(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】塗布装置のための洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B05B 15/555 20180101AFI20241105BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241105BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20241105BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B05B15/555
B05C11/10
B05C5/00 101
B08B3/02 D
(21)【出願番号】P 2021532170
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083642
(87)【国際公開番号】W WO2020115117
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】102018131380.2
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、ハンス-ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーア、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァリー、ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ブベック、モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベイル、ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルレ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゾツニー、シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ゾンマー、ゲオルク
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-305869(JP,A)
【文献】特開2012-135746(JP,A)
【文献】特開2011-011431(JP,A)
【文献】特開2017-074535(JP,A)
【文献】特開2011-201308(JP,A)
【文献】特開2015-066531(JP,A)
【文献】特表2020-501880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-5/04
B41J 2/01
2/165-2/20
2/21-2/215
B05D 1/00-7/26
B05B 15/50-15/58
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転中に、コーティング剤からなる少なくとも1つのコーティング剤ジェット(2)を部品に塗布する塗布装置(1)を洗浄するための洗浄装置(4;12)であって、
a)前記塗布装置(1)から放出された少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)を検査するために、前記洗浄装置(4;12)に、ジェット検査装置(6-10;16)が、当該ジェット検査装置(6-10;16)と1つの構造単位を前記洗浄装置(4;12)が形成し且つジェット検査及び洗浄のために1つの装置しか必要としないように、組み込まれており、
b)前記洗浄装置(4;12)は、洗浄中に前記塗布装置(1)を受容するための洗浄容器を含み、
c)前記ジェット検査装置(6-10;16)は、少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)を検出するためのセンサ(9)を含み、
d)前記ジェット検査装置(6-10;16)は、入力側で前記センサ(9)に接続される評価ユニット(10)を含み、
e)前記評価ユニット(10)は、センサ信号から、
e1)前記コーティング剤ジェット(2)の互いへの並行性、
e2)前記コーティング剤ジェット(2)を出すための弁を開くコマンドから関連する前記コーティング剤ジェット(2)の検出までの間の個々の前記コーティング剤ジェット(2)の遅延時間(ただし、当該遅延時間は、個々のコーティング剤ジェット(2)について個別に決定される)、
という変数のうち少なくとも1つを判定することを特徴とする洗浄装置(4;12)。
【請求項2】
前記ジェット検査装置(6-10;16)は、光学センサ(9)上へ光線(7)を放出するバックライト光源(6)を有し、前記光学センサ(9)がバックライト光内の前記コーティング剤ジェット(2)を検査するように、検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)は前記バックライト光源(6)と前記光学センサ(9)との間の前記光線(7)の光線路内を走る、
請求項1に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項3】
a)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)に対して横方向に走り、及び/又は、
b)前記塗布装置(1)は、共通ジェット平面内を走る複数の平行なコーティング剤ジェット(2)を放出し、及び/又は、
c)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、共通ジェット平面に対して横方向に走り、及び/又は、
