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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】トコジラミの選択的検出
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20241105BHJP
   A61L 2/04 20060101ALI20241105BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A01M1/00 Q
A61L2/04
A61L2/26
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095515
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2019564423の分割
【原出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2022123020
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】62/509,501
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/577,437
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ,マーク ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ソークホヤック,アンドレイ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】スポマー,ニール エー.
(72)【発明者】
【氏名】マンゴールド,シェーン エル.
(72)【発明者】
【氏名】シャンカール,ラビ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ムコパドヤイ,スクリット
(72)【発明者】
【氏名】レイズ,ジェレミー クリス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ブルース エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィニーフォード,ウィリアム エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ロンダ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ホワード,フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パーストル,アンドリュー ジェイ.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】エヴンソン,メアリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,トーマス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャムピエトロ,ナタリー,シー.
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-507390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0212466(US,A1)
【文献】バイオセンサー(I)-バイオセンサーの原理と特徴-,日本海水学会誌,1997年,第51巻第1号,61-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害生物の存在を検出する方法であって、
第1のセンサデータをセンサから受信することと、
前記第1のセンサデータを受信したときから予め定義された時間の後に、第2のセンサデータを前記センサから受信することと、
前記第1および第2のセンサデータに基づいてシグナル変化の第1の勾配を決定することであって、前記第1の勾配は、前記第1及び第2のセンサデータに基づく周波数の変化率である、決定することと、
前記第2のセンサデータを受信したときから予め定義された時間の後に、第3のセンサデータを前記センサから受信することと、
前記第2および第3のセンサデータに基づいてシグナル変化の第2の勾配を決定することであって、前記第2の勾配は、前記第2及び第3のセンサデータに基づく周波数の変化率である、決定することと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるか否かを判定することと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるという判定に応答して有害生物検出警告通知をサーバに送信することとを含み、
前記第1のセンサデータ、前記第2のセンサデータ、及び前記第のセンサデータは周波数を含み、
前記センサが、有害生物によって分泌された標的の生化学的分析物と反応するコーティングを含み、前記シグナル変化が、標的の生化学的分析物の濃度の増加と相関する、方法。
【請求項2】
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるときタイマーを起動することと、
センサデータを前記センサから受信して前記タイマーが動いている間のセンサデータに基づいてシグナル変化の勾配を決定することと、
勾配に変化がないことを検出して前記タイマーを停止することと、
前記タイマーによって測定した時間間隔を決定することと、
前記時間間隔が予め定義した時間より大きいか否かを判定することとをさらに含み、
前記有害生物検出警告通知を送信することが、前記時間間隔が前記予め定義した時間より大きいという判定に応答して有害生物検出警告通知を送信することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予め定義した閾値がトコジラミの存在下における基準の質量変化速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングがジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングが環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的の生化学的分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記標的の生化学的分析物がトランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的の生化学的分析物が4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記標的の生化学的分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記センサが石英結晶ミクロ天秤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
有害生物によって分泌された標的の生化学的分析物と反応するコーティングを含むセンサと、
前記センサに連結されたコントローラであって、
第1のセンサデータを前記センサから受信することと、
前記第1のセンサデータを受信したときから予め定義された時間の後に、第2のセンサデータを前記センサから受信することと、
前記第1および第2のセンサデータに基づいてシグナル変化の第1の勾配を決定することであって、前記第1の勾配は、前記第1及び第2のセンサデータに基づく周波数の変化率である、決定することと、
前記第2のセンサデータを受信したときから予め定義された時間の後に、第3のセンサデータを前記センサから受信することと、
前記第2および第3のセンサデータに基づいてシグナル変化の第2の勾配を決定することであって、前記第2の勾配は、前記第2及び第3のセンサデータに基づく周波数の変化率である、決定することと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるか否かを判定することと、
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるという判定に応答して有害生物検出警告通知をサーバに送信することとを含み、
前記第1のセンサデータ、前記第2のセンサデータ、及び前記第のセンサデータは周波数を含み、
前記シグナル変化が、標的の生化学的分析物の濃度の増加と相関する、
有害生物防除デバイス。
【請求項12】
前記第2の勾配が前記第1の勾配と異なるとタイマーを起動することと、
センサデータを前記センサから受信して前記タイマーが動いている間のセンサデータに基づいてシグナル変化の勾配を決定することと、
勾配に変化がないことを検出して前記タイマーを停止することと、
前記タイマーによって測定した時間間隔を決定することと、
前記時間間隔が予め定義した時間より大きいか否かを判定することとをさらに含み、
前記有害生物検出警告通知を送信することが、前記時間間隔が前記予め定義した時間より大きいという判定に応答して有害生物検出警告通知を送信することを含む、
請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項13】
予め定義した閾値がトコジラミの存在下における基準の質量変化速度である、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項14】
前記コーティングがジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)を含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項15】
前記コーティングが環状チオール中間体(CTI)を含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項16】
前記標的の生化学的分析物がトランス-2-ヘキセナール(T2H)を含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項17】
前記標的の生化学的分析物がトランス-2-オクテナール(T2O)を含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項18】
前記標的の生化学的分析物が4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項19】
前記標的の生化学的分析物が4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含む、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【請求項20】
前記センサが石英結晶ミクロ天秤である、請求項11に記載の有害生物防除デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年10月26日に出願した米国特許出願番号第62/577,43
7号および2017年5月22日に出願した米国特許出願番号第62/509,501号
の利益を主張する。これらそれぞれの開示は参照により全体として本明細書に組み込まれ
る。
【0002】
本開示は一般に有害生物防除に関し、より詳細には、たとえばトコジラミを含む昆虫の
検出、監視、および制御に関する。
【背景技術】
【0003】
最近のデータは、ヒトの住居におけるトコジラミ(サイメックス種)の蔓延が増大しつ
つあることを示唆している。世界で少なくとも92種が同定されており、その中で少なく
とも16種が北米大陸に生息している。一般に、トコジラミはヒトおよび種々の家畜化さ
れた動物を含む宿主に寄生する有害生物である。少なくとも1つには長期的効果のある残
留性の殺虫剤がトコジラミの集団を抑制するためにもはや使用されていないことから、ト
コジラミの蔓延は今や大きな問題となっていると信じられる。さらに、海外旅行の増加お
よび殺虫剤抵抗性の増大によって、トコジラミの蔓延が拡散し、殺虫剤による制御が極め
て困難になってきた。規模に関しては、新聞による悪評や酷評によって引き起こされる事
業上の評判のリスクのため、そのような蔓延は特にホテル経営者、クルーズ船、列車、デ
イケア施設、その他にとって大きな関心事である。その他の問題のある区域として、老人
ホーム、兵舎、寮、病院およびその他の種々の人口密度の高い住居が含まれる傾向がある
。しかし、一家族住宅も同様に不利な影響を受ける可能性がある。
【0004】
トコジラミの例示的な行動学研究はCorraine A. McNeill et al., Journal Of Medical
Entomology, 2016 July 1. 53(4):760-769に記載されており、本文献は参照により全体
として本明細書に組み込まれる。トコジラミの交尾行動およびフェロモンに関する例示的
な研究はVincent Harraca et al., BMC Biology. 2010 Sept 9; 8:121およびJoelle F Ol
son et al., Pest Management Science, 2017 January; 73(1): 198-205に記載されてお
り、これらはそれぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる。好適なサンプリン
グおよび予備濃縮手法はMaria Rosa Ras et al., Trac Trends In Analytical Chemistry
, 2009 Mar. 28(3): 347-361に記載されており、本文献は参照により全体として本明細書
に組み込まれる。トコジラミの例示的な抗体検出法は米国特許第9500643号明細書
および米国特許出願公開第2017/0137501号明細書に記載されており、これら
はそれぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる。画像解析に基づく例示的な検
出システムは米国特許第9664813号明細書に記載されており、本文献は参照により
全体として本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様によれば、有害生物防除デバイスが開示される。有害生物防除デバイスは、センサセルを含むセンサおよびセンサに連結されたコントローラを含む。センサセルの表面は、有害生物によって分泌された標的の生化学的分析物と反応する薬剤で被覆されている。コントローラは、センサセルの表面上で検出されたセンサ質量の変化の速度を示すセンサデータをセンサセルから受信し、受信したセンサデータに基づくセンサ質量の変化率(以下、変化の速度ともいう)が予め定義した閾値(以下、閾速度ともいう)を超えるか否かを判定し、変化の速度が所定の閾速度を超えるという判定に応答して有害生物検出警告通知をサーバに送信するように構成されている。変化の速度は標的の生化学的分析物の濃度の増加と相関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイスは、操作者が有害生物防除デバイスを
動かして標的の生化学的分析物の局所エリアを識別するためのグリップを提供するハンド
ルを含んでよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、コントローラは、変化の速度が予め定義した閾速度を超える
とタイマーを起動し、変化の速度が予め定義した閾速度未満に戻るとタイマーを停止し、
センサ質量の変化の速度が予め定義した閾速度を超えた時間量を決定し、時間量が予め定
義した時間より大きいか否かを判定するように、さらに構成してよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、コントローラは、時間量が予め定義した時間より大きいとい
う判定に応答して有害生物検出警告通知を送信してよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、予め定義した閾速度はトコジラミの存在下における基準の質量変化率(以下、質量変化速度ともいう)であってよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物はトコジラミの分泌物中に見出される
分析物を含んでよい。たとえばいくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物はトラン
ス-2-ヘキセナール(T2H)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施
形態では、標的の生化学的分析物はトランス-2-オクテナール(T2O)を含んでよい
。いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナ
ールを含んでよい。いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E
)-2-オクテナールを含んでよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、薬剤はジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI
)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、薬剤は環状チオール
中間体(CTI)を含んでよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、センサは石英結晶ミクロ天秤であってよい。いくつかの実施
形態では、センサセルは石英結晶共振器であってよい。
【0013】
別の態様によれば、有害生物の存在を検出する方法が開示される。本方法は、センサ質
量の変化の速度を示すデータをセンサから受信することと、センサ質量の変化の速度が予
め定義した閾速度を超えるか否かを判定することと、変化の速度が所定の閾速度を超える
という判定に応答して有害生物検出警告通知をサーバに送信することとを含む。センサは
有害生物によって分泌された標的の生化学的分析物と反応するコーティングを含み、セン
サ質量の変化の速度は標的の生化学的分析物の濃度の増加と相関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、変化の速度が予め定義した閾速度を超えるとタイ
