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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】プライを選別するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20241105BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20241105BHJP
   D01G 23/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/90 B
D01G23/02
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2023017787
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2019571474の分割
【原出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2023054042
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】2019094
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519453788
【氏名又は名称】エアボーン インターナショナル ビー ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン オーバーベーク、 トーマス テオダラス アーノルダス
(72)【発明者】
【氏名】ホフステーデ、 キャスパー マリナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン シケム、 ヨハネス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ステルマ、ジャリン
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0107572(US,A1)
【文献】特開昭60-044407(JP,A)
【文献】特開2009-029604(JP,A)
【文献】特開平08-081017(JP,A)
【文献】特開平08-333023(JP,A)
【文献】特開2005-089049(JP,A)
【文献】特開2007-197214(JP,A)
【文献】特開2000-117374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/90
B65G 1/00
D01G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッカーおよびバッファを含み、
前記ピッカーは切断された繊維材料の平坦なプライを拾い上げ、前記バッファに移動させるように配置され、
前記バッファは各々が前記ピッカーからプライを受け取り、前記プライを平坦な向きに支持するように配置された複数の実質的に平坦な支持体を含み、前記平坦な支持体は、プライを受け取るように互いに対して移動可能に配置され、
前記支持体は、プライの受け入れを防止する被覆配置を有する保管位置から、プライの受け入れを可能にする受け入れ位置まで移動されるように配置され、
前記バッファの前記ピッカーに面する側、および前記バッファの前記ピッカーから離れる方向を向いている反対の側は、アクセス可能とされている
プライ選別装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記支持体の平面に対して垂直に間隔を置いて配置されている、請求項1に記載のプライ選別装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記支持体の平面に沿って移動するように配置される、請求項1または請求項2に記載のプライ選別装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記支持体の平面に対して垂直に移動するように配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプライ選別装置。
【請求項5】
前記支持体は棚である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプライ選別装置。
【請求項6】
前記棚は、カラム状に互いに上下に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のプライ選別装置。
【請求項7】
前記棚は、それぞれ、前記棚の長手方向を横切ってフレームに摺動可能に取り付けられている、請求項5または請求項6に記載のプライ選別装置。
【請求項8】
