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特許7581204数値制御工作機械に加工データを提供するための方法、システム、コンピュータプログラム製品及び数値制御工作機械の制御装置
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  • 特許-数値制御工作機械に加工データを提供するための方法、システム、コンピュータプログラム製品及び数値制御工作機械の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】数値制御工作機械に加工データを提供するための方法、システム、コンピュータプログラム製品及び数値制御工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/408 20060101AFI20241105BHJP
   H04L 9/14 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G05B19/408 Z
H04L9/14
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021536156
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019072840
(87)【国際公開番号】W WO2020043723
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】102018214840.6
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521083647
【氏名又は名称】デーエムゲー モリ ソフトウェア ソリューションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI SOFTWARE SOLUTIONS GMBH
【住所又は居所原語表記】Deckel Maho-Str. 1, 87459 Pfronten, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ターノフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ルドツィオ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/001514(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0302456(US,A1)
【文献】国際公開第2014/016938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18/-19/416
G05B19/42-19/46
H04L 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御工作機械に加工データを提供するための方法であって、
1つ又は複数のNCプログラムである数値制御データを含む加工データを、データ処理装置に提供し、前記数値制御データに基づいて、ワークピースの加工を前記数値制御工作機械で実行可能にし、
実行データの暗号化のための暗号化仕様を、前記データ処理装置上で指定し、
前記数値制御工作機械で前記ワークピースを加工するための仕様を示す実行仕様を、前記データ処理装置上で指定し、
指定された前記実行仕様、提供された前記加工データ及び指定された前記暗号化仕様に基づいて、前記加工データを含み、前記実行仕様及び指定された前記暗号化仕様を示す実行データを生成し、
前記暗号化仕様に基づいて、前記実行データを暗号化し、
生成された前記実行データを前記数値制御工作機械の制御装置に提供又は送信し、
前記実行データは、暗号化された方法で、前記数値制御工作機械の前記制御装置に提供又は送信され、
前記実行データが復号可能か否かを判断し、
前記実行データが復号化された場合に、抽出された前記実行仕様に基づいて前記実行仕様が満たされているか否かを判断し、
前記数値制御工作機械が前記実行データの前記実行仕様を満たす場合に、前記数値制御工作機械により前記加工データを実行する、方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記暗号化仕様は、更に前記加工データの暗号化のための仕様を提供し、
前記暗号化仕様に基づいて、前記加工データを暗号化し、
前記実行データは、暗号化された前記加工データとともに、前記数値制御工作機械の前記制御装置に提供又は送信される、方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記数値制御工作機械に関連付けられた公開鍵を用いて、前記加工データ及び/又は前記実行データを非対称暗号化方式で暗号化する、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記暗号化仕様は、前記加工データ及び/又は前記実行データを暗号化するかどうか、及び、前記加工データ及び/又は前記実行データのどの部分を暗号化するかをそれぞれ示す、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記暗号化仕様は、適用される暗号化強度を示す、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、暗号化された前記加工データ及び/又は前記実行データが復号化可能である許容期間を示す、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、暗号化された前記加工データ及び/又は前記実行データの許容される復号化の最大数、及び/又は、前記加工データの実行の最大数を示す、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、暗号化された前記加工データ及び/又は前記実行データが前記数値制御工作機械の前記制御装置のNCコード実行システム内のアプリケーション上でのみ直接復号化可能であるかどうかを示す、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、前記加工データ及び/又は前記実行データが前記数値制御工作機械の前記制御装置のグラフィック・ユーザ・インターフェース上で表示可能及び/又は編集可能であるかどうかを示す、方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、前記数値制御工作機械の前記制御装置が前記加工データに基づいて前記ワークピースを加工する前及び/又は加工した後に前記データ処理装置に通知を送信するかどうかを示す、方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、前記数値制御工作機械の前記制御装置が前記加工データに基づいて前記ワークピースを加工した後に加工報告データを前記データ処理装置に送信するかどうかを示す、方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、前記加工報告データが前記データ処理装置に送信される前に暗号化されるかどうかを示す、方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項において、
