(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ハイトチャンネルスピーカ用音響反射器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
H04R1/34 310
(21)【出願番号】P 2021549961
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020019523
(87)【国際公開番号】W WO2020176421
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ティッパラジュ,ラクシュミカント
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-82162(JP,A)
【文献】特開2006-157397(JP,A)
【文献】特表2018-527808(JP,A)
【文献】特開2004-170746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リスニング環境の上面から反射されるように音波を伝達するためのハイトチャンネルスピーカであって:
傾斜面によって接合される第1の側部及び第2の側部を有するエンクロージャであって、前記第1の側部は前記第2の側部より低い垂直高さを有する、エンクロージャと;
前記傾斜面上に設置され、前記傾斜面によって画定される平面に垂直な放射軸に沿って音響エネルギを放射するように配置されるトランスデューサと;
前記第1の側部に取り付けられ、放射される前記音響エネルギを前記リスニング環境の前記上面に向け、成形し、集束させるように構成される音響反射器と;
前記第2の側部に取り付けられ、前記第2の側部の上に前記音響反射器と実質的に平行に延びる壁構造と;を有する、
スピーカ。
【請求項2】
前記音響反射器は、前記第1の側部の上に延び、内面と外面とを有する、平面構造を有する、
請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記音響反射器の前記内面は、前記トランスデューサの前記放射軸に関して、平坦、凸、又は凹形状のうちの1つである、
請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記傾斜面によって画定される前記平面は、前記リスニング環境の床面から0度より大きく90度未満の傾斜角を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記音響反射器の前記内面は、凹形状を有し、前記内面と前記外面とを接合する縁部が、丸みを帯びたプロファイルを有する、
請求項3、又は、請求項2を直接的若しくは間接的に引用する請求項4に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記音響反射器の前記内面は、前記凹形状を有し、前記壁構造は、オーディオ再生装置のパネルへの取り付けのための外面と、前記音響反射器の前記内面の前記凹形状に一致する凸状内面とを有する、
請求項3、請求項3を引用する請求項4、請求項5のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記音響反射器及び前記壁構造のそれぞれの端部側は、それぞれの端部壁によって接合されて、前記傾斜面の上に延びる成形された音伝達カラムを形成する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記成形された音伝達カラムは、前記放射される音を前記リスニング環境の前記上面に向ける音伝達開口を有し、さらに、前記音伝達開口の断面形状は、円形、長方形、正方形、台形又は楕円形のうちの1つである、
請求項7に記載のスピーカ。
【請求項9】
前記成形された音伝達カラムの閉じた音響パイプ効果によって導入される共振ピークを緩和する共振器を提供するために、前記トランスデューサに隣接する前記傾斜面又は前記成形された音伝達カラムの1つ以上の内面に切り込まれる1つ以上の音響キャビティをさらに有する、
請求項7又は8に記載のスピーカ。
【請求項10】
前記1つ以上の
音響キャビティは、音響減衰材料で満たされるとともに穿孔メッシュによって覆われ、前記共振器は、1/4波長共振器又はヘルムホルツ共振器を含む、
請求項9に記載のスピーカ。
【請求項11】
前記トランスデューサは、単一のトランスデューサ又はアレイ内の複数のトランスデューサのうちの1つであり、さらに、前記トランスデューサは、形状が円形又は長方形のうちの1つであり、前記トランスデューサは、ツイータ、ミッドレンジ、又はウーハドライバのうちの1つである、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項12】
高さの手がかりを有する没入型オーディオコンテンツのためにリスニング環境の天井から音波を反射させる方法であって:
スピーカのトランスデューサからの音波を放射軸に沿って前記スピーカに取り付けられた音響反射器に向けるステップであって、前記音響反射器は、前記トランスデューサの前記放射軸が前記音響反射器の内面に直接入射するように、前記トランスデューサと同じ傾斜面上に取り付けられ、前記音響反射器は、前記没入型オーディオコンテンツの前記高さの手がかりを提供するように、前記トランスデューサから前記天井に向かって前方上向き傾斜方向に入射する音の放射を反射し、成形し、集束させる、ステップを含み、
前記スピーカは、傾斜面によって接合される第1の側部及び第2の側部を有するエンクロージャを有し、前記第1の側部は前記第2の側部より低い垂直高さを有し、前記音響反射器は前記第1の側部に取り付けられ、前記スピーカは、前記第2の側部に取り付けられ、前記第2の側部の上に前記音響反射器と実質的に平行に延びる壁構造をさらに有する、
方法。
【請求項13】
前記音響反射器の内面は、前記トランスデューサの前記放射軸に関して、平坦、凸、又は凹形状のうちの1つであり、前記傾斜面は、前記天井に平行な床面から0度より大きく90度より小さい傾斜角を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
パネルを有するオーディオ再生装置と;
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のハイトチャンネルスピーカであって、前記ハイトチャンネルスピーカの前記エンクロージャの前記第2の側部は、前記パネルの後側に取り付けられ、前記パネルの少なくとも一部は、前記トランスデューサからリスナーへの直接の音の伝達が減少されるように前記パネルの前側に面する前記リスナーからの音響遮蔽を提供するバリアを形成する、ハイトチャンネルスピーカと;を有する、
装置。
【請求項15】
前記パネルは、フラットパネルディスプレイスクリーンを含み、前記オーディオ再生装置は、テレビ、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、又はゲームコンソールのうちの1つを含む、
請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年2月27日に出願された米国仮特許出願第62/811,371号及び2019年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/932,135号の優先権を主張するものであり、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1つ以上の実装は、概してオーディオラウドスピーカに関し、より具体的には、一体化された(integrated)音響反射器を備えたハイトチャンネル(height channel)スピーカに関する。
【背景技術】
【0003】
