(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】近位側の付勢力と比較してより大きい遠位側付勢力を有する偏向可能な電極
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20241105BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2022540441
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 IB2020060406
(87)【国際公開番号】W WO2021137014
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-10-30
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サーリー・ジョン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ブードロー・チャド・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ブレーム・タイラー・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】グオ・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】バーカート・エレン
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ファラー・クレイグ・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ・グレゴリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】キーナン・マイケル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オルソン・ウィリアム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】フレイカー・リチャード・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ブランソン・ジュニア・ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ギオン・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ディミートリアス・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】エステラ・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・スティーブン・エム
(72)【発明者】
【氏名】マストロヤンニ・ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ストローブル・ジェフリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】サルゲロ・ジョセフ・エス
(72)【発明者】
【氏名】バレンテ・ローレン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ケンパー・ジョセフ・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ・ロバート・エス
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-051802(JP,A)
【文献】特表2019-500101(JP,A)
【文献】特表2016-538067(JP,A)
【文献】特表2015-515334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0182333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプアームと、
超音波トランスデューサに音響的に結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレードと、
を備える、エンドエフェクタであって、
前記クランプアームが、
複数のゾーン
を画定するクランプジョー、
前記複数のゾーンの各々に配設された
複数のばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、
複数のばね、及び
前記電気発生器の反対の極に電気的に結合するように構成されているカンチレバー電極であって、前記カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するための前記
複数のばねの各々に接触して、前記複数のゾーン
に配設され、近位端で前記クランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、
を備える、
エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第1のゾーンZ1内の前記少なくとも1つのばねS1の
ばね付勢力が、前記第2のゾーンZ2内の前記少なくとも1つのばねS2の
ばね付勢力よりも小さい、請求項3に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記第1のゾーンZ1内の前記複数のばねS1のばね付勢力
が、前記第2のゾーンZ2内の前記複数のばねS2のばね付勢力
よりも小さい、請求項6に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記超音波ブレードの
前記クランプジョーに向かう方向への偏向が、遠位方向に行くにつれて増加する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記クランプアームが、前記
複数のばね
の荷重によって引き起こされる前記カンチレバー電極の前記偏向を引き起こして、前記超音波ブレードを偏向させる、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記カンチレバー電極と前記超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
ハウジングと、
超音波トランスデューサと、
エンドエフェクタであって、
クランプアーム、及び
前記超音波トランスデューサに結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレード、
を備えるエンドエフェクタと、
を備える、外科用器具であって、
前記クランプアームが、
複数のゾーン
を画定するクランプジョー、
前記複数のゾーンの各々に配設された
複数のばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、
複数のばね、及び
前記電気発生器の反対の極に電気的に結合するカンチレバー電極であって、前記カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するための前記
複数のばねの各々に接触して、前記複数のゾーン
に配設され、近位端で前記クランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、
を備える、
外科用器具。
【請求項12】
前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、請求項
11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、請求項
12に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記第1のゾーンZ1内の前記少なくとも1つのばねS1の
ばね付勢力が、前記第2のゾーンZ2内の前記少なくとも1つのばねS2の
ばね付勢力よりも小さい、請求項
13に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、請求項
11に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、請求項
15に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記第1のゾーンZ1内の前記複数のばねS1のばね付勢力
が、前記第2のゾーンZ2内の前記複数のばねS2のばね付勢力
よりも小さい、請求項
16に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記超音波ブレードの
前記クランプジョーに向かう方向への偏向が、
遠位方向に行くにつれて増加する、請求項
11に記載の外科用器具。
【請求項19】
前記クランプアームが、前記
複数のばね
の荷重によって引き起こされる前記カンチレバー電極の前記偏向を引き起こして、前記超音波ブレードを偏向させる、請求項
11に記載の外科用器具。
【請求項20】
前記エンドエフェクタが、前記カンチレバー電極と前記超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、請求項
11に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」と題する、2019年12月30日出願の米国仮特許出願第62/955,292号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、複数のエネルギーモダリティで動作するように適合及び構成され、複数のエネルギーモダリティを、同時に、独立して、又は順次適用して用いることにより組織を封止及び切断することを可能にするエンドエフェクタに関する。より具体的には、本開示は、例えば単極又は双極ラジオ波(RF)などの超音波及び電気外科用の複合式システムを使用する外科用器具と共に動作して、超音波及び電気外科エネルギーモダリティを、同時に、独立して、又は順次適用して用いることにより、組織を封止及び切断することを可能にするように適合され、構成されたエンドエフェクタに関する。エネルギーモダリティは、組織パラメータ又は他のアルゴリズムに基づいて適用され得る。エンドエフェクタは、手持ち式外科用システム又はロボット外科用システムに結合するように適合及び構成され得る。
【背景技術】
【0003】
超音波エネルギーモダリティを用いる超音波外科用器具は、そのような器具の特殊な性能特性によって、外科手術において、ますます広範囲にわたる用途が見出されている。特定の器具構成及び操作パラメータに応じて、超音波外科用器具は、組織の切断及び凝固による止血を実質的に同時にもたらし、望ましくは、患者の外傷を最小限に抑えることができる。切断行為は、通常、器具の遠位端にあって、エンドエフェクタと接触した組織に超音波エネルギーを伝達するエンドエフェクタ、超音波ブレード、又は超音波ブレードの先端によって実現される。超音波エンドエフェクタは、他の構成要素の中でもとりわけ、超音波ブレード、クランプアーム、及びパッドを備え得る。
【0004】
いくつかの外科用器具は、超音波エネルギーを、正確な切断及び凝固の調節の両方の目的で利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断し凝固させる。超音波ブレードは高周波(例えば、毎秒55,500回)で振動し、組織中のタンパク質を変性させて粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力により血管が崩壊され、凝塊が止血封止を形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードエッジ、組織のトラクション、及びブレード圧力の調整によって制御される。
【0005】
組織を処置、封止、切断、及び/又は破壊するために、組織に電気エネルギーモダリティを印加するための電気外科用器具もまた、外科手術において、ますます広範な用途が見出されている。電気外科用器具としては、典型的には、1つ以上の電極を備えるエンドエフェクタを、遠位部に取り付けられた器具が挙げられる。エンドエフェクタは、電流が組織内に導入されるように、組織に対して位置決めすることができる。電気外科用器具は、双極又は単極動作用に構成することができる。双極動作中、電流は、第1の電極(例えば、活性電極)を通して組織内に導入され、第2の電極(例えば、戻り電極)を通して組織から戻される。単極動作中、電流は、エンドエフェクタの活性電極によって組織に導入され、例えば別途患者の体に連結される接地パッドのような戻り電極を介して戻される。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用であってもよい。電気外科用器具のエンドエフェクタは、組織を切除するための、組織及び電極に対して移動可能な切断部材も含み得る。電気外科用エンドエフェクタは、手持ち式器具及びロボット用器具に連結するように、適合及び構成され得る。
【0006】
電気外科用器具によって印加される電気エネルギーは、ハンドピースと連通している発生器によって、器具へと伝送され得る。電気エネルギーは、ラジオ波(RF)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数のRFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を上昇させることができる。処置により影響を受ける組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は掘り刻みながら、同時に血管を封止するために有用である。結合組織は、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮するため、結合組織に対してRFエネルギーが、特に良好に作用する。
【0007】
RFエネルギーは、EN 60601-2-2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数範囲であり得る。例えば、モノポーラRF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、双極RFエネルギー用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、典型的にはモノポーラ用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数が双極用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、双極用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0008】
本明細書に記載の性質の超音波外科用器具及び電気外科用器具は、直視下外科手術、低侵襲外科手術、又は非侵襲的外科手術のために構成することができる。低侵襲外科手術は、関節又は体腔内の状態を視覚化及び治療するために、小さな切開部を通して挿入されたカメラ及び器具の使用を伴う。低侵襲手術は、身体内で完全に実行され得るか、又は状況によっては、より小さいアプローチ用切開部と一緒に使用され得る。これらの組み合わされたアプローチは、例えば、「関節鏡、腹腔鏡、又は胸腔鏡支援手術」として知られる。本明細書に記載の外科用器具はまた、例えば、内視鏡外科手術などの非侵襲的手術で使用することができる。器具は、手持ち式器具又はロボットを使用して外科医によって制御され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの外科用器具を利用する課題は、治療される組織のタイプに応じて、単一又は複数のエネルギーモダリティを制御及びカスタマイズすることができないことである。現在の外科用器具の欠陥のいくつかを克服し、組織の治療、封止、若しくは切断、又はそれらの組み合わせの品質を改善するエンドエフェクタを提供することが望ましいであろう。本明細書に記載の、エネルギーモダリティ複合式エンドエフェクタは、上記の欠陥を克服し、組織の治療、封止、若しくは切断、又はそれらの組み合わせの品質を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、組織を切開し凝固させるための装置が提供される。その装置は、外科用器具を備え、その外科用器具は、複数のエネルギーモダリティを、その遠位端で組織に送達するように適合及び構成されているエンドエフェクタを備える。エネルギーモダリティは、同時に、独立して、又は順次適用され得る。発生器は、外科用器具と電気的に結合され、エンドエフェクタに複数のエネルギーモダリティを供給するように構成されている。一態様では、発生器は、エンドエフェクタが組織と相互作用することを可能にするために、電気外科エネルギー(例えば、単極又は双極ラジオ波(RF)エネルギー)及び超音波エネルギーをエンドエフェクタに供給するように構成される。エネルギーモダリティは、単一の発生器又は複数の発生器によって、エンドエフェクタに供給され得る。
【0011】
様々な態様では、本開示は、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション[IRE])を、組織に送達するように構成されている外科用器具を提供する。外科用器具は、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンと、起動ボタンのエネルギーモードを選択するための第2のボタンと、を含む。第2のボタンは、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続される。入力パラメータは、発生器への接続又はソフトウェア更新を介して、遠隔で修正することができる。
【0012】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、少なくとも1つの電極は、対向する超音波ブレードに対して偏向可能な支持体としての機能を果たす。少なくとも1つの電極は、超音波ブレードを横切り、クランプアームに対して偏向可能であるように構成され、その少なくとも1つの電極下の組織コンプレッションの機械的特性を変化させるための機能を有する。少なくとも1つの電極は、電極と超音波ブレードとの間の意図せざる接触を防止するための機能部を含む。
【0013】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、可動クランプジョーは、超音波ブレードとRF電極との間の接触を最小限に抑えるための、少なくとも1つの非付勢型で偏向可能な電極を備える。超音波ブレードパッドは、電極をパッドに固定するための機能を含む。パッドの高さが摩耗したり、又は切断されたりするので、クランプジョーに対する電極の高さは徐々に調整される。ひとたびクランプジョーが超音波ブレードから離れるように移動すると、電極はその新しい位置に留まる。
【0014】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、少なくとも1つの双極RF電極は、偏向可能であり、近位側よりも遠位側でより大きく付勢されている。双極RF電極は、クランプジョーに対して偏向可能である。エンドエフェクタは、遠位端の近位側の組織圧迫部の機械的特性を変化させて、クランプによる締付単独での圧力パターンと比べて、より均一な又はより異なるパターンの圧力を作り出すように構成されている。
【0015】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、パッドは、双極RF電極は偏向可能であり、エンドエフェクタは偏向可能な電極の長さに沿って可変のコンプレッション/付勢を提供する。エンドエフェクタは、クランプジョーの閉鎖又は締付量に基づいて、電極下の組織コンプレッションの機械的特性を変化させるように構成されている。
【0016】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様は、パッドは、超音波ブレード支持体に対する支持を提供するための非対称セグメントを含み、電極は移動可能である。非対称セグメント化パッドは、可動双極RF電極と協働的に係合するように構成されている。セグメント化された超音波支持パッドは、双極RF電極を少なくとも部分的に通って延在する。少なくとも1つのパッド要素は、第2のパッド要素よりも有意に高くなっている。第1のパッド要素は、双極RF電極を完全に通って延在し、第2のパッド要素は、双極RF電極を部分的に通って延在する。第1のパッド要素及び第2のパッド要素は、非類似材料で作製されている。
【0017】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、偏向可能な電極と組み合わせた電極の物理的パラメータ変動が、組織に送達されるエネルギー密度及び組織の相互作用を変化させるために用いられる。電極の物理面は、その長さに沿って変化し、電極がまた偏向するにつれて、電極の組織に対する接触面積及び/又は電極から組織へのエネルギー密度を変化させる。
【0018】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、超音波トランスデューサ制御アルゴリズムが提供され、超音波ブレードと電極との間の接触の短絡が検出されたときに、超音波発生器又はRF発生器によって送達される電力を減少させて、超音波ブレードへの損傷を防止する。超音波ブレード制御アルゴリズムは、電気的短絡、又は超音波ブレードの電極との接触を監視する。この検出は、電気的最小閾値を超えたときに超音波トランスデューサの電力/振幅レベルを調整するために使用され、超音波ブレード、超音波発生器、双極RF電極、又は双極RF発生器への損傷を引き起こすであろう最小閾値よりも低いレベルまで、トランスデューサ電力/振幅の閾値を調整する。監視される電気的パラメータは、組織のインピーダンス(Z)又は電気的連続性であり得る。電力調整は、外科用デバイスの超音波発生器、双極RF発生器を遮断することであり得るが、あるいはそれは、電気的パラメータ、圧力、若しくは時間又はこれらのパラメータの任意の組み合わせのいずれかに対する比例的応答であり得る。
【0019】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、クランプジョー機能部又は面が、クランプアームに提供され、組織の粘着を最小限に抑え、組織の制御性を改善する。クランプアームの組織経路又はクランプ領域は、組織経路をクランプアーム/超音波ブレードに対して調整し、所定の接触位置を作り出して、組織が粘着すること及び黒焦げになることを低減するように構成された機能部を含む。
【0020】
別の一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。一態様では、部分的に導電性のクランプアームパッドが提供され、電極が完全に摩耗するのを可能にして、超音波ブレードと双極RF電極との間の電気的短絡を最小限に抑える。クランプアームパッドは、導電性部分及び非導電性部分を含み、これにより、クランプアームパッドは、双極RF電極のうちの1つとして機能することができる一方で、超音波ブレードの摩耗可能な支持構造としても機能する。クランプアームパッドの導電性部分は、パッドの周囲に位置し、超音波ブレード接触領域の直下には位置していない。導電性部分は、分解又は摩耗して、超音波ブレードとのいかなる接触も、導電性パッドの残りの部分の導電性を遮断することも起こさないように構成されている。
【0021】
前述のものに加えて、様々な他の方法、及び/又はシステム、及び/又はプログラム製品の態様が、本開示の文中(例えば、「請求項」及び/又は詳細な説明)及び/又は図面などの教示において記載されかつ説明される。
【0022】
先の記述は概要であり、したがって、詳細の単純化、一般化、包摂、及び/又は省略を含む場合があり得る。それゆえに、当業者であれば、本「発明の概要」が単に例示的なものに過ぎず、いかなる形であれ限定する意図はないことを、理解するであろう。本明細書に記載される装置及び/若しくはプロセス、並びに/又は他の主題の、他の態様、特徴、及び利点は、本明細書に記載される教示において明らかになるであろう。
【0023】
1つ以上の様々な態様では、関連するシステムは、限定されるものではないが、本明細書で参照する方法の態様に作用するための回路及び/又はプログラミングを含む。その回路及び/又はプログラミングは、本質的に、システム設計者の設計選択に応じて、本明細書で参照する方法の態様に影響するように構成されたハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせであり得る。前述のものに加えて、様々な他の方法及び/又はシステムの態様が、本開示の文中(例えば、請求項及び/又は詳細な説明)及び/又は図面などの教示に記載及び説明される。
【0024】
更に、以下で記述する形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ以上を、以下で記述する他の形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0025】
上記の「発明の概要」はあくまで例示的なものに過ぎず、いかなる意味においても限定を目的としたものではない。上記に述べた例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
記載される形態の新規の特徴を、添付の特許請求項で具体的に説明する。しかしながら、記載される形態は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することにより最良に理解され得る。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波/RF複合式装置と共に使用するためのエンドエフェクタのクランプアーム部分の斜視図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、
