(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241105BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G03G21/00 538
G03G21/16 161
G03G21/16 119
(21)【出願番号】P 2023105155
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2021190278の分割
【原出願日】2018-08-29
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2017164082
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河角 良一
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120404(JP,A)
【文献】特開2015-141341(JP,A)
【文献】特開平10-268716(JP,A)
【文献】特開2010-224375(JP,A)
【文献】特開2006-259589(JP,A)
【文献】特開2006-259449(JP,A)
【文献】特開2008-139703(JP,A)
【文献】特開2003-140514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/20
13/34-15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
離型剤を含有するトナーを用いてシートにトナー像を第1の位置で形成する画像形成部と、
前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を第2の位置にて熱定着する定着部と、
前記第1の位置から前記第2の位置までのシート搬送路に対向配置された吸気口を有し、前記吸気口から吸気した空気を前記画像形成装置の外へ排気するためのエアフローを内部に形成するダクトと、
前記離型剤に起因する所定の粒径の粒子を回収するフィルタと、
前記ダクトに対して取り外し可能なホルダ
であって、前記フィルタが前記吸気口を覆うように前記フィルタを前記ホルダと前記ダクトとの間で保持するホルダと、
前記画像形成装置の側面に設けられ、前記シート搬送路を開く開位置と、前記シート搬送路を閉める閉位置と、に移動可能な扉と、を有し、
前記扉が前記開位置に位置した状態において、
前記定着部は前記画像形成装置の本体から着脱可能であり、
前記定着部の着脱方向に関し、前記ホルダ及びダクトが、前記定着部に対して、前記閉位置に位置した前記扉と反対側に位置し、
前記扉が前記開位置に位置し、かつ前記定着部が前記画像形成装置の本体から取り外された状態において、前記ホルダは前記ダクトから着脱可能である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の位置は前記第1の位置よりも重力方向の上方に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記離型剤はワックスであり、前記所定の粒径は5.6nm以上560nm以下である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記扉は、回動軸を有し、
前記扉は回動することによって、前記開位置と前記閉位置とに移動することができる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着部は前記第2の位置において、記録材を挟持搬送する回転体を有し、
前記回動軸は、前記回転体の回転軸線方向に沿って配置され、且つ前記重力方向において前記定着部よりも下方に配置される、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記扉が前記閉位置に位置する際、前記扉の一部が前記シート搬送路の一部となる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記扉は、前記シート搬送路を形成する複数の搬送ローラを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を形成する、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、トナーに含まれる離型剤(ワックス)が加熱されることで、一時的に超微粒子(Ultra Fine Particles:100nm以下の粒径をもつ。以下、UFP或いはダストと呼称する)の状態になることが知られている。特許文献1では、排気ダクトにより機外へ排気する経路中にフィルタを設置し、このようなダストを捕集することが提案されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、シートの搬送に影響のないダクト配置を優先していることから、ダストの低減効果が低くならざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ダストの低減効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、離型剤を含有するトナーを用いてシートにトナー像を第1の位置で形成する画像形成部と、前記画像形成部によりシートに形成されたトナー像を第2の位置にて熱定着する定着部と、前記第1の位置から前記第2の位置までのシート搬送路に対向配置された吸気口を有し、前記吸気口から吸気した空気を前記画像形成装置の外へ排気するためのエアフローを内部に形成するダクトと、前記離型剤に起因する所定の粒径の粒子を回収するフィルタと、前記ダクトに対して取り外し可能なホルダであって、前記フィルタが