d)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、共通ジェット平面内を走り、又は、共通ジェット平面に対して鋭角で走り、及び/又は、
e)前記ジェット検査装置(6-10;16)は、前記バックライト光が散乱するように、前記バックライト光源(6)と検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)との間の前記バックライト光源(6)の前記光線路内に配置されたディフューザー(8)を有し、前記ディフューザー(8)は、可動式に配置されており、且つ、前記バックライト光を散乱形態又はコリメート化形態で選択的に送達するために前記バックライト光源(6)の前記光線路内へ又は前記バックライト光源(6)の前記光線路外へ選択的に移動可能である、
請求項2に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項4】
前記ジェット検査装置(6-10;16d)は、空間的に局限された検査領域内の前記コーティング剤ジェット(2)を検査し、前記空間的に局限された検査領域は、前記塗布装置からの前記コーティング剤ジェット(2)が出た直後に位置する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項5】
a)前記洗浄容器は、前記コーティング剤ジェット(2)を受容するため、及び/又は、洗浄のために前記塗布装置(1)を前記洗浄容器内に挿入できるように、挿入開口(3)を有し、
b)少なくとも1つの洗浄ノズルが、洗浄液を外側から前記塗布装置(1)に噴霧するために前記洗浄容器内に配置されており、
c)前記洗浄容器は、前記コーティング剤及び洗浄剤の残留物を排出するために下側に排出口(5)を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項6】
a)前記洗浄ノズルは、実質的に直線的なノズル配置体から、前記洗浄剤の平面ジェットを放出し、
b)前記洗浄ノズルの直線的な前記ノズル配置体は、塗布ノズルのノズル列と実質的に平行に並んでいる、
請求項5に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項7】
a)前記洗浄装置(4;12)は、前記塗布装置(1)の吹出ノズルを湿潤状態に保つための湿度維持装置を有し、
b)前記湿度維持装置は、溶剤についての供給ライン及び/又は排出ラインを備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項8】
a)前記塗布装置(1)は、前記コーティング剤のスプレーミストではなく、空間的に狭く局限された前記コーティング剤ジェット(2)を放出し、
b)前記塗布装置(1)は、実質的にオーバースプレーなしで動作し、
c)前記塗布装置(1)は、プリントヘッドであり、
d)前記コーティング剤ジェット(2)は、個々のコーティング剤滴又は一連なりのコーティング剤滴からなり、又は、当該
コーティング剤ジェット
(2)の長手方向に連続している、
という4つの特徴のうち少なくとも1つを備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)。
【請求項9】
部品をコーティングするためのコーティング設備であって、
a)塗布装置(1)を移動させるための多軸塗布ロボット(11)、
b)請求項1から8のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)、及び、
c)前記塗布ロボット(11)、前記洗浄装置(4;12)、及びジェット検査装置(6-10;16)を制御する制御装置(14)、
を有し、
d)前記コーティング設備は、洗い流しも乾燥分離もない塗装室を備える、
コーティング設備。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の洗浄装置(4;12)についての運転方法であって、
a)前記塗布装置(1)を前記洗浄装置(4;12)内又は上の洗浄位置に位置させる工程、
b)前記洗浄装置(4;12)により前記洗浄位置にある前記塗布装置(1)を洗浄する工程、
c)前記塗布装置(1)により放出された前記コーティング剤ジェット(2)を前記洗浄装置(4;12)内に組み込まれたジェット検査装置(6-10;16)により検査する工程、
を含む、運転方法。
【請求項11】
a)前記コーティング剤ジェット(2)の後続検査のために前記洗浄装置(4;12)内又は上の検査位置に前記塗布装置(1)を位置させる工程であって、前記検査位置は前記洗浄位置とは異なる工程、
b)検査によりジェット送達が適切であることが示されるまで洗浄及び後続検査を繰り返す工程、
を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
部品をコーティングするためのコーティング設備であって、
a)塗布装置(1)を移動させるための多軸塗布ロボット(11)、
b)運転中に、コーティング剤からなる少なくとも1つのコーティング剤ジェット(2)を前記部品に塗布する前記塗布装置(1)を洗浄するための洗浄装置(4;12)であって、前記塗布装置(1)から放出された少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)を検査するために、前記洗浄装置(4;12)に、ジェット検査装置(6-10;16)が、当該ジェット検査装置(6-10;16)と1つの構造単位を前記洗浄装置(4;12)が形成し且つジェット検査及び洗浄のために1つの装置しか必要としないように、組み込まれており、前記洗浄装置(4;12)は、洗浄中に前記塗布装置(1)を受容するための洗浄容器を含む、洗浄装置(4;12)、及び、
