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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド適応型ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/851 20220101AFI20241105BHJP
【FI】
H04L45/851
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021527038
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019063438
(87)【国際公開番号】W WO2020112897
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】62/772,402
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/822,666
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】カリジューリ、メレディス エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデルミューレン、リチャード エー.
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0058742(US,A1)
【文献】特表2018-506901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0167321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0190029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と通信ネットワークとの間のネットワーク接続を管理するように構成されたHAN(ハイブリッド適応型ネットワーク)マネージャであって、前記HANマネージャは、
前記ユーザ端末及び前記通信ネットワークからネットワーク通信を受信するように構成されたネットワークインターフェースと、
コンピュータ実行可能命令を含むデータストアと、
前記データストアに記憶された前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備え
前記コンピュータ実行可能命令は、前記HANマネージャに対して、
ユーザ端末から、接続基準を含むユーザ要求を受信させ、
複数の通信ネットワークから互換通信ネットワークのセットを決定させ、前記互換通信ネットワークのセットは、前記ユーザ要求の前記接続基準と適合可能な通信ネットワークを含み、
前記ユーザ要求に基づいて、前記互換通信ネットワークのセットに向けてサービス要求を送信させ、
前記サービス要求に応答して、前記互換通信ネットワークのセットの個々の互換通信ネットワークから入札応答を受信させ、
前記個々の互換通信ネットワークについて、前記受信した入札応答に含まれるパラメータに少なくとも部分的に基づくスコアを決定させ、
前記ユーザ端末に向けて、前記互換通信ネットワークの少なくとも一部の順位リストを含むサービス選択を送信させ、前記順位リストの順位は、個々の互換通信ネットワークについて決定した前記スコアに基づいており、
少なくとも一つの互換通信ネットワークの可用性に影響を与えるトリガイベントであって、少なくとも一つの前記互換通信ネットワークへの脅威を含む前記トリガイベントに応じて、
前記HANマネージャで決定された前記順位リストを更新させ、
前記更新された順位リストを含む第二のサービス選択を、前記ユーザ端末に向けて送信させる、
HANマネージャ。
【請求項2】
前記ネットワークインターフェースは、前記通信ネットワークに制御コマンドを送信するように構成されているオープン標準ネットワークインターフェースを更に含む、請求項1に記載のHANマネージャ。
【請求項3】
前記ネットワークインターフェースは、前記通信ネットワークからネットワークステータス情報を受信するように構成されているオープン標準ネットワークインターフェースを更に含む、請求項1又は2に記載のHANマネージャ。
【請求項4】
前記通信ネットワークは、異なる周波数レンジで動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項5】
前記通信ネットワークは、異なるネットワークプロトコルを使用して動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項6】
前記通信ネットワークは、異なる波形を使用して動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項7】
前記ユーザ要求は最小データ速度を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項8】
前記スコアは、以前の入札コンプライアンスに少なくとも部分的に依存する、請求項1~7のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項9】
前記入札応答は、サービス配信確率をそれぞれ含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のHANマネージャ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のHANマネージャと、前記通信ネットワークのうちの1つ以上と、を備えるハイブリッド適応型ネットワーク。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のHANマネージャと、前記ユーザ端末のうちの1つ以上と、を備えるハイブリッド適応型ネットワーク。
【請求項12】
前記トリガイベントは、少なくとも一つの前記互換通信ネットワークのネットワーク性能の変化を含む、請求項1に記載のHANマネージャ。
【請求項13】
前記更新した順位リストは、前記順位リストに対して前記更新した順位リストに登録されたままである前記互換通信ネットワークの前記一部を並び替え、前記更新した順位リストの順位は、前記互換通信ネットワークについて決定した更新したスコアに基づいている、請求項1に記載のHANマネージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年3月22日出願の「HYBRID ADAPTIVE NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/822,666号及び2018年11月28日出願の「HYBRID ADAPTIVE NETWORK」と題する同第62/772,402号に対する優先権を主張するものであり、これらの特許のそれぞれは、全ての目的で参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、ユーザ端末と、異なるネットワーク特性を有する通信ネットワークとの間のネットワーク接続の管理及び選択に関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザ端末と、インターネットなど宛先ネットワークとの間のネットワーク接続は、通信ネットワーク又はトランスポートネットワークを使用して提供することができる。通信ネットワークは、異なるインフラストラクチャ(例えば、衛星ネットワーク、地上ネットワークなど)、通信手段(例えば、無線、有線など)、通信プロトコルなどを使用することができる。ユーザ端末は、宛先ネットワーク、又は宛先ネットワーク上のターゲットアドレスにあるデバイスと、ユーザ端末との間での双方向通信を可能にするために、通信ネットワークに接続するように構成することができる。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、ユーザ端末と通信ネットワークとの間のネットワーク接続を管理し、選択するように構成されているハイブリッド適応型ネットワーク(HAN)マネージャを開示する。HANマネージャは、ユーザ端末及び通信ネットワークからネットワーク通信を受信するように構成されたネットワークインターフェースを含む。HANマネージャはまた、コンピュータ実行可能命令を含むデータストアを含む。HANマネージャはまた、データストアに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。コンピュータ実行可能命令は、HANマネージャに対して、ユーザ端末から接続基準を含むユーザ要求を受信させ、ユーザ要求に基づいて、互換通信ネットワークに向けてサービス要求を送信させ、サービス要求に応答して、個々の互換通信ネットワークから入札応答を受信させ、個々の互換通信ネットワークについて、受信した入札応答に含まれるパラメータに少なくとも部分的に基づくスコアを決定させ、最高スコアの通信ネットワークを含むサービス選択をユーザ端末に向けて送信させるように構成されている。
【0005】
第1の態様のいくつかの実施形態では、サービス選択は、互換通信ネットワークの順位リストを更に含み、順位リストは、互換通信ネットワークの各々について決定されたスコアに基づいている。第1の態様のいくつかの実施形態では、ネットワークインターフェースは、通信ネットワークに制御コマンドを送信するように構成されているオープン標準ネットワークインターフェースを更に含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、ネットワークインターフェースは、通信ネットワークからネットワークステータス情報を受信するように構成されているオープン標準ネットワークインターフェースを更に含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、通信ネットワークは、異なる周波数レンジで動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、通信ネットワークは、異なるネットワークプロトコルを使用して動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、通信ネットワークは、異なる波形を使用して動作する、2つ以上の通信ネットワークを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、ユーザ要求は最小データ速度を含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、スコアは、以前の入札コンプライアンスに少なくとも部分的に依存する。第1の態様のいくつかの実施形態では、入札応答は、サービス配信確率をそれぞれ含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド適応型ネットワークは、第1の態様のHANマネージャと、通信ネットワークのうちの1つ以上とを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド適応型ネットワークは、第1の態様のHANマネージャと、ユーザ端末のうちの1つ以上とを含む。
【0007】
第2の態様では、ハイブリッド適応型ネットワークを管理するための方法を提供する。本方法は、ユーザ端末からユーザ要求を受信することと、複数の通信ネットワークに向けて、受信したユーザ要求に基づくサービス要求をアナウンスすることと、アナウンスしたサービス要求に応答して、複数の通信ネットワークからサービス入札を受信することと、受信したサービス入札の分析に基づいて、優勢通信ネットワーク(winning communications network)を決定することと、ユーザ端末に対するサービスを優勢通信ネットワークに割り当てることと、を含む。
【0008】
第2の態様のいくつかの実施形態では、受信したサービス入札の分析は、複数の通信ネットワークのそれぞれについてスコアを決定することを含む。更なる実施形態では、本方法は、ユーザ端末に複数の通信ネットワークの履行リスト(fulfillment list)を送信することを更に含み、履行リストは、複数の通信ネットワークのそれぞれについて決定したスコアに基づいた、複数の通信ネットワークの順位リストを含む。
【0009】
第2の態様のいくつかの実施形態では、本方法は、優勢通信ネットワークからネットワーク性能情報を受信することを更に含む。更なる実施形態では、本方法は、優勢通信ネットワークの性能の低下を示すネットワーク性能情報に応答して、更新した優勢通信ネットワークを決定することを更に含む。
