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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
F25D23/00 301G
F25D23/00 307
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023097431
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2019124217の分割
【原出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2023112016
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】藤原 啓司
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-042626(JP,A)
【文献】特開2006-084132(JP,A)
【文献】特開2015-111024(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216234(WO,A1)
【文献】特開2014-199173(JP,A)
【文献】中国実用新案第208027374(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0182868(US,A1)
【文献】特開2017-032158(JP,A)
【文献】特開2019-070467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
開口部を有する収容部が形成された筐体と、
前記開口部を開閉可能に覆う扉と、
前記扉よりも上方で、かつ前記冷蔵庫の上面に設けられたカメラ設置部と、
前記カメラ設置部に着脱可能に設けられ、前記扉が前記開口部を開けた状態において前記収容部を撮影可能な画像撮影装置と、
前記カメラ設置部に設けられ、回動軸周りに前記画像撮影装置を回動させる機構と、を備え、
前記回動軸は、前記冷蔵庫の上面上において、前記上面の前端部よりも後方に位置し、
前記画像撮影装置の厚みの薄い部分が、前記冷蔵庫の上下方向となるように配置され
前記画像撮影装置の上面及び下面は、前記カメラ設置部に取り付けられた状態において、前記冷蔵庫の上面に沿って配置される、冷蔵庫。
【請求項2】
前記画像撮影装置は、前記カメラ設置部に取り付けられた状態において前記筐体よりも前方に突出している、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記画像撮影装置は、前記収容部を照射可能なライトを有する、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記カメラ設置部には、前記画像撮影装置へ電源を供給する電源ラインが設けられ、
前記電源ラインには、前記画像撮影装置の電源供給部に着脱可能な端子が設けられる、請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記回動軸は、前記筐体の上面における前端部近傍に位置する、請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記画像撮影装置は、前記カメラ設置部に取り付けられた状態において、前記画像撮影装置に内蔵されるレンズが、前記カメラ設置部の前後方向における中央部よりも前側に位置する、請求項1から5の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記画像撮影装置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記扉が前記開口部を開けた状態でのみ、前記収容部を撮影する、請求項1から6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記制御部は、前記扉が閉じられる直前に撮影された画像を、通信手段を介して外部のサーバに送信する、請求項7に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮影部が撮影することのできる冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫内の収容物の管理などを目的として、冷蔵庫内に収容されている収容物を撮影するためのカメラを冷蔵庫に設けることが検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-238217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された冷蔵庫では、庫内にカメラ装置30(撮像手段)が設置されている。