c)前記塗布ロボット(11)、前記洗浄装置(4;12)、及び前記ジェット検査装置(6-10;16)を制御する制御装置(14)、
を有し、
d)前記コーティング設備は、洗い流しも乾燥分離もない塗装室を備える、
コーティング設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中にコーティング剤(例えば、塗料、接着剤、封止剤)からなる少なくとも1つのコーティング剤ジェットを部品(例えば、モータービークル車体部品)に塗布する塗布装置(例えば、プリントヘッド又は非噴霧型塗布装置)を洗浄するための洗浄装置に関する。さらに、本発明は、こうした洗浄装置の運転方法も包含する。
【背景技術】
【0002】
モータービークル車体部品を塗装するための現代の塗装系では、塗布対象のコーティング剤を霧化しコーティング剤の噴霧雲を送り出す塗布装置として普通は回転噴霧器が用いられる。色を切り替える際や運転の休止中(例えば、シフト交代中又は週末など)、こうした回転噴霧器は塗料残渣による汚染又は塗料残渣の付着を防ぐために外側及び内側から洗浄される必要がある。このため、洗浄装置が先行技術から既知であり、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。
【0003】
しかし、既知の回転噴霧器の欠点として、塗布効率が100%ではなく、塗布した塗料の一部がオーバースプレーとして廃棄されてしまうことが挙げられる。
【0004】
この問題を避けるために、より最近の発展系では例えば特許文献4に記載のように回転噴霧器の代わりに所謂プリントヘッドの使用が考えられている。こうしたプリントヘッドは、スプレージェットを放出する代わりに、狭く局限されたコーティング剤ジェットを小さなノズルから放出するので、運転中にオーバースプレーが生じない。『コーティング剤ジェット』からは、自然崩壊にまだ至っていないコヒーレントジェット及び少なくとも部分的には液滴からなる指向性ジェットの両方が把握できる。
【0005】
しかし、こうしたプリントヘッドの問題点として、プリントヘッドのノズルが運転中に詰まり、故障を引き起こすことが挙げられる。そこで、特許文献5は、こうしたプリントヘッドのコーティング剤ノズルの詰まりを検出できるジェット検査装置を開示する。
【0006】
この先行技術の欠点として、既知の洗浄装置が回転噴霧器用に設計されているのでプリントヘッドに適していないことが挙げられる。この先行技術のさらなる欠点として、一方のプリントヘッドの洗浄と他方のコーティング剤ジェットの検査とがこれまでは独立した装置で実行されねばならなかったことが挙げられる。
【0007】
最後に、本発明の一般的な技術背景について、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第1671706号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014006647号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010052698号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013002412号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016014951号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3354354号明細書
【文献】独国特許出願公開第112016001682号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016206995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、こうした問題の解決という課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、主請求項のような本発明に係る洗浄装置及び対応する運転方法により解決される。
【0011】
本発明は、塗布装置(例えば、プリントヘッド)のための洗浄装置とジェット検査装置とを単一の構造単位に統合するというおおよその技術的教示を包含する。まず、このことは、ジェット検査及び洗浄のために1つの装置しか必要としないという利点をもたらす。さらなる利点として、他の方法では独立した装置が洗浄装置及びジェット検査装置のそれぞれにつき1つの収集装置を必要とするはずのところ、塗料残渣用の2つの収集装置のうち1つを省略できることが挙げられる。さらに、本発明は、塗装室に関する中心的解決策を提供し、洗い流し(auswaschung)も乾燥分離(trockenabscheidung)も完全に省略することを可能とする。
【0012】
洗浄装置の設計事項に関して、部分的には先行技術を参考にできるので、例えば、特許文献3、特許文献2、及び特許文献1を参考にできる。そこで、これらの特許文献の内容を洗浄装置の構造設計に関して本明細書に完全に援用する。
【0013】
ジェット検査装置の構造設計に関して、例えば特許文献5に記載されているように、部分的には先行技術を参考にできる。そこで、この特許文献の内容をジェット検査装置の構造設計に関して本明細書に完全に援用する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、洗浄及び測定の対象である塗布装置は、例えば特許文献4から周知のような、プリントヘッドである。そこで、この特許出願の内容を塗布装置の構造設計に関して本明細書に完全に援用する。ただし、ここで、本発明の文脈で用いられるプリントヘッドという用語は、それを霧化されたコーティング剤(例えば、塗料)の噴霧雲を塗布する噴霧器と区別する役割を果たすことに注意されたい。これに対し、本発明の意味合いでのプリントヘッドは、例えば5°又は2°、1°、0.5°又は0.1°未満のジェット広がり角度を有し得る、1つ以上の狭く局限されたコーティング剤ジェットを放出する。こうしたプリントヘッドは、したがって、実質的にオーバースプレーを伴わず、すなわち、塗布効率は事実上100%である。