前記吸気口を覆うように前記フィルタを前記ホルダと前記ダクトとの間で保持するホルダと、前記画像形成装置の側面に設けられ、前記シート搬送路を開く開位置と、前記シート搬送路を閉める閉位置と、に移動可能な扉と、を有し、前記扉が前記開位置に位置した状態において、前記定着部は前記画像形成装置の本体から着脱可能であり、前記定着部の着脱方向に関し、前記ホルダ及びダクトが、前記定着部に対して、前記閉位置に位置した前記扉と反対側に位置し、前記扉が前記開位置に位置し、かつ前記定着部が前記画像形成装置の本体から取り外された状態において、前記ホルダは前記ダクトから着脱可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダストの低減効果を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は
図8の(a)-(a)線矢視の拡大断面図、(b)は(a)においてダクトからフィルタ付のフレーム部材が取り外された状態を示している拡大断面図
【
図9A】装置本体の所定の装着位置に装着されているダクトユニットの斜視図
【
図9C】ダクトユニットの装置本体に対する出し入れ要領の説明図
【
図10】第1の係合部の第1の被係合部に対する係脱状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。各図に共通する部材、部分には同一の符号を記すものとする。
【0010】
《実施例1》
(画像形成装置)
図2は本実施例における画像形成装置100の縦断正面模式図である。以下の説明において、画像形成装置100の正面(前面、手前側)とは
図2の紙面において手前側、背面
(後面、奥側)とはその反対側である。左右とは装置100を正面から見て左と右である。上下とは重力方向において上と下である。上流側と下流側はシート搬送方向において上流側と下流側である。
【0011】
この画像形成装置は電子写真プロセスを用いたタンデム方式-中間転写方式の4色フルカラーのレーザープリンタであり、パソコン等の外部ホスト装置(不図示)から制御回路部(不図示)に入力した画像情報に基づいてシートSにトナー画像形成を行う。
【0012】
画像形成装置本体(装置フレーム:以下、装置本体と記す)100Aの内部の画像形成部1は、第1~第4の4つの作像ユニットU(UY・UM・UC・UK)を有する。また、画像形成部1は、第1~第4の作像ユニットUの上側と下側にそれぞれ中間転写ベルトユニット8とシートカセット11を有する。
【0013】
第1~第4の作像ユニットUは減法混色の3原色であるイエロー(Y)色・マゼンタ(M)色・シアン(C)色とこれにブラック(K)色を加えた4色のトナー像をそれぞれ形成する。各作像ユニットUは、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)2を有する。また、ドラム2に作用するプロセス手段としての、帯電ローラ3、レーザースキャナ(露光器)4、現像器5、1次転写ローラ6、ドラムクリーナ7を有する。
【0014】
なお、図の煩雑を避けるために、第1の作像ユニットUY以外の作像ユニットUM・UC・UKにおけるこれらの機器に対する符号の記入は省略した。また、これらの作像ユニットUY・UM・UC・UKと中間転写ベルトユニット8を有する画像形成部1の電子写真作像動作は公知であるからその説明は割愛する。
【0015】
第1~第4の作像ユニットUのドラム2から回動する中間転写ベルト(中間転写体)9に対して上記各色のトナー像が所定に重畳されて順次に1次転写される。これによりベルト9上にY+M+C+Kの4色重畳のトナー像が形成される。
【0016】
装置本体100Aの内部の右側にはシートSを下から上へ搬送する上行き搬送路12が配設されている。この搬送路12には下側から上側に順に、シート繰り出しローラ13、レジストローラ対14a・14b、2次転写ローラ16、定着器(定着装置)19、排出ローラ21が配設されている。2次転写ローラ16は中間転写ベルトユニット8の右側のベルト懸回ローラ10に対してベルト9を介して所定の押圧力で当接して、ベルト9と2次転写ニップ部17を形成している。
【0017】
15、18、20は搬送路12においてシートSをガイドするガイド部材である。ガイド部材15はレジストローラ対14a・14bと2次転写ローラ16との間に配設されている。ガイド部材18は2次転写ローラ16と定着器19との間に配設されている。ガイド部材20は定着器19と排出ローラ21との間に配設されている。
【0018】
所定の制御タイミングにて繰り出しローラ13が駆動されることでシートカセット11からシートSが1枚分離給送され、搬送路12に導入される。そしてレジストローラ対14a・14bにより所定の制御タイミングにて2次転写ニップ部17に導入されて挟持搬送される。これにより、2次転写ニップ部17にてシートSに対してベルト9上の4色重畳のトナー像が一括して2次転写されて形成される。
【0019】
2次転写ニップ部17を出たシートSが、定着部として機能する定着器19に導入されてトナー像の熱定着処理を受ける。定着器19は、画像形成部1の2次転写ニップ部(第1の位置)17にてシートSに形成されたトナー像を定着ニップ部(第2の位置)N(
図3)にて熱と圧力により定着する定着部である。定着器19を出たシートSは画像形成物として排出ローラ対21により装置本体100Aの上面部である排出トレイ22に排出される。
【0020】
23Y・23M・23C・23Kはそれぞれ第1~第4の作像ユニットUY・UM・UC・UKの現像器5に対する補充用トナーを収容している着脱交換可能なトナーボトルであり、中間転写ベルトユニット8の上側に配設されている。各作像ユニットUY・UM・UC・UKの現像器5に対してそれぞれ対応するトナーボトルからトナー補給機構(不図示)により適時適量のトナー補給がなされる。