この構成では、冷蔵庫の扉を開閉すると、撮像手段などの表面に結露や曇りが生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明では、画像撮影部の結露を抑えることのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の局面にかかる冷蔵庫は、冷蔵庫であって、開口部を有する収容部が形成された筐体と、前記開口部を開閉可能に覆う扉と、前記扉よりも上方で、かつ前記冷蔵庫の上面に設けられたカメラ設置部と、前記カメラ設置部に着脱可能に設けられ、前記扉が前記開口部を開けた状態において前記収容部を撮影可能な画像撮影装置と、前記カメラ設置部に設けられ、回動軸周りに前記画像撮影装置を回動させる機構と、を備え、前記回動軸は、前記冷蔵庫の上面上において、前記上面の前端部よりも後方に位置し、前記画像撮影装置の厚みの薄い部分が、前記冷蔵庫の上下方向となるように配置され、前記画像撮影装置の上面及び下面は、前記カメラ設置部に取り付けられた状態において、前記冷蔵庫の上面に沿って配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫によれば、画像撮影部の結露を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態にかかる冷蔵庫および冷蔵庫に取り付けられるスマートフォンの構成を示す正面図である。
図2図1に示す冷蔵庫の内部構成を示す断面図である。図2では、冷蔵室の扉が閉じられた状態を示す。
図3図1に示す冷蔵庫の内部構成を示す断面図である。図3では、冷蔵室の扉が開けられた状態を示す。
図4図1に示す冷蔵庫の上方部分の構成を示す平面模式図である。
図5図1に示す冷蔵庫の上方部分の構成を示す斜視図である。
図6図1に示す冷蔵庫の上方部分の構成を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態にかかる冷蔵庫の構成を示す正面図である。
図8】本発明の第3の実施形態にかかる冷蔵庫の構成を示す断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態にかかる冷蔵庫の構成を示す上面図である。
図10図1に示す冷蔵庫から扉を外した状態での上方部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、カメラを内蔵するスマートフォン(携帯型情報端末)70が脱着可能に取り付けられる冷蔵庫1を例に挙げて説明する。スマートフォン70に内蔵されたカメラは、本発明の一局面にかかる冷蔵庫の画像撮影部に相当する。また、スマートフォン70に内蔵されたカメラは、本発明の別の局面にかかる冷蔵庫に脱着可能に設置される画像撮影装置に相当する。なお、画像撮影部および画像撮影装置は、スマートフォンなどの携帯型情報端末以外の装置(例えば、デジタルカメラ)、あるいは電子部品(例えば、CCDカメラなど)であってもよい。
【0011】
図1には、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の構成を示す。また、図1には、冷蔵庫1に取り付けられるスマートフォン70を示す。図2および図3には、スマートフォン70が取り付けられた状態の冷蔵庫1の上方部分の内部構成を示す。図2では、冷蔵室扉11aが閉じられている状態を示す。図3では、冷蔵室扉11aが開けられた状態を示す。図3では、冷蔵室扉11aの図示は省略している。図4から図6には、冷蔵室扉11aの上方に設けられたカメラ収容部41の構成を示す。
【0012】
(冷蔵庫の全体構成)
冷蔵庫1は、上段に冷蔵室11(収容部)、下段に冷凍室12を備えている。冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。冷凍室12には、冷凍室扉12aが設けられている。本実施形態で説明する冷蔵庫1の各貯蔵室の構成は一例であり、本発明はこの構成に限定はされない。
【0013】
冷蔵庫1の外形は、主として、筐体40で形成されている。筐体40は、断熱箱体などで構成されている。筐体40の上面40aの前方には、カメラ収容部41が設けられている。カメラ収容部41は、支持板42と、支持板42の上方側を覆う上面部材とで構成されている。なお、本実施形態にかかる冷蔵庫1のカメラ収容部41には、ヒンジピン61なども収容されている。カメラ収容部41は、冷蔵室扉11aの上方に設けられている。また、カメラ収容部41は、冷蔵庫1の筐体40の上面40aに沿うように配置されている。