【0015】
コーティング剤ジェットは任意で個々の独立したコーティング剤滴又は一連なりのコーティング剤滴からなるものであってもよいことに注意されたい。代替的に、個々のコーティング剤ジェットがジェットの長手方向に連結されてもよく、こうした代替例は冒頭で引用した先行技術から既知なので詳細な説明は省略する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、ジェット検査装置は、少なくとも1つのコーティング剤ジェットを検出するために、センサ、特に、カメラ又は高速度カメラなどの光学センサを含む。
【0017】
光学センサにより少なくとも1つのコーティング剤ジェットを検査する場合、ジェット検査装置は、照明光源、好ましくは、光学センサに光線を放出するバックライト光源を有し、光学センサがバックライト光内のコーティング剤ジェットを検査するように、検査対象のコーティング剤ジェットはバックライト光源と光学センサとの間の光線の光線路内を走る。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、バックライト光源の光線は、検査対象のコーティング剤ジェットに対して、横方向に(例えば、直角に、直交して)走る。この場合、バックライト光源の光線は、ジェット平面に対して、横方向に、特に、実質的に直角に、走る。
【0019】
別の実施形態では、バックライト光源の光線は、ジェット平面に対して、接線方向に、特に、実質的に0°の角度で、走る。
【0020】
ジェット平面に対するバックライト光源の両方向を連続して検査することも可能である。このために、洗浄装置内の開口は両方向でジェットを収容するのに十分な大きさであるか、又は、異なる方向について2つの独立した開口を備えるかのいずれかでなければならない。さらに、ジェット平面の異なる方向を検査できるようにするために、収集装置を、可動式に、特に、回転可能にすることも可能である。
【0021】
さらに、塗布装置(例えば、プリントヘッド)が通常は共通ジェット平面内に存在する複数の平行なコーティング剤ジェットを放出することにも注意されたい。ここで、バックライト光源の光線はコーティング剤ジェットのジェット平面に対して横方向に(例えば、垂直に、直角に)配置されることが好ましい。
【0022】
さらに、ジェット検査装置が、バックライト光が散乱するように、バックライト光源と検査対象のコーティング剤ジェットとの間のバックライト光源の光線路内に配置された光学的ディフューザーを含むことが好ましいことにも注意されたい。
【0023】
例えば、ディフューザーはどの運転条件でも散乱したバックライト光が用いられるように固定式に配置されてもよい。また、この代わりに、ディフューザーが可動式に配置され、バックライト光を散乱形態又はコリメート形態で選択的に供給するためにバックライト光源の光線路内へ又は光線路外へ選択的に移動可能とすることも可能である。
【0024】
さらに、ジェット検査装置が特定検査領域(ROI:Region of Interest、注目領域)内のコーティング剤ジェットを検査することが好ましく、空間的に局限された検査領域が、塗布装置を出た直後に、すなわち、塗布装置のノズル開口の直ぐ前に、例えば、0-100mmの、とりわけ0-70mmの、特に、0-40mmの距離で、位置することが好ましいことにも注意されたい。
【0025】
さらに、好ましい実施形態は、入力側でセンサに接続され、且つ、センサ信号から以下の変数のうち少なくとも1つを判定する評価ユニットを有する。
・塗布装置から出るコーティング剤ジェットの数。これにより、例えば、検出されたコーティング剤ジェットの数がコーティング剤ノズルの数と一致しない場合にコーティング剤ノズルの詰まりを検出できる。
・少なくとも1つのコーティング剤ジェットの出口角。これにより、コーティング剤ノズルの初期の詰まりはしばしば対応するコーティング剤ジェットが若干斜めに出ることとして表出するので当該詰まりを検出できる。
・コーティング剤ジェットの互いへの平行性。これも、例えばプリントヘッドのコーティング剤ノズルの詰まりを検出するのに役立ち得る。なぜなら、この場合、既に上述したようにコーティング剤ジェットは若干の角度をもって出て来得る。
・少なくとも1つのコーティング剤ジェットの崩壊長(ただし、崩壊長とは、当初は連続していたコーティング剤ジェットが個々のコーティング剤滴に崩壊しはじめる長さである)。これも、例えば、コーティング剤ノズルの詰まりが短い崩壊長をもたらすことからプリントヘッドのコーティング剤ノズルの初期の詰まりを検出するのに役立ち得る。
・弁開放コマンドから関連するコーティング剤ジェットの次の検出までの間の個々のコーティング剤ジェットの遅延時間(ただし、遅延時間は、個々のコーティング剤ジェットについて個別に決定される)。そして、個々の遅延時間はプリントヘッドの個々のコーティング剤ノズルについて個々のバルブをいつ制御するかについて補償できる。
・コーティング剤ジェットの個々のコーティング剤滴のサイズ。
・コーティング剤ジェットに沿った隣接するコーティング剤滴の距離。
【0026】
洗浄装置の構造設計に関して、洗浄装置が洗浄中に塗布装置又は少なくとも塗布装置により放出されたコーティング剤ジェットを受容するための洗浄容器を含むことが好ましいことにも注意されたい。洗浄容器は、洗浄対象の塗布装置または少なくとも塗布装置により放出されたコーティング剤ジェットを受容するため、好ましくは洗浄容器の上側に配置される、挿入開口を有することが好ましい。挿入開口は、コーティング剤ジェットが洗浄装置の外面を汚すことなく塗布装置からのコーティング剤ジェットの全てを受容できるよう十分に大きいことが好ましい。