図1に示すクランプアームの分解図である。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、フレームの斜視図である。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、フレームの斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、電極の斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームパッドの斜視図である。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、大ギャップパッドの斜視頂面図である。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、小ギャップパッドの斜視頂面図である。
【
図9】
図8に示す小ギャップパッドの斜視底面図である。
【
図10】本開示の様々な態様による、偏向可能/カンチレバー電極用途のための短縮クランプアームを備えるエフェクタを示す。本開示の少なくとも1つの態様による、短縮クランプアームと、超音波ブレードと、電極と、クランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタの側面図である。
【
図11】本開示の様々な態様による、偏向可能/カンチレバー電極用途のための短縮クランプアームを備えるエフェクタを示す。本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの頂面図である。
【
図12】本開示の様々な態様による、偏向可能/カンチレバー電極用途のための短縮クランプアームを備えるエフェクタを示す。本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、電極と、クランプアームパッドとを備えるクランプアームを示す。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、電極と、クランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタクランプアームを示す。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、電極と、クランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタクランプアームを示す。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、電極と、クランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタクランプアームを示す。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、摩滅した底部リテーナ歯を示し、この摩滅は、予め形成された曲線により、電極がクランプジョーに向かって移動することを可能にするものである。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、電極と、クランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタクランプアームを示す。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、摩滅したテーパ状のプロファイルを有するリテーナ壁を示し、この摩耗は、テーパ状プロファイル領域を有するリテーナ壁からの十分な溶出/流出があって、予め形成された曲線によって、電極がクランプジョーに向かって移動することを可能にするものである。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームと、超音波ブレードと、格子クッションと、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサとを備えるエンドエフェクタを示す。開放されたクランプアームと、フレキシブル電極を覆うように配置された、不均一な厚さの組織(T
1a、T
2a、T
3a)を示す。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームと、超音波ブレードと、格子クッションと、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサとを備えるエンドエフェクタを示す。クランプアームが閉鎖されて、組織を圧迫しているのを示す。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームと、超音波ブレードと、格子クッションと、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサとを備えるエンドエフェクタを示す。
図19~
図20に示すエンドエフェクタの分解図である。
【
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームと、複数のばね上に配設された電極と、超音波ブレードとを備えるエンドエフェクタを示す。直線状態を示す。
【
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームと、複数のばね上に配設された電極と、超音波ブレードとを備えるエンドエフェクタを示す。偏向状態を示す。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、太いばねと細いばねとを示す。
【
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアーム内に配設されたばねの頂面図であって、4つの画定されたゾーンであるゾーン1~ゾーン4における、ばねの分布密度を示すための図である。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、導電性ポリマー製クランプアームパッドの断面図である。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、従来の電極に置き換わるように構成されているクランプアームパッドの斜視図である。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、
図27に記載のクランプアームパッドを備えるクランプアームを示す。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、
図27~
図28に記載されるように構成されているクランプアームパッドを示す。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、組織と接触している複合式クランプアームパッドを備えるクランプアームの断面図である。
【
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーに取り付けられたキャリア又はスタンピングを支持するクランプジョーと、クランプアームパッドとを備えるクランプアームを示す。
【
図32】
図31における切開面32-32で切開した断面図である。
【
図33】
図31における切開面33-33で切開した断面図である。
【
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、導電性パッドと、非導電性パッドとを備えるクランプアームの、代替的な実装形態の断面図である。
【
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョーと、クランプジョーに溶接されたキャリア又はスタンピングと、導電性パッドと、非導電性パッドとを備えるクランプアームの、代替的な実装形態の断面図である。
【
図36】本開示の少なくとも1つの態様による、インサート成形電極を示す。
【
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波ブレードと、クランプアームと、導電性フィルムを含むクランプアームパッドとを備えるエンドエフェクタを示す。
【
図39】
図38の切開面39-39に沿って切開したクランプアームの断面図である。
【
図40】本開示の少なくとも1つの態様による、部分的に導電性のクランプアームパッドを備えるクランプアームを示す。
【
図41】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスの上にモード選択ボタンスイッチを備える外科用デバイスを示す。
【
図42A】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスの様々な動作モードを選択するための3つのオプションを示す。ボタンスイッチを前後に押して、外科用器具を様々なモードに順次切り替えることができる第1のモード選択オプションを示す。
【
図42B】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスの様々な動作モードを選択するための3つのオプションを示す。ボタンスイッチを上下に押して、外科用器具を様々なモードに順次切り替える第2のモード選択オプションを示す。
【
図42C】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスの様々な動作モードを選択するための3つのオプションを示す。ボタンスイッチを前後上下に押して、外科用器具を様々なモードに順次切り替える第3のモード選択オプションを示す。
【
図43】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイスの背面にモード選択ボタンスイッチを備える外科用デバイスを示す。
【
図44A】第1のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチが押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、ユーザインターフェース上で、着色光が選択されたモードを示すものである。
【
図44B】第2のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチが押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、スクリーン(例えば、液晶ディスプレイ、eインク)が選択されたモードを示すものである。
【
図44C】第3のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチが押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、符号化されたライトが選択されたモードを示すものである。
【
図44D】第4のモード選択オプションを示し、符号化されたボタンスイッチが選択されて、符号化されたボタンスイッチが押されてあるモードが選択されるとき、その符号化されたボタンスイッチが、選択されたモードを示すように発光するものである。
【
図45】本開示の少なくとも1つの態様による、トリガ起動機構を備える外科用デバイスを示す。
【
図46】本開示の少なくとも1つの態様による、金属クランプジョーと、電極と、複数のクランプアームパッドと、ギャップパッドとを備える、代替的クランプアームを示す。
【
図47】本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブを備える外科用システムである。
【
図48】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の一例を示す。
【
図49】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムをカスタマイズするために組み合わせることができる様々なモジュール及び他の構成要素の図である。
【
図50A】本開示の少なくとも1つの態様による、ヘッダモジュールと、ヘッダモジュールに接続されたモジュールに関する情報を中継するためのグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を表すディスプレイスクリーンと、を含む、第1の例示的なモジュール式エネルギーシステムの構成である。
【
図50B】本開示の少なくとも1つの態様による、カートに搭載された
図50Aに示されるモジュール式エネルギーシステムである。
【
図51】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器と、超音波エネルギー及び双極RFエネルギーを用いて組織を治療するように動作可能な外科用器具とを有する、外科用システムの一例の斜視図を示す。
【
図52】本開示の少なくとも1つの態様による、
図51の外科用器具のエンドエフェクタの斜視頂面図を示し、そのエンドエフェクタは、第1の電極と、第2の電極を提供する超音波ブレードとを提供するクランプアームを有するものである。
【
図53】本開示の少なくとも1つの態様による、
図52のエンドエフェクタの斜視底面図を示す。
【
図54】本開示の少なくとも1つの態様による、
図51の外科用器具の部分的分解斜視図を示す。
【
図55】本開示の少なくとも1つの態様による、
図51の外科用器具の、シャフトアセンブリの遠位部分とエンドエフェクタとの、拡大分解斜視図を示す
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の出願人は、2019年12月30日に出願された以下の米国仮特許出願を所有しており、これらの各々の開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる:
・米国仮特許出願第62/955,294号、発明の名称「USER INTERFACE FOR SURGICAL INSTRUMENT WITH COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、
・米国仮特許出願第62/955,299号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS FOR COMBINATION ENERGY DELIVERY」、及び
・米国仮特許出願第62/955,306号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS」。
【0028】
本願の出願人は、本願と同日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる:
・代理人整理番号第END9232USNP1/190715-1号、発明の名称「USER INTERFACE FOR SURGICAL INSTRUMENT WITH COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、
・代理人整理番号第END9233USNP1/190716-1M号、発明の名称「METHOD OF OPERATING A COMBINATION ULTRASONIC / BIPOLAR RF SURGICAL DEVICE WITH A COMBINATION ENERGY MODALITY END-EFFECTOR」、
・代理人整理番号第END9233USNP2/190716-2号、発明の名称「DEFLECTABLE SUPPORT OF RF ENERGY ELECTRODE WITH RESPECT TO OPPOSING ULTRASONIC BLADE」、
・代理人整理番号第END9233USNP3/190716-3号、発明の名称「NON-BIASED DEFLECTABLE ELECTRODE TO MINIMIZE CONTACT BETWEEN ULTRASONIC BLADE AND ELECTRODE」、
・代理人整理番号第END9233USNP5/190716-5号、発明の名称「DEFLECTABLE ELECTRODE WITH VARIABLE COMPRESSION BIAS ALONG THE LENGTH OF THE DEFLECTABLE ELECTRODE」、
・代理人整理番号第END9233USNP6/190716-6号、発明の名称「ASYMMETRIC SEGMENTED ULTRASONIC SUPPORT PAD FOR COOPERATIVE ENGAGEMENT WITH A MOVABLE RF ELECTRODE」、
・代理人整理番号第END9233USNP7/190716-7号、発明の名称「VARIATION IN ELECTRODE PARAMETERS AND DEFLECTABLE ELECTRODE TO MODIFY ENERGY DENSITY AND TISSUE INTERACTION」、
・代理人整理番号第END9233USNP8/190716-8号、発明の名称「TECHNIQUES FOR DETECTING ULTRASONIC BLADE TO ELECTRODE CONTACT AND REDUCING POWER TO ULTRASONIC BLADE」、
・代理人整理番号第END9233USNP9/190716-9号、発明の名称「CLAMP ARM JAW TO MINIMIZE TISSUE STICKING AND IMPROVE TISSUE CONTROL」、及び
・代理人整理番号第END9233USNP10/190716-10号、発明の名称「PARTIALLY CONDUCTIVE CLAMP ARM PAD TO ENABLE ELECTRODE WEAR THROUGH AND MINIMIZE SHORT CIRCUITING」。
【0029】
本願の出願人は、2020年5月28日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる:
・米国特許出願第16/885,813号、発明の名称「METHOD FOR AN ELECTROSURGICAL PROCEDURE」、
・米国特許出願第16/885,820号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT」、
・米国特許出願第16/885,823号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH JAW ALIGNMENT FEATURES」、
・米国特許出願第16/885,826号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH ROTATABLE AND ARTICULATABLE SURGICAL END EFFECTOR」、
・米国特許出願第16/885,838号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ASYNCHRONOUS ENERGIZING ELECTRODES」、
・米国特許出願第16/885,851号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ELECTRODES BIASING SUPPORT」、
・米国特許出願第16/885,860号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH FLEXIBLE WIRING ASSEMBLIES」、
・米国特許出願第16/885,866号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH VARIABLE CONTROL MECHANISMS」、
・米国特許出願第16/885,870号、発明の名称「ELECTROSURGICAL SYSTEMS WITH INTEGRATED AND EXTERNAL POWER SOURCES」、
・米国特許出願第16/885,873号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS WITH ELECTRODES HAVING ENERGY FOCUSING FEATURES」、
・米国特許出願第16/885,879号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENTS WITH ELECTRODES HAVING VARIABLE ENERGY DENSITIES」、
・米国特許出願第16/885,881号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH MONOPOLAR AND BIPOLAR ENERGY CAPABILITIES」、
・米国特許出願第16/885,888号、発明の名称「ELECTROSURGICAL END EFFECTORS WITH THERMALLY INSULATIVE AND THERMALLY CONDUCTIVE PORTIONS」、
・米国特許出願第16/885,893号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ELECTRODES OPERABLE IN BIPOLAR AND MONOPOLAR MODES」、
・米国特許出願第16/885,900号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT FOR DELIVERING BLENDED ENERGY MODALITIES TO TISSUE」、
・米国特許出願第16/885,917号、発明の名称「CONTROL PROGRAM ADAPTATION BASED ON DEVICE STATUS AND USER INPUT」、
・米国特許出願第16/885,923号、発明の名称「CONTROL PROGRAM FOR MODULAR COMBINATION ENERGY DEVICE」、及び
・米国特許出願第16/885,931号、発明の名称「SURGICAL SYSTEM COMMUNICATION PATHWAYS」。
【0030】
外科用器具の様々な形態を詳細に説明する前に、例示的形態が、適用又は使用において、添付の図面及び説明で例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な形態は、他の形態、変形、及び修正で実行されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、別途示さない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な形態を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。
【0031】
更に、以下で記述する形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ以上を、以下で記述する他の形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0032】
様々な形態は、外科手術中の組織の治療、切開、切断、及び/又は凝固をもたらすように構成されている、改善された超音波及び/又は電気外科用(RF)器具を対象とする。一形態では、超音波及び電気外科用の組み合わせ器具が、直視下外科手術における使用のために構成され得るが、手持ち式又はロボット支援手術のいずれかにおける他の種類の手術、例えば低侵襲腹腔鏡術、オルソスコープ術、又は胸腔鏡術、及び例えば非侵襲内視鏡術における用途も有する。多数のエネルギーモダリティを同時に、独立して、順次、又はそれらの組み合わせで選択的に適用することによって、汎用性が達成される。例えば、汎用性は、超音波及び電気外科エネルギー(例えば、単極又は双極RFエネルギー)を、同時的、独立的、順次、又はそれらを組み合わせた様態のいずれであれ、選択的に使用することによって達成され得る。
【0033】
一態様では、本開示は、超音波ブレード及び偏向可能なRF電極を備える超音波外科用クランプ装置を提供し、超音波ブレード及び偏向可能なRF電極は協働して、RF電極を備える装置のクランプ機構と、関連する超音波ブレードの協働によって、組織の封止、切断、及びクランプによる締付を実現する。クランプ機構は、超音波ブレードと協働する枢動式クランプアームを含み、それらの間に組織が把持される。クランプアームには、好ましくは、クランプ組織パッド(「クランプアームパッド」としても知られている)が設けられるが、このパッドは、軸方向に互いに離間した複数の把持歯、セグメント、要素、又は個々のユニットを有する。これらは、外科手術中の組織の把持及び把握を容易にする一方で、エンドエフェクタの超音波ブレードと協働して、組織に対する所望の封止及び切断効果を達成する。
【0034】
一態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極を備える。他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、上記の電極への代替物を備える。それにより、組織への、組織の形状に順応するRFエネルギーカップリングを提供し、パッドの摩耗/薄化に適応し、過剰な熱の生成を最小現に抑え(低い摩擦係数、圧力)、火花の生成を最小限に抑え、電気短絡による中断を最小限に抑え、又はそれらの組み合わせを最小限に抑える。電極は、クランプジョーに近位端で固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0035】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、組織を把持及び封止するためにパッドと超音波ブレードとの間に高い圧力を印加して、例えば、薄い組織、横方向の張力がかかっている組織、持ち上がっている/垂直方向の張力がかかっている組織、特にクランプアームから離れるように持ち上がっている組織などの、制約のかかる又は困難なシナリオでもクランプアーム電極が組織に接触する蓋然性を最大化するように構成されているクランプアーム機構を備える。