現代のオーディオのマルチチャンネルオーディオコンテンツは、リスナーの上にあることを意図されているオーディオソースのためのハイトチャンネルを含むことができる。ハイトチャンネルスピーカ(ハイトスピーカ又はハイトスピーカモジュールとも呼ばれる)は、それらの音響エネルギの大部分を天井に向かって放射する。音を天井に反射させることによって、ハイトスピーカは、音源が天井にあるかのように音声(audio)を再生する。
【0004】
ホームオーディオ/ビジュアル(A/V)システムは、オーディオ再生システムに重大な課題を提起するデバイスをますます特徴としている。フラットパネルディスプレイ、ポータブル及びタブレットコンピュータ、スマートフォン、小型オーディオシステムなどは、すべて、オーディオスピーカを設置し収容するためのスペースを制約している。厚さ(又は深さ)など、ハイトスピーカの物理的寸法に制約がある状況では、直接上向き発射スピーカは、十分に有効な又は望ましいハイト効果(height effect)を生じないことがある。減少した厚さの制約のため、トランスデューサの音響中心と凹んだ(recessed)壁構造(例えば、TVパネル)との間の距離は、従来のハイトスピーカと比較すると、大幅に短縮される。これは、天井から音の反射を作り出すのとは対照的に、音響エネルギが凹んだ壁構造から反射されることになる。この破壊的な干渉(destructive interference)は、ハイトチャンネルの内容を再現する音響エネルギを最小限に抑え、その結果、リスナーは、音声を、上から反射されるのではなく、凹んだ壁構造からの破壊的な干渉として認識する。加えて、厚さの制限を満たすために、通常、ハイトスピーカに狭い(薄い)トランスデューサを使用する必要がある。トランスデューサから放射される遠距離場(far field)圧力は、トランスデューサの放射面のサイズに依存するので、薄いハイトスピーカモジュールは、従来のハイトスピーカと比較して、より低い音響出力及びより狭い分散パターンを有する。薄いトランスデューサスピーカ、及び反射ハイトチャンネルスピーカに使用される他の類似のトランスデューサの上方への発射効果を高めるためには、これらの制約及び他の制約に対処する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、ハイトチャンネルスピーカと共に使用するために、一体化された音響反射器(音響レンズとも呼ばれる)を備えたハイトチャンネルスピーカに向けられる。音響反射器は、ハイトスピーカトランスデューサから天井、又は類似の上方の室内表面に向かって上向きに発生する音響エネルギを反射し、成形し(shape)、集束させる(focus)ために使用される。音響反射器は、ハイトスピーカエンクロージャ(又はキャビネット)の外側に実音源の虚像(virtual image)を生成することによって、トランスデューサの制約された厚さを克服するのを効果的に助ける。音響反射器の焦点は、音響反射器表面の曲率を修正することによって制御される。
【0006】
ハイトスピーカトランスデューサは、音響エネルギが後方上向き傾斜方向に放射されるように、スピーカキャビネットの傾斜面に取り付けられる。音響反射器のベース部は、トランスデューサの放射軸が音響反射器の表面に直接入射するように、同じ傾斜面上又はトランスデューサの取り付け面に平行な面上に取り付けられる。音響反射器は、ハイトコンテンツを伴う音声のための効果的なオーディオの高さの手がかり(audio height cues)を提供するために、大部分の入射音響放射を前方上向き傾斜方向に天井に向けて反射し、集束させる。さらに、実施形態は、一体化された反射器を備えたハイトスピーカを作る方法に向けられている。
【0007】
ハイトスピーカは、パネルがハイトスピーカトランスデューサから伝えられる音を少なくとも部分的に遮蔽し(occludes)、トランスデューサからリスナーへの直接的な音の伝達を最小限に抑え、それによってリスナーへの下向きの反射のために音の全部又は大部分を天井に集束させるように、テレビ又は他の再生装置の後部パネルに取り付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面では、同様の要素を参照するために、同様の参照番号を使用する。以下の図は、様々な例を示すが、1つ以上の実装は、図に示された例に限定されない。
【0009】
【
図1A】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器と共に使用するための例示的なハイトスピーカモジュールを示す。
【
図1B】いくつかの実施形態
に関連する、
図1Aのハイトスピーカモジュールに組み込まれた例示的な音響反射器を示す。
【
図1C】いくつかの実施形態
に関連する、
図1Aのトランスデューサキャビネットの切り欠き図である。
【
図1D】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器及びデュアルモータトランスデューサと一体化されたハイトスピーカの切り欠き図を示す。
【
図2A】いくつかの実施形態
に関連する、フラットパネルテレビとともに使用される音響反射器ハイトチャンネルスピーカの斜視図を示す。
【
図2B】音響反射器ハイトチャンネルスピーカを取り付けた
図2Aのフラットパネルディスプレイの正面図である。
【
図3】いくつかの例示的な実施形態
に関連する、天井からリスナーに音を反射させるために使用される、
図2のA/V装置及びスピーカセンブリを示す。
【
図4A】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器ハイトチャンネルスピーカのいくつかの関連する設計パラメータを示し、いくつかの実施形態の下での、音響ハイトチャンネルスピーカの厚さを示す。
【
図4B】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器ハイトチャンネルスピーカのいくつかの関連する設計パラメータを示し、いくつかの実施形態の下での、トランスデューサの傾斜角に関連する変数を示す。
【
図4C】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器ハイトチャンネルスピーカのいくつかの関連する設計パラメータを示し、いくつかの実施形態の下での、音響反射器の幾何学的形状を規定する変数を示す。
【
図5A】
いくつかの実施形態に関連する、滑らかなコーナーを備えた凸面を有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカの側面斜視図を示す。
【
図5B】いくつかの実施形態
に関連する、
図5Aのスピーカの正面斜視図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態
に関連する、複数のトランスデューサを有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカを示す。
【
図7A】いくつかの実施形態
に関連する、平面音響反射器を有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカの側面図を示す。
【
図7B】いくつかの実施形態
に関連する、
図7Aのスピーカの正面斜視図を示す。
【
図7C】いくつかの実施形態
に関連する、音響反射器のための組み合わされた直線及び曲線表面の一例を示す。
【
図8A】いくつかの実施形態の下での、音響反射器のための2部分湾曲壁構造を備えた音響反射器ハイトチャンネルスピーカの側面図を示す。
【
図8B】いくつかの実施形態の下での、
図8Aのスピーカの正面斜視図である。
【
図9A】いくつかの実施形態の下での、ハイトチャンネルスピーカのための埋め込まれた音響反射器表面を備えた導波路の正面斜視図を示す。
【
図9B】いくつかの実施形態の下での、
図9Aのスピーカの切り欠き図である。
