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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】光学装置、及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20241105BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20241105BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20241105BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G03B5/00 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022036741
(22)【出願日】2022-03-10
(65)【公開番号】P2023131789
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】大坂 浩樹
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-230433(JP,A)
【文献】特開2010-072062(JP,A)
【文献】特開平08-248289(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101676788(CN,A)
【文献】国際公開第2018/139351(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0072743(US,A1)
【文献】特開2005-099826(JP,A)
【文献】特開2020-101606(JP,A)
【文献】特開2020-012997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 5/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光学系を保持する第1の部材と、
前記第1の部材を光軸に沿って移動可能に保持する2本の軸部材と、
前記第1の部材を前記光軸に沿って駆動する駆動ユニットと、
補正光学系を前記光軸と直交する平面内で移動させる補正ユニットと、
前記駆動ユニットと前記補正ユニットとを保持するベース部材と、を備えた光学装置において、
光軸方向からみて、前記2本の軸部材のうちのどちらか一方が、前記補正ユニットよりも外径側かつ前記駆動ユニットよりも内径側に配置されており、
前記光軸方向において、前記補正ユニットと前記2本の軸部材とはなるように配置されていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記補正ユニットは、第1の駆動コイルと第2の駆動コイルとを備え、
前記2本の軸部材の内のどちらか一方が、前記光軸方向から見て、前記光軸と前記第1、第2の駆動コイルのどちらか一方を結んだ直線の略延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1、第2の駆動コイルは、前記駆動ユニットと前記光軸とを結ぶ直線から前記光軸を中心とした円周方向に略135度の角度でそれぞれ離間して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
第2の光学系を保持する第2の部材と、を更に備え、
前記第2の部材は、前記第2の部材と前記ベース部材との相対位置を固定する3つの固定部と、衝撃を受けた際に前記第2の部材の前記光軸方向における動きを規制する2つの規制部とを有し、
前記第2の部材は、前記第1の部材と前記補正ユニットとの間において前記ベース部材に固定されており、
前記固定部の1つは、前記駆動ユニットの対角位置に配置され、前記固定部の残りの2つは、前記対角位置から前記光軸を中心とした円周方向に略120度の角度でそれぞれ離間して配置され、
2つの前記規制部は、前記対角位置と前記固定部との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第1の部材には、第1の当接部が設けられ、
前記第2の部材には、前記第1の部材が進退駆動した際に駆動方向において前記第1の当接部が突き当たる第2の当接部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記2本の軸部材は、長さ及び直径が同一であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学装置と、該光学装置により形成された像を撮る撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記光学装置は、前記撮像装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、及びそれを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち撮影時の像ブレを抑制する機能と電動でズーミングやフォーカシングをする機能の両方を備える光学機器では、ひとつの製品内において、光軸直交平面内でシフトするレンズ群や、光軸方向へ直線的にシフトするレンズ群が混在する。