【0036】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極間の表面積/電流密度の調和をバランスさせ、組織とのインターフェースからの熱伝導のバランスをとりつつ最小化して、例えば、変性部の形成及び対称性に影響を及ぼし、サイクル時間、残留熱エネルギーなどにも影響を及ぼすように構成されている。
【0037】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、粘着、組織の付着を最小化する(アンカーポイントを最小化する)ように構成され、小さなポリイミドパッドを含み得る。
【0038】
様々な態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、エンドエフェクタを備える。エンドエフェクタは、クランプアームと、超音波ブレードとを備える。クランプアームは、可動クランプジョー、形状順応ポリマーパッド、及び少なくとも1つの双極RF電極を備える。少なくとも1つの電極は、RF発生器の正極に結合され、超音波ブレードは、RF発生器の負極に結合される。超音波ブレードは、超音波発生器によって駆動される超音波トランスデューサスタックに音響的に結合されている。様々な態様では、エンドエフェクタは、電極付勢機構を備える。
【0039】
一般的な一態様では、本開示は、エンドエフェクタの少なくとも1つのジョー上での、可動RF電極との超音波及び高度双極RFエネルギーの組み合わせを含む外科用デバイスを使用するための方法を対象とする。可動RF電極は、可動RF電極の近位端から遠位端まで変化する付勢力を有する。可動RF電極は、互いに電気通信可能となり得る又は互いに隔離され得るように、別個の部分に分割されている。可動RF電極は、導電性又は部分的に導電性の材料で作製されている。本開示で説明されるエンドエフェクタの任意のものが、電極付勢機構を用いて構成され得ることが理解されよう。
【0040】
一態様では、本開示は、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止するための制限的電極付勢機構を提供する。一般に、様々な態様では、本開示は、超音波/RF複合式デバイスと共に使用するためのエンドエフェクタを提供し、エンドエフェクタは、電極を備える。一態様では、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、電極付勢機構を備える。一態様では、制限的電極付勢機構は、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止又は最小化するように構成されている。電極は、クランプジョーに近位端で固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0041】
様々な態様では、本開示は、付勢閾値機構を備える一端のみで固定された、電極カンチレバービームを提供する。一態様では、偏向可能なカンチレバー電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのために構成されている。
【0042】
一態様では、超音波/RFエネルギー複合式外科用デバイスは、超音波ブレード、クランプアーム、及び超音波ブレードを横切る少なくとも1つの電極を備える。一態様では、電極は、クランプアームに対して偏向可能であるように構成され、電極と超音波ブレードとの間でコンプレッションされている組織の機械的特性を変化させるための機能部を含む。別の一態様では、電極と超音波ブレードとの間の不注意な接触を防止して、超音波ブレードが電極を損傷するのを防止又は最小化するための機能部を含む。
【0043】
様々な態様では、電極は、エンドエフェクタのクランプジョーの近位端に取り付けられた金属ばね要素を備える。金属ばね要素は、開口部を画定し、その開口部を通して1つ以上のクランプアームパッド(「組織パッド」又は「クランプ組織パッド」としても知られる)を受容する。また金属ばね要素は、統合された最小ギャップ要素を備える。電極のこの構成は、付勢機構の周りに組織が蓄積すること(電極の性能に影響を及ぼす可能性がある)を防止する方法を提供する。この構成はまた、摩耗パッドと付勢ばねとの間の結合を最小限に抑え、クランプアームへの電極の接続の強度を高め、ポリイミド製のパッドを電極に取り付けることによって、クランプアームパッドの意図せざる解放を最小限に抑え、電極間で表面積/電流密度のバランスを調和させる。電極は、クランプジョーに近位端で固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は偏向可能であり、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0044】
図1~
図9は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波/双極RFエネルギー複合式装置と共に使用するように構成されている偏向可能/カンチレバー電極を備える、エンドエフェクタの一態様を示す。
図1は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波/RF複合式装置と共に使用するためのエンドエフェクタのクランプアーム1000部分の斜視図である。開示を簡潔かつ明確にするために、エンドエフェクタの他方のクランプアームとして機能する超音波ブレードは示されていない。エンドエフェクタは、超音波ブレードが双極RF回路の一方の極であり、クランプアーム1000が反対の極であるように構成されている。クランプアーム1000と超音波ブレードとの間には、一貫してRF電極ギャップが維持され、超音波ブレードが電極に接触してブレードの破損又は短絡をもたらすのを防止する。治療下の組織は、クランプアーム1000と超音波ブレードとの間で締め付けられ、圧迫される。
【0045】
クランプアーム1000は、フレーム1002、電極1004、少なくとも1つの小さな非導電性ギャップパッド1006、少なくとも1つの大きな非導電性ギャップパッド1008、少なくとも1つの非導電性クランプアームパッド1010を含む。一態様では、小さなギャップパッド1006と大きなギャップパッド1008とは、電極1004と超音波ブレードとの間にギャップを設定するように構成されている。クランプアームパッド1010は、クランプアーム1000と超音波ブレードとの間で組織を把持して、組織の封止及び切断を助けるように構成されている。他の態様では、大小の非導電性ギャップパッドは、入れ替えられてもよい。他の態様では、非導電性ギャップパッドは、非導電性ギャップパッドどうしの間の相対的なサイズ差にかかわらず、単に異なったサイズにそれぞれ決定される。
【0046】
エンドエフェクタに対するクランプアーム1000の枢動動作は、その近位端1014に、クランプアーム1000のフレーム1002の、少なくとも1つ、及び好ましくは一対の、レバー部分1012を設けることによりもたらされる。レバー部分1012は、超音波導波管及びエンドエフェクタの対向する側部それぞれに配置され、往復式作動部材の駆動部分と動作可能に係合している。それにより、外側管状シース及び超音波導波管に対する、作動部材の往復動作により、枢動点1016の周りで、クランプアーム1000がエンドエフェクタに対して枢動する動作がもたらされる。レバー部分1012は、駆動部分によって画定される一対の開口部内にそれぞれ配置する、あるいは別の方法で駆動部分と好適に機械的に連結することができ、それにより、作動部材の往復運動が、駆動部分及びレバー部分1012を通じて、クランプアーム1000を枢動させる働きをする。
【0047】
図2は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図1に示すクランプアーム1000の分解図である。様々な態様では、電極1004は、電極1004が偏向することができるように、クランプアーム1000のフレーム1002の近位端1014に取り付けられた、金属ばね材料で作製されている。金属ばね電極1004は、開口部1018を画定し、その開口部1018を通してクランプアームパッド1010の要素を受容する。金属ばね電極1004は、追加の開口部1020、1021を画定し、開口部1020、1021を通してギャップパッド1006、1008を受容する。これにより、電極1004と超音波ブレードとの間に、最小ギャップが設定される。ギャップパッド1006のうちの少なくとも1つは、電極1004の遠位端1022上に配設されている。このように、ギャップパッド1006、1008は、電極1004と一体化されている。この構成では、電極1004は、組織が、付勢機構、例えばカンチレバー式バネの周りに蓄積するのを防止するが、それはこの蓄積が、電極1004の性能に悪影響を与えかねないからである。この構成はまた、摩耗可能なクランプアームパッド1010と付勢ばね電極1004との間の結合を最小限に抑え、クランプアームに対する電極1004の接続の強度を高め、ギャップパッド1006、1008を電極1004に取り付けることによって、クランプアームパッド1018の意図せざる解放を最小限に抑え、電極間で表面積/電流密度のバランスを調和させる。電極1004は、2つの突起1024によってフレーム1002に取り付けられている。電極突起1024は、
図3及び
図4に示されるように、フレーム1002の近位端1014に取り付けられている。
【0048】
図3及び
図4は、本開示の少なくとも1つの態様による、フレーム1002の斜視図である。これらの図は、電極1004の近位端をフレーム1002に取り付けるための、フレーム1002の近位端1014上の接続面1026を示している。一態様では、電極1004が偏向可能な様態で挙動するように、電極突起1024が、フレーム1002の接続面1026に溶接されている。
【0049】
図5は、本開示の少なくとも1つの態様による、電極1004の斜視図である。この図は、長手方向の長さに沿った電極1004の曲率によって示されるような、ばね材料で作製された電極1004が付勢されているのを示す。開口部1018、1020、1021はそれぞれ、ギャップパッド1006、1008及びクランプアームパッド1010を受容するためのものである。一態様では、電極1004は、0.010インチの厚さ「d」を有し、厚さ「d」は、例えば、0.005インチ~0.015インチの範囲内で選択され得る。
図8及び
図9も参照すると、開口部1020は、ギャップパッド1006の底部分に画定された突起1036を受容するように、サイズ決定及び構成されている。
【0050】
図6は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアームパッド1010の斜視図である。クランプアームパッド1010は、バックボーン1030から突出する複数のクランプアーム要素1032を備える。本開示を通して、クランプアーム要素1032はまた、「歯」とも呼ばれる。一態様では、クランプアームパッド1010は、ギャップパッド1006が電極1004上で位置する位置に、開口1028を画定する。
図8及び
図9も参照すると、クランプアームパッド1010によって画定される開口1028は、ギャップパッド1006の底部分に画定された突起1036を受容するように、サイズ決定及び構成されている。一態様では、クランプアームパッド1010の材料は、ギャップパッド1006、1008の材料よりも軟質である。一態様では、クランプアームパッド1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は類似のテトラフルオロエチレンの合成フルオロポリマーなどの非粘着性で潤滑性の材料で作製されている。PTFEは、疎水性で、非湿潤性で、高密度であり、しかも高温に耐性があり、多用途の材料であり、非粘着特性を有する。対照的に、ギャップパッド1006、1008は、ポリイミド材料で作製され、一態様では、例えば、DuPont社製で、VESPELという商品名で知られている耐久性の高い高性能ポリイミド系プラスチック、又は例えば、他の適切なポリイミド、ポリイミドポリマー合金、若しくはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)ポリマー合金から作製される。以下に別途記載のない限り、本明細書で以下に記載されるクランプアームパッド及びギャップパッドは、この段落に記載された材料で作製される。
【0051】
図7は本開示の少なくとも1つの態様による、大ギャップパッド1008の斜視頂面図である。大きなギャップパッド1008は、電極1004の近位端1014における開口部1021内に嵌合するようにサイズ決定及び構成された、突起1034を備える。
図8は、本開示の少なくとも1つの態様による、小ギャップパッド1006の斜視頂面図である。
図9は、
図8に示す小ギャップパッド1006の斜視底面図である。
図8及び
図9に示すように、小さなギャップパッド1006は、底部に突起1036を含み、その突起1036は、電極1004によって画定された開口部1020及びクランプアームパッド1010によって画定される開口部1028内に受容されるように、サイズ決定及び構成されている。小さいギャップパッド1006、及び大きいギャップパッド1008は、ポリイミド材料で作製され、一態様では、DuPont社製で、VESPELという商品名で知られている耐久性の高い高性能ポリイミド系プラスチックから作製される。ポリイミド材料の耐久性は、通常の摩耗及び引き裂きを想定した場合に、電極ギャップが比較的一定のままであることを保証する。
【0052】
一態様では、本開示はまた、超音波及び双極RFエネルギー複合式装置のための追加のエンドエフェクタ構成を提供する。本開示のこの部分は、超音波及び双極RFエネルギー複合式装置で使用するためのエンドエフェクタ構成を提供する。これらの構成では、エンドエフェクタは、双極RF回路の一方の極として機能する超音波ブレードと、双極RF回路の反対の極として機能するクランプアームとの間に一貫したギャップ、RF電極ギャップを維持する。従来のエンドエフェクタ構成では、電極ギャップは、外科手術中に摩耗し得る軟質PTFEクランプアームパッドによって設定される。クランプアームパッドが完全に摩耗すると、超音波ブレードは電極に接触し得るが、その場合、ブレードの破損又は電気的短絡をもたらし、それらの両方が望ましくないことである。
【0053】
これらの及び他の限界を克服するために、本開示の様々な態様は、クランプアームに固定された非粘着性で潤滑性のある、柔軟(例えば、PTFE)パッドを含むクランプアームパッドと組み合わせて、偏向可能なRF電極を組み込む。RF電極は、耐摩耗性を有する非導電性パッドを含み、このパッドがブレードに接触して、ブレードと電極との間のギャップを設定する。柔軟クランプアームパッドは、電極によって画定された開口部を通って延在し、超音波ブレードからの締付力に反応する。柔軟クランプアームパッドが摩耗するにつれて、電極が偏向して、ブレードと電極との間に一定のギャップを維持する。そのような構成は、装置の寿命を通して電極と超音波ブレードとの間に一貫したギャップを提供し、超音波ブレードが電極に接触するときに起こり得る短絡及び超音波ブレードの破損を防止し、電極材料を超音波ブレードと対向する側に直接配置することを可能にして封止性能を改善することができる。電極は、クランプジョーに近位端で固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0054】
一態様では、本開示は、超音波ブレードとRF電極との相互作用をもたらすために、クランプアーム/電極/パッドの非対称的な協働を提供する。一態様では、本開示は、短縮されたクランプアームを提供する。
図10~
図12は、本開示の様々な態様による、偏向可能/カンチレバー電極用途のための短縮されたクランプアームを備えるエフェクタを示す。一態様では、エンドエフェクタは、クランプアーム、電極、及びクランプアームパッドの非対称的協働のために構成されて、超音波ブレードとRF電極との相互作用をもたらす。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0055】
一態様では、クランプアームの遠位端が短縮されているが、クランプアームパッドの長さは元と同じ長さに保たれ、それによりクランプアームパッドの遠位端が、クランプアームの遠位端を越えて延出する。これにより、電極が過伸展することを可能にして、クランプアームの遠位端を電気的に短絡させる可能性を最小限に抑えることができる。また、完全に摩耗するように、露出したクランプアームパッド材料が追加されるため、クランプアームパッドの寿命を延ばすという利点もあり得る。この構成はまた、例えば、電極と超音波ブレードとの間のギャップを設定及び維持するための耐摩耗性クランプアームパッドとして本明細書内で先に言及された、遠位位置及び中間位置でのギャップ設定用のクランプアームパッドの使用を排除することができる。
【0056】
図10は、本開示の少なくとも1つの態様による、短縮クランプアーム1682と、超音波ブレード1684と、電極1686と、クランプアームパッド1688とを備えるエンドエフェクタ1680の側面図である。
図11は、エンドエフェクタ1680の頂面図である。
図10~
図11に示すように、超音波ブレード1684及び電極1686は、実質的に同じ長さである。クランプアーム1682は、電気的短絡を防止するために、電極1686が過進展することを可能にするように短縮される。一態様では、ギャップ設定パッド1690は、エンドエフェクタ1680の近位端1692に設けられている。
【0057】
図12は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー1702と、電極1704と、クランプアームパッド1706とを備えるクランプアーム1700を示す。クランプアーム遠位側上方に、何もない空間が存在する。クランプアーム1700は、本明細書の他のセクションで開示されているように、超音波ブレードを備えるエンドエフェクタと共に使用するように構成されている。この構成は、クランプジョー1702の遠位側上方空間1708を、何もない状態にする。クランプアームパッド1706(例えば、PTFE)は、その下を完全に支持されるが、何もない空間が、tスロット領域内及び側壁上に存在して、より多くのクランプアームパッド1706が融け落ちるのを可能にし、超音波ブレード(図示せず)から遠ざかるように電極1704が更に偏向することを可能にする。
【0058】
一態様では、本開示は、電極を偏向させるためにパッドの熱挙動を用いるエンドエフェクタを提供する。一態様では、クランプアームパッドの長さは、超音波ブレードと同じ長さであり得、クランプアームパッドが圧力又は熱に起因して膨張又は形状変化するにつれて、クランプアームパッド材料(例えば、PTFE)の熱膨張特性を利用して、超音波ブレードの経路から外れるように電極を偏向させることができる。
【0059】
一態様では、非付勢型電極及びパッドが提供される。非付勢型であるが偏向可能なパッドは、パッドが摩耗するにつれて、クランプアームに対して位置が変化する。非付勢型電極は、超音波ブレードとRF電極との間の接触を最小限に抑えるように構成されている。クランプアームパッドは、電極をクランプアームパッドに固定するための機能部を備える。一態様では、クランプアームパッドの高さが摩耗するか、又は切断されると、クランプアームに対する電極の高さは、徐々に調整される。別の一態様では、ひとたびクランプアームが超音波ブレードから離れるように移動すると、電極はその新しい位置に留まる。電極は、近位端でクランプアームに固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0060】
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を含むエンドエフェクタの構成は、
図13~
図18に関して以下に説明されるように、付勢電極と組み合わされ得る。
【0061】
一態様では、本開示は、圧力又はクランプジョーによる圧迫を用いて、クランプアームパッドが摩耗するにつれて電極の高さを調整する、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのためのエンドエフェクタを提供する。一態様では、クランプアームパッドは、摩耗可能な停止部を有するクランプアームによって付勢されている電極に従う。一態様では、クランプアームパッドは、電極をパッドに固定するための機能を含む。パッドの高さが摩耗するか、又は切断されると、クランプアームに対する電極の高さは徐々に調整される。クランプアームが超音波ブレードから離れるように移動すると、電極はその新しい位置に留まる。
【0062】
超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイス上で十分なクランプアームパッド寿命を達成することは、器具の寿命全体を通して十分に小さいがゼロではないクランプアームパッドと電極との間のギャップを維持して、望ましい超音波及び双極RFの組織に対する効果を提供することを必要とする。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0063】
既存の(シード)電極は、フリー状態(負荷なし)で、水平又はクランプアームと実質的に平行である平坦な電極である。電極は、近位端でクランプアームに固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能/カンチレバー電極と称され得る。組織をクランプで締め付けると、組織は電極に荷重をかけ、電極がクランプアームに向かって偏向する。
【0064】
一態様では、電極は、パッドが摩耗すると、電極もそれに「追従する」。この態様では、電極は、自由状態(形成/湾曲した電極であるか、又はクランプアームに対して非平行に電極を取り付ける/溶接するかにかかわらず)では、他の締結技術の中でもとりわけ、溶接、レーザー溶接、ろう付け、はんだ付け、プレス加工などの任意の好適な締結技術を使用して、クランプアームに向かって付勢される。摩耗可能な停止機能部(パッド上又は他の場所にある)は、使用中に停止機能部が摩滅するまで、電極をクランプアームから離して保つ。一旦これが摩滅すると、電極はクランプアームに近づくことができる。これらの機能部は、歯又はラチェット形状、垂直テーパ付き、又は他のものであり得る。
【0065】
一態様では、本開示は、偏向可能な/カンチレバー電極を提供するが、その電極は、自由状態では、クランプアームに向かって付勢され、ある角度で取り付けられ、予め形成された曲線をもって作製され得る。その際、他の締結技術の中でもとりわけ、溶接、レーザー溶接、ろう付け、はんだ付け、圧縮などの任意の好適な締結技術が使用される。
【0066】
一態様では、本開示は、電極がクランプアームに到達又は接触することを防止するための摩耗可能な停止機能部を備える偏向可能/カンチレバー電極を備えるエンドエフェクタを提供する。停止機能部が摩耗すると、電極が次の停止機能部に到達するまで、クランプアームに向かって移動する。一態様では、停止機能部は、クランプアームパッドと同時に摩耗して、クランプアームパッドと電極との間の適切なギャップを維持する。これらの機能部は、クランプアームパッドから完全に分離され得る。これらの機能部は、クランプによる締付の負荷に耐えるが、熱によって(溶融/流動)又は摩擦によって、よりすり減るように構成することができる。可能な例としては、1つ以上のクランプアームパッド(PTFE、ポリイミド、又は他のもの)上の歯、及び1つ以上のクランプアームパッド(PTFE、ポリイミド、又は他のもの)上のテーパ状プロファイルが挙げられる。
【0067】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー1712と、電極1714と、クランプアームパッド1716とを備えるエンドエフェクタクランプアーム1710を示す。クランプアーム1710は、本開示を通して説明されるように、超音波ブレード(図示せず)を備えるエンドエフェクタと共に使用するように構成されている。クランプアーム1710はまた、電極1714と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための耐摩耗性ギャップパッド1717を備える。図示されるように、自由状態では、電極1714は、傾斜のない平坦な又は水平1718の向きに付勢される。電極1714は、近位端でクランプジョー1712に固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極1714は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0068】
図14は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー1722と、電極1724と、クランプアームパッド1726とを備えるエンドエフェクタクランプアーム1720を示す。クランプアーム1720は、本開示を通して説明されるように、超音波ブレード(図示せず)を備えるエンドエフェクタと共に使用するように構成されている。クランプアーム1720はまた、電極1724と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための耐摩耗性ギャップパッド1727を備える。図示されるように、自由状態では、電極1724は、事前にある形に形成されているか、屈曲させられて構成されているか、又はそうでなければライン1728に沿って水平1718の配向から離れて、クランプジョー1722に向かって付勢されている。電極1724は、近位端でクランプアーム1720に固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極1724は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。付勢電極1724が付勢力下でクランプジョー1722に向かって曲がるのを防止するために、クランプアーム1720は、リテーナを更に備え、このリテーナが、クランプジョー1722に向かって付勢電極1724が曲がることを防止し、バイアス電極1724を超音波ブレードに対して実質的に平坦な構成(例えば、平行、平坦、又は水平)に維持する。テーパ状プロファイルを有するリテーナ歯1738及びリテーナ壁1760などのリテーナの例が、
