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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】システム及びエアロゾル送達の方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/65 20200101AFI20241105BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20241105BHJP
【FI】
A24F40/65
A24F40/50
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022522947
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 GB2020052250
(87)【国際公開番号】W WO2021074582
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】1914952.5
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニ-, パトリック
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/098371(WO,A1)
【文献】特表2018-536388(JP,A)
【文献】特表2018-538711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/65
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスと通信するように構成されたコンピューティングデバイスであって、
予め定められた変数に応じた前記エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示す、
i.前記使用者に蒸気を送達するための前記エアロゾル供給デバイスの動作とは関係しない前記エアロゾル供給デバイスの動作に関係するデータ、
ii.使用者によって開始される活動に関係するデータ、及び
iii.前記エアロゾル供給デバイスの場所に関係するデータ、
からなるリストから選択された1つのデータを含むデータセットの少なくとも一部を取得することと、
前記示すデータの少なくとも一部及び前記予め定められた変数の現在値に基づいて、前記使用者のエアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの調整を計算することと、
前記1つ又は複数の動作パラメータの前記計算された調整を、前記使用者の前記エアロゾル供給デバイスへ提供することと、を行うように構成されたコンピューティングデバイス。
【請求項2】
複数のデータセットの少なくとも一部を取得することであり、少なくとも1つのデータセットが、それぞれの予め定められた変数に応じた前記エアロゾル供給デバイスの前記使用者の前記示すデータを含み、
前記複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び少なくとも1つのそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、前記調整を計算することと、を行うように構成された、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
複数のデータセットが、それぞれの予め定められた変数に応じた前記使用者の前記示すデータを含み、
前記調整が、前記複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び前記2つ以上の対応するそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて計算される、請求項2に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
それぞれの予め定められた変数が、
i.天気、
ii.使用者の声の強勢、
iii.電話の使用、及び
iv.キーワード検出
からなるリストから選択された1つ又は複数である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
追加のそれぞれの予め定められた変数が、
i.時間、及び
ii.場所
からなるリストから選択された1つ又は複数である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスと、
使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムと
を備えるシステム。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスが、前記エアロゾル供給システム内に配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスが、
i.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な遠隔サーバ、
ii.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイス、及び
iii.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイスと通信するように動作可能な遠隔サーバ、からなるリストから選択された1つ又は複数の中に配置され、
前記エアロゾル供給システムが、前記計算された調整を前記コンピューティングデバイスから受け取るように動作可能な受信器を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記エアロゾル供給システムが、前記受け取った計算された調整に応答して、前記1つ又は複数の動作パラメータを修正するように動作可能である、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記修正が、他のデータに応答して、前記エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータの別個の修正に追加される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
i.気圧計、
ii.局地的な天気データソースへのネットワークリンク、
iii.通常の使用で使用者に面しているカメラ、
iv.通常の使用で使用者に近接しているマイクロフォン、
v.キーワード検出アプリケーション、
vi.フィットネストラッキングウェアラブル機器、
vii.グローバルポジショニングシステム受信器、及び
viii.クロック
からなるリストから選択された1つ又は複数をさらに備える、請求項6~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
エアロゾル供給方法であって、
予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示す、
i.前記使用者に蒸気を送達するための前記エアロゾル供給デバイスの動作とは関係しない前記エアロゾル供給デバイスの動作に関係するデータ、
ii.使用者によって開始される活動に関係するデータ、及び
iii.前記エアロゾル供給デバイスの場所に関係するデータ、
からなるリストから選択された1つのデータを含むデータセットの少なくとも一部を取得するステップと、
前記示すデータの少なくとも一部及び前記予め定められた変数の現在値に基づいて、前記使用者の前記エアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの調整を計算するステップと、
前記1つ又は複数の動作パラメータの前記計算された調整を、前記使用者の前記エアロゾル供給デバイスへ提供するステップとを含む方法。
【請求項13】
前記取得するステップが、複数のデータセットの少なくとも一部を取得することを含み、少なくとも1つのデータセットが、それぞれの予め定められた変数に応じた前記エアロゾル供給デバイスの前記使用者の前記示すデータを含み、
前記計算するステップが、前記複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び少なくとも1つのそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、前記調整を計算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数のデータセットが、それぞれの予め定められた変数に応じた前記使用者の前記示すデータを含み、
前記計算するステップが、前記複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び前記2つ以上の対応するそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、前記調整を計算することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
それぞれの予め定められた変数が、
i.天気、
ii.使用者の声の強勢、
iii.電話の使用、
iv.キーワード検出
からなるリストから選択された1つ又は複数である、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
追加のそれぞれの予め定められた変数が、
i.時間、及び
ii.場所
からなるリストから選択された1つ又は複数である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法のステップが、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムを含むシステムの一部であるコンピューティングデバイスで実施される、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記コンピューティングデバイスが、前記エアロゾル供給システム内に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法のそれぞれのステップが、
