(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】無弁油圧システム
(51)【国際特許分類】
F04B 53/08 20060101AFI20241105BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20241105BHJP
F04B 17/03 20060101ALI20241105BHJP
F04C 15/06 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
F04B53/08 E
H02K9/19 Z
F04B17/03
F04C15/06 A
(21)【出願番号】P 2021546850
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 US2020017688
(87)【国際公開番号】W WO2020167782
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-13
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521353953
【氏名又は名称】テルッツォ パワー システムズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】TERZO POWER SYSTEMS,LLC
【住所又は居所原語表記】1235 Glenhaven Court,Ste.300,El Dorado Hills,CA 95762(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】テルッツォ,マイケル,ビー
(72)【発明者】
【氏名】アーチーガ,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,アンソニー,シー.
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,アンドリュー,ジェイ.エー.
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-147825(JP,A)
【文献】特開2018-182924(JP,A)
【文献】特開2000-018173(JP,A)
【文献】特開2017-093203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/08
H02K 9/19
F04B 17/03
F04C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合されたポンプシステムであって、
電子制御されたモータと、
作動流体リザーバと、
前記モータの速度及びトルクを制御するための制御装置と、
高圧作動流体を第一の出力ポートを通して高圧ラインを通って作業機能へ送液するための、電子制御された前記モータに直接的に連結されたポンプと、
前記作業機能から、前記制御装置の電子機器及び前記モータと接続する冷却流体チャンネルへ、低圧作動流体を直接的に戻す低圧戻りラインと、を含んでおり、
前記作業機能から戻ってくる前記低圧作動流体は、前記制御装置の電子機器及び前記モータを冷やすために前記冷却流体チャンネルを通して運ばれ、
前記作動流体リザーバは、前記冷却流体チャンネルから戻りラインを通して全ての低圧作動流体を直接的に受け取り、
前記ポンプは、前記第一の出力ポートを通して前記高圧作動流体を送液するときに、前記作動流体リザーバから供給ラインを通して作動流体をくみ出
し、
前記作動流体が前記作動流体リザーバから前記ポンプ、前記第一の出力ポートを通る前記高圧ライン、前記作業機能、前記低圧戻りライン及び前記冷却流体チャンネルを介して再び前記作動流体リザーバへと流れる無弁のループが形成されている、
統合されたポンプシステム。
【請求項2】
前記制御装置が、該制御装置の電子機器に連結された放熱板を含み、
前記冷却流体チャンネルが、前記放熱板に熱的に連結された蛇行部分を含む、
請求項1に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項3】
前記モータが、前記ポンプのハブに直接的に連結するためのスプライン軸を含む、請求項1に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項4】
前記冷却流体チャンネル内の前記低圧作動流体が、冷却及び潤滑を提供するために前記スプライン軸及び前記ハブを通り過ぎる、請求項3に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項5】
第二の出力ポートと、
前記第一の出力ポート及び前記第二の出力ポートに連結された弁と、をさらに含んでおり、
前記モータにより前記弁を前記第一の出力ポートから前記第二の出力ポートへ切り替えることにより、前記高圧作動流体を前記作業機能とは逆方向へ流れさせる、
請求項1に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項6】
前記制御装置及び前記モータを含んでいる第一の側部と、
前記ポンプを含んでいる第二の側部と、をさらに含んでおり、
前記第一の側部は、前記第二の側部に取り外し可能に連結される、
請求項1に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項7】
前記第一の側部は、前記制御装置及び前記モータを密閉するための防水ハウジングを含む、請求項6に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項8】
前記第一の出力ポートが前記第二の側部に配置される、請求項6に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項9】
前記第一の側部が、前記モータにより駆動される外側スプライン軸を含み、
前記第二の側部が、前記ポンプを駆動するためのハブを含み、
前記外側スプライン軸は、前記第一の側部が前記第二の側部に連結された場合に前記ハブを受け入れるように構成されている、
請求項6に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項10】
前記第一の側部は保持クランプを介して前記第二の側部に連結される、請求項6に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項11】
前記第一の出力ポートにおける前記高圧作動流体の圧力レベルをモニターするための圧力センサをさらに含んでおり、前記圧力レベルは前記制御装置によりモニターされ、
前記圧力レベルを力フィードバック制御装置へ送信するための送信機をさらに含んでおり、前記力フィードバック制御装置のジョイスティックの抵抗レベルが前記圧力レベルに比例して調節される、
請求項1に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記モータの前記速度及び前記トルクを高圧作動流体の圧力レベルに関連付ける圧力出力モデルを含み、
前記制御装置は、モニターされた前記圧力レベルを利用して、前記圧力出力モデルを用いて前記モータの速度又はトルクを調節し、前記第一の出力ポートにおける一定の出力圧力又は一定の流量を所定の閾値内に保つ、請求項11に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項13】
前記制御装置は自動較正回路を含み、
前記自動較正回路は、前記モータを複数の様々な速度及びトルクレベルで周期的に作動させ、前記自動較正は、前記複数の様々な速度及びトルクレベルの各々で出力される較正圧力を記録し、
前記自動較正回路は記録された前記較正圧力を用いて前記圧力出力モデルを更新する、
請求項12に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項14】
前記制御装置は前記圧力センサを用いて前記高圧作動流体の総出力容積をモニターし、
前記制御装置は前記総出力容積が所定の閾値を超えた後にポンプ摩耗メッセージを出力する、
請求項12に記載された統合されたポンプシステム。
【請求項15】
前記作業機能は、前記作動流体により作動する機械である、請求項1に記載された作業機能。
