(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】内部カメラを有するナビゲーショントロカール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2022539710
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(86)【国際出願番号】 IB2020061565
(87)【国際公開番号】W WO2021137059
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-10-25
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】シットニツキー・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】カツィール・スタニスラフ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-192297(JP,A)
【文献】特表2019-528822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128671(US,A1)
【文献】国際公開第2019/164893(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00―1/32
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内にあり、前記長手方向軸に平行に取り付けられているチャネルと、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されたカメラと、
前記カニューレに挿入されるように構成された閉塞具本体を備える閉塞具であって、前記閉塞具本体が前記チャネルのプロファイルと一致するように構成された凹部を備える、閉塞具と、
を備える、トロカール。
【請求項2】
前記カメラは、前記カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、前記長手方向軸に対して傾斜している、請求項1に記載のトロカール。
【請求項3】
前記カメラの視野を遮ることなく前記チャネルの遠位端に配置され、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサを含む、請求項1に記載のトロカール。
【請求項4】
前記位置センサは、磁気位置センサである、請求項3に記載のトロカール。
【請求項5】
システムであって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレ、
前記カニューレ内にあり、前記長手方向軸に平行に取り付けられているチャネル、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されたカメラ、及び
前記カメラの視野を遮ることなく前記チャネルの遠位端に配置され、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された
磁気位置センサ、を含む、トロカールと、
前記
磁気位置センサによって生成された前記信号を使用して、
前記患者の固定された既知の位置に配置された磁場発生器との応答に基づいて前記臓器におけ
る前記遠位端の前記位置を推定するように構成されたプロセッサと、
前記カニューレに挿入されるように構成された閉塞具本体を備える閉塞具であって、前記閉塞具本体が前記チャネルのプロファイルと一致するように構成された凹部を備える、閉塞具と、
を備える、システム。
【請求項6】
前記プロセッサは更に、
推定された
前記位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、そして、
互いに位置合わせされた、前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザに提示するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同日付で出願された「Trocar with Modular Trocar Obturator Head」と題する米国特許出願(代理人整理番号BIO6225USNP1)に関するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、侵襲性医療ツールに関し、特にカメラを組み込んだ侵襲性医療ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の臓器の画像誘導プロービングのための技術は、以前に特許文献において提案されていた。例えば、米国特許出願公開第2011/0160535号には、腹腔鏡処置を含む内視鏡処置で使用するための使い捨てアクセスポートが記載されている。アクセスポートは、外部制御ボックスと通信する埋め込み外部カメラを有するカニューレを含む。カメラは、ポートに固定して又は調整可能に取り付けることができる。アクセスポートと共に使用するトロカールに外部カメラを取り付けることもできる。トロカールは、解剖学的部位を明確に観察することを容易にするために、灌注及び吸引チャネルを含んでもよい。
【0004】
別の例として、米国特許出願公開第2013/0282041号には、近位端及び遠位端を有する管状本体と、遠位端に設けられた開口部と、管状本体の遠位端の外壁に配置された少なくとも1つの外部撮像装置とを含む観察用トロカールアセンブリが記載されており、ここで、少なくとも1つの撮像装置は、非活性化位置にあるとき、管状本体の遠位端の外壁に隣接しており、また、少なくとも1つの撮像装置は、活性化位置にあるとき、非活性化位置にあるときよりも管状本体の遠位端の外壁から更に離れて延びている。
【0005】