マーを起動すること、変化の速度が予め定義した閾速度未満に戻るとタイマーを停止する
こと、センサ質量の変化の速度が予め定義した閾速度を超えた時間量を決定すること、お
よび時間量が予め定義した時間より大きいか否かを判定することを含んでよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、有害生物検出警告通知を送信することは、時間量が予め定義
した時間より大きいという判定に応答して有害生物検出警告通知を送信することを含んで
よい。
【0016】
いくつかの実施形態では、予め定義した閾速度はトコジラミの存在下における基準の質
量変化速度であってよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物はトランス-2-ヘキセナール(T2
H)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、標的の生化学的分
析物はトランス-2-オクテナール(T2O)を含んでよい。いくつかの実施形態では、
標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでよい。いくつか
の実施形態では、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含ん
でよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、コーティングはジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル
-CTI)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、コーティン
グは環状チオール中間体(CTI)を含んでよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、センサは石英結晶ミクロ天秤であってよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、センサセルの表面は、ポリマーゲルおよび薬剤を含むコーテ
ィングゲル複合物で被覆されていてよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルは、センサセルの表面上に安定なコーティング
を形成するために高い粘度および高い熱化学的安定性を有し得る。いくつかの実施形態で
は、ポリマーゲルは低い分子量を有し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS
)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フル
オロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-
ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにケイ素(Si)
および鉄(F)を含むポリマーの少なくとも1つであってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)
であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリジメチルシロキ
サン(PDMS)であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはフ
ルオロアルコールポリカルボシランであってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、
ポリマーゲルはフルオロアルコールポリシロキサンであってよい。あるいは、いくつかの
実施形態では、ポリマーゲルはビスフェノール含有ポリマー(BSP3)であってよい。
あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリ-2-ジメチルアミン-エチル
-メタクリレート(PDMAEMC)であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では
、ポリマーゲルはケイ素(Si)および鉄(F)を含むポリマーであってよい。
【0024】
別の態様によれば、有害生物の存在を検出する方法が開示される。本方法は、第1のセ
ンサデータをセンサから受信することと、第2のセンサデータをセンサから受信すること
と、第1および第2のセンサデータに基づいてシグナル変化の第1の勾配を決定すること
と、第3のセンサデータをセンサから受信することと、第2および第3のセンサデータに
基づいてシグナル変化の第2の勾配を決定することと、第2の勾配が第1の勾配と異なる
か否かを判定することと、第2の勾配が第1の勾配と異なるという判定に応答して有害生
物検出警告通知をサーバに送信することとを含む。センサは、有害生物によって分泌され
た標的の生化学的分析物と反応するコーティングを含み、シグナル変化は、標的の生化学
的分析物の濃度の増加と相関する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の勾配が第1の勾配と異なるとタイマーを起
動すること、センサデータをセンサから受信してタイマーが動いている間のセンサデータ
に基づいてシグナル変化の勾配を決定すること、勾配に変化がないことを検出してタイマ
ーを停止すること、タイマーによって測定した時間間隔を決定すること、および時間間隔
が予め定義した時間より大きいか否かを判定することをさらに含む。いくつかの実施形態
では、有害生物検出警告通知を送信することは、時間間隔が予め定義した時間より大きい
という判定に応答して有害生物検出警告通知を送信することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、予め定義した閾速度はトコジラミの存在下における基準の質
量変化速度であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物はトランス-2-ヘキセナール(T2
H)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、標的の生化学的分
析物はトランス-2-オクテナール(T2O)を含んでよい。いくつかの実施形態では、
標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでよい。いくつか
の実施形態では、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを含ん
でよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、コーティングはジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル
-CTI)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、コーティン
グは環状チオール中間体(CTI)を含んでよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、センサは石英結晶ミクロ天秤であってよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、コーティングはポリマーゲルおよびジオクチル環状チオール
中間体(ジオクチル-CTI)または環状チオール中間体(CTI)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルは、センサセルの表面上に安定なコーティング
を形成するために高い粘度および高い熱化学的安定性を有し得る。いくつかの実施形態で
は、ポリマーゲルは低い分子量を有し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)
、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロアルコールポリカルボシラン、フルオ
ロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2-ジ
メチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、ならびにケイ素(Si)お
よび鉄(F)を含むポリマーの少なくとも1つであってよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)
であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリジメチルシロキ
サン(PDMS)であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはフ
ルオロアルコールポリカルボシランであってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、
ポリマーゲルはフルオロアルコールポリシロキサンであってよい。あるいは、いくつかの
実施形態では、ポリマーゲルはビスフェノール含有ポリマー(BSP3)であってよい。
あるいは、いくつかの実施形態では、ポリマーゲルはポリ-2-ジメチルアミン-エチル
-メタクリレート(PDMAEMC)であってよい。あるいは、いくつかの実施形態では
、ポリマーゲルはケイ素(Si)および鉄(F)を含むポリマーであってよい。
【0034】
別の態様によれば、1つの方法は、有害生物によって分泌された標的の生化学的分析物
と反応するために有害生物検出センサ上で利用可能な薬剤の量を決定すること、薬剤の量
が閾レベル未満であるか否かを判定すること、および薬剤の量が閾レベル未満であるとい
う判定に応答してセンサがメインテナンスを必要としていることを示す通知をサーバに送
信することとを含む。有害生物検出センサ上を被覆する薬剤の量は、薬剤が標的の生化学
的分析物と反応するとともに減少する。
【0035】
いくつかの実施形態では、薬剤はジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI
)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、薬剤は環状チオール
中間体(CTI)を含んでよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、標的の生化学的分析物はトコジラミの分泌物中に見出される
分析物を含んでよい。たとえば、標的の生化学的分析物はトランス-2-ヘキセナール(
T2H)を含んでよい。さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、標的の生化学
的分析物はトランス-2-オクテナール(T2O)を含んでよい。いくつかの実施形態で
は、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-ヘキセナールを含んでよい。いく
つかの実施形態では、標的の生化学的分析物は4-オキソ-(E)-2-オクテナールを
含んでよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、閾レベルは標的の生化学的分析物と反応するために必要な薬
剤の最小量に基づいて決定される。
【0038】
別の態様によれば、式I
【0039】
【化1】
の環状チオールまたはその互変異性体が開示され、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、R、およびR4’は、それぞれ独立に水素、C~Cアルキル、C
~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0040】
いくつかの実施形態では、XはSであってよい。いくつかの実施形態では、ZはOで
あってよい。いくつかの実施形態では、ZおよびZはそれぞれOであってよい。いく
つかの実施形態では、XはSであってよく、ZおよびZはそれぞれOであってよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれC~C10アルキルであってよ
く、同一であってよい。たとえば、いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ
オクチルであってよい。
【0042】
さらにまたはあるいは、いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは
ポリマー性の嵩高い基に連結されていてよい。いくつかの実施形態では、RおよびR
の少なくとも1つは水素であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマ
ー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および上
記の2つ以上のコポリマーからなる群から選択してよい。たとえば、いくつかの実施形態
では、ポリマー性の嵩高い基はシルセスキオキサンであってよい。いくつかの実施形態で
は、ポリマー性の嵩高い基は架橋していてよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、Rは式CHO(CHS(CHであって
よい。
【0045】
いくつかの実施形態では、環状チオールは約350Da~約5000Daの重量を有し
てよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、aは1であってよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、R、R3’、R、およびR4’はそれぞれ水素であって
よい。
【0048】
いくつかの実施形態では、環状チオールは式
【0049】
【化2】
を有してよく、式中RおよびRはそれぞれ独立にヘキシルまたはオクチルであってよ
い。たとえば、いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれオクチルであってよ
い。
【0050】
いくつかの実施形態では、チオール基は約1~約4のpKaを有してよい。
【0051】
別の態様によれば、式II
【0052】
【化3】
の環状付加物またはその互変異性体が開示され、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、R、およびR4’は、それぞれ独立に水素、C~Cアルキル、C
~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0053】
いくつかの実施形態では、Rはプロピルまたはペンチルであってよい。たとえば、い
くつかの実施形態では、Rはペンチルであってよい。いくつかの実施形態では、R
1-オキソプロピルまたは1-オキソペンチルであってよい。
【0054】
別の態様によれば、式III
【0055】
【化4】
のチオールまたはその互変異性体が開示され、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZはそれぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~
7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(
SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアル
キレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC
~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(S
~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン
(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0056】
別の態様によれば、式IV
【0057】
【化5】
の付加物またはその互変異性体が開示され、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0058】
別の態様によれば、有害生物防除デバイスは、内部チャンバ、内部チャンバ中に開口す
る複数の入口、および内部チャンバを複数のチャネルに分割する複数の内部壁を含むハウ
ジングを含む。それぞれのチャネルは、1匹または複数の有害生物を受容する大きさにな
っている。有害生物防除デバイスは、本出願に示しおよび/または記載した任意のセンサ
ならびに本出願に示しおよび/または記載した任意のコントローラを含む。センサはハウ
ジングに取り付けられている。
【0059】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイスは、複数のチャネルに沿って内部チャ
ンバからセンサに空気を引き込むための気流を生成するように構成された気流デバイスを
さらに含んでよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ハウジングは内部チャンバへの接近を可能にするための、第
2のパネルに対して移動可能な第1のパネルを含んでよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のパネルは第2のパネルに枢動可能に連結されていてよ
い。
【0062】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、外枠の間の間隙を通る標的の生化学的分析物
の損失を最小化するために、第1のパネルの外枠と第2のパネルの外枠との間に不透過性
のライナーを含んでよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、不透過性のライナーはアルミニウム化したフィルムであって
よい。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1のパネルはベース表面およびベース表面から延在する複
数の内部壁を含んでよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1のパネルは有害生物を対応する入口に導くための、それ
ぞれの入口の外側に位置する斜表面を含んでよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、複数の内部壁は入口の両側に位置する一対のガイド壁とバリ