【0010】
第2の態様のいくつかの実施形態では、サービスを割り当てることは、ユーザ端末と、優勢通信ネットワークと、宛先ネットワークとの間の接続を可能にする資格情報を提供することを含む。第2の態様のいくつかの実施形態では、サービス要求は宛先ネットワークを含む。
【0011】
第3の態様では、ハイブリッド適応型ネットワークを管理するための方法を提供する。本方法は、複数の互換通信ネットワークのそれぞれについて、ネットワーク性能パラメータに基づくスコアを決定することと、1つ以上のユーザ端末に向けて決定したスコアを送信することと、ネットワーク性能パラメータに影響を及ぼす情報を受信することと、1つ以上の影響を受けた互換通信ネットワークに対するネットワーク性能パラメータの低下を示す、受信した情報に応答して、1つ以上の影響を受けた互換通信ネットワークのスコアを更新することと、を含む。
【0012】
第3の態様のいくつかの実施形態では、受信した情報は気象情報を含む。第3の態様のいくつかの実施形態では、受信した情報は、複数の互換通信ネットワークのうちの少なくとも1つに対する脅威を含む。第3の態様のいくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のユーザ端末に向けて更新したスコアを送信することを更に含む。第3の態様のいくつかの実施形態では、ネットワーク性能の低下は、後の時点で生じると予測される。
【0013】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されている。そのような利点の全てが、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成される可能性があるわけではないことを理解されたい。したがって、開示される実施形態は、本明細書で教示されるような利点又は利点の群を、本明細書で教示又は示唆される場合がある他の利点を必ずしも達成することなく、達成又は最適化する形態で実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
様々な実施形態が、例示を目的として添付の図面に示されており、決して本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、開示された異なる実施形態の様々な特徴を組み合わせて、本開示の一部である追加の実施形態を形成することができる。
【0015】
図1】ハイブリッド適応型ネットワーク(HAN)コントローラ又はマネージャ、複数のトランスポートネットワーク又は通信ネットワーク、及びマルチモードユーザ端末を含むHANのブロック図を示す。
【0016】
図2A】HANマネージャ、複数のユーザ端末、複数のトランスポートネットワーク、及び宛先ネットワークを含む、例示的なHANの概略図を示す。
【0017】
図2B】ユーザ端末が、優勢トランスポートネットワークを介して宛先ネットワークに接続されている、図2AのHANを示す。
【0018】
図3図2AのHANと比較して追加のユーザ端末及びトランスポートネットワークを含む、別の例示的なHANを示す。
【0019】
図4】多数のユーザ端末をカバーする、対応する複数のスポットビームを提供する複数のトランスポートネットワークを含む、別の例示的なHANを示す。
【0020】
図5】例示的なHANマネージャのブロック図を示す。
【0021】
図6A】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
図6B】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
図6C】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
図6D】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
図6E】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
図6F】HANマネージャが、入札手順に基づいてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステムのブロック図を示す。
【0022】
図7】ユーザ要求に基づいて、優勢通信ネットワークを選択する例示的な方法のフローチャートを示す。
【0023】
図8】リアルタイムで通信ネットワークのランク付けを更新する例示的な方法800のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で提供する見出しは、提供する場合でも単に便宜上のものであり、特許請求された発明の範囲又は意味に必ずしも影響を与えるものではない。
概要
【0025】
ユーザは、ユーザ端末とターゲットネットワークアドレスとの間にネットワーク通信を提供する通信ネットワークを使用して、インターネットなど宛先ネットワークに接続する。通信ネットワークはまた、構成要素ネットワーク又はトランスポートネットワークと称してもよい。通信ネットワークの役割は、ユーザ端末とターゲットネットワーク又は宛先ネットワークとの間に接続を提供することである。通信ネットワークは、衛星ネットワーク、地上ネットワーク、又は地上無線であってよく、通信ネットワークは、商業通信ネットワーク、専用の政府通信ネットワーク、又は両方の組み合わせであってよい。
【0026】
このネットワーク通信構成は、多くの弱点に悩まされる。例えば、通信ネットワークが故障すると、通信障害が生じる。別の例として、この構成のネットワーク通信は、通信ネットワークという単一の障害点を有する。したがって、障害又は性能の低下が生じた場合に通信ネットワークを再確立するか、又は切り替えるための、ロバストかつシームレスな方法が必要とされている。
【0027】
したがって、本明細書では、これらの問題及び他の関連する問題に対処するために、多数の独立した通信ネットワークを統合通信システムとして使用できるようにするハイブリッド適応型ネットワーク(HAN)構成の例示的な実施形態について説明する。開示するHANは、ユーザ端末が同時にアクセスすることができる多数の通信ネットワークを含む。開示するHANは、ユーザ端末が多数の通信ネットワークを横断してシームレスにローミングすることを可能にする。開示するHANは、多数の通信ネットワークへの同時アクセスを提供することによって、ユーザ端末の能力及び回復力を増大させることができる。例えば、これらの通信ネットワークは、多数の軌道領域に広がり、複数の周波数帯域にわたって動作し、独立した地上インフラストラクチャを提供し、並びに/又は異なるネットワーク管理及びサイバー防衛の実現を特徴とし、それによって固有の多様性を提供し、単一の障害点及び/若しくは攻撃の標的を除去することができる。
【0028】
ユーザ端末と利用可能な通信ネットワークとの間の接続性は、HANマネージャによって管理される。HANマネージャは、複数の異なる種類の通信ネットワークにわたって複数のユーザ端末間の接続を管理するように構成することができる。HANマネージャは、Software-as-a-Service(SaaS)、Platform-as-a-Service(PaaS)、Infrastructure-as-a-Service(IaaS)などユーザに提供される他のオンデマンドサービスに類似する「Cmmunications-as-a-Service(CaaS)」を提供する。HANマネージャは、オンデマンドの「Network-as-a-service(NaaS)」を提供することと同様に説明することができる。HANマネージャは、それぞれ異なる特性を有する、多数の利用可能な通信ネットワークへのオンデマンドアクセスを仲介するサービスであってよい。HANマネージャは、クラウドベースのサービスであってよいが、クラウド環境での実現に限定されない。
【0029】
HANマネージャは、複数の通信ネットワークへの接続を管理し、選択するように構成されている。HANマネージャは、ユーザ要件、ユーザ端末の機能(例えば、通信ネットワークとの互換性)、ネットワークに対する潜在的な脅威又はサービス停止に関する知識、ネットワークパラメータ、攻撃に応答する又は攻撃を軽減する通信ネットワークの機能などに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ端末のために、優勢通信ネットワーク又は優勢通信ネットワークの順位リストを選択することができる。HANマネージャは、様々な方法を使用して、優勢通信ネットワークを決定してよい。これらの方法としては、例えば、ユーザ要件を分析すること、ネットワークケーパビリティを評価すること、ネットワーク通信に影響を及ぼし得る外的条件を検討すること、通信ネットワークに対する脅威を評価すること、又はこれらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
一例として、HANマネージャは、優勢通信ネットワークを決定するための方法として、入札プロセスを実行してよい。入札プロセスは、ユーザ要件又は接続優先権及び通信ネットワーク特性を分析して、要求しているユーザ端末に接続するための優先通信ネットワーク又は優勢通信ネットワークを決定する。例えば、HANマネージャは、通信要求を含むユーザ要求をユーザ端末から受信し、ユーザ要求に基づいて、複数の通信ネットワークに向けてサービス要求を転送し、ユーザ要件の履行に関連する通信ネットワークから入札を受信し、ユーザの要件に関連する入札のスコアリングに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ端末を優勢通信ネットワークに接続することができる。したがって、HANマネージャは、ユーザ要件、ネットワークパラメータ、及び/又はネットワークケーパビリティに少なくとも部分的に基づいて、特定ユーザのために他の利用可能な通信ネットワークではなく1つの通信ネットワークを選択する。
【0031】
開示するシステム、デバイス、及び方法は、よりロバストかつシームレスなネットワーク接続性をもたらす、いくつかの利点を提供する。例えば、開示するHANは、多数の独立した通信ネットワークを、単一通信システム、つまり統合通信システムとして使用することを可能にする。更に、開示するHANは、ユーザ端末が多数の通信ネットワークを横断してシームレスにローミングすることを可能にする。別の例として、開示するHANはまた、単一の障害点を除去して、ネットワーク通信を強化する。開示するHANはまた、ネットワーク通信において多様性を提供し、潜在的な攻撃及び障害に対してネットワーク通信を強化する。別の例として、開示するHANは、オープン標準で構築されたロバストで、スケーラブルな通信ネットワークを提供する。更に、開示するHANは、競合ドメインにおいてでもネットワークのサービス停止又は性能低下を迅速に克服して、接続性を維持することができる。開示するHANはまた、既存のネットワーク資産を容易に改善し、漸進的にアップグレードすることができる。開示するHANはまた、新たなネットワーク通信技術及び/又は拡大するネットワーク通信技術への適応を容易にする。
【0032】
開示するシステム、デバイス、及び方法の他の利点としては、ユーザ(又はユーザ端末)がネットワーク接続性の基準を指定できることが挙げられる。HANマネージャは指定された基準を受信し、ユーザのために候補通信ネットワークを特定する。いくつかの実施形態では、候補通信ネットワークは、少なくとも部分的にユーザ端末の機能(例えば、通信ネットワークとの互換性)に基づく。HANマネージャは、分析のために、候補通信ネットワークから入札を受信して、ユーザのために優良な通信ネットワーク又は優先通信ネットワークを決定する。HANマネージャは、候補通信ネットワークからの入札を自動的に分析し、ユーザ端末の機能を評価して、ユーザのために優先候補通信ネットワークの優先リスト及び/又は順位リストを決定する。次いで、ユーザは、HANマネージャからの候補通信ネットワークの優先リスト及び/又は順位リストに基づいて通信ネットワークに接続する。いくつかの実施形態では、HANマネージャは、継続的に、断続的に、又は定期的に通信ネットワークの優先リスト及び/又は順位リストを更新し、リストをユーザに送信することができる。特定の実施例では、これは、ユーザが新しい要求、又は更新された要求をHANマネージャに送信することなく行うことができる。
【0033】