前記暗号化仕様及び/又は前記実行仕様は、前記数値制御工作機械の前記制御装置が、許可検証が行われた後の前記データ処理装置による復号化の承認のために、暗号化された前記加工データ及び/又は前記実行データを復号化する前に前記データ処理装置に許可要求を送信するかどうかを示す、方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項において、
前記数値制御工作機械に関連付けられた公開鍵又は前記数値制御工作機械に関連付けられた他の鍵データを外部サーバから収集し、
前記加工データ及び/又は前記実行データは、前記外部サーバから収集された前記公開鍵又は前記外部サーバから収集された前記鍵データで暗号化される、方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項において、
前記数値制御工作機械の認証の仕様及び/又は前記数値制御工作機械のオペレータの認証の仕様を示す認証仕様を、前記データ処理装置上で指定し、
前記実行データは、前記認証仕様を更に示す、方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項において、
前記実行仕様は、許可された前記数値制御工作機械のタイプ又は許可された前記数値制御工作機械を示す、方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項において、
前記実行仕様は、前記数値制御工作機械の必要な機械設備、1つ又は複数の必要なツール、及び、ワークピースデータを示す、方法。
【請求項18】
数値制御工作機械に加工データを提供するためのシステムであって、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法を実行するために装備されたデータ処理装置を含む、システム。
【請求項19】
プログラムを実行するコンピュータに請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
数値制御工作機械に加工データを提供するための方法であって、
前記数値制御工作機械の制御装置において、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法により生成された実行データを受信し、
前記実行データに含まれる前記実行仕様に基づいて前記実行データを処理し、オプションとして、前記実行データ及び/又は前記実行データに含まれる前記加工データを復号化し、
前記加工データを実行し、特に、前記加工データに基づいて前記数値制御工作機械での加工を制御する、方法。
【請求項21】
数値制御工作機械の制御装置であって、請求項20に記載の方法を実行するために装備された、制御装置。
【請求項22】
プログラムを実行する数値制御工作機械の制御装置に請求項20に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御工作機械に加工データを提供するための方法、システム、コンピュータプログラム製品及び数値制御工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野では、数値制御工作機械、例えばフライス盤、回転機械、研磨機、フライス/回転機械及び加工センタが知られており、これらは工作機械のクランプ手段にクランプされたワークピースを1つ又は複数のツールで機械加工するために装備されている。
【0003】
これは、工作機械の制御装置上で実行される加工プログラム、いわゆるNCプログラム(数値制御用のNC及びコンピュータ化された数値制御用のCNCのそれぞれ)に少なくとも部分的に基づいて行われる。それによって、NCプログラムは主に、制御装置によって処理される加工命令、加工ステップ、及び/又は加工トラックを指定し、その結果、スピンドル駆動装置及び送り軸駆動装置などの車軸駆動装置、又は電動システム、油圧システム及び/又は空気圧システムなどの工作機械の他の駆動システムなどの工作機械の制御可能なアクタ(動作主体)が、実行された加工プログラムに基づく機械制御によって制御される。
【0004】
工作機械の制御可能な構成要素、ユニット、及びシステムは、それぞれ、加工されるワークピースに対するツールの相対運動を制御するための、工作機械の1つ又は複数のワークスピンドルと、直線送り軸又は回転軸及び揺動軸などの工作機械の1つ又は大部分の複数の送り軸とを備えることができる。工作機械の他の制御可能な構成要素、ユニット、及びシステムはそれぞれ、工作機械のワークピースパレットチェンジャ、工作機械のチップコンベヤシステム、場合によっては1つ又は複数のツールマガジンと組み合わせて、1つ又は複数のツールチェンジャを備えた作機械のツールチェンジャシステム、冷却潤滑剤供給システム、及び冷却潤滑剤循環システムであってもよく、それぞれ、工作機械のドア又はフラップ等を自動的に開閉可能であってもよい。
【0005】
今日、工作機械の制御システムは、工作機械上に統合された既知のNC制御(例えば、シーメンス、ハイデンハイン、ファナック、及び他の機械制御プロバイダによるCNC機械制御)と接続されたPLC制御を含み、更に、通常、工作機械の操作パネル上で実現される更に拡張された制御及び操作機能を含む。
【0006】
数値制御工作機械のこのような操作パネルは、典型的には1つ又は複数のスクリーンを備えたグラフィック・ユーザ・インターフェース、場合によってはタッチ制御及びタッチ操作機能をそれぞれ有するタッチスクリーン、及びスイッチ、コントローラホイール、及びボタンのような入力ユニット、及び場合によってはキーボード、又はコンピュータ制御から知られている他の入力装置を含む。これらにより、オペレータは工作機械の制御及び操作機能にアクセスすることができる。
【0007】
国際公開第2015/014390号は、数値制御工作機械の制御及び操作システムに関し、その上で、機械制御は、このような拡張機能を備えている。一方では、制御及び操作システムが、統合されたNC制御の機械制御機能を含み、他方では、制御及び操作システムが、グラフィック・ユーザ・インターフェースを実行し、それを操作パネル上でオペレータに提供し、それぞれ実行又は実行可能に提供する、データ処理システムと、工作機械のセットアップ、操作、及び制御機能を拡張する複数の制御及び操作プログラムを含む
【0008】
