(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】測量方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
(21)【出願番号】P 2023099981
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2021055353の分割
【原出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】森田 英樹
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-008406(JP,A)
【文献】特開2014-085134(JP,A)
【文献】特開2021-067616(JP,A)
【文献】特開2020-056710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザースキャナにより、位置が既知の複数の光学反射ターゲットを含む範囲に対する第1のレーザースキャンと、
前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータの中から前記複数の光学反射ターゲットからの反射光の輝点の抽出と、
前記複数の光学反射ターゲットの輝点に基づく前記複数の光学反射ターゲットに対する第2のレーザースキャンと、
前記第2のレーザースキャンにより得た前記複数の光学反射ターゲットそれぞれの測位位置に基づく後方交会法による前記レーザースキャナの位置の算出と、
該算出した前記レーザースキャナの位置に基づく前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータにおける各点の位置の算出と
を行う測量方法。
【請求項2】
コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、
コンピュータに
レーザースキャナにより、位置が既知の複数の光学反射ターゲットを含む範囲に対する第1のレーザースキャンと、
前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータの中から前記複数の光学反射ターゲットからの反射光の輝点の抽出と、
前記複数の光学反射ターゲットの輝点に基づく前記複数の光学反射ターゲットに対する第2のレーザースキャンと、
前記第2のレーザースキャンにより得た前記複数の光学反射ターゲットそれぞれの測位位置に基づく後方交会法による前記レーザースキャナの位置の算出と、
該算出した前記レーザースキャナの位置に基づく前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータにおける各点の位置の算出と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザースキャナを用いた測量技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザースキャナを用いて点群データを取得する場合、レーザースキャナの設置位置を定める必要がある。測量装置の位置を取得する方法として、位置が既知の光学ターゲットを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、レーザースキャンデータにおける各点の位置を算出する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レーザースキャナにより、位置が既知の複数の光学反射ターゲットを含む範囲に対する第1のレーザースキャンと、前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータの中から前記複数の光学反射ターゲットからの反射光の輝点の抽出と、前記複数の光学反射ターゲットの輝点に基づく前記複数の光学反射ターゲットに対する第2のレーザースキャンと、前記第2のレーザースキャンにより得た前記複数の光学反射ターゲットそれぞれの測位位置に基づく後方交会法による前記レーザースキャナの位置の算出と、該算出した前記レーザースキャナの位置に基づく前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータにおける各点の位置の算出とを行う測量方法である。
【0006】
本発明は、コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、コンピュータに、レーザースキャナにより、位置が既知の複数の光学反射ターゲットを含む範囲に対する第1のレーザースキャンと、前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータの中から前記複数の光学反射ターゲットからの反射光の輝点の抽出と、前記複数の光学反射ターゲットの輝点に基づく前記複数の光学反射ターゲットに対する第2のレーザースキャンと、前記第2のレーザースキャンにより得た前記複数の光学反射ターゲットそれぞれの測位位置に基づく後方交会法による前記レーザースキャナの位置の算出と、該算出した前記レーザースキャナの位置に基づく前記第1のレーザースキャンを行うことで得たレーザースキャンデータにおける各点の位置の算出とを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザースキャンデータにおける各点の位置を算出する技術が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1の実施形態