【
図10A】いくつかの実施形態の下での、楕円形の口プロファイルを有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカのための閉壁構造の正面斜視図である。
【
図10B】いくつかの実施形態の下での、
図10Aのスピーカの前面切り欠き図を示す。
【
図11】いくつかの実施形態の下での、
図9Aの例示的な矩形口音響反射ハイトチャンネルスピーカの音響指向性応答を示す等高線図である。
【
図12】いくつかの実施形態の下での、埋め込まれた音響反射器表面を備えたハイトスピーカ導波路に対する基準軸に沿った例示的な振幅応答曲線を示す。
【
図13】いくつかの実施形態の下での、ハイトスピーカの前方容積チャンバのための共振器設計を示す。
【
図14】いくつかの実施形態の下での、共振器を備えた
図12の周波数応答曲線を示す。
【
図15A】いくつかの実施態様の下での、部屋の天井及び壁から音を導く音響反射器を有するハイト及びサイドスピーカの両方を備えたディスプレイパネルの正面斜視図である。
【
図15B】いくつかの実施形態の下での、
図15Aのディスプレイパネル及びスピーカの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態は、ハイトチャンネルスピーカと共に使用する又はハイトチャンネルスピーカと一体化された音響反射器設計を対象とする。記載された実施形態のいずれも、単独で、又は任意の組み合わせで互いと共に使用され得る。種々の実施形態は、明細書において議論され得る、現在及び既知の解決策に関する種々の欠陥によって動機付けられ得るが、実施形態は、必ずしもこれらの欠陥のいずれにも対処しない。異なる実施形態は、異なる欠陥に対処し得、いくつかは、部分的にのみ対処し得る。
【0011】
本説明の目的のために、以下の用語は関連する意味を有する:用語「チャンネル」は、オーディオ信号に加えて、チャンネル識別子として位置が符号化されるメタデータ、例えば、左前又は右上のサラウンドを意味する;「チャンネルベースのオーディオ」は、関連する公称位置を有するあらかじめ定義された一組のスピーカゾーンを介して再生されるようにオーディオフォーマットされる、例えば、5.1、7.1など(すなわち、定義されたチャンネルの集合);「オブジェクト」は、見かけのソース位置(例えば、3D座標)、見かけのソース幅などのパラメトリックなソース記述を有する1つ以上のオーディオチャンネルを意味する;「オブジェクトベースのオーディオ」は、定義したとおりのオブジェクトの集合を意味する;及び「没入型(immersive)オーディオ」(又は「空間オーディオ」若しくは「適応(adaptive)オーディオ」)は、チャンネルベース及びオブジェクト又はオブジェクトベースのオーディオ信号に加えて、オーディオストリーム+その中で位置が空間内の3D位置としてコード化されたメタデータを用いて再生環境に基づいてオーディオ信号をレンダリングするメタデータを意味する;「リスニング環境」とは、オーディオコンテンツの再生のために単独で、又はビデオ若しくは他のコンテンツと共に使用することができ、家庭、映画館、劇場、講堂、スタジオ、ゲームコンソール等において具体化することができる部屋のような、開放された、部分的に囲まれた、又は完全に囲まれた領域を意味する。
【0012】
「スピーカ」又は「ラウドスピーカ」という用語は、1つ又は複数のドライバを収容するキャビネットを有するオーディオ再生スピーカを意味し、ここで「ドライバ」という用語は、電気オーディオ信号を音波に変換する個々のオーディオトランスデューサを意味し、コーン、ホーン、マイクロスピーカ、又は平面(planar)ドライバとして実装され得、フルレンジドライバであり得る、又はツイータ、ミッドレンジドライバ、ウーハ、サブウーハなどのような特定の周波数範囲を再生するように構成され得る。「キャビネット」という用語は、トランスデューサ又はトランスデューサ(複数)(又はドライバ)を収容し、典型的にはトランスデューサを音響的に絶縁するように完全に囲まれているが、特定のオーディオ応答特性のために必要とされる場合には孔をあけられ得る又は部分的に開放され得るスピーカエンクロージャ又はボックスを意味する。
【0013】
ハイトチャンネルスピーカと共に使用する又はハイトチャンネルスピーカと一体化するための音響反射器設計のためのシステム及び方法が記載されている。ハイトチャンネルスピーカのトランスデューサ(実音源とも呼ばれる)は、典型的には、トランスデューサの放射軸が天井に直接入射するように、スピーカキャビネットの凹んだ傾斜面に取り付けられる。このようなスピーカは、直接上向き発射スピーカと称され得る。これらのスピーカは、ハイトチャンネルコンテンツを再現する音響エネルギが最大にされるように設計される。スピーカの構成及び傾斜の角度に依存して、ハイトスピーカからリスナーに到達する天井反射及び直接音成分の両方が存在し得る。直接上向き発射スピーカ効果を高めるためには、スピーカ自体からではなく、上から反射される音をリスナーが知覚すべきことが重要である。従って、ハイトスピーカは、リスナーへの水平音響リークを低減するために音響遮蔽(acoustic occlusion)を使用し得る。音響遮蔽は、トランスデューサをその取り付け面内に陥没させる(recessing)ことによって導入されて、直接リスナーに向かって放射する音波を物理的に遮断する。加えて、音源が天井から発生するように見えるように、周波数応答を修正するために、上向き発射スピーカに高さキューフィルタ(height cue filters)が適用され得る。
【0014】
一実施形態では、上向きに傾斜したトランスデューサを有するハイト発射スピーカは、スピーカトランスデューサから上向きにリスナーの上の天井又は他の面に伝達される音響エネルギを反射、成形、及び集束するために使用される音響反射器を含む。ハイトスピーカトランスデューサは、音響エネルギが後方上向き傾斜方向に放射されるように、傾斜平面上に取り付けられる。音響反射器のベース部は、トランスデューサの放射軸が音響反射器の表面に直接入射するように、同じ傾斜面又はトランスデューサの取り付け面に平行な面に取り付けられる。音響反射器は、音響信号に存在するオーディオの高さの手がかり(audio height cues)を再現するために、大部分の入射音響放射を前方上向きの方向に天井に向かって反射し、集束させる。音響反射器は、音響レンズとして機能し、ハイトスピーカキャビネットの外側の実音源の虚像を生成し、それによって、フラットパネルテレビに使用される場合のように、トランスデューサに課される可能性のある厚さの制約を克服する。反射器表面と反射器の前のトランスデューサ位置との間の幾何学的関係は、実音源と等価な虚像をどれだけうまく作り出すことができるかを制御する。加えて、反射器の集束能力は、反射器表面の曲率を修正することによって制御される主焦点によって特徴づけられる。焦点が遠いほど、ハイトスピーカモジュールの音響スウィートスポット(acoustical sweet spot)が大きくなる。主焦点は、各製品カテゴリーの音響スウィートスポット要件に従ってカスタマイズする必要がある。例えば、65インチのテレビの視聴者距離は、55インチのテレビの視聴者距離より大きい。したがって、一体型反射器を備えたハイトスピーカモジュールの音響設計は、各製品カテゴリーに対してユニークであり得、ここで製品カテゴリーは、ディスプレイパネルを有する再生装置のサイズ及び構成を指し得る。
【0015】
実施形態は、ハイトチャンネルスピーカと共に使用する又はハイトチャンネルスピーカと一体化された音響反射器設計を対象とする。
図1Aは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器と共に使用するための例示的なハイトスピーカモジュールを示す。
