Aに示されるように、パワーシャフト210をダンパカバー246に貫通させる必要がある。ダンパカバー246内へのゴミ等の侵入を抑制するため、ダンパカバー246とパワーシャフト210との間にシール258が設けられる必要があり、ダンパカバー246の構造が複雑化する問題がある。また、動力伝達装置200の組立時にパワーシャフト210をダンパカバー246に通す作業が発生するため、組立性が悪化する。更に、パワーシャフト210とシール258との間にフリクションが発生するため、メインスプリング208に蓄えられていたエネルギの一部がフリクションで消費され、動力伝達装置200の動力伝達効率が低下する。
【0084】
一方、本実施形態では、図28Bに示されるように、出力レバー212とダンパ214とがハウジング202を挟んで反対側に配置されているため、パワーシャフト210をダンパカバー246に貫通させる必要がない。そのため、ダンパカバー246の構造を単純化することができ、動力伝達装置200の組立性を良好にできるとともに、動力伝達装置200の動力伝達効率を向上させることができる。
【0085】
図29A及び図29Bは動力伝達装置の模式図である。図29A及び図29Bには、動力伝達装置200の構成要素のうち、ハウジング202、入力レバー204、入力筒206、パワーシャフト210及び出力レバー212が示されており、他の構成要素は省略されている。図29Aは、本実施形態の動力伝達装置200に対する比較例であって、入力レバー204と出力レバー212とがハウジング202を挟んで反対側に配置された状態の模式図である。図29Bは、本実施形態と同じく、入力レバー204及び出力レバー212がハウジング202に対して同じ側に配置された状態の模式図である。
【0086】
比較例では、図29Aに示されるように、パワーシャフト210の一端側は、インナブッシュ260を介して入力筒206に支持されている。また、パワーシャフト210の他端側は、ダンパ214の図示しないロータのベアリングに支持されている。入力筒206は、アウタブッシュ236を介してハウジング202の入力部材支持部232に支持されているため、パワーシャフト210は、最終的にハウジング202の入力部材支持部232に支持されることとなる。そのため、パワーシャフト210の各支持部の負荷が大きく、パワーシャフト210の軸の振れが大きくなり、動力伝達装置200の耐久性が悪化するおそれがある。
【0087】
一方、本実施の形態では、図29Bに示されるように、パワーシャフト210の一端側は、インナブッシュ238a、238bを介してハウジング202の出力部材支持部234に支持されている。また、パワーシャフト210の他端側は、ダンパ214の図示しないロータのベアリングに支持されている。即ち、パワーシャフト210は、ハウジング202出力部材支持部234に2つのインナブッシュ238a、238bを介して支持されているため、パワーシャフト210の各支持部の負荷を小さくすることができ、パワーシャフト210の軸の振れが小さくなり、動力伝達装置200の耐久性を向上させることができる。
【0088】
図30A図30Dは動力伝達装置の力学的等価モデルである。図30A図30Dは、ハウジング202、入力レバー204(入力筒206)、出力レバー212(パワーシャフト210)、メインスプリング208、リターンスプリング216及びダンパ214をモデル化した図である。
【0089】
図30Aは、動力伝達装置200の初期状態を示す。初期状態とは、入力レバー204が図22に示される位置にある状態のことを示す。初期状態では、入力レバー204は、腕部218のX方向正側の側面が、レバー出入穴256の縁に当接している。図30A図30Dでは、初期状態における入力レバー204の位置がP1で、出力レバー212の位置がQ1で示されている。初期状態において、メインスプリング208及びリターンスプリング216には、予荷重(プリロード)が掛けられている。メインスプリング208及びリターンスプリング216は、自然長の状態から変形して弾性力が発生するまでの間に遊びの領域がある。例えば、リターンスプリング216に予荷重が作用していない場合には、入力レバー204がガタつき位置が定まらない。初期状態において、メインスプリング208及びリターンスプリング216に予荷重を掛けることにより、入力レバー204の位置を出すことができる。
【0090】
図30Bは、外部から入力レバー204を倒す側に力が入力された直後の動力伝達装置200の状態を示す。図30A図30Dでは、入力レバー204を倒す側を右側として示している。入力レバー204に力が入力されると、入力レバー204が右側に移動する。このとき、リターンスプリング216が変形し、リターンスプリング216にエネルギが蓄えられる。入力レバー204に入力された力は、メインスプリング208を介して出力レバー212に伝達するため、入力レバー204の移動に伴い、出力レバー212も右側に移動する。図30A図30Dでは、入力レバー204に力が入力された直後の入力レバー204の位置がP2で、出力レバー212の位置がQ2で示されている。
【0091】
出力レバー212とハウジング202との間に設けられたダンパ214は、出力レバー212に入力される力の時間変化が大きいほど、出力レバー212の移動を妨げる方向に大きな減衰力を発生する。そのため、メインスプリング208から出力レバー212に力が伝達され始めた直後には、入力レバー204の移動量に対して出力レバー212の移動量が小さく、メインスプリング208が変形し、メインスプリング208にエネルギが蓄えられる。メインスプリング208にエネルギが蓄えられるため、入力レバー204に入力された力が直接ダンパ214に作用せず、ダンパ214に入力される衝撃を低減することができる。