特許文献1では、フォーカス駆動ユニットの一部が、像ぶれ補正装置と干渉しないように像ぶれ補正装置を貫通する構成を有する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-103555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光軸直交平面内でシフトするレンズ群と光軸方向へ直線的にシフトするレンズ群を同一鏡筒内に配置する場合、お互いの動きを妨げないように配置する必要がある。また、それぞれのレンズ群に対応したアクチュエータも必要となり、アクチュエータ同士の干渉、レンズ群の動きの妨げとならないようにそれらを配置する必要がある。これらの事項がレンズ装置の小型化を阻害する原因となっている。
【0005】
本発明は、補正ユニットと直動ユニットの両方を備えた小型の光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の光学系を保持する第1の部材と、前記第1の部材を光軸に沿って移動可能に保持する2本の軸部材と、前記第1の部材を前記光軸に沿って駆動する駆動ユニットと、補正光学系を前記光軸と直交する平面内で移動させる補正ユニットと、前記駆動ユニットと前記補正ユニットとを保持するベース部材と、を備えた光学装置において、光軸方向からみて、前記2本の軸部材のうちのどちらか一方が、前記補正ユニットよりも外径側かつ前記駆動ユニットよりも内径側に配置されており、前記光軸方向において、前記補正ユニットと前記2本の軸部材とはなるように配置されていることを特徴とする。


【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、補正ユニットと直動ユニットの両方を備えた小型の光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のレンズ装置100とカメラ装置200の接続構成図である。
図2】レンズ装置100の構成図である。
図3】レンズ装置100の分解斜視図である。
図4】像面側から見た振れ補正ユニット8とレンズ駆動手段7の配置図である。
図5】像面側から見た第3レンズ保持枠3とレンズ駆動手段7の配置図である。
図6】駆動レンズ群と固定レンズ群の突き当て面を示す断面図である。
図7図6の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(実施例)
まず、図1を参照して、本発明の実施例における撮像装置の概略について説明する。図1は、本発明のレンズ装置100(光学装置)とカメラ装置200(撮像装置)の接続構成図である。
【0011】
レンズ装置100は、レンズ装置100を後述するカメラ装置200のカメラマウント201に機械的に接続するためのレンズマウント101を備える。
【0012】
レンズ装置100には、レンズCPU102が備えられ、レンズCPU102は、レンズ装置100全体の制御や通信、カメラ装置200との通信、カメラ装置200に実装された機能の制御を行う。
【0013】
レンズの操作部材103は、レンズ装置100の各種機能の操作や各種機能選択、決定、制御を行うと共に、レンズCPU102に接続されている。
【0014】
操作検出手段104は、不図示のファンクションリングの操作方向及び操作量を検出する。操作検出手段104は、例えば不図示のフォトインタラプタであって、ファンクションリングの内径に備えられた不図示の矩形波形状に応じて受光、遮光を検知することでファンクションリングの操作方向及び操作量を検出する。
【0015】
駆動手段105は、例えば、フォーカス駆動手段106、ズーム駆動手段107、振れ補正駆動手段108、絞り駆動手段109を備え、各種機能を駆動させる。
【0016】
フォーカス駆動手段106は、不図示のフォーカスレンズ群と接続される。そして、フォーカス駆動手段106は、不図示のフォーカスリングの操作時の操作方向及び操作量に応じてフォーカスレンズ群を後述する光軸OAに沿った方向に動かすことでレンズ装置100の焦点位置を移動させる。
【0017】
ズーム駆動手段107は、不図示のズームレンズ群と接続されると共に、不図示のズームリングの操作時の操作方向及び操作量に応じてズームレンズ群を光軸OAに沿った方向に動かすことでレンズ装置100の焦点距離を変え、画角を変更させる。
【0018】
振れ補正駆動手段108は、不図示の振れ補正レンズ群と接続される。更に、絞り駆動手段109は、不図示の光量調節羽根と接続されると共に、カメラ装置200の操作に応じて光量調節羽根を動かし、カメラ装置200の不図示の撮像素子へ入射する光量を調節する。
【0019】
