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特許7581373同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタ、セル構造及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタ、セル構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241105BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01L29/78 652B
H01L29/78 652E
H01L29/78 652F
H01L29/78 652J
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 658A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022564223
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2020124344
(87)【国際公開番号】W WO2021212793
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】202010313779.8
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010700174.4
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010725690.2
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522411337
【氏名又は名称】ピーエヌ ジャンクション セミコンダクター(ハンチョウ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ファン, シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シン ルー
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-072162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造において、
材料のドーピングタイプが第1導電型である炭化珪素基板(001)と、
炭化珪素基板(001)の表面と裏面にそれぞれ設けられた第1導電型の半導体エピタキシャル層(002)及び第1電極(003)と、を含み、
第1導電型の半導体エピタキシャル層(002)に、第2導電型のフローティング領域(005)、第1導電型のゲート注入領域(006)、第1導電型のソース注入領域(007)が順に設けられ、ゲート注入領域(006)にゲート(008)が設けられ、ソース注入領域にソース(009)が設けられ、第1導電型のゲート注入領域(006)と第1導電型のソース注入領域(007)との間にゲート(008)とソース(009)を仕切るための極間媒体(010)が設けられる、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造であって、
セルの一方側のゲート注入領域(006)は、ゲート(008)に接続され、セルの他方側のゲート注入領域(006)及びソース注入領域(007)は、ソース(009)に共通に接続される、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項2】
前記第2導電型のフローティング領域(005)と第1導電型のソース注入領域(007)の接触部は、第1導電型のソース注入領域(007)の構造と同じであり、かつ、いずれも終端尖角を有するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項3】
前記終端尖角は、0~180度である、
ことを特徴とする請求項2に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項4】
前記第1導電型の半導体エピタキシャル層(002)は、厚さが5~250μmであり、ドーピング濃度が1×1014cm-3~5×1018cm-3である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項5】
第1導電型及び第2導電型のドーピングは、1×1014cm-3~2×1021cm-3の均一又は非均一なドーピングである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項6】
前記第1導電型は、N型であり、前記第2導電型は、P型である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項7】
前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造。
【請求項8】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタにおいて、
複数の請求項1から7のいずれか1項に記載のセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタにおいて、
複数の請求項1から7のいずれか1項に記載のセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法において、
