(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】シリンダジャケットを固定するための装置
(51)【国際特許分類】
B41F 13/193 20060101AFI20241105BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B41F13/193
B41J2/01 305
B41J2/01 101
B41J2/01 127
(21)【出願番号】P 2021556610
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2020052448
(87)【国際公開番号】W WO2020188491
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジョン ランダ
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-72241(JP,U)
【文献】特開平11-198342(JP,A)
【文献】国際公開第99/42290(WO,A1)
【文献】特開平9-187917(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第764560(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 5/00-13/70
B41F 31/00-35/06
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムの回転可能なインプレッションシリンダにジャケットのタブ部分を固定するためのジャケット固定装置であって、
前記インプレッションシリンダは、複数のグリッパ間領域を画定するようにグリッパシャフトに沿って間隔を置いて配置された複数のグリッパを収容するシリンダギャップを有し、
前記ジャケット固定装置は、
a.磁石と、
b.前記磁石を保持するために構成された第1部材と、
c.前記第1部材に着脱可能に取り付けられる第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、前記グリッパ間領域の1つに組み立てられた状態で配置されると、前記グリッパシャフトの周りに回転可能に取り付けられるように適合される、第2部材と、
を備え、
前記組み立てられた状態にあるとき、前記ジャケット固定装置は、第1回転位置にある場合は前記ジャケットタブ部分を前記インプレッションシリンダに磁気的に固定し、第2回転位置にある場合はジャケットタブ部分を前記インプレッションシリンダに磁気的に固定しないように構成される、
ジャケット固定装置。
【請求項2】
前記ジャケットタブ部分を前記インプレッションシリンダに磁気的に固定することは、前記ジャケットタブ部分を前記シリンダギャップの表面に磁気的に固定することを含む、請求項1に記載のジャケット固定装置。
【請求項3】
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも1つは、前記グリッパシャフトの円周の一部を受け入れるためのそれぞれの容積を有する、請求項1または2に記載のジャケット固定装置。
【請求項4】
印刷システムのためのインプレッションシリンダであって、
i.シリンダギャップおよびシリンダギャップの中に配置される複数のグリッパと、
ii.前記それぞれの組み立てられた状態で前記シリンダギャップ内に配置される、請求項1に記載の複数のジャケット固定装置と、
を備え、
前記複数のグリッパは、複数のグリッパ間領域を画定するようにグリッパシャフトに沿って間隔を置いて配置され、
各ジャケット固定装置は、それぞれのグリッパ間領域に配置される、
インプレッションシリンダ。
【請求項5】
a.中間転写部材(ITM)であり、画像形成ステーションにおいて液滴の堆積によってインク画像をフレキシブルベルト上に形成させるように動作可能なフレキシブルベルトを備える、中間転写部材と、
b.前記ITMによって前記インク画像がインプレッションステーションに搬送された後、前記インク画像を基板に転写するように構成されたインプレッションステーションと、
を備える印刷システムであって、
前記インプレッションステーションは、請求項4に記載のインプレッションシリンダと、前記インプレッションシリンダの周囲の一部の周りに配置されたジャケットと、を備え、
前記ジャケットは複数のタブ部分を備え、
前記複数のジャケット固定装置は、対応する複数のジャケットタブ部分を前記シリンダギャップの表面に固定するように配置される、
印刷システム。
【請求項6】
i.前記インプレッションシリンダは、第2インプレッションシリンダギャップと、第2インプレッションシリンダギャップの中に収容され、第2の複数のグリッパ間領域を画定するように第2グリッパシャフトに沿って間隔を置いて配置された第2の複数のグリッパと、を備え、
ii.前記インプレッションステーションは、追加的に
(A)前記シリンダの周囲の第2の部分の周りに配置され、複数のタブを備える第2ジャケットと、
(B)前記第2ジャケットの対応する複数のタブを前記シリンダに固定するための第2の複数のジャケット固定装置であり、各ジャケット固定装置は互いに可逆的に取り付け可能なそれぞれの第1部材および第2部材を備え、各それぞれの第1部材は磁石を保持する、第2の複数のジャケット固定装置と、
を備え、
iii.前記第2の複数のジャケット固定装置のジャケット固定装置が、それぞれの組み立てられた状態にあり、それぞれのグリッパ間領域において前記第2グリッパシャフトの周りに回転可能に取り付けられているとき、前記ジャケット固定装置は、前記第2ジャケットの対応するタブを磁気的に前記第2シリンダギャップの表面部分に可逆的に固定するように動作可能である、
請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
シリンダジャケットを請求項4に記載のインプレッションシリンダ上に取り付ける方法であって、
a.ジャケットから延びる複数のタブ部分を有するジャケットを、前記タブのそれぞれが対応するグリッパ間領域に配置されるように、前記インプレッションシリンダ上に配置すること、および
b.対応する1つ以上の前記ジャケットタブを前記シリンダギャップに磁気的に固定するように、前記複数のジャケット固定装置の少なくとも1つを前記グリッパシャフトの周りで回転させること、
を含む、方法。
【請求項8】
ジャケットのタブ部分を印刷システムの回転可能なインプレッションシリンダに固定するためのジャケット固定装置であって、
前記インプレッションシリンダは、複数のグリッパ間領域を画定するようにグリッパシャフトに沿って間隔を置いて配置された複数のグリッパを収容するシリンダギャップを有し、
前記ジャケット固定装置は、
a.取り付けられた磁石を有する第1部材と、
b.前記第1部材に着脱可能に取り付けられる第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、前記グリッパ間領域の1つに組み立てられた状態で配置されると、前記グリッパシャフトの周りに回転可能に取り付けられるように適合される、第2部材と、
を備え、
(i)前記グリッパ間領域に前記組み立てられた状態で配置されるとき、前記ジャケット固定装置は、第1回転位置にある場合は前記ジャケットタブ部分を前記インプレッションシリンダに磁気的に固定するように構成され、
(ii)前記ジャケット固定装置が第1回転位置にある場合、それぞれの力受容面に力を加えることは、前記ジャケット固定装置を前記第1回転位置から第2回転位置に回転させることにより、前記ジャケット部分を磁気的に固定された状態から解放する効果を有する、
ジャケット固定装置。
【請求項9】
前記磁石が前記第1回転位置にあるとき、前記磁石は、前記シリンダギャップの表面部分の磁石ターゲット位置と接触しているか、または近接している、請求項8に記載のジャケット固定装置。
【請求項10】
前記磁石が前記第2回転位置にあるとき、前記磁石は、前記シリンダギャップの前記表面部分の前記磁石ターゲット位置と接触していないか、または近接している、請求項9に記載のジャケット固定装置。
【請求項11】
前記力受容面は、前記シリンダギャップの前記表面部分に対して垂直±30°以内であり、前記力は、前記シリンダギャップの前記表面部分に対して平行±30°以内の方向である、請求項9に記載のジャケット固定装置。
【請求項12】
前記力受容面は、前記シリンダギャップの前記表面部分に対して垂直±15°以内であり、前記力は、前記シリンダギャップの前記表面部分に対して平行±15°以内の方向である、請求項9に記載のジャケット固定装置。
【請求項13】
印刷システムのためのインプレッションシリンダであって、
i.シリンダギャップおよびシリンダギャップの中に配置される複数のグリッパと、
ii.それぞれの組み立てられた状態で前記シリンダギャップ内に配置される、請求項8に記載の複数のジャケット固定装置と、
を備え、
前記複数のグリッパは、複数のグリッパ間領域を画定するようにグリッパシャフトに沿って間隔を置いて配置され、
各ジャケット固定装置は、それぞれのグリッパ間領域に配置される、
インプレッションシリンダ。
【請求項14】
c.中間転写部材(ITM)であり、画像形成ステーションにおいて液滴の堆積によってインク画像をフレキシブルベルト上に形成させるように動作可能なフレキシブルベルトを備える、中間転写部材と、
d.前記ITMによって前記インク画像がインプレッションステーションに搬送された後、前記インク画像を基板に転写するように構成されたインプレッションステーションと、
を備える印刷システムであって、
前記インプレッションステーションは、請求項13に記載のインプレッションシリンダと、前記インプレッションシリンダの周囲の一部の周りに配置されたジャケットと、を備え、
前記ジャケットは複数のタブ部分を備え、
前記複数のジャケット固定装置は、対応する複数のジャケットタブ部分を前記インプレッションシリンダに固定するように配置される、
印刷システム。
【請求項15】
a.前記ジャケットは、前記ジャケットの第1端部から延びるN個のタブ(TAB(1)~TAB(N))を備え、前記N個のタブのそれぞれ(TAB(n))は、それぞれの幅値(TAB-WIDTH(n))およびそれぞれの間隔値(TAB-SPACING(n))を有し、