【0092】
図30Cは、外部から入力レバー204を倒す側に力が入力されてから時間が経過した後の動力伝達装置200の状態を示す。入力レバー204に力が入力されてから時間が経過すると、ダンパ214の減衰力が漸減し、メインスプリング208の弾発力の方が大きくなるため、メインスプリング208に蓄えられたエネルギが開放され、出力レバー212は低速で右側に移動する。図30A図30Dでは、入力レバー204に力が入力されてから時間が経過した後の入力レバー204の位置がP2で、出力レバー212の位置がQ3で示されている。
【0093】
即ち、動力伝達装置200は、入力レバー204に短時間に大きな力が作用したとしても、入力された力を減衰させて出力レバー212から出力する。これにより、出力レバー212に接続されたコネクタユニット262は、出力レバー212とともに低速で上側(Z方向正側)に移動し、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合時の衝撃を低減することができる。
【0094】
図30Dは、外部からの入力レバー204への力の入力がなくなったときの動力伝達装置200の状態を示す。入力レバー204への力の入力がなくなると、リターンスプリング216の復元力により、入力レバー204、メインスプリング208、出力レバー212が一体となって、初期状態の位置まで移動する。ダンパ214はワンウェイタイプのものであるため、出力レバー212が初期状態の位置に戻る際には、ダンパ214は減衰力を発生しない。
【0095】
図30A図30B図30C図30Dの順に示される各部材の変位は、入力レバー204を変位させる速度がやや速い場合の変位が示されている。入力レバー204を変位させる速度が遅い場合には、ダンパ214はほどんど減衰力を発生させず、メインスプリング208も変形しないため、図30A図30C図30Dの順に各部材は変位する。一方、入力レバー204を変位させる速度が速い場合には、ダンパ214は大きな減衰力を発生させるため、図30Bに示される状態では、出力レバー212はほとんど移動せずに、図30Cの状態に移行する。
【0096】
なお、リターンスプリング216のばね定数は、外部からの入力レバー204への力の入力がなくなったときに、動力伝達装置200を初期状態に戻すことができる程度に設定されていればよく、メインスプリング208のばね定数に対してできるだけ小さな値に設定される。
【0097】
図22図23図25図27に示されるように、コネクタユニット262は、コネクタホルダ264及びコネクタ266を有している。コネクタ266は、ケーシング側接続端子274を支持している。コネクタホルダ264は、プレート201からZ方向負側に延びる2本のポール268a、268bに、上下方向(Z方向)に移動可能に支持されている。ポール268a、268bは、コネクタホルダ264を上側(Z方向正側)から見たときに、コネクタホルダ264の中心に対して、ポール268a、268bは非対称に配置されている。ポール268a、268bのそれぞれのZ方向負側の端部には、C形止輪269が設けられている。コネクタホルダ264は、C形止輪269によりポール268a、268bから抜け止めされている。コネクタホルダ264の動力伝達装置200と対向する側面には、X方向に延びる長穴270が形成されている。この長穴270に、出力レバー212のローラ224が挿入されている。
【0098】
図31はコネクタユニットの断面図である。図31には、バッテリ16の底面に設けられたバッテリ側接続端子272とケーシング側接続端子274とが接続された状態が示されている。
【0099】
ケーシング側接続端子274は、バッテリ側接続端子272の高圧端子276と嵌合接続可能な一対の高圧端子ピン278、及び、バッテリ側接続端子272の信号端子280に嵌合接続可能な複数の信号端子ピン282を有している。高圧端子ピン278及び信号端子ピン282は、バッテリ16側(Z方向正側)に向かって延びて設けられている。高圧端子ピン278と信号端子ピン282は、X方向に一列に並んで配置されている。高圧端子ピン278は、信号端子ピン282の外側にそれぞれ配置されている。高圧端子ピン278の先端は、信号端子ピン282の先端よりもバッテリ16側(Z方向正側)に位置している。このため、ケーシング側接続端子274がバッテリ側接続端子272に接続される際に、高圧端子ピン278は信号端子ピン282よりも先にバッテリ側接続端子272に接続される。
【0100】
コネクタ266は、バッテリ16の底面に形成されたガイド穴284に嵌合接続可能なガイド突起部286を有している。ガイド突起部286は、ケーシング側接続端子274のX方向の外側両側に一対設けられている。ガイド突起部286は、バッテリ16側(Z方向正側)に向かって延びて設けられている。ガイド突起部286は、全体的に略円柱状に形成され、その先端部分は、球面状又は先細り状のテーパ面が設けられている。ガイド突起部286の先端は、高圧端子ピン278及び信号端子ピン282よりもバッテリ16側(Z方向正側)に位置している。このため、ケーシング側接続端子274がバッテリ側接続端子272に接続される際に、高圧端子ピン278及び信号端子ピン282がバッテリ側接続端子272に接続されるよりも先に、ガイド突起部286がガイド穴284に接続される。
【0101】