前記棚はカラムの外側に、前記カラムの両側に摺動するように配置される、請求項6または請求項7に記載のプライ選別装置。
【請求項9】
前記ピッカーに面する前記カラムの一方の側は動作中に人間がアクセスできないステーアウトゾーンの一部であり、前記ピッカーから離れて面する前記カラムの反対側は、動作中に人間がアクセスできる安全ゾーンの一部である、請求項8に記載のプライ選別装置。
【請求項10】
前記棚は、前記棚の長手方向を横切ってフレームに持ち上げ可能に取り付けられている、請求項5または請求項6に記載のプライ選別装置。
【請求項11】
前記棚は前記ピッカーを棚の間に収容するために、可変の間隙を有して持ち上げ可能に取り付けられる、請求項10に記載のプライ選別装置。
【請求項12】
前記可変の間隙は、ロックと持ち上げテーブルとの協働によって与えられる、請求項11に記載のプライ選別装置。
【請求項13】
前記持ち上げテーブルは、単一のモータを介してスピンドルで駆動されるように配置されている、請求項12に記載のプライ選別装置。
【請求項14】
少なくとも1つの棚のコラムに沿った垂直の位置は、前記ロックのロックピンによって固定される、請求項12に記載のプライ選別装置。
【請求項15】
更に実質的に平面のピックアップ平面であって、シートカッターの出力に関連する移動ベルト面を構成する、請求項1~14のいずれか一項に記載のプライ選別装置。
【請求項16】
前記ピッカーはグリッパープレーンに配置された複数の把持オルガン及び/又はプライの評価のためのビジョンシステムから成る、請求項1~15のいずれか一項に記載のプライ選別装置。
【請求項17】
ピックアップ面と把持面との間に延在する材料を検出するために、ピックアップ面に平行に配置された検出面をさらに備える、請求項15または請求項16に記載のプライ選別装置。
【請求項18】
シートからプライを切り抜くように配置されたシートカッターに操作的に関連している、請求項1~17のいずれか一項に記載のプライ選別装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のプライ選別装置を使用して、異なる幾何学的形状のプライを選別する方法であって、
切断された繊維材料の平面プライが選別され、前記プライが平面配向で受容されるバッファの支持体に移動され、前記支持体が前記プライを受容するように互いに対して移動され、
前記支持体は、プライの受け入れを防止する被覆配置を有する保管位置から、プライの受け入れを可能にする受け入れ位置まで移動されるように配置され、
カラムのピッカーに面する側、および前記カラムの前記ピッカーから離れる方向を向いている反対の側は、アクセス可能とされている
方法。
【請求項20】
前記支持体は、前記支持体の平面に沿って移動される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記支持体は、前記支持体の平面に対して垂直に移動される、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記支持体はプライを受け入れるために、持ち上げ動作において離れるように移動される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プライは、移動シートから切り抜きとしてピックアップされる、請求項1922のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記切り抜きプライは、シート材料の使用を最適化するためにシートに、平面視で複数の前記切り抜きプライの一部同士が互いに重ならず、互いに隣接する配置にされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記バッファの前記支持体におけるセットの完成は、前記シートにおける前記プライの配置における境界条件として使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
プライをピッキングするステップの一部として、ピッカー上のグリッパ平面に配置された複数の把持オルガンから選択されたグループの把持オルガンが、ピッキングされるプライの幾何学的形状に応じて作動される、請求項1925のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
プライをピッキングするステップの一部として、前記ピッカーからの材料のトレーリングの発生が検出される、請求項1926のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プライの選別に関し、特に、繊維材料の切断プライの選別に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなプライ(plies)は一般に知られており、繊維強化複合製品を製造するために使用される。このようなプライは、典型的には繊維材料のシートから切断される。繊維材料は乾燥していてもよいが、例えば熱硬化性樹脂または熱可塑性材料で含浸されていてもよい。プライは、裏打ち材料を含むことができる。