b.前記複数のグリッパ間領域は、前記N個のタブに対応するN個のグリッパ間領域(REGION(1)~REGION(N))のサブセットを含み、前記サブセットの前記N個のグリッパ間領域のそれぞれ(REGION(n))は、それぞれの幅値(REGION-WIDTH(n))およびそれぞれの間隔値(REGION-SPACING(n))を有し、
c.前記シリンダ上に前記ジャケットを配置することは、TAB(1)がREGION(1)に、TAB(N)がREGION(N)にあるようにすることであり、
d.1からNまでのnの各値に対して、TAB-WIDTH(n)はREGION-WIDTH(n)以下であり、かつTAB-SPACING(n)はREGION-SPACING(n)と実質的に等しい、
請求項14に記載の印刷システム。
【請求項16】
i.各力受容面は、前記グリッパシャフトに対して半径方向に変化可能な厚さを有する力受容部の表面であり、
ii.前記複数のジャケット固定装置について、同じ変化可能な厚さを有する力受容部が3以下であるように、前記力受容部の全てが同じ変化可能な厚さを有するわけではなく、変化可能な厚さの差は前記グリッパシャフトの長手方向軸に実質的に垂直な方向であり、
iii.前記ジャケット固定装置が前記それぞれの組み立てられた状態にあり前記第1回転位置にあるとき、前記変化可能な厚さの差は、前記力受容面の全てが前記グリッパシャフトに対して同じ回転角度で配置されないような、変化可能な厚さの差である、
請求項14に記載の印刷システム。
【請求項17】
シリンダジャケットを請求項13に記載のインプレッションシリンダ上に取り付ける方法であって、
a.ジャケットから延びる複数のタブ部分を有するジャケットを、前記タブのそれぞれが対応するグリッパ間領域に配置されるように、前記インプレッションシリンダ上に配置すること、および
b.対応する1つ以上の前記ジャケットタブを前記シリンダギャップの表面部分に磁気的に固定するように、前記複数のジャケット固定装置の少なくとも1つを前記グリッパシャフトの周りで回転させること、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項14に記載のインプレッションシリンダ上のシリンダジャケットを交換する方法であって、
前記シリンダジャケットは、前記ジャケットの縁に沿ってジャケットから延びる複数のタブを備え、
前記ジャケット固定装置は、前記ジャケットタブが前記シリンダギャップの表面部分に磁気的に固定されるように、第1回転位置にあり、
前記方法は、
a.前記ジャケット固定装置を第2回転位置まで回転させる力を加えること、およびそれにより前記ジャケットタブを前記表面部分に磁気的に固定された状態から解放すること、
b.前記ジャケットを前記シリンダから取り外すこと、
c.複数のタブを備える交換ジャケットを提供すること、
d.前記タブのそれぞれが対応するグリッパ間領域に配置されるように、前記交換ジャケットを前記インプレッションシリンダ上に配置すること、ならびに
e.前記交換ジャケットの前記タブのそれぞれを前記シリンダギャップの前記表面部分に磁気的に固定するように、前記ジャケット固定装置のそれぞれをグリッパシャフトの周りに前記第1回転位置まで回転すること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記力受容面に加えられる力は、前記グリッパシャフトに実質的に平行に保持された、実質的に直線の剛性ブラケットを使用して加えられ、
前記力を加えることは、最大の変化可能な厚さを有す
る力受容
部を有する前記ジャケット固定装置の回転で始まり、最小の変化可能な厚さを有する前記力受容
部を有する前記ジャケット固定装置の回転で終わる順番で、前記ジャケット固定装置を前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転させる効果を有する、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記剛性ブラケットは、複数の突出部を含み、最大の変化可能な厚さを有する前記力受容部のそれぞれは、前記複数の突出部のそれぞれ1つを受容するための突出受容部を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、2019年3月19日に出願された英国特許出願第1903768.8号のパリ条約優先権を主張し、その全内容は参照により、完全に本明細書に記載されるように本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、シリンダジャケットをシリンダに固定するためのデバイスおよび方法に関し、印刷システムで使用する。
【背景技術】
【0003】
印刷は、インク画像が最初に堆積する表面に応じて、直接工程と間接工程に分けることができる。直接工程の印刷方法では、インク画像が印刷基板上に直接堆積するが、間接工程では、インク画像は最初に中間物の表面上に形成される。従来のオフセット印刷工程は、リソグラフィ、フレキソグラフィ、グラビアおよびスクリーン印刷を含む。しかし、インク画像を、いくつかの技術によってデジタルで作成することができる。印刷デバイスは、例えば、間接インクジェット印刷工程を使用することができる。当該印刷工程では、インクジェットプリントヘッドを使用して、インク画像を形成するインク液滴を中間転写部材の表面上に堆積させ、次いで中間転写部材を使用して画像を基板上に転写する。中間転写部材(ITM)を、任意の適切なプレート、ドラムまたはエンドレスフレキシブルベルトにし得る。この後者のタイプである間接印刷はいくつかの問題をもたらす可能性があり、例えば、別物体と繰り返し接触する結果として表面が摩耗し、または時間とともにITM上およびそれに接触する面上に汚れやデトリタスが蓄積する。いくつかの問題をもたらす。このような問題は、異なる表面同士で接触させるために比較的高い圧力を加えると悪化する可能性があり、例えば、インプレッションシリンダの外面の画像転写位置で劣化率が増大する可能性がある。さらに、印刷システムが両面印刷を実行する場合、いわゆる逆転写が、乾燥したインキおよび/または他の望ましくない材料を、既に印刷した画像から「両面」インプレッションシリンダの表面に転写させ、シリンダ表面の特性を衰退させる原因をもう1つ追加する可能性がある。
【0004】
箔ベースのジャケットが、インプレッションシリンダ及び/又は搬送シリンダの表面を保護できることが印刷業界では長い間知られており、箔ベースのジャケットは、例えば、デジタルであるか否かにかかわらず、オフセット印刷機において一般的に使用されている。このため、多くの印刷シリンダには、新しいシリンダジャケットを取り付けるために必要な取り付け装置が設けられている。印刷シリンダは、シリンダの円周方向に沿って複数のシリンダジャケットを含み得る。
【0005】
特許文献1は、印刷シリンダに印刷版をクランプするデバイスを開示しており、印刷シリンダ内の凹部に取り付けられるレバーと、シリンダに対して印刷版の端部をクランプする位置にレバーを保持するための磁石と、を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、とりわけ、このようなジャケット取り付け装置が設けられていないシリンダへ、ジャケットを迅速かつ有効に取り付けることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、シリンダ内に取り付けるためのジャケット固定装置が提供され、前記シリンダは、外面と、前記シリンダ外面の少なくとも一部を覆う交換可能なジャケットの内側に曲がる縁部を受け入れるための、前記外側内にある少なくとも1つの凹部と、を有し、前記ジャケット固定装置は、前記ジャケットが前記シリンダに固定されるときに、前記シリンダの外面を越えて突出しないように、前記凹部内に取り付け可能であり、前記ジャケット固定装置は、前記凹部内に位置するシャフトの周りを旋回可能なクランプレバーと、前記レバーをクランプ位置に保持するために設けられる磁石と、を含み、前記凹部は、クランプ位置と解放位置の間に位置し、前記クランプ位置は、交換可能な前記ジャケットの前記縁部が、前記レバーと前記凹部の側壁との間にクランプされる位置であり、前記解放位置は、前記レバーが前記凹部の前記側壁から間隔を置いて配置される位置であり、前記クランプレバーは、前記シャフトの周りに組み立てられ前記シャフトの外面と係合する軸受面を部材間に画定する2つ以上の部材から形成される。
【0009】
いくつかの実施形態において、ジャケット固定装置を有利に実装することができるシリンダは、印刷システムの複数ステーション間で印刷基板を搬送するシリンダのような印刷システムのシリンダであり、搬送される基板は、任意で、シリンダによって変位されながら、印刷工程のステップに供される。後者の場合、シリンダは、シリンダと共に実行される印刷ステップにちなんで、別の名前をつけることができる。例えば、インク画像の印圧中に基板を搬送するシリンダは、前面に既に印刷した基板の後面に印刷する場合、インプレッションシリンダまたは両面シリンダと名付けることができる。
【0010】
インプレッションシリンダ、両面シリンダおよび(例えば、供給スタックから搬送パイルへの経路に沿って、基板の運動を単に確保する)単なる搬送シリンダは、多くの場合、基板シートが搬送されているときに、基板シートの前縁または後縁をグリップするための構成を度々含む。したがって、印刷システムの前記の例示的なシリンダは、個別に、または集合的に、基板搬送シリンダと呼ぶことができる。このようなシリンダの各基板把持装置は、シリンダの凹部内に位置するグリッパシャフト上に取り付けられる複数のグリッパを含み得る。個々のグリッパは、グリッパシャフトに沿って、間隔を置いて固定して取り付けることができ、グリッパが基板を把持する位置と解放する位置との間を移動することができる。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、ジャケット固定装置のクランプレバーがその周りを旋回可能であるシャフトは、シリンダによって搬送される基材シートの縁部を把持するための装置のグリッパシャフトであり得る。このような実施形態において、クランプレバーは、基板グリッパ間のグリッパシャフト上の空間内に配置され得る。クランプレバーは、シャフトがその場に留まっている間に、シャフトの周りに組み立てることができる2つの(場合によってはそれよりも多くの)部材から形成されるので、クランプレバーを既存のインプレッションシリンダに後付けすることが可能になる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、ジャケット固定装置のクランプレバーがその周りを旋回可能なシャフトは、デュアル同軸シャフトであり得る。このような実施形態において、グリッパは、同軸シャフトの一方と、他方のクランプレバーとに取り付け可能であり、クランプレバーは、グリッパシャフト上の基板グリッパ間の空間に対応する領域で、それらのシャフト上に配置される。