開示するシステム、デバイス、及び方法の他の利点としては、潜在的な敵対者又は攻撃者に対するネットワークの回復力を高めることが挙げられる。ユーザ端末が多数の通信ネットワークにわたって拡散しているので、少なくとも部分的に、攻撃者がユーザ端末通信を標的にして、データ収集、データ利用、又はデータ拒否を行うことは困難であり得る。このマルチネットワーク回復力は、潜在的な攻撃者に対する抑止力をもたらす。更に、HANシステム上でユーザ端末を容易に操作できるために、潜在的な攻撃者の時間、労力、及びコストを増加させる。
【0034】
図1は、HANコントローラ又はマネージャ110、複数のトランスポートネットワーク又は通信ネットワーク120a~120d、及びマルチモードユーザ端末130を含むHAN100のブロック図を示す。HAN100は、サービス配信プラットフォームをユーザに提供することができ、ユーザは、ユーザ基準又は要件を満たす通信ネットワークに調和し、又はこの通信ネットワークに接続される。ユーザが接続される通信ネットワークは、ユーザ端末が、単一通信ネットワークへの静的接続と比較して優れた性能を経験できるように、経時的に変化してよい。HANマネージャ110は、個々のユーザの要求、及び構成要素ネットワーク120a~120dを介して利用可能なリソースをモニタし、所定の時間におけるユーザのニーズを効率的又は効果的に満たす通信ネットワークにユーザを割り当てることができる。ユーザ要件又は需要、例えば、競合環境で動作する必要性、又は低傍受可能(LPI)及び/若しくは低検出可能(LPD)動作の必要性、又はネットワークパラメータ、例えば、最大データ速度、高速拡張性、輻輳、可用性、及び1ビット当たりのコスト、若しくは地形は、HANマネージャ110が、所与のユーザ端末のために他の通信ネットワークではなく1つの通信ネットワーク(又は通信ネットワークのサブセット)を選択するようにさせる。HAN100で具現化されたハイブリッドネットワークの性質は上記のとおりであるため、ユーザ端末にとっての最良の通信ネットワーク、又は優先通信ネットワークは、条件、ユーザニーズ又は要求、個々の使用事例、地形、経済、及び/又は時間に基づいて変化し得る。
【0035】
HAN100は、図に破線を用いて示す複数の通信ネットワーク120a~120dのそれぞれとのネットワーク接続を確立するように構成されたユーザ端末130を含む。更に、HANマネージャ110は、図に実線を用いて示すユーザ端末130のそれぞれ及び複数の通信ネットワーク120a~120dとの通信を行うように構成されている。複数の通信ネットワーク120a~120dへの接続を可能にするために、ユーザ端末130は、様々な異なるネットワークプロトコル、波形、通信周波数帯域などに適合するネットワークセレクタ132を含むことができる。通信ネットワークとHANマネージャ110との間の通信を可能にするために、HANマネージャ110に関連するオープン標準ネットワークインターフェース112を実装することができる。オープン標準ネットワークインターフェース112は、ステータス情報をやり取りし、制御コマンドを提供する標準的な手段を提供するように構成されている。通信ネットワーク120a~120cは、関連する通信ネットワークにネイティブである通信プロトコルを、オープン標準ネットワークインターフェース112に適合する通信プロトコルに翻訳するように機能する、対応する翻訳エージェント122a~122cをそれぞれ含むことができる。図1の例では、通信ネットワーク120dは、オープン標準ネットワークインターフェース112に適合するように構成されており、したがって、翻訳エージェントを含まない。
【0036】
HANマネージャ110又はHANコントローラは、それぞれの通信ネットワークケーパビリティを含む複数の通信ネットワーク120a~120dのリストを保持するように構成されている。HANマネージャ110は、ユーザ端末130のために複数の通信ネットワーク120a~120dから優勢通信ネットワークを選択するように構成されている。HANマネージャ110は、例えば、ユーザ要件の分析、ネットワークケーパビリティの分析、ネットワーク通信に影響を及ぼし得る外的条件の分析、通信ネットワークに対する脅威の分析、攻撃に応答し、攻撃を低減するための機能及び技術の分析などが挙げられるが、これらに限定されない様々な方法を使用して、ユーザ端末130のために優勢通信ネットワークを決定することができる。
【0037】
特定の例として、HANマネージャ110は、入札プロセスを実行して、ユーザ端末130のために優勢通信ネットワークを決定するように構成することができる。入札プロセスは、HANマネージャ110が、ユーザ端末と通信ネットワーク120a~120dのうちの1つ以上との両方から情報を受信することと、受信した情報の分析に少なくとも部分的に基づいて、優先通信ネットワーク又は優勢通信ネットワークを決定することと、を含む。例えば、HANマネージャ110は、ユーザ端末130から要求を受信して、利用可能な通信ネットワークを介して宛先ネットワークに接続するように構成されており、ユーザ要求は、接続に関するユーザ要件を含む。これに応答して、HANマネージャ110は、受信した要件を満たす、利用可能な通信ネットワークを特定するように構成されている。次いで、HANマネージャ110は、それらの通信ネットワークからの入札を募ることができる。HANマネージャ110はまた、それらの通信ネットワークからの入札を受信し、受信した入札を評価して、優先通信ネットワーク、又は優先通信ネットワークの履行リストを決定するように構成することができる。優先通信ネットワークは、ユーザ要件を考慮して、及び/又はHANマネージャ110に記憶された通信ネットワークに関する情報を考慮して、受信した入札のスコアリングに基づいて決定される。履行リストは、通信ネットワークの順位リストを含み、その順位は、受信した入札の分析の結果から得られたスコアリングシステムに基づいている。HANマネージャ110はまた、ユーザ端末130と優勢通信ネットワークとの間の接続を確立するように構成されている。HANマネージャ110は、通信ネットワーク120a~120dのステータスをモニタするように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、HANマネージャ110は、ネットワーク条件の変化時、ユーザ端末条件の変化時、及び/又は通信ネットワークに関連してのユーザ端末の地理が変化する時に、入札プロセスを繰り返すか、又は別の入札プロセスが有益かどうかを少なくとも評価するように構成されている。一例として、別の入札プロセスを開始し得る変化としては、セキュリティレベルの変化、ネットワーク脆弱性の変化、通信ネットワークの性能の変化、ユーザ要件の変化、ユーザ端末に対する通信ネットワークのカバレッジの変化(例えば、衛星ネットワークのスポットビーム外への移動)などを挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施例では、入札プロセスは、ユーザ端末130から要求されなくても、及び/又はユーザ端末130から更新されたユーザ要件を受信しなくても、再開することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、HANマネージャ110は、別の入札プロセスを開始せずに、履行リスト及び/又は優勢通信ネットワークを更新する。かかる実施形態では、HANマネージャ110は、通信ネットワークの性能パラメータに基づいて、通信ネットワークのスコアリングを再分析するように構成することができる。スコアリング分析の更新に基づいて、新しい優先通信ネットワーク又は更新した履行リストをユーザ端末130に送信することができる。次いで、HANマネージャ110は、ユーザ端末130を新しい優勢通信ネットワーク又は優先通信ネットワークに接続することができる。
【0040】
HANマネージャ110はまた、宛先ネットワークに資格情報を提供し、これによりユーザ端末及び宛先ネットワークがそれぞれ優勢通信ネットワークに接続できるように構成することができる。いくつかの実施形態では、HANマネージャ110はまた、ユーザ端末130のネットワークセレクタ132及び/又は宛先ネットワークを設定して、優勢通信ネットワーク上でトラフィックをルーティングするように構成されている。
【0041】
HANマネージャ110は、個々のユーザ要求のモニタし、通信ネットワーク120a~120dを介したリソースの可用性のモニタし、任意の所与の時間においてユーザのニーズを最も効率的に満たす通信ネットワークにユーザ端末130を割り当てるように構成されている。HANマネージャ110は、ミッションパラメータ(例えば、競合環境で動作する必要性又は特定動作の必要性)、ネットワークに対する潜在的な脅威又はサービス停止の知識(例えば、天候、又はサービス停止若しくは性能の低下をもたらし得る、ネットワークに対する意図的な脅威)、ネットワークパラメータ(例えば、最大データ速度、ネットワークの輻輳、可用性、1ビット当たりのコストなど)、ネットワークケーパビリティ、並びに攻撃に応答する、及び攻撃を軽減するネットワーク内技術などに少なくとも部分的に基づいて、所与のユーザ端末のために他の通信ネットワークではない1つの通信ネットワークを選択するように構成されている。ハイブリッド適応型ネットワークの性質は上記のとおりであるため、優先ネットワーク又は最良のネットワークは、ユーザ要求、地形、経済的側面、時間、ネットワーク性能、ネットワークに対する脅威などに基づいて変化し得る。
【0042】
HANマネージャ110は、例えば、数百万人のユーザを有する様々な集団のために、個々のユーザ端末に制御及び詳細な状況認識を提供するように構成されている。HANマネージャ110はまた、現在使用中の通信ネットワークにかかわらず、詳細な共通の操作画像及び個々のユーザの管理機能を提供することができる。
【0043】
HANマネージャ110は、汎用コンピュータ上に、又は分散コンピューティング環境にわたって存在する1つ以上のプロセッサ及びメモリを使用して実行することができる。HANマネージャ110の機能及び構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを使用して実行することができる。
【0044】
HANマネージャ110は、関連するオープン標準ネットワークインターフェース112を有してよい。HAN100に参加するために、個々の通信ネットワークは、HANマネージャ110からコマンドを受信し、HANマネージャ110にステータスを提供する手段を提供する。オープン標準ネットワークインターフェース112は、HANマネージャ110とHAN100内の通信ネットワーク120a~120dとの間で交換可能な情報の種類及び構造を指定する。したがって、通信ネットワーク120a~120dは、オープン標準ネットワークインターフェース112(通信ネットワーク120dなど)を介してHANマネージャ110とネイティブに通信するように構成することができ、又はオープン標準ネットワークインターフェース112と対応する通信ネットワーク(対応する翻訳エージェント122a~122cを備えた通信ネットワーク120a~120cなど)との間でステータス及びコマンドを翻訳する翻訳エージェントを含むように構成することができる。
【0045】
オープン標準ネットワークインターフェース112は、HANマネージャ110が、1セット又は複数セットのコマンドで多数の通信ネットワーク120a~120dを制御することを可能にし、HANマネージャ110を変更することなく、新しい通信ネットワークをHAN100に追加することを可能にする。ネットワーク又は制御層(XMLスキーマ又は同様のフレームワークなど)において単純で拡張性のあるインターフェースを用いて、HAN100への参加を希望する通信ネットワークは、翻訳エージェントを構築することができ、又は、オープン標準ネットワークインターフェース112に適合するように構築することができる。翻訳エージェントは、通信ネットワークのネイティブ制御及びステータス機能を、オープン標準ネットワークインターフェース112に適合するフォーマットに翻訳するソフトウェア層である。ソフトウェア翻訳エージェントは、専用ネットワーク又はそれらの管理システムを変更することなく、迅速かつ安価に創出することができる。しかしながら、ネットワーク管理システムがオープン標準ネットワークインターフェース112との互換性を既に有する場合、翻訳エージェントは不要である。
【0046】
オープン標準ネットワークインターフェース112は、HANマネージャ110とHAN100内の構成要素ネットワーク120a~120dとの間で交換される情報の種類及び/又は構造を指定する。オープン標準ネットワークインターフェース112は、HANマネージャ110が、1つ又は複数のコマンドセットで多数の異なる構成要素ネットワークを制御することを可能にする。オープン標準ネットワークインターフェース112は、HANマネージャ110を変更せずに、新しいネットワークをHAN100に追加することを可能にする。オープン標準ネットワークインターフェース112は、ユーザ端末と利用可能な通信ネットワークとの間の接続を管理する。しかしながら、いくつかの実施形態では、HANマネージャ110は、関連するオープン標準ネットワークインターフェースを有さない。