i.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な遠隔サーバ、
ii.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイス、及び
iii.前記エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイスと通信するように動作可能な遠隔サーバ、からなるリストから選択された1つ又は複数に配置されたそれぞれのコンピューティングデバイスで実施され、
前記エアロゾル供給システムが、前記計算された調整を前記コンピューティングデバイスから受け取るように動作可能な受信器を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記エアロゾル供給システムが、前記受け取った計算された調整に応答して、前記1つ又は複数の動作パラメータを修正するように動作可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記修正が、他のデータに応答して、前記エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータの別個の修正に追加される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つ又は複数の予め定められた変数の現在値が、
i.気圧計、
ii.局地的な天気データソースへのネットワークリンク、
iii.通常の使用で使用者に面しているカメラ、
iv.通常の使用で使用者に近接しているマイクロフォン、
v.キーワード検出アプリケーション、
vi.フィットネストラッキングウェアラブル機器、
vii.グローバルポジショニングシステム受信器、及び
viii.クロックからなるリストから選択された1つ又は複数を使用して取得されてもよい、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[開示の背景]
[分野]
本開示は、エアロゾル供給システム及び方法に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
本明細書に提供する「背景」の説明は、本開示の文脈について概略的に提示することを目的とする。この背景の節に記載する範囲で本明細書に名前を挙げる発明者らの仕事、並びにその他の点では出願の時点で従来技術であると考えられない説明の態様は、明示又は暗示を問わず本開示において従来技術であると認められるものではない。
【0003】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、ニコチンを典型的に含む配合剤を含有する原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、たとえば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、たとえばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。植物物質、又は有効成分及び/若しくは香味剤などのゲルなどの他の供給源材料も同様に加熱して、エアロゾルを生じさせることができる。したがって、より一般的には、eシガレットは、加熱気化のためのペイロードを含む又は受け入れるものと考えることができる。
【0004】
使用者がデバイスを吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにあるエアロゾル供給源(ペイロードの一部分)を気化し、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。そのようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ又は複数の空気入口孔を備える。使用者がシステムの吸い口端部に接続された吸い口を吸うと、空気は入口孔を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0005】
通常、使用者がデバイスを吸い込む/吸入すると、ヒーターに電流が供給される。典型的に、使用者が吸引する/吸い込む/パフすると、流路に沿った空気流センサが起動することに応答して、又は使用者によるボタンの起動に応答して、電流がヒーター、たとえば抵抗加熱要素へ供給される。加熱要素によって生成された熱は、配合剤を気化するために使用される。放出された蒸気は、吸入した消費者によってデバイスに吸い込まれた空気と混合し、エアロゾルを形成する。これに代えて、又はこれに加えて、加熱要素は、タバコなどの植物を典型的には燃焼させずに加熱して、その有効成分を蒸気/エアロゾルとして放出するために使用される。
【0006】
使用者によって吸引される気化/エアロゾル化されるペイロードの量は、少なくとも部分的に、ある期間において、使用者がどれだけ長く及びどれだけ深く吸引するか、並びに同様に使用者がどれだけ頻繁に吸引するかに依存する。これらの使用者挙動は、使用者の気分に影響されることがある。
【0007】
本開示の実施形態は、気分によって消費が影響されうる使用者へのペイロードの送達を改善することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、コンピューティングデバイスが、請求項1によって提供される。
【0009】
別の態様では、エアロゾル供給方法が、請求項12によって提供される。
【0010】
本発明のさらなるそれぞれの態様及び特徴が、添付の特許請求の範囲に定義される。
【0011】
本開示の上記の一般的な概要及び以下の詳細な説明はどちらも、本開示の例示であり、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電子エアロゾル/蒸気供給システム(EVPS)を示す図である。
図2】EVPSのさらなる詳細を示す図である。
図3】EVPSのさらなる詳細を示す図である。
図4】EVPSのさらなる詳細を示す図である。
図5】EVPS及び遠隔デバイスを備えるシステムを示す図である。
図6】エアロゾル供給方法の流れ図である。
【実施形態の説明】
【0013】
電子エアロゾル供給システム及び方法が開示される。以下の説明では、本開示の実施形態の徹底的な理解を提供するために、複数の特有の詳細を提示する。しかし、本開示の実施形態を実施するためにこれらの特有の詳細を用いる必要がないことは、当業者には明らかである。逆に言えば、当業者に知られている特有の詳細は、説明を明確にする目的で必要に応じて省略される。
【0014】
上述したように、本開示は、エアロゾル供給システム(たとえば、非燃焼式エアロゾル供給システム)又はeシガレットなどの電子蒸気供給システム(EVPS)に関する。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語が使用されることがあるが、この用語は、(電子)エアロゾル/蒸気供給システムと交換可能に使用することができる。同様に、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語も本明細書では同等に参照される。
【0015】
一般に、電子蒸気/エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られている電子タバコとすることができるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、これらの材料のうちの1つ又は複数を加熱することができる。エアロゾル化可能材料の各々は、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても又は含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料と、固体のエアロゾル化可能材料とを含む。固体のエアロゾル化可能材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。一方、いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、1つ又は複数のそのようなエアロゾル化可能材料から蒸気/エアロゾルを生成する。
【0016】
典型的に、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給システムとともに使用するための物品とを備えることができる。しかし、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを供給するための手段を備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、パワー源及びコントローラを備えることができる。パワー源は、電源であっても又は発熱パワー源であってもよい。一実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近くのエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態のパワーを分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱パワー源などのパワー源は、非燃焼式エアロゾル供給部を形成するように物品に設けられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発成分を放出してエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば振動手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ又は複数によって、熱を加えることなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択で、タバコ又はタバコ派生物に含まれる)又は1つ若しくは複数の他の非嗅覚的な生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚的な生理活性材料は、嗅覚以外の生理学的応答を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。1つ又は複数の機能材料は、香料、キャリア、pH調整剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含んでもよい。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル生成領域から離れていても、又はエアロゾル生成領域と組み合わされていてもよい。