【0013】
第2の態様によれば、シリンダが提供され、前記シリンダの円筒面は、前記シリンダの外面の少なくとも一部を覆う交換可能なジャケットの内側に曲がる縁部を受け入れる凹部と、前記凹部内に位置するシャフトと、を含み、前記シリンダは、さらに、上記で簡潔に説明され本明細書でさらに詳細に説明されるジャケット固定装置を備える。いくつかの実施形態において、シリンダが印刷システム用であり、任意で印刷基板を搬送するためのものである。
【0014】
第3の態様によれば、円筒面と、前記シリンダ外面の少なくとも一部を覆う交換可能なジャケットの内側に曲がる縁部を受け入れるための、前記円筒面内にある凹部と、前記凹部内に位置するシャフトと、を有する印刷システムが提供され、前記シリンダには、さらに、上記で簡潔に説明され本明細書でさらに詳細に説明されるジャケット固定装置が提供される。いくつかの実施形態において、印刷システムのシリンダは、印刷基板を搬送するためのものである。
【0015】
第4の態様によれば、キットが提供され、キットの部品は、上記で簡潔に説明され本明細書でさらに詳細に説明されるように、ジャケット固定装置を形成するためにシャフトの周りに取り付けることができる。いくつかの実施形態において、印刷システムのシリンダのシャフトの周りにジャケット固定装置を取り付けるために、キットを使用することができ、シリンダは任意に、印刷基板を搬送するために役立つ。
【0016】
第5の態様によれば、上述で簡潔に説明され本明細書でさらに詳細に説明されるように、ジャケット固定装置を、円筒面の凹部内のシャフトの周りに取り付ける方法が提供され、この表面は、任意で印刷システムのシリンダである。この方法は、さらに、任意で印刷システムの後付けを可能にし、ジャケットシリンダの使用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による、印刷システムの概略立面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、シリンダギャップを有するインプレッションシリンダの斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態による、グリッパシャフト及びグリッパを備えるインプレッションシリンダの概略断面(立面)図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、グリッパシャフト及びグリッパを備えるインプレッションシリンダの部分上面(平面)図である。
【
図4】本発明の実施形態による、シリンダに取り付けられ固定されるシリンダジャケットを備える、
図2のインプレッションシリンダおよび関連機器の端面(立面)投影図である。
【
図5】
図5Aは、本発明の実施形態による、シリンダジャケットの上面(平面)図である。
図5Bは、本発明の実施形態による、シリンダジャケットの端面(立面)図である。
図5Cは、本発明の実施形態による、シリンダジャケットの後部の代替部分端面図を示す。
【
図6】本発明の実施形態による、
図5Aのジャケットのジャケットタブ、及びインプレッションシリンダと対応するグリッパシャフト、グリッパ及びグリッパ間領域の概略図である。
【
図8】
図6のグリッパシャフト、グリッパ、及びグリッパ間領域の注釈付き図である。
【
図9】
図9Aは、本発明の実施形態による、グリッパシャフト上の組立状態の、ジャケット固定装置の側面図である。
図9Bは、本発明の実施形態による、グリッパシャフト上の組立状態の、ジャケット固定装置の上面図である。
図9Cは、
図9Aのジャケット固定装置の立面図であり、完全に分解される状態を示す第1分解状態である。
図9Dは、
図9Aのジャケット固定装置の立面図であり、連結装置を使用する第2分解状態である。
【
図10A】本発明の好ましい実施形態による、
図2のインプレッションシリンダのシリンダギャップの表面にジャケットタブを磁気で固定するジャケット固定装置の立面図である。
【
図10B】本発明の実施形態による、一方の側に固定要素を有し、他方の側に摩擦パッドを有するジャケットタブの詳細図である。
【
図10C】本発明の代替の実施形態による、
図2のインプレッションシリンダのシリンダギャップの表面にジャケットタブを磁気で固定するジャケット固定装置の立面図である。
【
図11】
図11Aは、本発明の実施形態による、第1回転位置における、グリッパシャフト上の組立状態のジャケット固定装置の立面図である。
図11Bは、本発明の実施形態による、第2回転位置における、グリッパシャフト上の組立状態のジャケット固定装置の立面図である。
【
図12】本発明の実施形態による、第1回転位置における組立状態のジャケット固定装置の立面図であり、ジャケット固定装置における力受容面上の力の位置を示す。その力は、ジャケット固定装置を、第1回転位置から離し、かつ第2回転位置の方向に回転させるのに有効である。
【
図13】本発明の実施形態による、
図12の力を複数のジャケット固定装置に加えるために設けられるブラケットを含む、
図2のシリンダの部分斜視図である。
【
図14A】本発明の実施形態による、ジャケット固定装置の力受容部の厚さの選択肢の概略図である。
【
図14C】
図14Aおよび14Bの厚さの選択肢のうちの2つに関連する、各回転角度の図である。
【
図15】本発明の実施形態による、2つのシリンダジャケットがインプレッションシリンダに取り付けられて固定される、
図3の立面図を示す。
【
図16】本発明の実施形態による、
図15のインプレッションシリンダの2つのシリンダギャップのうちの1つの部分図であり、
図10Aのジャケット固定装置によって固定されてないほうのジャケットの端部を固定するための装置を示す。
【
図17】本発明の実施形態による、両面印刷用に構成される印刷システムでの使用に適し、シリンダジャケットがそれに取り付けられ固定される両面シリンダの端面(立面)図である。
【
図18】本発明の実施形態による、
図17の両面シリンダと共に使用するためのジャケット固定装置の立面図である。
【
図19】本発明の実施形態による、ジャケット固定装置およびシリンダジャケットを取り付ける方法のフローチャートを示す。
【
図20】本発明の実施形態による、シリンダ上のシリンダジャケットの交換方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明は、添付の図面を参照して、例示によってさらに説明される。添付の図面では、図面に示される構成要素および構成の寸法が、提示の利便性および明確さのために選択され、必ずしも縮尺通りではない。また、いくつかの図面では、物体の相対的な大きさおよび物体間の相対的な距離は、説明の利便性および明確性のために、誇張して大きくまたは小さくし得る。
【0019】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、単に例として本明細書に記載される。ここで図面を詳細に特に参照すると、示される詳細は、例として、本発明の好ましい実施形態を例示的に説明する目的のためだけに、そして本発明の原理および概念的態様を説明するのに最も有用かつ容易に理解されると考えられるものを提供するために、提示されることが強調される。この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要とする以上に詳細には、本発明の構造的詳細を示す試みはなされておらず、図面による説明は、本発明のいくつかの形態を実際にどのように具現化し得るかを当業者に明らかにする。図面全体を通して、同様の参照符号は一般に、同様の要素を示すために使用される。
【0020】
便宜上、本明細書の説明の文脈では、様々な用語が本明細書に提示される。定義が明示的または暗示的に、本明細書または本出願の他の場所で提供される限り、そのような定義は、当業者によって定義される用語の使用と一致すると理解される。さらに、そのような定義は、そのような利用と一致するように可能な限り広い意味で解釈されるべきである。
【0021】
注記として、本開示を通して、下付き参照番号(例えば、101または10A)を、図面の内外にあるとき、単一種の要素について、複数の別々の要素を指定するために使用し得る。例えば、101は、要素10の(複数の要素のうちの)単一の要素である。複数の別々の外観のうち特定の一つを参照しない場合に、すなわち、その種の要素について一般的なものについて、同一の要素を、下付きなしの文字で代替して(例えば、101ではなく10)参照することができる。
【0022】
様々な実施形態において、インク画像は、最初に中間転写部材(ITM)の表面上に形成され(例えば、選択的に堆積または活性化され)、中間転写部材の表面から基板(すなわち、シート基板またはウェブ基板)に転写される。印刷システムにおいて、インクが堆積する場所、または画像がITM上に他の方法で(例えば、エネルギーを印加することで)形成される場所は、「画像形成ステーション」と呼ばれる。より詳細に説明される多くの実施態様において、ITMは、可撓性のある「ベルト」または端のない「ベルト」を備え、「ベルト」および「ITM」という用語は、そのような説明において交換して使用できる。しかし、これは限定するものとして解釈されるべきではない。言及されるように、ITMは、より剛性の高い本体をさらに含むことができ、プレートまたはドラムの外面であり得る。ITMのタイプにかかわらず、インク画像が堆積または形成される表面は、インプレッションステーションでインク画像を転写する能力を考慮して、「剥離面」とも呼ぶことができる。
