(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】高油含有量の局所パーソナルケア製品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20241105BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241105BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241105BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q17/04
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2021556324
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 US2020022586
(87)【国際公開番号】W WO2020190697
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-07
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】ベルハジ、ナビラ
(72)【発明者】
【氏名】オラニエ、ジャン-ノエル
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-270975(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084848(WO,A1)
【文献】特表2018-507911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A23K10/00-40/35
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン成分を含む局所製剤であって、前記デンプン成分が、nOSAデンプン及びHPデンプンを含み、
c.前記nOSAデンプン及びHPデンプンが、2~10%の濃度で前記製剤中に存在し、
d.nOSAデンプン対HPデンプンの比率が、3:1~20:1であ
り、
e.前記局所製剤が、更に50~60%の油を含む、局所製剤。
【請求項2】
品質改良剤を更に含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
nOSAデンプン対HPデンプンの前記比率が、3:1~10:1である、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記品質改良剤が、スクラログルカン、キサンタンガム、又はその両方である、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
nOSAデンプン、HPデンプン、及び品質改良剤のブレンドを含む局所製剤であって、
a.前記nOSAデンプン及びHPデンプンが、3:1~20:1であるnOSAデンプン対HPデンプン
の比率で前記局所製剤中に存在し、
b.前記局所製剤の2~10
%が、前記品質改良剤で構成さ
れ、
e.前記局所製剤が、更に50~60%の油を含む、局所製剤。
【請求項6】
請求項1又は5に記載の製剤を含む化粧品又はパーソナルケア製品。
【請求項7】
皮膚保護クリーム、ローション、日焼け止め剤、皮膚又は身体洗浄剤、皮膚コンディショナ、皮膚トナー、及び皮膚引き締め組成物からなる群から選択される、請求項6に記載の化粧品又はパーソナルケア製品。
【請求項8】
日焼け止め剤である、請求項7に記載の化粧品又はパーソナルケア製品。
【請求項9】
化粧品又はパーソナルケア製品を作製するための、請求項1又は5に記載の製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高油含有量を有するパーソナルケア製品の製造(production)に関する。具体的には、望ましい高品質の感覚特性を維持する高油組成物の製造(manufacturing)を可能にする、デンプンの新規の組み合わせの使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
高油含有量を有する(30%を超える)水中油型エマルションを生成することができる天然乳化剤に関する化粧品市場での解決策が欠いている。パーソナルケア製品は、多くの場合、水中油型エマルションである。これらのエマルションは、経時的に安定していなければならず、使用及び適用されるときに消費者に望ましい経験を提供しなければならない。典型的には、パーソナルケア製品の油含有量が30%を超える場合、合成安定剤又は乳化剤が必要とされ、製品は、特に植物油で、皮膚上に残る許容できないべたつく感触又は油っぽい感触を有する。多くの機能的理由のためにより高い油含有量の製品が望ましいが、この感覚的課題は、製造業者が高油含有量を有する製品を開発する能力を制限する。本発明は、製造業者が、天然由来の製品を用いてこの市場のニーズに対処することを可能にする。本明細書に記載される特定の比率で使用される場合、HP及びnOSAデンプンの組み合わせは、望ましい感覚特性を有する安定した高油製剤の調製を可能にする。