【0021】
(定着器)
図3は
図2における2次転写ニップ部17部分および定着器19部分の拡大模式図である。本実施例における定着器19はベルト加熱方式-加圧部材駆動方式のオンデマンド定着器(ODF定着器)である。この定着器の基本的構成や定着動作は公知であるからその説明は簡単に止める。
【0022】
この定着器19は、大別して、第1の回転体である定着ベルト(以下、ベルトと記す)
32を備えたベルトユニット31と、第2の回転体である弾性を有する加圧ローラ33と、これらを収容した筐体34と、により構成されている。ベルト32と加圧ローラ33とにより、未定着トナー像を担持しているシートSを挟持搬送してトナー像を熱と圧力で定着する定着ニップ部Nが形成されている。
【0023】
筐体34にはシート入口(シート導入口)35とシート出口38が形成されている。シート入口35はシートSのトナー像非担持面であるシート裏面に対向する第1のガイド部材36とトナー像担持面であるシート表面に対向する第2のガイド部材37とにより形成されている。シート入口35がシート出口38よりも重力方向下方に位置するように、ベルトユニット31と加圧ローラ33は配設されている。本実施例の定着器19はシートSを重力方向下方から上方に向けて搬送するように構成されており、縦パス構成と称される。
【0024】
ベルトユニット31において、ベルト32の内側には、定着ヒータ(熱源:以下、ヒータと記す)39と、ヒータホルダ(以下、ホルダと記す)40と、剛性ステイ(以下、ステイと記す)41などが配設されている。
【0025】
ヒータ39はベルト32を加熱する加熱源である。また、ヒータ39は、ベルト32を加圧ローラ33に向けて押圧すると押圧部材である。ヒータ39としては、例えば、所謂セラミックヒータが用いられる。ヒータ39は、ベルト32の長手方向(幅方向)に沿って配置されている。ヒータ39はベルト32の内側においてベルト32の内面と摺動可能となるように配置されている。
【0026】
ヒータ39は給電部(不図示)からの電力供給により発熱して急峻に温度上昇する。ヒータ39の温度が温度センサ(不図示)により検知されて制御回路部(不図示)にフィードバックされる。制御回路部は入力する検知温度情報に基づいてヒータ39の温度が所定の目標温度に立ち上げられて温調されるように給電部からヒータ39への供給電力を制御する。
【0027】
ホルダ40はヒータ39をその長手方向に沿って保持する部材である。ホルダ40は、加圧ローラ33側の面にヒータ39を固定している。また、ホルダ40は、ベルト32からシートSが分離されやすくなるようにベルト32の周方向の曲率形状をガイドするガイド部材である。ホルダ40は耐熱性に優れていることが望ましく例えば液晶ポリマー樹脂を用いることができる。
【0028】
ステイ41はホルダ40及びヒータ39を長手方向に沿って支持する支持部材である。ステイ41は、ホルダ40、ヒータ39、ベルト32を間において、加圧ローラ33とは反対側に配置されている。ステイ41はその長手方向の両端部が加圧ローラ33に向けて所定の加圧力にて加圧されている。
【0029】
このような構成により、ステイ41、ホルダ40、ヒータ39は、ベルト32を加圧ローラ33側に向けて押し付けている。ベルト32を押し付けられた加圧ローラ33は弾性ゴム層が弾性変形してヒータ39の面に倣った形状になる。こうして、ベルト32と加圧ローラ33の間にシート搬送方向に関して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0030】
加圧ローラ33は、その回転軸線方向(長手方向)がベルト32の長手方向(母線方向)と実質平行となるように配置されている。加圧ローラ33は、芯金の長手方向の両端部が筐体34の手前側と奥側の側板(不図示)に軸受けを介して回転可能に保持されている。
【0031】
加圧ローラ33の芯金は、駆動源であるモータを含む駆動機構(不図示)に接続されており、モータの駆動によって矢印R33の時計回りに所定の周速度で回転駆動される。回転駆動する加圧ローラ33と定着ニップ部Nにおいて圧接状態となっているベルト32は、定着ニップ部Nにおける摩擦力により加圧ローラ33の駆動が伝達され、矢印R32の反時計回りに加圧ローラ33に従動して回転する。
【0032】
加圧ローラ33が回転駆動され、ヒータ39が所定の目標温度に立ち上げられて温調されている状態において、画像形成部1の2次転写部(第1の位置)17にて未定着トナー像が形成されたシートSが定着器19に搬送される。そして、シート入口35から定着器19に入り、定着ニップ部(第2の位置)Nで挟持搬送される。
【0033】
本実施例においては、定着器19は中間転写ベルト9よりも重力方向上方に位置しており、定着ニップ部Nは2次転写ニップ部17よりも重力方向上方に位置している。従って、2次転写ニップ部17を出たシートSは上方に搬送されて定着器19に対して下から上に導入される。2次転写ニップ部17から定着ニップ部NまでシートSの搬送を行う為のガイド部材18、36、37は、シートSの引っ掛かりがないような斜面や曲面で形成されており、定着ニップ部Nに確実にシートSを導けるように設けられている。
【0034】
シートSは定着ニップ部Nを挟持搬送される過程でヒータ39の熱がベルト32を介して付与される。未定着トナー像はヒータ39の熱によって溶融され、定着ニップ部Nにかかっている圧力によって定着される。そして、定着ニップ部Nで挟持搬送されたシートSはガイド部材42と定着内排出ローラ対43を経由してシート出口38から定着器19を出る。更に、ガイド部材20を経由して排出ローラ対21により排出トレイ22上に送り出される。
【0035】
(開閉扉)
本実施例の画像形成装置100においては、装置本体100Aの右側面に、ジャムシートの処理や装置内部のメンテナンス等の際のアクセス口としての開口部100Bが設けられている。そして、この開口部100Bを閉じる所定の閉鎖位置A(