機能割り当て手段110は、ファンクションリングに上述の様々な機能を割り当てることが可能である。更に、カメラ装置200から機能割り当て手段110にアクセスして、機能を割り当てることが可能となっている。
【0020】
レンズの記憶装置111は、ファンクションリングに機能を自動的に割り当てるために予め機能割り当ての優先順位を決めた情報を記憶する。機能変更手段112はファンクションリングに割り当てた機能を別の機能に変更する。
【0021】
次に、カメラ装置200について説明する。カメラ装置200は、カメラマウント201を備え、カメラマウント201はレンズマウント101と機械的に接続する。
【0022】
カメラCPU202は、カメラ装置200全体の制御や通信、レンズ装置100の制御や通信を行う。
【0023】
主電源203は、カメラ装置200を通電させるための電源のONとOFFを操作する。カメラの操作部材204は、カメラ装置200の各種機能の操作や各種機能選択、決定、取消、レリーズ等の操作を行う。表示手段205は、カメラ装置200の各種設定や撮影画像を表示する。カメラの記憶装置206は、カメラ装置200の各種設定や撮影画像を記憶する。
【0024】
次に、図2乃至図4を参照して、本実施例におけるレンズ装置100の概略構成について説明する。撮影光学系として、レンズ装置100は、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2(第1の光学系)、第3レンズ群L3(第2の光学系)、振れ補正レンズ群L4(補正光学系)、第5レンズ群L5の順に並んだレンズ群を有する。
【0025】
第1レンズ群L1は、被写体側に第1aレンズL1a、その隣の像面側に第1bレンズL1bが配置されて構成される。第1レンズ保持枠1は、第1aレンズL1aを保持する第1aレンズ保持枠1aと第1bレンズL1bを保持する第1bレンズ保持枠1bにより構成され、第1レンズ群L1を保持する。
【0026】
第2レンズ保持枠2(第1の部材)は第2レンズ群L2、第3レンズ保持枠3(第2の部材)は第3レンズ群L3、振れ補正レンズ保持枠4は振れ補正レンズ群L4をそれぞれ保持する。
【0027】
第5レンズ群L5は、被写体側に第5aレンズL5a、その隣の像面側に第5bレンズL5bが配置されて構成される。第5レンズ保持枠5は、第5aレンズL5aを保持する第5aレンズ保持枠5aと第5bレンズL5bを保持する第5bレンズ保持枠5bにより構成され、第5レンズ群L5を保持する。
【0028】
第1レンズ保持枠1、第3レンズ保持枠3、振れ補正レンズ保持枠4、第5レンズ保持枠5、レンズ駆動手段7(駆動ユニット)、振れ補正ユニット8(補正ユニット)はメインベース10(ベース部材)により保持される。また、第3レンズ保持枠3は、第2レンズ保持枠2と振れ補正ユニット8を有する振れ補正レンズ保持枠4との間においてメインベース10に固定される。
【0029】
また、レンズ装置100は、第2レンズ保持枠2を光軸OAに沿って移動可能に保持する2本の軸部材であるメインバー9aとサブバー9bを有する。メインバー9aとサブバー9bのそれぞれの像面側の端部は、メインベース10により保持され、それぞれのもう一方の端部はメインベース10に固定されたバーホルダー6により保持される。バーホルダー6は第2レンズ保持枠2よりも被写体側に設けられ、メインバー9aとサブバー9bは、第3レンズ保持枠3と振れ補正レンズ保持枠4を超えてメインベース10の像面側に設けられた受け形状をしている受け部により保持される。
【0030】
第2レンズ保持枠2は、メインバー9aとサブバー9bにガイドされ、光軸方向へ直線的にシフトする直動ユニットであるレンズ駆動手段7により発生する駆動力を受け、光軸OAに沿った方向へ進退駆動される。レンズ駆動手段7は高周波電圧が印加されることで超音波領域の周波数の振動を起こす圧電素子の振動を直進方向の駆動力に変換することで進退駆動をおこなうアクチュエータである。
【0031】
次に、図4を参照して、振れ補正レンズ群L4を光軸OAに直交する面内でシフトさせる振れ補正ユニット8とレンズ駆動手段7の位置関係に関して説明する。図4は、振れ補正レンズ保持枠4に備えられた振れ補正ユニット8とレンズ駆動手段7を像面側から見た際の配置図である。
【0032】
振れ補正ユニット8は、振れ補正レンズ群L4を保持する振れ補正レンズ保持枠4を光軸OAに直交する面内でシフトさせるための2つのアクチュエータを有する。1つのアクチュエータは、不図示の磁石と第1の駆動コイル8aから構成され、もう1つのアクチュエータも同様に、不図示の磁石と第2の駆動コイル8bから構成されている。第1の駆動コイル8aは、第2レンズ保持枠2を進退させるレンズ駆動手段7の略中心Bと光軸OAを結ぶ直線OABに対して、光軸OAを中心とした時計回りに略135度の位置に配置される。同様に、第2の駆動コイル8bは、直線OABに対して、光軸OAを中心とした反時計回りに略135度の位置に配置される。すなわち、第1、第2の駆動コイル8a、8bは、レンズ駆動手段7と光軸OAとを結ぶ直線OABから光軸OAを中心とした円周方向に略135度の角度でそれぞれ離間して配置される。
【0033】
