(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241105BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241105BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2023109444
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】595140170
【氏名又は名称】東京海上日動火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】川村 雅之
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181239(JP,A)
【文献】特開2019-032725(JP,A)
【文献】特開2020-149518(JP,A)
【文献】特開2022-040878(JP,A)
【文献】特開2023-029087(JP,A)
【文献】特許第7142808(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G07C 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントが発生した位置を示すイベント位置情報と、前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報と、を取得するイベント情報取得部と、
車両に搭載され前記車両の外部情報を
撮像した映像である外部情報を記録する情報記録装置
であって前記外部情報の提供に関してあらかじめ同意が得られているユーザの車両に搭載されている情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する特定部と、
前記映像を解析して当該映像に映っている車両の自動車登録番号標を抽出する抽出部と、
前記抽出部が前記映像から自動車登録番号標を抽出した場合、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報
を外部の機関に対して提供することの同意を求めるメッセージを通知する通知部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記情報記録装置それぞれから通信ネットワークを介して前記日時情報と前記車両位置情報とを取得し、各記録装置識別子と関連付けて前記レコーダデータベースに格納するデータベース管理部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記レコーダデータベースを参照して、各記録装置識別子に関連付けられている位置情報の軌跡を特定する軌跡特定部と、
前記軌跡特定部が特定した軌跡
に対応する記録装置を搭載する車両のうち、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する識別子特定部と、を備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部が特定した記録装置識別子に関連付けられた方法
により、前記外部情報の提供についての承諾を取得する承諾取得部と、
前記承諾を取得することを条件として前記時間帯における外部情報を前記記録装置識別子に対応する情報記録装置から受信する情報取得部と、をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
プロセッサが、
イベントが発生した位置を示すイベント位置情報を取得するステップと、
前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報を取得するステップと、
車両に搭載され前記車両の外部情報を
撮像した映像である外部情報を記録する情報記録装置
であって前記外部情報の提供に関してあらかじめ同意が得られているユーザの車両に搭載されている情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定するステップと、
前記映像を解析して当該映像に映っている車両の自動車登録番号標を抽出するステップと、
前記映像から自動車登録番号標を抽出した場合、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報
を外部の機関に対して提供することの同意を求めるメッセージを通知するステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
イベントが発生した位置を示すイベント位置情報を取得する機能と、
前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報を取得する機能と、
車両に搭載され前記車両の外部情報を
撮像した映像である外部情報を記録する情報記録装置
であって前記外部情報の提供に関してあらかじめ同意が得られているユーザの車両に搭載されている情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する機能と、
前記映像を解析して当該映像に映っている車両の自動車登録番号標を抽出する機能と、
前記映像から自動車登録番号標を抽出した場合、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報
を外部の機関に対して提供することの同意を求めるメッセージを通知する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