更に、より高度なデータ処理システムは、工作機械のセンサデータを読み取り、表示し、更に処理して、例えば接続されたデータネットワークを介して、コンピュータ及び/又はサーバ装置などの外部接続されたデータ処理装置に引き渡され得る、工作機械上の機能を提供する。
【0009】
更に、コンピュータ及び/又はサーバ装置などの外部接続されたデータ処理装置から、セットアップデータ、ツールデータ、ワークピースデータ、加工データ、加工プログラム、又は他のインストール可能な制御及び/又は操作プログラムのためのインストールデータなどのデータを、工作機械の制御装置に送ることも可能である。
【0010】
これにより、雇用主の1つ又は複数のワークピースの加工に関する特定の加工データが指定され、ネットワークを介して請負業者の工作機械の制御装置に直接配信されて、工作機械上で1つ又は複数のワークピースの加工をそれぞれ直接実行することができる可能性が生じる。ここで、例えば、ERP(企業資源計画)システムからのデータ及び/又はCAD/CAMシステム(コンピュータ支援設計のためのCAD、コンピュータ支援製造のためのCAM)からの加工データが提供され、工作機械の上流又は直接に接続されたコンピュータ上の制御データ処理デバイスに入力することができる。
【0011】
データは、工作機械のオペレータによって処理又は実行されるために、工作機械にロード又は入力され得る。これは、指定された加工操作の直接的且つ低遅延の実行のために、データを工作機械に迅速且つ効率的に送信できるという利点を提供する。実行は、オペレータにとって実行可能であり、グラフィック・ユーザ・インターフェース上で表示可能であり、特にNCコード及びその実行がそれぞれ表示可能であり、オペレータは、マシン・コントロール上で、加工に介入する可能性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の最先端技術から出発して、本発明の目的は、数値制御工作機械に加工データを提供し、外部のデータ処理施設の加工データの工作機械の制御部への引き渡し及び工作機械での加工データの実行の可能性及び機能性を開発し改善するための方法及びシステムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を解決するために、数値制御工作機械に加工データを提供するための方法が、請求項1に記載されている。更に、数値制御工作機械に加工データを提供するためのシステムが、請求項18に記載されている。更に、請求項19に記載のコンピュータプログラム製品が提案される。並行して、請求項20に記載の工作機械の制御装置で実行される方法、請求項21に記載の対応する制御装置、及び請求項22に記載の対応するコンピュータプログラム製品が提案されている。従属請求項は、有利な好ましい実施例に関する。
【0014】
一態様によれば、数値制御工作機械に加工データを提供するための方法であって、加工データをデータ処理装置に提供するステップであって、加工データは、好ましくは数値制御工作機械上でワークピースの加工を実行することができる数値制御データ、特に好ましくは1つ又は複数のNCプログラムを含むステップと、好ましくは数値制御工作機械上でワークピースを加工するための仕様をデータ処理装置上で指定するステップと、指定された実行仕様に基づいて実行データを生成するステップであって、実行データは、好ましくは加工データを含み、及び/又は好ましくは実行仕様を示すステップと、生成された実行データを数値制御工作機械の制御装置に提供及び/又は送信するステップとを含む方法を
提供することができる。
【0015】
好ましくは、この方法は、加工データ及び/又は実行データの暗号化のための暗号化仕様をデータ処理装置上で指定し、暗号化仕様に基づいて加工データ及び/又は実行データを暗号化することを更に含む。実行データは、暗号化された形式で、及び/又は暗号化された加工データとともに、数値制御工作機械の制御装置に提供及び/又は送信されてもよい。
【0016】
加工データ及び/又は実行データの暗号化は、好ましくは、非対称暗号化方式で、数値制御工作機械に関連する公開鍵の手段によって実行される。
【0017】
暗号化仕様は、好ましくは、加工データ及び/又は実行データが暗号化されるべきか、及び、加工データ及び/又は実行データのどの部分が暗号化されるべきかを示す。
【0018】
暗号化仕様は、好ましくは、適用されるべき暗号化強度を示す。
【0019】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、暗号化された加工データ及び/又は実行データが復号化可能である許容期間を示す。
【0020】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、暗号化された加工データ及び/又は実行データの許容される復号化の最大数、及び/又は加工データの実行の最大数を示す。
【0021】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の制御装置のNCコード実行システムにおいて適用された場合にのみ、暗号化された加工データ及び/又は実行データが直接復号化可能であるかどうかを示す。
【0022】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、加工データ及び/又は実行データが、数値制御工作機械の制御装置のグラフィック・ユーザ・インターフェース上で表示可能であるか、及び/又は編集可能であるかどうかを示す。
【0023】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の制御装置が加工データに基づいてワークピースを加工する前及び/又は後に、データ処理装置に通知を送信するかどうかを示す。
【0024】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の制御装置が加工データに基づいてワークピースを加工した後に加工報告データをデータ処理装置に送信するかどうかを示す。
【0025】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、データ処理装置に送信する前に加工報告データを暗号化するかどうかを示す。
【0026】
暗号化仕様及び/又は実行仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の制御装置が、許可検証が行われた後のデータ処理装置による復号化の承認のために、暗号化された加工データ及び/又は実行データを復号化する前にデータ処理装置に許可要求を送信するかどうかを示す。
【0027】
この方法は、好ましくは、数値制御工作機械に関連する公開鍵又は数値制御工作機械に関連する他の鍵データを外部サーバから収集することを更に含み、加工データ及び/又は実行データは、好ましくは、サーバから収集された公開鍵又はサーバから収集された鍵データで暗号化される。