ア壁とを含んでよい。それぞれのガイド壁は第1の方向に延在し、複数のチャネルのうち
第1のチャネルを画定してよい。バリア壁はガイド壁の端部から隔たって、第1の方向に
直交する第2の方向に延在してよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、バリア壁は、第1の方向に直交する第2の方向に延在する第
1の壁部分、第1の壁部分の端部から延在する第2の壁部分、および第1の壁部分の反対
側の端部から延在する第3の壁部分を含んでよい。第2の壁部分はガイド壁に平行に延在
し、協働して複数のチャネルのうちの第2のチャネルを画定してよい。第2の壁部分はガ
イド壁に平行に延在し、協働して複数のチャネルのうちの第3のチャネルを画定してよい
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルは、気流を第1の方向に指向させるように構
成されていてよく、第2および第3のチャネルは、気流を第1の方向と反対の第3の方向
に指向させるように構成されていてよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、バリア壁は第1のバリア壁であってよく、複数の内部壁は、
第1のバリア壁の端部から隔たった第2のバリア壁を含んでよい。第1のバリア壁と第2
のバリア壁は協働して、気流を第1の方向に指向させるように構成されている第4のチャ
ネルを画定してよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、第4のチャネルはハウジングの入口からずれていてよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、センサはハウジングの内部チャンバの中に位置していてよい
【0072】
いくつかの実施形態では、気流デバイスは内部チャンバの中に位置していてよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイスは、外部の予備濃縮器をさらに含んで
よい。
【0074】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、内部チャンバの中の温度を上昇させるための
加熱要素を含んでよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、標的の生化学的分析物を収着するシートを含
んでよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、シートは、織りまたは不織繊維材料から作られてよく、繊維
材料のシートの繊維の間に収着剤粉末を含んでよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、標的の生化学的分析物を収着し、繊維材料の
2枚のシートの間に収着剤粉末を含む、織りまたは不織繊維材料から作られた複数のシー
トを含んでよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、複数の入口のうちの1つの入口からセンサま
で延在し、標的の生化学的分析物を収着するチューブを含んでよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、ある量の標的の生化学的分析物を受容する大
きさを有する試験チャンバを含んでよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、第1の温度で標的の生化学的分析物を収着し
、第2の温度で標的の生化学的分析物を放出するように構成された表面を含んでよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイスは、内部チャンバの温度を選択的に調
節するように操作可能な加熱要素をさらに含んでよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、内部チャンバ内の有害生物を死滅させるために
温度を上昇させるように操作可能であってよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、ハウジングはベッドに固定されるように構成してよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイスはベッドの頭板をさらに含んでよく、
ハウジングはベッドの頭板に固定されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
詳細な説明は特に以下の図面を参照する。
図1】複数の有害生物防除デバイスを含む有害生物防除システムの少なくとも1つの実施形態の概略図である。
図2図1の有害生物防除システムに含まれ得る有害生物防除デバイスの少なくとも1つの実施形態の概略図である。
図3図2の有害生物防除デバイスに含まれ得る有害生物防除デバイスの検出センサの少なくとも1つの実施形態の透視図である。
図4図1の有害生物防除システムのゲートウェイの少なくとも1つの実施形態の概略図である。
図5図1の有害生物防除システムの制御ルーチンの単純化したフローチャートである。
図6図1の有害生物防除システムの制御ルーチンの第1の実施形態の単純化したフローチャートである。
図7図1の有害生物防除システムの制御ルーチンの第1の実施形態の単純化したフローチャートである。
図8A図1の有害生物防除システムの制御ルーチンの第2の実施形態の単純化したフローチャートである。
図8B図1の有害生物防除システムの制御ルーチンの第2の実施形態の単純化したフローチャートである。
図9】ベッドの頭板に取り付けた有害生物防除デバイスの別の実施形態の正面図である。
図10】開放構成の図9の有害生物防除デバイスの平面図である。
図11図9の有害生物防除デバイスの透視図である。
図12】閉位置の図9の有害生物防除デバイスの平面図である。
図13図9の有害生物防除デバイスの入口開口部の透視図である。
図14】センサセルおよびセンサセルの表面上を被覆するセンサコーティングを含む有害生物防除デバイスの検出センサの少なくとも1つの実施形態の断面図である。センサコーティングは、ポリマーゲルおよびトコジラミの分泌物中に見出される分析物を検出する薬剤から作られたコーティングゲル複合物を含む。
図15】ポリジメチルシロキサン(PDMS)コーティングゲル複合物中の薬剤とPDMSポリマーゲルの周囲の空気中に存在する標的の生化学的分析物との反応によって生じたPDMSコーティングゲル複合物の質量変化を説明するグラフ図である。
図16】ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)コーティングゲル複合物中の薬剤とPMPSポリマーゲルの周囲の空気中に存在する標的の生化学的分析物との反応によって生じたPMPSコーティングゲル複合物の質量変化を説明するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本開示の概念は種々の改変および代替の形態を受け入れることができるが、その特定の
例示的な実施形態は図において例とするために示し、ここで詳細に記述する。しかし、本
開示の概念を開示した特定の形態に限定する意図はなく、逆に、添付した特許請求の範囲
によって定義される本発明の精神および範囲の中に含まれる全ての改変、等価物、および
代替物を網羅することを意図している。
【0087】
ここで図1を参照して、有害生物の存在を検出するための有害生物防除システム100
を示す。システム100は、ネットワーク106を介して中央有害生物データ管理サーバ
104と通信する1つまたは複数の有害生物防除デバイス群102を説明的に含む。中央
有害生物データ管理サーバ104は、ネットワーク110を介して1つまたは複数のクラ
イアントコンピュータデバイス108と通信し、有害生物防除デバイス群102から受信
した情報を送信するようにさらに構成されている。
【0088】
有害生物防除デバイス群102は、複数の有害生物防除デバイス108を含む。それぞ
れの有害生物防除デバイス108はトコジラミの存在を検出するように構成され、以下に
より詳細に記述するように、トコジラミの検出を示すセンサデータを提供する。有害生物
防除デバイス108はネットワーク106を介して中央有害生物データ管理サーバ104
にセンサデータを送信する。これを行なうため、説明的な実施形態では、複数の有害生物
防除デバイス120はゲートウェイ122と通信してネットワーク106にセンサデータ
を送信する。他の実施形態または他の有害生物防除群102では1つまたは複数の制御デ
バイス120がネットワーク106と直接通信してもよいことを認識されたい。
【0089】
ゲートウェイ122は有害生物防除デバイス120およびネットワーク106と無線通
信することができる任意の種類の計算またはコンピュータデバイスとして具現化してよい
。いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイス102とゲートウェイ122との間の
通信の範囲を拡張するためにレンジエクステンダまたはリピータを用いてよい。さらに、
ゲートウェイ122は、有害生物防除デバイス120および/またはリピータならびにネ
ットワーク106と通信するための双方向トランシーバを組み込んでよい。説明的な実施
形態では、ゲートウェイデバイスはネットワーク106との通信を可能にするためにデジ
タルセルラー技術を組み込んでもよい。リピータおよびゲートウェイデバイスの例示的な
システムは、2009年9月8日に発行され、参照により明示的に本明細書に組み込まれ
る米国特許第8026822号明細書に示され、記載されている。
【0090】
ネットワーク106は、有害生物防除デバイス群120のゲートウェイ122と中央有
害生物データ管理サーバ104との間の通信を容易にすることができる任意の種類のネッ
トワークとして具現化してよい。説明的な実施形態では、ネットワーク106はセルラー
ネットワークまたはセルラーネットワークを用いる無線広域ネットワーク(WAN)とし
て具現化してよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク106は無線ローカルエリア
ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、および/またはインターネット
等の公衆が利用できるグローバルネットワークとして具現化され、または別のかたちでこ
れらを含んでよいことを認識されたい。したがって、ネットワーク106はそれらを介す
る通信を容易にするための任意の数の追加のデバイス、たとえば追加のコンピュータ、ル
ータ、およびスイッチを含んでよい。他の実施形態では、有害生物制御センサ120のそ
れぞれは、ネットワーク106を用いてサーバ104からのデータを送信および受信する
ための別個の送信器および受信器を含んでよい。さらに他の実施形態では、ゲートウェイ
122はケーブルを介してネットワーク106に有線で接続するように構成してもよい。
【0091】
サーバ104は、通信ミドルウェア、アプリケーションソフトウェア140、およびデ
ータベース142を含む。サーバ104は有害生物防除デバイス120とともにオンサイ
トで、またはオフサイトで位置してよいことを認識されたい。サーバ104は、限定なし
にサーバ、コンピュータ、マルチプロセッサシステム、ラックマウントサーバ、ブレード
サーバ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュー
タ、ウェアラブル計算デバイス、ネットワークアプライアンス、ウェブアプライアンス、
分散型計算システム、プロセッサ系システム、および/または消費者用電子デバイスを含
む、本明細書に記載した機能を実行することができる任意の種類の計算またはコンピュー
タデバイスとして具現化してよい。サーバ104は単一の計算デバイスまたは分散型計算
デバイスの集合として具現化してよいことを認識されたい。説明的な実施形態では、サー
バ104は、ゲートウェイ122を介して受信した有害生物防除デバイス120のそれぞ
れのセンサデータをデータベース142に集約することを可能にするための種々の仮想/
論理コンポーネントを提供する。サーバ104は、全ての遠隔有害生物防除デバイス群1
02と通信し、得られたデータを評価し、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP
)モデルを用いて対応するアクションを行ない得ることを認識されたい。とりわけ、サー
バ104は、有害生物防除デバイス群102からセンサデータを収集し、センサデータを
集約して加工し、どの情報を顧客または技術者に送達すべきかを判定する。さらに、サー
バ104はデータアーカイブ、通知、および報告プロセスを容易にする。
【0092】
クライアント計算デバイス108は、限定なしにコンピュータ、マルチプロセッサシス
テム、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ
、ウェアラブル計算デバイス、ネットワークアプライアンス、ウェブアプライアンス、分
散型計算システム、プロセッサ系システム、および/または消費者用電子デバイスを含む
、サーバ104と通信することができる任意の種類の計算またはコンピュータデバイスと
して具現化してよい。説明的な実施形態では、クライアント計算デバイス108はネット
ワーク110を通じてサーバ104に選択的に接近できる。クライアント計算デバイス1
08はブラウザサブシステム、スプレッドシートインターフェース、eメールインターフ
ェース、ショートメッセージサービス(SMS)インターフェース、およびその他のイン
ターフェースサブシステムを含んでよい。
【0093】
ネットワーク110は、クライアント計算デバイス108と中央有害生物データ管理サ
ーバ104との間の通信を容易にすることができる任意の種類のネットワークとして具現
化してよい。説明的な実施形態では、ネットワーク110は無線ローカルエリアネットワ
ーク(LAN)またはインターネット等の公衆が利用できるグローバルネットワークとし
て具現化してよい。しかし、いくつかの実施形態では、ネットワーク110はセルラーネ
ットワークまたは無線広域ネットワーク(WAN)として具現化して、または別のかたち
でこれらを含んでよいことを認識されたい。したがって、ネットワーク110はそれらを
介する通信を容易にするための任意の数の追加のデバイス、たとえば追加のコンピュータ
、ルータ、およびスイッチを含んでよい。
【0094】
ここで図2を参照して、有害生物の存在を検出するための有害生物防除デバイス120
をより詳細に示す。有害生物防除デバイス120は外部壁204と、内部チャンバ208
の周囲のトップカバー206とによって画定されるハウジング202を含む。説明的な実
施形態では、内部チャンバ208はセンサ210、コントローラ212、電源214、お
よび無線通信回路216を収容している。いくつかの実施形態では、内部チャンバ208
はローカルインジケータ218を収容してよい。
【0095】
センサ210は有害生物の分泌物中に見出される標的の生化学的分析物を検出するよう
に構成されている。たとえば、説明的な実施形態では、センサ210はトコジラミの分泌
物中に見出される標的の生化学的分析物を検出するように構成されている。センサ210
は、センサ210のそれぞれの側面にある導管222に連結されており、導管は入口22
4および出口226で外部壁204を通して延在している。トコジラミの分泌物は入口2
24に入り、導管222を通じてセンサ210に流れる。いくつかの実施形態では、入口
224からの空気をセンサ210を通じて出口226に向かって引き込むために、出口2
26の付近の内部チャンバ208にファン220を位置させてもよいことを認識されたい
【0096】
センサ210は、本明細書に記載した機能を実行することができる任意の種類のデバイ
ス、回路、またはコンポーネントとして具現化してよい。説明的な実施形態では、センサ
210は石英結晶ミクロ天秤(QCM)等の共振センサとして具現化される。図2に示す
ように、センサ210はセンサセルまたは石英結晶共振器230を含み、それにより導管
222は石英結晶共振器230の中に延在し、石英結晶共振器230を通じて空気を分配
する。いくつかの実施形態では、センサ210は平行に配置された一連の複数のセンサセ
ルまたは石英結晶共振器230を含んでよく、それにより導管222は複数の石英結晶共
振器230の中で複数のラインに分割され、石英結晶共振器230のそれぞれを通じて空
気を分配することを認識されたい。
【0097】
使用時には、電源214がセンサ210に電力を供給して石英結晶共振器230を振動
させ、石英結晶共振器230は振動の周波数を測定するように構成されている。石英結晶
共振器230は振動する石英結晶共振器230の周波数を含むセンサデータを発生するよ
うにさらに構成されており、この周波数は石英結晶共振器230の表面の質量変化を示す
。石英結晶共振器230の振動の周波数は一般に石英結晶共振器230の表面上で検出さ
れたセンサ質量によることを認識されたい。たとえば、石英結晶共振器230の表面上に
堆積した質量が増加するとともに、振動の周波数は低下する。したがって、単位面積あた
りの質量の変化が、石英結晶共振器230から受信したセンサデータに基づいて決定され
得る。したがって、有害生物防除デバイス120のコントローラ212は、振動の周波数
の変化に基づくセンサ質量の変化をさらに判定することができる。いくつかの実施形態で
は、センサ210は、オープンQCM等の小スケールのQCMセンサであってよい。いく
つかの実施形態では、センサ210は標的の生化学的分析物の存在を検出することができ
る任意の種類の質量共振器であってよいことを認識されたい。いくつかの実施形態では、
センサ210はカンチレバーセンサとして具現化してよい。他の実施形態では、センサ2
10はカンチレバーセンサとして具現化してよい。
【0098】
図3に示すように、石英結晶共振器230は、石英結晶共振器230の表面上のセンサ
コーティング306で被覆されている。説明的な実施形態では、石英結晶共振器230は
石英結晶302と電極304を含む。センサコーティング306は石英結晶302の表面
全体または表面の一部に堆積してよいことを認識されたい。
【0099】
説明的な実施形態では、センサコーティング306はトコジラミの分泌物中に見出され
る標的の生化学的分析物と反応する薬剤から作られている。説明的な実施形態では、標的