【0003】
プライ自体は未完成製品であり、型の中に層状に配置される。典型的には、鋳型内に配置されるプライが異なる向きを有し、異なる幾何学的形状を有することができる。プライは、型内に所定の順序で配置される。個々のプライは、典型的には型内の特定の位置と、製品の強度を最適化するためのその繊維の配向とを有する。次に、モールド内の層状プライは熱及び/又は圧力を受けて、積層製品、特に、要求の厳しい用途、例えば、航空宇宙で使用するための構造部品に使用するための高強度、低重量製品を形成する。
【0004】
異なる幾何学的形状のプライは、複合製品の成形に使用されるセットを一緒に構成することができる。プライのセットは典型的には異なるサイズおよび形状のプライを含んでもよいが、同じ幾何学的形状のプライを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。複合製品はそれ自体、いくつかのプライのセットから構成されてもよく、これらのセットは一緒になって、製品のためのキットを形成する。航空宇宙産業で使用されるような繊維強化複合製品は、品質保証のために厳密に制御された環境で処理される必要がある数十または数百のプライから構成されてもよい。
【0005】
繊維材料は、通常、ロール上に巻かれた非常に長いシート上に供給される。シート材料の使用を最適化するために、いくつかの組のプライをシートの切り欠きとして平面視で複数のプライの一部同士が互いに重ならず、互いに隣接する配置にすることができる。これらのセットはそれぞれ同一であってもよいが、異なっていてもよい。例えば、シート材料の使用を最適化するために、より小さい製品およびより大きい製品に対応する異なるセットをシート上に配置することができる。
【0006】
プライの配置のために、プライは、典型的には次のプライがシートから拾い上げられてセットを形成することができるような順序ではない。例えば、第1の組のプライが最初に来てもよく、続いて第2の組の別のプライが来てもよい。
【0007】
これに適応するために、プライは、典型的にはシートから手動で除去され、大きな緩衝テーブル上に配置される。緩衝テーブルの表面は、プライが敷設されるいくつかの支持領域を含む。これらの支持領域において、セットに対応するプライは、スタックに集められる。
【0008】
しかしながら、プライの手作業による取り扱いは、労働集約的であり、時間がかかる。注意深い手作業での取扱いであっても、取扱い、特に仕分けにおけるエラーは、常に回避されるとは限らない。厳格な品質管理が必要とされ、それ自体がコストおよび処理時間を増加させる。さらに、大きなバッファリングテーブルは床面積を占め、これは必要とされる清浄な環境と組み合わされて、高価である。
【0009】
未完成製品としての樹脂の限られた貯蔵寿命のために、プライはさらにかなり迅速に製品に加工されるべきである。プライまたはプライの組の長期の保管は、より良く回避され
る。
【0010】
また、それらが未仕上げであるので、繊維材料のシートから切断されたプライは繊細であり、汚染及び完全性の喪失を防止するために最大限の注意を払って取り扱われるべきである。
【0011】
手動操作では完全性の喪失を常に除外することができず、バッファリングテーブル上では特にプライが望ましいよりも長い時間バッファリングテーブル上に存在することが多いため、プライが容易に汚染される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の欠点の少なくともいくつかを軽減することを目的とする。特に、本発明はプライの取扱いのコスト効率を高めることができ、及び/又はプライの品質を改善することができる、プライを分類するための装置及び方法を提供することを目的とする。特に、本発明は取り扱い時間を短縮し、選別に必要な床面積を低減し、プライの完全性の制御を改善し、及び/又は汚染を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それに加えて、本発明はピッカーとバッファ(緩衝材)とを含むプライ選別装置を提供し、ピッカーは切断された繊維材料の平坦なプライを拾い上げ、それらをバッファに移動させるように配置され、バッファは各々がピッカーからプライを受け取り、プライを平坦な向きに支持するように配置された複数の実質的に平坦な支持体を含み、平坦な支持体は、プライを受け取るように互いに対して移動可能に配置される。
【0014】