【0023】
インク画像をITMから基板に転写する印刷機の区域又は領域は、「インプレッションステーション」である。いくつかの印刷システムでは、インプレッションステーションが複数あり得ることが理解される。本発明のいくつかの実施形態において、中間転写部材は、剥離面を形成する剥離層で被覆される補強層または支持層を含むベルトとして形成される。他の実施形態において、ITMは、最外面が剥離層で被覆されるプレートまたはドラムから形成され、剥離面を形成する。
【0024】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明のいくつかの実施形態による間接印刷のための印刷システム100の一例の模式図である。
図1のシステムは、複数のガイドローラ232、240、260、253、255、242上に取り付けられるフレキシブルエンドレスベルトを備える中間転写部材(ITM)210を備える。この図は、本発明の説明に関連する具体的な構成の態様を示す。図示される構成は、提示される数および配置のローラに限定されず、その形状および相対的寸法にも限定されず、ローラのすべては、システムの構成要素を明確に示す便宜上、図示される。
図1の例では、ITM210は、矢印2012によって示されるように、図面に対して時計回り方向に回転する。この方向は、「印刷方向」と呼ぶこともできる。
【0025】
印刷システム100は、さらに以下を含むことができる。
(a)図では4つのプリントバー222A-222D(それぞれ、C-シアン用、M-マゼンタ用、Y-黄色用、K-黒用に指定される)を含む画像形成ステーション212。画像形成ステーション212は、ITM210の表面上にインク画像50(図には数個しか示されていない)を形成するように(例えば、その上に液滴を堆積させることによって)構成される。
(b)インク画像を乾燥させるための乾燥ステーション214。
(c)インク画像50をITM210の表面から基板231に転写するインプレッションステーション216。基板231は、紙またはカートン製品などのシート供給基板として示されているが、代わりに連続供給(ウェブ)基板であってもよい。図には、インプレッションステーションを介して、供給端部から送出端部まで基板を搬送する基板搬送システムが示されていない。
【0026】
図1のある非限定的な例において、インプレッションステーション216は、インプレッションシリンダ220と、圧力シリンダアセンブリ318と、を備える。圧力シリンダアセンブリ318は、圧力シリンダ218と、任意の圧縮可能であるブランケット219と、を備える。ブランケット219は、少なくとも圧力シリンダの円周の大部分の周りに配置される。インプレッションシリンダ220は、矢印2010で示す方向に回転可能であり、供給スタックから搬送スタックへ基板231のシートを搬送する。圧力シリンダ218は、インプレッションシリンダ220と同期するが、矢印2011によって示されるように、逆方向に回転することができる。当該技術分野において知られているように、インプレッションステーションを形成するシリンダ(例えば、218および220)の各回転は、対応するシリンダ上のギアおよび/またはベアラを使用することによって同期させることができる。インプレッションステーションのシリンダが互いに係合する(互いに押し付けあう)とき、2つのシリンダ間の接触線は、「インプレッションニップ」と呼び得る。分離は、例えば圧力アセンブリ150を持ち上げて、シリンダの回転軸間距離を増加させることによって達成し得る。また、シリンダの回転軸を同じ間隔に保ち、接触可能にし得る。しかし、シリンダのうちの少なくとも1つがギャップを含むので、ギャップがニップに到達するときは、対向するシリンダの円周と接触することができない。
【0027】
当業者は、
図1に示される構成要素が全て必要とされるわけではないことを理解するであろう。また、そのような印刷システムは、所望であればさらなる構成および構成要素を含むことができることを理解できる。例えば、前述のステーション内の構成要素の数が異なっていたり(例えば、画像形成ステーション内の印刷バーの数が異なる)、調整ステーション、冷却ステーション、またはクリーニングステーションを含み、ITMの表面をそれぞれ調整し(例えば、化学的および/または物理的に処理する)、冷却しまたは清掃しする。いくつかの実施形態において、印刷システムは、両面印刷(すなわち、第1面に印刷された基板の第2面に第2画像を印刷すること)を実行するための装置を含むことができる。印刷システムは、基板の他方の面を印刷ステーションに供給することを可能にする基板搬送システムをさらに含むか、または両面印刷をするために第2(「両面」)印刷シリンダを含む。
【0028】
ここで
図2を参照すると、インプレッションシリンダ220の一例が、更なる詳細とともに示されている。シリンダ220は、第1シリンダギャップ320
1と、第2シリンダギャップ320
2を有する。印刷業界で知られているように、シリンダギャップは、ギャップ内に補助装置を収容および/または固定するための、印刷シリンダの円周内の凹部である。典型的には、シリンダの円周の残りの、第1シリンダギャップ(例えば、320
1)の後縁から第2シリンダギャップ(例えば、320
2)の前縁までの部分は、滑らかである。本明細書で使用される「前縁」および「後縁」などの用語は、印刷システムの操作中に特定の方向に運動する基準機構内で使用される。この場合、これらの用語は、
図2に矢印で示され、
図1に示される回転方向に対応するシリンダ回転方向2010を参照して使用されるシリンダ方向2010に関して使用される。シリンダギャップ320間の滑らかな表面は、ITMから転写されるインク画像を受け取る基板231を搬送する。
【0029】
印刷業界で知られているように、グリッパを使用して、インプレッションシリンダ(および本開示に関連しない、いくつかの他のタイプのシリンダ)上の基板231のシートを把持することができる。グリッパは、インプレッションシリンダ上のシートと解放可能なように係合して、インプレッションシリンダ上にシートを保持するのに役立ち、しばしば軸上に旋回可能に取り付けられるグリッパフィンガの一端部にある、グリッパパッドを介する。
図3Aおよび
図3Bは、インプレッションシリンダ220を模式的に示す。インプレッションシリンダ220では、グリッパシャフト351に取り付けられる複数のグリッパ350が、インプレッションシリンダギャップ320の内側に実質的に凹んでおり(この開示では完全に凹んでいるか、少なくとも90%凹んでいるか、又は少なくとも80%凹んでいることを意味する)、インプレッションシリンダの円周、すなわちインプレッションシリンダギャップ320という切れ目がない仮想のシリンダの円周を越えて実質的に延びない(グリッパ350が全く延びないか、または最大でもグリッパ350が10%または20%だけ伸びることを意味する)。凹んだグリッパを備えるデザインを選択する理由の1つは、ITM210がインプレッションステーション216を横断するときに生じるITM210の損傷または過度の摩耗を回避できるようにするためである。もう1つの理由は、ITM210と(各回転中に)同様に接触するグリッパの損傷またはずれを回避できるようにするためである。
図3Aは、単一のグリッパ350のみを示す断面図である一方、
図3Bは、グリッパシャフト351の長さ方向に沿って間隔を置いて配置される複数のグリッパ350を示す部分上面図である。
図3Bに見られるように、グリッパ350は、シャフト351の長さに沿って必ずしも均等に間隔を置いて配置されていない。グリッパの数および間隔は例示的なものであり、他の例では、グリッパの数および/またはグリッパの間隔が異なっていてもよい。グリッパ350は、グリッパシャフト351から延び、シリンダギャップ320の(回転方向2010における)後縁に重なる。
図3A及び3Bの両方において、グリッパ350は、シリンダギャップ320の縁部を越えてインプレッションシリンダ220の表面の一部に重なることが分かる。
【0030】
印刷業界で知られているように、シリンダジャケットは、シリンダの表面を覆うように設けることができ、例えばインプレッションシリンダの表面を覆うように設けることができる。有利には、このようなジャケットは、シリンダ上に容易に取り付けられ、シリンダの円筒面を少なくとも部分的に包み、またはシリンダから容易に取り外されるほうがよい。この所望の能力を考慮して、シリンダジャケットは、「解放可能ジャケット」と呼ぶこともでき、それらが任意で変更または廃棄される範囲で、「交換可能ジャケット」とも呼び得る。
【0031】
図4は、シリンダの一方側に取り付けられるジャケット225を有するインプレッションシリンダの別の図を示す。ジャケット225は、複数のシリンダギャップ320間にある、1つの滑らかな円周面上のシリンダ表面を覆う。
図4には示されていないが、
図3Bに示されている複数のグリッパ350は、ジャケット225の前縁において、すなわちグリッパ350がシリンダギャップ320から伸びてシリンダ表面の小さな部分を覆う縁部において、ジャケット225の取り付けに干渉する傾向があり得る。
【0032】
ジャケット225の詳細は、
図5Aおよび5Bで見ることができ、シリンダギャップ320の縁部に位置するグリッパ350による妨害の可能性を克服する方法の例を示す。
図5Bを調べると、ジャケット225は、
図4でシリンダ220上に取り付けられるものと同じであるが、便宜上ここで回転されていることが明らかになるであろう。ジャケット225の前縁(すなわち、シリンダ回転方向2010における前縁)には、複数の折り畳みタブまたは折り畳み可能タブ229が設けられる。タブは、
図5Aでは展開状態で示され、
図5Bでは折り畳み状態で示されている。タブ229は、第1折り畳み線226
1で折り畳むことができ、シリンダ220へジャケット225を取り付け及び固定することを容易にする。ジャケット225を製造する際に使用される材料、及びシリンダギャップ320の縁の形状に応じて、「折り畳むこと」は、いくつかの実施形態において、「折り曲げること」により近くなり得る。すなわち、折り目をつけず、又は明確な角を作らない、より大きな半径を有し得る。ジャケット225の後縁では、シリンダ220に取り付けて固定するために、後部227が第2折り曲げ線226