(構成)
図1に実施形態の概要を示す。
図1には、処理装置100、レーザースキャナ200、反射プリズム150,160が示されている。
【0010】
処理装置100は、コンピュータとして機能するデータ処理サーバである。処理装置100として、PCや専用の演算装置を利用することもできる。
【0011】
処理装置100の機能をレーザースキャナ200に内蔵させる形態、処理装置100をPCや専用端末等で構成しレーザースキャナ200の近くで使用する形態も可能である。
【0012】
レーザースキャナ200は、支持脚である三脚201、三脚で支持された基台202、基台202上で水平回転が可能な水平回転部203、水平回転部203に対して鉛直回転する鉛直回転部204を有する。鉛直回転部204には、レーザースキャナ光の照射と受光を行う光学系が配置されている。
【0013】
鉛直回転部204を鉛直回転させながら特定の繰り返し周波数でのレーザースキャン光の照射、およびその反射光の受光が行われる。鉛直回転部204の鉛直回転と水平回転部203の水平回転を組み合わせることで、設定した範囲のレーザースキャンが行われる。
【0014】
水平回転部203の時刻と角度位置の関係、鉛直回転部204の時刻と角度位置の関係は、時計とエンコーダにより精密に計測されている。レーザースキャン光の照射のタイミングと時刻との関係も正確に管理されている。これにより、各レーザースキャン光の照射方向(反射光の入射方向)は精密に計測されている。
【0015】
また、レーザースキャナ200の内部に設けられた基準光路を伝搬した計測光と実際の計測光との受光タイミングの差(位相差)から、反射点までの距離が算出される。反射点までの距離を計測光の伝搬時間から求めることもできる。
【0016】
反射プリズム150,160は、入射光を180°反転させて反射する再帰反射特性を有する光反射ターゲットである。ここでは、測量用に市販されている反射プリズムが利用される。
【0017】
反射プリズムの数は、2つに限定されず、3以上を用いることが可能である。反射プリズム以外の再帰反射特性を有する部材を光反射ターゲットとして用いることもできる。例えば、光反射ターゲットとして透明ビーズを用いた再帰反射部材を用いることもできる。
【0018】
図2にレーザースキャナ200のブロック図を示す。レーザースキャナ部210は、スキャン光の発光部、受光部、光学系、それらの動作に必要な処理を行う電子回路を含む。回転制御部211は、水平回転部203と鉛直回転部204の回転の制御および回転角の計測を行う。レーザースキャンデータ取得部212は、レーザースキャナ部210が行ったレーザースキャンのデータ(レーザースキャンデータ)を取得する。
【0019】
レーザースキャンデータには、各スキャン光(計測光)に係り、その方向、受光強度、反射点までの距離に関する情報が含まれる。
【0020】
通信装置213は、処理装置100との間で通信を行う。通信は、有線または無線で行われる。処理装置100としてサーバが用いられる場合、通信は、インターネット回線を用いて行われる。無線通信の手段として、無線LANを用いることもできる。通信の相手は、処理装置100に限定されず、操作端末、他の制御装置、PC等であってもよい。
【0021】
図3に処理装置100のブロック図を示す。処理装置100の各機能部は、各機能を実現するためのプログラムがCPUにより実行されることでソフトウェア的に構成、あるいは専用のハードウェアにより構成される。処理装置100は、基準点位置データ取得部101、レーザースキャナ概略位置データ取得部102、レーザースキャナ制御部103、レーザースキャンデータ取得部104、オーバーフロー点抽出部105、処理対象点抽出部106、レーザースキャナ位置算出部107、ΔP算出部108、判定部109、反射プリズムの輝点特定部110、計測点位置算出部111、通信装置112を備える。
【0022】
基準点位置データ取得部101は、後述するステップS101に係る処理を行う。レーザースキャナ概略位置データ取得部102は、後述するステップS102に係る処理を行う。レーザースキャナ制御部103は、レーザースキャナ200に動作を指示する制御信号を出力する。例えば、レーザースキャナ制御部103は、後述するステップS103に係る処理を行う。
【0023】
レーザースキャンデータ取得部104は、レーザースキャナ200が計測したレーザースキャンデータを取得する。
【0024】
オーバーフロー点抽出部105は、後述するステップS105に係る処理を行う。処理対象点抽出部106は、後述するステップS106に係る処理を行う。レーザースキャナ位置算出部107は、後述するステップS107およびステップS112に係る処理を行う。ΔP算出部108は、後述するステップS108に係る処理を行う。判定部109は、後述するステップS109に係る処理を行う。反射プリズムの輝点特定部110は、後述するステップS110に係る処理を行う。
【0025】
計測位置算出部111は、計測光の反射点(レーザースキャン点)の位置を算出する。計測光の反射点の算出は、計測光の方向と距離に基づいて行われる。通信装置112は、レーザースキャナ200との間の通信や他の機器との通信を行う。
【0026】
(処理の手順の一例)
図4に処理の手順の一例を示す。