【0014】
本実施形態にかかる冷蔵庫1は、カメラ収容部41内のカメラ設置部41a(撮影装置設置部)にスマートフォン70を取り付けることで、スマートフォン70に内蔵されたカメラ71(図4参照)によって、撮影を行うことができる。本実施形態にかかる冷蔵庫1は、例えば、後述するように、冷蔵室11内を撮影することができる。カメラ71が撮影した冷蔵室内の撮影画像は、例えば、スマートフォン70に内蔵された通信手段を利用してインターネットなどの情報通信網を介して、外部のサーバ、別の情報端末などに送信することができる。これにより、例えば、冷蔵庫1の所有者は、外出先から自宅の冷蔵庫1の冷蔵室11内の収容されている収容物の内容を確認することができる。
【0015】
スマートフォン70に内蔵されたカメラ71のレンズは、視野角の広いものが好ましい。このようなレンズとしては、例えば、広角レンズ、魚眼レンズなどが挙げられる。
【0016】
なお、本実施形態にかかる冷蔵庫1において、冷蔵室扉11aは、ヒンジ部を構成するヒンジピン61を付け替えることによって扉の左右の開閉方向を変更可能に構成されている。図5および図6には、冷蔵室扉11aが、左側から開閉される状態を示す。この状態では、ヒンジピン61は、冷蔵庫1の右側の端部において、冷蔵室扉11aを回動可能に固定している。冷蔵室扉11aを右側から開閉する構成に変更する場合には、ヒンジピン61を付け替えればよい。すなわち、冷蔵室扉11aの上面11bの左側に設けられた差し込み穴62bおよびヒンジ穴65bにヒンジピン61を取り付ければよい。図10には、冷蔵庫1の上方のカメラ収容部41を示す。図10では、冷蔵庫1から冷蔵室扉11aを取り外すとともに、カメラ収容部41の支持板42からスマートフォン70およびミラー可動機構50を取り外した状態を示す。図10に示すように、支持板42は左右対称の構造を有している。
【0017】
(庫内を撮影するための構成)
続いて、冷蔵室11内を撮影するための具体的な構成について説明する。冷蔵庫1には、冷蔵室11内を撮影するための構成として、カメラ設置部41a(撮影装置設置部)、第1のミラー31、第2のミラー32、およびミラー可動機構50などを備えている。カメラ設置部41a、第1のミラー31、第2のミラー32、およびミラー可動機構50は、何れも冷蔵室11の外側(すなわち、庫外)に配置されている。
【0018】
図5などに示すように、カメラ設置部41aは、カメラ収容部41の支持板42上に設けられている。図5では、説明の便宜上、支持板42の右側の部分を取り外した状態で、支持板42の下方部分を露出させた状態を示す。カメラ設置部41aには、スマートフォン70が着脱可能に載置される。カメラ設置部41aには、スマートフォン70内のカメラ71のレンズに対応する位置に、カメラ用穴41b(図4参照)が形成されている。これにより、カメラ設置部41aに取り付けられたスマートフォン70のカメラ71のレンズが支持板42に覆われることなく、下方からレンズに光を入射させることができる。
【0019】
第1のミラー31は、カメラ収容部41の支持板42の下に、鏡面を下方に向けた状態で配置されている。第1のミラー31は、ミラー可動機構50によって鏡面の傾斜角度が変更可能に構成されている。第1のミラー31の鏡面の傾斜角度は、冷蔵室扉11aの開閉に応じて変更される。具体的には、冷蔵室扉11aが閉状態のときには、第1のミラー31は、支持板42の下面に沿ってほぼ水平な状態となっている(図2参照)。また、冷蔵室扉11aが開状態のときには、第1のミラー31は、その前方が下方に傾斜する(図3参照)。これにより、冷蔵室11の内部を第1のミラー31の鏡面に映すことができる。第1のミラー31は、凸面鏡であってもよい。これにより、より広い範囲を鏡面に映すことができる。
【0020】
第2のミラー32は、冷蔵室扉11aの下方に、鏡面を上方に向けた状態で略水平に配置されている。本実施形態では、第2のミラー32は冷凍室扉12aの上面に配置されている。これにより、冷蔵室扉11aが開状態のときには、第1のミラー31に映し出された映像を第2のミラー32によって捉えることができる。さらに、第2のミラー32が捉えた映像は、その鉛直方向の上方に位置するスマートフォン70のカメラ71のレンズによって捉えられる。
【0021】
ミラー可動機構50は、冷蔵室扉11aの開閉に応じて第1のミラー31の角度を変更するための機構である。ミラー可動機構50は、第1のミラー31の近傍、すなわち、冷蔵室扉11aの上方に配置されている。ミラー可動機構50は、主な構成部材として、回動軸51、カム52、並びに突起部53aおよび53bなどを有している(図4および図5など参照)。
【0022】