図1Aに示すように、ハイトスピーカ102は、典型的には閉じたボックスであるが、代わりに、スピーカの低周波応答を高めるために、孔があけられたボックスであり得る、キャビネット103を含む。上面104は、上方に傾斜し、この上面104にトランスデューサ106が取り付けられて、リスニング環境の天井に向かって上に音を投射する(project)。スピーカキャビネット103は、上面104の角度が、音がトランスデューサ106から床面から、0度から90度の間などの適切な角度で天井に向かって投射されるように、床上又は床に対して平行に配置され得る。トランスデューサ106は、ツイータ、ミッドレンジ、又はウーハなどの任意の適切なタイプのドライバであり得る。それは、単一のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイとして実装され得る。また、図示のように、円形又は長円形など、任意の適切な形状であり得る。
【0016】
図1Aのスピーカ102は、音響反射器を含むか、又は音響反射器に取り付けられるように構成される。
図1Bは、いくつかの実施形態の下での、
図1Aのハイトスピーカモジュールに組み込まれた例示的な音響反射器を示す。
図1Bに示すように、音響反射器108は、キャビネット103の下方又は低い方の側部105に、キャビネットの低い方の側部から上に延びるように、取り付けられる。
【0017】
図1Bに見られるように、音響反射器は、トランスデューサ106から天井、又はリスニング環境の他の上面に向かって音波を反射、成形、及び集束するように構成される。ハイトスピーカトランスデューサ106は、音響エネルギが後方の上向き傾斜方向に放射されるように、上面104の傾斜面に取り付けられる。音響反射器108は、トランスデューサの放射軸が音響反射器108の内面に直接入射するように、トランスデューサと同じ傾斜面に取り付けられる。音響反射器は、入射音の大部分を前方の上向き傾斜方向に天井に向けて反射し、成形し、集束させる。
【0018】
音響反射器108は、接着剤、釘、ネジ、ボンディング等のような適切な手段を介してハイトスピーカ102に取り付けられる別個のユニットであり得る。代替的には、スピーカキャビネット103と一体化された又はスピーカキャビネット103の一部として製造された構造であり得る。いずれの場合においても、このようなスピーカは、「音響反射器ハイトチャンネルスピーカ」110と、又は任意の均等若しくは類似の用語で呼ばれる。
【0019】
図1Cは、いくつかの実施形態の下での、
図1Aのトランスデューサキャビネットの切り欠き図である。
図1Cでは、表面112は、トランスデューサ114の取り付け面を表し、これは、放射面114を有する薄型ハイトスピーカトランスデューサであり得る。このトランスデューサは、トランスデューサバスケット116によってキャビネット111に結合される。キャビネット111の壁は、キャビネットがその開放端に沿って装置又はパネルに取り付けられるときに、密封された(sealed)音響バックボリューム(acoustic back volume)118を画定する。破線120は、ハイトスピーカトランスデューサの音響投射面(audio projection plane)を表す。トランスデューサ放射面114は、トランスデューサバスケット116と面一に整列され得、このトランスデューサバスケットは、次に、放射面112と面一に整列される。しかし、必要に応じて、放射面114は、代わりに、放射面112内に凹み得る、又は放射面112の上に延在され得る。
図1Cに示されるトランスデューサは、長円形又はレーストラック形のトランスデューサであるが、キャビネット111の構成に応じて、任意の他の適切な形状のトランスデューサが使用され得る。
【0020】
図1Dは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器及びデュアルモータトランスデューサと一体化されたハイトスピーカの切り欠き図を示す。任意の適切なトランスデューサ設計が、ハイトチャンネルスピーカ110と共に使用され得、
図1Dに示される実施形態では、デュアルトランスデューサモータ設計が、例として示される。
図1Dの切り欠き図では、デュアルトランスデューサモータ120が、密封された音響バックボリューム領域118内に示されている。このトランスデューサモータ設計は、電気信号をボイスコイルの機械的運動に変換する役割を果たす。トランスデューサモータの設計は、ボイスコイル、磁石、鋼片コンポーネントからなる。デュアルトランスデューサモータが示されているが、システムの制約及び要件に応じて、単一のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイなど、任意の適切な数のトランスデューサモータも可能である。加えて、トランスデューサの傾斜角は、取り付け面112によって固定されてもよく、又は、マニュアル又は電気(サーボ)制御によって可変であってもよい。さらに、デュアル又はマルチトランスデューサモータ設計は、異なるトランスデューサに対して異なる傾斜角を有してもよい。
【0021】
音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110は、任意の適切なオーディオ装置、オーディオ再生システム、ラウドスピーカシステムなどと共に使用され得る。一実施形態では、このようなスピーカは、少なくともある高さのチャンネルのオーディオコンテンツを含む没入型オーディオコンテンツを再生するように構成された、フラットパネルテレビ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ等のような、特定の空間又は設置上の制約を提示する装置と共に使用される。
【0022】
図2Aは、いくつかの実施形態の下での、フラットパネルテレビと共に使用される音響反射器ハイトチャンネルスピーカを示す。キャビネット103、トランスデューサ、及び音響反射器108を有するスピーカ110を備える取り付けられたスピーカセンブリ200は、フラットパネルテレビスクリーン202の側面に取り付けられて示されている。テレビ202又は他の装置の構成に応じて、スピーカセンブリ200は、ディスプレイパネルの前面又は後面のいずれか又は両方に取り付けられ得、図示のような上部コーナー205などの任意の適切な位置又は他の適切な位置に配置され得る。加えて、1つより多いスピーカセンブリ、例えば、上部コーナーの各々に1つが、ステレオ再生などのために使用され得る。
【0023】
図2Bは、
図2Aのフラットパネルテレビジョンの正面図を示し、音響反射器ハイトチャンネルスピーカがディスプレイパネルの後部側に取り付けられている。
図2Bに示すように、スピーカ110は、パネル自体がスピーカからの直接の音の放射を遮断するように、ディスプレイパネル202の後部側の上部コーナーに取り付けられる。つまり、スピーカは、ディスプレイ202の上縁210と面一になる又はその下にあるように取り付けられる。スピーカは、コーナーに取り付けられたように示されているが、ディスプレイ202の上縁210に沿った任意の適切な位置に取り付けられ得る。
【0024】
図2A及び
図2Bは、フラットパネルテレビについての音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110の使用を示しているが、実施形態はそれに限定されず、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ゲームコンソール、タブレットデバイス、携帯電話等のようないずれかの適切なオーディオ又はオーディオ/ビジュアル(A/V)再生装置が使用され得ることが理解されるべきである。
【0025】
音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110は、接着剤、釘、ネジ、ボンディング等のような適切な手段を介して装置又はパネル202に取り付けられ得る。代替的には、それは、パネル202と一体化された、又はパネル202の一部として製造される構造であってもよい。