【0020】
次に図面を参照されたい。いくつかの図全体を通して、同じ参照番号が同一の部分又は対応する部分を指す。
【0021】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるeシガレット10などの電子蒸気/エアロゾル供給システムの概略図である(原寸に比例しない)。eシガレットは、破線LAによって示す長手方向軸線に沿って延びる略円筒形の形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち本体20及びカトマイザ30を備える。カトマイザは、たとえばニコチンを含む液体などのペイロードのリザーバと、気化器(ヒーターなど)と、吸い口35とを含む内部チャンバを含む。以下で述べる「ニコチン」は、単なる例示であり、任意の好適な有効成分に置き換えることができることを理解されたい。ペイロードとして述べる「液体」は、単なる例示であり、植物物質(たとえば、燃焼ではなく加熱されるタバコ)、又は有効成分及び/若しくは香味剤を含むゲルなどの任意の好適なペイロードに置き換えることができることを理解されたい。リザーバは、気化器へ送達することが必要とされるときまで液体を保持するための発泡体又は任意の他の構造とすることができる。液体/流動性ペイロードの場合、気化器は、その液体を気化するためのものであり、カトマイザ30は、少量の液体をリザーバから気化器の気化位置、又は気化器に隣り合う気化位置へ移送するためのウィック又は類似の手段をさらに含むことができる。以下では、ヒーターが気化器の具体例として使用されている。しかし、気化器の他の形態(たとえば、超音波を利用するもの)も使用することができることを理解されたい。使用される気化器のタイプはまた、気化されるペイロードのタイプに依存しうることも理解されたい。
【0022】
本体20は、eシガレット10に電力を供給するための再充電可能な電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とを含む。回路基板によって制御されるように、ヒーターがバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化し、次いでこの蒸気は吸い口35を通って使用者によって吸引される。いくつかの特有の実施形態では、本体は、本体の外側に配置された手動起動デバイス265、たとえばボタン、スイッチ、又はタッチセンサをさらに備える。
【0023】
本体20及びカトマイザ30は、図1に示すように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって、互いから取外し可能とすることができるが、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供するために、図1に25A及び25Bとして概略的に示す接続部によって、デバイス10が使用されるときにともに接合される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20の電気コネクタ25Bはまた、本体20がカトマイザ30から取り外されたときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても働く。充電デバイスの他方の端部をUSBソケットに差し込んで、eシガレット10の本体20内の電池を再充電することができる。他の実施態様では、本体20の電気コネクタ25BとUSBソケットとの間の直接接続のためにケーブルが提供されてもよい。
【0024】
eシガレット10には、空気入口用の1つ又は複数の孔(図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は、eシガレット10を通って吸い口35に至る空気通路に接続する。使用者が吸い口35を吸引すると、空気は、eシガレットの外側に好適に配置された1つ又は複数の空気入口孔を通ってこの空気通路に引き込まれる。ヒーターを起動させてカートリッジからニコチンを気化させると、空気流は生成された蒸気を通ってその蒸気と結合し、次いで空気流と生成された蒸気とが組み合わさって、吸い口35から流出して、使用者によって吸引される。1回限りの使用のデバイスを除いて、カトマイザ30は、液体の供給源が使い尽くされたとき、本体20から取り外されて処分されてもよい(所望される場合は別のカトマイザと交換される)。
【0025】
図1に示すeシガレット10は、例として提示されており、様々な他の実施態様を採用することができることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は、2つの分離可能な構成要素として、すなわち液体リザーバ及び吸い口を備えるカートリッジ(リザーバからの液体が使い尽くされたときは交換することができる)、及びヒーターを備える気化器(一般的に保持される)として提供される。別の例として、充電手段は、車のシガーライタなどの追加又は代替の電源に接続してもよい。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による図1のeシガレット10の本体20の概略図(簡略図)である。図2は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。たとえば配線及びより複雑な形状など、本体の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために図2から省略されたことに留意されたい。
【0027】
本体20は、使用者によるデバイスの起動に応答してeシガレット10に電力を供給するためのバッテリー又は電池210を含む。加えて、本体20は、eシガレット10を制御するためのコントロールユニット(図2には図示せず)、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどのチップを含む。マイクロコントローラ又はASICは、CPU又はマイクロプロセッサを含む。CPU及び他の電子構成要素の動作は、概して、CPU(又は他の構成要素)上で走るソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、マイクロコントローラ自体に組み込むことができ、又は別個の構成要素として設けることができる、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよい。CPUは、必要に応じて、及び必要とされるときに、ROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロード及び実行することができる。マイクロコントローラはまた、適当な場合、本体10内の他のデバイスと通信するための適当な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)を含む。
【0028】
本体20は、eシガレット10の遠方(遠位)端をシールして保護するためのキャップ225をさらに含む。典型的に、使用者が吸い口35を吸引すると、空気が本体20に流入することができるように、キャップ225に、又はキャップ225に隣り合って、空気入口孔が設けられる。コントロールユニット又はASICは、バッテリー210に沿って、又はバッテリー210の一端に、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ASICは、吸い口35での吸引を検出するためにセンサユニット215に取り付けられる(又はその代わりに、ASIC自体にセンサユニット215を設けてもよい)。空気入口から空気流センサ215及びヒーター(気化器又はカトマイザ30内)を通過して吸い口35に至る空気経路が、eシガレットに設けられている。したがって、使用者がeシガレットの吸い口を吸引すると、CPUは、空気流センサ215からの情報に基づいて、そのような吸引を検出する。
【0029】
キャップ225とは反対側の本体20の端部には、本体20をカトマイザ30に接合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bは、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供する。コネクタ25Bは、カトマイザ30への電気接続のための1つの端子(正又は負)として機能する金属(いくつかの実施形態では銀めっきされている)である本体コネクタ240を含む。コネクタ25Bは、第1の端子、すなわち本体コネクタ240とは反対の極性の、カトマイザ30への電気接続のための第2の端子を提供する電気接点250をさらに含む。電気接点250は、コイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザ30に取り付けられると、カトマイザ30のコネクタ25Aは、コイルばねを軸線方向、すなわち長手方向軸線LAに平行な方向(長手方向軸線LAと一致する方向)に圧縮するように、電気接点250を押す。ばね255の弾性を考慮すると、この圧縮によって、ばね255が付勢されて伸びようとし、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aに対してしっかりと押し付ける効果があり、以て本体20とカトマイザ30との間の良好な電気接続を確実にするのに役立つ。本体コネクタ240及び電気接点250は、架台260によって分離されており、架台260は、2つの電気端子間の良好な絶縁を提供するために、非導電体(プラスチックなど)から作られている。架台260は、コネクタ25A及び25Bの相互の機械的係合を支援するような形状である。