図4の処理を実行するプログラムは、適当な記憶媒体に記憶され処理装置100のCPUによって実行される。ここでは、反射プリズムは2つとする。勿論、反射プリズムの数を3以上とすることも可能である。処理に先立ち、反射プリズム150,160を位置が予め分かっている既知点に設置する。反射プリズム150,160の設置点の位置データ(座標)は、基準点データとして予め用意されている。
【0027】
なお、位置のデータは、絶対座標系におけるものとする。絶対座標系とは、GNSS等で用いられる地図情報を扱う場合に利用される座標系である。例えば絶対座標系における位置は、緯度、経度、標高で記述される。座標系として、ローカル座標系を用いることもできる。
【0028】
まず、反射プリズム150と160の位置を取得する(ステップS101)。次に、レーザースキャナ200の凡その位置(概略位置)を取得する(ステップS102)。この段階で取得するレーザースキャナ200の位置の取得は、Wi-Fi装置を用いた測位、GNSS位置測定装置を用いた測位、図面データから読み取り等により行う。位置の精度は、数十センチオーダー以下であることが望ましい。
【0029】
次に、レーザースキャナ200を中心とした全周のレーザースキャンを行う(ステップS103)。レーザースキャンは、レーザースキャナ制御部103から出力される制御信号に従って行われる。この段階でのレーザースキャンは、反射プリズムからの反射光の受光デバイスの飽和は考慮しない通常のレーザースキャンの条件(出力)で行われる。この場合、反射プリズムおよびあるレベル以上の反射率の対象物からの反射光を受光すると、レーザースキャナ200の受光部は飽和する。
【0030】
ステップS103の後、レーザースキャンデータを取得する(ステップS104)。レーザースキャンと並行してレーザースキャンデータを取得することができる。次に、ステップS104で得たレーザースキャンデータの中から、閾値を超える強度の輝点(反射点)のレーザースキャンデータを抽出する(ステップS105)。ここでは、反射光の検出を行う検出デバイス(フォトダイオード等)の出力がオーバーフロー(飽和)した輝点(反射点)を抽出する。閾値を定め,それを超えた出力となった輝点を選択することも可能である。
【0031】
ステップS105で抽出される輝点の数は、最低2つとなる。反射プリズム以外からの強い反射光がある場合は、3以上の輝点がステップS105において抽出される。ステップS105で取得される輝点の情報は、レーザースキャナ200から見たその輝点の方向の情報である。
【0032】
次に、ステップS105で抽出した複数の輝点の中から2点を選択する(ステップS106)。この処理では、基準点データを用い、有り得ない位置関係にある2点は選択しない。例えば、上下方向に著しく離れている2点、レーザースキャンの範囲から見て、有り得ない水平距離で離れている2点等は選択しない。
【0033】
次に、ステップS106で選択した2点にステップS101で得た位置情報を与え、後方交会法によりレーザースキャナ200の位置を算出する(ステップS107)。この位置をレーザースキャナ200の暫定計算位置とする。
【0034】
以下、ステップS107で行われる処理について説明する。
図6において、原点Pがレーザースキャナ200の位置(光学原点)であり、P1とP2がレーザースキャン点であるとする。ここで、点P1を点Pから見た方向、点P2を点Pから見た方向は、ステップS104で得たレーザースキャンデータから判明する。
【0035】
この段階で、点P1,P2は、反射プリズムからの反射点であるか否か不明であるが、仮に点P1を反射プリズム150からの反射点、点P2を反射プリズム160からの反射点であると暫定的に仮定する。すると、P1とP2の位置が与えられるので、三角測量(後方交会法)の原理から点Pの位置を算出できる。
【0036】
すなわち、点Oから見た点P1の方向、点Oから見た点P2の方向は、レーザースキャンデータから分かる。よって、頂点の位置をP,P1,P2とする大きさが未知の三角形が規定される。ここで、この三角形の頂点P1,P2の位置が与えられると、上記三角形の大きさが決まり、また2つの頂点P1,P2の座標が決まるので、頂点Pの位置が算出できる。この頂点Pの位置がレーザースキャナ200の暫定計算位置となる。以上がステップS107で行われる処理の原理である。
【0037】
次に、ステップS102で得たレーザースキャナの概略位置と、ステップS107で得た暫定計算位置の差ΔPを算出する(ステップS108)。
【0038】
次に、ステップS108で求めたΔPが予め定めた閾値を超えるか否か、を判定する(ステップS109)。ここで、ΔPが閾値を超える場合、ステップS106に戻り、異なる組み合わせの反射輝点を選択し、ステップS106~S109を再度実行する。
【0039】
ステップS109において、両者の差が閾値以下である場合、ステップ110に進み、ステップS106で選択した2点を反射プリズム150,160の反射点として特定する(ステップS110)。
【0040】
ステップS109の処理には、以下の意味がある。ステップS106において、反射プリズムでない輝点を選択した場合、レーザースキャナ200の光学原点と輝点を結ぶ線上に無い座標値を輝点に与えてレーザースキャナ200の位置を計算したことになるので、暫定計算位置と概略位置との差ΔPが大きくなる。
【0041】
他方において、実際の反射プリズム150,160の輝点を選択した場合、レーザースキャナ200の光学原点と輝点を結ぶ線上の座標値を輝点に与えてレーザースキャナ200の位置を計算したことになるので、暫定計算位置と概略位置との差ΔPは得られる組み合わせの中で最小となる。この原理を利用して反射プリズムの輝点候補の真偽の判定がステップS109において行われる。