の生化学的分析物は、たとえばトランス-2-ヘキセナール(T2H)、トランス-2-
オクテナール(T2O)、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-
オキソ-(E)-2-オクテナール等の不飽和アルデヒド化合物である。説明的な実施形
態では、ジオクチル環状チオール中間体(ジオクチル-CTI)が、T2H、T2O、4
-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテ
ナールと選択的に反応するので、センサコーティング306を形成するために用いられる
。説明的な実施形態では、ジオクチル-CTIは式
【0100】
【化6】
を有し、式中RおよびRはそれぞれオクチルである。他の実施形態では、薬剤は環状
チオール中間体(CTI)または標的の生化学的分析物と反応する他のCTI官能基であ
ってよいことを認識されたい。ジオクチルCTIがT2H、T2O、4-オキソ-(E)
-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナールと反応する
と、これはジオクチル-CTI単独よりも大きな分子量を有する生成物を生成する。説明
的な実施形態では、生成物は式
【0101】
【化7】
を有し、式中RおよびRはそれぞれオクチルであり、Rはペンチルである。いくつ
かの実施形態では、ジオクチル-CTIをポリマーと混合してジオクチル-CTIの粘度
を上昇させ、石英結晶共振器230の上にジオクチル-CTIの均一なフィルムを生じ、
石英結晶共振器230の上のジオクチル-CTI複合物のはじきを防止してよい。石英結
晶共振器230の振動の周波数は石英結晶共振器230上を被覆する薬剤の質量に部分的
に依存することを認識されたい。
【0102】
いくつかの実施形態では、センサコーティング306の薬剤は、式I
【0103】
【化8】
の環状チオールまたはその互変異性体であり、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、R、およびR4’は、それぞれ独立に水素、C~Cアルキル、C
~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0104】
いくつかの実施形態では、XはSである。いくつかの実施形態では、ZはOである。
いくつかの実施形態では、ZはOである。いくつかの実施形態では、ZおよびZ
それぞれOである。いくつかの実施形態では、XはSであり、ZおよびZはそれぞれ
Oである。
【0105】
いくつかの実施形態では、RとRは同一である。いくつかの実施形態では、R
よびRはそれぞれ独立にC~C10アルキルである。いくつかの実施形態では、R
およびRはそれぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれ独立にC~Cアルキルである。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施
形態では、RおよびRはそれぞれオクチルである。
【0106】
いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つはポリマー性の嵩高い基に
連結されている。いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは水素であ
る。
【0107】
いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマ
ー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および上
記の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマ
ー性の嵩高い基はシリコーンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は
シルセスキオキサンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は架橋して
いる。
【0108】
本明細書で用いる場合、「ポリマー性の嵩高い基」はオリゴマーおよびポリマーを意味
し、いくつかの実施形態では、これらはシルセスキオキサンである。シルセスキオキサン
化合物の例は、参照により明示的に本明細書に組み込まれるCordes, D., et al., Chem.
Rev.2010, 11, 2081-2173に記載されている。
【0109】
いくつかの実施形態では、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~C
アルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態では、Rは-(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態
では、Rは式-CHO(CHS(CHを有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、環状チオールは約200Da~約5000Daの重量を有す
る。いくつかの実施形態では、環状チオールは約350Da~約5000Daの重量を有
する。いくつかの実施形態では、環状チオールは約1000Da~約5000Daの重量
を有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、aは1である。
【0112】
いくつかの実施形態では、R、R3’、R、およびR4’はそれぞれ水素である。
【0113】
いくつかの実施形態では、環状チオールは式
【0114】
【化9】
を有し、式中RおよびRはそれぞれ独立にヘキシルまたはオクチルである。
【0115】
いくつかの実施形態では、チオール基は約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施
形態では、チオール基は約2.5のpKaを有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、環状チオールは金属チオールキレータを含まない組成物の一
部である。いくつかの実施形態では、組成物は約2~約8のpHを有する。いくつかの実
施形態では、組成物は約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約
7のpHを有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、センサコーティング306の薬剤が標的の生化学的分析物と
反応すると、環状付加物が形成される。いくつかの実施形態では、環状付加物は式II
【0118】
【化10】
を有するか、またはその互変異性体であり、式中
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
、R3’、R、およびR4’は、それぞれ独立に水素、C~Cアルキル、C
~Cアルケニル、およびC~C10アリールからなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0119】
いくつかの実施形態では、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態
では、Rはペンチルである。いくつかの実施形態では、Rは1-オキソプロピルまた
は1-オキソペンチルである。
【0120】
いくつかの実施形態では、XはSである。いくつかの実施形態では、ZはOである。
いくつかの実施形態では、ZはOである。いくつかの実施形態では、ZおよびZ
それぞれOである。いくつかの実施形態では、XはSであり、ZおよびZはそれぞれ
Oである。
【0121】
いくつかの実施形態では、RとRは同一である。いくつかの実施形態では、R
よびRはそれぞれ独立にC~C10アルキルである。いくつかの実施形態では、R
およびRはそれぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施
形態では、RおよびRはそれぞれオクチルである。
【0122】
いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つはポリマー性の嵩高い基に
連結されている。いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは水素であ
る。
【0123】
いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマ
ー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および上
記の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマ
ー性の嵩高い基はシリコーンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は
シルセスキオキサンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は架橋して
いる。
【0124】
いくつかの実施形態では、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~C
アルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態では、Rは-(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態
では、Rは式-CHO(CHS(CHを有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、環状付加物は約200Da~約5000Daの重量を有する
。いくつかの実施形態では、環状付加物は約350Da~約5000Daの重量を有する
。いくつかの実施形態では、環状付加物は約1000Da~約5000Daの重量を有す
る。
【0126】
いくつかの実施形態では、aは1である。
【0127】
いくつかの実施形態では、R、R3’、R、およびR4’はそれぞれ水素である。
【0128】
いくつかの実施形態では、環状付加物は式
【0129】
【化11】
を有し、式中RおよびRはそれぞれ独立にヘキシルまたはオクチルである。いくつか
の実施形態では、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態では、R
はペンチルである。いくつかの実施形態では、Rは1-オキソプロピルまたは1-オキ
ソペンチルである。
【0130】
いくつかの実施形態では、チオール基は約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施
形態では、チオール基は約2.5のpKaを有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、環状付加物は金属チオールキレータを含まない組成物の一部
である。いくつかの実施形態では、組成物は約2~約8のpHを有する。いくつかの実施
形態では、組成物は約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7
のpHを有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、センサコーティング306の薬剤は、式III
【0133】
【化12】
のチオールまたはその互変異性体であり、
式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)xからなる群から選択され、
は、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール、5~
7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)、-(
SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~Cアル
キレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(SC
~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)(S
~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアルキレン
(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0134】
いくつかの実施形態では、XはSである。いくつかの実施形態では、ZはOである。
いくつかの実施形態では、ZはOである。いくつかの実施形態では、ZおよびZ
それぞれOである。いくつかの実施形態では、XはSであり、ZおよびZはそれぞれ
Oである。
【0135】
いくつかの実施形態では、RとRは同一である。いくつかの実施形態では、R
よびRはそれぞれ独立にC~C10アルキルである。いくつかの実施形態では、R
およびRはそれぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれ独立にC~Cアルキルである。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施
形態では、RおよびRはそれぞれオクチルである。
【0136】
いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つはポリマー性の嵩高い基に
連結されている。いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは水素であ
る。
【0137】
いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマ
ー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および上
記の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマ
ー性の嵩高い基はシリコーンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は
シルセスキオキサンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は架橋して
いる。
【0138】
いくつかの実施形態では、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~C
アルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態では、Rは-(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態
では、Rは式-CHO(CHS(CHを有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、チオールは約200Da~約5000Daの重量を有する。
いくつかの実施形態では、チオールは約350Da~約5000Daの重量を有する。い
くつかの実施形態では、チオールは約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、aは1である。
【0141】
いくつかの実施形態では、チオール基は約1~約4のpKaを有する。いくつかの実施
形態では、チオール基は約2.5のpKaを有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、チオールは金属チオールキレータを含まない組成物の一部で
ある。いくつかの実施形態では、組成物は約2~約8のpHを有する。いくつかの実施形
態では、組成物は約2~約9のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は約7の
pHを有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、センサコーティング306の薬剤が標的の生化学的分析物と
反応すると、付加物が形成される。いくつかの実施形態では、付加物は、式II
【0144】
【化13】
を有するか、またはその互変異性体であり、式中、
Xは、SまたはOであり、
およびZは、それぞれ独立にOまたはSであり、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリール
、5~7員ヘテロアリール、-OR、-SR、-(OC~Cアルキレン)
、-(SC~Cアルキレン)、-(OC~Cアルキレン)(SC~C
アルキレン)、-(SC~Cアルキレン)(OC~Cアルキレン)
、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン
(SC~Cアルキレン)、C~Cアルキレン(OC~Cアルキレン)
(SC~Cアルキレン)、およびC~Cアルキレン(SC~Cアル
キレン)(OC~Cアルキレン)からなる群から選択され、
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~C10アリール、お
よびポリマー性の嵩高い基からなる群から選択され、
は、C~C12アルキルまたはオキソ置換C~C12アルキルであり、
aは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ独立に1~10の整数である。
【0145】
いくつかの実施形態では、Rはプロピルまたはペンチルである。いくつかの実施形態
では、Rはペンチルである。いくつかの実施形態では、Rは1-オキソプロピルまた
は1-オキソペンチルである。
【0146】
いくつかの実施形態では、XはSである。いくつかの実施形態では、ZはOである。
いくつかの実施形態では、ZはOである。いくつかの実施形態では、ZおよびZ
それぞれOである。いくつかの実施形態では、XはSであり、ZおよびZはそれぞれ
Oである。
【0147】
いくつかの実施形態では、RとRは同一である。いくつかの実施形態では、R
よびRはそれぞれ独立にC~C10アルキルである。いくつかの実施形態では、R
およびRはそれぞれC~C10アルキルであり、同一である。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれ独立にC~Cアルキルである。いくつかの実施形態で
は、RおよびRはそれぞれC~Cアルキルであり、同一である。いくつかの実施
形態では、RおよびRはそれぞれオクチルである。