【0027】
特定の実施形態では、洗浄装置は、当該塗布装置が中に向けて測定中に塗装を施す少なくとも1つの追加の開口、すなわち、洗浄処理のための開口と、ジェット検査処理のための少なくとも1つの追加の開口とを有する。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの洗浄ノズルが、洗浄液を外側から塗布装置に噴霧するために洗浄容器内に配置されている。例えば、洗浄液は、水性流体又は有機溶媒系流体用のリンス剤でもよい。また、これは、水及び/又は有機溶媒に加えて、湿潤剤、共溶媒、又は他の添加剤などの、他の物質を含有する混合物も含む。洗浄ノズルは洗浄容器内に固定式に配置されてもよい。また、好ましくは、少なくとも1つの洗浄ノズルは、洗浄容器内に、可動式に、例えば、回転可能に又は旋回可能に配置されてもよく、これにより洗浄効率が改善され得る。また、洗浄ノズルは、例えばシリンダーにより、(前後に)直線的に移動させられてもよい。洗浄容器は下側にコーティング剤及び洗浄剤の残留物が再循環系に流出させられることを可能とする排出口を有してもよい。さらに、少なくとも1つの洗浄ノズルが乾燥用気体(例えば、圧縮空気)を外側から塗布装置上に吹きつけるために洗浄容器内に配置されることが好ましいことにも注意されたい。洗浄ノズルと同様に、乾燥ノズルも、回転可能又は旋回可能に取り付けられてもよく、また、(前後に)直線的に移動させられてもよい。
【0029】
洗浄ノズルは、実質的に直線的なノズル配置体から、例えば、スロットノズルから又はノズル列内に配置された無数の吹出ノズルから、洗浄剤の平面ジェットを放出することが好ましい。塗布装置も、ノズル列内に配置された複数の塗布ノズルを有してもよい。ここで、洗浄ノズルの直線的なノズル配置体が塗布ノズルのノズル列に対して実質的に平行に並んでいると有利である。洗浄剤の平面ジェットは、下から塗布ノズルの列へ斜めに、塗布ノズルのジェット方向に対して、5-45°の、特に、15-35°の角度で、衝突することが好ましい。洗浄剤が塗布ノズルに侵入することや塗料が塗布ノズルから洗い流されることを防ぐために洗浄剤の衝突点が塗布ノズルに直には向けられていないと有利である。
【0030】
乾燥ノズルに関して、それが固定式でも可動式でもよいことに注意されたい。乾燥ノズルが可動式の場合、それは例えば空圧式リニアシリンダにより動かされてもよい。また、乾燥ノズルは、実質的に直線的なノズル配置体から、特に、スロットノズルから又はノズル列内に配置された無数の吹出ノズルから、好ましくは平面ジェットの形態で、乾燥用気体を放出する。ここで、乾燥ノズルの直線的なノズル配置体は塗布ノズルのノズル列に対して横方向に配向されていることが好ましい。
【0031】
さらに、洗浄装置は、塗布装置の吹出ノズルを湿潤状態に保つための湿度維持装置を含んでもよい。こうした湿度維持装置は、例えば、溶剤が含浸された又は溶剤が流れる、トラフ、不織布、スポンジ、及び/又は、多孔質材料を含んでもよい。また、例えば、湿度維持装置は、溶媒についての供給ライン及び/又は排出ラインを含んでもよい。
【0032】
さらに、本発明は、組み込み型ジェット検査装置を備えた本発明に係る洗浄装置についての権利保護を要求するのみではないことにも注意されたい。むしろ、本発明は、本発明に係る洗浄装置と、塗布装置を移動させるための多軸塗布ロボットと、塗布ロボット、洗浄装置、及びジェット検査装置を制御する制御装置とを備えた本発明に係るコーティング設備についての権利保護も要求する。この点について、コーティング設備が洗い流しも乾燥分離もない塗装室を含むことも可能である。
【0033】
最後に、本発明は、対応する運転方法についての権利保護も請求するが、本発明に係る運転方法の個々の工程は上述の記載から既に明らかなので、本発明に係る運転方法の独立した説明は省略する。
【0034】
また、本発明に係る運転方法の範囲内に洗浄及びジェット測定を連続して複数回行うことが包含され得ることにも注意されたい。したがって、塗布装置(例えば、プリントヘッド)の洗浄は、塗布されたコーティング剤ジェットの後続ジェット検査により適切なジェット送達が行われたことが示されるまで繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の他の有利なさらなる実施形態は、従属請求項に示されており、また、図面を参照しつつ好ましい例示的実施形態の記載とともに以下でより詳細に説明される。
【0036】
【
図1】組み込み型ジェット検査装置を備えた本発明に係る洗浄装置の模式図。
【
図3】
図1及び2に記載の洗浄装置の挿入開口の簡略上面図。
【
図4A】ロボットがプリントヘッドを洗浄位置に位置させる本発明に係る洗浄装置の模式図。
【
図4B】ロボットがプリントヘッドを検査位置に位置させる
図4Aの変形例。
【
図4C】
図4A-4Bに記載の洗浄装置の運転のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、まず、コーティング剤からなる複数のコーティング剤ジェット2を塗布するプリントヘッド1を示す。コーティング剤ジェット2は互いに等距離且つ平行に並べられている。本図では、コーティング剤ジェット2を5つのみ示す。しかし、実際には、プリントヘッド1はずっと多くの数のコーティング剤ジェット2を放出できる。ここで、コーティング剤ジェット2は、互いに隣接したノズルからなる直線列としてプリントヘッド1内に配置されたコーティング剤ノズルから放出されることに注意されたい。
【0038】
本図では、コーティング剤ジェット2は、ここでは模式的にのみ示す洗浄装置4の挿入開口3内へと放出される。
【0039】
洗浄装置4は、その下側に、残ったコーティング剤及びリンス剤を排出するためのドレイン5を有する。
【0040】