【請求項16】
前記低圧戻りラインは、前記作業機能から前記冷却流体チャンネルへと全ての低圧作動流体を戻す、請求項1に記載された作業機能。
【請求項17】
前記低圧作動流体は、前記モータより前に前記制御装置の前記電子機器を冷却する、請求項16に記載された作業機能。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年2月12日に出願された米国仮出願第62/804,709号への優先権を主張し、その全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本明細書における説明は、一般に油圧システムを対象としており、より詳細な説明は、統合されたモータ及びポンプ装置を有する油圧システムを対象としている。
【背景技術】
【0003】
背景
従来の油圧システムは、ポンプを駆動するモータを有し、ポンプは、モータによる駆動に対応して流体を出力する。
従来の油圧システムでは、停止状態からのスピンアップにかなりの時間とエネルギーを要するモータを使用しているため、モータは連続使用で運転される。
したがって、これら従来のシステムは、システムから出る流体の流量及び圧力を制御するための弁を含む。
従来のシステムは、モータとポンプとを別々に有しており、システムの効率を低下させる接合部分を必要とする。
モータとポンプとを別々に備えたシステムは、より多くの部品を有しており、システムコストを増加させる傾向にある。
また、システムのセットアップや維持には、一緒に動作するために別々のメンテナンスや機器構成を必要とする独立部分が多く、労力も大きくなる可能性がある。
これらの非効率性があっても、システムの最も効率悪い部分は、モータへのエネルギー入力に対して弁からの作業出力の量を考慮すると、かなりの量のエネルギー損失を生じる弁である。
【0004】
さらに、従来のシステムでは、例えばストローク終了の検出若しくは漏れ検出の機能又は他の機能などに、外部センサを必要とする。
このようなセンサは、油圧システムの全体に著しいコスト及びサイズを加える可能性がある。
モータ制御のために、センサ入力は、モータ制御装置にフィードバックされる。
センサは、システムに有用な情報を提供するが、従来のシステム設計に本来備わっている非効率性を克服できないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載されているように、油圧システムは、統合されたモータ及びポンプを有する。
モータ及びポンプを統合することにより、接合部品を幾らか排除することができ、ポンプシステムの効率を向上させることができる。
本明細書に記載されているように、統合されたポンプシステムは、統合されたモータとポンプとから作業機能流体を直接的に運ぶことにより、弁の必要性を排除することができる。
弁の排除により、油圧システムから最大の非効率性を取り除くことができ、モータに入力されるエネルギーに対して、作業機能にもっと多くのエネルギー供給をすることができる。
【0006】
統合されたモータ及びポンプからの流体の流れを、パワーオンデマンド(power on demand)を提供するモータを用いて直接に送ることが可能である。
パワーオンデマンドモータとは、要求に応じてスピンアップしたりスピンダウンしたりすることができるモータをいう。
モータは、従来のシステムのように絶えず回転する必要がなく、要求に応じて動作することができる。
電子制御された電気モータは、モータにより必要とされる動作を可能にして、直接の油圧制御を提供することができる。
【0007】
従来の油圧システムにおいて、モータは、流体圧力を維持するために連続的に動作し、その後、弁の切換えにより高圧出力を介して作業機能を調節する。
このようなシステムは、モータ及びポンプの正確さを向上させることと同様に、弁の感度及び動作を向上させることにより、長年にわたり改良されてきた。
しかし、本明細書のシステムでは、従来のシステムに付加されるこの様な正確さの特徴は不要であるが、システムは依然として同じ又は改善された正確な動作を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
本明細書に記載されるような統合されたポンプシステムは、様々な実装を可能にすることができる。
一例において、統合されたポンプシステムは、無弁油圧システムを可能にする。
一例において、統合されたポンプシステムは、該統合されたポンプシステムを用いて作動流体を直接に送ることにより、圧力検出及び圧力制御を可能にする。
一例において、統合されたポンプシステムは、該統合されたポンプシステムを用いて作動流体を直接に送ることにより、流量の検出及び制御を可能にする。
一例において、統合されたシステムは、冷却液としての作業後流体を送液することを可能にする。
この段落で提供された例は、多様なバリエーションを有することができる。
この段落内の例は、特徴の任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0009】
油圧システムは、作業機能の典型的な2つの類型のうちの1つへ、流体を供給する。
作業機能の1つの類型は、線形変位である。
線形変位は、ロッドの変位、または、ロッド若しくは他の固定基準機構に関連するアセンブリの変位であり得る。
作業機能のもう1つの類型は、回転作動である。
回転作動とは、アセンブリを軸周りに回転させることをいう。
作業機能は、軸それ自体であってもよく、または、回転作動によりアセンブリを軸周りに回転させるように軸を固定することもできる。
【0010】
一例において、統合されたシステムは、パワーオンデマンド(power on demand)を提供する永久磁石モータを含む。
モータは、インバータ又は他の制御装置ハードウェアにより駆動させることができる。
制御装置ハードウェアは、モータを回転させるために、モータへの電力の切り替えを制御するエンコーダを含むことができる。
一例において、制御装置は、モータの速度及びトルクを識別できる。
したがって、統合されたシステムは、モータの速度及びトルクに関する情報を含むことができ、ポンプ作動時にシステムに直接的に情報提供することができる。
システムは、モータの作動により直接的に変化する、ポンプによる流体出力の圧力を、モニターして制御することができる。
システムは、モータの作動により直接的に変化する、作動流体の流量を、モニターして制御することができる。
圧力若しくは流量又はその両方を、統合されたポンプシステムへの負荷とみなすことができる。
制御装置は、特定のシステム実装のために管理者により設定された基準セットポイント又は動作閾値に基づいて、ポンプシステムへの負荷をモニターしてモータの動作を変更することができる。
様々なシステム実装は、様々な要件及び様々な動作パラメータを有することが理解されるであろう。
【0011】
一例において、モータ制御は、流体制御の代理としての役割を果たすことができる。
制御は、流量若しくは圧力、又は、流量と圧力との両方に関係することができる。
モータ制御装置は、モータ速度及びモータのトルクに基づいて、流量若しくは圧力又はその両方を計算することができる。
そのような計算は、統合されたポンプシステムを動作させて、その動作パラメータを決定することによる較正を含んでもよい。
電子回路は、特定のポンプシステムのための設定情報を保存することができ、それにより、計算がデバイスに固有であることを可能にする。
一例において、可逆モータ動作を可能にするモータ及び制御装置により、双方向性のポンプ設計を可能にすることができる。
双方向性のポンプを使用することにより、双方向性が要因である実装のための双方向無弁ポンプシステムを、実装することが可能になる。
【0012】
モータとポンプとを組み合わせて統合することにより、油圧システムのコスト、サイズ、及び重量を低減させることができる。
さらに、設計では、一例において、ポンプシステムの中に直接的に統合されたモータ制御装置を含むようにすることができる。
ポンプシステムとパワーオンデマンドとを統合することにより、従来の設計に比べて小型のモータを使用することが可能になる。
さらに、可変容量形ポンプ及び高精度制御弁のための複雑で高価な設計ではなく、システムでは、比較的に単純な部品を使用することができ、モータ並びにポンプの性能及び流量を計測することからのフィードバックに基づいたモータ制御により精密さを得ることができる。