異なるトロカールは、以前に特許文献において提案されていた。例えば、米国特許第5,807,338号には、閉塞具アセンブリと、閉塞具アセンブリを摺動可能に受け入れるように構成及び寸法決めされた長手方向通路を画定するカニューレアセンブリとを含むモジュール式トロカールシステムが記載されている。組み立て方法も提供されている。
【0006】
別の例として、米国特許第5,405,328号には、外科的処置中に使用される所望のトロカール閉塞具を構築するために使用するためのキットアセンブリが記載されている。キットは、閉塞具の近位部分及び複数の異なる遠位端部分を含む。近位部分は、戻り止め機構によって遠位部分に解放可能に取り付けられてもよい。近位部分の再利用により、潜在的なコスト削減が可能になる。複数の遠位端部分により、外科医は異なるトロカール先端から選択することができ、それにより、トロカールを特定の外科的処置のためにカスタマイズすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、患者の臓器に挿入するためのトロカールを提供しており、トロカールは、カニューレと、カニューレ内のチャネルと、カメラとを含む。カニューレは長手方向軸を有し、カニューレ内のチャネルは長手方向軸に平行に取り付けられている。カメラは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されている。
【0008】
一部の実施形態では、カメラは、カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、長手方向軸に対して傾斜している。
【0009】
一部の実施形態では、トロカールは位置センサを更に含み、位置センサは、カメラの視野を遮ることなくチャネルの遠位端に配置され、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成されている。
【0010】
一実施形態では、位置センサは磁気位置センサである。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、トロカール及びプロセッサを含むシステムが更に提供される。トロカールは、患者の臓器に挿入するように構成され、また、カニューレと、カニューレ内のチャネルと、カメラと、位置センサとを含む。カニューレは長手方向軸を有し、カニューレ内のチャネルは長手方向軸に平行に取り付けられている。カメラは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されている。位置センサは、カメラの視野を遮ることなくチャネルの遠位端に配置され、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成されている。プロセッサは、位置センサによって生成された信号を使用して、臓器におけるトロカールの遠位端の位置を推定するように構成されている。
【0012】
一部の実施形態では、プロセッサは、推定された位置に基づいて、カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、そして、互いに位置合わせされた、カメラによって取得された画像及び参照医用画像をユーザに提示するように更に構成されている。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、トロカールを患者の臓器に挿入することを含む方法が更に提供され、トロカールは、カニューレと、カニューレ内のチャネルと、カメラと、位置センサとを含む。カニューレは長手方向軸を有し、カニューレ内のチャネルは長手方向軸に平行に取り付けられている。カメラは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されている。位置センサは、カメラの視野を遮ることなくチャネルの遠位端に配置され、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成されている。生成された信号を使用することで、臓器におけるトロカールの遠位端の位置が推定される。
【0014】
一部の実施形態では、この方法は、推定された位置に基づいて、カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせすることを更に含む。互いに位置合わせされた、カメラによって取得された画像及び参照医用画像は、ユーザに提示される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、患者の臓器に挿入するためのトロカールを提供しており、トロカールは、カニューレと、閉塞具本体と、2つ以上の交換可能な閉塞具ヘッドとを含む。カニューレは、長手方向軸を有する。閉塞具本体は、カニューレに挿入されるように構成されている。2つ以上の交換可能な閉塞具ヘッドはそれぞれ、閉塞具本体の遠位端に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0016】
一部の実施形態では、閉塞具ヘッドは、それぞれ異なる組織タイプを貫通するためのそれぞれ異なる幾何学的形状を有する。
【0017】
一部の実施形態では、交換可能な閉塞具ヘッドは、侵襲的脳処置で使用するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、トロカールは、カニューレ内のチャネルと、カメラと、位置センサとを更に含む。カニューレ内のチャネルは、長手方向軸に平行に取り付けられている。カメラは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されている。位置センサは、カメラの視野を遮ることなくチャネルの遠位端に配置され、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成されている。
【0019】
別の実施形態では、カメラは、カニューレの遠位開口部の中心を指すカメラの中心視線方向を有するように傾斜している。更に別の実施形態では、位置センサは磁気位置センサである。
【0020】