【0028】
この方法は、好ましくは、データ処理装置上で認証仕様を指定することを更に含み、認証仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の認証及び/又は数値制御工作機械のオペレータの認証のための仕様を示し、実行データは、好ましくは、認証仕様を更に示す。
【0029】
実行仕様は、好ましくは、許可された数値制御工作機械のタイプ又は許可された数値制御工作機械を示す。
【0030】
実行仕様は、好ましくは、数値制御工作機械の必要な機械設備、1つ又は複数の必要なツール、及び/又はワークピースデータを示す。
【0031】
更なる態様によれば、数値制御工作機械に加工データを提供するためのシステムが提案され、このシステムは、前述の態様のうちの1つ又は複数による方法を実行するように装備されたデータ処理装置を備える。
【0032】
更なる態様によれば、プログラムを実行するコンピュータに前述の態様のうちの1つ又は複数による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提案される。
【0033】
更なる態様によれば、数値制御工作機械に加工データを提供するための方法が提案され、数値制御工作機械の制御装置において、1つ又は複数の前述の態様による方法に従って生成された実行データを受信するステップと、実行データに含まれる実行仕様に基づいて実行データを処理するステップと、オプションとして、実行データ及び/又は実行データに含まれる加工データを復号化するステップと、及び/又は加工データを実行するステップとを含み、特に、加工データに基づいて数値制御工作機械上の加工を制御するステップとを含む。
【0034】
更なる態様によれば、数値制御工作機械の制御装置が提案され、制御装置は、前述の態様のうちの1つ又は複数と組み合わせて前述の方法を実行するように装備される。
【0035】
更なる態様によれば、プログラムを実行する数値制御工作機械の制御装置に、前述の態様のうちの1つ又は複数と組み合わせて前述の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提案される。
【0036】
更なる態様とその利点、及び、前述の態様の利点及びより具体的な実施の可能性は、詳細な説明及び以下の添付の図面に対する説明から説明されるが、限定的に解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の実施例による、数値制御工作機械に加工データを提供するためのデータ処理装置の例示的な概略図を示す。
図2図2は、本発明の実施例による、数値制御工作機械に加工データを提供するためのシステムの例示的な概略図を示す。
図3図3は、本発明の実施例による、数値制御工作機械に加工データを提供する方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
図4図4は、本発明の実施例による、数値制御工作機械にデータを提供する処理方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
図5図5は、本発明の実施例による、暗号化証明書を提供するための方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、図中の同一及び類似の要素はそれぞれ、同一の参照番号で示すことができるが、異なる参照番号で示すこともある。
【0039】
しかしながら、本発明は、以下に説明する実施例及びそれらの特徴にそれぞれ限定されるものではなく、実施例の更なる修正、特に、記載される実施例の特徴の修正によって、及び、独立請求項の保護の範囲内の記載される実施例の個々の又は複数の特徴の組み合わせによって、それぞれ含まれるものを含むことを強調すべきである。
【0040】
図1は、本発明の実施例による、数値制御工作機械100に加工データ(processing data)を提供するためのデータ処理装置300の例示的な概略図を示す。
【0041】
データ処理装置300(例えば、工作機械の操作パネルに配置されたデータ処理装置、又は工作機械の操作パネルに結合されたデータ処理装置)は、数値制御工作機械100の制御部200に接続され、オプション(任意選択)で、外部のデータ処理装置500にも接続され、サーバ400との通信ネットワーク600を介して、例示的には別の通信ネットワーク700(例えば、インターネット)を介して別のサーバ400及び別の外部のデータ処理装置500に接続される。データ処理装置300は、制御部200とともに数値制御工作機械100の制御装置を構成する。
【0042】
例示的な数値制御工作機械100は、制御部200によって制御可能な数値制御工作機械100の複数のアクタ(actors)110と、数値制御工作機械100の機械状態に関連するセンサ信号を制御部200に出力するための複数のセンサ120とを備える。
【0043】
例えば、アクタ110は、それぞれ、ツール(工具)とワークピース(工作物)との間の制御された相対運動のための制御可能な直線軸及び回転軸(揺動及び/又は回転軸)のパワーユニットと、ツール担持ワークスピンドル(例えば、フライス盤上の)及びワークピース担持ワークスピンドル(例えば、回転機械上の)のパワーユニットとをそれぞれ含むことができる。更に、アクタ110は、それぞれ、電子的に、油圧的に及び/又は空気圧的に制御される弁、ポンプ、又は内部若しくは外部の冷却潤滑剤フィーダ若しくは圧縮空気フィーダの他の供給デバイスであり得る。更に、コンベヤ装置、パレットチェンジャ、ワークピースチェンジャ、ツールマガジン、及び他の工作機械付属品は、それぞれ、パワーユニット又は回路及び対応するアクタによって制御されてもよい。
【0044】
センサ120は、例えば、工作機械のそれぞれのパッケージ又は構成要素、例えば、車軸、パワーユニット、車軸ベアリング、スピンドル、スピンドルベアリング、ツールマガジン、ツールチェンジャ、パレット又はワークピースチェンジャ、内部又は外部の冷却潤滑剤供給装置、チップコンベヤ装置、及び/又は、油圧及び/又は空気圧制御装置と関連付けることができるセンサとすることができる。
【0045】
制御部200は、例示的に、NC制御部211及びプログラマブル論理制御部212(PLC(programable logic control)又はSPSとも呼ばれる)を有する制御装置210を備える。制御部200は、特に、数値制御工作機械100を制御するために工作機械のアクタ110に制御信号を出力することができ、且つ、数値制御工作機械100のセンサ120のセンサ信号を読み出すことができるように、数値制御工作機械100に接続される。
【0046】
データ処理装置300は、制御部200とのデータ及び信号接続のための制御側データインターフェース310(制御インターフェース)と、外部のデータ処理装置500とのデータ接続のための外部データインターフェース340(ユニバーサルインターフェース
