(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】複合基板、複合基板の製造方法、回路基板の製造方法、複数の回路基板の集合体の製造方法及び複数の回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241105BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H05K1/02 G
H05K3/00 X
H05K3/00 P
H05K1/02 R
(21)【出願番号】P 2021522819
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2020020944
(87)【国際公開番号】W WO2020241697
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2019102590
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 晃正
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩二
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/054609(WO,A1)
【文献】特開2008-211159(JP,A)
【文献】特開2018-137396(JP,A)
【文献】特開2011-166040(JP,A)
【文献】特開2004-096035(JP,A)
【文献】特開2001-168482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0005956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、
前記セラミック基板における裏面側に接合されている第2金属層と、
を備え、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方には、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されており、
前記孔が形成されている場合、前記セラミック基板のうち前記孔と重なる部分には、孔が形成されて
おらず、
前記切り欠きが形成されている場合、当該切り欠きは、前記第1金属層及び前記第2金属層のうち当該切り欠きを有する金属層の周縁の一部に設けられている、複合基板。
【請求項2】
セラミック基板と、
前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、
前記セラミック基板における裏面側に接合されている第2金属層と、
を備え、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方には、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠
きが形成されており、
前記セラミック基板は、その厚み方向から見て、矩形であり、
前記少なくとも1つの切り欠きは、前記セラミック基板の4つの角部のうちの少なくとも1つの角部を露出させるように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成されている、複合基板。
【請求項3】
前記第1金属層及び前記第2金属層の両方には、それぞれ、前記少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されており、
前記両方に形成されている前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、互いに位置、大きさ及び形状のいずれか1つ以上が異なっている、
請求項1又は2に記載の複合基板。
【請求項4】
前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、アライメントマークとしての機能を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項5】
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方には、電子部品が実装される回路パターンが形成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の複合基板。
【請求項6】
前記第1金属層及び前記第2金属層の他方は、放熱層として機能する、
請求項5に記載の複合基板。
【請求項7】
セラミック基板と、
前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、
前記セラミック基板における裏面側に接合されている第2金属層と、
を備え、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方には、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されており、
前記セラミック基板の表面及び裏面の一方には、少なくとも1本のスクライブラインが形成されており、
前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、前記セラミック基板の厚み方向から見て、その内側に前記少なくとも1本のスクライブラインの一部が位置するように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に形成されている、複合基板。
【請求項8】
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域には、それぞれ、電子部品が実装される回路パターンが形成される、
請求項7に記載の複合基板。
【請求項9】
前記第1金属層及び前記第2金属層の他方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域は、それぞれ放熱層として機能する、
請求項8に記載の複合基板。
【請求項10】
セラミック基板の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層及び第2金属層が接合されている複合基板の製造方法であって、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔を形成する切り欠き形成工程と、
前記第1金属層及び前記第2金属層を、それぞれ前記セラミック基板の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、
を含み、
前記孔が形成されている場合、前記セラミック基板のうち前記孔と重なる部分には、孔が形成されて
おらず、
前記切り欠きが形成されている場合、当該切り欠きは、前記第1金属層及び前記第2金属層のうち当該切り欠きを有する金属層の周縁の一部に設けられている、複合基板の製造方法。
【請求項11】
セラミック基板の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層及び第2金属層が接合されている複合基板の製造方法であって、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に、それぞれ、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠
きを形成する切り欠き形成工程と、
前記第1金属層及び前記第2金属層を、それぞれ前記セラミック基板の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、
を含み、
前記セラミック基板は、その厚み方向から見て、矩形であり、
前記少なくとも1つの切り欠きは、前記セラミック基板の4つの角部のうちの少なくとも1つの角部を露出させるように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成される、複合基板の製造方法。
【請求項12】
前記切り欠き形成工程では、互いに、位置、大きさ及び形状のいずれか1つ以上が異なる前記少なくとも1つ以上の切り欠き又は孔を前記両方に形成する、
請求項11に記載の複合基板の製造方法。
【請求項13】
セラミック基板の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層及び第2金属層が接合されている複合基板の製造方法であって、
前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に、それぞれ、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔を形成する切り欠き形成工程と、
前記第1金属層及び前記第2金属層を、それぞれ前記セラミック基板の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、
を含み、
前記セラミック基板の表面及び裏面の一方には、少なくとも1本のスクライブラインが形成されており、
前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、前記セラミック基板の厚み方向から見て、その内側に前記少なくとも1本のスクライブラインの一部が位置するように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に形成される、複合基板の製造方法。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の複合基板の製造方法と、