コネクタ266は、ケーシング側接続端子274が設けられる端子保持部288と、端子保持部288の外周側に延びるフランジ部290を有している。端子保持部288は、コネクタホルダ264の貫通穴292に挿入され、フランジ部290によってコネクタホルダ264に対して抜け止めされている。コネクタ266は、コネクタホルダ264に一対の連結ピン294を介して、上下方向(Z方向)に相対移動可能に支持されている。連結ピン294は、コネクタホルダ264に形成された貫通穴296、及び、コネクタホルダ264のフランジ部290に形成された貫通穴297に挿入されている。連結ピン294の上部(Z方向正側端部)の頭部294aは、コネクタホルダ264の貫通穴296よりも大径に形成されており、連結ピン294は頭部294aによりコネクタホルダ264に対して抜け止めされている。
【0102】
連結ピン294には、コネクタ266のフランジ部290をバッテリ16側(Z方向正側)に付勢するスプリングユニット298が設けられている。スプリングユニット298は、ケース300、ストッパプレート302及びコイルスプリング304を有している。ケース300は、有底円筒状に形成され、底部306に連結ピン294が挿入される貫通穴306aが形成されている。ストッパプレート302は、その外径がケース300の外径と略同径に形成された円板状の部材であって、中央部の貫通穴302aに連結ピン294が挿入されている。ストッパプレート302は、C形止輪308によって連結ピン294に対して抜け止めされている。コイルスプリング304は、内周に連結ピン294が挿入されて、ケース300とストッパプレート302との間に設けられている。
【0103】
このような構成により、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合が完了するまでは、コネクタホルダ264とコネクタ266とは一体となって上側(Z方向正側)に移動する。ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合が完了し、端子保持部288のバッテリ16側の側面がバッテリ16の底面に接触すると、コネクタ266の移動が規制され、図31に示されるように、コネクタ266は、コネクタホルダ264に対して相対的に下側(Z方向負側)に移動する。
【0104】
図32A図32Eはコネクタユニットの力学的等価モデルである。図32A図32Eは、バッテリ側接続端子272、ケーシング側接続端子274、コイルスプリング304、コネクタ266及びコネクタホルダ264をモデル化した図である。
【0105】
図32Aは、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合前のコネクタユニット262の状態を示す。コネクタホルダ264は、動力伝達装置200の出力レバー212から上側(Z方向正側)の力が入力される。コネクタホルダ264に入力された力は、コイルスプリング304を介してコネクタ266に伝達され、コネクタホルダ264とコネクタ266は一体になって上側に移動する。
【0106】
図32Bは、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合中のコネクタユニット262の状態を示す。嵌合中は、ケーシング側接続端子274、コネクタ266及びコネクタホルダ264は一体となって上側に移動する。
【0107】
図32Cは、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合完了時のコネクタユニット262の状態を示す。嵌合完了までは、ケーシング側接続端子274、コネクタ266及びコネクタホルダ264は一体となって上側に移動する。
【0108】
図32Dは、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合完了後、コイルスプリング304の予圧縮中のコネクタユニット262の状態を示す。予圧縮中は、ケーシング側接続端子274及びコネクタ266は移動せず、コネクタホルダ264は上側に移動する。これにより、コイルスプリング304が圧縮され、ケーシング側接続端子274をバッテリ側接続端子272側に押圧する荷重が高まる。
【0109】
図32Eは、コイルスプリング304の予圧縮完了時のコネクタユニット262の状態を示す。コイルスプリング304の予圧縮が完了する位置において、コネクタホルダ264は停止する。このとき、ケーシング側接続端子274は十分な力でバッテリ側接続端子272側に押圧された状態となる。これにより、収容室14内でバッテリ16が上側(Z方向正側)に多少動いたとしても、コネクタ266がバッテリ16の動きに追従するため、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合が外れることがない。
【0110】
なお、コイルスプリング304によりケーシング側接続端子274を押圧する力の大きさを、初期状態ではF1、ケーシング側接続端子274とバッテリ側接続端子272との嵌合中ではF2、嵌合完了時ではF3、コイルスプリング304の予圧縮中ではF4、予圧縮完了時ではF5とすると、F1<F2≒F3<F4<F5の関係を有する。
【0111】
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0112】