【0148】
いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つはポリマー性の嵩高い基に
連結されている。いくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは水素であ
る。
【0149】
いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は、シリコーン、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアラミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、エポキシ、ゴム、デンプン、タンパク質、セルロース、アクリレート、ABSポリマ
ー、PEEKポリマー、ポリオール、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、および上
記の2つ以上のコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリマ
ー性の嵩高い基はシリコーンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は
シルセスキオキサンである。いくつかの実施形態では、ポリマー性の嵩高い基は架橋して
いる。
【0150】
いくつかの実施形態では、Rは-(OC~Cアルキル)またはC~C
アルキル(OC~Cアルキル)である。いくつかの実施形態では、Rは-(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)またはC~Cアルキル(
OC~Cアルキル)(SC~Cアルキル)を含む。いくつかの実施形態
では、Rは式-CHO(CHS(CHを有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、付加物は約200Da~約5000Daの重量を有する。い
くつかの実施形態では、付加物は約350Da~約5000Daの重量を有する。いくつ
かの実施形態では、付加物は約1000Da~約5000Daの重量を有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、aは1である。
【0153】
上述のように、センサコーティング306の薬剤は、標的の生化学的分析物と反応して
より分子量の高い生成物を生成するように構成されている。使用時には、石英結晶共振器
230の表面上で検出されるセンサ質量の初期の増加は、センサデータに基づいて決定さ
れる。上で考察したように、説明的な実施形態では、センサデータは振動する石英結晶共
振器230の周波数を含み、周波数の変化は一般にセンサ質量の変化に比例する。したが
って、センサ質量の初期の増加は、以下に詳細に考察するように、振動する石英結晶共振
器230の周波数の変化を測定することによって決定される。
【0154】
いくつかの実施形態では、センサ質量の初期の増加は、質量の絶対的変化に基づいても
決定され得る。これを行なうため、現在の表面質量と反応前の石英結晶共振器230にお
ける初期の表面質量とを比較して、センサ質量の初期の増加を測定してよい。センサ質量
の後続の増加の検出は、石英結晶共振器230における現在の表面質量と後続の表面質量
とを比較することによって決定されることを認識されたい。
【0155】
質量変化は一般に、石英結晶共振器230において検出される標的の生化学的分析物の
濃度と相関する。しかし、標的の生化学的分析物と反応するために利用可能な薬剤の量は
反応速度に影響し、それにより石英結晶共振器230の表面上で検出される質量変化およ
び/または質量変化の速度に影響することがあることを認識されたい。反応に伴うそのよ
うな質量の増加は、有害生物防除デバイス102のコントローラ212によって検出され
、これについては図6および図8で詳細に考察する。
【0156】
いくつかの実施形態では、質量変化速度はセンサ210の検出応答時間によって影響さ
れ得る。トコジラミの存在を示す測定可能な変化量に達するシグナルまたはセンサデータ
を発生するためにセンサ210の周囲の空気の中の標的の生化学的分析物の蓄積が必要な
場合には、検出応答時間が増大し得る。換言すれば、標的の生化学的分析物の濃度が低い
場合には、反応から生じる石英結晶共振器230の質量変化は、標的の生化学的分析物が
所定の量に蓄積するまでは十分でないこともある。いくつかの実施形態では、標的の生化
学的分析物の最小の所定量に達するように予備濃縮器を用い、それによりセンサ210は
直ちに低濃度の標的の生化学的分析物を検出することができる。
【0157】
センサコーティング306の薬剤の量は、薬剤が標的の生化学的分析物と反応するとと
もに減少することに留意されたい。いくつかの実施形態では、反応は熱に基づいて生成物
から薬剤へと逆転できることを認識されたい。そのような実施形態では、有害生物防除デ
バイス120は加熱要素(図示せず)をさらに含む。センサコーティング306の薬剤の
量が閾レベルに達すると、有害生物防除デバイス120は石英結晶共振器230に熱を加
えて反応を逆転させ、センサコーティング306の薬剤を回収する。いくつかの実施形態
では、有害生物防除デバイス120は、センサ210がセンサコーティング306の薬剤
を補充し、または石英結晶共振器230もしくはセンサ210を交換するメインテナンス
を必要としていることを示す局所または遠隔の警告を発生することができる。
【0158】
再び図2を参照して、コントローラ212は、本明細書に記載した機能を実行すること
ができる任意の種類のコントローラ、回路、または部品として具現化してよい。コントロ
ーラ212は、センサ210によって生成されたセンサデータを解析することによってト
コジラミの存在を判定するように構成されている。具体的には、説明的な実施形態では、
センサ210の石英結晶共振器230はセンサデータを発生する。センサデータはとりわ
け、石英結晶共振器230の表面上の質量変化を含む。石英結晶共振器230の上の質量
変化は、石英結晶共振器230のセンサコーティング306の薬剤が異なった分子量を有
する生成物に変換されつつあることを示し、質量変化速度は一般に薬剤を生成物に変換す
る反応の速度に比例することを認識されたい。
【0159】
上で考察したように、説明的な実施形態では、薬剤(たとえばジオクチル-CTI)と
、T2H、T2O、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ
-(E)-2-オクテナール等の標的の生化学的分析物との反応から生じる生成物は、ジ
オクチル-CTIの分子量と比較して高い分子量を有している。したがって、コントロー
ラ212は質量増加が予め定義した閾速度を超えるか否かを判定する。予め定義した閾速
度はトコジラミの存在下における基準の質量変化速度である。たとえば、いくつかの実施
形態では、基準の質量変化はトコジラミの存在下における最小の質量変化速度であってよ
い。他の実施形態では、基準の質量変化は、最小の質量変化速度と偽陽性または望ましく
ない検出を避けるためのいくらかの付加的な安全係数との和であってよい。たとえば、い
くつかの場合には、センサ210の周囲の空気の温度および湿度等の環境因子が検出され
た質量変化速度の正確性に影響してセンサのドリフトを生じることがある。いくつかの追
加的な安全係数を含ませることによって、予期しない環境効果を補い、センサのドリフト
による望ましくない検出を減少させることができる。
【0160】
上で考察したように、石英結晶共振器230の表面上で検出されたセンサ質量の初期の
増加は、振動する石英結晶共振器230の周波数の変化を測定することによって決定され
る。いくつかの実施形態では、上で考察したように、センサ質量の初期の増加は、石英結
晶共振器230の現在の質量と石英結晶共振器230の反応前の初期の質量とを比較する
ことによる質量の絶対的変化に基づいても決定され得る。後続の質量増加の検出は、石英
結晶共振器230の現在の質量と石英結晶共振器230の後続の質量とを比較することに
よって決定されることを認識されたい。いくつかの実施形態では、センサデータはサーバ
104で処理され得ることを認識されたい。
【0161】
いくつかの実施形態では、センサ210は石英結晶共振器230を加熱した際のセンサ
質量の減少を検出することによって、トコジラミの存在を検出し得る。これを行なうため
、センサ210は石英結晶共振器230を加熱する前およびその後に石英結晶共振器23
0の表面上で検出した質量を決定し、質量変化が予め定義した閾値を超えるか否かを判定
してよい。上で考察したように、石英結晶共振器230を加熱すると、薬剤と標的の生化
学的分析物との反応から生じた生成物が標的の生化学的分析物を放出し、センサ質量が減
少し、トコジラミの存在が検出される。
【0162】
いくつかの実施形態では、センサ210は質量増加および質量減少の両方を決定し、偽
陽性または望ましくない検出を除くことができる。たとえば、いくつかの場合には、塵埃
またはセンサ210の周囲の空気中の他の粒子等の環境因子がセンサコーティング306
の薬剤と相互作用し、石英結晶共振器230の表面上で検出されるセンサ質量を増加させ
ることがある。そのような実施形態では、加熱前のセンサ質量の増加が予め定義した第1
の閾値を超える一方、加熱後のセンサ質量の減少が予め定義した第2の閾値を超えないな
らば、センサ210は偽陽性または望ましくない検出を識別することができる。
【0163】
電源214は、コントローラ212、センサ210、無線通信回路216、ローカルイ
ンジケータ218、または必要な場合にはファン220等の有害生物防除デバイス120
の部品に電力を供給することができる任意の種類のデバイス、回路、または部品として具
現化してよい。いくつかの実施形態では、電源214は電気化学的電池またはバッテリで
あってよい。
【0164】
無線通信回路216は、有害生物防除デバイス104とゲートウェイ122との間の通
信を可能にすることができる任意の種類のデバイス、回路、または部品として具現化して
よい。それぞれの有害生物防除デバイス120は、定期的にまたは連続的にゲートウェイ
122と通信して、ネットワーク106を用いてセンサデータをサーバ104に送信する
ように構成されている。たとえば、センサデータはとりわけ、トコジラミの検出および/
またはセンサがメインテナンスを必要としていることの表示等の通知を含み得る。これを
行なうため、無線通信回路216は任意の1つまたは複数の通信技術(たとえば無線また
は有線の通信)およびそのような通信を達成させる付随するプロトコル(たとえばイーサ
ネット、ブルートゥース(登録商標)、ワイファイ(登録商標)、ワイマックス、LTE
、5G等)を用いるように構成してよい。
【0165】
ローカルインジケータ218は、操作者または技術者に通知する警告を発生することが
できる任意の種類のインジケータとして具現化してよい。たとえば、ローカルインジケー
タ218は視覚および/または可聴インジケータとして具現化してよい。いくつかの実施
形態では、視覚インジケータ218は発光ダイオード(LED)、蛍光灯、白熱灯、およ
び/またはネオン型光源を含み得る。可聴インジケータは技術者に通知するための警告音
を発生させ得る。説明的な実施形態では、ローカルインジケータ218はトコジラミの存
在または非存在を示す警告を発生する。たとえば、いくつかの実施形態では、LED光イ
ンジケータ218に電圧を印加して着色光を投射させ、色を変化させ、または非点滅光か
ら点滅光に変化させて、トコジラミの存在を示してよい。他の実施形態では、可聴ローカ
ルインジケータ218はトコジラミの存在を示すために音を発生してよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、ローカルインジケータ218は、センサ230がメインテナ
ンスを必要としているか否かを示すシグナルを出力してもよい。たとえば、ローカル警告
はセンサ230の不具合を示してよい。いくつかの実施形態では、ローカル警告はセンサ
210の薬剤の枯渇を示してよい。そのような実施形態では、LED光インジケータ21
8に電圧を印加して着色光を投射させ、色を変化させ、または非点滅光から点滅光に変化
させて、トコジラミの存在を示してよい。センサのメインテナンスを示すLED光インジ
ケータ218の色はトコジラミの検出を示すLED光インジケータ218の色と異なって
いてよいことを認識されたい。いくつかの実施形態では、トコジラミの存在を示すために
視覚インジケータを用い、センサ210がメインテナンスを必要としていることを示すた
めに可聴インジケータを用いてよく、逆でもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、有害生物防除デバイス120は、操作者または技術者にグリ
ップを提供するハンドル(図示せず)をハウジング部材202にさらに含んでよい。技術
者は有害生物防除デバイス120のハンドルを把持し、有害生物防除デバイス120を手
で動かして、トコジラミの存在を示す標的の生化学的分析物の局所エリアを識別すること
ができる。
【0168】
ここで図4を参照して、ゲートウェイ122は、メモリ404を含むコントローラ40
2、アンテナ408を含む無線ネットワークインターフェース406、およびアンテナ4
14を含むモデム412を含む。コントローラ402は、限定なしにコンピュータ、マル
チプロセッサシステム、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレ
ットコンピュータ、ウェアラブル計算デバイス、ネットワークアプライアンス、ウェブア
プライアンス、分散型計算システム、プロセッサ系システム、および/または消費者用電
子デバイスを含む、本明細書に記載した機能を実行することができる任意の種類のコント
ローラ、回路、または部品として具現化してよい。いくつかの実施形態では、コントロー
ラ402は、Cygnal Technologiesが提供しているモデルNo.C8
05F120等のミクロコントローラ型であってよい。
【0169】
メモリ404は、本明細書に記載した機能を実行することができる任意の種類の揮発性
もしくは非揮発性メモリまたはデータストレージとして具現化してよい。操作時には、メ
モリ404は、プログラム、ライブラリ、およびドライバ等の、ゲートウェイ122の操
作中に用いられる種々のデータおよびソフトウェアを保存してよい。いくつかの実施形態
では、メモリ404は、ネットワーク106を通してセンサデータをサーバ104に送信
する前に、有害生物防除デバイス120から受信したセンサデータを一時的に保存し集約
してよい。
【0170】
説明的な実施形態では、アンテナ414を含むモデム412は、セルラネットワークま
たは無線WANネットワーク106とインターフェースしてネットワーク106と通信す
るように構成される。いくつかの実施形態では、モデム408は、モバイル通信用グロー
バルシステム(GSM)プロトコルを通してゼネラルパケットラジオサービス(GPRS
)を利用してよい。いくつかの実施形態では、モデル408は、配線接続のダイアルアッ
プおよび/または同軸ケーブル型であってよい。
【0171】
説明的な実施形態では、アンテナ408を含む無線ネットワークインターフェース40
6は、対応する有害生物防除グループ102によって定義される無線通信ネットワークと
インターフェースして、有害生物防除デバイス120と通信するように構成されている。
いくつかの実施形態では、無線通信ネットワークはローカルエリアネットワーク(LAN
)型であってよい。
【0172】
ここで図5を参照して、使用時には、有害生物防除システム100は、トコジラミの存
在を検出するためにルーチン500を実行してよい。ルーチン500はブロック502で
開始され、ここでは有害生物防除システム100の通信部品が初期化されて、有害生物防
除デバイス120のそれぞれからサーバ104またはクライアント計算デバイス108へ
の新たな通信経路を形成する。たとえば、無線ネットワークインターフェース406およ
びゲートウェイ122のモデム412が初期化されて、ネットワークへのリンクを確立し
てよい。
【0173】
ブロック504では、有害生物防除デバイス120のそれぞれが、有害生物防除デバイ
ス120のセンサ210によって発生されたデータを取得して解析する。上述のように、
説明的な実施形態では、センサ210はセンサデータを出力するように構成された石英結
晶共振器230を含み、石英結晶共振器230の表面は薬剤を含むセンサコーティング3
06を有する。上で考察したように、センサコーティング306の薬剤は有害生物によっ
て分泌された標的の生化学的分析物と選択的に反応する。反応の間に、薬剤は薬剤の分子
量と比較して異なった分子量を有する生成物に変換される。上で考察したように、石英結
晶共振器230は、石英結晶共振器230の表面における質量変化を示す振動の周波数を
含むセンサデータを出力する。上で考察したように、周波数の変化は一般に、石英結晶共
振器230の表面上に堆積したセンサ質量の変化に比例する。したがって、有害生物防除
デバイス120のコントローラ212は石英結晶共振器230のセンサデータを解析し、
質量変化のレベルに基づいて有害生物の存在を判定する。これについては図6および図7
で詳細に考察する。
【0174】
いくつかの実施形態では、センサデータはセンサ210の状態を含み得る。たとえば、
センサ210の状態はセンサコーティング306の残存薬剤の量を含み得る。上で考察し
たように、石英結晶共振器230の振動の周波数は石英結晶共振器230上を被覆する薬
剤の質量に部分的に依存する。したがって、石英結晶共振器230上を被覆する残存薬剤
は、石英結晶共振器230の振動の周波数に基づいて推定され得る。他の実施形態では、
有害生物防除デバイス120のそれぞれが生成物に変換された薬剤の量を判定し、それに
よりセンサコーティング306の中に残存する薬剤の量を判定する。センサコーティング
306の薬剤の量が十分であることが有害生物の存在を正確に検出するために必要である
ことを認識されたい。
【0175】
ブロック506で、有害生物防除デバイス120のセンサデータが有害生物データ管理
サーバ104に送信される。これを行なうため、有害生物防除デバイス120はセンサデ
ータをゲートウェイ122に送信する。続いてゲートウェイ122はネットワーク106
を介してセンサデータをサーバ104に送信する。
【0176】
ブロック508で、サーバ104はセンサデータを出力する。いくつかの実施形態では