支持体にプライを拾い上げて移動させるピッカーを有する装置を使用することによって、プライの完全性をより良く制御することができ、完全性の喪失を防止することができる。特に、プライは実質的に平面配向で移動させることができ、これにより損傷の可能性が低減される。また、プライをピックアップし、1回の操作でセットの支持体に移動させることができる。このような単一の操作は取り扱い時間をさらに節約し、そして損傷の機会を減少させる。層を受け入れるために平面支持体を互いに対して移動可能に配置することによって、支持体はピッカーに向かって移動することができ、したがって、取扱い時間をさらに節約することができる。また、平面支持体を可動に配置することによって、支持体はプライの受け入れを防止する被覆配置を有する保管位置から、プライの受け入れを可能にする受け入れ位置まで移動されてもよい。このような被覆装置は空間を節約し、保護による汚染を防止する。
【0015】
支持体をそれらの平面に垂直に間隔をあけることによって、被覆配置を容易にすることができる。支持体はそれらの平面に沿って移動可能であるように、および/またはそれらの平面に垂直に移動可能であるように配置されてもよい。
【0016】
支持体を棚として具体化することによって、コンパクトな構造を得ることができる。棚は複数の支持体、例えば、平面内の隣接する支持体を含むことができる。エレガントに、棚は、トレイとして具現化されるか、またはトレイを含んでもよい。このようにして、プライを保護トラフ内に支持することができる。トレイは、棚から取り外し可能であってもよい。トレイおよび/または棚は、バッファから取り外し可能であってもよい。このようにして、プライのスタックはトレイまたは棚を用いてバッファにロードされてもよいし、バッファからオフロードされてもよい。
【0017】
棚を互いに柱状に配置することによって、特にコンパクトな構造を得ることができる。
次に、カラムは、シェルターを提供することができる。棚は、各々、棚の長手方向に対して横方向にフレームに摺動可能に取り付けることができる。
【0018】
エレガントに、棚はカラムの外側に、好ましくはカラムの反対側に摺動するように配置されてもよい。次に、棚はそれらが重なり合って保護されるカラム内の保管位置から、それらがピッカーのためにアクセス可能であり、プライを自由に受け入れることができるカラムに隣接する受け入れ位置まで滑り出すことができる。
【0019】
代替として、棚は、棚の長手方向に対して横方向にフレームに持ち上げ可能に取り付けられてもよい。次に、棚は棚の間にピッカーを収容するために、可変の間隙を有して持ち上げ可能に取り付けられてもよい。
【0020】
特に、カラムの棚は、グループで互いに対して移動されるように配置されてもよい。このようにして、コラムの隣接する棚を分割し、棚の間にピッカー、特にピッカーのグリッパヘッドを収容するための空間を設けることができる。エレガントに、カラムの棚は単一のグループとして上下に動かすことができ、その結果、分割される棚は、分割前に固定された高さに位置決めされる。コラム内のそれらの位置にかかわらず、棚は、ピッカーが例えば床に対して単一の高さ位置でアクセスできるようにすることができる。このようにして、グリッパの構造は同じ平面内で前後に移動することができるので単純化することができ、動作速度を増大させることができる。
【0021】
ピッカーに面するコラムの一方の側は動作中に人間がアクセスできないステーアウトゾーンの一部であってもよく、ピッカーから離れて面するコラムの反対側は動作中に人間がアクセスできる安全ゾーンの一部である。このようにして、バッファはロボットに容易にアクセス可能であるが、人間にも容易かつ安全にアクセス可能で柔軟な生産セルに実装することができる。
【0022】
プライ選別装置は、実質的に平坦なピックアップ平面をさらに含むことができる。ピックアップ平面は、シートカッターの出力に関連する移動ベルト表面であってもよい。ピックアップ面は、シートカッターの一部、例えばカッターの出力コンベアの一部であってもよい。ピックアップ面は、使用時にカッターの出力コンベヤに接続する二次コンベヤの一部であってもよい。しかし、ピックアップ面は静止面、例えば、仕分けテーブルの一部、またはバッファの外部または内部の支持面であってもよい。ピックアップ平面はプライのスタック、例えば、カットシートの骨格から切り抜きとして手動で除去されたプライを保持するビンの一部であってもよい。バッファおよびピッカは、スタンドアロンユニットを形成することができる。
【0023】
ピッカは、グリッパ平面内、例えばグリッパヘッド上に配置された複数の把持オルガンを含むことができる。検出面はピックアップ面と把持面との間に延在する材料を検出するために、ピックアップ面に平行に配置されてもよい。
【0024】
プライ選別装置は、例えば共通の制御ユニットを介して、または通信モジュールを介して、シートからプライを切断するように構成されたシートカッターと動作可能に関連付けられてもよい。このようにして、選別装置はカッターからのデータ、例えば、動作データまたは切断ファイルデータを使用して制御されてもよい。また、カッターは選別装置からのデータ、例えば、支持体でのプライ占有及び/又は利用可能性に関するデータを使用して制御されてもよい。
【0025】
本発明は更に、切断された繊維材料の平坦なプライがピックアップされ、プライが平坦な向きで受け入れられるバッファの支持体に移動され、支持体がプライを受け入れるため