)と、サーバ400とのネットワーク接続のための通信ネットワーク600とをそれぞれ備える。
【0047】
更に、データ処理装置300は、データを処理し、アプリケーション及び加工プログラムを実行するためのCPUと、プログラム又はアプリケーションデータ、加工データ、実行データ、及びセンサデータをそれぞれ記憶するためのデータ記憶装置330(例えば、メモリ、RAM、ハードディスク及び/又はフラッシュメモリ)とを備えるデータ処理ユニット320を備える。
【0048】
更に、データ処理装置300は、例示的に、数値制御工作機械100のオペレータが数値制御工作機械100を制御し、監視し、及び/又は操作することを可能にするヒューマン・マシン・インターフェース350(HMI(human-machine-interface)とも呼ばれる)を備え、ヒューマン・マシン・インターフェース350は、例示的に、モニタ又はタッチスクリーン上に表示することができるグラフィック・ユーザ・インターフェースGUI(graphical user interface)を備える。
【0049】
データ処理装置300は、例えば、特にNCプログラムを実行することによって、加工プログラムのNCデータを入力し、処理し、実行するように装備され、NCプログラムに示された命令を実行して、実行のためにNCプログラムに示された命令をNC制御部211及び/又はプログラマブル論理制御部212に送信し、又はNCプログラムに示された命令に基づいて、実行のために対応する制御命令及び信号をそれぞれNC制御部211及び/又はプログラマブル論理制御部212に送信する。
【0050】
図2は、本発明の実施例による、数値制御工作機械に加工データを提供するためのシステムの例示的な概略図を示す。
【0051】
システムは、例えば、3つの領域A、B、Cを備えており、領域Aでは例えば、領域Aの例示的な内部通信ネットワーク600を介して領域Aの複数のデータ処理装置500と接続されたサーバ400を備えており、領域Aのデータ処理装置500のうちの1つは、例えば、数値制御工作機械100に提供するための加工データを処理するために装備されたデータ処理装置500の実行時に加工データアプリケーション501を備えている。
【0052】
領域Aは、例えば、工作機械上のワークピースの加工を外部の請負業者(contractor)に委託することを望む雇用主(employer)に関連付けられてもよい。
【0053】
領域Aのサーバ400は、外部通信ネットワーク700に更に接続された例であり、特に、例えば、インターネット又は限られた数の参加者を有する同等の外部通信ネットワークを介して、請負業者に加工注文(processing orders)を送信するのに好ましい。
【0054】
領域Bでは、システムが、外部通信ネットワーク700とも例示的に接続された別のサーバ400を例示的に含む。領域Bのサーバ400は、例示的な暗号化鍵データK1、K2、及びK3(例えば、公開鍵及び/又は秘密鍵などの非対称暗号化方式で適用するための鍵)と、例示的なマシンデータM2及びM3とを記憶する。マシンデータは、関連する工作機械のプロパティ、構成(configuration)、設備(equipment)、タイプ及び/又は機能(functionalities)などの、対応する工作機械のためのマシン情報をそれぞれ示す。
【0055】
サーバ400を有する領域Bは、機械製造業者又は中央サービスプロバイダに関連付けられてもよい。領域Bのサーバ400は、工作機械に加工データを提供するためのシステムの参加者のためのデータを例示的に中央で(centrally)提供することができる。
【0056】
例示的に、暗号化鍵データK2はマシンデータM2に関連付けられ、暗号化鍵データK3はマシンデータM3に関連付けられてもよい。暗号化鍵データK1は、領域Aのサーバ400に関連付けられてもよい。
【0057】
領域Cでは、システムが、例示的に外部通信ネットワーク700にも接続された別のサーバ400を含む。領域Cのサーバ400は、領域Cの内部通信ネットワーク600に更に接続されている例であり、領域Cのデータ処理装置500が更に接続されている例である。
【0058】
更に、例示的な数値制御工作機械100は、それぞれの制御部200及びそれに接続されたそれぞれのデータ処理装置300を介して、領域Cの内部通信ネットワーク600に接続される。
【0059】
領域Cは、例えば、領域Aの雇用主から工作機械上でワークピースを加工するための注文を受け入れて実行することを望む請負業者に関連付けることができる。
【0060】
領域Cの例示的なデータ処理装置500は、データ処理装置500上で実行することで、工作機械に関連するマシンデータ及び工作機械でのワークピースの加工に関連する加工データに基づいて工作機械上でワークピースを加工することをシミュレートし、特に工作機械上でシミュレートされる加工における衝突試験(collision test)をシミュレートするように装備された工作機械シミュレーションアプリケーション502を有する。対応する工作機械シミュレーションアプリケーション502は、例えばDE102006043390A1から知られている。
【0061】
図3は、本発明の実施例による、数値制御工作機械に加工データを提供するための方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
【0062】
この方法は、好ましくは図2の領域Aのデータ処理装置500上で実行することができる。
【0063】
ステップS301において、工作機械上の1つ又は複数のワークピースの加工をそれぞれ示す又は指定する加工データが提供される。
【0064】
加工データは、例えば、1つ又は複数のNCプログラムを含むNCデータを有することができる。この過程における1つ又は複数のNCプログラムは、好ましくは、スピンドル駆動及び送り軸駆動のような車軸駆動又は工作機械の他の駆動システムのような工作機械の制御可能なアクタが、実行された加工プログラムに基づいて工作機械の機械制御によって制御されるように、制御装置によって処理される加工命令、加工ステップ、及び/又は加工トラックを指定する。
【0065】
加工データは、例えば完成部品に関する2D及び/又は3D構成データに基づいて、CAD/CAMアプリケーションを用いてデータ処理装置500上で自動的に生成されてもよいし、手動プログラミング又は自動的に生成された加工プログラムの手動適合(manual
adaptation)によって生成されてもよい。
【0066】
加工データは、更に、ERPシステムのデータに基づいて生成又は適合されてもよい。
【0067】
オプションのステップS302において、領域Aのデータ処理装置500上で暗号化仕様が指定される。
【0068】