2で折り曲げられる(または曲げられる)。平坦なジャケット後縁は、90°より大きい角度で折り畳むことが好ましい。なぜなら、ジャケットの折り畳まれたジャケットの角度が90°以下になると、本発明の教示によるジャケット固定装置によって、その前縁で「引っ張られて」ジャケットの凹部内に保持することを容易にするからである。
【0033】
ジャケット225の後縁の折り畳み可能な後部227は、図示されるような切れ目のないストリップである必要はなく、適切なジャケット225のいくつかの例において、折り畳み可能部分227は、例えばタブ229と同様のタブを含む、複数の部分を備えることができる。
図5Cに図示されるように、折り畳み可能部分227は、複数の折り畳み可能部分を含むことができる。当該折り畳み可能部分を、特定のシリンダギャップ320の表面、またはその中の装備の表面に対応するように設計でき、折り畳み可能部分がシリンダ220に取り付けられるときに、特定のシリンダギャップ320の表面、またはその中の装備の表面に適合する。
【0034】
タブ229及び後部227の折り畳みが、いつ、どこで、どのように行われるかは、重要ではない。いくつかの実施形態において、タブ229および後部227を折り畳むことは、工場で実施することができ、または供給者が実施することができる。すなわち、ジャケット225は、既に折り畳まれているタブ229および後部227を備える。他の実施形態において、ジャケット225は、展開状態で供給することができ、折り畳みは、例えばジャケットを取り付ける者が、ジャケット225をシリンダ220上に配置し、タブ229および後部227をシリンダギャップ320の縁の周りで折り畳むことによってその場で行い、またはジャケット225を取り付ける準備の一環として、折り畳み治具を使用することによって行う。
【0035】
シリンダ表面の一部を覆うようにシリンダギャップから伸びるグリッパによって、シリンダギャップの縁部が、部分的かつ断続的に「ブロック」される。
図6は、ジャケットの前縁にタブを設けることが、この「ブロック」を克服するのにどのように役立ち得るかを模式的に示す。基礎となる概念は、隣接するグリッパ350の各対の間に、折り畳まれるタブ229を挿入できることである。
図6の図の左側には、
図3Bのグリッパシャフト351及び14個のグリッパ350が示される。グリッパの各対の間には空間領域があり、14個のグリッパによって画定される13個の空間が存在する。これらの領域の内の3つは、「その他のグリッパ間空間」と記される。これらの空間がそのように記されるのは、非限定的な例によれば、空間内の他の装備(図示されず)の存在がジャケットタブの挿入を妨げるからである。このような場合に存在する一般的なタイプの装備は、軸受である。当該軸受は、グリッパシャフトを固定し、インプレッションシリンダ220の表面上にある基板のシートを把持しているとき又は「把持していない」ときに、少なくともグリッパを開閉するために必要な回転範囲を介して回転することを可能にする。他の10個のグリッパ間空間は、ジャケットタブ229を収容するために使用することができるグリッパ間領域353を構成する。一般的にいえば、1からNまでの整数値nごとに1組のパラメータ値を有する各REGION(n)内に、N個のグリッパ間領域353が存在することができる。
図6の非限定的な例では、Nは10に等しく、N=10のグリッパ間領域353は、REGION(1)からREGION(10)に応じてラベル付けされる。この表記の有効性は、
図6の図の右側で、ジャケット225から伸びるタブ229を有するジャケット225の前縁を考慮するときに示される。この実施例では、10個のグリッパ間領域353に対応する10個のタブ229が設けられ、そしてREGION(1)からREGION(10)までのすべてのREGION(n)について、対応するTAB(n)、すなわちTAB(1)からTAB(10)があることが分かる。この実施例で、Nの値は、グリッパ間領域およびタブについて同じである。他の実施例では、ジャケット225をシリンダ220に適切に固定できる十分なタブ229がある限り、タブ229の数よりもグリッパ間領域353が多くてもよい。逆に、1つの幅の広いタブの代わりに2つの「幅の狭い」タブを有するなどの「トリック」を使用する以外には、グリッパ間領域353の数よりもタブ229が多く存在することはできない。当然のことながら、単一のグリッパ間領域内にこのような「幅の狭い」タブを任意でセットする目的は、単一のタブに対する本発明の目的と同等である。当業者にとっては明らかであろうが、タブの幅及びグリッパ間空間によってグリッパ間領域が単一のタブのみを収容することができる場合、グリッパ間領域の数よりも多くのタブを有するということは、ジャケット225をシリンダ220に取り付けるとき、シリンダギャップ320の縁部にあるグリッパ350が「余分な」タブを「ブロック」することを意味する。
【0036】
ここで
図7を参照する。前記の説明で説明したN個のジャケットタブTAB(n)のセットについて、TAB-WIDTH(n)は、それぞれのタブTAB(n)に対応する幅の値の一次元配列である。タブ229が、好ましい実施形態に従って、および本開示全体にわたって示されるように、実質的に長方形状(「実質的に」とは、例えば、切断し丸みをつけるといった製造目的で修正される場合を除くことを意味する)である場合、TAB-WIDTH(n)の値は、
図7に示されるように、TAB(n)の幅であることは明らかである。幅が不規則である別の実施形態において、TAB-WIDTH(n)は、TAB(n)上の任意の点における幅の最大値に等しくすることができる。それでも、ジャケットをシリンダに固定する際、タブを最も容易に使用するために、実質的に長方形状が好ましいことがある。
【0037】
同様に、TAB-SPACING(n)は、それぞれのタブTAB(n)に対応する間隔値の一次元配列である。タブの間隔は、異なる方法で評価することができる。
図7の例では、TAB-SPACING(n)が、ジャケット225の側縁部から、それぞれのタブの「始点」まで、すなわち
図7の平面図におけるタブの「底部」までの距離として評価される。あるいは、間隔を、タブからタブまで(始点から始点まで、終点から終点まで、または中心線から中心線まで)、ジャケットの側縁部からタブの中心線まで、ジャケットの側縁部からタブの終点まで、などの間隔とすることができる。
図8を参照すれば、グリッパ間領域についても同様に、すべてのタブについて同じ方法をとることは、明らかに重要である。
図8は、
図6の説明で先に説明したグリッパ間領域REGION(n)のセットに対応する1次元配列である、REGION-SPACING(n)およびREGION-WIDTH(n)を示す。
【0038】
REGION-SPACING(n)の間隔値がTAB-SPACING(n)の間隔値と同じ方法で評価される限り、タブ229の幅および間隔のパラメータを、グリッパ間領域353のパラメータにリンクさせることが可能である。1~Nの各整数値nについて、TAB-SPACING(n)は、REGION-SPACING(n)と実質的に等しいことが好ましく、同様に、TAB-WIDTH(n)は、REGION-WIDTH(n)以下であることが好ましい。各TAB-WIDTH(n)は、対応するREGION-WIDTH(n)よりも小さいことが特に好ましい。これらの条件によって、タブ付きジャケット225をシリンダ220上に取り付けるときに、各タブ229を、対応する各グリッパ間領域353内に嵌合させる(および、好ましくは、干渉または摩擦なしに、容易に嵌合させる)ことができる。この段落で既出の「実質的に等しい」という語句は、タブおよび領域の間隔および領域幅が組み合わされ、各タブ229が対応するグリッパ間領域353に適切に嵌合することを意味すると理解されるべきである。前述から、対応するグリッパ間領域353にタブ229を適切に嵌合することを確実にするために、各間隔の変動量の許容誤差または不正確さが大きい場合、任意のnの値に対するタブ幅と対応する領域幅との差(すなわち、グリッパ350間の余分な空間)をより大きくする可能性が高いことは、明らかであろう。一方、タブおよび対応する領域の間隔が厳密に等しい場合、タブおよび対応する領域のそれぞれの幅の差を、非常に小さくすることができる。
【0039】
前述の説明は、主として適切な幅および間隔のタブを提供することを扱い、シリンダギャップの(回転方向における)後縁のグリッパ間領域に挿入されるタブを有するシリンダ上に、ジャケットを取り付けることを可能にする。以下の段落では、ジャケットタブを、シリンダギャップの表面に磁気的に固定し、それによって、取り付けられるシリンダジャケットの前縁を、シリンダに可逆的に固定するための装置および方法について説明する。
【0040】
印刷シリンダは、一般に強磁性材料を含むので、磁石を使用して、シリンダにジャケットを固定することができる。しかしながら、本実施形態においては、このように磁気固定しやすいシリンダギャップの領域を、グリッパシャフト及びグリッパのセットを収容するためにも使用する。従って、オペレータの手又は工具で磁石を正確に配置するため、又はジャケットタブを磁気的に固定し得るシリンダギャップの表面から磁石を強制的に取り外すための方法が、ほとんど又は全くない。そして、たとえ工具について十分な方法があるとしても、磁石をシリンダギャップの表面から取り外すために必要な手段を見出すことは困難である。なぜなら、磁石は、5kg超、10kg超、または20kg超の磁気引張力を有し得るからである。
【0041】
ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態によるジャケット固定装置270は、第1部材272、および第2部材274から形成される2本のアームを持つベルクランククランプレバーを備える。図示されていない他の実施形態において、ジャケット固定装置270が、3つ以上の部材を含み得る。例えば、第1部材272自体が、2つのサブ部材から形成され得る。このことによって、例として、第1部材に求められる形状を形成するため、他のサブ部材に固定する前に、サブ部材のうちの1つへ磁石280を取り付けることを容易にし得る。部材(サブ部材を含む)の数、または部材のいずれかもしくは凹部の壁上の磁石の存在にかかわらず、ジャケット固定装置のこのような部材および要素から、旋回可能なクランプレバーを構成することができる。