図15~
図18を参照して以下に説明される。
【0069】
図15は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー1732と、電極1734と、クランプアームパッド1736とを備えるエンドエフェクタクランプアーム1730を示す。クランプアーム1730は、本開示を通して説明されるように、超音波ブレード(図示せず)を備えるエンドエフェクタと共に使用するように構成されている。クランプアーム1730はまた、電極1744と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための耐摩耗性ギャップパッド1737を備える。自由状態では、電極1734は、クランプジョー1732に向かって、湾曲した形状に予め形成されるか、屈曲させられるか、又は他の方法で付勢されるように構成されている。しかしながら、リテーナ歯1738又は同様の機能部が、クランプアームパッド1736上に提供され、電極1734がクランプジョー1732に向かって飛び込むのを防止する。
図16では、本開示の少なくとも1つの態様によれば、底部リテーナ歯1738が摩滅したとき、電極1734は、予め形成された曲線により、クランプジョー1732に向かって移動し得る。電極1734は、近位端でクランプアーム1730に固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極1734は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0070】
図17は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー1752と、電極1754と、クランプアームパッド1756とを備えるエンドエフェクタクランプアーム1750を示す。クランプアーム1750は、本開示を通して説明されるように、超音波ブレード(図示せず)を備えるエンドエフェクタと共に使用するように構成されている。クランプアーム1750はまた、電極1754と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための耐摩耗性ギャップパッド1757を備える。自由状態では、電極1754は、クランプジョー1752に向かって湾曲する形状を有して予め形成されるか、屈曲させられるか、又は他の方法で付勢1758されるように構成されている。しかしながら、テーパ状プロファイル又は同様の機能部を有するリテーナ壁1760が、クランプアームパッド1756上に提供され、電極1754がクランプジョー1752に向かって飛び込むのを防止する。
【0071】
図17では、本開示の少なくとも1つの態様によれば、先細プロファイルのリテーナ壁1760が摩滅すると、テーパ状プロファイルリテーナ壁1760領域から離れるような、溶融/流動が十分存在し、予め形成された曲線によって、電極1754がクランプジョー1752に向かって移動することが可能になる。電極1754は、近位端でクランプジョー1752に固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極1754は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0072】
一態様では、本開示は、一定圧力分布付勢機構を用いる、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのためのエンドエフェクタを提供する。一態様では、エンドエフェクタは、偏向可能な電極を装着及び絶縁するための弾性圧迫性支持体を含む。一態様では、中空ハニカム状の、又はチャンバを有するエラストマー支持体取り付けクッションを使用して、それに取り付けられた電極の全部又は一部が、超音波ブレードに向かって偏向すること又は付勢されることを可能にすることができる。この構成は、金属クランプジョーの残りの部分から電極を熱的に遮断する追加の利点を提供することができる。これはまた、電極の周りにエラストマーの「カーテン」を提供して、電極の背後で組織が蓄積するのを最小限に抑える。一態様では、エラストマーセルのための支柱なしで偏向可能な幾何学形状が、所定の範囲の偏向にわたって偏向力を一定に保つことを可能にする。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0073】
上記の構成は、コンプレッション下で電極が横方向に曲がるのを防止して、短絡を防止する。更に、偏向可能な電極はエラストマーに取り付けられ、エラストマーは金属クランプアームに固定される。ばねの密着高さは、金属クランプアームのうちの可能な限り多くの部分を維持しながら、許容可能なコンプレッションを駆動することから制限される。組織とのインターフェースからの熱伝導はバランス及び最低限に抑えられ、変性部の形成及び対称性、サイクル時間、並びに残留熱エネルギーに影響を与える。
【0074】
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を備えるエンドエフェクタの構成は、
図19~
図21に関して以下に説明されるように、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、複数のハードスペーサとに組み合わせることができ、それにより可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定する。
【0075】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極の構成は、
図19~
図21に関して以下に説明されるように、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、複数のハードスペーサとに組み合わせることができ、それにより可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定する。
【0076】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極と組み合わせた、
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を備えるエンドエフェクタの構成は、
図19~
図21に関して以下に説明されるように、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と、複数のハードスペーサとに組み合わせることができ、それにより可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定する。
【0077】
図19~
図20は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアーム1812と、超音波ブレード1814と、格子クッション1816と、格子クッション1816の上方に配設された可撓性電極1818と、可撓性電極1818と超音波ブレード1814との間にギャップを設定するための複数のハードスペーサ1820とを備えるエンドエフェクタ1810を示す。
図21は、
図19~
図20に示すエンドエフェクタ1810の分解図である。クランプアームパッド1822は、格子クッション1816内に形成されたスロット1825の内側に、配設される。格子クッション1816は、ばね状要素として機能する。ハードスペーサ1820は、可撓性電極1818と超音波ブレード1814との間にギャップを設定するために使用される。
【0078】
図19では、クランプアーム1812は、開放されており、不均一な厚さ(T
1a、T
2a、T
3a)の組織1824が、可撓性電極1818の上を覆って配設されている。
図20では、クランプアーム1812が閉じられて、組織1824を圧迫している。クランプアーム1812上の格子クッション1816は、多様に変化する厚さ(T
1a、T
2a、T
3a)の組織1824にわたって、一貫した厚さ(T
1b、T
2b、T
3b)の組織1824を結果としてもたらす、つまり、次の関係が成り立つコンプレッションを実現させる:
【0079】
【0080】
追加の背景の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、欧州特許第3378427号、国際特許出願公開第2019/006068号に見出すことができる。
【0081】
一態様では、本開示は、ゼロギャップ双極RFエネルギーシステムを使用して、付勢電極と遠位先端が接触しないように保険をかけるための手段を備えた、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのためのエンドエフェクタを提供する。様々な態様では、本開示は、近位側付勢力よりも大きい遠位側付勢力を有する、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのための偏向可能な電極を提供する。一態様では、本開示は、クランプアームに対して偏向可能な双極電極を備えるエネルギー複合式デバイスを提供する。エネルギー複合式デバイスは、近位側から遠位側へ組織コンプレッションの機械的特性を変化させる機能部を備え、クランプによる締付力のみによるよりも、より均一な、又はより異なるパターンの圧力を作り出す。一態様では、本開示は、非線形の遠位分配機構を提供し、別の一態様では、本開示は、電気的エネルギー密度の非線形分布を提供する。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0082】
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を含むエンドエフェクタの構成は、
図26~
図40に関して以下に説明されるように、導電性ポリマー製のクランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0083】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極の構成は、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製のクランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0084】
図19~
図21に関して上述したように、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と複数のハードスペーサとの構成は、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製のクランプアームパッドと組み合わされ得る。
【0085】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極の構成は、
図19~
図21に関して上述したように、格子クッションの上に配設された可撓性電極と複数のハードスペーサとに組み合わせて、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定することができ、また更に、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製クランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0086】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極の構成は、
図19~
図21に関して上述したように、格子クッションの上に配設された可撓性電極と複数のハードスペーサとに組み合わせて、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定することができ、また更に、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製クランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0087】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極と組み合わせた、
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を備えるエンドエフェクタの構成は、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製クランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0088】
図13~
図18に関して上述したような付勢電極と組み合わせた、
図1~
図12に関して上述した偏向可能/カンチレバー電極を備えるエンドエフェクタの構成は、格子クッションの上方に配設された可撓性電極と複数のハードスペーサと組み合わせて、
図19~
図21に関して上述したように、可撓性電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定することができ、また更に、
図26~
図40に関して以下に説明するように、導電性ポリマー製クランプアームパッドと組み合わせることができる。
【0089】
様々な態様では、本開示は、部分的又は完全に導電性の部分を有する超音波パッドを備える、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスであって、パッドが、ブレード支持体/摩耗パッド及び双極RF電極の両方として挙動するようなデバイスを提供する。一態様では、本開示は、部分的に導電性を有するクランプアームパッドを提供し、そのパッドは、電極の摩耗を可能にし、かつクランプアームパッドが導電性部分及び非導電性部分を有する双極RF及び超音波エネルギー複合式装置における短絡を最小限に抑える。これにより、このクランプアームパッドが、超音波ブレードの摩耗可能な支持構造としても機能する一方で、RF電極のうちの1つとして機能することを可能にする。別の一態様では、本開示は、クランプアームパッドの周囲に導電性部分を提供するが、この導電性部分は、超音波ブレードの接触領域に直接対向する側面には位置していない。別の一態様では、導電性クランプアームパッドの一部分は、分解可能又は摩耗可能であり、超音波ブレードからの接触が、導電性クランプアームパッドの残りの部分の導電性を遮断するのを防止する。
【0090】
一態様では、本開示は、非直線的遠位分配機構を備える超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのための、エンドエフェクタを提供する。一態様では、可変ばね付勢要素が、偏向可能/カンチレバー電極の長さに沿って提供される。一態様では、本開示は、クランプアームに対して偏向可能な双極RF電極を有する、超音波/RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。RF電極は、RF電極の近位端から遠位端までの組織圧縮の、機械的特性を変化させる機能部を有する。RF電極機能部は、締付力のみによるものではなく、RF電極の長さに沿って、より均一な又は異なるパターンの圧力を作り出す。
【0091】
一態様では、本開示は、近位端におけるばね定数とは異なるばね定数を遠位端に有する、圧縮可能なアタッチメントを備えるエンドエフェクタを提供する。セルの壁厚又は相互接続の数は、クランプアームの長さに沿って長手方向に変化する(増加させる)ことができる。ばね定数は、材料の量が増加するにつれて増加する。圧縮可能なアタッチメントは、遠位先端のばね定数が近位部分よりも高くなることを可能にし、先端の装填状態を作り出す。圧縮可能なアタッチメントは、アタッチメントマトリックスに沿って遠位に移動すると異なっていく内部形状を作製することによって、変形可能な本体を3D印刷することで、作製され得る。圧縮可能なアタッチメントは、一方の端部の壁厚が他方の端部の厚さとは異なるように、射出成形又は押出成形で作製され得る。一態様では、偏向可能なカンチレバービーム金属電極は、遠位端にのみ位置するエラストマー製裏材とハイブリッド形成されて、金属製線形特性ばねと同じ効果を生成する。
【0092】
図22~
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアーム1832と、複数のばね1836上に配設された電極1834と、超音波ブレード1838とを備えるエンドエフェクタ1830を示す。ハードスペーサは示されていないが、電極1834と超音波ブレード1838との間にギャップを設定するために存在するであろう。ゾーン1のばね力S1、ゾーン2のばね力S2、ゾーン3のばね力S3、ゾーン4のばね力S4は、S4>S3>S2>S1のように変化させ得る。電極1834の長さに沿った可変的ばね付勢が、先端の装填状態を作り出す。超音波ブレード1838の偏向は、遠位方向に向かうにつれて増加する。
図22は、直線状態を示し、
図23は、偏向状態を示す。更に
図23を参照すると、締付荷重が小さい間は、超音波ブレード1838は真っ直ぐな状態1840のままである。クランプアーム1832の過大な締付1842が起こると、ばね1836の荷重によって引き起こされる、電極1834の偏向1844が起こり、超音波ブレード1838の偏向1845を引き起こす。電極1834は、近位端でクランプアーム1832に固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極1834は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0093】
図24は、本開示の少なくとも1つの態様による、太いばね1846と細いばね1848とを示す。厚さの異なるばねは、遠位方向に向かってばね定数を増加させるために提供され得る。
図25は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプアーム1832内に配設されたばね1836の頂面図であって、4つの画定されたゾーンであるゾーン1~ゾーン4における、ばね1836の分布密度を示すための図である。
【0094】
追加の背景開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,264,618号に見出すことができる。
【0095】
一態様では、本開示は、非直線的エネルギー密度分布を有する、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのための、エンドエフェクタを提供する。
【0096】
追加の背景開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,867,650号に見出すことができる。
【0097】
超音波外科用鋏は、超音波外科用ブレードと、ブレードに向かって開閉するように動作可能であり、横方向かつ弾性的可撓性を有する遠位先端を有するクランプアームと、を含み得る。「弾性的に可撓性を有する遠位先端」とは、超音波外科用鋏が、締付面と超音波外科ブレード34との間に配設され、その壁がクランプアームを介して加えられた締付力によってきつく適合し固定された血管を切断及び封止するために使用される場合など、クランプアームが締め付けられ、閉鎖されている間に、遠位先端が弾性的に曲がることを意味する。追加の背景開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,444,663号に見出すことができる。
【0098】
一態様では、本開示は、導電性ポリマー超音波クランプアームパッドを備える、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのためのエンドエフェクタを提供する。一態様では、エンドエフェクタは、酸化スズでドープされたクランプアームパッドを備える。
図26は、本開示の少なくとも1つの態様による、導電性ポリマー製クランプアームパッド2440の断面図である。導電性ポリマー製クランプアームパッド2440は、クランプアームパッド2440を導電性にするために、テフロン(PTFE)などのポリマー材料2444に埋め込まれた酸化スズ2442(SnO
2)を含む。ドーピングは、冷間噴霧プロセスを使用して実現され得る。ドーピングが行われると、導電性ポリマー製クランプアームパッド2440は、例えば、超音波ブレードと接触し、超音波ブレードから熱を吸収し、組織の把持及び締付を支援するなど、従来の超音波組織クランプアームパッドの機能を実現することができる。酸化スズがドーピングされたクランプアームパッド2440は、超音波ブレードとクランプアームパッド2440との間に把持された組織にRFエネルギーを送達するために、双極RF回路の2つの電極又は極のうちの1つとして機能する。酸化スズがドーピングされたクランプアームパッド2440は、生体適合性であり、導電性であり、熱伝導性であり、クランプアームパッド2440の大部分を使用してクランプアームパッド2440の耐摩耗性を改善することが可能であり、そして白色である。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0099】
一態様では、本開示は、電極の代わりとして、導電性ポリマー超音波クランプアームパッドを提供する。超音波クランプアームパッドの寿命を改善し、組織に対するRFの効果を改善するために、本開示は、改善され、作製することがより容易であり、かつ作製に必要なコストがより安い電極を提供する。一態様では、本開示は、硬質ポリイミドポリマー層及び導電層を含むクランプアームパッドを提供して、クランプアームパッドが従来の機能を達成することと、双極の電気を運搬して、エネルギー複合式エンドエフェクタのクランプアーム内に、別個の電極を設ける必要性を排除することを可能にする。このようにして、クランプジョーは、超音波のみのクランプジョーと同様の方法で製造することができ、新しいクランプアームパッド材料は、従来の超音波のみのクランプアームパッドと交換されることになる。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0100】
利点としては、ポリマーの要素どうしの「方陣」間に、電極ギャップがないため、現行の超音波のみの器具と同様に、クランプアームパッドの摩耗を含む、改善された超音波性能が挙げられる。改善されたクランプジョーのコストは、別個の電極構成要素が排除され、複数の小さなポリマー方陣要素を提供するため、現在の超音波のみのクランプジョーと同様である。加えて、クランプジョーを作製するために必要な製造ステップは、現在の超音波のみのクランプジョーを作製するために必要な製造ステップと同じである。改善されたクランプジョーを製造することは、クランプアームパッドの置換のみを必要とし、クランプジョーに追加される追加の電極構成要素の製造確かに必要とし、組み立てのステップを不要とする。
【0101】
図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、従来の電極を置き換えるように構成されたクランプアームパッド2450の斜視図である。クランプアームパッド2450は、サンドイッチのような構成の、非導電性層2452及び導電性層2454を備える。この構成は、ばね荷重電極プレートの必要性を排除する。非導電性層2452は、ポリマー、ポリイミド、テフロン(PTFE)、及び同様の非導電性材料で作製することができる。導電層2454は、薄い導電性ポリマー、金属箔、又は炭素充填材料で作製され得る。クランプアームパッド2450は、超音波ブレードに接触する材料の大部分が非導電性層2452であるように製造され得る。一態様では、超音波ブレードに接触する材料の75%は、PTFEなどの非導電性の材料である。別の一態様では、超音波ブレードと接触する材料の85%は、PTFEなどの非導電性の材料である。別の一態様では、超音波ブレードに接触する材料の95%は、PTFEなどの非導電性の材料である。また、クランプアームパッド2450が摩耗するにつれて、導電性層2452は依然として、組織及び戻り電極(例えば、超音波ブレード)を通してRF電気を伝導するために利用可能な表面積を有している。
【0102】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図27に記載のクランプアームパッド2450を備えるクランプアーム2460を示す。図示されたクランプアーム2460では、非導電性層2452は、薄層又は箔として現れる導電層2454と比較して、大きな表面積を有する。
【0103】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図27~
図28に記載されるように構成されているクランプアームパッドを示す。第1のクランプアームパッド2470は新しく、かつそれと一体的に形成された歯2472を備える。第2のクランプアームパッド2476は新しく、しかし歯を有しない。第3のクランプアームパッド2478は摩耗しており、第1のクランプアームパッド2470又は第2のクランプアームパッド2476のいずれかを代表し得る。
【0104】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスのための複合式クランプアームパッドを提供する。