前記接合工程の後に行う工程であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成された前記少なくとも1つの切り欠き又は孔から前記セラミック基板の表面及び裏面の識別をして、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に電子部品が実装される回路パターンを形成するパターン形成工程と、
を含む、
回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記接合工程の前に行われる工程であって、前記セラミック基板の表面又は裏面に少なくとも1本のスクライブラインを形成するスクライブライン形成工程、
を含む、
請求項10~12のいずれか1項に記載の複合基板の製造方法。
【請求項16】
請求項13又は15に記載の複合基板の製造方法と、
前記接合工程の後に行う工程であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成された前記少なくとも1つの切り欠き又は孔から前記セラミック基板の表面及び裏面の識別をして、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域に、それぞれ回路パターンを形成するパターン形成工程と、
を含む、
複数の回路基板の集合体の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の複数の回路基板の集合体の製造方法と、
前記少なくとも1本のスクライブラインに沿って前記セラミック基板を切断して、前記複数の回路基板の集合体を分割する分割工程と
を含む、
複数の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板、複合基板の製造方法、回路基板の製造方法、複数の回路基板の集合体の製造方法及び複数の回路基板の製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック基板をベース基材とし、その一方の面に回路パターンが形成されている回路基板が知られている。このような回路基板は、高熱伝導率、高絶縁性の観点において優れていることから、例えばパワーモジュール用に利用されている。
【0003】
ここで、特許文献1には、表面にスクライブラインが形成されているセラミック基板の両面に金属層を接合して複合基板とし、表面の金属層をエッチングにより回路パターンに加工してから、スクライブラインに沿って複合基板を分割し複数の回路基板を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、裏面側に接合されている第2金属層とを備える複合基板において、その表裏を容易に識別できる複合基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の複合基板は、セラミック基板と、前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、前記セラミック基板における裏面側に接合されている第2金属層と、を備え、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方には、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されている。
ここで、「表面及び裏面の識別を可能にする」とは、当該複合基板を取り扱う者等が、当該複合基板の表面と裏面とを目視で識別できることを意味する。
そして、表面及び裏面の識別を可能にする態様としては、以下のものが挙げられる。
(第1態様)第1金属層及び第2金属層の一方に少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されている態様。
(第2態様)第1金属層及び第2金属層の両方に少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されているが、第1金属層に形成されているものと第2金属層に形成されているものとは形状、位置、数量又は大きさの点で相違する態様。
(第3態様)第1金属層及び第2金属層の両方に少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されており、かつ、第1金属層に形成されているものと第2金属層に形成されているものとは形状、位置、数量及び大きさの点で同一又は略同一であるが、切り欠き又は孔内の色彩、素材又は模様により相違する態様。
【0007】
本発明の第2態様の複合基板は、前記複合基板において、前記セラミック基板は、その厚み方向から見て、矩形であり、前記少なくとも1つの切り欠きは、前記セラミック基板の4つの角部のうちの少なくとも1つの角部を露出させるように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成されている。
【0008】
本発明の第3態様の複合基板は、前記複合基板において、前記第1金属層及び前記第2金属層の両方には、それぞれ、前記少なくとも1つの切り欠き又は孔が形成されており、前記両方に形成されている前記少なくとも1つ切り欠き又は孔は、互いに位置、大きさ及び形状のいずれか1つ以上が異なっている。
【0009】
本発明の第4態様の複合基板は、前記複合基板において、前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、アライメントマークとしての機能を有する。
【0010】
本発明の第5態様の複合基板は、前記複合基板において、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方には、電子部品が実装される回路パターンが形成される。
【0011】
本発明の第6態様の複合基板は、前記複合基板において、前記第1金属層及び前記第2金属層の他方は、放熱層として機能する。
【0012】
本発明の第7態様の複合基板は、前記複合基板において、前記セラミック基板の表面及び裏面の一方には、少なくとも1本のスクライブラインが形成されている。
【0013】
本発明の第8態様の複合基板は、前記複合基板において、前記少なくとも1つの切り欠き又は孔は、前記厚み方向から見て、その内側に前記少なくとも1本のスクライブラインの一部が位置するように、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に形成されている。
【0014】
本発明の第9態様の複合基板は、前記複合基板において、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域には、それぞれ、電子部品が実装される回路パターンが形成される。
【0015】
本発明の第10態様の複合基板は、前記複合基板において、前記第1金属層及び前記第2金属層の他方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域は、それぞれ放熱層として機能する。
【0016】
本発明の第1態様の複合基板の製造方法は、セラミック基板の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層及び第2金属層が接合されている複合基板の製造方法であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に、前記セラミック基板の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔を形成する切り欠き形成工程と、前記第1金属層及び前記第2金属層を、それぞれ前記セラミック基板の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、を含む。
【0017】
本発明の第2態様の複合基板の製造方法は、セラミック基板の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層及び第2金属層が接合されている複合基板の製造方法であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の両方に、それぞれ、前記セラミック基板の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔を形成する切り欠き形成工程と、前記第1金属層及び前記第2金属層を、それぞれ前記セラミック基板の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、
を含む。
【0018】
本発明の第3態様の複合基板の製造方法は、前記複合基板の製造方法において、前記切り欠き形成工程では、互いに、位置、大きさ及び形状のいずれか1つ以上が異なる前記少なくとも1つ以上の切り欠き又は孔を前記両方に形成する。
【0019】
本発明の回路基板の製造方法は、前記複合基板の製造方法と、前記接合工程の後に行う工程であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成された前記少なくとも1つの切り欠き又は孔から前記セラミック基板の表面及び裏面の識別をして、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に電子部品が実装される回路パターンを形成するパターン形成工程と、を含む。
【0020】
本発明の第4態様の複合基板の製造方法は、前記複合基板の製造方法と、前記接合工程の前に行われる工程であって、前記セラミック基板の表面又は裏面に少なくとも1本のスクライブラインを形成するスクライブライン形成工程、を含む。
【0021】