(a)材料のドーピングタイプが第1導電型であり、表面に第1導電型の半導体エピタキシャル層(002)が設けられ、フォトリソグラフィマスクで半導体エピタキシャル層(002)の一部の表面を遮蔽し、エッチングプロセスによって炭化珪素メサをエッチングし、エッチング深さである溝が、0.5~5μmである、炭化珪素基板(001)を用いるステップと、
(b)具体的なプロセスが、Alイオンを少なくとも一回で傾斜注入及び垂直注入することによって、の底部及び側壁が均一に注入されるように第2導電型のフローティング領域(005)を形成することを含む、同一のフォトリソグラフィマスク材料を用いてフローティング領域のイオン注入を行うステップと、
(c)フォトリソグラフィマスクを剥離し、垂直N注入を行い、第1導電型のゲート注入領域(006)及びソース注入領域(007)を形成するステップと、
(d)溝の側壁に電極仕切り媒体(010)として媒体層を成長させて、ゲートとソースとを仕切るステップと、
(e)金属を堆積するとともに、アニールによりそれぞれ第1導電型のゲート注入領域(006)の表面、ソース注入領域(007)の表面及び炭化珪素基板(001)の裏面にシリサイドまたは炭化物のうちの少なくとも一種を含む合金を形成し、オーミック接触とするステップと、を含む、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する
請求項1から7のいずれか1項に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法。
【請求項11】
ステップ(b)は、さらに、少なくとも一回の傾斜注入を増加させ、第1導電型を有するチャネル注入領域(004)を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法。
【請求項12】
前記第1導電型は、N型であり、前記第2導電型は、P型である、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法。
【請求項13】
前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型である、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法。
【請求項14】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法において、
前記電界効果トランジスタは、請求項10~13のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された複数のセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】
同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法において、
前記電界効果トランジスタは、請求項10~13のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された複数のセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、
ことを特徴とする同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に属し、具体的には、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタ、セル構造及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料技術の発展と成熟に伴い、SiC材料は、そのワイドバンドギャップ特性により、より高い温度特性及び耐圧特性を備え、Si系デバイスの制限を突破することができる。SiC/SiO界面の性能及び信頼性をさらに向上させる必要があるため、SiC接合型電界効果トランジスタ(Junction Field Effect Transistor、JFET)デバイス構造は、広く注目されている。SiC JFETは、SiC/SiO界面欠陥による問題を回避することに加えて、セルサイズを減少させやすく、より低いオン抵抗をもたらす。SiOは、高温でより多くの界面準位を励起させるため、SiC JFETデバイスは、SiC材料の高温高圧での特性を最大限に発掘することができる。
【0003】
従来のSiC JFETでは、PN接合制御により、キャリアは、デバイスのソースから流出した後、細長いチャネル領域を経て、デバイスのドリフト領域に流入するとともに、最終的にデバイスのドレインに収集される。デバイスのチャネルは、ゲート及びソースの間に位置する2つのPN接合により制御されることによって、デバイスのオフ及びオンを制御する。しかし、従来のJFETのP型ゲートは、デバイス応用の方面で多くの悪影響をもたらす。まず、デバイスがオンにされる時、PN接合のオンを回避するために、デバイスのゲートバイアスVgsは、PN接合の順方向オン電圧VF0を超えることができない(炭化珪素を例として、VF0=2.6Vであり、すなわち、Vgs<VF0)。同時に、デバイスがノーマリーオン型であれば、ゲートがゼロバイアスでオンにされる時、P型ゲートとN型チャネルとの間に形成されたビルドインポテンシャル(以下、「ゲートビルドインポテンシャル」という)により、チャネルをある程度空乏化させ、チャネルの抵抗が高くなり、デバイスが大電流(飽和領域近傍)で動作する時、ゲートのビルドインポテンシャルにより、チャネルが早期にピンチオフ状態に入り、電流が早期に飽和してしまい、かつ、該動作時の導通損失が高過ぎるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に存在している技術課題に鑑み、本発明は、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタ、セル構造及び製造方法を提供するために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術課題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0006】