【0047】
複数の通信ネットワーク120a~120d又はトランスポートネットワークは、ユーザ端末130を、インターネット、プライベートネットワーク(Department of Defense Information Network(DoDIN))、エンティティの内部ネットワークなど宛先ネットワークに接続する、任意の好適なネットワークであってよい。通信ネットワークは、衛星、衛星群、地上ネットワーク、地上無線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせによって提供することができる。通信ネットワーク120a~120dは、異なるネットワークプロトコル、波形、周波数帯域などを使用して動作することができる。通信ネットワーク120a~120dは、各通信ネットワークが異なるエンティティによって管理又は所有されるなど、互いに無関係であってよい。通信ネットワーク120a~120dは、商業通信ネットワーク、政府通信ネットワーク、又は両方の組み合わせであってよい。通信ネットワーク120a~120dの例としては、例えば、COMSAT、MILSAT、Wideband Global SATCOM(WGS)、VIASAT(登録商標)、地上ネットワーク、地上無線ネットワーク、及び/又は他の商業ネットワークが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、個々の通信ネットワーク120a~120dは、HANマネージャ110が通信するネットワークコントローラ(図示せず)を含むことができる。
【0048】
個々の通信ネットワーク120a~120cは、通信ネットワークがオープン標準ネットワークインターフェース112を介してHANマネージャ110と通信できるようにする、対応する翻訳エージェント122a~122cを含む。個々の翻訳エージェント122a~122cは、通信ネットワークのネイティブ制御機能及びステータス機能を、オープン標準ネットワークインターフェース112に適合するフォーマットに変換するソフトウェア層であり得る。したがって、通信ネットワークの翻訳エージェントは、専用ネットワーク又はそれらの管理システムを変更することなく、比較的迅速かつ安価に創出することができる。通信ネットワーク120dなど特定の通信ネットワークでは、通信ネットワーク120dのネットワークコントローラ又はマネージャが、オープン標準ネットワークインターフェース112とネイティブに適合するため、翻訳エージェントは不要なことがある。
【0049】
通信ネットワーク120a~120dは、必要に応じて対応する翻訳エージェントを介して、及びオープン標準ネットワークインターフェース112が含まれる場合にはそれを介して、HANマネージャ110にステータス情報を間欠的に送信するように構成されている。ステータス情報は、ネットワーク性能パラメータに関連するデータを含み、例えば、データレート、干渉環境、サービス配信確率、価格、サービス停止、中断、サービスに影響を及ぼすイベント、脅威の詳細、カバレッジ領域、輻輳又はネットワーク負荷、ネットワーク全体及びユーザの状態情報などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態では、HAN100は、個々の通信ネットワークに対して互換性要件を課さない。例えば、波形又は無線プロトコル仕様、及び内部管理又はルーティング要件が存在しない場合がある。個々の通信ネットワークプロバイダは、適切と考えるように、各自のネットワークを自由に構築することができる。このアプローチは、HAN100に適合する通信ネットワークの数を増加又は最大化することができる。HAN100が多数の通信ネットワークを利用できるようになり、新しいネットワークが出現すると、そのネットワークを追加することができる。これにより、ユーザは、ネットワークプロバイダ間で進行中の市場ベースの競争から恩恵を受けることができ、これにより、機能及び回復性を増加又は最大化し、コストを低減又は最小化することができる。
【0051】
ユーザ端末130は、多数の周波数帯域(例えば、C、X、Ku、Ka、UHF、Mil-Kaなど)で動作し、多数のネットワークプロトコル及び波形(例えば、VIASAT(登録商標)、Enhanced Bandwidth Efficient Modem(EBEM)、Protected Tactical Waveform(PTW)、Digital Video Broadcasting -Second generation(DVB-S2)、地上及び地上無線など)をサポートするように構成されているマルチモードユーザ端末である。したがって、マルチモードユーザ端末130は、効率、性能、回復力などで異なる機能を提供する異なる通信ネットワークを使用して動作するように構成されている。更に、マルチモードユーザ端末130は、自身のネイティブフォーマットで通信ネットワーク120a~120dを使用し、特定の通信ネットワークのプロトコルセット全体を使用可能にするように構成されている。ユーザ端末130は、ある動作帯域及び/又はプロトコルから別の動作帯域及び/又はプロトコルに素早く切り替わるように構成されている。いくつかの実施形態では、ユーザ端末130は、人間が介入せずに、動作帯域間及び/又はプロトコル間で自動的に切り替わるように構成されている。したがって、ユーザ端末130は、HAN100の通信ネットワーク120a~120dへのシームレスなアクセスを提供することができる。
【0052】
ユーザ端末130は、接続されている通信ネットワークが故障するか、又は性能低下に悩まされる場合に、通信ネットワーク間で切り替わるように構成することができる。かかる場合、ユーザ端末130は、履行リストの次の通信ネットワークに自動的に切り替わるように構成することができ、又は、HANマネージャ110から新しい優勢ネットワークを受信し、その通信ネットワークに切り替わることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ端末130は、ユーザ要求を介して入札プロセスを開始することなく、HANマネージャ110から更新した履行リスト又は更新した優勢通信ネットワークを間欠的に受信するように構成されている。
【0053】
ユーザ端末130は、これらの機能を含む、顧客が提供した機器であってよい。ネットワークセレクタ132は、周波数帯域、ネットワークプロトコル、波形など対応する差異を有する、種々異なる通信ネットワーク120a~120d間で切り替わる能力を提供する。これにより、ユーザ端末130は柔軟性に富み、相互運用可能である。いくつかの実施形態では、ソフトウェア定義型ユーザ端末を用いることができる。ソフトウェア定義型端末は、複数の異なるネットワーク間で切り替わることができ、相互運用性を保持することができるが、これは全て、端末ベースに対する漸次的なアップグレードとすることができる。ユーザ端末のサブセットは、インストールされたベースの既存端末との互換性を維持しつつ、アップグレードすることができる。これにより、全てのユーザ端末をアップグレードするのではなく、ユーザ端末を小さな単位で少しずつアップグレードすることが可能になり、インストールされたベースの大幅なオーバーホールを回避することができる。
例示的なハイブリッド適応型ネットワーク
【0054】
図2Aは、HANマネージャ210、複数のユーザ端末230a、230b、複数のトランスポートネットワーク220a~220d、及び宛先ネットワーク240を含む例示的なHAN200の概略図を示す。HANマネージャ210は、図1を参照して本明細書に記載したHANマネージャ110に類似している。図示していないが、HANマネージャ210は、図1を参照して本明細書に記載したように、オープン標準ネットワークインターフェースを使用して、トランスポートネットワーク220a~220dとインターフェースすることができる。ユーザ端末230a、230bは、図1を参照して本明細書に記載したマルチモードユーザ端末130にそれぞれ類似している。図示していないが、ユーザ端末230a、230bは、様々なトランスポートネットワーク220a~220dへの接続を可能にするネットワークセレクタをそれぞれ含む。トランスポートネットワーク220a~220dは、図1を参照して本明細書に記載した通信ネットワーク120a~120dと特性を共有する。図示していないが、トランスポートネットワーク220a~220dのうちの1つ以上は、図1を参照して本明細書に記載した翻訳エージェントに類似の翻訳エージェントを含んでよい。トランスポートネットワーク220a、220bは、衛星ネットワークとして示しており、これらのトランスポートネットワークのそれぞれは、トランスポートネットワークを形成するために1つ以上の衛星を含んでよい。トランスポートネットワーク220c、220dは、地上ネットワークを含む。しかしながら、トランスポートネットワーク220a~220dのそれぞれは、衛星構成要素、地上構成要素、又はそれらの両方の組み合わせを含んでよいことを理解されたい。
【0055】
HANマネージャ210は、図中の実線で示すように、トランスポートネットワーク220a~220d、ユーザ端末230a、230b、及び宛先ネットワーク240のそれぞれの要素を制御するように構成されている。これにより、HANマネージャ210は、トランスポートネットワーク220a~220dに対してステータス情報を送受信し、トランスポートネットワーク220a~220dとユーザ端末230a、230bとの間の接続を制御し、トランスポートネットワーク220a~220dと宛先ネットワーク240との間の接続を制御することができる。一例として、HANマネージャ210は、コマンドを、ユーザ端末230a、230bに対して発行することができる。このコマンドは、履行ネットワークの優先順位付け(例えば、異なるトランスポートネットワークに切り替えるタイミング)を含む、優先トランスポートネットワークのリストを作成させ、特定のトランスポートネットワークの選択を指示するなどする。別の例として、HANマネージャ210は、ネットワークがサービス要件(例えば、性能又はネットワーク効果)を指定する制御コマンドを、トランスポートネットワーク220a~220dに対して発行してよい。図示していないが、トランスポートネットワーク220a~220dは、HANマネージャ210が通信するネットワークコントローラを含む。
【0056】
ネットワーク接続性は、トランスポートネットワーク220a~220dと、ユーザ端末230a、230bと、宛先ネットワーク240との間の破線を使用して示す。これは、各ユーザ端末230a、230bが、各トランスポートネットワーク220a~220dに接続可能であることを示す。同様に、宛先ネットワーク240は、各トランスポートネットワーク220a~220dに接続することができる。単一の宛先ネットワークを示しているが、多数の宛先ネットワークが存在し得ることを理解されたい。トランスポートネットワーク220a~220dを介してユーザ端末230a、230bとHANマネージャ210との間に多数の経路が存在することに少なくとも部分的に起因して、障害又は攻撃のためにトランスポートネットワークが故障しても、HANマネージャ210と特定のユーザ端末との間の通信を確立することができる。これにより、トランスポートネットワークが故障した場合であっても、HANマネージャ210は、ユーザ端末上の優先トランスポートネットワーク若しくは優勢トランスポートネットワーク又は履行リストを更新することができる。これにより、ネットワーク障害に対するHAN200の回復力が強化される。ネットワーク障害が生じない場合であっても、ユーザ端末230a、230bは、ネットワーク状態が著しく変化した場合に、トランスポートネットワークを予防的に切り替えることができる。変化の重大性は、ユーザ端末及び/又はHANマネージャ210によって判定することができる。新しいトランスポートネットワークへの切り替えを促し得る変化の例としては、例えば、リンク障害情報(例えば、低い信号雑音比(SNR))、ユーザ要件をサポートするために必要な往路又は復路リンクデータ速度に達しないこと、障害又は提供サービスの低下を生じさせ得る、脅威又はサービス停止(例えば、ネットワーク輻輳)の特定、天候又は他の干渉(意図的又は非意図的)による性能の低下、ネットワーク輻輳の増加、異なる性能カバレッジエリアへのユーザ端末の移動などが挙げられるが、これらに限定されない。ユーザ端末230a、230bは、HANマネージャ210から更新した優勢トランスポートネットワークを受信することによって、又は以前に受信した履行リストで次のトランスポートネットワークに移動することによって、トランスポートネットワークを変更することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ端末230a、230bは、人間が介入せずにトランスポートネットワークを自動的に切り替えることができる。