図30は、本開示の少なくとも1つの態様による、組織2484と接触している複合式クランプアームパッド2482を備えるクランプアーム2480の断面図である。エンドエフェクタ2480は、上部クランプジョー2486と、複合クランプアームパッド2482を上部クランプジョー2486に固定的に取り付けるための接着剤2488を備える。複合式クランプアームパッド2482は、薄い非導電性層2490(例えば、PTFE)及び薄い導電性層2492(例えば、薄いステンレス鋼箔)を含む。導電性層2492は、複合式クランプアームパッド2482の電極部分を形成する。導電性層2492(例えば、薄いステンレス鋼箔)は、非導電性層2490(例えば、PTFE)が摩耗するにつれて変形する。導電性層2492の厚さは、複合式クランプアームパッド2482の電極部分が、非導電性層2490が摩滅していくと共に変形することを可能にする。有利なことには、導電性層2492は、非導電性層2490から、熱の一部を伝導させて奪い、複合式クランプアームパッド2482をより低温に保持する。上述のように、複合式クランプアームパッド2482は、接着剤2488によって上部クランプジョー2486に固定されている。接着剤2488には炭素が充填されて、接着剤2488を導電性にし、複合式クランプアームパッド2482の電極部分を上部クランプジョー2486に接続することができる。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0105】
一態様では、クランプアームパッドは、協働する導電性部分及び絶縁性部分を備える。一態様では、本開示は、クランプアームパッドが超音波ブレードの摩耗可能な支持構造としても機能する一方で、導電性部分及び非導電性部分を有することでクランプアームパッドがRF電極のうちの1つとして機能することが可能となる、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。別の一態様では、クランプアームパッドの導電性部分は、パッドの周囲に位置し、超音波ブレード接触領域の直接対向する側面には位置していない。別の一態様では、クランプアームパッドの導電性部分は、分解可能又は摩耗可能であり、超音波ブレードとの接触が、クランプアームパッドの残りの導電性部分の導電性を遮断するのを防止する。
【0106】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式デバイスと共に使用するためのクランプアームパッドを提供し、クランプアームパッドの一部は導電性材料を含み、他の部分は非導電性の材料を含む。電極は、超音波/RFエネルギー複合式デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0107】
様々な態様では、クランプアームパッドは、様々な技術を使用して製造され得る。1つの技術は、同一の圧縮型内で導電性材料及び非導電性材料を成形する2ショットプロセスを含む。このプロセスは、単一のクランプアームパッドであって、双極RF電極として作用することができる部分と、電気絶縁体として機能する他の部分とを有する、クランプアームパッドを効果的に作り出す。別の技術は、ポリマー(例えば、テフロン、PTFE)パッド又はマトリックスへの、金属元素の超音速冷間噴霧による埋め込みを含む。別の技術は、複数の材料(例えば、テフロン、PTFE、及びドーピング済みの導電性ポリマー)の3D印刷、クランプアームパッド上への導電性又は機能性インクの印刷/転写印刷を含む。別の技術は、金属及び導電性材料(例えば、グラファイト/炭素)を、化学蒸着、物理蒸着、スパッタ堆積、真空堆積、真空金属化、又は熱噴霧を使用してクランプアームパッドに塗布され得ることを含む。別の技術は、導電性/充填されたクランプアームパッド電極を備え、その電極は、マイクロランダムに配向され位置決めされた粒子又はマクロ配向構造(例えば、布、織布、制約付き長繊維)を有するパッドを通して、連続性を提供する。別の技術は、クランプアームパッドの表面を導電性にすることを含み、他の技術の中でもとりわけ、摩滅する電極を提供すること、3D印刷、熱間噴霧、冷間噴霧、コーティング/塗料/エポキシ、シート/箔/ワイヤ/フィルムラッピング又はラミネート、真空金属化、印刷/転写などを含む。別の技術では、ポリマー電極は、導電性材料で充填される。
【0108】
一態様では、エンドエフェクタクランプアームは、固定ポリマー電極を備える。
図31は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー2502に取り付けられたキャリア2504又はスタンピングを支持するクランプジョー2502と、クランプアームパッド2506とを備えるクランプアーム2500を示す。クランプアームパッド2506は、導電性パッド2508及び非導電性パッド2510を備える。導電性パッド2508は、導電性ポリマーで作製され、双極RF回路の電極のうちの1つとして機能する。クランプジョー2502及びキャリア2504は、ステンレス鋼で作製され、例えば、他の締結技術の中でもとりわけ、溶接、レーザー溶接、ろう付け、はんだ付け、プレス加工などの任意の好適な締結技術を使用して取り付けられ得る。導電性パッド2508は、例えば、シリコーン、フルオロシリコーン、PTFE、及び類似の材料などのポリマーを含み得る。導電性パッド2508は、PTFE、シリコーン、銀粒子で充填されたフルオロシリコーン、アルミニウム上の銀、銅上の銀、銅、ニッケル、グラファイト、炭素(非晶質、短繊維)、金、白金、ステンレス鋼、鉄、若しくは亜鉛、又はそれらの組み合わせを使用して、キャリア2504上にオーバーモールドされる。
【0109】
図32は、
図31における切開面32-32で切開した断面図であり、
図32は、
図31の切開面32-32で切開した断面図である。断面
図32-32及び断面
図33-33は、クランプジョー2502と、支持キャリア2504と、導電性パッド2508と、非導電性パッド2510とを備えるクランプアーム2500を示す。
【0110】
図34は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー2522と、導電性パッド2524と、非導電性パッド2526とを備えるクランプアーム2520の代替的な一実装形態の断面図である。導電性パッド2524は、導電性ポリマーで作製され、双極RF回路内の電極のうちの1つとして機能する。
【0111】
図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、クランプジョー2532と、クランプジョー2532に溶接されたキャリア2534又はスタンピングと、導電性パッド2536と、非導電性パッド2538とを備えるクランプアーム2530の代替的な一実装形態の断面図である。導電性パッド2536は、導電性ポリマーで作製され、双極RF回路内の電極のうちの1つとして機能する。導電性パッド2536は、キャリア2534又はスタンピングの上にオーバーモールドされる。
【0112】
一態様では、エンドエフェクタクランプアームは、インサート成形された金属電極アセンブリ上のフィルムを含む。一態様では、フィルムは、インサート成形された金属(例えば、ステンレス鋼)電極アセンブリ上に提供され得る。ステンレス鋼などの金属上にフィルムをインサート成形して、電極アセンブリを形成することができる。インサート成形された電極上のフィルムをエッチングして、他のパターンの中でもとりわけ、微小孔、スロット、ハニカムなどを形成して、RFエネルギーの伝導、並びに構成要素の周囲を切断することができる。フィルムは、以下に記載されるIML/FIM(インモールドラベリング/フィルムインサート成形)プロセスを使用して、ステンレス鋼電極上に形成又は結合され得る。充填済みのフィルムの電極は、ポリマー射出成形ツールに入れて、ポリマーを電極及びフィルムの背面にモールディングすることができる。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0113】
図36は、本開示の少なくとも1つの態様による、インサート成形電極2540を示す。インサート成形電極2540は、導電性要素2546と、成形ポリマーパッド2548と、フィルム2542によるコーティングとを備える。マイクロ穴、スロット、ハニカム、又は類似の機能部などの機能部2550を、フィルム2542に形成して、RFエネルギーの通過を可能にする。保持機能部2552がまた、フィルム2542上に形成される。フィルム2542の側壁2558は、ポリマーパッド2548の底部の下に延在し、ポリマーパッド2548の底部の周りに折り畳まれてもよく、保持ポストでオーバーモールディングされてもよい。保持機構2552は、フィルム2542によって画定される穴2554内にモールディングされる。2つのインサート成形電極2540が、それらの間にギャップを有して示されているが、実際には、2つのインサート成形電極2540は、金型圧力を介して線2556どうしの間にはめ込まれる。
【0114】
導電性要素2546は、導電性金属、例えばステンレス鋼又は類似の導電性金属から製造することができる。導電性要素2546は、約0.010インチの厚さであってよく、0.005インチ~0.015インチの厚さの範囲内で選択されてもよく、タンピング加工又はマシン加工によって形成され得る。フィルム2544は、約0.001インチ~0.002インチの厚さであってよく、ポリイミド、ポリエステル、又は類似の材料で製造され得る。あるいは、ポストなどの機械的保持に対しては、フィルム2544を導電性要素2546に直接接合することができる。一例としては、0.002インチの厚さを有する、エポキシ接着剤裏材付きDuPont社製Pyralux HXC Kaptonフィルムが挙げられる。
【0115】
有利なことには、非粘着性表面は、組織がインサート成形電極2540に付着するのを防止する。非粘着性表面は、インサート成形電極2540の全長に沿って0.002インチ~0.004インチの範囲内のギャップを設定することによって、対向する電極どうしの短絡の発生を排除する。非粘着性表面は、インサート成形電極2540の側壁2558をカバーすることにより、RFエネルギーの横方向の広がりを最小限に抑える。また、インサート成形電極2540は、構造的な健全性を示し、多層フレキシブル回路よりもより容易で、より堅牢な電気接続を提供する。
【0116】
一態様では、エンドエフェクタは、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイス用の導電性クランプアーム及びパッド構造体を備える。一態様では、本開示は、組み合わせた超音波/双極RFエネルギー外科用デバイスにおける耐久性のある「極」として機能するように、クランプアームアセンブリに、クランプアームアセンブリの周りに、又はクランプアームアセンブリ上に適用される、導電性又は選択的導電性薄膜、箔、又はラミネートを備えるクランプアームアセンブリを提供する。更に、電気的短絡発生の条件を管理するために、アルゴリズム、ソフトウェア、又はロジックが提供される。電極は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスと共に使用するように適合及び構成され、負荷がかかると偏向可能である。この電極は、双極RF回路の一方の極であり、超音波ブレードが、双極RF回路の反対の極である。
【0117】
図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波ブレード2562と、クランプアーム2564と、導電性フィルム2568を含むクランプアームパッド2566とを備えるエンドエフェクタ2560を示す。
【0118】
図38は、
図37に示されるクランプアーム2564を示す。クランプアーム2564は、クランプアームパッド2566を支持するためのクランプジョー2570を備える。薄い導電性フィルム2568は、クランプアームパッド2566上を覆って配設されて、双極RF回路の極のうちの一方の極の電極を形成する。
【0119】
図39は、
図38の切開面39-39に沿って切開したクランプアーム2564の断面図である。クランプジョー2570は、ステンレス鋼などの金属で製造され得る。クランプアームパッド2566は、PTFE、シリコーン、高温ポリマー、又は類似の材料などの、非導電性を有する柔軟材料で作製することができる。導電性フィルム2568又は箔は、例えば、チタン、銀、金、アルミニウム、亜鉛、及びステンレス鋼を含むそれらの任意の合金などの、導電性材料で作製することができる。
【0120】
図40は、本開示の少なくとも1つの態様による、部分的に導電性のクランプアームパッド2582を備えるクランプアーム2580を示す。導電性箔2584が、非導電性パッド2586の一部分を覆っている。近位端2590の非導電性パッド2588は、クランプアームパッド2582と超音波ブレードとの間のギャップを設定する。
【0121】
導電性フィルム2568、箔、又はラミネートの要素としては、例えば、薄い導電性材料の単一層が挙げられるが、そのような材料としては、例えば、金属(チタン、銀、金、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉄など、及びそれらの合金、又はステンレス鋼)、めっき金属(例えば、銅上にニッケル次いで金をめっきしたもの)、又は金属粉末などの導電性材料又は充填剤を高濃度で充填されたポリマーなどが挙げられる。好ましくは、上記の要素は、0.001インチ~0.008インチ(0.025mm~0.20mm)の範囲内の厚さから選択される、例えばチタン、銀、金、亜鉛、又はステンレス鋼などの生体適合性金属箔である。
【0122】
フィルム2568、箔、又はラミネートは、上記の薄い導電性材料を覆う、薄いポリマーコーティング、フィルム、又は層を含み得る。このコーティング、フィルム、又は層は、電気抵抗が大きい、すなわち、隣接する組織への双極RFエネルギーを効果的に伝導する導体ではない。コーティングは、電極から組織へのエネルギー送達を可能にするために穿孔され得る。
【0123】
導電性材料は、導電性材料の全厚を貫通して穿孔されるか、あるいはそのような貫通穴又は窓を含み得るが、それにより、この層の熱キャパシタンスを最小化することができる(試験により、治療部位から除去される熱エネルギーのため、長い及び/又は厚い箔が、組織の切断に要する時間がより長くなる結果をもたらすということが示されている。これらの穿孔、穴、又は窓はまた、他の部分又は層への箔の保持を可能にし得る。これらの穿孔、穴又は窓は、箔のシート全体にわたってパターン化されてもよく、治療部位に局在化されていてもよく、又は例えば、クランプアームの側面のみなどの、治療部位から離れた場所に局在化されていてもよい。
【0124】
薄いポリマーコーティング、フィルム、又は層が存在する場合、それらは、導電性フィルム、箔、又はラミネートが組織に直接連通して、双極ラジオ波エネルギーを組織に送達するように、穿孔されていてもよく、あるいは、それらの厚さ全体を貫通する穴又は窓を含んでいてもよい。コーティングの場合、これらの穴又は窓は、選択的コーティング又はコーティング除去によって形成され得る。
【0125】
理想的には、導電性フィルム2568、箔、又はラミネートは、典型的にはステンレス鋼から製造されるクランプアーム構造と、直接接触している。得られた導電性経路は、それゆえ構造を簡単にすることを可能にする。それは、その経路が、必要な構造構成要素から作られるためである。すなわち、クランプアームに直接接続する支持チューブ又はアクチュエータによって、次いで導電性フィルム、箔、又はラミネートによって形成されるからである。
【0126】
一態様では、導電性フィルム2568、箔、又はラミネートは、他の材料の中でもとりわけ、PTFE、シリコーン、ポリイミド、高温熱可塑性樹脂などの材料から作製された、比較的柔らかい、高温の、低摩耗性ポリマー又はエラストマーパッドによって裏打ちされる。この比較的柔らかいパッドの柔軟性は、ジョーが完全に閉じられているときに、ジョーと超音波ブレードとの間に、その組織に作用を及ぼす長さ全体にわたってゼロ又はほぼゼロのギャップを得るための、構成要素の許容度を広範囲にすることを可能にする。したがって、組織をこの長さに沿って封止し、切断することが可能になる。上記の柔軟性はまた、超音波ブレードが導電層に対して閉じられたときに起こり得る、導電層のいかなる可聴振動も、排除又は大幅に減衰させる。
【0127】
導電性フィルム2568、箔、又はラミネートは、その裏側/裏面(すなわち、組織からは遠く、クランプアームに向いている表面)上に、剛性から半剛性のポリマーを含み得る。この部分は、射出成形可能なポリマー又はポリマー合金から作製され、かつフィルムインサートモールディング(FIM)又はインモールドラベリング(IML)によってフィルム、箔、又はラミネートに接着される。
【0128】
試験では、薄いステンレス鋼、銅、又はアルミニウムの箔は、手術中に静かである(「キーキーと高い音を立てる」ことはなく、鈍くキーキーとなる音を発することもない)。薄いステンレス鋼、銅、又はアルミニウムの箔は、超音波ブレードがそれに対して作用することができる、堅牢な表面を提供する。箔が十分堅牢であるので、例えば上記の箔がなければ、引き裂かれ、不良なパッド材料としてしか機能しないシリコーンゴムなどの材料が、使用可能となり、容易に引き裂かれることも、割れることもない。
【0129】
ジョーのクランプ面の近位部分は、導電性フィルム、箔、又はラミネートを含まなくてもよいが、それは、ジョーのこの領域は、最初にブレードに接触し、この領域での電力の短絡形成/短絡をもたらす可能性がより高いためである。
【0130】
一態様では、本開示は、双極RFエネルギーを含む出力を起動するための短絡緩和アルゴリズムを提供する。
【0131】
起動のために送達されたエネルギーが閾値量を超えた後(それによって組織が薄くなったが、組織のシール、凝固のために適切な用量の双極RFエネルギーを組織が受けた可能性が高いことを示す)、若しくは起動時間閾値を超えた後(個々でも再び、組織が薄くなったが、受け入れられ、適切な用量を受けた可能性が高いことを示す)、又はエネルギー閾値及び起動時間閾値の両方が超えられた後に短絡が発生しても、短絡アラートはユーザに対して発せられない。
【0132】
ステンレス鋼インサート成形電極アセンブリ上にフィルムを作製するプロセスは、フィルムをエッチングし、RFエネルギーを通すための開口(マイクロ穴、スロット、又はハニカム)を形成することと、電極構成要素の周囲を切断することと、必要に応じて、ステンレス鋼電極上にフィルムを形成する又は接着結合することと、装着されたフィルム及び電極を、ポリマー射出成形ツール内に配置することと、ポリマーを電極及びフィルムの背面にモールディングすることと、を含む。
【0133】
様々な態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイス及びシステムを提供する。様々な形態は、外科手術中の組織の治療、切開、切断、及び/又は凝固をもたらすように構成された、超音波及び/又は電気外科用(RF)エンドエフェクタを備える外科用器具のためのユーザインターフェースを対象とする。一形態では、超音波及び電気手術用複合式器具のためのユーザインターフェースが提供され、その器具は、直視下外科手術で使用するように構成され得るが、手持ち式又はロボット支援手術のいずれかにおける他の種類の手術、例えば低侵襲腹腔鏡術や、非侵襲内視鏡術における用途も有するものである。多数のエネルギーモダリティを同時に、独立して、順次、又はそれらの組み合わせで選択的に適用することによって、汎用性が達成される。例えば、汎用性は、超音波及び電気外科エネルギー(例えば、単極又は双極RFエネルギー)を、同時的、独立的、順次、又はそれらを組み合わせた様態のいずれであれ、選択的に使用することによって達成され得る。
【0134】
一態様では、本開示は、超音波ブレードと、偏向可能なRF電極を備えるクランプアームとを備える装置用のユーザインターフェースを提供し、超音波ブレード及び偏向可能なRF電極は協働して、RF電極を備える装置のクランプ機構と、関連する超音波ブレードの協働によって、組織の封止、切断、及びクランプによる締付を実現する。クランプ機構は、超音波ブレードと協働する枢動式クランプアームを含み、それらの間に組織が把持される。クランプアームには、好ましくは、クランプ組織パッド(「クランプアームパッド」としても知られている)が設けられるが、このパッドは、軸方向に互いに離間した複数の把持歯、セグメント、要素、又は個々のユニットを有する。これらは、外科手術中の組織の把持及び把握を容易にする一方で、エンドエフェクタの超音波ブレードと協働して、組織に対する所望の封止及び切断効果を達成する。
【0135】
一態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極を備える。他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、上記の電極への代替物を備える。これにより組織への、組織の形状に順応するRFエネルギーカップリングを提供し、パッドの摩耗/薄化に適応し、過剰な熱の生成を最小限に抑え(低い摩擦係数、圧力)、火花の生成を最小限に抑え、電気短絡による中断を最小限に抑え、又はそれらの組み合わせを最小限に抑える。電極は、クランプジョーに近位端で固定され、遠位端で自由に偏向する。したがって、本開示を通して、電極は、カンチレバービーム電極、又は偏向可能な電極と称され得る。
【0136】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、組織を把持及び封止するためにパッドと超音波ブレードとの間に高い圧力を印加して、例えば、薄い組織、横方向の張力がかかっている組織、持ち上がっている/垂直方向の張力がかかっている組織、特にクランプアームから離れるように持ち上がっている組織などの、制約のかかる又は困難なシナリオでも組織に接触する可能性を最大化するように構成されているクランプアーム機構を備える。
【0137】
他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、電極間の表面積/電流密度の調和をバランスさせ、組織とのインターフェースからの熱伝導のバランスをとりつつ最小化して、例えば、変性部の形成及び対称性に影響を及ぼし、サイクル時間、残留熱エネルギーなどにも影響を及ぼすように構成されている。他の態様では、本明細書に記載のエンドエフェクタは、粘着、組織の付着を最小化する(アンカーポイントを最小化する)ように構成され、小さなポリイミドパッドを含み得る。
【0138】
様々な態様では、本開示は、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション[IRE])を、組織に送達するように構成されている外科用デバイスを提供する。外科用デバイスは、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンスイッチと、起動ボタンスイッチのエネルギーモードを選択するための第2のボタンスイッチと、を含む。第2のボタンスイッチは、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続される。入力パラメータは、発生器への接続又はソフトウェア更新を介して、遠隔で修正することができる。
【0139】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、RFエネルギーと超音波エネルギーとの同時ブレンドであり、入力パラメータは、RFエネルギー及び超音波エネルギーのデューティサイクルを表す。
【0140】
一態様では、第2のボタンスイッチは、所定のモードのリストから選択するように構成可能であり、リスト内のモードの数は、ユーザによって定義された第2の入力パラメータによって定義される。
【0141】
一態様では、入力パラメータは、デューティサイクル、電圧、周波数、パルス幅、又は電流のいずれかである。
【0142】
一態様では、デバイスはまた、手術野内のデバイスの部分内の選択されたエネルギーモードの視覚的インジケータを含む。
【0143】
一態様では、第2のボタンスイッチは、エンドエフェクタ閉鎖トリガとは別個の制御部である。
【0144】
一態様では、第2のボタンスイッチは、閉鎖トリガの第2の段階で作動されるように構成されている。閉鎖方向の閉鎖トリガの第1の段階は、エンドエフェクタを作動させることである。
【0145】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、又はIREから選択される。
【0146】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、又はIREから選択され、所定のデューティサイクル又はパルスアルゴリズムで適用されるように構成される。
【0147】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、又はIREのエネルギータイプのうちの2つ以上の連続的な適用から選択される。
【0148】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、及びIREのエネルギータイプのうちの2つ以上の同時ブレンドである。
【0149】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、及びIREのエネルギータイプのうちの2つ以上の同時ブレンドと、その後に続く前述のエネルギータイプのうちの1つ以上とである。
【0150】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、超音波、RF双極、RF単極、マイクロ波、及びIREのエネルギータイプのうちの1つと、その後に続く前述のエネルギータイプのうちの2つ以上の同時ブレンドとである。
【0151】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、手術特異的又は組織特異的な、所定のアルゴリズムである。
【0152】
一態様では、エネルギーモードのうちの少なくとも1つは、学習された外科的行為又は活動からコンパイルされる。
【0153】
一態様では、入力パラメータは、エネルギータイプ、デューティサイクル、電圧、周波数、パルス幅、電流、インピーダンス限界、活性化時間、又はエネルギーのブレンドのうちの少なくとも1つである。
【0154】
一態様では、第2のボタンスイッチは、所定のモードのリストから選択するように構成可能であり、リスト内のモードの数は、予め定義されているか、又はユーザによって定義された第2の入力パラメータによって定義されるかのいずれかである。
【0155】
一態様では、前述のエネルギーモードは、発生器へのソフトウェア更新を通じてユーザに利用可能になる。
【0156】
一態様では、前述のエネルギーモードは、デバイスへのソフトウェア更新を通じてユーザに利用可能になる。