本発明の第1態様は、
材料のドーピングタイプが第1導電型である炭化珪素基板と、
炭化珪素基板の表面と裏面にそれぞれ設けられた第1導電型の半導体エピタキシャル層及び第1電極と、を含み、
第1導電型の半導体エピタキシャル層に、第2導電型のフローティング領域、第1導電型のゲート注入領域、第1導電型のソース注入領域が順に設けられ、ゲート注入領域にゲートが設けられ、ソース注入領域にソースが設けられ、ゲート注入領域とソース注入領域との間にゲートとソースを仕切るための極間媒体が設けられる、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造を提供する。
【0007】
好ましくは、前記第2導電型のフローティング領域(005)と第1導電型のソース注入領域(007)の接触部は、第1導電型のソース注入領域(007)の構造と同じであり、かつ、いずれも終端尖角を有するように設けられている。
【0008】
好ましくは、前記終端尖角は、0~180度である。
【0009】
好ましくは、前記第1導電型の半導体エピタキシャル層(002)は、厚さが5~250μmであり、ドーピング濃度が1×1014cm-3~5×1018cm-3である。
【0010】
好ましくは、セルの一方側のゲート注入領域は、ゲートに接続され、セルの他方側のゲート注入領域及びソース注入領域は、ソースに共通に接続される。
【0011】
好ましくは、第1導電型及び第2導電型のドーピングは、1×1014cm-3~2×1021cm-3の均一又は非均一なドーピングである。
【0012】
好ましくは、前記第1導電型は、N型であり、前記第2導電型は、P型である。
【0013】
好ましくは、前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型である。
【0014】
本発明の第2態様は、複数の上記したようなセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタを提供する。
【0015】
本発明の第3態様は、複数の上記したようなセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタを提供する。
【0016】
本発明の第4態様は、
(a)材料のドーピングタイプが第1導電型であり、表面に第1導電型の半導体エピタキシャル層が設けられ、フォトリソグラフィプレートでマスク材料をパターニングし、一部の表面を遮蔽し、エッチングプロセスによってエッチングして炭化珪素メサを形成し、エッチング深さが、0.5~5μmである、炭化珪素基板を用いるステップと、
(b)具体的なプロセスが、Alイオンを少なくとも一回で傾斜注入及び垂直注入することによって、トレンチの底部及び側壁が均一に注入されるように第2導電型のフローティング領域を形成することを含む、同一のフォトリソグラフィマスク材料を用いてフローティング領域のイオン注入を行うステップと、
(c)マスク層を剥離し、垂直N注入を行い、第1導電型のゲート注入領域及びソース注入領域を形成するステップと、
(d)溝の側壁に電極仕切り媒体として媒体層を成長させて、ゲートとソースとを仕切るステップと、
(e)金属を堆積するとともに、アニールによりそれぞれ第1導電型のゲート注入領域、ソース注入領域及び基板表面にシリサイドまたは炭化物のうちの少なくとも一種を含む合金を形成し、オーミック接触とするステップと、を含む、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法を提供する。
【0017】
好ましくは、ステップは、さらに、少なくとも一回の傾斜注入を増加させ、チャネル注入領域を形成することを含む。
【0018】
好ましくは、前記第1導電型は、N型であり、前記第2導電型は、P型である。
【0019】
好ましくは、前記第1導電型は、P型であり、前記第2導電型は、N型である。
【0020】
本発明の第5態様は、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法を提供し、前記電界効果トランジスタは、上記いずれかに記載の製造方法を用いて製造された複数のセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する。
【0021】
本発明の第6態様は、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法を提供し、前記電界効果トランジスタは、上記いずれかに記載の製造方法を用いて製造された複数のセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する。
【0022】
本発明を用いると、以下の有益な効果を有する。
【0023】
(1)従来のJFETに基づいて第1導電型を有するゲート及び該ゲートを囲む第2導電型のフローティング領域を導入してデバイスのチャネルを制御することによって、Vgsをpn接合の順方向オン電圧より大きい位置にバイアスさせることを可能にするようにデバイスのゲートの順方向バイアス電圧を増加させることができる。
【0024】
(2)Vgs=0Vである場合、チャネルでのPN接合にビルドインポテンシャルによる逆バイアスが存在しないため、デバイスのオン抵抗がより低い。
【0025】
(3)大電流で導通する場合、デバイスが飽和状態に入り、より大きな電流を導通することができる。
【0026】
(4)一つのゲートがソースに接続されることによって、構造をCgdだけ減少させることができ、それにより、スイッチング損失を減少させる。