に互いに対して移動される、異なる幾何学的形状のプライを分類する方法に関する。支持体は、それらの平面に沿って、および/またはそれらの平面に垂直に移動されてもよい。上手く、支持体はプライを受け入れるために、上向きまたは下向きの持ち上げ動作で離れるように動かすことができる。
【0026】
この方法では、プライがカットシート、特に移動シートの骨格から切り抜きとしてピッカによってピックアップされてもよい。このような移動シートは、カッターのコンベアベルト、またはフィーダテーブルによって提供されてもよい。これは、シート内のプライの位置及び向きを切断データから導出することができるという利点を有する。しかしながら、プライはまた、ピッカーによって、静止位置、例えば、供給テーブル又は他の支持位置から拾い上げられてもよく、例えば、手動操作のような以前の操作でカットシートの骨格から除去されていてもよい。そのような場合、ピッカーはプライを評価するために、例えば、プライを識別するために、および/または配向を評価するために、視覚システムを備えることができる。このような方法では、プライの供給流を選別し、バッファに入れることができる。
【0027】
この方法を使用して、プライはスタック、例えば、製品に対応するプライのスタック、または同一もしくは類似のプライのスタックにおいて支持体によって受容されるように分類されてもよい。層はまた、互いに隣接する支持体によって、例えば、単一の層のみとして、または隣接するスタックとして受容されてもよい。
【0028】
この方法を使用して、プライをバッファ内でソートすることもできる。そのような場合、プライは、バッファの支持体から拾い上げられ、その同じバッファ内の別の支持体に移動されるか、または同じ支持体内で移動されてもよい。これは、例えば、セットに対応するプライのスタックを所望の順序で配置するために行うことができる。
【0029】
この方法を用いて、プライを選別すべきバッファから除去することもできる。そのような場合、プライはまた、バッファの支持体から拾い上げられ、バッファの外側の支持体、例えば外部支持体に移動されてもよい。仕分け作業では、次に、プライをバッファ内の支持体からピックアップし、外部支持体によって受け取って、所望の順序でスタックに積み重ねることができる。バッファの外側のこのような支持体は、プライ選別装置の第2のバッファ内にエレガントに配置することができる。このようなバッファおよび第2のバッファの両方は、同じピッカによってアクセス可能であってもよい。しかしながら、第2のピッカは第1のバッファにアクセスすることができる第2のバッファと共に、例えば、装置のカスケード配置で提供されてもよい。
【0030】
切り抜きプライはシート材料の使用を最適化するために、シート内に平面視で複数の切り抜きプライの一部同士が互いに重ならず、互いに隣接する配置にされてもよい。バッファの支持体におけるセットの完成は、シートにおけるプライの配置における境界条件として使用することができる。このようにして、切り抜きプライの配置中に、バッファ内の支持体で利用可能なスペースを考慮に入れることができる。これは、利用可能なバッファスペースの最適化された使用を可能にし、また、セットの完了までの処理時間が制御または低減されることを可能にする。この特徴はそれ自体が本発明と見なすことができ、支持体が互いに対して移動しないプライ選別方法および装置にも適用することができる。
【0031】
プライをピッキングするステップの一部として、ピッカ上の把持面に配置された複数の把持オルガンから選択されたグループの把持オルガンが、ピッキングされるプライの幾何学的形状に応じて作動されてもよい。また、プライをピッキングするステップの一部として、ピッカからの材料のドラッグ及び/又はトレーリングの発生を検出することができる。
【0032】
本発明のさらなる有利な特徴は、従属請求項に規定されている。上述した技術的特徴及びステップはそれぞれ単独で、プライピッキング及び選別装置に具現化されてもよく、即ち、本明細書に記載された文脈から分離されてもよく、他の特徴とは別個であってもよく、又は本明細書に開示された文脈に記載された多数の特徴のみと組み合わせてもよいことに留意されたい。これらの特徴の各々はさらに、開示された任意の他の特徴と、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0033】
本発明は、図面に示された非限定的な例示的な実施形態に基づいてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、カッターと連携して作動する本発明の第1の実施形態によるプライ選別装置の概略斜視図を示す。
図2図2は、図1の概略上面図を示す。
図3図3は、図1のプライ選別装置のピッカーのグリッパヘッドの概略斜視図を示す。
図4図4は、図1のプライ選別装置のバッファの概略斜視図を示す。