【0057】
宛先ネットワーク240としては、インターネット、プライベートネットワーク(Department of Defense Information Network)、アクセスネットワーク、端末、「ミートミーポイント」、又は他のかかる宛先など任意の好適な宛先が挙げられる。HANマネージャ210は、宛先ネットワーク240とユーザ端末230a、230bとの間の経路を把握する必要はない。というのも経路は、トランスポートネットワーク220a~220dの構成要素、ユーザ端末230a、230b、及び/又は宛先ネットワーク240によって処理されるためである。
【0058】
図2Bは、トランスポートネットワーク220bを介して宛先ネットワーク240に接続するユーザ端末230aの一例を示す。ユーザ端末230aは、HANマネージャ210に向けて接続要求260を発行し、次いでHANマネージャ210は、優勢トランスポートネットワークを決定し、ユーザ端末230aと、トランスポートネットワーク220bと、宛先ネットワーク240との間の接続を確立する。要求260は、ユーザ要件及び/又は優先権を含んでよい。HANマネージャ210は、ユーザ要件を満たすことができ、利用可能であり、かつ互換性のあるトランスポートネットワークを特定する。互換トランスポートネットワークからの入札を募った後に、HANマネージャ210は、どの入札がユーザ端末230aに対して優先されるかを決定する。HANマネージャ210は、資格情報を宛先ネットワーク240及びユーザ端末230aに提供し、この資格情報は、宛先ネットワーク240及びユーザ端末230aのそれぞれを優勢トランスポートネットワーク220bに接続することを可能にする。この接続を確立することは、宛先ネットワーク240のネットワークセレクタ及びユーザ端末230aを設定して、優勢トランスポートネットワーク220b上でデータ270をルーティングすることを含んでよい。したがって、ユーザ端末230aは、トランスポートネットワーク220bを使用して宛先ネットワーク240にネットワークデータ270を送信することができる。その後、異なるトランスポートネットワークが優勢ネットワークであると決定された場合、HANマネージャ210によってルートが変更され、この異なる優勢トランスポートネットワークを経由することができる。
【0059】
図3は、図2AのHAN200と比較して追加のユーザ端末330a~330d及びトランスポートネットワーク320a、320bを含む別の例示的なHAN300を示す。ユーザ端末330a~330dは、図1を参照して本明細書に記載したユーザ端末130に類似してよい。トランスポートネットワーク320aは、HANマネージャ210によって制御されない固定トランスポートネットワーク又は移動トランスポートネットワークである。ユーザ端末330a、330bは、トランスポートネットワーク320aを介して宛先ネットワーク240に接続される。トランスポートネットワーク320bは、HANマネージャ210によって制御され、宛先ネットワーク240に接続される。ユーザ端末330c、330dは、トランスポートネットワーク320bを介して宛先ネットワーク240に接続される。
【0060】
宛先ネットワーク240自体は、他のネットワーク320a、320b及びユーザ端末330a~330dに接続されてよい。ここで、HANマネージャは、トランスポートネットワーク220bを介してユーザ端末230aを宛先ネットワーク240に接続するが、ネットワークデータ370の最終目的地は、トランスポートネットワーク320aを介して宛先ネットワーク240に接続されたユーザ端末330aである。
【0061】
図4は、多数のユーザ端末(図示せず)をカバーする、対応する複数のスポットビーム424を提供する複数のトランスポートネットワーク420a~420fを含む、別の例示的なHAN400を示す。HAN400はまた、ネットワークセレクタ442を介して宛先ネットワーク440をそれぞれのトランスポートネットワーク420a~420fに接続する衛星ゲートウェイ426を含む。トランスポートネットワーク420a~420fは、図1及び図2Aを参照して本明細書に記載した通信ネットワーク120a~120d及びトランスポートネットワーク220a~220dに類似している。トランスポートネットワーク420a~420fは、個別の衛星として示しているが、各トランスポートネットワーク420a~420fは、トランスポートネットワークを形成するために、1つ以上の衛星及び1つ以上の地上構成要素を含んでよいことを理解されたい。トランスポートネットワーク420a~420fは、異なるネットワーク通信プロトコル及び/又は波形を用いることができ、異なる周波数レンジを使用してよい。ネットワークセレクタ442は、トランスポートネットワークが異なる周波数レンジ、ネットワークプロトコル及び/又は波形を用いるとしても、宛先ネットワーク440が複数の異なるトランスポートネットワーク420a~420fに接続することを可能にするという点で、本明細書に記載したネットワークセレクタに類似している。
【0062】
明確にするために示していないが、HAN400は、図1図2A図2B図3図5、及び図6A図6Fを参照して本明細書に記載したHANマネージャに類似しているHANマネージャを含むことを理解されたい。HAN400のHANマネージャは、トランスポートネットワーク420a~420f、ユーザ端末、及び宛先ネットワーク440を制御するように構成されている。HANマネージャは、本明細書に開示する入札プロセスを処理し、また、優先トランスポートネットワーク又は優勢トランスポートネットワークを決定し、及び/又は個々のユーザ端末の履行リストを決定する。これは、本明細書に記載したように、付随するユーザ要求を伴って、又は伴わずに生じ得る。HANマネージャはまた、個々のユーザ端末と、優勢トランスポートネットワークと、宛先ネットワーク440との間の接続を確立する。
【0063】
様々なトランスポートネットワーク420a~420fによって提供されるスポットビーム424はオーバラップし、多数のユーザ端末をカバーする。したがって、個々のユーザ端末は、複数のスポットビームによってカバーすることができる。これにより、個々のユーザ端末は、本明細書に開示したシステム、デバイス、及び方法を使用して、優先トランスポートネットワークに接続することができる。例えば、ユーザ端末は、HANマネージャ(図示せず)に要求を送信して、宛先ネットワーク440に接続することができる。HANマネージャは、ユーザ端末をカバーするトランスポートネットワークを決定することができ、それらの利用可能なトランスポートネットワークから入札を募ることができる。次いでHANマネージャは、受信した入札の分析に基づいて、優勢トランスポートネットワークを介して宛先ネットワークにユーザ端末を接続することができる。これにより、ユーザ端末は、利用可能なトランスポートネットワーク間で切り替わり、ネットワーク性能を改善することができ、かつ/又はネットワーク障害若しくは性能の低下を回避することができる。同様に、モバイルユーザ端末は、スポットビーム424間で移動してよく、HANマネージャは、ユーザ端末が1つ以上の新たなトランスポートネットワークのスポットビームに入るとき、及び/又は1つ以上のトランスポートネットワークのスポットビームから離れるときに、優勢トランスポートネットワーク(又は更新した履行リスト)を提供することができる。
【0064】
一例として、限定するものではないが、トランスポートネットワーク420aは、対地同期軌道(GEO)Kuバンドネットワークであり得、トランスポートネットワーク420bは、先進極超短波(AEHF)ネットワークであり得、トランスポートネットワーク420cは、WGS/Skynetネットワークであり得、トランスポートネットワーク420dは、GEO Kaバンドネットワークであり得、トランスポートネットワーク420eは、中軌道(MEO)Kaバンドネットワークであり得、トランスポートネットワーク420fは、低軌道(LEO)Ku/Kaバンドであり得る。したがって、スポットビーム424は、政府ネットワーク、商業ネットワーク、GEO衛星、MEO衛星、LEO衛星、地上ネットワーク、及び/又は地上無線ネットワークの組み合わせによって提供され得る。
例示的なHANマネージャ
【0065】
図5は、例示的なHANマネージャ510のブロック図を示す。HANマネージャ510は、入札及びスコアリングシステムを使用して、ユーザ端末と、通信ネットワークと、宛先ネットワークとの間のネットワーク接続を管理するように構成されている。HANマネージャ510は、図1図2A図2B図3図4、及び図6A図6Fを参照して本明細書に記載したHANマネージャ110、210、410、610に類似しており、記載したHANシステムに実装することができる。HANマネージャ510は、それぞれ図7及び図8を参照して本明細書に記載した例示的な方法700及び800など任意の方法を用いて、トランスポートネットワークへの接続を管理することができる。
【0066】
HANマネージャ510は、ネットワーク接続の管理、ユーザ端末及び通信ネットワークとの通信、通信ネットワークステータスのモニタ、通信ネットワークの入札のスコアリングを行うためのハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア構成要素を含み得る。HANマネージャ510は、通信ネットワークを介してユーザ端末からの接続要求を受信し、受信した要求に基づいて通信ネットワークからの入札を要求し、要求した入札を受信し、受信した入札を分析し、スコアリングし、要求しているユーザ端末に、優勢通信ネットワーク又は通信ネットワークの履行リストを送信し、そしてユーザ端末と優勢通信ネットワークとの間の接続を確立するように構成されている。HANマネージャ510はまた、ネットワークステータスのモニタ、並びに通信ネットワークにおける変化、新たなユーザ要求、及び/又はネットワーク性能に影響を及ぼし得る外的要因に応答して、優勢トランスポートネットワーク又は履行リストの更新を行うように構成されている。HANマネージャ510は、データストア511と、1つ以上のプロセッサ513と、1つ以上のネットワークインターフェース515と、ネットワーク管理モジュール514と、入札モジュール516と、スコアリングモジュール518とを含む。HANマネージャ510の構成要素は、通信バス519を使用して互いに、外部システムと、及びネットワークの他の構成要素と通信することができる。HANマネージャ510は、1つ以上のコンピューティングデバイスを使用して実現することができる。例えば、HANマネージャ510は、単一のコンピューティングデバイス、多数のコンピューティングデバイス、分散コンピューティング環境を使用して実現することができ、又は、パブリックコンピューティングクラウド若しくはプライベートコンピューティングクラウドに存在する仮想デバイス内に配置することができる。分散コンピューティング環境では、1つ以上のコンピューティングデバイスは、モジュール514、516、518を提供し、記載の機能を提供するように構成することができる。
【0067】
HANマネージャ510は、ネットワーク管理モジュール514を含む。ネットワーク管理モジュール514は、ユーザ端末と構成要素ネットワークとの間のネットワーク接続を管理し、確立するように構成されている。ネットワーク管理モジュール514は、ユーザ端末及び通信ネットワークに制御コマンドを送信し、これらの構成要素間の接続の確立を支援するように構成されている。これらのコマンドは、ネットワークインターフェース515に関連して図1を参照して本明細書に記載した、オープン標準ネットワークインターフェースを使用して通信ネットワーク及び/又はユーザ端末に送信してよい。
【0068】