【0027】
(5)終端尖角を有する第2導電型のフローティング領域を導入することによって、二つの方向から注入すれば第2導電型のフローティング領域の注入を完了することができ、二つの方向から注入する時にゲート・ソースが短絡するという問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】方法実施例1における炭化珪素基板の表面に第1導電型の半導体エピタキシャル層が設けられた構造概略図である。
図2】方法実施例1におけるエッチングプロセスによってエッチングして炭化珪素メサを形成する構造概略図である。
図3】方法実施例1における第2導電型のフローティング領域を形成する構造概略図である。
図4】方法実施例1におけるゲート注入領域及びソース注入領域を形成する構造概略図である。
図5】方法実施例1における電極仕切り媒体を形成する構造概略図である。
図6】方法実施例1におけるゲート及びソースを形成する構造概略図である。
図7】方法実施例2におけるチャネル注入領域を形成する構造概略図である。
図8】方法実施例3における一つのゲートがソースに接続された構造概略図である。
図9】方法実施例4における接合終端およびセル構造の活性領域を同時にエッチングして注入する構造概略図である。
図10】方法実施例5における接合終端およびセル構造の活性領域を同時にエッチングして注入する構造概略図である。
図11】デバイスをオフにする時に、チャネル注入領域と第2導電型のフローティング領域との間の空間電荷領域が閉じる構造概略図である。
図12】デバイスをオンにする時に、空間電荷領域が離間した構造概略図である。
図13】従来のJFETデバイスに比べてゲートに印加可能な電圧を上げた比較概略図である。
図14】従来のJFETデバイスに比べて飽和電流を上げた比較概略図である。
図15】本発明の別の実施例に係る同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の断面構造概略図である。
図16】本発明の別の実施例に係る同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造における終端尖角を有する第2導電型の半導体フローティング領域の立体構造概略図である。
図17】本発明の別の実施例に係る同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造における終端尖角を有する第2導電型の半導体フローティング領域の断面構造概略図である。
図18】終端尖角セルを有するデバイス活性領域レイアウトの配置平面図である。
図19】本発明の別の実施例に係る同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造における矩形を有する第2導電型の半導体フローティング領域の立体構造概略図である。
図20】本発明の別の実施例に係る同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造における矩形を有する第2導電型の半導体フローティング領域の断面構造概略図である。
図21】矩形セルを有するデバイス活性領域レイアウトの配置平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明する。説明される実施例は本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例であることが明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が進歩的な労力を払わずに取得したほかの実施例の全ては、本発明の保護範囲に属する。
【0030】
方法実施例1
本発明の実施例は、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造の製造方法を開示しており、以下のステップを含む。
【0031】
(a)図1と2を参照し、炭化珪素基板001を用い、該基板材料のドーピングタイプが第1導電型であり、炭化珪素基板001の表面に第1導電型の半導体エピタキシャル層002が設けられ、フォトリソグラフィプレートでマスク材料をパターニングし、一部の表面を遮蔽し、ICP(Inductively Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)でエッチングして炭化珪素メサを形成し、エッチング深さが0.5~5μmであり、他のエッチングプロセスを用いてもよい。
【0032】
(b)図3を参照し、具体的なプロセスが、Alイオンを少なくとも一回に傾斜注入及び垂直注入することによって、トレンチの底部及び側壁が均一に注入されるように第2導電型のフローティング領域005を形成することを含む、同一のフォトリソグラフィマスク材料を用いてフローティング領域のイオン注入を行う。
【0033】
(c)図4を参照し、マスク層を剥離し、垂直N注入を行い、第1導電型のゲート注入領域006及びソース注入領域007を形成した後で、金属と良好なオーミック接触を形成する。
【0034】
(d)図5を参照し、溝の側壁に電極仕切り媒体010として媒体層を成長させて、ゲート注入領域006とソース注入領域007とを仕切る。
【0035】
(e)図6を参照し、金属を堆積するとともに、アニールによりそれぞれゲート、ソース及びドレインの第1導電型表面にシリサイドを形成してオーミック接触とし、すなわち、ゲート、ソース及びドレインを形成する。
【0036】
当業者に理解されるように、幾つかの具体的な応用実例において、第1導電型は、N型であり、第2導電型は、P型である。他の幾つかの応用実例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型である。