図5図5は、図4のバッファ内の支持体のアレイの概略斜視図を示す。
図6図6は、図4のバッファの概略側面図を示す。
図7図7は、本発明によるプライ選別装置の第2の実施形態の概略斜視図を示す。
図8図8は、本発明によるプライ選別装置の第3の実施形態の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面は、本発明の好ましい実施形態の単なる概略図であることに留意されたい。図面において、同一または対応する部分は、同じ参照番号で表される。
【0036】
図1図6を参照して、本発明の第1の実施形態によるプライ選別装置1を説明する。プライ選別装置1は、カッター2と連携して作動する。
【0037】
プライ3の材料は、繊維材料のシート4として供給される。繊維材料は炭素繊維であってもよいが、他のタイプの繊維材料、例えば、ガラス繊維またはアラミド繊維であってもよく、またはそれらを含んでもよい。繊維材料は、繊維の織布または不織布ストランドを有することができる。繊維のストランドは、典型的にはそれぞれ単一の配向を有する。好ましくは、材料中の繊維が平行な一方向の不織繊維ストランドである。繊維材料に樹脂を含浸させてもよい。樹脂材料は、熱硬化性または熱可塑性材料であってもよく、最終製品においてマトリックス材料を形成する。樹脂は、典型的には例えば熱硬化性材料の場合、未硬化であってもよい。樹脂は、例えば未硬化樹脂の場合、粘着性であってもよい。この例におけるプライ3は未完成製品であり、層状に配置され、熱及び圧力を受けて製品を形成する。未仕上げであるため、樹脂含浸材料のシート4から切断されたプライ3は繊細であり、完全性の喪失を防ぎ、汚染を防ぐために注意深く取り扱わなければならない。含浸された繊維材料は保護層、例えば、プライ3が型に入れられたときに除去される上部または底部裏材を備えてもよい。プライ3上の(平面)力の鋭い折りたたみと発揮は、防止されるべきである。これを確実にするために、プライ3は、好ましくはピックアップされ、移動され、平面配向で保管される。未完成製品としての樹脂の限られた貯蔵寿命のために、切断後、プライ3はかなり迅速に製品に加工されるべきである。また、プライ3またはプライ3の組の長期の保管がより良く回避される。
【0038】
図1および図2を参照すると、材料のシートは、典型的には保護包装に保管されるロー
ル上に提供される。包装材を取り出した後、シート4はロール供給部5でロールから繰り出され、カッター2の平坦なコンベヤーベルト6上に置かれる。カッター2は、典型的には数値制御されたX-Yナイフ、レーザー又はジェット切断機である。カッター2は、異なる形状のプライ3を切断する。異なる幾何学的形状のプライ3は、複合製品の成形に使用されるセットを一緒に構成することができる。セットは通常、異なるサイズと形状のプライ3で構成されても、同じ幾何学的形状のプライ3で構成されたり、あるいはそれらで構成されてもよい。複合製品は、それ自体、数組のプライ3から構成されていてもよい。シート材料の使用を最適化するために、いくつかの組のプライ3を平面視で複数のプライ3の一部同士が互いに重ならず、互いに隣接する配置にすることによって、切断ファイルが生成される。これらのセットはそれぞれ同一であってもよいが、異なっていてもよい。例えば、シート材料の使用を最適化するために、より小さい製品およびより大きい製品に対応する異なるセットをシート4上に配置することができる。したがって、カッター2の出力はプライ3のための切り抜きを有するシート4であり、このシートは、カッター2から平坦なコンベアベルト6上をピックアップ平面7に搬送される。図1の例では、これは同じレベルで仕分けコンベヤ9に接続されたアンローディングコンベヤ8によって行われる。この場合、排出コンベヤ8は、カットシート4が置かれる平坦なピックアップ平面7を画定する。プライ3は、仕分けコンベヤ9上の移動シートから切り抜きとして取り出すことができる。
【0039】
プライ3の配置のために、プライ3は、典型的には次のプライ3がシート4から拾い上げられてセットを形成することができるような順序ではない。例えば、第1の組のためのプライ3が最初に来てもよく、続いて第2の組のための別のプライ3が来てもよい。
【0040】
このために、プライ選別装置1が設けられている。プライ選別装置1は、ピッカー10とバッファ11とを備えている。この例では、ピッカー10が切断された樹脂含浸繊維材料の平坦なプライ3を拾い上げ、それらを実質的に平坦な配向でバッファ11に移動させるように配置される。ピッカ10は、図1の例ではグリッパヘッド12を担持するロボットアームとして具体化されている。ロボットアームの代わりに、グリッパヘッド12のための別のタイプの移動装置、例えば、グリッパヘッドのための可動キャリッジを有する単純なレールを設けることができる。図3を参照すると、ピッカー10のグリッパーヘッド12は、グリッパーヘッド12のグリッパー平面14に配置された複数の把持オルガン13、例えば吸引カップを含むことができる。プライ3をピッキングするとき、ピッカ10上の把持面14に配置された複数のグリッパ機構13から選択されたグループのグリッパ機構13が、ピッキングされるプライ3の幾何学的形状に応じてコントローラ15によって作動される。プライ3をピッキングしている間に、ピッカ10からの材料のトレーリングの発生を検出することができる。このために、検出面はピックアップ面7と把持面14との間に延在する任意の材料を検出するために、ピックアップ面7に平行に配置されてもよく、例えば、ライトスクリーン(light screen)であってもよい。