搭載された車両の外部の映像を記録するいわゆるドライブレコーダに関する技術は種々提案されている。例えば特許文献1には、他の車両から事故発生の通知を受けた車両が自車両の位置が事故発生位置から所定範囲内であることを条件として、車両周辺の画像と、自車両の位置情報とをサーバに通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術では、事故発生を検出する機能を備えるドライブレコーダを搭載する車両が事故の現場付近に居合わせていることが前提となっている。しかしながら、事故等の何らかの事象(以下、本明細書において「イベント」と記載する。)が発生した際に、その現場にそのイベントを検出する機能を有する車両が必ずしも常に居合わせているとは限らない。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、事故等のイベントに関する情報の提供を促進するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、情報処理装置である。この装置は、イベントが発生した位置を示すイベント位置情報と、前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報と、を取得するイベント情報取得部と、車両に搭載され前記車両の外部の情報を示す外部情報を記録する情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する特定部と、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知する通知部と、を備える。
【0007】
前記情報処理装置は、複数の前記情報記録装置それぞれから通信ネットワークを介して前記日時情報と前記車両位置情報とを取得し、各記録装置識別子と関連付けて前記レコーダデータベースに格納するデータベース管理部をさらに備えてもよい。
【0008】
前記特定部は、前記レコーダデータベースを参照して、各記録装置識別子に関連付けられている位置情報の軌跡を特定する軌跡特定部と、前記軌跡特定部が特定した軌跡のうち、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する識別子特定部と、を備えてもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記特定部が特定した記録装置識別子に関連付けられた方法から、前記外部情報の提供についての承諾を取得する承諾取得部と、前記承諾を取得することを条件として前記時間帯における外部情報を前記記録装置識別子に対応する情報記録装置から受信する情報取得部と、をさらに備えてもよい。
【0010】
前記外部情報は前記車両の外部を撮像した映像であってもよく、前記情報処理装置はさらに、前記映像を解析して当該映像に映っている車両の自動車登録番号標を抽出する抽出部を備えてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様は、情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、イベントが発生した位置を示すイベント位置情報を取得するステップと、前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報を取得するステップと、車両に搭載され前記車両の外部の情報を示す外部情報を記録する情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定するステップと、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知するステップと、を実行する。
【0012】
本発明における第3の態様は、プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、イベントが発生した位置を示すイベント位置情報を取得する機能と、前記イベントが発生した日時を示すイベント日時情報を取得する機能と、車両に搭載され前記車両の外部の情報を示す外部情報を記録する情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、前記情報記録装置から取得した日時情報と、前記日時における前記車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベースを参照して、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、前記イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する機能と、前記記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、前記イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知する機能と、を実現させる。
【0013】
このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、事故等のイベントに関する情報の提供を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れの概要を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係るレコーダデータベースのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る特定部の内部構成を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態に係る識別子特定部が特定した記録装置識別子を搭載する車両の位置を模式的に示す図である。
【
図6】承諾取得部がユーザに提示するメッセージの一例を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態の概要>
本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概要を述べる。実施の形態に係る情報処理装置は、例えば、自動車保険を自社の商品として含んでいる企業の管理下にあるサーバである。実施の形態に係る情報処理装置は、複数の車両それぞれの位置を示す位置情報を時刻情報とともに定期的に収集し、ひき逃げや当て逃げ、物損事故、家宅侵入や火事等の何らかのイベントが生じた日時付近にその場所の近くを走行していた車両を特定する。その後、情報処理装置1は、特定した車両のユーザに対し、その車両が搭載しているドライブレコーダ等の情報記録装置が生成した情報の提供を依頼する。これにより、実施の形態に係る情報処理装置1は、事故等のイベントに関する情報の提供を促進することができる。