本発明の第5態様の複合基板の製造方法は、前記複合基板の製造方法と、前記切り欠き形成工程では、前記接合工程の際に前記厚み方向で前記少なくとも1つの切り欠き又は孔の内側に前記少なくとも1本のスクライブラインの一部が位置するように、前記少なくとも1つの切り欠き又は孔を前記第1金属層及び前記第2金属層の一方に形成する。
【0022】
本発明の複数の回路基板の集合体の製造方法は、前記複合基板の製造方法と、前記接合工程の後に行う工程であって、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方又は両方に形成された前記少なくとも1つの切り欠き又は孔から前記セラミック基板の表面及び裏面の識別をして、前記第1金属層及び前記第2金属層の一方における前記少なくとも1本のスクライブラインにより区画されている複数の領域に、それぞれ回路パターンを形成するパターン形成工程と、を含む。
【0023】
本発明の複数の回路基板の製造方法は、前記複数の回路基板の集合体の製造方法と、前記少なくとも1本のスクライブラインに沿って前記セラミック基板を切断して、前記複数の回路基板の集合体を分割する分割工程と、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の複合基板は、セラミック基板と、前記セラミック基板の表面側に接合されている第1金属層と、裏面側に接合されている第2金属層とを備える複合基板において、その表裏を容易に識別できる。
【0025】
また、本発明の複合基板の製造方法によれば、表裏を容易に識別できる複合基板を製造することができる。これに伴い、本発明の回路基板の製造方法、複数の回路基板の集合体の製造方法及び複数の回路基板の製造方法によれば、それぞれの製造不良が発生しない又は発生し難い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態の複数の実装基板の製造方法を示すフロー図である。
【
図2A】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、グリーンシート形成工程のフロー図である。
【
図2B】本実施形態のグリーンシート形成工程に含まれる、成型工程を説明するための図であって、ドクターブレード成形装置を用いてスラリーから帯状グリーンシートを作製している状態を説明するための概略図である。
【
図2C】本実施形態のグリーンシート形成工程に含まれる、切断工程を説明するための図であって、切断装置を用いて帯状グリーンシートを切断して枚葉グリーンシートを作製している状態を説明するための概略図(側面図)である。
【
図3】本実施形態のセラミック基板の製造方法により製造された重ねられた状態の複数のセラミック基板の概略図である。
【
図4】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、スクライブライン形成工程を説明するための図である。
【
図5A】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、金属層形成工程のフロー図である。
【
図5B】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、金属層形成工程を説明するための図である。
【
図6】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、レジスト印刷工程を説明するための図である。
【
図7】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、エッチング工程を説明するための図である。
【
図8】本実施形態の複数の実装基板の製造方法に含まれる、分割工程を説明するための図である。
【
図9】第1変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図10】第2変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図11】第3変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図12】第4変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図13】第5変形例のマザーボードの図であって、本実施形態の
図5Cの断面図と同じ部分で切断した断面図である。
【
図14】第6変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図15A】第7変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【
図16】第8変形例の金属層形成工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
≪概要≫
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。具体的には、本実施形態の複数の実装基板(図示省略)の製造方法について、
図1等を参照しながら、
図1に示す各工程順に説明する。各工程後に製造される、セラミック基板40(
図3参照)、マザーボード60(複合基板の一例、
図5B及び
図5C参照)、集合基板60B(複合基板の他の一例、
図7及び
図8参照)及び回路基板60C(
図8参照)については、それぞれの製造時に相当する各工程の説明の中で説明する。
次いで、本実施形態の効果について説明する。
次いで、本実施形態の変形例について例えば
図9~
図12を参照しながら説明する。
なお、以下の説明で参照するすべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0028】
≪本実施形態の複数の実装基板の製造方法≫
本実施形態の複数の実装基板の製造方法S100(以下、本実施形態の製造方法S100という。)は、
図1に示すように、グリーンシート形成工程S10と、焼結工程S20と、スクライブライン形成工程S30(以下、SL形成工程S30という。)と、金属層形成工程S40と、レジスト印刷工程S50と、エッチング工程S60と、表面処理工程S70と、分割工程S80と、実装工程S90とを含み、これらの各工程の記載順で行なわれる。
【0029】
また、本実施形態の製造方法S100における各工程の終了時と、その時点での製造物との関係は、以下のとおりである。
========================================
終了時の各工程 その時点での製造物
========================================
焼結工程S20 セラミック基板40(
図3参照)
SL形成工程S30 SL付きセラミック基板40A(
図4参照)
金属層形成工程S40 マザーボード60(
図5B及び
図5C参照)
エッチング工程S60 集合基板60B(
図7参照)
分割工程S80 複数の回路基板60C(
図8参照)
実装工程S90 複数の実装基板
========================================
本明細書では、マザーボード60は複合基板の一例であり、集合基板60Bは集合体の一例である。
【0030】
また、本実施形態の説明には、以下の発明についての実施形態が含まれる。具体的は、以下のとおりである。
(複合基板に関する発明)
本実施形態のマザーボード60(複合基板の一例)は、セラミック基板40と、セラミック基板40の表面側に接合されている第1金属層50Aと、セラミック基板40における裏面側に接合されている第2金属層50Bと、を備え、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方には、セラミック基板40の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠きNT1又は孔HL2が形成されている(
図5B、
図5C、
図11~
図12、
図13等参照)。
ここで、本明細書における「切り欠き」とは、形成されている対象物(具体的には、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方)の周縁で開口しつつ一部を除去したような部分を意味する。そして、ここでいう「切り欠き」には、対象物の厚み方向の部分の全部を除去した形態(
図5Bの符号NT1、
図10の符号NT2、
図16の符号NT4等参照)と、対象物の厚み方向の部分の一部を除去した形態(
図13の符号NT3参照)とが含まれる。この場合、「切り欠き」は窪みとみなすこともできる。これに対して、本明細書における「孔」とは、形成されている対象物(具体的には、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方)の周縁で開口せずにその表面又は裏面からその厚み方向に除去したような部分を意味する(
図14の符号HL1、
図15A及び
図15Bの符号HL1、HL2等参照)。そして、ここでいう「孔」には、形成される対象物を貫通する貫通孔(
図14の符号HL1並びに
図15A及び
図15Bの符号HL1参照)と、形成される対象物を貫通しない非貫通孔(凹み)(
図15A及び
図15Bの符号HL2参照)とが含まれる。この非貫通孔は、窪みや溝とみなすこともできる。
(複合基板の製造方法に関する発明)
本実施形態のマザーボード60(複合基板の一例)の製造方法は、セラミック基板40の表面側及び裏面側に、それぞれ第1金属層50A及び第2金属層50Bが接合されているマザーボード60の製造方法であって、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方に、セラミック基板40の表面及び裏面の識別を可能にする少なくとも1つの切り欠き又は孔を形成する切り欠き形成工程と、第1金属層50A及び第2金属層50Bを、それぞれセラミック基板40の表面側及び裏面側に接合する接合工程と、を含む(