プリントヘッド1は洗浄装置4内で洗浄することができる。このために、プリントヘッド1はこれから詳述するように洗浄装置4上へと下げられる。
【0041】
また、
図1では、プリントヘッド1は、プリントヘッド1が洗浄装置4から上げられた状態にある検査位置にある。この検査位置では、洗浄装置4に構造的に組み込まれたジェット検査装置がプリントヘッド1から放出されたコーティング剤ジェット2の測定を可能とする。
【0042】
まず、ジェット検査装置は、コーティング剤ジェット2が散乱バックライト光により照らされるようにディフューザー8を通して光線7を誘導するバックライト光源6を含む。
【0043】
さらに、ジェット検査装置は、コーティング剤ジェット2の後ろでバックライト光源6の光線7の光線路内に配置され且つコーティング剤ジェット2を測定するカメラ9を含む。
【0044】
バックライト光源の光線7は、コーティング剤ジェット2に対しては角度β=90°をなし、且つ、プリントヘッド1のノズル列に対しては角度α=90°をなして、走る。
【0045】
カメラ9からの画像信号は、次に、画像信号を評価して、例えば、コーティング剤ジェット2の数、コーティング剤ジェット2の出口角、コーティング剤ジェット2の崩壊長、及び他の変数を評価できる評価ユニット10へと送られる。
【0046】
ここで、本図ではジェット検査装置が洗浄装置4から独立したものとして描かれていることに注意されたい。ただし、これはジェット検査装置の運転を例示するためのものに過ぎない。実際、ジェット検査装置及び洗浄装置4は1つの構造単位を形成する。
【0047】
図2及び3は
図1の全体装置を別視点から見た図を示し、繰り返しを避けるために上述の記載を参照する。
【0048】
以下では、
図4A-4Cに係る実施形態を説明するが、この実施形態は上述の実施形態と部分的に一致するので、繰り返しを避け得るために上述の記載を参照し、対応する細部については同じ符号を用いた。
【0049】
図4A及び4Bからわかるように、プリントヘッド1は複数のロボット機構を備えた多軸塗装ロボット11により移動させられる。塗装ロボット11の構造自体は先行技術から既知なので、詳細な説明は省略する。
【0050】
図4Aは、塗装ロボット11がプリントヘッド1を洗浄位置に位置させることを示す。洗浄位置は洗浄装置4の上方にある。この洗浄位置では、プリントヘッド1は、洗浄装置4の直上にあり、又は、さらに、洗浄装置4と直に接触している。この洗浄位置では、プリントヘッド1の吹出ノズルは、内部から吹出ノズルへと噴霧された洗浄液により洗浄され得る。
【0051】
一方、
図4Bは、塗装ロボット11がプリントヘッド1をどのように検査位置に位置させるかを示す。検査位置ではプリントヘッド1が洗浄装置4から持ち上げられている。この検査位置では、それにもかかわらず、コーティング剤ジェット2は、洗浄装置4の外面をコーティング剤ジェット2により汚すことなく、洗浄装置4の挿入開口3内に完全に入る。カメラ9は、その後、既に上述したように、コーティング剤ジェット2を測定できる。
【0052】
以下では、
図4Cに記載のフローチャートについて説明する。
【0053】
最初の工程S1では、プリントヘッド1は
図4Aに示すような洗浄位置へと移動させられる。
【0054】
続く工程S2では、プリントヘッド1は次に洗浄位置で洗浄装置4により洗浄される。
【0055】
続いて、工程S3では、塗装ロボット11が次にプリントヘッド1を
図4Bに示すような検査位置へと移動させる。
【0056】
工程S4では、プリントヘッド1は次にコーティング剤ジェット2を放出する。
【0057】
工程S5では、コーティング剤ジェット2は次にカメラ9により測定される。
【0058】
続く工程S7での評価が、次に、コーティング剤ジェット2が適切に放出されていないことを示した場合、新たな洗浄を伴って工程S1-S6が繰り返される。
【0059】
一方、評価が、コーティング剤ジェット2が適切に放出されていることを示した場合、プリントヘッド1は工程S7においてコーティング剤の正常な塗布の準備ができた状態となる。
【0060】
図5は、
図1に記載の実施形態の修正例を示し、繰り返しを避けるために
図1の上述の記載を参照し、対応する細部については同じ符号を用いた。
【0061】
本実施形態の特徴は、バックライト光源6の光線7がコーティング剤ジェット2のジェット平面において角度α=0°で走ることである。
【0062】
図6は、電磁弁キャビネット13を介してより高次の制御装置14により制御される洗浄装置12を備えた本発明に係るコーティング設備の模式図を示す。加えて、
図5は、塗布装置をガイドし且つ制御装置14により制御される塗装ロボット15を示す。
【0063】
最後に、本図は、上述のように塗布装置により放出されたコーティング剤ジェットを測定するために用いられるジェット検査装置16も示す。
【0064】
ここで、破線は、ジェット検査装置16及び洗浄装置12が1つの構造単位を形成することを表している。
【0065】
制御装置が洗浄装置12及びジェット検査装置16並びに塗装ロボット15の全てを制御することに注意されたい。
【0066】
本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるわけではない。むしろ、本発明の思想を用いて権利範囲に包含される種々の変形例及び修正例が可能である。
【0067】
特に、本発明は、従属請求項の主題及び特徴について、それらが引用する請求項とは独立して、特に、主請求項の特徴なしで、権利保護を要求する。したがって、本発明は、互いに独立して権利保護される本発明の複数の異なる態様を包含する。
【0068】
[付記]
[付記1]
