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特許7581324軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット
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  • 特許-軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット 図1
  • 特許-軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット 図2
  • 特許-軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット 図3
  • 特許-軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニット
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/46 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
E01B29/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022506154
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2020068321
(87)【国際公開番号】W WO2021018497
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】A265/2019
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス バウアー
(72)【発明者】
【氏名】マークス エリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト シュタイナー
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-509759(JP,A)
【文献】特表2012-523965(JP,A)
【文献】特開昭63-238984(JP,A)
【文献】特表2016-530415(JP,A)
【文献】特表2011-529792(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104562875(CN,A)
【文献】特表2017-530277(JP,A)
【文献】国際公開第2017/216515(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112281558(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112252101(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112012059(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のレール(14)同士を溶接する際に使用されるクランプおよびスライド装置(1)であって、
溶接構造体として形成された二等辺三角形状の基体(7)を有している第1のユニット部分(2)及び第2のユニット部分(5)を備えており、前記第1のユニット部分(2)と前記第2のユニット部分(5)は、溶接すべき2つのレール(14)の端部にそれぞれ配置され、
前記第1のユニット部分(2)は、前記第2のユニット部分(5)に不動に結合されている3つの滑り管から構成されたユニットガイド(4)に沿って前記第2のユニット部分(5)に対してレール長手方向に摺動可能に構成されており前記第1及び第2のユニット部分(2,5)はそれぞれ前記レール(14)に面する側に、前記レール(14)をクランプするための、クランプジョー(12)に連結された複数のクランプシリンダ(11)を備えている、クランプおよびスライド装置において、
前記第1及び第2のユニット部分(2,5)の前記レール(14)とは反対側にそれぞれ少なくとも1つのスライドシリンダ(3)が設けられており、各スライドシリンダ(3)のシリンダボディ(15)が、前第1または第2のユニット部分(25)の一方に結合されていて、スライドシリンダ(3)のピストンロッド(16)が、前第1または第2のユニット部分(2,5の他方に結合されており、
前記スライドシリンダ(3)の長手方向軸線と前記クランプシリンダ(11)の長手方向軸線とは、ほぼ共通の平面(18)に配置されており、前記クランプジョー(12)は、溶接すべき前記レール(14)が、前記共通の平面(18)に位置している中立軸でもって不動にクランプ可能であるように配置されていることを特徴とする、クランプおよびスライド装置(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2のユニット部分(2,5)はそれぞれ、前記ユニットガイド(4)の前記レール(14)に面する側にクランプボディ(10)を備えており、該クランプボディ(10)内に相並んで前記複数のクランプシリンダ(11)が組み込まれていることを特徴とする、請求項1記載のクランプおよびスライド装置(1)。
【請求項3】
前記3つの滑り管は、レール長手方向でみて二等辺三角形の各頂点に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のクランプおよびスライド装置(1)。
【請求項4】
前記第1のユニット部分(2)は、前記第2のユニット部分(5)と横方向結合部材(6)との間に配置されており、前記ユニットガイド(4)は、一方で前記第2のユニット部分()に不動に結合されていて、他方で前記横方向結合部材(6)に不動に結合されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のクランプおよびスライド装置(1)。
【請求項5】