【0003】
本発明は、デンプン成分を含む局所製剤を提供し、デンプン成分は、nOSAデンプン及びHPデンプンを含み、
a.nOSAデンプン及びHPデンプンは、2~10%の濃度で製剤中に存在し、
b.nOSAデンプン対HPデンプンの比率は、3:1~20:1である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示で使用される略語及び用語の説明が、本発明を理解し、実施することを助けるために提供される。
【0005】
別途記載のない限り、エマルション又は製剤成分の全比率は、重量パーセント(重量%)を指す。
【0006】
別途記載のない限り、開示される全パラメータ範囲は終点を含み、全値はその間にある。
【0007】
代表的な特徴は、以下の説明で提示され、これは、単独で、又は本明細書の説明及び/又は図面の他の箇所に開示される1つ以上の特徴と任意の組み合わせで組み合わせ得る。
【0008】
明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」及びその変形は、指定された特徴、工程又は整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、工程又は成分の存在を除外すると解釈されるべきではない。
デンプン
【0009】
加工デンプンは、その天然状態から変化した構造を有し、その化学的特性又は物理的特性のうちの1つ以上の修飾をもたらす。デンプンは、例えば、酵素、酸化、又は様々な化合物による置換によって修飾されてもよい。例えば、デンプンは、とりわけ、熱、酸、若しくは凍結に対する安定性を高め、質感を改善し、粘度を上昇若しくは減少させ、ゼラチン化時間を増加若しくは減少させ、及び/又は溶解度を上昇若しくは減少させるように修飾され得る。加工デンプンは、より短い鎖又はグルコース分子に部分的又は完全に分解されてもよい。アミロペクチンは、脱分枝されてもよい。一例では、加工デンプンは、例えば、安定性を改善するために架橋される。置換によって修飾されるデンプンは、異なる化学組成を有する。nOSAデンプンは、例えば、n-オクテニルコハク酸無水物で約0.1%~約3%部分的に置換された加工デンプンである。本発明の好ましいnOSAデンプンとしては、Cargill Incorporatedから市販されているC*EmTex 12688(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)が挙げられる。ヒドロキシプロピル化(hydroxypropylated、HP)デンプンは、ヒドロキシプロピル化によって官能化された加工デンプンの別の例である。そのようなヒドロキシプロピル化デンプンは、当該技術分野において周知であり、International System for Food Additives(INS)における1400の指定下で「Eコード化」されている。本発明の好ましいヒドロキシプロピル化デンプンとしては、Cargill incorporatedから市販されているC*HiForm 12748が挙げられる。
エマルション
【0010】
一態様において、本発明は、高含有量水中油型エマルションである。エマルションは、2つの非混和性液体を含有する混合物として定義され得、これは、一方の液体が、他方の液体全体に液滴又は小球として分散している。分散した液体は、分散相と呼ばれ、他方の液体は、連続相と呼ばれる。水中油型エマルションにおいて、本発明のように、油は分散相又は油相であり、水は連続相又は水相である。
【0011】
エマルションは、良好な安定性を有し、室温及び/又は高い貯蔵温度(例えば、45℃)で測定した場合、長期間(例えば、4、8、又は12週間)にわたって、水相と油相との間の分離がほとんど又は全くない。したがって、長い貯蔵寿命を必要とする製品(例えば、局所製剤)を作製するために使用され得る。
1.水相
【0012】
本発明のエマルションは、水相を含有する。水相は、水を含むか、又はそれからなり得、特に脱塩水、トウモロコシ花水などのフローラル水、ヴィッテル水、ルーカス水、ラロッシュポゼ水などのミネラルウォーター、及び/又は湧き水を含むか、又はそれらからなり得る。好ましくは、本発明によって利用される水相として、脱塩水が使用される。
【0013】
エマルション中の水相の量は、95重量%~30重量%であり得る。例えば、エマルション中の水相の量は、40重量%~70重量%、好ましくは40重量%~60重量%であり得る。
2.油相
【0014】