振れ補正ユニット8を備える振れ補正レンズ保持枠4は、3つのコロ4aを介してメインベース10に固定される。光軸OAを中心としたレンズ駆動手段7の対角位置にコロ4aが1つ配置され、その位置を基準として、2つのコロ4aが120度の角度等分でそれぞれ配置される。このように、レンズ駆動手段7に対して、振れ補正レンズ保持枠4内で大きな専有面積が必要な第1、第2の駆動コイル8a、8bやコロ4aの配置を限定することにより、レンズ駆動手段7をより内径側に配置することができるので製品の小型化が可能となる。
【0034】
そして、光軸方向からみて、2本の軸部材のうちのどちらか一方が、振れ補正ユニット8を備える振れ補正レンズ保持枠4の外径側かつレンズ駆動手段7の内径側に配置される。実施例では、メインバー9aが、振れ補正レンズ保持枠4よりも外径側かつレンズ駆動手段7よりも内径側に配置され、光軸OAを中心とした円周方向(位相)においては、レンズ駆動手段7の近くに配置される。更に、図2または図6に示すように、振れ補正ユニット8を備える振れ補正レンズ保持枠4と2本の軸部材は光軸方向において常に重なるように配置される。すなわち、光軸方向において2本の軸部材が存在する範囲内に、振れ補正ユニット8が配置される。このような構成とすることで、小型のレンズ装置100を提供することができる。
【0035】
図4に示すように、サブバー9bは、光軸方向からみて、振れ補正ユニット8よりも外径側かつ光軸OAを中心としたメインバー9aの略対向側に配置される。また、振れ補正レンズ保持枠4内で稼働するアクチュエータを構成する一部の部材は、振れ補正レンズ群L4と一体的に移動する。メインバー9aとの配置関係により、サブバー9bは2つあるアクチュエータのどちらか一方に近い位置へ配置されるが、アクチュエータの駆動範囲を避けて配置する必要があり、製品外径の大型化につながるおそれがある。そこで、2本の軸部材の内のどちらか一方が、光軸方向から見て、光軸OAと第1、第2の駆動コイル8a、8bのどちらか一方を結んだ直線の略延長線上に配置される。実施例では、光軸OAと第2の駆動コイル8bの中心を結んだ直線の略延長線OACになるべく近い位置にサブバー9bを配置することで、外径方向への逃げ量を小さくしている。
【0036】
また、メインバー9aとサブバー9bを結んだ直線DEと光軸OAとの距離がなるべく小さくなるように両軸部材を配置することが望ましい。このように配置することで、落下等の衝撃を受けた際のメインバー9aを中心軸とした第2レンズ保持枠2に発生する回転モーメントを小さく抑えることが可能となる。
【0037】
次に、図5を参照して、第3レンズ保持枠3とレンズ駆動手段7の位置関係に関して説明する。図5は第3レンズ保持枠3とレンズ駆動手段7を像面側から見た際の配置図である。
【0038】
第3レンズ保持枠3には、第3レンズ保持枠3とメインベース10との相対位置を固定するための3つのメインコロ3a(固定部)が設けられ、第3レンズ保持枠3はメインコロ3aを介してメインベース10に固定される。3つのメインコロ3aの1つは、光軸OAを中心としたレンズ駆動手段7の対角位置に配置され、その対角位置を基準として、残りの2つのメインコロ3aは、その対角位置から光軸OAを中心とした円周方向に略120度の角度でそれぞれ離間して配置される。
【0039】
第3レンズ保持枠3には、衝撃を受けた際に、第3レンズ保持枠3の光軸方向における動きを規制する2つのサブコロ3b(規制部)が設けられる。2つのサブコロ3bは、光軸OAを中心とした円周方向におけるレンズ駆動手段7が配置される位置(位相)を除き、レンズ駆動手段7の対角位置とメインコロ3aの中間の位置(位相)にそれぞれ配置される。
【0040】
第3レンズ保持枠3は、可動群である第2レンズ保持枠2に隣接しているため、落下等で第2レンズ保持枠2に突き当り、光軸OAに沿った方向の強い衝撃を受ける場合がある。第3レンズ保持枠3が光軸OAに沿った方向へある一定以上の変位した際に、サブコロ3bは、メインベース10と突き当り、それ以上の変位を規制するので、第3レンズ保持枠3の変位を最小限に抑えることができ、衝撃受けのサブコロ3bは有効である。そして、サブコロ3bをメインコロ3aの中間に配置することにより、後述する第2レンズ保持枠2と第3レンズ保持枠3の突き当て面をメインコロ3aとサブコロ3bで挟み込むような配置となる。この構成により、衝撃による第3レンズ保持枠3の変形を効果的に抑制することができる。
【0041】
前述のとおり、光軸方向から見た際の各構成部材の配置により、メインバー9a、サブバー9bは、共にバーホルダー6から第3レンズ保持枠3と振れ補正レンズ保持枠4の外径側を最小の逃げ量で避けつつ、メインベース10の受け部へ到達することができる。この構成により、メインバー9aとサブバー9bの長さ及び直径を同一に設定することが可能となり、部材の共通化も可能となる。
【0042】
次に、図3乃至図6を参照して、第2レンズ保持枠2の形状と第3レンズ保持枠3、振れ補正レンズ保持枠4の光軸OAに沿った方向における位置関係を説明する。図6図5の切断線VI-VIにおいて矢印の方向へ見た、第2レンズ保持枠2が第3レンズ保持枠3に突き当たった状態の断面図である。