【0030】
上述したように、手動起動デバイス265の形態を表すボタン265は、本体20の外側ハウジングに配置することができる。ボタン265は、使用者によって手動で起動されるように動作可能な任意の適当な機構を使用して、たとえば機械式ボタン又はスイッチ、静電容量型又は抵抗型のタッチセンサなどとして実施することができる。また、手動起動デバイス265は、本体20の外側ハウジングではなく、カトマイザ30の外側ハウジングに配置されてもよく、その場合、手動起動デバイス265は、接続部25A、25BによってASICに取り付けられてもよいことが理解されよう。ボタン265はまた、キャップ225の代わりに(又はキャップ225に加えて)、本体20の端部に配置されてもよい。
【0031】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。図3は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。配線及びより複雑な形状など、カトマイザ30の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために図3から省略されたことに留意されたい。
【0032】
カトマイザ30は、カトマイザ30の中心軸線(長手方向軸線)に沿って、吸い口35から、カトマイザ30を本体20に接合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355を含む。液体のリザーバ360が、空気通路335の周りに設けられている。このリザーバ360は、たとえば液体に浸漬された綿又は発泡体を提供することによって実施することができる。カトマイザ30はまた、使用者がeシガレット10を吸引したことに応答して、蒸気を生成して空気通路355に流し、吸い口35から流出させるように、リザーバ360からの液体を加熱するためのヒーター365を含む。ヒーター365は、電線366及び367を通して電力が供給され、電線366及び367は、コネクタ25Aを介して本体20のバッテリー210の反対の極性(正極及び負極、又はその逆)に接続される(電力線366及び367とコネクタ25Aとの間の配線の詳細は、図3から省略されている)。
【0033】
コネクタ25Aは内部電極375を含み、内部電極375は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、内部電極375は本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第1の電気経路を提供する。特に、コネクタ25A及び25Bが係合されると、内部電極375は、コイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、以て内部電極375と電気接点250との間の良好な電気接触を確実にするのに役立つ。
【0034】
内部電極375は絶縁リング372に取り囲まれており、絶縁リング372は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は任意の他の好適な材料から作ることができる。絶縁リングは、カトマイザコネクタ370によって取り囲まれており、カトマイザコネクタ370は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、カトマイザコネクタ370は本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第2の電気経路を提供する。言い換えれば、内部電極375及びカトマイザコネクタ370は、適当な場合、本体20内のバッテリー210から供給線366及び367を介してカトマイザ30内のヒーター365へ電力を供給するための正端子及び負端子(又はその逆)として機能する。
【0035】
カトマイザコネクタ370には、eシガレット10の長手方向軸線から離れて反対の方向に延びる2つの突起又はタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に接続するために、本体コネクタ240とともにバヨネット式の取付具を提供するために使用される。このバヨネット式の取付具は、カトマイザ30と本体20との間に確実で堅牢な接続を提供し、その結果、カトマイザ及び本体は互いに対して固定位置に保持され、ぐらつき又はたわみが最小限に抑えられ、偶発的な分離の可能性が非常に小さい。同時に、バヨネット式の取付具は、挿入してから回転させて接続すること、及び回転(逆方向)させてから引っ張って分離することによって、簡単で迅速な接続及び切断を提供する。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじ接続など、本体20とカトマイザ30との間で異なる形態の接続を使用することができることが理解されよう。
【0036】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による本体20の端部にあるコネクタ25Bの特定の詳細の概略図である(ただし、説明を明確にするため、架台260など、図2に示すコネクタの内部構造の大部分は省略する)。特に、図4は、概ね円筒チューブの形態を有する本体20の外部ハウジング201を示す。この外部ハウジング201は、たとえば、紙などで外側が覆われた金属の内側チューブを備えてもよい。外部ハウジング201はまた、手動起動デバイス265が使用者にとって容易にアクセス可能となるように、手動起動デバイス265(図4には図示せず)を備えてもよい。
【0037】
本体コネクタ240は、本体20のこの外部ハウジング201から延びる。図4に示す本体コネクタ240は、2つの主要な部分、本体20の外部ハウジング201にちょうど嵌るようなサイズの中空の円筒チューブの形状のシャフト部分241、及びeシガレットの主長手方向軸線(LA)から離れる方向に、半径方向に外向きに向けられたリップ部分242を備える。シャフト部分が外部ハウジング201と重複しないところで、カラー又はスリーブ290が、本体コネクタ240のシャフト部分241を取り囲んでおり、カラー290もまた円筒チューブの形状である。カラー290は、本体コネクタ240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201との間に保持され、これらはともに、カラー290の軸線方向(すなわち、軸線LAに平行な方向)の移動を防止する。しかし、カラー290は、シャフト部分241(したがって、軸線LAでもある)の周りを自由に回転することができる。
【0038】
上述したように、キャップ225には、使用者が吸い口35を吸引すると空気が流れることができるように、空気入口孔が設けられている。しかし、いくつかの実施形態では、使用者が吸引するとデバイスに入る空気の大部分は、図4に2つの矢印によって示すように、カラー290及び本体コネクタ240を通って流れる。
【0039】
図5を次に参照すると、本開示の一実施形態では、より応答性の高い電子蒸気供給システム(EVPS)を提供するシステムが、EVPS/eシガレット10、及びたとえばブルートゥース(登録商標)を介してeシガレットと通信する(たとえば、eシガレットからのデータを少なくとも受け取るため)ように動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100など、2つの構成要素を備えることができる。この場合、電話は、本明細書に後述するように、応答性を生成するためのより広いデータ収集及び処理能力を提供する。
【0040】
しかし、2つのそのような構成要素が使用される可能性が高いが、好適な通信及び/又はユーザインターフェース能力を有するEVPS/eシガレットが、そのようなシステム自体を実施することができることも想定されることが理解されよう。
【0041】
いずれにしても、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された、エアロゾル供給システムとともに使用するためのコンピューティングデバイスが提供される(たとえば、移動電話若しくはサーバなどの遠隔デバイス、又はEVPS自体の中の好適な構成要素による)。
【0042】
本開示の一実施形態では、コンピューティングデバイスは、使用者の推定される気分に応答して、エアロゾル供給システム(電子蒸気供給システム(EVPS))の1つ又は複数の動作パラメータへの調整を提供するように構成される。このようにして、使用者は、たとえば使用者がストレスを受けているときはより多くの有効成分、並びに/又は使用者がリラックスしているときはより少ない有効成分及び/若しくはより多くの香味剤を送達させることによって、EVPSからさらなる有用性を取得することができる。他の例は、本明細書で後に論じる。
【0043】
それに応じて、本開示の一実施形態では、エアロゾル供給デバイスと通信するように構成されたコンピューティングデバイスが、
i.データセットを取得することであり、データセットが、予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示すデータを含む、取得することと、
ii.取得されたデータの少なくとも一部及び予め定められた変数の現在値に基づいて、使用者のエアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの調整を計算することと、
iii.1つ又は複数の動作パラメータの計算された調整を、使用者のエアロゾル供給デバイスへ提供することとを行うように構成される。
【0044】
任意選択で、コンピューティングデバイスは、1つだけでなく複数のデータセットを取得することであり、少なくとも1つのデータセットが、それぞれの予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示すデータを含む、取得することと、複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び少なくとも1つのそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、調整を計算することとを行うように構成されてもよい。