前記第1及び第2のユニット部分(2,5)の前記基体()は、前記二等辺三角形の長辺側に、それぞれ異なる長さのスライドシリンダ(3)をフランジ結合するための複数の結合箇所(17)を相並んで有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のクランプおよびスライド装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道のレール同士を溶接するための溶接ユニットであって、第1のユニット部分を備えており、この第1のユニット部分は、ユニットガイドに沿って第2のユニット部分に対して複数のスライドシリンダを用いてレール長手方向に摺動可能であり、各々のユニット部分は、ユニットガイドの下側に、レールをクランプするための、クランプジョーに連結された複数のクランプシリンダを備えている、溶接ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レール同士を溶接するための公知の溶接ユニットは、2つのユニット部分を有しており、一方のユニット部分は、ユニットガイドに沿ってスライドシリンダを用いてレール長手方向に他方のユニット部分に対して摺動可能である。各々のユニット部分は、溶接すべきレールのレール端部を不動にクランプするためのクランプ装置を備えている。溶接工程時に両ユニット部分およびユニット部分において不動にクランプされた両レール端部は、互いに接近移動させることができる。冒頭に述べた形態の溶接ユニットは、中性温度を下回る温度における最終溶接のためにも使用される。このとき、レール端部には、大きな引張り力が加えられなければならない。したがって、ユニットガイド、スライドシリンダおよびクランプ装置に対して、かなり高い要求が課される。
【0003】
オーストリア国実用新案第006690号明細書、西独国特許出願公開第2801249号明細書および国際公開第2010/119461号には、トング状のユニット部分を備えた構造形態が開示されている。公知の構造形態で各々のユニット部分は、レール長手方向に向けられた回転軸線を中心として旋回可能な2つのトングレバーを備えている。下側のレバーアームには、レール端部を不動にクランプするためのクランプジョーが配置されている。上側のレバーアームは、クランプシリンダに連結されている。クランプシリンダへの液圧供給によって、クランプジョーはレバー機構を介して各々のレール端部をクランプする。スライドシリンダは、溶接すべきレールの両側に配置されている。このとき、スライドシリンダは、付加的に、ユニットガイドとしての、回転軸線に配置されたガイドコラムと一緒に働く。ユニット部分のトング状の構造形態に起因して、クランプシリンダはユニットガイドの上に配置されており、クランプ力は、ガイドコラムにおけるユニット部分の支持を必要とする。
【0004】
他の構造形態は、オーストリア国特許出願公開第507243号明細書およびオーストリア国特許出願公開第507560号明細書に基づいて公知である。これらの構造形態では、3つのガイドコラムがユニットガイドとして配置されており、このとき、少なくとも2つのユニットガイドは、端面側の横方向支持体を介して結合されている。各々のユニット部分は、剛性の基体を備えており、この基体はその下側に、クランプすべきレール端部のための空間を有している。クランプジョーが、ユニットガイドの下側に配置されたクランプシリンダに直接連結されている。したがって、クランプシリンダへの作用によって、直接クランプ力が生じ、このとき、基体が反力を受け止める。一方のユニット部分に対する他方のユニット部分のスライドは、引張りロッドと、横方向支持体に支持されているスライドシリンダとを介して行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、冒頭に述べた形態の溶接ユニットを改良して、構造が改善された溶接ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0007】
本発明では、両方のユニット部分が、スライドシリンダを用いて互いに結合されており、各々のスライドシリンダのシリンダボディが、一方のユニット部分に結合されていて、各々のスライドシリンダのピストンロッドが、他方のユニット部分に結合されている。このように構成されていると、スライドシリンダを端面側の横方向支持体に支持する必要がなくなる。このようにして、スライドシリンダは、クランプシリンダと一緒に、溶接すべきレール端部に長手方向力を伝達するためのユニットを形成する。この場合に重要なのは、ユニットガイドを力伝達装置から機能的に分離することである。ユニットガイドは、両ユニット部分相互のガイド機能を引き受け、クランプシリンダのクランプ機能に関与することはない。ユニットガイドは、引張り力または押圧力から解放されている。
【0008】
有利な発展形態では、スライドシリンダの長手方向軸線とクランプシリンダの長手方向軸線とが、ほぼ共通の平面に配置されている。これによって、ユニット部分における負荷が減少する。なぜならば、互いに離隔された力軸線に基づく付加的な曲げ応力が発生しないからである。
【0009】
クランプジョーは、溶接すべきレールが、共通の平面に位置している中立軸でもって不動にクランプ可能であるように配置されていると有利である。このような配置形態によって、スライド力が、レールの中立軸を含む平面内で作用するので、ユニット部分およびユニットガイドは、傾倒モーメントを受け止める必要がない。ユニットガイドには、ユニット部分の重量と、溶接工程中に不動にクランプされていて、持ち上げられているレール端部の重量としか作用しない。
【0010】
本発明の発展形態では、各々のユニット部分が、ユニットガイドの下側にクランプボディを備えており、このクランプボディ内に相並んで複数のクランプシリンダが組み込まれていることが特定されている。このように構成されていると、各々のユニット部分のコンパクトな構造形態が得られ、結果として、十分に高い総クランプ力が得られる。
【0011】
溶接ユニット全体のコンパクトな構造形態を得るために、有利には、スライドシリンダが、ユニット部分の側方の外面にフランジ結合されている。このように構成されていると、スライドシリンダの配置が、ユニット部分およびクランプシリンダから構造的に分離されている。これによって、溶接ユニットの設計が容易になり、種々様々なスライドシリンダの配置によって、得ることができるスライド力を変化させることができる。結果として、同一構造のユニット部分を異なる出力の溶接ユニットのために使用することができるモジュールシステムが得られる。
【0012】
ガイドの構成では、ガイドシステムとして、特に滑り管として形成された3つのユニットガイドが、互いにずらされて配置されていると有利である。このように構成されていると、ガイドシステムの重量と安定性との間の最適な形態を得ることができる。
【0013】