図5A、
図5B等参照)。
(回路基板の製造方法に関する発明)
本実施形態の回路基板60Cの製造方法は、本実施形態のマザーボード60(複合基板の一例)の製造方法と、接合工程S42の後に行う工程であって、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方に形成された少なくとも1つの切り欠きNT1又は孔HL1からセラミック基板40の表面及び裏面の識別をして、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方に電子部品(図示省略)が実装される回路パターンCPを形成するエッチング工程S60(回路パターン形成工程の一例)と、を含む(
図1、
図7等参照)。
(複数の回路基板の集合体の製造方法に関する発明)
本実施形態の複数の回路基板60Cの集合基板60B(集合体の一例)の製造方法は、本実施形態のマザーボード60(複合基板の一例)の製造方法と、接合工程S42の後に行う工程であって、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方に形成された少なくとも1つの切り欠きNT1又は孔HL1からセラミック基板40の表面及び裏面の識別をして、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方における少なくとも1本のスクライブラインSLにより区画されている複数の領域に、それぞれ回路パターンCPを形成するエッチング工程S60(回路パターン形成工程の一例)と、を含む(
図1、
図7等参照)。そして、本実施形態の複数の回路基板60Cの製造方法は、本実施形態の製造方法S100のうちグリーンシート形成工程S10から分割工程S80までの工程に相当する(
図1参照)。
(複数の回路基板の製造方法に関する発明)
本実施形態の複数の回路基板60Cの製造方法は、
本実施形態の複数の回路基板60Cの集合基板60B(集合体の一例)の製造方法と、少なくとも1本のスクライブラインSLに沿ってセラミック基板40(又はSL付きセラミック基板40A)を切断して、集合基板60Bを分割する分割工程とを含む。
以下、各工程について説明する。
【0031】
<グリーンシート形成工程及び焼結工程>
本実施形態における、グリーンシート形成工程S10及び焼結工程S20を組み合せて、これらの記載順で行う工程は、セラミック基板40の製造方法に相当する。
以下、本実施形態のセラミック基板40の製造方法について、
図2A、
図2B、
図2C及び
図2D並びに
図3を参照しながら説明する。
【0032】
ここで、セラミック基板40は、一例として、電気自動車、鉄道車両その他産業機器に搭載されるパワーモジュール用の回路基板が備えるセラミック基板である。セラミック基板40は、一例として、後述する枚葉グリーンシート30(
図2C参照)を積層した状態で焼結して得られる(
図3参照)。また、枚葉グリーンシート30は、帯状グリーンシート20(
図2B及び
図2C参照)を切断して得られる。すなわち、セラミック基板40と枚葉グリーンシート30との関係は、完成品と中間品(完成品になる前の工程で製造された物)との関係、又は、第1中間品と第2中間品(第1中間品になる前の工程で製造された物)との関係を有する。そのため、本実施形態の枚葉グリーンシート30は、本実施形態のセラミック基板40の製造方法の中間段階までの工程で製造される。
なお、本実施形態のセラミック基板40は、一例として、矩形の板である(
図4参照)。
【0033】
<グリーンシート形成工程>
以下、グリーンシート形成工程S10について、
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dを参照しながら説明する。本実施形態のグリーンシート形成工程S10は、
図2Aのフロー図に示すように、スラリー作製工程S11と、成形工程S12と、切断工程S13と、積層工程S14と、脱脂工程S15と、焼結工程S20とを含み、これらの記載順で行われる。
【0034】
〔スラリー作製工程〕
本工程は、後述する原料粉末と有機溶剤とを混合して、スラリー10を作成する工程である。本工程で作製されたスラリー10(
図2B参照)は、次の工程(成型工程)で帯状グリーンシート20に成形される。
【0035】
スラリー10の原料粉末は、後述する主成分と焼結助剤とを含有する粉末である。主成分は一例として80重量%~98.3質量%の窒化珪素(Si3N4)であり、焼結助剤は一例として1重量%~10質量%(酸化物換算)の少なくとも1種の希土類元素及び0.7重量%~10質量%(酸化物換算)のマグネシウム(Mg)である。窒化珪素の粉末のα化率は、セラミック基板40の密度、曲げ強度及び熱伝導率を考慮すると、好ましくは20%~100%である。
ここで、本明細書で使用する「~」の意味について補足すると、例えば「20%~100%」は「20%以上100%以下」を意味する。そして、本明細書で使用する「~」は、「『~』の前の記載部分以上『~』の後の記載部分以下」を意味する。
【0036】
窒化珪素(Si3N4)の原料粉末における割合を一例として80重量%~98.3質量%とする理由は、得られるセラミック基板40の曲げ強度及び熱伝導率が低すぎないこと、焼結助剤の不足によるセラミック基板40の緻密性を担保すること等による。
【0037】
以下、説明の簡略化のために、窒化珪素の原料粉末をSi3N4粉末(別名は窒化珪素粉末、セラミック粉末の一例)、Mgの原料粉末をMgO粉末、希土類元素原料の粉末をY2O3粉末と表記する。ただし、窒化珪素の原料粉末及び焼結助剤の原料粉末は、それぞれ、Si3N4粉末並びにMgO粉末及びY2O3粉末でなくてもよい。
【0038】
そして、前述のように配合されたSi3N4粉末、MgO粉末及びY2O3粉末と、可塑剤、有機バインダー及び有機溶剤とを混合して、スラリー10が作製される。そのため、本工程で作製されるスラリー10は、セラミック粉末を含む。
【0039】
以上が、スラリー作製工程S11についての説明である。
【0040】
〔成形工程〕
次に、成形工程S12について説明する。本工程は、
図2Bに示すように、スラリー10から帯状グリーンシート20を製造する工程である。
【0041】
本工程は、一例として、
図2Bに示すドクターブレード成形装置100を用いて行われる。ここで、ドクターブレード成形装置100は、ベルト搬送機構110と、成形ユニット120と、加熱ユニット130とを備えている。ベルト搬送機構110は、上流側のローラ112A、下流側のローラ112B及びベルト114を有し、下流側のローラ112を駆動させて、ベルト114を上流側のローラ112から下流側のローラ112に(X方向に沿って)移動させる。成形ユニット120は、ベルト114の上側(ベルト114よりもZ方向側)に配置され、ベルト114に対向している。成形ユニット120は、スラリー10を収容する収容部122とドクターブレード124とを有する。
【0042】
そして、成形ユニット120は、
図2Bに示すように、自重及び移動するベルト114との付着力により収容部122から持ち出されるスラリー10を、ドクターブレード124により規制して定められた膜厚を有するシート状にする。加熱ユニット130は、定められた膜厚にされたベルト114上のスラリー10に温風WCを吹き付けてスラリー10をシートにする(有機溶剤を気化させる)。その結果、成形工程では、スラリー10から定められた幅(図中Y方向が幅方向に相当)の帯状グリーンシート20が作製される。すなわち、成型工程では、スラリー10をドクターブレード成形により帯状にして、一例としてSi
3N
4(セラミック)を含んで構成される帯状グリーンシート20を得る。
【0043】
なお、本工程は、一例として、スラリー作製工程S11で作製されたスラリー10の脱泡をし、かつ、スラリー10を増粘させた後に行われる。また、本工程で作製される帯状グリーンシート20の膜厚は、最終的に製造されるセラミック基板40の膜厚を考慮して設定される。これに伴い、スラリー10を定められた膜厚に規制するためのドクターブレード124の規制条件(ベルト114との離間距離等)も最終的に製造されるセラミック基板40の膜厚を考慮して設定される。
【0044】
以上が、成形工程S12についての説明である。
【0045】
〔切断工程〕
次に、切断工程S13について説明する。本工程は、
図2Cに示すように、帯状グリーンシート20を切断して枚葉グリーンシート30を製造する工程である。
【0046】
本工程は、一例として、
図2Cに示す切断装置200を用いて行われる。ここで、切断装置200は、シート搬送機構210と、切断部220とを備えている。
シート搬送機構210は、支持部212と、第1搬送部214と、第2搬送部216とを有する。支持部212は、成形工程S12で作製された帯状グリーンシート20が外周面に巻き付けられているローラ112B(
図2B及び
図2C参照)を回転可能に支持する。第1搬送部214は、支持部212から搬送された帯状グリーンシート20の姿勢を整えて帯状グリーンシート20をX方向に沿って(帯状グリーンシート20の長手方向に沿って)切断部220に搬送する。第2搬送部216は、切断部220で帯状グリーンシート20が切断されて作製された枚葉グリーンシート30を更に下流に(X方向に)搬送する。
また、切断部220は、筐体222と、照射部224と、移動機構226とを有している。照射部224は、一例として、レーザー光LBを照射する。移動機構226は、照射部224を帯状グリーンシート20の短手方向(図中Y方向)の一端から他端に亘って走査させる。照射部224及び移動機構226は、筐体222に取り付けられている。
【0047】