【0037】
好ましい応用実例において、第1導電型及び第2導電型のドーピングは、1×1014cm-3~2×1021cm-3の均一又は非均一なドーピングである。
【0038】
ここに、好ましい応用実例において、第1導電型の半導体エピタキシャル層002は、厚さが5~250μmであり、ドーピング濃度が1×1014cm-3~5×1018cm-3である。
【0039】
方法実施例2
方法実施例1に基づいて、さらに図7を参照し、ステップ(b)に基づいて、少なくとも一回の傾斜注入で形成されたチャネル注入領域004を増加させ、今回の注入エネルギーは、同一のフォトリソグラフィマスク材料を用いてフローティング領域のイオン注入を行う過程の注入エネルギーよりも大きく、注入深さが深く、それにより、エピタキシャル層のドーピング濃度を変化させ、注入エネルギーは、トレンチの表面に留まることなく、チャネルに達し、チャネルの注入濃度を増加させ、オン抵抗Rdsonをさらに減少させることができる。
【0040】
方法実施例3
方法実施例1及び方法実施例2に基づいて、図8を参照し、さらに、ステップ(f)を含み、セルの一方側のゲート注入領域006は、ゲート008に接続され、セルの他方側のゲート注入領域006及びソース注入領域007は、ソース009に共通に接続されることによって、構造をCgdだけ減少させることができ、それにより、スイッチング損失を減少させる。
【0041】
方法実施例4
図9を参照し、本発明の実施例は、さらに同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法を提供し、前記電界効果トランジスタは、方法実施例1~3のいずれかを用いて製造された複数のセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する。
【0042】
方法実施例5
図10を参照し、本発明の実施例は、さらに同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタの製造方法を提供し、電界効果トランジスタは、方法実施例1~3のいずれかを用いて製造された複数のセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する。
【0043】
以上の方法により、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造及び同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタを製造することができ、以下に、構造実施例により具体的に説明する。
【0044】
構造実施例1
図6を参照し、方法実施例1で製造された同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造は、
材料のドーピングタイプが第1導電型である炭化珪素基板001と、
炭化珪素基板001の表面と裏面にそれぞれ設けられた第1導電型の半導体エピタキシャル層002及び第1電極003(すなわち、図示のドレイン)と、を含み、
第1導電型の半導体エピタキシャル層002に、第2導電型のフローティング領域005、第1導電型のゲート注入領域006、第1導電型のソース注入領域007が順に設けられ、ゲート注入領域006にゲート008が設けられ、ソース注入領域にソース009が設けられ、ゲート注入領域006とソース注入領域007との間にゲート008とソース009を仕切るための極間媒体010が設けられる。
【0045】
ここに、好ましい応用実例において、第1導電型の半導体エピタキシャル層002は、厚さが5~250μmであり、ドーピング濃度が1×1014cm-3~5×1018cm-3である。
【0046】
本発明の実施例は、従来のJFETに基づいて第1導電型を有するゲート及び該ゲートを囲む第2導電型のフローティング領域を導入してデバイスのチャネルを制御する。Vgsをpn接合の順方向オン電圧より大きい位置にバイアスさせることを可能にするようにデバイスのゲートの順方向バイアス電圧を増加させることができる(炭化珪素を例に、VGS=20Vであってもよい)。同時に、Vgs=0Vである場合、チャネルでのPN接合にビルドインポテンシャルによる逆バイアスが存在しないため、デバイスのオン抵抗がより低い。大電流で導通する場合、デバイスが飽和状態に入り、より大きな電流を導通することができる。すなわち、図13及び図14に示すように、従来のJFETデバイスに比べて、本発明は、ゲートに印加可能な電圧及び飽和電流を上げた。
【0047】
好ましい応用実例において、第1導電型及び第2導電型のドーピングは、1×1014cm-3~2×1021cm-3の均一又は非均一なドーピングである。
【0048】
構造実施例2
図7を参照し、方法実施例2で製造された同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造は、構造実施例1に基づいて、エピタキシャル層に少なくとも一回の傾斜注入を増加させることによりチャネル注入領域004を形成する。
【0049】
チャネル注入領域004及び第2導電型のフローティング領域005のドーピング濃度を調整することによって、該JFETデバイスの閾値電圧を調整することができる。図11を参照し、デバイスをオフにする時に、チャネル注入領域004と第2導電型のフローティング領域005との間の空間電荷領域が閉じる。図12を参照し、デバイスをオンにする時に、空間電荷領域が離間した。
【0050】
構造実施例3
図8を参照し、実施例1と実施例2に基づいて、そのうちの一つのゲートがソースに接続されることによって、構造をCgdだけ減少させることができ、それにより、スイッチング損失を減少させる。
【0051】
構造実施例4