【0045】
使用者の気分を示すデータセットは、使用者の気分を直接示しても(たとえば、使用者の表情に基づく)、又は使用者の気分に影響する可能性が高い外的状況(たとえば、局地的な天気など)に関係してもよい。したがって、各データセット内の予め定められた変数は、使用者の表情に関係しても又は天気に関係してもよい。
【0046】
特に、このデータセットは、吸引挙動(たとえば、タイミング、頻度、吸引の深さなど)、又はこれに関連するデバイスの修正(たとえば、温度設定又はデバイスの設定の変更による)の点で、EVPSの使用者による使用に関係しないが、当然ながらこれらは、別個に又は本明細書に記載するシステムとともに動作しうる別個の追跡及び調整システムの対象となる可能性があり、ただしこれは本出願の範囲外である。
【0047】
より一般的に、使用者の気分を示すデータセットは、
i.使用者の現在の身体的状態に関係するデータ、
ii.使用者に起因する状況に関係するデータ、及び
iii.外的状況に関係するデータという4つのカテゴリのうちの1つに分けることができる。
【0048】
第1のカテゴリは、使用者の生理学的な態様に関係するデータを含んでもよいが、第2及び第3のカテゴリは、そのようなデータを含まない。典型的に、そのようなデータセットの使用は、使用者のインフォームドコンセントを必要とし、又はそこから利益を得る。なぜなら一部には、使用者が、特定の状況が自身のEVPSに対する経験の改善に寄与しうることを知っている場合、使用者は、そのような状況に関する情報をコンピューティングデバイスへより進んで提供しようとする可能性が高いからである。
【0049】
i.使用者の現在の身体的状態に関係するデータ
このカテゴリのデータの第1の例は、使用者の挙動データを含み、たとえば使用者は、EVPSを単にいじったり若しくはもてあそんだりすることがあり、又はEVPSをバッグではなく手の中に保持することがあり、これらの活動は、使用者への蒸気の送達に関係するのではなく、使用者の習慣又は挙動を示すことが理解されよう。したがってこれらは、使用者へ蒸気を送達するために使用するという意味で、エアロゾル供給システムの使用に関係しない。
【0050】
しかし、それにもかかわらず、EVPSを単に保持しているのではなく、バッグからEVPSを取り出すこと、又はEVPSをもてあそび始めることと、吸引の点からEVPSを後に使用することとの間には、明白な相関関係が存在しうることが理解されよう。たとえば、EVPSがバッグに入っていた場合、これはEVPSがしばらく使用されていないことを示すことができ、したがってEVPSをバッグから取り出すことは、退屈さ、及び短期的に通常より比較的頻繁にデバイスを使用したいという要求に相関しうる。一方、EVPSを単に保持しているのではなくもてあそぶことは、興奮状態に相関することがあり、平均以上の吸引の速度又は深さを示しうる。
【0051】
このカテゴリのデータの他の例は、使用者の表情、声のトーン/声の強勢又は語彙/キーワード検出(たとえば、場合により通話中などの他の使用中に、移動電話又はデジタルアシスタントによって捕捉される)などの他の要因を含み、これらの各要因もまた、個々に又は組合せで、異なる気分に相関しうる。
【0052】
同様に、移動電話をもてあそぶこと、又は閾値期間にわたってワークステーション用のキーボード若しくはマウスと相互作用しないことなど、コンピューティングデバイス自体又は場合によりコンピューティングデバイスと通信する他のデバイスを含む他のデバイスに関して、気分を示す他の相互作用が考慮されてもよい。
【0053】
このデータの他の例は、睡眠周期に関する情報など、使用者によって装着されたフィットネストラッカーから取得されうる生理学的データを含み、たとえば前夜の睡眠のタイミング、持続時間、及び/又は品質は、特定の気分、又は後ろ向きの気分へのバイアスを示しうる。同様に、使用者の最近及び/又は現在の心拍数、並びに歩数、衝撃(加速度計)測定、又は他の激しい活動の指標が捕捉されてもよい。
【0054】
これらのデータタイプのうちのいずれか1つ又は複数は、さらなるデータセット内に提供されてもよい。さらに、たとえばEVPS自体からの運動追跡、移動電話からの使用者の表情/発話、及びフィットネス用のウェアラブル機器からの睡眠データ/心拍数などの異なるソースに対応する複数のデータセットが提供されてもよい。これらは、別個のデータセットとして処理されても、又はコンピューティングデバイスによって1つのデータセットに統合されてもよい。
【0055】
ii.使用者に起因する状況に関係するデータ
このデータの例は、食事、通勤、仕事、運動など、使用者によって開始される活動を含む。仕事又は運動などの活動は、登録された職場又はジムに対する使用者の場所に基づいて検出することができる。通勤は、使用者の動き、及び任意選択で使用者の位置(たとえば、道路と鉄道の移動を区別する)に基づいて検出することができる。この情報は、移動電話からのGPSデータ、及び任意選択で追加のデータの組合せから判定することができ、そのようなデータは、道路及び鉄道の場所の場合は公的に利用可能であり、又はたとえば自身のEVPSの管理に関連付けられたオンラインアカウントの一部として使用者によって登録された個人情報の場合は私的に利用可能である。
【0056】
同様に、使用者の電話上のカレンダを参照して、社会的関与及び他の関与が判定されてもよい。
【0057】
この場合も、使用者の気分と、運動、通勤、又はパーティへの出席などの使用者に起因する状況に関係するデータとの間には、相関関係が存在しうることが理解されよう。
【0058】
iii.外的状況に関係するデータ
このデータの例は、使用者自身によって直接的(又は故意)に発生/用意されたものではない使用者の気分又は活動に対するより広い環境的な影響を含む。環境的条件の一例として、使用者への起こりうる影響は、現在及び/又は近い将来の局地的な天気である。他の要因には、たとえば、使用者によって消費される媒体におけるスポーツの結果又はニュースのヘッドライン(たとえば、ソーシャルメディアポータルで使用者によって観察されたニュースフィードに基づく)が含まれうる。使用者の気分及び挙動に影響しうる他の要因には、使用者の現在の銀行預金残高及び/又は支出レベル、友人又は家族から使用者にどれだけ最近に電話がかかってきたか、使用者の交際状況などが含まれる。
【0059】
そのような外部データは、移動電話によって照合されてもよく、たとえば天気データは、任意の好適なオンラインソース及び/又は電話上の任意の好適な天気サービスアプリから取得されてもよい。同様に、スポーツ及びニュース並びに他のソーシャルメディアの影響は、任意の好適なオンラインソース及び/又は電話上の任意の好適なソーシャルメディアアプリから取得されてもよい。同様に、銀行データ又は一般的な流動性評価は、好適なアプリからの使用者の許可によって取得されてもよく、又はユーザインターフェースを介して、たとえば週ごとに、使用者によって提供されてもよい。交際状況は、ソーシャルメディアを介して取得されてもよく、電話のログ、SMSメッセージなどが、使用者の許可によって、対人関係の状況に関して分析されてもよい。
【0060】
この場合も、使用者の気分とそのような外的状況との間には、相関関係が存在しうることが理解されよう。たとえば、強い雨は、使用者の幸福度を著しく低減させることがあり、又は言い換えれば、使用者の気分を後ろ向きにバイアスすることがあり、太陽の光は、使用者の幸福度を著しく増大させ、又は使用者の気分を前向きにバイアスすることがある。一方、たとえばニュースフィードにおける嫌なニュースは、ストレスをわずかに増大させることがある。
【0061】
これらの分類にまたがる若しくは別の広いカテゴリを表す他のデータソースが存在することもあり、又はすべてこれらのカテゴリの範囲外であると考えられることもある。
【0062】
たとえば、使用者に起因する状況は、病院に行くこと、又は予定/習慣の時間にジムに行かないことを含みうる。これらは、使用者の具合が悪いことを示唆することがあり、したがってこれらもまた、使用者の生理学的状態の間接的な指標であり、潜在的に後ろ向きの気分のバイアスを表す。
【0063】
一方、時刻又は曜日は、任意選択で、好適なデータセットであると考慮されない。明らかに、時刻又は曜日は、使用者の気分との相関関係を有しうるが、現在の時刻又は曜日自体は、独自にデータセットとしての考慮から除外されてもよい。それにもかかわらず、時刻又は曜日は、使用者の習慣的な使用パターンを確立するための別個の機構の一部として、本発明と並行して使用されてもよく、たとえば、EVPSの動作への全体的な調整を判定するために、これらの技法及び潜在的に他の技法からの使用推定の寄与に重み付けをすることによって、これらの別個の手法が組み合わされてもよい。
【0064】
同様に、場所もまた任意選択で、好適なデータセットであると考慮されないことがある。この場合も、明らかに場所は、使用者の気分との相関関係を有しうるが(それ自体、本明細書では病院に行くことの例である)、場所自体は、独自にデータセットとしての考慮から除外されてもよい。それにもかかわらず、場所は、使用者の習慣的な使用パターンを確立するための別個の機構の一部として、本発明と並行して使用されてもよく(たとえば、使用者が、ベイピングが許可されていない場所で働く場合)、たとえば、EVPSの動作への全体的な調整を判定するために、これらの技法及び潜在的に他の技法からの使用推定の寄与に重み付けすることによって、これらの別個の手法が組み合わされてもよい。
【0065】
前述したように、さらに、これらの広いカテゴリのうちのいずれか1つ又は複数で、複数のデータセットが提供されてもよい。
【0066】