【0018】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れの概要を説明するための図である。以下、情報処理装置1が実行する情報処理の流れを(1)から(5)の順に説明するが、その番号は
図1における(1)から(5)と対応する。
【0019】
(1)情報処理装置1は、情報提供に関してあらかじめ同意が得られているユーザの車両Cに搭載されている情報記録装置から定期的に情報を収集する。ここで情報記録装置は、いわゆるドライブレコーダ、ドラレコ、ダッシュカム等と呼ばれる装置であり、搭載された車両の外部の映像や音声等の情報を日時と関連付けて記録する装置である。また、情報記録装置が生成する情報は、可視光領域を撮像するための通常の撮像素子が生成した映像の他、赤外領域を撮像する赤外カメラが生成した赤外領域の映像や、三次元レーザースキャナが取得した点群データであってもよい。また、情報記録装置は、搭載された車両Cの前方のみならず、後方や側方の情報を含んでいてもよい。
【0020】
実施の形態に係る情報処理装置1が車両Cに搭載されている情報記録装置から定期的に収集する情報は、各車両Cが存在した場所を示す位置情報と、その位置に存在したときの日時を示す日時情報である。位置情報は情報記録装置が衛星測位システム(Global Navigation Satellite System;GNSS)を用いて取得した情報である。日時情報と日付情報とは多くても数十バイト程度の情報量であるため、情報処理装置1が仮に100万台の車両から1分おきに情報を収集したとしても1日(24時間)で収集する情報の量は10ギガバイトのオーダーに収まる。
【0021】
図1では、第1車両C1から第4車両C4までの4台の車両Cが情報処理装置1と通信している様子を示している。具体的には、各車両Cは携帯電話通信網を構成する基地局Bと通信ネットワークNを介して情報処理装置1に情報を送信している。このため、車両Cは、既知の携帯電話通信モジュール(不図示)を搭載している。情報記録装置をはじめとする車両Cに搭載されている各機器は、携帯通信モジュールを介して車両Cの外部の機器と通信することができる。
【0022】
(2)情報処理装置1は、各車両Cから取得した情報を、各車両Cに搭載されている情報記録装置を特定するための記録装置識別子と関連付けてレコーダデータベース100に格納する。
図1には第1車両C1から第4車両C4までの4台の車両Cのみ図示しているが、情報処理装置1が通信する車両Cは4台よりも多く、一例としてその数は100万のオーダーであり、広いエリア(例えば日本全国)に分布している。このように、情報処理装置1は、同意の得られたユーザの車両Cがいつ、どこに存在したかを示す情報を情報記録装置から収集し、レコーダデータベース100に蓄積する。
【0023】
(3)情報処理装置1は、目撃情報が望まれる何らかのイベントI(例えば、ひき逃げ事故等)が発生した位置を示すイベント位置情報と、そのイベントIが発生した日時を示すイベント日時情報と、を取得する。情報処理装置1は、例えば事故の被害者やその事故を調査する警察等の公的機関からの情報収集要請に基づき、イベント位置情報とイベント日時情報とを取得する。
図1に示す例では、交差点の横断歩道付近で発生した接触事故がイベントIとして図示されている。
【0024】
(4)情報処理装置1は、レコーダデータベース100を参照して、イベント日時情報で特定される日時の前後の所定の時間内に、イベント位置情報で特定される位置を含む所定の範囲内に存在した車両Cである特定車両を特定する。より具体的には、情報処理装置1は、特定車両が搭載している情報記録装置の記録装置識別子を特定する。
【0025】
レコーダデータベース100には、あらかじめ同意が得られているユーザの車両Cに搭載されている情報記録装置の記録装置識別子と紐づけて、ユーザと連絡を取るための連絡先が登録されている。連絡先は、例えばユーザのメールアドレス、電話番号、住所であってもよく、情報記録装置の表示部にメッセージを表示するためのAPI(Application Programming Interface)や情報記録装置の音声出力部に音声を出力するためのAPIを含む一連の情報であってもよく、また、ユーザの車両Cに搭載されているカーナビゲーションシステムにメッセージを表示するためのAPIやカーナビゲーションシステム医の音声出力部に音声を出力するためのAPIを含む一連の情報であってもよい。
【0026】
(5)情報処理装置1は、特定車両が搭載している情報記録装置の記録装置識別子に対応する連絡先に、情報記録装置が記録した情報の提供を依頼するメッセージを通知する。これにより、情報処理装置1は、イベントIに関連する情報を記録している蓋然性が高い情報記録装置のユーザに対して、情報の提供を呼びかけることができる。これにより、情報処理装置1は、事故等のイベントIに関する情報を所持する可能性の高い者に対して効率よく情報の提供を呼びかけることができるので、情報提供を促進することができる。
【0027】
<実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部10と通信部11と制御部12とを備える。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってもよい。
図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0028】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0029】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置、例えば、あらかじめ同意が得られているユーザが所持するユーザ端末や情報記録装置、カーナビゲーション、レコーダデータベース100等と通信するための通信インターフェースであり、LAN(Local Area Network)モジュールやWi-Fi(登録商標)モジュール等の既知の通信モジュールで実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1が外部の装置と通信するときは通信部11を介することを前提として通信部11の記載を省略することがある。