【0026】
図2に示すように、音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110の構成及び位置配置は、キャビネット103の傾斜面、ハイトスピーカトランスデューサ、及び音響反射器108が全て、パネルの前側に面するリスナーから構造的に及び音響的に完全に遮蔽される(occluded)ように、ディスプレイパネルの後方且つこのパネルの上面の下に取り付けられる。デバイス又はパネル202は、リスナーとの関連で音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110の遮蔽を強化又は修正するために、壁又は他の構造に接して配置され得る。
【0027】
図3は、いくつかの例示的な実施形態の下での、音を天井からリスナーに反射させるために使用される、
図2のA/V装置及びスピーカセンブリを示す。
図3に示すように、パネル202及び付属の音響反射器ハイトチャンネルスピーカを備えたA/V装置は、スピーカが天井304までの角度で音を投射し、そこで、それが、特定の視聴位置302に位置するリスナー又は視聴者(「ユーザ」)に下に跳ね返ることができるように配置されている。
【0028】
パネル202と共に使用される場合の音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110の関連する構成要素は、スピーカキャビネット103の後ろ又は低い方の側部105に取り付けられた音響反射器108である。音響反射器108は、音響反射器表面306がトランスデューサ106からの音の直接反射を提供するよう生成されるように凹形に形成された壁部308を有する。トランスデューサ106は、音を音響反射器表面306に向けるために、キャビネット103の傾斜した上面104に取り付けられる。
【0029】
音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110からの反射音成分は、音響反射器108の音響反射器表面306にトランスデューサの放射軸に沿ってトランスデューサ106から投射される直接音310を含む。この音は、天井(又は他の上部部屋表面)304への音響反射器からの音響反射312として上向きに投射される。次いで、音は、天井から下に、視聴位置302のリスナーに反射される314。
【0030】
図3の例示的な実施形態は、天井表面からの音響反射器ハイトチャンネルスピーカからの音の反射を示すために設けられており、必ずしもスケールに合わせて描かれているわけではなく、スピーカ及びA/V装置の任意の構成及び室内配置が可能であることに留意されたい。
【0031】
望ましい反射音を生成するために、音響反射器ハイトチャンネルスピーカ110の特定のパラメータが定義され、指定され得る。
図4A、4B、及び4Cは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器ハイトチャンネルスピーカのいくつかの関連する設計パラメータを示す。一実施形態では、音響反射ハイトチャンネルスピーカの性能を規定する変数の少なくとも一部は:スピーカの厚さ、反射器の表面幾何学的形状(surface geometry)(例えば、平坦、凹、凸、又は平坦及び曲線の組み合わせ)、反射器の長さ、反射器上のトランスデューサの放射軸の入射点、傾斜した取り付け面の傾斜角(例えば、0より大きく90度より小さい)、トランスデューサの形状(例えば、円形又は楕円形)、トランスデューサの数、及びトランスデューサに対する音響反射器の配置を含む。各変数の数値は、特定の装置及びシステムに固有であり、ユニークな製品要件によって異なり得る。
【0032】
図4Aに示すように、第1の設計パラメータは、キャビネット103の厚さ(1)である。厚さ(1)は、装置又はディスプレイパネルに取り付ける前のハイトスピーカモジュールの全体の厚さを表す。実装上の制約に基づいて、厚さ(1)は、他のパラメータのほとんど又は全てを決定するのに役立つパラメータである。ハイトスピーカの厚さは、典型的には、テレビ、コンピュータ、ゲームコンソール等のような、全体的なA/V装置のための工業デザイン(ID)要件に基づいて設けられるか又は指定される。パラメータの全てが一緒に反射器の音響性能を決定し、典型的には、音響反射器108からの音響反射器312の大部分が反射され、天井304に向かって集束されるように最適化されて、天井からリスナー/視聴者の位置302に音を反射することによって、没入型オーディオ体験を作り出す。例示的なフラットパネルテレビディスプレイでは、厚さ(1)は、24mmのオーダーであったが、装置及びシステム構成に応じて、任意の適切な厚さが使用され得る。
【0033】
第2の設計パラメータは、音響反射器108の反射器表面306の表面幾何学的形状である。この幾何学的形状は、特定の用途のために必要に応じて、平坦、凹形、又は凸形、又はこれらの幾何学的形状のいずれかを組み合わせた複合表面(compound surface)であり得る。
図4A~4Cに示される幾何学的形状は、凹形状であるが、実施形態は、それに限定されない。
図4Cは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器の幾何学的形状を規定する変数を示す。上述したように、
図4Cの例示の実施形態は、例示の凹面幾何学的形状を備えた音響反射器を示す。凹面は、一般に、平坦又は凸面よりも効率的に音波を反射し、成形し、集束するのに役立つ。反射器の幾何学的形状及び寸法を規定する場合、反射器の長さ(7)を規定又は識別しなければならない。音響反射器は、実音源の虚像を生成する音響レンズとして機能する。反射器の長さ、実音源の位置、及び反射器表面306の曲率は、虚像の特性が実音源と等しくなるように設計される。加えて、反射器表面の曲率の量及び実音源の位置も、反射器の主焦点の位置を制御する。
【0034】
凹状音響反射器表面306の曲率は、概して、反射器表面のベース部の1点と反射器の出口の他の点の2つの制御点を有するスプライン曲線を使用して画定される。曲線は、これらの点の両方で接線方向に駆動される(driven tangentially)。曲率の例は、65°での出口での及び101°での反射器のベース部での曲線の終端角度を提供するが、これは一例であり、任意の他の実際的な構成も可能である。ベース点は、ベース点とトランスデューサとの間に最小指定距離(例えば、少なくとも1mm)があるように選択される。この最小指定距離は、音響反射器をハイトスピーカモジュール上に組み立てるのを容易にするために有益である。出口点は、所望の反射器表面曲率要件を満たしながら、最小の製造可能な壁厚さ(例えば、少なくとも1.5mm)を有する音響反射器設計が達成可能であるように選択される。例示的な実装では、反射器ベースの厚さ(9)は3mmのオーダーであり、反射器の上部の厚さは4mmのオーダーであり、音響反射器の最小壁厚さは1.8mmである。
【0035】
図4Bは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器に対するトランスデューサの傾斜角を規定する変数を示す。
図4Bに示すように、傾斜角(3)(θとも呼ばれる)は、その中又はその上にトランスデューサ106が取り付けられている傾斜面104の取り付け面の傾斜の量である。傾斜面の長さ(6)は、トランスデューサの厚さ(5)、反射面(306)の曲率及び傾斜角(3)から直接導出される。一般に、トランスデューサの厚さ(5)は、トランスデューサの放射遠距離場音圧が、トランスデューサの放射表面積に直接依存するので、音圧レベル(SPL)出力及びハイトスピーカモジュールの指向性に異なる影響を及ぼす。厚さが減少すると、個々のトランスデューサの放射表面積が減少し、従って、SPL出力が減少し、ハイトスピーカのより狭い分散(narrower dispersion)をもたらす。この減少は、SPL出力を増加させるために複数のトランスデューサを使用することによって補償することができる。指向性要件は、音響反射器306プロファイルを適切に設計することによって補償することができる。