より単純な部品を使用することにより、作動流体中の不純物への耐性をより高めるという効果があり、従来のシステムに比べて、作動時間(メンテナンス間隔)及びライフサイクル全体(ポンプシステムの寿命)を延長することが予測される。
【0013】
ポンプシステムの統合により、作動流体を送液してモータを通過させることができ、モータを冷却することができる。
ポンプシステムの統合により、作動流体を送液して電子機器を通過させることができ、モータ制御装置回路を冷却することができる。
作動流体は、作業機能へ運ばれるように圧力をかけられると、周囲の環境と比べて加熱されることが理解されるであろう。
確かに、ポンプシステムの低圧ポートを通して戻される作業後流体は、周囲の環境よりも高い温度であるであろうが、冷却流体は、従来、前記環境の温度で出発する。
しかし、作業機能へ運ばれるために加熱されたとしても、作業後流体の温度は、モータ部品の温度又はモータ制御電子機器の温度よりも著しく冷たい。
したがって、作業後流体は、モータ若しくは電子機器又はその両方を冷却するのに、有効であり得る。
【0014】
一例において、高圧出力を直接的に制御するモータの速度及び動作パラメータを識別することにより、システムは、モータの動作状態をモニターすることに基づいて失速検出を実行することができる。
例えば、既定の圧力又は流量に対して基準速度を識別することにより、システムは、関連する圧力又は流量に対して基準速度からの偏差を検出することができる。
一例において、もし、モータが基準モータ速度VELREFに対して予測圧力PEXPを有するならば、一定のVELREFでPEXPがI.OXPEXPよりも大きい値になった場合に、システムは失速を特定することができる。
同様に、一例において、もし、モータが基準モータ速度VELREFに対して予測圧力PEXPを有するならば、一定のVELREFでPEXPがI.OXPEXPよりも小さくなった場合に、システムは漏出を特定することができる。
同様の計算を流量に対して行うことができる。
【0015】
一例において、トルクが増加する場合、モータ速度は減速する。
例えば、モータ位置検出は、モータ速度の減速を特定し、モータの減速又は失速が作業機能に対するストローク検出の停止を意味すると判定することができる。
このような状態に対応して、制御装置は、モータを減速又は停止することができる。
モータエンコーダは、典型的には、例えばモータの一回転を表すために1よりも大きい値を有している、モータの非常に良い分析(resolution)に関する情報を有する。
したがって、モータの減速でさえ正確に検出することができ、又はモータ速度の他の変化を検出することができる。
【0016】
様々な実装に関してより具体的な説明を、以下に提供する。
【0017】
無弁油圧システム
【0018】
一例において、システムは、電子制御モータを有するパワーオンデマンドポンプシステムを含む。
電子制御モータは、選択的にオン若しくはオフであるか、又は、選択的に非常に低いRPM(毎分回転数)及び高いRPMである。
モータは、油圧送液するために高速回転させられ、次いで、流体の流れが必要とされないとき、又はポンプの作動により加えられる所望の圧力がもはや必要とされないときに、オフにされる。
一例において、統合されたシステムは、流体制御弁を用いることなく作動流体をポンプシステムから作業機能へ直接的に送るために、高圧流体ポートを有する。
上述のように、モータの動作により、ポンプを用いて流体を直接的に送ることができ、流体制御弁の必要性は取り除かれる。
統合されたモータ及びポンプシステムは、ポートで流量若しくは圧力を直接的に制御するためか、又は、ポートで流量及び圧力の両方を制御するために、モータのRPMを選択的に制御する制御装置を含む。
【0019】
一例において、作業機能は、ピストンの線形変位である。
したがって、モータの動作により、ポンプで流量若しくは圧力又はその両方を増加又は減少させるようにスピンアップ又はスピンダウンさせることができ、ピストンを開始点に対して伸ばすか又は後退させることができる。
【0020】
一例において、作業機能は、回転子の回転作動である。
したがって、モータの動作により、ポンプで流量若しくは圧力を増加させるか又はその両方を増加させるようにスピンアップ又はスピンダウンさせることができ、作動流体の変化に対応して回転子に異なる回転をさせることができる。
【0021】
一例において、電子制御モータは、永久磁石モータである。
一例において、モータは誘導モータではあるが、永久磁石モータは、典型的に誘導モータよりもパワーオンデマンドに対してより効率的かつ高速である。
しかし、適切なモータ設計は、無弁システムにおいても有効である。
【0022】
一例において、モータのRPMを制御することは、高圧ポートで作動流体に対して目標圧力の検出に応じて、モータが回転するのを妨げることを意味する。
一例において、モータのRPMを制御することは、高圧ポートで作動流体に対する目標圧力が所望の閾値を下回ることの検出に応じて、モータの回転をスピンアップさせることを意味することができる。
スピンアップ、スピンダウン、又はモータの停止のために、高圧ポートでの作動流体の直接制御を、従来の制御弁の動作の代わりに行うことができる。
【0023】
一例において、ポンプシステムは、定容量形ポンプである。
作動流体を直接制御するオンデマンドポンプにより、従来の可変容量形ポンプは必要とされない。
定容量形ポンプは、固定変位ポンプは、使用するポンプの類型(例えば、回転ポンプ、軸流ポンプ、ピストンポンプ、遠心ポンプ、又はその他のポンプ)次第で、各運転サイクル中に一定量の作動流体を送る。
可変容量形ポンプは、一つ一つのサイクルで供給される流体の量を変化させるために、機械的若しくは電気的(又は設計によってはその両方)な制御装置を含む。
典型的に、制御は、作動速度とも称することができる速度又はサイクル速度を変化させ、作動時間の変化に比例して流体置換は変化する。
定容量形ポンプを使用することにより、システム内のポンプをより単純にすることができ、ポンプの動作は、ポンプ内の流れを別々に制御する必要がなく、モータの動作が変化するにつれて変化する。
【0024】
一例において、複数の統合されたモータ及びポンプシステムが、一緒にまとめられる。
複数の統合されたモータ及びポンプシステムの結び付き又はまとまりは、複数弁システムの代わりとすることができる。
例えば、複数のパラレル弁の選択的な作動により制御される作動流体を大型モータが送るシステムにおいて、複数の統合されたモータ及びポンプシステムは、弁に取って代わることができる。
統合されたシステムは、既にモータ及びポンプを有しているので、大型のモータ及びポンプを排除することができる。
複数の小規模で効率良いシステムを組み合わせることにより、多くの非効率性を有する大規模システムに取って代わることができる。
したがって、高圧ポートを有する一つの統合されたモータ及びポンプシステムの代わりに、各々が別々の高圧ポートを有する複数のそのようなシステムが存在するであろう。
ポートは、複数の弁で現在行われているのと同様の方法で、作業機能へ送るように共通線に連結することができる。
【0025】
統合されたポンプシステムでの圧力検出
【0026】
一例において、油圧システムは、高圧経路を含んでいる流体の流れのためのチャンネルを有するハウジングを含む。
ハウジングは、電子制御モータを含む。
システムは、流体をハウジングから作業機能へ運ぶための高圧ポートを含み、流体はモータの動作に基づいて運ばれる。
システムは、高圧ポートに対する流体の流れの圧力を検出するための圧力センサを含む。
システムは、基準設定値からの圧力の偏差に基づいてモータの動作を調節するための制御装置を含む。
基準設定値により、高圧基準を示すことができる。
高圧基準により、所望の最大圧力か又は圧力を増加させる必要性をもたらす最小圧力かを、示すことができる。
【0027】
一例において、圧力センサは、モータの回転位置及びトルクに基づいてモータの回転速度を決定するためのモータ位置センサである。
モータの回転位置及びトルクはモータ制御装置から識別することができ、情報から回転速度を算出することができる。
制御装置は、モータエンコーダであってもよく、又はモータエンコーダを含むことができ、エンコーダは、モータを位置決めするコマンドを生成する。
一例において、制御装置は、検出された回転位置とモータへのエネルギー入力とから計算されたモータの速度及びトルクに基づいて、圧力の推定偏差を算出する。