、サーバ104はアプリケーション140を用いて対応する動作を実行し得る。たとえば
、アプリケーション140は、データベース142の中に設定された条件に基づいてクラ
イアント計算デバイス108に警告を発送することができる通知および警報サービスを含
む。
【0177】
ここで図6および図7を参照して、使用時には、有害生物防除デバイス120のコント
ローラ212は、センサ質量の変化の速度を判定することによってトコジラミの存在を検
出するためのルーチン600および警告通知を発行するか否かを判定するためのルーチン
700を実行してよい。ルーチン600は、有害生物防除デバイス120のセンサ210
がアクティブであるか否かをコントローラ212が判定するブロック602で開始される
。センサ210がアクティブでないとコントローラ212が判定すれば、ルーチン600
はブロック602にループを戻り、アクティブなセンサ210の監視を継続する。しかし
、センサ210がアクティブであるとコントローラ212が判定すれば、ルーチン600
はブロック604に進む。
【0178】
ブロック604で、コントローラ212はセンサ210からセンサデータを受信する。
説明的な実施形態では、センサまたは石英結晶ミクロ天秤210は、石英結晶ミクロ天秤
210の石英結晶共振器230の表面上の質量変化を示すセンサデータを発生する。上述
のように、センサデータは石英結晶共振器230の振動の周波数を含み、これは一般にセ
ンサ質量の変化に比例する。受信したセンサデータに基づいて、ブロック606でコント
ローラ212はセンサ質量の変化の速度(即ち、石英結晶共振器230の表面上の質量変
化速度)を決定する。
【0179】
ブロック608で、コントローラ212は、決定したセンサ質量の変化の速度が予め定
義した閾速度を超えるか否かを判定する。予め定義した閾速度はトコジラミの存在下にお
ける基準の質量変化速度であり、トコジラミの偽陽性検出を低減させるために用いられる
ことを認識されたい。上で考察したように、基準の質量変化速度はトコジラミの存在下に
おける最小の質量変化速度である。いくつかの実施形態では、基準の質量変化は、最小の
質量変化速度と偽陽性または望ましくない検出を避けるためのいくらかの付加的な安全係
数との和であってよい。
【0180】
変化の速度が予め定義した閾速度を超えないとコントローラ212が判定すれば、コン
トローラ212はトコジラミが検出されていないと判定し、ルーチン600は図7に示す
ルーチン700のブロック710に飛ぶ。これについては以下に詳細に述べる。しかし、
変化の速度が予め定義した閾速度を超えるとコントローラ212が判定した場合には、ル
ーチン600はブロック610に進む。ブロック610では、センサ質量の変化の速度が
予め定義した閾速度を超えると、コントローラ212はタイマーを起動または始動させる
。いくつかの実施形態では、コントローラ212はセンサ質量の変化の速度が予め定義し
た閾速度を超えた開始時刻を記録してよいことを認識されたい。換言すれば、開始時刻は
有害生物防除デバイス108がトコジラミの存在を検出した時刻である。
【0181】
トコジラミの偽陽性検出をさらに低減するために、コントローラ212は、質量変化速
度が予め定義した閾速度をどれだけ長く超えたか決定する。これを行なうため、コントロ
ーラ212はブロック612でセンサ210から後続のセンサデータを受信する。後続の
センサデータに基づいて、コントローラ212はブロック614でセンサ質量の変化の速
度を決定する。
【0182】
ブロック616で、コントローラ212は、後続のセンサデータに基づく変化の速度が
予め定義した閾速度をまだ超えているか否かを判定する。変化の速度が予め定義した閾速
度を超えているとコントローラ212が判定すれば、ルーチン600はブロック612に
ループを戻り、後続のセンサデータの受信を継続する。しかし、変化の速度が予め定義し
た閾速度を超えていないとコントローラ212が判定すれば、ルーチン600はブロック
618に進む。
【0183】
ブロック618では、コントローラ212はタイマーを停止する。いくつかの実施形態
では、コントローラ212は、変化の速度が予め定義した閾速度を超えた終了時刻を記録
することを認識されたい。換言すれば、終了時刻は有害生物防除デバイス108がトコジ
ラミの存在をもはや検出しなくなった時刻である。ルーチン600は続いて図7に示すル
ーチン700のブロック702に進み、警告通知を発行するか否かを決定する。
【0184】
図7に示すブロック702で、コントローラ212はタイマーによって測定された時間
間隔を決定する。決定された時間間隔はトコジラミが検出された時間を示すことを認識さ
れたい。
【0185】
ブロック704で、コントローラ212は時間間隔が予め定義した時間より大きいか否
かを判定する。上で考察したように、予め定義した時間は偽陽性検出を低減するために用
いられる。時間間隔が予め定義した時間未満であれば、コントローラ212はそのような
検出が偽陽性である可能性があると判定し、ルーチン700はブロック708に飛び、そ
こでコントローラ212は時間間隔を記録する。偽陽性はたとえば予想されない環境因子
、予想されないデバイスの不具合、および/または人的エラーによることがある。
【0186】
しかし、時間間隔が予め定義した時間より大きいとコントローラ212が判定すれば、
ルーチン700はブロック706に進む。ブロック706で、コントローラ212はトコ
ジラミ検出警告通知を発行する。いくつかの実施形態では、コントローラ212はローカ
ルインジケータ218を介して局所トコジラミ検出警告通知を発行してよい。他の実施形
態では、コントローラ212はトコジラミ検出警告通知をサーバ104に発行してよい。
ブロック708で、コントローラ212は時間間隔を記録する。
【0187】
トコジラミの存在の検出に続いて、コントローラ212は、センサ210の石英結晶共
振器230の上のセンサコーティング306の薬剤レベルをさらに判定して、石英結晶共
振器230の上のセンサコーティング306を補充する時期、または石英結晶共振器23
0および/もしくはセンサ210を交換する時期を決定する。いくつかの実施形態では、
コントローラ212は薬剤レベルとトコジラミの存在を同時に判定してよいことを認識さ
れたい。
【0188】
ブロック710で、コントローラ212は石英結晶共振器230の上のセンサコーティ
ング306の薬剤のレベルを判定する。これを行なうため、いくつかの実施形態では、ブ
ロック712でコントローラ212はセンサデータに基づいて薬剤レベルを判定し得る。
上で考察したように、石英結晶共振器230の振動の周波数は石英結晶共振器230上を
被覆する薬剤の質量に部分的に依存する。したがって、コントローラ212は対応する石
英結晶共振器230の振動の周波数に基づいて残存薬剤の量を推定することができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、ブロック714で、コントローラ212はセンサ質量の変化
の速度を解析することによって薬剤レベルを判定することができる。たとえば、コントロ
ーラ212は所定の時間にわたってセンサ質量の変化の速度を決定し、所定の時間にわた
る全質量変化を計算する。全質量変化は所定の時間にわたって生成した生成物の重量と、
標的の生化学的分析物と反応して生成物を生成した薬剤の重量との間の重量差であること
を認識されたい。コントローラ212は、反応中に消費された薬剤の量を全質量変化から
計算することができる。したがって、コントローラ212は、標的の生化学的分析物との
反応に利用可能な石英結晶共振器230の上に残存している薬剤の量を判定することがで
きる。
【0190】
いくつかの実施形態では、ブロック716で、コントローラ212は、現在のセンサ質
量と理論的なセンサ質量とを比較することによって、センサ210の薬剤レベルを判定す
ることができる。理論的なセンサ質量は、センサコーティング306の薬剤の全ての量が
生成物に変換されたとして予想されるセンサ質量である。
【0191】
ブロック718で、コントローラ212は薬剤のレベルが閾レベル未満か否かを判定す
る。閾レベルは、標的の生化学的分析物と反応するために必要なセンサコーティング30
6における薬剤の最小量に基づいて設定される。換言すれば、薬剤のレベルが閾レベル未
満であれば薬剤は枯渇しており、さらなる反応は起こり得ない。
【0192】
その場合には、ルーチン700はブロック720に進み、コントローラ212はセンサ
210を交換するように通知を発行する。いくつかの実施形態では、コントローラ212
はローカルインジケータ218を介して局所交換通知を発行してよい。他の実施形態では
、コントローラ212はサーバ104に通知を発行してよい。
【0193】
しかし、薬剤レベルが閾レベルより高いとコントローラ212が判定した場合には、ル
ーチン700はブロック720をスキップする。ルーチン700は図6のルーチン600
のブロック604にループを戻り、センサデータの受信を継続して、トコジラミの存在お
よびセンサ210の薬剤のレベルの判定を行なう。
【0194】
ここで図8Aおよび図8Bを参照して、使用時には、有害生物防除デバイス120のコ
ントローラ212は、経時的な周波数の変化の速度を比較することによってトコジラミの
存在を検出するためのルーチン600を代替する代替ルーチン800を実行してよい。ル
ーチン800は、有害生物防除デバイス120のセンサ210がアクティブか否かをコン
トローラ212が判定するブロック802で開始される。センサ210がアクティブでな
いとコントローラ212が判定すれば、ルーチン800はブロック802にループを戻り
、アクティブなセンサ210の監視を継続する。しかし、センサ210がアクティブであ
るとコントローラ212が判定すれば、ルーチン800はブロック804に進む。
【0195】
ブロック804で、コントローラ212は第1のセンサデータを受信し、続いて予め定
義した時間の後に第2のセンサデータを受信する。上で考察したように、説明的な実施形
態では、センサデータは振動する石英結晶共振器230の周波数を含む。したがって、ブ
ロック806で、コントローラ212は、第1および第2のセンサデータに基づいて、予
め定義した時間の間の周波数変化の第1の勾配(即ち、周波数の変化の速度)を決定する
。しかし他の実施形態では、コントローラ212は第1および第2のセンサデータに基づ
いて任意のシグナル変化の第1の勾配を決定することを認識されたい。
【0196】
続いてブロック808で、コントローラ212は予め定義した時間の後に、後続のセン
サデータをさらに受信する。次いでコントローラ212はブロック810で第2のおよび
後続のセンサデータに基づいて周波数変化の第2の勾配を決定する。
【0197】
ブロック812で、コントローラ212は第2の勾配が第1の勾配と異なるか否かを判
定する。換言すれば、コントローラ212は第1および第2の周波数の変化の速度を比較
する。上で考察したように、周波数の変化はセンサ質量の変化を示す。しかし、センサ検
出の感度および/または正確度は経時的なセンサドリフトによって低下し、コントローラ
212が低レベルの標的の生化学的分析物の存在を検出することが妨げられることがある
ことに留意されたい。したがって、トコジラミの存在を判定するために周波数変化の速度
の差を計算することによって、コントローラ212は長期にわたって監視する際にセンサ
ドリフトの可能性の影響を最小化することができる。
【0198】
第2の勾配が第1の勾配と異ならない(即ち、周波数の変化の速度が変化していない)
とコントローラ212が判定すれば、コントローラ212はトコジラミが検出されていな
いと判定し、ルーチン800は図7に示すルーチン700のブロック710に飛ぶ。
【0199】
しかし、第2の勾配が第1の勾配と異なるとコントローラ212が判定すれば、ルーチ
ン800は図8Bに示すブロック814に進み、ここでコントローラ212はタイマーを
起動して、コントローラ212が周波数の急激な変化を検出した開始時刻を示す。換言す
れば、開始時刻は有害生物防除デバイス108がトコジラミの存在を検出した時刻である
【0200】
トコジラミの偽陽性検出をさらに低減するために、コントローラ212は、周波数の変
化の速度(即ち、センサ質量の変化の速度)がどれくらい長く変化しているかを判定する
。これを行なうため、コントローラ212はブロック612でセンサ210から後続のセ
ンサデータを受信する。後続のセンサデータに基づいて、コントローラ212はブロック
818で周波数変化の後続の勾配を決定する。
【0201】
ブロック820で、コントローラ212は後続の勾配が以前の勾配と異なるか否かを判
定する。以前の勾配は後続の勾配の直前に決定された勾配であることを認識されたい。勾
配が変化したとコントローラ212が判定すれば、ルーチン800はブロック816にル
ープを戻って、後続のセンサデータの受信を継続する。しかし、勾配が変化していないと
コントローラ212が判定すれば、ルーチン800はブロック822に進む。
【0202】
ブロック822で、コントローラ212はタイマーを停止し、コントローラ212が周
波数変化がないことを検出した終了時刻を示す。換言すれば、終了時刻は有害生物防除デ
バイス108がもはやトコジラミの存在を検出しない時刻である。次いでルーチン800
図7に示すルーチン700のブロック702に進み、開始時刻と終了時刻との間の時間
間隔に基づいてトコジラミ検出警告通知を発行するか否かを判定する。これについては上
で詳細に考察した。
【0203】
センサ210は標的の生化学的分析物を検出することができる他の種類のセンサとして
具現化してよいことを認識されたい。たとえば上で考察したように、センサ210はカン
チレバーセンサとして具現化してよい。そのような実施形態では、カンチレバーセンサは
本体と、本体から外向きに突出する1つまたは複数のカンチレバーとを含む。それぞれの
カンチレバーは標的の生化学的分析物と反応する薬剤で被覆され、鉛直方向に振動するよ
うに構成されている。それぞれのカンチレバーの振動を開始するために、カンチレバーセ
ンサは抵抗加熱によって励起され、層間の熱膨張のミスマッチが誘起される。振動するカ
ンチレバーの薬剤が標的の生化学的分析物と反応すれば、カンチレバーの質量の増加によ
って、振動するカンチレバーの共鳴周波数が変化する。上で考察したように、周波数変化
を用いてトコジラミの存在を検出することができる。いくつかの実施形態では、カンチレ
バーセンサはピエゾ抵抗圧力センサをさらに含んでよい。そのような実施形態では、ピエ
ゾ抵抗圧力センサは振動中のカンチレバーの変形(たとえば曲げ)の程度を測定し、変形
の程度が予め定義した閾値より大きければ、トコジラミの存在を判定する。
【0204】
ここで図9図12を参照して、有害生物防除デバイス(これ以降、有害生物防除デバ
イス890)の別の実施形態を示す。説明的な実施形態では、有害生物防除デバイス89
0は収容デバイス900の中に位置するセンサ908を含む。センサ908は図1図8
を参照して上に述べたセンサ210の形態または上述の他のセンサのいずれの形態であっ
てもよいことを認識されたい。収容デバイス900は有害生物を惹きつける好ましい状況
(たとえば標的の有害生物の気に入られる色、温度、風合い、および/または匂い)を創
成して有害生物が収容デバイスの中に入って集合するように構成されている。たとえば、
説明的な実施形態では、収容デバイス900は、暗く影のある環境を好む、たとえばトコ
ジラミ等の有害生物を惹きつける遮光材料を含む。さらに、説明的な実施形態では、収容
デバイス900は標的の有害生物の気に入られる魅力的な色を含む。
【0205】
図9に示すように、収容デバイス900はベッド950の頭板952に固定されるよう
に構成されている。たとえば、収容デバイス900は、ベッドマットレス954と反対側
で部屋の壁の方に向いた頭板952の表面に固定されていてよい。そのような収容デバイ
ス900は、ベッドまたはマットレスの近くに好ましい住みかを有する有害生物、たとえ
ばトコジラミを惹きつけるように構成されている。いくつかの実施形態では、収容デバイ
ス900は、標的分析物と反応し、またはさもなければセンサに干渉し得る揮発性化合物
を生成しないファスナまたは接着剤を用いてベッド950の任意の表面に固定してよいこ
とを認識されたい。他の実施形態では、収容デバイス900はベッド950、または有害
生物が蔓延しやすい任意の他の環境の近くに置いてよい。
【0206】
収容デバイス900は、内部チャンバ940およびチャンバ940の中に開口し、有害
生物の進入を可能にする複数の入口928を含む。それぞれの入口928は、有害生物が
容易に接近でき、有害生物を収容するために収容デバイス900の中に酸素を提供するこ
とができる大きさにされていることを認識されたい。これを行なうため、それぞれの入口
928の幅は、収容デバイス900の環境への標的分析物の拡散による不必要な損失を低
減する一方で、それぞれの入口928が標的の有害生物の進入を可能にする大きさにされ
ていることを確実にするために、標的の有害生物の大きさに基づいて決定してよい。たと
えば、収容デバイス900がトコジラミの存在を検出するように構成されていれば、それ
ぞれの入口928の最適の幅は3mm~100mmの範囲がよい。
【0207】
説明的な実施形態では、収容デバイス900は技術者または他の使用者によって開かれ
てチャンバ940への接近を可能にするように構成されている。ここで図10および図1
1を参照して、収容デバイス900をその開いた構成で示す。収容デバイス900は底パ
ネル902およびヒンジ906を介して底パネル902に枢動可能に連結された上パネル
904を含む。ヒンジ906は上パネル904が底パネル902に対して動くことを可能
にし、それにより内部チャンバ940への接近が可能になる。使用時には、収容デバイス
900はヒンジ906を介して畳まれ、それにより上パネル904は底パネル902の上
に位置し、収容デバイス900が閉じられる(図9および図12~13を参照)。いくつ
かの実施形態では、底パネル902は、パネルが離れて動くことを可能にし、内部チャン
バ940への接近を可能にする他の種類のファスナを介して上パネル904に連結されて
いてもよいことを認識されたい。
【0208】
図10に示すように、底パネル902は外枠912および外枠912の中に配置された
複数の開口部914を含む。上パネル904は、底パネル902の外枠912と協働して
内部チャンバ940を画定する外枠922をも含む。上パネル904は、その外枠922
の中に配置された複数の開口部924をも含み、開口部924は、収容デバイス900が