【0041】
図4図6を参照すると、バッファ11は各々がピッカー10からプライ3を受け取り、プライ3をスタック内で平面方向に支持するように配置された複数の実質的に平面の支持体16を含む。
【0042】
切断ファイルのデータに基づいて、コントローラ15は、異なる幾何学的形状の切断された繊維材料の平坦なプライ3がピッカー10によって引き続いてピッキングされ、バッファ11の複数の支持体16のうちの選択された1つに実質的に平坦な向きでそれぞれ移動されるように構成する。コントローラ15は、カッター2及び仕分けコンベヤ9と連通している。制御装置15は切断ファイルのデータを使用して、様々なプライ3を位置決めし、プライ3が追加されるべきセットが収集される支持体を選択することができる。支持体16において、プライ3は、積層されたプライ3の組の一部となるように平面配向で受けられる。本発明によれば、バッファ11の支持体16における組の完成は、シート4に
おけるプライ3の配置の境界条件として使用される。プライ3の配置の間、バッファ11内の支持体16における利用可能なスペースが考慮される。例えば、全ての支持体16について、プライ3が切断され、特定の支持体のセットが、完成されるべき1つのプライ3を欠いている場合、そのプライ3は支持体がより早く解放され得るように、より近い配置が達成され得る別のプライ3よりも優先して、切断ファイルの配置に次に含まれる。
【0043】
本発明の一態様によれば、平面支持体16は、プライ3を受け入れるように互いに対して移動可能に配置される。支持体16はプライ3の受け入れを防止する被覆配置を有する貯蔵位置から、プライ3の受け入れを可能にする受け入れ位置まで移動させることができる。このような被覆装置は空間を節約し、保護による汚染を防止する。支持体16をそれらの平面に対して垂直に離間させることによって、被覆配置を容易にすることができる。この実施形態では、支持体16がそれらの平面に対して垂直に移動可能であるように配置される。棚17はトレイとして具現化され、その結果、セットのプライ3は保護されたトラフ内に支持され得る。棚17は、柱状に配置され、棚17の長手方向を横切ってフレーム18に持ち上げ可能に取り付けられている。棚17は棚17の間にピッカー10を収容するために、可変の隙間Sで持ち上げ可能に取り付けられている。図5および図6に見られるように、ロック19および持ち上げテーブル20は、棚17の間に間隔を提供するように協働することができる。図示の間隔にある底部棚21は受け入れ位置にあり、他の棚22は、覆われ、保管位置にある。したがって、カラムの棚は、グループで互いに対して移動するように配置される。コラムの隣接する棚は、分割され、棚の間にピッカのグリッパヘッドを収容するための空間を備えることができる。カラムの棚を上下に動かすことによって、分割されるべき棚は、分割前に固定された高さに位置決めされることができる。全ての棚は、ピッカーが単一の高さ位置でアクセスできるようにすることができる。
【0044】
コラムは例えば、単一のモータを介してスピンドルで駆動することによって、昇降テーブル20を使用して、分離されるべき棚を位置決めするために上下に動かされてもよい。所定の位置にあるとき、分離されるべき一組の棚の上側棚は、ロック19のロックピンを作動させることによって保持されてもよい。引き続き昇降テーブルを降下させると、コラムの上部は所定位置に留まり、コラムの下部は下方に移動し、コラムの下部の頂部にある一組の棚の下側棚21は、グリッパヘッド12のためにアクセス可能にされる。このようにして、分離される一組の棚の下側棚21はプライの受け入れを防止する一組の上側棚によって形成された支援を有する被覆装置である支援を形成する保管位置から、プライの受け入れを可能にする受け入れ位置まで移動させることができる。
【0045】
再び図1および図2を参照すると、ピッカ10に面するバッファ11の棚17の列の一方の側24は、動作中に人間がアクセスできない滞留ゾーン23の一部である。ピッカー10から離れて面するコラムの反対側25は、動作中に人間がアクセス可能な安全ゾーン26の一部である。このようにして、バッファ11はロボットに容易にアクセス可能であり、しかも人間にも容易かつ安全にアクセス可能な柔軟な生産セルに実装することができる。具体的には、オペレータが棚が受け入れ位置にあるときに手動で完了したプライ3のセットを取り外すことができる。