【0028】
一例において、制御装置は、圧力が特定の閾値を超えて増加したことの検出に対応して、モータのスピン速度を低下させる。
例えば、制御装置は、モータを完全にスピンダウンさせてもよい。
制御装置は、モータを部分的にスピンダウンさせてもよい。
例えば、圧力が最大点に達する場合、それはストロークの終了を示すことができる。
【0029】
一例において、制御装置は、モータの既定速度に対して予想されるよりも低い圧力の検出に対応して、誤差表示を生成する。
例えば、油圧システムが漏れ出すときに、圧力は、モータの規定速度に対して予想されるよりも低くなるであろう。
誤差表示には、システムのユーザ又は管理者への表示を含むことができる。
【0030】
一例において制御装置はモータエンコーダであるか又はモータエンコーダを含み、一例においてモータは線形変位モータである。
一例において、線形変位モータは、定容量形モータである。
【0031】
一例において、システムは、ポンプを含む。
ポンプは、チャンネルを通る流体の流れを直接制御するために、ハウジング内に配置される。
ポンプは、モータにより制御される。
一例において、ポンプは、チャンネルの一部であり、モータの部品を取り囲んでいるハウジング内のチャンネルの中へ直接に統合されている。
【0032】
統合されたシステムで流体の流量制御
【0033】
一例において、油圧システムは、高圧経路を含む流体の流れのためのチャンネルを有する、ハウジングを含む。
システムは、ハウジング内に取り付けられた電子制御モータと、ハウジングから作業機能へ流体を運ぶための高圧ポートと、を含む。
流体は、モータの動作に基づいて運ばれる。
一例において、システムは流体制御弁を含まないが、流体制御はモータ動作から直接制御される。
システムは、高圧ポートに対する流体の流量を検出するための流量センサを含む。
システムは、基準設定値からの流量の偏差の検出に対応してモータの動作を調節するための制御装置を含む。
基準設定値により、流量の基準を示すことができる。
基準により、所望の最大圧力又は流量を増加させる必要性をもたらす最小圧力を、示すことができる。
【0034】
一例において、流量センサは、モータの回転位置に基づいてモータの回転速度を決定するためのモータ位置センサであるか、又はこのモータ位置センサを含む。
一例において、制御装置は、推定の流量の偏差を算出する。
流量の偏差は、検出された回転位置から算出されたモータの速度に基づいて、算出することができる。
【0035】
一例において、制御装置は、流量が失速したことの検出に対応して、モータのスピン速度を減少させる。
例えば、制御装置は、モータを完全にスピンダウンさせてもよい。
制御装置は、モータを部分的にスピンダウンさせてもよい。
例えば、流量の失速が、ストローク終了の表示となり得る場合である。
【0036】
一例において、制御装置は、モータの既定速度に対して予想されるより低い圧力の検出に対応して、誤差表示を生成する。
例えば、油圧システムが漏れ出すときに、流量は、モータの既定速度に対して予想されるよりも高くなるであろう。
誤差表示には、システムのユーザ又は管理者への表示を含むことができる。
【0037】
一例において制御装置はモータエンコーダであるか又は制御装置はモータエンコーダを含み、一例においてモータは線形変位モータを含む。
一例において、線形変位モータは、定容量形モータである。
【0038】
一例において、システムは、ポンプを含む。
ポンプは、チャンネルを通る流体の流れを直接制御するために、ハウジング内に配置される。
ポンプは、モータにより制御される。
一例において、ポンプは、チャンネルの一部であり、モータの部品を取り囲んでいるハウジング内のチャンネルの中へ直接に統合されている。
【0039】
冷却のための作業後流体の使用
【0040】
一例において、油圧システムは、流体の流れのためのチャンネルを有するハウジングを含む。
チャンネルは、高圧経路と、低圧戻り経路と、を含む。
低圧戻り経路は、作業後流体を運ぶ。
システムは、ハウジングに取り付けられた電子制御モータを含む。
システムは、ハウジングに取り付けられたポンプと、モータを制御するための電子回路と、を含む。
電子回路は、ハウジングと連結され、モータと共にハウジング内へ統合されることができる。
低圧戻り経路は、電子回路から熱を除去するために、電子回路に作業後流体を通過させる経路を含む。
【0041】
一例において、電子回路は、インバータであるか又はインバータ回路を含む。
一例において、電子回路は、モータ位置エンコーダであるか又はモータ位置エンコーダを含む。
一例において、油圧システムは、ポンプと、システムが流体を送液する作業機能との間に、流体制御弁を欠いている。
一例において、低圧戻り経路は、作業後流体にモータを通過させて運ぶ経路を含む。
【0042】
一例において、ハウジングに連結された流体リザーバをさらに含んでおり、ポンプは、流体リザーバから流体を引き寄せて、作業後流体を流体リザーバへ戻す。
一例において、ハウジングは、低圧入力ポートから低圧出力ポートへ、流体リザーバへの経路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
添付の図面は、上述した1つ以上の実装に適用可能な幾らかの例を提供する。
図面は、次のように簡潔に記述することができ、幾らかの特徴について非限定的な例を提供する。
【0044】
【
図1】
図1には、無弁油圧システムを用いて圧力をモニター及び制御するための制御ループが描かれている。
【0045】
【
図2】
図2には、無弁油圧システムを用いて流量をモニター及び制御するための制御ループが描かれている。
【0046】
【
図3】
図3には、無弁油圧システムと共に用いるための統合されたモータ及びポンプの外観が描かれている。
【0047】
【
図4】
図4には、並列に連結された無弁油圧システムの一例が描かれている。
【0048】
【
図5】
図5には、作業機能へパワーオンデマンドを供給するための無弁油圧システムの一実施形態が描かれている。
【0049】
【
図6】
図6には、モータのための制御装置が組み込まれている無弁油圧システムの一実施形態が描かれている。
【0050】
【
図7】
図7には、圧力センサを含む無弁油圧システムの一実施形態が描かれている。
【0051】
【
図8】
図8には、冷却のための作動流体のフィードバックを含む、無弁油圧システムの一実施形態が描かれている。
【0052】
【
図9】
図9には、双方向に送液可能な無弁油圧システムの一実施形態が描かれている。
【0053】
【
図10】
図10には、統合されたポンプシステムについてモジュール式のバージョンが描かれている。
【0054】
【
図11】
図11には、統合されたポンプシステムと共に用いるための力フィードバックジョイスティックが描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
図1は、本発明の一実施形態にしたがって、圧力をモニター及び制御する制御ループの一例を説明する。
圧力制御システム100は、ハードウェア要素か、又は、ソフトウェア制御要素か、又は、計算若しくは計算エンジンに用いられるデータを提供するハードウェア要素の組み合わせかのいずれかであり得る、様々な要素の例を提供する。
すべての計算は、電子部品内で実行される。
【0056】
RPRESは、特定の実行のための基準圧力をいう
例えば、おそらくポンプシステムは、特定の作業機能のために、100PSI(ポンド/平方インチ)又は他の何らかの設定値で作動流体を運ぶ。
一例において、基準圧力は、設定で変えることができる。
電子制御装置は、基準圧力を受け入れて、統合されたポンプシステム内のモータの動作を制御して、所望の圧力を提供することができる。
【0057】
コンバイナ102は、基準圧力をフィードバック圧力FBPRESと比べるための計算要素を示す。
EPRESは、誤差信号、又は、基準信号とフィードバック信号との差を示す。
フィードバック信号は、次に説明するように、統合されたポンプシステム内の他の構成要素によってもたらされる。
【0058】
一例において、圧力フィルタ110は、誤差信号を受信する。
圧力フィルタ110は、例えば、PID(比例・積分・微分の)若しくは他の誤差補償の構成要素であるか、又はこの構成要素を含むものであり得る。
PIDデバイスは、誤差を受信し、誤差を低減するための出力を生成する。