暗号化仕様は、加工データの全部を暗号化するか又は部分的に暗号化するか、工作機械に転送する実行データの全部を暗号化するか又は部分的に暗号化するかを示すことができる。データ処理装置500のオペレータは、例えば、データ又はデータ構成要素をそれぞれ暗号化するかどうか、どのデータ又はデータ構成要素を暗号化するかをそれぞれ指定する(specify)ことができる。更に、暗号化仕様は、望ましい又は要求される暗号化強度を示す場合がある。
【0069】
更に、暗号化仕様は、適用される暗号化方式、例えば、対称暗号化又は非対称暗号化のどちらが適用されるか、及び、どの具体的な暗号化方式が適用されるかをそれぞれ示す場合がある。ここで、非対称暗号化方式では、公開鍵/秘密鍵暗号化方式を指定することができる。この方式では、送信するデータを受信者の公開利用可能な公開鍵で暗号化し、暗号化データの受信者は受信者のみが利用可能な秘密鍵で復号できるようにする。更に、Diffie‐Hellmann鍵交換に基づく暗号化方式を使用することも可能である。
【0070】
暗号化仕様は、更に、加工プログラムのNCコードが操作パネルのグラフィック・ユーザ・インターフェース上で復号化可能であるかどうかを指定することができ、その結果、NCプログラムは、工作機械のオペレータのためのグラフィック・ユーザ・インターフェース上で部分的に又は完全に見ることができるか或いは隠蔽されるようにすることができ、その結果、NCコードの復号化は、加工プログラムを実行するときにのみNCコード実行システムによって直接実行されるが、NCプログラムは、工作機械のオペレータのためのグラフィック・ユーザ・インターフェース上では見ることができないようにすることができる。
【0071】
また、暗号化仕様は、復号化されたNCコード及び復号化された加工データをそれぞれ工作機械のデータ処理装置300上で「読み取り専用」表示としてのみ工作機械のオペレータが利用できるようにするかどうかを指定することができ、その結果、NCコード及び加工データが、それぞれ、工作機械の操作パネル上で編集可能及び適合可能ではないようにすることができる。
【0072】
暗号化仕様は、加工データ及び/又は実行データが復号化可能である期間を更に指定することができる。これにより、加工の実行の可能性を、ワークピースを加工することによる製造が許可される許容期間及び製造期間にそれぞれ制限することができる。
【0073】
加工データのNCプログラム及びNCコードのそれぞれに加えて、以下のデータを必要応じて暗号化することができる。例えば、ツール及び/又はワークピースの特定のクランプ状況を考慮した画像及び/又は3Dモデル、ブランク情報(例えば、画像、3Dモデル、ジオメトリ情報、材料(material)情報及び/又はサイズ情報)、使用されたツールのデータ及びツールデータのそれぞれ、特定のヌルポイントへのデータ、製造される完成部品のCADデータ(例えば、画像及び/又は3Dモデル)、及び/又はその他のグラフィックス、スケッチ、2D図面、3Dモデル、テキスト、又はドキュメントである。
【0074】
オプションのステップS303において、領域Aのデータ処理装置500上で認証仕様が指定される。
【0075】
認証仕様は、指定された受信者、及び指定された受信者が認証されるべきかどうか、及びどのように認証されるべきかをそれぞれ示すことができる。指定された受信者を示す認証データは、受信者を識別するIDデータを示すことができる。このIDデータは、例えば、請負業者を識別するか、工作機械を識別するか、又は工作機械のグループを識別する(例えば、請負業者で利用可能な工作機械の中で、例えば、型式表示(type indication
)及び/又は工作機械番号によって)。
【0076】
従って、データ処理装置500のオペレータは認証されたユーザに対してのみ、データを抽出可能(extractable)にするかどうか、及び、どのデータを抽出可能にするか、及び、認証されたユーザ(許可された受信者)として、誰が、どのデータを保持すべきかを、それぞれ指定することができる。ここで、オペレータは、許可された受信者として雇用主/ユーザを指示することができ、これにより、認証された雇用主/ユーザの工作機械のみが加工データを実行することができることが示され、指定される。更に、オペレータは、例えば、許可された受信者としての工作機械のタイプ及び設備に応じて、特別な工作機械又は工作機械のグループを、それぞれ予め示し、指定することができる。
【0077】
認証仕様は、更に、受信者の権限を初めて認証で検証するか、加工データの復号化前及び/又は加工開始前に再度検証するか、加工データの復号化前及び/又は加工開始前に認証データが領域Aのサーバ400に送信されるべきかを指定することができ、これにより、復号化及び/又は加工開始の承認の前に、認証検証は領域Aのサーバ400上で実行され又は実行され得、領域Aのサーバ400は、加工データの復号化前及び/又は加工開始前に最終承認を送信する。
【0078】
ステップS304において、領域Aのデータ処理装置500上で実行仕様が指定される。
【0079】
実行仕様は、ワークピースを加工すべき又は加工する可能性のある1つ又は複数の工作機械又は機械タイプをそれぞれ示すことができる。実行データは、更に、ワークピースの加工を可能とするために、特殊な機械タイプで、どの設備とどの固定具(fixture)が必要とされるかをそれぞれ示すことができる。実行データは、更に、ワークピースを加工することができるようにするために、どのツールが必要とされるかを示すことができる。
【0080】
実行仕様は、更に、加工データに基づいてワークピースを加工することによって完成部品を製造することが許可される許容製造期間、及び/又は、許容製造数、すなわち、いくつの完成部品を製造することができるか、及びいくつのワークピースを加工データに基づいて加工することができるかをそれぞれ示すことができる。
【0081】
実行仕様は、更に、加工データの復号化及び加工開始及び/又はワークピースの加工がそれぞれ、領域Aのサーバ400に通知されるべきかどうかを事前に決定することができ、これにより、領域Aのサーバ400は外部の工作機械上の加工動作を監視し(monitor and supervise)、進捗状況を追跡することができる。
【0082】
ステップS305において、実行データは、指定された実行仕様及び提供された加工データに基づいて、オプションで指定された暗号化仕様及び/又はオプションで指定された認証仕様に更に基づいて、領域Aのデータ処理装置500上で生成される。生成された実行データは、加工データと、指定された実行仕様と、場合によってはオプションで指定された暗号化仕様、及び/又は、場合によってはオプションで指定された認証仕様を示すその他の詳細とを含む。
【0083】
オプションで入力された暗号化仕様に従って実行データの暗号化が提供される場合、ステップS306において、入力された暗号化仕様に基づいて、生成された実行データの暗号化が実行される。
【0084】
ここでは、指定された受信者に関連付けられた暗号化鍵が使用される場合がある。例えば、指定された受信者に関連づけられた公開鍵が、生成された実行データを暗号化するた