【0030】
制御部12は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することによってイベント情報取得部120、特定部121、通知部122、データベース管理部123、承諾取得部124、情報取得部125、及び抽出部126として機能する。
【0031】
なお、
図2は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0032】
イベント情報取得部120は、イベントIが発生した位置を示すイベント位置情報と、イベントが発生した日時を示すイベント日時情報と、を取得する。イベント位置情報は、例えば緯度と経度との組み合わせによって特定される。また、イベント日時情報は、年月日及び時刻によって特定される。イベント情報取得部120は、例えば事故の情報を求める被害者やその関係者の端末から、通信ネットワークNを介してイベント位置情報とイベント日時情報とを取得する。
【0033】
レコーダデータベース100は、車両Cに搭載された情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、情報記録装置から取得した日時情報と、日時情報によって特定される日時における車両Cの位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納する。
【0034】
図3は、実施の形態に係るレコーダデータベース100のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図3に示すレコーダデータベース100の例では、記録装置識別子がDID0000001である情報記録装置は、2023年1月23日の12時34分56秒に、北緯36度12分45.28秒、東経140度6分0.8秒に存在していたことを示している。また、
図3に示すレコーダデータベース100の例では、記録装置識別子と対応づけて、ユーザの連絡先とユーザの車両Cの自動車登録番号標(いわゆる「ナンバープレート」)も記録している。例えば、
図3では、記録装置識別子がDID0000001である情報記録装置が搭載された車両Cのユーザの連絡先はメールアドレスであり、具体的には「abc@def.com」である。また、自動車登録番号標は、品川330はXX-XXである。
【0035】
図2の説明に戻る。特定部121は、レコーダデータベース100を参照して、イベント情報取得部120が取得したイベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する。ここで、「所定の時間帯」は、特定部121が記録装置識別子を特定するために参照する識別子特定用の時間的範囲である。時間的範囲を大きくするほど特定部121は多くの記録装置識別を特定することになるが、イベントIに関連する情報を保持していない情報記録装置も増加し得る。そのため、所定の時間帯の具体的な大きさは情報提供の対象となっているイベントIの性質等を勘案して定めればよいが、一例としてはイベント日時情報が示す日時の前後5分である。
【0036】
また、「所定の範囲」は、特定部121が記録装置識別子を特定するために参照する識別子特定用の空間的範囲である。時間的範囲と同様に、空間的範囲も大きくするほど特定部121は多くの記録装置識別を特定することになるが、イベントIに関連する情報を保持していない情報記録装置も増加し得る。そのため、所定の時間帯の具体的な大きさは情報提供の対象となっているイベントIの性質等を勘案して定めればよいが、一例としてはイベント位置情報が示す位置を中心として半径3キロメートルの円の範囲であってもよい。また、イベントIが特定の道路における接触事故である場合には、所定の時間帯に事故が発生した道路を走行していた車両Cに搭載されていることを条件として、所定の範囲はイベント位置情報が示す位置から半径10キロメートルの円の範囲としてもよい。
【0037】
通知部122は、記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知する。これにより、情報処理装置1は、事故等のイベントIに関する情報の提供を促進することができる。
【0038】
図3に示すように、レコーダデータベース100は、複数の記録装置識別子それぞれと関連付けて、日時情報と車両位置情報とを対応づけて記録している。これを実現するために、情報処理装置1はデータベース管理部123を備えている。データベース管理部123は、複数の情報記録装置それぞれから通信ネットワークNを介して日時情報と車両位置情報とを取得し、各記録装置識別子と関連付けてレコーダデータベース100に格納する。これにより、情報処理装置1は、複数の車両Cの存在位置を存在位置とともに集約して管理することができる。
【0039】
図4は、実施の形態に係る特定部121の内部構成を模式的に示す図である。
図4に示すように、特定部121は、軌跡特定部1210と識別子特定部1211とを備える。
【0040】
軌跡特定部1210は、レコーダデータベース100を参照して、各記録装置識別子に関連付けられている位置情報の軌跡を特定する。識別子特定部1211は、軌跡特定部1210が特定した軌跡のうち、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯にイベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する。
【0041】
図5は、実施の形態に係る識別子特定部1211が特定した記録装置識別子を搭載する車両Cの位置を模式的に示す図であり、車両Cの存在位置を道路が示された地図上に重畳して図示している。煩雑となるためすべてには付していないが、
図5において符号C(Ca及びCb)が付された白抜きの矢印は、識別子特定部1211が特定した記録装置識別子を搭載する車両Cを表しており、矢印の向きが車両の進行方向を示している。また、符号I付した白抜きの星印は、イベントIの発生位置を示している。