好ましくは、外側の2つのユニットガイドが相並んで配置されていて、真ん中のユニットガイドが上方に向かってずらされて配置されている。このように構成されていると、受け止めるべき力が、可能な限り均等に3つのユニットガイドに分配される。
【0014】
ガイドシステムの安定性は、第1のユニット部分が、第2のユニット部分と横方向結合部材との間に配置されており、ユニットガイドが、一方で第2のユニット部分に不動に結合されていて、他方で横方向結合部材に不動に結合されていると、さらに高められる。横方向結合部材は、単にガイドシステムのコンポーネントであり、スライド力またはクランプ力を伝達しない。
【0015】
構造をさらに改善することによって、各々のユニット部分が、同一構造の基体を備えることが特定されている。この有利な構成は、ガイドシステムとスライドシリンダとの分離によって得られる。
【0016】
各々の基体が、両長辺側に、それぞれ異なる長さのスライドシリンダをフランジ結合するための複数の結合箇所を相並んで有していると有利である。このように構成されていると、スライドシリンダの取付け形態を簡単に変化させることができる。それぞれ異なる出力の溶接ユニットは、スライドシリンダの交換によって実現することができる。
【0017】
次に本発明の実施例を、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】溶接ユニットの概略的な側面図である。
図2】溶接ユニットの概略的な正面図である。
図3】溶接ユニットの概略的な第1の斜視図である。
図4】溶接ユニットの概略的な第2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図4に示した溶接ユニット1では、第1のユニット部分2が、スライドシリンダ3を用いてユニットガイド4に沿って第2のユニット部分5に対して摺動可能である。横断面で見て二等辺三角形の各頂点に配置されたユニットガイド4は、端部側で横方向結合部材6に不動に結合されている。横方向結合部材6の反対に位置している側では、ユニットガイド4は第2のユニット部分5に不動に結合されている。両結合部の間には、摺動可能な第1のユニット部分2が配置されている。このようにして、ユニットガイド4は端部側の結合部と共に不動のガイドシステムを形成している。
【0020】
各々のユニット部分2,5は、例えば溶接構造体として形成された同一構造の基体7を備えている。図示の構成では、ユニットガイド4は、3つの滑り管を備えている。下側の2つの滑り管は、鉛直の対称面8に対して対称に配置されている。上側の滑り管は、それに対して真ん中に配置されているので、この滑り管の長手方向軸線は、対称面8に位置している。第1のユニット部分2の基体7には、滑り管に沿って滑動する滑りブシュが配置されている。第2のユニット部分5の基体7には、滑り管は不動にクランプされている。
【0021】
ユニットガイド4の下側では、各々のユニット部分2,5が、空間9の両側に各々のクランプボディ10を含んでいる。各々のクランプボディ10には、3つのインナシリンダが相並んで配置されており、これらのインナシリンダ内で、ピストンロッドを備えたピストンがガイドされている。このようにして、各々のクランプボディ10は、液圧的に連結された3つのクランプシリンダ11を備えており、これらのクランプシリンダ11のピストンロッドは、端部側で1つの共通のクランプジョー12に結合されている。各々のクランプボディ10の外面において、クランプシリンダ11はシリンダカバー13を用いて閉鎖されている。
【0022】
クランプボディ10同士の間の空間9内に、互いに溶接すべきレール14が収容され、そこで不動にクランプされる。具体的には、運転中に、クランプシリンダ11に液圧が加えられ、これによって、クランプジョー12が、互いに溶接すべきレール14に押し付けられる。
【0023】
スライドシリンダ3は、両側でユニット部分2,5の側方の外面にフランジ結合されている。各々のスライドシリンダ3のシリンダボディ15は、一方のユニット部分2に結合されていて、ピストンロッド16は、他方のユニット部分5に結合されている。好ましくは、スライドシリンダ3のための結合箇所17は、各々のクランプボディ10の2つのクランプシリンダ11の間の領域に配置されている。このようにして、スライドシリンダ3の長手方向軸線とクランプシリンダ11の長手方向軸線とは、ほぼ共通の平面18に配置されている。目的は、鉛直方向で互いに離隔された力軸線による曲げモーメントの回避である。
【0024】
異なる長さのスライドシリンダ3の使用のためには、各々のクランプボディ10が3つのクランプシリンダ11の間に2つの結合箇所17を有していると好適である。このように構成されていると、より大きな摺動力を加えるために、互いに最も離れて位置する結合箇所17に、複数の圧力室を有するより長いスライドシリンダ3をフランジ結合可能である。
【0025】
スライドシリンダアセンブリとガイドシステムとを構造的に分離することによって、溶接工程時に、引張り力がガイドシステムに導入されなくなる。ガイドシステムへは単に溶接ユニットおよび溶接すべきレール14の重力ならびに鉛直方向におけるレール応力しか作用しない。
【0026】
両ユニット部分2,5の間には、溶接隆起部を除去するための剪断装置が設けられている。両ユニット部分2,5の各々の外側の端面には、レールを持ち上げるための扛上装置が固定されている。
【0027】
溶接工程の準備のために、両レール14は、扛上装置によって、その下側に位置しているまくらぎから持ち上げられ、当接要素に押圧される。次いで、クランプシリンダ11に液圧が供給され、これによって、クランプジョーを高いクランプ力(例えば1600kN)で各々のレール14のレールウェブに押し付けることができる。クランプジョー12は、溶接ユニット1の二次電流回路に接続されていて、レール14に電流を供給する。その代わりに、別体の電極をレール14に押し付けることも可能である。
【0028】
溶接工程を開始するために、ユニット部分2,5は、スライド駆動装置3に引張り力を加えることによって、把持されたレール14と一緒に、互いに接近移動させられる。このとき、いわゆる最終溶接時には、1500kNに至るまでの力が得られる。両レール端部の、溶接のために必要な間隔が得られるや否や、電流供給が開始される。
【0029】
周囲温度が中性温度を上回っている場合には、最終溶接時に、溶接間隙を形成するために、両スライド駆動装置3への相応の液圧供給によって、レール14をまず互いに離反移動させることも可能である。
図1
図2
図3
図4