回動軸51は、細長い軸状の部材である。回動軸51には、第1のミラー31の端部が接続されている。また、回動軸51の一端部は、カム52と連結されている。
【0023】
カム52は、冷蔵室扉11aの開閉動作を回動軸51の回動動作へ変換するための部材である。カム52は、冷蔵室扉11aのヒンジ部の近傍に配置されている。具体的には、カム52は、冷蔵室扉11aが閉状態のときに、冷蔵室扉11aの上面11bに設けられた突起部53aまたは53bの上方に位置するように設けられている。
【0024】
突起部53aおよび53bは、冷蔵室扉11aの上面11bに配置されている。突起部53aおよび53bは、冷蔵室扉11aの開閉動作をカム52へ伝達する。
【0025】
なお、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、ヒンジピン61を付け替えることによって、冷蔵室扉11aの開閉方向を右側開きと左側開きとの間で変更可能な構成である。そのため、ヒンジピン61の各差し込み穴62a(図示せず)および62bの近傍に、突起部が一つずつ設けられている。すなわち、正面から見て右側の差し込み穴62a(図示せず)のやや内側に、右側の突起部53aが設けられている。また、正面から見て左側の差し込み穴62bのやや内側に、左側の突起部53bが設けられている。
【0026】
続いて、冷蔵室扉11aの開閉時の第1のミラー31の動作について、図5および図6を参照しながら説明する。図5および図6は、冷蔵室扉11aが左側開きの場合の構成を示す。この構成では、冷蔵室扉11aが閉状態のときに、右側の突起部53aの上方にカム52が位置する。そして、冷蔵室扉11aが閉状態から開状態へと移動すると、突起部53aも前方へ移動し、カム52の下方から突起部53aが外れる。すなわち、カム52を上方へ押し上げていた突起部53aが不在となるため、カム52は、ミラー可動機構50の自重で下方に移動する。このカム52の動きに連動して回動軸51は回動し、回動軸51に接続されている第1のミラー31は下方へ傾斜する(図6の矢印参照)。
【0027】
一方、冷蔵室扉11aが開状態から閉状態へ移動する場合には、上述の動作とは逆の動作が行われる。そして、突起部53aの上方にカム52が乗り上げる。これにより、回動軸51が回動して第1のミラー31が上方へ移動し、略水平状態となる。したがって、冷蔵室扉11aが閉状態のときには、第1のミラー31は、冷蔵室扉11aの上面11bに沿うように配置される。すなわち、冷蔵室扉11aの上方投影面内に位置するカメラ収容部41内に収められる。
【0028】
なお、冷蔵室扉11aを右側開きに変更する場合には、ヒンジピン61を、右側の差し込み穴62a(図示せず)およびヒンジ穴65a(図10参照)から左側の差し込み穴62b(図5参照)およびヒンジ穴65b(図10参照)へ付け替える。また、スマートフォン70、第1のミラー31、回動軸51、およびカム52は、図5に示す構成と左右対称となるように付け替えられる。これにより、左側の突起部53bがミラー可動機構50の一部材を構成し、冷蔵室扉11aの開閉動作をカム52へ伝達する。
【0029】
なお、冷蔵室扉11aの開閉方向を右側開きと左側開きとの間で変更可能な構成では、支持板42には、2つのカメラ用穴(貫通穴)41bおよび41cが形成されている。冷蔵室扉11aが右側開きの場合には、スマートフォン70のカメラ71のレンズは、支持板42上に形成されたカメラ用穴41cの上方に合わせて配置される。
【0030】
以上の構成により、冷蔵室扉11aが開状態のときには、第1のミラー31が傾斜する。図3では、このときの冷蔵室11内の収容空間から反射された光の経路を一点鎖線で示す。図3に示すように、冷蔵室扉11aが開状態のときには、冷蔵室11内の収容空間から反射された光の一部は第1のミラー31の鏡面に導かれる。つまり、第1のミラー31によって冷蔵室11内の映像を捉えることができる。
【0031】
第1のミラー31からの反射光は、下方に位置する第2のミラー32の鏡面に導かれる。つまり、第1のミラー31の鏡面に映された映像は、第2のミラー32の鏡面で捉えられることができる。さらに、第2のミラー32からの反射光は、上方に位置するスマートフォン70のカメラ71のレンズに導かれる。つまり、第2のミラー32の鏡面に映された映像は、カメラ71のレンズで捉えられることができる。これにより、冷蔵室扉11aが開状態のときに、冷蔵室11の外部に配置されたカメラ71並びにミラー31および32などを用いて、冷蔵室11内を撮影することができる。
【0032】
なお、冷蔵庫1には、スマートフォン70を充電するための電源ライン(例えば、DC5Vの電源ライン)が設けられていてもよい。スマートフォン70をカメラ設置部41aに取り付けるときに、この電源ラインの端子(例えば、USBケーブルの端子など)をスマートフォン70の電源供給部に差し込めばよい。