【0042】
以上の手順により、反射プリズム150,160からのレーザースキャン光の輝点を特定する(ステップS110)。ここで、ステップS106~S109は、概略位置と暫定位置の差が閾値以下あるいは最も小さくなる反射プリズムの設置位置の組み合わせを探索する処理といえる。
【0043】
ステップS109で用いる閾値は、予め予備実験を行い求めればよい。この閾値をステップS102で取得するレーザースキャナの概略位置の精度に応じて複数用意し、利用する概略位置の精度に応じて使い分ける態様も可能である。
【0044】
反射プリズム150,160の輝点を取得したら、その方向を中心として再度のレーザースキャンを行い、反射プリズム150,160の精密な測位を行なう(ステップS111)。こうして、レーザースキャナ200を原点とした座標系における反射プリズム150,160の精密な位置が取得される。
【0045】
ステップS111では、反射プリズムを測距できる光量に抑えたレーザースキャン、すなわち反射プリズムからの反射光で受光部が飽和しない出力でのレーザースキャンを行い、反射プリズム150,160の精密な測位を行なう。具体的には、減光フィルタを介してレーザースキャン光の照射と受光、あるいは減光フィルタを介したレーザースキャン光の受光を行うことで、強入射光に起因する受光部の飽和が生じない状態でレーザースキャンを行う。
【0046】
反射プリズム150,160の精密な測位を行なったら、
図5に原理を示す後方交会法により、レーザースキャナ200の絶対座標系における位置を算出する(ステップS112)。
【0047】
レーザースキャナ200の絶対座標系における位置を算出したら、ステップS104で得たレーザースキャンデータにおける各点(各反射点)の絶対座標系における位置を算出し、点群データを得る(ステップS113)。
【0048】
ステップ104で取得したレーザースキャンデータは、レーザースキャナ200から見た各点の方向と距離である。ここで、ステップS112において、レーザースキャナ200の絶対座標系における位置は求められている。よって、ステップ104で取得したレーザースキャンデータにおける各点の絶対座標系における位置を算出できる。この処理がステップS113で行われる。
【0049】
なお、ステップ104で取得したレーザースキャンデータにおける反射プリズムからの反射光に関しては、受光部での飽和の影響で正確な距離情報を得ることができない。そこで、反射プリズムの位置データは、ステップS111で得たものを利用する。
【0050】
(むすび)
以上述べたように、本実施形態では、設置位置が既知の複数の光反射ターゲットの設置位置の情報を取得する基準点位置取得部101、レーザースキャナの概略位置を取得するレーザースキャナ概略位置データ取得部102、前記レーザースキャナによる前記複数の光反射ターゲットを含む範囲のレーザースキャンにより、複数の輝点および各輝点の当該レーザースキャナから見た方向のデータをレーザースキャンデータとして取得するレーザースキャンデータ取得部104、前記複数の輝点の中から閾値を超える輝度の複数の輝点を抽出する処理対象点抽出部106、前記抽出した複数の輝点のそれぞれに、前記光反射ターゲットの前記設置位置のデータを与え、後方交会法により、前記レーザースキャンを行ったレーザースキャナの位置を暫定算出位置として算出するレーザースキャナ位置算出部107を備え、前記概略位置と前記暫定位置の差が閾値以下となる条件または最も小さくなる条件を探索することで、前記抽出した複数の輝点の中から、前記光反射ターゲットの輝点が特定される処理装置100が開示されている。
【0051】
この処理装置100によれば、既知点に光反射ターゲットを設置し、また未知点であるが、概略の位置が判明している位置にレーザースキャナを設置することで、レーザースキャナから見た反射プリズムの識別が可能となる。この処理に係る作業は簡便であり、処理に係る負担も小さい。このため、既知点に設置した光学ターゲットを用いたレーザースキャナの位置の特定をより簡素に行うことができる。
【0052】
(変形例1)
ステップS105で抽出した複数の輝点から選択した2点の組み合わせの全てについて(総当たり)、ステップS107,S108を実行し、最小のΔPの組の2点を反射プリズムの反射点として取得する。
【0053】
(変形例2)
ステップS103におけるレーザースキャンを反射プリズムの反射光で受光部が飽和しない条件で行う形態(減光フィルタを用いたレーザースキャンを行う形態)も可能である。この場合、低輝度の点は検出されず、高輝度の点が優先的に取得されるので、ステップS105を省くことが可能である。勿論、ステップS105を実行してもよい。
【0054】
またこの場合、ステップS112の後に、減光フィルタを外した全周レーザースキャンを行い、そこで得られた各点の位置の算出をステップS113で行う。この場合、飽和点の位置は、飽和が生じない条件でレーザースキャンを行った上記ステップS103で得たレーザースキャンデータを用いて算出する。
【0055】
(その他)
減衰特性の異なる複数の減光フィルタを用意し、適宜切り替えて利用することも可能である。発光強度を可変させて、飽和を避ける形態も可能である。ステップS104のレーザースキャンを特定の範囲に絞って行うこともできる。
【符号の説明】
【0056】
100…処理装置、150…反射プリズム、160…反射プリズム、200…レーザースキャナ、201…三脚、202…基台、203…水平回転部、204…鉛直回転部。