【0046】
図7を参照すると、本発明の第2の実施形態が示されている。ここで、バッファ11の支持体16は、各々が棚17の縦方向に横断的にフレーム18にスライドして取り付けられた棚17として具現化される。棚17は柱状に配置されており、一定の間隔で上下に密接して配置されている。棚17はプライ3の受け入れを防止する被覆装置から、プライ3の受け入れを可能にする受け入れ位置まで、コラムの両側で外側に摺動するように配置されている。カバー装置では棚は他の棚22と重なり、受け入れ解除装置では棚は他の棚22と実質的に重ならず、層3を自由に受け入れることができる。ピッカー10に面するコ
ラムの側部24において、受け入れ位置はピッカー10が棚27上にプライ3を落下させることを可能にし、ピッカー10から離れて面するコラムの側部25において、受け入れ位置は、完了したときにオペレータがプライ3のセットを取り出すことを可能にする。
【0047】
図8を参照すると、本発明の第3の実施形態が示されている。ここで、支持体16は、異なる高さのパネルとして具体化され、仕分けコンベヤ9に沿って軌道上を摺動可能である。各パネルは、プライ3の多数のスタックを支持する。スタックがセットに完成すると、セットは手動で除去されてもよい。
【0048】
したがって、ピッカーとバッファとを備え、ピッカーは切断された繊維材料、特に樹脂含浸材料の平坦なプライを拾い上げ、それらをバッファに移動させるように配置され、バッファはピッカーからプライを受け取り、プライを平坦な向きに、好ましくはスタックで支持するようにそれぞれ配置された複数の実質的に平坦な支持体を備え、平坦な支持体は、プライを受け取るように互いに対して移動可能に配置される、プライ選別装置が開示される。
【0049】
また、異なる幾何学的形状のプライを、特に、切断された繊維材料の平面プライがピックされ、バッファの支持体に移動され、そこで、プライは特に、積み重ねられたプライのセットの一部になるように、平面配向で受け取られ、支持体は、プライを受け取るために互いに対して移動される、セットに分類する方法が開示される。
【0050】
本発明は、ここに示された例示的な実施形態に限定されず、変形例を含む。例えば、緩衝剤は熱硬化性または熱可塑性マトリックス材料を含む予め含浸されたプライ(プリプレグ)の貯蔵寿命を改善するために、制御された環境を有するキャビネット、例えば冷凍庫または遮光キャビネットの一部であってもよい。
【0051】
さらに、切断された繊維材料のプライは、例えばオペレータによって、手動で拾い上げられ、バッファの支持体に移動されてもよい。これは、ピッカーに加えて、またはピッカーの代替として行うことができる。次いで、切断された繊維材料は手動でトレイおよび/または棚上に、例えば、取り外し可能なトレイおよび/またはバッファから取り外された棚上に配置されてもよい。例えば、オペレータはバッファからトレイ又は棚を取り外し、切断されたプライをトレイ又は棚に配置し、その後、プライのスタックをトレイ又は棚と共にバッファにロードすることができる。このようにして、切断されたプライは例えば、同一または類似のプライのスタックを手動で形成するために、またはレイアップのためにまだ正しい順序ではないプライのセットを形成するプライのスタックを手動で形成するために、手動でピックアップされ、トレイおよび/または棚上のスタックに手動で収集されてもよい。ピッカーは次に、プライ選別装置のバッファにアクセスして、セットに対応するスタックを構成し、レイアップのために正しい順序でセット内にプライを配置することができる。
【0052】
また、プライ選別装置において、ピッカ―は、バッファ間で動作するように構成されてもよい。このようにして、第1のバッファは例えば、オペレータによって手動で装填されてもよく、トレイまたはプライは、ピッカ―によって第1のバッファから拾い上げられて、第2のバッファ内の支持体に移動されてもよい。これは、プライのセットを構成するために、またはプライのセットをレイアップのために正しい順序で置くために有用であり得る。
【0053】
そのような変形は当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内にあると考えられる。
【符号の説明】
【0054】
1 プライ選別装置
2 カッター
3 プライ
4 シート
5 ロール供給
6 コンベアベルト
7 ピックアップ機
8 搬出コンベア
9 分別コンベア
10 ピッカ―
11 バッファ
12 グリッパヘッド
13 把持オルガン
14 把持面
15 コントローラ
16 支持体
17 棚
18 フレーム
19 ロック
20 昇降テーブル
21 ボトムシェルフ
22 その他棚
23 滞在区域
24 滞在区域の側面
25 セーフゾーン側
26 セーフゾーン
27 スライドシェルフ
S インタースペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8