めに使われる場合がある。
【0085】
指定された受信者に関連付けられた暗号化鍵又は公開鍵がそれぞれ存在しない場合、領域Bのサーバ400(証明書サーバ)及び/又は指定された受信者の領域Cのサーバ400から取得されてもよい。
【0086】
ここで、例えば、それぞれの暗号化鍵又は公開鍵が、それぞれ、指定された受信者、指定された受信者の工作機械、指定された受信者の工作機械のグループ、指定された受信者の1つ又は複数のデータ処理装置300、及び/又は指定された受信者の領域Cのサーバ400に関連付けられ得る。これは、認証仕様の基礎となる認証データに基づいて取得される場合もある。
【0087】
指定された受信者に関連付けられた暗号化鍵又は公開鍵がそれぞれ存在する場合、或いは、暗号化鍵又は公開鍵をそれぞれ収集した後に、この暗号化鍵又は公開鍵は、それぞれステップS306で実行データ及び/又は加工データを暗号化するために使用される。
【0088】
ステップS307において、対応するデータ、すなわち、加工データを伴う生成された実行データ、加工データを含む暗号化された実行データ、及び/又は、暗号化された加工データを伴う実行データが、通信ネットワーク700を介して領域Cに提供及び/又は送信される(例えば、電子メール又はTCP/IPによって)。
【0089】
例えば、領域Aのデータ処理装置500上で生成された(そして場合によっては暗号化された)実行データは、領域Aのサーバ400に送信され得る。その後、実行データは、他のサーバ400の1つによってダウンロードするために、領域Aのサーバ400上に提供され得る(プル方式)。これにより、実行データは、領域Aのサーバ400から領域Bのサーバを介して直接的又は間接的にダウンロードすることができる。或いは、実行データを、領域Cのサーバ400(又は、領域Bのサーバ400)にプッシュ方式で送信することもできる。
【0090】
実行データは、領域Cの内部通信ネットワーク600で更に提供され得、例えば、領域Cのデータ処理装置500又はデータ処理装置300によって収集される。或いは、領域Cのサーバ400は、実行データを、対象とする数値制御工作機械100に直接送信してもよいし、領域Cの上流のデータ処理装置300及び/又は領域Cのデータ処理装置500に送信することができる(プッシュ方式)。
【0091】
或いは、実行データは、電子メールによって、対象のデータ処理装置又は対象の機械のそれぞれに、或いは、対象の工作機械又は請負業者のオペレータ或いはユーザの電子メールアカウントに配信され得る。更に、実行データは、例えばUSB記憶媒体の交換を通じて、手動で引き渡され得る。
【0092】
図4は、本発明の実施例による、数値制御工作機械上で提供された加工データを処理するための方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
【0093】
ステップS401において、実行データは、対象の数値制御工作機械100(図1による)のデータ処理装置300上で提供及び受信される。
【0094】
ステップS402において、秘密鍵又は暗号化鍵がそれぞれ、データ記憶装置330(記憶媒体)に存在するかどうかが検証される(少なくとも、実行データが部分的又は全体的に暗号化されていると判断された場合)。データの暗号化なし、すなわち、実行データが暗号化されずに受信された場合、このステップは省略することができる。秘密鍵又は暗
号化鍵がそれぞれ存在せず、実行データが暗号化されて受信された場合、実行データは復号化できず、この方法はキャンセル/終了される。
【0095】
秘密鍵又は暗号化鍵がそれぞれデータ記憶装置330に存在する場合(ステップS402でYES)、実行データはステップS403で復号化される。
【0096】
ここで、実行データの復号化後、実行データに含まれる加工データを抽出することができる。加工データは、実行データの復号化後に既に復号化されているか、まだ暗号化されている場合もある(例えば、加工データの復号化と含まれるNCコードの復号化が、それぞれNCコード実行システム上で実行するときにのみ許可されている場合)。
【0097】
更に、実行データの復号化後に、実行データにオプションで含まれる認証条件及び認証仕様がそれぞれ抽出されてもよい。抽出された認証条件に基づいて、ステップS404において、工作機械及び/又は工作機械のオペレータの認証が必要であるかどうかを判定することができる。
【0098】
ステップS404において、工作機械及び/又はオペレータの認証が工作機械上で必要であると判定された場合(ステップS404でYES)、ステップS405において、受信者(すなわち、工作機械及び/又は工作機械のオペレータ)の認証が行われる。
【0099】
ステップS406において、実行データの認証仕様に従った認証が正常に行われたかどうかが判定される。認証が成功しなかった場合(ステップS406でNO)、処理は拒否され、この方法はキャンセル/終了される。
【0100】
認証が成功した後、又は認証が不要な場合(ステップS404でNO)、実行データの実行仕様が検証されるステップS407が例示的に実行される。
【0101】
実行仕様に基づいて、工作機械又は工作機械の工作機械タイプ、及び/又は工作機械の設備又は固定具が、それぞれ実行仕様を満たしているかどうかを検証することができる。更に、工作機械で利用可能なブランク及び/又はツールが実行仕様を満たしているかどうかを検証することが可能である。
【0102】
更に、現在の時点が、加工データに基づいてワークピースを加工して完成部品を製造することが許可されている許容製造期間内であるかどうか、及び/又は、許容製造数をまだ超えていないかどうかを検証することができる。加工データが他のワークピースの加工に既に使用されている場合には、それらはカウンタによってデータ記憶装置330に保持され得る。
【0103】
ステップS408において、実行データの実行仕様が満たされているかどうかが判定される。実行データの実行仕様が満たされていない場合(ステップS408でNO)、処理は拒否され、この方法はキャンセル/終了される。
【0104】
実行データの実行仕様が満たされている場合(ステップS408でYES)、オプションのステップS410において、実行データの暗号化仕様及び/又は実行仕様が、加工データが隠蔽された方法で実行されることを示しているかどうか、すなわち、工作機械のオペレータがグラフィック・ユーザ・インターフェース上で加工プログラム及びNCコードをそれぞれ表示することを許可されているか否か、及び、場合によっては工作機械のオペレータがグラフィック・ユーザ・インターフェース上で加工プログラム及びNCコードをそれぞれ編集又は適合させることを許可されているか否かが検証される。
【0105】