そして、本実施形態の切断装置200は、シート搬送機構210により帯状グリーンシート20を枚葉グリーンシート30の長さ分搬送して帯状グリーンシート20を停止させ、切断部220により帯状グリーンシート20を切断する。この場合、切断部220は、移動機構226により照射部224をY方向に沿って帯状グリーンシート20の短手方向の一端側から他端側に亘って移動させながら、照射部224にレーザー光LBを照射させる(
図2参照)。また、移動機構226により走査される照射部224は、レーザー光LBを間欠的に照射する。ここで、「間欠的に」とは、一定期間照射することと一定期間照射しないこととを繰り返すことを意味する。そのため、移動機構226は、照射部224が移動と停止とを繰り返すようにして、照射部224を走査させる(
図2D参照)。
以上のようにして、本工程では、帯状グリーンシート20にレーザー光LBを照射することで帯状グリーンシート20を切断して枚葉グリーンシート30を得る。なお、レーザー光LBは、帯状グリーンシート20を切断することができれば、炭酸ガスレーザー光、赤外線レーザー光、紫外線レーザー光その他のレーザー光でもよい。また、本工程の説明では、一例として
図2Cに示す切断装置200を用いて帯状グリーンシート20を切断して枚葉グリーンシート30を製造するとしたが、帯状グリーンシート20から枚葉グリーンシート30を製造することができれば、他の方法を用いてもよい。例えば、プレス加工装置(図示省略)を用いて、プレスにより帯状グリーンシート20を打ち抜いて枚葉グリーンシート30を製造してもよい。
【0048】
以上が、切断工程S13についての説明である。
【0049】
〔積層工程〕
次に、積層工程S14について説明する。本工程は、
図3に示すように、複数の枚葉グリーンシート30をその厚み方向に重ねる工程である。本工程は、後の工程(焼結工程S20)で効率的に枚葉グリーンシート30を焼結させるために行われる工程である。
【0050】
本工程では、
図3に示すように、複数の枚葉グリーンシート30を、後述する非反応性粉末層(図示省略)を介して積層する。ここで、枚葉グリーンシート30を重なる枚数が少ないと、後の焼結工程S16において焼結炉(図示省略)で一度に処理できる枚数が少なくなる(生産効率が低くなる)。これに対して、枚葉グリーンシート30を重ねる枚数が多いと、次の工程(脱脂工程S15)において枚葉グリーンシート30に含まれるバインダーが分解し難くなる。以上の理由により、本工程において枚葉グリーンシート30を重ねる枚数は8枚~100枚、好ましくは30枚~70枚である。
【0051】
また、本実施形態の非反応性粉末層は、一例として、膜厚が約1μm~20μmの窒化硼素粉末層(BN粉末層)である。BN粉末層は、次の工程(焼結工程S16)後にセラミック基板40を容易に分離させる機能を有する。BN粉末層は、BN粉末のスラリーとして、各枚葉グリーンシート30の一面に、例えばスプレー、ブラシ塗布、ロールコーター、スクリーン印刷等によって塗布される。なお、BN粉末は85%以上の純度で、好ましくは平均粒径が1μm~20μmである。
【0052】
以上が、積層工程S14についての説明である。
【0053】
〔脱脂工程〕
次に、脱脂工程S15について説明する。本工程は、枚葉グリーンシート30に含まれるバインダー及び可塑剤を、次の工程(焼結工程S16)の前に脱脂するための工程である。
本工程では、一例として、積層工程S14で重ねた複数の枚葉グリーンシート30(
図3参照)を450℃~750℃の温度環境下で、0.5時間~20時間保持する。その結果、複数の枚葉グリーンシート30に含まれるバインダー及び可塑剤が脱脂される。
【0054】
以上が、脱脂工程S15についての説明である。また、以上が、本実施形態のグリーンシート形成工程S10についての説明である。
【0055】
<焼結工程>
次に、焼結工程S16について、
図3を参照しながら説明する。本工程は、積層工程S14で重ねられて、脱脂工程S15でバインダー及び可塑剤が脱脂された複数の枚葉グリーンシート30(以下、
図3の複数の枚葉グリーンシート30という。)を、焼結装置(図示省略)を用いて焼結させる工程である。本工程が終了すると、複数のセラミック基板40が重ねられた状態で製造される。
【0056】
以上が、焼結工程S20についての説明である。また、以上が、本実施形態のセラミック基板40の製造方法についての説明である。
【0057】
セラミック基板40の種類に特に制限はなく、例えば、炭化物、酸化物及び窒化物等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられ、より好ましくは、窒化ケイ素、窒化アルミニウムである。
【0058】
<スクライブライン形成工程>
次に、SL形成工程S30について、
図4を参照しながら説明する。本工程は、セラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2のうちの一方の面(本実施形態では一例として表面40A1)に、少なくとも1本(本実施形態では一例として3本)のスクライブラインSLを形成する工程である。本工程が終了すると、SL付きセラミック基板40Aが製造される(
図4参照)。
本工程では、
図4に示すように、セラミック基板40の表面40A1に、照射部(図示省略)から照射したレーザー光により一例として幅方向中央に1本、長さ方向を三等分する2本の合計3本の直線部分を形成し、表面40A1の全領域を6等分された領域に区画する。ここで、各スクライブラインSLは、一例として、直線状に並ぶ複数の凹みにより構成されている(
図5C参照)。そのため、本工程で使用される照射部(一例として、炭酸ガスレーザー光源、YAGレーザー光源等)は、例えば、レーザー光を間欠的に照射可能となっている。
なお、各スクライブラインSLは、後の工程である分割工程S80(
図1参照)において、セラミック基板40を複数枚(本実施形態では6枚)に分割する際の切断線として用いられる。
【0059】
以上が、SL形成工程S30についての説明である。
【0060】
<金属層形成工程>
次に、金属層形成工程S40について、
図5A、
図5B及び
図5Cを参照しながら説明する。本工程は、
図5Aのフロー図に示すように、切り欠き形成工程S41と、接合工程S42とを含み、これらの記載順で行われる。
【0061】
〔切り欠き形成工程〕
切り欠き形成工程S41は、その厚み方向から見て矩形で、SL付きセラミック基板40Aの表面40A1側に接合される第1金属層50Aに、切り欠きNT1を形成する工程である(
図5B参照)。例えば、本工程は、
図2Cに示す切断装置200のような装置を用いて帯状の金属層(図示省略)を裁断して矩形である枚葉の金属層を製造する際に、当該装置に取り付けられているプレスユニット(図示省略)により当該枚葉の金属層に切り欠きNT1を形成して第1金属層50Aを製造すればよい。これに対して、本工程では、その厚み方向から見て矩形で、SL付きセラミック基板40Aの裏面40A2側に接合される第2金属層50Bには、切り欠きを形成しない。
【0062】
なお、前述の第1金属層50A及び第2金属層50Bは後述する接合工程S42でSL付きセラミック基板40Aに接合されて層を構成することから、本明細書では、接合工程S42でSL付きセラミック基板40Aに接合される前に板状である第1金属層50A及び第2金属層50Bをこのままの名称とする。また、それぞれの厚み方向から見た、第2金属層50Bと、SL付きセラミック基板40Aとは、外周の形状及び大きさが同等である。そして、第1金属層50Aと、第2金属層50Bとは、第1金属層50Aに切り欠きNT1が形成されている点以外は、それぞれ、厚み、形状、大きさ及び材質が同等である。
【0063】
第一金属層50A及び第二金属層50Bの種類に特に制限はなく、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0064】
〔接合工程〕
接合工程S42は、第1金属層50A及び第2金属層50Bを、それぞれ、SL付きセラミック基板40Aの表面40A1側及び裏面40A2側に接合する工程である。この場合、第1金属層50A及び第2金属層50Bは、それぞれ、ろう材(図示省略)を介して、表面40A1側及び裏面40A2側に接合される。具体的には、セラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2に、ロールコーター法、スクリーン印刷法、転写法等の方法によりペースト状の活性金属ろう材を均一に塗布し、さらに、均一に塗布したペースト状の活性金属ろう材を介してセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2にそれぞれ第1金属層50A及び第2金属層50Bを活性金属法にて接合する。ここで、本工程では、ペースト状のろう材を均一に塗布する点で、スクリーン印刷法が好ましい。また、この場合、ペースト状の活性金属ろう材の粘度を5Pa・s~20Pa・sに制御することが好ましい。ペースト状の活性金属ろう材中の有機溶剤量は5質量%~25質量%、バインダー量は2質量%~15質量%の範囲で配合することにより優れたペースト状の活性金属ろう材を得ることができる。接合の加熱温度は、例えば700℃~900℃であってよい。加熱炉内の雰囲気は、窒素等の不活性ガスであってよい。接合体の加熱は、大気圧未満の減圧下で行ってもよいし、真空下で行ってもよい。加熱炉は、複数の接合体を連続的に供給しながら加熱する連続式のものであってもよいし、一つ又は複数の接合体をバッチ式で加熱するものであってもよい。接合体の加熱は、接合体を積層方向に押圧しながら行ってもよい。
なお、本実施形態の場合、第1金属層50AがSL付きセラミック基板40Aにろう材を介して接合されると、切り欠きNT1の内側にスクライブラインSLの一部が位置する(