閉じられたとき(即ち、図11および図12に示すように、上パネル904がヒンジ90
6を介して底パネル902の上に畳まれたとき)、底パネル902の対応する開口部91
4と整列して収容デバイス900の入口928を画定するように構成されている。
【0209】
パネル902、904はそれぞれ、内表面918、926をさらに含む。説明的な実施
形態では、内表面918、926は、収容デバイス900の中に有害生物を誘い込むため
の風合いのある材料で被覆されている。たとえば、風合いのある材料は繊維材料であって
よい。風合いのある材料は、有害生物を内表面918、926に沿って収容デバイス90
0の内部に移動させる牽引力を提供するように構成されている。たとえば、風合いのある
材料は織物(たとえば布)または不織物(たとえば紙)であってよく、合成繊維、天然繊
維、または混合繊維から作られていてよい。いくつかの実施形態では、風合いのある材料
は有害生物を惹きつけるように着色されていてよい。たとえば、トコジラミを惹きつける
ために、赤の色合いや黒色の紙を使ってもよい。風合いのある材料は、センサによる検出
との干渉を防止または最小化するために、標的の分析物を殆どまたは全く収着しないよう
に構成されていることを認識されたい。いくつかの実施形態では、風合いのある材料の厚
みは標的の分析物の収着を低減するために最適化されていてよい。
【0210】
さらに、底パネル902は、内表面918から延在する複数の内部壁916をさらに含
む。以下に詳細に述べるように、複数の内部壁916は内部チャンバ940を複数のチャ
ネル932に分割する。それぞれのチャネル932は、1匹または複数の有害生物を受容
する大きさになっており、矢印934で示すように、気流を入口928からセンサ908
に向けて導くように構成されている。いくつかの実施形態では、フローチャネル932は
収容デバイス900の末梢に向かって先細りしていてよいことを認識されたい。そのよう
な先細りのフローチャネル932は、狭くなるフローチャネル932への標的の分析物の
拡散を制限することによって収容デバイス900の中の標的の分析物の濃度を増大させ、
有害生物の周囲の空気スペースへの標的の分析物の損失を低減するように適合されている
【0211】
複数の内部壁916は複数のガイド壁936および複数のバリア壁938を含む。それ
ぞれのガイド壁936は入口928のそれぞれの側に位置し、矢印968で示すように第
1の方向に延在している。ガイド壁936のそれぞれの対は複数のチャネル932の入口
チャネル960を画定している。それぞれのバリア壁938はガイド壁936の端部から
隔たって位置しており、第1の壁部分942、第1の壁部分942の端部から延在する第
2の壁部分944、および第1の壁部分942の反対側の端部から延在する第3の壁部分
946を含み、概してU字形のバリアを形成している。
【0212】
第1の壁部分942は第1の方向に直交する第2の方向に延在するように構成されてい
る一方、第2の壁部分944および第3の壁部分946はガイド壁936に平行に延在し
ている。第2の壁部分944はガイド壁936と協働して複数のチャネル932のうちの
第1の側チャネル962を画定する一方、第3の壁部分946はガイド壁936と協働し
て複数のチャネル932のうちの第2の側チャネル964を画定することを認識されたい
。上述のように、複数のチャネル932は協働して、入口928からセンサ908に向か
う矢印934で示す内部チャンバ940の中の流路を画定する。これを行なうため、第1
のチャネル960は気流を対応する入口928から第1の方向に導くように構成されてお
り、第1および第2の側チャネル962、964は矢印970で示すように気流を第1の
方向と反対の第3の方向に導くように構成されている。さらに、第4のチャネル966が
バリア壁938の間、特に1つのバリア壁938の第3の壁部分946と別のバリア壁9
38の第2の壁部分944との間に画定されて、矢印972で示すように気流を第1の方
向に導く。図10に見られるように、第4のチャネル966は収容デバイス900の入口
928からずれている。
【0213】
図10にさらに示すように、収容デバイス900はセンサ908および流路を介してセ
ンサ908に向かって気流を引き込む気流デバイス910を含む。説明的な実施形態では
、気流デバイス910はたとえばペリスタポンプまたはダイアフラムポンプ等の空気ポン
プである。しかしいくつかの実施形態では、気流デバイス910はコンプレッサ、Mic
ro-Electro-Mechanical-Systems(MEMS)デバイス、
またはファンとして具現化してよいことを認識されたい。センサ908および空気ポンプ
910は収容デバイス900の上パネル904に配置されており、したがってセンサ90
8および空気ポンプ910は収容デバイス900の内部チャンバ940の中に位置してい
る。センサ908および空気ポンプ910は上パネル904の内表面926の上に位置し
ており、したがって、収容デバイス900が閉じられると、センサ908および空気ポン
プ910は複数の内部壁916と係合せず、それにより気流および/または有害生物が内
部チャンバ940の中を移動する能力の干渉が避けられる。説明的な実施形態では、空気
ポンプ910は、入口928からセンサ908に向かっておよびこれを通って空気を引き
込むために、外枠922とセンサ908との間に位置している。いくつかの実施形態では
、空気ポンプ910は収容デバイス900から除外されていてよいことを認識されたい。
そのような実施形態では、センサ908は、有害生物によって分泌された標的の分析物の
検出のためのセンサ908への送達を、内部チャンバ940の中の自然の気流に頼っても
よい。
【0214】
いくつかの実施形態では、センサ908はセンサ908を覆うバリアシートを含んでよ
い。バリアシートはメッシュ材料から作られ、有害生物がセンサ908に直接接触するこ
とを防止する。メッシュ材料は標的の分析物の拡散をブロックしないことを認識されたい
【0215】
上述のように、センサ908は有害生物の存在を検出するように構成されている。たと
えば説明的な実施形態では、センサ908は石英結晶ミクロ天秤(QCM)または小スケ
ールQCMセンサ等の共振センサとして具現化される。上で詳細に述べたように、共振セ
ンサ908は、有害生物によって空気中に分泌された標的の生化学的分析物の存在を検出
することによって有害生物の存在を検出するように構成されている。いくつかの実施形態
では、センサ908は上で詳細に述べたように有害生物の存在を検出するためのカンチレ
バーセンサとして具現化してよいことを認識されたい。センサ908は図1図8に関し
て上で述べた任意のセンサであってよいことも認識されたい。
【0216】
いくつかの実施形態では、センサ908は収容デバイス900の外側に位置してよい。
そのような実施形態では、センサ908は導管を介して収容デバイス900に連結されて
おり、導管は気流を収容デバイス900から導き、検出のためにセンサ908の中に空気
を供給するように適合されている。いくつかの実施形態では、導管の終端を内部チャンバ
940の中に15cmの深さまで挿入して、隙間風のある場所を嫌う有害生物(たとえば
トコジラミ)を惹きつける隙間風のない環境を内部チャンバ930の中に創成してよい。
いくつかの実施形態では、導管は内部チャンバ930の縁部の1つに沿って挿入してよい
。他の実施形態では、導管は収容デバイス900の縁部の1つに対して90°までの角度
で配向してよい。
【0217】
いくつかの実施形態では、収容デバイス900は内部チャンバ940の中の温度を調節
するために加熱要素を含んでよいことを認識されたい。そのような実施形態では、収容デ
バイス900は、加熱要素を操作し、トコジラミにとって好ましい状況を創成するために
周囲温度より高い40℃までの内部チャンバ940の温度を維持するためのコントローラ
をも含んでよい。さらに、いくつかの実施形態では、コントローラは、内部チャンバ94
0の中で検出されたいずれの有害生物をも殺滅するために温度をさらに約100℃に上げ
てもよい。そのような実施形態では、コントローラは、内部チャンバ940の中のトコジ
ラミが収容デバイス900から出ていくことを防止するために、収容デバイス900の入
口928からバリア壁938に向かって約100℃に温度を上げてもよい。
【0218】
いくつかの実施形態では、収容デバイス900は、標的の分析物を集積し、集積された
標的の分析物を有害生物の検出のために放出する予備濃縮器をさらに含んでよい。予備濃
縮器は、収容デバイス900の内表面918、926の少なくとも一部(たとえば、入口
928からセンサ908への1つまたは複数の経路)を覆う標的の生化学的分析物を収着
する1枚または複数のシートとして具現化してよい。たとえば、1枚または複数のシート
は、分析物を収着する材料または織りもしくは不織繊維材料から作られてよい。いくつか
の実施形態では、1枚または複数の繊維シートは、より高い収着のために、繊維材料のシ
ートの繊維の間に、または繊維材料の2枚のシートの間に、収着剤粉末を含んでよい。予
備濃縮器は、ある時間で標的の分析物を収着し集積し、集積した標的の分析物を加熱され
ると一度に放出して、より濃縮された標的の分析物をセンサによる検出のために提供する
ように構成してよいことを認識されたい。これにより、有害生物の周囲の空気のスペース
への標的の分析物の拡散が低減され、センサ908がより少ない有害生物の存在を検出す
ることが可能になる。
【0219】
たとえば、予備濃縮器は、第1の温度で標的の分析物を吸収し、第2の温度で吸収した
標的の分析物を放出するように構成されてよい。たとえば、いくつかの実施形態では、予
備濃縮器は、たとえば収着剤粉末で満たされ、内表面918、926の少なくとも一方の
上に位置する紙等の繊維材料であってよい。そのような実施形態では、予備濃縮器は収着
相と脱着(即ち放出)相とを有する。収着相の間、加熱要素は有害生物を惹きつけるため
に収容デバイス900の内部の温度を周囲温度より高い温度に上昇させるように操作され
てよく、予備濃縮器は有害生物によって分泌された標的の分析物を吸収するように構成さ
れている。脱着相または放出相の間、加熱要素は収容デバイス900の内部の温度をさら
に上昇させるように操作され、標的の分析物は予備濃縮器から脱着または放出される。標
的の分析物の脱着により、空気ポンプ910によって有害生物検出のためのセンサ908
に引き込まれる標的の分析物の濃度が上昇する。脱着相の間、センサ908は連続的にま
たは間欠的に有害生物の存在を検出し得ることを認識されたい。
【0220】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器は、収容デバイス900の入口928からセンサ
908まで延在するチューブまたはカラムとして具現化してよい。そのような実施形態で
は、チューブは、収容デバイス900の周囲の空気がチューブを通過する際に標的の生化
学的分析物を収着するように構成された分析物収着材料から作られている。チューブを加
熱すると、チューブの中の収集された分析物が急速に脱着される。空気ポンプ910によ
って、予備濃縮器から放出された脱着した標的の分析物が検出のためのセンサ908に引
き込まれることが容易になることを認識されたい。
【0221】
いくつかの実施形態では、収容デバイス900は多数の加熱要素を含んでよい。加熱要
素は、熱パルスを入口928からセンサ908に向けて伝播させるために流路に沿って均
一に分布させてよい。たとえば、標的の分析物を予備濃縮器から順に脱着させるために、
加熱要素はセンサ908から最も遠い加熱要素からセンサ908に近い加熱要素への順で
、またはその逆の順で、起動してよい。続いて、空気ポンプ910を起動して、空気をセ
ンサ908に引き込んでよい。新鮮な空気が内部チャンバ940の外側から入口928を
通ってセンサ908に向かって引き込まれれば、空気は予備濃縮器から脱着した標的の分
析物を内部チャンバ940の中に収集し、センサ908の中に運んで、有害生物検出のた
めにより高い濃度の標的の分析物を提供する。
【0222】
予備濃縮器は収容デバイス900の周辺に沿って並んでよいことを認識されたい。いく
つかの実施形態では、予備濃縮器はセンサ908に隣接し、空気ポンプ910の反対側に
配置されており、それによりセンサ908は空気ポンプ910と予備濃縮器との間に位置
している。そのような構成によって、空気ポンプ910は、予備濃縮器から放出された脱
着した標的の分析物を検出のためにセンサ908に引き込むことができる。いくつかの実
施形態では、センサ908は内部の予備濃縮器を含んでよい。いくつかの実施形態では、
外部の予備濃縮器はある量の標的の分析物を受容できる大きさにされた試験チャンバとし
て具現化してよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、標的の分析物が収容デバイス900から拡散して出ていくこ
とを防止するために、収容デバイス900が閉じられた構成にあると底パネル902の外
枠912と上パネル904の外枠922との間にバリアを位置させてもよい。たとえば、
バリアは外枠912、922の間のライニングとして具現化してよく、アルミニウム化フ
ィルムであってよい。そのようなバリアはセンサによる検出のために収容デバイス900
の中の標的の分析物の濃度を増加させ得る。バリアは、隙間風のある場所を嫌う有害生物
(たとえばトコジラミ)を惹きつけるために収容デバイス900の中に隙間風のないゾー
ンを確立することによって、好ましい状況をさらに提供し得る。
【0224】
ここで図12および図13を参照して、使用時には、収容デバイス900は折り畳まれ
、それにより上パネル904の外枠922は底パネル902の外枠912の上に位置して
いる。上で考察したように、収容デバイス900が閉じた構成にあると、底パネル902
の内表面918は上パネル904の内表面926に対面しているが隔たれて内部チャンバ
940を画定しており、これは有害生物が内部チャンバ940の中に移動できるように構
成されている。説明的な実施形態では、内部チャンバ940の幅(即ち、底パネル902
の内表面918と上パネル904の内表面926との距離)はセンサ908に向かって小
さくなっており、センサ908の近くでは流路が狭くなり、狭い流路への標的の分析物の
拡散が制限されるので、センサ908に近い標的の分析物の濃度が増大する。しかし、い
くつかの実施形態では、内部チャンバ940の幅は収容デバイス900全体にわたって一
貫していてもよいことを認識されたい。
【0225】
図13に示すように、底パネル902は複数の斜表面920をさらに含み、そのそれぞ
れはそれぞれの入口928の外側に位置しており、対応する入口928に有害生物を誘導
する。説明的な実施形態では、それぞれの斜表面920の幅は、それぞれの入口928の
幅に対応して3mm~100mmの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、底パネ
ル902は底パネル902の全幅に沿って延在する1つの斜表面902を含んでよい。
【0226】
図9に示すように、説明的な実施形態では、収容デバイス900はベッド950の頭板
952に位置しまたは固定されるように適合されており、それにより底パネル902はベ
ッドの頭板952と上パネル904との間に位置している。収容デバイス900がベッド
の頭板に固定されている場合には、それぞれの斜表面920はベッドの頭板952の表面
とそれぞれの入口928との間に橋かけするように構成されており、それにより有害生物
はベッドから収容デバイス900へと移動することができる。斜表面920は、有害生物
を牽引して斜表面920に沿って上に、収容デバイス900に移動させるために、底パネ
ル902の内表面918の上の材料と同様の風合いのある材料でコートしてよいことを認
識されたい。いくつかの実施形態では、斜表面920は有害生物を収容デバイス900に
惹きつける好ましい状況を創成するために着色してよい。
【0227】
説明的な実施形態では、収容デバイス900は長方形の形状を有しているが、収容デバ
イス900は多角形、丸められた角を有する多角形、楕円、または円であってもよいこと
を認識されたい。収容デバイス900の外表面は有害生物を惹きつけるために魅力的な色
であってよいことを認識されたい。たとえば、収容デバイス900の外表面はトコジラミ
を惹きつけるために赤の色合いや黒色であってよい。いくつかの実施形態では、底パネル
902と上パネル904の両方は、収容デバイス900の内部チャンバ930を画定する
ために平坦でも曲面でもよいことを認識されたい。他の実施形態では、使用する材料を低
減するために、パネルの一方は平坦で他のパネルは曲面でもよい。
【0228】
説明的な実施形態では、収容デバイス900はローカルインジケータをさらに含む。ロ
ーカルインジケータはワイヤを介してセンサ908に連結されており、収容デバイス90
0の上パネル904の外表面に位置している。しかし、いくつかの実施形態では、ローカ
ルインジケータはワイヤを介して収容デバイス900の外側に位置してもよい。他の実施
形態では、ローカルインジケータは収容デバイス900のセンサ908に無線で連結され
てもよい。上で詳細に考察したローカルインジケータ218と同様に、ローカルインジケ
ータは操作者または技術者に通知する警告を発生することができる任意の種類のインジケ
ータとして具現化してよい。たとえば、収容デバイス900のローカルインジケータは視
覚および/または可聴インジケータとして具現化してよい。いくつかの実施形態では、視
覚インジケータは発光ダイオード(LED)、蛍光灯、白熱灯、および/またはネオン型
光源を含み得る。可聴インジケータは技術者に通知するための警告音を発生させ得る。説
明的な実施形態では、ローカルインジケータはトコジラミの存在または非存在を示す警告
を発生する。たとえば、いくつかの実施形態では、LED光インジケータに電圧を印加し
て着色光を投射させ、色を変化させ、または非点滅光から点滅光に変化させて、トコジラ
ミの存在を示してよい。他の実施形態では、可聴ローカルインジケータはトコジラミの存
在を示すために音を発生してよい。
【0229】
他の実施形態では、収容デバイス900は、有害生物が検出されたときおよび/または
センサがメインテナンスを必要とする場合に通知するために、有害生物防除システムまた
はサーバと通信するための無線通信回路を含んでよい。上で詳細に述べたように、無線通
信回路は任意の1つまたは複数の通信技術(たとえば無線または有線の通信)およびその
ような通信を達成させる付随するプロトコル(たとえばイーサネット、ブルートゥース(