他の誤差補償の構成要素を用いることができる。
一例において、圧力フィルタ110は、所望の圧力を提供すべきモータ速度を示す基準速度信号を生成する。
モータ速度と所望の圧力との間の相関関係は、統合されたポンプシステムを埋め込む前に測定され、制御装置のメモリに保存することができる測定基準である。
次いで、一定の間隔で、統合されたポンプシステムを再試験又は再較正して、統合されたポンプシステムのポンプ及び/又はモータの磨耗を説明することができる。
【0059】
一例において、圧力フィルタ110は、モータの位置を示す位置センサとしての機能を果たすモータエンコーダから、位置フィードバックFBposを受け入れる。
位置情報は、典型的には、モータが既定の時間にどこにあったかを示す一連のモータ位置情報及びタイミング情報を含み、モータの速度又は回転速度(例えば、RPM又は回転数/分)を計算するために用いることができる。
【0060】
圧力フィルタ110は、モータ制御装置へ基準コマンドRCMDを提供する。
モータコマンドは、モータ自体を駆動するために用いられる電流を基準にすることができる。
したがって、圧力フィルタ110は、ホール効果センサ状態フィルタへ基準コマンドを提供することができる。
一例において、圧力フィルタ110は、(特に示されていない)インバータへ基準コマンドを提供する。
一例において、圧力フィルタ110は、(特に示されていない)増幅器へ基準コマンドを提供する。
モータ制御回路は、コマンドを用いて、モータ140を動作させるための駆動電流を生成する。
【0061】
ホール状態センサ120は、ホール効果センサ122からのホール効果センサ情報に基づいて計算を決定し実行するための論理構成要素を示す。
一例において、モータ140は、複数の様々な導体の分岐(例えば、三相モータ、又はモータ内の巻線/導体の別々に制御可能なグループ)を有する。
ホールセンサ122は、モータ140内で電流が流れている場所を示し、モータのどの分岐が現在アクティブであるかを示すことができる。
モータ140の様々な分岐が様々な時間にアクティブになると、回転子に誘導される電流は、固定子の磁石を引き付けるか又は反発させることができる磁場を生じさせる。
磁場の違いにより、固定子と回転子とは互いに関連して移動し、典型的には、一方は固定され、他方は固定された構成要素に対して回転する。
回転子又は固定子が固定要素であるか否かはモータ設計により決まり、いずれの設計も本明細書に記載されているものを用いて実行することができる。
【0062】
ホール状態センサ120は、コンバイナ又は加算器132へ基準電流RCURRを提供することができる。
加算器132は、基準電流を、モータの電流センサからのフィードバック電流FBCURRと組み合わせることができる。
加算器132は、誤差電流ECURRを生成し、所望の圧力出力を提供するために使用されるべきもので用いられる電流の偏差を示すことができる。
【0063】
一例において、システムは、ECURRの現在の調整情報を受信するための電流フィルタ134を含む。
一例において、電流フィルタ134は、PI(比例・積分の)フィルタ若しくは他の誤差補償フィルタ構成要素であるか、又は、PIフィルタ若しくは他の誤差補償フィルタ構成要素を含む。
一例において、電流フィルタ134は、PWM(パルス幅変調器)出力VPWMを生成する。
PWM出力は、モータ140の駆動に用いる負荷サイクルを示し、モータを駆動している電流を調節することができる。
調節された電流(より具体的には、モータを駆動するために用いられる電流のオン/オフ比)は、既定の状態に調節するのとは異なるようにモータを動作させることができ、所望の圧力を生じさせることができる。
【0064】
モータ(M)140は、電流信号に基づいて動作する、モータ又はモータ制御装置を示す。
一例において、電流センサ136は、モータの1つ以上の電流をモニターするための1つ以上の電流センサを示す。
電流センサは、加算器132へフィードバック電流信号FBCURRを提供することができる。
【0065】
位置センサ112は、モータ140に関する位置センサをモニターする。
位置センサ112は、正確なモータ位置を決定することができ、モータ速度を決定するために用いられる。
一例において、位置センサ112は、位置フィードバックFBposを提供する。
【0066】
プラント150は、モータが駆動する歯車を示す。
プラント150は、モータ140により駆動される統合されたポンプシステム内の歯車を示し、ポンプに作動流体を送らせる。
圧力センサ104は、統合されたシステムの1つ以上のセンサ構成要素を示し、コンバイナ102へ圧力フィードバックを提供する。
【0067】
一例において、システムは、個別の圧力センサのハードウェアを必要とすることなく、圧力センサの状態情報を計算する。
これは、モータに流入する電流をモニターし、入力トルクと出力圧力とを関連付けるポンプの特定の配列を知ること(すなわち、ポンプの地図を作ること)により、達成することができる。
これらの量は、圧力出力=(トルク×定数)/変位という公式により、関連付けることができる。
【0068】
図1の圧力制御システム100は圧力を制御するのに対して、
図2は、流量を制御する流量制御ループ200の一例を説明する。
システム100とシステム200との間には多くの類似点があり、多くの構成要素が同じく動作する。
【0069】
流量制御システム200は、ハードウェア要素、又はソフトウェア制御要素、又は計算若しくは計算エンジンに用いられるデータを提供するハードウェア要素の組み合わせのいずれかであり得る、様々な要素の一例を提供する。
すべての計算は、電子部品内で実行される。
【0070】
RVELとは、統合されたポンプシステムの特定の実装のために動作するモータ240の基準速度をいう。
モータがポンプを直接駆動して作業機能へ流体を提供する場合、モータ240の速度は、作動流体の流量の代理としての役割を果たすことができる(すなわち、相関関係は、モータ240の制御装置により予め知られている)。
したがって、例えば、おそらくポンプシステムは、特定の作業機能のために特定の設定値を有している作動流体を運ぶ。
一例において、様々な目標流量を設定するために、基準速度を設定可能である。
電子制御装置は、基準速度を受け入れて、統合されたポンプシステム内でモータの作動を制御し、所望の流量を提供することができる。
【0071】
コンバイナ又は加算器202は、基準速度を、モータ240の速度であるフィードバック速度MVELと比較するための計算要素を示す。
EVELは、基準信号とフィードバック信号との間の誤差信号又は差を示す。
フィードバック信号は、次に説明するように、統合されたポンプシステム内の他の構成要素によりもたらされる。
【0072】
運動制御フィルタ210は、統合されたモータ240に関する運動制御の一例を提供する。
運動制御フィルタ210は、モータ240の動作を制御するためのハードウェア構成要素を含む。
運動制御フィルタ210は、所望のモータ動作を達成するためのハードウェア構成要素の制御を示す。
一例において、運動制御フィルタ210は、モータ240の位置をモニターするモータ位置センサ212から、位置フィードバックFBposを受け入れる。
一例において、モータ位置センサ212は、モータエンコーダから分離されたセンサである。
位置情報は、典型的には、モータ240が既定の時間にどこにあったかを示す一連のモータ位置情報及びタイミング情報を含み、モータの速度又は回転速度(例えば、RPM又は回転数/分)を計算するために用いることができる。
【0073】
運動制御フィルタ210は、モータ制御装置へ基準コマンドRCMDを提供する。
モータコマンドは、モータ自体を駆動するために用いられる電流を基準とすることができる。
したがって、運動制御フィルタ210は、ホール効果センサ220へ基準コマンドを提供することができる。
一例において、運動制御フィルタ210は、(特に示されていない)インバータへ基準コマンドを提供する。
一例において、運動制御フィルタ210は、(特に示されていない)増幅器へ基準コマンドを提供する。
モータ制御回路は、コマンドを用いて、モータ240を動作させるための駆動電流を生成する。
【0074】
ホール状態センサ220は、ホール効果センサ222からのホール効果センサ情報に基づいて計算を決定及び実行するための論理構成要素を示す。