図5B参照)。すなわち、本実施形態の切り欠き形成工程S41は、接合工程S42の際にSL付きセラミック基板40Aの厚み方向から見て切り欠きNT1の内側にスクライブラインSLの一部が位置するように、切り欠きNT1を第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方である第1金属層50Aに形成する工程である。
【0065】
以上のとおり、切り欠き形成工程S41、接合工程S42の順で本工程が行われ、本工程が終了すると、マザーボード60が製造される(
図5B及び
図5C参照)。
なお、切り欠き形成工程S41で形成される切り欠きNT1の形状は
図5Bでは矩形であるが、切り欠きNT1の形状は接合工程S42の終了時にスクライブラインSLの一部が切り欠きNT1の内側に位置すれば矩形でなくてもよい。例えば、円弧状、三角状その他の形状であってもよい。
【0066】
以上が、金属層形成工程S40についての説明である。
【0067】
(マザーボードに関する説明)
次に、金属層形成工程S40の終了時に製造された本実施形態のマザーボード60について
図5B及び
図5Cを参照しながら説明する。
前述のとおり、本実施形態のマザーボード60は、セラミック基板40と、セラミック基板40の表面側に接合されている第1金属層50Aと、セラミック基板40における裏面側に接合されている第2金属層50Bとを備え、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方(本実施形態では第1金属層50A)には、セラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にする切り欠きNT1が形成されている。
また、本実施形態のマザーボード60が備えるセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の一方(本実施形態では表面40A1)には、スクライブラインSLが形成されている。すなわち、本実施形態のマザーボード60が備えるセラミック基板40は、表面40A1にスクライブラインSLが形成されている、SL付きセラミック基板40Aである。そして、切り欠きNT1は、マザーボード60の厚み方向から見て、その内側にスクライブラインSLの一部が位置するように、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方(本実施形態では第1金属層50A)に形成されている(
図5B参照)。
【0068】
そして、本実施形態の場合、切り欠きNT1は第1金属層50A及び第2金属層50Bのうちの一方にしか形成されていない(前述の第1態様の一例)。そのため、切り欠きNTが形成されている側の面が表面であるという前提に基づけば、本実施形態の切り欠きNT1はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。
また、本実施形態の場合、切り欠きNT1は、その内側にスクライブラインSLの一部が位置するように、第1金属層50Aに形成されている。そのため、セラミック基板40におけるスクライブラインSLが形成されている面が表面であるという前提に基づけば、本実施形態の切り欠きNT1はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。
【0069】
<レジスト印刷工程>
次に、レジスト印刷工程S50について、
図6を参照しながら説明する。本工程は、マザーボード60の第1金属層50Aに感光性を有するレジスト膜PRFを被覆し、第1金属層50Aにおける3本のスクライブラインSLにより区画されている6つの領域に、後述する各回路パターンCPに相当するレジストパターンPRPを形成する工程である。具体的には、本工程では、一例として露光装置(図示省略)を用いて、レジスト膜PRFにレジストパターンPRPを印刷する(レジストパターンPRPを硬化させ、レジスト膜PRFにおけるレジストパターンPRP以外の部分を未硬化のままとする)。その結果、PRP付きマザーボード60Aが製造される。
なお、第1金属層50Aに切り欠きNT1が形成されているため、本工程の作業者は、切り欠き付きマザーボード60Aの第1金属層50Aを容易に識別することができる。また、第1金属層50Aにおける切り欠きNT1が形成されている部分には、レジストパターンPRP(回路パターンCP)を形成しない。
【0070】
以上が、レジスト印刷工程S50についての説明である。
【0071】
<エッチング工程>
次に、エッチング工程S60(回路パターン形成工程の一例)について、
図7を参照しながら説明する。本工程は、PRP付きマザーボード60Aのレジスト膜PRFにおける未硬化のレジスト膜PRFを除去し、第1金属層50Aが露出した部分をエッチングし、次いで残ったレジストパターンPRPを除去して、回路パターンCPを形成する工程である。その結果、本工程前のPRP付きマザーボード60Aは、3本のスクライブラインSLに区画されている6つの領域にそれぞれ回路パターンCPが形成された集合基板60Bとなる。また、集合基板60Bが形成されると、SL形成工程S30で形成された3本のスクライブラインSLのすべての部分は、第1金属層50Aのエッチングに伴って露出された状態となる。これに伴い、第1金属層50Aにおける切り欠きNT1が形成されている部分は消滅する。すなわち、集合基板60Bにおいて機能することがない切り欠きNT1は、本工程で消滅される。
そして、本工程で形成される各回路パターンCPには、後述する実装工程S90で、それぞれ、IC、コンデンサ、抵抗等の電子部品(図示省略)が実装される。すなわち、本工程は、接合工程S42の後に行う工程であって、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方又は両方(本実施形態の場合は、第1金属層50A)に形成された切り欠きNT1からセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別をして、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方(本実施形態の場合は第1金属層50A)に電子部品(図示)が実装される回路パターンCPを形成する工程である。
また、本工程後に、本実施形態のマザーボード60(
図5B及び
図5C参照)の第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方(本実施形態では第1金属層50A)における、少なくとも1本のスクライブラインSL(本実施形態では3本)により区画されている複数(本実施形態では6つ)の領域には、それぞれ、電子部品(図示省略)が実装される回路パターンCPが形成されることになる。
なお、前述の説明では、エッチング工程S60を回路パターン形成工程の一例としているが、レジスト印刷工程S50とエッチング工程S60との組み合せを回路パターン形成工程の一例と捉えてもよい。
【0072】
以上が、エッチング工程S60についての説明である。
【0073】
<表面処理工程>
次に、表面処理工程S70について説明する。本工程は、エッチングされた集合基板の金属層の表面に残っているレジストを除去し、金属層の錆を防止する防錆処理や無電解めっき法によりNi-PめっきやAgめっき処理をする。集合基板の回路パターンに半田のはみだしを防止する目的でソルダーレジストを印刷する。集合基板60Bの複数の(本実施形態では6個の)回路パターンCPが形成されている側の面における、電子部品が接合される接合部分以外の部分をソルダーレジスト等の保護層(図示省略)で被覆して、当該接合部分以外の部分の表面処理を行う工程である。また、本工程は、電子部品が接合される接合部分に例えば電解めっき法によりめっき処理をして、当該接合部分の表面処理を行う。ここで、前述の説明では、エッチング工程S60の終了時の製造物を集合基板60Bとしたが、表面処理工程S70の終了時の製造物、すなわち、集合基板60Bを保護層で被覆した基板を集合基板と捉えてもよい。
【0074】
以上が、表面処理工程S70についての説明である。
【0075】
<分割工程>
次に、分割工程S80について、
図8を参照しながら説明する。本工程は、集合基板60B(又はSL付きセラミック基板40A)を複数本(本実施形態では一例として3本)のスクライブラインSLに沿って切断して、集合基板60Bを複数枚(本実施形態では一例として6枚)の回路基板60Cに分割する工程である。すなわち、本工程は、少なくとも1本のスクライブラインSL(本実施形態では一例として3本)に沿ってセラミック基板40を切断して、複数の回路基板60Bの集合基板60Cを分割する工程である。
【0076】
本工程が終了すると、複数枚の回路基板60Cが製造される。なお、本実施形態の場合、第1金属層50Aは、これまでの工程により、各回路基板60Cの回路パターンCPとなる。これに対して、第2金属層50Bにおける、3本のスクライブラインSLにより区画された領域は、これまでの工程により、各回路基板60Cにおける回路パターンCPが形成されている側と反対側の金属層となる。そして、当該金属層は、後述する実装工程S90により製造される実装基板(図示省略)の使用時において、回路パターンCPに実装される電子部品が発生させる熱を放熱するための放熱層として機能する。そして、本工程後に、本実施形態のマザーボード60(
図5B及び
図5C参照)の第1金属層50A及び第2金属層50Bの他方(本実施形態では第2金属層50B)における、少なくとも1本のスクライブラインSL(本実施形態では3本)により区画されている複数(本実施形態では6つ)の領域には、それぞれ放熱層として機能することになる。
【0077】