【0043】
第2レンズ保持枠2は、レンズ駆動手段7から光軸OAに直交する方向における付勢力を受けるフランジ2aと、メインバー9aと係合するスリーブ2bを有する。フランジ2aは、第2レンズ群L2を抱える円筒部とスリーブ2bを繋ぐような形状となっており、第2レンズ群L2に対するスリーブ2bの倒れが発生しないように剛性を確保する役割を担う。フランジ2aは、光軸方向から見て光軸OAを中心としたレンズ駆動手段7の同一位相の位置に、振れ補正レンズ保持枠4よりも外径側かつメインベース10の内径側に設けられる。スリーブ2bは、光軸方向における両端部でメインバー9aと係合する構造であり、その係合部の間隔が広いほど、第2レンズ保持枠2の光軸OAに対する倒れを小さく抑えることが可能となる。
【0044】
その一方、フランジ2a及びスリーブ2bを光軸OAに沿った方向へ延ばすことにより、第2レンズ保持枠2が進退駆動した際に周辺の部材群と重なってしまう。本発明における構成においても、フランジ2aとスリーブ2bの一部分が、常に第3レンズ保持枠3及び振れ補正レンズ保持枠4と光軸方向において重なっている。光軸OAに沿った方向に進退駆動する部材群と、光軸OAに直交する面内で駆動する振れ補正レンズ保持枠4が重なる構成の場合、スペースの取り合いで光軸OAに沿った方向に進退駆動する部材群が外径側に追いやられ、製品外径が大きくなってしまう。
【0045】
しかしながら、本発明の構成では、レンズ駆動手段7とメインバー9a、及び振れ補正レンズ保持枠4内で特に専有スペースが大きい第1、第2の駆動コイル8a、8bの相対位置関係を最適化することにより、製品外径が大型化するのを防ぐことが可能となる。
【0046】
本発明によれば、補正ユニットと直動ユニットの両方を備えた小型のレンズ装置100を提供することができる。
【0047】
次に、図6図7を参照して、第2レンズ保持枠2と第3レンズ保持枠3の突き当てに関して説明する。図7図6におけるF部の拡大図である。
【0048】
第2レンズ保持枠2がサブバー9bに近接する付近に、第3レンズ保持枠3側へ突起した突起面2c(第1の当接部)が設けられる。その突起面2cに対応するように、第3レンズ保持枠3には、第2レンズ保持枠2が進退駆動した際に駆動方向において突起面2cが突き当たる、第3レンズ保持枠3から第2レンズ保持枠2側へ突起した受け面3c(第2の当接部)が設けられる。突起面2cと受け面3cは、第2レンズ保持枠2が第3レンズ保持枠3側へ、電気的な駆動制御で想定している駆動範囲を超えて移動した際に突き当たるよう、光軸OAに沿った方向の位置が設定されている。
【0049】
突起面2cを受ける面をメインベース10に設ける構成も考えられるが、そのような場合、メインベース10から内径側へ突出した衝撃受けの形状が必要となり、その形状よりも像面側の形状は、被写体側よりも衝撃受けの形状分だけ小径化せざるを得ない。それにより、衝撃受け形状よりも像面側に配置された群のレンズの径を小さくするか、または、メインベース10の径を大きくする必要があり、光学性能の低下や製品の大型化の懸念となる。また、メインベース10が樹脂により射出成形される部材である場合、部材中間に衝撃受け形状を設けることにより、金型の構成が複雑化しコストアップの要因となる懸念がある。これらの懸念は、第3レンズ保持枠3に受け面3cを設け、サブコロ3bで衝撃に対する耐力を向上させることで対策が可能である。それに加え、図5に示すように、サブコロ3bとサブバー9bは隣り合うように配置されるため、サブバー9b近辺に設けられた突き当てもサブコロ3bと近い位置関係となる。それにより、第3レンズ保持枠3の衝撃に対する耐力が向上する。
【0050】
本発明が適用されるレンズ装置100は、レンズ装置100により形成された像を撮る撮像素子を備えるカメラ装置200や、撮像素子を備えレンズ装置100が着脱可能な撮像装置本体を備える撮像システムに用いられる。更に、本発明はレンズ一体型の撮像装置にも適用可能である。
【0051】
なお、本発明は、レンズ駆動手段7がステッピングモータ及びボイスコイルモータ等を適用する場合においても、製品小型化の効果を発揮することが可能である。以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 第2レンズ保持枠(第1の部材)
2c 突起面(第1の当接部)
3 第3レンズ保持枠(第2の部材)
3a メインコロ(固定部)
3b サブコロ(規制部)
3c 受け面(第2の当接部)
7 レンズ駆動手段(駆動ユニット)
8 振れ補正ユニット(補正ユニット)
8a 駆動コイル(第1の駆動コイル)
8b 駆動コイル(第2の駆動コイル)
9a メインバー(軸部材)
9b サブバー(軸部材)
10 メインベース(ベース部材)
100 レンズ装置(光学装置)
200 カメラ装置(撮像装置)
L2 第2レンズ群(第1の光学系)
L3 第3レンズ群(第2の光学系)
L4 振れ補正レンズ群(補正光学系)
OA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7