登録商標)、ワイファイ(登録商標)、ワイマックス、LTE、5G等)を用いるように
構成してよい。
【0230】
使用時には、ベッドまたはマットレスの近くに好ましい生息環境を有する有害生物、た
とえばトコジラミの存在を検出するために、操作者または技術者がベッド950の頭板9
52に収容デバイス900を取り付けてよい。収容デバイス900は、収容デバイス90
0の底パネル902がベッドの頭板952の表面の上に位置するように配向している。こ
れにより収容デバイス900の斜表面920がベッドの頭板952の表面と入口928と
の間に橋かけすることができ、有害生物はベッドの頭板952から収容デバイス900の
内部チャンバ930に移動することができる。上で考察したように、斜表面920は、斜
表面902に沿って内部チャンバ930まで標的の有害生物を惹きつける好ましい状況を
創成するために風合いのある材料で着色またはコートしてよい。
【0231】
収容デバイス900の空気ポンプ910は、内部チャンバ930の中の有害生物の周囲
のエリアからセンサ908に向かって標的の生化学的分析物を引き込むために、入口92
8から空気を引くように連続的にまたは周期的に起動される。空気がセンサ908の中に
引き込まれると、センサ908は空気中の標的の生化学的分析物を検出して有害生物の存
在を検出するように構成されている。たとえば、センサ908は、T2H、T2O、4-
オキソ-(E)-2-ヘキセナール、および/または4-オキソ-(E)-2-オクテナ
ール等の標的の生化学的分析物を検出して、収容デバイス900の中またはその付近のト
コジラミの存在を検出するように構成されている。次いでセンサ908はローカルインジ
ケータにシグナルを送信し、操作者または技術者にトコジラミの存在を通知する警告を発
生させる。
【0232】
上述のように、収容デバイス900はたとえば空気ポンプ910等の気流デバイスを何
ら含まなくてもよい。センサ908に向かって空気を引く空気ポンプ910がない場合に
は、センサ908は、有害生物の周囲の空気の中に存在する標的の分析物が主として内部
チャンバ940の中の空気を通る拡散を介してセンサ908に到達することに頼る。換言
すれば、標的の生化学的分析物分子は、供給源(即ち分析物を放出するトコジラミ)から
収容デバイス900の内部チャンバ930の中の空気を通して可能な全ての方向に広がっ
ていく。そのような実施形態では、内部チャンバ940の中のセンサ908の位置は最大
の拡散経路(たとえば入口928からセンサ908までの開いた通路)を最小化するよう
に選択してよい。収容デバイスは、それぞれ上および底のパネル902、904の外枠9
12、922の間の隙間に置かれた不透過性ライナー(たとえばアルミニウム化フィルム
)をさらに含んでよく、それによりこの隙間を通る標的の分析物の損失を最小化してセン
サによる検出のための内部チャンバ940の中の標的の分析物の濃度を最大化することが
できる。そのような実施形態では、収容デバイスは、上で詳細に述べた予備濃縮器と同様
の予備濃縮器をさらに含んでよいことを認識されたい。他の実施形態では、収容デバイス
は、上で詳細に述べた加熱要素と同様の1つまたは複数の加熱要素をさらに含んでもよい
【0233】
ここで図14を参照して、センサ1000の別の実施形態を示す。センサ210と同様
に、センサ1000は、センサセル1002(たとえば石英結晶共振器)およびセンサセ
ル1002の表面上を被覆するセンサコーティング1004を含む。説明的な実施形態で
は、センサコーティング1004は、ポリマーゲルおよび薬剤(たとえばジオクチル-C
TI)から作られたコーティングゲル複合物を含む。上で考察したように、薬剤は、トコ
ジラミの分泌物中に見出される標的の生化学的分析物1006(たとえばT2H、T2O
、4-オキソ-(E)-2-ヘキセナール、または4-オキソ-(E)-2-オクテナー
ル)と反応するように構成されている。
【0234】
説明的な実施形態では、ポリマーゲルは高い粘度(たとえばジェリー様の稠度)を有し
、粘塑性特性(たとえば降伏応力)、ならびにセンサ1002の表面上に安定なコーティ
ングを形成するために高い熱化学的安定性を呈してもよい。したがって、センサ1002
の表面上に薬剤を直接被覆するよりも、ポリマーゲルは、センサ1002の表面上に薬剤
を固定化するための媒体を形成するように適合されている。さらに、説明的な実施形態で
は、比較的低い分子量を有するポリマーゲルを用いて、ポリマーゲルの所望の粘度レベル
を達成し、標的の生化学的分析物の検出感度を増大させた。これについては以下にさらに
考察する。ポリマーを溶解してポリマーゲルを形成させるために用いる液体は、高い熱化
学的安定性を有する安定な界面を達成するためのポリマーの種類によることを認識された
い。例示的なポリマーゲルには、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)、ポリジメ
チルシロキサン(PDMS)、Carlsbad,CaliforniaのSeacoa
st Science,Inc.から入手可能でSC-F101として市販されているフ
ルオロアルコールポリカルボシラン、Carlsbad,CaliforniaのSea
coast Science,Inc.から入手可能でSXFAとして市販されているフ
ルオロアルコールポリシロキサン、ビスフェノール含有ポリマー(BSP3)、ポリ-2
-ジメチルアミン-エチル-メタクリレート(PDMAEMC)、またはケイ素(Si)
およびフッ素(F)を含むポリマーが含まれ得る。いくつかの実施形態では、コーティン
グゲル複合物は2種以上のポリマーゲルを含み得ることを認識されたい。
【0235】
使用時には、図14に示すように、典型的には気体状でセンサ1000の周囲の空気中
に存在する標的の生化学的分析物1006は、センサコーティング1004のコーティン
グゲル複合物の中に拡散する。次いで拡散した標的の生化学的分析物1006はコーティ
ングゲル複合物中に存在する薬剤と反応して、薬剤単独よりも高い分子量を有する、薬剤
と標的の生化学的分析物との生成物を生成する。説明的な実施形態では、低分子量のポリ
マーゲルを用いてコーティングゲル複合物を形成させ、それにより小さな重量変化でさえ
も検出して少量の標的の生化学的分析物1006の存在を示すようにした。まだ薬剤と反
応していない拡散した標的の生化学的分析物1006は、コーティングゲル複合物の溶解
度に基づいて空気中に放出されて戻り得ることを認識されたい。
【0236】
説明的な実施形態では、センサコーティング1004は、スピンコータを用いてセンサ
セル1002の表面に均一なフィルムを堆積するスピンコーティングによって形成した。
薄い均一なコーティングを形成するために、コーティングゲル複合物の厚い層をセンサセ
ル1002の上に堆積し、スピンコータを用いるスピニングで遠心力を加えることによっ
て過剰のコーティングゲル複合物を除去した。いくつかの実施形態では、一定量のコーテ
ィングゲル複合物のミストをセンサセル1002の上に噴霧することによってセンサコー
ティング1004を形成させるために、スプレーコーティングを用いてよい。ミストは、
アトマイザーノズル(たとえばピエゾ電気または加圧ガス駆動)、インクジェット印刷ヘ
ッド(たとえばピエゾ電気または熱)、または一度に単一の溶液の小滴を噴出する同様の
デバイスを用いて生成させてよい。他の実施形態では、センサコーティング1004は、
毛管堆積法、軟リソグラフィー(たとえばミクロ接触印刷)、またはディップコーティン
グ法を用いて形成させてよい。それぞれの実施形態では、コーティングゲル複合物は、コ
ーティングプロセス中のコーティングゲル複合物の粘度を制御するために、揮発性溶媒で
希釈してよいことを認識されたい。
【0237】
ここで図15を参照して、グラフは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーゲ
ルとCTI薬剤を含むコーティングゲル複合物の質量変化を説明する。上で考察したよう
に、質量変化はPDMSコーティングゲル複合物中のCTI薬剤とPDMSコーティング
ゲル複合物の周囲の空気中に存在するトランス-2-ヘキセナール(T2H)(即ち標的
の生化学的分析物)との反応によって引き起こされる。標的の生化学的分析物を導入する
前に、PDMSコーティングゲル複合物が清浄であることを保証するために、tとt
の間の約110分、温度を約50℃に上昇させた。上で考察したように、標的の生化学的
分析物と薬剤との反応は熱により可逆的であり得る。PDMSコーティングゲル複合物を
約50℃で約110分加熱することによって、PDMSコーティングゲル複合物中の薬剤
と反応した標的の生化学的分析物があっても、PDMSコーティングゲル複合物から除去
される。さらに、薬剤と反応しなかったかも知れないPDMSコーティングゲル複合物中
で拡散した標的の生化学的分析物があっても、PDMSコーティングゲル複合物から放出
され得る。
【0238】
で温度を約35℃に低下させ、約35℃に保った。tで標的の生化学的分析物を
導入するまではPDMSコーティングゲル複合物の重量は比較的一定に保たれていたこと
に留意されたい。換言すれば、標的の生化学的分析物が存在しない場合には、PDMSポ
リマーゲルとCTI薬剤を含むPDMSコーティングゲル複合物中における顕著な重量変
化は検出されなかった。
【0239】
で、標的の生化学的分析物を含む試料は、PDMSコーティングゲル複合物の周囲
の空気中にtまで放出された。PDMSコーティングゲル複合物の周囲の空気中の標的
の生化学的分析物は、PDMSコーティングゲル複合物の溶解性に基づいてPDMSコー
ティングゲル複合物の中に拡散するように適合されている。標的の生化学的分析物がPD
MSコーティングゲル複合物中に拡散すれば、標的の生化学的分析物はPDMSコーティ
ングゲル複合物中の標的の生化学的分析物と反応して、薬剤のみよりも大きな分子量を有
する薬剤と標的の生化学的分析物との生成物を生成するように構成されている。したがっ
て、図15に見られるように、重量のプロットはtからtまで標的の生化学的分析物
の放出の間、連続的に増大し、PDMSコーティングゲル複合物の重量の増加を示した。
【0240】
で試料の流れを止めると、PDMSコーティングゲル複合物の重量は僅かに減少し
た。そのような重量減少はPDMSコーティングゲル複合物からの未反応の標的の生化学
的分析物の放出によって引き起こされる可能性がある。たとえば、センサ1000の周囲
の空気中の標的の生化学的分析物は、tとtの間でPDMSコーティングゲル複合物
中に拡散したかも知れないが、PDMSコーティングゲル複合物中の薬剤とはまだ反応し
ていない。そのような未反応の標的の生化学的分析物は、PDMSコーティングゲル複合
物から周囲の空気に拡散して戻るように適合されている。さらに、いくつかの実施形態で
は、薬剤と標的の生化学的分析物との反応は可逆的であり得る。そのような実施形態では
、周囲に標的の生化学的分析物が存在しない場合には、薬剤と標的の生化学的分析物との
生成物は経時的に反応物(即ち、薬剤および標的の生化学的分析物)に逆戻りする可能性
がある。
【0241】
で、標的の生化学的分析物を含む試料をセンサ1000の周囲の空気に再導入した
。PDMSコーティングゲル複合物の重量は、試料中の標的の生化学的分析物とPDMS
コーティングゲル複合物中の薬剤との反応により、再び増加し続けた。
【0242】
ここで図16を参照して、グラフは、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)ポリ
マーゲルとCTI薬剤を含む別のコーティングゲル複合物の質量変化を説明する。図15
と同様に、質量変化はPMPSコーティングゲル複合物中のCTI薬剤とPMPSコーテ
ィングゲル複合物の周囲の空気中に存在するトランス-2-ヘキセナール(T2H)(即
ち標的の生化学的分析物)との反応によって引き起こされる。
【0243】
標的の生化学的分析物を導入する前に、PMPSコーティングゲル複合物が清浄である
ことを保証するために、tとtの間の約110分、温度を約50℃に上昇させた。上
で考察したように、標的の生化学的分析物と薬剤との反応は熱により可逆的であり得る。
PMPSコーティングゲル複合物を約50℃で約110分加熱することによって、PMP
Sコーティングゲル複合物中の薬剤と反応した標的の生化学的分析物があっても、PMP
Sコーティングゲル複合物から除去される。さらに、薬剤と反応しなかったかも知れない
PMPSコーティングゲル複合物中で拡散した標的の生化学的分析物があっても、PMP
Sコーティングゲル複合物から放出され得る。
【0244】
で温度を約35℃に低下させ、約35℃に保った。tで標的の生化学的分析物を
導入するまではPMPSコーティングゲル複合物の重量は比較的一定に保たれていたこと
に留意されたい。換言すれば、標的の生化学的分析物が存在しない場合には、PMPSポ
リマーゲルとCTI薬剤を含むPMPSコーティングゲル複合物中における顕著な重量変
化は検出されなかった。
【0245】
で、標的の生化学的分析物を含む試料は、PMPSコーティングゲル複合物の周囲
の空気中にtまで放出された。PMPSコーティングゲル複合物の周囲の空気中の標的
の生化学的分析物は、PMPSコーティングゲル複合物の溶解性に基づいてPMPSコー
ティングゲル複合物の中に拡散するように適合されている。標的の生化学的分析物がPM
PSコーティングゲル複合物中に拡散すれば、標的の生化学的分析物はPMPSコーティ
ングゲル複合物中の標的の生化学的分析物と反応して、薬剤のみよりも大きな分子量を有
する薬剤と標的の生化学的分析物との生成物を生成するように構成されている。したがっ
て、図16に見られるように、重量のプロットはtからtまで標的の生化学的分析物
の放出の間、連続的に増大し、PMPSコーティングゲル複合物の重量の増加を示した。
【0246】
で試料の流れを止めると、PMPSコーティングゲル複合物の重量は僅かに減少し
た。上で考察したように、そのような重量減少はPMPSコーティングゲル複合物からの
未反応の標的の生化学的分析物の放出によって引き起こされる可能性がある。たとえば、
センサ1000の周囲の空気中の標的の生化学的分析物は、tとtの間でPMPSコ
ーティングゲル複合物中に拡散したかも知れないが、PMPSコーティングゲル複合物中
の薬剤とはまだ反応していない。そのような未反応の標的の生化学的分析物は、PMPS
コーティングゲル複合物から周囲の空気に拡散して戻るように適合されている。さらに、
いくつかの実施形態では、薬剤と標的の生化学的分析物との反応は可逆的であり得る。そ
のような実施形態では、周囲に標的の生化学的分析物が存在しない場合には、薬剤と標的
の生化学的分析物との生成物は経時的に反応物(即ち、薬剤および標的の生化学的分析物
)に逆戻りする可能性がある。
【0247】
で、標的の生化学的分析物を含む試料をセンサ1000の周囲の空気に再導入した
。PMPSコーティングゲル複合物の重量は、試料中の標的の生化学的分析物とPMPS
コーティングゲル複合物中の薬剤との反応により、再び増加し続けた。
【0248】
本開示を図面および上記の記載によって詳細に説明し記述したが、そのような説明およ
び記述は例示的で性質として非限定的であるとみなすべきであり、説明的な実施形態のみ
が示され記述されていて、本開示の精神に含まれる全ての変更および改変は保護されるこ
とが望まれることが理解される。
【0249】
本明細書に記載した方法、装置、およびシステムの種々の特徴から生じる本開示の複数
の利点がある。本開示の方法、装置、およびシステムの代替の実施形態は記述した特徴の
全てを含まないかも知れないが、そのような特徴の利点の少なくともいくつかから恩恵が
得られることに留意されたい。当業者であれば、本発明の1つまたは複数の特徴が組み込
まれ、添付した特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲に含まれる方
法、装置、およびシステムを彼ら自身で実施することを容易に考案できる。
【符号の説明】
【0250】
100 有害生物防除システム
102 有害生物防除デバイス群
104 有害生物データ管理サーバ
106 ネットワーク
108 クライアント計算デバイス
110 ネットワーク
120 有害生物防除デバイス
122 ゲートウェイ
140 アプリケーション
142 データベース
202 ハウジング
204 外部壁
206 トップカバー
208 内部チャンバ
210 センサ/石英結晶ミクロ天秤
212 コントローラ
214 電源
216 無線通信回路
218 ローカルインジケータ
220 ファン
222 導管
224 入口
226 出口
230 石英結晶共振器
302 石英結晶
304 電極
306 センサコーティング
402 コントローラ
404 メモリ
406 無線ネットワークインターフェース
408 アンテナ
410 モデム
412 モデム
414 アンテナ
500 ルーチン
502 ブロック
504 ブロック
506 ブロック
508 ブロック
600 ルーチン
602 ブロック
604 ブロック
606 ブロック
608 ブロック
610 ブロック
612 ブロック
614 ブロック
616 ブロック
618 ブロック
700 ルーチン
702 ブロック
704 ブロック
706 ブロック
708 ブロック
710 ブロック
712 ブロック
714 ブロック
716 ブロック
718 ブロック
720 ブロック
800 ルーチン
802 ブロック
804 ブロック
806 ブロック
808 ブロック
810 ブロック
812 ブロック
814 ブロック
816 ブロック
818 ブロック
820 ブロック
822 ブロック
900 収容デバイス
902 底パネル
904 上パネル
906 ヒンジ
908 センサ
910 空気ポンプ/気流デバイス
912 外枠
914 開口部
916 内部壁
918 内表面
920 斜表面
922 外枠
924 開口部
926 内表面
928 入口
930 内部チャンバ
932 フローチャネル
934 矢印
936 ガイド壁
938 バリア壁
940 内部チャンバ
942 第1の壁部分
944 第2の壁部分
946 第3の壁部分
950 ベッド
952 頭板
954 マットレス
960 第1のチャネル
962 第1の側チャネル
964 第2の側チャネル
966 第4のチャネル
968 矢印
970 矢印
972 矢印
1000 センサ
1002 センサセル
1004 センサコーティング
1006 標的の生化学的分析物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16