【0036】
例示的な実施形態では、傾斜角の値は、トランスデューサの厚さ要件及び全体のz寸法(高さとも呼ばれる)に基づく10度の傾斜であり、傾斜面の長さは、24.5mmのオーダーであり、トランスデューサの厚さ(5)は、15mmのオーダーである。これは、例示の目的のためにのみ提供され、他の任意の実際的な寸法及び傾斜角もまた可能である。
【0037】
トランスデューサ106のキャビネット103内及び傾斜面104上への配置も、システム要件に応じて変えることができる。
図4Bに示すように、エンクロージャ103の後部側405からのトランスデューサ106の取り付け位置の距離は、指定された距離(4)に設定することができる。この距離は、典型的には、トランスデューサモータとハイトスピーカエンクロージャ壁との間に最小クリアランスがあるように選択される。例示的な実施形態では、この距離は4.5mmのオーダーであり得るが、実施形態はそれに限定されない。音響反射器108のスピーカキャビネット103への組み立てを容易にするために、トランスデューサの後部取り付け位置と反射器のベース部との間の特定の最小距離(例えば、1mm)が選択され得る。
【0038】
音響反射器306の幾何学的形状に沿った傾斜角(3)、及びトランスデューサ106のサイズ及び構成は、反射音波312、314の軌跡を概して決定する。一実施形態では、トランスデューサ取り付け面104は、水平面に対して0度から90度の間の角度で前方に傾斜され得る。
図3のように、トランスデューサ106は、キャビネットの傾斜面の前方表面(前面)に対して垂直又は実質的に垂直な直接軸310に沿って音響エネルギを音響面306に放射する。10度の例示的な傾斜角を示したが、スピーカの構成、音響表面の幾何学的形状、及び装置及び部屋のサイズに応じて任意の角度が使用され得るように、任意の類似の角度が使用され得ることに留意されたい。
【0039】
トランスデューサは、(キャビネットの傾斜面に基づいて)固定角度で設置され得る、又は傾斜角が、可動トランスデューサ装着コンポーネントを介してなど、手動で調整され得るように設置され得る。代替的には、サーボ機構が、トランスデューサの傾斜角及び投射(projection)方向の自動的又は電気的制御を可能にするように、使用され得る。傾斜角は、天井からの反射を通して、リスニング環境内の異なる又はより中央の位置へ音声を投射するのを助けるように構成又は修正され得る。
【0040】
図4A~
図4Cに示す実施形態について、凹状の音響反射器表面306は、その上縁に沿って比較的鋭いコーナーを有する。ある場合には、このような鋭いコーナーは、音波が反射器表面を出るときにある程度の音響回折を生じさせ得る。この音響回折効果を緩和するために、凹状の反射器表面は、滑らかなコーナー端部終端を生成するように丸められ得る。いくつかの実施形態の下で、
図5Aは、滑らかなコーナーを備える凸面を有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカの側面図を示し、
図5Bは、このスピーカの正面斜視図を示す。
【0041】
1つ以上のさらなる実施形態の以下の説明は、それと前述の実施形態との間の相違に焦点を当てる。したがって、両方の実施形態に共通する特徴は、以下の説明から省略されるので、以下の説明で別段の要求がない限り、前述の実施形態の特徴は、さらなる実施形態において実装されるか、少なくとも実装することができると仮定されるべきである。
【0042】
図5A及び
図5Bに示すように、凹状の音響反射面506を有する音響反射器508は、音響反射器508の長さ504に沿って上部コーナー502を有する。このコーナーは、コーナーの長さに沿って鋭さをなくすために丸められる又は滑らかにされる。このような滑らかな終端は、特定の半径(例えば、2mm)のフィレット(fillet)を使用して生成され得る。装置、スピーカの構成及び寸法に応じて、様々な程度の丸み又は滑らかさが設けられ得る。音響反射器の終端におけるこの滑らかな(鋭くない)コーナーは、音波が音響反射器を出るときに生じる音響回折を緩和するのに役立ち、滑らかにされたコーナーは、この効果を最適化するように成形することができる。
【0043】
上述のように、音響反射器ハイトチャンネルスピーカは、トランスデューサ又はトランスデューサ(複数)の任意の実用的な数及び構成を備えて構成され得る。典型的な実装は、スピーカ当たり1つの円形トランスデューサを有し得るが、システムの要件及び制約に応じて、異なる数の異なる形のトランスデューサを使用してもよい。
図6は、いくつかの実施形態の下での、複数のトランスデューサ604、606を有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカ602を示す。複数のトランスデューサを使用することは、一般に、ハイトスピーカからの音エネルギ放射の量を増加させ、リスナーの没入型オーディオ体験を向上させるのに役立つ。
図6の例示的な実施形態について、長円(レースコース)形状を有する2つのトランスデューサが使用されるが、他の数字、形状、及び配置も使用することができる。
【0044】
複数のトランスデューサを使用することは、特定の場合には、全体的なスピーカ空間要件を増加させ得るが、所与の用途についてのトランスデューサのサイズと数との間の適切なトレードオフを見出すことによって、望ましい音響応答が達成され得る。
【0045】
上述したように、音響反射器の幾何学的形状は、凹面(図示のような)又は任意の他の適切な幾何学的形状などの任意の適切な表面形状として構成され得る。一実施形態では、音響反射器は、平坦な反射器表面幾何学的形状を有し得る。そのような実施形態を
図7A及び7Bに示す。いくつかの実施形態の下で、
図7Aは、平面音響反射器704を有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカ702の側面図を示し、
図7Bは、
図7Aのスピーカの前面斜視図を示す。音響反射器708の平坦な表面706は、トランスデューサから傾くように構成される。この配向は、キャビネット703に取り付けられた下端よりも上端708で狭いテーパ反射器を設けることによって生成することができる。
図7Bの実施形態は、わずかに後方にテーパにされた音響反射器を示す。代わりに、音響反射器は、上端が下端よりも幅が広くなるように前方テーパを有するように構成されてもよい。必要に応じて、適切な量のテーパが設けられてもよい又はテーパが設けられなくてもよい。平坦な音響プロジェクタ704の傾斜又はテーパ角の量は、装置及びスピーカシステムの構成及び制約に応じて、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、このような平坦な反射器表面の幾何学的形状は、厚さ又は他の制約のために凹面が十分に実現可能でない状況で使用することができる。加えて、平坦な反射器は、成形(凹、凸、複合)音響反射器と比較して、製造及び設置がより安価かつより容易であり得る。
【0046】
一実施形態では、異なるタイプの直線又は曲面を組み合わせて、音響反射器を形成することができる。
図7Cは、いくつかの実施形態の下での、音響反射器のための直線及び曲線面の組み合わせの一例を示す。
図7Cに示すように、音響反射器711は、湾曲表面712と、平坦又は直線状の表面部分714とを有する。これらの異なる表面の相対的な分布は、システムの要件及び構成に応じて変えられ得る。
【0047】
これまで説明した実施形態では、音響反射器は、それ自体が片側に開いている音響反射器のハイトチャンネルスピーカ110を形成するように、傾斜スピーカキャビネットの一方の側部に取り付けられる。この開放側部は、