本発明のエマルションはまた、水相中に分散された油相を含有する。本明細書で使用される場合、用語「分散」は、水相内部に液滴を形成する油相を指す。液滴は、任意のサイズ及び形状を有し得る。好ましくは、液滴は、水相全体にわたって均一に分布する。エマルションの油相の性質は重要ではない。したがって、油相は、化粧品又は皮膚科学分野において従来使用されている任意の脂肪性物質からなり得る。具体的には、油相は、少なくとも1つの油、すなわち、室温(20~25℃)又は高温(40~70℃)及び大気圧(760mmHg)で、実質的に又は完全に液体形態である任意の脂肪性物質を含み得る。
【0015】
好ましい油相は、以下のものであり得る少なくとも1つの油を含み、それは、炭化水素ベース油、すなわち主に水素及び炭素原子、並びに任意に、例えばヒドロキシル又は酸ラジカルの形態で、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を主に含有する油、シリコーン油、すなわち、少なくとも1つのケイ素原子、好ましくは少なくとも1つのSi-O基を含む油、フッ素オイル、すなわち、少なくとも1つのフッ素原子を含む油、非フッ素油、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、本発明のエマルションは、油相として少なくとも1つの炭化水素ベース油を含む。
【0016】
炭化水素ベース油は、4~20個の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリドなどの動物起源又は植物起源のものであり得、例としては、ココナッツ油、キャノーラ油、菜種油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、キュウリ油、グレープ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、ココアバターアーモンド油、アボカド油、ババス油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisにより販売されているもの、又はDynamit NobelによりMiglyol 810、812及び818の名称で販売されているもの、Desert Whaleにより商品名Jojoba Oil Goldenで販売されている、Simmondsia Chinensis(Jojoba)Seed Oil、Cognis(BASF)により商品名Betatene 30% OLVで販売されているベータ-カロテン、Nestle World Trade Co.により商品名Rosehip Seed Oilで販売されているRosa Canina Fruit油、シアバター油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
好ましくは、油相は植物油及び/又は植物性脂肪を含有し、より好ましくは、ココナッツ油を含有し、より好ましくは、ココアバター及び植物油、例えば、アーモンド油を含有し、更により好ましくは、油相は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ココアバター、及び当該トリグリセリドとは異なる植物油、例えば、アーモンド油を含有する。
【0018】
炭化水素ベース油は、鉱物又は合成起源の直鎖又は分枝鎖炭化水素であり得る。あるいは、炭化水素ベース油は、合成エーテル、合成エステル、12~26個の炭素原子を含有する分枝鎖及び/又は不飽和炭素系鎖を有する、室温で液体である脂肪族アルコール、C12~C22の高級脂肪酸、又はそれらの混合物であり得る。
【0019】
本発明の高油含有量エマルションは、エマルション中の油相が5重量%~70%のエマルションを含む。例えば、エマルション中の油相の量は、30重量%~60重量%、好ましくは40重量%~60重量%であり得る。
【0020】
エマルションは、少なくとも1つの更なる成分を更に含み得る。更なる成分としては、防腐剤、塩、ビタミン、乳化剤、品質改良剤、栄養素、微量栄養素、糖、タンパク質、多糖類、ポリオール、グルコース、スクロース、グリセロール、ソルビトール、pH調整剤、皮膚軟化剤、染料、顔料、皮膚活性物質、ワックス又はシリコーンが挙げられ得るが、これらに限定されない。
局所製剤
【0021】
本明細書に提供されるエマルションは、パーソナルケア製品又は化粧品などの局所製剤の製造において有用である。本発明者らは、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム及びヒドロキシプロピルデンプンリン酸の比率のうちの特定の比率の組み合わせを含む製剤が、以下に更に説明されるような多くの望ましい特性を有することを予期せず発見した。
【0022】
一態様において、本発明は、本明細書に記載されるエマルションを含む局所製剤である。本明細書で使用される場合、用語「局所製剤」は、身体の一部に直接適用され得る製剤を指す。用語「製剤」は、本発明による様々な重量範囲における様々な成分の組成を示すために本明細書で使用される。