【0157】
一態様では、ユーザによる好ましい選択は、ネットワーク化、クラウド、又は手動転送のいずれかを通して、複数の発生器に利用可能になる。
【0158】
一態様では、デバイスはまた、手術野内のデバイスの部分内の選択されたエネルギーモードの視覚的インジケータを含む。
【0159】
本明細書で使用される場合、ボタンスイッチは、外部の回路に接続される電気接点の1つ以上のセットを備えた、手動で、機械的に、又は電気的に操作される電気機械デバイスであり得る。電気接点の各セットは、以下の2つの状態のうちの1つであり得るが、「閉鎖」状態は、接点どうしが接触し、電気がそれらの間で流れることができることを意味し、「開放」状態は、接点どうしが分離され、スイッチが電気を伝導していないことを意味するものである。これらの2つの状態(開放又は閉鎖)の間の移行を作動させる機構は、「交替的アクション」タイプ(スイッチを反転させると、連続的に「オン」又は「オフ」となる)又は「瞬間的」タイプ(押すと「オン」になり、離すと「オフ」になる)のいずれかであり得る。
【0160】
一態様では、本開示は、デバイス上でのモード選択及び視覚的フィードバックを含む、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。外科用デバイスが進化し、より能力が高くなると、それらのデバイスが動作することができる特殊なモードの数が増加する。これらの新しい追加のモードに対応するためにデバイス上に追加のボタンスイッチを追加すると、ユーザインターフェースが複雑になり、デバイスは、使用するのがより困難になる。したがって、本開示は、単一の物理ボタンスイッチに、異なるモードを割り当てるための技術を提供し、これは、ハウジングの設計に複雑さを加える(例えば、益々多くのボタンスイッチを追加する)ことなく、より広い範囲からのモードの選択を可能にする。一態様では、ハウジングは、ハンドル又はピストルグリップの形態である。
【0161】
より特殊なモードが利用可能になるにつれて、複雑なユーザインターフェースを作成することなく、外科用デバイスを使用する外科医に、多くのモードを提供する必要がある。外科医は、発生器の場所にいる巡回している看護師に頼るのではなく、滅菌野からモード選択を制御することができることを望む。外科医は、どのモードが選択されているかを知っているということを確信できるように、リアルタイムのフィードバックを望む。
【0162】
図41は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイス100の上にモード選択ボタンスイッチ130を備えるデバイス100を示す。外科用デバイス100は、ピストルグリップの形態のハンドル104を画定する、ハウジング102を備える。ハウジング102は、トリガ106を備え、トリガ106を引き絞ると、ハンドル104によって画定される内部空間内にトリガ106は受容される。トリガ106は、エンドエフェクタ110のクランプアーム111部分を動作させるために使用される。クランプジョー112は、枢動点114を中心に枢動可能に移動可能である。ハウジング102は、ノブ122によって回転可能なシャフト108を介して、エンドエフェクタ110に結合されている。
【0163】
エンドエフェクタ110は、クランプアーム111と、超音波ブレード116とを備える。クランプアーム111は、クランプジョー112、電極118、及びクランプアームパッド120を備える。一態様では、クランプアームパッド120は、PTFE又は類似のテトラフルオロエチレンの合成フルオロポリマーなどの非粘着性で潤滑性の材料で作製されている。PTFEは、疎水性で、非湿潤性で、高密度であり、しかも高温に耐性があり、多用途の材料であり、非粘着特性を有する。クランプアームパッド120は、非導電性である。対照的に、電極118は、例えば、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション(IRE)などの電気エネルギーを送達するための導電性材料で作製されている。電極118は、ポリイミド材料で作製されたギャップ設定パッドを備えることができ、一態様では、例えば、DuPont社製で、VESPELという商品名で知られている耐久性の高い高性能ポリイミド系プラスチック、又は例えば、他の適切なポリイミド、ポリイミドポリマー合金、若しくはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)ポリマー合金から作製される。以下に別途記載のない限り、本明細書で以下に記載されるクランプアームパッド及びギャップパッドは、この段落に記載された材料で作製される。
【0164】
電極118及び超音波ブレード116は、発生器133に結合されている。発生器133は、RF、マイクロ波、又はIREエネルギーを電極118に駆動するように構成されている。発生器133はまた、超音波ブレード116に音響的に結合された超音波トランスデューサを駆動するように構成される。ある特定の実装態様では、電極118は、電気回路の一方の極であり、超音波ブレード116は、電気回路の反対の極である。ハウジング102は、超音波ブレード116を起動するためのスイッチ124を含む。回路は、ハウジング102に収容され得るか、又は発生器133内に存在し得る。外科用デバイス100は、ケーブル131を介して発生器133に連結される。ケーブル131は、電気外科機能部及び超音波トランスデューサのための信号を伝達する。
【0165】
様々な態様では、外科用デバイス100は、クランプアーム111と超音波ブレード116との間のエンドエフェクタ110内に位置する組織に、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション[IRE])を送達するように構成されている。外科用デバイス100のハウジング102は、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンスイッチ126と、上記の起動ボタンスイッチ用のエネルギーモードを選択するための第2の、「モード」ボタンスイッチ130とを含む。第2のボタンスイッチ130は、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続されている。入力パラメータは、発生器への接続又はソフトウェア更新を介して、遠隔で修正することができる。エネルギーモードは、ユーザインターフェース128上に表示される。
【0166】
一態様では、外科用器具100は、デバイス上の、方向セレクタ「モード」ボタンスイッチ130を介して、モード切り替えを提供する。ユーザは、モードボタンスイッチ130を押して、異なるモード全体からモードを切り替えることができ、ユーザインターフェース128上の着色光は、選択されたモードを示す。
【0167】
本開示の様々な態様によれば、「モード」ボタンスイッチ130を押すことによって、異なる動作モードを外科用デバイスに割り当てることができるが、モードボタンスイッチ130が押されるたびに、又は押されてそのまま保持されるたびに、外科用デバイス100は、ユーザインターフェース128上に表示される利用可能なモード全体から、モードを切り替える。ひとたびあるモードが選択されると、発生器133は、発生器を表す適切なトーンを提供し、外科用デバイス100は、ユーザインターフェース128上に、どのモードが選択されたかを示すための点灯インジケータを有する。
【0168】
図41に示す例では、「モード」選択ボタンスイッチ130は、ハウジング102の両側に対称的に配置される。これにより、右利き及び左利きの両方の外科医が、利き手ではない方の手を使用せずに、モード全体からあるモードを選択する/切り替えることが可能になる。この態様では、「モード」選択ボタンスイッチ130は、多くの異なる方向を切り替えることができるが、これにより、外科医は、発生器133の場所で、調整を行うように巡回者に依頼する必要なく、滅菌野から遠隔で選択肢のリストから選択し、より複雑な選択をナビゲートすることが可能となる。発生器133を表すトーンに加えて、外科用デバイス100のユーザインターフェース128上の点灯インジケータが、どのモードが選択されているかについてのフィードバックを外科医に与える。
【0169】
図42A~42Cは、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイス100の様々な動作モードを選択するための3つの選択肢を示す。外科用デバイス100のハウジング102上の着色された光のユーザインターフェース128に加えて、モード選択のフィードバックは、発生器133のインターフェースを通して聴くこと及び/又は視認することが可能であるが、その場合、発生器133は、選択されたモードを言葉を発して通知し、かつ/又は発生器133のスクリーン上に選択されたモードの説明を示す。
【0170】
図42Aは、ボタンスイッチ130を前方136又は後方134に押して、外科用器具100を様々なモードに順次切り替えることができる第1のモード選択オプション132Aを示す。
【0171】
図42Bは、ボタンスイッチ130を上方140又は下方138に押して、外科用器具100を様々なモードに順次切り替える第2のモード選択オプション132Bを示す。
【0172】
図42Cは、ボタンスイッチ130を前方136、後方134、上方149、又は下方138に押して、外科用器具100を様々なモードに順次切り替える第3のモード選択オプション132Cを示す。
【0173】
図43は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用デバイス150の背面にモード選択ボタンスイッチ180を備えるデバイス150を示す。外科用デバイス150は、ピストルグリップの形態のハンドル154を画定する、ハウジング152を備える。ハウジング152は、トリガ156を備え、トリガ156を引き絞ると、ハンドル154によって画定される内部空間内にトリガ156は受容される。トリガ156は、エンドエフェクタ160のクランプアーム161部分を動作させるために使用される。クランプジョー162は、枢動点164を中心に枢動可能に移動可能である。ハウジング152は、ノブ172によって回転可能なシャフト158を介して、エンドエフェクタ160に結合されている。
【0174】
エンドエフェクタ160は、クランプアーム161と、超音波ブレード166とを備える。クランプアーム161は、クランプジョー162、電極168、及びクランプアームパッド170を備える。一態様では、クランプアームパッド170は、PTFE又は類似のテトラフルオロエチレンの合成フルオロポリマーなどの非粘着性潤滑性材料で作製されている。PTFEは、疎水性で、非湿潤性で、高密度であり、しかも高温に耐性があり、多用途の材料であり、非粘着特性を有する。クランプアームパッド170は、非導電性である。対照的に、電極168は、例えば、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション(IRE)などの電気エネルギーを送達するための導電性材料で作製されている。電極168は、ポリイミド材料で作製されたギャップ設定パッドを備えることができ、一態様では、例えば、DuPont社製で、VESPELという商品名で知られている耐久性の高い高性能ポリイミド系プラスチック、又は例えば、他の適切なポリイミド、ポリイミドポリマー合金、若しくはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)ポリマー合金から作製される。以下に別途記載のない限り、本明細書で以下に記載されるクランプアームパッド及びギャップパッドは、この段落に記載された材料で作製される。
【0175】
電極168及び超音波ブレード166は、発生器133に結合されている。発生器133は、RF、マイクロ波、又はIREエネルギーを電極168に駆動するように構成されている。発生器133はまた、超音波ブレード166に音響的に結合された超音波トランスデューサを駆動するように構成される。ある特定の実装態様では、電極168は、電気回路の一方の極であり、超音波ブレード166は、電気回路の反対の極である。ハウジング152は、超音波ブレード166を起動するためのスイッチ174を含む。回路は、ハウジング152内に収容され得るか、又は発生器133内に存在し得る。外科用デバイス150は、ケーブル181を介して発生器133に連結される。ケーブル181は、電気外科機能部及び超音波トランスデューサのための信号を伝達する。
【0176】
様々な態様では、外科用デバイス100は、クランプアーム111と超音波ブレード116との間のエンドエフェクタ110内に位置する組織に、少なくとも2つのエネルギータイプ(例えば、超音波、単極RF、双極RF、マイクロ波、又は不可逆的エレクトロポレーション[IRE])を送達するように構成されている。外科用デバイス100のハウジング102は、エネルギーを起動するための第1の起動ボタンスイッチ126と、上記の起動ボタンスイッチ用のエネルギーモードを選択するための第2の、「モード」ボタンスイッチ130とを含む。第2のボタンスイッチ130は、少なくとも1つの入力パラメータを使用してエネルギーモードを定義する回路に接続されている。入力パラメータは、発生器への接続又はソフトウェア更新を介して、遠隔で修正することができる。エネルギーモードは、ユーザインターフェース128上に表示される。
【0177】
一態様では、外科用器具150は、デバイス上の、方向セレクタ「モード」ボタンスイッチ180を介して、モード切り替えを提供する。ユーザは、モードボタンスイッチ180を押して、異なるモード全体からモードを切り替えることができ、ユーザインターフェース178上の着色光は、選択されたモードを示す。
【0178】
本開示の様々な態様によれば、「モード」ボタンスイッチ180を押すことによって、異なる動作モードを外科用デバイスに割り当てることができるが、モードボタンスイッチ180が押されるたびに、又は押されてそのまま保持されるたびに、外科用デバイス150は、ユーザインターフェース178上に表示される利用可能なモード全体から、モードを切り替える。ひとたびあるモードが選択されると、発生器133は、発生器を表す適切なトーンを提供し、外科用デバイス150は、ユーザインターフェース178上に、どのモードが選択されたかを示すための点灯インジケータを有する。
【0179】
図43に示す例では、「モード」選択ボタンスイッチ180は、外科用デバイス150の背面に配置される。「モード」選択ボタンスイッチ180の位置は、外科手術デバイス150を保持する外科医の手の到達範囲外であるため、モードを変更するために別の手が必要である。これは、不注意な作動を防止することを意図している。モードを変更するためには、外科医は、別の手を使用して、モードボタンスイッチ180を意図的に押さなければならない。発生器を表すトーンに加えて、外科用デバイス150のユーザインターフェース178上の点灯インジケータが、どのモードが選択されているかについてのフィードバックを外科医に与える。
【0180】
図44Aは、第1のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチ180が押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、ユーザインターフェース178上で、着色光が選択されたモードを示すものである。
【0181】
図44Bは、第2のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチ180が押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、スクリーン182(例えば、液晶ディスプレイ、eインク)が選択されたモードを示すものである。
【0182】
図44Cは、第3のモード選択オプションを示し、モードボタンスイッチ180が押されて様々なモードに順次切り替えられるとき、符号化されたライト184が選択されたモードを示すものである。
【0183】
図44Dは、第4のモード選択オプションを示し、符号化されたボタンスイッチ180が選択されて、符号化されたボタンスイッチ186が押されてあるモードが選択されるとき、その符号化されたボタンスイッチが、選択されたモードを示すように発光する、第4のモード選択オプションを示す。
【0184】
一態様では、本開示は、トリガ閉鎖によるエネルギー起動を含む、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを提供する。先進的なエネルギー外科用デバイスに、より多くの機能が追加されると、追加のボタンスイッチ又は制御部が外科用デバイスに追加される。追加のボタンスイッチ又は制御部は、これらの先進的なエネルギー外科用デバイスを複雑で、使用が困難なものとする。更に、先進的なエネルギー外科用デバイスを使用して出血を抑制する場合、使用することが困難であるユーザインターフェース、又はアクセスすることが困難である機能は、外科手術中において非常に重要な時間及び注意を奪ってしまう。
【0185】
本開示によれば、単極RFエネルギー又は先進的双極RFエネルギーが、トリガを第1の閉鎖クリックを通り過ぎて第2の作動クリックまで引き絞り、そのまま閉鎖状態で保持することによって起動され、エネルギーの起動状態は、エネルギー送達が発生器内の電源によって停止されるまで続く。エネルギーはまた、必要に応じて何度でも、トリガをわずかに解放してから再度引き絞ることによって、直ちに再適用することができる。
【0186】
図45は、本開示の少なくとも1つの態様による、トリガ196起動機構を備える外科用デバイス190を示す。外科用デバイス190は、ピストルグリップの形態のハンドル194を画定する、ハウジング192を備える。ハウジング192は、トリガ196を備え、トリガ196を引き絞ると、ハンドル194によって画定される内部空間内にトリガ196は受容される。ハウジング192は、ノブ202によって回転可能なシャフト198を介して、エンドエフェクタに結合されている。外科用デバイス190は、ケーブル204を介して発生器206に連結される。ケーブル204は、電気外科機能部及び超音波トランスデューサのための信号を伝達する。
【0187】
トリガ196は、エンドエフェクタのクランプアーム部分を動作させ、電気外科用エネルギーをトリガするように構成され、したがって、
図41及び
図43に示される起動ボタンスイッチ126、176が排除されている。トリガ196は、第1の可聴及び触覚クリックまで閉じられると、組織を把持するためにジョーを閉じ、更に、第2の可聴及び触覚クリックまで閉じられると、単極、双極RF、マイクロ波、又はIREエネルギーなどの電気外科用エネルギーを起動させる。全シーケンスは、超音波エネルギーの使用を切断するフロントボタンスイッチを作動させることによって完了する。
【0188】
外科用デバイス190を動作させるための手順:トリガ196を第1の可聴及び触覚クリックまで引き絞る、ジョー内の標的となる組織を確認する、第2の可聴及び触覚クリックまで、つまり終点を示すトーンが聞こえるまで、トリガ196を更に引き絞ることによって、RFエネルギーを起動させる、組織が分割されるまで、超音波フロントスイッチ200を押すことによって組織を切断する。
【0189】
追加の機能のために外科用器具190を動作させるための修正された手順:トリガ196を用いてRFエネルギーを起動させ、そのまま保持する一方で、同時に前面ボタンスイッチ200を作動させて、超音波トランスデューサを起動させる。これは、電気外科及び超音波エネルギーモダリティが組織に同時に送達される同時適用をもたらす。
【0190】
代替的実装形態では、超音波エネルギーを起動させるための前面ボタンスイッチ200は、外科用デバイス190上又は電源発生器206上のモードセレクタを介して、異なる速度に切り替えられ得る。
【0191】
図1~
図40に記載のエンドエフェクタを備える、
図41~
図45に関連して上述した外科用器具100、150、190、及び関連するアルゴリズムは、例えば、以下の発生器及びモジュール式エネルギーシステムと併せて、以下の外科用ハブシステムに実装され得る。
【0192】
図46は、本開示の少なくとも1つの態様による、金属クランプジョーと、電極と、複数のクランプアームパッドと、ギャップパッドとを備える、代替的クランプアームを示す。
図46は、本開示の少なくとも1つの態様による、金属クランプジョー2904、電極2906、電極2906の穴を通って延在する複数のクランプアームパッド2920、ギャップパッド2930、及びギャップパッド2910を備える、代替的クランプアーム2900を示す。電極2906は、溶接位置2908で金属ジョー2906に取り付けられている。電極2906は、金属クランプジョー2904の周りに巻き付き、電極2906は、偏向することができる。ギャップパッド2910は、上部PI層2912と、金属クランプジョー2904に直接取り付けられた圧力制御用の底部エラストマー層2914と、を有する。クランプアームパッド2920は、金属クランプジョー2904に直接取り付けられる。また、クランプアームパッド2920は、熱を減少させるためのPTFEで作製された高圧中央ゾーン2922と、電極2906の偏向のためのPIで作製された外側ゾーン2924とを有する複合パッドである。
【0193】
一態様では、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスは、外科用ハブシステム内で動作するように構成されている。
図47は、本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム3108と、ロボットシステム3110と、及びインテリジェント器具3112とペアリングされた外科用ハブ3106を備える外科用システム3102である。ここで
図47を参照すると、ハブ3106は、視覚化システム3108、ロボットシステム3110、及び、
図41~46に記載されるように、外科器具100、150、190と同様の様態で構成されている手持ち式インテリジェント外科器具3112と通信するように図示されている。ハブ3106は、ハブディスプレイ3135、撮像モジュール3138、発生器モジュール3140、通信モジュール3130、プロセッサモジュール3132、及びストレージアレイ3134を含む。特定の態様では、
図47に示すように、ハブ3106は、排煙モジュール3126及び/又は吸引/灌注モジュール3128を更に含む。
【0194】
外科手術中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することは、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科手術中に絡まり合うことが多い。外科手術中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式エンクロージャ3136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0195】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科手術において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブエンクロージャと、ハブエンクロージャのドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0196】
一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブエンクロージャ内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在している。一態様では、ハブエンクロージャは、流体インターフェースを備える。
【0197】
一部特定の外科手術は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式エンクロージャ136が様々な発生器を収容して、これらの間のインタラクティブ通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブのモジュール式エンクロージャ136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0198】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科手術で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用エンクロージャは、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ接点及び第1の電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力接点及び第1のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0199】
上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ接点及び第2の電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力接点及び第2のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0200】
加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成されている、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。
【0201】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを駆動するように構成された発生器を提供する。
図48は、本開示の少なくとも1つの態様による、発生器3900の一例を示す。
図48に示すように、発生器3900は、
図41~
図46に記載されるような外科用器具100、150、190に結合するように構成された発生器の1つの形態であり、