ネットワーク管理モジュール514はまた、関連する構成要素ネットワークからネットワークステータス情報を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理モジュール514は、ステータス情報をモニタし、サービス入札の再分析を開始して、優勢通信ネットワークを更新し、及び/又は1つ以上のユーザ端末の履行リストを更新するかどうかを判定することができる。更新が妥当であるとの判定に応答して、ネットワーク管理モジュール514は、スコアリングモジュール518と通信して、サービス入札の分析を更新する。特定の実施形態では、ネットワーク管理モジュール514は、関連するステータス情報をスコアリングモジュール518に転送して、スコアリングモジュール518が通信ネットワークのスコアを断続的に、定期的に、又は連続的に更新することを可能にする。かかる実施形態では、スコアリングモジュール518が通信ネットワークのスコアを更新するために、トリガイベント又は条件が発生する必要はない。したがって、ネットワーク管理モジュール514は、スコアリングモジュール518と連携して、利用可能なネットワークを優先順位付けして、ネットワークの低下又は障害の場合に、ユーザ端末にフォールバックオプションを提供することができる。これは、断続的又は連続的に行われ、利用可能な通信ネットワーク(例えば、優勢ネットワーク又は履行リスト)に関する更新をユーザ端末にプッシュすることができる。
【0069】
HANマネージャ510は、入札モジュール516を含む。入札モジュール516は、ユーザ端末から接続要求を受信するように構成されている。ユーザ要求は、利用可能な通信ネットワークへのネットワーク接続に関連するユーザ基準、要件、及び/又は設定を含む。入札モジュール516は、ユーザ端末から受信した個々の接続要求に基づいて、利用可能な通信ネットワークからのサービス入札の要求を策定する。入札モジュール516はまた、通信ネットワークからサービス入札を受信する。入札モジュール516は、データストア511内の入札情報を整理して記憶し、ネットワーク管理モジュール514及びスコアリングモジュール518が入札情報にアクセスできるようにする。いくつかの実施形態では、入札モジュール516は、接続又はユーザ要求に互換性のある利用可能な通信ネットワークを決定するように構成されている。特定の実施例では、接続要求は、ネットワーク互換性に関する情報を含む。様々な実施例では、HANマネージャ510は、接続要求に互換性のある通信ネットワークを決定するように構成されている。
【0070】
HANマネージャ510は、スコアリングモジュール518を含む。スコアリングモジュール518は、ネットワーク情報、及び通信ネットワークに対する潜在的な脅威又はサービス停止の知識を分析して、個々の通信ネットワークのスコアを決定する。スコアリングモジュール518は、通信ネットワークのスコアを決定する、1つ以上のアルゴリズムを使用する。スコアは、ユーザ端末からの接続要求に含まれるユーザ基準及び通信ネットワークからのサービス入札に含まれるネットワークサービス情報に少なくとも部分的に基づき得る。いくつかの実施形態では、スコアリングモジュール518は、ネットワークステータス情報に少なくとも部分的に基づいてスコアを決定することができる。サービス要求に含まれる情報、サービス入札に含まれる情報、及びネットワークステータスは、重み付け係数を使用して組み合わされ、スコアを決定することができる。スコアリングモジュール518はまた、攻撃に応答し、攻撃を軽減する通信ネットワークの機能(及びネットワーク内技術)を考慮してよい。例えば、ユーザ要件が、ジャマーの存在する際に通信ネットワークの回復性を含む場合、スコアリングモジュール518は、個々の通信ネットワークの固有特性を評価して、ジャマーが通信ネットワークの破壊を試みる場合に接続性を維持するのに好適な属性を有するネットワークを決定するように構成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、スコアは、連続的に又は断続的に更新することができ、更新の結果は、ユーザ端末に送信することができる。特定の実施形態では、スコアの更新は、特定のイベント又は条件によってトリガされ得る。例えば、スコアの更新は、ユーザ端末から新しいサービス要求又はユーザ基準の更新を受信することによってトリガされ得る。別の例として、スコアの更新は、通信ネットワークに対する脅威及び/又は気象情報など外的条件によってトリガされ得る。別の例として、スコアの更新は、ネットワーク性能の変化(例えば、ネットワーク輻輳によって生じる)によってトリガされ得る。別の例として、スコアの更新は、ユーザ端末及び/又は通信ネットワークの位置の変化によってトリガされ得る。別の例として、スコアの更新は、制限時間に到達することに起因してトリガされ得る。制限時間は、ユーザ端末、通信ネットワーク、又はHANマネージャ510によって設定することができる。
【0072】
スコアリングモジュール518は、関連するHANにおいて確立された接続を常時更新することを可能にする。スコアリングモジュール518は、スコアリングをリアルタイムで更新するように構成することができる。このようにして、HANマネージャ510は、ユーザのために十分な、又は改善されたネットワーク性能を確保するために、一貫して、かつ速やかにユーザ端末に勧告をプッシュすることができる。スコアリングモジュール518は、HANマネージャ510が、気象情報、ネットワーク輻輳などによって生じた、当面の潜在的な悪影響であり得る、通信ネットワークに対する脅威を分析することを可能にし、それにより、通信ネットワークの状態をより大きな視点で観察し、ユーザのためにネットワークの低下又は障害を阻止するか、又は低減する処置を予測的に又は予防的に講じる。スコアリングモジュール518は、ユーザの接続要件、通信ネットワーク性能、通信ネットワーク機能、及び/又は通信ネットワークサービス入札に基づいて定量的情報を提供し、条件の変化に基づいて、リアルタイムの適応を可能にする。これらの変化する条件としては、例えば、地形(例えば、ユーザが飛行機に乗っている)、データ要件(例えば、高データスループット要件対低データスループット要件)、ネットワークに対する脅威(例えば、サービス妨害攻撃、ネットワーク輻輳、悪天候など)などを挙げることができる。これらの定量的評価を使用して、サービス停止が生じる前に通信ネットワークを変更することができる。いくつかの実施形態では、スコアリングモジュール518は、予測モデルを提供し、この予測モデルは、輻輳を予測し、他の通信ネットワークが混雑しているかどうかを確認し、そしてユーザエクスペリエンスが悪影響を受ける前にユーザ端末を新しい通信ネットワークに移動させるように構成することができる。
【0073】
HANマネージャ510は、任意の互換通信ネットワークに接続するように構成されているネットワークインターフェース515を含む。ネットワークインターフェース515は、HANマネージャ510を通信ネットワークに依存しないように構成することができ、それによってHANマネージャを、互換性にある通信ネットワークと通信することができる任意のユーザ端末に接続することを可能にする。図1を参照して本明細書に記載したオープン標準ネットワークインターフェースは、ネットワークインターフェース515の一部であってよい。本明細書に記載したように、オープン標準ネットワークインターフェースは、通信ネットワークからネットワークステータス情報を受信し、通信ネットワーク及びユーザ端末に制御コマンドを送信するように構成されている。ステータス情報は、本明細書に記載したように、更なる処理及び分析のためにネットワーク管理モジュール514に送信することができる。同様に、ネットワーク管理モジュール514は、ネットワークインターフェース515及び関連するオープン標準ネットワークインターフェース(ただし、含まれる場合)を介して、制御コマンドをユーザ端末及び通信ネットワークに送信することができる。
【0074】
HANマネージャ510は、モジュール514、516、518及びデータストア511の動作を制御するように構成されている、1つ以上のプロセッサ513を含む。1つ以上のプロセッサ513は、入札プロセスを通じてトランスポートネットワークへの接続を管理するように構成されたソフトウェアモジュール、ハードウェア構成要素、及び/又はファームウェア要素を実現し、用いる。1つ以上のプロセッサ513は、任意の好適なコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の好適なマイクロプロセッサを含み得る。1つ以上のプロセッサ513は、HANマネージャ510の様々なモジュール及びデータストアとインターフェースするように構成された他のコンピューティング構成要素を含み得る。
【0075】
HANマネージャ510は、構成データ、ユーザ要件、ネットワークステータス、ネットワーク特性及び機能、制御コマンド、データベース、アルゴリズム、実行可能命令(例えば、1つ以上のプロセッサ513への命令)などを記憶するように構成されたデータストア511を含む。データストア511は、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、ソリッドステートディスク、ハードドライブ、フラッシュドライブ、バブルメモリなどが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適なデータ記憶デバイス又はデバイスの組み合わせであり得る。
【0076】
HANマネージャ510は、様々なコンテキストで実行され得る。例えば、HANマネージャ510は、交通機関(例えば、商用便、列車、バス、船舶など)へのネットワーク接続性の提供、施設(例えば、ガソリンスタンド、コーヒーショップ、スタジムなど)における、顧客への無線ネットワーク接続性の提供などを行うように実行され得る。別の例として、HANマネージャ510を用いて、リモート環境に分散されているユーザ端末及び/又はモバイルであるユーザ端末を有する組織にネットワーク接続性を提供することができる。これは、前線基地での軍事的コンテキストで、又は遠隔のニュース発生位置においてネットワークアクセスを所望するニュースネットワークのための民間コンテキストで生じ得る。HANマネージャ510は、多数の通信ネットワークの分析及びランク付けを可能にして、ユーザ端末に最良に機能する通信ネットワーを決定する。
例示的なHAN管理手順
【0077】
図6A図6Fは、HANマネージャ610が、入札手順に基づいてユーザ端末630と優勢通信ネットワークとの間でネットワーク接続を確立する方法を示す、例示的なHANシステム600のブロック図を示す。図6Aは、図1図5を参照して本明細書に記載したHANマネージャに類似しているHANマネージャ610を含むHAN600を示す。HAN600はまた、図1図3を参照して本明細書に記載したユーザ端末に類似しているユーザ端末630を含む。HAN600はまた、図1図4を参照して本明細書に記載したネットワークに類似している通信ネットワーク620a~620cを含む。
【0078】
図6Bは、サービスを求めるユーザ要求652をHANマネージャ610に送信するユーザ端末630を示す。ユーザ要求652は、様々な要件及び優先権を含み得る。例えば、ユーザ要求652は、データレート(例えば、往路リンク(FL)、復路リンク(RL))、干渉環境(例えば、問題なし又は競合)、ユーザ端末位置(例えば、緯度及び経度)、ユーザ端末タイプ(例えば、固定又はモバイル)、モバイル端末タイプ(陸上、海上、空中、又は宇宙)、端末RFパラメータ(EIRP、G/Tなど)、端末ネットワーク適合性を含み得る。例示的なユーザ要求は、以下のとおりである:データレート(10Mbps FL、2Mbps RL)、干渉(競合)、端末位置(33.13N、117.28W)、端末タイプ(モバイル)、モバイル端末タイプ(空中)、端末パラメータ(55dBW、14.2dB/K)、ネットワーク適合性(ネットワークA、ネットワークB)。
【0079】
図6Cは、サービス要求654を通信ネットワーク620a~620cにアナウンスしているHANマネージャ610を示す。特定の実施形態では、サービス要求652は、サービス入札及び/又はサービス入札のフォーマットで指定されるパラメータを含み得る。HANマネージャ610は、ユーザ要求652に基づいてサービス要求654を策定する。
【0080】
いくつかの実施形態では、サービス要求654を、ユーザ要求652で指定された互換ネットワークに送信することができる。図6Cの例では、ユーザ要求652は、ユーザ端末630がネットワークC 620cに適合せず、その結果、HANマネージャ610は、ネットワークC 620cにサービス要求654を送信しないことを指示してよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、HANマネージャ610は、適合しないネットワークにサービス要求654をアナウンスしない。そうではなく、ユーザ要求652を受信すると、HANマネージャ610は、サービス要求654に互換性のある、利用可能な通信ネットワークをまず決定し、次いで、互換ネットワークにのみサービス要求654をアナウンスする。図6Cの例では、HANマネージャ610は、ネットワークC 620cがサービス要求654に適合しないと判定してよく、その結果、ネットワークC 620cにサービス要求654をアナウンスしない。