工作機械のオペレータがグラフィック・ユーザ・インターフェース上で加工プログラム及びNCコードを見ることも編集又は適合させることもそれぞれ許可されていないと判定された場合(ステップS410でYES)、加工データはオペレータから完全に隠され(ステップS411)、或いは、見ることは許可されているが編集及び適応させることは許可されていない場合、NCコードは読み取り専用バージョンとしてのみ表示される。
【0106】
ステップS412において、データ処理装置300で加工データが実行され、制御部200を介したデータ処理装置300での実行により、数値制御工作機械100でのワークピースの加工が制御される。
【0107】
或いは、図4による方法が、まず、領域Cのデータ処理装置500の工作機械シミュレーションアプリケーション502で実行されてもよく、ここで、潜在的な許容製造数又は許容製造期間は、場合によっては考慮されないままであってもよい。
【0108】
この場合、ステップS412は、工作機械シミュレーションアプリケーション502上でシミュレートされる。請負業者は潜在的にNCコードを見ることができない可能性があるため、請負業者は現実の工作機械上での実行データの実行の前に、衝突及び場合によっては他の加工の問題について加工をテストするために、加工シミュレーションにおいて対応する仮想工作機械上で最初にテストすることが有利に可能である。加工データは実行データに示されているが、場合によっては隠蔽された方法及び暗号化された方法のそれぞれで含まれている。
【0109】
工作機械シミュレーションアプリケーション502による加工のこのようなシミュレーションは、加工データが工作機械シミュレーションアプリケーション502上でレコードごとに(record-by-record)のみシミュレートされ得るという点で制限され得る。
【0110】
好ましくは、請負業者及び請負業者の工作機械のそれぞれ、及び雇用主は、まず、領域Bのサーバ400に登録されなければならない。そうすることで、暗号化データ鍵及び鍵もそれぞれ配布及び管理され得る。
【0111】
図5は、本発明の実施例による、暗号化証明書を提供するための方法のフロー図の例示的な概略図を示す。
【0112】
ステップS501において、領域Bのサーバ400への登録要求が取得される。そして、領域Bのサーバ400は、ステップS502で公開鍵と対応する秘密鍵のペアを例示的に生成し、公開鍵と秘密鍵を管理するために、生成された鍵ペアをステップS503で格納する。
【0113】
ステップS504において、インストールデータ(installation data)は、要求側パーティ(例えば、領域A又は領域Cのうちの一方のデータ処理装置300又は500)に配信される。ここで、インストールデータは、図3による方法及び/又は図4による方法を実行できるアプリケーションをセットアップするために装備される。
【0114】
ステップS505において、生成された暗号化鍵と秘密鍵及び公開鍵は、それぞれ、要求側パーティ(例えば、領域A又は領域Cのうちの一方のデータ処理装置300又は500)に配信される。
【0115】
更に、ステップS506において、登録されたユーザの公開鍵が提供され、他の人が必要に応じて公開鍵を収集して、それぞれの公開鍵の所有者におけるアプリケーションのための実行データを暗号化できるようにする。
【0116】
公開鍵と秘密鍵をサーバ400に格納することは、参加者における秘密鍵の喪失後にも、鍵が独立したインスタンスによって中央で管理され得るため潜在的な暗号化データを復号化することが可能であるという利点を有する。
【0117】
更に、参加者が公開鍵及び秘密鍵自体を生成し、それらの公開鍵を直接相互に交換することも可能である。同様に、参加者がDiffie-Hellmann鍵交換を直接実行するDiffie-Hellmann暗号化方式が採用される可能性がある。更に、参加者及び雇用主は、それぞれ、対象の機械、請負業者、及び/又は関連するIPアドレスを格納するアドレスデータを含む電子アドレス帳を保持することもできる。
【0118】
他の実施例では、実行データは、送信前のデータ整合性(data integrity)の検証を容易にする検証データと共に追加的に提供されてもよい。このような実施例では、現在のデータのデータ整合性が、検証データに基づいて、復号化前及び/又は復号化後、及び/又は、実行データ及び加工データの実行前及び/又は実行後に、それぞれ検証され得る。このような検証データは、例えば、暗号化された実行データ及び/又は暗号化されていない実行データに基づいて、及び/又は、暗号化された加工データ及び/又は暗号化されていない加工データに基づいて計算され得る、1つ又は複数のハッシュ値を有し得る。
【0119】
他の実施例では、加工データに基づく加工が行われた後に、加工レポート(加工報告)が生成され、雇用者の領域Aのサーバ400に提供又は送信されてもよい。このような加工レポートは、オプションで、例えば雇用者(復号化のための対応する秘密鍵を持つ者)の公開鍵を使用して暗号化することもできる。雇用者の公開鍵は、領域Bのサーバ400から、工作機械及び請負業者の公開鍵をそれぞれ収集するのと同様に収集することができる。
【0120】
このような加工レポートは、加工開始及び加工終了の加工情報の他に、加工中に制御エラーが発生したかどうかを示すものであってもよい。更に、加工期間中に取得された工作機械のセンサ120のセンサ値に関する情報及び位置測定結果に関する情報も、それぞれ(例えば、測定ボタンによって)、加工レポートに示すことができる。従って、雇用主は、外部品質試験を実行することができる。
【0121】
他の実施例では、加工データは、暗号化、隠蔽、及び/又は読み取り専用バージョンとして請負業者側に提供され得るだけでなく、加工データのコピーが禁止されるように更なるコピー防止メカニズムが提供され得る。
【0122】
他の実施例では、実行データが、領域Bのサーバ400にキャッシュ及び/又は長期間格納されてもよい。
【0123】
本発明は有利なことに、加工データの作成者及び雇用者にそれぞれ存在するノウハウを保護することができ、それにもかかわらず、外部の請負業者において外部の工作機械で加工を実行するために、加工データを効率的且つ安全に外部の請負業者に配信することができることを有利に促進し、加工及び実行仕様が遵守され、データも保護されることを同時に保証することができる。工作機械へのデータ送信は、有利には、エンドツーエンドで暗号化され、保護することができ、データ整合性が保証され得る。
【0124】
以上、本発明の実施例並びにそれらの利点について、添付図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明は前述の実施例及びそれらの特徴にそれぞれ限定されるものではなく、実施例の修正、特に、独立請求項の保護の範囲内で、説明された実施例の特徴の修正によって、及び、説明された実施例の個々の又は複数の特徴の組み合わせによって、それぞ
れ含まれるものを更に含むことを再度強調しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5