【0033】
ところで、冷蔵庫の主直流電源ラインは、冷却ファンのモータの仕様からDC12~15Vとなっている場合が多い。そこで、スマートフォン70を充電するための電源ラインは、この主電源ラインから分岐させてもよい。この場合、スマートフォン70充電用の電源ラインへの分岐路には、電圧を調整するためのレギュレータなどを配置するのがよい。そして、主電源ラインがOFF状態のとき(例えば、ファンモータが停止しているとき)に、スマートフォン70充電用の電源ラインをONすればよい。これにより、スマートフォン70充電用の電源ラインとして、主電源ラインに対してより大容量の電源回路を設ける必要がなくなる。
【0034】
(庫内を撮影するタイミング)
続いて、スマートフォン70のカメラ71が庫内を撮影するタイミングについて説明する。本実施形態にかかる冷蔵庫1は、冷蔵室扉11aが開状態のときに、庫外に配置されたカメラ71などを用いて庫内を撮影することが可能となる。したがって、スマートフォン70内の制御部は、冷蔵室扉11aが開けられたタイミングでカメラ71のシャッタが開となるようにカメラ71を制御する。
【0035】
スマートフォン70内の制御部は、スマートフォン70に内蔵された各種センサ(例えば、加速度センサ、振動検知センサ、および照度センサなど)の検知結果に基づいて、冷蔵室扉11aが開けられたことを検知し、所定のタイミングでカメラ71のシャッタをONする。
【0036】
また、スマートフォン70のカメラは、冷蔵室扉11aと冷凍室扉12aがともに解放されたときに限り、冷凍室12の庫内を撮影することができる。冷凍室12の庫内を撮影するタイミングは、例えば、冷蔵室扉11aが解放されており、スマートフォン70自身のライト、またはカメラ71の焦点合わせ用赤外光を、第2のミラー32による反射で検知できなかった時とすることができる。冷蔵室扉11aが解放されていることは、照度センサで検知することができる。
【0037】
動画を撮影可能なカメラ71の場合には、冷蔵室扉11aが開けられた時点から冷蔵室扉11aが閉じられた時点までの所定期間の動画を撮影することが好ましい。なお、冷蔵室扉11aが開けられた直後のタイミングでは、冷蔵庫1の使用者によって冷蔵室11内に物が追加されたり、冷蔵室11内の収容物が取り出されたりする可能性が高い。そこで、カメラ71によって冷蔵室扉11aが開けられている期間中の動画が撮影された場合には、スマートフォン70内の制御部は、動画の中から冷蔵室扉11aが閉じた時点の直前(例えば、閉じる前の1秒以内)の静止画を庫内の撮影画像として選択してもよい。
【0038】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1には、冷蔵室11内を撮影するためのスマートフォン70を設置可能なカメラ収容部41が備えられている。カメラ収容部41は、カバー部材の一例である。カバー部材は、扉の少なくとも一部分を覆っており、扉を保護するとともに、汚れ等の付着を抑制するものである。カバー部材は、例えば、扉の上部の面を覆っており、扉に埃等が付着することを抑制することができる。
【0039】
カメラ収容部41は、、冷蔵室扉11aの上方に、筐体40の上面40aに沿うように配置されている。すなわち、カメラ収容部41は、筐体40並びに冷蔵室扉11aおよび冷凍室扉12aで主に規定されている冷蔵庫1の外形形状に収まるように設けられている。
【0040】
そして、カメラ収容部41内に設置されたスマートフォン70のカメラ71は、冷蔵室扉11aが閉じられた状態のときに、冷蔵室扉11aの上方投影面内に位置している。また、冷蔵室11内の反射光をカメラ71へ導くための第1のミラー31は、冷蔵室扉11aが閉状態のときには冷蔵室扉11aの上方投影面内に位置している一方、冷蔵室扉11aが開状態になると前方下方側へ傾斜するように構成されている。また、冷蔵室11内の反射光をカメラ71へ導くための第2のミラー32は、冷蔵室扉11aの下方(具体的には、冷凍室扉12aの上面)に配置されている。冷凍室扉12aの上面に第2のミラーを配置することで、第2のミラー32を冷蔵庫1の外形形状の領域内に収めることができる。
【0041】
この構成によれば、冷蔵庫1の外形寸法を大きく変えることなく、冷蔵室11内のより広範な領域を撮影するための構成(例えば、スマートフォン70、第1のミラー31、および第2のミラー32なお)を設置することができる。
【0042】