図9Aのジャケット固定装置270は、組立状態で示されている。いくつかの実施形態によるジャケット固定装置270の組立状態は、以下の構成を満たす。
- 2つの部材272、274は、互いに解放可能なように取り付けられる。この取り付けが効果的に達成できるようにするために設けるものの例として、例えばねじまたはボルト用に予め開けられた、第2部材274を貫通する1つ以上の穴267、および、対応する受容部(図示されず、これらは第2部材274によって
図9Bで不明瞭にされる)、例えば、ねじまたはボルトを受け入れるために第1部材272内にねじ加工されるレセプタクルがある。ある実施形態において、ネジは、キャプティブスクリューである。2つの穴267は、2つのそれぞれのネジを収容するように示されており、シャフトの各側に1つずつ配置されているが、穴は任意の個数であってもよい。
- 組み立てられるジャケット固定装置270は、グリッパシャフト351の周りに、回転可能に取り付けられる。ジャケット固定装置は、(グリッパシャフト351に関して)自由に回転できなければならない一方、その回転範囲は、シリンダギャップ320に閉じ込められて制限される。クランプレバーがグリッパシャフト351の軸の周りを回転できるようにするために、部材272、274は、軸受面の一部として、それぞれ形成される。
図9A、およびその後に続く図の非限定的な例では、グリッパシャフト351の円周と係合するために、各部材272、274は、円筒面を部分的に有する。
- 組み立てられるジャケット固定装置270は、
図6に関して説明したように、任意のREGION(n)などのグリッパ間領域に配置される。当業者であれば、図示の実施形態において、ジャケット固定装置270をグリッパ間領域353にのみ配置することができることを理解するであろう。なぜなら、そうしないと、グリッパ350または他の機器(例えば、シャフト軸受269)がこのように配置することを妨げるからである。
【0042】
ジャケット固定装置は、ネオジム磁石のような磁石280も含む。
図9Aの例では、磁石280を第1部材272に固定して取り付ける一方、別の実施形態では、磁石280をクランプレバーの別の部分に取り付けることができる。磁石280は、ジャケット固定装置270の部材に直接取り付けることができ、あるいは、部材に固定して取り付ける磁石ホルダ(図示されず)に設けることもできる。
【0043】
いくつかの実施形態において、磁石280を、代替的にまたは追加的に、凹部の壁に固定することができ、クランプレバーを、強磁性材料から製造し得る。シリンダ内の凹部の壁の材質が強磁性体でない状況では、このような構成を採用し得る。
【0044】
ジャケットアセンブリ270は、組立状態にあるとき、グリッパシャフト351に取り付けることができない。むしろ、取り付けるには、分解状態でなければならない。
図9Cは、第1分解状態のジャケット固定装置270を示しており、部材272、274は完全に分解され、いかなる方法でも接続されていない。
図9Dは、別の実施形態による、第2分解状態のジャケット固定装置270を示し、部材272、274は、連結装置273によって連結される。連結装置273は、
図9Dに示されるように、ヒンジを備えることができ、又は、分解状態で2つの部材を連結するために、ケーブルのような任意の他の機械的構成を備えることができる。連結装置を使用すれば、例えば、ジャケット固定装置270の取り付け中または取り外し中に、部材の1つをシリンダギャップ内に落下させる可能性が懸念される場合に役立てることができる。
【0045】
ここで
図10Aを参照する。組立状態(すなわち、グリッパシャフト351の周りに、回転可能に取り付けられ、グリッパ間領域353内に配置される)の
図9Aのジャケット固定装置は、ジャケット225のタブ229をシリンダギャップ320の表面に固定する。具体的には、第1位置321の磁石280が、シリンダギャップの表面に向かう磁気引力によって、ジャケット固定アセンブリ270を、所定の位置に保持する。「所定の位置に」とは、例えば、ジャケット固定アセンブリ270がこの位置にあるとき、容易に回転できないことを意味し得る。この磁力は、第1部材272の上部275を、シリンダギャップの表面の第2位置322に固定させるのに有効であり、ジャケットタブ229の一部は、上部275とシリンダギャップの表面の間に「クランプ」されるか、「閉じ込め」られる。言い換えれば、第1位置321における磁気引力は、第2位置322において、ジャケットタブ229を「間接的」(磁気的)に固定する。本明細書で使用されるように、ジャケット固定装置によってもたらされる磁気固定は、特に断らない限り、または文脈から明らかでない限り、シリンダギャップの第1部分(例えば、第1位置321)へ、第1磁石を「直接的」に固定すること、および、例えば、可逆的、迅速な解放、機械的クランプによって、シリンダギャップの第2部分(例えば、第2位置322)へ、インプレッションシリンダのジャケットの一部を「間接的」に固定することを包含する。
【0046】
いくつかの実施形態では、調整機構281が設けられ、第1部材272と磁石280との間の接続を手動で調整する(例えば、締め付け、または緩める)ことを容易にする。例えば、ジャケット固定装置270の取り付け中に上部275が第2位置322のタブ229に接触するときに磁石が最適な角度で配置されず、シリンダギャップ320の表面内の第1位置において不完全性があるときに、調整機構281は、利用可能であり有用な特徴となることができる。ある非限定的な実施例では、第2位置322におけるシリンダギャップ320の表面は、機械加工し得る一方で、第1位置321における表面は、鋳造工程の精度を低くし得る。2つの位置の間の「段差」は、そのような2工程製造工程の1つの人工産物である。
【0047】
いくつかの実施形態では、シリンダ220への取り付け工程を改善するために、そしてそれ以外ではジャケット固定装置270の使用の有効性を高めるために、1つ以上の付加要素をジャケットタブ229に固定することができる。
【0048】
ある例では、各ジャケット固定装置270を第1回転位置に回転させてタブ229を長期間磁気固定する前に、シリンダギャップ320の表面に、1つのジャケットタブ229または複数のジャケットタブ229を軽く固定することが望ましい。タブ229を折り畳みまたは折り曲げると、折り畳みまたは折り曲げによる「弾力性」を引き起こす可能性があり、長期間磁気固定する前に、タブ229を所定の位置に適切に配置することを妨げる。タブ229は、かなり大きなジャケット225上にある比較的小さな延長部である。シリンダ220上にジャケット225が適切に据え付けられると、1つ以上のタブ229が、必要な場所に正確にあるのではなく、むしろいくらか「空中に浮いた」ままになる可能性があり、シリンダギャップ320の表面に対して所定の位置にぴったりと折り畳まれる。したがって、いくつかの実施形態では、取り付け工程を完了するのに十分長い間、タブ229を所定の位置に一時的に留めるために十分な接着力を利用して、ジャケットタブ225をシリンダギャップの表面に軽く固定することにより、ジャケット取り付け工程をより効率的にすることができる。
【0049】
第2の例では、ジャケット固定装置270における第1部材272の上部275(ジャケット固定装置270の一部であり、タブ229と接触する可能性が最も高い部分)と、タブ229の表面との間の摩擦抵抗力を増大させることが望ましい可能性がある。速度および遠心力が高いとジャケット固定装置270とシリンダギャップ320の表面との間でタブのスリップを別の状態で引き起こし得るとき、摩擦抵抗力は、印刷システム100の操作中に、ジャケット225のシリンダ220への取り付けに対して、いくつかの保護手段をさらに提供し得る。
【0050】
ここで
図10Bを参照すると、固定要素81が、ジャケットタブのシリンダに面する側に付着される。ある例では、固定要素81が、取り付け中に、各ジャケットタブ229を所定の位置に保持するのに十分な力を有する小さくて薄い磁石を備える。しかし、ジャケット225が最終的に取り外され、ジャケット固定装置270が第1回転位置から回転させられるとき、固定要素81は、タブをシリンダギャップの表面から切り離すために、過度の力又は特別な工作装置を必要としない。別の例では、固定要素81は、両面の粘着テープまたはフィルムとすることができ、例えば、再使用可能なテープまたはフィルムである、粘着テープまたはフィルムを備える。
【0051】
また
図10Bには、摩擦パッド79も示される。摩擦パッド79は、ジャケット固定装置270の第1部材272の上部275およびタブ229の表面の間の摩擦抵抗力を増大させるように設けることができる。摩擦パッド79は、布、ゴム、プラスチック、または摩擦抵抗を増加させ、印刷システム100の運転中にタブ229に起こる可能性がある、遠心力によるスリップを減少させるのに役立ち得るような材料を任意で組合せたものを、備えることができる。
【0052】
ジャケット225上の0からN(全てのタブ)までの任意の数のタブ229に、摩擦パッド79および/または固定要素81を装備することができる。例えば、どのタブにもそのように装備せず、またはいくつかのタブ229に摩擦パッド79および固定要素81の一方若しくは両方を装備することができ、またはすべてのタブ229に摩擦パッド79および固定要素81の一方若しくは両方を装備することができる。
【0053】
図10Cに図示される代替実施形態では、磁石280を別の場所に、例えば上部275に取り付けることができ、磁石が、「第2(唯一)」の位置322でシリンダギャップ320の表面にジャケットタブ229を直接固定する。
【0054】
いくつかの実施形態において、磁石280は、グリッパシャフト351の周りでジャケット固定装置270を回転させることによって、シリンダギャップ320の表面の第1位置321に取り付けられ、それ以外のときには当該表面から取り外される。
図11Aにおいて、ジャケット固定装置は、