一部の実施形態では、閉塞具本体は、閉塞具本体がカニューレに挿入されたときにカニューレ内のチャネルに適合するように凹部を含む。
【0021】
一部の実施形態では、交換可能な閉塞具ヘッドは、閉塞具がカニューレに挿入されたときにカニューレ内のチャネルに適合するようにそれぞれ凹部を含む。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、2つ以上の交換可能な閉塞具ヘッドの中から閉塞具ヘッドを選択することを含む方法が更に提供される。選択された閉塞具ヘッドは、閉塞具本体の遠位端に取り外し可能に取り付けられて閉塞具を形成する。トロカールは、閉塞具をカニューレに取り付けることによって組み立てられる。患者に医療処置を行うために、トロカールは、患者の臓器に挿入される。
【0023】
一部の実施形態では、この方法は、カニューレの遠位端に配置されたカメラによって、カニューレの遠位開口部の方向における画像を取得することを更に含む。カメラの視野を遮ることなくチャネルの遠位端に配置された位置センサを使用することで、臓器における遠位端の位置を示す信号が生成される。生成された信号を使用することで、臓器におけるトロカールの遠位端の位置が推定される。
【0024】
一部の実施形態では、この方法は、推定された位置に基づいて、カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせすることを更に含む。互いに位置合わせされた、カメラによって取得された画像及び参照医用画像は、ユーザに提示される。
【0025】
本発明は、図面と併せて、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による、カメラ及び位置センサを含むトロカールを備える外科用装置を使用する脳処置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1の脳処置において適用されるトロカールの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、
図2のトロカールのカメラからの視覚画像を参照医用画像に位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。
【
図4】本発明の別の実施形態による、
図1の脳処置において適用されるトロカールの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、交換可能な閉塞具ヘッドを有する
図4のトロカールを使用する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概要
一部の侵襲的処置では、医療用プローブ又は他のツールを患者の体内に挿入するために、貫通ポータルとして機能するトロカールが最初に入口位置に配置される。プローブ用のポータルであることに加えて、カニューレを含むトロカールは、灌注並びに体液及び他の流体の排出に使用される。通常、閉塞具は最初にカニューレを介して挿入されるため、閉塞具は体を貫通してプローブ用のアクセスを形成することができる。
【0028】
そのような侵襲的医療処置では、通常、専用の撮像を使用して、医療用プローブを脳などの臓器に/臓器内に誘導する必要があり、例えば、X線システム及び/又はプローブに取り付けられたカメラを使用する。場合によっては、例えば、脳処置では、頭蓋骨に開けられた穴を介して脳に挿入されたプローブの遠位端をナビゲートする必要がある場合がある。治療用プローブを、トロカールを介して前進させ、標的脳組織、例えば感染した脳組織又は出血している脳組織を治療するように誘導する必要がある。
【0029】
しかしながら、治療用プローブは、スペースが限られており、他のプローブナビゲーション技術に関係なく、プローブの視覚誘導が必要になることが多い。更に、トロカール自体は従来、「ブラインド」挿入されるため、挿入を行う医師はトロカールの遠位端がどこにあるかを正確に知ることができない。医師はまた、トロカールが接触している組織を見ることができない。
【0030】
以下に記載される本発明の実施形態は、標的組織を観察するためのカメラ及び/又はカニューレの壁の内部に取り付けられた治療用プローブを有するトロカールを提供する。一部の実施形態では、位置センサも、カニューレの壁の内部に取り付けられている。センサからの位置データを提供するセンサ配線は、カメラ配線と共にセンサからプロセッサに走り、プロセッサは、トロカール遠位端の位置データを医師に提供して、例えば、カメラからキャプチャされた画像を参照医用画像(例えば、MRI画像)に位置合わせする。
【0031】
したがって、開示されたカニューレ内の内部カメラ及び位置センサ(例えば、位置追跡システムで動作する磁気位置センサ)は、医師がトロカールによって貫通されている組織を見ることを可能にし、センサは、トロカールの遠位端を追跡することを可能にする。その後、カメラは、治療用プローブの視覚誘導に使用することができる。
【0032】
トロカールの内部カメラを使用して視覚画像取得を最適化することにより、開示された技術は、低侵襲性医療処置の品質を向上させることができる。
【0033】
一般に、トロカールは、通常、精密機器である可能性があり、(オートクレーブ又は別の方法による)滅菌が可能でなければならないため、比較的高価である。トロカールには、実行するように設計されたタスクに応じて、多くの異なる種類がある。例えば、筋肉又は骨を貫通するための閉塞具を有するトロカールは、非常に鋭い閉塞具ヘッドを有する可能性があり、一方、脳組織を貫通するためのトロカールは、脳へのアクセスを可能な限り「優しく」開くために、滑らかな閉塞具ヘッドを有する可能性がある。上記のように、カメラ及び位置センサを有するこれらの異なるトロカールのそれぞれを形成するには、かなりの費用がかかる。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、モジュール式トロカールが提供され、トロカールの閉塞具ヘッドは、必要とされる閉塞具タスクに従って医師が選択することができる。閉塞具ヘッドは、滅菌可能であり、また再利用することができる。カメラ及び位置センサを含む近位端は、低コストの使い捨てアイテムであるが、以下に説明するように、閉塞具ヘッドを交換することにより、同じ処置中に複数回使用することができる。