また、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、冷蔵室11内を撮影するための構成(すなわち、スマートフォン70、第1のミラー31、および第2のミラー32など)は、冷蔵室11の内部ではなく、冷蔵室11の外側(すなわち、庫外)に配置されている。そのため、扉の開閉による庫内の温度および湿度の変化が原因となって起こり得るカメラのレンズおよびミラーなど光学部材の表面の結露や曇りを発生しにくくすることができる。したがって、より鮮明な庫内の撮影画像を取得することができる。
【0043】
上述した実施形態では、ヒンジピン61を付け替えることで冷蔵室扉11aの開閉方向を左右に変更可能な冷蔵庫1を例に挙げて説明した。しかし、本発明の別の実施態様では、冷蔵室扉の開閉方向が左右何れかに固定されている冷蔵庫であってもよい。
【0044】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態の冷蔵庫では、庫内を撮影するための画像撮影装置(例えば、スマートフォン70)を冷蔵庫から取り外し可能な構成について説明した。これに対して、以下で説明する第2の実施形態では、冷蔵庫に庫内を撮影するための画像撮影部が内蔵されている構成について説明する。
【0045】
図7には、第2の実施の形態にかかる冷蔵庫101の構成を示す。第1の実施形態と同様に、冷蔵庫101は、上段に冷蔵室11(収容部)、下段に冷凍室12を備えている。冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。冷凍室12には、冷凍室扉12aが設けられている。冷蔵庫101の外形は、主として、筐体40で形成されている。筐体40の上面40aの前方には、カメラ収容部41が設けられている。カメラ収容部41の構成は、第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0046】
カメラ収容部41には、カメラ(画像撮影部)170、第1のミラー31、およびミラー可動機構(図示せず)などが備えられている。カメラ170は、例えば、CCDカメラなどで構成される。第1の実施形態のスマートフォン70のカメラ71と同様に、カメラ170は、冷蔵室扉11aが閉じられた状態のときに、冷蔵室扉11aの上方投影面内に配置されている。
【0047】
第1のミラー31およびミラー可動機構については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。また、冷蔵室扉11aの下方には、第2のミラー32が備えられている。第2のミラー32については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。これらの構成(すなわち、カメラ170、第1のミラー31、第2のミラー32、およびミラー可動機構50など)を用いて冷蔵室11内を撮影する方法については、第1の実施形態で説明した方法が同様に適用できる。
【0048】
(庫内を撮影するタイミング)
続いて、カメラ170が庫内を撮影するタイミングについて説明する。本実施形態にかかる冷蔵庫101は、冷蔵室扉11aが開状態のときに、庫外に配置されたカメラ170を用いて庫内を撮影することが可能となる。
【0049】
本実施形態にかかる冷蔵庫101には、カメラ170が内蔵されているため、冷蔵庫101内の制御部は、冷蔵室扉11aが開けられたカメラ170のシャッタが開となるようにカメラ170を制御する。なお、冷蔵室扉11aが開閉されるタイミングは、扉スイッチの検知結果に基づいて判断することができる。
【0050】
また、カメラ170は、冷蔵室扉11aと冷凍室扉12aがともに解放されたときに限り、冷凍室12の庫内を撮影することができる。冷凍室12の庫内を撮影するタイミングは、例えば、冷蔵室扉11aが解放されており、カメラ170の焦点合わせ用赤外光を、第2のミラー32による反射で検知できなかった時とすることができる。冷蔵室扉11aが解放されていることは、ドアスイッチで検知することができる。
【0051】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、カメラ収容部の構成が第1の実施形態とは異なっている。
【0052】
図8には、第3の実施形態にかかる冷蔵庫201の構成を示す。また、図8には、冷蔵庫201に取り付けられるスマートフォン70を示す。第1の実施形態と同様に、冷蔵庫201は、上段に冷蔵室11(収容部)、下段に冷凍室12を備えている。冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。冷凍室12には、冷凍室扉12aが設けられている。冷蔵庫101の外形は、主として、筐体40で形成されている。
【0053】
筐体40の上面40aには、カメラ収容部241が設けられている。第1の実施形態では、カメラ収容部41は、上面40aの前方に配置されているが、本実施形態にかかる冷蔵庫201では、カメラ収容部241は、筐体40の上面40aの大部分を覆うように設けられている。