以上が、分割工程S80についての説明である。
【0078】
<実装工程>
次に、実装工程について説明する。本工程は、各回路基板60C(
図8参照)に電子部品(図示省略)を実装する工程である。本工程は、実装装置(図示省略)を用いて、各回路基板60Cの回路パターンCP(
図8参照)における電子部品が接合される接合部分にはんだ(図示省略)を付着させて、当該接合部分に電子部品の接合端子を接合させる。
【0079】
本工程が終了すると、複数の実装基板が製造される。なお、前述の説明では、本工程は分割工程S80の後の工程としたが、本工程の後に分割工程S80を行うようにしてもよい。すなわち、本実施形態の製造方法S100は、表面処理工程S70の後、実装工程S90、分割工程S80の順で行ってもよい。
【0080】
以上が、実装工程S90についての説明である。なお、複数の実装基板の製造後には、例えば、検査装置(図示省略)を用いて、回路パターンCPの検査、電子部品の動作の検査等が行われる。
以上が、本実施形態の製造方法S100についての説明である。
【0081】
≪本実施形態の効果≫
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0082】
本実施形態では、マザーボード60における第1金属層50Aに切り欠きNT1が形成されている。
したがって、本実施形態のマザーボード60は、レジスト印刷工程S50において、マザーボード60の表裏を容易に識別できる。これに伴い、本実施形態の金属層形成工程S40(本実施形態のマザーボード60の製造方法)によれば、表裏を容易に識別できるマザーボード60を製造することができる。また、本実施形態の複数の回路基板60Cの製造方法(
図1のS10~S80)及び本実施形態の製造方法S100によれば、製造不良が発生しない又は発生し難い。
【0083】
また、本実施形態の場合、マザーボード60の表裏を識別するための手段は、例えば、第1金属層50Aに付されたマーク(例えば印刷された模様等)ではない。識別するための手段が前述のマークである場合、本実施形態の製造方法のいずれかの工程時にマークが擦れる等により無くなる虞がある。
これに対して、本実施形態の場合、マザーボード60の表裏を識別するための手段である切り欠きNT1は、擦れる等により無くなることがない。
したがって、本実施形態は、マザーボード60の表裏を識別するための手段が第1金属層50Aに付されたマークである場合に比べて、マザーボード60の表裏を確実に識別できる。
【0084】
また、前述のとおり、本実施形態の切り欠きNT1は、第1金属層50Aの製造時に形成することが可能である。具体的には、
図2Cに示す切断装置200のような装置を用いて帯状の金属層(図示省略)を裁断して矩形である枚葉の金属層を製造する際に、当該装置に取り付けられているプレスユニット(図示省略)により当該枚葉の金属層に切り欠きNT1を形成して第1金属層50Aを製造すればよい。
したがって、本実施形態によれば、簡単に又は低コストで、マザーボード60の表裏を識別するための手段である切り欠きNT1を形成することができる。
【0085】
また、本実施形態の切り欠きNT1は、第1金属層50Aにおける回路パターンCPが形成される部分以外の部分に形成される(
図7参照)。そのため、第1金属層50Aにおける切り欠きNT1が形成されている部分は、エッチング工程S60で消滅される。
したがって、本実施形態によれば、製造される複数の回路基板60C及び複数の実装基板に切り欠きNT1の影響が残らない。
【0086】
また、本実施形態では、第1金属層50Aは、切り欠きNT1の内側にスクライブラインSLの一部が位置するように、SL付きセラミック基板40Aに接合される(
図5B参照)。
したがって、本実施形態の場合、レジスト印刷工程S50において直接スクライブラインSLを視認してマザーボード60の表裏の識別することができる。
【0087】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、本実施形態についての説明である。
【0088】
≪変形例≫
以上のとおり、本発明の一例について前述の実施形態(
図1~
図8参照)を参照しながら説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態(変形例)も含まれる。
【0089】
例えば、本実施形態の説明では、セラミック粉末の一例を窒化珪素として説明した。しかしながら、セラミック粉末の一例は他のセラミック粉末でもよい。例えば、窒化アルミニウムでもよい。
【0090】
また、本実施形態のグリーンシート形成工程S10に含まれる成形工程S12(
図2A参照)の説明では、ドクターブレード成形を用いて行うとした。しかしながら、スラリー10を帯状グリーンシート20に成形することができれば、成形工程S12は他の方法により行われてもよい。例えば、成形工程S12は、押出成形によって行われてもよい。
【0091】
また、本実施形態のグリーンシート形成工程S10に含まれる切断工程S13(
図2A参照)の説明では、照射部224を帯状グリーンシート20の短手方向の一端側から他端側に亘って移動させながら、帯状グリーンシート20を切断するとした。しかしながら、結果として帯状グリーンシート20を切断して枚葉グリーンシート30を得ることができれば、帯状グリーンシート20の切断箇所が本実施形態の場合のように帯状グリーンシート20の短手方向の一端側から他端側に亘る直線部分でなくてもよい。例えば、帯状グリーンシート20に枚葉グリーンシート30の形をした穴を開けることで帯状グリーンシート20から枚葉グリーンシート30を分離する(又はくり抜く)ように、帯状グリーンシート20を切断してもよい。すなわち、帯状グリーンシート20を切断して得られる枚葉グリーンシート30は、その全端面の少なくとも一部が切断面であればよい。
【0092】
また、本実施形態では、スクライブラインSLは、直線状に並ぶ複数の凹みであるとして説明した(
図5C参照)。しかしながら、その機能を発揮することができれば、スクライブラインSLは、例えば、連続的な溝、長さ、幅等が異なる複数の凹み等であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、複数本のスクライブラインSLは、3本のスクライブラインSLであるとして説明した(
図4参照)。しかしながら、複数本のスクライブラインSLは、少なくとも1本以上のスクライブラインSLであればよい。
【0094】
また、本実施形態では、複数本のスクライブラインSLはマザーボード60を6等分するとして説明した(
図4参照)。しかしながら、複数本のスクライブラインSLはマザーボード60を等分しなくてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、第1金属層50Aと、第2金属層50Bとは、第1金属層50Aに切り欠きNT1が形成されている点以外は、それぞれ、厚み、形状、大きさ及び材質が同等であるとして説明した。しかしながら、第1金属層50Aと、第2金属層50Bとは、それぞれの厚みが異なっていてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、切り欠きNT1が形成されている第1金属層50Aに回路パターンCPが形成されると説明した(
図6及び
図7参照)。しかしながら、回路パターンCPは、切り欠きNT1が形成されていない第2金属層50Bに形成してもよい。すなわち、セラミック基板40(マザーボード60)の表面及び裏面の識別を可能にする切り欠きNT1は、第1金属層50A及び第2金属層50Bの一方に形成されていればよい。
【0097】
また、本実施形態では、切り欠きNT1が第1金属層50Aの一箇所に形成されているとして説明した(
図5B参照)。しかしながら、第1金属層50Aには複数の切り欠きNT1が形成されていてもよい。すなわち、セラミック基板40(マザーボード60)の表面及び裏面の識別を可能する、少なくとも1つの切り欠きNT1が形成されていればよい。
【0098】
また、第1金属層50A及び第2金属層50Bにそれぞれ少なくとも1つ以上の切り欠きNT1を形成し、かつ、それぞれの層に形成されている切り欠きNT1の数量を異なる数量にしてもよい。例えば、第1金属層50Aには2つの切り欠きNT1を形成し、第2金属層50Bには1つの切り欠きNT1を形成する(前述の第2態様の一例)。この場合、マザーボード60の表面側に2つの切り欠きが形成されている前提に基づけば、第1金属層50Aに形成される2つの切り欠きNT1及び第2金属層50Bに形成される1つの切り欠きNT1はセラミック基板40(マザーボード60)の表面及び裏面の識別を可能する。
【0099】
また、本実施形態では、金属層形成工程S40で第1金属層50Aに切り欠きNT1を形成し、エッチング工程S60で第1金属層50Aに回路パターンCPを形成し、分割工程S80で複数の回路基板60Cが製造されると第2金属層50Bは複数の放熱層になることを説明した。しかしながら、第2金属層50Bに切り欠きNT1を形成し、第2金属層50Bに回路パターンCPを形成してもよい。
【0100】
また、本実施形態では、切り欠きNT1が形成された第1金属層50Aをセラミック基板40に接合するとして説明した(
図5Aのフロー図参照)。しかしながら、
図9に示す金属層形成工程の変形例(第1変形例)のように、第1金属層50Aをセラミック基板40に接合した後に、第1金属層50Aに切り欠きNT1を形成してもよい。すなわち、レジスト印刷工程S50の前に、マザーボード60の表面及び裏面の識別を可能とする切り欠きNT1が形成されていればよい。
【0101】
また、本実施形態では、切り欠きNT1は、第1金属層50AにおけるスクライブラインSLの一部に重なる位置に形成されているとして説明した(