図2Aに示すように、装置又はパネル202の裏面によってスピーカが装置に取り付けられたときに閉じられる。これは、
図3に示すように、適切な位置に取り付けられたときに、音波の天井への完全な反射(full reflection)の音声(audio)遮蔽を提供する。一実施形態では、音響反射器は、
図8A及び
図8Bに示すように、キャビネットの両側を閉鎖する2部分構造を有し得る。いくつかの実施形態の下で、
図8Aは、音響反射器用の2部分曲面壁構造を備える音響反射器ハイトチャンネルスピーカの側面図を示し、
図8Bは、
図8Aのスピーカの前面斜視図である。
図8Aに示すように、凹状の音響反射器808が、上述のように、傾斜スロープキャビネット803の低い方の側部に取り付けられ、トランスデューサ805によって伝達される音を反射する。この実施形態について、湾曲した壁構造806が、傾斜スロープキャビネット803の反対側の(より高い方の)側部に追加され取り付けられる。これは、トランスデューサ805から投射される音波のための均一な伝達チャネルを形成するフレア壁構造802を生成する。
【0048】
図8Aに示されるフレア壁構造802を使用することは、音響反射器808から天井に向かって反射される音エネルギの量を増加させるのに役立つ。フレア壁構造は、音響反射器808の空洞と、典型的にはパネル202の後部である遮蔽構造との間の音響定在波の発生を緩和するのに役立つ。加えて、フレア壁構造802は、スタンドアロンハイトスピーカのための構造的及び音響的遮蔽も提供する。
図8Bは、フレア壁構造802を備える音響反射器ハイトチャンネルスピーカの斜視図を示す。この図は、スピーカキャビネット803上の湾曲した壁構造806の、そのより高い方の側部の長さに沿った取り付けを示す。取り付けは、接着剤、釘、ネジ、一体的な製造などのような任意の適切な機構によって行われ得る。
【0049】
図8Aのフレア壁構造は、音響反射器808の曲率によって画定される均一な曲線を提供するように示されているが、実施形態はそれに限定されない。湾曲した壁構造806の湾曲は、音響反射器808の湾曲とは異なるように構成することができる。例えば、それは、直線状、平坦又は角度付きの表面又は凸形又は複合形の壁として提供され得る。湾曲壁構造806及び音響反射器808のいずれか又は両方の適切な形状又は曲率は、フレア壁構造802の所望のフレア形状を生成するために使用され得る。
【0050】
図8A及び
図8Bの実施形態は、開放端を有するフレア壁構造を特徴とする。一実施形態では、
図9A及び9Bに示すように、これらの端部を閉じて、音響反射器ハイトチャンネルスピーカの長さ側及び幅側の両方に沿った湾曲した壁構造を使用して音響反射器を生成し得る。いくつかの実施形態の下で、
図9Aは、音響反射器ハイトチャンネルスピーカのための閉じたフレア壁構造の正面斜視図であり、
図9Bは、
図9Aのスピーカの正面切り欠き図を示す。
図9Aに示すように、閉じたフレア壁構造902は、ハイトチャンネルスピーカキャビネット903に設置される又はその一部として形成される。閉じたフレア壁構造は、トランスデューサ905からの音波を反射するためにキャビネット903の低い方の側部に取り付けられた音響反射器908と、キャビネット903のより高い方の側部に取り付けられた湾曲壁構造906とを有する。一方の側壁910は、フレア壁構造902の一端を音響的に閉鎖するためにこれらの壁構造に取り付けられ、第2の側壁911は、フレア壁構造902の他端を音響的に閉鎖するために壁構造に取り付けられる。ハイトスピーカの幅側のこの閉じたフレア壁構造は、ハイトスピーカトランスデューサの迷放射(stray radiation)を緩和するのに役立つ。
【0051】
側壁910及び911は、それ自体、音の伝達効果及び反射効果を高めるように、成形又は湾曲し得る。
図9Bに示されるように、側壁構造910及び911は、両者とも、トランスデューサ又はトランスデューサ(複数)905に対して内側(凸)に湾曲しているが、実施形態は、それに限定されない。形状及び曲率、又は側壁の一方若しくは両方は、円筒形断面、フレア断面などのような特定の所望のプロファイル(profile)を有する音波伝達トンネルを生成するように構成され得る。このようなプロファイルは、ハイトスピーカに取り付けられたときに閉じた壁構造が効果的に口を形成するので、スピーカ「口プロファイル」と呼ばれ得る。口プロファイルは、矩形形状、楕円形状、円形形状、台形形状等を含む異なる輪郭を有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態の下で、
図10Aは、楕円口プロファイルを有する音響反射器ハイトチャンネルスピーカのための閉じた壁構造の正面斜視図であり、
図10Bは、
図10Aのスピーカの正面切り欠き図を示す。
図10Aに示すように、閉じた楕円壁構造1002がハイトチャンネルスピーカ1003に設置される。図に示すように、壁構造の開口部1010は、壁構造の前壁、後壁、及び側壁の内面1006の成形によって楕円形に形成される。湾曲は、
図10Bの斜視断面図に示される。
図10Aに示すような口開口部(mouth opening)の楕円形プロファイルは、ハイトスピーカの指向性を制御するために使用することができる。異なる指向性特性を付与するために、他の形状を使用してもよい。
【0053】
一実施形態では、閉じた壁構造は、スピーカキャビネット1003上に嵌合するか、又はスピーカキャビネット1003の一部として形成される一体構造として形成され得る。この実施形態について、湾曲した表面は、適切な寸法及び材料の管状(長方形又は円形)構造の一部に彫り込まれ得る又はその一部として形成され得る。湾曲した内面領域1006は、トランスデューサ1005の上の容積に対して任意の適切な形状が提供されるように形成され得る。
【0054】
トランスデューサの任意の適切な数及び形状/サイズが、閉じた壁構造、音響反射ハイトチャンネルスピーカのために使用され得る。口1010が狭い楕円として形成される
図10Bの例示的実施形態について、図示のように、2つ以上の矩形トランスデューサが使用されてもよい。代替的には、小型円形トランスデューサの線形アレイが使用されてもよい。
【0055】
上述のように、特定の口プロファイルを、ハイトスピーカの指向性を制御するために使用することができる。
図11は、いくつかの実施形態の下での、
図9Aの例示的な矩形口音響反射ハイトチャンネルスピーカに対する音響指向性応答1102を示す等高線プロット1100である。指向性等高線プロット1100は、-90度から+90度までの異なる水平角度にわたる遠距離場SPLの変化を示すことによって、ハイトスピーカモジュールの空間応答に関連する情報を提供する。示された例示的な指向性応答1102について、スピーカは14kHzまで12度まで均一な指向性を示す。ハイトスピーカモジュールの水平指向性を最適化することによって、スピーカの実施形態は、TVスクリーンから軸上又は軸外のいずれかで一様な音響エネルギ分布を保証することができる。
【0056】
ハイトスピーカが比較的薄い(例えば、約2mmのキャビネット厚さ)例示的な実施形態では、ハイトスピーカモジュールの予想動作帯域幅は、200Hzから18kHzの範囲である。
図9Aの実施形態について、囲まれた(enclosed)音響反射器を備えるハイトスピーカは、導波路を形成する又は導波路として作用する。この音響反射器導波路(リフレクタエンクロージャ)は閉じた音響パイプ(音響ダクト)のように効果的に作用する。典型的には、閉じた音響パイプの基本周波数は、その長さに関係する。ハイトスピーカトランスデューサによって発生する音波の波長が反射器導波路音響キャビティの基本周波数と一致する場合、音波の振幅が増加し、それによってハイトスピーカシステムのラウドネス(loudness)が増加する可能性がある。