一例において、モータ240は、複数の様々な導体の分岐(例えば、三相モータ、又はモータ内の巻線/導体の別々に制御可能なグループ)を有する。
ホールセンサ222は、モータ240のどの分岐が現在アクティブであるかを示すために、モータ240内で電流が流れている場所を示すことができる。
モータ240の様々な分岐が様々な時間にアクティブになると、回転子に誘導される電流は、固定子の磁石を引き付けるか又は反発させることができる磁場を生じさせる。
磁場の違いにより、固定子と回転子とは互いに関連して移動し、典型的には、一方は固定され、他方は固定された構成要素に対して回転する。
回転子又は固定子が固定要素であるか否かはモータ設計により決まり、いずれの設計も本明細書に記載されているものを用いて実行することができる。
【0075】
ホール状態センサ220は、加算器232へ基準電流RCURRを提供することができる。
加算器232は、基準電流RCURRを、モータ240の電流センサ236からのフィードバック電流FBCURRと組み合わせることができる。
加算器232は、誤差電流ECURRを生成し、所望の圧力出力を提供するために使用されるべきものに用いられる電流の偏差を示すことができる。
【0076】
一例において、流量制御ループ200は、ECURRの現在の調節情報を受信するために電流フィルタ234を含む。
一例において、電流フィルタ234は、PI(比例・積分の)フィルタ若しくは他の誤差補償フィルタ構成要素であるか、またはPIフィルタ若しくは他の誤差補償フィルタ構成要素を含む。
一例において、電流フィルタ234は、PWM(パルス幅変調器)出力VPWMを生成する。
PWM出力は、モータ240の駆動に用いる負荷サイクルを示し、モータを駆動している電流を調節することができる。
調節された電流(より具体的には、モータを駆動するために用いられる電流のオン/オフ比)は、既定の状態を調節するのとは異なるようにモータ240を動作させることができ、所望の圧力を生じさせることができる。
【0077】
モータ(M)240は、モータ又はモータ制御装置を示し、電流信号VPWMに基づいて動作する。
一例において、電流センサ236は、モータ240の1つ以上の電流をモニターする1つ以上の電流センサを示す。
電流センサ236は、フィードバック電流信号FBCURRを提供することができる。
【0078】
位置センサ212は、モータ240に関する位置センサを示す。
エンコーダは、正確なモータ位置を決定することができ、モータ速度を決定するために用いられる。
一例において、位置センサ212は、位置フィードバックを提供する。
位置フィードバックに基づいて、制御装置は、モータ240の回転速度を計算することができる。
【0079】
プラント250は、モータが駆動する歯車を示す。
プラント250は、モータ240により駆動される統合されたポンプシステム内の歯車を示し、ポンプに作動流体を送液させる。
モータ速度204は、コンバイナ202へ提供するモータの状態である、モータの現在速度MVELを示す。
【0080】
図3は、統合されたポンプシステム300の一例を示す。
統合されたポンプシステム300の形状及び構成は、図示のものと異なることがあり得ると理解され得る。
説明は非限定的な例であり、可能性がある構成は説明するのに数が多すぎることを、当業者であれば理解するであろう。
【0081】
統合されたモータ及びポンプは、統合されたポンプシステムと称することができる。
統合されたポンプシステム300は、従来のポンプやポンプを駆動するためのモータに取って代わることができる。
一例において、統合されたポンプシステム300は、モータ304の動作に基づいて作動流体の出力を直接制御することができ、流量制御弁の必要性を排除している。
一例において、統合されたポンプシステム300は、弁の代わりとすることができ、弁に制御された流体を提供する従来のモータ及びポンプに取って代わることもできる。
【0082】
一例において、統合されたポンプシステム300は、ポンプ306及びモータ304を含むハウジング302を含む。
一例において、ハウジング302は、流体をポンプ306から高圧出力ポート308へ運ぶために、ハウジング自体の内部に流体チャンネルを有する1つ以上の構成要素を含む。
高圧出力ポート308は、システム300が作業機能へ作動流体を提供することを可能にする。
【0083】
一例において、統合されたポンプシステム300は、作業機能からの作動流体のための戻り経路として、低圧入力ポート310を含む。
低圧入力ポート310は、作業後流体を受け入れる。
一例において、低圧入力ポート310は、モータ若しくは電子機器を通過して作業後流体を運ぶか、又は、モータ及び電子機器の両方を通過して作業後流体を運ぶ、ハウジング内部の定圧経路へ連結される。
このような実装において、統合されたポンプシステム300は、統合されたポンプシステム300を冷却するために、作業後流体を使用可能にすることができる。
統合されたポンプシステム300はまた、統合されたポンプシステム300を作動流体リザーバ314へ連結するための入力/出力ポート312を含むことができる。
作動流体リザーバ314は、作業後流体を受け入れて、統合されたポンプシステム300が作動流体リザーバ314から作動流体を送液するところへ戻る経路を、提供することができる。
【0084】
図4は、連携システム400において連結された、2つの統合されたポンプシステム300の一例を示す。
統合されたポンプシステム300が弁の代替(例えば、無弁油圧システム)として用いられる場合、複数の統合されたポンプシステム300を並列に接続して用いて作動流体を共通の作業機能402へ提供することができ、同様のやり方で複数の弁をコマンド(command)作業機能に連結できる。
作業機能402の油圧要求次第で、最大でN個までの統合されたポンプシステム300を並列にして一つに連結可能なことは、当業者には自明のはずである。
【0085】
作業機能402は、図示されたように線形作業機能(矢印は線形変位を示す)であってもよいし、又は回転アクチュエータであってもよい。
一例において、連携システム400は、複数の統合されたポンプシステム300の高圧ライン308の出力を組み合わせて、作業機能402を動作させる。
【0086】
図5には、作動流体リザーバ314から作動流体にアクセスし、高圧ポート308を介して作業機能402へ高圧流体を提供する、統合されたポンプシステム500の模式図が描かれている。
統合されたポンプシステム500は、一つのハウジング302内に統合されたモータ304及びポンプ306を含む、パワーオンデマンドポンプシステムとして機能する。
図示された実施形態において、ハウジング302はまた、モータ304を駆動し且つ統合されたポンプシステム500の動作をモニターするための制御装置502を含む。
例えば、制御装置502は、圧力制御システム100又は流量制御システム200のセンサの様々な出力を受け入れて、モータ304を駆動するためのVPWMを決定する、電子機器として機能させてもよい。
【0087】
モータ304は電気モータであり、制御装置502は、モータ304の動作を制御する制御回路又は電子機器を示す
モータ304は、ポンプ306の動作を駆動することとなる。
モータがポンプ306を駆動する方法に基づいて、ポンプ306は、作動流体を高圧ポート308から作業機能402へ直接的に出力する。
したがって、高圧ポートの出力に対する制御は、ポンプ306の動作を制御しているモータ304の動作により決まる。
作動流体リザーバ314は、作動流体の保持容器又は他の供給源を示す。
【0088】
図6には、作動流体リザーバ314から作動流体にアクセスして、高圧出力ポート308を出発する作動流体の圧力を測定する圧力センサ604からのフィードバック602を含む、統合されたポンプシステム600の模式図が描かれている。
統合されたポンプシステム600は、一つのハウジング302内に統合されたモータ304及びポンプ306を含む、パワーオンデマンドポンプシステムである。
一例において、図示されているように、ハウジング302はまた、モータ304のための制御装置502を含む。
一例において、ハウジング302は、制御装置502に圧力フィードバックを提供する圧力センサ604を含む。
例えば、
図1に関して描かれ説明された圧力制御システム100を実施するために、統合されたポンプシステム600が用いられてもよい。
【0089】
モータ304は電動機であり、制御装置502は、モータ304の動作を制御する制御回路又は電子機器である。