図2)と開口部100Bを開放する所定の開放位置B(
図4)との間を移動可能な開閉扉100Cが設けられている。本実施例において開閉扉100Cは下部のヒンジ軸24を回転中心として開閉回動可能である。
【0036】
開閉扉100Cは
図2のように装置本体100Aに対して閉鎖位置Aまで十分に閉じ込まれるとロック機構(不図示)のロック動作により開き止めされて保持される。画像形成装置100は開閉扉100Cが閉じ込まれている状態において画像形成動作が可能である。
【0037】
開閉扉100Cはロック機構のロック解除により
図2の閉鎖位置Aから
図4のように開放位置Bまで十分に開き回動することができる。開閉扉100Cの内側にはシートSを下から上へ搬送する上行き搬送路12における、レジストローラ対14a・14bの内の一方のローラ14b、ガイド部材15、2次転写ローラ16、ガイド部材18が配設されている。従って、開閉扉100Cが開かれることで装置本体100Aの右側の開口部100Bにおいて搬送路12が大きく開放される。
【0038】
これにより、定着器19を含む当該搬送路12にジャムしたシートの除去(ジャム処理)を容易に行うことができる。また、中間転写ベルト9や定着器19等のメンテナンスも容易に行える構成となっている。本実施例の画像形成装置100においては、定着器19は装置本体100Aの内部の所定の装着部(不図示)に対してフック掛け構造等によりビスレスで着脱可能に配設されている。従って、定着器19の装置本体100Aの装着部に対する着脱は
図5のように開閉扉100Cを開いて開放した開口部100Bから装置内部にアクセスしてビスレスで容易に行える構成となっている。
【0039】
(UFP発生の仕組み)
トナーに含有された離型剤に起因する、UFP(ダスト)の発生の仕組みについて説明する。定着器19は、シートSに高温の定着部材であるベルト32を接触させることでトナー像を定着させている。このような構成を用いて定着処理を行う場合、定着処理時に一部のトナーがベルト32に転移(付着)してしまうことがある。これをオフセット現象と呼ぶが、オフセット現象は画像不良の原因となるため、対策は必須である。
【0040】
そこで、画像形成装置に用いられるトナーには離型剤としてのワックスを内包させている。このトナーは、加熱される際に、内部のワックスが溶解して染み出すようになっており、そのため、このトナー像に定着処理を行うと、溶解したワックスによってベルト32の表面が覆われることになる。表面がワックスによって覆われたベルト32は、ワックスの持つ離型作用により、トナーが付着し難くなる効果が得られる。
【0041】
なお、本実施例では純粋なワックスの他に、ワックスの分子構造を含んだ化合物もワックスと呼んでいる。例えば、トナーの樹脂分子と炭化水素鎖等のワックス分子構造が反応した化合物もワックスと称する。また、離型剤としては、ワックスの他にシリコンオイル等の離型作用を有する物質を用いてもよい。
【0042】
ワックスは溶融する際に、その一部が気化(揮発)してしまう。これは、ワックスが含有する分子成分の大きさにバラつきがあるためであると考えられる。つまり、ワックスには、鎖が短く沸点の低い低分子成分と、鎖が長く沸点の高い高分子成分が含まれており、沸点の低い低分子成分が先に気化すると考えられる。気化(ガス化)したワックス成分が空気中で冷やされると、所定の粒径(数nm~数百nm)の微粒子が発生する(発生する微粒子の多くは数nm~数十nmの粒径であると推察される)。具体的には、粒径が5.6nm以上560nm以下の微粒子である。すわなち、この微粒子が上述のUFPである。
【0043】
上記の仕組みによりUFPが発生するため、UFPは熱をワックスに加える定着ニップ部Nから最も発生することが分かる。また、ベルト32が最も高温となるのは、ベルト32の回転やヒータ39の配置等から定着ニップ部Nの上流側であるため、UFPの発生もまた定着ニップ部Nの上流で最大となることが推察出来る。更には、シートSに転写されたトナー像からUFPが発生する為、UFPは定着ニップ部Nの画像領域全域から発生することも分かる。
【0044】
(UFP低減構成)
次に、UFPを低減する構成を説明する。粒径が5.6nm以上560nm以下の微粒子であるUFPの低減は前述のとおり、装置本体内に配置したフィルタおよびエア吸引を用いて発生したUFPを捕集する。そのため、機外に排出されるUFP量を低減させることが可能となる。ここで、フィルタの配置であるが、UFPの最大発生位置である定着ニップ部Nの上流側の画像領域近傍にフィルタを配置する。そして、フィルタの長手方向全域で均一にエア吸引が出来れば、最も効率的にUFPを捕集出来るであろうことは、上記詳細に説明した、UFP発生の仕組みから自明である。
【0045】
図において、50は本実施例の画像形成装置100におけるUFP低減構成としてのダクトユニットである。
図6は
図3における(6)-(6)線矢視の模式図である。ダクトユニット50は画像形成部1の2次転写部(第1の位置)17と定着部19の定着ニップ部(第2の位置)Nとの間に位置している。ダクトユニット50は、吸気口52、UFP(離型剤(ワックス)に起因する粒子)を回収(濾過)するフィルタ53、機外に排気を行う排気口54を有するダクト51、を有する。
【0046】
本実施例におけるダクト51は、定着器19の長手に沿って長い、横断面ほぼ矩形の中空体である。吸気口52は当該ダクト51の長手方向の一側面に長手に沿う開口部として形成されている。即ち、吸気口52は定着ニップ部Nの長手方向に沿って延伸している。フィルタ53はこの吸気口52を覆うように配設されている。即ち、フィルタ53は長手方向がシート搬送方向と直交する方向に延伸するように形成された平面状の部材であり、吸気口52に固定されている。フィルタ53はダクト51に対し着脱手自在のホルダとして機能するフレーム部材に固定されている。このフレーム部材については後述する。