図47に示されるようなモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で、適応型超音波及び電気外科制御アルゴリズムを実行するように更に構成されている。発生器3900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器3900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を、単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆的エレクトロポレーション、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時に、エンドエフェクタに送達することができる。発生器3900は、波形発生器3904に連結されたプロセッサ3902を備える。プロセッサ3902及び波形発生器3904は、プロセッサ3902に連結されたメモリ(開示を明瞭にするために示されていない)に記憶された情報に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するための1つ以上のDAC回路を含む、波形発生器3904に提供される。アナログ出力は、信号の調節及び増幅のために、増幅器3906に供給される。増幅器3906の、調節され増幅された出力は、電力変圧器3908に連結されている。信号は、電力変圧器3908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結されている。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ3910を横断して連結され、ENERGY2及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。3つ以上のエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供され得ることを表示するために使用することができ、このnは、2以上の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいということも理解されよう。
【0202】
第1の電圧感知回路3912は、ENERGY1及びRETURN経路とラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路3924は、ENERGY2及びRETURN経路とラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路3914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示されるように、電力変圧器3908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路は各リターン区間で提供されなければならない。第1の電圧感知回路3912及び第2の電圧感知回路3924の出力が、それぞれ対応する絶縁変圧器3916、3922に提供され、電流感知回路3914の出力は、別の絶縁変圧器3918に提供される。電力変圧器3908の一次側(非患者絶縁側)における絶縁変圧器3916、3928、3922の出力は、1つ以上のADC回路3926に提供される。ADC回路3926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ3902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、他のパラメータの中でもとりわけ、出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ3902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路3920を介して提供される。センサもまた、インターフェース回路3920を介してプロセッサ3902と電気通信してもよい。
【0203】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路3912の出力、又はENERGY2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路3924の出力のうちのいずれかを、電力変圧器3908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路3914の出力で除算することによって、プロセッサ3902により決定され得る。第1の電圧感知回路3912の出力及び第2の電圧感知回路3924の出力は、別々の絶縁変圧器3916、3922に提供され、電流感知回路3914の出力は、別の絶縁変圧器3916に提供される。ADC回路3926からのデジタル化された電圧感知測定値及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ3902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ、及び双極RFエネルギーモダリティ又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティとしては、とりわけ不可逆的エレクトロポレーションエネルギー及び/若しくは可逆的エレクトロポレーションエネルギー、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどが挙げられる。また、
図48に例示された例は、単一の戻り経路RETURNが2つ以上のエネルギーモダリティに提供されてもよいことを示しているが、他の態様では、複数の戻り経路RETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波トランスデューサのインピーダンスは、第1の電圧感知回路3912の出力を、電流感知回路3914の出力で除算することによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路3924の出力を電流感知回路3914の出力で除算することによって測定されてもよい。
【0204】
図48に示すように、少なくとも1つの出力ポートを備える発生器3900は、単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器3908を含むことができる。その電力変圧器3908は、実施されている組織の治療のタイプに応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極RF若しくは単極RF、不可逆的エレクトロポレーションエネルギー及び/若しくは可逆的エレクトロポレーションエネルギー、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供する。例えば、発生器3900は、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流のエネルギーを送達し、RF電極を駆動して組織を封止するために低電圧かつ高電流のエネルギーを送達し、又は単極RF電気外科用電極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを使用したスポット凝固のために凝固波形を有するエネルギーを送達することができる。発生器3900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え又はフィルタリングされ得る。超音波トランスデューサの発生器3900の出力部への接続部は、好ましくは、
図47に示したENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。一実施例では、RF双極電極の発生器3900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続は、活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)のENERGY2出力部への接続と、好適なリターンパッドを、RETURN出力部に接続する接続であろう。
【0205】
追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0206】
一態様では、本開示は、超音波/双極RFエネルギー複合式外科用デバイスを駆動するように構成されているモジュール式エネルギーシステムを提供する。
図49は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムをカスタマイズするために組み合わせることができる、様々なモジュール及び他の構成要素の図である。
図50Aは、本開示の少なくとも1つの態様による、ヘッダモジュールと、ヘッダモジュールに接続されたモジュールに関する情報を中継するためのグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を表すディスプレイスクリーンと、を含む、第1の例示的なモジュール式エネルギーシステムの構成である。
図50Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、カートに搭載された、
図50Aに示されるモジュール式エネルギーシステムである。
【0207】
ここで
図48~
図50Bを参照すると、外科手術を実施するために必要な設備の量に起因して、世界中どこでも手術室は、コード、装置、及び人の絡まった網のようになっている。大部分の外科用資本設備が単一の専門特化したタスクを実施するため、外科用資本設備は、この問題の主な原因となる傾向がある。それらの専門的な性質に起因して、外科医は、単一の外科手術の過程で複数の異なるタイプの装置を利用する必要があるため、手術室は、エネルギー発生器などの外科用資本設備を2ピース又は更にはより多くのピースを備蓄することを余儀なくされる場合がある。これらの外科用資本設備の各々のピースは、電源に個別にプラグ接続されていなければならず、手術室内の人員の間で渡されている1つ以上の他の装置に接続されている場合もあり、コードをもつれさせてしまい、誘導が必要となる場合もある。現代の手術室で直面する別の問題は、これらの専門特化した外科用資本設備の各々が、それ自身のユーザインターフェースを有し、また手術室内の設備の他のピースから独立して制御されなければならないことである。これにより、互いに接続して複数の異なる装置を適切に制御することが複雑になり、ユーザは異なるタイプのユーザインターフェースの訓練を受け、これらのユーザインターフェースを記憶しなければならなくなる(これらのユーザインターフェースは、資本設備の各々の間での変更に加え、実施されるタスク又は外科手術に基づいて更に変更されることがある)。この煩雑で複雑なプロセスは、更により多くの個人が手術室内に存在するのを必要とさせる場合があり、複数の装置が互いに適切に制御されていない場合には、危険を生じさせる可能性がある。したがって、手術室内での外科用資本設備の設置面積を減少させるという、外科医のニーズに柔軟に対応できる単一のシステムに、外科用資本設備技術を統合することにより、ユーザ体験が単純化し、手術室内の乱雑さが減少し、資本設備の複数のピースを同時に制御することに関連した困難及び危険が防止されることになるであろう。更に、このようなシステムを拡張可能又はカスタマイズ可能にすることにより、新しい技術を既存の外科用システムに便利に組み込むことが可能になり、外科用システム全体を交換する必要性がなくなり、又は手術室の人員が各々の新しい技術で新しいユーザインターフェース若しくは設備制御を学習する必要がなくなるであろう。
【0208】
外科用ハブは、外科用デバイス(例えば、外科用器具又は排煙器)とインターフェース接続するか、又は様々な他の機能(例えば、通信)を提供することができる様々なモジュールを、互換的に受容するように構成することができる。一態様では、外科用ハブは、
図49~
図50Bに関連して示される、モジュール式エネルギーシステム4000として具現化することができる。モジュール式エネルギーシステム4000は、積み重ねられた構成で互いに接続可能である、様々な異なるモジュール4001を含むことができる。一態様では、モジュール4001は、積み重ねられたとき、又は別の方法で一体に接続され単一のアセンブリにされたとき、物理的かつ通信可能に連結され得る。更に、モジュール4001は、異なる組み合わせ又は配置で、互いに互換的に接続可能であり得る。一態様では、モジュール4001の各々は、それらの上側表面及び下側表面に沿って配設されたコネクタの一貫した又は普遍的なアレイを含むことができ、それによって、任意のモジュール4001が任意の配置で別のモジュール4001に接続されることを可能にする(ただし、いくつかの態様では、ヘッダモジュール4002などの特定のモジュールタイプは、例えば、スタック内では最も上に配置されるモジュールとして機能するように構成することができる)。代替の態様では、モジュール式エネルギーシステム4000は、
図47に示されるようにモジュール4001を受容及び保持するように構成されたハウジングを含むことができる。モジュール式エネルギーシステム4000はまた、モジュール4001に接続可能であるか又は別の方法で関連付けることができる、様々な異なる構成要素又は付属品も含むことができる。別の一態様では、モジュール式エネルギーシステム4000は、外科用ハブ3106の発生器モジュール3140、3900として具現化することができる(
図47~
図48)。更に別の態様では、モジュール式エネルギーシステム4000は、外科用ハブ3106とは別個のシステムであり得る。このような態様では、モジュール式エネルギーシステム4000は、外科用ハブ3106に、それらの間でデータを送信及び/又は受信するために通信可能に連結可能であり得る。
【0209】
モジュール式エネルギーシステム4000は、様々な異なるモジュール4001から組み立てることができ、そのいくつかの例を
図49に示す。異なるタイプのモジュール4001の各々は、異なる機能を提供することができ、それによって、各モジュール式エネルギーシステム4000に含まれるモジュール4001をカスタマイズすることによって、モジュール式エネルギーシステム4000を異なる構成に組み立てて、モジュール式エネルギーシステム4000の機能及び能力をカスタマイズすることができる。モジュール式エネルギーシステム4000のモジュール4001は、例えば、ヘッダモジュール4002(ディスプレイスクリーン4006を含み得る)、エネルギーモジュール4004、技術モジュール4040、及び可視化モジュール4042を含むことができる。示される態様では、ヘッダモジュール4002は、モジュール式エネルギーシステムスタック内のトップ又は最上部モジュールとして機能するように構成され、したがって、その上面に沿ったコネクタを欠いていてもよい。別の一態様では、ヘッダモジュール4002は、モジュール式エネルギーシステムスタック内の底部に位置付けられるように、又は最下部モジュールであるように構成することができるが、そのため、その底部表面に沿ったコネクタを欠いていてもよい。更に別の態様では、ヘッダモジュール4002は、モジュール式エネルギーシステムスタック内の中間位置に位置付けられるように構成することができ、したがって、その底部表面及び頂部表面の両方に沿ったコネクタを含み得る。ヘッダモジュール4002は、各モジュール4001及びそれらに接続された構成要素のシステム全体にかかわる設定を、ヘッダモジュール4002上の物理的制御部4011を通じてかつ/又はディスプレイスクリーン4006上に表示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)4008を通じて制御するように構成され得る。このような設定としては、モジュール式エネルギーシステム4000の起動、警報の音量設定、フットスイッチの設定、設定のアイコン、ユーザインターフェースの外観若しくは構成、モジュール式エネルギーシステム4000にログインした外科医プロファイル、及び/又は実施されている外科手術のタイプが挙げられ得るであろう。ヘッダモジュール4002はまた、ヘッダモジュール4002に接続されたモジュール4001の通信、処理、及び/又は電力を提供するように構成することもできる。発生器モジュール3140、3900(
図47~
図48)とも称され得るエネルギーモジュール4004は、
図48に示される発生器3900に関連して上述したような、エネルギーモジュール4004に接続された電気外科用及び/又は超音波外科用器具を駆動するための1つ又は複数のエネルギーモダリティを生成するように構成され得る。技術モジュール4040は、追加的又は拡張制御アルゴリズム(例えば、エネルギーモジュール4004のエネルギー出力を制御するための電気外科用又は超音波制御アルゴリズム)を提供するように構成され得る。可視化モジュール4042は、可視化装置(すなわち、スコープ)とインターフェース接続するように構成することができ、したがって、向上した可視化機能を提供することができる。
【0210】
モジュール式エネルギーシステム4000は、モジュール4001の機能を制御するためにモジュール4001に接続可能であるか、又はそうでなければ、モジュール式エネルギーシステム4000と連携して機能するように構成されている、様々な付属品4029を更に含むことができる。付属品4029としては、例えば、シングルペダルフットスイッチ4032、デュアルペダルフットスイッチ4034、及びモジュール式エネルギーシステム4000を上に載せて支持するためのカート4030が挙げられ得る。フットスイッチ4032、4034は、例えば、エネルギーモジュール4004によって出力される特定のエネルギーモダリティの起動又は機能を制御するように構成され得る。
【0211】
モジュール式構成要素を利用することによって、図示されたモジュール式エネルギーシステム4000は、技術の利用可能性と共に成長し、施設及び/又は外科医のニーズに合わせてカスタマイズ可能である外科用プラットフォームを提供する。更に、モジュール式エネルギーシステム4000は、複合式装置(例えば、電気外科及び超音波エネルギーデュアル発生器)をサポートし、組織へのカスタマイズされた効果のためのソフトウェア駆動アルゴリズムをサポートする。なお更に、外科用システムアーキテクチャは、手術にとって重要な複数の技術を単一のシステムに組み合わせることによって、資本設備の設置面積を減少させる。
【0212】
モジュール式エネルギーシステム4000に関連して利用可能な様々なモジュール式構成要素としては、単極エネルギー発生器、双極エネルギー発生器、電気外科用/超音波エネルギーデュアル発生器、ディスプレイスクリーン、並びに様々な他のモジュール及び/又は他の構成要素を挙げることができるが、これらのうちのいくつかはまた、
図1~
図46にも関連して既に説明されている。
【0213】
ここで
図50Aを参照すると、ヘッダモジュール4002は、いくつかの態様では、ヘッダモジュール4002に接続されたモジュール4001に関する情報を中継するためのGUI4008を表示する、ディスプレイスクリーン4006を含むことができる。いくつかの態様では、ディスプレイスクリーン4006のGUI4008は、モジュール式エネルギーシステム4000の特定の構成を構成するモジュール4001の全てに対する、統合された制御ポイントを提供することができる。代替の態様では、ヘッダモジュール4002は、ディスプレイスクリーン4006を欠いていてもよいか、又はディスプレイスクリーン4006が、ヘッダモジュール4002のハウジング4010に取り外し可能に接続されてもよい。このような態様では、ヘッダモジュール4002は、モジュール式エネルギーシステム4000のモジュール4001によって生成された情報を表示するように構成された外部システムに、通信可能に連結可能であり得る。例えば、ロボット外科用途では、モジュール式エネルギーシステム4000は、ロボットカート又はロボット制御コンソールに通信可能に連結可能であり得るが、ロボット式カート又はロボット制御コンソールは、モジュール式エネルギーシステム4000によって生成された情報を、ロボット外科用システムのオペレータに対して表示するように構成される。別の例として、モジュール式エネルギーシステム4000は、モバイルディスプレイに通信可能に連結可能であり得るが、このモバイルディスプレイは、外科スタッフメンバーによって搬送され又はメンバーに取り付けられて、モバイルディスプレイによって情報を見ることができるものである。更に別の例では、モジュール式エネルギーシステム4000は、外科用ハブ4100に、又はディスプレイ4104を含むことができる別のコンピュータシステムに、通信可能に連結可能であり得る。モジュール式エネルギーシステム4000とは別体であるか、又は別の方法で区別されるユーザインターフェースを利用する態様では、そのユーザインターフェースは、ユーザインターフェースが接続されたモジュール4001からの情報を表示することができるように、モジュール式エネルギーシステム4000全体と、又はそのうちの1つ以上のモジュール4001と無線接続可能であり得る。
【0214】
更に
図50Aを参照すると、エネルギーモジュール4004は、多数の異なるポートを含むポートアセンブリ4012を含むことができるが、それらのポートは、異なるエネルギーモダリティを、それぞれのポートに接続可能な対応する外科用器具に送達するように構成されている。
図49~
図50Bに示される特定の態様では、ポートアセンブリ4012は、双極ポート4014と、第1の単極ポート4016aと、第2の単極ポート4018bと、中性極ポート4018(単極リターンパッドが接続可能であるポート)と、複合エネルギーポート4020と、を含む。しかしながら、ポートのこの特定の組み合わせは、単に例示目的のために提供され、ポート及び/又はエネルギーモダリティの代替的な組み合わせが、ポートアセンブリ4012に対して可能であり得る。
【0215】
上述したように、モジュール式エネルギーシステム4000は、異なる構成に組み立てることができる。更に、モジュール式エネルギーシステム4000の異なる構成はまた、異なる外科手術のタイプ及び/又は異なるタスクに対して利用可能でもあり得る。例えば、
図50A及び
図50Bは、一つに接続されたヘッダモジュール4002(ディスプレイスクリーン4006を含む)と、エネルギーモジュール4004とを含むモジュール式エネルギーシステム4000の、第1の例示的な構成を示す。このような構成は、例えば、腹腔鏡手術及び開腹手術に好適であり得る。
【0216】
図51~
図55は、本明細書に記載のエンドエフェクタ、外科用器具、及び発生器のうちのいずれか1つを含む、超音波及び電気外科的機能を有する例示的な外科用システム10を示す。
図51は、発生器12及び外科用器具14を含む外科用システム10を示す。外科用器具14は、電力ケーブル16を介して発生器12に動作可能に連結されている。発生器12は、外科用器具14に電力を供給するように動作可能であり、組織を切断するための超音波エネルギー、及び組織を封止するための電気外科用双極RFエネルギー(すなわち、治療レベルのRFエネルギー)を送達する。一態様では、発生器12は、外科用器具14に電力を供給して、超音波エネルギー及び電気外科用双極RFエネルギーを同時に又はそれぞれ独立して送達するように構成されている。
【0217】
本実施例の外科用器具14は、ハンドルアセンブリ18、ハンドルアセンブリ18から遠位側に延出するシャフトアセンブリ20、及びシャフトアセンブリ20の遠位端に配置されたエンドエフェクタ22を含む。ハンドルアセンブリ18は、本体24を含み、本体24は、外科医によって操作されるように構成された、ピストルグリップ26及びエネルギー制御ボタン28、30を含む。トリガ32が、本体24の下部に連結されている。以下により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ22を選択的に作動させるため、トリガ32は、ピストルグリップ26に向かってかつそこから遠ざかるように枢動可能である。外科用器具14の他の好適な変形例では、ハンドルアセンブリ18は、例えば、シザーグリップ構成を備えていてもよい。超音波トランスデューサ34が、本体24内に収容され、本体24によって支持される。他の構成では、超音波トランスデューサ34は、本体24の外に提供されてもよい。
【0218】
図52及び
図53に示されるように、エンドエフェクタ22は、超音波ブレード36と、クランプアーム38とを含み、クランプアーム38は、超音波ブレード36に向かってかつそこから遠ざかるように選択的に枢動して、超音波ブレード36との間で組織を締め付けるように構成されている。超音波ブレード36は、超音波トランスデューサ34と音響的に結合されており、超音波トランスデューサ34は、超音波周波数で超音波ブレード36を駆動して(すなわち振動させ)、超音波ブレード36と接触して位置付けられた組織を、切断及び/又は封止するように構成されている。クランプアーム38はトリガ32と動作可能に連結され、それにより、クランプアーム38は、ピストルグリップ26に向かうトリガ32の枢動に応答して、超音波ブレード36に向かって、閉鎖位置まで枢動するように構成されている。更に、クランプアーム38は、ピストルグリップ26から遠ざかるようなトリガ32の枢動に応答して、超音波ブレード36から遠ざかるように、開放位置まで枢動するように構成されている(例えば、
図51~
図53を参照)。本明細書に記載の教示を考慮すれば、クランプアーム38をトリガ32と連結させ得る様々な好適な方法が、当業者には明らかとなろう。いくつかの変形例では、クランプアーム38及び/又はトリガ32を開放位置に向かって付勢するために、1つ以上の弾性部材が組み込まれてもよい。
【0219】