図5B参照)。しかしながら、
図10に示す金属層形成工程の変形例(第2変形例)のように、切り欠きNT2は第1金属層50AにおけるスクライブラインSLの一部に重なる位置以外の位置に形成されていてもよい。例えば、本変形例のように、切り欠きNT2は第1金属層50Aの4つの角部のうちの少なくとも1つにそれぞれ形成されていてもよい。なお、本変形例の場合と異なり、4つの切り欠きNT2は、4つの角部のうちの少なくとも1つの角部に形成されていてもよい。また、本変形例の場合、切り欠きNT2を例えばアライメントマークとして利用してもよい。
【0102】
また、
図10に示す第2変形例の場合、一例として、切り欠きNT2は第2金属層50Bの4つの角部にも形成されている。本変形例の場合、例えば、第1金属層50Aの切り欠きNT2と、第2金属層50Bの切り欠きNT2とは、互いに、大きさが異なるようになっていればよい(前述の第2態様の一例)。本変形例によれば、第1金属層50Aの切り欠きNT2の大きさと、第2金属層50Bの切り欠きNT2の大きさとの違いを認識してマザーボード60の表面及び裏面の識別を可能にする。
【0103】
また、
図10に示す第2変形例の場合、第1金属層50A及び第2金属層50Bの両方の各4つの角部にそれぞれ切り欠きNT2が形成される。すなわち、第2変形例の場合、第1金属層50A及び第2金属層50Bの両方における厚み方向から見て同じ部分に切り欠きNT2が形成されている。ここで、第2変形例の説明では、例えば、第1金属層50Aの切り欠きNT2と、第2金属層50Bの切り欠きNT2とは、互いに、大きさが異なるようになっていればよいとした。
しかしながら、
図11に示す第3変形例のように、第1金属層50Aの切り欠きNT2の形状(一例として矩形状)と、第2金属層50Bの切り欠きNT2の形状(一例として三角形状)とが、互いに異なる形状としてもよい(前述の第2態様の一例)。第3変形例によれば、第1金属層50Aの切り欠きNT2の形状と、第2金属層50Bの切り欠きNT2の形状との違いを認識してマザーボード60の表面及び裏面の識別を可能にする。
第3変形例の場合、第1金属層50Aの切り欠きNT2と、第2金属層50Bの切り欠きNT2とは、それぞれ、セラミック基板40の厚み方向から見て同じ位置に形成されている。しかしながら、矩形状の切り欠きNT2が形成されている側がセラミック基板40の表面である又は三角形状の切り欠きNT2が形成されている側が裏面という前提に基づけば、第3変形例の切り欠きNT2はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。
【0104】
また、本実施形態の金属層形成工程S40の前にSL形成工程S30が行われるとして説明した(
図1及び
図4参照)。しかしながら、
図12に示す金属層形成工程の変形例(第4変形例)の場合のように、SL形成工程S30を行うことなくスクライブラインSLが形成されていないマザーボード60に第1金属層50A及び第2金属層50Bを接合するようにしてもよい。この場合、第1金属層50A及び50Bの一方又は両方に少なくとも1つの切り欠きNT1が形成されていればよい。第4変形例の場合、表面処理工程S70の後に分割工程S80を行うことなく実装工程S90を行うようにすれば(
図1参照)、1枚のマザーボード60から1枚の実装基板が製造される。
【0105】
また、本実施形態の切り欠きNT1は、
図5B、
図5C等に示すように、第1金属層50Aの厚み方向の部分の全部を除去した形態とした。しかしながら、本実施形態の切り欠きNT1を、
図13に示す第5変形例の切り欠きNT3のように、セラミック基板40の厚み方向の部分の一部を除去した形態としてもよい(前述の第1態様の一例)。
【0106】
また、本実施形態の切り欠きNT1は、
図5B、
図5C等に示すように、第1金属層50Aの厚み方向の部分の全部を除去した形態とした。しかしながら、本実施形態の切り欠きNT1を、
図14に示す第6変形例の孔HL1のように、セラミック基板40の周縁で開口せずその厚み方向に貫通した形態(貫通孔)としてもよい(前述の第1態様の一例)。第6変形例の場合、孔HL1が形成されている側がセラミック基板40の表面であるという前提に基づけば、第5変形例の孔HL1はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。
なお、第6変形例における、孔HL1の形状は第1金属層50Aの厚み方向から見て円形であるが、孔HL1の厚み方向から見た形状は円形でなくてもよい。
また、孔HL1及び後述する孔HL2は、本実施形態の切り欠きNT1の形成方法と同様に、プレスユニット(図示省略)により枚葉の金属層に孔HL1又は孔HL2を形成して第1金属層50A又は第2金属層50Bを製造すればよい。
【0107】
また、
図15A及び
図15Bに示す第7変形例のように、第1金属層50Aと第2金属層50Bとがマザーボード60を構成している状態で、それぞれに厚み方向から見て同じ位置に、同じ大きさ、同じ形状の孔HL1、HL2が形成されていてもよい(前述の第3態様の一例)。ただし、第7変形例の場合、第1金属層50Aに形成されている孔HL1を貫通孔とし、第2金属層50Bに形成されている孔HL2を非貫通孔とする。そして、第7変形例の場合、孔HL1(貫通孔)が形成されている側がセラミック基板40の表面であり、かつ、孔HL2(非貫通孔)が形成されている側が裏面であるという前提に基づけば、第7変形例の孔HL1及び孔HL2の一方又は両方はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。また、この場合、孔HL1(貫通孔)が形成されている側である孔HL1、HL2内の色彩、素材又は模様と、孔HL2(非貫通孔)が形成されている側であるHL2内の色彩、素材又は模様とは、孔HL1内がセラミック基板40の色彩、素材であり、孔HL2内が金属の色彩、金属素材であることにより相違する。
なお、第7変形例における、孔HL1、HL2は、それぞれ厚み方向から見て円形であるが、互いに厚み方向から見て同じ大きさ、同じ形状であれば、円形でなくてもよい。
【0108】
図16に示す第8変形例では、第1金属層50Aと第2金属層50Bとがマザーボード60を構成している状態で、それぞれに厚み方向から見て同じ位置に、同じ大きさ、同じ形状の複数の切り欠きNL4が形成されている(前述の第3態様の一例)。この場合であっても、セラミック基板40における複数の切り欠きNT4からセラミック基板40の表面40A1と裏40A2との識別を可能とする特徴が視認できれば、複数の切り欠きNT4はセラミック基板40の表面40A1と裏40A2との識別を可能とする切り欠きといえる。
そして、第8変形例の場合、複数の切り欠きNT4の一部からセラミック基板40の表面40A1に形成されているスクライブラインSL(模様の一例)が視認可能なため、スクライブラインSLが上記特徴に相当する。
以上より、切り欠きNT1内にスクライブラインSLが形成されている側がセラミック基板40の表面であるという前提に基づけば、第8変形例の第1金属層50A及び第2金属層50Bのそれぞれに形成されている複数の切り欠きNT4はセラミック基板40の表面40A1及び裏面40A2の識別を可能にするという機能を有する。
なお、第8変形例では、各金属層にそれぞれ複数の切り欠きNT4が形成されているとしたが、各金属層にはそれぞれ1つの切り欠きNT4のみが形成されていてもよい。また第8変形例の切り欠きNT4を例えば第6変形例の孔HL1(貫通孔)としてもよい。
【0109】
以上のとおり、前述の実施形態(
図1~
図8参照)と、複数の変形例(例えば
図9~
図16参照)とについてそれぞれ別々に説明したが、本発明の技術的範囲に属する形態としては、これらの1つに対して他の形態の一部の技術的要素を組み合せた形態としてもよい。例えば、第2変形例のマザーボード60(
図10参照)の第1金属層50Aの4つの切り欠きNT2を前述の実施形態の切り欠きNT1(
図5B参照)としてもよい。
【0110】
この出願は、2019年5月31日に出願された日本出願特願2019-102590号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0111】
10 スラリー
20 帯状グリーンシート
30 枚葉グリーンシート
40 セラミック基板
40A SL付きセラミック基板
40A1 表面
40A2 裏面
50A 第1金属層
50B 第2金属層
60 マザーボード(複合基板の一例)
60A PRP付きマザーボード
60B 集合基板(集合体の一例)
60C 回路基板
100 ドクターブレード成形装置
110 ベルト搬送機構
112 ローラ
112A ローラ
112B ローラ
114 ベルト
120 成形ユニット
122 収容部
124 ドクターブレード
130 加熱ユニット
200 切断装置
210 シート搬送機構
212 支持部
214 第1搬送部
216 第2搬送部
220 切断部
222 筐体
224 照射部
226 移動機構
CP 回路パターン
HL1 孔(貫通孔)
HL2 孔(非貫通孔)
LB レーザー光
NT1 切り欠き
NT2 切り欠き
NT3 切り欠き
NT4 切り欠き
PRF レジスト膜
PRP レジストパターン
S10 グリーンシート形成工程
S11 スラリー作製工程
S12 成形工程
S13 切断工程
S14 積層工程
S15 脱脂工程
S16 焼結工程
S20 焼結工程
S30 SL形成工程(スクライブライン形成工程)
S40 金属層形成工程
S41 切り欠き形成工程
S42 接合工程
S50 レジスト印刷工程
S60 エッチング工程
S70 表面処理工程
S80 分割工程
S90 実装工程
S100 実装基板の製造方法
SL スクライブライン
WC 温風