【0035】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、カメラ50及び位置センサ48を含むトロカール38を備える外科用装置28を使用する脳処置の概略図である。一部の実施形態では、外科用装置28を含む脳診断及び治療システム20は、患者22の脳組織における感染症を治療するなどの脳処置を実施するように構成されている。図示の実施形態では、トロカール38を使用して頭蓋骨を貫通させ、それにより、医師24は、プローブ39を患者22の頭部41に挿入して(挿入は示されていない)、脳組織にアクセスすることができる。続いて、トロカールに取り付けられたカメラ50を使用してプローブ39を操作してもよい。通常、治療用プローブ39は、第2の医師(図示せず)によって更に操作されてもよい。
【0036】
図示の実施形態では、ケーブル32は、トロカール38の近位端に入り、その遠位端でカメラ50及び位置センサ48に電気的に結合される。
【0037】
システム20は、脳内のセンサ48の位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを含む。磁気位置追跡システムは、フレーム46に固定された磁場発生器44を含む位置パッド40を含む。
図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を含むが、代替的に、任意の他の適切な数の発生器44を含むことができる。パッド40は、発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に配置されるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に含む。位置センサは、磁場発生器44によって生成された外部磁場を感知することに応答して位置信号を生成し、それによって、プロセッサ34がセンサ50の位置、したがって患者22の頭部内のトロカール38の遠位端の位置を推定することを可能にする。
【0038】
この位置検出技術は、様々な医療用途、例えば、Biosense Webster Inc.(カリフォルニア州アーバイン)によって製造されたCARTO(商標)システムに実装され、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの先行出願は、本明細書に完全に記載されているかのように参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0039】
一部の実施形態では、システム20は、メモリ49を含むコンソール33と、頭部41の周囲の空間における所定の作業体積内に磁場を発生させるように、ケーブル37を介して適切な信号で磁場発生器44を駆動するように構成されたドライバ回路42とを含む。
【0040】
コンソール33は、カメラ50から画像をキャプチャし、磁気位置追跡システムによって取得された位置を使用してそれを参照医用画像に位置合わせするためのコマンドボタンなど、医師24が処置を実施するのを支援する追加の制御要素を更に含んでもよい。
【0041】
プロセッサ34は、典型的には、ケーブル32を介してカメラ50からの画像及び位置センサ48からの信号を受信し、本明細書に記載されるシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路を有する汎用コンピュータである。
【0042】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、カメラ50によって生成された画像を、MRI画像などの医用画像に位置合わせするように構成されている。プロセッサ34は更に、位置センサ48を使用して推定された遠位端の位置を位置合わせすることができる。プロセッサ34は、位置センサ48を使用してトロカール38の遠位端の位置を推定することによってカメラ50画像を位置合わせすることができる。プロセッサ34は、磁気位置追跡システムの座標系及び/又は参照医用画像の座標系においてカメラ画像と参照医用画像を位置合わせするように構成されている。
【0043】
一部の実施形態では、システム20は、カメラ50によって撮影された画像55を表示するビデオディスプレイ52を含む。図示の画像では、治療用プローブ39の遠位端が脳組織に係合しているのが見える。
【0044】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、インターフェース(図示せず)を介して、頭部41の2次元(2D)スライスを描写する参照MRI画像などの1つ以上の解剖学的画像を受信するように構成されている。プロセッサ34は、MRI画像から1つ以上のスライスを選択し、画像55などのリアルタイムカメラ画像との位置合わせを実行して、画像35などの結合画像を生成し、そして選択された結合スライスをユーザディスプレイ36上で医師24に表示するように構成されている。
図1の例では、結合画像35は、患者22の前脳組織の断面冠状図を示す。
【0045】
コンソール33は、コンソールの動作を制御するためのキーボード及びマウスなどの入力装置と、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示するように、及び/又は入力装置を使用してユーザによって(例えば医師24によって)挿入された入力を表示するように構成されたユーザディスプレイ36とを更に含む。
【0046】
図1は、簡潔性及び明確性のために、開示された技術に関連する要素のみを示す。システム20は、通常、開示された技術に直接関連しない追加又は代替のモジュール及び要素を含み、したがって、それらは、
図1及び対応する説明から意図的に省略されている。