一部のデータ(たとえば、職場など、使用者の生理機能、好み、又は活動に関係する)は、すでに利用可能でない場合、使用者によって明示的に提供される必要がありうることが理解されよう(たとえば、使用者の生理学的データは、提携されたフィットネスアプリから利用可能となりうるが、使用者の職場は、平日の仕事時間中の使用者の場所から推測される可能性がある)。したがって、任意選択で使用者には、たとえば、使用者がアカウントを開設して維持することを可能にする、EVPSに関連付けられたサービス提供者(たとえば、製造者又は信頼される第3者)によってホストされるウェブサイトと相互作用することによって、このデータをシステムに入力する手段が提供されてもよい。アカウントは、このデータを、使用者及び使用者のEVPS、したがってその使用データと関連付ける。データは、直接入力された情報、及び/又は他の情報(ソーシャルメディア、電話のカレンダ、又はフィットネスデバイスからのデータなど)にアクセスするための許可を含むことができる。いくつかのそのような許可はまた、使用者の電話にアプリをインストールするときに取得されてもよい。
【0067】
上記のカテゴリのうちのいずれかの予め定められた変数(表情、交際状況、局地的な天気予報、又は銀行口座残高に関係するかにかかわらない)に関して、関連するデータセットはまた、この変数に応じて、使用者の起こりうる気分の指示を含んでもよい。
【0068】
これは、特有の気分(たとえば、表情、又は発話若しくはタイプされた文字の中のキーワードに関連する)、又は気分値若しくはバイアス(たとえば、非常に前向きから非常に後ろ向き)の指示を含んでもよい。
【0069】
したがって、たとえば天気に関して、気分バイアス値は、温度に比例してもよく、又は寒すぎるとき若しくは暑すぎるときは低くなり、温度が快適なときは高くなるなど、異なるプロファイルを有してもよい。同様に、気分バイアス値は、雨の確率に比例してもよく、バイアスは、雨の可能性が高いときは低くなり、雨の可能性が低いときは高くなる。同様に、バイアスは、雲量、花粉、大気質の指標などであると考慮されてもよい。
【0070】
これらの気分バイアス値は、総称的(すなわち、製造者によって世界、国、又は地域レベルで提供される)であっても、又はたとえば使用者によって提供されるフィードバックに基づいて、使用者に個別であってもよい。したがってたとえば、エアロゾル供給システム又は遠隔デバイス100上のコンパニオンアプリは、幸福度スケール(たとえば、一連の5つの顔が非常に悲しい状態から非常に幸せな状態まで変わる)を提供してもよく、使用者は、自身の幸福度レベルを入力することができる。次いで、1つの変数又は予め定められた変数の現在値を、こうして示された気分と相関させることができる。任意選択で、所与の予め定められた変数値に対する気分値がすでに存在する場合、そのような入力は、平均値を修正するために使用されてもよく、そうでない場合、既存の値と組み合わされてもよいことが理解されよう。
【0071】
したがって典型的に、このデータセット又は各データセットは、関連付けられた気分カテゴリ又は気分バイアス値とともに、予め定められた変数を含む(温度若しくは雨の確率などの連続変数、又は複数の表情の索引などの分類値にかかわらない)。上述したように、連続変数は、気分バイアス値と線形又は非線形の関数関係を有してもよいが、同様に、複数の気分カテゴリと関係を有してもよく、たとえば低い温度が、退屈さと関連付けられてもよく、高い温度が、疲労と関連付けられてもよいことが理解されよう。これに代えて、又はこれに加えて、高い温度及び低い温度は、負の気分バイアス値と関連付けられてもよく、中程度の温度は、正の気分バイアス値と関連付けられる。同様に、分類タイプ変数は、対応する気分分類、又は関連付けられた正若しくは負の気分バイアス値を有してもよい。
【0072】
しかし、データセットは、使用者の気分を変数と明示的に関連付けないこともあり、変数値の等級は、たとえば「good(良)」から「bad(悪)」までランク付けするのに十分なものとすることができる。
【0073】
上述したように、所与の予め定められた変数値に対する分類及び/又は気分バイアス値は、予め定められた変数値と一致するときの気分分類又は気分値を示す使用者入力によって変更又は修正されてもよい。
【0074】
このデータセット又は各データセットを取得した後、上述したように、コンピューティングデバイスは、取得されたデータの少なくとも一部及びこの予め定められた変数又は各々の予め定められた変数の現在値に基づいて、使用者のエアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの調整を計算するように動作可能である。
【0075】
この予め定められた変数又は各々の予め定められた変数の対応する現在値が利用可能でないという理由で、所与のデータセット内の取得されたデータのすべてが、使用者の現在の気分の判定に関連するとは限らないことが理解されよう(たとえば、使用者が自身のフィットネストラッカーを装着していない場合、現在の心拍数は利用可能でないことがあり、又は電話上の使用者の天気アプリがその情報を提供していない場合、現在の花粉数は利用可能でないことがある)。
【0076】
同様に、たとえば、変数の所与の値に関して示されている使用者の気分に高い変動性が存在する場合、特定の予め定められた変数に対するデータは、無視されてもよい。
【0077】
使用者が花粉アレルギーを有していない場合、使用者が特定の予め定められた変数との強い相関関係を有した可能性のある様々な異なる気分指標を、ユーザインターフェースを介して時間とともに提供したとき、これらは、たとえば花粉数との相関関係をほとんど又はまったく有していない可能性があり、その結果、特定の花粉数範囲に対して、これらは、まったく幸せでない状態から非常に幸せな状態までの様々な幸福度値、又は大幅に変動する気分カテゴリを入力した可能性がある。気分と予め定められた変数値との間の分散が大きい(すなわち、相関関係が低い)場合、その予め定められた変数、又は任意選択でその値、若しくはその予め定められた変数の値の局所的な範囲は、使用者の気分を推定するときに使用されないことがある。
【0078】
たとえば、使用者に対するアンケート又は他の較正プロセスが、いくつかの入力カテゴリを削除するように働くこともでき、この場合、「花粉に対する反応は高程度/中程度/低程度/ゼロですか?」などの質問により、システムは、花粉数を予め定められた変数として含むか否かを判定すること、及び/又は複数の変数の寄与がともに考慮される場合、その変数の可能な寄与する影響の重みに関して何らかの助言を与えることが可能になることが理解されよう。
【0079】
いずれにしても、1つ又は複数の取得されたデータセット及び取得されたデータの少なくとも一部が、予め定められた変数を気分又は気分バイアス値に関係付けることを考慮して、この予め定められた変数又は各々の予め定められた変数の現在値を示すデータが、使用者の気分を計算するために使用されてもよい。
【0080】
したがって原則的に、使用者の現在の身体的状態に関係するデータ、現在の使用者に起因する状況、及び/又は現在の外的状況を取得することによって、対応する気分、複数の気分、又は気分に対する影響を検索及び/又は計算することができる。
【0081】
したがってたとえば、少なくとも1つのデータセット内の少なくとも1つの予め定められた変数、及び典型的に、データセットのサブセット内の予め定められた変数のサブセットに対して、予め定められた変数の現在値が(たとえば、天気予報、ニュースフィード、他のアプリ及びデータソース、又はフィットネスモニタ、移動電話のカメラなどからの直接測定を介して)取得可能である。これらの値を使用して、対応する気分又は気分バイアス値を検索することができる。個々の気分に気分値又は気分バイアス値を割り当てて、複合的な動作を可能にすることもできる。
【0082】
複数の変数が使用されている場合、その結果得られる複数の気分又は気分バイアス値は、好適な重み付けを使用して組み合わされてもよい。これらの重み付けは、使用者フィードバックに基づいて、又は使用者挙動から推測して、予め定められた変数と気分を予測する精度との間の相関関係に関係してもよい。したがってたとえば、特定の気分が予測されるが、使用者が閾値期間内に逆の気分を示す場合、その変数(特定の値又は局所的な値範囲のその変数)の寄与する待機を低減させてもよい。前述したように、任意選択で、関連するデータセットはまた、そのようなフィードバックに応答して更新することができ、情報をよりパーソナライズすることが可能である。
【0083】
全体的な結果は、単一の気分若しくは気分バイアス値、又は一連の別個の気分値若しくは気分バイアス値であってもよい。いずれの場合も、これらは、エアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの対応する調整と関連付けられてもよい。
【0084】
気分又は気分バイアス値と1つ又は複数の動作パラメータの調整との間の関連付けは、気分又は気分値をベイピング関連挙動の変化と暗示的に関連付け、次いでエアロゾル供給デバイスの1つ又は複数の動作パラメータを調整して、その新しいベイピング関連挙動に対応すること、又はその新しいベイピング関連挙動を予測することが理解されよう。したがって、この気分若しくは気分値又は各気分若しくは気分値を、エアロゾル供給デバイスの動作設定に対する直接的又は間接的なプロキシであると考えることができ、逆も同様である。
【0085】
たとえば、退屈さは、生成されたエアロゾルの香料成分を増大させることと関連付けられてもよく、ストレス又は欲求不満は、より多くの有効成分を送達するために、生成されたエアロゾルの有効成分を増大させること、又は空気の単位体積当たりより多くのエアロゾルを生成することと関連付けられてもよい(他の条件がすべて等しい場合)。
【0086】
調整は、任意の好適な形態をとってもよい。前述したように、EVPSによって作り出される蒸気/エアロゾル、したがって有効成分の量は、典型的に、ペイロードを気化させるために使用されるヒーターの温度に応じている。したがって、第1の例として、使用の増大が示された場合、温度を上昇させること及び/又はヒーターのデューティーサイクルを変更することによって、ヒーターの有効温度が増大されてもよい。同様に、使用の減少が示された場合、温度を低減させること及び/又はヒーターのデューティーサイクルを変更することによって、ヒーターの有効温度が減少されてもよい。いずれの場合も、デバイスによる有効成分の送達は、現在検出された状況を前に、使用者の使用履歴パターンに基づいて、推測される使用者の要望とより調和したものとなる。