【0082】
特定の実施形態では、HANマネージャ610は、全ての利用可能な通信ネットワーク620a~620cにサービス要求654をアナウンスする。かかる実施形態では、適合しない通信ネットワークは、サービス要求654に応答しないか、又は、HANマネージャ610がサービス要求654の基準を満たさないと判定するとの応答を提供する。
【0083】
図6Dは、互換通信ネットワーク620a、620bから入札応答656a、656bを受信するHANマネージャ610を示す。例として、入札のフォーマットは、データレート(例えば、FL、RL)、干渉環境(例えば、問題なし又は競合)、サービス配信確率(0~100%)、及び/又は価格($/ビット、$/分、$/bpsなど)を含み得る。ネットワークA 620aからの例示的な入札応答656aは、以下のとおりである:データレート(8MbpsFL、2Mbps RL)、干渉(競合)、サービス配信確率(95%)、及び価格($10/Mbit)。ネットワークB 620bからの例示的な入札応答656bは、以下のとおりである:データレート(12Mbps FL、4Mbps RL)、干渉(競合)、サービス配信確率(98%)、及び価格($50/Mbit)。この例では、ネットワークCは適合しない。したがって、入札する資格はない。
【0084】
図6Eは、サービス選択658をユーザ端末630に送信するHANマネージャ610を示す。サービス選択658は、入札応答656a、656bの分析に基づいて、最高スコアを有する通信ネットワークとすることができる。サービス選択658は、入札応答656a、656bの分析に基づいてスコアによって順序付けられた通信ネットワークの履行リストであり得る。入札応答の分析は、スコア又はランク付け値を入札応答656a、656bに割り当てることを含み得る。スコア又はランクを割り当てるプロセスは、入札応答656a、656bのパラメータの可変の重み付けを含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、スコアリング基準は、スタンドオフ距離(km)及び周波数アジリティ(MHz)に基づく干渉性能(例えば、1~10の数値)の評価を含み得る。スコアリング基準はまた、拡散係数(例えば、数値)及びホッピング速度(例えば、時間遅延)に基づく波形性能(例えば、1~10の数値)の評価を含み得る。スコアリング基準はまた、サイバーセキュリティスコア(例えば、1~10の数値)を含み得、また、以前の入札互換性のスコア(例えば、1~10の数値)を含み得る。
【0086】
図6Fは、優勢通信ネットワーク620aにサービス割り当て659を送信するHANマネージャ610を示す。HANマネージャ610は、ユーザ端末630にもサービス割り当て659を送信し得る。いくつかの実施形態では、サービス割り当て659は、ユーザ端末630と、通信ネットワーク620aと、宛先ネットワーク(図示せず)との間の接続を可能にする資格情報を含む。
【0087】
図7は、ユーザ要求に基づいて、優勢通信ネットワークを選択する例示的な方法700のフローチャートを示す。方法700は、図1図6Fを参照して本明細書に記載したHANマネージャのいずれかによって実行することができる。説明を容易にするために、方法700は、HANマネージャによって実行されるものとして説明する。これは、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。むしろ、方法700の全ての工程又は部分は、本明細書に記載したシステムの任意の構成要素又は構成要素の組み合わせによって実行され得る。
【0088】
ブロック705で、HANマネージャは、サービスを求めるユーザ要求をユーザ端末から受信する。これは、図6Bを参照して記載したユーザ要求に類似している。いくつかの実施形態では、ユーザ要求は、図2A図4を参照して本明細書に記載した宛先ネットワークなど宛先ネットワークを含み得る。ユーザ要求は、ユーザ端末が通信ネットワークへの接続を望むときにいつでも、及び/又はユーザ端末の性能要件が変化するときにいつでも送信することができる。いくつかの実施形態では、方法700は、ユーザ要求がユーザ端末から受信されるたびに再開する。
【0089】
ブロック710で、HANマネージャは、ユーザ要求から策定されたサービス要求を、ハイブリッド適応型ネットワーク内の通信ネットワークにアナウンスする。これは、図6Cを参照して記載したサービス要求に類似している。利用可能な通信ネットワークは、動的に変化し得る。いくつかの実施例では、方法700は、ネットワーク可用性の変化に応答して、ブロック710に戻ってよい。いくつかの実施形態では、HANマネージャは、互換性のないネットワークにサービス要求を送信しない。かかる実施形態では、互換性のない通信ネットワークを、ユーザ要求において特定することができ、及び/又はHANマネージャは、サービス要求に適合しない通信ネットワークを判定することができる。
【0090】
ブロック715では、HANマネージャは、互換通信ネットワークからサービス入札を受信する。これは、図6Dを参照して記載したサービス入札に類似している。いくつかの実施形態では、サービス入札は、対応する通信ネットワークでの変化に応答してHANマネージャが入札を要求することなく、HANマネージャに送信することができる。例えば、性能又は価格が変化した場合、HANマネージャは、更新したサービス入札を要求することができ、又は影響を受けた通信ネットワークは、HANマネージャからの要求を最初に受信することなく、更新したサービス入札を送信することができる。更新したサービス入札が受信される場合、方法700は、ブロック715から再開されてよい。
【0091】
ブロック720で、HANマネージャは、サービス入札の決定されたスコアに基づいて、優勢通信ネットワークを選択する。いくつかの実施形態では、HANマネージャは、サービス入札の決定されたスコア(determine scores)に基づいて、互換通信ネットワークの順位付きリストを含む履行リストを作成する。受信したサービス入札をスコアリングすることは、サービス入札に含まれたパラメータの重み付きスコアを決定することを含み得る。これは、図6Eを参照して記載した選択に類似している。サービス選択(例えば、優勢通信ネットワーク及び/又は履行リスト)は、要求しているユーザ端末に送信することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、HANマネージャは、互換通信ネットワークのうちの1つ以上のネットワーク性能に変化があるときに、方法700をブロック720から繰り返す。特定の実施例では、HANマネージャは、通信ネットワークのステータスをモニタして、ネットワーク性能又は他の関連ネットワークパラメータに変化がある場合を判定する。したがって、かかる変化に応答して、HANマネージャは、互換通信ネットワークごとにスコア又はランクを再計算する。スコアに変化がある場合、優勢通信ネットワークにおいて、及び/又は履行リストの順に、HANマネージャは、影響を受けた又は関連するユーザ端末に更新したサービス選択を送信することができる。
【0093】
ブロック725で、HANマネージャは、優勢入札を有する通信ネットワークにサービスを割り当てる。これは、図6Fを参照して記載した割り当てに類似している。HANマネージャは、優勢ネットワークのユーザ端末、並びに優勢ネットワークに通知するように構成することができる。ネットワーク接続は、本明細書に記載したように、翻訳エージェントを介して確立することができ、ユーザが、同一インターフェースを用いて、互換性のある各通信ネットワークに接続し、通信できるようにする。
【0094】
方法700は、本明細書に記載したように、通信ネットワークとの最初の接続を確立するために使用され、条件又は基準の変化に基づいて繰り返することができる入札プロセスを表す。例えば、方法700は、何らかのトリガイベント又は条件が生じると、方法の任意の好適な工程において開始することができる。トリガイベントの例としては、通信ネットワークの状態の変化、ユーザ端末の状態の変化、通信ネットワークに対する脅威の状態の変化(例えば、気象など自然脅威、機器障害など非自然脅威、サービス妨害攻撃など意図的脅威)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ユーザ端末は、接続先の通信ネットワークのリンク性能を用いて、HANマネージャを更新するように構成されている。リンク性能が変化する場合、サービス選択に対する更新をトリガすることができる(例えば、方法700は、この方法の好適な工程において再開する)。これは、例えば、ユーザとのサービスレベル契約(SLA)が存在し、少なくとも最小レベルのサービスを維持してSLAを満たすこと(通信ネットワークの切り替えから恩恵を受けることがある)が有益である場合に望ましい。
【0095】
別のトリガイベントは、入札の失効であってもよい。いくつかの実施形態では、サービス入札は、有効期間を有し得る。サービス入札がまだ有効である限り、ユーザ端末は、通信ネットワークを使用することができる。サービス入札は、例えば、数時間、数日、数週間、数ヶ月などが挙げられるが、これらに限定されない有効期間を有し得る。入札の失効後、方法700は、ブロック710で新しいサービス入札を要求する、又はブロック720でまだ有効である入札に新しいスコアを決定する、などの好適な工程で開始することにより繰り返すことができる。
【0096】
他のトリガイベントとしては、ユーザ端末が再入札を要求すること、HANマネージャが、優勢通信ネットワークがもはやユーザ要求に適合していないと判定すること、HANマネージャが、ネットワーク特性が変更されたと判定することなどが挙げられてよい。
【0097】
図8は、リアルタイムで通信ネットワークのランク付けを更新する例示的な方法800のフローチャートを示す。方法800は、図1図6Fを参照して本明細書に記載したHANマネージャのいずれかによって実行することができる。説明を容易にするために、方法800は、HANマネージャによって実行されるものとして説明する。これは、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。むしろ、方法800の全ての工程又は部分は、本明細書に記載のシステムの任意の構成要素又は構成要素の組み合わせによって実行することができる。
【0098】
ブロック805で、HANマネージャは、互換通信ネットワークのスコアを決定する。スコア又はランク付けは、本明細書に記載したユーザ基準、ユーザ要件、サービス入札、ネットワーク性能などに基づいて決定することができる。
【0099】
ブロック810で、HANマネージャは、関連するユーザ端末にスコアを送信する。関連するユーザ端末は、スコア又はランク付けが変化した通信ネットワークに互換性のあるユーザ端末を含み得る。これにより、ユーザ端末は、好ましい通信ネットワークが存在する通信ネットワークを変更することができる。HANマネージャは、ユーザ端末が必ずしも更新情報を要求しなくても、更新したスコア又はランク付けをユーザ端末に送信又はプッシュする。これは、最初に通信ネットワークのスコアリング又はランク付けの更新を要求しなくても、ユーザ端末が優良な通信ネットワークに接続できるため有利である。
【0100】
ブロック815で、HANマネージャは、通信ネットワークの性能に関連する情報を受信する。この情報は、通信ネットワーク自体によって提供されるため、ネットワーク性能に直接関連するパラメータ(例えば、サービス入札に含まれる情報)を含む。この情報はまた、天候、ネットワークに対する脅威に関する機密情報などに影響を及ぼし得る、外的要因に関連するデータを含む。このブロックでHANマネージャによって受信される情報は、経時的に適応可能であり、ネットワーク性能に影響を及ぼす任意の適切な因子を含んでよい。
【0101】
ブロック820で、HANマネージャは、トリガ基準が生じたかどうかを判定し、トリガ基準が生じたという判定に応答してブロック805に戻り、通信ネットワークの分析を更新する。トリガ基準は、例えば、ネットワーク性能の変化、ユーザ要件の変化、ネットワークに対する外的脅威、利用可能になった上位オプションなどが挙げられるが、これらに限定されない、本明細書に記載した基準のいずれかを含む。
【0102】