【0047】
ダクト51の一方の端部(手前端部)は閉鎖されており、他方の端部(後端部)はラッパ状ダクト部分51Aとして拡径されて排気口54として開放されている。
【0048】
本実施例の画像形成装置100においては、装置本体100Aの後面板として、
図6のように、第1の後面板102とこれと所定の間隔をあけて配設されている第2の後面板103を有している。第1の後面板102と第2の後面板103には対向する第1の開口部104と第2の開口部105が配設されている。そして、その第1の開口部104と第2の開口部105は内部にファンFが組み込まれているファンダクト51Bにより連結されている。
【0049】
ダクトユニット50は装置本体100Aの内部において前面板101と第1の後面板102との間の所定の装着位置に、手前端部を前面板101側にし、後端部を第1の後面板102側にして装置本体100Aに対し着脱可能に固定されて配設されている。ダクトユニット50の装置本体100Aに対する取り付け構成については後述する。
【0050】
ダクトユニット50が装置本体100Aに対して所定に取り付けられている状態においてダクト51の後端部の排気口54は第1の後面板102に配設された第1の開口部104に対応して合致している。
【0051】
即ち、ダクト51は排気口54が第1の開口部104→ファンダクト51B→第2の開口部105を介して装置本体100Aの背面側において外部に連通している。ファンFは制御回路部(不図示)によって制御される。ファンFが駆動されることでダクト51内にエアフローが発生してダクト51内のエアが排気口54から上記の経路にて機外に排気される。これにより、フィルタ53でカバーされている吸気口52からダクト51内にエアが吸入される。
【0052】
ダクト51は2次転写部17と定着ニップ部Nとの間において定着器16のベルトユニット31の側(熱源39を備えた第1の回転体32の側)に配置されている。そして、ダクト51のフィルタ43でカバーされている吸気口52は2次転写部17と定着ニップ部Nとの間の中間よりも、定着ニップ部N側に位置しており、さらに、定着ニップ部Nの近傍に位置している。
【0053】
即ち、フィルタ53でカバーされている吸気口52は定着ニップ部Nの上流側の近傍、ガイド部材37の背面側に配置されている。つまり、ダクトユニット50のフィルタ53を固定した後述するフレーム部材55(
図1の(a))の前にガイド部材37が存在している。
【0054】
上記構成のダクトユニット50は、ファンFの駆動によってフィルタ53でカバーされている吸気口52から2次転写部17と定着ニップ部Nとの間におけるUFPを含むエアをフィルタ53で濾過しながらダクト51内に吸入する。そして、フィルタ53によりUFPが濾過されたエアを排気口54→第1の開口部104→ファンダクト51B→第2の開口部105の経路で機外に排気するように構成されている。即ち、このダクトユニット50により機外に排出されるUFPは減少する。
【0055】
吸気口52は、
図6に示すように、シート搬送方向と直角方向に一定の長さを有している。これにより、シートSのトナー像からベルト32に移行したワックスから発生するUFPをベルト32の長手方向(幅方向)において確実に捕集できるように構成されている。
図6において、W52は吸気口52の長手方向の長さ、WTはシート上の画像形成可能領域の幅(最大画像幅)である。W9は中間転写ベルト9の幅である。吸気口52の長さW52は最大画像幅WTを上回るように設定されている。
【0056】
なお、画像形成装置が大小複数の幅サイズのシートSを利用可能な場合は、最も利用頻度が高い幅サイズにおいてW52>WTとなるようにすれば良い。最小幅サイズのシートSの使用頻度が高い場合は、最小幅サイズシートの最大画像幅Tに基づいてW52>WTとなるように吸気口52の長手方向の長さW52を設定することができる。即ち、吸気口52の長さW52は、装置に使用可能な最小幅サイズのシートSの最大画像幅WTをカバーする長さである。
【0057】
また、最大幅サイズシートの使用頻度が高い場合は、最大幅サイズシートの最大画像幅WTに基づいてW52>WTとなるように吸気口52の長手方向の長さW52を設定することができる。即ち、吸気口52の長さW52は、装置に使用可能な最大幅サイズのシートSの最大画像幅WTをカバーする長さである。
【0058】
さらに、吸気口52は、
図3に示すように、ベルト32の近傍に配置されると共に、定着器19に進入するシートSと対向する位置にある。このような配置によって、ダクトユニット50は小型化を可能とする。すなわち、吸気口52がダスト発生箇所であるベルト32の近傍にあると同時にシートSに対向する位置に配置される。これによって、ダクトユニット50は定着ニップ部Nから吸気口52にエアを導く経路を省略することができるので、全体を小型化し易い。
【0059】
ダクト51内にエアを吸引する為のファンFが、ダクト51を経由し端部に最短経路で固定されている。これより、定着ニップ部Nに対し、フィルタ53、ダクト51、ファンFの配置が最短経路をなしていることがまず分かる。
【0060】
更に、フィルタ53がダクト51の吸気口52の長手方向に延伸して配置されているため、フィルタ53を介した上流側と下流側の圧力損失が長手方向で実質均一となり、フィルタ53を介したエアの吸引力もまた、長手方向の前奥で実質均一となる。即ち、吸気口52で吸気されるエアの吸気口長手方向に沿う風量分布は実質均一である。
【0061】
従って、上記フィルタ53、ダクト51、ファンFの配置を取ることで、定着ニップ部Nの画像領域全域から、フィルタ53を介して実質均一にエアが引くことが出来る。ひいては、定着ニップ部Nの画像領域全域から発生するUFPを実質均一に捕集することが出来ることが分かる。
【0062】
