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特許7581410整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法、システム及びコンピュータ読み込み可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法、システム及びコンピュータ読み込み可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/30 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
H03M7/30 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023069245
(22)【出願日】2023-04-20
(65)【公開番号】P2024120817
(43)【公開日】2024-09-05
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】112107094
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 IEEE Transactions on Signal Processing, 第70巻, 第3848-3861頁(令和4年7月13日発行)において発表
(73)【特許権者】
【識別番号】501027245
【氏名又は名称】中華電信股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張國韋
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-260524(JP,A)
【文献】特開2023-014095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0067782(US,A1)
【文献】PEI, Soo-Chang, et al.,Binary Signal Perfect Recovery From Partial DFT Coefficients,IEEE Transactions on Signal Processing,IEEE,2022年07月13日,Volume: 70,pp.3848-3861,<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/9829248>,<DOI: 10.1109/TSP.2022.3190615>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 3/00-9/00
H04N 19/00-19/98
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル整数信号に対して高速フーリエ変換を行い、0以上の整数からなるN(N=2のべき数)個のシーケンスであるオリジナル整数信号のスペクトルを取得する工程と、
該スペクトルに対してサンプリングを行い、サンプリングされた複数のサンプルをオリジナルサンプルシーケンスとして組み立てる工程と、
該オリジナルサンプルシーケンスを送信し、該オリジナルサンプルシーケンスに基づいて該オリジナル整数信号を復元する工程と、
を含み、
それらのサンプルの該スペクトルにおけるシリアル番号は、d(d=N/M)組のシリアル番号を含み、MはNより小さい2のべき数であり、該d組のシリアル番号における第0組のシリアル番号は0、及び/または0より大きくMより小さくかつMを整除できるすべての整数を含み、該d組のシリアル番号における第j組シリアル番号は該0組のシリアル番号における各シリアル番号にM×j(jは1~d-1のうちのいずれかの整数)が加算された整数を含むことを特徴とする整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項2】
該オリジナルのサンプルシーケンスにおいて、それらのサンプルはそれらのサンプルの該スペクトルにおけるシリアル番号に基づいて並べられていることを特徴とする請求項1に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項3】
それらのサンプルの該スペクトルにおけるシリアル番号は0、及び/または0より大きくNより小さくかつNを整除できるすべての整数を含むことを特徴とする請求項1に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項4】
該オリジナルサンプルシーケンスに対して短ポイント数復元方法を実行し、該オリジナル整数信号を復元することを特徴とする請求項3に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項5】
該オリジナルサンプルシーケンスに基づいて、含まれるサンプル数量が該オリジナルサンプルシーケンスに含まれるサンプル数量のd分の1であるd個の短ポイント数サンプルシーケンスを生成する工程と、
短ポイント数復元方法を用いてそれらの短ポイント数サンプルシーケンスに基づいて、該オリジナル整数信号におけるM個の整数からなるシーケンスであるd個の短ポイント数整数信号をそれぞれ復元する工程と、