方法800は、予測モデルとして使用することができる。例えば、方法800は、ネットワーク輻輳を予測し、他のネットワークが輻輳しているかどうかを確認するために使用することができる。これに応答して、HANマネージャは、ユーザエクスペリエンスが悪影響を受ける前にユーザ端末を移動させることができる。
【0103】
加えて、方法800は、通信ネットワークのスコアリング又はランク付けを常時更新することができる。これらの更新は、リアルタイムにトリガすることができる。この結果、HANマネージャは、常に又は一貫して、ユーザ端末に勧告をプッシュする。方法800は、HANマネージャが、存在し得る脅威を受け入れ、脅威に対応することを可能にする。脅威は、例えば、気象情報、ネットワーク輻輳、ネットワークに対する潜在的な攻撃に関する機密情報などの分析に応答して生じる。方法800は、他の類似のシステムによって考慮されない場合がある外的要因を含めて、HANマネージャがネットワーク性能を全体として分析することを可能にする。方法800は、ユーザ端末からの更新された要求によってトリガすることができるが、少なくとも部分的に、HANマネージャが通信ネットワークのスコア及びランク付けを一貫して更新しているために、これは必須ではない。
用語及び追加の実施形態
【0104】
本明細書では、入札及びスコアリングプロセスに基づいてトランスポートネットワーク又は通信ネットワークへの接続を管理するシステム、デバイス、及び方法について記載する。本明細書で使用するとき、用語「トランスポートネットワーク」、「通信ネットワーク」、及び「構成要素ネットワーク」は互換的に使用する。これらの用語は、本明細書に記載したように、ユーザ端末と宛先ネットワークとの間のネットワーク接続性を提供する通信ネットワークを含むが、これらに限定されない。これらのネットワークは、衛星ネットワーク、地上ネットワーク、地上無線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0105】
本開示は、様々な特徴を説明するものであり、そのうちのいずれか1つが、本明細書に記載した利益に単独で関与するわけではない。当業者には明らかであるように、本明細書に記載した様々な特徴は、組み合わされ得る、修正され得る、又は省略され得ることが理解されるであろう。本明細書に具体的に記載した以外の他の組み合わせ及び副組み合わせは、当業者には明らかであり、本開示の一部を形成することが意図される。本明細書では、様々なフローチャートの工程及び/又は段階に関連して様々な方法を記載した。多くの場合、特定の工程及び/又は段階は、フローチャートに示した多数の工程及び/又は段階が単一の工程及び/又は段階として実行され得るように組み合わせてよいことが理解されるであろう。また、特定の工程及び/又は段階は、別個に実行される追加の副構成要素に分割され得る。場合によっては、工程及び/又は段階の順序は再編成され得、特定の工程及び/又は段階は完全に省略されてよい。また、本明細書に記載した方法は、本明細書に示し、記載した方法に対する追加の工程及び/又は段階も実行され得るように変更可能であると理解されたい。
【0106】
本明細書に記載したシステム及び方法のいくつかの態様は、有利には、例えば、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はコンピュータソフトウェア、ハードウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせを使用して実行され得る。コンピュータソフトウェアは、実行されると、本明細書に記載した機能を実行する、コンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されたコンピュータ実行可能コードを含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能コードは、1つ以上の汎用コンピュータプロセッサによって実行される。当業者であれば、本開示に照らして、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアを使用して実行され得る任意の特徴又は機能はまた、ハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアの異なる組み合わせを使用して実行され得ることを理解するであろう。例えば、かかるモジュールは、集積回路の組み合わせを使用してハードウェアで完全に実行され得る。代替的に又は追加的に、かかる特徴又は機能は、汎用コンピュータによってではなく本明細書に記載した特定機能を実行するように設計された専用コンピュータを使用して、完全に又は部分的に実行され得る。
【0107】
複数の分散型コンピューティングデバイスは、本明細書に記載した任意の1つのコンピューティングデバイスに置き換えられ得る。かかる分散型の実施形態では、1つのコンピューティングデバイスの機能は、分散型コンピューティングデバイスのそれぞれでいくつかの機能が実行されるように、(例えば、ネットワーク上に)分散される。
【0108】
いくつかの実施形態は、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャート図を参照して記載されてよい。これらの方法は、1つ以上のコンピュータで実行可能なコンピュータプログラム命令を使用して実行されてよい。これらの方法はまた、コンピュータプログラム製品として、別々に、又は装置若しくはシステムの構成要素としてのいずれかで実行されてよい。この点に関して、各式、アルゴリズム、ブロック、又はフローチャートの工程、及びこれらの組み合わせは、コンピュータ可読プログラムコード論理で具現化された1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実行されてよい。理解されるように、任意のかかるコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ若しくは専用コンピュータ、又は他のプログラム可能な処理装置を含むが、これらに限定されない、1つ以上のコンピュータにロードされてマシンをなしてよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能な処理デバイスで実行するコンピュータプログラム命令は、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャートにおいて指定された機能を実行する。各式、アルゴリズム、及び/又はフローチャート図のブロック、並びにこれらの組み合わせは、特定の機能若しくは工程、又は専用ハードウェア及びコンピュータ可読プログラムコード論理手段の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実行されてよいことも理解されたい。
【0109】
更に、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能な処理デバイスを特定の方法で機能するように命令することができる、コンピュータ可読プログラムコード論理で具現化されるなどのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリ(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されてよく、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、フローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行する。コンピュータプログラム命令はまた、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能なコンピューティングデバイスにロードされて、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能なコンピューティングデバイスで一連の動作工程を実行させて、コンピュータ又は他のプログラム可能な処理装置で実行する命令が、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行するための工程をもたらすように、コンピュータ実施プロセスを生じさせてよい。
【0110】
本明細書に記載した方法及びタスクの一部又は全ては、コンピュータシステムによって実行され、完全に自動化されてよい。場合によっては、コンピュータシステムは、ネットワークを介して通信し、相互運用して記載した機能を実行する多数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイなど)を含んでよい。かかるコンピューティングデバイスのそれぞれは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体若しくはデバイスに記憶されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は多数のプロセッサ)を含む。本明細書に開示した様々な機能は、かかるプログラム命令で具現化されてよいが、開示した機能の一部又は全ては、代替的に、コンピュータシステムの特定用途向け回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実行されてよい。コンピュータシステムが多数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一の場所に配置されてよいが、必ずしもそうである必要はない。開示した方法及びタスクの結果は、ソリッドステートメモリチップ及び/又は磁気ディスクなど物理記憶装置を異なる状態に変換することによって永続的に記憶されてよい。
【0111】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び請求項の全体を通して、単語「備える、含む(comprise)」、「備える、含む(comprising)」などは、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。「結合された(coupled)」という語は、本明細書で一般に使用される場合、直接接続されてもよいか、又は1つ以上の中間要素によって接続されてもよい、2つ以上の要素を指す。加えて、「本明細書において(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」、及び同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定部分を言及しないものとする。文脈上許される限り、単数又は複数を使用する上記の「発明を実施するための形態」における単語はまた、それぞれ、複数又は単数を含んでよい。単語「又は」は、2つ以上の項目のリストを参照する場合、単語の以下の解釈の全てを包含する。すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、を包含する。「例示的」という単語は、本明細書において排他的に使用されて、「例、実例、又は説明として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載した全ての実施例は、必ずしも他の実施例よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0112】
本開示は、本明細書に示した実施例に限定されることを意図するものではない。本開示に記載した実施例に対する様々な修正が、当業者にとって容易に明らかであってよく、本明細書に定義した包括的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実施例に適用されてよい。本明細書において提供した本発明の教示は、他の方法及びシステムに適用され得、上記の方法及びシステムに限定されるものではなく、上記の様々な実施形態の要素及び作用を組み合わせて更なる実施形態が提供され得る。したがって、本明細書に記載した新たな方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてよく、更には、本明細書に記載される方法及びシステムの形態の様々な省略、置換、及び変更が、本開示の趣旨から逸脱することなく行われてもよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれるような、そのような形態又は修正を網羅することを意図している。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8