【0087】
同様に、ヒーター/アトマイザーへのペイロードの送達速度が、類似の目的で調整可能であってもよい。これは、ウィックの抑制を低減させること、バルブを調整することなどに基づいて行われてもよい。
【0088】
他の方法を想定することもでき、たとえばペイロードが、マルチパートヒーターに隣り合う表面積を占めるゲルである場合、ヒーターのより多くの部分を起動すること、及び/又はヒーターの1つ若しくは複数の部分の温度/デューティーサイクルを変更することによって、より多くのゲルを気化させることができる。
【0089】
同様に、より頻繁な使用が示されている場合、任意選択で吸引後、ヒーターの温度は、気化温度を下回るレベルまで低減されてもよいが、完全にはオフにされず、したがってデバイスは、急速吸引期間中により応答性が高くなる。そのような選択肢は、それを下回るとこの手法が使用されなくなる閾値頻度の対象となってもよい。
【0090】
この場合も同様に、短く鋭い吸引の可能性が高いと示されている場合(たとえば、ストレスの多い状況)、蒸気送達プロファイルは、予め定められた期間にわたって通常動作温度を上回るようにヒーターの温度を上昇させることによって、起動後に可能な限り迅速に蒸気を送達することを試みてもよい。この予め定められた期間は、吸引プロファイルなどに基づくこと、及び/又は吸引中の検出されたピーク空気流に応答することができる。
【0091】
逆に言えば、ゆっくりとした深い吸引の可能性が高いと示されている場合、蒸気送達プロファイルは、より均一であってもよい。システムがペイロードの性質を認識している場合、たとえばこの例で、ペイロードが強く加香されている場合、デバイスは、自覚的な香りを増大させるために、吸引の終わりに向けて蒸気の増加を提供してもよい。
【0092】
蒸気生成プロセスの動作パラメータへの直接的な調整に加えて、蒸気生成プロセスがすでに他の制御を受けている場合、間接的な調整を加えることができる。したがってたとえば、使用者がその日に対する最大使用許可量を設定している場合、以前の多用を示す状況の特徴に応答して、この最大使用許可量が増大されてもよい。
【0093】
同様に、使用者が、数週間又は数か月にわたって削減プログラムに従っている場合、以前の多用を示す状況の特徴に応答して、削減プログラムがその日は休止してもよい(たとえば、吸引ごと若しくは期間ごとの有効成分送達の削減、又は全体的な許可量の削減を実施しない)。逆に言えば、状況の特徴が履歴的に平均より軽い使用を示す場合、任意選択で、ニコチン削減プログラムを1日飛ばしてもよく、又は同等に、デフォルトの毎日の増分を超えたさらなる削減を行ってもよい。
【0094】
したがって、そのような場合、動作パラメータは、予め定められた分散で、対応する使用に調整される(すなわち、別個に課される使用方式を修正する)。
【0095】
動作パラメータは、蒸気自体の直接的又は間接的な生成に限定される必要はない。たとえば、EVPSが触覚フィードバック又は他のユーザインターフェース要素を有する場合、これらが適宜調整されてもよい。たとえば、検出された状況の特徴に応答した使用がストレスを示す場合、触覚フィードバックを低減させること、及び/又は他のインターフェース要素を修正することができ、たとえば指標灯の色を変化させること、又は音量を低下させること、又は通知音(たとえば、リザーバを変更する必要を示すために使用される音)のタイプを変化させることができる。同様に、ペイロードリザーバが低下していることを使用者に通知するための閾値は、通知がより早く行われるように増大されてもよく、これにより、使用者がストレスの多い状況中にEVPSを使用することができなくなる可能性を低減させることができる。類似の原理は、バッテリー寿命にも適用されうる。より一般的に、デバイスによって開始されるユーザインターフェースの相互作用の内容及び/又は頻度は、変更されてもよい(たとえば、状態通知又はリマインダの数を減少又は増大させるため)。
【0096】
特にユーザインターフェース又はその拡張として使用される場合、EVPS自体及び/又は任意選択で移動電話に対する他の修正形態が、当業者には明らかである。
【0097】
したがって、その後、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の動作パラメータの計算された調整を使用者のエアロゾル供給デバイスに提供するように構成される。
【0098】
この提供は、少なくともコンピューティングデバイスの計算機能がエアロゾル供給デバイス内に位置する場合、エアロゾル供給デバイスを直接制御するという形態をとってもよく、或いはその代わりに、エアロゾル供給デバイスのローカルプロセッサによる実施のためのコマンドとして、又はエアロゾル供給デバイスによって使用される一連の1つ若しくは複数のパラメータ設定として、コンピューティングデバイス(たとえば、移動電話又は遠隔サーバ内に配置される)からエアロゾル供給デバイスへ調整を伝送するという形態をとってもよい。
【0099】
前述したように、上記の説明は、それ自体はベイピングの行為に関係しないがこれらを使用者の気分に関係付ける予め定められた変数の使用について論じていることが理解されよう。使用者の気分は、使用者のベイピング挙動において、関連付けられた気分によって駆動される変化の明示的なプロキシであると考えられる。その結果、計算された使用者の気分又は気分値は、それらの挙動変化に対応する/それらの挙動変化を予測することが意図されたエアロゾル供給システムの動作パラメータの調整を駆動するために使用される。
【0100】
しかし、調整のために1つ又は複数の動作パラメータを選択するためのプリアンブルとして、気分を明示的に識別すること及び/又は気分値(たとえば、気分バイアス値)を生成することという中間ステップを迂回することが可能であることが理解されよう。
【0101】
悪天候とエアロゾル供給システムの香料及び使用速度の所望の増大との間に明白な相関関係が存在する場合、中間気分を示す必要はなく、又はこれは単なる内部計算であってもよい。
【0102】
この場合、概念的な気分値は、エアロゾル供給システムの異なる調整への重み付けとして簡単に扱われてもよく、悪天候と関連付けられた値は、香料の増大に対して強く重み付けされたリンクを有し、たとえば使用頻度が増大する可能性が高い場合、ユーザインターフェース通知を低減させる。
【0103】
したがって、たとえばニューラルネットワーク又は他の好適な機械学習システムなどの相関器が、1つ又は複数のデータセットに関して訓練されてもよく、そのようなデータセットは、1つ又は複数の予め定められた変数を、1つ又は複数の気分分類の値に関連付ける代わりに、1つ又は複数の予め定められた変数の値を、エアロゾル供給システムの動作パラメータの1つ又は複数の変化に関連付け、これらは、上記で論じたように、気分に対するプロキシである。したがって、この場合、取得されたデータセットは、1つ又は複数の動作パラメータの何らかの変化を示すことによって、予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給システムの使用者の気分を示すデータを含み、1つ又は複数の動作パラメータは、この動作の変化が対応する気分に対するプロキシである。
【0104】
第1の近似として、そのような相関器は、比較的総称的な相関関係を提供するために、複数の使用者のコーパスから導出されたデータに関して訓練されてもよい。
【0105】
第2の近似として、この相関器を訓練する目的で状況及びベイピング挙動が取得された使用者は、データセット内の予め定められた変数によって特徴付けられたものなど、たとえば使用者の性格及び特定の状況に対する個々の応答(たとえば、気分及び/又はベイピング習慣に関する)を特徴付けるアンケートに記入するように依頼されてもよい。
【0106】
その後、本明細書に記載する技法を実施するシステムの見込みのある使用者が、類似のアンケートに記入してもよい。次いでシステムは、現在の使用者に対して最も類似しているアンケート応答を有する使用者コーパスのサブセットを使用して訓練されているすでに訓練済みの相関器を選択することができ、したがって相関器の応答は、気分によって誘起される使用者の挙動の変化を正確に予測する可能性が高い。任意選択で、新しい相関器が、アンケートへの応答が十分に類似(たとえば、閾値差の範囲内)している使用者コーパス内のそれらの使用者のデータに基づいて、アンケート全体の点から訓練されてもよく、又は個々の挙動と関連付けられたアンケートの個々の態様に対して訓練されてもよい。このようにして、特注の相関器が、応答/出力が気分によって誘起される使用者の挙動の変化を依然としてより細密に予測する可能性が高い個々の使用者に対してブーストストラップされてもよい。
【0107】
使用者に対して選択又は生成された相関器は、そのモデルをさらに改良するために、たとえば使用者からのフィードバックを使用して、又は実際の挙動を予測された挙動と比較して、使用後にさらに学習してもよい。
【0108】
図1を再び参照すると、EVPSは、自己内蔵型ユニット(デバイス自体が従来のシガレットの形状又は寸法に必ずしも一致しない場合でも、一般にeシガレットと呼ばれる)とすることができる。そのようなeシガレットは、空気流測定手段、処理手段、並びに任意選択で、触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0109】
その代わりに、図5を参照すると、EVPSは、eシガレット10、及びたとえばブルートゥース(登録商標)を介してeシガレットと通信するように(たとえば、少なくともeシガレットからのデータを受け取るように)動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100など、2つの構成要素を備えることができる。
【0110】
次いで、移動電話は、eシガレットのものの代わりに、又はそれに加えて、処理手段、並びに触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0111】