それらの短ポイント数整数信号を該オリジナル整数信号に組み立てる工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項6】
d=2である場合、該各短ポイント数サンプルシーケンスにおける各サンプルは、いずれも該オリジナルサンプルシーケンスにおけるシリアル番号にMの差がある2つのサンプルに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項7】
それらの短ポイント数整数信号における整数を交差配列することで、該オリジナル整数信号に組み立てる工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法。
【請求項8】
計算装置または電子装置に読み込まれ、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を実行させるための指令が記憶されたことを特徴とするコンピュータ読み込み可能な記憶媒体。
【請求項9】
オリジナル整数信号に対して高速フーリエ変換を行うことで0以上の整数からなるN(Nは2のべき数)個のシーケンスである該オリジナル整数信号のスペクトルを取得し、さらに該スペクトルに対してサンプリングを行い、サンプリングされた複数のサンプルをオリジナルサンプルシーケンスとして組み立てる第1のプロセッサーと、該オリジナルサンプルシーケンスを送信する送信モジュールとを含む送信側機器と、
該送信側機器と相互に通信的または電気的に接続される受信側機器であって、該オリジナルサンプルシーケンスを受信する受信モジュールと、該オリジナルサンプルシーケンスに基づいて該オリジナル整数信号を復元する第2のプロセッサーと、を含み、該オリジナルサンプルシーケンス及び該オリジナル整数信号を記憶する受信側機器と、
を備え
それらのサンプルの該スペクトルにおけるシリアル番号は、d(d=N/M)組のシリアル番号を含み、MはNより小さい2のべき数であり、該d組のシリアル番号における第0組のシリアル番号は0、及び/または0より大きくMより小さくかつMを整除できるすべての整数を含み、該d組のシリアル番号における第j組シリアル番号は該0組のシリアル番号における各シリアル番号にM×j(jは1~d-1のうちのいずれかの整数)が加算された整数を含むことを特徴とする整数信号スペクトルサンプリングと復元のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号送信に適用可能な可逆圧縮技術に関し、特に整数信号のスペクトルサンプリングと復元の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の送信圧縮方法において、ある周波数帯に対して人の目や耳が敏感ではないことを利用してそれに関する情報を除去するのが一般的である。復元された信号がオリジナルの信号と異なったとしても察知されることはない。このような圧縮を不可逆圧縮と称する。
【0003】
一方、圧縮は辞書式圧縮であってもよく、例えば一つのN×Mのマトリックス(N>>M、即ちNはMに比べて非常に大きい)を予め構築し、圧縮センシング(compressed sensing)の概念を利用して、Mポイントの信号をN次元に変換する。この方法によれば、見かけ上では次元は拡大されているが、このN次元においてKポイントの数値(K<<M、即ちKはMに比べて非常に小さい)のみ存在しているため、圧縮の効果が奏し、かつ可逆圧縮に属する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、前記の2つの方法とは異なる技術もある。まず、この方法は、復元された信号がオリジナル信号と完全に一致するという可逆圧縮である。次に、この技術は辞書データの構築を必要としないため、送信側機器と受信側機器の記憶容量が節約されている。しかしながら、このような技術はオリジナル信号長さの約33%をサンプリングする必要があるため、そのパフォーマンスにはまだ改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、オリジナル整数信号に対して高速フーリエ変換(fast Fourier transform, FFT)を行うことで、0以上の整数からなるN(N=2のべき数)個のシーケンスであるオリジナル整数信号のスペクトルを取得する工程と、該スペクトルに対してサンプリングを行い、サンプリングされた複数のサンプルをオリジナルサンプルシーケンスとして組み立てる工程と、該オリジナルサンプルシーケンスを送信して、該オリジナルサンプルシーケンスに基づいて該オリジナル整数信号を復元する工程と、を含む、整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を提供する。
【0006】
また、本発明は、計算装置または電子装置に読み込まれ、上記の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を実行させるための指令が記憶されたコンピュータ読み込み可能な記憶媒体を提供する。
【0007】