図5は、イベントIの発生日時における車両Cの存在位置を示している。
【0042】
図5において、符号Aを付した円Aは上述した所定の範囲の一部を示しており、具体的にはイベントIの発生位置を中心とした半径3キロメートルの範囲の境界線を示している。
図5に示す例では、イベントIは一般道の横断歩道付近において発生した事故である。一般道における車両Cの平均速度を仮に時速36キロメートル(秒速10メートル)とした場合に、所定の時間帯をイベント日時情報が示す日時の前後5分(300秒)とすると、識別子特定部1211は、イベントIの発生日時にイベントIの発生位置を中心として3キロメートル(秒速10メートル×300秒=3000メートル)の範囲内に存在した車両Cに搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定することになる。
【0043】
図5に示す例では、円Aの内側において特定した車両Cの台数が6台であったことを示している。より具体的には、円Aの内側において情報提供に関してあらかじめ同意が得られているユーザの車両Cの台数は6台であったことを示しており、円Aの内側には6台よりも多くの車両Cが存在していた可能性は否定できない。
【0044】
識別子特定部1211が特定した6台の中で、符号Ca付した車両CaはイベントIの発生日時においてイベントIの発生場所付近においてイベントIの方向に向かって進行している。このため、車両Caが搭載している情報記録装置はイベントIに関する情報(例えば、イベントIを映した映像)を記録している蓋然性が高い。
【0045】
ここで、
図5において、符号Cbで示した車両Cbは、イベントIの発生位置から3キロメートル以上離れた位置に存在し、かつイベントIから遠ざかる方向に動いている。このため、車両Cbが搭載している情報記録装置自体がイベントIに関する情報を記録していることは考えにくい。しかしながら、車両CbはイベントIが発生した道路と同じ道路を走行しているため、レコーダデータベース100に登録されていない情報記録装置を搭載し、イベントIが発生した方向に向かう対向車線を走行していた他の車両Cに関する情報を保持している可能性がある。例えば、車両Cbが搭載している情報記録装置が他の車両の自走車登録番号標を映した映像を記録していれば、イベントIに関する情報を求める者は、他の車両Cのユーザに情報提供の依頼をすることも可能となる。
【0046】
このように、識別子特定部1211は、レコーダデータベース100に登録されている情報記録装置の記録装置識別子のうち、イベントIの発生日時を含む所定の時間帯にイベントIの発生位置から所定の範囲に存在した車両Cが搭載している情報記録装置の記録装置識別子と、イベントIの発生日時を含む所定の時間帯にイベントIが発生した道路を走行していた車両Cが搭載している情報記録装置の記録装置識別子と、を特定する。これにより、通知部122は、イベントIに関する情報を記録している蓋然性の高い情報記録装置を搭載する車両Cのユーザに効率よく情報提供を依頼することができる。
【0047】
各車両Cが搭載している情報記録装置が記録している情報は、その車両Cのユーザがいつどこにいたかを示す情報であり、プライベートな情報である。したがって、イベントIに関連する情報を記録している蓋然性が高い場合であっても、ユーザの承諾なしに情報記録装置が記録している情報を情報処理装置1は取得するべきではない場合もあり得る。
【0048】
そこで、承諾取得部124は、ユーザから承諾を得るために、例えばユーザが所持する携帯端末や情報記録装置の表示部に承諾を促すメッセージを表示させる。
図6は、承諾取得部124がユーザに提示するメッセージの一例を示す図である。具体的には、
図6は、承諾取得部124が車両Cに搭載されているカーナビゲーションの表示部にメッサージを表示させた場合の例を示している。この例では、メッセージを確認したユーザは、情報の提供に承諾する場合は、自身の携帯電話に届いているメールのウェブリンクからウェブサイト(不図示)にアクセスし、所定のチェックボックスにチェックを入れることで承諾することができる。
【0049】
承諾取得部124は、特定部121が特定した記録装置識別子に関連付けられた方法から外部情報の提供についての承諾を取得する。「記録装置識別子に関連付けられた方法」は、一例としてはウェブサイトにおけるチェックボックスのチェックする方法であり、別の例としてはユーザから同意を示すサインを郵送する方法であってもよい。または、保険等の商品の購入時にあらかじめユーザから同意を取り付けておくという方法であってもよい。情報取得部125は、承諾取得部124が承諾を取得することを条件として、イベントIの発生日時を含む所定の時間帯における外部情報を記録装置識別子に対応する情報記録装置から受信する。これにより、情報処理装置1は、ユーザの承諾なしに映像等の外部情報を取得することを抑制できる。
【0050】
なお、情報取得部125が情報記録装置から外部情報を取得する経路は、情報記録装置から通信回線を介して外部情報を受信する経路以外にもあり得る。例えば、情報取得部125は、情報記録装置が外部情報を格納するメモリーカードを備えている場合、そのメモリーカードから直接的に外部情報を読み出すこともある。この場合、通知部122は、特定部121が特定した記録装置識別子に関連付けられた連絡先に、メモリーカードの提供の依頼を示すメッセージを送付先の情報とともに通知する。これにより、情報取得部125は、郵送されたメモリーカードから外部情報を読み出すことで取得できる。
【0051】
情報記録装置がいわゆるドライブレコーダであり、情報取得部125が取得した外部情報が車両Cの外部を撮像した映像である場合、その映像中には車両Cの進行方向前方を走行する車両C(対向車線を走行する車両Cも含む)の自動車登録番号標を撮像している可能性がある。情報記録装置が車両Cの後方も撮像する機能を有している場合には、情報取得部125が取得した外部情報には車両Cの進行方向後方を走行する車両Cの自動車登録番号標を撮像している可能性もある。
【0052】