【0047】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行し、ソフトウェアによって処理又は他の方法で使用されるデータをメモリ49に記憶するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光、磁気若しくは電子メモリ媒体などの非一時的な有形媒体上で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ34の機能の一部又はすべては、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。特に、プロセッサ34は、
図3に含まれている本明細書に開示されるような専用アルゴリズムを実行し、これは、以下で更に説明するように、プロセッサ34が開示されたステップを実行することを可能にする。
【0048】
内部カメラを有するナビゲーショントロカール
図2は、本発明の一実施形態による、
図1の脳処置において適用されるトロカール38の概略図である。トロカール38は、カニューレ69及び閉塞具60を含む。見られるように、トロカール38は、カニューレ69内のチャネル70を含み、チャネル70は、カメラ50及び位置センサ48が取り付けられている遠位端を有する。チャネル70は更に、ケーブル32をルーティングするためのトラックを提供する。
【0049】
一実施形態では、カメラ50は、カニューレ69の遠位開口部78の中心を指す中心遠位視線方向を有するように、トロカール38の長手方向軸に対して傾斜している。同時に、センサ48は、カメラ50の視野を遮らないように取り付けられている。
【0050】
図2のトロカール38の構成は、概念を明確にするために例として示されている。他の実施形態では、医療ツールを標的脳位置に挿入するためのトロカール38内の追加ポートのような追加要素が含まれてもよい。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態による、
図2のトロカール38のカメラ50からの視覚画像を参照医用画像に位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。このプロセスは、トロカール配置ステップ80において、医師24がトロカール38を配置して脳にアクセスすることから始まる。
【0052】
次に、医師24は、トロカール位置追跡ステップ82において、システム20を操作して、センサ48からの信号を使用して、トロカール38の遠位端の脳内の位置を磁気的に追跡する。次に、画像キャプチャステップ84において、医師24は、カメラ50によって画像をキャプチャして、参照医用画像に位置合わせする。
【0053】
画像位置合わせステップ86において、(センサ48を使用して)トロカール38の遠位端の追跡された位置に基づいて、プロセッサ34は、(カメラ50によって)キャプチャされた画像を、MRIスキャンなどからメモリ49に記憶されたそれぞれの参照医用画像に位置合わせして結合画像35を生成する。一実施形態では、プロセッサ34は、例えば、治療が脳組織を除去する場合、位置合わせされた画像に基づいて参照医用画像を補正するように更に構成されている。別の実施形態では、プロセッサは、例えば、参照画像が撮影されてからの腫瘍増殖のためにカメラ50によって検出されるより大きな腫瘍サイズが原因で、視覚画像と参照画像との間で検出された不一致をユーザに警告するように更に構成されている。
【0054】
次に、トロカール調整ステップ88において、結合画像35を使用して、医師24は、例えば、感染組織などの標的脳組織への最良のアクセスを最もよく可能にするために、トロカール38の位置合わせを調整する。次に、医師24は、プローブ挿入ステップ90において、治療用プローブ39を挿入して、カメラ50によって提供される視覚誘導の下で標的組織を治療する。
【0055】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を明確にするために選択されたものである。代替の実施形態では、医師24は、処置の成功した結果を検証するために追加の監視ステップ(例えば、蛍光透視)を使用するなどの追加のステップを実行し、及び/又はカメラ50の視界を明瞭にするために灌注を適用することができる。
【0056】
内部カメラ及びモジュール式閉塞具ヘッドを有するナビゲーショントロカール
図4は、本発明の別の実施形態による、
図1の脳処置において適用されるトロカール38の概略図である。トロカール38は、カニューレ69及び閉塞具60を含む。見られるように、トロカール38は、トロカール38のカニューレ69に挿入されるように構成された閉塞具本体79を含むモジュール式閉塞具60を含む。閉塞具60の閉塞具ヘッド102は、体を貫通してプローブ用のアクセスを形成するように構成されている。
【0057】
モジュール式閉塞具60の閉塞具本体79は、異なる閉塞具ヘッドを閉塞具本体79に交換可能に取り付けることができるように構成され、挿入
図110に例として示されるいくつかのヘッドは、侵襲的医療処置中に使用することができる。挿入
図110では、閉塞具ヘッド114は鋭い先端を有し、通常、筋肉又は骨を貫通するために使用される。一方、閉塞具ヘッド116は、滑らかな先端を有し、脳組織を貫通するために使用され得る。
【0058】
更に見られるように、閉塞具本体79及び交換可能な閉塞具ヘッド114、116は、それぞれ、凹部113、115、及び117を有するように設計されており、それにより、それらは、カニューレ69に容易に適合(例えば、挿入)することができ、凹部113、115、及び117は、チャネル70(
図2を参照)のプロファイルに一致する。
【0059】
図4のトロカール38の構成は、概念を明確にするために例として示されている。他の実施形態では、追加のタイプの交換可能な閉塞具ヘッドなどの追加要素が含まれてもよい。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態による、交換可能な閉塞具ヘッド(114、116)を有する