図10Aのように第1回転位置にあり、磁石は、シリンダギャップ320の表面上の第1位置321である所定の位置にあり、ジャケットタブ229は、上部275によって、第2位置322に固定される。したがって、第1回転位置は、「ジャケット固定位置」である。ジャケット固定装置270の第1回転位置への回転は、矢印2020によって示される方向である。
図11Aに示されるように、ジャケット固定装置270は、ジャケット固定装置270の一部に取り付けられ、第1磁石280からずれた位置にある第2磁石285を含むことができる。第2磁石は、直接、または
図11Aに示されるように、その目的のためにより好ましい角度で第2磁石285を保持するブラケット287によって、取り付けることができる。
図11Bにおいて、ジャケット固定装置270は、第2回転位置にあることが示される。ジャケット固定装置270の第2回転位置への回転は、矢印2030で示される方向であり、
図11A中の矢印2020で示される第1回転位置に対する回転とは、逆方向である。第2回転位置においては、
図11Bに示されるように、第1磁石は、シリンダギャップ320の表面上の第1位置321から位置がずれる。第2磁石285と、シリンダギャップ320の第2表面部323との間の磁気引力は、ジャケット固定装置270を第2回転位置に保持する。したがって、第2表面部323は、第2位置の表面部またはギャップの表面の第3位置とも呼ばれる。いくつかの実施形態(図示されず)では、第2磁石285は設けられず、必要ならば、磁石280が、シリンダギャップ320の表面上の第1位置321であるその正規のターゲットに「即座に戻る」ことを防止するために、機械的拘束のようなものを設けるといった他の方法を使用することができる。
【0055】
ジャケット固定装置を第2回転位置へ回転させるための好ましい方法は、ベルクランククランプレバーの第2アーム(例えば、磁石280から遠い位置にある第2部材274の側面にある)に力を加え、当該力がシリンダギャップ320の表面上の第1位置321に磁気的に接着する位置から、磁石280を取り外すのに十分なモーメントを伝えることである。ここで、
図12を参照すると、ジャケット固定装置270の力受容面277に、力Fを効果的に加えることができる。
図12の力受容面277は、ジャケット固定装置270の力受容部278の上向き面である。力受容部278は、第1回転位置にあるときに、磁石280が配置される第1位置321と正反対の位置になるように、または正反対の位置から±30°以内の位置になるように、または正反対の位置から±15°以内の位置になるように、設けられる。力Fは、シリンダギャップに対して下向きに加えることができ、第1位置321におけるシリンダギャップ320の表面にほぼ平行であることを意味する。「ほぼ平行」とは、平行方向からいずれかの方向に15°以内、または平行方向からいずれかの方向に30°以内であることを意味する。力Fを加えるとき、力受容面は、第1位置321におけるシリンダギャップ320の表面に対してほぼ垂直である。「ほぼ垂直」とは、垂直方向からいずれかの方向に15°以内、または垂直方向からいずれかの方向に30°以内であることを意味する。このようにして、磁石280は、比較的容易に、および磁石280へ指または工具で直接接触することなしに、取り外すことができる。モーメントは、ジャケット固定装置270を第1回転位置から離れる方向(そして第2回転位置に向かう方向)に回転させることで、磁石280を取り外し、それにより、上部275によって第2位置322におけるシリンダギャップ320の表面にクランプされるジャケットタブ229(
図12には示されていない)を解放する。第2磁石285も、第2磁石285に対応するブラケット287も、単に便宜上の理由で
図12には示されておらず、そのため、力受容面277上の力Fの位置を図示することができる。
【0056】
前記の段落で説明したように、グリッパシャフト351の周りのジャケット固定装置270が回転可能であることを利用することによって、シリンダギャップ320の表面から磁石280を解放し、同時にジャケットタブ229を解放することを、効果的に達成する。この方法では、ジャケット固定装置270の反対側(すなわち、グリッパシャフト351の反対側に位置するジャケット固定装置270の側)の力受容部に適度に力Fを加えることによって、第1位置321に力を加えて磁石280を直接引き離すのに必要な力よりも少ない力で、磁石280を解放することができる。しかしながら、シリンダ220からジャケット225を取り外すということは、シリンダギャップ320の表面から複数の磁石280を解放し、第1回転位置から離れるように複数のジャケット固定装置270を回転させることを含む。
図13に示すように、単一のシリンダギャップ320には、5個を超える、または10個を超える、または15個を超える、ジャケット固定装置270を設けることができ、シリンダギャップ320の表面から引き離される類似する数の磁石280がある。全てのジャケット固定装置270の各力受容面277に力(例えば、F)を加えるために、細長く固いバー又はブラケット369を設けることができる。いくつかの実施形態では、適度の力Fであっても、存在するジャケット固定装置270の数をかける場合、オペレータが複数のジャケット固定装置270に一度に全部加えるには、力が大きすぎることが分かる。そのような実施形態では、ジャケットタブ229を解放する方法を実行できる。この方法は、ブラケット369を使用して、力受容面277のすべてに同時に力を加えることは含むが、複数のジャケット固定装置270をすべて同時に回転させることは含まない。本方法によれば、力受容部278の厚さは、異なるジャケット固定装置の間で、そして、特に隣接するジャケット固定装置の間で、変化させることができる。ここで
図14Aを参照すると、(ジャケット固定装置270の)力受容部278の概略図が、上向き力受容面277の多数の可能な厚さ、および対応する可能な配置(または変形)と共に示されている。各力受容部278は、その長さに沿って厚さを変化させることができるが、変化可能な厚さは、
図14Aに示される厚さの可能性のそれぞれにおいて差異がある。例えば、本開示において前述の全ての図で示されている力受容部278は、
図14Aに示される全ての可能性の中で厚さが最大の可能性があり、最上部の力受容面277Aを含む。
図14Aにおける2番目に厚い可能な力受容部278は、力受容面277Bを含む。
図14Aにおける3番目に厚い可能な力受容部278は力受容面277C等を含み、
図14に示す可能性のうち最も薄い可能な力受容部278が力受容面277Gを含むことまで続く。この解決策の有効性は、
図14Bから理解することができ、
図14Bは、
図14Aの力受容部の複数の厚さの図と
図12の立面図を統合している。第1回転位置に配置されるとき、全てのジャケット固定装置270は互いに平行である。これは、(a)それぞれの磁石280が、それぞれの第1位置321でシリンダギャップ320の表面に配置され、したがって、互いに平行であり、(b)それぞれの力受容部278の底面または下向き面もまた、互いに平行である、ということである。
【0057】
いくつかの実施形態では、様々な上向き力受容面277A、277Bなどの相対的な配置を、グリッパシャフト351に対する回転角度によって規定することができる。
図14Cでは、力受容面277Aが、矢印2040Aによって示される第1回転角度にあり、力受容面277Bが、矢印2040Bによって示される第2回転角度にある。それぞれの可能な受容面277は、異なる対応する回転角度2040を有することができる。2つの連続する回転角度2040Aおよび2040Bの間の回転差は、例えば1°とすることができる。いくつかの実施例では、連続する厚さの選択肢に対応する各回転角度2040のすべての組は、1°と実質的に同じ角度だけ分離する。他の実施例では、分離は、回転差がより大きな角度またはより小さな角度を含むことができ、力受容部の連続する厚さの選択肢間で、回転差の角度が全て同じである必要はない。
【0058】
ブラケット369(
図14Bには図示されず)によって力F'が加えられるときに、以下のことが起こる。
- 第1時点では、「最も高い」所にある力受容面277Aを有するジャケット固定装置のみがブラケット369に接触し、その結果生じるモーメントによって、第1位置から離れるように回転する。
- 第2時点では、力受容面277Bを有するこれらのジャケット固定装置のみが、ブラケット369に接触し、その結果生じるモーメントによって、第1位置から離れるように回転する。
- 第3時点では、力受容面277Cを有するこれらのジャケット固定装置のみが、ブラケット369に接触し、その結果生じるモーメントによって、第1位置から離れるように回転する。
【0059】
このことが、最も薄い力受容部278(「最も低い」所にある力受容面277、例えば277G、を有するもの)が接触するまで続く。
【0060】
「第1時点」と「第2時点」との間、または「第2時点」と「第3時点」との間の間隔は、1秒未満、2分の1秒未満、または10分の1秒未満とすることができる。いくつかの実施形態において、最も高い所にある力受容面277(277A)に接触して、最も低い所にある力受容面277に接触する間に経過する合計時間(例えば、277Gまたは277Fまたは277Eなどであり、力受容部278の異なる厚さがいくつ配置されるかによる)は、2秒未満または1秒未満とすることができる。様々な厚さにおける接触と接触の間の時間間隔が非常に短いにもかかわらず、その間隔は、様々な時間間隔において力F'を加える負担を分配するのに十分であり、それによって、ブラケット369に一回下向きの力を加えることで、シリンダギャップ320の表面から各磁石280をすべて解放することができる。いくつかの実施形態では、わずか2つのジャケット固定装置270が、同じ力受容部の厚さを共有する。いくつかの実施形態では、わずか3つのジャケット固定装置270が、同じ力受容部の厚さを共有する。いくつかの実施態様においては、力受容部の厚さの分布が対称となるように、ジャケット固定装置270が配置される。力受容部の厚さが対称的な分布のある実施態様において、力受容面277Aを有するジャケット固定装置270は、最も外側のジャケット固定装置270として、すなわちシリンダギャップ320における反対側の端部に最も近接して配置される。それら(ジャケット固定装置270の配列の中心により近いグリッパ間領域353)に隣接するものは、力受容面277B、次いで、力受容面277Cを有するもの等である。このような対称的な配置が展開される場合には、ブラケット369を、以下のように配置することができる。すなわち、ブラケット369の各端部付近に含まれる突出部(図示されず)が、最も外側のジャケット固定装置270の力受容面277(例えば、277A)上に設けられる適合レセプタクル(