構造実施例1及び構造実施例2に基づいて、図8を参照し、セルの一方側のゲート注入領域006は、ゲート008に接続され、セルの他方側のゲート注入領域006及びソース注入領域007は、ソース009に共通に接続されることによって、構造をCgdだけ減少させることができ、それにより、スイッチング損失を減少させる。
【0052】
構造実施例5
図9を参照し、本発明の実施例により提供される同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタは、複数の構造実施例1から4のいずれかのセル構造及びフィールドリミッティングリング接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入する。
【0053】
構造実施例6
図10を参照し、複数の構造実施例1から4のいずれかのセル構造及び接合終端拡張とフィールドリミッティングリング付き接合終端を含み、かつ、接合終端を製造する時、接合終端とセル構造の第2導電型のフローティング領域をエッチングして注入するのは、同時に同一のフォトリソグラフィマスクを用いてエッチングして注入することを特徴とする、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタ。
【0054】
構造実施例7
図15を参照し、本発明の実施例は、同じゲート・ソースドーピングを有する電界効果トランジスタのセル構造を開示しており、図面に示すものは、空間直交座標系におけるXY平面の断面図であり、
材料のドーピングタイプが第1導電型である炭化珪素基板001と、
炭化珪素基板001の表面と裏面にそれぞれ設けられた第1導電型の半導体エピタキシャル層002及び第1電極003と、を含み、
第1導電型の半導体エピタキシャル層002に、第2導電型のフローティング領域005、第1導電型のゲート注入領域006、第1導電型のソース注入領域007が順に設けられ、第1導電型のゲート注入領域006にゲート008が設けられ、第1導電型のソース注入領域007にソース009が設けられ、第1導電型のゲート注入領域006と第1導電型のソース注入領域007との間にゲート008とソース009を仕切るための極間媒体010が設けられており、ここに、第2導電型のフローティング領域005と第1導電型のソース注入領域007との接触部は、第1導電型のソース注入領域007の構造と同じであり、かつ、いずれも終端尖角を有するように設けられている。
【0055】
以上の断面構造を有するデバイスの製造に対して、方形及び長方形のレイアウト配置を用いてエッチング及び注入を行うことが多い。図19図21を参照し、図19は、最小の半分のセル構造の斜視図であり、図20は、YZ平面の断面図であり、図21は、矩形セルを有するデバイス活性領域レイアウトの配置平面図である。以上の構造のJFETデバイスのセル構造について、このようなトレンチデバイスは、導入された第1導電型を有するゲートと該ゲートを囲む第2導電型のフローティング領域により、デバイスのチャネルを制御するため、前、後、左、右を含む四つの異なる方向からの注入を行ってこそ、ゲート・ソースの短絡を回避することができ、図21に示すものを参照し、毎回の注入は、セルの一つの面のみに注入することができる。二つの方向(前、後のみを含む)の注入を用いると、デバイスのセルの縁部でデバイスの第1導電型の貫通を引き起こし、それにより、ゲート・ソースを短絡させてしまう(図20を参照)。製造周期及びコストを減少させるために、実際の実施過程において、注入の回数をできるだけ減少させる必要がある。本発明の実施例は、第2導電型のフローティング領域005による終端尖角のセルレイアウト構造によってこの問題を回避し、前方注入する時に、セル構造の前方の3つの面に同時に注入することができ、後方注入する時に、セル構造の後方の3つの面に同時に注入することができ、図18に示すものを参照し、それにより、4つの方向の注入から二つの方向の注入まで減少させることができ、半分の注入製造周期を短縮することができ、例えば、図19図21の構造を用いると、4つの方向を用いて注入する必要があり、各方向の注入に2時間を必要とし、合計8時間を必要とする一方、図16図18の構造を用いて注入すると、前後の2つの方向の注入のみを必要とし、各方向の注入に2時間を必要とし、合計4時間のみを必要とし、図16図18を参照し、図16は、最小の半分のセル構造の斜視図であり、図17は、YZ平面の断面図であり、図18は、終端尖角セルを有するデバイス活性領域レイアウトの配置平面図である。
【0056】
さらに、具体的な応用実例において、終端尖角は、0~180度である。
【0057】
当業者に理解されるように、幾つかの具体的な応用実例において、第1導電型は、N型であり、第2導電型は、P型である。他の幾つかの応用実例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型である。
【0058】
好ましい応用実例において、第1導電型及び第2導電型のドーピングは、1×1014cm-3~2×1021cm-3の均一又は非均一なドーピングである。
【0059】
ここに、好ましい応用実例において、第1導電型の半導体エピタキシャル層002は、厚さが5~250μmであり、ドーピング濃度が1×1014cm-3~5×1018cm-3である。
【0060】
理解されるように、本明細書に記載の例示的な実施例は、制限するものではなく、説明するものである。図面を参照しながら本発明の一つ又は複数の実施例を説明したが、当業者であれば、添付の請求項により限定された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な形式及び詳細の変更を行うことができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21