さらに、本発明は、第1のプロセッサーと送信モジュールとを含む送信側機器と、第2のプロセッサーと受信モジュールとを含む受信側機器とを備え、該送信側機器の該第1のプロセッサーは0以上の整数からなるN(N=2のべき数)個のシーケンスであるオリジナル整数信号に対して高速フーリエ変換を行い、該オリジナル整数信号のスペクトルを取得し、該送信側機器の該第1のプロセッサーはさらに、該スペクトルに対してサンプリングを行い、サンプリングされた複数のサンプルをオリジナルサンプルシーケンスとして組み立て、該送信側機器の該送信モジュールは該オリジナルサンプルシーケンスを送信し、該受信側機器の該受信モジュールは該オリジナルサンプルシーケンスを受信し、該受信側機器の該第2のプロセッサーは該オリジナルサンプルシーケンスに基づいて該オリジナル整数信号を復元して、該受信側機器は該オリジナルサンプルシーケンスと該オリジナル整数信号を記憶する、整数信号スペクトルサンプリングと復元のシステムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、本発明は、整数信号の送信時に、整数信号スペクトル全体ではなく一部だけを送信するだけで済むため、送信周波数帯の節約効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の一実施例に係る整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を示す模式フロー図である。
図2図2は本発明の一実施例に係る整数信号の復元方法の模式フロー図である。
図3図3は本発明の一実施例に係る送信側機器と受信側機器の模式ブロック図である。
図4図4は本発明の一実施例に係る送信側機器と受信側機器の模式ブロック図である。
図5図5は本発明の一実施例に係る送信側機器と受信側機器の模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記において特定の具体的な実施例により本発明の実施方式を説明する。本明細書に記載の内容は、この技術分野に精通した者なら簡単に本発明のその他の利点や効果が理解できる。
【0011】
図1は本発明の一実施例に係る整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を示す模式フロー図である。該整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法は、整数信号スペクトルサンプリング方法と整数信号復元方法とに分けられる。
【0012】
まず、送信側機器100は、ステップ110~140の整数信号スペクトルサンプリング方法を実行し、入力された整数信号を離散フーリエ変換(discrete Fourier transform, DFT)に変換し、該離散フーリエ変換に対してサンプリングを行い、サンプルシーケンスを取得し、該サンプルシーケンスを受信側機器200に送信する。
【0013】
そして、受信側機器200はステップ210~220の整数信号復元方法を実行し、該サンプルシーケンスを受信し、該サンプルシーケンスをオリジナルの整数信号に復元する。
【0014】
一つの実施例において、送信側機器100及び受信側機器200は、データ処理、計算、送信、受信機能を有する計算装置または電子装置であってもよい。送信側機器100及び受信側機器200は通信的または電気的に相互に接続されている。以下、図1のフローを説明する。
【0015】
まず、ステップ110において、整数信号を送信側機器100に入力する。該整数信号は、0以上の整数x(0)、x(1)、・・・、x(N-1)からなるN(N=2のべき数、例えば32、64、128または256等である)個のシーケンスあるNポイント整数シーケンスである。
【0016】
次に、ステップ120において、高速フーリエ変換により該整数信号の離散フーリエ変換x(0)、x(1)、・・・、x(N-1)を取得する。一般的には、x(0)、x(1)、・・・、x(N-1)はいずれも複素数である。また、該整数信号の離散フーリエ変換は該整数信号のスペクトルとも称する。
【0017】
そして、ステップ130において、スペクトルに対してサンプリング方法を実行し、スペクトルのサンプルシーケンスを取得する。詳しくは、N値が小さく、例えばM以下(Mも2のべき数である)であれば、スペクトルにおいてシリアル番号が0である複素数、シリアル番号が0より大きくNより小さくかつNを整除できるすべての複素数を該サンプルシーケンスにおけるサンプルとして選択することができる。
【0018】
一つの実施例において、N=32とすると、スペクトルにおいてシリアル番号が0、1、2、4、8、16の複素数をサンプルとして選択する。つまり、該サンプルシーケンスはスペクトルにおけるx(0)、x(1)、x(2)、x(4)、x(8)、x(16)の6つの複素数からなる。サンプルシーケンスにおいて、これらのサンプルはスペクトルにおけるシリアル番号の小さい順に基づいて並べられている。
【0019】
以下、実際の32ポイント二次元信号を例にして、ステップ110、120、130を説明する。送信側機器100の整数信号x(n)=
1,0,0,1,0,0,1,0,1,1,0,1,0,1,1,1,
1,0,0,1,0,0,0,0,1,1,0,0,0,0,0,0
を入力するとする。
【0020】
FFTによって得られたスペクトルX(k)=