また、エアの吸引を上記配置により最適化することでエアの吸引力も下げることが出来、ファンFの低コスト化、小サイズ化も可能となる。
【0063】
以上より、
図2、
図3、
図6に示す断面配置を取ることで、UFPの低減構成を低コスト、省スペース、かつ高効率で配置出来る。
【0064】
(ダクトユニットの詳細構成)
ここで、ガイド部材37をフィルタ53の正面に配置することで、搬送されるシートSがフィルタ53に直接接触することのないよう工夫を行ってはいるが、カール等のくせがついている場合などシートSの状態によっては搬送が暴れることもあり得る。その場合、定着ニップ部Nに滑らかに入っていかない等により、シートSが搬送途中で振動し、シート上に形成された未定着のトナー像から微小量のトナーが飛散し、フィルタ53の表面に堆積していく。
【0065】
この状態では、UFP捕集を行うフィルタ53の捕集面積が減少し、UFPの低減効果が低下することになる。従って、トナー量の多い画像を多く出力したり、搬送時に暴れやすいシートを用いたりと、ユーザーの使用条件によっては、フィルタ53のUFP低減効果が早く落ちることになる。そのため、フィルタ53の初期性能を維持する為に、フィルタ交換を高頻度で行わねばならない、ことが予測される。
【0066】
以上より、上述のフィルタ、ダクト配置を取った場合、低コスト化、小サイズ化が可能となる代わりに、フィルタ53の交換を容易に行える構成が求められる。
【0067】
また交換に際しては、上記のフィルタ配置である定着ニップ部Nの上流とは画像形成装置のエンジン最奥部近傍でもあるため、その位置へのアクセスは周囲の中間転写ベルト9やその他ユニット・部品をかわしつつ、トナー類の付着にも気を付ける必要がある。従って、フィルタ53の交換に際しては、平面状のフィルタ53が破れ等の破損が無きよう、またトナーが付着したり等の汚損が無きよう、確実に行えるようにすることも求められる。
【0068】
そこで、本実施例のダクトユニット50はフィルタ53の交換を容易かつ確実に行える構成をとしている。これについて図面を参照して説明する。
図7は、ダクトユニット50の全体の外観斜視図である。
図8はこのダクトユニット50の長手一端部側の拡大平面図である。
図1の(a)は
図8の(a)-(a)線矢視の拡大断面図、(b)は(a)においてダクト51から、フィルタ53が固定されたままのフレーム部材55が取り外された状態(分離された状態)を示している拡大断面図である。
【0069】
ダクトユニット50は、吸気口52と排気口54を有するダクト51と、離型剤に起因するダストを回収するフィルタ53と、フィルタ53を固定したフレーム部材55と、を有する。
【0070】
本実施例においては、ダクト51は前述したように定着器19の長手に沿って長い横断面ほぼ矩形の中空体である。吸気口52は当該ダクト51の長手方向の一側面に長手に沿う開口部として形成されている。即ち、吸気口52は定着ニップ部Nの長手方向に沿って延伸している。ダクト51の一端部側(手前端部)は閉鎖されており、他端部側(後端部)は排気口54として開放されている。そして、ダクト51の排気口寄りの位置に、装置本体側の部材としてファンFを有するファンダクト51B(
図6)が配設されている。即ち、ダクトユニット50は、ファンFを有する装置本体側のファンダクト51Bと連通する。
【0071】
フィルタ53はフレーム部材55に固定されており、このフレーム部材55がダクト51の吸気口52に対し着脱自在に固定される。フレーム部材55は吸気口52に対応して吸気口52の長手方向に沿って延伸している。フィルタ53は長手方向がシート搬送方向と直交する方向に延伸するよう形成された平面状のフィルタであり、これにより、フィルタ53は吸気口52に吸気口の全領域をカバーして配設される。即ち、ダクト51は側面に吸気口52である開口を備え、フィルタ53で吸気口52が覆われる構成となっている。
【0072】
フィルタ53はフレーム部材55に対し両面テープや熱溶着等で固定され、ダクト51の吸気口52に対しフレーム部材55が装着されることで、吸気口52がフィルタ53で隙間なく覆われるようになる。その際、
図1の(b)の目の粗い破線部で示されるように、フレーム部材55のフィルタ固定面55bはフィルタ端部53aのみの最小範囲となっている。即ち、フレーム部材55の窓穴55aから外部に臨むフィルタ53の有効面積を減少させないように配慮されている。
【0073】
フレーム部材55の形状は、フィルタ53の固定面55bである額縁形状の部分と、フィルタ53の浮きやずれを防止する為の横木形状55cとを備えた、梯子状の部材として形成されている。
【0074】
以上を踏まえ、フィルタ53をダクトユニット50からの着脱する際は、フィルタ53を固定したフレーム部材55をダクト51の吸気口52に対し着脱することで行う。これにより、柔らかな平面シート状のフィルタ単体で着脱を行うよりも、引っ掛けによる破れ等、破損のリスクを小さく出来ると共に、着脱が容易となる。
【0075】
フィルタ53を保持したフレーム部材55とダクト51との間の係合機構として、容易に取り外すことができるような係合部を採用している。具体的には、フック部と被フック部を用いたフック係合方式の係合部を採用している。詳細には、
図1の(b)に示されるダクト51の上面・下面に形成された突起形状51aに、フレーム部材55側に形成された弾性を持つフック部55dを引っ掛けることで行われる。所謂、スナップフック方式である。
【0076】
この際、フィルタ53はフレーム部材55に対してダクト51側に固定されている。そして、ダクト51に対しフレーム部材55が固定され場合は、
図1の(a)に示されるように、ダクト51とフレーム部材55との間にフィルタ53の縁部53aが挟みこまれた状態となる。そして、係合部は、フレーム部材55とダクト51の間においてフィルタ53を所定量圧縮させる機能も担っている。即ち、ダクト51とフレーム部材55との間に生まれる隙間はフィルタ53で埋められることとなり、この最小の部品構成によりダクトの密閉性が保証出来る。