例えば、上記実施形態では、通気路36A、36C、36D、36Fが吸気路であり、通気路36Eが排気路である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通気路36A、36C、36D、36Fを排気路とし、通気路36Eを吸気路としてもよい。この場合、送風機52は、図12A図12Bにおける左側から右側に向かって空気を送る。
【0113】
また、上記実施形態では、充電給電装置10が、バッテリ16に対する充電を行い得るとともに、バッテリ16に蓄えられた電力を外部機器に対して給電し得る場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、充電給電装置10が、バッテリ16に対して充電を行い得る一方、バッテリ16に蓄えられた電力を外部機器に出力し得なくてもよい。また、充電給電装置10が、バッテリ16に蓄えられた電力を外部機器に対して給電し得る一方、バッテリ16に対して充電を行い得なくてもよい。即ち、充電給電装置10は、充電と給電の両方を行い得る装置を意味するのみならず、充電のみを行い得る装置、及び、給電のみを行い得る装置をも意味し得る。
【0114】
また、上記実施形態では、筐体12が充電給電装置10に適用されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。筐体12は、充電給電装置10以外のあらゆる装置に適用し得る。例えば、筐体12を、パーソナルコンピュータ等に適用するようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、入力レバー204、入力筒206の入力部材、及び、出力レバー212、パワーシャフト210の出力部材は回動運動を行うが、入力部材及び出力部材を並進運動するようにしてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、メインスプリング208及びリターンスプリング216としてトーションばね又はねじりばねが用いられているが、入力部材及び出力部材が併進運動する場合にはコイルスプリング等、その他のスプリングが用いられるようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、動力伝達装置200を、バッテリ16から動力伝達装置200に作用する力をコネクタユニット262に伝達して、コネクタユニット262をバッテリ16側に移動させる装置として用いていた。これに対して、動力伝達装置200を、収容室14にバッテリ16が収容される際の衝撃を吸収する緩衝装置として用いるようにしてもよい。動力伝達装置200を緩衝装置として用いる場合には、動力伝達装置200にコネクタユニット262をバッテリ16側に移動させる機能を持たせないようにしてもよい。その場合、コネクタユニット262は、プレート201のZ方向正側に固定されていてもよい。または、コネクタユニット262をバッテリ16側に移動させる装置を別に設けてもよい。動力伝達装置200を緩衝装置として用いる場合には、動力伝達装置200が、入力レバー204、入力筒206、メインスプリング208及びリターンスプリング216を有し、パワーシャフト210、出力レバー212及びダンパ214を有しない構造としてもよい。
【0118】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
【0119】
それぞれ相対移動可能であって、かつ、互いに動力伝達可能に機械的に接続される第1の部材、第2の部材及び第3の部材を有する動力伝達装置であって、前記第1の部材と前記第2の部材との動力伝達経路である第1の動力伝達経路上に配置される第1の弾性部材と、前記第1の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第2の動力伝達経路上に配置される第2の弾性部材と、前記第2の部材と前記第3の部材との動力伝達経路である第3の動力伝達経路上に配置される緩衝部材と、を有する。このような構成によれば、過大な外力の伝達を抑制することができる。
【0120】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ回動可能に設けられてもよい。このような構成によれば、動力伝達装置のコンパクト化を図ることができる。
【0121】
前記第1の部材の回動軸と前記第2の部材の回動軸とは、同一直線上に配置されてもよい。このような構成によれば、動力伝達装置のコンパクト化を図ることができる。
【0122】
前記第1の弾性部材は、前記第1の部材の回動方向及び前記第2の部材の回動方向に弾性を有し、前記第1の弾性部材は、前記第1の部材の回動軸及び前記第2の部材の回動軸と同一直線上に配置されてもよい。このような構成によれば、動力伝達装置のコンパクト化を図ることができる。
【0123】
前記第1の弾性部材は、前記第1の部材の回動軸及び前記第2の部材の回動軸の方向において、前記第1の部材及び前記第2の部材と重なり合うように配置されてもよい。このような構成によれば、動力伝達装置のコンパクト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0124】
200…動力伝達装置 202…ハウジング
204…入力レバー 208…メインスプリング
212…出力レバー 214…ダンパ
216…リターンスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
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