運転中に、コーティング剤、特に、塗料からなる少なくとも1つのコーティング剤ジェット(2)を、部品、特に、モータービークル車体部品に、塗布する塗布装置(1)を洗浄するための、特に、プリントヘッド(1)を洗浄するための、洗浄装置(4;12)であって、前記塗布装置(1)から放出された少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)を検査するために、前記洗浄装置(4;12)に、ジェット検査装置(6-10;16)が、当該ジェット検査装置(6-10;16)と1つの構造単位を前記洗浄装置(4;12)が形成するように、組み込まれていることを特徴とする洗浄装置(4;12)。
【0069】
[付記2]
前記ジェット検査装置(6-10;16)は、少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)を検出するためのセンサ(9)、特に、光学センサ(9)、好ましくは、カメラ(9)、特に、高速度カメラを有する、
付記1に記載の洗浄装置(4;12)。
【0070】
[付記3]
前記ジェット検査装置(6-10;16)は、前記光学センサ(9)上へ光線(7)を放出するバックライト光源(6)を有し、前記光学センサ(9)がバックライト光内の前記コーティング剤ジェット(2)を検査するように、検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)は前記バックライト光源(6)と前記光学センサ(9)との間の前記光線(7)の光線路内を走る、
付記2に記載の洗浄装置(4;12)。
【0071】
[付記4]
a)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)に対して、横方向に、特に、実質的に直角に、走り、及び/又は、
b)前記塗布装置(1)は、共通ジェット平面内を走る複数の平行なコーティング剤ジェット(2)を放出し、及び/又は、
c)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、前記ジェット平面に対して、横方向に、特に、実質的に直角に、走り、及び/又は、
d)前記バックライト光源(6)の前記光線(7)は、前記ジェット平面内を走り、又は、前記ジェット平面に対して、鋭角で、特に、5°、2°、又は1°未満の角度(α)で、走り、及び/又は、
e)前記ジェット検査装置(6-10;16)は、前記バックライト光が散乱するように、前記バックライト光源(6)と検査対象の前記コーティング剤ジェット(2)との間の前記バックライト光源(6)の前記光線路内に配置されたディフューザー(8)を有し、及び/又は、
f)前記ディフューザー(8)は、可動式に配置されており、且つ、前記バックライト光を散乱形態又はコリメート化形態で選択的に送達するために前記バックライト光源(6)の前記光線路内へ又は前記バックライト光源(6)の前記光線路外へ選択的に移動可能である、
付記3に記載の洗浄装置(4;12)。
【0072】
[付記5]
前記ジェット検査装置(6-10;16d)は、特定検査区域内の前記コーティング剤ジェット(2)を特にそれが前記塗布装置(1)から出た直後に検査する、
付記1から4のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0073】
[付記6]
入力側で前記センサ(9)に接続され、且つ、センサ信号から、
a)前記塗布装置(1)から出る前記コーティング剤ジェット(2)の数、
b)少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)の出口角、
c)前記コーティング剤ジェット(2)の互いへの並行性、
d)少なくとも1つの前記コーティング剤ジェット(2)の崩壊長(ただし、崩壊長とは、当初は連続していたコーティング剤ジェット(2)が個々のコーティング剤滴に崩壊しはじめる長さである)、
e)弁開放コマンドから関連する前記コーティング剤ジェット(2)の検出までの間の個々の前記コーティング剤ジェット(2)の遅延時間(ただし、当該遅延時間は、個々のコーティング剤ジェット(2)について個別に決定される)、
f)前記コーティング剤ジェット(2)の個々のコーティング剤滴のサイズ、
g)前記コーティング剤ジェット(2)に沿った隣接するコーティング剤滴の距離、
といった変数のうち少なくとも1つを判定する評価ユニット(10)を、前記ジェット検査装置(6-10;16)は有する、
付記2から5のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0074】
[付記7]
a)前記洗浄装置(4;12)は、洗浄中に前記塗布装置(1)を受容するための洗浄容器を有し、及び/又は、
b)前記洗浄容器は、前記コーティング剤ジェット(2)を受容するため、及び/又は、洗浄のために前記塗布装置(1)を前記洗浄容器内に挿入できるように、特に前記洗浄容器の上側に、挿入開口(3)を有し、及び/又は、
c)前記挿入開口(3)は、前記コーティング剤ジェット(2)を前記洗浄装置の外面を汚すことなく前記塗布装置(1)の前記コーティング剤ジェット(2)の全てを受容できるよう十分に大きく、及び/又は、
d)前記装置は、検査中に前記コーティング剤ジェットを受容するための少なくとも1つの第2開口を有し、及び/又は、
e)少なくとも1つの洗浄ノズルが、洗浄液を外側から前記塗布装置(1)に噴霧するために前記洗浄容器内に配置されており、及び/又は、
f)前記少なくとも1つの洗浄ノズルは、固定式又は可動式に、特に、回転可能に、直線的に、又は旋回可能に、配置されており、及び/又は、
g)前記洗浄容器は、前記コーティング剤及び洗浄剤の残留物を排出するために下側に排出口(5)を有し、及び/又は、
h)少なくとも1つの乾燥ノズルが、乾燥用気体を外側から前記塗布装置(1)に吹き込むために前記洗浄容器内に配置されており、及び/又は、
i)前記少なくとも1つの乾燥ノズルは、固定式又は可動式に、特に、回転可能に、直線的に、又は旋回可能に、配置されている、