【0077】
この構成によりダクトユニット50のダクト51内に吸引されるエアは、低コスト、小サイズという特長を殺すことなく、フィルタ53を確実に経由することが分かる。また、フィルタ53の着脱はフィルタ53を固定しているフレーム部材55のフック部55dをダクト51側の突起形状51aに係脱することでフレーム部材55と一体に
図1の(b)の矢印X-Y方向に着脱自在であることも分かる。
【0078】
(ダクトユニットの着脱構成)
ダクトユニット50のダクト51は長手方向の一端部側(手前端部)と他端部側(奥端部)にそれぞれ第1の係合部51bと第2の係合部51cを有する。一方、装置本体100Aは上記の第1の係合部51bに対応する第1の被係合部56aと上記の第2の係合部51cの係合部に対応する第2の被係合部102aを有する。
【0079】
本実施例においては装置本体100Aの内部に、ダクトユニット50を固定する為の固定ベース56が配設されている。この固定ベース56は装置本体100Aの内部において定着部の横に配置されている。上記の第1の被係合部56aはこの固定ベース56の一端部側(手前端部)に具備させてある。また、第2の被係合部102aは装置本体100Aの第1の後面板102に具備させてある。
【0080】
より具体的には、本実施例において、第1の係合部51bは前側から後側に突き出た弾性を持ったフック形状部材である。第2の係合部51cは前側から後側に突き出た突起部材である。そして、第1の被係合部56aは第1の係合部51bとしてのフック形状部材が係脱される係止面を備えたアーム部材である。第2の被係合部102aは第2の係合部51cとしての突起部材が挿抜される係合穴である。
【0081】
1)ダクトユニットの固定
ダクトユニット50の装置本体100Aに対する固定は、ダクト51側の第1と第2の係合部51b・51cをそれぞれ装置本体100A側の第1と第2の被係合部56a・102aに係合させることでなされる。本実施例においては、ダクトユニット50のダクト51を
図9Bの矢印Kのように長手一方向(手前側から奥側に向う方向)に所定量移動させて第1と第2の係合部51b・51cをそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aに係合させることでなされる。
【0082】
即ち、ダクトユニット50を第1の後面板102方向へと移動させることで、ダクトユニット50側の第2の係合部51cとしての突起部材が第2の被係合部102aとしての係合穴へ嵌入してダクトユニット50の奥端部が固定される。また、ダクトユニット50側の第1の係合部51bとしての弾性を有するフック形状部材が第1の被係合部56aとしてのアーム部材に係合(
図10の(a))してダクトユニット50の手前端部が固定される。
【0083】
図9Aは上記のように第1と第2の係合部51b・51cがそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aに係合することでダクトユニット50が装置本体100Aの内部の所定の装着位置に所定に装着されている状態を示している。
【0084】
2)ダクトユニットの取り外し
装置本体100Aに固定されているダクトユニット50(
図9A)の取り外しは、ダクト51側の第1と第2の係合部51b・51cの装置本体100A側の第1と第2の被係合部56a・102aに対する係合を解除させることでなされる。本実施例においては、ダクトユニット50のダクト51を
図9Bの矢印Jのように長手他方向(奥側から手前側に向う方向)に所定量移動させて第1と第2の係合部51b・51cをそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aから離脱させることでなされる。
【0085】
即ち、ダクトユニット50を第1の後面板102方向へと移動させることで、ダクトユニット50側の第2の係合部51cとしての突起部材が第2の被係合部102aとしての係合穴から抜けてダクトユニット50の奥端部の固定が解除される。また、ダクトユニット50側の第1の係合部51bとしての弾性を有するフック形状部材が第1の被係合部56aとしてのアーム部材からフック形状部材の弾性に抗して離脱(
図10の(b))してダクトユニット50の手前端部の固定の固定が解除される。
【0086】
図9Bは上記のように第1と第2の係合部51b・51cがそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aから離脱することでダクトユニット50が装置本体100Aから取り外された状態を示している。
【0087】
図10はダクトユニット50のダクト51側の第1の係合部51bとこれが係脱する固定ベース56側の第1の被係合部56aの構成を示している。ダクト51側の第1の係合部51bは弾性を持ったフック形状をなしており、固定ベース56側の第1の被係合部56aはフックが係止する係止面を備えたアームとして示されている。
【0088】
図10の(a)には第1の係合部51bが第1の被係合部56aに係合した状態、(b)には係合が解除された状態が示されている。この両図に示された第1の係合部51bと第1の被係合部56aの位置関係より、ダクトユニット50を矢印Kのように第1の後面板102側へと移動させることで、第1の係合部51bの第1の被係合部56aに対する係合が行われることが分かる。また逆に、クトユニット50を矢印Jのように前面板101側へと移動させることで、第1の係合部51bの第1の被係合部56aに対する係合が外れることが分かる。
【0089】
以上より、ダクトユニット50の装置本体100Aへの固定は、ダクトユニット50を第1の後面板102側へと移動させるのみで行えることが分かる。また、ダクトユニット50の装置本体100Aからの取り外しはダクトユニット50を前面板101側へと移動させるのみで行えることが分かる