【0023】
本明細書に記載されるエマルションで製造される製剤は、クレンジング、コンディショニング、保湿の提供、皮膚の欠陥の最小化又は治療、皮膚の油性の低減、髪又は皮膚への芳香の提供などのための、化粧品又は活性物質を皮膚又は髪に送達するための、髪、頭皮、爪及び皮膚上での使用に好適である。
【0024】
「パーソナルケア」は、任意の化粧品、衛生用、洗面用、及び局所ケア製品を意味し、かつ含み、それはこれらに限定されないが、リーブオン製品(すなわち、適用後にケラチン基質上に残される製品)、リンスオフ製品(すなわち、適用中又は適用の数分以内に、ケラチン基質から洗浄又はすすぎ洗いされる製品)、シャンプー、ヘアカール及び髪矯正製品、ヘアスタイル維持及びヘアコンディショニング製品、爪、手、足、顔、頭皮及び/又は身体用のローション及びクリーム、毛髪染料、顔及び身体のメイクアップ、ネイルケア製品、収斂剤、デオドラント、制汗剤、抗ニキビ、老化防止、脱毛剤、コロン及び香料、皮膚保護クリーム及びローション(日焼け止め剤など)、皮膚及び身体洗浄剤、皮膚コンディショナ、皮膚トナー、皮膚引き締め組成物、皮膚日焼け及び美白組成物、液体石鹸、固形石鹸、バス製品、シェービング製品、及びオーラル衛生製品(練り歯磨き、オーラル懸濁剤、及びマウスケア製品など)。
【0025】
このようなパーソナルケア製剤の質感は限定されず、とりわけ、限定するものではないが、液体、ゲル、スプレー、エマルション(ローション及びクリームなど)、シャンプー、ポメイド、フォーム、錠剤、スティック(リップケア製品など)、メイクアップ、坐剤であり得、そのいずれも皮膚又は髪又は強健性に適用され得、典型的には、水ですすぐ又はシャンプー若しくは石鹸で洗浄するなどによって、除去されるまで、それと接触したままであるように設計される。他の形態は、柔らかく、硬く又は圧搾可能であり得るゲルであり得る。スプレーは、手動ポンプ式指作動式噴霧器から送達される非加圧エアロゾルであり得るか、又は化学的若しくはガス状噴射剤が使用されるムース、スプレー若しくは泡形成組成物などの加圧エアロゾルであり得る。
【0026】
本明細書に開示されるエマルションを含む局所製剤は、クリームであってもよい。有利には、クリームは、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム及びヒドロキシプロピルデンプンリン酸の比率のうちの特定の比率を含み得る。
【0027】
本明細書に開示されるエマルションを使用して調製された製剤は、概して審美的に魅力的であると考えられる白色又はペールホワイト色を有する。場合によっては、本明細書の製剤は、着色された最終製品を作製するために更に処理されてもよい。そのような場合、白色は、最終的な色に影響を及ぼすことなく追加の顔料を見せるため、有益である。
【0028】
更に、本発明の成分を使用して調製された製剤は、皮膚上で粉末状の、かつあまりべたつきが残らない感触があり、良好な伸ばしやすさを有する。油含有量が高い場合であっても、成分は、皮膚表面の脂肪膜を吸収する。本発明の成分の使用は、クリーム状の特性、身体及び製剤の艶を改善する。この質感は、触感及び適用が心地よく感じる。更に、稠度は、良好な製品ピックアップが達成され得るためのものである。良好な製品ピックアップとは、使用者の指で十分な製品(すなわち、多すぎず、少なすぎない)を収集することができることを意味する。
【0029】
エマルションは任意に、防腐剤、塩、ビタミン、乳化剤、品質改良剤、栄養素、微量栄養素、糖、タンパク質、多糖類、ポリオール、グルコース、スクロース、グリセロール、ソルビトール、pH調整剤、皮膚軟化剤、染料、顔料、皮膚活性物質、ワックス又はシリコーンからなる群から選択される少なくとも1つの更なる成分を含有してもよい。
【0030】
本開示のエマルションは、日焼け止め用途において特に有用である。日焼け止め剤は、紫外線が皮膚に到達するのを遮断することを意図した成分を含有する。紫外線遮断剤は、物理的、又は科学的塩、例えば、ZnO、若しくはTiO2、若しくは化学物質(最大認可レベルが示される)、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(5%)、オクトクリレン(10%)、二酸化チタン(25%)、サリチル酸エチルヘキシル(5%)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(10%)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(10%)であり得る。本開示のエマルションは、当該技術分野において既知の任意のタイプの紫外線遮断剤又は紫外線遮断剤の混合物と共に使用され得る。
【0031】