図4のトロカールを使用する方法を概略的に示すフローチャートである。このプロセスは、トロカール選択ステップ120において、医師24が脳トロカール38を選択して脳にアクセスすることから始まる。
【0061】
次に、医師24は、閉塞具ヘッド選択ステップ122において、交換可能な閉塞具ヘッド114のような骨を貫通することができる交換可能な閉塞具ヘッドを選択する。閉塞具準備ステップ124において、医師は、選択された閉塞具ヘッド114を閉塞具60に取り付ける。
【0062】
治療ステップ126において、医師24は、組み立てられた閉塞具を使用して、閉塞具を使用して頭蓋骨を貫通させるなどの侵襲的処置を開始する。
【0063】
脳への閉塞具の配置を継続するために、医師24は、閉塞具ヘッド選択ステップ128において、脳組織に入るように構成された閉塞具ヘッド116を選択する。閉塞具ヘッド交換ステップ130において、医師24は、閉塞具ヘッド114を閉塞具ヘッド116と交換する。最後に、治療ステップ132において、医師24は、再組み立てされた閉塞具を使用して、脳組織内で閉塞具を前進させることによって、侵襲的処置を継続する。
【0064】
図5に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を明確にするために選択されたものである。典型的な実施形態では、医師24は、カニューレの位置を追跡しながら、カニューレ69を前進させるなどの追加のステップを実行する。
【0065】
本明細書に記載の実施形態は、主に脳処置に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムはまた、腹部又は胸部に位置するような他の臓器で医療機器を誘導することを必要とする他の用途でも使用することができる。
【0066】
したがって、上記の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、本出願の不可欠な部分と見なされるべきであり、ただし、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗黙的になされた定義と矛盾する方法で定義されている限り、本明細書における定義のみを考慮すべきである。
【0067】
〔実施の態様〕
(1) 患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内にあり、前記長手方向軸に平行に取り付けられているチャネルと、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されたカメラと、
を備える、トロカール。
(2) 前記カメラは、前記カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、前記長手方向軸に対して傾斜している、実施態様1に記載のトロカール。
(3) 前記カメラの視野を遮ることなく前記チャネルの遠位端に配置され、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサを含む、実施態様1に記載のトロカール。
(4) 前記位置センサは、磁気位置センサである、実施態様3に記載のトロカール。
(5) システムであって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレ、
前記カニューレ内にあり、前記長手方向軸に平行に取り付けられているチャネル、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されたカメラ、及び
前記カメラの視野を遮ることなく前記チャネルの遠位端に配置され、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサ、を含む、トロカールと、
前記位置センサによって生成された前記信号を使用して、前記臓器における前記トロカールの前記遠位端の前記位置を推定するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【0068】
(6) 前記プロセッサは更に、
前記推定された位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、そして、
互いに位置合わせされた、前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザに提示するように構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記位置センサは、磁気位置センサである、実施態様5に記載のシステム。
(8) 方法であって、
トロカールを患者の臓器に挿入することであって、前記トロカールは、
長手方向軸を有するカニューレ、
前記カニューレ内にあり、前記長手方向軸に平行に取り付けられているチャネル、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの遠位開口部の方向における画像を提供するように構成されたカメラ、及び
前記カメラの視野を遮ることなく前記チャネルの遠位端に配置され、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサ、
を含む、
ことと、
前記生成された信号を使用して、前記臓器における前記トロカールの前記遠位端の前記位置を推定することと、
を含む、方法。
(9) 前記推定された位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせすることと、
互いに位置合わせされた、前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザに提示することと、
を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記位置センサは、磁気位置センサである、実施態様8に記載の方法。