付記1から6のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0075】
[付記8]
a)前記洗浄容器は、前記塗布装置の洗浄中に少なくとも1つの前記コーティング剤ジェットを受容するための第1挿入開口を有し、及び、
b)前記洗浄容器は、ジェット検査中に少なくとも1つの前記コーティング剤ジェットを受容するための第2挿入開口を有する、
付記7に記載の洗浄装置。
【0076】
[付記9]
a)前記洗浄ノズルは、実質的に直線的なノズル配置体から、特に、スロットノズルから又はノズル列内の無数の吹出ノズルから、前記洗浄剤の平面ジェットを放出し、
b)前記塗布装置(1)は、ノズル列内に配置された複数の塗布ノズルを有し、
c)前記洗浄ノズルの直線的な前記ノズル配置体は、前記塗布ノズルの前記ノズル列と実質的に平行に並んでおり、
d)前記洗浄剤の前記平面ジェットは、好ましくは、下から前記塗布ノズルの前記ノズル列へ、斜めに、特に、5°-45°又は10°-30°の角度で、向けられており、及び/又は、
e)前記洗浄剤の前記平面ジェットは、好ましくは、前記塗布ノズルに直には向けられていない、
付記7又は8に記載の洗浄装置(4;12)。
【0077】
[付記10]
a)前記乾燥ノズルは可動式であり、
b)好ましくは、少なくとも1つの空圧式リニアシリンダが前記乾燥ノズルを動かすために設けられており、
c)前記乾燥ノズルは、好ましくは、実質的に直線的な前記ノズル配置体から、特に、スロットノズルから又はノズル列内の無数の吹出ノズルから、前記乾燥用気体の平面ジェットを放出し、
d)直線的な前記ノズル配置体は、好ましくは、前記塗布ノズルの前記ノズル列に対して横方向に並んでいる、
付記7から9のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0078】
[付記11]
a)前記洗浄装置(4;12)は、前記塗布装置(1)の前記吹出ノズルを湿潤状態に保つための湿度維持装置を有し、
b)前記湿度維持装置は、好ましくは、溶剤が含浸された又は前記溶剤が流れる、トラフ、不織布、スポンジ、及び/又は、多孔質材料を備え、
c)前記湿度維持装置は、好ましくは、前記溶剤についての供給ライン及び/又は排出ラインを備える、
付記1から10のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0079】
[付記12]
a)前記塗布装置(1)は、前記コーティング剤のスプレーミストではなく、特に10°、5°、又は2°未満のジェット広がり角を有する、空間的に狭く局限された前記コーティング剤ジェット(2)を放出し、及び/又は、
b)前記塗布装置(1)は、実質的にオーバースプレーなしで動作し、及び/又は、
c)前記塗布装置(1)は、プリントヘッドであり、及び/又は、
d)前記コーティング剤ジェット(2)は、個々のコーティング剤滴又は一連なりのコーティング剤滴からなり、又は、当該ジェットの長手方向に連続している、
付記1から11のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)。
【0080】
[付記13]
部品、特に、モータービークル車体部品をコーティングするためのコーティング設備であって、
a)塗布装置(1)を移動させるための多軸塗布ロボット(11)、
b)付記1から12のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)、及び、
c)前記塗布ロボット(11)、前記洗浄装置(4;12)、及びジェット検査装置(6-10;16)を制御する制御装置(14)、
を有し、
d)前記コーティング設備は、好ましくは、洗い流しも乾燥分離もない塗装室を備える、
コーティング設備。
【0081】
[付記14]
塗布装置(1)を洗浄するための洗浄装置、特に、付記1から12のいずれか1つに記載の洗浄装置(4;12)についての運転方法であって、
a)特に、前記洗浄装置(4;12)から10mm、5mm、又は1mm未満の距離で、又は、前記塗布装置(1)と前記洗浄装置(4;12)とが直に接触した状態で、前記塗布装置(1)を前記洗浄装置(4;12)内又は上の洗浄位置に位置させる工程、
b)前記洗浄装置(4;12)により前記洗浄位置にある前記塗布装置(1)を洗浄する工程、
c)前記塗布装置(1)により放出された前記コーティング剤ジェット(2)を前記洗浄装置(4;12)内に組み込まれたジェット検査装置(6-10;16)により検査する工程、
を含む、運転方法。
【0082】
[付記15]
a)前記コーティング剤ジェット(2)の後続検査のために前記洗浄装置(4;12)内又は上の検査位置に前記塗布装置(1)を位置させる工程であって、前記検査位置は前記洗浄位置とは異なり、及び/又は、
a1)前記検査位置は前記洗浄位置の上方にあり且つ前記コーティング剤ジェットは洗浄開口内に送達される、及び/又は、
a2)少なくとも1つの前記検査位置が前記洗浄位置に隣接しており且つ前記コーティング剤ジェットは少なくとも1つの追加開口内に放出される、
工程、
b)特に洗浄の増加する強度をともなって、検査によりジェット送達が適切であることが示されるまで洗浄及び後続検査を繰り返す工程、
を含む、
付記14に記載の方法。
【符号の説明】
【0083】
1 プリントヘッド
2 コーティング剤ジェット
3 洗浄装置の挿入開口
4 洗浄装置
5 ドレイン
6 バックライト光源
7 バックライト光源の光線
8 ディフューザー
9 カメラ
10 評価ユニット
11 塗装ロボット
12 洗浄装置
13 電磁弁キャビネット
14 制御ユニット
16 ジェット検査装置
α バックライト光源の光線とコーティング剤ジェットの平面との間の角度α=90°又はα=0°
β バックライト光源の光線とコーティング剤ノズルの列との間の角度β=90°