13.0000 +0i, -2.9090 - 2.8887i, -0.1585 + 1.1481i,
-0.9622 - 2.2726i, 3.2929 - 0.1213i, 1.5367 - 0.5870i,
-2.2304 + 2.7716i, 0.0702 - 2.0114i, 2.0000 + 1.0000i,
1.0122 + 0.6017i, 2.2304 + 2.7716i, 1.0764 + 0.4954i,
4.7071 - 4.1213i, -1.6510 - 1.1902i, 0.1585 + 1.1481i,
1.8266 - 0.2756i, -1.0000 + 0i, 1.8266 + 0.2756i,
0.1585 - 1.1481i, -1.6510 + 1.1902i, 4.7071 + 4.1213i,
1.0764 - 0.4954i, 2.2304 - 2.7716i, 1.0122 - 0.6017i,
2.0000 - 1.0000i, 0.0702 + 2.0114i, -2.2304 - 2.7716i,
1.5367 + 0.5870i, 3.2929 + 0.1213i, -0.9622 + 2.2726i,
-0.1585 - 1.1481i, -2.9090 + 2.8887i
である。
【0021】
本来、整数信号x(n)を復元するのに、すべてのX(k)(k=0~31)が必要であるが、本発明の方法によれば、k=0、1、2、4、8、16のX(k)、即ちX(0)=13、X(1)=-2.9090-2.8887i、X(2)=-0.1585 +1.1481i、X(4)=3.2929-0.1213i、X(8)=2.0000+1.0000i、X(16)=-1.0000+0iを取り出すだけで、整数信号x(n)を復元することができる。
【0022】
一方、N値が大きく例えばMよりも大きければ、0、0より大きくMより小さくかつMを整除できるすべての整数、及び前記の各整数(0を含む)にM×j(jは1~d-1のうちの整数であり、d=N/M)が加算された整数を該サンプルシーケンスのうちのサンプルのスペクトルにおけるシリアル番号として選択することができる。
【0023】
他の実施例において、N=128かつM=64とすると、0、1、2、4、8、16、32、64、65、66、68、72、80、96をサンプルのシリアル番号として選択する。そのうち、1、2、4、8、16、32は0より大きくMより小さくかつMを整除できるすべての整数である。シリアル番号64、65、66、68、72、80、96はそれぞれシリアル番号0、1、2、4、8、16、32に64が加算された整数である。従って、該サンプルシーケンスはスペクトルにおけるX(0)、X(1)、X(2)、X(4)、X(8)、X(16)、X(32)、X(64)、X(65)、X(66)、X(68)、X(72)、X(80)、X(96)の14個の複素数からなる。
【0024】
さらに他の実施例において、N=256かつM=64とすると、前記のN=128の14個のサンプルシーケンスのほか、シリアル番号0、1、2、4、8、16、32のそれぞれに128(64×2)及び192(64×3)が加算され、他の14個のシリアル番号、合計28個のシリアル番号が生成される。該サンプルシーケンスはスペクトルにおいて該28個のシリアル番号に対応する28個の複素数からなる。
【0025】
上記の2つの実施例において、サンプリングして得られたサンプルシーケンスのデータ量はいずれもサンプリングする前の完全なスペクトルよりも十分小さいため、データ圧縮の効果を達成するとともに全体のパフォーマンスを向上させることができる。
【0026】
次に、ステップ140において、送信側機器100は該サンプルシーケンスを有線または無線により受信側機器200に送信する。
【0027】
ステップ210において、受信側機器200は該サンプルシーケンスを受信する。
【0028】
そして、ステップ220において、受信側機器200は復元方法を実行し、該サンプルシーケンスに基づいてオリジナル整数信号を取得し、ステップ110において、送信側機器100の整数信号を入力する。
【0029】
ステップ220の復元方法の内容を図2に示す。
【0030】
まず、ステップ221において、該サンプルシーケンスを復元方法に入力する。
【0031】
次に、ステップ222において、オリジナル整数信号の長さNがMよりも大きいか否かを判断し、NがM以下である場合、ステップ224に進み、そうではない場合、ステップ223に進む。
【0032】
ステップ224において、短ポイント数復元方法を実行し、該サンプルシーケンスをオリジナル整数信号x(0)、x(1)、…、x(N-1)に復元して、データ送信の目的を達成する。一つの実施例において、ステップ224の短ポイント数復元方法はブルートフォースアタック、分枝限定法またはその他の混合整数(mixed integer linear programming)問題を解決できるいかなる技術を使用することができ、本発明はそれに限定されない。
【0033】
一つの実施例において、N=32とすると、ステップ221において受信側機器200がX(0)、X(1)、X(2)、X(4)、X(8)、X(16)の6個の複素数かなるサンプルシーケンスを受信した後、N=32がM=64より小さいため、フローはステップ224に進み、短ポイント数復元方法を実行し、X(0)、X(1)、X(2)、X(4)、X(8)、X(16)に基づいて整数信号x(0)、x(1)、・・・、x(31)を復元する。