また、第1の後側板102には第1の開口部104が設けられており、ダクトユニット50の装置本体100Aへの固定によりダクト51の後端部の排気口54が第1の開口部104に対応合致して連通する。これによりファンダクト51B→第2の開口部105までエアフロー経路が成立することも分かる。
【0090】
(フィルタの交換手順)
画像形成装置100の装置本体100Aの内部に対するアクセスは
図4・
図5で説明した開閉扉100Bを開いて開口部100Bを大きく開放することで可能である。また、その開口部100Bから定着器19にアクセスして定着器19を装置本体100Aの外に取り外すことが可能である。前述したように定着器19の脱着はビスレスで行われる為、装置本体奥部であるにも関わらず容易に
図5の状態とすることが出来る。そして、定着器19を取り外すことで開口部100Bから装置本体100Aの内部のダクトユニット50にアクセスすることも容易に可能となる。
【0091】
上記を踏まえると、フィルタ53の交換手順は下記の流れとなる。
【0092】
1)開口扉100Cを開き、開口部100Bから定着器19を取り出す(
図5)。これにより、開口部100Bから装置本体100Aの内部に装着されているダクトユニット50(
図9A)にアクセスするができる。
【0093】
2)開口部100Bから手を入れてダクトユニット50を掴み、
図9Bの矢印Jのように、ダクトユニット50を装置本体100Aの手前側に移動させる。これにより前述したように第1と第2の係合部51b・51cがそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aから離脱してダクトユニット50が装置本体100Aから外れる。
【0094】
3)装置本体100Aから外したダクトユニット50を掴んだまま
図9Cの矢印Qの方向に引き出して開口部100Bから装置本体外に取り出す。
【0095】
4)そして、ダクトユニット50のダクト51から
図1の(b)のようにフィルタ付のフレーム部材55を取り外す。そして、フレーム部材55が取り外されたダクト51に対して清浄なフィルタ53が固定されているフレーム部材55を取り付ける。
【0096】
5)このようにしてフィルタ付のフレーム部材55の新旧交換をしたダクトユニット50を
図9Cの矢印Rのように開口部100Bから装置本体100Bの内部に差し入れる。
【0097】
6)そして、ダクトユニット50側の第1と第2の係合部51b・51cをそれぞれ装置本体100A側の第1と第2の被係合部56a・102aに対応位置させて
図9Bの矢印Kのように、ダクトユニット50を装置奥側に移動させる。これにより前述したように第1と第2の係合部51b・51cがそれぞれ第1と第2の被係合部56a・102aに係合してダクトユニット50が
図9Aのように装置本体100Aの所定の装着位置に固定される。
【0098】
7)開口部100Bから装置本体100Aの内部に定着器19を差し入れて所定の装着部に装着する。
【0099】
8)そして、開閉扉100Cを装置本体100Aに閉じこんで開口部100Bを閉鎖することで、ダクトユニット50のフィルタ53の交換を完了する。
【0100】
以上のダクトユニット50取り外し・再装着の手順は、全てビスを外す等の手間のかかる動作なく行われる。また、装置本体100Aからの係合解除、及び装置本体100Aから取り出しは、共に保持のし易いユニットの状態で行われるため、フィルタの破損や汚損のリスクが最小となっていることが分かる。
【0101】
フィルタの装置への固定は、上記の取り外しの逆手順で行われるため、フィルタの脱着、すなわち交換の手順が容易であることが分かる。
【0102】
上記詳細に説明したように、フィルタの交換が低コスト、小サイズ、高効率という特長を殺すことなく、容易かつ確実に行えることが分かる。
【0103】
《その他の事項》
1)本発明は上記形態に限定されるものではなく、例えば、フレーム部材55とダクト51との係合機構としては、フック部と被フック部の配置関係は、いずれでも構わない。つまり、ダクト51にフック部を設け、フレーム部材55に被フック部を設ける構成でも構わない。
【0104】
2)定着器19は、熱ローラ方式であっても良いし、電磁誘導加熱を利用する方式でも良い。
【0105】
3)吸気口52はシート搬送路に対して加圧ローラ33側に設置されていても良い。吸気口52は、シート搬送路に対してベルト32側と加圧ローラ33側の両側に設置されていても良い。ファンFは、クロスフローファンでも、ブロワファンでも良い。
【0106】
4)シート搬送路は縦パス構成に限定されず、横パスや斜めに用紙を搬送するタイプであっても良い。
【0107】
5)実施例では、画像形成装置100として、ドラム2を複数備えたマルチファンクションプリンタを取り上げた。しかし、ドラム2を一つ備えたモノクロのマルチファンクションプリンタやシングルファンクションプリンタに搭載する画像形成装置にも本発明を適用することができる。したがって、本発明を搭載する画像形成装置は、マルチファンクションプリンタに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、ダストの低減が可能な画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0109】
100・・画像形成装置、1・・画像形成部、17・・第1の位置(2次転写部)、19・・定着器、N・・第2の位置(定着ニップ部)、50・・ダクトユニット、51・・ダクト、52・・吸気口、53・・フィルタ、54・・排気口、F・・ファン、37・・ガイド部材、51b・・第1の係合部、51c・・第2の係合部、56a・・第1の被係合部、102a・・第2の被係合部