そこで、抽出部126は、情報取得部125が取得した映像を解析してその映像に映っている車両Cの自動車登録番号標を抽出する。抽出部126は、例えばディープニューラルネットワーク等の既知の機械学習手法によって生成された文字認識モジュールを用いることで自動車登録番号標の抽出機能を実現できる。
【0053】
抽出部126が抽出した自動車登録番号標がレコーダデータベース100に格納されている場合、データベース管理部123は、自動車登録番号標をキーとして車両Cのユーザの連絡先を特定することができる。そのユーザから情報提供に関しての同意が得られていない場合であっても、イベントIの重大性によっては情報処理装置1の管理者はあらためてユーザに情報提供の依頼をすることも可能である。
【0054】
また、抽出部126が抽出した自動車登録番号標がレコーダデータベース100に格納されていない場合、すなわち、抽出部126が抽出した自動車登録番号標を取り付けた車両Cのユーザが情報処理装置1の管理者の顧客ではない場合、一般に、情報処理装置1の管理者はそのユーザの連絡先を取得することは難しい。しかしながら、例えば情報提供の依頼者が特定の公的機関である場合には、自動車登録番号標からその車両Cの所有者を特定する手段を持ち合わせている場合もあり得る。そのような場合には、抽出部126が抽出した自動車登録番号標が情報提供の糸口となる。
【0055】
このように、抽出部126が映像から自動車登録番号標を抽出することにより、情報処理装置1は、特定部121が特定した記録装置識別子の他に情報提供の糸口を得ることができる。結果として、情報処理装置1は、事故等のイベントに関する情報の提供を促進することができる。
【0056】
<情報処理装置1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図7は、実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0057】
イベント情報取得部120は、イベントIが発生した位置を示すイベント位置情報を取得する(S2)。また、イベント情報取得部120は、イベントIが発生した日時を示すイベント日時情報を取得する(S4)。
【0058】
特定部121は、レコーダデータベース100を参照して、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する(S6)。通知部122は、記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知する(S8)。
【0059】
承諾取得部124が、特定部121が特定した記録装置識別子に関連付けられた方法から外部情報の提供についての承諾を取得した場合(S10のYes)、情報取得部125は、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯における外部情報を記録装置識別子に対応する情報記録装置から受信する(S12)。
【0060】
情報取得部125が外部情報を受信するか、または外部情報の提供についての承諾が得られない場合(S10のNo)、本フローチャートにおける処理は終了する。情報処理装置1は、特定部121が特定したすべての記録装置識別子について上記ステップ8からステップ12処理を繰り返すことにより、情報提供に関して承諾の得られたユーザの情報記録装置から外部情報を取得する。
【0061】
なお、情報処理装置1がユーザの情報記録装置から取得した外部情報にイベントに関する事実が含まれていた場合、その外部情報を警察等の機関に提供するか否かは、あらためてユーザに同意を得ることが好ましい。このため、例えば抽出部126が外部情報である映像から自動車登録番号標を抽出した場合には、通知部122は、記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、外部情報を外部の機関に提供することの同意を取るためのメッセージを通知してもよい。これにより、情報処理装置1は、ユーザのプライベートな情報である外部情報がユーザの同意を得ていない状態で外部の機関に提供されることを抑制できる。
【0062】
<実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1によれば、事故等のイベントに関する情報の提供を促進することができる。また、情報処理装置1は、通常は映像等のデータと比較してデータ量が格段に小さい日時情報と車両位置情報とをレコーダデータベース100に記録し、情報提供が望まれている外部情報のみを情報記録装置から受信することにより、レコーダデータベース100に記録するデータの量と、通信ネットワークNを利用して通信するデータの量とを抑制することができる。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【符号の説明】
【0064】
1 情報処理装置
10 記録部
100 レコーダデータベース
11 通信部
12 制御部
120 イベント情報取得部
121 特定部
1210 軌跡特定部
1211 識別子特定部
122 通知部
123 データベース管理部
124 承諾取得部
125 情報取得部
126 抽出部
【要約】
【課題】事故等のイベントに関する情報の提供を促進する。
【解決手段】イベント情報取得部120は、イベントが発生した位置を示すイベント位置情報と、イベントが発生した日時を示すイベント日時情報と、を取得する。特定部121は、車両に搭載され車両の外部の情報を示す外部情報を記録する情報記録装置を特定するための記録装置識別子と、情報記録装置から取得した日時情報と、その日時における車両の位置を示す車両位置情報と、を関連付けて格納するレコーダデータベース100を参照して、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に、イベント位置情報を含む所定の範囲に存在した車両に搭載されている情報記録装置の記録装置識別子を特定する。通知部122は、特定部121が特定した記録装置識別子に関連付けられている連絡先に、イベント日時情報が示す日時を含む所定の時間帯に撮像された外部情報の提供を依頼するメッセージを通知する。
【選択図】
図2