【0034】
一方、ステップ223において、該サンプルシーケンスの長さがL(即ちL個の複素数のサンプルを含む)であるとすると、該サンプルシーケンスに基づいてd個の長さがL/dのサンプルシーケンスを生成し、オリジナルのNポイント混合整数問題をd個のMポイント混合整数問題に分割する。ここで、d=N/M。その後、ステップ224において短ポイント数復元方法を用いて該d個の長さがL/dのサンプルシーケンスのそれぞれに基づいてd個のMポイント整数信号を復元し、該d個のMポイント整数信号からオリジナルのNポイント整数信号に組み立てる。
【0035】
他の実施例において、N=128とすると、ステップ221においてL=14個の複素数からなるサンプルシーケンスを受信した後、N=128がM=64より大きく、かつd=128/64=2であるため、まずステップ223においてこの128ポイントの問題を2個の64ポイントの問題に分割する。その後、ステップ224において短ポイント数復元方法により2個の64ポイント整数信号を復元して、この2個の64ポイント整数信号からオリジナルの128ポイント整数信号に組み立てる。
【0036】
上記のように、d=2とすると、ステップ223での分割の詳細は以下の通りである。
【0037】
まず、長さがLであるオリジナルサンプルシーケンス及び下記の公式に基づいて長さがL/2である2個のサンプルシーケンスEv(k)、0d(k)を求めることができる。
Ev(k)=[X(k)+X(k+M)]/2
Od(k)=[X(k)-X(k+M)]/2/W
【0038】
ここで、kは0、及び/または0より大きくMより小さくかつMを整除できるすべての整数である。M=64とすると、k=0、1、2、4、8、16、32。また、W=exp(-2πi/N)。
【0039】
フーリエ変換の特性によれば、Ev(k)、k= 0、1、2、4、8、16、32は、オリジナルの整数信号における偶数シリアル番号ポイントx(2n)、n=0、1、2、・・・、63の64ポイントからなるシーケンスを用いて64ポイントのフーリエ変換を行った後、シリアル番号k=0、1、2、4、8、16、32の箇所においてサンプリングして得られたサンプルシーケンスに相当する。言い換えれば、これは64ポイントの混合整数問題である。
【0040】
同様に、Od(k)、k=0、1、2、4、8、16、32は、オリジナルの整数信号における奇数シリアル番号ポイントx(2n+1)、n=0、1、2、・・・、63の64ポイントからなるシーケンスを用いて64ポイントのフーリエ変換を行った後、シリアル番号k=0、1、2、4、8、16、32の箇所においてサンプリングして得られたサンプルシーケンスに相当する。これは別の独立した64ポイントの混合整数問題である。
【0041】
Ev(k)及びOd(k)に基づいて2個の64ポイント整数信号をそれぞれ復元した後、この2個の整数信号における整数を交差配列することにより、オリジナルの128ポイント整数信号を得ることができる。Mは2の他のべき数であるとすると、これに基づいて類推することができる。
【0042】
上記実施例とフローは一つの128ポイントの問題を2つの64ポイントの問題に変換する。ステップ224の復元においてブルートフォースアタックを用いる場合、本来の128ポイント問題に対して、ブルートフォースアタックのために2128種の組み合わせを用いことが必要である。分割された2つの64ポイント問題に対して、265=2×264種の組み合わせを用いるだけで、ブルートフォースアタックをできる。これにより、復元の難しさが大幅に軽減され、全体のパフォーマンスを向上させる。
【0043】
また、dは2またはその他の数値である場合、ステップ223の混合整数問題の分割は通常知識に基づいて処理することができる。例えば、JohanLofgren及びPeter Nilssonによって2011年11月に発表されIEEE定期刊行物「2011 NORCHIP」にに収録された論文「On Hardware Implementation of Radix 3 and Radix 5 FFT Kernels for LTE Systems」を参照することができる。本発明はそれに限定されない。
【0044】
図3~5は本発明の一実施例に係る送信側機器100と受信側機器200の模式ブロック図である。
【0045】
この実施例において、図3に示すように、送信側機器100は、記憶装置101、プロセッサー102、送信モジュール103を備え、プロセッサー102は記憶装置101及び送信モジュール103と通信的に接続されている。受信側機器200は、記憶装置201、プロセッサー202、受信モジュール203を備え、プロセッサー202は、記憶装置201及び受信モジュール203と通信的に接続されている。
【0046】
一つの実施例において、記憶装置101及び記憶装置201はいずれもメモリ、ハードディスクまたはその他データや情報が記憶可能なハードウェア装置であってもよく、送信モジュール103及び受信モジュール203はいずれもハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアからなるモジュールであってもよい。
【0047】
図4に示すように、送信側機器100のプロセッサー102は、相互に通信的に接続される変換モジュール151、サンプリングモジュール152を含む。変換モジュール151及びサンプリングモジュール152はいずれもハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアからなるモジュールであってもよい。
【0048】
図5に示すように、受信側機器200のプロセッサー202は、相互に通信的に接続される入力モジュール251、分割モジュール252、復元モジュール253を備える。入力モジュール251、分割モジュール252及び復元モジュール253はいずれもハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアからなるモジュールであってもよい。
【0049】
この実施例に係る送信側機器100及び受信側機器200は上記の整数信号スペクトルサンプリング方法及び整数信号復元方法の実行に用いられる。
【0050】
具体的には、図1、3に示すように、送信側機器100の記憶装置101は、ステップ110において送信側機器100の整数信号を記憶することができる。プロセッサー102は、ステップ120、ステップ130の実行に利用することができる。ここで、変換モジュール151はステップ120を、サンプリングモジュール152はステップ130をそれぞれ実行する。ステップ140及びステップ210において、送信側機器100の送信モジュール103は、サンプルシーケンスを有線または無線により受信側機器200の受信モジュール203に送信することができる。
【0051】
また、受信側機器200の記憶装置201は、ステップ210において受信モジュール203にが受信したサンプルシーケンスを記憶することができる。プロセッサー202はステップ220の実行に利用することができる。ここで、入力モジュール251はステップ221において該サンプルシーケンスを受信し、ステップ222の判断の実行に利用することができる。また、分割モジュール252はステップ223の実行に、復元モジュール253はステップ224の実行及び復元されたオリジナルの整数信号の記憶装置201への記憶に、それぞれ利用することができる。
【0052】
他の実施例において、本発明は、少なくとも1つのメモリ、フロッピーディスク、ハードディスク及び/または光磁気ディスクを含むコンピュータ読み込み可能な記憶媒体を提供する。該コンピュータ読み込み可能な記憶媒体には、送信側機器100及び受信側機器200またはその他計算装置や電子装置に読み込まれ、上記の整数信号スペクトルサンプリングと復元の方法を実行させるための指令が記憶されている。
【0053】
また、本発明は、信号送信に適用可能な可逆圧縮技術を提供する。整数信号スペクトルサンプリングと復元の過程において、サンプリングされたサンプルの数は整数信号シーケンスの長さに応じて異なり、復元の場合には整数信号シーケンスの長さに応じて異なる対策が実施される。
【0054】
また、整数信号シーケンスが長い場合には、いくつかの短シーケンス信号に分解し個別に復元し、整数信号シーケンスが短い場合には、オリジナル整数信号を直接求める。
【0055】
上記のように、本発明は、整数信号の送信時に、整数信号スペクトル全体ではなく一部だけを送信するだけで済む。これにより整数信号を圧縮することで、送信側機器と受信側機器との間の送信周波数帯を節約するとともに送信側機器と受信側機器との間の送信効率を向上させることができる。また、受信側機器は本発明に係る復元方法により該整数信号を歪みなく復元することができる。
【0056】
このように、本発明は約11%のサンプリング率を用いて0.03秒内に64個の0/1ビット値からなる整数信号シーケンスの復元を達成することができる。このため、従来の33%のサンプリング率が必要とする可逆圧縮技術に対し大いに改善されており、圧縮と復元に必要とされたプロセッサーと記憶装置(上記のモジュールと同様)等のハードウェアリソースを大幅に低減可能だけでなく、可逆圧縮の利点、および、辞書データを必要としないという利点を有するため、全体のパフォーマンスが向上している。
【0057】
上記実施例は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するに過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、所属する技術分野において通常知識を有する者により本発明の主旨を逸脱しない範囲でそれらの実施態様に対して種々に修正や変更を施すことが可能である。従って、本発明の権利保護範囲は、後述の特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
100 送信側機器
101 記憶装置
102 プロセッサー
103 送信モジュール
110、120、130、140 ステップ
151 変換モジュール
152 サンプリングモジュール
200 受信側機器
201 記憶装置
202 プロセッサー
203 受信モジュール
210、220~224 ステップ
251 入力モジュール
252 分割モジュール
253 復元モジュール
図1
図2
図3
図4
図5