図9Bの265)に嵌合できるように配置することができる。当該ジャケット固定装置270は、ブラケット369による力の印加中に初めに接触するものである。突出部とレセプタクルとの嵌合は、第1回転位置から離れるようにジャケット固定装置270を回転させそれによってジャケットタブ229を解放する力を加えるために、ブラケットを堅固に配置する際に役立てることができる。
【0061】
ここで
図15及び
図16を参照する。いくつかの実施形態において、基板231に2つのインク画像を転写するごとにインプレッションシリンダ220が1回転するように、印刷システム100を設計することができる。このような実施形態において、シリンダ220上に2つのシリンダギャップが、そしてシリンダギャップの間に2つの滑らかな表面が、存在することができる。各表面は、ITMから各基板へインク画像の1つを転写することを可能にし、表面は、シリンダジャケット225によって適切に保護される。
図15は、このようなケースの一例を示す。ここで、第1ジャケット225
1の第1タブ229
1は、第1シリンダギャップ320
1内の第1ジャケット固定装置270
1によって固定され、第2ジャケット225
2のタブ229
2は、第2シリンダギャップ320
2内の第2ジャケット固定装置270
2によって固定される。同様に、第1ジャケット225
1の第1後部227
1が、第1シリンダギャップ320
1内に固定され、第2ジャケット225
2の第2後部227
2が、第1シリンダギャップ320
1内に固定される。-
【0062】
図16は、第2シリンダギャップ320
2内における第1後部227
1の固定を、より詳細に示す(第2ジャケット固定装置270
2は、図面から除く)。後部は、グリッパ及びグリッパシャフトに接触せず、従って、特別な装置なしに、簡単にシリンダギャップの表面に固定することができる。例えば、アンダーカット壁がシリンダ外面に対して凹んでいるので、ジャケットの後縁を、ギャップのアンダーカット部分に沿うように、内側に曲げることができる。この場合、後縁とジャケットによって形成される、折り畳み角度は、90°未満とするべきである。あるいは、いくつかの実施形態において、第1後部227
1を固定するために、後部磁石223(または複数の後部磁石223)を取り付けおよび取り外すための後縁部磁石ホルダ290が設けられる。
【0063】
ここで
図17および
図18を参照すると、(両面)印刷システム100は、基板231の両面に印刷ができるように適合され、両面印刷という目的のために第2インプレッションシリンダ520を含むことができる。本明細書に開示される様々な実施形態によるジャケット225を、「単一の」インプレッションシリンダ220上に取り付けるために記載された方法と同じ方法で、両面シリンダ520上に取り付けることができる。すなわち、シリンダギャップ620内のグリッパシャフト351上に、回転可能に取り付けられるジャケット固定装置270は、磁石280を用いて、ジャケットタブ229を、シリンダギャップ620の表面に磁気的に固定する。第2回転位置では、両面シリンダ520のジャケット固定装置270は、第2磁石285を使用し、反対側のシリンダギャップの表面624に磁気的に引き付けることによって、シリンダギャップ620の表面から磁石280が取り外される状態で(およびジャケットタブ229が解放される状態で)、配置することができる。ここで、第2磁石285の配置は、シリンダギャップ間の構造的相違のため、単一シリンダ(
図11B)における配置から変えることができる。この小さな差は、例えばジャケット225を交換するため、第2回転位置にジャケット固定装置270を保持するよう、第2磁石285を使用するという根本的な概念を変えるものではない。
【0064】
ここで
図19を参照すると、シリンダ220(又は520)上に、ジャケット固定装置270及びシリンダジャケット225を取り付ける方法が開示されている。方法は、
a)複数のジャケット固定装置270を組み立てるステップS01であり、各ジャケット固定装置270は、(i)磁石280と、(ii)磁石を保持する第1部材272と、(iii)第1部材272に可逆的に取り付け可能な第2部材274と、を備え、組み立てられる各ジャケット固定装置270を各グリッパ間領域353に配置し、グリッパシャフト351の周りに回転可能に取り付ける、ステップS01と、
b)では、ジャケット225から延びる複数のタブ229を有するジャケット225をシリンダ220(又は520)上に配置し、各タブ229を対応するグリッパ間領域353に置く、ステップS02と、
c)各ジャケット固定装置270をグリッパシャフト351の周りで第1回転位置まで回転させ、各ジャケットタブ229をシリンダギャップ320(又は620)の表面に磁気的に固定する、ステップS03と、
を含む。
いくつかの実施形態において、方法は、任意に、
d)組み立てられたジャケット固定装置270が第1回転位置にあり、対応するジャケットタブ229がシリンダギャップ320(または520)の表面に固定されるときに、磁石280と各ジャケット固定装置270の間にある接続機構281を手動で調整して、磁石280と、シリンダギャップ320(または620)の表面の各第1位置321の間の接触を改善するステップS04を更に含む。
【0065】
ここで
図20を参照すると、本明細書に開示される実施形態のいずれかに従って、ジャケット固定装置270が取り付けられるシリンダ220(または520)上のシリンダジャケット225を交換するための方法が開示される。方法は、
a)各ジャケット固定装置270に対応する各力受容面277に力F(またはF')を加え、ジャケット固定装置270を第2回転位置に回転させ、それによってジャケットタブ229をシリンダギャップ320(または620)の表面に磁気的に固定される状態から解放する、ステップS11と、
b)シリンダ220(または520)から使用済みジャケット225を取り外すステップS12と、
c)交換用ジャケット225をシリンダ220(又は520)上に配置し、各タブ229を対応するグリッパ間領域353に置く、ステップS13と、d)各ジャケット固定装置270をグリッパシャフト351の周りで第1回転位置に回転させ、交換ジャケット225の各タブ229をシリンダギャップ320(又は620)の表面に磁気的に固定する、ステップS14と、
を含む。
【0066】
本発明は、例として提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない実施形態の詳細な説明を使用して説明されてきた。説明される実施形態は、異なる構成を含み、その全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの構成または構成の可能な組み合わせのみを利用する。説明される本発明の実施形態の変形例、および説明される実施形態において注目される特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、本発明に関連する技術分野の当業者には想起されるであろう。したがって、本発明は、そのような代替、修正、および変形をすべて包含し、開示の精神および範囲、ならびに均等の意味および範囲内に入る任意の変更によってのみ限定されることが意図される。
【0067】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わされて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される開示の様々な特徴は、開示の任意の他の説明される実施形態において、別々に、または任意の適切な副組合せで、または適切なものとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしに動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と考えられるではない。
【0068】
「例示的」という語は、本明細書では「例、事例、または例示として働く」ことを意味するために使用される。「例示的」として説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではなく、および/または他の実施形態からの特徴の取り込みを排除するように解釈されるべきではない。
【0069】
本明細書で使用されるように、「構成される(configured to)」、「適合される(adapted to)」、「動作する(operative to)」、「適切である(suitable for)」、「製造される(made to)」、および「設計される(designed to)」の用語は、その記載される機能を実行するための要素または構造の能力または性能を示すために、交換して使用され得る。
【0070】
本開示の説明および特許請求の範囲では、各動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、および「有する(have)」、並びにこれらの活用形は、動詞の1つ以上の目的語が、必ずしも動詞の主題または主題の、特徴、部材、工程、成分、要素または部分の完全なリストではないことを示すために、使用される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形の言及を含む。
【0071】
本出願が条約による優先権を主張する2019年3月19日に出願された英国特許出願第1903768.8号の部分は、簡潔にするためだけに本願から省略しており、それらの内容を放棄するために省略するわけではない。英国特許出願第1903768.8号を参照により本明細書に組み込むことを考慮すると、その内容全体が、本明細書の一部を形成すると見なされるべきである。