【0057】
図12は、いくつかの実施形態の下での、特定の距離(例えば、1m)におけるハイトスピーカの基準軸に沿った例示的な周波数応答曲線を示す。周波数応答1200は、動作周波数範囲、例えば、200~14kHzにわたって、音圧レベル(SPL)をdBでプロットする。
図12の例示的なプロット1202に見られるように、周波数応答において、1.65kHzに12dBの共振ピークが存在する。実施形態は、導波路ベースの音響反射器を使用してハイトスピーカの音質を改善するために、この共振ピークを等しくする共振器機構を含む。
【0058】
一実施形態では、
図12に示すような共振ピークを緩和するために、物理共振器が音響反射器ハイトチャンネルスピーカに含まれる。共振器は、正確に調整されると、ハイトスピーカシステムの共振応答を緩和する音響フィルタ要素として機能する。共振器は、ヘルムホルツ共振器設計、1/4波長共振器、又は類似の設計のいずれかとして設計することができる。共振器は、典型的には、反射器導波路キャビティ(ハイトスピーカの前方容積チャンバとも呼ばれる)内の高圧領域に配置される。共振器の特定のコンポーネントは、共振器容積、共振器容積を満たすために使用される音響減衰材料の量、及び材料、例えば、穿孔メッシュの品質を含む。
【0059】
図13は、いくつかの実施形態の下での、ハイトスピーカ共振器を示す。共振器は1/4波長共振器として設計されている。このような共振器の寸法は、ハイトスピーカ自体の寸法と一致するように構成され、例示的な実施形態では、22mm(長さ)×10mm(幅)×53mm(深さ)のオーダーである。
図13は、キャビネット1310の傾斜面に取り付けられた2つのトランスデューサ1308を有する共振器1300の切り欠き正面図を示す。反射性壁の前壁/後壁及び側壁によって形成された反射性導波路部分1302は、スピーカ1300の前方容積チャンバを作る。閉じたパイプによって作られる振幅増幅(音響共振)を低減するために、共振器スロット又は音響キャビティ1304が、トランスデューサ1308を保持する傾斜面に形成される。
図13の実施形態は、スロット1304が1/4波長共振器であり、開口1304が穿孔メッシュ(又は同等の材料)で覆われ、共振器スロットが減衰材料1306で満たされている、1/4波長共振器設計を示す。音響減衰材料1306は、その流れ抵抗率(Rf)材料特性、例えば、約10,000Pa.s/平方メートル、又は同様の値によって特徴付けられる。音響減衰材料のいくつかの一般的な例は、ロックウール、ガラス繊維などを含む。減衰材料で満たされた共振器スロットは、追加の音響抵抗及びスピーカの寿命の間音響減衰材料を無傷に保つために機械的支持を提供するために、音響メッシュ又はグリルコンポーネントで覆われている。
【0060】
1/4波長共振器の代わりに、ネック及び容積要素を有する共振器であるヘルムホルツ共振器などの異なるタイプの共振器設計が使用され得る。他の適切なタイプの共振器もまた、使用され得る。
【0061】
図14は、いくつかの実施形態の下での、共振器を備えた
図12の例示的な周波数応答曲線を示す。グラフ1400に示されるように、プロット1402は、共振器なしの閉じた反射器ハイトスピーカに対する例示的な周波数応答を示し、プロット1403は、
図13のもののような、減衰材料及び穿孔メッシュを備えた共振器スロットを使用する場合の周波数応答を示す。
図14に見られるように、特定のSPLレベルの1.65kHzにおいて、5dBのオーダーなど共振ピークの顕著な減少がある。
【0062】
実施形態は、閉ループ音響反射器ハイトスピーカで使用する共振器の特定の動作範囲及び構成に関して説明されているが、実施形態はそれに限定されず、他の動作範囲及び構成もまた使用され得ることに留意されたい。
【0063】
部屋の天井に向けられた高さ反射音の他に、遮蔽されたスピーカの音響反射器構造を使用して、部屋の壁又は壁などの他の表面に対して音を反射させることもできる。この実施形態について、スピーカモジュールは、「サイド反射(side-reflection)オーディオスピーカ」と呼ばれ、典型的には、ディスプレイ又は再生装置の他の表面の側部に取り付けられる。
【0064】
図15Aは、いくつかの実施態様の下での、部屋の天井及び壁から音を導くために音響反射器を有するハイト及びサイドスピーカの両方を備えるディスプレイパネルの正面斜視図である。
図15Aに示すように、ディスプレイスクリーン1500は、上向き発射音響反射ハイトスピーカ1502、及び側部発射サイド反射スピーカ1504を搭載した後部を有する。斜視図のために、1つのサイド反射スピーカのみが1504で示されているが、対称性及びステレオ又はマルチチャンネルオーディオでは、側部毎に1つのサイド反射スピーカが設けられ得る。
【0065】
図15Bは、いくつかの実施形態の下での、
図15Aのディスプレイパネル及びスピーカの側面図である。
図15Bに示すように、サイド反射オーディオスピーカ1504は、パネルに平行な方向にディスプレイパネル1500の側部から音を直接投射するように配置され、構成される。代替的には、このスピーカ又はスピーカ(複数)は、ディスプレイパネルが配置される部屋の側壁又は表面の位置、距離、及び構成に応じて、ディスプレイパネルの後ろ又は前にいずれかの角度で音を投射するように配置され得る。加えて、リニアアレイのように、1より多いサイド反射オーディオスピーカが側部毎に設けられてもよい。同様に、任意の数のハイトスピーカ1502を設け、ディスプレイパネル1500の上縁に沿って設置されてもよい。
【0066】
ディスプレイが地面より上に取り付けられる又は設置される場合などの一実施形態では、底部発射反射スピーカが、部屋の床から上への反射のために音を下向きに投射するために、ディスプレイパネル1500の底縁に沿って設置され得る。
【0067】
サイド及び/又は底部発射反射スピーカは、特定の側部又は底部のオーディオチャンネルを含むオブジェクトベース又は没入型オーディオ、又はリスナーの下若しくは横に発することを意図されている音源を再生する側部又は底部の手がかり(side or bottom cues)を伴うオーディオを再生するために使用され得る。
【0068】
本明細書に記載される音響反射器ハイトチャンネルスピーカ又は側部発射スピーカの実施形態は、任意の適切な装置又は用途、特に減少した薄さのスピーカを必要とするものと共に使用され得る。減少した薄さのハイトスピーカ設計の例は、没入型サウンドスピーカを備えたテレビである。そのようなテレビは、非常に薄いフラットパネルディスプレイを特徴とし得、従って、30mm未満の厚さのスピーカを必要とする。このようなテレビの配置はエンドユーザに大きく依存するので、一般に、後壁反射を使用するスピーカとは対照的に、それら自身の音響反射を提供してハイト(高さ)成分を再現するハイトスピーカを設計することが望ましい。
【0069】
文脈が明らかに別のことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「有する」、「有している」等の語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきである。単数又は複数を用いる語はまた、それぞれ複数又は単数を含む。「又は」という語が2つ以上の項目のリストに関して用いられる場合、その語は、次の語の解釈のすべてをカバーする:リストにある項目のいずれか、リストにある項目の全て、及びリストにある項目のいずれかの組み合わせ。
【0070】
例として、また、特定の実施形態に関して、1つ以上の実装形態が説明されているが、1つ以上の実装形態は、それに限定されないことが理解されるべきである。本明細書は、当業者に明らかであるような、種々の修正及び類似の構成をカバーすることを意図している。従って、添付の請求項の範囲は、そのような修正及び類似の構成の全てを包含するように、最も広い解釈を与えられるべきである。