モータ304は、ポンプ306の動作を駆動することとなる。
モータ304がポンプ306を駆動する方法に基づいて、ポンプ306は、流体を高圧ポート308から作業機能402へ直接的に出力する。
したがって、高圧ポート308の出力に対する制御は、ポンプ302の動作を制御しているモータ304の動作により決まる。
作動流体リザーバ314は、作動流体の保持容器又は他の供給源である。
【0090】
一例において、圧力センサ604は、制御装置502へフィードバック602(
図1のFBPRE
S)を提供する。
圧力センサ604は、任意の類型の圧力センサ604であってもよい。
圧力センサ604の例は、別個のセンサ構成要素を含むことができるか、又は、圧力フィードバックを提供するためにポンプ内の電子機器及び機械構成要素を含むことができる。
圧力センサ604は、高圧ポート308から出ていく作動流体の圧力に関して、フィードバックを提供することができる。
一例において、検出された圧力が閾値圧力を上回る場合、制御装置502は、モータ304の動作を遅くして、ポンプの動作を減らすことができる。
一例において、圧力が閾値圧力よりも低い場合、制御装置502は、モータ304の動作を増やして、ポンプ306の動作を増やすことができる。
この方法により、高圧出力ポート308を通る作動流体の定圧出力を、選択された許容範囲内(すなわち、上側圧力閾値と下側圧力閾値との間)に維持することができる。
【0091】
図7では、作動流体リザーバ314から作動流体にアクセスし、モータ304からのモータフィードバック702を直接的に受け入れる、統合されたポンプシステム700の一例を示す。
統合されたポンプシステム700は、一つのハウジング302内に統合されたモータ304及びポンプ306を含む、パワーオンデマンドポンプシステムである。
一例において、図示されたように、ハウジング302はまた、モータ304のための制御装置502を含む。
一例において、ハウジング302は、ポンプ706から高圧ポート308への流体の圧力をモニターする圧力センサ604を含む。
【0092】
モータ304は電動機であり、制御装置502は、モータ304の動作を制御する制御回路または電子機器を提供する。
モータ304は、ポンプ306の動作を駆動することとなる。
モータ304がポンプ306を駆動する方法に基づいて、ポンプ306は、作動流体を高圧ポート308を通して作業機能402へ直接的に出力する。
したがって、高圧ポート308の出力に対する制御は、ポンプ306の動作を制御しているモータ304の動作により決まる。
作動流体リザーバ314は、作動流体の保持容器又は他の供給源である。
【0093】
一例において、圧力センサ604は、ポンプ306若しくはモータ304の中へ又はその両方の中へ、統合されてもよいセンサハードウェアを示す。
したがって、圧力センサ604は、制御装置502を用いたモータ304との接続を介して、制御装置502へフィードバックを提供することができる。
制御装置502はモータ304にモータ制御を提供し、モータ304は、例えばモータ位置及びモータの速度などのモータフィードバック702を、制御装置502に提供することができる。
一例において、制御装置502は、モータ304を介して、モータフィードバック702に基づいて圧力情報を計算する。
一例において、検出された圧力が閾値圧力を上回る場合、制御装置502は、モータ304の動作を遅くして、ポンプの動作を減少させることができる。
一例において、圧力が閾値圧力よりも低い場合、制御装置502は、モータ304の動作を増やして、ポンプ306の動作を増加させることができる。
【0094】
図8は、リザーバから流体にアクセスし、モータを通るフィードバックを含む、統合されたポンプシステムの例を示す。
システム800は、一つのハウジングの中に、統合されたモータ及びポンプを含むパワーオンデマンドポンプシステムを含む。
一例において、図示されているように、ハウジングはまた、モータのための制御装置を含む。
一例において、ハウジングは、ポンプから高圧ポートへの流体の圧力をモニターする圧力センサを含む。
一例において、システムは、電子機器及びモータを冷却するための低圧流体戻り経路を提供する。
【0095】
モータは電気モータを示し、制御装置は、モータの動作を制御する制御回路または電子機器を示す。
モータは、ポンプの動作を駆動することとなる。
モータがポンプを駆動する方法に基づいて、ポンプは、流体を高圧ポートを通して作業機能へ直接的に出力することとなる。
したがって、高圧ポートの出力に対する制御は、モータの動作により決まり、ポンプの動作を制御している。
リザーバは、作動流体の保持容器又は他の供給源を示す。
【0096】
一例において、圧力センサは、ポンプ若しくはモータ又はその両方に統合可能なセンサハードウェアを示す。
したがって、圧力センサは、モータの制御装置との接続を介して、制御装置へフィードバックを提供することができる。
制御装置はモータにモータ制御を提供し、モータは、例えばモータ位置及びモータの速度などのフィードバックを、制御装置に提供することができる。
一例において、制御装置は、モータを介したフィードバックに基づいて、圧力情報を計算する。
一例において、圧力が閾値圧力を上回る場合、制御装置は、モータの動作を遅くして、ポンプの動作を低減させることができる。
一例において、圧力が閾値圧力よりも低い場合、制御装置は、モータの動作を増やして、ポンプの動作を増加させることができる。
【0097】
典型的には、油圧システム内で作業が行われた後、油圧流体は、油圧流体リザーバに戻される。
この戻された作動流体は、作業機能で行われている作業が原因で、供給ラインよりも低くなっている。
本発明の一実施形態において、戻された作動流体は、作動流体が作動流体リザーバ314へ戻される前に、制御装置502、モータ304、及び軸継手804を冷却するために用いられる。
この特徴を示す概略図が、統合されたポンプシステム800を用いている
図8に描かれている。
【0098】
作動流体は、高圧ポート308を通り出て、作業機能402において線形作業又は回転作業を行うために用いられる。
これにより、作動流体は圧力低下する。
一般的に、低圧作動流体の最高温度は、140~160°Fである。
この温度は、制御装置502の電子機器が作動する温度又はモータ304及び/若しくは軸継手が作動する温度よりも、未だに非常に冷たい。
【0099】
低圧作動流体は、低圧戻りライン310を介して、統合されたポンプシステム800に入る。
作動流体は、描かれたように、制御装置502の電子機器及びモータ304を通過している/通り越している冷却流体チャンネル802を通して導かれ、その後、作動流体リザーバ314に戻る。
制御装置502は、電子機器に連結された放熱板を含むのが好ましい。
冷却流体チャンネル802は、放熱板を通過するか又は通り越して、流体冷却技術で知られているような効果的な冷却を提供するのが好ましい。
例えば、冷却流体チャンネル802は、表面のかみ合い範囲を増加させて、表面上の熱伝達を均等に広げるために、モータ304の周囲にコイルを巻く部分を含むのが好ましい。
【0100】
必要に応じて又はさらに、一連の油浴で潤滑を提供するために、低圧作動流体(油)は軸継手804を直接的に通過してもよい。
モータ軸とポンプ軸との接続は、直接的であってもよいし、又は、二つの軸を接続するための継ぎ手を用いてもよい。
作動流体の漏出を防止するために、冷却流体チャンネル802の軸継手804への連結は、Oリング又はガスケットで封をされるのが好ましい。
軸継手804を通して油圧流体を押し進めるために、わずかな背圧を作り出すように、バッフルもまた使用してもよい。
【0101】
ポンプ306により移動させられる作動流体は、
図8に描かれているように、モータ304及び制御装置802を冷やすために用いられた後、モータ軸とポンプ軸とが接続する領域内へ押し進められる。
したがって、作動流体は、モータ304及びポンプ306へ、潤滑及び冷却の両方を提供する。
このことは、モータ304が回転しているときはいつでも、モータ軸及びポンプ軸が連続的に油で潤滑されることを保証する。
また、冷却及び潤滑に油圧オイルを用いることにより、標準的に油圧機器の一部に存在する可能性のある専用の冷却システムを、排除することができる。
【0102】