任意選択で、EVPSは、移動電話100と通信するように動作可能なeシガレット10を備えることができ、移動電話は、EVPSに対する1つ若しくは複数のパラメータ又は他のデータ(使用者による使用の1つ又は複数の態様に特徴的なデータなど)を記憶し、eシガレットからそのようなパラメータ/データを受け取る。次いで、電話は、任意選択で、そのようなパラメータ/データに関する処理を実行し、処理済みのデータ及び/若しくは命令をEVPSへ戻し、結果を使用者に表示し(又は別の行為を実行する)、又は処理済み及び/若しくは未処理のパラメータ/データを遠隔サーバへ転送することができる。
【0112】
任意選択で、移動電話又はEVPS自体は、そのような遠隔サーバで使用者のアカウントに関連付けられたデータに無線でアクセスするように動作可能であってもよい。
【0113】
本開示の変形実施形態では、使用者の第1のEVPSは、その使用者設定の一部又は全部を別のEVPSへ通信することができる。使用者設定は、使用者挙動に特徴的なデータ、及び/又はEVPS動作の修正に関するデータなど、上記で開示した方法の実施態様に関係する設定を含むことができる。
【0114】
そのようなデータは、デバイス間で直接(たとえば、ブルートゥース(登録商標)又は近距離通信を介して)中継することができ、又は2つのデバイスの使用者によって所有される移動電話若しくは使用者がアカウントを有するサーバなどの1つ若しくは複数の仲介デバイスを介して中継することができる。
【0115】
このようにして、たとえば使用者が、2つのEVPSデバイスを有する場合、又は使用者が、蓄積された個人化データを失うことなく、1つのEVPSを別のEVPSに交換したいと考えた場合、使用者は、1つのデバイスから別のデバイスへデータを容易に共有することができる。
【0116】
任意選択で、この実施形態では、第2のEVPSが第1のEVPSとはタイプが異なる場合(たとえば、異なるデフォルトパワーレベル又は加熱効率を有することによる)、動作パラメータを第1のEVPSから第2のEVPSへ変換するための変換係数又はルックアップテーブルを用いてもよい。これは、第2のEVPSのソフトウェア又はファームウェアで提供することができ、直接通信するとき(又はデータが電話などの仲介を介した変化なく中継されるとき)、第1のEVPS、したがって適当な変換を識別する。これに代えて、又はこれに加えて、電話のアプリにより変換を提供してもよく、任意選択で第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、関連する変換をダウンロードしてもよい。この場合も、これに代えて、又はこれに加えて、遠隔サーバが、使用者のアカウントに関連付けられた第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、変換を提供してもよい。
【0117】
したがって、EVPSの代わりに、又はEVPSに加えて、サーバ(又は単独で又はそのようなサーバとともに類似の役割で動作する移動電話)などのコンピューティングデバイスを使用して、本明細書に記載するように、使用者に特有の予め定められた変数の現在値など、使用者に登録された受信データ、及び/又はその使用者の起こりうる必要に合わせて相関器を最初に調整するために使用することができる、使用者を最初に特徴付けるアンケートなどのデータに基づいて、デバイス設定(たとえば、本明細書に記載するように、1つ又は複数の動作パラメータへの調整)を計算することができる。
【0118】
本明細書に記載する方法及び技法は、該当する場合はソフトウェア命令によって好適に構成された従来のハードウェアで実施されてもよく、又は専用のハードウェアの包含若しくは置換えによって実施されてもよいことが理解されよう。
【0119】
したがって、従来の同等なデバイスの既存の部品を適合させるのに必要なことは、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、固体状態ディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、又はこれら若しくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形態で実施することができ、或いはASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又は従来の同等なデバイスを適合させる際に使用するのに好適な他の構成可能な回路としてハードウェアで実現することができる。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、又はこれら若しくは他のネットワークの任意の組合せなどのネットワークで、データ信号を介して伝送することができる。
【0120】
特に、図6を参照すると、たとえばそのような従来のハードウェアを使用して実施することができるエアロゾル送達方法は、
第1のステップs610で、データセットの少なくとも一部を取得することであり、データセットが、予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示すデータを含む、取得することと、
第2のステップs620で、取得されたデータの少なくとも一部及び予め定められた変数の現在値に基づいて、使用者のエアロゾル供給デバイスの動作を制御するための1つ又は複数の動作パラメータへの調整を計算することと、
第3のステップs630で、1つ又は複数の動作パラメータの計算された調整を、使用者のエアロゾル供給デバイスに提供することとを含む。
【0121】
本開示の範囲内で、本明細書に説明及び特許請求する方法及び/又は装置の様々な実施形態の動作に対応する上記の方法の変形が考えられることが、当業者には明らかであり、本開示は、それだけに限定されるものではないが、以下を含む。
【0122】
取得ステップは、複数のデータセットの少なくとも一部を取得することを含み、少なくとも1つのデータセットは、それぞれの予め定められた変数に応じて、エアロゾル供給デバイスの使用者の気分を示すデータを含み、捕捉ステップは、複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び少なくとも1つのそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、調整を計算することを含む。
【0123】
複数のデータセットは、それぞれの予め定められた変数に応じて、使用者の気分を示すデータを含み、調整ステップは、気分を示す複数の取得されたデータセットのうちの2つ以上の少なくとも一部及び2つ以上の対応するそれぞれの予め定められた変数の現在値に基づいて、調整を計算することを含む。
【0124】
それぞれの予め定められた変数は、本明細書に前述したように、天気、使用者の表情、使用者の声の強勢、電話の使用、及び/又はキーワード検出からなるリストから選択された1つ又は複数である。
【0125】
追加のそれぞれの予め定められた変数は、本明細書に前述したように、時間(自体)及び場所(自体)からなるリストから選択された1つ又は複数である。
【0126】
1つの事例では、方法のステップは、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムを含むシステムの一部であるコンピューティングデバイスで実施される。
【0127】
この事例では、方法のそれぞれのステップは、エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な遠隔サーバ、エアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイス、及びエアロゾル供給システムと通信するように動作可能な移動コンピューティングデバイスと通信するように動作可能な遠隔サーバからなるリストから選択された1つ又は複数の中に配置されたそれぞれのコンピューティングデバイスで実施され、エアロゾル供給システムは、計算された調整をコンピューティングデバイスから受け取るように動作可能な受信器を備える。
【0128】
この事例では、コンピューティングデバイスは、エアロゾル供給システム内に配置される。
【0129】
この事例では、エアロゾル供給システムは、受け取った計算された調整に応答して、1つ又は複数の動作パラメータを修正する(すなわち、その動作/挙動を変化させる)ように動作可能である。
【0130】
任意選択で、修正は、他のデータに応答して、エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータの別個の修正に追加される(他のスキームによって加えられる変化とは別個に追加の値の変化を加えるという形態、又はエアロゾル供給システムの挙動に対する複数の影響からの寄与を組み合わせたスキーム若しくは監督スキームに別個の入力を提供するという形態)。
【0131】
1つ又は複数の予め定められた変数の現在値は、気圧計、局地的な天気データソースへのネットワークリンク、通常の使用で使用者に面しているカメラ、通常の使用で使用者に近接しているマイクロフォン、キーワード検出アプリケーション、フィットネストラッキングウェアラブル機器、グローバルポジショニングシステム受信器、及びクロック(たとえばこれらは、関連付けられた移動電話、遠隔サーバ、ウェアラブルデバイス、及び/又は他の周辺機器によって、コンピューティングデバイスに提供されてもよい)からなるリストから選択された1つ又は複数を使用して取得されてもよい。
【0132】
上記の議論は、本開示の単なる例示的な実施形態を開示及び説明する。当業者には理解されるように、本開示は、本開示の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特有の形態で実施してもよい。それに応じて、本開示の開示は、本開示の範囲並びに他の特許請求の範囲の限定ではなく説明であることを意図したものである。本開示は、本明細書の教示のあらゆる容易に認識できる変形形態を含めて、本発明の主題が公衆に専用に供されないように、上記の特許請求の範囲の術語の範囲を部分的に定義する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6