クランプパッド40は、超音波ブレード36に面する、クランプアーム38のクランプ側に固定され、クランプ側に沿って遠位方向に延在する。クランプパッド40は、クランプアーム38がその閉鎖位置まで作動されたときに、超音波ブレード36の対応する組織治療部分に係合して、その部分に対して組織を締め付けるように構成されている。クランプアーム38の少なくともクランプ側には、本明細書ではクランプアーム電極42と称される第1の電極42が設けられる。加えて、超音波ブレード36の少なくともクランプ側には、本明細書ではブレード電極44と称される第2の電極44が設けられる。電極42、44は、発生器12によって提供される電気外科用双極RFエネルギーを、電極42、44と電気的に連結された組織に印加するように構成されている。クランプアーム電極42は、活性電極として機能する一方、ブレード電極44は、帰還電極として機能し得るが、あるいはその逆であってもよい。外科用器具14は、超音波周波数で超音波ブレード36を振動させている間、超音波周波数で超音波ブレード36を振動させる前、及び/又は超音波周波数で超音波ブレード36を振動させた後に、電極42、44を通して電気外科用双極RFエネルギーを印加するように構成されてもよい。
【0220】
図51~
図55に示されるように、シャフトアセンブリ20は、長手方向軸線に沿って延在し、外管46と、外管46内に受容されている内管48と、内管48内に支持されている超音波導波管50と、を含む。
図52~
図55に最もよく見られるように、クランプアーム38は、内管48及び外管46それぞれの遠位端に連結される。具体的には、クランプアーム38は、近位方向に延在する一対のクレビスアーム52を含み、クレビスアーム52は、それらの間に、内管48の遠位端54を受容し、かつ、クレビスアーム52及び内管48の遠位端54内に形成された貫通穴を通して受容された枢動ピン56によって、内管48の遠位端54に枢動可能に連結している。第1のフィンガ58及び第2のクレビスフィンガ58は、クレビスアーム52から下方に垂下し、外管46の遠位端60に枢動可能に連結される。具体的には、それぞれのクレビスフィンガ58は、突起62を含み、突起62は、外管46の遠位端60の側壁に形成された対応する開口部64内に回転可能に受容される。
【0221】
本実施例では、内管48は、ハンドルアセンブリ18に対して長手方向に固定され、外管46は、シャフトアセンブリ20の長手方向軸線に沿って、内管48及びハンドルアセンブリ18に対して並進するように構成されている。外管46が遠位方向に並進するにつれて、クランプアーム38は、その開放位置に向かって枢動ピン56の周りを枢動する。外管46が近位方向に並進するにつれて、クランプアーム38は、その閉鎖位置に向かって反対方向に枢動する。外管46の近位端は、トリガ32と、例えばリンケージアセンブリを介して動作可能に結合され、その結果、トリガ32の作動によって内管48に対する外管46の並進が生じ、それによってクランプアーム38が開閉される。本明細書に示されない他の好適な構成では、外管46は、長手方向に固定されていてもよく、内管48が、並進してクランプアーム38を、その開放位置と閉鎖位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0222】
シャフトアセンブリ20及びエンドエフェクタ22は、ハンドルアセンブリ18に対して長手方向軸線を中心として一緒に回転するように構成されている。
図54に示される保持ピン66は、外管46、内管48、及び導波管50それぞれの近位部分を通って横方向に延在し、それによって、これらの構成要素を互いに対して回転可能に連結する。本実施例では、回転ノブ68が、シャフトアセンブリ20の近位端部分に提供され、ハンドルアセンブリ18に対するシャフトアセンブリ20及びエンドエフェクタ22の回転を、容易にする。回転ノブ68は、回転ノブ68の近位側カラーを通って延在する保持ピン66によって、シャフトアセンブリ20に回転可能に固定される。他の好適な構成では、回転ノブ68は省略されてもよく、又は代替的な回転作動構造で置換されてもよいということが理解されよう。
【0223】
超音波導波管50は、
図55に示すように、例えばねじ式接続により、その近位端において超音波トランスデューサ34と音響的に結合され、その遠位端において超音波ブレード36と音響的に結合される。図示されている超音波ブレード36は、導波管50と一体に形成され、ブレード36が導波管50の遠位端から直接遠位方向に延出している。このようにして、導波管50は、超音波トランスデューサ34を超音波ブレード36と音響的に結合し、トランスデューサ34からブレード36に超音波機械振動を伝達するように機能する。したがって、超音波トランスデューサ34、導波管50、及び超音波ブレード36はまとまって、音響アセンブリを画定する。使用中、超音波ブレード36は、クランプアーム38によって提供される補助的なクランプ締付力の有無にかかわらず、組織と直接接触して配置され、組織に超音波振動エネルギーを付与し、それによって組織を切断及び/又は封止し得る。例えば、ブレード36は、クランプアーム38と、ブレード36の第1の治療側との間に締め付けられた組織を切断し得るが、あるいは、ブレード36は、例えば、「後退切断」移動中に、ブレード36の反対側に配設された第2の治療側と接触して位置する組織を切断し得る。いくつかの変形例では、導波管50は、ブレード36に送達される超音波振動を増幅し得る。更に、導波管50は、振動の利得を制御するように動作可能な様々な機構、及び/又は導波管50を選択された共振周波数に同調させるのに好適な機構を含み得る。超音波ブレード36及び導波管50の更なる機構は、以下により詳細に記載される。
【0224】
導波管50は、
図54~
図55に示されるように、導波管50の長さに沿って位置する複数のノード支持要素70によって内管48内に支持される。具体的には、ノード支持要素70は、導波管50を通って伝達される共振超音波振動によって画定される音響ノードに対応する位置に、導波管50に沿って長手方向に配置される。ノード支持要素70は、導波管50に対する構造的支持を提供し得るが、更に、導波管50と、シャフトアセンブリ20の内管48及び外管46との間の、音響絶縁をも提供し得る。変形例では、ノード支持要素70は、Oリングを含んでもよい。導波管50は、
図55に示されるオーバーモールド部材72の形態のノード支持要素によって、その最も遠位側にある音響ノードで支持される。導波管50は、例えば、最も近位側の音響ノードなど、導波管50の近位側に配置された音響ノードに形成された横方向貫通穴74を通過する保持ピン66によって、シャフトアセンブリ20内に長手方向に回転可能に固定される。
【0225】
本実施例では、超音波ブレード36の遠位先端76は、導波管50を通じて伝達される共振超音波振動に関連付けられたアンチノードに対応する位置にある。このような構成により、超音波ブレード36に組織が充填されていないときには、器具14の音響アセンブリを、好ましい共振周波数foに同調させることができる。超音波トランスデューサ34が発生器12によって通電されて、導波管50を介してブレード36に機械的振動を伝達すると、ブレード36の遠位先端部76は、約20~120マイクロメートルのピーク間の範囲で、例えば、場合によっては約20~50マイクロメートルの範囲で、例えば、約50kHzの所定の振動周波数foで長手方向に振動する。超音波ブレード36が組織と接触して位置付けられているとき、ブレード36の超音波振動は、同時に、組織を切断し、隣接する組織細胞内のタンパク質を変性させることによって、最小限の熱拡散を伴う凝固効果を提供し得る。
【実施例】
【0226】
本開示のエンドエフェクタ及び外科用器具の様々な態様の例を以下に提供する。エンドエフェクタ又は外科用器具の態様は、以下に記載される実施例のうちのいずれか1つ以上、及び任意の組み合わせを含み得る。
【0227】
実施例1.クランプアームと、超音波トランスデューサに音響的に結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタであって、クランプアームが、複数のゾーンを自身に沿って画定するクランプジョー、複数のゾーンの各々に配設された少なくとも1つのばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、少なくとも1つのばね、及び電気発生器の反対の極に電気的に結合するように構成されているカンチレバー電極であって、カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するためのばねの各々に接触して、複数のゾーンに沿って配設され、近位端でクランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、を備える、エンドエフェクタ。
【0228】
実施例2.クランプジョーが、少なくとも、クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施例1に記載のエンドエフェクタ。
【0229】
実施例3.クランプアームが、第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、実施例2に記載のエンドエフェクタ。
【0230】
実施例4.第1のゾーンZ1内の少なくとも1つのばねS1のばね付勢力と、第2のゾーンZ2内の少なくとも1つのばねS2のばね付勢力が、S2>S1となるように可変である、実施例3に記載のエンドエフェクタ。
【0231】
実施例5.クランプジョーが、少なくとも、クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施例1~4のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0232】
実施例6.クランプアームが、第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、実施例5に記載のエンドエフェクタ。
【0233】
実施例7.第1のゾーンZ1内の複数のばねS1のばね付勢力と、第2のゾーンZ2内の複数のばねS2のばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施例6に記載のエンドエフェクタ。
【0234】
実施例8.カンチレバー電極の長さに沿った可変的ばね付勢が、先端の装填状態を作り出す、実施例1~7のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0235】
実施例9.超音波ブレードの偏向が、遠位方向に行くにつれて増加する、実施例1~8のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0236】
実施例10.低締付荷重条件下では、超音波ブレードが真っ直ぐなままであり、高締付条件下では、クランプアームが、ばね荷重によって引き起こされるカンチレバー電極の偏向を引き起こして、超音波ブレードを偏向させる、実施例1~9のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0237】
実施例11.カンチレバー電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、実施例1~10のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0238】
実施例12.ハウジングと、超音波トランスデューサと、エンドエフェクタであって、クランプアーム、及び超音波トランスデューサに音響的に結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレードを備えるエンドエフェクタと、を備える、外科用器具であって、クランプアームが、複数のゾーンを自身に沿って画定するクランプジョー、複数のゾーンの各々に配設された少なくとも1つのばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、少なくとも1つのばね、及び電気発生器の反対の極に電気的に結合されているカンチレバー電極であって、カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するためのばねの各々に接触して、複数のゾーンに沿って配設され、近位端で前記クランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、を備える、外科用器具。
【0239】
実施例13.クランプジョーが、少なくとも、クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつクランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施例12に記載の外科用器具。
【0240】
実施例14.クランプアームが、第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、実施例13に記載の外科用器具。
【0241】
実施例15.第1のゾーンZ1内の少なくとも1つのばねS1のばね付勢力と、第2のゾーンZ2内の少なくとも1つのばねS2のばね付勢力が、S2>S1となるように可変である、実施例14に記載の外科用器具。
【0242】
実施例16.クランプジョーが、少なくとも、クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつクランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施例12~15のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0243】
実施例17.クランプアームが、第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、実施例16に記載の外科用器具。
【0244】
実施例18.第1のゾーンZ1内の複数のばねS1のばね付勢力と、第2のゾーンZ2内の複数のばねS2のばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施例17に記載の外科用器具。
【0245】
実施例19.カンチレバー電極の長さに沿った可変的ばね付勢が、先端の装填状態を作り出す、実施例12~18のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0246】
実施例20.超音波ブレードの偏向が、遠位方向に行くにつれて増加する、実施例12~19のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0247】
実施例21.低締付荷重条件下では、超音波ブレードが真っ直ぐなままであり、高締付条件下では、クランプアームが、ばね荷重によって引き起こされるカンチレバー電極の偏向を引き起こして、超音波ブレードを偏向させる、実施例12~20のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0248】
実施例22.エンドエフェクタが、カンチレバー電極と超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、実施例12~21のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0249】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0250】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フロー図及び/又は実施例を用いて、装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者には、そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができることを理解されたい。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実装することができ、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。加えて、当業者には、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形態で1つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に実行するために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用されることを理解されたい。
【0251】
様々な開示された態様を実施するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって配布され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意のタイプの有形機械可読媒体が挙げられる。
【0252】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブル論理装置(programmable logic device、PLD)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0253】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実施するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0254】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0255】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながるステップの自己無撞着シーケンスを指し、「ステップ」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、組み合わせ、比較、及び別様に操作されることが可能な電気信号又は磁気信号の形態をとることができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0256】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0257】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理すること(processing)」、「計算すること(computing)」、「算出すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「表示すること(displaying)」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置のアクション及び処理を指していることが理解されよう。
【0258】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0259】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0260】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0261】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0262】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンスで示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0263】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0264】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0265】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0266】
〔実施の態様〕
(1) クランプアームと、
超音波トランスデューサに音響的に結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレードと、
を備える、エンドエフェクタであって、
前記クランプアームが、
複数のゾーンを自身に沿って画定するクランプジョー、
前記複数のゾーンの各々に配設された少なくとも1つのばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、少なくとも1つのばね、及び
前記電気発生器の反対の極に電気的に結合するように構成されているカンチレバー電極であって、前記カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するための前記ばねの各々に接触して、前記複数のゾーンに沿って配設され、近位端で前記クランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、
を備える、
エンドエフェクタ。
(2) 前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(3) 前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(4) 前記第1のゾーンZ1内の前記少なくとも1つのばねS1の前記ばね付勢力と、前記第2のゾーンZ2内の前記少なくとも1つのばねS2の前記ばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施態様3に記載のエンドエフェクタ。
(5) 前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0267】
(6) 前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、実施態様5に記載のエンドエフェクタ。
(7) 前記第1のゾーンZ1内の前記複数のばねS1のばね付勢力と、前記第2のゾーンZ2内の前記複数のばねS2のばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施態様6に記載のエンドエフェクタ。
(8) 前記カンチレバー電極の前記長さに沿った可変的ばね付勢が、先端の装填状態を作り出す、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記超音波ブレードの偏向が、遠位方向に行くにつれて増加する、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(10) 低締付荷重条件下では、前記超音波ブレードが真っ直ぐなままであり、高締付条件下では、前記クランプアームが、前記ばね荷重によって引き起こされる前記カンチレバー電極の前記偏向を引き起こして、前記超音波ブレードを偏向させる、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0268】
(11) 前記カンチレバー電極と前記超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(12) ハウジングと、
超音波トランスデューサと、
エンドエフェクタであって、
クランプアーム、及び
前記超音波トランスデューサに結合し、電気発生器の一方の極に電気的に結合するように構成されている超音波ブレード、
を備えるエンドエフェクタと、
を備える、外科用器具であって、
前記クランプアームが、
複数のゾーンを自身に沿って画定するクランプジョー、
前記複数のゾーンの各々に配設された少なくとも1つのばねであって、第1のゾーン内の第1のばねのばね付勢力が、第2のゾーンにおける第2のばねのばね付勢力とは異なる、少なくとも1つのばね、及び
前記電気発生器の反対の極に電気的に結合するカンチレバー電極であって、前記カンチレバー電極の長さに沿って可変的ばね付勢を適用するための前記ばねの各々に接触して、前記複数のゾーンに沿って配設され、近位端で前記クランプジョーに固定され、遠位端で自由に偏向する、カンチレバー電極、
を備える、
外科用器具。
(13) 前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された少なくとも1つのばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された少なくとも1つのばねS2と、を更に備える、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記第1のゾーンZ1内の前記少なくとも1つのばねS1の前記ばね付勢力と、前記第2のゾーンZ2内の前記少なくとも1つのばねS2の前記ばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施態様14に記載の外科用器具。
【0269】
(16) 前記クランプジョーが、少なくとも、前記クランプアームの近位端に第1のゾーンZ1を、かつ前記クランプアームの遠位端に第2のゾーンZ2を画定する、実施態様12に記載の外科用器具。
(17) 前記クランプアームが、前記第1のゾーンZ1内に配設された複数のばねS1と、前記第2のゾーンZ2内に配設された複数のばねS2と、を更に備える、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 前記第1のゾーンZ1内の前記複数のばねS1のばね付勢力と、前記第2のゾーンZ2内の前記複数のばねS2のばね付勢力とが、S2>S1となるように可変である、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 前記カンチレバー電極の前記長さに沿った可変的ばね付勢が、先端の装填状態を作り出す、実施態様12に記載の外科用器具。
(20) 前記超音波ブレードの偏向が、前記遠位方向に行くにつれて増加する、実施態様12に記載の外科用器具。
【0270】
(21) 低締付荷重条件下では、前記超音波ブレードが真っ直ぐなままであり、高締付条件下では、前記クランプアームが、前記ばね荷重によって引き起こされる前記カンチレバー電極の前記偏向を引き起こして、前記超音波ブレードを偏向させる、実施態様12に記載の外科用器具。
(22) 前記エンドエフェクタが、前記カンチレバー電極と前記超音波ブレードとの間にギャップを設定するための複数のハードスペーサを更に備える、実施態様12に記載の外科用器具。