【0054】
カメラ収容部241は、カバー部材の一例である。カバー部材は、扉の少なくとも一部分を覆っており、扉を保護するとともに、汚れ等の付着を抑制するものである。カバー部材は、例えば、扉の上部の面を覆っており、扉に埃等が付着することを抑制することができる。
【0055】
カメラ収容部241には、カメラ設置部41a(撮影装置設置部)、第1のミラー31、およびミラー可動機構50などが備えられている。カメラ設置部41aには、スマートフォン70が着脱可能に載置される。第1の実施形態と同様に、カメラ設置部41aに配置されたスマートフォン70のカメラ71は、冷蔵室扉11aが閉じられた状態のときに、冷蔵室扉11aの上方投影面内に位置する。
【0056】
第1のミラー31およびミラー可動機構50については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。また、冷蔵室扉11aの下方には、第2のミラー32が備えられている。第2のミラー32については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。これらの構成(すなわち、スマートフォン70、第1のミラー31、第2のミラー32、およびミラー可動機構50など)を用いて冷蔵室11内を撮影する方法については、第1の実施形態で説明した方法が同様に適用できる。
【0057】
第3の実施形態は、冷蔵室扉の開閉方向が左右何れかに固定されている冷蔵庫に適用することが好ましい。
【0058】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。上述の実施形態では、冷蔵室扉の開閉に応じて、光学部材(例えば、第1のミラー31)の角度を可変とする構成について説明した。しかし、本発明の別の実施態様では、冷蔵室扉の開閉に応じて、画像撮影部の角度を可変とする構成とすることもできる。そこで、第4の実施形態では、冷蔵庫301に備えられたカメラ370の角度を可変とする構成について説明する。
【0059】
図9には、第4の実施形態にかかる冷蔵庫301の上方部分の構成を示す。図9では示されていないが、冷蔵庫301は、第1の実施形態と同様に、上段に冷蔵室11(収容部)、下段に冷凍室12を備えている。冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。冷凍室12には、冷凍室扉12aが設けられている。冷蔵庫101の外形は、主として、筐体40で形成されている。筐体40の上面40aの前方には、カメラ収容部41が設けられている。カメラ収容部41の構成は、第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0060】
カメラ収容部41には、カメラ(画像撮影部)370、およびカメラ可動機構350などが備えられている。カメラ370は、例えば、CCDカメラなどで構成される。第1の実施形態のスマートフォン70のカメラ71と同様に、カメラ370は、冷蔵室扉11aが閉じられた状態のときに、冷蔵室扉11aの上方投影面内に配置されている。
【0061】
カメラ可動機構350は、冷蔵室扉11aの開閉に応じて350の角度を変更するための機構である。カメラ可動機構350は、主な構成部材として、回動軸51、カム52、並びに突起部(図示せず)などを有している。
【0062】
回動軸51およびカム52については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。但し、カメラ可動機構350の回動軸51には、カメラ370の端部が接続されている。
【0063】
突起部は、冷蔵室扉11aの上面に配置されている。第1の実施形態で説明した突起部53aなどと同様に、突起部は、冷蔵室扉11aの開閉動作をカム52へ伝達する。冷蔵室扉11aが閉状態のときに、突起部の上方にはカム52が位置する。
【0064】
冷蔵室扉11aの開閉動作に応じてカメラ370の角度が変更される仕組みについては、第1の実施形態においてミラー可動機構50によって第1のミラー31の角度が変更される仕組みと同様である。
【0065】
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫301では、カメラ370がカメラ可動機構350に接続されていることで、冷蔵室扉11aの開閉に応じて、カメラ370の角度を変更することができる。そして、冷蔵室扉11aが開状態のときに、カメラ370の前方側を下方へ傾斜させることで、冷蔵室11内の様子をカメラ370によって撮影することができる。
【0066】