日焼け止め剤の代表的な例が以下に示される。相は、別々に調製され、順次混合される。相は、当該技術分野において周知のプロセスによって室温でブレンドされる。典型的には、完全なエマルションの生成を確実にするために、高剪断混合が使用される。室温で、ローターステーター均質化(4000rpmで4分間)下で相Aを相Bに添加する。完全な均質化まで約9000rpmで混合しながら相Cをゆっくり添加する。最後に、相Dを混合しながら添加する。
【表1】
ブレンド
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「ブレンド」は、2つ以上の物質の物理的混合物を指す。本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されるエマルションの調製に有用なデンプンのブレンドを含む。有利には、本発明のエマルションは、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム及びヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含む、又はそれらからなるブレンドを使用して製造される。HPは、5~25%の量でブレンド中に存在し得る。好ましくは、nOSAは、ブレンド中に15~25%の量で存在する。nOSAは、ブレンド中に75~95%の量で存在し得る。好ましくは、nOSAは、ブレンド中に75~85%の量で存在する。
【0033】
デンプンブレンドは、品質改良剤、着色剤、香料、芳香剤など、必要に応じて最終エマルション中に他の乾燥成分を更に含有する。好ましい実施形態では、ブレンドは、品質改良剤を更に含む。カラギーナン、セルロース及びその誘導体、アクリレート及びカルボマーのような合成ポリマー、スクラログルカン、並びにキサンタンガムが挙げられるが、これらに限定されない品質改良剤が、本発明において有用である。好ましい品質改良剤としては、スカラログルカン及びキサンタンガムが挙げられるが、これらに限定されない。品質改良剤は、任意の有用な又は所望の量で存在し得る。典型的には、品質改良剤は、ブレンドの0.1~7%、好ましくは0.5~5%の量で存在する。
【0034】
ブレンドは、当該技術分野において既知の乾燥成分のブレンド方法に従って調製され得る。十分な時間の標準混合装置の使用は、本明細書に記載されるブレンドを容易に調製するであろう。
実施例1:
材料には以下が含まれる。
1)nOSAデンプン[C
*EmTex 12688:化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients、INCI)の下:オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)]。
2)HPデンプン[C
*HiForm 12748:化粧品成分の国際命名法(INCI)の下:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸]
工程1:適切な比率の、かつ最終エマルションに必要な量(2、4、又は6%)のデンプンを、最終エマルションで利用される全油の8%を示す油の質量と混合した。
工程2:
・スクレロチウムガム又はキサンタンガムを、激しく撹拌しながら(1800rpm)、水相全体に添加した。多糖類の総水和のために約15分間、及び/又は均質な相が得られるまで、混合を持続した。
・撹拌を2000rpmに上昇させた後、デンプンプレミックス(工程1)を添加し、約15分間及び/又は均質な相が得られるまで混合した。
工程3:撹拌を3000rpmに上昇させた後、残りの油相を、エマルションの生成までゆっくりと添加した。均質化を約2分間維持して、エマルションを得た。
オクテニルコハク酸デンプンナトリウム/ヒドロキシプロピルデンプンリン酸の試験した比率:100-0、80-20、75-25、50-50、25-75、0-100。全エマルションの2、4、及び6%でデンプンを含んだ。
【表2】
*オクテニルコハク酸デンプンナトリウム/ヒドロキシプロピルデンプンリン酸の比率
【0035】
デンプンの割合が6%に増加した場合であっても、75パーセント未満のnOSAデンプンを含有する任意の試料で、許容できる安定性は達成されなかった。
【0036】
HPデンプンの添加は、望ましい高品質感覚特性を提供するために重要である。粘度、並びにべたつき及び油っぽさが残る感触の知覚の劇的な上昇は、エマルション中のHPデンプンの使用によって大幅に低減される。HPデンプンを含むことにより、エマルションのより白くかつより艶のある外観も提供される。白色度及び艶のある外観の両方は、最終消費者にとって非常に望ましい。
粘度測定:
【表3】
安定性
【0037】
安定性は、経時的なエマルションの安定性を観察することによって視覚的に評価される。エマルションは、相が分離するか、又は分離し始める場合に不合格になる。表面上の油滴又は水滴の大部分の貯留、又は試料の視覚的な色若しくは質感の有意な変化もまた、エマルションの不合格を示す。加えて、粘度が再度チェックされ得、有意な減少(20%超)は、エマルションの不合格を示す。