統合されたポンプシステム800が標準ポンプモードで動作し、従来の電子システムのように弁の列に一方向流を提供する場合、統合されたポンプシステム800により生成される熱を50%以上低減させることができる。
しかし、統合されたポンプシステム800が
図8に描かれているように利用され、作業機能402から作動流体を直接的に提供/戻す場合、一方通行弁、圧力弁、及び制御弁を有する従来のHPUと比較したときに、発生する熱を、80%を超えて低減させることができる。
このことは、他の油圧システム(例えば、サーボ駆動HPU、誘導電動駆動、又は燃焼エンジン駆動)と比較した場合、50~80%の全体的効率をもたらす。
【0103】
図9には、作動流体を双方向に送液することができる、統合されたポンプシステム900の一実施形態が描かれている。
この実施形態において、モータ304は、永久磁石モータであるのが好ましい。
この類型のモータには、高効率であり、迅速に回転を早めることができ、可逆性があるという利点がある。
高圧出力ポート308及び低圧出力ポート310は、モータ304の動作方向次第で作業機能402へ高圧作動流体を出力するようにそれぞれ構成された、双方向ポート902に置き換えられる。
【0104】
ポンプの出力は、現在の送液する方向次第で、高圧作動流体をリザーバ314からどちらかのポートを通して送るように切り替え可能な、逆止弁904を経由して送られる。
低圧作動流体が常に同じ方向、すなわち、最初に通り過ぎる制御装置502、通り過ぎるモータ304、及び次に軸継手804を通して流れて、既に説明したように潤滑を提供することを確実にするために、逆止弁904の別の出力は、冷却流体チャンネル802に連結される。
逆止弁904を用いて、モータ304を逆方向にする必要なく、作動流体の双方向の流れが達成される。
【0105】
前述したように、
図1~9に描かれた統合されたポンプシステムには、複数のセンサ(モータ速度センサ、モータ位置センサ、電流センサ、ホール状態センサ等)が組み込まれている。
既知のモータ速度が既知の圧力又は流れ出力を生成できるように、モータ304は最初に較正される。
しかし、モータ304及びポンプ306が時間と共に劣化するにつれて、同じモータ速度では、当然に、より低い圧力又は流れ出力が作り出されることとなる。
本発明の幾つかの実施形態において、制御装置502は、モータ304が複数の様々な速度で動作して結果として生じる流れ又は出力圧力が記録される、自動較正を含む。
これにより、制御装置502は、統合されたポンプシステムのために新しい出力モデルを作り出すことができ、次にこれを用いて、モータ304の制御において制御装置502により利用される制御アルゴリズムを、更新することができる。
【0106】
制御装置502は、ポンプ306を駆動するために、モータ304のトルク及びRPMを正確に制御することができる。
ポンプ306が定容量形ポンプである場合、出力圧力及び流れは、モータ304の入力トルク及びRPMにより決まる。
入力、トルク及びRPM、並びに出力、圧力、及び流れの間の正確な関係は、ポンプ306の配置と、送液する動作を妨げる例えば摩擦及び漏出等の様々な非効率性との両方の組み合わせにより決まる。
【0107】
統合されたポンプシステム100又は統合されたポンプシステム200において装置内の統合された圧力センサ及び流れセンサを用いることによって、ポンプを既知のトルク及びRPMで駆動することにより生成される圧力及び流量を、測定することができる。
次に、これらの測定値を用いて、ポンプ306が同様の既知のトルク及びRPMで駆動される場合に、ポンプ306の出力圧力及び流量を正確に予測することができる。
【0108】
ポンプ306が時間と共に磨耗するにつれて、入力トルクと出力圧力及び流れに対する速度との間の関係は、変化して効率を低下させることとなる。
ポンプ306の効率が低下するにつれて、同じ圧力及び流れ出力を生じさせるために、より大きなトルク及び速度を必要とするであろう。
前述した自動較正は、ポンプ306の状態を評価するために、自動的又はユーザからの要求のいずれか一方により動作し得る、診断ルーチンとして機能させることができる。
この情報は、コマンドされた圧力又は流量に達するように、目標トルク又はRPMを効果的に選択するために用いられる。
例えば、モータ304は、目標流量10gpmを達成するために最初は2000rpmで回転するかもしれないが、2000rpmにより9.8gpmしか達成しないように、時間と共にポンプ306は摩耗する。
較正後、目標の10gpmはポンプ306をおそらく2200rpmで駆動することにより得られるはずであることを、装置は決定することができるであろう。
【0109】
ポンプ306について幅広いサンプルでかなりの数の診断を実行した後には、ポンプ306が既定の作業機能402の要求をもはや満たさない点にまで摩耗するときを、先制して予測することができる。
この情報は、重要でない作動時間にポンプ306を交換するために、ユーザに通知するように用いることができる。
このことは、ポンプ306が重大な機能を実行している間に破滅的なまでに故障しない可能性を大いに増加させ、ほとんどの場合、統合されたポンプシステムの「使用可能時間」を増加させる。
【0110】
前述したように、
図1~9の統合されたポンプシステムは、モータ304及びポンプ306が中で共に配置された、一つのハウジング302を利用する。
しかし、幾つかの実施形態において、モータ304及びポンプ306は、「湿潤」ユニット及び「乾燥」ユニットとして別々に製造されてもよく、モジュール方式で連結させることができる。
例えば、
図10には、乾燥側
部1002及び湿潤側
部1004を含んでいる、モジュール式の統合されたポンプシステム1000が描かれている。
乾燥側
部1002は、モータ304と制御装置502との間の接続を含んでいる、電子的な接続が行われる、モジュール式の統合されたポンプシステム1000の要素を組み込んでいる。
湿潤側
部1004は、ポンプ306と、例えば高圧出力ポート308及び低圧出力ポート310などの全ての油圧ホース接続部と、を組み込んでいる。
このことは、モータ304のスプライン軸に機械的に取り付けられた、自動調心機械スプライン軸継手(self-aligning mechanical spline shaft coupler)を用いることにより、達成される。
すなわち、乾燥側
部1002は、湿潤側
部1004上での受け入れスプラインハブと連結する歯車を有している、外部オス軸を含む。
任意の類型のスプライン軸継手804には、モータ304をポンプ306に連結可能にするための本発明と互換性があることを、当業者は認めるであろう。
乾燥側
部1002を湿潤側
部1004へ解放可能に連結するために、四つの保持クランプ1006のセットが、使用される。
【0111】
このモジュール方式により、検査及び/又は取換えのために、湿潤側部1004から離れて乾燥側部1002を容易に取り外し可能である。
乾燥側部1002の制御装置が寿命に達した場合、その場所に新しい乾燥側部1002を取り付けることができ、露出した油圧ホースの端部を取り外して蓋を被せる/覆いを掛ける煩わしい行為を必要としない。
これにより、油による汚染や有害な流出の機会は、最小限になる。
【0112】
次の
図11を参照すると、力フィードバックジョイスティック1102を組み込んでいる統合されたポンプシステム(100、200)の模式図が描かれている。
統合されたポンプシステム100は、例えば、作動流体の出力圧力の制御に用いられる圧力センサ104を組み込んでいる。
この実施形態において、圧力センサ104の出力はまた、有線又は無線のいずれかで、通信ネットワーク上に送信される。
もたらされた圧力情報は、即時に、力フィードバックジョイスティック1102へ送り込まれる。
圧力出力が作業機能402まで増加するにつれて、力フィードバックジョイスティック1102は、ジョイスティックの運動に対する抵抗が圧力量に従って(例えば、線形又は非線形)増加するように調節され得る。
このことは、ユーザ又は機械のオペレータに知らせるのに役立つ。
例えば、作業機能に突然の妨害があると、圧力出力を急激に増加させ得る。
この増加は、ジョイスティックを移動させるのに必要とされる力の量を急激に増加させるため、力フィードバックジョイスティックを用いようと試みているユーザに、直ちに容易に気付かれることとなる。
典型的な油圧パワーユニットは、パワーユニット自体の外部にデジタル圧力センサを追加しなければ、この圧力情報をデジタル処理で利用することはできない。