この構成によれば、光の方向を変更するためのミラーなどの光学部材を省略することができる。そのため、庫内を撮影するために必要となる各部品の点数を減らすことができる。
【0067】
(まとめ)
本発明の第一の局面にかかる冷蔵庫は、開口部を有する収容部と、前記開口部を開閉可能に覆う扉と、前記扉の少なくとも一部分を覆うカバー部材と、前記カバー部材に設けられ撮影を行う画像撮影部とを備えている。
【0068】
上記の本発明の第一の局面にかかる冷蔵庫において、前記画像撮影部は、前記扉が閉状態のときに、前記扉の上面と対向する位置に設けられていてもよい。
【0069】
また、本発明の第二の局面にかかる冷蔵庫は、開口部を有する収容部と、前記開口部を開閉可能に覆う扉と、撮影を行う画像撮影部とを備え、前記画像撮影部は、前記扉が閉状態のときに、前記扉の上面と対向する位置に設けられている。
【0070】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫は、前記収容部からの光を前記画像撮影部へ導く少なくとも一つの光学部材を備えていてもよい。
【0071】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材は、前記収容部の外部に配置されていてもよい。
【0072】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材の少なくとも一つは、前記扉の開閉に応じて角度が変更可能に構成されていてもよい。
【0073】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材の少なくとも一つは、前記画像撮影部の下方に配置されていてもよい。
【0074】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫において、前記画像撮影部は、前記扉の開閉に応じて角度が変更可能に構成されていてもよい。
【0075】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫において、前記カバー部材は貫通穴を有し、前記画像撮影部は、前記貫通穴と対応する位置に設けられていてもよい。
【0076】
上記の本発明の第一または第二の局面にかかる冷蔵庫には、前記画像撮影部を有する携帯型情報端末が設けられていてもよい。
【0077】
また、本発明の第三の局面にかかるカバー部材は、開口部を有する収容部と、前記開口部を開閉可能に覆う扉とを備えた冷蔵庫の前記扉の少なくとも一部分を覆うカバー部材であって、撮影を行うための貫通穴が形成されたものである。
【0078】
また、本発明の別の局面にかかる冷蔵庫は、収容空間と、前記収容空間の開口部を開閉可能に覆う扉と、前記収容空間を撮影する画像撮影部とを備えている。この冷蔵庫において、前記画像撮影部は、前記扉が閉状態のときの前記扉の上方投影面内に配置されている。
【0079】
上記の別の局面にかかる冷蔵庫は、前記収容空間において反射された光を前記画像撮影部へ導く少なくとも一つの光学部材を備えていてもよい。
【0080】
上記の別の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材は、前記収容空間外に配置されていてもよい。
【0081】
上記の別の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材の少なくとも一つは、前記扉の開閉に応じて角度が変更可能に構成されていてもよい。
【0082】
上記の別の局面にかかる冷蔵庫において、前記光学部材の少なくとも一つは、前記画像撮影部の下方に配置されていてもよい。
【0083】
上記の別の局面にかかる冷蔵庫において、前記画像撮影部は、前記扉の開閉に応じて角度が変更可能に構成されていてもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10 :冷蔵庫
11 :冷蔵室(収容部)
11a :冷蔵室扉(扉)
31 :第1のミラー(光学部材)
32 :第2のミラー(光学部材)
40 :筐体
41 :カメラ収容部(カバー部材)
41a :カメラ設置部(撮影装置設置部)
41b :カメラ用穴(貫通穴)
41c :カメラ用穴(貫通穴)
50 :ミラー可動機構
70 :スマートフォン(携帯型情報端末)
71 :カメラ(画像撮影部、画像撮影装置)
101 :冷蔵庫
170 :カメラ(画像撮影部)
201 :冷蔵庫
241 :カメラ収容部(カバー部材)
301 :冷蔵庫
350 :カメラ可動機構
370 :カメラ(画像撮影部、画像撮影装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10